食欲魔人日記 01年06月 第1週
6/1 (金)
辛抱たまらず、きじ焼き丼 (夕御飯)
チーズトースト
アイスカフェオレ

だんな、今日は健康診断なので朝飯喰っちゃいけなのだそうである。ああ可哀想、可哀想……と思いつつ、私は私の分の食パンにカルピスバターを塗り塗り。とろけるチーズを1枚乗せてトーストにして、焼きたてのところを息子と一緒に朝御飯。
いつも朝御飯は欠かさないだんなが、健康診断終了まで何も食べられないとは何とも可哀想だ。ちょっと申し訳ない気分になりながら香ばしいパンをもりもり食べる。

大学学食カフェテリアにて
 ハッシュドビーフ定食

労働の日。「……学食、行ってみるかな」と学生で混雑する時間を外して午後1時すぎにカフェテリアへいそいそと向かった。午後の講義開始のベルが聞こえてくる。のどかだ。

今日の定食620円なりはハッシュドビーフ。おかずと御飯、スープと小鉢がセットになっている。スープボールにたっぷりのハッシュドビーフと、スープはオニオンスープ、まるでアイスクリームのように丸く綺麗に盛りつけられた小鉢はどうやらかぼちゃのサラダのようで、あとは山盛りの飯。
そうそう、学食の御飯は問答無用にたっぷりなのだった。茶碗のサイズからして我が家の御飯茶碗の2倍はありそうな上に、溢れんばかりにこんもり盛られてくる。「あ、半分にしてください」と言おうと一瞬思ったが、空腹にかられてそのままレジへ。

ハッシュドビーフはビーフシチューのようなケチャップのようなトマトのような味の、それでもなかなかに本格的なものだった。薄切り牛肉がたっぷりと、玉ねぎやじゃがいもと一緒にとろみのあるスープの中に浸っている。スプーンですくって口に運んでは御飯も口に放り込む。
スープは、茶色く炒められた玉ねぎがたっぷりの、「パン抜きオニオングラタンスープ」という感じのもの。フライドオニオンがアイスクリームのトッピングのように飾られたかぼちゃのサラダも美味しかった。学食、侮りがたし。

……しかし、やっぱり御飯は多かった。ハッシュドビーフをお供にして必死の思いで平らげる。確か学生時代はこれをペロリと平らげていたはずだ。そう思うと、あの時から年月はしっかり経過したのねぇとしみじみ思う(でも喰ったけど)。

きじ焼き丼
わかめと葱の味噌汁
冷茶

きじ焼き丼である。
昨夜の「どっちの料理ショー」のきじ焼き丼はあまりにも美味しそうで、あまつさえかき揚げ丼に負けたりしたものだから、私の中で「きじ焼き丼熱」はじわじわと高まりまくりつつあった。だんなは今日、飲み会だ。

「美味しそうな鶏肉、買ってかえろー」
「かえろー」(←息子)
と、夕方息子と一緒にお買い物。いつもの安売り肉屋「ニュークイック」に行くのは今日は止め、鶏肉専門の肉屋に寄ってみる。普通の若鶏ももは100g120円、しかしその横の「錦鶏」なる肉は100g250円、その値段は味に比例してくれるだろうか。しばし悩んで、「外食で1000円のきじ焼き丼を食ったと思えば」と決意してお高い鶏肉を買ってきてみた。いざいざ、目指せ美味しいきじ焼き丼。

参考にするのは、当然「どっちの料理ショー」公式サイト。最近リニューアルして、サイトのデザインも情報量もかなり向上している。けっこうお気に入り。
……しかし、載っていたきじ焼き丼のレシピは広大な手順および材料の羅列。焼きだれの材料に「醤油1800cc」なんて書いてあって「作れるかぁ!」とモニターに向かって一人ツッコミ。仕方ないので、なんとなくそのレシピを参考にしつつも好き勝手に作ってみる。

塩と砂糖と醤油少々とだし汁を混ぜた溶き卵でまずはうりゃうりゃと炒り卵。ポロポロになりすぎずにふわっとしたところで火を止めておく。買ってきた鶏肉は半分ほどをフードプロセッサーにかけてひき肉にしてから醤油と味醂と酒と刻み生姜で炒りつけてそぼろに。
鶏肉は「きっと網焼きが美味しい……」と思いつつ、溶けた脂や肉汁をかけ汁に使いたかったのでフライパンで焼き付けることに。カンカンに熱した鉄のフライパンでこんがり焼く。ついでにししとうも数本放り込んでこんがりと。焼けたところで醤油と味醂をうりゃぁ!と流して少々煮詰めてできあがり。鶏肉切って、どんぶり御飯に全部を美しく盛りつける。最後の焼き汁をさらっとかけて、仕上げにうずらの卵を1個、ぱかんと割れば完成。おおー、なかなか美味しそうじゃないか。

手間をかけ、気張って良い肉を買ってきただけあって、かつてなく美味しいきじ焼き丼ができた。ぎりぎり火が通ったくらいの鶏肉に、ポロポロのそぼろの甘辛さも良い感じ。歯ごたえのしっかりとある肉は適度に脂も乗っていて、皮のプリプリ感も申し分なかった。
ほの甘い卵と鶏そぼろは息子のハートも鷲掴みにしたようで、かつてなく
「おいちーねえぇぇぇぇ」
を連呼して怒濤のように御飯をもりもり食っていた。
……ちょっと多めに作って、だんなに食べさせてあげようと思ったのに全部無くなっちゃったじゃないか。そぼろも卵も。

6/2 (土)
アンナミラーズのマロンパイ〜♪ (昼御飯)
チーズトースト
アイスカフェオレ

10時頃、起床。今日は、千葉駅方面にマンゴプリン探索に行きたいところだ。今日は21歳になる義妹の誕生日でもあるので、誕生日プレゼントも買いたいところだ。天気も上々。

「千葉そごうの中にアンミラがあるらしいので、そこに行きませんか?」
とだんなを誘う。二つ返事で承諾されたので、起きるなり出かける準備をしようとしたが、息子が空腹を訴えたので急ぎ簡単な朝御飯。チーズトーストをさくっと食べて、いざいざ外出。

千葉そごう内 アンナミラーズにて
 ハンバーガー1/2ポンド チーズ乗せ with フライドポテト
 マロンパイ
 アイスティー

アンナミラーズと言えば、生クリームがこってり乗ったパイである。そしてウェイトレスのおねーちゃん達のあの制服である。胸をやたらと強調するデザインになっているオレンジやピンク色のエプロンは、後ろが大きくリボンになっていてすごく可愛い。ミニスカートから出る足も大変によろしい。どこかコスプレ衣装のように奇抜なユニフォームは、でも見ていてなかなか嬉しいのであった。着ている人のスタイルを良く見せる衣装であると思う。
んが、ペンシルバニアスタイルだという御飯類は、はっきり言ってそれほど「おいしー!」というほどでもない。しかも高い。
「絶対この価格は、おねーちゃん達の鑑賞代が入っているのよ。」
などとオヤジのような事を言いながらアンミラでお食事。

ハンバーガーは大きさを2種類から選べる。「大」にあたるものは1/2ポンド。チーズやマッシュルーム、ベーコンなどのトッピングも追加料金80円ほどで可能。ポテトかコールスローなども選択でついてくる。しかして、1/2ポンドハンバーグにチーズを追加でポテト付きで注文。
やってきたのは、てっぺんにプラスチックの楊枝がぶすりと刺さった巨大なハンバーガーだ。分厚いトマトと玉ねぎと共に2枚のハンバーグが柔らかなパンの間に挟まっている。長いフライドポテトもこんもりと、巨大なピクルスもついてくる。壮観だ。

思い切り口を開けても、ハンバーガーの高さまでとても届かない。そんな巨大なハンバーガーを両手でしっかと押さえて隅から肉汁と落としつつかぶりつく。味が少々薄かったのでケチャップも盛大にぶっかけて、喰う。口も手もベッタベタだけど気にしない〜。で、そのハンバーガーは期待以上に美味しかった。おねーちゃん達の足バーン胸バーンの制服もまぶしくて良い感じ(←オヤジだ……)。

だんなは海老フライとハンバーグステーキの豪華セット。息子はオムレツとポテトとパンがセットになったキッズメニュー。3人3様に、けっこう楽しみながら御飯を食べていたのであった。

最後は当然パイだ。薄いパイ生地にマロンだのバナナだのチョコだののフィリングがたっぷり詰まり、更に上にはにょろりにょろりとたっぷり生クリームが絞られているパイが私もだんなも大好きだ。
「私は……バナナ。あ、あ、あ、やっぱりマロン。」
「俺はマロン……いやいやいや、マロンチョコ……いやー、チョコかなー。」
と大騒ぎしながら食後のパイ。家族3人で奪い合いつつ2種類のケーキを仲良く食べる。ごろんごろんと入った、カスタードクリームにまみれたような栗と生クリーム。どこかチープな味もするのに、やっぱりしみじみ美味しいのだった。肉まんの「井村屋」が母体だというのに、バタ臭いアンミラの魅力に憑かれている私たち。

茹で枝豆
錦鶏とレタスのイタリアンサラダ
牛肉と玉ねぎの炒め with おろし醤油
大根と油揚げの味噌汁
御飯
モルツ、麦茶

千葉三越で買ってきたマンゴープリン

首尾よくマンゴプリンも無事に入手し、夕方帰宅。
「牛肉が食べたいねぇ。しかもさっぱりと。」
というので、おろし醤油で食べる炒め牛肉。塩胡椒だけで炒めた牛肉と玉ねぎに、大根おろしをぶっかけて醤油垂らして食べる。暑くなってくると大根おろしが妙に美味しく感じられてくるものだ。

あとは、昨日「きじ焼き丼」をしたときに買ってきた「錦鶏」なる鶏肉の残りを細かく切ってオーブン焼きにしてレタスの上に。パルメザンチーズをたっぷりおろして、オリーブ油とワインビネガーとバルサミコ酢と塩胡椒で作ったドレッシングをかけて食べる。買ってきたばかりの葉つき枝豆は1つずつハサミでちょんぎって茹で、これで準備完了。ビールと御飯のおかずにしつつ、さっぱりしている割には高カロリーそうな夕御飯となった。

千葉三越の洋総菜コーナーで買ってきたマンゴープリンも食後にばくばくと。
中華料理屋ではあまり見かけないような、やたらとどっしりこってりした濃厚なプリンだった。いよいよマンゴー果実も安く売られるようになってきて、巷はそろそろマンゴーの旬みたい。

6/3 (日)
肉団子入りミートソーススパゲッティ (夕御飯)
Johanの
 アーモンドチョコブレッド
 マイース
アイスカフェオレ

昨日はデパートでJohanのパンを買ってきた。発売時間から1時間ほど過ぎているというのに、相変わらず千葉三越では「アーモンドチョコブレッド」が店頭で余っているのである。以前、銀座三越で発売時間の10分前からわざわざ並んで買っていた自分がアホみたいに思えてくる。味は……自分的には変わらないと思う。「Johanなら三越○○店の釜が良いので一番美味しい」という話も聞いたことがあるけれど、私はチョコブレッドであるならば全くこだわらないのであった。簡単に買えるものが一番だ。

一緒に買ってきた好物「マイース」はコーンとマヨネーズが乗るパン。どこかモチモチとした独特の食感のJohanのパンにコーンとマヨネーズはうっとりするほど良く似合う。
1斤のチョコブレッドをざくざく切って、みんなでチョコブレッドの朝御飯。チョコがどっしりねっちり練り混まれた甘いパンは相変わらずの美味だった。案外と食べ応えがあるので、簡単にお腹一杯になっちゃうのであった。

だんな特製上海焼きそば
プーアル茶

経営陣の数々の悪行が暴露されて久しい「そごう」であるけれども、「千葉そごう」はとても使える食料品街を有していた。上階にあるアンミラーズのパイは地下の洋菓子売り場でも買うことができ、日本酒コーナーには好物の「神亀」がずらりと何種類も並んでいる。

JALショップまであるのを発見しただんなは昨日、「ちょ、ちょちょちょちょっと行ってくるね」と楽しそうに「うどんですかい」と「らーめんですかい」を買ってきていた。
彼曰く、
「インスタントうどんで一番好きなのは"うどんですかい"なんだ」
なのだそうである。
「飛行機内で食べられるように、熱湯より温度の低いポットのお湯でも作れるんだよ!」
なんて力説されても、「はぁ、そうですか」としか言えない私。

そして、何より「千葉そごう」には「永楽製麺所」ショップがあるのであった。発見するなり駆け寄って、
「永楽だ永楽だ永楽だ!」
と冷蔵ケースにがぶり寄り
「焼きそば?焼きそば?」
「タンメンにする?」
といきなり翌日の昼飯の算段を始めた結果、今日の我が家の冷蔵庫には茶色い「加熱済み蒸し麺」が入っているのであった。モヤシと豚肉、買い置きのニラなどを使って上海焼きそばをだんなが作ってくださった。永楽製麺所の麺は、何しろ素晴らしい。種類が豊富なのも嬉しいことだ。

「仕上がり30秒前にニラを入れてシャキシャキにしてみました〜」
と出された茶色い麺の焼きそばは、シンプルな塩とオイスターソースの味。豚とモヤシはソース味にも似合うけれども、この塩とオイスターソースの味つけにもものすごく良くなじんで美味しい。3玉使った焼きそばは、かくしてあっという間に消え失せたのであった。

だんな特製肉団子入りミートソーススパゲッティ
モルツ、アイスカフェオレ

休日の御飯は大概、だんなと一緒に行く買い物中に決定される。魚売り場と肉売り場を移動する間に
「鰹が安い!今日はたたきだ!」
とか、
「ダメだよ〜、カルビが安いよ〜、焼き肉しろって言われてるよー。」
とかいうことになる。今日は、ひき肉が安かった。ハンバーグ?ピーマンの肉詰め?……ミートソース?

「だんなーだんなー、肉団子入りのミートソーススパゲッティはいかがでしょう?」
と提案したら一も二もなく承諾された。そういうわけで、今日はミートソーススパゲッティ。夕方6時、ふらりとだんなが台所に立って玉ねぎを刻み始めた。無言の元に、どうやら今日はだんなが料理してくれることに決定した模様だ。
「手伝わなくて大丈夫〜?」
と声をかけると、「だいじょうぶ〜」と返ってきた。ならば、とホームページの更新作業などを始めたところ、背後から
「赤ワインが、あかぬワイン〜〜〜〜」
と力が抜けるような声も聞こえてきた。ここは無視だ。
「あかぬワイン〜あかぬワイン〜」
と何度も聞こえてくる。やはりここも無視であろう。夫婦の絆は、この際無視だ。つまらぬ駄洒落には沈黙をもって応えなければならない。

かくして、駄洒落が微量に溶け込んだ肉団子スパゲッティが完成した。
だんなが並べた皿は、いつものパスタ皿よりも小ぶりのもの。
「これじゃ小さくない?」
と訊くと、ニヤニヤ笑いながら我が家で一番大きな深皿を出してきた。……彼は、ルパン三世ごっこをするつもりなのであった。

ルパン三世アニメ「カリオストロの城」で序盤に出てくるルパンと次元のスパゲティ取り合いシーン(しかもこれがミートボールスパゲティ)が、だんなは大好きだ。
「イタリア行ったら、何食べたい?」
との問いに
「ミートボールスパを、取り合って食べる。」
と答えが返ってくるほど、だんなはあのシーンがお気に入りであるらしかった。いや、確かに美味しそうだし私もそれは大好きなシーンだ。でも、やるかね。家で。本当に。

さて、できあがってきたパスタは本当に大量だった。我が家で一番大きなはずの深皿にたっぷりなみなみとミートソースに和えられたパスタが詰まっている。上にはごろんごろんと肉団子がいっぱい。
赤ワインを多く入れすぎてしまって酸味が出たのでケチャップも投入したのだというそのミートソースは、絶妙なチープ加減でめちゃめちゃ美味しかった。ハンバーグのように肉肉している団子にケチャップ風味のソースがしっかり絡んでいる。家族で奪い合うようにトングを持ちつつどかどかと太麺のミートソースを食べまくる。400g茹でたらしいパスタは、普通の1人前くらい食べた息子の尽力もあってすっかり綺麗になくなった。最後は皿まで舐めちゃうほど、本当に旨かった。本当にルパン三世ごっこやっていたら次元役に全部奪われちゃうところだけど、そこは仲良く食べたのだった。