麦茶
先週の木曜に届いたやつを、それはそれは名残惜しみつつちびちび食べていたKさん製手打ちうどんもとうとう今日で最後だ。
うどんと一緒に送っていただいたいりこだしも底をついたので、昨夜のうちに作ってみた。
いりこと昆布を水に浸し、1時間ほどおいてから火にかける。フツフツしたらいりこと昆布を取り出して、さば節を投入して十数分煮出す。そこへ鰹節も少量入れて数分火を通し、漉せば完成……であるらしい。味付けは塩と少々の醤油、味醂や砂糖で。
一応「インパク香川県パビリオン"メンパク"」に掲載されていたやり方であるので、それほど間違いではないはずだ。だが、できあがったものはやけに茶色のだしだった。琥珀色の透明感も何もない。ちょっとショック。
見た目はいまいちだったけれど、それでもいりこの香りが濃厚に漂う自家製だしは、まぁまぁ美味しかった。塩加減などはばっちりだ。
茹でた麺を今日も水でキリリと締め、だしをかけて刻み万能葱をふり、揚げ玉をたっぷりかけてまぶして食べる。水で締まった、シャキッピシッとしたうどんはやはり美味なのであった。冷たくて滑らかな喉越しに、コシは強めにどっしりと。
……で、残っただしを、いつもアイスコーヒーを入れているポットに入れて冷蔵庫にしまっておいたのだけど、このせいで昼にちょっとした悲劇が起こりそうになったのだった。
チョコブレッド
コーンパン
アイスカフェオレ
だんなはお仕事。上京している母も、現在親戚宅に逗留中で、我が家に帰ってくるのは今日の夕飯後だという。こりゃもう一日「テレビゲームやってて良いよ」という神のおぼしめしだと勝手に解釈して「FINAL FANTASY X」を日がな一日やりまくる。昼御飯すら、片手で簡単に食べられるものでいいやと思ってしまう始末だ。
冷蔵庫に保存しておいたチョコブレッドとコーンパンを取り出して、電子レンジで室温程度の温度になるまで温めて柔らかくする。パンとバターケースを居間に持ち込み、右手にコントローラーを構えたまま左手でもしゃもしゃと自堕落に昼御飯。飲み物は自家製アイスコーヒーを牛乳で割って〜……と、ろくに冷蔵庫も見ないで適当にポットを取り出してコップに傾けようとした。
……あり?
コーヒーにしては、若干透明感があるし、何だか中にヒラヒラした細かい浮遊物が見える。こりゃ……うどんの"だし"だわ。どっからどう見ても。100%間違いなく、うどんの"だし"。
「あぶねー、あぶねー……」
とそっとポットを冷蔵庫に戻し、再度隣のポットを取り出し、間違いなくコーヒーをグラスに注ぐ。牛乳を半々くらいの割合で入れて、引き続き居間で自堕落にお昼御飯。
あやうくカフェオレじゃなくて「だしオレ」を飲むところだった自分は、セーブしないで中ボス選に突入していたゲーム内容よりもちょっと切羽詰まっていたかもしれない。
チーズコロッケ
焼き鳥
握り寿司
モルツ、麦茶
だんな、帰りが遅いらしいと聞いていたので、
「息子と2人だし、ごくごく簡単に親子丼とか作ろうか?」
と自堕落気分続行のままゲームしまくり。午後7時20分に
「これから帰るよ〜」
とだんなから電話があったときには、何も準備していない(する気力もない)状態だった。
ごめんよごめんよごめんなさい、とお願いして、閉店間際の駅ビル内テイクアウト寿司屋で握り寿司を買ってきてもらう。ついでに
「ビールのつまみに、コロッケと焼き鳥〜♪」
と彼はおかずまで買ってきてくれた。絵に描いたような「出来合い総菜を並べた食卓」だ。
カマンベールチーズが中でトロトロに溶けているチーズコロッケと、ねぎまとつくね、皮の焼き鳥。握り寿司はマグロや帆立、イカに海老に玉子、他は私の好物の穴子・いくら・ウニの3点セットも入っている。
準備しなくても目の前に夕食が出現した喜びを噛みしめつつ、だんなと息子と夕御飯。
寿司のプラスチック蓋やら何やらが散乱した食卓で、やいのやいのと食べている時、このタイミングで母が我が家に帰ってきた。
「ただいま〜……って、あらあらまーまー、何お総菜広げて食べてるのぉ〜?」
……い、一番帰ってきて欲しくないときに、このヒトは……(汗)
ろうそくの光で撮ったので、ちょいとイマイチな写真……(美味しかったのに〜)
麦茶
今日も暑い。なんでも40℃を越えるところもあるらしい猛暑の一日の始まりだ。
白い御飯をそのまま食べる気力もいまいちなくて、今朝は卵丼。だし汁と醤油、味醂、砂糖あたりを適当に火にかけて、溶き卵を流し入れて半熟に固めて御飯の上に流す。鶏肉抜き親子丼という感じの、ほんのり甘いだし汁たっぷりの丼はさらさらと食べられた。
それにしても……暑い。ぐでぐで〜。
麦茶
本日、お仕事。研究室に入る前にコンビニで飲むヨーグルトと麦茶ペットボトルを買っていった。研究室に着くなりまだ冷たいヨーグルトドリンクを飲み干して、やること山積みの仕事に取りかかる。
昼休み、ぬるまった麦茶をちびちび飲みながら蝉の声ばかりが鳴り響く外の大銀杏をのんびりと眺める。クーラー全開にしているのに、今日はあんまり涼しくならない。外は相当な猛暑のようで、一瞬窓を開けて外気を吸い込んでみたところで外出を断念した。暑すぎる。
結局、仕事の忙しさもあって固形物を1個も口にしないまま夕方を迎えてしまったのだった。
今日は大学の1級上、Y先輩&その彼女さんとの食事会なのだ。お腹を空かせて行くことにしよう。
茄子のピューレとアンチョビのブルスケッタ
牛頬肉の煮こごり 緑のソース添え
牛肉のカルパッチョ トリュフ入りじゃがいものピューレのソース
とうもろこしのピューレ コンソメゼリー添え前菜
旬の魚介の漁師風グアツェット イカ墨を打ったパッパルデッレと
真鯛のアクアパッツァ
豚肉のロースト じゃがいもとルッコラ添え
鴨胸肉のグリルとマンゴーのエスニック風 香草サラダ添え
ブラッドオレンジとスプマンテの食前酒
白ワイン2本
桃の丸ごとコンポート さっぱりとそのグラニータと共に
梅のリキュール
エスプレッソ
午後7時半予約のお店に、ちょっと早く7時10分に到着。わざと誰も到着していないだろう早めの時間に店に入り、お店の人への挨拶もそこそこに
「す、すみません……昼飯食べられなくて……何か口に入れるものください……」
と懇願した。「この状態でアルコール飲んだ日には倒れちゃいそうで」と続けたら、顔なじみのスタッフさんが笑いながらブルスケッタを2つと水を持ってきてくれた。薄切りのフランスパンをこんがり焼いて、茄子のピューレをアンチョビなどで味付けしたペーストがこんもり盛られている。
「まだ誰も来ないよね〜」
とあ〜んと大口開けて食べていたところ、Y先輩たちがやってきたのであった。初対面の素敵な女性と「あ〜ん」としながら会ってしまった私。ちょっとばかり恥ずかしい。とほ。
7時半、全員が揃ってメニューを眺めて相談しつつ食事会の始まり。これまで彼女らしい彼女がいなかったY先輩の"彼女お披露目会"が一応の今日の題目だ。「友人知人の中で最も美形な先輩」と、私が公言してはばからない先輩は、しかし大層な変人だ。彼は彼の中のルールに従って整合性のとれまくった行動をしているに過ぎないらしいのに、そのルールを理解するのが難解である、というか。数十秒でも空白の時間があるのが許せなくてスーパーのレジに並ぶ時でも本を読んでしまう、なんてのが最近驚かされた性癖だ。
私の所属していたゼミの、同期友人とはもうほとんど連絡も取らずにいるのに、どういうわけか一級上の先輩と交流が続いているのも面白いものだった。だんなの大親友M井さんも、だんなの一級上の人だったりするので、案外とそういうものなのかもしれない。
先輩の彼女Mさんは、音楽の道を歩んでいるという、目がくりくりと大きな美人さんだった。おっとりした"お嬢様"な雰囲気の人だ。目の前に「美男美女カップルが座っている」という状態になって、私は内心「目の保養だ……」とわくわくしていたのであった。
適当に、皆で分けられるように美味しそうなところを注文。
以前来たときに飲ませてもらった個性的な白ワインがまた飲みたかったので、「あのときに飲んだやつで、こんな感じので……」と伝えて持ってきてもらう。どこか樽というかナッツというかバターというかの香りがする、トロリとした強い味の白ワイン。酒に弱いはずの先輩は「うまいよこれ、うん、美味しいよ」と言いながらえらい勢いでグラスを傾け始めた。
最初に来たのは「牛頬肉の煮こごり」。ゼリー状になったプルプルの煮こごりが、良く煮込まれてホロホロになった肉の周囲に絡んでいる。塩気の少ないさっぱりとした肉と、オクラやニンジンなどの旬の野菜が盛りつけられて、横にはパセリがベースとなっているらしい緑のソースが添えられている。どこか青臭さが漂う夏の味のソースだった。
そして、大好物のカルパッチョがやってきた。牛の薄切りの生肉の上に、トリュフ入りの、塩気のあるじゃがいものピューレがかけられている。生のポルチーニ茸、パルミジャーノチーズやモッツァレラチーズも添えられたそれを、くるくると丸めて口に入れる。柔らかな肉は、口に入れると脂がとろとろ〜っと柔らかく溶けていく食感で、トリュフだのポルチーニだのじゃがいもだのチーズだのの複雑な香味が一斉に口の中を占領していく。「この季節に生肉なんて、なんか贅沢だよね」と言いながら、数枚の肉を皆して無言でがつがつ食べる。大皿に15枚くらい一気食いしたい感じだ。めっちゃめちゃ、美味しい。ワインも進む。
前菜はまだ続く。小さなココット型に詰まったとうもろこしのピューレは、とうもろこしだけの甘さだろうに、なんとも濃厚な甘さがあった。上にはさっぱりとした味のコンソメのジュレがオクラと一緒に盛られている。ピューレというよりムースという感じのふわふわした食感の甘い甘い前菜は、だけど妙にくせになりそうだった。
前菜の終了と共に、ワイン1本目が早々に空になる。確か先輩たちはアルコール弱いんじゃなかったか。「も、もう一本?」とか言いながら、更にシャルドネにしては深い香りとコクのある面白い1本を持ってきてもらい、飲み食いに励む。
銅製の、鍋ごとやってきたのは魚介たっぷりの黒々とした平麺のパスタ。大きな海老がぶつ切りになって鍋におさまり、小さめの海老やアサリもどかどかと入っている。底の方には、かなりな幅広の平べったい麺が黒々と光って納まっていた。蟹を食べる時の専用フォークも出てきて、殻と格闘しながら巨大海老を囓る。磯の香りがするイカ墨のパスタもそりゃ美味しかったけど、魚介の充実ぶりの方が何だかすごくてメイン料理を食べている気分になってきた。
魚が続いて、次は真鯛のアクアパッツァ。大きな魚1尾丸ごとのアクアパッツァを4人分に取り分けてもらい、自家製ドライトマトや大粒のケッパー、アサリやオリーブと一緒に塩辛く焼き煮された魚を食べる。我が家でこの料理を作るとき、いつもそうしてしまうのだけど、アクアパッツァに白い御飯は妙に似合ってしまう。「白い御飯が恋しいかも……」と呟いてしまいながら、皿に残ったソースを名残惜しくパンでぬぐって食べる。
そして最後に肉料理2皿。脂身が多めの、柔らかめの肉がこんがりローストされ、じゃがいもやにんにくを丸ごとグリルしたものが添えられる。プラムらしき果物のコンポートがソース代わりに添えられて、上からは肉が見えないほどルッコラがたっぷりと。肉も野菜も香ばしく、そこに甘酸っぱい果物の果肉をなすりつけて食べるとまたちょっと違う味になる。ルッコラの胡麻のような香りも口や鼻の周辺にふわふわと漂って、何とも心地よくなってくる。
一緒にテーブルに置かれたのは、グリルした鴨肉とマンゴーが交互に並べられた美しいものだった。上には大好物の香菜のサラダがこんもりと盛られている。オリーブ油で紫玉ねぎなどと共にマリネされた香菜のサラダ、あいにく同席した私以外の全ての人はちょっとばかり苦手なようだった。
「私は、香菜を束にしてマヨネーズかけて食べたいくらい香菜が好きで〜」
と言いつつ、私一人で香菜をもりもり喰う幸福を味あわせていただいた。独特の香りのする香菜は、野生の香りがする鴨と、不思議と良く似合っていた。
ここまで来て、さすがにお腹もいっぱいだ。会話も音楽からパソコンからキャプテン翼まで多岐に渡り、しまいには
「Mさんと先輩、お似合いだよねぇ。結婚してみればいいのに。」
なんて話まで飛びだした。「彼女を紹介しがてら、食事しませんか」と言ってきたのは先輩であるのに、当の御当人が顔を真っ赤にして照れている。大学時代に知り合ってから6年は経過している筈なのにいつもマイペースを崩さない人だったので「照れまくるY先輩」なるものを目の当たりにしたのは初めてだった。貴重な体験だ。デジカメで撮影して知る人全てに添付ファイルで送信したいところだ。
2時間以上かけてのんびり御飯を食べた後、「お腹、いっぱいになりましたか?」とシェフのKさんが顔を出してくれた。「お店で、梅のリキュールを作ったんですよ〜」と食後酒にリキュールを1杯ずつふるまってくださった。梅酒にも似た、甘酸っぱいお酒をちびりちびり飲みながらドルチェも楽しむ。私は大好物の「桃の丸ごとコンポート」を頼んでみた。本当に丸のままの大きな桃が半生ぐらいの状態で甘いコンポートになっていて、その煮汁がシャーベットになって周囲に敷かれているものだ。実を食ってもシャーベットを食べても、どこもかしこも桃だらけの、なんともシアワセな気分になってしまうドルチェだ。
かくして午後10時半。3時間もお店でだらだらと過ごした私たちは、急ぎタクシーに乗って帰宅した。東京駅で走って出発間際の快速に飛び乗り、すっかり酔いがまわってふらふらになって帰宅したのは午後11時半。
暑かったけど熱くもあった一日だった。Y先輩、幸せになるといいなぁ。ぽやん。
プラム・りんご
アイスカフェオレ
昨日は4人でワイン2本を空け、食前酒やら食後酒やらも飲んできたのだ。最近にしては珍しく飲んだ日で、昨今酒に弱くなりつつある私は微量に二日酔い。そもそもたらふく料理も食べてきたので、まだ何となく胃の膨満感も取れていない水曜日の朝なのであった。
「ア、アイス最中でも食べようか……」
と夫婦二人げれげれになって起床したところ、我が母はいつも通り元気だ。
「ちゃんと朝御飯の準備くらいしなさいよー。ほら、プラム。ほら、リンゴ。」
とみるみるうちに食卓にプラムだのリンゴだのが並ぶことになるのである。ああ、母って素晴らしい。
もうすっかり「娘」の気分に戻ってしまって、ぼへぼへしながら酸っぱいプラムを囓りリンゴを囓る。今日は母の買い物につきあう予定。
前菜:
白つぶ貝真砂子和え
サーモン寿し胡瓜巻
酢取り茗荷・白瓜昆布〆
吸物:
冷やし冬瓜擂り流し
蟹・落とし芋・蓴菜・梅肉
お造り:
活鯛・烏賊磯部・蛸さざ波造り
オキュート・長芋・芽物・山葵
焼物:
水茄子揚げ出汁
海老とオクラの天麩羅
大根生姜卸し・天出汁
煮物:
鱧柳川
独活・三つ葉・粉山椒
酢の物替り:
山菜豆腐(細竹・わらび・ヤングコーン)
白木耳・タピオカ・醤油餡
浅月・卸し生姜
食事:
冷やし稲庭うどん
温泉玉子・諸胡・赤ピーマン・麺つゆ・山葵
デザート:
メロン・桃シャーベット
生ビール・無花果酒
田舎への土産物を買うのだという母に付き添い、千葉そごうへお買い物。
「ほらほら"鉄人プリン"。有名人が好きなおばちゃんたちにぴったりだ!」
「うーん……」
「あっちには幕張のホテル"ザ・マンハッタン"のケーキや焼き菓子のお店が!」
「うーん、それもねぇ……」
「ここはひとつ"マキシム・ド・パリ"とか?」
「ちょっとねぇ……」
とさんざんお菓子売り場を歩いた挙げ句、結局千葉でも東京でもない、神戸は芦屋のケーキ屋さん「アンリ・シャルパンティエ」のギフトセットを買うことに決定した。冷凍庫に入れて凍らせて食べるガラスの器入りシャーベットと焼き菓子のセット。3箱も買ったら殺人的な重さになった。
ついでに
「あんた達にも買ったげるわよ」
と焼き菓子をいくつか買ってもらい、
「あらあらこれも美味しそうね」
と水菓子セットをもひとつ買い、状況はすっかり"これ、どうやって持って帰るんですかい?"な危機的状態になっていた。
とりあえず膨大な荷物は「手荷物一時預かり所」で預かってもらい、ぷらぷらと母娘でデパート探索。確か一応親孝行するつもりでついてきたのに、ワンピースを買ってもらったり、だんなの誕生日用プレゼントを買ってもらったり、何だかすっかり「娘孝行」をされてしまっているのであった。
昼は、デパートの上、「ホテルオークラレストラン」などという大層な名前のついたレストランフロアでミニ会席料理。最初に前菜・吸い物・お造りが1つのトレイでどかんとやってきて、あとはちらちらと1皿ずつやってくるものだった。御一人様3500円と思うと、こんなものかもしれない。一丁前に品名が書かれた紙もやってきた。
昼から生ビールなど飲みつつ、こちゃこちゃと盛られた小さな料理たちをつつく。会席のメニューというやつは、それが実際には小指の先ほどの大きさしかなくても「蟹」などと御大層に書いてあるのが面白い。「この、酢取り茗荷ってのは何よ?」「あ、これこれ、この小さなやつじゃない!」などと言いつつ紙と見比べつつ食べてしまう。
冬瓜のポタージュのような、冷たいとろみのある汁だとか、柳川風にしたハモだとか、温泉卵が1個ころんと添えられた稲庭うどんだとか、久しぶりの和食は何だかとても美味しく思えた。秋田で普段どういうものを食べているのかは知らないけれど、細身の母もがつがつと良く食べるのである。「東京に来ただけで、太っちゃったわー」なんて言いながら。
「ビールの次は、無花果酒、いきましょっ!」
と母、午後1時にして絶好調なのであった。や、やめとけってば……(私はまだ二日酔い……)
桃パフェ
「あんたねぇ。いっつもいっつも美味しい物食べようとしないで、粗食にしなさいよ粗食に」
と何万回も繰り返す母は、同じ口で
「秋田帰る前に美味しいもの食いだめしておかなきゃ〜」
と会席料理摂取後の私をタカノフルーツパーラーへ誘うのである。本気で粗食を心掛けさせたかったら、会席料理の直後にタカノフルーツパーラーは止めた方が良いと思うのだが、そういう問題は彼女の中には疑問すら感じないものらしかった。
「私ね、私ね、フルーツポンチ〜♪」
「私は、桃パフェ〜♪」
食欲魔人の母は、やはり食欲母魔人なのかもしれない。グレープフルーツだのブルーベリーだのメロンだの桃だのがこんもりと盛られたフルーツポンチを、さきほどの昼飯はどこへ消えたのかばくばくと食べているのである。
私はというと、桃パフェを堪能中。
オレンジシャーベットの上にヨーグルトムースらしきものが盛られ、ホイップクリームに桃のシャーベット、ブルーベリーやラズベリーが飾られる。上には桃の切り身がたっぷりと6切ればかり。甘くて香りの良い美味しい桃だった。かなりリッチで幸せなパフェだ。
身体が冷えたところで、尋常じゃない大荷物になった私たちは結局タクシーに乗り込んでよろよろと帰宅する羽目になってしまったのだった。親孝行……できたのだろうか(一緒にパフェ喰ったのが親孝行?)。
カマンベールチーズ with クラコット グリーンサラダ
鶏肉のオーブン焼き
大根と油揚げの味噌汁
宮川本廛の鰻でうな丼
モルツ、アイス烏龍茶
母、今日が最後の夜。明日は秋田に帰ってしまう。
「ほいじゃ、ここはひとつ腕をふるって……」
と孝行気分満載で「なに、食べたい?」と尋ねたところ、
「鶏肉ね、塩ふって焼いただけのが食べたい。あと、サラダとチーズでもあればいいわ〜」
なんて答えが返ってくるのである。お母さん、それは、本当にそれを食べたいのですか、それとも私の腕が信用ならないのでしょうか……。
まぁとにかく、母がそれらを好物なのは知っていたのでフランス産のカマンベールチーズだの地鶏の肉だのを買ってきてみた。オーブン焼きの鶏肉に、レタスやサラダ菜、パプリカなどを混ぜ合わせたサラダ、チーズは切ってクラコットを添えただけ。普段の夕食より手間がかかっていない。
それに、今日は「土用の丑の日」だというので、宮川本廛の鰻も奮発して買ってきた。一番安い鰻は1串1200円、続いて1500円、2000円となっていた。
「一番安いのでいーやー……」
とカウンターを見ると、あからさまに1200円のものよりも1500円のものの方が大きくて艶があって美味しそうだ。2000円のものは、更にもっと美味しそうだ。
「に、2000円の……いや、やっぱ1500円の、2つでいいです……」
と財布の中身と相談して苦悩しながら1500円のを買ってきた。母は鰻が苦手なので私の分とだんなの分を。
かくしてサラダやチーズと共に味噌汁とうな丼、というバランスが良いのか悪いのか分からない食卓になった。それでも母は「サラダおいしー」「チーズおいしー」と喜んでいたので、多分OKなのだろう。
奮発鰻は、奮発しただけ美味しかった。脂が乗っててテラテラした照りがなんとも良い感じ。軽く電子レンジで温めただけの鰻なのにふっくらと柔らかで幸せの鰻の味だった。鰻嫌いの母が真横で
「なんで鰻なんか好きなのよ〜、それってヘビみたいなものよ、ヘビヘビヘビ」
とヘビを連呼していたけど、気にしないのだ。
カラントスコーン with クロテッドクリーム&いちごジャム
アイスカフェオレ
プラム、林檎、梨、キウイ
10日間の上京を楽しんでいた母が、今日いよいよ秋田に帰っていく。
母の好物で最後の朝を送ってあげようと、昨日スコーンを買ってきた。プレーンにカラント、アールグレイと胡桃、チョコレートと6個ばかり買ってきたそれをオーブンで温めてテーブルにどかんと出す。バターと生クリームのあいのこのような、クロテッドクリームもちゃんと買ってきた。アイスコーヒーやアイスティーや牛乳を好き勝手にテーブルに並べ、スコーンの朝御飯。
母が最近どかどかと果物を買ってくるので、冷蔵庫内は果物だらけだ。今朝も私がスコーンの準備をしている間に、大皿にプラムだの梨だのキウイだのがカットされて盛られていくのであった。豪華なフルーツ盛り合わせを傍らに、ポソポソとした温かいスコーンにクリームたっぷりなすりつけながら食す。
塩漬け牛肉のカルパッチョ
南瓜の冷たいスープ
蛸のトマトソースのスパゲッティ
スズキのソテー、じゃがいものガレット添え クリームソース
豚肉のロースト木の実のソース
バニラジェラート添え、あつあつのチョコレートパイ
ビール、白ワイン、エスプレッソ
母と最後の御飯、「これぞ!」というところで御馳走してあげたくて、「青山アクアパッツァ」に連れてきた。
困ったことに、母、美味しいものは好きなくせに「にんにくがダメ」「強いオリーブ油の香りはダメ」と、これがもし和食だったら和食だったら「醤油と味醂を使わないで料理をしろ」とも等しいほどの好き嫌いがある。スパゲッティは大好きなくせに、にんにくの匂いが店頭に漂ってくるような店には絶対足を踏み入れることができない、ちょっと可哀想な人なのだった。
そんな我が侭を親身に聞いてくれるのは、一番仲の良いシェフKさんしか思い浮かばなかった。数日前から「これが嫌いで、こういうのは好きで……」と相談してメニューを組んでもらった。にんにくの塊は絶対見せずに、ほんのちょっとばかり香りづけに使うだけで、なんとかイタリア料理なものを食べさせてくれるそうだ。わくわく。
明るく陽の入るテラス席で、「まぁまぁ夢みたいなお店だわねぇ」と食べる前から感激している母の前に、続々と料理がやってきた。北イタリアのスタイルだという、塩漬けにした牛肉をカルパッチョ仕立てにしたもの。じゃがいものピューレがかかり、パルミジャーノ・レッジャーノの薄切りがたっぷりとかかっている。デミタスカップに入る濃厚な南瓜のスープはほんのりと甘く、柔らかい蛸がころころと入るトマトソースのスパゲッティは、煮込まれたトマトソースがにんにくの風味がなくても充実した存在感を感じさせてくれた。いつもと少しばかり方向の違う料理は、それでもどれもとても美味しい。
「口に合うかなぁ……」と心配していた母は、
「あんた、太るからこのパン食べちゃだめ。母が食べる。」
と私の胡麻パンを奪って食い、
「このスープ、今まで飲んだ中で一番美味しいわあぁぁぁぁ〜」
とデミタスカップを舐めるようにスープを飲み干していた。「食べきれそうになかったら、手伝うよ?」と親切心で言ってみても「ダメよダメ。ちゃんと食べられるわよ。」と一皿一皿しっかりガツガツと食べているのであった。心配すること、なかったかもしれない。
メインも、少なめの魚と肉がそれぞれ1皿ずつ。こんがりと皮目を焼いたスズキの切り身の上には、細切りにしたじゃがいもが網の目のようにこんがりと焼かれて添えられている。ほんのりチーズの香りが漂ってきそうなクリームのソースに、焼いて甘くなったトマトやいんげんがついていた。
肉は、「白金豚」(はっきんぶた)なる種類の、脂が柔らかくてジューシーな薄切りのものをソテーにして、ドミグラスソースとも醤油ともつかない、妙に懐かしいような風味のソースがかかっていた。松の実や干し葡萄が散らされたその上には、さっぱりとコンソメで煮たような冬瓜も盛られている。
「食べきれなかったら、手伝うよ?」と再度聞いてみても、「だ〜いじょうぶよぉ〜」とその豚肉をもぐもぐとしっかり食べる母だった。何食べても「美味しい、美味しい」と言ってくれて、連れてきた私もとても嬉しい。
「お腹、大丈夫ですか?多かったり少なかったりしなかったですか?」
と髭面のKさんが、最後にドルチェを持ってきてくれた。なんでも9月から店に出す予定の、試作を重ねていたドルチェであるらしい。クレープの皮のような生地でチョコレートを巻き、それをこんがりと揚げた春巻のようなパイはアツアツで、そこにバニラビーンズたっぷりのジェラートがこんもりと添えられていた。ナイフでパイに切れ目を入れた途端、溶けたチョコレートがぷわっとお皿に広がって、その熱で溶けそうなジェラートを一緒にスプーンに乗せてパイと一緒に食べる。パリパリのパイ皮とチョコの味は、夏のドルチェというより秋を感じさせるものだった。クーラーの効いた涼しいテラスで料理を食べた後にはこの熱いチョコがまた美味しく感じられた。
いつもとちょっとばかり目先の変わったものが食べられて満足だった私はもとより、イタリア料理にこれまであまり興味を抱いていなかったらしい母も満足してくれたらしい。
「次は、おごってあげないからね。」
と冗談半分に言うと、
「今度来たときは、私が御馳走してあげるわよ。」
と返された。これでまた、「にんにく抜きの料理で〜」と相談する日がいずれ来てしまうことになったようだった。
桃パフェ
昼のお店を後にしたのが午後1時半。「最後に銀座に寄って帰りたいの〜」という母につきあって、私も一緒に銀座に出ることにした。
「万惣に、マンゴプリンが売ってるらしいから買って帰るのよ。」
と言ったら、
「なになに万惣?私も食べていく食べていく〜」
と横で言っている。いや、だから、私は「買って帰る」と言っただけで「食べて帰る」と言ってなくて……とツッコミを入れようとしたものの、母の頭はすっかりフルーツ屋にトリップしてしまったようだ。万惣フルーツパーラーは、松坂屋デパートの地下にある。千疋屋やタカノほど有名じゃないけど、私も母も大好きなフルーツ屋さんだ。
つい数十分前まで魚だの肉だのチョコレートだのを食べていたにも関わらず、「クレームブリュレ、ください」と母は店員さんに告げている。ここのクレームブリュレは大きな大きなココットケースに入った、なんともゴージャスなものだ。とろんとしたバニラの香りの生地に、表面こんがりのキャラメル層がなんとも香ばしくて素敵なのだった。最近は、メニューに載らなくなってしまったらしいけど、それでも頼むと出てくることが多々あるのだと母は言う。が、残念ながら今日は「作らない日」だということだった。母、ショック。「じゃあね、じゃあね……フルーツババロアをお願いします。」と母はババロアを。私は昨日のタカノに引き続き今日も「桃パフェ」を。
ラズベリーの甘酸っぱいシャーベットが底に入り、ホイップクリームなどと共に盛られる桃は、これでもかこれでもかと大量だった。白く柔らかに光る桃は、どれを食べてもとても甘い。華のような甘い香りのする桃が詰まったグラスの上には、バニラのアイスクリームがシンプルに飾られていた。1000円以上するだけあって、なんともゴージャスなパフェだ。パフェ、大好物だけどあまり普段は食べていなかったので、とても新鮮な感じがした。母娘で銀座ぷらぷらしてパフェ喰ってるなんて、なんかとても楽しい。
すっかり満腹になった私たちは、どういう話の流れか「あんたの通勤用のバッグ買ってあげるわよ〜」なんて母にバッグを買ってもらったりしていたのであった。せっかくさっき、お昼をおごってあげたのに、バッグを買ってもらってしまって、これでトントンだ。
親孝行できたもんだか何だかさっぱりわからなかったけど、それでも母は御機嫌に秋田新幹線に乗って角館へ帰っていったのだった。
銀座で数々のマンゴプリンを発見してしまい、大量のケーキ箱を抱えて帰宅。ランチ(とその後のパフェ)の食後を引きずってしまい、夜になってもまだちょっと膨満感が続きまくっているのであった。
「こりゃ……きじ焼き丼か何かで簡単に済まさせていただこうかな……」
と溜息をついていたところ、義弟がここ数日研修で行っていた高知の土産を持ってきてくれた。美味しそうな鰹のたたきと、柚子酢の瓶2本だ。超、嬉しい。
「ありがと、ありがと、早速食べるよ〜」
と、夕飯は急遽鰹のたたきに。家にあった万能葱とにんにくを適当にきざんでぶっかけ、鰹に添付の柚子醤油をかけるだけ。
更に、だんなが貰ってきた、こちらは仙台土産の笹かまぼこもつまみとして出す。
「10℃で保存、っていうところを30℃くらいのところで1日放置していたらしいですよ……」
と戦々恐々とだんなは出していたが、んなこと気にせず家族で喰らう。笹の形をしているだけであるのに、笹かまぼこは普通のかまぼこより妙に美味しい。ビールと似合う。
香ばしく表面が焦げた鰹を食べつつ、さっぱりとした笹かまを囓る夕御飯。そこまでは良いのに、デザートにはずらりと並んだ3種類4個のマンゴプリン。これは非常にヤバくはないか。
明日から……ちょっと粗食にしようかしらん(ちょっと最近食べ過ぎでございます……)。
アールグレイと胡桃のスコーン with クロテッドクリーム
アイスカフェオレ
今日は隨分と涼しい。ここ数週間の猛暑を考えると感動したくなるほど過ごしやすい日になりそうだ。
先日、母に食べさせようと買ってきたスコーンがまだ余っていたので、それを食す朝御飯。アールグレイの風味がある、胡桃入りのスコーンをオーブンで温めて上下にぱかんと横に割り、クリームをたっぷりつけて囓る。
母と二人暮らしだった学生時代、母娘してスコーンにはまったものだった。ちょうどナカザワ製のクロテッドクリームがデパートなどに並び始めていた頃で、バターとも生クリームともつかない濃厚なこのクリームにすっかり魅了されてしまったのだ。脂肪分が恐ろしく高いクリームだから、恐ろしくカロリーが高い。当時は500gくらいの巨大なパックしか売っていなくて、一度そのパックを買ったが最後、賞味期限がくるまでひたすら毎日、朝食はスコーンだった。太らないわけがない。
たまたま購入したクロテッドクリームの品質がちょっと変だったことがあり、ナカザワのお客様センターに電話したこともあった。その時、ついでに「もっと小さなパックを出してくれませんか〜?」と頼んだ記憶もある。
多分、そういうリクエストが多かったらしく、数年して手のひらサイズのクロテッドクリームも販売されるようになった。今は隨分とあちこちで見かけることができる。良い世の中だ。(でも太ることには変わりないのよね〜)
とうとう、ドトールコーヒーにマンゴプリンが出たらしい、という噂を聞いて、今日のお昼はドトールコーヒー。仕事日だったので、混雑する店内からテイクアウトで研究室まで色々持ち帰ってきた。このドトールは、高校の帰りに幾度となく寄ってきた店だ。あまり数はないテーブル席に制服姿でぞろぞろと4〜5人で入り、いつまでもしゃべっていたものだった。さぞ顰蹙な客だったと思う。この周辺はあちらこちらが変わってしまい、お気に入りのパン屋さんがSUBWAYに化けていたりしてしまったけれど、ドトールは相変わらず同じ場所で営業している。
高校時代に食して、「粒マスタードって美味しいものなんだ!」と天啓を受けたジャーマンドッグを久しぶりに食べる。ちょっと固めのドッグパンに長いソーセージが乗り、粒マスタードがピリッと効いた大人な味のホットドッグ。Mサイズの冷たいロイヤルミルクティーをくぴくぴ飲みながら懐かしい味のパンを食べる。
問題のマンゴプリンは、「やっぱりドトール、デザートには手ぇ出さない方がいいかもしんない……」と思ってしまう味だった。苦いコーヒーに合わせようとでもいうのか、ひたすらに甘い。マンゴーの味がしなくもないけれど、なんかマンゴージャム喰ってるような気分になってくる。
ファミリーマートやセブンイレブンでも新発売ものがあるらしく、マンゴプリンは今がどうやら旬らしい。
モルツ、アイスカフェオレ
桃
使ってしまわなければならない生クリームと、食べてしまわなければならない鶏肉が冷蔵庫内にあったので、それを並べて「……パスタ、かな」と考える。
玉ねぎスライスと鶏肉のぶつ切りを中華鍋で炒めた後に白ワインをさっとふって火を通す。生クリームをたっぷり加えたら、少しばかり煮詰め、トロンとさせたらソースの完成。ここに茹でたてのリングイネをどばっとあけて、軽く絡めてから皿に盛る。恐ろしいほど簡単だ。粉チーズをふったり、黒胡椒をこれでもかとガリガリふりまくって香ばしくなったパスタの夕御飯。
デザートに、旬の桃を剥きまくる。今日の桃は、ちょっとばかり渋くて酸っぱくて、あまり「当たり」の味じゃなかった。昇天しちゃいたいほどの美味しい桃、シーズン中に食べたいものだ……。
スパイシーモスチーズバーガー
春雨とチキンのサラダ
ジンジャーエール
「蕎麦でも茹でる?うどんとか」
と尋ねた私に
「……もす?」
という答えがだんなから返ってきた、土曜の午前10時過ぎ。
今朝のだんなはモスバーガーに御執心のようだった。
近所のモスバーガーに電話予約。「15分くらいで行くよ」と注文を伝えると、ちゃんと間に合わせるように全て準備しておいてくれる。更に「お電話代でございます」と小袋に入れた10円玉まで戻ってくる。すばらしい。
昨日の金曜日、私は帰宅直前にどうしてもどうしてもお腹が空いてしまい、ロッテリアに入ってしまったのだった。
マクドナルドとの価格競争に追いついていけず、さりとてモスバーガーやフレッシュネスバーガーのような「価格は高いけど味重視」な方向にも進めず、以前から「野暮ったいなぁ」と感じていた店は、ますます寂れるばかりの方向に進んでいるような印象を受けた。ちょっとばかりペショッとなったポテトとか、ソースが溢れすぎて袋が汚れまくりのカラアゲバーガーだとか、全体的に精細を欠いていて「やっぱりロッテリアってもうダメ……?」と思わずにはいられなかった。
いつもながらシャキシャキのレタスに分厚いトマト、作られたばかりのまだ温かいスパイシーバーガーを囓りながら、「やっぱりこれだよ、うんうん」と頷いてしまう私。期間限定で出しているらしい、春雨と鶏肉の入った中華風のサラダもまた、ざく切りトマトがころころと入っていてやっぱり美味しかったのだった。
茄子野菜炒め定食
焼き餃子
今日は一日、夫婦してゲーム三昧。「やる?」「……やる。」と時々コントローラーを譲り渡しながら「FINAL FANTASY X」をやりまくる。クリアはまだまだまだまだ先のようだ。気が付いたら、午後1時半。
「1時半になっちゃったよ〜」
「……外、行くっすか。」
と、昼飯を求めに外出する。近所には、だんなが10年来愛してやまない中華料理屋さん(ていうより中華定食屋さん)があって、そこは今日も満席だった。たまたま帰り支度をしていた小上がりの席の老夫婦と入れ違いに座ることができた。
私はこれで3度目ほどだけど、とにかく「茄子野菜炒め」が美味しいので何かというとこればかり食べてしまう。
キャベツやにんじんと茄子、それに豚の薄切り肉が醤油ベースの甘辛いタレで炒められた料理だ。中華風のようなそうでないような、いかにも「定食屋」の料理チックなものだ。具という具に油の膜がうっすらと張られたようなテラテラと光る炒め物は、確かに油っこくはあるけれどそれほどくどく感じない。柔らかい茄子も、シャキッとしたキャベツもその火の通り具合が絶妙で、灼熱の油の膜が煙を出しそうな状態でテーブルにやってくる。いつも用心しているのに、いつも必ず舌を火傷してしまう危険な料理だ。
この皿のカロリーの1/3は油のカロリーですか?という感じの炒め物を箸でひょいひょいつまみつつ御飯をわしわしと食べる。漬け物と、卵のスープつき。
だんなは大盛り炒飯。自家製らしいチャーシューが細かく角切りにされ、卵や葱と一緒に炒められたごくごく普通の炒飯だ。ナルトの細切れが入っているのが面白い。これまた油が綺麗に回っている灼熱の炒飯だけど、これまた癖になりそうな美味しさがある。
息子も旨いと思っているらしく、この間は千葉そごうにてお子さまランチを前に「おいしくなーい」と言っていたのに、しばし無言でがつがつと炒飯を食べているのであった。き、君も分かるっすか、この炒飯の美味しさが……(汗)
わざわざ電車乗ったりして行くようなとこじゃないんだけど、「この店が御近所さんで、本当の本当に良かったよ〜」と誰ともなく感謝したくなっちゃうようなお店。今日も美味しかった。しみじみ。
カマンベールチーズとクラコット
豚肉の生姜焼き with 千切りキャベツ
御飯
モルツ、麦茶
午後もだらだらと、交代しながらゲーム三昧。昼飯の帰りのコンビニに寄って攻略情報の載るゲーム雑誌を立ち読みし、
「おおおおお、あそこにはあんなアイテムが!」
「いや〜ん、こんなことができるなんて!」
と夫婦で盛り上がって(結局その雑誌も購入して)帰ってきた。もうお互いいい年なのに、阿呆である。
夕飯は、「……簡単に済ませようか」と、冷蔵庫に残っていた豚肉処理をすることにした。ビールと枝豆、豚肉の生姜焼き。キャベツも刻まなければならない。
「僕が刻むよ〜」
とだんなが台所でさくさくキャベツを切り始めてくれたので、私は背後でぱたぱたと「じゃ、チーズ切ろうかな、皿も出さなきゃ」と別の準備を。だんなが肉を炒め終わる頃には、あとはテーブルにビールを出すだけという状態になった。2人でやると何事も早い。
「汁汁した生姜焼きが食べたくて〜」
とだんなが炒めてくれた生姜焼きは、ちょっと水分多めのしっとり系。この炒め汁にキャベツを浸して食べるのが何とも美味しい。熱いタレでキャベツがしなしなと柔らかくなった食感がなんともすてき。
ついつい「困った時の生姜焼き」とばかりに手間をかけたくない時ばかりに連発する生姜焼きだけど、実際美味しいから嬉しいというか困ってしまうというか。
アイスカフェオレ
だんな特製炒めチャンポン
麦茶
私は7時半起床。一人居間でテレビゲームをしていると、10時を過ぎて息子とだんなも起きてきた。
「材料買ってきて、炒めチャンポンしませんか〜?麺、冷蔵庫にあるし。」
とのだんなの提案で、とりあえずは何も食べずに家族全員でスーパーマーケットに急ぐ。シーフードミックスの袋やらモヤシやらを買ってきて、帰宅するなりだんなは炒めチャンポン作成に取りかかった。……だけれど、お腹もかなり空いた。
「チャンポンまでの、つなぎに、ね……つなぎつなぎ」
と私は密かに、アメリカンドッグをマーケットで籠に入れておいたのである。まずはそれをサッと温めてケチャップと粒マスタードをたっぷりつけて空腹を癒すべく、囓っちゃう。ホットケーキのような生地がソーセージの周囲につけられて揚げられたアメリカンドッグは、しみじみと懐かしい味がした。スーパーの冷蔵ケースにごくごく普通に売られているものなのに、妙に美味しいのだ。
もっきゅもっきゅとアメリカンドッグを食した後は、だんな特製の炒めチャンポン。永楽製麺所製のチャンポン麺は、縮れがなくてちょっと太めな、いかにもなチャンポン麺。なんでも九州地方ではごくごく普通にあったり前に売られている麺で、鍋の後に私たちがうどんを入れるところ、あちらではチャンポン麺を入れることが多いのだとか。夫の同僚の、九州出身の人が東京にやってきて一番ショックだったのが「チャンポン麺が普通に買えない」ことだったのだそうだ。東京は何でもあるようで、実はそうでもないらしい。
「ちょっと"つゆだく"にしたくてね〜」
とだんなは自己流にうりゃうりゃとチャンポンを作り始める。キャベツたっぷり、モヤシもたっぷり。シーフードミックスと共に豚ひき肉なんかも入れちゃったりして、何やら豪華な皿になった。茹でたうずらの卵まで入っている。スープの味がベースの、さっぱりとした塩味の炒めチャンポンだった。美味しい。
今日は参院選挙の日であったりしたので、午後にぷらぷらと自転車に乗って投票所に行った。そう暑い日でもないけれど涼しいということもなく、帰ってきたら「ア、アイス食べよう、アイスアイス……」という事態に。かくあることを予想して、冷凍庫には小さなモナカのパックだのミルクバーだのカップ入りかき氷などが常備されている。
帰宅後、みんなで
「俺、ミルクバー〜♪」
「私、かき氷〜♪」
「ん?息子はモナカか?」
などと言い合いながら好き勝手に各のアイスを食す。
そういや、我が家にはちゃんとかき氷機があるのである。手動の。
だんなと結婚した最初の夏、「かき氷機を買いに行こう」とデパートなどを探し回り、あの甘味屋さんの店頭にかかってる暖簾のような「氷」の文字があしらわれた素敵なやつを買ってきたのだ。どうもかき氷機はドラえもんだのキティーちゃんだののキャラクター物が多くていけない。
「水色に赤と白の文字で"氷"!すばらしい!」
「そう、私たちが求めていたのはこれだった!」
と、上野松坂屋まで行って発見して買ってきたやつだ。今年もちゃんと愛用せねばならない(でもちょっとだけめんどくさいのよね)。
おやつの後、窓全開にして私は昼寝。1時間ほど横になっているつもりが、気が付いたら6時半を回っていた。
洗濯物が取り込まれて全部畳まれている。
買い置きのトイレットペーパーが全部棚に納められている。
ベランダに小袋複数個で出していたゴミが、大きな袋にまとめられている。
新聞紙までまとめられている。
あまつさえ、台所の塩入れに塩が補充されている。
そしてだんなは、台所で玉ねぎの皮を剥いているところだった。今日の夕飯は、スパゲティミートソースにしようということになっていた。
「こ、小人さんが大挙して来てくれたんですか?」
と起き抜けの頭でぬけぬけとそう言ったら、危うくラリアットをくらってしまうところだった。いやいや、どうもありがとうだんな。
「まぁ、君はボケボケと座っていなさい」
などと言われて、だんなは肉を炒め玉ねぎを炒め、ワインを注いでホールトマトを放り込み、着々とミートソースを作り始めた。片づけが少々苦手なことと、得意料理が麺や丼ものなどの一品物が多いことを除いたら、彼はきっと私よりも主婦に向いているのだと思う。「おお〜!今日はサランラップが安い!」なんて新聞広告チェックをぬかりなくやっている(そして実際買いに行っちゃう)のは、大抵だんなだ。
だんなにばかり動いてもらうのは少々申し訳ないので、私は横でサラダなぞ作ることにした。きゅうりとパプリカ、トマトを刻んでバジル入りマヨネーズを和える。ついでにケッパー、オリーブ、アンチョビを刻んだやつなんかも混ぜ合わせてドレッシング代わりに。ちぎったレタスにそれをたっぷり絡めて食べることにした。
肉たっぷりの、素朴な味のミートソースは美味しかった。中華鍋半分以上にできあがった大量のミートソースの半量ほどを茹でたての麺に絡め、更に上からもたっぷりかける。イタリア料理の味じゃない、「日本の家庭の味」という感じのミートソース。
……でも、だんな、これって麺400gくらい茹でてないっすか?相変わらず大盛りです……。
食後はFmilyMartで買ってきたマンゴープリンアラモード。
数年前の「プリリンリン」シリーズは美味しいものだらけで結構好きだったのに、今回のマンゴプリンは大ハズレ。甘くて羊羹みたいで、口の中が甘甘になってしまったのだった。とほほ。