食欲魔人日記 03年12月 第4週
12/22 (月)
ひっさしぶりに、アンジェリーナのモンブラン
ふろふき大根 鶏味噌添え
卵御飯
ほうじ茶

「朝は御飯を炊いてー、ふろふき大根と卵御飯を食べるんだぁ……」
昨日の夜から何やらわくわくしている我が夫。そういえば、だんなは「朝御飯はパンより御飯!」な人であったのに私の怠慢で朝食に御飯が出ることはすっかり稀なことになってしまっていたのだった。今はふろふき大根がある。白い飯の朝御飯にはもってこいのおかずだった。

白味噌を入れた練り味噌がいまいち不評だったので、昨夜のうちに残ったその味噌を混ぜ込みつつ新たに鶏味噌を練ってみた。今度は田舎味噌がベース。生姜をきかせてあまじょっぱく作ってみた。

美味しい卵をパカンと割って、卵御飯。それと大きなふろふき大根を1人1きれ。和風の朝食は湯気からしていかにもあったかそうで(実際あったかく)、寒い日にはかなり嬉しい。

「ミスタードーナツ」にて
 ミートボルシチ
 ダージリンマフィン

今日の夜は銀座で友人たちと忘年会。息子も銀座につれていき、仕事が終わっただんなに連れて帰ってもらうことになっていた。息子をただ銀座を往復させるのはちと可哀想だなとちょっと早めに家を出て町をぷらぷらすることに。

家の近所で適当に昼御飯を食べていこうねと向かったのはちょっと久しぶりなミスタードーナツ。新商品のボルシチがちょっと気になったのでマフィンをつけてセットにした。息子は一口サイズドーナツ6個パックと子供サイズドリンク、それにおもちゃまでついたキッズセットを前にして御満悦。

……でも、ミスドのスープは、あんまり美味しくなかった。いかにも「レンジでチン」な味そのままで、チーズ入りというミートボールもなんだかいまいち……。夜に盛大に食べるしね、こんなもんでいいよね、と電車に乗っていざいざ銀座。

銀座「アンジェリーナ」にて
 モンブラン(ハーフサイズ)
 ピーチアイスティー

今日の宴会のメンバーは、馴染みの高校時代の同級生。私を入れて5人。渡米だ帰国だなんだとちょこちょこ誰かが欠けていたことが多くて、5人揃ったのは多分2年ぶりくらい。5人というメンバーは……戦隊物みたいね。多分私が食いしん坊のイエローだったりするんだわ。

今日は平日なのでみなさんお仕事。アメリカから帰国中のYと私だけがヒマだった。
「夕食前に落ち合って茶でもするー?」
と、4時半頃に銀座で会ってお茶をしようと入ったのがプランタン銀座内の「アンジェリーナ」。名物モンブランは手垢がつくほど有名になっちゃってあちこちのデパート内にもショップができちゃってすっかりありがたみがなくなりつつあるけれども、でも私はここのモンブランが大好きだ。甘党にもちょっとつらく思えるほどの濃厚な甘さがあるので、非甘党の人には(そう、Yみたいな人には……)つらいかもしれないものだった。

「というわけで。一口食べてみ?ほれほれほれ〜」
と私と息子で1個のモンブランをつつきつつYに試食させてみると、一口食べて「うげ」という顔をしていた。やはりダメだったらしい。

フランスから直輸入したのだというマロンペーストはねっとりこってり濃厚で、表面がみっしりと覆われて上には粉砂糖のトッピング、季節柄サンタの飾りつき。そして内部にはスポンジは1gも入っておらず、大量のほんわか甘い生クリームとごってり甘いメレンゲ台が詰まっている。内部の白さと表面の栗色のコントラストが美しいけれども、全体から感じられる甘さは相当なものがある。でも私は大好き。息子もどうやら大好きらしい。

しょっちゅうメールで話しているのに、顔を合わすのは1年ぶりのYと話すことはストンコだゴールドバーグだスキナーだクライチェックだといつもと変わらなかったりして、しかもなんで雑誌掲載の漫画の展開に私より詳しいのアナタなんて話もあったりして、そうこうしているうちに宴会時間。

銀座「与志万」にて
 焼き鳥サービスコース
 釜飯(五目・牡蠣)
 ビール・焼酎(黒瀬)

宴会会場は私が決めた、銀座のお気に入り焼き鳥屋さん「与志万」。しょっちゅうお世話になっているのにぐるなびのクーポンを今日もプリントアウトして持っていってしまい、最初の生ビールが1杯無料。

正肉と砂肝とレバーと手羽先とつくねとうずら玉子とピーマンと銀杏とスープがセットになったサービスコースをそれぞれ頼み、名物の釜飯は2人に1個。いつもは1人1個の釜飯を食べていたりしたので会計が5〜6千円になってしまうのだけど、今日は3700円くらいと、やけに安く済んでしまった。全員が全員違う仕事をしていて(しかも固い仕事からグニャグニャのまで……)、状況もバラバラ。近況報告などしつつ高校時代の先生は今どうしたとかこうしたとか、そういえばあのクラスメートが子供産んだってよー、なんて話で盛り上がり、早めの夕食を終えた後は向かいのカラオケボックスで1時間だけ熱唱(主に私とTさんが熱唱)。

10時過ぎの東京発の電車でたらたら帰宅すると、
「おかーさんを待ってましたー。おかえりなさーい」
と元気に起きてきた息子と、
「今日は冬至だから柚子湯にしてあるよー」
というだんなに出迎えられた。柚子湯であったまってしばし居間でだらだらして、さむいさむいと布団に入ると、今シーズン初の"ゆたんぽ"が布団の中に!
えへー、えへへへー、何だか幸せ。

12/23 (火)
クリスマスイブイブなのでシャンパン片手に
「松下」のうどん 釜玉
ふろふき大根 鶏味噌添え
冷茶

12月も23日になるといよいよクリスマス感が高まってくる。クリスマスイブイブなこの日は、「クリスマスっぽいけれども、でもあんまり気合いは入れずにまたーりとのんびりしましょう」てな風に過ごすことが多かったりする我が家。具体的には気になるお総菜屋さんの前菜セットを買ってみたり、ファーストフード店のクリスマス限定メニューを試してみたり、都心には出ずに近所をぷらーっと歩いてみて小さな衝動買いをしてみたり、なんてことをするのだった。

「というわけで」
「クリスマスイブイブにうどんもどうかと思いますが」
「いいんじゃないの?」
なんて言いながら朝からうどん。今月届いた「千趣会」の冷凍さぬきうどんシリーズは「松下」というお店のもの。さすがに冷たいうどんでは寒くてたまらない季節になってきたので、今日は茹でたうどんを溶き卵にチャチャッと絡める「釜玉」にした。うどんの熱で半熟にやわやわと固まった卵が良い感じ。煮えちゃって煮えちゃってもう半透明通り過ぎて透明になっちゃいそうなふろふき大根も良い感じ(まだまだあるのよー……)。

「ドムドム」で
 ベーコンエッグバーガー
 アイスロイヤルミルクティー

今日はクリスマスディナー用物品その他諸々の買い出しにと近所にお出かけ。スモークサーモンは肉屋で売られているものが良いのかプチ高級なスーパーのパック入りのを買うのが良いのか、なんだなんだトラウトサーモンとかいうのが安いぞっ、こっちは安いけど量が物足りないねぇ……なんてくだらないことを話し合いながら生クリームや肉や野菜を買ってきた。

気がつけば午後2時も過ぎていたりして、
「おかーさん、おとーさん、ぼくはお腹がすいちゃったなんだよー」
などと息子が空腹を訴えている。どうしましょうか……とちと考え、スーパーの中にあるハンバーガーショップ「ドムドム」で休憩することにした。ドムドムはダイエー系列のハンバーガー屋さんなのだそうで……私は食べるの、これが初めてなような気がする。

「おー、200円でドリンク飲み放題!」
「ココアやロイヤルミルクティーもある……けど、なんかショボい……」
「このフィッシュバーガー、魚より衣が多いような感じでこれがなんとも……」
「こっちのベーコンエッグバーガーもコテコテな味で……」
あーだこーだ言いながら、でも「うまー」とか言っている私たち。

そういうわけで、ドムドムバーガー初体験。甘ったるーいロイヤルミルクティーやココアを飲みつつ、「うむ、良くある味だ!」という感じのベーコンエッグバーガーを食した。なんかもう、こってこての味で、これがまた美味しくて困ってしまった。

「R1/F」のローストビーフプレート
「モスバーガー」のモスチキン・お米のシフォンケーキ
チェダーたっぷりマカロニ&チーズ
シャンパン(ヴーヴ・クリコ ピッコロ)

お手軽夕飯。サラダ屋さんのクリスマス前菜プレートと、大好きなモスバーガーのモスチキンの夕御飯だ。夕方お店を回って予約していたそれらの品を取りに行ってきた。

R1/Fのローストビーフ入り前菜プレートは、ちょうど家族3人で食べてちょうど良いサイズ。ローストビーフと温野菜ベースのサラダ、スモークサーモンにディル入りドレッシングを添えて葉野菜のサラダ、かぼちゃのクリーミーなサラダにイカと玉ねぎのマリネに、フライドチキンに海老とブロッコリーのタルタルサラダに……と、色とりどりなそれらが少量ずつ盛られていた。大皿に盛り直し、そしてメインのおかずはモスバーガーのモスチキン5本パック。

あとはパンとか御飯があれば充分だね、というおかずの分量だったので、作ったのは息子大好物(どうやらだんなも大好物)のマカロニ&チーズ。アメリカで飽きるほど食べてきた料理で、帰国してから思い出しつつ何度か作ってみたのだけれど、妙に高級感が溢れていたり、妙に上品になってしまったりと「うーん、美味しいけど、なんかちがーう」と思っていたのだった。もう、コッテコテのいかにもなマッケンチーズが食べたいのよねぇ……と思っていて、今回参考にしたのはコリスケさんのサイト内のマカロニ&チーズレシピ。使うチーズはチェダーだけ!あとはホワイトソースだけ!というシンプルなレシピだったけれど、これがもう「そうそうこれがマッケンチーズ!」というものになってくれた。

細っこいマカロニを茹で、その間にバターと小麦粉と牛乳でホワイトソースを作っておく。おろしたチェダーチーズを盛大にソースに混ぜて溶かし、それをマカロニとからめたらできあがり。濃厚なオレンジ色のマカロニは、確かにあの大陸で食べた味がした。やっぱりマッケンチーズはこのくらいチェダー臭くなくちゃねぇ。

生姜醤油の味のモスチキンをパリパリ食べつつ、サラダをつまむ。サラダやチキン以上にジャンクな味わいがするような気がするマッケンチーズもたっぷりと。そんな夕食なのに、飲んでいたのはピッコロボトルのシャンパン、ヴーヴクリコ。先日恵比寿の「ワインマーケットPARTY」でヴーヴ・クリコのペイントボックス(こんなの)を買ってきたので、1人1本200mlのミニボトルに専用の飲み口つけて瓶を持ってラッパ飲み。
「あああ、安くないシャンパンなのに……」
「こんな乱暴な飲み方して……」
と脅えてしまいつつ、シャンパンディナーを堪能した。使用後のバケツは今後の我が家のワインクーラーに決定。これまで、「これ!」というワインクーラーに出会えていなかったので、これはちょっといいぞー、と思っていたりする。

12/24 (水)
ブッシュドノエルに飾りつけ
マカロニ&チーズ (昨夜の残り)
牛乳

いよいよ今日はクリスマスイブ。ツリーは先月から盛大にキラキラしてるし、用意したプレゼントもツリーの下に積まれているし、あれこれと準備万端。でも、昨日の夜、我が家はプチパニックだった。

昨日の午前中に届く予定だった某ネットショップの鶏屋さんの丸鶏が、昨日の正午を過ぎても届かない。どうやら23日24日に届けるようにと運送会社に集まった荷物の数が尋常ではなかったようで、運送担当者が大変なことになっていたらしい。結局届いたのは夜の9時。しかも、中身が違ってるー!

頼んだのは生の丸鶏だったはずなのに、入ってるのは串に刺された肉とか、コロッケとか、つみれとか、鴨の薫製とか。丸鶏の形状のものも入ってたので「おまけを入れてくれたのかな?……にしてはすっごく多いし?」とその丸鶏状のものを確認してみれば、それにも「薫製」の文字がついていた。ま、丸鶏は……いずこ。

届いた時間帯も悪かったため電話で連絡も取れず、当然交換などもできる余裕もなく、今日になって「すみませんー。ご返金します。届いたものはどうぞ召し上がってください」と、お店と連絡が取れたのだった。いや、色々美味しそうなものいただいちゃうのは嬉しいんだけれども、丸鶏は必要なわけで……と、今日は朝一番でお買い物。

午前10時にオープンする千葉そごう内のちょっと高級め鶏肉屋さんを目指そうと、出発前に息子と一緒に朝御飯。さらっとコーンフレークにでも……と思っていたのに、台所に置きっぱなしだったブツを発見した息子が
「あ!おかーさん、マッケンチーズがあるんじゃなーい?僕はねぇ、マッケンチーズが大好きなんだよぅ〜」
とわたわた騒いだので温めなおしてマカロニ&チーズ。朝からこってりチェダー味のマカロニ&チーズだけれど、息子には全く問題なかったらしい。

「やっぱりねぇ、これは、おいしいと思うなぁ〜」
と、本気でこれが好きらしい息子は朝から小皿に山盛り2杯、その黄色く染まったマカロニを平らげた。見ているだけで胸焼けしそうな私は軽く1杯。

自家製「ハニトー」
アイスティー

無事に千葉そごうで鶏肉購入。1羽5000円もする名古屋コーチンの丸鶏にクラクラしながらも、「いや、コーチンは鍋とかに入れた方が旨いような気がするし……」と3500円の「三河赤鶏」とかいうのを買ってきてみた。ぶりっと大きな美味しそうな鶏だ。帰宅して数時間後、今度はケーキも届いてディナーの準備は着々と整っていく。

昼御飯は、ここ数日食べたくて食べたくて食べたくてしょうがなかったハニートースト、略して「ハニトー」。先日池袋に遊びに行ったときに入ったカラオケボックスチェーンの名物デザートだったのだけど、メニューを見ていてクラクラしていたのだった。食パン1斤丸ごと使った、ものすっごいデザートだ。確か発祥は表参道のデリだったような。で、辛抱たまらず昨日アンデルセンで食パン買ってきたのだった。

お店で食べたことはまだ一度もないので、実際がどんなものなのかはよくわかない。けれども、大ぶりにざっくり切った食パンに格子に切り込みを入れ、バターがしみこむように隙間にも入れつつたっぷりと乗せ、10分くらいかけてじっくりトーストに。途中でハチミツをとろとろとろーっとかけ、最後にアイスクリームをトッピング。正気の沙汰とは思えない食べ物だ。一人じゃとても食べる気にならない量のパンを焼いてしまったのだけれど、息子がきっちりつきあって食べてくれた。

4枚切りのトーストの規模が変わっただけかと思いきや、この巨大なトースト、中のふわふわ感も外のサクサク感も楽しめてかなり違った食べ物になっていた。バターが染みた食パンの白い部分をこれでもかというボリュームでぎゅっと噛みしめる幸福感ときたら、カロリーの事とかその他諸々の事を忘れ去ってしまいそうだ。おいしい。
さー、ディナーの仕込み始めるかな。

カプレーゼ
マグロのカルパッチョ ポルチーニソース
スモークサーモン with レモン&ケッパー
栗とハーブの香りのローストチキン
カリフラワーのビシソワーズ
スプマンテ(フェッラーリ・ロゼ)

T先生特製ロールケーキ(ココア生地にマロンクリーム)
カフェオレ

今年のクリスマスはほんのりイタリアンな雰囲気の夕御飯。仕事仲間(というかもはやオトモダチ)のTさんのサイトの「今月のレシピ」のやり方で鶏を焼いていく。お腹に詰めるのは栗の甘露煮を混ぜ、ローズマリーの香りを利かせたピラフ。鶏の皮と身の間にはバジルやイタリアンパセリ、ローズマリーを刻んだものを挟み、皮つきじゃがいもと共にじっくりと1時間ちょっとかけて焼いていく。丸焼きはダイナミックで作る過程も見た目も楽しく、しかもそのインパクトの割にけっこう簡単。すごく楽しい作業だ。

前菜は、つい数日前にアドナイのチーズセットを購入し、届いたばかりなのでそれを使って。モッツァレラチーズの前菜といえば、「カプレーゼ」。居間で育てているバジルをちぎり、昨日買ってきた"高糖度トマト"を使い、それら3色の食材をちょこちょこっと積み上げ並べてサラダにした。それと、先日買ってきた安売りマグロをマリネして軽く表面をソテーしてポルチーニ茸の砕いたのを混ぜたマヨネーズソースでカルパッチョ風、そして息子の好物スモークサーモンはスタンダードにレモンとケッパーで。

1時間かけて焼いた鶏にはせっせと焼き汁を上からかけて表面をパリッと仕立て、あと10分くらいでだんなが帰ってくるかなぁというところで前菜を盛りつけていく。いつもは使わないテーブルクロスをかけ、テーブルにキャンドルも1個。年に何度も使わない華奢なおとっときシャンパングラスをテーブルに。近年稀にみる"かなりちゃんとした"食卓になった。で、かなりちゃんとしたその食卓にいきなりローストチキンの油をぶちまける私……(何やってんだか……)。

だんなの帰宅が8時過ぎだったこともあってちょっと遅めに夕御飯になったけれど、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく、しっかり楽しめた。ローストチキンの皮のパリパリが旨いだの、栗入りの御飯が旨いだのカプレーゼが最高だの(もうこれがホントにサイコーだった)と調子に乗ってスプマンテを1本飲み干し、「ひひゃははは〜」「へへへ〜」などと怪しい笑い声を発しつつプレゼント交換。だんなから私には先日届いた衣類乾燥機の他に、チョーカーとジム用のTシャツ。私からだんなへはカバ柄ネクタイと革製カバのオブジェつきキーホルダーと、「電子ブロック」(←だんな大喜び)。

デザートには、これまたTさんのお世話になり、ブッシュドノエル。「教室で教えるのと同じもの、1本差し上げますよー」と言っていただき、今日のお昼に届いたそれはココア生地に栗入りクリームが巻かれたロールケーキ。絞り出し袋に入ったマロンクリームと各種飾りが別についてきて、それで最後の仕上げを私が自分でやるようになっていた。メールでいろいろアドバイスいただいていたのだけど、何しろ普段ケーキとか作らないものだから、クリームの扱いとかも全然なっちゃいない自分。最初は美しく絞り出しの口金の形を活かして……とかいろいろ考えていたのに、結局、粘土ベラでも扱うようにコテコテとスプーンでなすりつけるということになり、最後にせめてもとフォークの先でそれっぽい筋なんか入れてみたりした。ん、まぁ、じっくり見なければそれっぽいブッシュドノエルに見えなくもないかな……と思いたい。

プレゼント交換終わって相変わらず高揚した気分のままほんのり洋酒の香りのブッシュドノエルとカフェオレのデザート。リッチなココア味の栗風味濃厚なロールケーキは幸せに美味しかった。メリークリスマスー。

12/25 (木)
これは水餃子じゃなくてイタリア料理……のはず。多分。
ローストチキンのサンドイッチ
カリフラワーのビシソワーズ風スープ
アイスカフェオレ

私は丸鶏(丸七面鳥でも可)を焼くのが大好きなのだけれど、好きな理由の一つが「翌朝のサンドイッチ」。焼いたばかりのアツアツのところを全てがつがつと食べきるのも楽しいのだけれど、残ってしまった肉や骨をスープにしたりサンドイッチにしたりできるのが丸鶏焼きのお楽しみだった。今回は、けっこうたっぷりと肉が残っている。骨をスープに仕立てられるようにと肉と骨、詰め物の御飯の残りなどをそれぞれ綺麗に分けてみた。

塊の食パンは薄くスライスして、軽くトースト。葉野菜と甘いトマト、手で裂いたローストチキンの残りの肉や皮をバターを塗ったパンに盛りつけ、マヨネーズをちゃちゃっとつけてサンドしてかぶりつく。ブロイラーとは違う美味しい鶏肉で作った鶏は脂も臭みがなくて美味しくて、ほのかにハーブが香る肉も一晩あけてもちゃんとジューシー。昨夜の残りのスープを片手に思い思いのサンドイッチを楽しんだ。

昨日も飲んだスープはカリフラワーと炒めた玉ねぎをじっくり煮込み、ハンドミキサーでピュレにしてから牛乳でのばしたもの。ちょっと前に届いたながしま農園の野菜セットの残りだったのだけど、とろとろのスープにするのはもったいないかもなぁと思いつつ思い切って作ってしまったものだった。カリフラワーの味が濃厚で、調味料といったら塩胡椒くらいしか加えていないのにとても甘い。
「すごく旨いと思ったら、ながしまさんとこの野菜使ってたのか……」
昨夜、これを啜って驚いていただんな。
「いや……もったいないとは思ったのね。思ったのよ。でもさ!美味しい野菜でスープ作ったら、おいしいじゃない?作りたかったのよねぇー」
私がそう言うと、だんなは激しく頷いていた。美味しい野菜で作ったスープは、とても美味しい。

千葉「大戸屋」にて
 鶏のおろし唐揚げ定食

今朝、息子が自分のベッドの上で見つけた"サンタさんからのプレゼント"はプラレールの「日本全国アナウンスステーション」というものだったのだけれど、息子の心はそれに鷲掴みにされてしまったらしい。常日頃、電車に乗っているときに各駅のアナウンスを北島マヤのごとく暗記していて呟いていた息子だったのでそういうのはツボなのかなぁと思っていたけれど、このおもちゃは想像以上にすごかった。

「東京エリア」だの「名古屋エリア」だの「大阪エリア」だのと日本全国のJRエリアを指定でき、発車ベルやら「ドアが閉まりますご注意ください」やら「3番線列車が通過致します」やら、やたらとリアルな音声と効果音が流れてくるというもので、東京駅のホームで聞こえてくるようなメロディーが何種類も入っていたりもする。息子はもう、狂ったように駅員さんごっこをはじめてしまい、血中鉄分濃度は急上昇という感じ。だんなはだんなで狂ったように「電子ブロック」で遊んでいるし……私もおもちゃ、欲しいなぁ……。

「んもー、退屈ー。なんで私一人が年賀状とかシコシコ作ってるわけ!?」
とブーたれていたところ、だんながぽそりと
「ああ……大戸屋の定食喰いたいなぁ」
と呟いた。チェーン定食屋の大戸屋、だんなは学生時代、もう10年くらいも前にはちょこちょこ行っていたのだそうだ。その頃は少しもシステマティックじゃなくて店内も小汚い印象だったのだけど5年くらい前から急激に女性客も入れるような小綺麗な店に変化した。小綺麗になった後、職場の近くそれがあった私はちょこちょこと通うことになる。なのでお互いに「あー、大戸屋ね、懐かしいね」という感覚(でもその"大戸屋の記憶"はそれぞれかなりに違う)があったりした。

息子のプラレール用の電池が足りないしね、そういえば漫画の発売日でもあったっけか、なんて言いながら千葉にお出かけ。クリスマスのランチが大戸屋ってのもなんかすごいよねと苦笑いしながらお店に入ると、午後2時だというのにかなりの混雑ぶりだった。

最近めちゃめちゃ飽食だしね、地味なの食べようね、とか言いながらだんなは大戸屋ランチ(唐揚げとコロッケと目玉焼きという組み合わせ)を頼んでるし、私は私で大根おろしを添えた鶏の唐揚げとか頼んでるし。よりにもよってメニューで一二を争うような高カロリーものを頼まんでも良いような気がする。しかも一昨日も昨日も鶏料理食べてるのに、なんでまたわざわざ揚げ鶏とか頼むのか、自分。

「あーらまぁ、こんなに小綺麗になっちゃってたのか……」
と、もう5年ぶりくらいに入店しただんなは驚いていた。私にとっては「これが大戸屋の店内じゃないの?」という感覚。かつては学生やサラリーマンのおっちゃんらに愛されていたお店は、見渡すと8割以上が女性客という状態だった。綺麗になったことが歓迎されている一方で、昔の雰囲気を愛していた人は少なからず去ったのかもねぇ、と思う。だんなも多分、去ってしまった人の一人。

ポン酢和え大根おろしがたっぷりかかった唐揚げをもりもり囓りつつ、刻みキャベツに赤みがかったソースをだばだばとかけ、御飯にはごま塩ぱらぱら。しっかり平らげてしまった。大戸屋、実はかなり好き。徒歩圏内にあったらちょこちょこ行ってしまっているんだろうな(ファミレスの和風定食なんかはいまいち美味しく思えることがないし、ねぇ)。

アニョリ入り鶏のスープ
マグロのたたき ホースラディッシュソース
ビール(よなよな・インディアンペールエール)

ブッシュドノエル
ダージリンティー

夕食は、昨日のローストチキンの残骸を使ってのパスタ料理。イタリア北部でクリスマス当日に食べられるのが、水餃子みたいな具入りパスタをスープに浮かべる「Agnoli in Brodo di Pollo」という料理だそうで、鶏丸焼きレシピと同じくTさんに教えていただいた。丸焼き後はこれを作ると良いですよー、と。

肉を取り去った骨は一度茹でこぼしてからにんにくや玉ねぎなどの香味野菜を加えた湯でことことと煮ていく。ローリエとパセリ、クローブでほんのりと風味づけ。そしてパスタにくるむ具はローストチキンの残りの肉を使いつつ、シチュー用の牛肉なんかも使って玉ねぎにんじんセロリ、セージやローズマリーやナツメグやクローブやシナモンなどと炒め煮してミキサーにかけてチーズも混ぜてしまったり。何より面倒なパスタ生地は、本来なら薄力粉と卵で練って伸ばして……とするのが本来なのだけれども、そこまでするやる気が盛り上がらず、ワンタンの皮(←似ているけどけっこう違う……)で代用してしまった。

で、四角いワンタンの皮に肉のフィリングを乗せ、三角に折ってからくるりと三角の端と端を丸めてくっつけて……とどこかの本で見たアニョリの形に仕立てていく。……が、「どうせだったらたっぷり具を詰めちゃえ」とかやっている間に、外見はどんどん「水餃子」チックに……。スープも、肉を煮込むついでにと鋳鉄鍋に入れてしまって、怪しくうっすら黒みがかった色合いになってしまい、ますます目指したイタリア料理とはほど遠いものになってしまった。どうも料理には「面倒くさがりな精神」とか「何事もたっぷり、という貧乏精神」は発揮して良い時と悪い時があって……ということを最近になって知ったのだけれど、私はどうもいつも発揮してしまうらしい。この料理は丹念に綺麗なスープを取る繊細な心遣いとか、美しいアニョリ(この詰め物パスタの事をアニョリと言う)を作るために具は少なめに、とか色々ポイントがあったはずなのに見事に素通りしたらしかった。

「というわけで、黒くなっちまいましたー」
と、怪しい色のイタリア料理(断じて水餃子ではなく)。夕飯は今度こそ軽くしようね、と、このパスタ料理の他は余ったマグロを出すだけの軽めの献立にした。ちょっと日付が経ったマグロは表面に強めに塩胡椒し、オリーブ油で表面だけさっと炙ってからスライス。葉野菜と共に皿に盛りつけ、ホースラディッシュとオリーブ油を合わせてほんの隠し味に醤油を混ぜたソースを添えて出した。白い御飯とこのうえなく似合うマグロもオリーブ油と組み合わせると不思議にちゃんとイタリアンな味になる。ホースラディッシュとマグロの組み合わせはどこかの本で見たものだけど、思った以上によく似合っていて美味しかった。そうそう、アニョリも見かけの怪しさとは異なり、しっかりちゃんと美味しかった。スパイスの香り漂う詰め物パスタに野菜と鶏の味がこってり濃厚な滋味たっぷりスープ。見た目はともかく、味はすごく本格的だった。今度はもうちょっと綺麗なものを作れるよう、がんばろう。

12/26 (金)
シンプルだけどすごーく美味しい鶏とごぼうのリガトーニ (昼御飯)
ふろふき大根 with 鶏味噌
抹茶入り玄米茶

「まだケーキとか肉とかパンとかあるけど……」
「さすがに"だし"の味とか恋しいかな……」
「……やっぱり?」
「……やっぱり」
と、「一体何日鍋に入ってるんだ」状態になっているふろふき大根を温める。えーと……作ったのは……何日前だっけ?(既に記憶になし) それでも毎日ちゃんと火を通していたので、外見は見事な茶色に染まっているけれど味の方は問題なし。温めて、自家製鶏味噌なすりつけてポクポクとしたそれを食べる。ぐじゅぐじゅになった煮大根も、それはそれで美味しい。

だんなは既に冬休み。「有給休暇を年末年始の機会に消化しましょうキャンペーン」が職場で行われているそうで、だんなの冬休みは既に昨日始まっていたのだった。23日の月曜は休み、イブの火曜日が最後の出勤、25日からあとは年明けまで休み。盛大な長期休暇だけれど、旅行の予定などはさっぱり入っていなかったりする。

今日はおでかけー。

青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 苺ピュレのスプマンテ割り
 パルミジャーノのおせんべい
 あん肝のテリーヌ 焼き味噌ソース
 イタリア風ローストビーフのサラダ仕立て
 フォアグラのグリル バルサミコのソースとリンゴのピュレ
 鶏とごぼうのクリームソースリガトーニ
 アイナメのこんがり焼き 豆のピュレ ライムとサワークリームのソース
 グラス赤ワイン
 短角牛のグリル ほろ苦いサラダと共に
 チーズ(モンドール・ミモレット・ロックフォール)
 バニラジェラートと洋梨のコンポート
 エスプレッソ

今日の第一の目的地は、有楽町の国際フォーラムで開催中の「人体の不思議展」。夏からずーっと気になっていたこの展覧会、先週末に行ってみたのだけれどあまりの入場者数の多さに断念して券だけ買って帰ってきてしまったのだった。平日の今日、しかも開場直後を狙っていけばきっと空いているに違いない!と、今日は11時の開場に合わせて有楽町に移動。

本物の人体の「プラストミック標本」なるものがこれでもかと展示されていた(人の形を成しているもので20体くらいはあった)展覧会。神経ピロピローとか、筋肉ビロビローとか、小腸うねうねー、といった世界がそこかしこに広がっていて、非常に興味深かった。どうも私やだんなときたら

「おー、マメだよマメ」
「こっちはハツだ」
「ヒトのハラミはやっぱりでっかいねぇ」
「おお、フォアグーラ」
「フォアグーラ」
「……人って、食べるところも、だし取れそうなところも多そうだよね」
「……美味しくないらしいよ?」
「……そっか」

と、いまいち神妙な気分になることもなく、しかも息子もよくわかってないのか「あしー」「てー」「こっちはおなかー」と無邪気に眺め歩いていたりして。それでもとても衝撃的でもあって勉強にもなったりして、画像ずらずらのガイドブックを購入して会場を後にした。思惑とおり会場はガランガランで、どのブースでも「その展示物を見ているのは私たちだけ」といった状態でらくらく動くことができた。

……で、こういうものを見た後でモリモリと肉とか食べちゃうのかしらね、と苦笑いしながら「Cucina Tokionese Cozima」に向かう。ここ1年以上あれこれと仕事のやりとりをしていたマネージャーさんが今年いっぱいでいなくなってしまうので、餞別にと日本酒1本携えて挨拶がてら食事しに伺ったのだった。ふろふき大根1個の朝御飯だったので、午後1時過ぎてもうお腹はぺこぺこ。「なんっでも食べられますから、たーっくさん出してください」と伝えたら、ホントにたくさん出てきた。

苺の香り爽やかなピュレの入ったスプマンテを舐め舐め、突き出しにはパルミジャーノ・レッジャーノチーズのおろしたのをパリッとせんべい風に焼いた香ばしいおつまみ。続いて出てきたのはあん肝をテリーヌ状に仕立て、皮や内臓や身をゼリー寄せにして重ね、サラダ風にしたもの。ムチッコリッとした面白い食感のそれに赤い粒胡椒のピリ辛具合が良く似合っていた。更に続く前菜が2皿、イタリア風のローストビーフで葉野菜をくるんだこんもりとした冷たい皿と、一口サイズのフォアグラをソテーしてバルサミコ酢入りのスタンダードな味わいのソースを添えたもの。フォアグラにはピンク色をした綺麗な色合いのリンゴのピュレと、甘い葡萄が添えられていた。前菜だけで(突き出し含めて)4品。野菜も程良くたっぷりでとても豪華。

続くパスタは、リガトーニ(筋のついたぶっといマカロニ)に鶏とごぼうのクリームソースを絡めたもの。イタリアンパセリの刻んだのがふわんと良い香りを漂わせ、胡椒もガツンと効いている。鶏とごぼうという組み合わせがなんだかやたらと身近な味で、なのにクリームと良く似合ってとても洗練された印象の味。息子にはこのパスタのスパゲティ版(胡椒とパセリは控えめ)を作ってもらったのだけど、「お腹空いてるんですか?ちょっと量、多めにしておきましたから」と言われたそれを全部一人で綺麗に食べきった。
「あのね、このスパゲティはとても美味しいからね、とっちゃダメ!ぜったいダメ!」
と息子は味見もさせてくれなかった。

魚料理はアイナメを皮目こんがりと焼いたもの。白い豆の煮たものが敷かれ、魚に添えられたソースはライム風味のサワークリーム、ほのかに酸味があって軽やかな食感。白い御飯が恋しくなっちゃうような香ばしい焼き具合のアイナメが中身ふわふわ外身パリパリで、ほんの3口くらいのサイズながらとても後まで残る美味しさだった。

昼なのにこんなに食べて良いんでしょうかといった心持ちになったところで、トドメの短角牛のグリル。いーい感じにミディアムレアに火が通った牛肉がざっくりと皿に盛られてマスタードグリーンやルッコラ、イタリアンパセリなどにほろ苦い野菜がこんもりと。グラスの赤ワインをもらってくっぴくっぴと飲みながら最後のこの皿も美味しく綺麗に平らげた。夜にだってこんなに食べないよというほどの豪華食事、平日の午後ちょっと遅い時間ということもあって、店内はけっこう空いていてこのあたりからほぼ貸し切り状態。

調子に乗って、ドルチェの前にチーズまでいただいてしまった。前回いただいた「モンドール」というチーズ(こんなの)がそれはそれはツボにきた美味しさだったので、赤ワインが残っているのを良いことにチーズプレートを頼んでしまった。盛り合わせてくれたのは、モンドールとミモレット(赤味がかったハードタイプチーズでもやんとした独特の癖がある)、ロックフォール(刺激強めの青カビチーズ)。ハチミツや自家製マーマレード、クルミや干しイチジクの入った固いパンもちょこちょこと添えられて、ロックフォールにハチミツたらーんとかけたりしながら一口サイズのチーズを軽くつまむ。

モンドール、改めて食べてもやっぱり美味しかった。独特の発酵臭があるけれど、なのに不思議とまろやかでクリーミー。熟成するとトロントロンになるのでスプーン突っ込んでそのトロトロのところをすくって食べる。ずーっと虜になっていてあちこちのチーズショップを覗いては探しているのだけれど、扱っていてもどこでもホール売りで、それが1個3000円くらい。なんでも晩秋から春までの期間だけ売られているチーズだそうで、話によると3月になるとそこらへんのデパートで投げ売り状態になるらしい。マネージャーH代さんが
「僕、このチーズ3月になるとガバッと買いますよ。半額くらいになるんです!1500円くらいです!」
と教えてくれて、3月まで待とうかな、と……(でもきっと待てずに買っちゃうんだ……)。

青カビチーズのロックフォールなんかは今でこそ美味しいと思えるのだけれど、昔々の子供時代、チーズを食べ慣れていなかった頃に池袋サンシャインシティのワールドインポートマートの試食コーナーで口にしてしまってその後軽く5時間吐き気が続いた事があったのが小さなトラウマになっている。なのに恐ろしいことに息子は「ん、このチーズもおいしいね」とか言って食べているし!「このクリームのチーズおいしいねぇ」とモンドールも一口で飲み込もうという勢いで、手を出そうとしているし!だんなと2人、
「ちょっと待てお前には10年早い」
「モンドールの美味しさを知ったのなんて、私なんて数ヶ月前よ!あんたは5歳のくせにー」
「喰うな、絶対喰うな、これは喰うな」
大人げなく、全力で押しとどめる私たち。こんな高級なチーズ食べて「おいしいね」とか言わないでくれい……。

そんなこんなで、デザートはさっぱりめに洋梨のコンポートにバニラジェラートを添え、カリッと空焼きしたナッツ類をたっぷり散らしてミントの葉を乗せたもの。エスプレッソをいただいて、2時間たっぷり楽しんだ豪華(すぎる)ランチは終了した。H代さん、さよーならー、また会う日までー。

「たごさく」の
 釜揚げいなり
「キムチでやせる」の
 焼きそば
 キムチ
ビール(モルツ・ウィンターエール)

そんなこんなで夕方帰宅。
「さっきのはランチじゃなくって、夕飯だったってことで」
「もうなんか軽くつまむ程度で良いねってことで」
と、駅ビルの総菜屋で釜揚げいなりを買ってきた。帰宅後、数日前に通販を頼んだ食べ物一式も届いたので、それも食べることに。

私もだんなも「キムチでやせる」というお店の焼きそばが大好き。焼きそばというよりうどんみたいな麺だし、ソースもいわゆるソース焼きそばのそれとは激しく違うのだけれど、一度食べると「あ、またあれが食べたい」と思えてしまうクセになる。だんなが頼んだその荷物の中には焼きそば8玉と共に小さなキムチパックとプルコギ肉が何故か1kgも入っていた。……いつ食べるの?プルコギ1kg……。

タレと麺がセットになった焼きそばには豚の切り落とし肉とキャベツを入れ、だんながじゃかじゃか炒めてくれた。コッテリした味で、ビールにものすっごくよく似合う。
「くはー!ビールと似合う!」
「うわ、大変、もう1本もう1本」
「黒いのしか残ってないけど!?」
「構わんからあけてしまえぇ!」
「うわー!黒ビールともすっごく似合うー!」
「反則だー!」
なんで焼きそば1杯にこんな大騒ぎしてんだろといったノリで、きゃーきゃー騒ぎながら焼きそばつついてビールを2缶。安いものも高いものも同等に幸せに美味しくて、今日もまた一日楽しかった。

12/27 (土)
手作りケーキ持ちて友人来たりぬ
「モスバーガー」にて
 フレッシュバーガー
 オニポテ
 チキンナゲット
 クラムチャウダー
 山ぶどうスカッシュ

本日、だんなは午前中から忘年会。高校時代の友人Aグループと昼間は外を出歩いて、夜にはBグループと鍋を囲むのだとか。私と息子はお留守番。で、その友人グループにだんなさんがいるMさんもお留守番。
「だんなたちだけ宴会なんてズルいよねぇ〜」
「だったらこっちはこっちで宴会しちゃいましょう」
と、今晩はMさんとちゃかぽこすることになった。

友人が結婚して、その伴侶となった人と自分の気が合うというのは、すごく幸せなことで実際はそうなかなか無いことでもあったりして。私もだんなも、「だんなのお友達、この人はちょっと苦手だわ」という人もいるし、「おゆきさんの友達、こいつはどうも気にくわねぇなぁ」という人は存在してはいて、反面、だんなの友人M井さんなどは既に"私の"お友達……という人もいたりする。「自分の伴侶の友人」の全員と気が合うものじゃないのは当然で、それが「自分の伴侶の友人の伴侶」となると、更に難しくなったりする。Mさん夫妻は、その希有な交友関係を築くことができた大切なお友達だった。

というわけで、美味しいもの作って待っていようと思ったのだけれども、今日の午前中には私が先日サクッと衝動買いしてしまった食器洗浄機の設置工事なのである。皿洗いは嫌いだな苦手だなとずっとずっと思っていて、でもずっと手洗いしていて、アメリカに住んでいた時にもボロ家にいたため食器洗浄機などついておらず、「便利そうだなぁ、でもまぁ、いいや」で過ごしてきたのだった。それがなぜ、今頃。自分でもよくわからない。

狭い狭い我が家の台所のシンクの奥行きや設置できそうな場所の幅を鑑みた結果、設置できるのはシャープ製のものと判明し、ネット通販で軽やかに申し込み(先日の衣類乾燥機はだんなからのプレゼントだったけど、これは自腹……)。設置できそうな場所は私の測定では本当にギリッギリで「可」だったのだけど、いざ設置してみると「全然ダメ」ということが判明した。水の分岐栓が、ひっかかる。
「……ダメ、ですねぇ」
「ダメ、ですか」
「あのね、こっちの棚、この飾り棚を外せば横向きに置けますよ、多分。……扉が開くかどうかがまた問題ですけど」
「……すみません、お手数ですが試してみても良いですか?」

"食器洗浄機設置工事100円キャンペーン"で購入したというのに、予定以上の重労働を強いられる工事担当お兄さん。予定していた場所ではないところに持っていくために、飾り棚の取り外しまでやってもらって横向き設置すると……今度は扉が開かない。
「……2cmくらい、足らない感じですね」
「2cmですねっ!脇の冷蔵庫、多分そのくらいならズラせますっ!あっちのラックもズラせば……」
「はい、じゃあ動かしますよー」
お兄さん、更に重労働。スミマセン……。

かくして、お兄さんの尽力により、洗浄機はなんとか設置できた。が、シンクからちょっと離れたところに設置したので給水ホースも排水ホースも微妙に届かない。あとは延長ホースなりなんなり買って自力でがんばる、ということになった。……それにしても、でかいな。

かくして、当初動かす予定だった棚の移動はなくなって、動かす予定は全然なかったスパイスラックなどが取り外されることになった。
「んーんーんー……ここに、ワイヤーラックとか、つけられそうだな。100円ショップにけっこう良い感じのラック、いくつかあったよね」
と思い出し、そういえば飲まず喰わずでもう12時過ぎ。そういえば1時間くらい前からずっと息子が
「おかぁさーん、ぼくね、おなか、へこへこになっちゃったんだよ」
などと言っていた。そうだよね、そうそうへこへこなんだよね、とスパイスラック物品を買い求めるついでに昼御飯も求めに外出した。家で何か作ろうにも、ダイニングテーブルは棚から溢れたものでごっちゃごちゃのぐっちゃぐちゃ状態だ。えーい、もう、モスバーガーでいいやー、とまっすぐモスバーガーに突入。

息子はチーズバーガー、私は大好物のフレッシュバーガー。オニオンリングとポテトとナゲットもつけてもらい、それらを分け合ってポリポリやりながら、冬のお楽しみのクラムチャウダーも。親子で食べて1400円くらいになるってことは、実はモスバーガーは全然お安くないわけなのだけれども、でも何だか好きなんだなぁ。

白ワイン(ソーテルヌ)
枝つき干し葡萄
ソーテルヌ漬け葡萄のチョココーティング菓子
オニオンとガーリックのチーズペースト with クラッカー

豚味噌鍋(豚肉・白菜・長ねぎ・うどん)

Mさんお手製カップケーキ
アッサムティー

そんなこんなで台所のぐちゃぐちゃも片づいた夕方5時頃にMさんはやってきた。Mさんは妊娠8ヶ月の妊婦さん。
「……ソーテルヌワイン買ったんだけれど、ちょりっと、飲む?飲める?飲んじゃう?」
と、自分が妊娠中もちょこちょこ飲んでいたこともあって悪魔な誘いをする私。ほんのグラスに半杯のワインを注ぎ、夜というには早い時間に早速宴会を始める私たちだった。

おつまみもちょこちょこと。ワインのおつまみにはこれでしょー、な、枝つきの大ぶり干し葡萄。プランタン銀座の地下で試食販売やっていて気に入って買ってきた、ソーテルヌに漬け込んだ葡萄をチョココーティングしたお菓子。恵比寿の「ワインマーケットPARTY」で気になって買ってきた、チーズペーストに玉ねぎとガーリックを練りこんだもの。クラッカーを添えた。

そしてメインディッシュは豚味噌鍋。酒粕と仙台味噌と醤油をベースに練り胡麻や生姜や砂糖なんかを合わせてじっくり火を通してペースト状にした練り味噌を昆布だしに溶かし、豚肉や白菜でいただく我が家定番の鍋料理。冬にやってくるお客さんには問答無用でこれを食べさせることが我が家の習慣のようになっていて、場合によってはきのこ類や青菜、大根なんかも用意するのだけれど今日は基本ということで豚と白菜と長ねぎとうどんの超定番組み合わせ。私もMさんも息子も、はふはふと良く食べた。ぶわーっと食べながら、ぶわーっとおしゃべり。それでも7時前から飲み食いしていたので8時を前にはすっかり体も温まって満腹になった。きっとだんなたちも、今頃は鍋を囲んでいるはずだ(後で聞いたところによるとMさん宅に集ってしゃぶしゃぶしてたらしい)。

食後、のんびりする間もなく、
「……カラオケ、行っちゃおうか」
「行く行く!すっごく久しぶり!」
「……駅前にね、そこそこ良い店が」
「ぼくもー!うたうー!」
とそのままカラオケボックスに。「これからカラオケ行ってくるよー」とだんなの携帯に一報入れてから出かけると、彼らも彼らでカラオケに行くことになったようだ。夫婦別れて何やってんだろね、と2時間半Mさんと熱唱。今日も私はブリトラ(ブリーフ&トランクス。もう大好き)を5〜6曲歌って、初めて聞いたであろうMさんを脱力させるのに成功した。最近しっぽまであんこが入ってるわけ〜中身にマヨネーズなどが入ってるわけ〜♪

こちらはこちらで忘年会を楽しみ、いつのまにか午後10時半。家に戻ってくるとほんの数分後にだんなたちが帰ってきた。最後にアッサムティーを淹れ、Mさんがお土産に持ってきてくれたクルミとココアのカップケーキを深夜のおやつにちょこちょこと。バターたっぷりでしっとり生地がとっても美味しかった。
今はちょっと離れたところに住んでいるのでなかなか会いに行くのも大変なのだけれど、あと何年かしたら電車で20分ほどの関係になる。そしたらお総菜の交換とか、するんだよね。楽しみ。(そういえば私にはご近所友達ってのが全然いない……と今更気づく)。

12/28 (日)
野菜たっぷりプルコギ (夕御飯)
千葉 「銚子丸」にて
 ハマチ・ブリ・関サバ・カツオ
 平目(?)・ウニ・穴子
 タラバ蟹・あぶり馬刺
 茶そば
 大トロ・中トロ
 お茶
……などなど。

最近私も年なのか、割と朝早く目が覚めるようになってしまった。よーし今日は10時過ぎまで寝ちゃうもんねー、なんて日でも、9時前に目覚めてしまう。それでも9時間はぐっすり熟睡していたりするので、これは「老けた」というより「子供じゃなくなった」という方が正しいのかもしれない。学生時代、「え?毎日4時間しか寝てないわよ?」という友人がかなり多かった中、私は毎日8時間か9時間は寝ていたのだった。寝る子は育つ。

……でも、だんなは良く寝ていらっしゃる。9時を過ぎて、未だ爆睡。昨日書かずに寝てしまった日記を書いて、部屋の散乱した荷物をちょこちょこ片づけて、もう時間は10時半。
「もう10時半ですよぅ〜。そろそろ起きなさい♪……ゴルァ」
優しく起こしてあげた。ゴルァは余計だったでしょうか。

台所には、昨日半端に設置された状態の食器洗浄機が鎮座ましましている。スペースの問題で予定外の場所への設置を余儀なくされたのだけれど、給水ホースと排水ホースが元々ついていたものでは長さが足りないことになってしまい、現在は「どこで調理せいっちゅーねん」という、正面とも横向きともつかぬ変に斜めになった状態に置かれている(←その状態にしてでも使う気満々の私……)。ホースは電器店に行けばすぐに買えるというものではないらしく、取り寄せてもらわなければならないらしい。今日の午前中にでも近くの電器店に電話して取り寄せてもらおうねーと、昨日だんなとの夫婦会談で決定したのだった。

「ほらー、起きてー。ホースの取り寄せ電話しなくちゃなんだわよ」
起き抜けのぼへーっとした顔つきの夫に告げると、
「ホース取り寄せの申し込みついでに……すし?」
とやけにはっきりした声で誘いがかかった。それはどう聞いても、"ホース取り寄せのついでに寿司"というより"ホース取り寄せを口実に寿司"というか"寿司のついでにホース取り寄せ"というか、寿司を食べるのがメインだというのがありありと感じ取れる。……そんなに寿司が食べたいのかい、ここんとこ美味しいもの食べ続けなのに……と詰め寄る気持ちを持ちつつも
「んー、寿司……いいねぇ。銚子丸……いいねぇ」
やる気全開で答えている私。ぼくはねー、玉子とイクラがあればいいんだなぁー、と喜んでいる息子と共に、15分くらいで準備してせかせかと千葉駅に行ったのだった。まずは本来の目的であるはずのホースの注文から。

数週間ぶりの回転寿司、銚子丸。ここしばらく、何だか行っても活気はない(どころか店員さんの愛想がかなーり悪い)状態で、欲しいものを注文するのも気がひけるし雰囲気悪いしで「……好きだったのに、けっこうダメになってきちゃった?」という印象があったのだけど、今日はうって変わって何だか良い感じ。しかも今日の魚は、かなり美味しいものが揃っている。何度か大トロと中トロが大差ないような状態の今ひとつなマグロが出てきた時もあったけれど、今日のトロは大トロは溶けかけのババロアみたいなとろーんとした舌触りだし、中トロもそれにほんのりマグロの赤身臭さが加わった良いバランスの味だったし、「ああもうこれが380円とか500円とかで食べられるならとてもOK!」と思えるものだった。ハマチも脂が乗りまくってツヤツヤぷりぷりしているし、カツオもしっかりした味の身の詰まった感じのするものだし。

「……まいったよ、回転寿司ですっかり満足している自分がいるよ」
「うわ、今あそこで握ってる、あれカニ?タラバ蟹?……ぷりぷりしてて美味しそう……」
「頼む?頼んじゃう?すみませーん、それ、こっちにもくださいぃ」
と、「カツオ頼むけど1つ食べる?」「あ、私、馬刺握り頼んでみるけどこっちも食べる?」なんてだんなと1皿2カンの寿司を半分ずつ分け合って食べたりした。かくして、かなりの種類をお腹いっぱい食べた気分になりつつ、お会計は7000円弱。お寿司をお腹一杯食べちゃうというのは粋ではないと自覚はしているんだけれども、目の前を旨そうなものがぐるぐる動いていると、つい手が出てしまうのよね。温泉玉子入りの茶そばとか。今日はクレームブリュレやモンブランまで回っていて(光景として、すごく違和感)、どうしようかと思ってしまった。大変に危険だった。

プルコギ(牛肉・玉ねぎ・もやし・ニラ)
焼きうどん
ビール(モルツ)
マスカルポーネのセミフレッド
カフェオレ

めでたく用事も終わり、今日の第二の目的は「クリスマス物品の片づけ」。アメリカ人のようにだらだらと年明けまでツリーを飾っているのも悪くないけれど、巷に鏡餅とか門松だとかが溢れ始めると、帰宅するたびに「ああ早く片づけなくちゃ」という気分が高まってくる。そろそろさすがに片づけ時だろうと、大小ミニの3種類のツリーをがさがさと片づける。飾るのは楽しいけど、片づけるのはちと空しい。だんなはだんなで
「じゃあ俺は窓ガラスを拭くことにしよう」
と、私がニセもみの木と格闘している間に家中の窓ガラスをペカペカに磨いてくれた。昨日は台所を綺麗にしたし、今日は窓ガラスが綺麗になったし、大掃除も半分終わったって感じ?(いや、まだ風呂場の大掃除とか電気のカサを全部拭くとか、徹底的に掃除機かけるとか……)

ちょっとくたびれたところでの今日の夕飯は、プルコギ。先日だんなが好物の焼きそばと一緒に「キムチでやせる」という店でネット通販したプルコギは牛が500gに豚が500g。プルコギを買ったのは今回が初めてで説明書読みつつ
「玉ねぎともやしとニラ入れると良いってよー」
「ふーん、最後は焼きうどんすると旨いのか」
と、興味津々プルコギ作り。今回は牛肉プルコギ。

プルコギとは、グジュッと汁気を含んだ"煮込み焼き肉"みたいなもの。本式の鍋は小さな穴や隙間があいている、中央が盛り上がったジンギスカン鍋に似たような感じのもので、肉だけをうじゃうじゃと焼いて食べたり野菜を混ぜて焼いたりする、らしい。最初からタレが揉みこんであるのだけど、辛さより甘さが強いような感じだ。我が家にはプルコギ鍋もジンギスカン鍋もないので、ホットプレートで焼いて食べることになった。ビールと白い御飯がめちゃめちゃ恋しくなる、香ばしい匂いに甘辛こってり味。肉よりも野菜の方が多いような状態にして、ビール片手に一気に食べた。焼き肉も良いけど、プルコギも美味しい〜。んで、シメはホットプレートに残った焼き汁や少量残した野菜を絡めつつ、焼きうどん。

デザートは、マスカルポーネチーズで作った「セミフレッド」というイタリアのお菓子。セミフレッドを作るのはこれが初めてで、「マスカルポーネチーズ……手元にあるのは良いけど、何を作れば良いんだろ……ティラミスじゃ、なんだかありきたりだし」と悩んだ結果、これを作ることにしたのだった。卵の黄身に熱く温めたシロップを加えながらしっかり攪拌して"ザバイオーネ"と呼ばれるソースを作り、そこにチーズを加え、チーズと同量の固く泡立てたホイップクリームを加えてから冷凍庫で固める。要するにアイスクリームなのだけれど、普通のアイスクリームとは違った、どこかスポンジケーキに似たふわんとした食感が楽しめる「冷たいケーキ」とも表現できるような食感と味のお菓子だ。ドライフルーツやチョコレートを入れたものなんかが、時々イタリア料理店で出てきたりする。

マスカルポーネチーズ入りの卵色のセミフレッドにはアツアツのエスプレッソをかけても美味しいらしいのだけれど、コーヒーの準備をしてしまったのでエスプレッソはなし。代わりにココアパウダーをちょこっとかけて、ティラミスっぽいものにしてテーブルに出した。シャーベットみたいにキーンと冷たくないセミフレッドは、冬のデザートとしても良く似合う。初めて作ったにしては成功したっぽい味に仕上がった。