キャンベルのマッシュルームスープ(昨夜の残り)
牛乳
朝7時、起床。家にはダブルベッドが1つきりで家族3人で寝るにはかなり狭く、来客用にも使えるかなとアウトドア用の空気ベッドも購入して併用している我が家だった。でも、バスルームも問題なく快適に使えるし、台所用品もそこそこ揃ったしで(でもまだ砂糖を買っていなかったということが判明)、なんとか普通の生活が営めるようになりつつある。で、でも肝心の電話線がまだ開通していない。火曜日くらいには開通できるかなぁ。毎日のメールチェックとか日記つけが習慣だったので、電話が使えないという今の心境は、携帯電話を奪われた女子高校生のような感じというか何というか。
今朝はイングリッシュマフィン。呆れるほど大きな電気オーブンのスイッチを入れ、どきどきしながら両断してチーズを乗せたマフィンを焼いてみた。コンロでボローニャソーセージと卵も焼いて、焼けたパンに挟んで食べる。
だんなの前任者から引き継いだテフロンフライパンは焦げつくし、オーブンも温度調節がうまくできなくてパンは焦げるしで、なかなか大変な朝御飯だったけど、何とか食べられるものにはなった。昨夜のスープを温めて、冷蔵庫からは1/2ガロン(約1.8リットル)の牛乳パックを取り出す。なんとなくアメリカ人っぽい朝御飯なような今朝の食卓。
でもダイニングテーブルがまだないので床食いしている私たちだった。
オレンジジュース
近所に、それはそれは美味しいパンケーキ屋があるらしい。
だんなのボスのおすすめはワイルドブルーベリーパンケーキ、ボスの奥さまのお勧めはブラックベリーパンケーキ、らしい。28種類もあるそのパンケーキを、だんなの前任者は1年で全て食べ尽くして帰ってきたそうだ(これまでの留学プログラムに参加した人々の中で、それは初快挙だったらしい)。
なんでも週末のランチ時には長蛇の列ができてしまうほどの人気店ということで、本日月曜日、「いよいよ行ってみるかぁ!」と12時を避けて11時頃に行ってみた。
11時なのに少々待たないと座れないほどの人気の店は、いかにもなカフェテリアという感じ。高い天井からはいくつもプロペラがぶらさがってぶんぶん回っている。老若男女、おっちゃんもおねぇちゃんも老夫婦も、みんな楽しそうにパンケーキを喰ってる店なのであった。
ピーチだの"パリジェンヌ"(苺のコンポートが乗っているらしい)だのラズベリーだの、更にはポテトだのスウィートポテトだのの種類に富んだメニューは、見ただけで目がハートになっちゃいそうだ。良い感じ。
更に同じくらいの種類があるサンドウィッチとか、数種類のワッフルメニューなんかもあり、しかも、通常5枚のパンケーキを3枚に減らしてその分オムレツや卵料理をつけてくれたりもするらしい。ステキだ。
だんなはオールドファッション(一番基本のプレーンなもの)を注文、私はバナナとココナッツに惹かれてカリビアン。説明には
「A Natural Delight! 5 buttermilk pancakes surrounded by slices of banana, a handful of choice pecans and topped with shredded coconut and powdered sugar. Served with butter and syrup.」
なんて書いてあった。
やってきたのは綺麗に盛りつけられたパンケーキ5枚。どかっとクリームが添えられ、バナナ1本分とチェリーと甘いココナッツの薄切りとナッツがぷわっと添えられている。瓶詰めでやってきたメープルシロップはほんのり温かい。
適度に甘さと塩気のあるパンケーキは、期待以上に美味しかった。案外とその塩気が強く、パンケーキからもクリームからもじわっとした塩味が感じられる。クリームは説明に「バター」とあったように、生クリームとはまた違うこってりどっしりとしたもので、牛乳の匂いがぷんぷん漂ってくる美味しいものだった。塩気のあるクリームとさっぱりしたメープルシロップのソースが不思議とよく似合う。見た目ほど甘くないのでいくらでも食べられそうだ。
シアワセに甘いパンケーキをたべてドリンク取って、これで全員で$18ほど。安いのもまた人気のひとつらしかった。
全種類制覇とまではいかないだろうけど、しばらく通ってしまいそうな素敵なお店。
グリーンサラダ
マッシュポテトとバターにんじん(昨夜の残り)
ビール(コロナ)
昼御飯を食べ、そのまま近所のスーパーでお買物して帰宅。このあたりのこの季節は、週に半分ほど午後にスコールがあるらしい。今日も帰り道、ちょっと強い風が吹いてきたと思ったら次の瞬間土砂降りになっていた。雨台風のピーク時のような半端じゃない量の雨は数十分降るとカラッと晴れてしまうけど、私たちはちょうど降りだした時に車が住宅の駐車場に到着したのだった。ヒーヒー言いながら急いで荷物を抱えて家に飛び込んだものの、30秒たらずで皆ずぶぬれ。「すっげー」「すごーい」「びっくりしたー」と笑いながら着替えて、そのまま大学へ戻っていっただんなを見送った。
我が家の近くにあるのは「Harris Teeter」という、ちょっと小洒落た感じのスーパーマーケット。天井まで物が溢れているようなこともなく、比較的こぢんまりとしていて使いやすい。醤油もワサビペーストもワカメも売っている。けっこう日本食材は簡単に手に入りそうだ。
昨日寄ってきたマーケットは魚介の品揃えが悲しいほど悪かったけど、ここは良い感じ。海老や蟹も美味しそうなものが並んでいて、魚は鮭とキャットフィッシュ(←ナマズだ……)、レッドテールなんとかというのと、あとはマグロが並んでいた。どれも鮮度は良さそうに見える。ここは、日本人としてマグロを買ってみるべきだろうか。
「マグロ、えーとえーと半ポンドください」
と、ごろりとした塊を2個買ってきた。今日はこれで丼を作ることにしよう。
胡麻も海苔も豆板醤もないので、適当に作る。
マグロを刻み、葱を刻み(日本の長ねぎとまんま同じ……とはいかないけど、わけぎみたいなものは売っていた)、醤油と胡麻油と砂糖と塩を適当に合わせたものに放り込んで適当に和える。それをご飯の上に盛りつけ、目玉焼き(こっちはサルモネラ菌汚染された卵がけっこうあるらしいので、悲しいけれど生っぽい調理は避けなきゃいけないのでけっこう固めの目玉焼き)をトッピング。あとはサニーレタスとマッシュルームとにんじんを合わせたグリーンサラダに、昨日の余りを並べて。
まだドレッシングもビネガーもろくに買っていないので、サラダにはマヨネーズをつける。瓶詰めのマヨネーズはかなり硬めで、まるでマーガリンか何かのようだ。酸味が柔らかくて、けっこう美味しい。
日本から持っていった胡麻油と、こっちで買った見知らぬメーカーの醤油と、こっちのマグロと葱で作った丼ものは、それでもちゃんと見知った味になってくれた。
「でも、なんだか葱がセロリくさーい」
とセロリが嫌いなだんなはちょっとばかり困惑していたけど、いいじゃないか、ご飯も魚も美味しくて。
見知らぬ食材に手を出す余裕はまだ今ひとつないけど(何しろ調理器具も使い慣れていないので)、野菜や果物コーナーにはわくわくするほどの知らない食材がいっぱい並んでいる。黄色いウリのようなものとか、やけにとんがってるドリアンのような外観の緑の野菜とか。果物は、日本ではメジャーなフィリピンマンゴーは見あたらず、代わりにアップルマンゴーが2個$1ほどで売られている。今の旬はプラムとかチェリーあたりらしい。スイカもえらく巨大なものが売られていたり。
ああ、早く変なもの使って変なもの作ってみたいなぁ……。
昨夜のサラダの残り
ヨーグルト
牛乳
「プレーンヨーグルトが食べたいなー」
と買ってきたヨーグルトは、買った時には何とも思わなかったけど、家に帰ってしげしげと眺めてみるとやっぱりそれは巨大なのだった。見ると900gくらい入っている。全ての品物が日本のものの1.5倍から2倍の大きさがあるのに慣れつつある自分がちょっと怖い今日この頃。
昨日の朝に引き続き、イングリッシュマフィンを両断して片方にチーズを乗せ、片方にボローニャソーセージを乗せ、そしてオーブンで温めること数分のサンドイッチ。そろそろ電気オーブンの使い方もなんとなくわかり、今日はちょっと低温でさっと焼いたら良い具合に焼き上がった。上火と下火の強さの加減などは一切できない大雑把なオーブンは、それでもけっこう高温にはなるので上手く使えばピザなんかが美味しくできるかもしれない。
昨夜の残りのサラダと、マフィンと、巨大パック入りのヨーグルトで朝御飯。
私はベーコンエッグとトーストとカフェオレの朝食なんかは全く抵抗ないんだけど、こういうのが毎日続いたら、だんなが堪えられなくなってくるかなぁと少しばかり思う(だんなは"朝は和食"党の人なので)。
息子は、特に主義主張はないようで、パンケーキだろうがマグロ丼だろうがパンだろうが、どれもモリモリと良く食べてくれる。ありがたいことだ。
BBQ Rib Half Slab Dinner
ジンジャーエール
午前中、だんなは大学、私と息子はお留守番。そして昼前にだんなは帰ってきて、皆で外で飯を喰いがてらお買物に行こうということに。ここ数日、何軒かの大型雑貨店だのモールだのを見てきたけれど、目下のところ「TARGET」という店がお気に入り。服は全然安くないけど、収納家具や生活用品の品揃えが程良く自分に合っている。
「ま、周辺になんかあるでしょう」
と、その「TARGET」に向かって車を走らせ、
「あ、あそこ、あそこの緑の屋根のお店!」
「え、なになに、おゆきさん?」
「なんかねー、"こてこてのアメリカ"って匂いのするお店があったよー」
「おお、そうか。では行ってみよう」
「こてこてのアメリカ〜♪」
と、"めざせこてこてのアメリカ"を合い言葉にこの店に入ってみた。「BEST RIBS IN AMERICA」とロゴマークにも刻まれているリブステーキが名物のお店「CALHOUN'S」は、どうやらタウン誌のリブステーキ部門で毎年一位に選ばれている店らしかった。平日の昼間だというのに、店はかなり混雑している。ボックスシートの席に、赤と白のチェックのテーブルクロス。期待通り、"こてこてのアメリカ"という感じの店だった。
名物は当然リブステーキ。中でもバーベキューリブがイチオシらしく、メニューの目立つところに「Half Slab Dinner」「Full Slab Dinner」なんてのがでかでかと紹介されている。どちらもクリーミーコールスローと、自分で選べるサイドディッシュが1品ついてくるらしい。ハーフで$11というところ。
小心者の私たちは、とても「Full」なんてサイズは食べる気にならず、とりあえずハーフを2つ注文してみた。だんなはピラフを、私はじゃがいもをつけてもらう。息子はキャットフィッシュのフライとポテトのお子さまメニュー。
やってきたのは、もういかにも「あばら骨でございます」という感じのすげぇ肉の塊だった。ハーフサイズで既に皿から溢れそうなんだけど、これがフルサイズになったらどうなってしまうんだろう。6本ほどの骨がずらりと並んでいるのが見てとれ、そこには茶色くテラテラと光る肉がたっぷりと。ウェイターさんがせっせと紙のおしぼりと紙タオルを持ってきてくれる中、ごついナイフで骨を外してはしゃぶり、骨を外してはしゃぶり、を繰り返す。すごい。昼に喰うもんじゃないかもしれない。
中までじっくりと甘辛いタレが染みた肉は、さすがにお勧め商品だけあってすごく美味しかった。それほど油っこくもなく、かといってパサパサでもない肉は旨味たっぷり。サワークリームがついてくる巨大なじゃがいも1個も、ちょっと甘ったるい味つけのコールスローも悪くなかった。
「来たときは"こりゃ食べられないな"と思ったけど」
「けど?」
「うん、けっこう喰えるぞ、これ。俺、骨3本目」
「うん、あたしも骨3本め」
と、しばしちょっと無言気味になりながらひたすらわしわしと肉を囓った。
期待以上の"こてこてのアメリカ"ぶりに、私もだんなも大喜び。
この店、バーベキューポークやバーベキューチキンのサンドイッチがあったり、ハンバーガーもあったりするらしい。当然バーベキューじゃないリブステーキもあるので、何度か来ていろいろ試したいような気分になった。
……でもやっぱり、夜に来るべきお店かもしれない。昼にリブステーキ喰っちゃうと、夜にはもう何も食べられなくなりそうで。
いろいろ野菜のスープ
グリーンサラダ
ビール(コロナ)
コーヒー
本日夕方、無事に我が家の電話が開通した。
こっちの電話申し込みややたらとめんどくさいのである。
電話会社に電話で申し込み(Webなどでの申し込みはできない)
→指定の店でデポジット金を払い込み
→電話会社に「デポジット払ったぞ」と再度連絡し
→そのときに、いつ開通するかを宣告される
という感じ。
最初の段階の「電話をかける」がまず金曜日に全く繋がらず、昨日に電話がつながって今日デポジットを払いに行ったところ処理をミスしていて入金が受け付けられず、今日の午後再度デポジットを払いに行き、そして電話で確認したら「もう開通しました」と言われた、という、これが日本だったら暴れたくなるような電話会社の応対なのだった。
ま、これでやっと片足をもがれていたような生活から脱却できる。何しろインターネットに繋がってないと調べ物も何もはかどらない。暇つぶしもできないし、友人にメールも出せない。ここ数日間、こんなに不便なものだとは思わなかった。やれやれだ。
さて。
同じ敷地内の別の建物に住む、徒歩3分ほどの距離にいるだんなの同期Iさんは独身なので単身アメリカにやってきている。
「昨日は日本食材屋で残り3個のどん兵衛を買い占めてきた」
とか、
「今日はカレーの缶詰を開けて喰ったけど、1缶喰ったら胸焼けした」
とか、話に聞くだに悲惨な食生活を送っているらしい。外食は美味しいけど、外食ばかりが続くのでは最後はどこへ行っても美味しく思えなくなってきそうで、端から見ていて何だか不憫な食事内容なのだった。本人も脱却したいと思っているらしいけど、自炊するすべが全くわからないらしい。
いずれご飯を食べに来ることになるのだろうなと思ってはいたけど、渡米1週間目にして今日が最初の機会になった。前任者が住んでいた住宅をそのまま引き継いで住んでいるIさんの家には我が家が引き継ぐことになっているダイニングセットなどがまだ置かれたままになっていて、その家具の移動を手伝っていただきついでに我が家で夕食を一緒にすることに。
昼にガツンと重いものを食べてしまったので、夕飯は心持ち軽めにパスタ。卵もベーコンも生クリームもチーズも簡単に手に入ったので、カルボナーラにすることに。サニーレタスと玉ねぎのサラダと、あとは手持ちの野菜を全部放り込んで作った具沢山のスープ。
こっちで買ったコンソメスープは、顆粒スープの中に乾燥パセリも混ざっているようなやつで、いかにもな化学調味料の味がした。湯にスープを溶かし「……な、なんか美味しくないかも」と、だしが出るようにベーコンや玉ねぎ、マッシュルームなどを放り込んでいく。ついでににんじんを入れ、ピーマンを入れ、更にとうもろこしも入れて煮込んだらけっこう美味しくなった。野菜不足の人には良いかもしれない。
パスタ用の鍋などはないので、日本から持っていった"やっとこ鍋"の一番巨大なやつでパスタを茹でる。それでも湯の量はパスタ用の鍋の半分ほどしかなく、これでアルデンテになるのかと心配しながら茹でてみた。
こちらの卵はサルモネラ菌に汚染されていることがあるから生で食べてはいけないらしいので、仕上げも心持ちしっかりと火を通し、そしてなんとか「らしい」カルボナーラが出来上がった。
もりもり食べてくれるお客人は大好きなのである。Iさんはスープを2回お代わりし、サラダも1回お代わりし、そりゃもうもりもりと食べて帰ってくれた。奇天烈なところはないけど飄飄とした味わいのある人だ。なんと香川県出身だということが判明し、更にはうどん好きという事が発覚。
「あたりやが」
「竹清が」
「谷川製麺所が」
と、アメリカの田舎町で高松のうどん屋について語り合う、東京の高校の同期生という妙な構図ができあがってしまったのであった。
我が家、うどん打ちセットを持ってきているのである。アメリカでうどん打ちする予定なのである。
「あ、じゃあ僕が試食してあげるよ」
なんて、「さか枝」近くの大学に通ってうどん屋通っていたような人に言われても。そんなディープな批評家がこんな近くにいるなんて、困ってしまう。
昨日テイクアウトしてきたポテトとキャットフィッシュのフライ
麦茶
マーケットには呆れるほどの大量のパンを売っているのに、切らしたまま買ってくるのを忘れていた。
先日炊いたご飯の残りを冷凍保存していたので、それを有り難く思いつつ、今朝はご飯の朝食。日本から持っていった鰹節(なまり節と鰹節削りと、一式全部持っていった私たち……)をぶわっとかけて、こっちで買ったキッコーマンの醤油をちろっとかけて、わしわしと食べる。お供は麦茶。これも日本食材屋に"水だし麦茶"がちゃんと売られていたのを「やっぱり夏は麦茶でしょー」とか言いながら買ってきたものだ。
しかし、テーブルの中央に乗るのは、昨日の昼食時に息子が食べきれなくて持ち帰らせていただいたキャットフィッシュ(=ナマズ)のフライに、フライドポテト。ちゃんとタルタルソースつき。このへんがやっぱりアメリカな食卓を演出していて、苦笑しながら食べたのだった。淡白なナマズはけっこう美味しかったけど。
Parisienne
レモンティー
息子に
「昼御飯、何が食べたい?」
と聞くと、
「パンケーキがいい!パンケーキ!」
とパンケーキを連呼された。よっぽど一昨日行った店が気に入ったらしい。私とだんなも気に入っている。というわけで、今日も懲りずに「Pancake Pantry」に行くことにした。前回レジを打ったおねぇさんが席に案内してくれたけど、「あら、あなたたち、また来たの?」みたいな事を言ってくる。すみません。一家揃ってハマりました。
この店、だんなの前任者は1年かけて全てのパンケーキメニューを制覇している。その人じゃないけど、やはり数年前にこの店をえらく気に入った留学生がいて、ほぼ「毎食」、この店のメニューを食べていたのだとか。
「その人は最後に、血がドロドロになって救急車で運ばれたんですよぉ〜」
と怪談みたいなエンディングを話してくれたのは研究所スタッフのMさん。
私は前回悩んでやめた「Parisienne」を注文。自家製イチゴのコンポートがたっぷり乗っているらしい。あとはホットの紅茶。巨大なマグカップになみなみと熱湯と、小皿にレモンの巨大なかけら1つとティーバッグが1個という非常に大雑把な装丁でやってきた飲み物を啜りつつ、パンケーキを待つ。
前回もすごかったけど、今回も輪をかけてすごいものがテーブルにやってきた。
大きな皿にはごろんごろんごろん、と3つの筒状パンケーキ。1つ1つが「丸ごとバナナ」1個よりも大きい、と言うとそのサイズが想像できるだろうか。上からは色鮮やかな苺のソースがたっぷりとかかり、そして筒状ケーキの中にも同じ苺のソースとコンポートがぎっしりと詰まっている。そして上からはこれでもかこれでもかと大量のホイップクリーム。
1つ1つのパンケーキも尋常じゃない大きさだけど、何しろ上のクリームにしても常軌を逸した量なのだ。もう笑うしかない。
ここ数日で、「大きいことは良いことだ」という考えがじわじわと脳を占拠しつつあったけど、このパンケーキの大きさにはのけぞった。うっひゃー……と絶句しながら、パンケーキの直径くらいの長さのフォークとナイフをくりつつ少しずつ食べていく。
が、前回もそうだったけど今回も見た目ほどは甘くなかった。牛乳の風味たっぷりのクリームもけっこう軽い口当たりだし、苺のコンポートも心配していたほどには甘くない。ふわふわとしたパンケーキにくるんで食べるといくらでも食べられそうな感じ。いや、でもやっぱり多いけど。
日本で「もっとクリームたっぷりついているといいのになぁ」と思うことはあったけど、「こんなにクリームつけなくてもいーじゃないか」と思ったのは初めてだった。パンケーキにつけてもつけても、巨大な生クリームjの山はなかなか減っていかないのだ。全てを平らげた時には、さすがに「もう2〜3日はパンケーキはいらないかな」と思った(それでも2〜3日なのかい!)。
だんなは本日、甘くないパンケーキ。パンケーキ3枚に卵2個の目玉焼き、ソーセージのグリルをつけてもらって、更にクラムチャウダーもつけて$11ほど。このクラムチャウダーがまた、「アメリカのおっかさんの味」という感じですこぶる美味だった。良い感じに煮込まれてぐずぐずになった野菜が良い感じだ。しかも、どういうわけだか2枚入りの小袋入りクラッカーが6袋も添えられてきた。
スープまで美味しいことが発覚し、メニューにはサンドイッチだのワッフルだのもあることから、まだまだまだまだこのお店には通いそうな気配。ヤバイ(何がヤバイって私たちの体重が……)。
ジンジャーポーク with 千切りキャベツ
わかめと長ねぎの味噌汁
羽釜ご飯
ビール(Natural Ice)・麦茶
巨大な厚切りのが3枚入って、1.6ポンド(720gほど)で$3.5、という素敵な値段の美味しそうな豚肉を先日買ってきた。しかも今日はマーケットで美味しそうなキャベツを発見し、更に生姜も発見し、なんだか冷蔵庫の中身は「生姜焼きをおやりなさい」と言っているような感じ。食欲魔人の神様の神託に逆らっちゃいかん、と、夕食は生姜焼きにすることに。
だが、パックを開けてみたところ、豚肉は非常な厚さのものだった。2cmほどの厚さの手のひらサイズの塊肉が3枚。
「……薄切りにしてみる?」
「……いや、旨そうだし、このままいくでしょ」
と、超厚切りのそれをそのままスキレットで焼き付けることにした。もうこうなってくると「生姜焼き」じゃなくて「ポークソテージンジャー風味」などと言う方が良いような感じ。ご飯炊いて味噌汁作って、食卓はすごく和風に整ったのに肉の大きさだけが「ここはアメリカなのよ」と声高に宣言している。
「すごい肉だ……」
と思いながら刻んだキャベツも、なんだかいつもよりも大雑把になってしまった。一応だんなに言い訳を試みて、
「あのね、大きな肉見てたら何だかキャベツも巨大に切れちゃって……いや、私が悪いんじゃないんだよ、アメリカが悪いんだよ」
と言ったところ、ひとしきり笑われた後
「それはちゃんと日記に書くように」
と言い渡されてしまった。そう、私が悪いんじゃないのアメリカが悪いの……(まだ言ってる)。
醤油と味醂で味付けて、細切り生姜をこれでもかと放り込み、そうして超厚切りの豚肉はちゃんと生姜焼きに仕上がった。フォークとナイフを両手に構え、ご飯や味噌汁を交互に口に運びつつ巨大な肉に囓りつく。こっちの肉、柔らかいということはあまりないけど適度な歯ごたえと適度な脂肪が感じられて肉汁たっぷりで、「アメリカの肉は美味いよ」と言われていたけど、その言葉に誤りはなかったという感じ。
でも、肉コーナー眺めてきたけど牛タンとか牛すじとかは見つからなかった。アメリカで牛すじ煮込みを……というのは難しい夢なのかもしれない。
チョコレートクロワッサン
カフェオレ
「Nashvilleのグルメはここでパンやケーキを買う」などと言われている店があって、昨日の午後、そこに寄ってきてみた。パン屋というよりデリといった印象のその店ではパンやケーキの他にサンドイッチだのサラダだの、ケータリング用セットメニューだの、カフェテラスも併設されて色々なものを販売していた。
価格はおしなべて高め。フランスパンは$3くらいだし、美味しそうなクロワッサンも1つ200円以上する。それでも美味しそうなデニッシュ類が気になって、チョコレートクロワッサンとごろりとしたフランスパンを買ってきてみた。
売場で見たときはそんなに大きく見えなかったチョコレートクロワッサンは、家で皿に並べてみるとけっこう巨大だ。フランスパンも薄切りにして食べようと思ったけど、1個で充分満腹になりそうなサイズだった。コーヒーをいれ、1/2ガロン入りのパックから牛乳をだばだばだ〜と盛大に注ぎ、牛乳たっぷりカフェオレにしてパンとともにいただいた。
こってりバターの味がするクロワッサン生地の表面にはチョコレートが糸状に垂らされてコーティングされており、中にも細い板チョコが左右に2本入っている。こちらの食べ物にしては甘さは控えめだし、チョコレートの質も良いし、人気があるのも頷けた。
ミートボールスパゲッティ
ハンバーグ&チーズマカロニ
チキンカツ&マッシュポテト
現在、我が家のベッドはダブルサイズが1つきり。それじゃ家族3人寝るにはあまりに狭く、とりあえずはアウトドア用のエアベッドを補助にしてローテーションで補助ベッドに寝転がる日々だった。居間にもソファ1つなく、それじゃあまりにもこのさき不便だということで昨日、ベッド屋さんに行ってきた。話によると、最近ソファーベッドになっている「Futon」なる商品が人気らしく、店の奥には青だの赤だの鮮やかなカバーと共に「Futon」が確かに売られていた。マットだけなら1つ$100。シングルベッドが$230くらいすることを思うと、そこそこお買い得だ。1つはソファー兼客用寝床として居間に転がすことにして、もう1つはベッド代わりということで2つ購入した。それが届くのが、今日の午後ということで、今日は一日、家で待機。
午前中に一度大学に顔を出しにだんなは外出。その間、「お前の家はどのへんなのか」とFuton屋から電話があるかと思うと、私はおおいに不安だった。対面しての英会話でさえおぼつかないのに、電話となるとほとんど全く話は通じない。
「電話がかかってきたらよろしくね」
「いや、"私は英語わからん。私はメイドだ。ご主人様はここの番号にいるからかけなおせ"って一方的に大学の番号言って電話切るからよろしくね」
と伝えたら、さすがに不安になったのかだんなはすぐに帰ってきてくれた。昼食に外出するのも危険なので、今日はアコガレの(アコガレなのか?)冷凍食品にチャレンジ。
日本の冷凍食品文化も相当なもんだけど、こっちの冷凍食品の品揃えもすごいものがある。バケツに入ったアイスクリームとか(比喩じゃなくて、あれは本当にバケツだ……)、チンするだけで添え物になる野菜類だとか。日本は比較的「小分けしてあってお弁当に便利!」系が目立つのに比して、こちらは「チンするだけで一食これでOKです」みたいなものが多い。マカロニとハンバーグが1皿に盛りつけてあったり、ソースがかかったスパゲッティがあったり。パッケージはどれも美しくて、非常に気になってしまう。一度食べたらきっと「もういいや……」と思うんだろうなとも思いつつ。f
だんなが買ってきたのは呆れるほど大きなピザと(それでもMサイズということだった)、Nestle社「Stouffer's」シリーズの冷凍総菜箱が3つ。日本と同じく、その手の商品のパッケージはやたらと美味しそうに見えてしまう。
レンジで数分チンすると、メインディッシュも添え物も、良い感じにホカホカに。最初はだんなと私の分2箱だけを温めたのだけど、案外と1つの量は少なめで、しかもミートボールスパゲッティは息子に「ぼくが、ぼくの」と大騒ぎされたので急遽もう1つチンすることに。結局、ハンバーグのプレートとチキンカツのプレートとスパゲッティを皆でつつきまわすことになった。
確かにジャンクな味ではある。ハンバーグには甘めの炒め玉ねぎ入りソースがかかっていて、マカロニにはチーズのクリームソースがこってりと絡まっていた。ちょっと甘ったるいトマトのミートソースがかかるスパゲッティは、スパゲッティというよりも、「小麦粉団子を糸状に引き延ばしました」みたいなポソポソしたものだったり。チキンカツはべたっとした舌触りで、これはかなりイマイチな味だった。でも、全体的には「一人の昼食なんかには確かに手頃だよなぁ」と、また食べてもいいかなと思える味だったりして。悔しいことに思っていた以上には美味しかったのだった。
「うむ、これはけっこういけるぞ」
「こっちのチキンカツは"優・良・可・不可"の中では不可……だけどかろうじて追試対象の味というか」
「なるほど、追試な味ですか……」
などとあれこれ言いながら冷凍食品を試す私たちだった。結局味をしめて、夕方買い物に行ったときに「3個で$5!」なんてものをちょこちょこ買ってきてみたり。
本日のスープ(New Orlns Gunbo)
サーロインステーキ 9oz
(シーザーサラダ、マッシュポテトつき)
スプライト
今日は朝御飯も昼御飯も、若干軽め。
「なんかさ、これだったら夕飯はガツンとステーキとか喰えそうかもよ?」
と昼食後にだんなに言ったところ、ならば、と留学仲間を誘って総勢5人でステーキ屋に行くことに。先日我が家に夕飯を食べに来たIさんと、もうひとりの同姓のIさん。2人は名前までほとんど同じで(さながらタケオとタケルのように)、体格もほぼ同じ。先日は2人揃ってユニクロのグリーンの全く同じシャツを着ていたということもあって、ボスのA教授は「君たちをそれぞれなんと呼んだらよいものか」と悩んでいるらしい。「IアルファとIベータ」「いや、I甲とI乙とか」「ナンバーワンとナンバーツーはどうだ」などと、目下議論の的らしかった。ともあれ、そのダブルIさんと一緒に夕御飯。行き先は、こちらにやってきた時に数日泊まったホテルの脇にある、チェーン店らしきステーキハウス。
「Logan's Roadhouse」なる店、けっこうな人気店らしい。今日も午後6時過ぎにやってきたというのに店はかなり混雑しており、7時半を過ぎた頃にはほぼ満席となっていた。店の床には、どこもかしこもピーナッツの殻が散乱している。その理由は各テーブルにサービスとして置かれているミニバケツ入りのピーナッツで、この殻を全て床に落とすのがこの店の流儀ということだった。研究所スタッフのMさんなどはこの流儀がものすごーく気に入らないらしい。確かに私の母などもこの床を見たら「お掃除しないのかしら?」と眉をしかめてしまいそうだ。私はあんまり気にならない。どころか面白がっておおいに床を汚させていただいた。塩気のあるピーナッツはステーキがやってくるまでのつまみにちょうどいい。
「9オンスから15オンスくらいまでありますが……」
「やっぱりここは初心者らしく9オンスでいきましょう」
と、全員揃って9オンスサーロインステーキを注文。250gくらいなのでこれなら余裕で食べられそうだ。ただし、全てのステーキにはシーザーサラダ(か普通のサラダ)と、じゃがいも料理がついてくる。フライドポテトとかマッシュポテトとかグリルポテトとか、好きなものを選ぶようになっている。
更に、「本日のスープ」も。「今日のスープはなんですか?」と聞くと、ニューオリンズ風のチキンとソーセージ入りのものだという。
やってきたのは、タコスのサルサの味に似た、ちょっとピリ辛の具沢山のスープだった。基本はトマト味だけど、色々なスパイスがぶっこまれている様子。ものすごく馴染みのあるとろみがついているなと思ったら、なんとオクラがたくさん入っていた。スパイシーなソーセージにオクラ。妙に似合う。
テーブルにはいつのまにかたっぷりのパンも並んでいて、ふわふわとしたちょっと甘みのあるパンをついついわしわしと食べてしまう。バターも砂糖もたっぷり、といった味。カロリー的にはヤバイ風味だけど美味しい。止まらない。
で、やってきたのが「添え物じゃないんかい!」とツッコミを入れたくなるような大きな皿に盛られたサラダ群だった。1人2つかみ分ほどもありそうなレタスがたっぷりと。チーズもたっぷりと、クルトンもたっぷりと、それが軽い酸味のドレッシングで和えられている豪快なシーザーズサラダだ。そしてほどなく9オンスステーキもやってきた。
大きな皿に250g強のサーロイン肉がごろりと。隣にぽてっと盛られたマッシュポテト、中央がくぼんでいてシャバシャバとグレービーソースが注がれている。肉の味つけは塩胡椒だけで、物足りなければテーブルの上にある「A1」マークのソースをかけろ、という感じ。
ミディアムレアに焼いてもらった肉はほどよい量で、良い感じの焼け具合だった。綺麗な紅色の断面はそれでも生ではなくて、非常に良い感じ。塩胡椒だけの味つけの分、いくらでも食べられそうだ。ちょっと化学調味料の味が漂ってくるグレービーソースはいまいちだったけど、マッシュポテトも皮つきじゃがいもをざっくり潰した感じで悪くない。野菜もほどよく摂取できるのが密かに嬉しかった。床には相変わらずピーナッツの殻が山盛りだ。
9オンスステーキは楽々クリアできたものの、だが今日もデザートには至れなかった。
メニューに載ってたニューヨークチーズケーキはすごく旨そうだった。旨そうだったけど、説明文の最初の文章が「huge size delicious cake!」なんてあったもんだから、「ひゅ、ヒュージなサイズでございますか……」と盛大に二の足を踏むことに。hugeじゃないサイズのケーキだったら喰えたと思うけど、このサイズの肉塊喰った後でhugeサイズケーキを喰う勇気はまだ私には持てなかった。
あああああ、こっちのケーキ、まだクソ甘いバタークリームコーティングチョコケーキしか未だ体験していないんですけど……(自分で自分が情けない)。
カフェオレ
日本には、せいぜい2〜3種類しか売られていないホットドッグ用のパンが、こちらには10種類ほどもマーケットの棚に並んでいる(しかも大量に)。ちなみに、ハンバーガー用のバンズはもっと大量に棚を占拠しており、ベーグルも同じほどの棚の面積がある。他にも食パンありフランスパン風の固めのものありと、パン売場は大変なことになっているのであった。代わりに、チョコパンだのクリームパンだのというものはまず見かけない。あるのは甘そうなドーナッツだ。一応パン焼き機も持ってきた我が家だけど、マーケットのこの品揃えを堪能するだけで数ヶ月は過ぎてしまいそうな予感がする。
先日は、さっそく「我が家でホットドッグだ〜!」とあれこれ買い込んできた私たち。ドッグパンは数あれど、日本で見る"コッペパンサイズ"というものはなかった。どれも手の指先から手首の関節くらいまでの長さの、馴染みのある大きさよりも2まわりほど小型のもの。それに合わせたサイズの、長さ12〜3cmほどのソーセージがこれまた十数種類もハムコーナーに並んでいる。「for HotDog !」なんて書かれたパッケージのそれは、チーズ入りなんていうのもあって心がときめく。キャベツとカレー粉を買い、ハインツのトマトケチャップとクラフトのマスタードも買い込んで、いざいざ我が家のホットドッグ。
バターで刻みキャベツを炒めて軽くカレー粉で味をつけ、切込の入っているパンにそれをぎゅうぎゅうと詰める。フライパンで炒めたソーセージを放り込み、上からはピザ用シュレッドチーズを乗せたらオーブンへ。ほどよくチーズが溶けたところでケチャップとマスタードをにょろにょろにょろ〜とかければ完成。プリプリのソーセージの中央にはチーズが詰まっていて、なんとも濃厚なホットドッグになった。ふわふわのパンにしゃきしゃきしたキャベツ。日本で作るそれと味はほとんど変わらず、ちょっと小ぶりだけど食べ応えのあるものになった。
今日は私と息子も、だんなの行く大学研究室にお供する。日本語版ドライバーズライセンスマニュアルがあるということで、免許取得を控えた私も勉強させてもらうことにしたのだった。
こちらの運転免許取得の内容は、えらくお手軽だ。16歳を過ぎると免許を取れる資格を保持することになり、まず筆記試験を受け、それが通れば"横に免許保持者がいれば"車を運転して良いことに。そこで免許保持者に教えてもらいながら自分で運転技術を勉強し、そして実技試験を受ける。それで通れば免許交付だ。教習所などに通う必要はなく(というか、そんなものはないらしい)、かかる費用は試験代と免許交付代の合計$15だけ。実技で落ちたりするとまた次回に試験代の$2が必要になる。せいぜいそんな感じらしい。
嬉しいことに、こっちで免許を取得して日本に帰国すると、日本の運転免許も取得できちゃうというおまけつき。日本の免許も持っていない私には嬉しい限りの制度だった。ここはがんばって、こっちで免許を取るしかないのである(そもそもだんなだけに運転を任せるのは生活にすごく不便だし)。
Chi-ra-shi
抹茶アイス
そういうわけで、午前中は研究室の図書室でファイルをめくってお勉強。標識だの制限速度だのについて概ね覚えてみた。昼はボスのA教授、スタッフのMさん、午前中運転免許の試験を受けに行って「実技で落とされました……」とへこんで帰ってきた同僚Iさんと共に計6人でご飯を食べにいくことにした。A教授の提案で、大学近くの「KEN'S SUSHI RESTAURANT」に行くことに。私たちはこっちで和食を食べるのは(自炊以外では)初めてだ。中華料理のバイキングで寿司は食べたけど。
「SUSHI RESTAURANT」と言いつつ、メニューには「Katsu-Don」「Ten-Zaru」「Edamame」などといったメニューが並んでいる。カウンターにはちゃんと日本の店のように寿司ネタのケースがあったりして、その向こうには角刈り頭の日本人のおっちゃんがはいっていたりするのだった。「お、日本人が来たぞ」という感じに角刈りオヤジがにこにこしている。
私は「Chi-ra-shi」なるちらし寿司を注文。A先生が気を利かせて、「皆さんでつまみましょう?」と巻きものをいくつも取ってくれたので、それもつまみつつ寿司ランチ。
とびこや卵、アボガドや海老が巻かれた"太巻き"とか、これは馴染み深い味のする鉄火巻きとか。寿司酢の味がやや酸味少ない甘めのものだったけど、日本への郷愁を押さえてくれるには充分日本の味のする店だった。カツ丼なんか、案外と美味しそうだ。
私のちらし寿司は、$11くらい。マグロだのイカだのハマチだの貝類だのが、おおぶりにざくざくと切られて酢飯にどかどかと乗っている。ご飯とネタの間にはトビコやガリが挟まっていて、青じそに見立ててレタスがちょこっと添えられていた。生魚をふんだんに喰うことができて、ひそかに嬉しい私だった。
青い目に見事な鼻、180cmを越える長身のA先生は、息子にしてみると初めて目にするタイプの人なのではないかと思うけど、親も驚くほど物怖じせずになついてしまった。研究室に連れていこうものなら、
「おはよーございますー」
と真っ先に立派な執務室に駆け込んで膝の上に乗ってしまうほどで、親としてはヒヤヒヤしている。マーケットに行ったら行ったで、同い年くらいの背格好の子供を見つけるとそれが黒人だろうが白人だろうが言葉が通じなかろうが、全く気にせず近寄っていって、怪しげな言語を駆使してコミュニケーションを図っている。今日は今日で
「ノゾムさーん、アイスクリームは食べますか〜?」
と教授に言われ、「はい!たべます〜」と抹茶アイスをもりもりと食べていた。
息子、多分私よりも(もしかしたらだんなよりも)圧倒的にA教授と仲良しさんだ。いいなぁ、息子……。
「Organic Valley」のチョコレートミルク
まだ日本に居る時、アメリカに行くぞ、と、この日記に書いた直後くらいに
「どこにでも売ってるけど"Krispy Kreme Doughnuts"のドーナツはけっこう美味しいと思いますよ」
というメールをいただいていた。私たちのいるような田舎町にもあるのかなぁと思っていたけど、大きなマーケットには軒並みそのロゴマークを掲げたドーナッツショーケースが設置されていた。車をとばせば、工場に隣接の販売所なんてのもあるらしい。その販売所も当然気になるところだけど、今日は最寄りのスーパーに一口大のボール型ドーナッツの箱が売られていたので思わず1つ買ってきてしまった。
そしてもうひとつ、気になっていたのが「チョコレートミルク」。
この国の住人、乳脂肪は気にするらしいのに、その割に甘い飲み物は盛り沢山に売られているし買われてもいる。牛乳売場には必ず一緒に「チョコレートミルク」が並んでいて、それがずっと気になっていた私。ハーシーズあり、ネッスルあり、メーカーもあれこれと種類があるけど、そのほとんどがやっぱり「乳脂肪分ゼロ」とか「脂肪分大幅カット」といったものであるのが笑える。そ、そんなに気にするならチョコレートミルクなんて飲まなきゃいいのに……飲みたいのねぇ。その気持ちはとてもわかる。
低脂肪乳が溢れる中、普通の牛乳は「whole milk」という名で売られている。けど、その「whole milk」ときたら、最寄りのスーパーにはたったの1種類、アコガレの1ガロンものじゃなくて1/2ガロンのものが売られているだけだ。その「Organic Valley」なるメーカーの容器は切り絵風の牛のイラストが描かれていて、パッケージも私好みだった。今日は、色々売られているチョコレートミルクの中から(普通の牛乳は1種類しかないくせに、チョコレートミルクは5種類も6種類も並んでいるんだ……)
「やっぱりこのメーカーが気になるし」
と「Organic Valley」の1/2ガロンチョコレートミルク(低脂肪乳使用)のものを買ってきてみた。今日のおやつは一口ドーナツに、チョコレートミルク。もうコテコテのアメリカという感じ?
チョコレートミルクは、期待に反してちょっと粉っぽくて今ひとつだった。サラリとしていて、甘いは甘いけど拍子抜けするほど軽い口当たりのもの。それでもそのまま飲むにはちと胃に持たれそうなので、牛乳を3割分ほど混ぜて飲むとほどよい感じになった。シュガーコーティングされたドーナツは表面しっとり、中はふわふわ、恐れるほどの甘さはなくて、普通に美味しい。ミスドの「シュガーレイズド」みたいな、そんな生地。でも、ドーナツ売場にはチョコレートシロップがテラテラ光るいかにもヘビィそうなものから、砂糖のコーティングがどっしりと、ツララのように垂れ下がっているものまであって、「こ、これ朝御飯に食べるのかなぁ……やっぱりおやつ、だよなぁ……(でも、おやつにこんなもん喰ったら夕飯までお腹すかないよなぁ……)」と困惑してしまう商品もたっぷり並んでいた。苦い苦いコーヒーでも入れて朝飯に1個食べてみようかな、と思いつつ、まだその勇気が出ない私。
ビール(コロナ)
昼の寿司屋のどんぶり飯は、ものすごくたっぷりだったのだ。「お上品な盛りつけなんて、そんな見た目じゃ空腹は収まらないぜ」と言わんばかりに寿司飯がぎゅうぎゅうと盛られ、上にはこれでもかと厚切りの刺身が乗っていたのだ。で、私の品もさることながら、だんなも「Obento」もすごいものだった。おかずを2品選んで盛りつけてもらう、というそのお弁当は、たっぷりの白いご飯に、ピクルス然とした大量の野菜の一夜漬け風のもの。テラテラ光る照焼の魚に、「普通はこれだけで天ぷら定食になります」といった量の天ぷら盛り合わせがついてきていた。私が横から海老とにんじんの天ぷらを奪って食べたけど、それでも目を白黒させながらなんとか完食、といった感じの我が夫。夕飯時には、当然まだまだ空腹には遠い私たちだった(しかもおやつにドーナッツ……)。
「それじゃ、軽く、ということで……」
と、スパゲティを茹でてアーリオオーリオで食べることに。
先日の、ポークソテーの残りの肉1枚を包丁で細かく叩き、薄切り玉ねぎと一緒にパスタと炒め合わせる。にんにくは、下品なほどにたっぷりと。塩と胡椒の味つけだけの、全体的に白っぽいパスタは淡白な味わいでなかなか良かった。お供のコロナビールが旨い旨い旨い。
メキシコのビール「コロナ」は、私もだんなも大好物。330mlほど入っている瓶入りのそれに1/8カットにしたライムをぎゅうと押し込んで、瓶ごとグビグビと飲む。日本じゃ高くてあまり買うことのできなかったそれをここぞとばかりに買い込んで、ここんとこコロナばっかり飲んでいる私たち。カラッとした味が夏にはまたたまらなく美味しい。当然ながらタコスにもよく似合う。
実は、アメリカの有名どころビールは(ハイネケンとかクアーズとか)あんまり好みじゃなかったり。ハイネケン、クアーズはまぁともかく、何しろバドワイザーが大嫌い。個性らしい個性も感じられない、どこか水っぽささえ感じられるバドが苦手で、知らない銘柄をちょこちょこ購入していてあれこれ試そうとしている私とだんなだった(でも売場には、これまた苦手なライト系が占拠していて頭がいたい……)。
油断すると毎日ついついコロナ飲んじゃうのよねー。美味しいのよねー。コロナ最高。
ベーコンエッグ
ヨーグルト
オレンジジュース、チョコレートミルク
ベーコンも卵もパンも安いアメリカ食事情はなんとも嬉しく(でも、実は消費税が%8.25もかかっているので値札の額だけ見ているよりも多く払っていたりする)、新居入居1週間目にして既に冷蔵庫はいろいろなものが詰まっているのであった。ベーコン1ポンド(=450g)パックなど、「なんでこんなに巨大なんだよ」と思いつつもついつい買ってきてしまう。
で、今朝は全粒粉のパンをスライスしてトーストし、ベーコンじくじく炒めて卵を割り落とし、ベーコンエッグに。
こちらの卵はサルモネラ菌汚染が深刻なので生で食べちゃいかんと聞いていたけど、それをだんなのボスに伝えたところ、
「そうだね、でも私はタルタルステーキが大好きなんだ。生のビーフと生卵を合わせるアレを、私はよく食べるよ」
とさらりと返された。多少不安はあるものの、それでも生で食べる人は食べているし、また、パンケーキ屋さんの目玉焼きも見事に黄身は生っぽかったりしたものだから、我が家の卵料理も「生は避けるけど、半熟くらいなら気にしない
もんね」という方向になりつつある。まぁ……当たったときは当たったときということで(でも死人もけっこう出てるらしい……)。
Chicken Fajita (with Cheese, Lettuce, Tomato)
Crispy Taco (Hard Shell & with Tomato)
アイスティー
今日は夕刻からA教授の家に家族で招かれている。なので、
「遠出はやめましょう」
「ならばプールに行きましょう」
と、住宅についているプールにて家族で遊ぶことに。
こちらの住宅、一軒家にも普通にプールがついている。マンションであっても例外ではなく、入居する場所を探すにあたって「プールなし」のところを探す方が大変なくらいだ。300世帯ほどが入居しているだろうこの住宅にも、20m×5mほどの、ささやかなサイズではあるけどプールがついているのだった。16世帯が入る2階建ての建物が無造作に木立の中ぽこぽこと建っているこの住宅群の中、我が家からはプールまで150mほどだろうか。同じところに住むIさんの家からになると400mほどの距離があったりして、そういう点では我が家は良いロケーションにある棟に住んでいた(ただし、ランドリーはIさん宅の真下にあるので、我が家は毎朝250mほどを歩いて洗濯のために往復しなければならない)。
1時間半ほど、しばし水遊びを楽しむ。一応子供も入れるようにとの配慮か、一番浅いところは3フィート(約90cm)になっている。が、たかだか20mほどの距離の間に9フィート(約270cm)まで一気に深くなる、なにやら危険な深度のプールなのだった。1/2ほどの距離を歩くだけで、一気に大人の足でも届かなくなる。ちと怖い。
プールから上がり、お昼御飯は車で5分ほどの距離のタコス屋に行ってみることに。大学が近いので、平日は学生で混雑しているような、テラス席を広くとった店だ。
店の正面にある大きな扉は出口専門で、右側の小さな扉が入り口。入ってみると目の前にはカウンターとメモ用紙と鉛筆が並んでいて、そのメモ用紙には「BEEF STEAK FAJITA」「CHILI TACO」などといった商品名と、それにつけるトッピングが「Lettuce」「Tomato」などと併記されている。好みの商品の個数を記し、トッピングに○をつけてレジに持っていく仕組みだ。
「1個のタコスじゃ足りないでしょー」
と、一人2個注文。私はチキン"Fajita"と、ビーフ"Taco"を頼んでみた。
これまで、マーケットで「Taco」と「Fajita」の2種類の皮が売られていて、その違いがわからなかった私。「Taco」はタコスの単数形だ。柔らかい皮と硬い皮の2種類があり、材料はトウモロコシの粉。「Fajita」は"ファヒータ"と発音するらしく、マーケットで売られているのは柔らかくTacoよりも一回り大きな皮だった。
「名称の違いは大きさの違い?」
と思っていたけど、どうやら材料の違いらしい。Fajitaの皮は小麦粉から作られるようだ。
ともあれ、具はほとんど変わらないタコスとファヒータの昼御飯。
もちもちとした皮に焼いた肉とレタスやトマト、チーズがむがーっと挟まっていて、それがめちゃくちゃ無造作にアルミホイルにくるまれている。汁気を吸った皮がしんなりしつつあって、ものすごく大雑把な外見のタコスたちだった。1個$1というところだろうか。レタスやトマトなどの具を追加するごとに25セントずつ高くなる。
香ばしいタコスは、でも2個じゃ少しばかり物足りなかった。周囲を見ると、体格の良い人はやはり2個3個と食べている様子。そのうち私たちもタコス6個とか注文することになるのかしら。うーん。
テネシースタイル バーベキューサンドイッチ
ポテトサラダ
コールスローサラダ
豆の煮込み
キュウリとトマトのビネガーマリネ
卵のタルト
すいか
ビール、赤ワイン
今日はだんなのボス、A教授にお誘いいただき、この年留学プログラムに参加することになった面々一緒でガーデンパーティーに参加することに。今日は総勢8人でA教授宅にお邪魔することになった。
「6時においで」と言われていたので、そろそろ日が傾きはじめた頃、皆で車を連ねてどんどこと町外れを目指す。道の両側の家はどんどん大きくなっていき、道沿いに大きな門を構え、その200mほど奥に白亜の豪邸が……という風景ばかりになっていく。それをすぎると、今度は牧場所有の家々に景色は移っていき、そうして牛と馬の姿が点在する風景の中、A教授の家はあったのだった。もう風景は「オレゴンから愛」とか、そんな感じ(っていつの話だそれは……)。
庭には蚊よけのたいまつが焚かれ、大きなテーブルにバイキング形式の夕食セットが準備されていた。親日家で釣りと猟が趣味のDさんも遊びに来て、A教授のご家族まじえ、数時間の楽しい時間を過ごした。
家に隣接して広い草原が広がり、そこに2頭の馬がいる。黒い1頭は"ブラックジャック"で、サラブレッドの血が混じる大きな茶色い馬は"シドニー"という名前だとか。A教授の娘さんの馬だということで、私は生まれてはじめて、綱も鞍もついていない馬に触りまくって餌をやる、という体験をした。A教授の娘さんが近寄ると、馬たちはものすごく従順そうになついてくる。私が一人で近づいた時は二頭揃って「あんた誰よ、あんた誰よ?」という感じにわーっと寄ってきたのに比べ、さすが飼い主、という感じ(当たり前ね……)。
馬が2頭に、他に犬も2頭。動物大好きな私は、今日久しぶりに存分に動物をなでさせてもらうことができた。
夕食は、テネシースタイルのバーベキューサンドイッチ。ハンバーガーのバンズの間にグリルした豚肉のほぐし身がたっぷり挟まっている。マイルドとホットの二種類用意された、サルサに似たソースをかけて食べる。じゃがいもの塊がごろごろ入ったポテトサラダに、マヨネーズ味のコールスローサラダ。甘く煮た豆の煮物など、それは私の想像する「南部アメリカの家庭の味」にかなり近いものがあった。日本じゃ今ひとつ豆を煮たものというのは興味をもてなかったけど、けっこう美味しいのである。
「簡単なのよ。豆の缶詰買ってきてね、バーベキューソースをかけてオーブンで焼くの。時々オニオンやピーマンを入れたり、ブラウンシュガーを入れたり」
と奥さんのJさんに教えていただいた。ば、バーベキューソースですか……。
食後、「私のとうもろこし畑を見に行きますか?」とDさんに誘われ、トラックの荷台に皆でぎゅうぎゅうと乗り込み、やたらワイルドなオープンカーとなった車で数分、高さが2m以上もあるとうもろこしに囲まれた畑に連れていってもらった。日も暮れ始め、周囲にはホタルがたくさん飛んでいる。日本のとは少し違う、あまり長くは光らずに豆電球のよぅにポッポッと光るアメリカのホタルだ。川が近くにあることはあるが、畑の真ん中あたりにもふわふわと漂っている。突き抜けるような綺麗な空の下はどこもかしこも緑だらけで、私の田舎にだってこんな光景はないんじゃないかというくらいの自然っぷりだった。当然ガーデンパーティーも優雅というよりワイルドさが強くて、油断するとコップに虫は入ってくるし、蚊に好かれる私は虫に刺されまくるし、バッタはびょんびょん飛んでくるし、馬は可愛いけど一緒に蠅も襲ってくるし、数時間で何だか精神がたくましくなってしまった感のある私だった。もうワインに羽虫が入っていても気にせず飲めてしまう自分が怖い。
8時頃にゆっくり日が暮れていって森の向こうに太陽が沈んだ後にホタルが飛び交いはじめる様子など、なかなか忘れられそうにない光景をたくさん見ることができたし、A教授一家と楽しい話をすることもできた。馬のツルリとした毛並みの下の体温は案外と高いこともわかったし、たてがみは案外とゴワゴワであまり気持ち良いもんじゃないということも。
猟が趣味の1つであるDさん、大学時代にアーチェリーをやっていただんなは今日はあちこちくっついて歩いていた。滑車のついたアーチェリー道具をDさんから借りて積みワラを打ち抜いて練習していたり。
4月になったら七面鳥狩りができるらしい。鹿狩りなんかもあるとか。お、美味しそうだなぁ。いいなぁ狩り。私も狩って、そして食べたいぞ。
カフェオレ
今日は、だんなの同僚Iさんの呼びかけで、車3人で日帰りのミニ旅行に行くことになっている。
メンバーは子供2人を含む合計9人。テネシー州で3番目に大きい都市「Chattanooga(チャタヌーガ)」は、ネイティブアメリカンの言葉で「岩が迫ってきているところ」という意味を持つ地名なのだとか。私たちが住む州都のNashville(ナッシュビル)からは130マイル(約200km)ほど離れている。
午前8時に、大学前に集合とのことで、7時に起きる。
もそもそと起きだし、朝御飯は数日前に買ってきていた「Krispy Kreme Doughnuts」のボール型一口サイズドーナッツ。コーヒーだけは準備して、牛乳をだばだばだ〜とたっぷり混ぜて胃に流し込み、いざいざ出発。
ステーキ&チェダーチーズ サンドウィッチ
ジンジャーエール
2時間ほど車をかっとばし、無事にChattanoogaに到着。同じ州なのに1時間時差があるここは、私たちの地元の時間では10時なのに到着した地では11時ということになっている。車で移動して時差がある、なんてことを体験するのは初めてで、それだけでもう「アメリカって、すっげー!」とまた思ってしまう私。しかも同じ州なのに。
まるで湖のように巨大な「Tennessee River」を越え、ついたところは「いかにもな田舎町」といった感じの街だった。煉瓦造りの建物が温かい風に吹きさらされているような、なんとなく埃っぽい街。観光客も来るようで、それ相手の観光馬車が走っている。
まずは「一番の見所」と紹介されている「Tennessee Aquarium」(テネシー水族館)へ。一応テネシー州内では最大の水族館ということらしい。海水魚よりも淡水魚を多く紹介している珍しい水族館だとか。現在はタツノオトシゴの特別展示をやっているようで、入り口近くのコーナーではこれでもかとタツノオトシゴを展示していた。私の大好きな、ひらひらとした海草じみた飾りがたくさんついている「リーフィーシードラゴン」も山のようにたゆたっていて、それを見られただけで私はちょっとシアワセだった。他にはアメリカ各地の川にいる淡水魚のコーナーとか、ついでにビーバーとかカワウソとか。何故か「カメのコーナー」も充実していて、やたらと首の長いカメだの、ワニみたいな顔のカメだのも眺め、ついでに「ふれあいコーナー」で水槽に手をつっこんでナマズに触ったりもした。
水族館を堪能した後、お昼はみんなでダウンタウンにある「BIG RIVER」なる名前のグリルハウスに。メニューはステーキにハンバーガーにサンドウィッチ、ついでにパスタにピザにサラダ類、といかにもアメリカっぽい品揃え。私は「ステーキ&チェダーチーズサンドウィッチ」とジンジャーエールを、他の面々もハンバーガーとかパスタとかステーキなどを思い思いに注文する。概ね1皿1000円前後。
この店、ジンジャーエールが自家製らしく、初めて味わうその味は、めちゃめちゃ美味しかった。色は限りなくスプライトと同じで、後味は限りなく生の生姜そのものの風味のあの辛さが漂ってくる。缶入りのメーカーもののジンジャーエールは、"ジンジャー"と言ってはいるけど生姜の味なんてものはほとんど感じられないものばかりで、"なんとなく生姜っぽい風味を楽しめるようなそうでないような"という曖昧な味のするものばかりだったけど、今日のこの店のジンジャーエールは、どこをどう飲んでもちゃんと生姜の味がするものだったのだった。素晴らしい。あまり美味しいのでたっぷり2杯も飲んでしまったよ(この国、ソフトドリンクを一回注文すると無料でお代わりをくれるところばかりだ)。
そして、ローストビーフ状の牛肉がたっぷり詰まったサンドウィッチ。更にとろけたチーズもパンの端から覗いている。添えられているのはホースラディッシュベースのクリームソースで、塩胡椒だけの味のついたサンドウィッチのクリームソースをつけ、ついでにケチャップなども垂らしつつわしわしと食べる。当然、山盛りのフライドポテトつき。
窓の外にはカポカポと観光馬車が行き来して、こんな田舎町に日本人は私たちだけ。南部訛が飛び交いまくる中、たどたどしいジャパニーズイングリッシュでやりとりしているのは私たちだけだった。 いかにも観光で来てます、という感じ。
食後は、地名の語源にもなっている「大きな岩」たる「Lookout Mountain」に向かう。観光しましょう、と山の中にある「Ruby Falls」なる鍾乳洞スポットを見学。水族館もそうだったけど、物価の安いアメリカでもこういった観光客目当ての施設はものすごく入場料が高価だ。軽く1500円、2000円という金が1人当たりで飛んでいく。
それでも、「シンデレラ城ミステリーツアー」さながら、添乗員さんが案内してくれる鍾乳洞ツアーはけっこう楽しかった。地面は舗装されてはいるけど、人2人すれ違えないようなシビアな通路をじわじわと30分ほどかけて進んでいき、最後には高さ100mほどの空洞の上から一直線に降ってくる美しい洞窟内の滝に辿りつく。雰囲気は鍾乳洞であるので「秋芳洞」などと同じだけど、その空間はあちらこちら緑や赤や青のライトで照らされて、最後の滝は光と音で演出されまくった、まさに「シンデレラ城うんちゃら」そのまんま、みたいな感じでコテコテのアメリカ風だった。
真っ暗なホールにわざわざ案内され、効果音たっぷりでスポットライトをカッと当てられて光る洞窟の滝。それそのものは美しかったけど、「でも、だって、ただの滝じゃない……」と私たちグループ全員の肩の力はへなへなと抜けていた。こういうところも、どこまでもアメリカという感じ。
Natural ICE BEER
鍾乳洞ツアーを終えて、そうしてまたハイウェイを飛ばして午後7時に帰宅。
長時間運転をしてくれただんなも勿論、私も息子もへろへろに疲れていた。
「やる気、ない人〜」
「はーい」「はーい」
「やる気、ある人〜」
「はーい!」
「……息子だけやる気があるようですね……」
「そうですね……」
と、"両親疲労して息子だけ元気"という最悪な状態に。とはいっても、息子もかなり眠そうだし疲れてもいるようだ。
で、夕食はこれ以上なく手抜きをして、冷凍ピザ1枚。MサイズとあったそれはMサイズの割には隨分と食べ応えがあった。オーブンで数十分焼くだけの簡単ピザだ。あとは冷蔵庫で冷やしておいた缶ビールを直飲み。コップに移すのももどかしいほど、私たちは疲れていた。
パン生地ベース、と書いてあったピザは、その生地がやたらと食べ応えのあるものだった。さくさくとした生地は悪くはないけど、お腹にたまる。サラミとピーマンとトマトとチーズがベースの、ごくごくシンプルなピザだったけど、すぐに満腹になってしまった。
食べた後、だんなはふらふらと、「……も、ねる。おやすみ……」ともそもそと風呂にも入らず寝室へ。
お、おつかれさまでございました……。