食欲魔人日記 01年02月 第1週
2/1 (木)
豚肉の生姜焼き (夕御飯)
551蓬莱の
 ぶたまん
 ユーチュウ焼売
 焼売
プーアル茶

551蓬莱のぶたまん、6個入りセットはめでたく今日で完食だ。私たちの朝食の食卓に潤いを与えてくれてありがとう、551蓬莱。ちなみに店名の「551」は「ここがいちばん」の意味であるという。ベタベタだ。「109」じゃないんだから。

今日もユーチュウ焼売2個にノーマル焼売1個の組合せ、そして1人1個の豚まん。最後のぶたまんだというのに、今日の息子ときたら「これ!これ!」と人のぶたまんの皮ばかりを欲しがってくる。せっかくウスターソースをつけて満喫しようとしていたのに、そんなに皮を奪っていくな、息子よ。

ファーストキッチンにて
 ベーコンエッグバーガー
 じゃがバタポテト
 アイスココア
 チャイナポテト

午前早くから、今日は雨。郵便局に行く用事があったのに、これはついてない。小雨の中、完全装備で息子と二人ぽてぽて歩いて郵便局に向かう。住所変更の手続きを30分近くかけて済ませ、駅前の巨大マーケットへ。100円ショップを見、本屋を見、ついつい5000円分も種々書籍を購入したらもう12時半にならんとしていた。雨の中を歩いていた息子は少々お疲れだ。そのまま近くのファーストキッチンで一休みすることにした。

私の中では、ファーストキッチン=ベーコンエッグバーガーである。ホットドッグがあろうとも、カツサンドがあろうとも、ファーストキッチンへ足を踏み入れたならば強迫観念でもあるかのようにベーコンエッグバーガーしか注文しない私である。それに、フライドポテトの「じゃがバタ」味。セットのドリンクはアイスココアを注文し、新発売「チャイナポテト」なるデザートもつけてもらってテーブルへ。

卵が入り、ベーコンが挟まるだけのただのハンバーガーであるのに、やはりベーコンエッグバーガーは美味しいのである。少々塩気の強かったバター味濃厚なポテトは息子が独占体制に入っていて、私は仕方なくデザートのポテトに手を伸ばす。「チャイナポテト」は果たして大学芋もどきなのであった。カリカリパリパリの飴が絡まる、甘ったるいさつまいも。……そういえば、今日の「どっちの料理ショー」は大学芋であったか。

モスバーガーの
 サラダ2種
豚肉の生姜焼きwith千切りキャベツ
油揚げと青菜の味噌汁
ご飯
モルツ、冷茶

実は、今日まで我が家の調理場は異様に狭かった。なにせ既設システムキッチンの作業場ときたら30cm×50cmほどしかないのである。以前の家の1/3ほどしかないかもしれない。しかもその狭いエリアの2/3くらいは洗い籠に占領されていたのだ。まな板を置くことすらままならなかったこの半月は非常につらかった。だが、今日からは違う。通信販売で注文しておいた45cmワゴンつき調理台がとうとうやってきたのだった。午後ほとんどをかけてその組み立て作業をする私。

夜7時過ぎて、やっと雑多なものどもが片づけられた。今まで段ボールの底に眠っていたスパイス類もすべて並べられた。コーヒーも紅茶も収まるべきところへ収まった。やっとすべての引越行程が終わった、という感じだ。あとは気になるあそことかこことかそことか、少しずつ改善していくことにしよう。

で、だんな帰宅のぎりぎりまで片づけ作業をしていたので、夕食はちと手抜き。豚肉薄切りがあったので、これを玉ねぎと一緒にガーッと炒めて針生姜を放り込み、醤油と味醂をダバダバと注いで生姜焼き。刻みキャベツの準備はちと面倒だったけど、10分で完成した夕御飯。味噌汁ときたら水に顆粒だしを放り込んで味噌溶いて、冷凍保存の油揚げと冷蔵庫のほうれん草をハサミでちょんぎりつつ鍋に放り込んだだけという簡略さだ。
「余裕ないから、できたらサラダでも買ってきて〜」
と私に泣きつかれただんなは、モスバーガーでサラダを2種類買ってきてくださった。

適当に作った適当な味だというのに、生姜焼きはなんちゅーかビールも御飯も進んでシアワセなおかずだ。横に添えたキャベツが肉の熱でクタクタと柔らかくなって生姜醤油のタレをしみこませていくのがまた、妙に美味しい。このやわやわとなったキャベツにマヨネーズがまた似合ってしまうのだ。生姜醤油味のキャベツのマヨネーズ絡めつつがつがつ食し、コテッと茶色い肉を御飯と一緒にかきこんだ。いやー、整った調理場は作業しやすいなぁ。

遅めの夕御飯だからして、テレビでは「どっちの料理ショー」が始まろうとしていた。「鯛焼きVS大学芋」。
我が家の嗜好は夫婦揃って圧倒的に鯛焼きが優勢だ。さつまいもの甘さやホクホクよりも、鯛焼きの皮のパリパリや餡の甘さの何と愛おしいことか。

「ふおー、このあんこ!」
「ひぇ〜、あの皮!」
とのたうち回って観戦し、終わってみたらば圧倒的大敗で大学芋の勝ちなのである。なんてこった。

ちくしょう、そのうち鯛焼き喰いに行ってやるぅ(やっぱ人形町の「柳屋」ですか)。

2/2 (金)
アクアパッツァ(西麻布)にて
「"充実した"Antipasto Misto Freddo della Casa」 (夕御飯)
御飯
ふりかけ「たまごさまさま」
油揚げと青菜の味噌汁
抹茶入り玄米茶

本日、夜は西麻布のアクアパッツァにて会食である。来月から引き継ぐ仕事の打ち合わせで、大学時代の友人Nちゃんと食事するのだ。私のだんなもついてきて、ついでにNちゃんの男友達もついてきて、打ち合わせというよりはすっかりただの夕食会である。夜にたらふく食べる予定だというのに、
「朝は牛丼♪昼はうな丼♪夜はイッタリア〜ン♪」
とだんなの胃袋は今日も絶好調だった。起きるなり鍋で冷凍牛丼を温め始めている。

だんなの牛丼を尻目に、私は白いご飯をかっこむ。味噌汁とご飯だけではちとつまらないので、棚からふりかけを発掘。最近お気に入りの永谷園の"さまさま"シリーズ「たまごさまさま」だ。さらさらシャクシャクして、妙に美味しいふりかけなのである。ご飯茶碗のアップの写真のサイケなパッケージもまたキュート。

これまで、ふりかけと言ったら「丸美屋」のすきやきふりかけが私的ナンバー1の不動の位置をしめていた。「のりたま」も「大人のふりかけ」も歯牙にもかけなかったすきやきふりかけであったのに、最近その位置は「さまさま」軍団に脅かされている。いやぁ、美味しいんだって「さまさま」。

味噌煮込みうどん
冷茶

午後からせっかくのお出かけだというのに、実は少々風邪気味なのであった。妙にゾクゾクするし頭が重い。
これはやばい、と昼は煮込みうどんを作ることにする。保存してある豚味噌鍋用味噌を昆布だしに溶き、鶏肉と白菜、葱や舞茸を放り込んでぐつぐつ煮る。冷凍うどんを放り込んで軽く火を通したら完成。茶褐色のいかにも美味しそうなうどんになった。

葱も白菜も、うどんも少々くたくたに煮て柔らかいところをずるずると食す。味噌味濃厚な、どこを喰ってもこってりした素敵なうどんだ。1玉茹でたところ、目の色変えた息子に半分以上奪われる(息子は麺喰いなのである)。もいっちょ喰うか、ともう1玉茹でたら、また半分以上奪われた。1玉以上も喰うなよ、2歳児……。

西麻布「アクアパッツァ」にて
 生牡蠣
 冷たい前菜の盛り合わせ
 カリカリに焼いたチーズとじゃがいものフリッコ あつあつのうちに
 銀ムツのアクアパッツァ風
 箱根の猪のラグーのパスタ
 "パニッシャ"色々なお豆と自家製ソーセージのリゾット香ばしく焼いたうずらとパンチェッタ添え
 鴨と下仁田葱、燻製の香りを少しつけました
 ドルチェ(苺のバルサミコかけ・リコッタのムース・ミルフィーユ)
 ハーブティー
 スプマンテ、白ワイン、赤ワイン

お店にて集合の夜7時。予約したのは私だし、と10分ほど前にお店に入る。薄暗い夜の店内は男性のお客が一人いるだけで「夜はこれから」という感じだった。奥から出てきた真面目そうなそのお顔は、おお日高シェフ。「今日はお友達とですか?」と席に案内してくれた。「先に1杯、飲まれてても問題ないですよね?お出ししますね。」と速攻出てきたスプマンテをちびちび飲みながらメンバーを待つ。7時5分前にだんな到着、7時10分過ぎにNちゃん到着。もう一人、Nちゃんの友人は7時まで大崎で仕事が入ったとのことで少々遅れるらしかった。先に皆で前菜を進めることにする。

今日は事前に1つリクエストをしていた。
「厚岸の生牡蠣喰わせて。」
北海道、厚岸(あっけし)の牡蠣ときたら、それは旨いらしいのである。「r」のつく月が旬だという牡蠣は、もうそろそろシーズンも終わりに近づいていた。「牡蠣、牡蠣、特に生を!」と伝えたら、マネージャーのKさんが「はい、ちゃんと取っておきます」と言ってくれていたのだ。
食事始まり、いきなり牡蠣だ。大きな白い皿にごろんごろんと8つの牡蠣が氷と共に乗っている。葱の刻みが乗り、ただレモンを絞って食べる。

殻はそれほど大きくないものの、厚みのあるプリプリとした牡蠣だ。レモンをキュッと絞って身を口に流し込むと、あの独特な磯の香りが強く香ってくる。とことん新鮮でプリンプリンしていて、キンキンに冷たいやつが喉をすべりおりていくこの感動はやっぱり生牡蠣ならではのものだ。生臭さは少しもない。
「いやーん、シアワセ」
「うおー、うめー」
と大騒ぎしつつ、皿の牡蠣を全部喰う。ああ、あと10個ほどいけそうだ。

で、前菜。そそそ、と日高シェフが寄ってきて
「今日は"盛り合わせ"がとても充実してます」
とのこと。冷菜の盛り合わせはランチの名物だけれど、きっちり仕事がしてある一口ずつの前菜はどれを食べてもしみじみ美味しい。カルパッチョや温かい前菜にも少々心を残しつつ、でもシェフが「充実してます」というからにはそりゃすごいのだろう、とこれを皆で食べることにした。

乗った乗ったの12種類。小さな皿じゃないのに、白い皿にはぎっちり料理が盛られていた。どれも傾向の異なる充実した前菜が、野菜も魚介も肉も取りまぜて乗っている。イノシシの肉のソーセージにりんごのソース、れんこんのプッタネスカ風、ウニとブロッコリーのクリーム和え、さつまいもとリコッタチーズのサラダ、葉玉ねぎのグリル、白身魚のカルパッチョ、とこぶしのグリルの肝ソース、フォアグラのキャベツ包みトリュフがけ、白子のマヨネーズ和え、桜海老のクロスティーニ、などなど。どれも一口ではかなく腹の中に消えてしまって「もう少し食べたい」と思ってしまうのだけど、一口で終わってしまうのがまたならではなのだ。

殊にびっくりしたのがさつまいもとリコッタチーズのサラダ。芋がとろりと甘く、柔らかいミルク臭の漂うチーズと良く絡む、まるでデザートのようなサラダだった。砂糖は少しも入っていないのだそうだ。真似できそうだけど、きっと同じことしても同じ味にはならないのだろう。

前菜2皿終わりて、まだ最後の一人がやってこない。次は4人分一気に焼く魚料理だから待たねばならない。もう西麻布に来ている、と連絡を受けて、じゃあ彼が前菜喰ってる間に1皿前菜増やしてもらおうか、と考える。
実は、数年前から一度食べてみたいと思っていた、ここの名物料理があるのである。「チーズとじゃがいものフリッコ」。開店当時からメニューに載らないことはない人気料理な前菜であるらしい。作り方も本で読んだ。細かく切ったじゃがいもとチーズを層にして、パンケーキのように丸く平たく焼くだけのシンプルな料理なのだ。表面カリカリ、中のチーズが溶けてなんとも旨いものらしい。気になってはいたけど、一度も注文していなかった料理だ。

はたして残りの1人もやってきて、4人そろっての会食。彼が牡蠣と前菜盛り合わせをがつがつ食している間に待望のフリッコも焼き上がった。直径30cmほどのそれをサクサクと4等分にして各人へ。きつね色に焼かれた表面のじゃがいもはカリカリで、切り口からはチーズがとろ〜んと溶けだしてきている。期待どおりそれは美味しそうで、そして本当に旨かった。ただじゃがいもとチーズとバターの味くらいしかしないのに、「おばあちゃんの得意料理」という感じの懐かしげな味がする。この味覚えて、是非家で再現してみたいものだ。

人数揃ったところで、いよいよ店名と同じ料理、「アクアパッツァ」がやってくる。
「今日の魚は何ですか?」
と聞いても、
「さて、なんでしょう?」
とKさんは教えてくれない。
「季節のものですよ。ちょうど脂が乗ってるお魚です。」
とヒントだけ出した彼が去って数分後、大きな皿に大きな魚がやってきた。いつもながらたっぷりのアサリにドライトマト、オリーブとケッパーがどかんと乗っている。お魚は、銀ムツだった。

「アクアパッツァ」、ACQUAは「水」でPAZZAが「クレイジー」の意味。魚をフライパンで焼き付けて、その熱いところに水を注いで煮立てる工程の、その水の沸騰具合がクレイジーだから「狂い水」なのだという語源を聞いた。しかし、それとは別に、本来船の上で作る料理の「アクアパッツァ」は水も船も人もグラグラ揺れながら作るから、だから「狂い水」なのだという話もあるらしい。どちらにしても豪快な料理で、魅惑的な名前だ。

アサリの磯の臭いとオリーブの香り、トマトの酸味にケッパーの花のような香り。全部が水に溶けて、魚に染み込んでいる。表面は焼かれて香ばしく、中は蒸し煮のようになったふくふくと柔らかい。実はご飯にかけて喰っても美味しいことを私たちは知っている。今日の銀ムツのアクアパッツァもサイコーだった。

そしてパスタ2種。私とだんなはアラカルトで、残りの2人はコース料理を取っている。コース料理にはパスタが2種類ついてくるので、それに合わせて私たちのパスタも私とだんなの分を等分して2度に分けてもってきてもらうようにした。最初には、だんなが頼んだイノシシのラグーのパスタ。「Maltagliati」という名前の不揃いな手打ちパスタは、端がピラピラとピンキングはさみで切られたような、大きな菱形や長方形の形をしたものだった。それにホロホロに煮込まれたイノシシのラグーが絡んでいる。野生の香りがする、どっしりとしたパスタだ。前回行ったときには案外と淡泊な味だと感じたイノシシの肉は、赤ワインで煮込まれると思いの外ケダモノの臭いが感じられるようになった。それがまたたまらない。臭い肉は大好きだ。

ペタペタとした肉のパスタに続き、「Paniscia」(パニッシャ)という郷土料理。農家で食べられるような、ごくごく普通の家庭料理なのだという。本来は米と種々の豆をパンツェッタ(イタリアのベーコン)と炊いたようなシンプルなものだという。安い材料を使って力をつけるのが元来のスタイルなので、ラードなどもたっぷり入るのだとか。
「それだとお店では出せなくなっちゃうので」
皿を持ってきたKさんがニコニコと言う。
「うずらをカリッと焼いたものを加えたりしています。で、詳しいお客様には"パニッシャもどきです"なんて言いながらお出しするんですけどね。」
だそうだ。私はもちろんうずらが入る方を歓迎するけど、きっと農家で食べたりするパニッシャも温かくて旨いのだろう。

こんがり焼かれたうずらは骨付き。手でもってしゃぶりながら、何種類もの豆が入るリゾットをすする。パンツェッタの塩気が染みたリゾットには自家製ソーセージを薄切りにしたのも入り、なかなかのボリュームだ。

ここまで食べまくって、まだメイン料理があるのであった。
「鴨と下仁田葱、燻製の香りを少しつけました」
なる私の皿は、鴨とネギだなんてどこがイタリアンなんだという感じもする。
表面カリカリに焼かれた鴨は3切れ。こんがり焼かれた下仁田葱はマリネされて肉の下に長々と横たわり、更に百合根を柔らかくソテーしたものが山盛り肉の下に入っている。肉の上にはカリッと揚げられた葱の千切り。焼かれたままのような風貌の肉なのに、口にすると薫製された香ばしい香りが鼻や口のまわりにふわふわと漂ってくる。うまいっすー。腹一杯だけど旨いっすー。はぐはぐはぐ、と肉も綺麗にたいらげる。

実は、密かに密かに「西麻布店は美味しいけどちょっと高くて、値段と味が乖離してるような気がするのよね」と思っていた。ごめんなさい。値段相応以上に旨かったです。11月から厨房に、イタリア修行帰りのシェフが加わったそうで、また一段と「今のイタリア料理」を吸収した皿を出せるようになったのだとか。

山盛りの前菜と、たっぷりの魚と、珍しげなパスタ料理と、どかんとした肉。すべてを喰って、いよいよデザートなのである。食べ放題というわけじゃないけど、コース料金の中で盛り合わせにしてくれる。しかし3種類も喰うのはいかがか、自分。

Nちゃんが
「カスタードプリンを」
と言い、その連れのKさんが
「僕はパンナコッタを」
と言い、だんなが
「イチゴのバルサミコと、プリンを」
と言い、私ときたら
「イチゴのバルサミコと、リコッタのムースと……ミルフィーユもいいですか?」
と1行超過しそうなほど台詞を吐いているのであった。

イチゴのバルサミコ酢かけは、この季節のスペシャルデザートだ。生のイチゴにかけるのは、年代物のバルサミコ酢。お酢である。酸っぱいのである。でも、旨いのである。
強い独特の芳香があるバルサミコ酢だけど、これが年代物になるとトロリと黒く甘くなってくる。酸味はあるけれど、それ以上に良い香りと独特の甘さや旨味を感じるようになってくる。そういうバルサミコ酢をほんの少しタラリと絡め、イチゴの上からバニラのジェラートを乗せる。洋酒をかけたような良い香りの、でもアルコール臭さはないデザートという感じ。去年食べてから、すっかり魅了されている。

足つきのカクテルグラスに入ったたっぷりのイチゴを囓り、甘くローストしたナッツがたくさん乗るリコッタチーズのムースをたいらげ、林檎のコンポートとレーズンが入る小さなミルフィーユに囓りつく。どれもほんわり甘く、濃厚だ。中華デザートのツルリふわりとした食感のものも大好きだけど、イタリア料理の果物の味を大切にしたクリームクリームしたデザートもとても"らしくて"美味しいと思う。

最後の最後に、ハーブティー。ラベンダーやラズベリーが入るという、オリジナルのハーブティーをすすって満腹の胃袋をなだめ、長丁場の夕食は終了した。
いやー、旨かった旨かった。

2/3 (土)
ヨコイのスパゲッティ (夕御飯)
チーズトースト
長ねぎ入りソーセージ with 粒マスタード
カフェオレ

昨夜の就寝は午前1時半過ぎ。目覚めると10時を軽く過ぎていた。いつもの週末ではあるけれど、なんとなく半日損した気分になってくる。久しぶりの良い天気に布団を干し、洗濯機を回し、掃除などする片手間に朝御飯をうりゃうりゃと作る。食パンにバターを少々、それにだんなが先日ミルククラブで買ってきてくれたチーズ「カチョカヴァロ」(←ひょうたん型のキュートな半硬質チーズ。熱を加えるとやたらもちもちした食感になる。)を薄切りにして、その楕円型のチーズを何枚か乗せる。コーヒー入れて、ついでにソーセージをフライパンでこんがり焼く。温かいものだらけの朝御飯。

お義母さんがお裾分けしてくれた長ねぎ入りだというソーセージは淡泊でけっこうイケる。粒マスタードをこてこて塗りながらソーセージをつまみ、片手にチーズトースト。熱で溶けたカチョカヴァロチーズはびよーんと幅広くたっぷり伸びる。ねちねちもちもちとした妙に味わい深いチーズだ。茹でたじゃがいもにかけても旨いと思う。

バーミヤンにて
 若鶏の甘酢醤油セット
 焼き餃子
 ドリンクバー
 いちごアンニン

本日は、自転車こいで近隣のホームセンターに向かう。いかんせんボロ屋な我が家なので、水道の蛇口は水が漏れてくるし、天井既設の蛍光灯の台はサビだらけなのだ。こうなったら自分で蛇口のパッキンを取り替えたり、スプレーペンキを塗りまくったりしなければならない。コンクリート製の天井に穴を開けるにはドリルも必要だ、というのでホームセンターでお買い物。充実した買い物が終わる頃にはすっかり数時間がたっていた。午後2時という半端な時間に昼御飯。バーミヤンを近くに発見したので、巨大な買い物袋をぶらさげて店内へ。

飲み放題のドリンクバーでメロンソーダやアイスウーロン茶をがぶがぶ飲みつつ、セットメニューを食す。「若鶏の甘酢醤油」なる"油淋鶏"そっくりの揚げ鶏のねぎソースをおかずに、焼売と焼き餃子、ザーサイ、スープと御飯。いかにもなファミレスチックなわかりやすい味だけど、実はバーミヤンはそんなに嫌いじゃないのである。

で、壁のポスターに惹かれてついつい「いちごアンニン」なるデザートも注文。やけに甘ったるい杏仁豆腐に缶詰の果物の角切りが混ざり、上にはコンデンスミルクをぶっかけた生の苺がたっぷり乗っている。苺とフルフルした杏仁豆腐はけっこう似合う。似合うのだけど、めちゃめちゃ甘い。コンデンスミルクたっぷりの甘々苺に、杏仁豆腐もシロップが練り混まれているような甘さで、しかもシロップ漬けの缶詰フルーツときた。口にするなり口の端が緊張感を失ってでれんとしてしまいそうな濃厚な甘さだ。……でも、疲れていたから結構美味しかったのねー。バーミヤンのデザートはなかなか不思議だ。

ヨコイのスパゲッティ
アイスカフェオレ

夕方近くに昼御飯をとってしまったので、夕刻過ぎても満腹なのだった。
ホームセンターで色々なブツを購入してきた私たちは、水道のパッキンを取り付けたり、天井に穴開けて長らくつけてなかった食卓用ペンダントライトを取り付けたり、蛍光灯のカバーを白いペンキで塗り直したりと大騒ぎだ。イチゴの苗も買ってきた。「大きくなれよー」と大きな鉢に植え替える。甘い苺ができると良いなぁ。そもそもちゃんと実がなるのかどうかも定かじゃないけど。(私は緑の指は持っていない)

午後7時半、ゆるゆると夕食準備。チキンナゲットを買ってきて、久しぶりのヨコイのスパ。
ヨコイのスパは名古屋のスパ、あんかけスパだ。ミートソースともケチャップソースともつかない、胡椒のピリリとした辛さが漂うとろみのあるソース、このレトルトパックをかけて食す。「ヨコイ」とは名古屋にあるお店の名前なのだった。お店の名を掲げる、やけに太いスパゲッティを茹で、それを一度水で締め、それからたっぷりのバターで炒めたやつを皿に盛る。麺の上にはチキンナゲットと半熟の目玉焼き。そして麺の周囲に湯で温めておいたソースをたっぷりとかける。それがヨコイスタイルというものであるらしい。

数年前の『dancyu』でこのあんかけスパの記事を見てからというもの、必死に探して購入ルートを見つけた私たちは以来、何かというとこのスパゲティを食っている。はっきり言って「風味濃厚、馥郁たる味」なんてものにはほど遠く、どちらかというとファーストフードっぽさも漂うチープな味だ。なのに、どうもクセになってしまうのであった。バターの風味ただよう太麺ととろっとしたソースと、あとは半熟目玉焼きやらウィンナーやら牡蠣フライやらチキンナゲットやらの具のコンビネーションがどうにも独特で美味しいのだ。

久しぶりのヨコイは、やっぱりしみじみ旨かった。"あんかけスパ"なんて、名古屋にしか存在しない独特な文化であるらしい。千葉在住の我ら夫妻はくねくねしながら名古屋の味を堪能するのであった。
そ、そういえばだんなはこの間冷凍食品コーナーで「そばめし」を買ってきたのである。こちらは神戸名物。細かく切った焼きそばが御飯の中に混ざっているなんて、こちらもイカガワシイことこの上ない。でもきっと美味しいのだろう。名物なんてそんなもんだ。

2/4 (日)
房州名物「菜の花弁当」 (昼御飯)
味噌バターコーンラーメン肉もやし入り
冷茶

「551蓬莱」のラーメンが、我が家の冷蔵庫に入っていた。今朝はこれにて味噌ラーメン。朝からどことなくヘビィだ。

味噌ラーメンにおいて必要なものは、私的にはバターとコーンなのである。だんな的にはもやしと豚挽肉炒めなのであった。両者相譲らず、結局もやし炒めとバターとコーンが乗る豪華味噌ラーメンになった。
濃縮液体スープがついてくるインスタントラーメンだからして、私なぞは説明書き通りに麺を茹で、スープを湯で延ばしてどんぶりに入れさえすれば良いんじゃないだろうかと思っている。だが、だんなは「食の追求人」なのであった。インスタントラーメンもインスタントラーメンで終わらせないのが彼の凝り性具合なのだった。

サラダ油で(←ラードを使うとギトギトになりすぎちゃう、というのがだんなの解説だ)もやしと豚挽肉をこっくり炒め、炒めたところに濃縮スープと湯を投入して沸騰させる。あらかじめ湯を張って温めておいたどんぶりにそこからスープだけを入れ、その上から茹でた麺を入れ、上からもやしと肉の炒めを盛りつける。コーンをたっぷり乗せればできあがり。食べ際にバターの塊を落とし、やわやわと溶けていくバターを溶けきらないうちにすくって食べちゃうのが大好きな私だ。お行儀悪いと言われる。でも、味噌味が染みた柔らかいバターって妙に美味しいんですもの。

551蓬莱の味噌ラーメンは縮れが僅かだけあるやや細い麺。スープはしょうゆ味がちょっと強い、味噌風味は軽い感じのものだった。もっとこってり系が好みではあるけれど、朝御飯にはちょうど良いものだったかもしれない。

千葉駅構内 伊藤園NATURAL STATIONにて
 いちごミルク

今日は千葉駅におでかけ。駅前の、ヨドバシカメラに今日は用があるのだった。念願のウォシュレット及び布団乾燥機を買い求めに行く。

広い駅構内を家族でほてほて歩く途中、だんなが横で
「おゆきさん、おゆきさん、ナチュラルステーションがあるっ!」
と興奮した声を発した。
ナチュラルステーションは、伊藤園が経営するジューススタンドだ。「白いバナナミルク」「赤いキャロットミックス」などを始め、砂糖の入らないミックスジュースを出している。牛乳たっぷりで、とても美味しい。「今日のおすすめ いちごミルク」なんて文字を見て、ふらふらと入店してしまった。

ただただ苺と牛乳だけのような味の、薄ピンク色のジュースだ。自分でも作れそうなもんだけど、どうも美味しいんだなぁ。
今日の購入物、バーミックスを追加決定。

房州名物「菜の花弁当」
抹茶入り玄米茶

念願叶ってウォシュレットと布団乾燥機とバーミックス(他社製の"もどき")を無事に購入。来週末に配送にて届くことになった。
うきうきと帰宅。千葉駅内のお弁当屋でだんなが大好きなのだという駅弁、「菜の花弁当」を買い求めてきた。
「千葉の駅弁といったらこれですよ!菜の花弁当と、焼き蛤弁当!」
とだんなは熱く語っている。私は食べるの、初めてだ。

弁当は小振りなサイズ。3種類の漬け物の他は、御飯がみっしり詰まっている。御飯の上には鶏そぼろと炒り卵。紅生姜の手前には焼き蛤の串が一本、ぽてっと置かれている。別に菜の花が入ってるわけじゃなくて、菜の花畑をイメージしたそぼろ御飯が正体なのであった。
熱いお茶を用意して、駅弁の昼御飯。

いかにも駅弁な味の、甘く濃い味付けの鶏そぼろ。炒り卵はさっぱり塩味で、これまた濃い味の焼き蛤。漬け物はたくあんと粕漬け、柴漬け。甘いそぼろが駅弁気分をもり立ててくれて、妙に美味しい。具沢山のも好きだけど、シンプルなお弁当も良いものだ。

551蓬莱の
 焼売
 ユーチュウ焼売
カボチャのにんにく炒め
親子丼
ごぼうと舞茸の吸い物
モルツ、冷茶

苺withコンデンスミルクと牛乳

冷蔵庫の中にヤバめの鶏肉があったので、今晩は鶏肉たっぷり料理。午後遅めに弁当を食べてしまったので、あっさりと親子丼。まずはだしを取ることから始めなければならない。

たっぷりのだしを取り、ほとんどは吸い物にする。ごぼうと舞茸、鶏肉がたっぷり入る、母の実家である秋田県角館で頻繁に飲む吸い物だ。名物のきりたんぽ鍋と良く似た具であり味である。ごぼうと舞茸の香りの強い組合せは、慣れてしまうと妙に恋しくなる味なのだ。鶏肉は軽めに火を通し、堅くならないようにするのがポイント。醤油も塩もちょっと多めの濃いめの味付けだ。色のない吸い物は東北には存在しないのではないかというほど、母の実家の吸い物はどす黒い。それがまた美味しかったりするんだけど。

ビールのつまみにと、551蓬莱の焼売をふかす。ついでにかぼちゃとにんにくをオリーブ油で炒め、ぱっぱと塩胡椒と醤油を少々。アツアツのところをテーブルに出して、ビールでとりあえず1杯。実はついさっきまで「宅配寿司にしちゃうぅ?」「それともピザァ?」とやる気のなさを夫婦揃って表明していたはずなのに、意見反転、
「やっぱり自分ちの御飯が一番だねぇぇぇぇ〜」
とか言っている私たちである。

で、親子丼。材料をすべて整え、
「今日はセルフ親子丼でございますぅ〜」
と各自自分の親子丼を作る。だんなと私、コンロに並んで丼鍋を1個ずつ構え、神妙な面もちでだしを手に取る。
吸い物にした残りのだしに味醂を入れて煮立て、そこへ醤油をまぶしておいた鶏肉を投入。長ねぎの刻みも入れて、鶏肉が煮えたところで溶き卵を回し入れる。簡単なようで美味しくするのは難しい。
「ぎゃっ、あふれた!」
「もうちょっとかな〜。」
「ねぎねぎねぎねぎ!」
とぱたぱたしながら狭い台所でわたわたと並んで親子丼を作る。ほぼ2人同時にできあがった。濃い味の吸い物も椀に入れ、いただきます。

私の丼は、ちょっとばかり"つゆだく"状態だった。味醂も醤油も少々少なめな印象。鶏肉はちょうど火が通り終わったというところで、ふかふかと柔らかく美味だ。でも味付けは、だんなの方が上手そう。だんなの方が美味しそうな茶色が濃いだしの色だ。
タイミングと微妙なさじ加減が大切な丼ものはやっぱり難しい。