食欲魔人日記 00年10月 第1週
10/1 (日)
銀座 つばめグリルにて
 ロメインレタスのシーザーズサラダ
 ピット・イ・パンナ
 つばめ風ハンブルグステーキ
 ガーリックトースト

「蛋白質も底をついたし」
「お買い物にいきましょー」
と、午前11時、電車に乗り込む。しかし、"あとでちょっくら池袋に行こう"という以外に予定は全然立ってなかった。

「池袋の"摩天楼大飯店"で美味なる酢豚を食べる、とか。」
「飯田橋に降りる……とデニーズがある。」
「何故デニーズッ!?」
「あとは飯田橋の"紀の善"……"ますだや"の弁当、は今日休みだ……。」
「いやいやだったら銀座の"グリスイス"で"千葉さんのカツカレー"を。」
「ああ、麹町で"アジャンタ"のカレーとか。」
「いっそのこと、月島でもんじゃ……?」
「うーむ。」
「うーーーむ。」
我々の食べ物に関する悩みは、いつも深淵かつ難解だ。

結局、
「つばめグリルでハンバーグを食べましょー」
で両者意見が一致。開店直後のつばめグリルに入店する。

ここの名物は、やはり「つばめ風ハンブルグステーキ」だろう。
木の鍋敷きの上には分厚く重い鉄製のフライパンが運ばれる。湯気でパンパンになったアルミホイルの包みが置かれ、じゃがいも1個がごろりと横には乗っている。で、アルミホイルをつつくと中からはビーフシチューのかかったハンバーグが出てくるという案配だ。このハンバーグもビーフシチューもすこぶる美味しい。しみじみと洋食屋さんの味がする。

だんなも私も当然このハンブルグステーキ。それとメニューに大文字で書かれていて気になってしまった"ロメインレタスのシーザーズサラダ"もお供に注文。息子の為に、
「細かく切ったじゃがいもと玉ねぎ、牛肉を炒め合わせて中央にポーチドエッグを乗せたもので、えー、卵を崩して食べていただくものです。」
と説明されて心にぐぐっと来てしまった"ピット・イ・パンナ"なるものを頼む。あ、それとガーリックトーストも2つね。

最初に来たのはガーリックトースト。長さ7cmほどに切られた巨大なフランスパンが2切れ、切り口を上にしてどかんどかんと小皿に乗っている。切り口からたっぷりのにんにくとバターが染み込んでいるような感じで、どこを噛んでもじゅわっとバターとにんにくの香りが広がる。あつあつでサクサクで、いきなり空きっ腹に幸せな感じに染み込んでくれる。熱いパンをはふはふと食べている間に、サラダと"ピット・イ・パンナ"、ハンバーグが次々とテーブルに並んだ。いくつもの皿が並んでなんだかとても壮観だ。

シーザーズサラダは、大きな楕円の皿に1枚ずつのロメインレタスの葉がそのままの大きさでたっぷり積み上げてある。ドレッシングとおろしたパルメザンチーズがたっぷりと絡んでいて、上から更に薄切りのチーズや大きめのクルトンが散らされている。ナイフで葉をガッシュガッシュと切り分けつつ口に運ぶ。材料と言ったらレタスとチーズくらいのこのサラダ、これがこれが想像以上に旨かった。
普通のレタスよりも野性味のある大きめのベロンとした葉っぱは、とても歯ごたえがある。芯を噛むとこれまた強い歯ごたえがあり、シャクシャクという音が周囲に広がるほどだ。酸味のあるドレッシングに、香りのよいチーズがみっちり絡んでいて、シンプルなくせに妙にすばらしく美味しい。

そして、"ピット・イ・パンナ"。角切りのじゃがいもに玉ねぎが半揚げのような状態で炒められていて、柔らかな牛肉の塊もごろごろと混ざっている。表面がカリカリの状態になっているようなじゃがいもに、中央のポーチドエッグをつついて黄身を絡ませる。調味料といったら塩と胡椒だけのような、見た目も味も素朴な料理だ。
「……旨いっすよ。」
「……ていうか、ビールが凄く恋しくなるような。」
「と、とまらんっ」
と、息子用に注文したというにも関わらず、ついついフォークやスプーンを出してじゃがいもと肉をぽいぽいと食べてしまう。

そーしてそして、メインディッシュのつばめ風ハンブルグステーキ。
今日もフライパンはじゅわじゅわと威勢良く音と立てていた。ぷっくり膨れたアルミホイルをつつくと、中から大量の湯気と一緒にビーフシチューが顔を出す。多めの赤ワインが入ったような濃いめの味のビーフシチューにはいんげんと溶けそうな肉の塊も入っている。あつあつの肉汁たっぷりのほど良く焼けたハンバーグにビーフシチューの組合せは相変わらず絶品だ。ハンバーグにシチューを浸して喰い、ガーリックトーストを浸して喰い、最後には付け合わせのじゃがいもを切り崩してシチューの上に乗せて絡めて喰い、あれこれしながらシチューをぺろりと平らげた。
あー、喰った喰った〜♪ (はっ、ダイエットはどこへいったんだ!?)

池袋 AGIOにて
 カスタードプリン
 アイスティー

池袋にて用事を済ませる。私の用事につきあってくれただんなと息子に感謝を表し、
「ジュースでもおごるよ〜。……あ、それともAGIOでプリンとか?」
と言ったら最後、だんなの目がキラキラと輝きだした。
「ぷりん?ぷりん?」
ああ、もうだんなの頭はプリン一色だ。
彼はプリンが大好きだ。とりわけサンシャインシティの中にあるこのイタ飯屋のカスタードプリンが大好物だ。

ちょっと大きめのプリン型に固まっているプリンは、食卓に出てきてからスタッフがナイフを入れて皿の上に盛り付けてくれる。型の周囲に沿ってキコキコとナイフを入れて、そっと底を押さえながら皿の上にストンと落としてくれるその動作がまた「お、美味しそう……」と思わせてくれるのだ。実際旨い。

午後2時過ぎ、ランチの客も少なくなってきた店内に入り、私もだんなもアイスティーとプリンを注文、息子用にはジンジャーエール。
ほどなく2つのプリンと2つの皿がやってきて、そりゃもう見事に皿の上にぷるんとプリンを乗せてくれた。とろみの少ないカラメルが周囲に広がって、なんとも美味しそうだ。巨大だし。

……さて、今日のは、残念ながら"す"が結構入ってしまっていて舌触りがいまいちだった。卵の濃厚な堅さも、甘味のほとんどない苦いカラメルも良い感じだけど、感動的なほどの味は今日はなかった。残念。

だんな特製 天津丼
だんな特製 肉団子スープ
モルツ、麦茶

リーガロイヤルホテル早稲田の
 フルーツゼリー

夕飯は、だんなが腕をふるっての天津丼。
「肉団子スープも作ります〜♪」
とか言いながら、だんなは午後6時頃から台所でふんふんと動いていた。

本日使用の蟹缶は、パッケージが金色の何やら高そうなやつだ。「ずわい蟹」と煌びやかに書かれたラベルの、確かそれはお義母さんがくれたものだ。勿体なくてずっと食料庫のこやしになっていたものだけど、美味しい天津丼になるなら蟹缶も悔いはないだろう。
我が家の天津丼は筍入り。筍と長ねぎと蟹を一度炒めて、それを卵に混ぜて焼く。表面はこんがり焼き色がついているけど中はふわふわと柔らかいだんなの天津丼は本当に美味しい。あんは醤油と砂糖と酢がベースの、ケチャップの味は一滴分もしないやつだ。

「ふっふっふ、お代わりもあります。」
なんて嬉しいこと(いや、ダイエット中の身にとっては嬉しくないことかもしれないけど)を言いつつ、天津丼とビールがテーブルに並ぶ。甘酢あんがちょっと薄味の天津丼を食べながら、ビールを飲み干し、そして2膳目の天津丼を作ってもらう。2膳目の天津丼は肉団子のスープと。豚ひき肉を生姜や葱と一緒にこねて、スープに落とした中華スープは、やたら旨味たっぷりで、シンプルだけれど美味しかった。

デザートに、昨日Kちゃんが買ってくれたゼリーをいただく。息子が眠ってしまったことを良いことに、2つ残ったゼリーをだんなとこっそり食べる。マンゴーやスイカやメロンがざくざく入ったグレープゼリーと、オレンジゼリー。ワインの香りがふんわりして、ちょっとゆるめの固まり具合のゼリーはちょいと大人の味がした。

10/2 (月)
チーズトースト
焼きボローニャソーセージ
グレープフルーツ
アイスカフェオレ

いつもよりだんなは、1時間以上早く出勤していった。今日から数日間、ちょいと離れた地で泊まり込みの英語研修があるらしい。"だんな海外留学(もしくは海外勤務)推進委員会"委員長の私としては、だんなの英語習得は全面的にバックアップする所存だ。私もいつもより1時間早く起きて、朝7時前に一緒に朝御飯。

チーズトースト1枚に、アイスカフェオレ。
「ソーセージも焼きませんか?」
とだんなが冷蔵庫からパック詰めの太いボローニャソーセージを取り出し、何枚か薄くスライスしてフライパンで焼いてくれた。あとは昨日買ってきたばかりのグレープフルーツ。何だか充実した食卓になった。

じくじくと表面に油が浮き出たアツアツのソーセージを囓りながら、こんがり焼けたトーストを食す。ちょっと酸味が強すぎたグレープフルーツには上白糖をふって食べる。グレープフルーツにかけるには、ダイエットシュガーのパルスイートスリムよりも、そしてサラサラのグラニュー糖よりも、やっぱり上白糖が何故か美味しいと重う。あのしっとりとしてザラリとした砂糖がほの苦いグレープフルーツには似合うような気がする。

R特製
 カップケーキ
牛乳

朝御飯の片づけをしつつふと棚を見ると、土曜日に催されたRの結婚披露宴にて彼女から渡されたカップケーキと目があった。ビニール袋に詰められて、口には小さな薔薇の造花がついているところがいかにも可愛いもの好きのRらしい。"昼に食べよう"と鞄に入れて出社する。

昼休み、自動販売機で牛乳を購入してからカップケーキの封を開けてみた。
バナナがたっぷり入ったバナナケーキだ。しっとり柔らかで、バナナ以外の甘さはあまりないさっぱりしたケーキだった。披露宴の前に人数分作るのはさぞ大変だっただろうと思う。今頃Rは新婚旅行、南国の海の空の下だ。

カマンベールチーズ
カッペリーネのジェノベーゼ
肉団子スープ
SanMiguelDARKビール、麦茶

リーガロイヤルホテル早稲田の
 ブランデーケーキ
アイスブルーベリーティー

息子と2人の夕御飯一日目。
冷蔵庫から賞味期限が微量に過ぎたジェノベーゼのパスタソースが出てきたので、これを食べることにする。

"天使の髪の毛"という語源の細い細い0.9mm太さのパスタ、カッペリーニを茹でる。普段の太めのスパゲティの茹で時間は10分以上、このカッペリーニはたったの3分で良いらしい。茹であがったパスタに軽くオリーブ油をまぶし、ジェノバペーストを絡めてから皿に盛る。ついでにジェノバペーストと相性抜群の茹でじゃがいもも薄くスライスして周囲に飾る。
ビールのつまみにチーズも切った。黒ビールをグラスに注いで、昨日だんなが作ってくれた肉団子スープの残りをボウルに入れる。ああ、塊のパルメザンチーズもチーズおろしと一緒に準備しなけりゃいけない。

グラスにビールを注いで泡が程良い量になるまでの間に、ジェノベーゼパスタにチーズをたっぷりかける。うっすら雪が積もったようになったら、いざいざとフォークを構えてかぶりつく。
バジルたっぷりのジェノベーゼペーストは、にんにく風味も濃厚でとても美味しい。私の好みは更にコリコリした食感の松の実がたっぷり入ったやつだけど、これはただただバジルだけのさっぱりしたものだ。息子も真横で顔をバジルの緑とチーズの白でなんとも言えない前衛絵画のような色に染めながら「おぉ〜いち〜(=美味しい)」と御満悦顔でパスタと戦っていた。

食後にケーキ。披露宴の引き出物の1つだった、小さな箱入りのホテル製のブランデーケーキを息子と半分こする。ローズピンクの派手な色のお茶をアイスで入れて、居間の床に座り込んでぽいぽい食べる。静かな夜も悪くない。

ビールとチーズ、パスタにスープに、食後にケーキ。それからゆっくりお風呂に入ってもまだ9時前だ。
では早めに寝室に行ってごーろごろしながら本でも読んで早く寝よう。そうしようそうしよう。

10/3 (火)
トースト
目玉焼き
蜂蜜入りホットミルク

だんな不在の2日目。
いつもより少しだけ遅めに起きて、トーストの朝食。雨が降る今朝は寒くて、ミルクパンに牛乳を温めて、蜂蜜落として飲むことにする。バタートーストが焼けたら同時に焼けた半熟目玉焼きを乗せて、大口開けてかぶりつく。

時間が少々余ったので、簡単なお弁当にとおむすびを作り、雨の中ほてほて歩いて息子と保育園に行く。

おかかのおむすび
タラコのおむすび
いぶりがっこ
緑茶

昨日、生協で安売りしていたタラコを見つけたのだ。私はタラコが大好きだ。スパゲッティもたまらないけどおむすびが私にとっては秀逸なのであった。だんなの亡き今("亡き"じゃないって……)、誰に止められることなく思う存分タラコおむすびを食べられる、と朝からトーストと一緒に焼きタラコなぞ作っていた私。

小さく切った焼きタラコをまん中に詰めたおむすびを2個、おかかの佃煮を詰めたおむすびを1つ。両方とも海苔を巻いてからいぶりがっこと一緒にアルミホイルに包んで鞄の中へ。
昼休みになったところで自分用のマグカップに緑茶をたっぷり入れて席につく。

塩気充分のタラコは御飯と良く似合う。まだタラコはあるので、明日は御飯に混ぜ込んでおむすびにしよう。そうしよう。

青梗菜と筍のにんにく炒め
鮭とキノコのホイル蒸し
スペアリブと玉ねぎのスープ
御飯
モルツ、麦茶

アンリ・シャルパンティエの
 ガトー・ピレネー
白桃のアイスティー

買い置きのスペアリブを昨夜からコトコト下茹でしておいてみた。鶏がらスープで煮込んで玉ねぎ浮かせてスープにする(本当はクレソンを入れるのが似合うんだけど、近所には売っていなかったのさ……)。
鮭もある。えのきとしめじと一緒にホイルに置いて、酒ふってレモンの皮を少々乗せて包んでから蒸すこと15分。先日の天津丼の残りの筍の水煮は青梗菜と一緒ににんにくで炒めてスープと塩を加えて中華炒め風に。

だんなの不在にかこつけて手抜き料理をしたいという誘惑も強いけど、"まっとうな飯を食べたい"という欲求が勝ち、今日はなんだかヘルシーかつ盛りだくさんな料理が並ぶことになった。しかも御飯は今年の新米、炊きたてだ。

ホイル蒸しができあがるまでの10分ほど、先に青梗菜の炒めを作ってビールのつまみにこれを食べる。青梗菜はオイスターソース炒めが美味しいけど、にんにくたっぷりの塩味炒めも悪くない。ビールを飲み干した頃にホイル蒸しもできあがるので、御飯とスープとホイル蒸しを改めてテーブルに並べる。ホイル蒸しには上からレモンをぎゅっと絞り、醤油をちろっと垂らして食べる。5時間くらい火を通したスペアリブも骨から肉がするっと取れるようになっていた。何だか嬉しい。新米はうっすら甘くてほくほくでこれまた美味しいし。

……で、今日もデザートがある。
披露宴の引き出物に複数のお菓子をいただいてしまったのだから仕方がない(←言い訳100%)
"ガトー・ピレネー"なるその焼き菓子、真っ赤な四角い箱に入っていたのはクリスマスツリーのような面白い形をしたバームクーヘンのようなものだった。コアントローとオレンジピールが入っているようだ。

"泡立てた生クリームを添えたり、カンキツ系のジャムをつけてもおいしくいただけます"
なんて書いてある。そーかー、生クリームつけなきゃいけないのかー、そりゃしょうがないよなー、と生クリームを買ってきた次第。植物油入りなんかじゃなくて、純正乳製品の"四つ葉"製だ。って、別に"つけなきゃ喰っちゃいけません"なんてどこにも書いてないんだけど、そんなこと気にしちゃいけません。

小さなボールに小さな泡立て器で生クリーム少々を泡立てて、ついでに白桃の香りのハーブティーもいれた。氷たっぷりのグラスに注いで即席アイスティーにして、ケーキと紅茶を息子と囲む。
"オレンジ風味バームクーヘン"という感じのさっぱりしたお菓子に濃厚な生クリームをぺたくたつけて食べる。甘い匂いの紅茶。こうして書くと非常に良い感じの空間なんだけど……目の前の息子は怪奇生クリーム男と化していた。
あああー、生クリームを手づかみで喰うな〜、しかもそれを椅子になすりつけるな〜。……とほほ。

10/4 (水)
チーズトースト
スペアリブと玉ねぎのスープ
アイスカフェオレ

だんな不在の3日目。朝御飯は圧倒的御飯派のだんなと、圧倒的パン派の私。いつもはだんなの意見をちょっと優先させて大概朝には御飯を出すようにしている。だんな不在のこの1週間は、たらふくパンを食べるんだもんね〜、というささやかな楽しみを続行中。

昨日のスープに、チーズトースト。贅沢だろうが高カロリーだろうが、食パンに"とろけるチーズ"を1枚ぺろっと乗せて焼くよりもバターをたっぷり塗ってからチーズを乗せる方がなんとも美味しい。オーブントースターを開けると、溶けたバターがパンの表面でジュクジュク言ってるのが何とも美味しいのだ。
スペアリブが2切れ残っているスープをボールに入れて、まだジュクジュク言ってるトーストにかぶりつく。……至福。

鮭まぶし御飯のおむすび×2
いぶりがっこ
緑茶

朝食後、10分でおむすびを作って会社へ持っていった。今日のおむすびは鮭まぶし御飯のおむすびだ。本当はこれを1個にたらこおむすびを1個にする予定だったけど、鮭まぶし御飯が大量にできてしまったのでこれだけを。

昨日のホイル蒸しの残りの鮭の切り身を数分茹でる。火が通ったらボウルに入れて、酒と醤油をひとたらし。焼き海苔を細かくしたやつと白胡麻をふって、ついでに胡麻油を数滴。御飯を入れて混ぜ込んだらできあがり。確かケンタロウ氏の本で見かけたレシピだった。胡麻油を垂らしちゃうあたりがいかにもケンタロウだ。
気合い入れて鮭をほぐし、御飯が鮭だらけにならない程度に御飯を混ぜたらたっぷりの混ぜ御飯ができてしまった。

油を垂らした所為でちょっとポロポロとする御飯をぎゅうぎゅう握っていたら、野球ボールくらいの大きさのおむすびが2個できてしまった。ちょっと平たくして三角形にしたらますます大きく見えるようになってしまった。……どうしよう。
2個のおむすびを3個に作り直すのも面倒で、巨大なおむすびに海苔を巻いていぶりがっこと一緒にアルミホイルにくるんで持っていく。

会社の席で、マグカップに緑茶入れて巨大なおむすびと対峙する。いぶりがっこ(←"がっこ"は漬物。桜のチップで燻製にした沢庵だ。秋田名物……らしい。親戚のおばちゃんが良くくれるので我が家には大概常備されている。香ばしくて美味しいのさ〜。)をぽりぽり囓っては御飯を口に入れる。胡麻と胡麻油と海苔たっぷりの混ぜ御飯はなかなかどうして旨かった。冷えた魚の匂いが緩和されて美味しく感じる。

にらそば
麦茶

本日は、にらそば。
最初にニラをざっくざっくと刻むところからこの料理は始まる。1人分で2/3束ほど。細かく細かく端から切っていき、更にそれを包丁で叩く。両手に2本の包丁持ってトタタタタと叩いて細かい細かいみじん切りに。切り終わる頃には台所どころか家中がほんのりニラの香りで充満されるイヤ〜な料理だ。

ニラを刻み、同様に長ねぎも細かく切る。その横で湯を沸かし、中華麺をぐらぐらと茹でる。茹であがったら水で締めて塩と胡椒と胡麻油を和えておく。麺の上に葱を盛り、ニラを盛り、そして最後の一手間。お玉部分も柄の部分も鉄製になっている中華お玉にサラダ油と薄切りにんにくを入れ、コンロの火にかざしてじくじくとにんにくに火を通す。油がじゅわじゅわ言い出してちょっと恐くなってもじーっとじーっとコンロの前で直立不動で待つこと数分、そのうちにんにくがこんがり綺麗なキツネ色になってくる。すかさずニラの上からジュジュジュっとかけて、そしてかき混ぜてすぐさま食べる。

気合い入れて刻んだだけあって、細かいニラも葱も麺と良くからんだ。調味料は塩と胡椒だけ、香味野菜だらけの匂いの強すぎる食べ物だけど、妙に食が進む麺料理だ。
食べ終わってふと右側に座る息子を見やると、怪奇ニラ男と化していた。麺を手づかみでちゅるんと皿から掴み出す度に周囲にニラが散っていく。床も椅子もテーブルもニラだらけ、ついでに息子の服も顔も、何故か瞼や眉や髪の毛にまでニラが大量に飛んでいる。緑色の顔をしてニカッと笑う息子は……不気味だった。

10/5 (木)
海苔バタートースト
牛乳

だんな不在の4日目。
今日もトーストを焼くことから朝は始まる。簡単に御飯を済ませてちゃちゃちゃと弁当と作って出ていくのが最近のスケジュールだ。

本日は、海苔トーストにすることにした。食パンにバターをぺたくたと塗った後、それをオーブントースターに放り込む。焼き上がりのタイマーを時々眺めつつ、残り1分ほどになったらおもむろに焼き海苔を1枚ぺろっと上に乗せる。最初から乗せるのはダメだ。最初から乗せてしまったら海苔の水分が非常なまでに抜けてカサカサのカピカピになり、海苔はパンから剥離して反り返ってしまうのだ。だから焼き上がり1分前に乗せる。ほどよくバターが染み込んで海苔がしっとりとしたままの海苔トーストができあがる。ちなみに焼き上がってから乗せるような手抜きをするのもダメだ。これまたバターがパンに浸みこみまくった後なのでいまいち海苔とパンが寄り添ってくれないのだ。

……って何故私は海苔トーストについて熱く語っていますか。

かくしてそれなりに手間のかかった海苔バタートーストが2枚焼き上がった。冷たい牛乳をコップに注いで、食卓につく。
海苔バタートースト、本当になかなかイケるのだ。バターの塩気が海苔の磯臭さと妙に合う。それはタラコスパゲッティにおけるタラコとバターと麺と海苔の調和にも似ているのだ。あ、ちなみにチーズトーストに海苔かぶせても実は美味しいだ。

吉野家の
 カルビ丼
烏龍茶

朝食後、私は冷凍庫を数分眺めていた。
「吉野家の牛丼はやっぱり冷凍庫に常備されていなくっちゃな。」
とかいう理由でだんなが注文した吉野家の牛丼が、現在我が家の冷凍庫にぎっちり詰まっているのだった。20袋弱くらいだろうか。しかも、一緒に注文した「吉野家・牛やわらか煮」だとか「吉野家・カルビ丼」もちらほら入っている。これが……なんとも気になっている私なのであった。

「……食べたい。食べたい。食べてみたい。」
そう思い始めたらもう止まらない。カルビ丼の袋を1つ湯入り鍋に放り込み、冷凍庫に保存してある御飯を1包み電子レンジでチンし、いつもの小さめお弁当箱じゃなくて一回り以上大きなやつを取り出して、御飯を平たくぺたぺたと。その上に温めたカルビ丼の具を乗せて、ただただそれだけのお弁当を作って持っていく。色気がないどころじゃない、なんだか壮観な弁当だ。

「やっぱり温かいほうが良いわよね」
と昼休み、会社の女性用休憩室にある電子レンジを拝借することにする。1分ほどチンしてほかほかになったところを、缶入り烏龍茶を傍らにおいてもりもり食べる。

吉野家の、牛丼もそりゃ悪くないけどカルビ丼もなかなかどうして旨かった。甘辛いこってりしたタレがまぶされていて、肉はほどよく厚い。胡麻がまぶされているその味はぐぐっとくるものだった。美味しい。かなり美味しい。

しかし私は失念していた。カルビ丼ってばにんにくやら何やら入っているので匂いがかなり強いのだ。周囲にふわふわと広がっていく焼き肉の匂い。
「お、何だかイイ匂いがするな」
なんて5mほど先から声が聞こえてきたりして。とほほほほ、すんませんすんません。

うずら卵と青梗菜のクリーム煮
豚汁
鶏御飯
麦茶

本日、夜のメインディッシュは「豚汁」だ。
明日研修を終えて帰ってくるだんなの為に"2日目の豚汁"を味あわせてあげよう、という趣向である。だから豚汁はメニューから外せない。

帰宅早々、豚汁製作を始める。豚バラ肉の薄切りを胡麻油で炒め、大根、にんじん、ごぼう、ついでに油揚げも放り込む。じゃじゃじゃと炒めて水入れて、適当に煮たら味噌を溶くだけ。火を止める直前に胡麻油をひとたらし。食べるときに刻み葱をたっぷり乗せればサイコーだ。

そして、御飯を炊く時間があまりなかったので土鍋で炊くことに。土鍋でだって御飯は炊ける。炊飯器で炊くほどの水分の抜けやふくよかさは期待できないかもしれないけれど、土鍋で炊く御飯には何と言っても"おこげ"ができる。
で、研いだお米を土鍋に入れる。水も入れる。塩とオイスターソースと胡麻油を入れて、上に具となる鶏肉を乗せ、蓋をして強火にかける。沸騰したら弱火にして、ちょっと蓋をずらして蒸気を逃がしつつ火を通すこと計20分。そっと蓋を開けてみて、表面で水分がジュクジュク言わなくなってしかもお焦げの匂いがし始めたらできあがりだ。そのままそっと蓋を戻して蒸すこと5分。これで完成。

で、豚汁と御飯が煮えるまで時間があったのでもう1皿。ケーキ用に買った生クリームが残っていたのでこれを使ってクリーム煮。
どこかで見たレシピを引きずり出して、うずらの卵の缶詰と残り物の青梗菜を使うことにする。
サラダ油で青梗菜と薄切りハムを炒め、マッシュルームの薄切り缶詰とうずらの卵の缶詰を開けてそれを混ぜ込む。鶏がらスープを入れてちょっと煮て、塩ふって生クリーム入れて片栗粉でとろみをつければできあがり。本当は生クリームではなくてエバミルク(←無糖練乳。要するに甘くないコンデンスミルク。生クリームほど脂肪分が高くなく、濃い牛乳、という感じ。)を使うらしいけど、なに、それほど違いはない……はずだ。多分。

土鍋で炊いた御飯に、大量に作った豚汁。好物のうずらの卵入りクリーム煮。何だかとても御馳走だ。
6つのうずらの卵は母子の過酷な取り合いによって半分ずつに分配された。

さて食後、午後8時より待望の「カノッサの屈辱」がスカパーにて放映される。
ビデオ録画も怠りなく準備して、テレビ前に正座していざいざ、と放映を待つ。
1990年に放映されていたフジテレビの深夜番組「カノッサの屈辱」。当時高校生だった私はテスト勉強中にこれを見てしまって深夜の勉強が手に着かなくなってしまった記憶がある。人が必死に世界史勉強しているのに、何しやがんだコノヤロウ、と思った。
スカパーに加入したのはこれを見たいが為、と言ってもあんまり外れてないのであった。

1980年から1990年までの日本の文化(それは主に食文化)を中世あたりの世界史になぞらえて紹介する教養(?)番組、製作がホイチョイプロダクションというのが"いかにも"だ。番組が始まるなり、研究室のセットの中で仲谷昇が「私の研究室にようこそ」と挨拶する。ああ、これこれ、これだようんうん。
2話分まとめて放映された本日は「機能性飲料」(←オロナミンCとかファイブミニとかそういうやつね)と「カップラーメン」がそのお題。実写の映像が流れ、史実の人物や地図などはそれっぽくコラージュされて画面に出てくる。紙芝居のような"いかにも金かけてません"的番組だけど、妙に笑えてしまうから困ったものだ。

カップラーメンの場合は、こうだ。カップラーメンの歴史に君臨し続けてきたのは「日清帝国」。それに抵抗する勢力として三国同盟、「サンヨー帝国」「明星帝国」「ビスマルチャン帝国」がある、とする。日清帝国側は「3C政策」(カップに湯を注いで3分待つ、の政策)を旨とし、三国同盟側は「3B政策」(3分ボイルする、の政策)を旨とした。これが「定刻主義国家」の時代である。
……ああ、くだらない。力が抜ける。それがまた良い。

他にもダジャレとしか思えないキーワードが出てくる。「日明戦争」(日清VS明星)、アインスタント・シュタイン博士による「相対製麺理論」、全世界を巻き込んだ「第1.5倍世界大戦」、その後の日清・エースコックによる「日エー同盟」。
それらが淡々と、とても生真面目に説明されていく。パッと見はNHKの教育番組だ。
ああ、今日も堪能させていただいた。早く次をやらないかなぁ。

10/6 (金)
フレンチトースト
牛乳

冷蔵庫に入れておいた食パンがそろそろ固くなってきた。
そういう時は普通にトーストよりもフレンチトーストにするに限る。フレンチトーストに致しましょう、そうしましょう。

卵を牛乳で溶いて、砂糖は抜き。フライパンにバターの塊を溶かしてこんがり数分焼けば綺麗なキツネ色のトーストになる。卵液に砂糖を入れなかったので、今日はメープルシロップをかけて食べることにする。"ダイエット……"と思わないでもないけど、"卵に砂糖混ぜても上から書けても一緒だもんね"と誰にともなく言い訳をしてみる。

こんがり焼けたパン1枚に、上からメープルシロップをかける。お供に冷たい牛乳。
ほこほこ湯気をたてるミルクの香りのフレンチトーストは、腹持ちも良い。食後にちゃっちゃとおむすび作っていざいざ職場へゴー。

そうそう、いきなりこのページの上部に猫の絵の判子っぽい画像が増えております。
高校来の友人Sちゃんから頂いた誕生日プレゼントの遊び印、「もぐら庵」さん製作のもの。気に入って気に入って気に入っていたんだけど、なかなか使う機会が頻繁に訪れてくれないので、印影の色を整えてここに貼ってみた次第。味わい深くて良い感じであります。キュートだ。

たらこおむすび
たらこまぶしおむすび
いぶりがっこ
緑茶

月曜からの5日間、だんなが語学研修で泊まり込みの勉強をしている間、私の野望は"好きなものを好きなように食べちゃう"だった。朝食にパンを食べまくった後、次の野望は"たらこおむすびを腹一杯喰う"だ。

1切れ残ったたらこを朝食後に網焼きしていた私である。大きな白いご飯の中央に大きなのたらこの切り身を。そしてボウルに入れた御飯にほぐしたらこと海苔と胡麻とを混ぜ込んだたらこの混ぜ御飯。その2種類をわっせわっせと握りしめ、今日のお弁当は豪華2種類のたらこおむすびだ。
たらこおむすびはサイコーに美味しいのに、コンビニのおむすびコーナーでたらこおむすびはほとんど見かけない。案外世間じゃ嫌われ者なんだろうか、たらこおむすび。

いつにも増して巨大にできたおむすび2個をホイルの上に乗せて、冷蔵庫常備のいぶし沢庵"いぶりがっこ"を並べてくるりと包む。"握り飯の昼御飯"というのもまた、いかにも弁当、という風情がして実は結構好きなのであった。会社常備の自分用マグカップに緑茶を入れてずずずと飲みながらおむすびを食す。

香ばしくちょっと焦げのあるたらこたっぷりの御飯は本当に美味しい。プリプリのタラコが、下手をすると机の上にぽろぽろ降ってくるけど、そんなこと気にしちゃいけない。1個目のノーマルたらこおむすびを6口で食べていぶりがっこを囓り、茶をすすり、2個目の混ぜ御飯おむすびを同じく6口で平らげていぶりがっこをぽりぽり囓る。お茶をすすって、7分ほどの昼御飯終了。

ミスタードーナツの
 カスタードクリーム
 きなこボール
カフェオレ

午前中で研修最終日を終えただんなは、そのまま直行で帰ってきた。
その報を聞いた私は、午後一杯かかる予定だった出先の仕事が早く終わったことを良いことに、いそいそと直帰で帰宅。

「今、○○駅まで帰ってきたけど〜。ミスタードーナツでも買って帰ろうか?」
なんて非常に魅惑的なことを携帯電話の向こうで言っていた。
「なにが、いーいー?」
とうきうきと聞いてくる声に
「うーーーん。いつものオールドファッション系じゃなくってね、カスタードクリーム入りのやつとか、ココナッツ味のやつとか、がいーなー。」
と思案しつつ答える私。我が家の周囲にはミスタードーナツがほとんど全く存在しておらず、あるといったらその駅前くらいなのだ。この駅を通るということは、すなわち「ミスドに寄って帰る」を意味している。……いや、そこまで重要なことじゃないんだけど。

私は早めに帰ってきた自宅で、コーヒーをいれながらだんなの帰りを待っていた。
「そーいえば"きなこボール"は美味しかったなー。もうきっと売ってないだろうけど。」
なんて思いながら。
コーヒー豆を手動のミルでガリガリと挽き、コーヒーメーカーに豆と水をセットしたところでだんなが玄関のドアを開けた。心なしか彼はニヤニヤしている。

「おゆきさん用に、ぴったりなものを買ってきましたー!」
と誇らしげにテーブルに箱を置く。中には3個のドーナッツ。そして袋に入った箱入りのやつが1つ。……きなこボール、だった。どうやら、期間限定ものでもう二度と売らないものとばかり思っていた"きなこボール"が売られていたらしい。このドーナツ、この日記を始めた98年6月あたりから気が狂ったように食べまくっていたやつだ。嬉しい。めっちゃ嬉しい。

早速コーヒーを入れたマグカップを前に、きなこボールを堪能する。
5個入りの箱にはふわりとした三角形の物体が詰まっている。きなこがまぶされていて、添付の爪楊枝を刺すと「ほにょ」とも「もげ」とも違う独特の弾力がある。中が空洞の、噛むと「ほにょにょにょ〜」とふわふわしてるくせに噛み切るのに力が要るような、なんとも妙なドーナツなのであった。ていうか、そもそもドーナツなのかこれは。

時間は午後3時を回ったばかり。おやつにドーナツ2個は夕飯に響くなー、と思いながらも久しぶりの夫婦再会を喜びつつドーナツを食す。
我らの幸せはいつでも食べ物と共にあるのだ。だから良いのだ。

厚揚げの網焼き
さんまの塩焼き with 大根おろし・すだち
2日目の豚汁
御飯
モルツ、アイス烏龍茶

昨日だんなの為に作っておいた豚汁は、良い感じに"2日目の豚汁"に変化している。
根野菜はほどよく角が取れて味噌汁色に染まっていて、豚肉はほろりとなって表面に豚から出た油と油揚げから出た油と胡麻油が良い感じに浮いてキラキラしている。何となく全体がなじんだその姿は、"2日目のカレー"に勝るとも劣らない美しさだ。
今晩の献立は豚汁と新米の御飯、これは確定。

「あとは何にしましょうか〜」
とだんなと一緒に自転車こいで保育園に息子をお迎えに。家族揃って生協に寄り、
「さんまだ。」
「うむ、さんまを焼こう。」
「なら、すだちも必要だ。」
「……あとは、豆腐とか?」
「厚揚げとか。」
「うんうん、こんがり網で焼こう。」
「……だったら、ビールも必要だなぁ。」
「私はレジに並んでいるぞ。」
「なら俺はビールを取ってくるぞ。」
とあれこれ買い物。

さんまに厚揚げ、純和風の夕御飯。
網にてじっくり弱火で焼いた厚揚げは、中まで熱くなって表面はカリカリになった。葱とかつおぶしを上からかけて醤油垂らしてビールを傍らに食べる。グリルで表面こんがり焼いたさんまは大根おろしにすだち付き。パリパリに焼けた皮も、ほんのり甘さのあるワタもまた美味しい。小骨が多いけど、脂の乗った身もまたサイコーだ。
「さんま……旨いね。」
「豚汁も……美味しいね。」
「御飯が……進むね。」
と夫婦して、いや、家族して(←息子まで)新米の御飯をお代わりして食べ、豚汁をお代わりして食べ、今日も私たちは良く食べた。やはりこうでなくては。

10/7 (土)
3日目の豚汁
御飯
いぶりがっこ
アイス烏龍茶

休みだというのに、朝7時起きである。そう、今日は息子の運動会。9時に保育園に送り届けて息子の競技時間に保育園に行かなければいけない。夫婦は朝から憂鬱だった。
「ううう、ハンディカム持った燃え燃えのおじいちゃんやお父さんの群れに行くのはイヤだ……。」
「保護者が手繋いで、遊技しなきゃいけないらしいぞ。イヤだイヤだ……。」
どうも保育園とかの"みんな一緒に和気あいあい"な雰囲気が苦手な私たち。

「……何か目標を立てて、心を強く持って運動会に臨もうじゃないか。」
「ああ、こんなに良い天気の日はやっぱり屋外でビールだよビール。」
「こういう日は台場のオープンエアのレストランで、海見ながらピザでもつまんでビールをキューッと。」
「意見は合ったな。」
「いざゆかん保育園へ。」
「いざ飲まん生ビールを。」
本日の主旨はすっかり見事にすりかえっていたのであった。

朝御飯は、3日目の豚汁に御飯。そしていぶりがっこ。冷たいお茶を入れて、ただそれだけの簡単な朝食。
3日目の豚汁は、2日目のが一層ぐずぐずになったような"カオス"の状況を呈している。大根は何処へ行った、人参は何処へ行った、肉は入っているのかいないのか、それは極端な表現だけどとにかく全体が茶色く染まってそれはそれは良い具合なのだ。表面の油の層もますます充実する一方で、肉の油と油揚げの油と胡麻油の油で何だかキラキラと光っているのであった。いやーん、美味しそう。来客には絶対出せないような状態の豚汁だけど、本当はこういうのがめちゃめちゃ美味しいのだ。

それではいざいざ運動会へ。

台場DECKS SHIN YEH 臨海樓にて
 ランチバイキング
 生ビール

試供品のビール

台場AQUACITY Maharajaにて
 フローズンラッシー

試供品のビール

保育園運動会、息子所属の1歳児クラスの競技は午前中最後に催された1つだけのものだった。
親と手を繋いでマットの山を登り、途中のどんぐりを拾い、最後に高いところに吊られたおもちゃを取る、というそれだけのものだ。めでたく11時過ぎに競技は終わり、"これで解散です"の声を聞くなりすたすたと台場に向かう。保育園の運動場やテラスの照り返しがそれはそれは熱くて、すっかり汗びっしょりだ。ビールが旨いぞ、きっと旨いぞ。

隣接したAQUACITYや女性の都ヴィーナスフォートに客を取られてるらしいDECKSは今日もガラガラだ。道路側で大規模な改築工事までしているもんだから、営業しているのかしてないのかもパッと見にはさっぱりわからないのもDECKSの敗因だ。
それでも、板張りのオープンエアのレストランはその空間だけでもビールが美味しく飲めてしまうもんだから、密かにDECKSを応援している私なのであった。

確か入るのは3回目くらいの、台湾料理レストランに入る。以前は昼も単品料理を出していたのだけれど、集客を狙ってから楽をしたいからか、今は\1500のランチバイキングになっていた。単品は焼きそばや炒飯などが8種類ほど。ちらっと見たら悪くなく、じゃあバイキングにしましょうー、と入店。屋外の、一番外側の席についてまずは生ビールを注文。青い空〜、レインボーブリッジの向こうに東京タワ〜、暖かな日差しの中に初秋の冷たい風なんかが吹き抜けちゃって、気持ち良いことこの上ない。

決して種類は多いとはいえないワゴンから酒のつまみになるものをとりあえず持ってくる。
並んでいるのは麻婆豆腐、卵の甘酢あんかけ、青梗菜のにんにく炒め、蒸し鶏の葱ソース、ミニ春巻、平麺の焼きそば、野菜サラダ、ポテトサラダ、コーンサラダ、デザートに杏仁豆腐・仙草ゼリー・タピオカのカラメルティー。それに御飯とスープ、漬物と4種の蒸し物が別途ついている。ワゴンに積まれた皿を取り、サラダと青梗菜の炒め物、春巻を盛ってきた。席に戻ると、すぐさまビールもやってきた。

っあ〜〜〜、青空の下のビールってなんて旨いんだろう。料理の味は作り置きだからして何というかまぁまぁ、ほどほど、イマイチ、という感じだけど"それもまぁ良いじゃないか"とか思えてくるから困ったものだ。青梗菜の炒め物はにんにくたっぷりだけどいまいち塩気が足りなくて、特製胡麻ドレッシングのサラダもごくごく"普通"の味がした。ちょっとピリ辛いチリソースをつけて食べる春巻は外側サクサク内側も肉や野菜や春雨がたっぷり詰まっていて美味しかったけど。

オイスターソース味の平麺焼きそばや卵の甘酢あんなどを2度目の皿で持ってくると、蒸し物類がやってきた。海老餃子にミニ肉まん、豚肉焼売と魚介の焼売。プリプリの海老餃子は海老の味と歯ごたえがしっかり感じられてまぁまぁ、てっきり小龍包だと思ってスープが中から出てくるのを期待して食べた饅頭は肉まんでちょっとがっくりきたけど、これもこれで悪くなかった。なのに青空の下で食べる御飯は、美味3割増くらいに感じられてしまう。

さて、デザートだ。当然のような顔をして3種類のデザートを全部1つずつ自分用に持ってくる私。やたらと薬のような独特の匂いがする仙草ゼリーと、むちむちもちもちした豆腐の切り身のような杏仁豆腐、そして"タピオカカラメルティー"なるグラス入りの謎の物体。
……謎の物体は、確かに"タピオカカラメルティー"だった。紅茶風味の、でもほろ苦いカラメルの味がする茶色く濁った薄白い液体に、大粒のタピオカがころころと沈んでいる。不味くはないけど、スプーンですくって食べるよりは牛乳で薄めてストローで飲んだ方が美味しいんじゃないか、という感じの味。胡麻豆腐のようなねっちり感がある杏仁豆腐は相変わらず美味しくて、家族で結局4皿食べた。

ビールと食べ物とデザートで充足気分で店を出る。
出たところで、「台場地ビール試飲コーナー」なんていうのが私たちを待っていた。
「ご試飲、どうぞ〜」
と言われて貰った紙コップ入りビールを飲む。ほろ酔い気分だったのが、一気にほわほわ上機嫌になってくる。
「抽選会もやっております。」
なんてガラガラを回させて貰って、最後の1つだったらしい台場地ビールグラスなんて貰ったりして、ますます上機嫌でぷらぷらと歩く。階下の雑貨屋で"魚の骨抜き用ピンセット"を購入し、本屋で雑誌や文庫本を5〜6冊も購入し、そして
「喉が乾いたねぇ〜」
と今度はAQUACITY1階のファーストフードエリアで一休み。

ラッシー200円、アイスチャイ200円、フローズンラッシー220円という素敵な価格(←だってお店で飲んだら1杯500円とか700円とか取られたりする)の飲み物をだんなが買ってきてくれて、テーブルの並ぶエリアの片隅で取り替えっこしながらそれを飲む。ほんのり甘いヨーグルトドリンクのラッシー、そのままそれをシャーベット状にしたようなフローズンラッシーはかなり心にぐっと来た。ヒヤヒヤしていてほんのり酸っぱく、濃厚でとても美味しい。爽やかなドリンクを飲んでいるというのに、フロア中に"シナボン"の甘い甘い香りが漂ってくるのだけが難点だ。今日もシナボン、大行列。

して、最後は台場のマーケットで食料品を買って帰宅。そこでも何故かビールの試飲をやっていて、
「いかがですかぁ〜?」
の誘いにつられてまたもや一気飲みしている私なのであった。
おなか、たぽんたぽんである。

スパゲッティ ボンゴレ・ビアンコ
白ワイン

白桃カルピス
サクマドロップ

そんなに昼御飯を詰め込んできたわけでもないのに、6時を過ぎても一向に空腹にならない。
「それでもスパゲティなら食べられるっしょ。」
とだんながアサリにて"ボンゴレ・ビアンコ"を作ってくれた。殻付きアサリを白ワインで蒸した、にんにくと玉ねぎ入りのオイルスパゲッティだ。
以前従姉妹の結婚式の引き出物として貰ってきた招待客の名前入りのハーフボトル白ワインを開けて、グビグビ飲みつつスパゲッティを食べる。アサリごろごろのさっぱりしたスパゲッティはつるつるといくらでも食べられそうだった。

10/8 (日)
吉野家の冷凍もん
 牛のやわらか煮丼
冷茶

福岡 フランス菓子16区の
 Boulette Au Marron
アイスカフェオレ

昨夜、だんなが妙にニコニコしながら言うのであった。
「あしたあした、御飯を炊いておきませんか?」
その笑顔。キン肉マンのような笑顔をするときは決まっている。奴は牛丼の事を考えているのだ。
「……あ、別に炊きたての御飯じゃなくてもいいのか。冷凍御飯があるし……。」
ほら、やっぱり牛丼の事を考えている。
「……朝御飯は、牛丼?」
とちょっとだけげんなりしながらそう言うと(だってだって休みの日の朝っぱらから牛丼だなんて)、
「そう!もう、冷凍庫見る度食べたくてさー。」
なんて言っている。
そういうわけで、今朝の献立は夕べから決定されているのであった。

そうして連休中日の朝、宅配便の到着で1日は始まった。
クール宅急便で届いた紙箱には"フランス菓子"と書いてある。大阪在住の友人Kさんが九州旅行の時に買ってくれたものであるらしい。福岡の有名な菓子屋であろうか。箱には「Boulette Au Marron」とあってフランス語はさっぱりわからないが栗のお菓子ということだけは良くわかった。恭しく台所の棚に祭りあげる。

さて、牛丼だ。だんなはうきうきと「吉野家の牛丼・大盛」の冷凍袋をグラグラと煮ている。私は一緒に購入した「吉野家 牛のやわらか煮」なるものを。冷凍御飯をチンして、家族で丼を囲む。
初体験の「牛やわらか煮」はしょうゆ味の濃い甘辛いタレにまみれた角切り牛肉だった。牛版の角煮という感じだろうか。トロントロンのたれがいまいち御飯に染みてくれなくて苦労しいしい御飯と食べる。悪くはないけど、牛丼の方がやっぱり美味しい気がする。

たっぷりの丼を食べて、なおかつ食べる"朝のデザート"。
福岡から届いたお菓子を早速皿に乗せて食べてみる。冷茶を入れていたグラスを空けて、コーヒーやカフェオレを改めて入れる。渋皮付きの栗がごろりと1個詰まった、さくさくパイ生地のお菓子だ。表面に薄く砂糖で模様がついていてそこはほんのり甘いけど全体的には淡い甘さの栗パイだった。美味しい。
口も鼻もパイの粉でくずくずにしながら食べ終わって息子を見ると、彼は彼で顔面と前髪とテーブルと床半径50cmの全エリアをくずくずだらけにしているのであった。ああ……。

新宿 翠亨腟茶寮にて
 煎粉果連湯 − 揚げギョーザのスープ添え
 瑶柱蘿蔔[米羔] − 大根モチ
 軟滑咸水角 − ハムスイコク
 蝦餃 − ハーカオ
 広州焼賣仔 − 広州シューマイ
 小龍湯包 − ショーロントンパオ
 鶏紮 − カイザー
 翠亨粉果 − スイハンフンコ
 蟹肉焼賣 − カニシューマイ
 炒飯
 杏仁豆腐
アーバンエール、お茶

本日は新宿でお買い物。電器屋に行き、薬屋に行き、明日の朝食用のパンを買い、あとは来週1週間分の食材を買うだけだった。
「昼御飯……スイハンビレッジに行く?」
とだんなに提案したその瞬間から、だんなの頭は全面的にその飲茶料理店一色になってしまったようだ。その時点にいた新宿東口アルタ付近からてくてく歩いて、西口、安田生命第二ビルを目指す。

翠亨腟茶寮(スイハンビレッジ)は、だんなと私が初めて2人だけで御飯を食べた、つきあうきっかけとなった記念すべき店である。
彼がたまたま一人の食事をしなきゃいけなかった時に私を誘ってくれて、2人で食べに行ったのだ。彼は
「これが美味しいよ、あれが美味しいよ。」
とあれこれ注文してくれて、私はそれを"美味しい、美味しい"と全部食べ、挙げ句彼から
「せりあさんは、健啖家だなぁ……。」
と驚かれたエピソードがある。おいおい、お前が喰わせたんだろう。(おいおい、お前が食べたんだろう>だんな談)
その日は結局、ワリカンのつもりでがつがつ食べていたのに結局奢ってもらうことになって恐縮してしまったのだった。一品500円前後の料理ばかりだというのに、しかもランチだったというのに、会計は7000円くらいになったそうである。

その翠亨腟茶寮、入るのは2年ぶりだ。
ヨドバシカメラの向かい、長距離バスの発車するビル"安田生命第二ビル"の地下にその店はある(横浜にも池袋にも、そして新宿にももう1ヶ所系列店があるらしいけど、この店しか入ったことはないのである)。京王モール街のあるフロアからは1階上で、地上からは1階下で、何ともわかりづらく入りにくいところにその店はある。おかげでいつ行ってもガラッガラだ。混雑で座れないなんてことは一度もない。そこがまた良い。めちゃめちゃ美味しいのにガラガラだなんて。(あ、でも夜は混んでいた)

席につき、速攻ハーフ&ハーフのビールを注文。メニューを開いて馴染みのメニューをぽいぽい注文していく。
「ハーカウ。こっちの揚げ餃子。ハムスイコク。大根モチに……小龍包。この焼売も。」
「あ、カイザーも忘れちゃだめだよ。」
「そうそう、カイザーもね。」
いきなり7品かい。

メニューは中国語ベースだ。写真入りだから大体分かるけど、「鶏紮」の下に「カイザー」なんて書いてあって非常にわかりにくい。小さな説明文字を見い見い、見慣れないメニューを勉強する。

さて、ずらずらずらっと揚げ物系が最初にやってきた。
最初に来たのは「煎粉果連湯」。揚げたての餃子が3つ、それと一緒に刻み葱入りのスープもやってくる。アツアツの餃子をスープにとぷんと浸して、それを食べる。浸してもサクサクの皮を噛みしめると吸い込んだスープがじゅわっと出てくる。良い感じだ。相変わらず良い感じだ。すこぶる旨い。

丸くコロコロした大根餅は、中はふっくふくなのに外側は0.1mmほどはサクサクに焼けた層になっている。噛むとサクッほわ〜ん、という感じだ。腸詰の香りなんかはいまいち薄くて、どことなく日本人に合わせたような味になってはいるけど、それもそれで悪くない。何より両面のこのサクサクがなんとも気持ちいい。4つの大根餅は、2つが息子の腹に消えていった。大根餅は息子の大好物だ。

そーして、咸水角(ハムスイコク)。甘めの肉入りの具を餅米で包んで揚げたこの点心が私の大好物だ。
五香粉の香りが強いもの、皮がやたらと薄いものなどお店によって様々だけど、どこで食べても大抵美味しかったりするのが困ってしまう。ここのはやや厚めの皮。揚げられたサクサクの層はこれまた薄く、中には甘さは控えめな具がむちっと詰まっている。ビールが進む。ビールが旨い。

揚げ物を全部、ぽいぽいと無くなっていくところで蒸し物が続々と蒸し上がってきた。
半透明の皮が美しい海老餃子は皮も具ももちもちぷりぷりしている。海老そのままがコリコリの食感で混ぜられているやつも美味しいのだけれど、ここのは皮も具も同じようなモチモチ具合だ。なのに海老の味も存分にする。
「ハーカウ!ハーカウ!ああ、やっぱりここのが一番美味しい……。」
とだんなの黒目の中にはハートマークが乱舞している。
"広州焼賣"なる焼売は魚介入り。ころころもちもち、飲み込んだ後に豚肉の香りが喉から鼻にほわんと漂ってくる。帆立がころころ入っていた。

そしてそして、白菜が敷かれた器で蒸されて出てきたのが待望の"小龍湯包"。
ゼラチンで固めたスープを豚あんと一緒に皮でくるんだこの小龍包は、蒸すとスープが溶けてアツアツになる。皮の中には肉あんと一緒にスープがたっぷり詰まった状態で出てくるのだ。蓮華でそっとすくって、針生姜に酢を垂らしたものを乗せてがぶっと食べる。火傷に要注意だけど、えもいわれぬ美味しさがある。皮はふくふくと柔らかくでも水分で穴が開いたりはしていない。塩気のあるスープが中からじわっと出てきて、んもうこれは本当に美味しい。美味しいったら美味しい。

「鶏紮」(カイザー)はここのオススメ料理でもあるらしい。鶏肉と腸詰、筍が湯葉でくるまれて蒸されたものだ。全部一緒に一口で食べることが良いのだろうけど、一口で食べるにはつらい鶏肉やら腸詰やらで、とりあえず蓮華に乗せてぎゅうぎゅう押さえつけてぱくりと食べる。旨味やら塩気やら食感が渾然一体となって、絶妙な調和がある。料理の底には、蒸されて染み出たスープが少しばかり溜まっていて、
「この皿、僕のね!予約ね!」
と皿が来るなり宣言しただんなが最後にそれをズズズと飲み干した。何だかすごく満足そうだ。確かにそのスープはめちゃめちゃ美味しそうだけど。

7品食べて、
「ん〜、まだまだ?」
「もうちょい?」
と追加注文。
まだまだ食べる。食べられる。

追加注文、その1、炒飯。
細かくほぐされた卵がほろほろ、葱やチャーシューの入るスタンダードな炒飯だ。だけど油っこくなく、ひたすらにポロポロと崩れていってアツアツだ。ワカメと葱のスープがついている。あとザーサイと。

追加注文、その2、「翠亨粉果」。
半月状の餃子が2つ、皮は浮き粉と餅粉でできているようで、半透明でプルプルしている。中には咸水角にも似た、少し甘味のある肉あん。噛むと皮がもちもちもちもち〜と弾力があって、中はほろりとトロミのある具が絡んでいる。これがまた未知なる美味しさで夫婦くねくねする。
最後の追加注文が「蟹肉焼賣」。上にヒラヒラ蟹肉が乗り、中にもしっかり練り混まれたカニカニした焼売だ。これもやっぱりムチムチプリプリしていて、期待を少しも裏切られなかった。何喰ってもめちゃめちゃ美味しいなんて、なんだかズルイ。

で、デザート。
ここの名物は杏仁豆腐。日によっていまいちだったり神がかっていたりする困りもののデザートだけど、ここに来たならば食べねばならない。
今日のはそして、神がかった絶品の杏仁豆腐だった。

器に固められた豆腐はざくざくと菱形に切れ目が入っている。その隙間を満たすようにシロップが入っていて、上には必ず2枚の薄切りキウイが乗せられる。豆腐は杏仁の風味が豊かでほのかな甘味にごくごく薄い苦み。切れ目のエッジがちゃんと立つほどの固まり具合であるのに、口に入れたとたんに「へやゃゃゃゃ」と溶けていって跡形もなくなってしまう。恐ろしいほど見事に"崩れる"杏仁豆腐だ。キリリと冷たくて、口に入れる度に"へやゃゃゃゃ"と溶けていく杏仁豆腐は、本当の本当に絶品だ。
そしてシロップである。これはやや強めの甘味があるけれど、ふわりと爽やかな風味がある。ハマナスのお酒でも混ぜているのか、強い甘さであるのにそれがスッと消えていく。淡い甘さの豆腐をシロップと一緒に口にすると、頭の中まで"へやゃゃゃ"と溶けていってしまいそうな感覚がある。掛け値無しに美味しい。まじに美味しい。値段は半分なのに、聘珍樓本店より美味しいぞ翠亨腟茶寮。

かくして今日のお会計は8000円強。
「初デートより多く食べちゃったよ……」
と苦笑しながら店を出る。

宅配寿司
レトルト吸い物
モルツ、冷茶

新宿中村屋の
 ミニシュークリーム
アイスカフェオレ

昼過ぎに、あのような内容の昼御飯をあのように食べてしまったものだから、5時になっても6時になってもお腹が空かない。
「……うどん、とか。」
「……うーん、いまいち。」
「小さなオムライスとか作ろうか?」
「うーーーーん、それほど食べられない。」
「寿司でも、取っちゃう!?」
「寿司?」
「寿司。」
同じ単語がお互いから累計3度以上出されたら、それは夫婦の合意が得られたと言って良い。
というわけで、いつもよりは少なめの宅配寿司を注文して軽い夕飯にすることにする。

しかし、注文の電話もなかなか繋がらず、ついでに配達はいつもより1時間以上も遅れるとのことだった。連休中日、世の奥さんお母さんは私同様やる気がなかったのだろう。
だーらだらと8時過ぎまで待ち、ようやく寿司が届いた。サーモンにまぐろ、甘海老、ねぎとろ。イクラは入っていたけれど、ウニと穴子はそのセットに入っていなかったのでそれだけ別につけて貰った。

ビールを飲んで鉄火巻きをつまみ、インスタントの吸い物すすってイクラを食べる。大抵、好きなものの逆から順に食べていく私とだんなは、最 後になると飯台に残るのはいつもイクラやウニや穴子やトロということになる。
「やはり最後にマグロ系だ……直前にイクラ、穴子と持ってくるか……。」
「いやいや、今日は最後にウニだろう、その手前にイクラかな……。」
必死に考える私たちは、端から見たらかなりのあほうだろう。

かくしてお腹もいっぱい、本当は今日ケーキなんかも買ってきていたのだけれど、それは翌日にまわすことにする。
代わりに、ケーキと一緒に買ってきた小さな小さなシュークリーム。親指と人差し指で円を作ったくらいの大きさのミニシューは、「生クリーム&カスタード」「カスタード」「アーモンドクリーム&カスタード」「抹茶クリーム&カスタード」とやたらと種類があった。生クリーム入りのやつを家族分買ってきた次第。

2口で食べられるシュークリーム、こってりしたカスタードクリームにふわふわのシュー、生クリームの調和が良い。とても良い。やはりシューは生クリームとカスタードの両方入っているやつに限る。
腹いっぱい点心喰って、寿司まで喰って、"シュークリームって美味しいわぁ♪"とか思っている私に、きっとダイエットの神様は呆れ果てていることだろう。とほほ。