食欲魔人日記 04年08月 第2週
8月9日 月曜日
スペアリブ焼きました。塩胡椒でシンプルに〜。
あんだんすー入り玄米おにぎり
2日目の豚汁
麦茶

今週はお盆週間。この1週間にお休みの人が多いのかもしれないけれど、我が家の夏休みはまだちょっと先の話だ。どこに出かけても人だらけの今週は家に籠もっているに限るわよねと、今週の予定は花火大会に行くことくらい。息子のジムもピアノも今週はお休みだ。

「というわけで、予定がない今日は家でだらだら〜、だらだら〜♪」
今日はとにかくだらだら決定。幸いというか不幸というか私がする事もなくて、届いたばかりの通販カタログをぺらぺら捲ってみたりなんかして。

息子と2人、昼間近の朝御飯。2日目の豚汁があるのは嬉しいな、嬉しいなと、昨日だんなが作ってくれた豚汁を温める。豚汁にはおにぎりが似合うよなー、と、冷凍御飯をチンして、沖縄の甘い肉味噌「あんだんすー」を中に詰めておにぎりに。冷凍御飯を2包み温めたら、4個のおにぎりができた。ちょうど同じくらいの大きさに仕上がって、
「お、おにぎり、上手く作れるようになったじゃん。やればできるじゃん〜」
誉めてくれる人もいないので自分で褒め称えてみる。私はずっとずっとおにぎりが下手くそだなと自覚していた(それゆえにおにぎりはいっつもだんなににぎってもらっていて、上達する道を自ら阻んでいた)のだけれど、息子のお弁当を作るようになり、少しずつ上手いことにぎれるようになってきた。具を詰めてもはみ出ないぞー。いぇーい。

「わ!おにぎりだ!」
「おにぎりと豚汁だよ」
「おにぎりはー、4こあるから、ぼくとおかあさんと2こずつだね」
「そう、2個ずつね」

甘くてトロンとした肉味噌入りのおにぎりを囓りながら、豚バラ肉がヒラヒラと浮かぶ豚汁を啜る。味噌がこっくりと煮詰まって、大根は茶色に染まってクタクタヤワヤワ。豚の脂もとろけそうにふわふわ。どの店で食べるより自分ちで作る豚汁の2日目のが美味しいわ、とまで思ってしまいつつ、私も息子も豚汁をおかわり。汗がだらだら吹き出てくるけれど、夏の豚汁もまた最高。そうそう、刻んだ茗荷を散らしても美味しいのだ。

クールン
カルピス

私の大好きなインスタントデザート、「クールン」。クールンだクールンだ、クールン食べたい!と、数日前に久しぶりに1箱買ってきた。箱には2つの袋が入っていて、ビスケット粉には少量の牛乳を混ぜてしっとりさせて皿に貼り、チーズ粉には100ccの牛乳を混ぜて溶かしてそのビスケット敷きの皿に流し入れる。あとは冷蔵庫で固めるだけという、おっそろしく簡単なデザートだ。でも、妙に懐かしい味がして、これが大好き。買ったのは数年ぶりで、前回は息子が産まれるか産まれないかの時に購入して、作って一人で食べちゃった。結婚してから何度かは購入しているはずだけれど、なぜかだんなは口にできたためしがない謎のデザートだ。

「それは、おゆきさんがいつも一人で全部食べちゃうから」
と、だんなはクールンを見るたびにちょっと微妙な表情になる。買おう買おう、と籠に入れても、結局自分の口には一度も入ってこないのだ。だから今回はだんなと一緒に食べるようにしよう、せめてだんなの分を残しておいてあげよう、と一応強く心に刻んでおいてみたのだけれど、やっぱり気づいてみると全部なくなっていた。だんな、ごめーん。

なんてことないビスケットの台は、でもサクサクとして好みな甘さ。ヨーグルトとチーズを合わせたような子供っぽい味のレアチーズムースのようなケーキ部分も、プルプルと柔らかい食感やさしい甘さでこれまた好み。久しぶりに食べたけれど、やっぱり大好きな味だった。息子にもおおいに受け、
「おかあさん!おいしいねぇ〜」
「うん、やっぱり美味しいよね」
と、1/4ずつ切って食べたそれをおかわりしちゃって皿は空。しょうがないのだ、このケーキ、パッケージからはけっこう大きなものができそうなイメージがあるのだけれど、できあがるのは「コーヒー皿に1杯分」(コーヒーカップじゃなくて、コーヒー皿ね)でしかないのだ。直径15cm程度、厚さ2〜3cmほどの薄く小さなケーキができあがるのが、このクールンなのだった。

「……しまった、食べちゃったよ」
「たべちゃったねぇ〜」
「またお父さんに食べさせられなかったよ」
「のこしておいてあげたほうがー、よかった?よかったかな?」
「うん、まぁ、いいやー」
「いいやー」
あんまり良くないんだけどね。まただんなが天を仰いで「おゆきさんたら、また食べさせてくれなかったー」と嘆きそうだから、今度こっそりまた買ってこよう。

スペアリブとじゃがいものオーブン焼き ローズマリー風味
2日目の豚汁ファイナル
御飯
チャンジャ・壺漬
麦茶

だんな、激ジョブ。昨日からおおよそ検討がついていたので、少量パック入りのスペアリブを買ってきてある。コテコテ味のバーベキュー風味で焼こうかな、とか、甘辛く煮付けちゃおうかなとか色々考えたのだけれど、シンプルに塩焼きにして食べるのが一番かな、と、岩塩ゴリゴリ挽いて黒胡椒もガリガリ挽いてたっぷりまぶしつけてからオーブン焼きに。一緒に一口大に切ったじゃがいもも天板に並べ、豚の脂を染みこませながら上下を返しつつ焼いてみた。20分もオーブンに入れておくと良い感じに焼き色がつく。仕上げにベランダのローズマリーを摘んできて上に乗せた。ベランダのローズマリーは、今花盛り。花のついていないところを探してきた。

「豚肉料理に豚汁というのも何だけど」
と、豚汁を息子と一緒に飲み干してしまいながら骨付き肉をわしわしと囓りまくる。薄べったい骨に張り付いた肉は息子にはいまいち食べにくかったみたいで、1切れ目を食べていたところで
「もうね、お肉いらない……おいも食べる……」
なんて言っていたくせに、1切れ食べ終わる頃には「おいしい!」と気づいたらしい。ちょっと目を離した隙に、息子の皿には骨が2個3個と増えていった。最後の1切れ、豚汁お代わりしてから壺漬つまみながらいただこう〜、と台所に行って戻ってきたらその最後の1切れもなくなってるし。

「……おいしいですか」
「はい!お肉、おいしいでーす!」
「じゃあ……いいや……うん」
買ってきたスペアリブは5〜6cm長さに切られたものが6個ほど入ったパックだった。これからは息子と2人でも10個くらい詰まったものを買って来なきゃいけないことになるらしい。最近の息子は、ちょっと呆れるほど大食らい。

8月10日 火曜日
この雲白肉が絶品なんです大好きなんです
南国フルーツグラノーラ with 牛乳

今日は一日横浜&鎌倉方面にお出かけ。帰宅はきっと夜遅くになる、気合いを入れたお出かけだ。だんなも仕事をお休み。朝9時過ぎの電車に乗らなきゃいけないということで、そこそこ早めに起床していそいそと準備し始めた。

これから昼御飯を食べに行くとはいえ、空腹で移動するのはちょっとつらかったのでフルーツグラノーラに牛乳をかけてざくざくと。
「うーん……シリアルって感じじゃないんだよねぇ……でも軽く何か食べたいんだよねぇ……」
と呟いただんなは、なぜかインスタント焼きそばを食べていた。え?軽く食べたくて焼きそば?なぜ?(だんなの中ではカップ焼きそばは軽食に分類されるのであるらしい……)

横浜中華街 「鳳林」にて
 雲白肉 \1200
 焼売 \600
 小龍包 \700
 大根餅 \550
 香港風クリーミー巻き揚げ \600
 エビ餃子 \700
 豚足 \500
 排骨会飯 \900
 杏仁豆腐 \450
 芒果布丁 \450
 生ビール 2×\500
あー、うまうま。超うま〜。

今日の最終目的地は鎌倉なのだけれど、せっかくそっちに行くなら横浜中華街に寄ってお昼御飯を、ということに。

久しぶりに訪れたのは関帝廟通り沿いにある小さな中華料理店「鳳林」。久しぶりにこのお店の雲白肉が食べたくて食べたくてやってきた。私もだんなもこのお店の雲白肉(ウンパイロー。茹でた豚バラ肉をスライスして、ラー油を使った辛いタレにつけて食べる)が大好き。他のお店で食べるそれは、ただ辛ければ良いと思ってるのかラー油の味しかしないようなものが多かったりするのだけれど、この店のは辛く甘く旨く、なんともいえない美味しさなのだ。なんでも仕込みに2時間かかるということで、以前ふらりと予約なしで訪れた時は「今日はね、まだ仕込んでないからー」と食べられなかったのだった。だから、今日は数日前にきっちり予約を入れて、
「雲白肉が食べたいんです。お願いしまーす」
と伝えておいた。

メニューは麻婆豆腐だ回鍋肉だ青椒肉絲だ酢豚だといった、ごくごく普通の中華料理店。点心も10種類ほど揃っているけれど飲茶の店というわけでなく、微妙に品揃えが半端だけれどどれもとっても美味しい。値段は安からず、高からずといったところ。いつも給仕のおばちゃんらが数人威勢良くパキパキと働いている。

「はい、お待ちしてましたよ。雲白肉のご予約もいただいてます」
「うん、雲白肉とね、あとは点心で……これとあれとそれとこっちも……」
まずは生ビールを注文し、点心をいくつか注文。次々やってくるホコホコと湯気を立てる点心をつまみつつ、久しぶりのこのお店の味を堪能した。

最初にやってきたのは、予約しておいた雲白肉。厚さ2mmほどにスライスされたバラ肉が平皿にぐるーりと並べられ、ラー油の赤い色がキラキラ光るタレがたっぷりとかかっている。上には薄切りにしたキュウリもたっぷりと。このタレが、ラー油の辛さも感じられるのに旨さもたっぷり。干し海老や干し貝柱が入っているように思われる旨味たっぷりの茶褐色のペーストが混ざっているのだけれど、これはXO醤に近いような感じ。中に入っているものがわかるようでさっぱりわからなくて、家で再現するのは全然無理っぽい感じ。ビールが進んじゃって、白い御飯も恋しくなっちゃうようなコッテリ味だ。相変わらず美味しくて、あっという間に皿は空になった。

そして、
「あ、これね、1こ食べるよ。こっちも1こ食べる。おまんじゅうも食べる」
息子がきっちり1個ずつ平らげていったのはプリプリした焼売、アツアツスープの詰まったもちもちした小龍包、こんがりと表面がサクサクに火が通った大根餅、プリッと弾力のあるエビ餃子(蝦餃)、そして他ではあまり見かけない、「香港風クリーミー巻き揚げ」。以前は大根餅と焼売の他には炒飯や焼きそばばかりを欲しがっていた息子は、いつのまにかほとんどの点心をわしわしと食べるようになっていた。全ての種類を1個ずつ小皿に乗せてもらった息子は、すごい勢いで平らげていく。……ああ、クリーミー揚げは私が2個貰おうと密かに狙っていたのに、それを食べるか、食べるのか息子。まぁ、いいや。

店はそれほど広くなく、でも厨房には3〜4人が働いている様子。出てくる料理はどれも舌を火傷するほどアツアツで、そこがまた嬉しい。点心はどれも素朴な美味しさで、以前も食べた記憶があるクリーミー巻き揚げも相変わらず美味しかった。魚介の濃厚なクリームシチューを春巻きにしたような感じ。噛むと中からトロンとミルク味濃厚なシチューが溢れてくる。

そして、店内の壁に貼られていたメニューが目に入って注文してしまった、豚足も。淡い茶色のタレで煮込まれた豚足は骨から身がモロッと崩れる柔らかさで、どこもかしこもプリンプリン。ジョッキの底に残ったビールをちびちび飲みながらコラーゲンがプリプリプルプルする豚足を堪能した。

御飯ものが欲しいよねと最後に注文したのは排骨飯。ここの排骨(パイクー。豚の骨つきスペアリブ)は、ほんのりとカレーの風味。タレの味は濃すぎず淡すぎず、揚げられた豚肉をとろみのあるタレで煮込んで青菜などと共に御飯にかけたものが排骨飯だ。これも他の料理と同じく、どこか優しい味で期待以上に美味しかった。

このお店は、私とだんなが大好きな鶴見の「翠華樓」というお店でかつて料理長をしていた人が独立して中華街に構えたお店なのだとか。その「翠華樓」というお店もマンゴプリンが美味しくて(もちろん料理も美味しくて)大好きなのだけれど、このお店のマンゴプリンもまたちょっと独特でとっても美味しい。当然頼む。

半球型のドーム型をしたプリンには細かく刻まれた果肉がホロホロと混ざっている。でもプリン生地そのものはミルクババロアのようで、それがまた優しくどこか懐かしい味。適度にかけられたエバミルクを生地に絡めつつ、変わっていない久しぶりの味が嬉しかった。息子もしっかりあれこれ食べた後に杏仁豆腐も楽しんで、御満悦。

横浜中華街 「雅秀殿」にて
 マンゴープリン \315

横浜中華街 「甜蜜園」にて
 芒果布甸 \300

食後はちらりと中華街散策。夕飯につまめるようにと蒸しパンを買ってみたり、家で久しぶりにお粥を煮ようかとピータン買ったり油条買ったり。プーアル茶がなくなりそうだったねとか、豆鼓も欲しかったんだわなんて、ついあれこれ買い物してしまった。これから鎌倉に移動するのに、ついつい。

しかもついつい、美味しそうなマンゴプリンを見つけるとふらふらと店に吸い寄せられてしまう。
台湾で食べたみたいなマンゴーかき氷を売っていた(それがまた、めっちゃめちゃおいしそうだった……)お店で1個買って食べ、大珍樓がやっている中華カフェ「甜蜜園」という店でも1個。どちらも椅子のあるお店だったので店頭でちょこっと座っていただいてきた。マンゴーの果肉がこれでもかこれでもかと入った雅秀殿のも美味しかったし、カスタードパウダーの匂いがする、果肉たっぷり水っぽさもある甜蜜園のもスタンダードな感じで素敵。

「あーうー、これから家に帰るんだったら野菜とかも買って帰れるのに……あー、空心菜が美味しそう!」
「こっちのマンゴーもめちゃめちゃ美味しそう!」
そんな事言いながら、荷物は多く、なのに未練もちょっと多く、中華街を後にした。

鎌倉花火大会会場にて
 鶏の唐揚げ
 海老の素揚げ・肉団子
 中華蒸しパン・焼餅・揚げ胡麻団子・蛋撻
 おにぎり
 ビールとかジュースとか烏龍茶とか

今日の一番の目的は、鎌倉の花火大会を見ること。だんなが職場の同僚たちと鎌倉の花火を見よう!という話になったということで、「花火好きでしょ?おゆきさんもおいでよ」とお声がかかった。鎌倉の花火は、発数は3000弱と、かなり小規模。でも、他ではあまり見られない「水中花火」が見られるということで、密かに楽しみにしていた私。

鎌倉駅から徒歩15分くらいで行ける由比ヶ浜、夕方になると当然すごく混み合ってくるだろうということで、2時半頃に到着して5〜6人が座れるような場所を探す。今日は深夜にかけてずっと満潮になっていくということで、その頃の波打ち際を予想しながらの場所探し。喫煙所の近くで、でも風はこちらにこなさそうなところを見つけたので、そこにレジャーシートを広げた。息子はさっそく水着に着替えて、あまり綺麗とは言えない海に向かっていった。風は強く、波も高め。じりじりと焦げそうな砂浜で、私はンボーッと海を眺めていた。

で、夕方に近づくに連れてだんなの同僚さんたちもちらちらとやってきて、最終的には我が家3人、同僚さんたち4人の計7人で花火鑑賞。強風で砂も吹きつけてきて全身ジャリジャリになってしまいながらも、食べ物になるべく砂がかからないように工夫しながらあれこれつまんだ。中華街で買ってきた蒸しパンや焼き餅を囓り、夜店で買うと高いからねと途中スーパーに寄って買ってきたウィングスティックをつまむ。最後にやってきたNさんが大量のおにぎりやつまみも買ってきてくれ、5時頃から宴会しながら暗くなるのを待った。海岸はもう、レジャーシートが隙間なくひかれるほどの大混雑。海岸沿いにずらーりと夜店も並び、壮観だった。

数時間後、初めて見た鎌倉の花火大会。
「次はプログラムナンバー23番。菜の花、です」
1つ1つプログラムが紹介されては、5〜6発、下手すれば2〜3発くらいの花火がシュルシュル、ポン、と上がっていく、なんともまったりした花火大会。それでもメリハリ良くスターマインが途中に混ぜられたり尺玉も数多く上がったりと、とても楽しめた。
なんといっても素敵だったのは、水中花火。海上に半球状、扇形状に広がる花火は空中に上がるよりも遙かに岸に近く、お腹に震えが来るほどの音が響いてくる。海の上でどっかんどっかん光る花火の奥では同じ色合いのスターマインが打ち上がったりして、声も出せないほどに美しい光景だった。風が強かったのが幸いして煙が花火の前に留まってしまうこともなかったし、座る場所も良かったのか遮るものは何もない状態で花火が打ち上がるその根元の根元までくっきり見渡すことができた。ああ、花火大好き大好き。

ヨレヨレと鎌倉駅に戻り、千葉行きの電車に乗って家に帰り着いたのはもう11時半。
花火大会、今週末は晴海の東京湾華火大会にも行く予定。こちらはこれでもかと発数のある華やかなもので、それもまたとってもとっても楽しみ。お弁当作って、船の上から見るのよ。釣り船よ。ちょっとワイルドな見物になりそうな予感。

8月11日 水曜日
ラーメン屋さんのねぎ豚めし。不思議とおいしい。
冷凍カレーライス
玄米入り御飯
麦茶

昨日は1日遊んで疲れ果てた。頭のてっぺんとか指の先とかから「ぷっしゅうぅぅぅ」と何かが抜けちゃっていくような感じで、激しくやる気が減退中。週末に行ったスポーツジムが原因の筋肉痛で背中や二の腕やふくらはぎがここ数日ずっとピキピキしていたうえに、昨日は砂浜で日焼けしたので腕や顔がヒリヒリ。体の外も中もイヤ〜な感じに痛かった。

「はい、やる気ないおゆきさんは寝てなさいね。ゴミは出してくから」
「うん、ありがとー……」
「洗濯物も乾燥機入れて干すものも干しといたから」
「……すごっ!はやっ!」
ありがとーだんな、いってらっしゃーいだんな、フレーフレーだんな、と玄関先で我が夫をお見送り。そのままヨレヨレと布団に戻りつつ、でも何か胸騒ぎがしてテレビをつけたら『姑獲鳥の夏』の映画化がなんちゃら、という芸能ニュースが流れているところだった。

「……うっわー、エノさんが阿部寛に京極堂が堤真一?木場シュウが宮迫……?」
あらあらまあまあ大変、とだんなにメールを打つ。確か姑獲鳥の夏は私が社会人になった年に発売された本で、その年のお盆休みに私は水疱瘡で寝込む羽目になったのだった(成人してからの水疱瘡だったから、それはそれは大変で……)。身体中ブツブツで熱もひかなくて、でもすることもなくてその本を読んでいた記憶がある。あの新書の表紙を見るたびに水疱瘡の夏の記憶が蘇ってくるのだけれど、京極夏彦が好きになった夏の記憶でもある。それからむさぼるように京極作品は読みまくっているけれど、一番好きなのは『魍魎の匣』。ほぅ。

懐かしいなぁ読み返そうかなぁと思っていた矢先に、通販で頼んでいた本がドバドバと届く。もともとのやる気の無さに拍車をかけて、今日はずーっと読書。読書と言っても趣味の「怖い本読み」で、届いたのは『新耳袋』とか『死に逝く街の怖い話』とか、そんなのばかり何冊も。夏にはこれよね〜……と、恐がりのくせに、背後を気にしてしまったりしながら怖い話を読みまくった。

気がつくとすっかり昼で(例によって息子は10時頃まで爆睡……昨日、帰宅したのが11時半近くで布団に入れたのは日付が変わってからだったし)、やる気のないまま昼御飯。冷凍庫に自家製カレーの残りを冷凍しておいたのを思い出して、
「そして冷凍して2週間後にまた3杯〜♪」
と、カレーの歌を歌いながら電子レンジでチン。同じく冷凍保存しておいてあった玄米御飯も電子レンジでチン。ちょうど2人前分くらいのルーが残っていたので息子の半分こして食べた。

自家製カレーを冷凍したものは、そのへんのレトルトを使うよりは当然ずーっと美味しかったのだけれど、やっぱり冷凍前の味を思い起こすとちょっぴり美味しくなくなっちゃったかな、という風味。すっかりペースト状のようになったモロモロに崩れた肉を御飯にわやくちゃに混ぜて、ドライカレーのような状態にして食べた。ああそうだ、夏の間に夏野菜のカレーを作ろうと思っていたんだった。肉は抜きで、水も使わず、トマトや玉ねぎから染み出る水分だけで煮るカレー。茄子山盛り入り。

稲毛 「一鉄」にて
 秘蔵らーめん \630
 煮卵 \100
 ねぎ豚めし \300

「おゆきさん、やっぱり今日はやる気なし子さんですかー?」
「ええ、ぜんっぜん、ありません」
「……9時に俺が帰るまで待ってられるなら、一緒に夕飯喰う?どっかで」
「喰う!どっかで!」
今日も電波が色々飛んでいたのかと確信したくなるタイミングで、だんなから電話があった。そのとき私は居間に各宅配屋のチラシを広げて、
「ここの寿司は旨そうだが高いな……こっちのちらし寿司はどうだ……」
と真剣に悩んでいるところだった。この店かこの店かこの店にしよう、と絞り込んだところの電話だったので、本気で驚いた。なんだ、なんだその電波受信アンテナは。

「俺はラーメンが食べたい気分なんだな」
「うん、良いですね、ラーメン」
9時頃に最寄り駅改札でだんなと待ち合わせ、この時間にやってるラーメン屋というとここかあそこかあそこなんだけど、とか言いながら「一鉄」というお店を目指す。適度にコテコテしたラーメンを出してくれる、豚骨スープがなかなか美味しいお店。

いつもは豚骨ラーメンをいただくのだけれど、今日は空腹で更にコテコテしたものを食べたい気分だったので「秘蔵らーめん」なるものを。揚げ葱と揚げにんにくがどっさりとトッピングされる、濃厚な褐色のスープの濃厚なラーメンだ。100円追加で煮卵トッピング。麺は息子に相当量奪われるだろうと予想して、「ねぎ豚めし」もつけてみた。いつの頃からか、ラーメン屋さんにこういうミニ丼が置かれるようになったのだけれど(私の子供の頃は、ラーメン以外のメニューというとチャーハンかギョーザかといった感じだった気がするのだけれどね)、このミニ丼がさりげなく楽しみな私。どのお店もそこそこ工夫が見られて、豚骨ラーメンに辛子明太子御飯は嬉しいわとか、シンプルだけれど高菜飯も悪くないわとか、注文するとついそちらも真剣に食べてしまう。

で、「秘蔵」はすっごく濃厚だった。何度かだんなが注文していたのを脇からもらっていただけだったので、いざ自分のどんぶりとしてやってくると「うっわー……濃厚……」と、脂汗が吹き出てきそう。表面には油の層ができ、中央にこんもり盛られた揚げにんにく。チャーシュー1枚とメンマと海苔が添えられて、スープの褐色の色を吸い込んだような茶色い麺がキラキラと光る。コクがあるというよりちょっと塩辛さが強くて、スープ全部は飲みきれなかった。最後はスープをおかずに甘辛豚肉と葱がトッピングされた御飯をかっこんでみたりして。

怖い本もおおむね読み終わったことだし、明日はちゃんと料理しよう。買い物行こう。ほぅ。

8月12日 木曜日
作成時間20分のミートソース。
カレーパン
アイスカフェオレ

昨日の夜、ラーメン屋に行く前に閉店間際のパン屋さんに駆け込んでいくつかパンを買ってきた。安売りしていたカレーパンが2個と、息子は丸ごとリンゴパイ。
「え?クリームパンでもチョコパンでもなくて、このリンゴのがいいの?」
「うん、りんごのパン、食べるの」
今まで一度も買ったことのないパンを息子は欲しがり、私も買ったことがないそのパンを買ってきた。

そして今朝は私とだんな2人の朝食。息子はもう少し寝かせてやろうということで、カレーパンをオーブンに放り込んで中までしっかり温めてから食卓に出す。お供はアイスコーヒーと牛乳を半々に混ぜた好みな具合のアイスカフェオレ。

カレーパンマンの頭部のような、ごくスタンダードな形のカレーパンは、ごくスタンダードな味。表面のパン粉がサクサクと香ばしくて美味しい。カレーパンは食べ応えがあるので、これ1個で朝御飯。

で、その1時間後くらいに息子は一人で丸ごとリンゴパイの朝御飯。私は同じテーブルについて本を読んでいたのだけれど、
「でっかいな。どうやって食べたらいいかな?」
牛乳を一杯最初に飲み干した息子はそんな事を言っている。普通に手で持ってさ、ハンバーガー食べるみたいにガブーってやったら良いんじゃない?と返事をしたら、
「でもね、ぼくの歯、ぐらぐら……」
左側の前歯を見せて指でくにくにと触ってみせる。ああそうだったそうだった、息子は今、前歯が1本抜けかけていてグラグラしていたんだった。

下の前歯が立て続けに抜けたのは夏休みが始まるちょっと前の話で、それが終わったらすぐに上の歯がグラついてきた。乳歯が生え替わる時期ってそういえばひっきりなしに不快だったよなぁ……と思い出し、
「そうだったね、ごめんごめん忘れてたー」
と、ごろりと大きな拳大のパンをケーキのようにざくざくと放射状に切ってやる。一口大に切れたパイと煮リンゴを前にして、
「ありがとー。これならね、食べられるね」
前歯グラグラに負けずに淡々とフォークを使いつ息子はパンを平らげた。……あれ?前歯グラグラなのはもう1週間くらい続いているけれど、スペアリブ、昨日ガブガブ食べてたな。大丈夫だったのかしら。

簡単ミートソーススパゲティ
レタスとトマトのサラダ
コーンスープ(インスタント)
アイスティー

午前中、流していたテレビのお料理コーナーでミートソーススパゲティを作っていた。
「あ……美味しそう」
「おいしそー!」
息子と二人、見事にハモッた。顔を見合わせて
「おいしそうだねぇ、おかあさん」
「……今晩、このスパゲティ作ってあげようか?」
なんて会話をし、今日の夕飯はミートソーススパゲティ。だんなは激ジョブで今日はきっと遅くなるはず。
午後になってから、ふらりと近所のスーパーに買い物に行き、牛ひき肉や野菜を買ってきた。

テレビで流れていたのは斜めに見ていただけだったのであんまり覚えていない。でも、何分も煮込まなくても良いミートソースで、缶詰のトマトなども使わないでできるというレシピだった。確か、玉ねぎやにんじんと挽き肉を一緒に炒め、生のトマトを加えて軽く煮込む。トマトケチャップや白ワインも入っていて、確か少量のウスターソースが味の秘密だった気が。
「……たしかそんな感じだったよ、うん」
適当に思い出しながら、適当に作ってみた。缶詰のトマトは使わない。生のトマトとケチャップを使用。隠し味にウスターソース。うずら卵が残っていたので全部目玉焼きにしてしまい、できあがった料理にぽこぽことトッピングしてみた。粉チーズも添えて、できあがり。

まだちょっとやる気減退中だったので(なんでこう、毎日毎日暑いんだろうと思うと、それだけでやる気が……)、レタスとトマトを刻んで合わせただけの簡単サラダと、息子も私も大好物の紙パック入りのコーンスープ、粒コーンたっぷり入りを用意。息子は調理中ずーっと横で跳ねていて、
「うわ!テレビといっしょだ!おにくのスパゲティだ!」
と喜んでいた。ここでいきなりアサリとかイカとか鍋に入れちゃったらどんな顔をするかしら……なんて思ってしまいながら、そんな無体なことはせずに忠実にミートソース作成に励む。いつも作るミートソースよりちょっと色は薄くなったけれど、味はちゃんとミートソースなミートソースができあがった。トマトケチャップが入る分、優しい味で子供向きかもしれない。

ミートソースは息子にうけたし、何より小さな目玉焼きがうけた。うずらの卵は単なるミニサイズの卵なのに、茹でても人気だし焼いても人気のすてきな卵。めんどくさくなると、つい缶詰のうずら卵を買ってきてしまうのだけれど、八宝菜とかあんかけ焼きそばを作るときに、ちゃんと生の卵を茹でて殻を剥くとぐっと美味しくなるのよね。

8月13日 金曜日
見た目は華やか、でも簡単なアクアパッツァ
「CoCo壱番屋」にて
 豚もつカレー \600
 トッピング(ガーリック) \50
 トッピング(なす) \150

昨夜のミートソースが余っていたから、今朝はバタートーストにそれとチーズをトッピングして焼いて食べようかな、なんて思っていた。が、昨夜だんなが帰ってきたのは午前2時過ぎ。朝は朝食より何よりギリギリ遅くまで寝ていたいという風だったので、何も食べずに出勤していっただんなを玄関でお見送り。そのままタラタラとしていたら朝食というより昼食の時間になってしまった。

「うーん……お買い物も行かなきゃいけないし、銀行も行きたいし。……昼御飯、どっか外に行って食べようか?」
息子に声をかけたら、ぴよんぴよんと跳ねながら御機嫌に出かける支度をし始めた。
「あのねあのね、ここの、ここのね、カレーハウスがいいな」
「へ?ここのって……どこの?」
「だからぁ、ここの、カレーハウス。おこさまカレーが、あるところ」
「ああ!ココか。"ここ"じゃなくて、CoCoだな」
「そう、ここよー」

今日もうだるほどの暑さのなか、そのままぴよんぴよんと跳ねながら歩く息子と一緒に駅前に。目指したのは、チェーンカレー屋さんのCoCo壱番屋。ちょうど、夏限定のカレーを8月中に食べておきたいなと思っていたところだったので、私もちょっとばかり楽しみ。ルーの味の種類はほとんど選べないけれど(基本のポークとビーフ、甘口ポークくらい)、なにしろここはトッピングが充実。今日は何を乗せちゃうおうかなと思うとわくわくしてしまう。

「えーとえーと、気になっていた豚もつカレーを食べるでしょー。きっと茄子が合うから茄子トッピングするでしょー、ついでに、ガーリックもつけちゃおう」
「ぼくねぼくね、おこさまカレーに、コーンをつけるの」
「……君もトッピングつけるの?」
「つけるの」
ほんの1年前くらいまでメニューの文字はほとんど読めず、覚えようとすることもなく無頓着だった息子は、最近きっちり色々覚えているようになった。ココイチに来たらコーンをトッピングするのが美味しいのだなと覚えちゃったのであるらしい。大きな声で
「ぼくはぁ、おこさまカレーをオレンジジュースで、そしてー、コーンのトッピングもおねがいしまぁす」
なんて注文している。

ウィンナーやハンバーグが添えられた可愛らしいおこさまカレーの向かいには、微妙にオッサンくさい、豚もつとにんにくの芽の入ったカレー。しかもテラテラと光る茄子とサクサク揚げられたにんにくのトッピング。あんまり乙女が食べるカレーじゃないなという外見のカレーになった。まぁ、私、乙女じゃないしな。豚もつ大好きだしな。

しっかりもつっぽいけだもの臭さが漂う白いもつがざくざく入り、ざく切りされたにんにくの芽もたっぷり。にんにくの芽だけでもにんにく臭くなっているカレーに揚げにんにくザクザクかけて更に臭くしながらかっこんだ。相変わらず食べ応えがある御飯の盛り具合だ、このお店。
「カレーはね、歯がいたくならないから、うれしいなんだよ」
息子はカレーもおかずもゼリーもしっかり全部平らげ、帰り際にお菓子(グリコキャラメル)をもらって御満悦。私も満腹になって御満悦。隣の席に座っていたカップル客の若い女の人(どうやらココイチ初体験らしい)が、
「ふーん……なんか、懐かしいような味のするカレーね……でも、多いよこれ……」
なんて言いながら御飯を1/3以上残して立ち去っていた。そう、それが多分普通の乙女の反応……。

メバルのアクアパッツァ
茄子とトマトのミートソース焼き
ムール貝のミルクスープ
玄米入り羽釜御飯
ビール(モルツ)・アイスティー

白きくらげ入りココナッツのスープ マンゴー入り

昨日ヘロヘロになるまで仕事してきただんなは、今日は早く帰るつもりだと言っていた。
「いつまでもやる気ないのはいかんしね、今日はお魚でも買っていこう。ミートソースは茄子と一緒にオーブン焼きするとして……だからちょっと洋風のおかずを考えなきゃ」
なんて考えながら魚屋さんでお買い物。イカがすごーく安い。イワシもけっこう安い。イサキもけっこう安い。でも、700円くらいの大ぶりのメバルが目について、
「あ、これでアクアパッツァやったらおいしいかも、おいしいかも……」
と、それを1尾買ってきた。アクアパッツァとなるとアサリも必要で、ついでにムール貝も8個ほど入ったパックが250円くらい。ムール貝もスープにしよう、と、これも買ってきた。今日はちょっとリッチな食材で夕御飯。

朝食に食べられなかったミートソースは、野菜と一緒にオーブン焼き。薄切り茄子をオリーブ油で炒めてグラタン皿に並べ、柔らかく熟したトマトも薄切りにしてその上に。ミートソースをその上に敷き詰めたらピザ用チーズを散らし、パン粉も散らしてオーブンで15分ほど焼きつける。
ムール貝は牛乳たっぷりのスープに。玉ねぎとにんじんを刻んでにんにくと一緒にオリーブ油で炒め、火が通ったところでムール貝を殻つきのまま加えて白ワインを1/2カップくらい注ぎ入れる。蓋をして蒸し煮にして数分、殻が全て開いたら牛乳を適当に加えて温めて塩胡椒。ふと思い立って、野菜を炒めるときにサフランを数本加えてみた。ふわっと鮮やかなオレンジ色がスープに加わり、サフラン独特の芳香も。

そしてだんなが帰ってくる15分くらい前からアクアパッツァを作成。スキレットをカンカンに熱してオリーブ油をひき、塩を多めにまぶしたメバルを両面焼きつけていく。適当に火が通ったら水と一緒にアサリをジャーッと注ぎ入れ(その水の狂ったように弾けるさまが"アクアパッツァ"(狂い水)という料理名の由来という説がある。別の説もある)、ドライトマトとケッパーとオリーブとアンチョビを加え入れる。あとはそれぞれの素材の味が染みたスープを魚にじゃぶじゃぶかけながら熱していき、仕上げに風味づけのオリーブ油を垂らしてできあがり。
アクアパッツァは、それがそのまま店名のアクアパッツァで食べるのがそりゃもう美味しくて好きなのだけれど、自分の家で作る気取らない適当なアクアパッツァもそれはそれで美味しい。

ドライトマトもケッパーもオリーブもアンチョビもイタリアではごくメジャーな保存食品(日本で言うとたくあんとか梅干しとか味噌とかといった位置づけのものだと思う)で、だから新鮮な魚を1匹と数粒のアサリがあれば作れる簡単な料理。保存食品で作れる料理なので漁師さんが船の上で作ったりもするのだそうだ。でも、我が家にはドライトマトがない。アクアパッツァ以外にドライトマトの出番は滅多になく、そしてアクアパッツァに使うなら自家製ドライトマトが圧倒的に美味しいからだ。時間はかかるけれど作り方は簡単で、横に両断したプチトマトを100℃のオーブンで1時間から2時間くらい、焦げない程度に焼いて水分を飛ばした後に数時間からできれば半日くらい天日にさらして干せばできあがり。トマトの酸味と甘みがギュッと濃縮された美味しいドライトマトができあがり、生のままのトマトを使った時のようにグジュグジュと余分な水分が出てこないので、汁気が出たら困る料理に色々使えそう。

そういう次第で、今日はあれこれ料理をして(なんか、すっごく久しぶりにまともに料理をした気分になった……一品料理が多かったし)、真夏にオーブン料理とアツアツの魚料理とほかほかのスープという献立の夕御飯。しまったわ、こんなにアツアツのものばっかり作っちゃってどーするのよ……と思いながら、顔中を汗まみれにしてハフハフと食べた。
家でアクアパッツァを作ったときの一番のお楽しみは、最後に鍋底に残ったスープや魚のかけらやら何やらを御飯にぶっかけて食べること。魚介の旨味が出た潮の味がするスープはトマトやケッパーやオリーブで複雑な味わいになって、それが妙に白い御飯に似合う。フランスパンなんかを浸して食べても美味しいと思うけれど、雑炊のように御飯を入れて食べるのが大好きで、今日もしっかり堪能した。レストランじゃこんな事絶対できないし。

そしてデザートは、先日マンゴプリンを作ったときに余ってしまったココナッツミルクを使って中華風のスープデザート。白きくらげを水で戻した後、湯に砂糖を溶いたもので煮込んで一度水切りし、ココナッツミルクと砂糖、そしてちょっと濃厚すぎる気がしたので牛乳も少量加えて軽く煮込む。それを冷蔵庫でキーンと冷やしておいて、別容器に刻んだマンゴーを用意。果肉を角切りにし、種の近くについた実は手でぎゅうぎゅう絞ってピュレにする。それを冷やしたココナッツミルクに入れ、混ぜつついただきます。元のレシピからは微妙に変えてしまったけれど(牛乳入れちゃったり……)、元はTさんに教えていただいたもの。ココナッツミルクはちょうど余ってるし、今はマンゴーが安くて安くて嬉しい時期だし、とうきうきと作ってみた。白きくらげも、せっかく台湾で買ってきたのにまだ一度も使ってなかったし。

とろんと甘いココナッツミルクに、軽くレモンをかけて酸味をきかせたフィリピンマンゴーの爽やかな甘さが良い感じ。白きくらげを調子に乗って入れすぎて、異様に具沢山になってしまって息子には不評だった(コリコリモニュモニュした食感で、特に味はないから……白きくらげは……)けれど、味は悪くなかったなと思ってみたり。

明日はおべんと作って花火観覧。どうか雨になりませんように。

8月14日 土曜日
朝粥。うーまいよー
中華粥
 (油条・叉焼・皮蛋・香菜・刻み葱)
アイスプーアル茶

「油条あるでしょ、焼き豚あるでしょ、ピータンもあるし、明日の朝は中華粥を食べましょう」
「……それは、俺に作れと言うこと?」
「そうだよーん」
「香菜はあるの?」
「買ってきたよーん」
「葱は?」
「……長ねぎないけど、万能葱はあるよーん」
「……そうですか」

何でそうなっちゃったのか覚えてないけれど、中華粥を作るのはだんなの役割。米(3人分で1/2合)に胡麻油を軽く絡めてからたっぷりの干し貝柱と一緒に水に浸して一晩置いておき、次の日に1時間ほどことこと煮込んでできあがり。味つけは塩と胡麻油だけなのだけれど、干し貝柱の思い切った分量とか塩の加減とかが、やっぱり作る人によって隨分と違っちゃったりするのだった。普通のお粥屋さんでも干し貝柱をだしに使っているところが多いそうだけれど、お店では"だしパック"などに詰めて御飯と混ぜたりはしないらしい。我が家のは、ほぐれた干し貝柱が御飯にどっちゃり混ざっている。ちょっと下品なほどに混入した干し貝柱がたまんなく美味しいんだな。

「なんか、私だけ具沢山だね」
「……ま、いいんじゃない?」
ピータンも香菜も、だんなと息子はあんまり好きじゃない。2人は焼き豚や油条や葱を散らして食べている脇で、私はこれでもかと山盛りにした皮蛋と香菜の粥を堪能。中華街で買ってきた油条(中国の揚げパン。ヨウティアオ、と発音する)はオーブンでカリッと焼いてざくざく切り、それが淡泊なお粥に絡むとすんごく美味しい。中華街で買ってきて冷蔵保存しておいたのだけれど、長期保存なら冷凍しておけば大丈夫。……でも、冷凍庫臭さがすぐについちゃうから、やっぱり買ってきたらさっさと食べるのが一番なのよね。ピータンも中華街で買ってきた、1個80円のもの。焼き豚は「同發」のもの。表面が真っ赤で、じわっと染み出る肉汁がすごく美味しい。

「豚肉入りの粥も美味しいよね。……今度は豚肉、買ってこよう」
「"痩肉皮蛋粥"、サイコーだよね」
ふがふがと粥をかっこんで、朝食終了。油条が美味しいうちに、中華粥第二段を作りましょうねー。

「ミスタードーナツ」の
 D−ポップ
 海老グラタンパイ
アイスカフェオレ

今日の夜は東京湾の花火大会。おべんと持ってお出かけしよう、と、昼過ぎからあれこれあれこれ用意した。唐揚げと卵焼きとおにぎりは数日前から予定していたのだけれど、今日になって「そうだ!おいなりさんも作ろう!」と思い立ち、色々と大変なことに。油揚げを煮るでしょ、御飯を炊くでしょ、唐揚げは鶏肉を下味つけて揉みこんでおいて……ああ、枝豆も茹でちゃおう、と、てんやわんや。
「じゃあ僕はおにぎりを作ろうね……とりあえず、昼御飯に何か買ってくるよ」
と台所で私が奮闘している間に、だんなと息子がミスタードーナツでお買い物してきてくれた。

甘いのと甘くないのを1個ずつ。今日のD−ポップはオールドファッションとチョコファッション、エンゼルクリームとゴールデンチョコレートとココナッツとストロベリーという組み合わせでとっても好みな内容だった。一口ずつ色々な味を楽しめるD−ポップは息子の大好物だけれど、私の大好物でもある。チョコファッションがさりげなく大好物。

船の上で、お弁当
 おにぎり(たらこ・鮭・海苔の佃煮・あんだんすー)
 いなりずし
 唐揚げ
 海苔入り卵焼き
 うずら卵とチーズ入りウィンナー
 枝豆
 葡萄とスイカ
 ビール・缶チューハイ・烏龍茶

午後3時半。クーラーボックスにビールとソフトドリンクとフルーツ詰めて、トートバッグにおべんと詰めて、目指したのは花火会場じゃなくて都営新宿線の某駅。

東京湾大華火大会に行きたいけど何時間も前から会場で場所取りするのは疲れちゃうし、行き帰りがめちゃめちゃ大変だし、かといって遠くから見るのも寂しいし、さてどうしましょう?……とあれこれ考え始めたのが7月のはじめの頃。晴海のホテルに一泊しちゃってのんびり会場を往復して見るのも良いかと思ったけれどとっくに部屋は満室で、「そうだ!海の上から!」と思って屋形船の料金を調べてみたらいつもは1万円ちょっとで乗れる屋形船が花火の日に限っては2万7千円 とか3万5千円とか、とんでもない価格。何か他に手段はないのかなぁ……と必死で探したら、「漁船に乗る」という手段が見つかったのだった。食べ物も飲み物も全て持ち込みの、漁船から見る花火大会。価格はたったの6千円。貸し切りの漁船も多かったのだけれど乗り合いのそれを見つけ、うきうきと予約したのだった。

漁船と聞いて、どんなワイルドな船なのかしらと不安半分期待半分だったのだけれど、船はこざっぱりと、居心地良いように準備されていた。釣り用に船の端に沿ってベンチがずらりと、そしてベンチで囲まれた中央の部分にはゴザが敷かれて座布団も用意されている。ちゃんと個室のトイレも用意されていて、申し込む漁船によっては「子供さんはねー、待ちきれなくて騒いじゃったり酔ったりするからお断りしてるんですよ」なんて言われてしまった息子も、この船は「大丈夫ですよ大丈夫。トイレもついてるしね。半額でお願いしますね」という感じだった。それほど吟味せずに適当に申し込んだ漁船だったのだけれど、思った以上に楽しい花火観覧になった。

午後5時出向。1時間かけて葛西から豊洲を通りつつ晴海埠頭の近くまで。火の粉がかかるほどの近くではなかったものの、遮るものなく空がちゃんと見渡せるところにイカリを下ろして、1時間、花火が始まるのを待ちつつ夕食を摂った。

じゃこと炒り胡麻をどっさり混ぜたいなりずしは5個。だんなが「ちょっと小さめのにしようねー」と握ってくれたおにぎりは9個。茹でた枝豆と、甘くせずに塩味にした卵焼きには海苔を巻き込んでうずまき模様に。にんにくと生姜の香りを強めにつけて唐揚げはたっぷりと鶏もも2枚分。
「これ!おいしそう!」
と買ってきたチーズ入りのウィンナーはさっと炒めて、茹でて殻を剥いたうずらの卵と一緒に楊枝に刺して食べやすくしておいた。クーラーボックスからヒエヒエのビールを取り出して、そばを別の船が通りかかるたびにぐらんぐらんと揺れる船の上で家族で宴会。そうだよ、船は揺れるんだよ……息子は船酔いとか、大丈夫かしら?と思って息子を見るとずっとケロッとした顔をしていて、逆に私が微妙に気持ち悪くなっちゃったりして。船は他に8人の団体さん(テーブル広げて大きな塗りの鉢に入った散らし寿司か何かを持ってきて、ちゃかぽこちゃかぽこと……)がいたり、カップルが2人で小さなお弁当をつついていたり、若い女性3人のグループがちょっと離れたところでビールを飲み飲みしていたり。

揺れる船の上でのお弁当も食べ終わり、スイカやぶどうをつまむ頃には船もあらかた出揃って揺れもほとんどおさまっていた。すごい数の屋形船が海上に浮かび、私たちと同様の漁船もちらちらと。それ以上に個人所有と思われるクルーザーやヨットもたくさん出てきていて壮観だった。
で、1時間15分ほどの花火大会。広い海上にどっかんどっかん尺玉が上がるのはやっぱり壮観で、絶え間なく大きな花火が打ち上がる。私はやっぱり晴海の花火が大好きだなぁと再認識しながら、でも毎年花火の内容が進化していくのは驚くばかりだ。ニコニコマークの花火も年々形が綺麗になっていくし、ハート型やスペード、クラブの形の花火もこれでもかと打ち上がるし。最後は恒例の空中ナイアガラ(私が晴海の花火を見始めた10年くらい前は、主会場の上にロープを張った普通のナイアガラだったのだけれど、火の粉は落ちるしカスも飛ぶしと評判が悪かったようで、そのうちヤナギ花火を最後にこれでもかとあげる空中ナイアガラになった)でシメ。

終了と同時にサーッと移動を始める屋形船の群に混じって、葛西臨海公園やディズニーランドの明かりを見ながらのんびり船はまた小さな運河に帰っていった。船着き場から駅までは徒歩3分くらい、そこから我が家までは40分。人混みの中、息子の手をひいて必死に歩く必要もないし、帰りの電車は座って来られた。来年も船からの花火見物が良いかもしれない。ただし、船の揺れでいつも以上に酔いは回るので、アルコールは控えめに。

8月15日 日曜日
だんなが作る芙蓉蟹。今日もおいしー。
いなりずし(昨夜の残り)
だんな特製 おにぎり(鮭・たらこ)
抹茶入り玄米茶

昨日、山のようなおべんとを持って花火観覧に行き、「残ったら明日の朝御飯だわ♪」と思っていたのに、残ったのはおにぎりが1個と卵焼きが1切れ、枝豆が少々。詰めきれなかったいなりずしだけは3つ、冷蔵庫にしまっておいたのだけれど、それだけじゃ朝御飯としては物足りない。
「というわけでー、おにぎりが食べたいです。冷凍御飯、チンしてさー」
おにぎりが食べたいわ食べたいわと言っていたら、だんなが「やっぱり俺ですか?俺が作るんですか?」とにぎってくれた。冷蔵庫から鮭フレークやたらこを出して、具の準備。お湯を沸かしてお茶の準備。

「たらこ!たらこは生でお願いします!お弁当にはちょっと怖くて持っていけない生たらこのおにぎりを!」
1/2腹(つまり薄皮にくるまれた1かたまり)をほぐして小皿に入れ、
「これ、全部詰めてくださーい。おっきいおにぎりにしてくださーい」
とお願いしておいたら、ほんとにでっかいおにぎりが皿に乗せられた。
「うわ!でか!」
お約束通り驚いたら、
「おどれがでかいの作ってくださーい、と言ったんじゃー」
お約束通りツッコミが入った。ほんとにでかいわー。

かくして、1人1個のいなりずしと、1人2個のおにぎり。私は巨大なたらこおにぎりと、その1/3くらいの大きさの小さめ鮭おにぎり。今日はン十日ぶりに最高気温が30℃を切る涼しい日になるそうで、久しぶりにクーラーの電源を切って窓を開ける。嘘みたいに涼しくて気持ちがいい。でも外は雨。快適なような憂鬱なような、微妙な天候な一日になった。でもおにぎりと一緒にいただいた熱いお茶はしみじみ美味しい。

スーパーの地下で買った
 カツ丼
 お茶

「午後のボディコンバット、行ってきまーす」
「じゃあ俺は午前中のボディパンプに出てこようかな……12時50分頃に出てくるからさ、息子をそこで受け渡ししよう」
息子には非常につまらない話だけれど、今日の予定はそんな感じ。待ち合わせの数十分前にスポーツジムのある建物に入り、地下のスーパー併設のフードコートで適当に御飯を食べてから行くことにした。

フードコートにはケンタッキーフライドチキンがあったり、怪しいラーメン屋があったり、そこそこ美味しいサンドイッチ屋があったり。どれもぐっと来るものじゃなかったので、スーパーのとんかつ屋さんコーナーで小さなカツ丼を買ってきた。フードコートで食べるんです、と言えば、缶入りのお茶が1つと小鉢が1つサービスでついてくる。一応とんかつ専門のお総菜屋さんなので、味もそこそこ。息子にはアイスクリームを買ってやって、私は5分ほどでちゃっちゃとカツ丼をかっこんだ。美味しいんだけど、なんで総菜屋さんのトンカツって衣がこんなに厚いんだろうねぇ。

「食べたからには運動しなきゃいけません」
と、今日も1時間みっちり動いて(その前には20分ほど自転車こいで、その後には20分ほど泳いで)、ヘロンヘロンに疲れて帰ってきた。3〜4ヶ月に1曲ずつ新曲が発表されるボディコンバット、現在の最新はBC20というバージョンなのだけれど、今日やったのはBC10という、ちょっと古いもの。途中、めちゃめちゃ懐かしい曲が流れてきて笑いを噛み殺しながらパンチやキックを繰り出す羽目になった。私にとってはその曲は"ジュリアナ東京"の曲であり、何とも言えない下品な羽根つき扇子をヒラヒラさせながら踊る曲に他ならなくて、
「あー、そこでね、ジェームスブラウンが"ジュリアナートーキョー!"って叫ぶわけよ、ねー」
なんて思いながら、Tシャツ姿汗まみれでパンチパンチキーック。まさかこの曲をこんなところで聞くとは思わなかった。若気の至りで、ジュリアナ東京には隨分通ったわね……(遠い目)。ディスコで踊るより、ジムで動いてる方が気持ちいいなと気づいたのはいつの事だったことやら。

「セブンイレブン」の和風しろくま

かくして3時過ぎに帰宅。今日は充分涼しい日だけれど、家に帰ってくるとじわっと汗がまた出てくるもので、
「ふー、あつい、あついわ」
なんて言いながら買い置きのアイスを。買ったのはもう1週間以上前だけれど、あまりのサイズの大きさになかなか手が出せずにしまいっぱなしになっていた、セブンイレブンの「和風しろくま」。どっしりと重量感のあるカップ入りかき氷で、その名のとおりちょっと和風な"しろくま"だ。これがなかなか美味しいですよー、なんて話をちょっと前にうかがって、その直後に買ってきたものだった。うーん、それにしても、ちょっとでかい。

トッピングされるのは豆やミカン、チェリーの他にきなこアイス。あんこも入り、ほのかに黒蜜の香りも漂い、本当に和風チックなしろくまだった。練乳の味のシャリシャリとした氷も美味しい。へたにお高いお店のかき氷を食べるよりはよほどリッチな味がする美味しいしろくまだった。
それでもやっぱり、削りたての氷で食べるしろくまが美味しいと思う。暑さがまた戻るようなら、今度はだんなを連れて有楽町の鹿児島物産館に行きたいなぁ。

だんな特製 芙蓉蟹会飯
だんな特製 てきとうスープ
枝豆
ビール(San Miguel Dark)
ぶどう(デラウェア)・すいか

先週くらいから話が出ていた、「天津丼が食べたいね」というのを本日実現。我が家の掟はいくつかあるけれど(マジボケしたときは「マジボケでーす」の声と共に挙手しなければいけない、とか)、一番大きな掟は多分、
「その料理をより愛する者が、その料理を作るべし」。
作る人も作ってもらう人も幸せな掟だ。その方が、だって絶対美味しくできあがるのだもの。

で、我が家の芙蓉蟹担当はだんな。作り方は、昔「チューボーですよ!」で放映されたものを基本にしている。最初に蟹肉(缶詰でも茹で蟹でも、なんでも)と筍や葱と一緒に炒め、それを溶き卵に混ぜ合わせてから焼いていく。中華鍋に油を引いて、卵液をくるんくるんと回しながら固めていって、ホイホイと両面返しながら、縁はこんがりと、中は半熟に火を通せばできあがり。簡単そうなのだけれど、私がやると卵がうまくひっくり返らなかったり、やけに柔らかすぎたり固すぎたりしてしまう。なかなかうまいこといかないのだった。

だんなの作ってくれる天津丼は、醤油と酢で作るあっさりとしたあんがかけられる。お店で食べるのは下品なほどに甘いケチャップ味のものが多かったりするけれど、このスープの味がベースのあっさりしたあんは、とっても美味しい。ちゃんとツボを押さえてグリンピースも入っている。
あとは、スープ碗に顆粒スープや刻み葱や醤油や胡麻油を垂らしておいて、お湯を注ぐだけでできる自家製インスタントスープも。だんなが一人でちゃっちゃかちゃっちゃか料理を仕上げてくれた。昼は息子にラーメンを作ってくれたみたいだし、朝から夜まで今日はだんな、大活躍。私は今日はあんまりすることがなくて、
「なにかお仕事、ないですかー?」
「じゃあね、蟹缶をあけてください」
なんて、先輩に仕事をわざわざ作ってもらう新入社員のような事になっていた。

今日の卵の焼き具合も、ばっちり。中はふわふわ、外はこんがり。美しい焼き色がついている。あんの味はちょーっと薄めだったけれど、それもまた御愛嬌。とろみが少なめなあんを、スープ御飯のようにシャバシャバかけてしまいながらたっぷり食べた。デザートは、いよいよぶどう。ぶどうがたくさん並び始めると、そろそろ秋だなぁと思う。次は梨がどんどん美味しくなる季節。