食欲魔人日記 00年4月 第2週
4/3 (月)
フルーツグラノーラ with 牛乳

寝坊する夢を見る。目覚まし代わりのテレビがつかず、起きたら9時半だったという夢だ。なんとイヤな夢だろう。
夢の中の私は、「もういいや、会社サボッちゃえ」などと思っている。
そして何故か外に買い物に行ってしまうのだ。おーい、自分。会社はどうする。
夢の中の私、肉屋の前に立っている。
「おばちゃん、合挽き500gね」
とか言っている。おーい、自分。そんなに買ってどうするつもりだ。
どうやら夢の中の自分を冷静に見つめている覚醒した自分もいるのであった。夢の中の自分にツッコミを入れ続けるもう一人の自分。なんと複雑な夢だろう。
500gの肉を買った夢の中の自分、満足そうに店を出る。
そして覚醒した自分は気がつくのだ。おーい、自分。それは夢だ、と。
そして本当に覚醒する。あ、やばい。テレビのタイマー、本当に10時にセットしちゃったんじゃないか!?

焦りまくりつつベッドからがばっと起きあがる。7時15分。
寝坊だ。正真正銘の、寝坊だ。
目覚まし代わりのテレビは、確かに予約時間午前10時でタイマーセットされていた(昨日の起床時間用にセットされたままだったのね)。夢は正夢になってしまうところだったのだ。あー、焦ったー。

スリリングな目覚めを迎えて、頭はぼーっとしている。やはりストレスを抱えての目覚めは気分が宜しくない。
だんなにチーズパンのトーストを用意しながら、私用にはシリアルを用意。カリカリサクサクのグラノーラに牛乳たっぷりぶっかけて食す。
きっとまた2時間後に腹がすくのだ、と思いながら。

銀座 かすみ亭の
 からあげ弁当
KIRIN 生茶

午前11時、もう空腹で機能停止寸前になる。
燃費の悪い、私の身体。
なのに痩せない、私の身体。
とほほほほ。

そういえば、数日前にメールをくれた高校時代の友人Pさんは
「しかしあなた、ほんっとによく食べるわよね・・・(汗)」
と賞賛の言葉を私に投げかけてくれた。
「ほんっとに」の「っ」に彼女の本気が顕れている。そうすか。食べてますか。自分。

そういう彼女、昼御飯は"サンドイッチ2切れ"だったりするらしい。
「そんなんじゃ、全然足りないよ〜」とひとりごちながら会社を出て食料調達。

御飯が食べたい。というわけで、「肉屋さんのお弁当」とのぼりを掲げるかすみ亭へ赴く。肉たっぷりのおかずが好評な、この近辺でもっとも盛況なお弁当屋さんだ。
からあげ弁当 520円
これを選んで会社に戻る。

御飯には中央にコロコロとした梅干し1個。千切りキャベツの上にはにんにくの効いたややしっとりめの巨大な唐揚が4個、ウスターソースの小袋つき。
そして、かすみ亭の弁当に必須のおかずも入る。バター風味の具無しのナポリタンスパゲッティ、醤油味の茶色いゆで卵、しば漬け。この3点セットがいつもいつも入っている、かすみ亭定番セットなのだ。弁当屋のそばの自販機で購入した冷たい緑茶の缶を開けて、おもむろに弁当を食べる。

ん〜、ちょっと濃い目の味付けの醤油味ベースの唐揚は、相変わらず美味しい。サラリーマンばかりが購入するこのエリアで、にんにくを惜しみなく使っちゃうこの大胆さも捨て難く、良い。唐揚の下の、熱でちょっとしんなりした風情のキャベツもソースをかけてぺろりとたいらげ、昼食終了。

スペシャル親子丼
麦茶

だんなは新年度の飲み会。息子と2人で夕御飯。
今日のメニューはスペシャル親子丼だ。
銀座のとんかつ屋、梅林のかつ丼が「スペシャルかつ丼」になると卵が2個入っていることから、"スペシャル"の名を冠したどんぶりは卵を2個使ったもの、ということになっている我が家である。

だしと醤油と味醂を鍋で温め、玉ねぎを放り込む。皮つきの鶏もも肉もざくざくと放り込む。ふくふくと火が通ったところですかさず溶き卵を流して20秒、最後に卵を割り入れて10秒ほど。溶き卵がふんわり固まり、上の卵が半熟でとろ〜んとなったところでどんぶり御飯の上に乗せる。刻んだたっぷりの三つ葉もどかんと乗せる。
スペシャル親子丼の完成!です!じゃじゃーん!……と一人で「チューボーですよ!」ごっこなんかしてみたりして。うう、切ない。

ともあれ、卵2個の親子丼は充実してて旨かった。
醤油と味醂と卵と鶏肉って、なんでこんなに似合うのだろう。

4/4 (火)
豚肉の角煮
御飯
抹茶入り玄米茶

朝から角煮なんぞ食卓に並べてしまうと、
「朝からディープっすねぇ」(←カレーうどんのときに言われた)
だとか
「それは重いですねぇ」(←炒飯のときに言われた)
などとまた言われてしまいそうなのである。
でも、気にせず角煮。
本当は今日の夕食に出そうと思っていたやつだが、良い感じに煮えてしまったので味見味見♪
……といいつつけっこう食べてしまう。

日曜日に買ってきた東京エックスという豚肉。大きなバラ肉の塊を、だんなが
「角煮にしましょう〜♪」
といつのまにか会計を済ませていたやつだ。
「料理は、その料理をより愛しているほうが作成する」
のせりあ家の掟に従い、日曜の夜からだんながうきうきと台所で飛び跳ねつつ作っていた角煮だ。

豚肉は、まず下茹で。30分ほどくつくつと煮込んだやつを四角く切っていき、醤油につけてからこんがりと焼く。焼いたところで醤油と砂糖のみの調味料の汁にどぼんと入れて、あとは落とし蓋してとろ火でひたすら煮込んでいく。脂が甘く溶けて、とろんとした角煮が中華鍋の中にごろごろと。家中に甘辛い匂いが漂っちゃって、朝から妙に食欲増進している困った我が家。

東京エックスはなかなか良い肉なのである。煮込んでも脂はグズグズにならず、でもゼリー状にぷるるんと良い感じに煮えてくれる。三枚肉の美しい層もそのままに、ツヤツヤと光る角煮。練りカラシを添えつつ、御飯をわしわしかき込んで食す。
ああ、美味しい〜。
そして角煮の続きは夕食に。

新橋 翠園酒家にて
ランチバイキング
 豚ひき肉入り炒飯
 御飯
 五目炒めビーフン
 ザーサイ
 牛肉とアスパラのスープ
 鶏ひき肉とにんじんのうらごしスープ
 ハムスイコク
 ハムスイコクおかわり
 ハムスイコク更におかわり
 牛肉と干し海老の焼き団子
 牛肉と干し海老の焼き団子おかわり
 牛肉焼売
 牛肉焼売おかわり
 ニラ入り餃子
 広東風鶏肉の炒め
 広東風鶏肉の炒めおかわり
 白菜と春雨の煮込み
 厚揚げの煮込み
 白身魚のコーン揚げ
 白身魚のコーン揚げおかわり
 茄子と豚肉の味噌炒め
 鶏肉のチリソース
 魚すりみ団子のカレー煮
 タピオカ入りココナッツミルク
 タピオカ入りココナッツミルクおかわり
 仙草ゼリー
 プーアル茶 たっぷり

午前中、だんなの職場の近隣にてお仕事。
「お昼御飯、一緒にしましょ〜」
と通称"ゆすりたかりコール"をだんなの携帯に入れ、二人で待ち合わせてお昼御飯。
食べ放題に今日はあんまり乗り気じゃないだんなを
「翠園酒家行きましょ。食べ放題食べ放題食べ放題!」
とひきずっていく。

老舗飲茶屋の翠園酒家、平日昼間はバイキングをやっている。
1750円で15種類前後の料理が並ぶ。揚げ物がちょっと冷めていたりということはあるが、料理はどれもおしなべて良い感じのレベルで私は大好き。客はおしなべてサラリーマンが多数を占め、案外年配の層が多いのも特徴だ。女性グループなどは、あんまり見かけない。うるさくもなく、皆しとやかに食べ放題の料理を自分が食べたいだけ食べて去っていく。そうそう、こうでなくては。バイキング。

いつも通り、御飯が2種類、麺が1種類、スープが2種類。5種類ほどの点心と同じく5種類ほどのおかずが並び、デザートはいつもタピオカココナッツミルクと仙草ゼリー。
リクエストしないと問答無用でジャスミンティーを持ってくるおばちゃんに、「プーアルにしてね」と伝えるのを忘れず、そして料理を取りに行く。小皿に点心類と、手羽先を甘辛く揚げた「広東風鶏肉の炒め」を乗せる。別の皿にはおかずを盛り合わせ、茶碗にスープとチャーハンを盛り付けて、いざいざいざいざ♪

もち米の皮に甘辛く味付けした豚肉や干し海老の具が入るハムスイコクは私の大大好物だ。油で揚げられていて、外はカリカリサクサク、中はもちもち。噛むと甘さがじんわりと広がるこの点心は私の「ベスト・オブ・点心」とも言えるもので、ゆえにそれが常備されているここのバイキングはとても嬉しいものだったりする。しかもここのハムスイコクは相当にハイレベルだ。
早速1つめのハムスイコクを最初にむしゃむしゃ。

焼売と餃子と鶏肉と、おかず3種類を片づけて、第2ラウンド。今度はさっき取りきれなかったおかずを盛る。
そしてハムスイコク2個め。
……ああ、ビールが恋しくなってきた。
鶏肉のチリソース、という面白い炒め物も最初は辛味を感じないのに、後から強烈なピリピリがやってきて楽しく、美味しい。冷めているのにポロポロと油っこくない炒飯もまたたっぷり食べられるので困ってしまう。
シメとして、白い御飯にザーサイをお供にして気に入ったおかずをおかわり。
そして最後のハムスイコク。3個め。

はぁ、食いました食いました。今日も食ってしまいました。
ダイエットの神様、ごめんなさい。
食欲魔人の神様、今日もどうもありがとう。
二人の神様は、どうしても片方と仲良くすると片方からは嫌われてしまうようなのであった。とほほほほ。

デザートは2種類、当然両方もらってくる。
しかも好物のココナッツミルクはココナッツミルク部分だけおかわり(タピオカを必死でよせてお玉ですくう私)。
さすがに満腹です。げっぷ。

冷や奴
豚肉の角煮 with 茹で小松菜
かぼちゃのバター炒め
三つ葉と豚肉の味噌汁
御飯
よなよなエール

今朝食べた角煮が再び、本日のメインディッシュ。
ディナー対応にと朝より器を大きめにして茹でた小松菜を横に盛ってみた。甘くふわふわの角煮は、やっぱり辛口の日本酒でキューっといきたいところなんだけど、そんなことしたら、明日の朝会社に行きたくなくなるような気がするのでビールのお供で我慢しておく。

付け合わせは"三之助豆腐"(←デパート地下で売っていたりする。かなり美味しい……と思う)の「ふわふわ豆腐」で冷や奴。普通の豆腐よりも固まり具合が緩くてふにゅんとした歯ごたえの豆腐だ。
それと、バターで炒めただけのかぼちゃ。醤油をひとたらししようかと思ったけど、かぼちゃそのものがとっても甘いのでそのまま食べることにした。

角煮と豆腐とバター味のかぼちゃ。ああ、今日もビールが進んでしまうのであります。

4/5 (水)
スクランブルエッグ
三つ葉と豚肉の味噌汁
御飯
抹茶入り玄米茶

起きるなり、だんながへらへらと……もとい、にこにこと笑いながら言うのだ。
「おゆきさん、28歳のお誕生日おめでとう〜♪イーシャンテン、だね♪」
年は言うな。年は。
で、イーシャンテンって、何だよ?
「テンパイまであと1つ、てことだよ〜♪」
つまり、だんなは「30歳目前の29歳まであと1年だね、おめでとう♪」と言っていたのであった。……まぁ、いいけど。

そして今日はだんなが台所に立って朝食の準備をしてくれた。バターたっぷりのスクランブルエッグだ。
御飯と味噌汁、そしてお茶。いつもの朝食。

コンビニの
 ジャムバターサンド
100%オレンジジュース

誕生日なのに、激ジョブ〜。誕生日なのに、昼御飯食べる余裕がない〜。
泣きながらコンビニにてサンドイッチを買い求めてみる。ツナや卵のものを選ぶ気分になれなかったので、目に留まったジャムバターサンドを。食パン3枚の間にバターとジャムが挟まったやつだ。

ジャムバターパンって、妙に美味しい。ジャムだけでなくバターだけでもなく、あのこってり感とジャムの甘さがたまらんのだ。パサパサの味気ないパンのそれを囓りながら、それでもジャムバターパンの美味しさに思いを馳せてしまう私。
今度は、サンドイッチ用の食パン買ってきて自分で作ろう、ジャムバターサンド。

R1/Fの
 海老とブロッコリーのタルタルサラダ
松尾牛のステーキ
人参のグラッセ・新じゃがのオーブン焼き・小松菜のバター炒め
コーンスープ
ガーリックライス
TITOLATO Strozzi CHIANTI 1995

マキシム・ド・パリの
 ショートケーキ
 ナポレオンパイ
エスプレッソ

私の誕生日祝いディナー。
いつもより1時間以上早く帰ってきただんなの手にはバラの花束20本とケーキの箱がぶら下がっていた。
花を買ってきてくれるのは初めてかもしれない。花屋で綺麗に包装したやつじゃなくて、銀座の片隅でちょっと安めの大きな花束を売っているところで買ってきたらしいのがだんならしいところだ。うきうきと貰うなり花瓶にいける。

で、帰宅早々のだんなは台所に立ってステーキを焼いてくれた。にんにくチップを最初に作って、にんにくの香りのする油が薄く引かれた中で、手早く焼いてミディアム・レア。
付け合わせのにんじんとじゃがいもと青菜は、私が帰宅してから「今日はステーキ♪」と準備しておいたやつだ。ほんのりバターの匂いのにんじんと、オーブンでじっくり1時間ホイル焼きにしたじゃがいもと、バターでちゃちゃっと炒めた青菜。
ステーキときたら、この温菜3点セットとコーンスープが無いと、どうも締まらないような気がしてしまう私である。
以前に買っておいていたイタリア産赤ワインの栓を開けて、ささやかなディナーのはじまり。

「美味しい肉は、塩胡椒して醤油を垂らすのが一番」
とばかりに、ステーキの味つけは塩胡椒と醤油のみ。カリカリのにんにくの匂いが絡まって良い感じ。フライパンに残る牛の脂を使って、ワインの後にはガーリックライスを作ってもらう。バターも放り込んで炒めた御飯に、醤油ひとたらし。焼き肉やステーキの後には、このガーリックライスがすこぶる旨い。

食後には濃いめのエスプレッソコーヒーでケーキ。
「ショートケーキが食べたいなぁ」
と言っておいたら、マキシム・ド・パリで買ってきたようだ。
袋には何故か2つの箱が入っており、1つには細長いナポレオンパイの塊。もう1つにはショートケーキとシュークリーム、レアチーズケーキ。

「あのね、あのね、マキシムの前を通ったらナポレオンパイが"私はいかが?"って言っていたんだよ。」
とまるで私のような事を言っているだんなである。
ありがたくショートケーキをいただいて、ついでにナポレオンパイも1切れいただいちゃう。ミルフィーユ系のものは、極力すぐに食べないと、パイがパリパリじゃなくなっちゃうからね〜。

スポンジの間に苺がたっぷり入るショートケーキはもちろん、久しぶりのナポレオンパイもサイコーに美味しかった。やっぱりここのカスタードクリームは美味しいのである。

4/6 (木)
お茶漬け
麦茶

昨夜は久しぶりに赤ワインなんぞを堪能してしまって、なんとなーくボヤボヤと身体が重いのである。
昨日炊いた御飯が炊飯器に残っているのみの台所に立ったは良いけどいまいちやる気がおきなくて、
「……茶漬けにしよう……」
ともそもそと動く。
だんなも
「茶漬けでいーやー」
と同じくやる気が無い様子。
いかにも宴会の翌日、といった風情の我が家であった。

ああ、それにしても、何故茶漬けにはあの「カリカリ」が入っているのだろう。丸だろうが棒状だろうが、あのアラレというものは私はどうも気に入らない(注:お菓子としてのアラレは好物だ)。
お湯入れたてのカリカリな状態だったらまだ許せるが、あの水分を含んでだらしなくやわやわになっていくあの存在を、私はどうにも許すことができないのだ。
で、どうするかというと、茶漬けを食べる際に、私はあの「カリカリ」を美味しいうちに必死で片づけることになってしまう。ふにゃふにゃとなったあの存在が無くなってのち、私はゆっくりと茶漬けを茶漬けとしてすすることができるのであった。

そういえば、私はふにゃふにゃになったクルトンもいまいち好きではないのであった。
そうか。だからか。

銀座 スワンベーカリーの
 チキン&バジル
 クリームパン
コカコーラ ラクティアいちご気分。

会社の近所のお気に入りパン屋にほてほてと歩いていく。
こうも気候がうららかになってくると、昼に外出るのもちょっとわくわくしてしまう。

店頭に並んでいるランチパックを見る。菓子パン3個のセットとドリンクがついて400円。気が付くと、その横にはパン2個とドリンクのセット300円というのも並んでいた。今まで無かった2個セット。
「パン少なくしたセットが欲しいな〜。女性向に3個は多いよ。2個にしてくれたら私は買っちゃうよ。」
と店のおっちゃんに言っていたのは私である。もしかして反映してくれた?とちょっと嬉しくなる私。
でも今日のランチパンはいまいち好みなものでなかったので、無視して入店(ヒドイ……)

フランスパン的な油っけのないパンにバジルのみじん切りが練り込まれたチキン&バジル、そしてこってりカスタードクリームが入ったクリームパンの2つを購入。苺の飲物が欲しかったので目に留まった「いちご気分。」なる缶ジュースも手に入れる。この「いちご気分。」の「。」がちょっと気になる。「モーニング娘。」じゃあるまいし、「。」はいらんだろ「。」は。悪態つきつつ席につく。

鶏肉を角煮のように甘辛くこってり味付けされた照焼きが載るチキン&バジルは人気商品みたいだ。
いつも昼間際に焼き立てが用意され、店の中央、目立つところに置かれている。今日もほんのり湯気がたっているそれを、端からがぶりと噛りつく。上品に齧っていたら、肉が噛み切れないのでここは思い切って、がぶりと。ちょっと乾いた風情のパンに脂の乗ったチキンは似合っていて、多分それで人気があるんだろうな、と思う。
で、デザート兼用にクリームパンを堪能。カスタードクリームはやっぱりシュークリームが一番だよな、と思いながらも縁が波状にうねうねしているレトロな形のクリームパンは悪くない。美味しい。

でも、ラクティア「いちご気分。」は香料くさくていただけなかった。
ううう、あとでデパート地下の生ジュースでも飲んでこよう。とほほほほ。

トマトとオイルサーディンとチーズの重ね焼き with リッツ
鶏肉のオレンジ煮
葱バジルライス
じゃがいもとベーコンのコンソメスープ
TITOLATO Strozzi CHIANTI 1995

マキシム・ド・パリの
 ナポレオンパイ
エスプレッソ

昨日の赤ワインが1/3ほど残っているので、これが飲めるようなおかずをと考えてみる。
塩胡椒した鶏肉をこんがり焼いてオレンジの果実を絞ったジュースとスープとを合わせたもので煮込む。オレガノ少々ぶっかけて、胡椒がりがり、醤油をほんのひとたらし。トマトとオイルサーディンを層に重ねて上からとろけるチーズをかけたものをオーブン焼きして、この2つがおかずになった。
トマトの重ね焼きにはリッツを添えて、こいつにトマトやオイルサーディンを乗せつつがしがし食べる。

んがしかし、初めて作ってみて「おおおおお、美味しい!」と思ったのは葱バジルライス。
長ねぎをたっぷり刻んで、そこへ昨年の秋に作っておいた自家製バジルペーストを混ぜ混ぜ。アンチョビを刻んだものも混ぜ混ぜ。それを顆粒スープを放り込んで炊いた御飯の中に放り込んでかき混ぜるだけ。バジルペーストに混ざったにんにくがほわんと香る、イタリアンだかエスニックだか良く分からない御飯。アンチョビの塩気が決まっていて葱と良くなじんでる。きっとサンバルソースとかで炒めた豚肉乗せても美味しいだろーなぁ。

食後には、昨日に引き続きナポレオンパイ。甘い苺とたっぷりの生クリーム&カスタードクリームのこのケーキにはエスプレッソが良く似合う。
エスプレッソ、本当は砂糖を入れずに飲むのがカッチョイイんだろうなぁと思いつつ、私は砂糖抜きのコーヒー類はいまいち得意でない。で、私専用のコーヒーシュガーが我が家には常備されている。黒っぽいゴロゴロとした結晶の砂糖はそのまま食べても美味しくて、それをざらざらとエスプレッソに放り込んで下に沈んだのをそのままに、飲む。
そうすると下にゆくほどに甘くなって、最後は溶けきらない砂糖の結晶をカリカリと囓ることになる。このコーヒー味の砂糖がたまらなく美味しいんだな。うふふふふ〜。

4/7 (金)
葱バジルライス 目玉焼き乗せ
じゃがいもとベーコンのコンソメスープ
紅茶(ニルギリ)

昨日の御飯、昨日のスープで簡単朝食。
それだけでは物足りないので、黒胡椒をガリガリと挽いて塩をふった半熟目玉焼きを作成、御飯の上に乗せて崩しながら食べる。

「なんだか紅茶が飲みたい気分〜♪」
とだんなは紅茶の入った籠を漁っている。そしてニルギリの葉っぱを取り出してマグカップになみなみと紅茶をいれてくれた。

味付け御飯は、何やら新鮮で楽しい。
炊き込み御飯系は、余ってしまったら、ちょっとの油でちゃっちゃと炒めて焼き飯にするとこれまた違った風味で美味しいのだ。今日のはバジルペーストにオリーブオイルがたっぷり入っていたからやらなかったけど。

八丁堀 LATINOにて
 アベックカレー

八丁堀 翠江堂
 いちご大福
おーいお茶

今日のお昼御飯はだんなと待ち合わせて、一緒にLATINOに向かう。
夜は南米の雰囲気のあるバーだけど、昼は数種類のカレーを出していて、それを目当てに行列ができる。
彼はビーフカレーを、私は「アベックカレーA」を注文。ビーフカレーとカシミールカレーの2種類かかっているカレーらしい。レモン水を飲んで待つこと数分、大皿に中央に御飯が盛られ、きっちり半分を境にカレー2種類が綺麗にかけられたものがやってきた。てっぺんには、何やらパリパリとしたものが砕かれて乗っている。……タコスチップ?らしい。

ビーフカレーは「中辛」、カシミールカレーは「辛口」とある。辛いものはあまり得意でない私は、少々脅えながらスプーンを口に。
どろりとした茶褐色のビーフカレーはじんわりと辛い。ほろほろと煮崩れそうな肉がごろごろと入っていて、他に野菜などは入っていない。「ひたすら煮込んでいました。全部溶けました。」的などろ〜りどろ〜りしたやつだ。洋食屋のような風情のカレー、だんなが旨そうに目の前でばくばくと喰っている。

そしてそしてカシミールカレーは案の定、辛かった。
ビーフカレーと対極に、サラリとしており色も赤味は混じっていない。黄色いルーには大きな鶏肉の塊がごろんとしており強いスパイスの香りがほわほわと漂ってくる。口に含めば異国の香り。んが〜。口が燃える〜。美味しいけど、止まらないけど、でも辛い〜。辛口でこうなら、「極辛」のベンガルカレーなんてどうなってしまうのでしょうか、わたくしは。
あせをかきかき、レモン水飲み飲み、カレーを食す。カレーって汗が噴き出る料理なのだなぁ。と実感。

食後はほてほてと隅田川に向かって歩く。するとそこには次なるお店翠江堂が待っている。食後のデザート、いちご大福を2個、小さな紙袋に入れてもらってお茶を買いつつ水辺へ向かう。

隅田川沿い、中央大橋と永代橋の間には若木ながら桜がたくさん並んでいる。まだ五分咲き程度ではあったが、ピンク色の花が隅田川をバックに揺れている。
青空の下、桜の遊歩道をバックにしていちご大福を食す。あああ、何やらシアワセ。
「翠江堂、"花見団子"なるお団子もあるらしですよ。」もっきゅもっきゅ。
「おおお、それはよいねぇ。今度はそれを買おうか。」もっきゅもっきゅ。
「でも、このいちご大福も捨て難いもんねぇ。」もっきゅもっきゅ。
「そうそう、このいちご大福、7月下旬まであるらしいですよ。」もっきゅもっきゅ。
「おお、それはすばらしい。」もっきゅもっきゅ。
……ごくん。
ああ、あっという間に無くなってしまったよ。いちご大福。

やっぱり買いたてが一番美味しいのだ(寒いと固くなっちゃうし、あったかいとデロデロにやわくなってしまう)。皮はべたつかずにふくふく、淡いあんこに大きくてジュースたっぷりのいちご。
八丁堀の事務所のおねぇちゃんに、このいちご大福の存在を教えてあげたらしいだんなは大感謝されたらしい。
住所は新川。隅田川にかかる中央大橋のすぐそばの、小さく古びた和菓子屋さんが翠江堂である。

焼きうどん
焙じ茶

苺 with コンデンスミルク&牛乳

豚肉が、ある。
そいでもって明日は外出。外出前の食事は、簡単にパンとカフェオレといきたいところだ。
そうすると、前の晩の食事は御飯でないのが望ましい(2合炊いても余っちゃうしね)。
今日の夕食のテーマの"縛り"は
「豚肉を使用。not御飯。」
というところなのであった。

で、レシピ数2300を誇る自作データベース「せりあちゃんのお料理ノート」(なんちゅう名前や……)にて検索を試みる。各料理雑誌、書籍から"いつか作りたいもの・作ってみたら美味しかったもの"を基準にひたすら自分で入力した巨大データベースである。まだ半分も調理に至っていないし日々発展途上だが、ジャンル別材料別に検索が可能だ。このデータベースがハードディスクから消えたら私は真っ白に燃え尽きてしまうだろう、大切なデータベースだ。

この最強のデータベースにて検索したところ、「豚肉とクレソンのスパゲッティ」なるものがヒットした。豚とクレソンを茹でて、細目のパスタと和える。ソースは練り胡麻ベースのこってりした感じのもの。おおおおお、美味しそうじゃないですか!と私の心はこれに決まって、うきうきと明日用のパンを購入して帰宅する。
しかし、だんなは言うのだ。
「麺かぁ……焼きうどんに、しない?」

そんなことを言われたら、今まで豚とクレソンと胡麻の味が舌に広がっていたところが鰹節と醤油と葱の味に変化しちゃうのである。そして私はその方が好みなのである。
「じゃあ、作ってよ。焼きうどん。」
と、今日の夕食作成担当はだんなに交代。

焼きうどん。私は店でこれを食べたことがないので、真実こういうものなのかは知らないのである。
我が家の焼きうどんは、豚肉と長ねぎがたっぷり。茹でたうどんを肉と葱と一緒にじゃかじゃか炒めて彩り程度に醤油を垂らし、味の素ふって塩をパラパラ。最後に鰹節をこれでもかこれでもかとたっぷりふる。
即座に食卓に出し、上にかかった鰹節がヨヨヨヨヨ、とよれていくのを眺めつつ一気に食べる!

な、なんか当初予定していたスパゲッティと大違いなのである。
でも、いいや。美味しいから。

4/8 (土)
木村屋ペストリーショップ
 カマンベールチーズブレッド
 コロッケサンド
カフェオレ

昨日買ってきたパンを温め、カフェオレいれて朝御飯。オーブンでほこほこに焼いたパンはどちらも美味しい。
フランスパン生地のてっぺんにカマンベールチーズが乗ったブレッドは、焼くとチーズがとろりと溶けて良い香りになった。コロッケパンは半割にしたコロッケとマカロニサラダ、チーズとレタスが挟まっている。元々がトーストされたパンのサンドイッチになっていたが、温めたら外側がサクサクと香ばしくなって、これまた美味しくなった。さー、出かけるぞ出かけるぞ。

今日は私の誕生日のお祝いということで、演劇を見て外で夕食をとる予定。母に息子を見ていてもらって、いざ出発、である。

紀の善
 赤飯弁当
お茶

演劇鑑賞は2時より池袋にて、の予定だ。キャラメルボックス「MIRAGE」、なんと席は最前列というナイスなセッティングだ。
昼前に出発した私たちは飯田橋で途中下車してお弁当を買い、九段下方面を目指して歩く。目的は花見。九段下には靖国神社があり千鳥ヶ淵がある。満開の桜を求めてうららかな春の日の下をてくてく歩く。

私は老舗の甘味屋、紀の善の赤飯弁当を購入。
だんなは学生時代に5日に4日は食べ続けていたという、お肉屋さん「ますだや」の鶏唐揚弁当。いつのまにかカレーコロッケとカニクリームコロッケまで袋に入れられている。各々買いたいものを買って、自分の袋を自分で持って、てくてくと桜の群生地を目指して歩く。

靖国神社はかなりの混雑だ。週末を待って満開になってくれたような桜の下、出店がいくつも並び、ビニールシートの上ではそこここで宴会が繰り広げられている。おおお、良いねぇ。心が浮き立つねぇ。
「○○企画」と場所取りの段ボールが置かれている区画の隅っこ、見張りの人がいないのを良いことに、「昼御飯だけ食べさせてね〜」と巻かれたゴザのすみっこに間借りして座る。砂利の上にお茶。膝に上にお弁当。頭の上には満開の桜。

甘味屋さんの赤飯というものはおしなべて美味しいものだが、紀の善のはまたサイコーに美味しい、といつも思う。
店の中でも食べることができるが、持ち帰りにすると小さなおかず入りの折にしてくれるのがまた嬉しい。赤飯の横には甘い卵焼きと高野豆腐、醤油味の肉団子に芝漬、昆布の佃煮がちょこちょこと詰められている。これがまた行楽気分でうきうきしちゃう。

私が純和風弁当を堪能している横で、だんなは大きなコロッケにかぶりついている。ますだやの揚げ物は全部ラードで揚げられているらしい。
「俺的に、"カレーコロッケ"と称するもののなかで世界一〜!」
と彼が宣言してはばからないカレーコロッケは、普通のポテトコロッケの生地のまん中にカレーのルーが詰まったやつだ。
カレー粉を練り合わせてしまうカレーコロッケは良く見るが、ルーそのものが芋コロッケの中に入るのは確かにあんまり見かけない。ラード特有の濃厚さと香りがあるコロッケは、口に含むとほわんと甘い。ほこほこでほんのり温かくて、良い感じだ。

「きれいですねぇ〜」
「焼きそばとか、ありますねぇ〜」
「ああ、それも良いですねぇ〜」
と話はいつのまにか"花より団子"になってしまう私たちだが、まぁそれはしょうがないのである。

青山 AcquaPazzaにて
 スプマンテ
 バーニャカウダ
 牡丹海老のカルパッチョ
 カリカリベーコン入りフレッシュハーブのスパゲティ
 金目鯛の蒸しもの パンチェッタと野菜の煮込みのソース
 やわらかい牛テールの煮込み
 ドルチェ盛り合わせ
 エスプレッソダブル+プチフール
 白ワイン − Bianco Faye'95
 赤ワイン − Dolcelloなんとか(名前失念)
 

「尊敬してやまない日高さんのお店の常連になって、日高さんとお近づきになっちゃいたいんだもんね作戦」、第四回。
先日の「ホームページを作らせて貰えまいか」という私の図々しい申し出は、最高に幸運な事に「渡りに船」だったらしい。旨いこと話がどんどん転がってしまい、私はお客の立場でありながらAcquaPazza公式ホームページ(←4/8現在まだ私の手は入っていませんです、はい)のWeb責任者に収まってしまうこととなった。今日は誕生日のお祝いが一番の目的だけど、お店のデータや広報ペーパーのバックナンバー、写真やメニューのコピーを預からせてもらうという重要な第二の目的もある。データを入力したら、いよいよリニューアルオープンだ。うきうきうきうき。

地下のリストランテには吹き抜けになる煉瓦敷きの、個室然となる一角があり、私たちのテーブルはそこに用意されていた。記念日と伝えておいたとはいえ、こんな特等席を用意されるとは思っておらず、ちょっとどきどき。

コースは7500円。前菜から2つ、パスタ・リゾットから1つ、メインから1つ選び、ドルチェとコーヒーがついてくるというスタイルだ。アラカルトで取れる料理はコースでも取れる。当然、これ。で、メインが魚か肉の1種類だと足りないのでアラカルトで魚を別注文することにした。
前菜のスプマンテを舐め舐めメニューの検討。
「今日のお魚は……良い金目鯛があります。これを蒸して、豆と野菜とパンチェッタのソースでちょっと煮込んだものなどいかがですか?」
と美味しそうに説明されると、「ああ、もうそれをください。おっけーですおっけーです。」と首を前後にぶんぶんふってしまう私たちがいる。

大好物のバーニャカウダはだんなも私も1つずつ。あと1つの前菜は魚介のものをお互い好きに取る。
最初に来たのがそのバーニャカウダ。チーズフォンデュのものに似た、小さな陶器の器でアンチョビのオリーブ油ソースを温め、それに野菜を漬けて食べる。有機野菜のにんじんやセロリや丸大根、ミニトマトに青梗菜の盛り合わせはそのまま生で囓ってもめちゃめちゃ旨いがソースに浸すとこれが舞い上がっちゃうほど美味しくなる。面白い野菜として、カタクリと葉わさびなんてものも乗っている。
このソースは野菜が無くなってもテーブルの上に乗せられている。これはパンにつけても美味しいのだ。
普段家で使っている野菜の10倍くらい濃厚な土の匂いがする野菜をたっぷり堪能して次。

私は牡丹海老のカルパッチョ、だんなは稚貝のタルタルソースパン粉焼き。
貝を一口食べて、だんなは「やらんぞやらんぞ。君にはやらんぞ」などと皿を囲っている。どうやら彼の心を鷲掴みにしてしまった皿らしい。小さな帆立の殻つきの貝の上にはタルタルソースにパン粉がかかり、こんがりと焼かれている。タルタルソースがそれはもう大好物なだんなは、心なしか泣いていた。
甘海老に似た生の牡丹海老は透き通るように淡く白い。パプリカの入るソースがかかっている海老は口に入れるととろんと溶ける。あ、美味しい。「私もやらんもんね。君にはやらんもんね。」と私も皿を囲いつつ食べる。

アンティパストの次はプリモ・ピアット(一の皿)。パスタやリゾットがやってくる。
私は「カリカリベーコン」と「フレッシュハーブ」の文字列に惹かれてこのスパゲッティを、だんなは「春野菜をからめた極太自家製スパゲティ」を頼んでいる。
細めの麺にルッコラやタイムがざくざく絡んでベーコンがごろごろ入ったオイルベースのパスタが私の前に。そしてだんなの前にあるのは、まんま"うどん"である。確かに「極太」とあるが、これは本当にうどんだ。素晴らしい。イタリアにも、うどんがあったんだ。

イタリアのとある地方で作られるこの麺は、小麦粉と水だけで作るそうだ。練らずに高圧力をぐぐぐーっと機械でかけて押し出すと、日本の讃岐うどんにも似たコシのある麺ができあがるのだとか。にんじんやブロッコリーの大ぶりな塊が混ざる麺はほんのりバターの香りと唐辛子の辛さがあって何とも言えないコクがある。
「うどんだ!うどんだ!……うめーっ!」
と言って、まただんなは泣いている。
「"美味しい"ていうのは、もっと不味いものに対する表現だよ!」
なんて言っている。

そして、お魚。中国の金華ハムも日本のハム・ベーコンとは隨分違った風味だが、イタリアのパンチェッタなる塩漬豚肉もベーコンとは異なった独特の旨味がある。これが野菜と煮込まれてじんわり甘くなったものが下に敷かれて上に魚。ツヤツヤ光る赤い皮もその下の肉も脂が乗ってほろほろと柔らかい。味つけは塩のみ、といった風情なのにすこぶる旨い。
ど、どうしよう。本当に何喰っても旨いんですけれども。
ぺろりとたいらげ、ついでに白ワインのカラフェもなくなったので赤ワインをグラスで頼む。良く飲むし、良く食べるのである。

肉は、牛テールの煮込みと「骨付き子羊の香草パン粉焼き 冬ねぎとタイムの香るソースで」という皿。2種類取って、半分食べたところでだんなの皿と交代する。
トマトと赤ワインベースのソースで煮込んだ牛テールは、ナイルレストランで出されるムルギランチの鶏肉のように、骨から身がほろりと外れるほど柔らかになっている。肉と骨の間のあたりはゼラチン質のプルプルした部位なぞあって、フェットチーネなんかをぐるぐる混ぜて食べたくなってしまうような感じ。こってりどっしりしていて、「肉です!」と主張している皿。

羊のパン粉焼きはフィンガーボール付きなものだから、片手で持ってわしわしと食べてしまう。数ミリの厚さの脂の層なんかもあったりして、噛むと肉汁が溢れちゃったりして、しみじみ噛んでる私はきっとやはり「肉喰い」なのだ。下に敷かれた焼き葱が、また甘くて旨いのだ。今日の料理も堪能させていただきましたです、はい。

そして、大きな皿に「Buono Conほにゃらら」(←多分、「誕生日おめでとう」という意なのだろう)とチョコレートで飾られたデザートがやってきた。タルトの上に細いロウソク3本。一瞬テーブルの上の照明だけがふっと暗くなり、吹き消すとマネージャーKさんたちとだんなが小さく拍手してくれた。
私の目は、この大皿に釘付けだ。イチゴのタルト、チョコレートケーキ、いちじくのタルトにズッパイングレーゼにティラミスにサバランにフランボアーズのジェラート、キウイのジェラート、アプリコットのジェラートが盛られている。す、すごい。壮観だ。全部喰っていいんですか?いいんですね、とこれまでフルコースをしっかり胃袋に納めたのもなんのその、うきうきと取り皿にタルトやジェラートを盛りつけている私である。
「おゆきさんの顔、今日一番輝いていたのがこの瞬間だった」と後にだんなは述懐する。

やっぱりデザート盛り合わせはオトメの夢でしょうよ。酸味のあるイチゴが乗ったサクサクのタルトに、苦くて上質のエスプレッソがたっぷり染み込んだティラミス。果実の味がしっかりするジェラートに、脳天直撃するほどのアルコールが染み込んだサバラン。どれもこれもじんわり甘くて美味しくて、フランボワーズ嫌いのだんなからジェラートとズッパイングレーゼを奪い、あっというまに皿は綺麗になってしまった。

これだけ食べて、でも私にはこの店で食べなければならないものがまだ1つだけあった。この店でしか出されない
「苺のアチェート・バルサミコ漬けヴァニラアイスクリーム添え」
これがどうしても食べたいのです。くださいください、お願いして持ってきてもらう。

薄くて華奢なカクテルグラスの中に満たされた半割のいちご。味つけは、なんと「酢」だ。上質のバルサミコ酢がいちごにかけられ、上には自家製バニラアイスクリーム。
「イタリア人は果実にバルサミコなんて、と倦厭するんですけれどもね」
と日高さんは言っていたが、店のオープン以来の定番である春のデザートとして人気があるだけあって、何とも言えない絶妙のバランスのあるデザートだ。「酢」だと思うと不気味かもしれないが良いバルサミコ酢はちょっと酸味があるブランデーのようだ。甘いしとろりとしているし、これが甘い苺と絶妙に絡む。そこへクリーム感たっぷりのバニラアイス。
「感無量です。」
とか何とか言いながらぺろりと食べる。

エスプレッソのダブルを飲みつつ最後のプチフールをつまみ、ディナー終了。
苦いエスプレッソを喉に流すと、酔いもすっと冷めていく。はあぁぁぁ、旨かったです。今日もまた喰ってしまいました。
余韻に浸りつつ、資料を持ったマネージャーKさんと少しだけ打ち合わせ。たくさんの内部資料をいただいて、私は明日、Web用ファイル製作に励むのだ。作業比もいただくことになった以上、ミーハー気分になってないで、しっかりやらんとな。
最愛の店にこういう形で関わることになるとは……自分で望んだ事とはいえ、本当にびっくり。「Web製作をやってみたい」「食の世界に関わりたい」と願った仕事が本当になってしまった。
しばらく2足のわらじです。会社には内緒……。

4/9 (日)
木村屋ペストリーショップ
 ぶどうパン
牛乳

休日だというのに、何故か午前6時に目が覚める。一度目が覚めると、懸案のホームページ作りなどに気が行ってしまってもう寝てなどいられない。それからパソコンの前に座り続けること4時間後、だんなと息子が起きてきた。
「朝御飯、どうする〜」
「……ん〜。適当〜。パンあるし……。」
「……カップ焼きそばとか、そういうもんが食べたいから、コンビニ行ってくるよ〜?」
「ん〜……わかった〜。……私にも、ヨーグルトか何か買ってきて……。」
私の脳細胞は9割以上、目の前のPhotoshopに向いているの……ごめん……。

そしてだんなはガサガサと大きな袋をぶら下げて帰ってきた。カップ焼きそばに「チキンカツカレー」なる怪しげな太巻き、鮭のおむすび、ジャワティーやヨーグルトが入っている。
私は干し葡萄がたっぷり入っているぶどうパンをとりあえず厚めに切って、牛乳を準備。ぶどうパンが大好きな私は、表面にグラニュー糖がまぶされているこのパン、けっこうシアワセ。

……なのに、目の前で他人が食べているものってなんでこんなに気になるのだろう。
ソースまぶして和えるチープな焼きそば。カレー粉がまぶされただけのカツが入る太巻きとか、合成の味しかしないようなおにぎりとか。
「おゆきさん……食べたいの?」
こくり。
「はいはい。焼きそばね。」
はむはむ。
「……太巻きも、食べてみる?」
こくり。
「……もしかして、鮭おむすびも食べたいの?」
……こくり。
「じゃあ、ジャワティも一口欲しいよね。はい。」
ごっきゅごっきゅ。

すみません、隨分喰ってしまいました。だんなの朝食。

チキン照り焼きサンドイッチ
牛乳

職場に用事がある〜……とだんなが出かけてしまった。
で、今晩の夕食の材料だの洗剤だのと一緒に帰ってきた。彼用の昼御飯、吉野家の牛丼大盛と共に、私用にはサンドイッチをデパートの地下で入手してきてくれた。

サンドイッチ専門店で買ったらしいそのサンドイッチ、ゆで卵がたっぷり入っていて、レタスやトマト、甘辛い鶏肉が挟まった分厚いものだった。ん〜。美味しい。
気が付いたら、端末の前に座り続けて8時間くらいが経過しているのである。

刺身 (甘海老・まぐろ・ハマチ・イカ・鰺のたたき・大トロ)
しじみの味噌汁
御飯
モルツ、抹茶入り玄米茶

「刺身が安かったよー。」
とだんなはたくさんの刺身を買ってきたのであった。3種類の盛り合わせパックは600円ほど。私の好物甘海老に、だんなの好物鰺のたたき。ついでに大トロのサクまで入っている。結構安かった、のだそうだ。
相変わらず私は端末の前から動けないでいる。

「ツマを作らなきゃ」
「味噌汁も作らなきゃ」
とだんなはわきゃわきゃと動いてくれていたが、
「おゆきさん!しじみの味噌汁食べたい?食べたいよねぇ。刺身には、やっぱしじみの味噌汁だよねぇ。」
と私に意見を求めたかと思うと、しじみを買いに近所のマーケットに出ていってしまった。
すごい熱意だ。もしかしたら私よりもだんなは主婦に向いているかもしれない。
そして私は相変わらず端末の前から動けないでいる。

7時過ぎ、結局1から10まで彼の手で準備された夕食の準備が整った。炊きたての御飯、たっぷりのしじみの味噌汁に美しく皿に盛られた刺身の山!刺身の山を目の当たりにすると、何となく心が浮き立ってしまうのは私だけではありますまい。
大トロにたっぷり醤油をつけて、御飯に乗せて、はむ。甘海老も御飯と一緒に口に入れて、はむ。鰺のたたきも生姜醤油をつけて、御飯に乗せてはむはむはむ。
んもう、御飯が進んでしょうがないのである。
お代わり♪と私が席を立つころには、だんなは2膳目をたいらげんとしていた。私が最後の大トロに囓りつくころには、だんなの茶碗からは3膳の御飯が消え失せていた。
刺身は食べ過ぎてしまって、いかん。