食欲魔人日記 05年05月 第1週
5月1日 日曜日
比内地鶏の親子丼
おばあちゃん家で
 昨夜の残りいろいろ
 イワナの塩焼き・ずんだ和え
 ハムとトマトのせグリーンサラダ
 いぶりがっこ・漬物
 鶏肉と舞茸の吸い物・御飯
混雑していない武家屋敷や桜並木を歩きたいなぁ、昨日よりは綺麗に咲いたかなぁ……と気になって気になって、今朝目覚めたのは5時半。もしも朝に散歩に行くなら俺も行くよとだんなから言われていたのでだんなに声をかけ、2人でぷらぷらと武家屋敷や河原をお散歩してきた。昨日の陽気で桜はかなり美しく開いていて、場所によっては満開、全体を見ると3分咲きという感じ。おそろしいことに、朝6時にもならない時間帯だというのに次々と観光バスがやってきている。真昼ほどの混雑ではなかったけれど、そこら中に観光客が普通に歩いていてちょっとびっくりだった。……どうやら今日もあったかくなりそうだ。

朝御飯は、昨日の豪華仕出し料理の"続き"をいただきつつ、今日も炊きたて御飯とか美味しいお吸い物とか。
「これ、そのへんの川で普通に泳いでるよー」
と食卓に出てきたのは川魚の塩焼きで(さすがにおばちゃんも母も釣りはしないからスーパーで買ってきたお魚なのだそうだけど)、淡白な身が美味しかった。御飯に似合うおかずを今日もたっぷり出してもらって、今日もやっぱり朝からよく食べた。

角館 「佐藤養悦本舗 さくら亭」にて
 比内地鶏親子丼 2×\1575
 稲庭冷やし胡麻ダレうどん 2×\1050
 放し飼い比内地鶏の
   正肉串 2×\315
   いかだ串 2×\262
   レバ・ハツ串 2×\262
……を、4人でもぐもぐ

ババヘラ \200

いのししの串焼き \300

今日は帰宅。午後の新幹線なのでギリギリまで桜を楽しみたいねと、昼食を摂りがてら、近隣を散策。あまりの暖かさに分単位で桜が開いていくようで、どんどん通りや河原の並木が美しく変化していった。例年ならば今頃散り始めるということで、「桜祭り」も3日か5日あたりに終了するということだったけれど、見頃が伸びたので急遽祭りも8日に延長されたとか。河原からは生演奏の民謡が聞こえてきて、町の中心部では「骨董市」なんてのも開催されていた。

「お、お、お……昨日とはまた違うみたいだよ」
骨董市は、昨日の夕方に温泉に行った時にも寄り道していたのだけれど、今日はまた違ったお店や品物が出ているようだったので、ふらりと覗いてみた。明治大正時代の古いお皿に、木製の子棚、薬入れや駄菓子屋さんチックなショーケースなど魅惑的な品がたくさん。

「おかあさん、おかあさん、ムシキングも買えるの?」
「あればねー……って、あるの!?」
「うん、あそこにー」

見れば、おもちゃの類を並べているお店の店頭の籠に、無造作にムシキングカードがどっさり。息子がずっと欲しがっていた特殊技カードなどがたっぷり入っていて、1枚たったの10円だった。当然ながらピカピカのレアカード類はなかったけれど、
「わ!"はんげきかいふく"だ!」
「おおっ、"あいの力"あるじゃん!」
「これはこれは?"あいこやぶり"、なかったよね」
親子で籠の中身を覗き込んで、20枚近く買ってきた。それでもたったの200円、ゲーム2回分。思わぬ戦果に息子は大喜びだった。

そういえば角館で外食したことってあんまりなかったねと、「稲庭うどん食べたーい」「私は比内鶏の親子丼食べたいなぁ」なんて言いつつ、武家屋敷通りすぐ近くの稲庭うどんのお店で母も一緒にお昼御飯。だんなと息子は胡麻ダレの冷やしうどん、私と母が比内鶏の親子丼、比内鶏使用の焼き鳥も何種類かあったので、1人2串ずつねと3種類ほど注文してみた。

「きりたんぽ」に欠かせない比内鶏、とっても美味しいけどとってもお高いので全然手が出せない。我が家できりたんぽするときは、せいぜいが「国内産地鶏」というところで、比内鶏は滅多に口にできない高級品だ。コリコリとした独特の強い歯応えがあって、「鶏肉の味」がとても濃厚、焼いても煮ても美味しい幸せなお肉だ。ごろんごろんとその比内鶏がいくつも入った親子丼は、卵がい〜い感じに半熟で、甘さ少なめのさっぱり味。焼き鳥も実に実に美味しかった。ハツは少しも臭みがなく、コリコリとした歯応えと共にごく淡い苦さと甘さ、濃厚な鶏の味が舌にふわーっと広がる感じ。少しわけてもらった稲庭うどんも、ツルツルンとした冷たいうどんに上品な胡麻ダレの味がとても似合っていて好みな味だった。お土産に、乾麺1袋と、醤油ダレと胡麻ダレを1つずつ購入。

ひつまぶし
ビール(モルツ)
「来てくれて、良かったわ」
「んー……また来るよ、そのうち」
不義理してずいぶん長く秋田に訪れていなかった私たち、そう見送られて午後の便にて「こまち」で帰宅。Aおばは、「のぞくんが、来るからね」と、もう何年も前に汲み取り式だったトイレを簡易水洗の洋式便所に改築し、客間に新しくクーラーをつけてくれていた。予備の冷蔵庫には、「こんなに飲めないよ……」という分量のコーラが冷えていて、プリンやケーキも詰まっていて、こりゃなるべくせっせと来てあげなきゃなぁと。

……冬に雪が積もったら近くの山でそり遊びが出来るし、夏には泳げる川があったりオニヤンマが大量に飛ぶ山があったりするのだけれど、基本的にはな〜んにもない小さな町の角館。何年ぶりかに町を歩いたけれど、やっぱりファーストフード店もコンビニも増えていない様子だった。唯一一軒のおもちゃ屋さんはなくなっていて、唯一一軒の本屋さんには数日前に出た漫画の新刊も置かれていない。
「ここ、"住んでみたい町ランキング"とかいうのでかなり上位に入ってたんだよ。どこがいいんだかねぇ」
と母は苦笑いしていたけど、でもお米や水が美味しくて、春には絶景の桜を眺めることができる角館が私の田舎で良かったなぁとも思う。私は東京で生まれ育ったから「秋田に帰る」という気持ちにはなれないけれど、「あそこが私の田舎なんだよ」というのがあるのは嬉しい。

行きの秋田新幹線はずいぶん遅れたけれど、帰りの便は時間どおりにきっちりと東京駅に到着。新幹線の中が蒸し暑くて蒸し暑くて、東京に帰ってもやっぱりボワ〜ンとあったかくて、腕まくりしながら総武線に乗って帰ってきた。帰宅は6時過ぎ。

「……なんかさ、肉が恋しいよね」
「うん、肉!って感じのもの、ここんとこあんまり食べてなかったからね」
スパゲティはどうだいっそのこと焼き肉屋はどうだとだんなとあれこれ協議して、結局「ひつまぶし」になった。安売りの鰻買って帰ってきて、帰るなり速攻お風呂を沸かし、私は荷物の片づけ、だんなは御飯を炊く準備をしたり、だしをとったり。ベランダの花、「まぁ4日くらいなら……」と思ってたっぷり水やりしただけで出かけたら、一部の花がくたびれまくっていた。あああ、青い薔薇の葉っぱがシオシオ……(やっぱり3泊以上の旅行の時はお義母さんに水やりを頼むことにしよう……)。

「ひつまぶし」は、大好きな大好きな鰻料理。家で食べるなら、確実に「鰻丼」よりも好物だ。なにしろ、安い鰻でもすんごく美味しく食べられる。
深めの容器に炊きたての御飯の1/3分量くらいを敷き、タレをかけてざくざく切った鰻を乗せ、また御飯を敷き、タレと鰻を乗せ、また御飯を敷き、タレと鰻を乗せ……と、御飯と鰻を層にする。買ってきた鰻はさっと酒をかけてフライパンで蒸し焼きに。そして鰹と昆布でだしを濃いめの味に準備しておく。そしてたっぷりの刻み海苔と刻み万能葱、わさびを用意。

まずは御飯と鰻の混ぜ御飯をそのまま1膳いただき、次には薬味を好みな分量トッピングしていただき、更には薬味をトッピングした上におだしをたっぷりかけて「うな茶漬け」にしていただく。海苔と葱が香ばしくて、わさびが素敵に似合って、たとえ酔っぱらっていても「最後にうな茶があると幸せだねぇ〜」と思えてしまう美味しさだ。薬味乗せも最高に美味しいけれど最後に啜る茶漬けが本当に美味しくて、毎回ごくごく軽く数口分を混ぜ御飯として食べ、1膳を薬味乗せで食べ、あとは御飯が残る限りうな茶をえんえんと楽しむ私。

家族全員、旅行でそれなりにくたびれていたのか(昨日今日は角館の中をこれでもかと歩いてばかりいたし……)、食後はばたりばたりと1人ずつ布団に倒れ伏して、まだ9時になってもいないというのに電気を消して寝ちゃったのだった。山のような洗濯は、とりあえず明日だわー。

5月2日 月曜日
すごく大人な味だった、「ちょっぴり大人の牛角アイス」
うどん(ひやひや)・さつまいもの天ぷら乗せ
冷茶
「うどんだな、明日の朝御飯はうどん」
「……今日の昼御飯は稲庭うどんだったわけですが?」
「さぬきうどんなら"別"でしょう」
そんな事話しながら、昨日の夕方「揚げ玉が欲しいね」と昨日駅ビルの惣菜屋さんを覗いてきた。残念ながら揚げ玉の扱いはなくて、「んじゃ、野菜天でも買っていくか」と、芋天2つと茄子天1つをお買い上げ。

今日は息子は学校、だんなはお仕事。朝6時半に起きて湯を沸かして麺を茹で、花に水をやり、あれやったりこれやったり。

うどんは流水にさらしてキーンと冷たくし、だしも冷たくし、すり胡麻かけて天ぷらを添えて、窓全開にしての朝御飯。昨日と同様今日もあったかくてあったかくて、冷たいうどんがしみじみ美味しかった。もっともっと冷たいうどんが美味しく感じられるようになる頃には、水道の水がぬるくなっちゃって氷割ったりしなきゃいけなくなるのよね。

「モスバーガー」にて
 パオスブタ
 アイスウーロン茶
今日は旅行中に依頼されていた仕事に取りかかりながら、旅行中の衣類を3回くらいに分けてごんごん洗濯機にかけまくる。明日からの休みをのんびりするためにも今日中に仕事を片づけちゃわなきゃと、窓あけて空気入れ替えつつパソコンの前で悶々と。

「……ちょっと気晴らししてこよう……」
と、昼には漫画本1冊持って近所のモスバーガーに行ってきた。気分は「テリヤキチキン」か「フレッシュバーガー」かというところだったけれど、新製品のパオスブタが気になっちゃって気になっちゃって、それを注文。ポテトはいらないなぁと、ドリンクだけつけてもらって食べてきた。

フワフワポニャポニャの、中華まんの皮に似た小麦粉生地に、牛豚合い挽きのハンバーグが挟まっている。酢豚っぽい、甘酢味のタレに角切り野菜があれこれ絡まっていて、それがフワフワ生地から溢れそうなほどたっぷりと挟まっていた。で、マヨネーズっぽい白いソースと共に刻みレタスも。

モスバーガーの期間限定ものはいつもちょっと(かなり?)変わっていて、もはや「ハンバーガー」とかいう部類じゃないものが多かったりして、でもあんまりハズレはないので毎回密かに楽しみにしている。今回のこれも、和風とも中華風とも洋風ともつかない不思議な味で、ポニャポニャな生地はでもちゃんとお腹が膨れて大満足。

「今日はー!カレーとスープをおかわりしましたー!」
やっぱり今日も給食をお代わりして帰ってきた息子、本日の献立は
シーフードカレー・麦御飯・福神漬・大豆と茹で野菜の和え物・ヤクルト・牛乳
という感じだったらしい。スープって……野菜の和え物のことだったのかな?

「牛角」にて
 やみつき塩キャベツ \290
 キムチ \290
 温泉卵 \80
 王様フランクフルト \390
 ねぎ味噌やわらかタン塩 \490
 デジカルビ \490
 リブカルビ(塩) \490
 塩にんにくハラミ (無料)
 カルビたれ \220
 にんにくホイル焼き \390
 ごはん(中) \220
 冷麺 \630
 牛角クッパ \630
 ちょっぴり大人の牛角アイス \290
 白玉きなこアイス \180
 ジャスミン杏仁豆腐 \180
 グラス生ビール 2×(無料)
 生グレープフルーツサワー \490
 シークワーサーサワー (無料)
 コーラ (無料)
……はらいっぱい。
「お金はさみしがりや」(あるところに集まる)というけれど、仕事もどうもさみしがりやらしい。午後にもメールがぽんぽん届いて、身動き取れないほどずっと仕事していてちょっと疲労。だんなから「今から帰るよ」電話があって、なんてこったもう7時か!と気付かされた。肉か肉か、肉喰いに行っちゃうか!?と、昨日も行こうかという話があった「牛角」に向かっちゃうことにした。ここ数日和食っぽいものが続いていたので、コテッとした洋食とか、ドカンとした肉なんかが恋しくてしょうがない。

「あり?もしかして、けっこう久しぶり?」
「メニューずいぶん変わったよねぇ」
最近は「しちりん」にハマッてたので、「牛角」はちょっと久しぶり。手持ちの無料券使ったり、携帯からのクーポン抽選でドリンク無料になったり、あれこれ有効活用して6000円くらいで飲み食いしてきた。

今日も牛角らしいコテコテにんにく味のハラミなどを注文しながら肉5皿ほどにキムチやにんにく、シメには冷麺。「温玉キムチ」を頼もうとしたら、
「お客様、温玉キムチより、白菜キムチに単品の温泉卵つけていただいた方が分量たっぷりでオススメですよぅ〜」
なんて店員さんにアドバイスされ、「確かにお高くはなるけど分量は増えるよねぇ」と、そうしてみたり。息子はふっといフランクフルトにかぶりつき、カルビをつついていた。

肉のメニューもあれこれ入れ替わるし、御飯や麺もの、デザート類も何かと入れ替わっていくお店だけれど、どうしても焼き肉のシメには冷麺が恋しくなる私。ここのは辛さも酸味も控えめなマイルドな味で、ころんと上に乗った温泉卵が地味に嬉しい存在になっている。炭火を前に額に汗しながら焼き肉食べた後のつめったい冷麺が心地よくて、毎回「ビビンバにしよっかなー」「クッパもいいなー」と悩みつつ結局冷麺に行き着いちゃうのだった。今日はハーフサイズじゃなくレギュラーサイズにして、息子に分けながらツルツルと。最後にピャッと酢を混ぜて食べるのもまた美味しい。

デザートは、「ちょっぴり大人の牛角アイス」なる、かなり大人な味の牛角アイス。バニラアイスにかなり苦めのエスプレッソソースとざらめがトッピングされ、てっぺんにホイップクリーム。きなこと黒蜜のかかった「信玄餅味」の牛角アイスが大好きで大好きで、「でも今日は大人な味に挑戦するんだもんねー」と食べてみたら、あまりに大人な味でちょっとびっくりしてしまった。……私はおこさまの味で、ちょうどいいのかもしれない。

5月3日 火曜日
おばあちゃんの散らし寿司。卵も乗ってました。
ホットサンド つなたまちー
カフェオレ
そういえばここんところホットサンドと御無沙汰していたなぁ……ということで、サンドイッチ用の食パンを買ってきた。
「ごめん、でもコンビーフはないや……」
「んじゃ、適当で」
「卵でいいかな……あ、ツナはあるよ」

がさごそとあれこれ引っ張り出して、今日の具は「つなたまちー」(ツナと卵とチーズ)。ツナや卵はこれ以上なくスタンダードな具だけれど、ホットサンドというとついこれらを用意してしまう。1人1個のホットサンドをカフェオレと一緒にもぎゅもぎゅいただいた。

おばあちゃん家で
 ちらし寿司
 春菊の胡麻和え
 海老と玉ねぎのかき揚げ・鶏の天ぷら
 お茶

 ブルーベリーとグレープフルーツ

今日は、だんなのおばあちゃんの家に御機嫌伺いに。息子の入学祝いを、たーんといただいてしまって、4月のうちに挨拶に行こうと思いつつゴールデンウィークまでのびのびになってしまっていたのだった。昔っから可愛がっていた初孫(=だんな)の子供が初曾孫(=息子)ということもあって、本当に可愛がってくれる。お昼御飯食べてから行くから、あんまりおかまいなく……と伝えていたけど、今日もたーんとちらし寿司を作って待っていてくれた。「高田馬場でラーメンでも食べてく?」と言っていたのだけれど、おばあちゃん家へ直行。

れんこんやさつま揚げ、ゆで卵や甘辛く煮た椎茸などが散らされたちらし寿司はとても優しい味。甘く煮付けたひじきがたっぷり混ぜ込まれていた。
「これねぇ、庭に生えてきた春菊なんだよ」
と、香りの強い春菊の、甘い胡麻和えも出してくれた。曾孫がいる年なのに未だしゃんと腰を伸ばして、「おばあちゃん、そんなにたくさん作ってくれなくてもいいよー」とだんなの声を背中で聞きながら、かき揚げ作ったり天ぷら作ったり。今日もあれこれ美味しくいただいてきてしまった。

「ほらほら、これもあるよー」
と息子にはこれでもかとジュースやお菓子、アイスクリームなんかも出てきて、先日の秋田に引き続き、今日もめいっぱい息子は可愛がられてきた。いつも家で3人でやっていていまいち面白みに欠けていた「UNO」も、おばあちゃんやEおばさん交えて5人でわいわいと。大人4人を相手にしながら息子は10戦6勝くらいしていて(いっちょまえに戦略を組み立てているみたいだし、何しろ不気味なほどに"ひき"が強い……)、おばあちゃんは
「うわー、すごいねすごいね、今度この子に宝くじ買わせるといいよ」
と大騒ぎだった。

新宿 「WOLFGANG PUCK」にて
 シェフの特製サラダ \1280
 チーズソースのペンネ \1280
 仔牛のカツレツ ウルフギャングの故郷オーストリアスタイル \2280
 ビール(Corona) \780
 ビール(Guinness) \850
 オレンジジュース \620
 アイスティー \520
うひー、高かった〜……。
夕方ももう遅くになってから、おばあちゃん家を出る。
「これ、家で食べるといいよ。今あっためたから、家に帰ってすぐ食べられるからね」
と、ちらし寿司とお赤飯ときんぴらごぼうを持たせてくれたのだけれど、計算すると帰宅するのはもう9時近くになってしまいそう。
「……途中で夕御飯、食べていこうか」
「新宿でうどん……とか?」

乗り換え駅の新宿でどうしようかとうろうろし、
「なんか、うどんよりもコッテリしたもの食べたいのよねー」
「ぼく、ぼく、おこさまランチみたいなのがいいなー」
と右往左往し、MYCITYの中に。ちょっとお安め7階の飲食店はどこも入店待ちのお客さんが並んでいて、「んじゃ、少しくらい高くてもいいかー……」と上階の8階(7階よりちょっとお高めっぽい)をぷらぷらしてWOLFGANG PUCK CAFEというお店に入ってみた。決め手は、「今日のコース料理」の中に「チーズソースのペンネ」があったこと。
「うわーい、マッケンチーズだぁ!」
と、息子の目がハートになっちゃったのだった。カリフォルニア料理の店で、メインディッシュなんかはけっこうなボリュームがありそう。

何も知らずににょろりと入っちゃったこのお店、お店のパンフによると「ロサンゼルスで最も予約が取れない、ウルフギャング・パックのお店」なのだそうだ。おお、このおっさんがパック!パックって人の名前だったか!とパンフを見て初めて知る私たち。赤坂アークヒルズや六本木ロアビルなどにも店があるそうで、このパックさんは「カリフォルニア・キュイジーヌの創始者と言われ、アカデミー賞授賞式後の公式パーティーシェフを努めて今年で10年目」なのだそうだ。

コース料理の中のパスタを単品でも作っていただけますかー?と聞いたら快くOKしてくれたので、息子にはそれを。私とだんなは
「んじゃ、サラダひとつとー、ピザとメインもひとつずつ……?」
と相談していたのだけれど、お店の人に
「それですと、かなりな分量になってしまいます……」
とアドバイスされた。かなり分量多めのお店らしく、様子を見ながら追加しましょうかと、サラダひとつとメインひとつに。

アドバイス通り、けっこうなボリュームのある料理がテーブルの中央にドドン!ババン!とやってきた。今日の「シェフの特製サラダ」はスモークサーモンのサラダ。葉野菜あれこれはオリーブ油とビネガーのドレッシングに和えられ、揚げた春巻きの皮みたいなのや匂い強めのクセのあるクリームチーズっぽいチーズも添えられている。上にスモークサーモンが4切れ。

クリームチーズのペンネはアメリカ〜ンなチェダーチーズ入りのものじゃなく、イタリア料理に近い白いソースの濃厚なもの。ブルーチーズの味がかなり強めだったけれど、息子は全く気にせずに「おいしー、おいしー」とハフハフ食べていた。メインディッシュのカツレツは、薄く薄く叩いて伸ばした牛肉を揚げたもので、ガーリック風味のマッシュポテトがどっさりと。

どれもこれも味はかなり本格的で、揚げたてサクサクのカツなんかはとっても美味しかった。名物らしい「スモークサーモンのピザ」も美味しそうだったけれど、あまり長居しても帰宅が遅くなるだけだし……と、ちょっと軽めだった食事で終えたのだけれど、これでお会計は8000円を超えていてちょっとびっくり。美味しかったけど、ギネスビールのハーフパイントが800円超えている(普通、800円なら1パイント飲めるよ……)あたり、「……美味しかったけど……今度来るときは、ピザ1枚ぺろっと食べるくらいにするか……」と思わせられてしまうのだった。

5月4日 水曜日
怪しすぎる「バリ丼」
おばあちゃんの
 ちらし寿司・お赤飯
 きんぴらごぼう
冷茶
昨日、おばあちゃんがたーんと持たせてくれたちらし寿司にお赤飯。小さなパックのきんぴらごぼうも入れてくれていて、それらを温めての朝御飯にした。
数日前に取っただし汁(=ひつまぶし用)を使ってお吸い物でも……と思ったのだけれど、この陽気で当然のように痛んでしまっていて残念。なるべく頻繁に火を通していたのだけれど、やっぱりこの季節からは冷蔵庫に入れなきゃダメかー(でも冷蔵庫はいっぱいだー)。

た〜っぷりのちらし寿司と、その2/3量くらいのお赤飯と、小鉢に1杯のきんぴらごぼうは、親子3人でつついて1食分にするにはちょっと分量が多かった。
「……お、魚を煮たのも入ってる……」
と、ちらし寿司の具に新たな驚きを感じつつ、あれこれちょびちょびいただいた。
おばあちゃんのきんぴらごぼうは、ほんっっとに美味しい……しっかり味が絡まってて、でもクタクタしていない心地よい歯触り。

「アジアンカップカフェ」にて
 バリ丼 \390
 Aセット(ミニフォー・ジンジャーエール) \300
「ムシキングやりに行こう!」
「……買い物もしなきゃだしねぇ……」
「じゃあ、駅前のスーパーに」
と、特に予定もない今日は近所にお買い物。

スーパー内のゲームコーナーでさっそく息子はムシキングに興じ、今日は300円分くらい遊んで銀色のレアカードを1枚手に入れていた。……前回は仙台で遊んで金色のレアカードを手に入れていたし、息子はやけにこういう"引き"が強い。……その引きを、レアカード入手とかに使わないで宝くじとかロトとかに活かせればいいんだけど、そういう欲を出すと当たらなくなっちゃうものなのよね。

やったーやったーと私も一緒になってレアカード入手を喜びながら、お昼御飯は密かに気になっていたスーパーのフードコート内のアジア飯屋で。あんまり繁盛してなさそうに見えたビビンバ屋さんの代わりについ1ヶ月ほど前にオープンしたばかりのお店で、スーパーのあちこちに「フォー」だの「ナシゴレン風バリ丼」だの「グリーンカレー」だの、やけに大雑把にまとめられたっぽいアジア料理のメニューのポスターが貼られていたのだった。我が町でフォーが食べられるようになるとは……と、期待半分不安半分(いや、実のところ不安大半)でそのお店で昼御飯。

気になる「バリ丼」(インドネシアのナシゴレン風丼)は390円という不気味な安さ。サラダやポテト、ミニフォーから選べるサイドディッシュとドリンク1つつけたセットは、丼価格プラス300円。私はバリ丼にミニフォーとジンジャーエールをつけてもらい、だんなはモンゴル丼(門ゴリ案バーベキュー丼)とミニフォー、アイスティーをセットで。息子は「ぼくは、クレープがいいなぁ」とクレープ屋さんで一人で買い物してきた。

想像よりも三重くらいに輪をかけた怪しい丼がやってきた。サフランライス(と見せかけて、多分これはターメリック御飯……)の上には、甘辛味の肉炒め物とレタス、見事な「完熟」に焼かれてすっかり冷め切った目玉焼きが1つ。チリソースが小皿に盛られて添えられた。モンゴル丼は、味気のない肉ともやしの炒め物がターメリック御飯の上に乗り、焼き肉のタレが小皿で添えられてきた。

「あはは……もう、何がなにやら」
「少なくとも、俺たちの知るナシゴレンやモンゴリアンバーベキューとは違うよなぁ……」
スープ代わりの小さな小さなフォーは、スープの中にトマトとレモンが入っていて、これまたなんだかかなり不思議な感じ。

海外には大変怪しい日本食チックなファーストフード店が時々あるけれど、そこのものを口にして「こんなの日本食じゃない……」と感じることがある。インドネシアの人がこのバリ丼を食べたら「こんなのバリの食べ物じゃない……」と全力で思うことだろうなぁという味が存分に感じられて、フォーの味の怪しさと共に
「も……もういいね……」
「もう食べないね、ここ……」
と苦笑いして店を後にしたのだった。

ミートボールスパゲティ
ほうれん草とベーコンのサラダ
コーンクリームスープ(紙パックもの)
赤ワイン(DRINK&EAT パスタ)
数日前から、息子が「お父さんとお母さんと、3人で料理しよう!」と騒いでいる。じゃあ何か作ろうか、ピザ?餃子?スパゲティ?と色々相談して、今日は肉団子のスパゲティ。だんながタネの下ごしらえをしてくれて、親子3人でせっせと肉団子を作った。
「このくらい?このくらいの大きさ?」
「そうそう、綺麗にまんまるにするんだよ」

3人で顔つきあわせてこねこねこねこね団子を作り、作ったそれをこんがりと焼いて、別鍋で作ったトマトソースで煮込んでいく。だんながソースを作ってくれる間に、息子はまだ何かやりたそうだったのでサラダ用のベーコン炒めをお願いした。テフロンフライパンで細切りにしたベーコンを弱火でじくじく焦がさないように炒めていく。いっちょまえにフライパンを持ち上げて(で、ベーコンをくるっとひっくり返そうとして……それはできなかった)、右手で菜箸持ってかき混ぜながら炒めてくれた。炒めたベーコンはトルティーヤチップと共に刻んだほうれん草と混ぜ、シーザーサラダ用のドレッシングで和える。

「どう?自分で作ったのだと美味しいでしょー」
ベーコンおいしくできたでしょ?ぼくの作ったハンバーグもおいしいでしょ?と、最近料理をすることにご執心の息子は、楽しそうに食事の支度をして大量に盛りつけたミートボールスパゲティをすっかり綺麗に平らげた。明日の朝は、一緒に「ぐりとぐらのカステラ」を作ることになっているらしい。

5月5日 木曜日
カステラ、焼けました
ぐりとぐらのカステラ
カフェオレ
息子の中の「お父さんとお母さんと一緒に料理したいな」キャンペーン中はまだまだ実施中のようで、
「おひるごはんはね、カステラ作るんだよー」
と、数日前から息子が何やらうきうきしていた。熱い期待に応えてやらなきゃということで、今朝は起きるなり「ぐりとぐらのカステラ」づくり。

あの絵本どおりに卵と砂糖と牛乳と粉で作るカステラで、ベーキングパウダーは使わないごくごく簡単な材料で構成されたレシピは、『ぼくらのなまえはぐりとぐら』(福音館書店 2001年)に載っていたものだ。卵と砂糖混ぜて牛乳とバター加えて粉をざっくり混ぜて、"お鍋"に入れてオーブンで40分。ミニサイズのスキレットで焼くのがとてもそれっぽくできあがるので、外見の素敵さも私はすっごく気に入っている。

息子もちゃんと泡立て器やゴムべら握って、卵をがっしゃがっしゃ泡立てたり、粉ふるいで小麦粉をふるったり、それを卵生地に混ぜたりたくさんお手伝いしてくれた。準備をしている間にだんなはコーヒーの準備を。

菓子作りが長らく苦手だった私、「卵がもったりするまで泡立てる」というのが一体どのくらいまでなのかがいまいち理解できてなかったのだけれど、どこかで雑誌の手順写真かテレビの料理番組かを見たときに「こんな感じ」というのがやっと理解できた。それ以来、卵泡立て系のお菓子は、ほんの少しだけまともな仕上がりが期待できるようになり、このカステラは何度も作っただけあってけっこう得意。卵多めのふんわり黄色のカステラが今日もちゃんと焼き上がった。

焼きたてのところをスキレットごとテーブルに出し、ざくざくと6等分にナイフを入れ、すくいとって1人2切れ。だんなに焼きたてのこのカステラを食べてもらうのは初めてだったけれど、だんなにも好評で何よりだった。断面が鮮やかな黄色で、ふわふわほかほかの素朴な味のカステラはしみじ〜み美味しい。焼き菓子の類の中ではバターの量がとても少なく(マドレーヌやクッキーはおっそろしい分量が入るんだ……)、甘さも控えめ。息子がそれほど好きならもっと頻繁に作ってあげれば良いのだけれど、腰の重い母ちゃんでごめーん……。

胡麻だれ冷やし中華
麦茶
今日もまったりと予定のない一日。近所にある、これまで何かと利用していた安売りスーパーが営業譲渡だか何だかで、別のスーパーに先日変わってしまったのだけれど、
「……変わらずに牛乳は2パック300円だといいなぁ……」
「野菜が変わらずお安いといいなぁ……」
と、お買い物に行ってみることにした。これがまたすごい名前で……「つるかめランド」というスーパーに。つ……つるかめ?ランド?

なんかすごいお店になっちゃったなぁとびっくりしたのだけれど、品揃えはさほど変わらず、逆に良くなったと感じたほど。妙に歩きにくかったゴチャついてた店内もすっきりし、これまで「安いものは安いけど、品揃えはあんまり……」という印象だったのが「安いものはちゃんと安いし、品揃えもしっかり」という風に変わっていた。きゅうり1本10円、マンゴー1個100円、豚肉も国産のが100g88円とか。明日は卵が1パック100円らしいぞー。

「今日はさ、黒ホッピーを美味しく飲める夕飯にしよう」
「じゃあ、ちょっとコッテコテな感じの……」
「豚とかいいよなぁ……」
「いいよねぇ……あ、安い」
豚汁にしよう、それじゃあ大根と人参も必要だよ……と、今日も売り場をブラウン運動。色々買ってきた。

今日もだんなと2人、
「うぉ……ラムだ、ラムもある」
「じゃあ、今日はジンギスカンにしちゃおうか……」
「いや、だがあの安売りの豚肉も捨てがたい。……豚汁恋しくない?」
「うん……まぁ、ラムはいつでも買えることがわかったってことで」
「初志貫徹で豚にしましょう。ね」
肉売り場で献立会議を始めてしまったり。

昼御飯は、「なんか、胡麻味の冷やし中華が食べたい」という私のリクエストが通って冷やし中華。だんながハムときゅうり刻んで、私が錦糸卵作って、買い物から帰ってきてからわちゃわちゃと準備した。これ以上なくシンプルな、ハムときゅうりと卵だけを乗せた冷やし中華だったけれど、キーンと冷たくした麺とタレがなんとも心地よくて、何だか季節は「初夏」という感じ。

笹かまぼこ
卵豆腐
ポークソテー
水菜のサラダと茹でブロッコリ
豚汁
羽釜御飯
いぶりがっこ
黒ホッピー

苺 with コンデンスミルク・牛乳
ほうじ茶

というわけで、夕飯は「黒ホッピーを美味しく飲みましょう」をテーマに、豚肉料理。豚汁作り、水菜とスライス玉ねぎ、にんじん、きゅうりを合わせたサラダを作り、茹でたブロッコリにはマヨネーズを添えて、そしてだんなは肉焼き担当。

「なんかね……最近、豚も牛も上手く焼けるようになったよ。焼かれる肉の気持ちがわかるようになってきた……」
と、だんなは怪しいことを言いながら、でもちゃんと中まで火が通り、でも固くならない程度の絶妙の焼き加減でポークソテーを仕上げてくれた。我が家のポークソテーは、ウィスキー風味のバター醤油味。

だんな曰く、
「美味しく作るコツはね……洒落になんないくらいのバターを入れることなんだなー」
とか言っているので、だんながいてくれる時はだんなにおまかせー。私には、だんなほど思い切ったバターの使い方ができない。
息子は夕御飯の時も、サラダの水切りしてくれたり、味噌汁をよそってくれたり、卵豆腐を盛ったりと活躍してくれた。

黒ビールに似た風味の黒ホッピーを亀甲宮焼酎で割って、それをクイークイー飲みながら仙台土産の笹かまぼこつまんで、今日買ってきたばかりの卵豆腐つついて、肉をわっしわしと囓って。秋田のおばちゃんがお裾分けしてくれたいぶりがっこ(行商のおばちゃんが売りに来たものらしい……)もスライスしてポリポリつまみながら、おおいに酒飲んでおおいに御飯も食べた。

デザートは、そろそろシーズン終盤の苺を、コンデンスミルクと牛乳かけながら。
なんてことない連休だったけれど、家族でこれでもかとあれこれできて何だか充実。

5月6日 金曜日
ちょっと怪しい創作クリームパスタ
「かのん」のクリームパン
カフェオレ
菓子パンが恋しいかも、じゃあ坂向こうのあの店まで買い物に行こうか……と、昨日お昼の買い物で近所のパン屋さん「かのん」のパンを買ってきた。素朴で美味しい、90円というお安さのクリームパンを3個、ロールパンも1袋。

だんなは今日朝ジムだということで、5時半に目覚まし時計のベルが鳴る。私はいつもどおりぐーぐー寝ていたのだけど、そのベルの音で子供部屋で寝ている息子が起きてきた。
「おとうさん、おはよー」
「……お、なんだなんだ、まだ早いぞ」
「……おきたの」
「おきたか」

そんな話が聞こえてきて、
「おとうさんはジムに行くの?ぼくもパン、食べちゃおうかなぁ」
「まだ早いよ?それに、今食べちゃったら、お母さんが朝御飯一人で食べることになるよ」
「そっかー」
どうやら朝御飯を食べ始めたらしいだんなと、それを見守っているらしい息子の会話が続いて聞こえてはきた。私は一向に目も開けられず。今日は私も仕事しなきゃいけないし、寝不足だと午後に頭が朦朧としてくるからとりあえず寝ておきたいしで、楽しそうな会話を聞きながら、そのままうつらうつらしていた。

「はーい!おかあさん!朝になりましたよぅっ!」
定時6時30分の目覚まし時計がなり始めた直後、息子にえらい勢いで起こされて(どうやら私が起きるのを居間であれこれやって待っていたらしい)、いつもより20分以上早い時間に朝御飯。だんなが淹れていってくれたコーヒーでカフェオレにし、クリームパンを息子1個、私も1個。相変わらずちと甘さ少なめカスタードクリームのクリームパンだったけれど、今日も素朴な味で美味しかった。……ニキビより簡単にプチッと潰れてしまいそうなお店に見えたのに、その小さなパン屋さんはがんばっている。

鶏の照り焼き丼
2日目の豚汁
水菜のおひたし・いぶりがっこ
麦茶
「……鶏肉を、食べちゃおう」
午前中はせっせとお仕事しまくり、一人昼御飯は夕飯のおかずにと先日買って氷温室に突っ込んでおいた鶏肉を食べちゃうことに。2枚あるから、昼御飯に1枚、夕御飯に1枚ってところかなー……と、とりあえず0.7枚ほどを使って鶏の照り焼き丼を作ることにした。

鶏肉は、強めに塩胡椒して中火にかけたスキレットで両面こんがりこんがり。上からフライ返しで軽く肉を抑えながら、皮がパリッとなるように焼いたら、最後に味醂と醤油と酒を同量ずつ混ぜたものをジャッと回しかけて軽く煮詰める……はずが、「軽く」じゃなく煮詰まっちゃって、かなり味が濃くなっちゃったので慌ててお湯を足して伸ばしてみたりして。……あうう、肉の焼き加減は完璧だったのに、最後の醤油がちょっと焦げちゃったよ……。とにかく保温性に優れているスキレットは常温の水分を少々加えたところで鍋の温度が簡単には下がってくれないので、時々こういう悲劇がおこってしまう。ちょっと失敗。

昨夜の豚汁を温め、小鉢に水菜のおひたしを作って数切れのいぶりがっこと共に盛りつけ、「わーいわーい肉だー」と照り焼き丼を堪能した。ちょっと寂しいなぁ……息子は今頃給食か……と献立表を見れば、今日のメニューは
 ちらしごはん・すましじる・さんまのフリッター・ジューシーオレンジ
だそうで、そりゃまた和風でステキだわねぇと「……こりゃ、きっと御飯とスープをお代わりしてるんだろな……」と思いながら食事の続き。私の読みは完全に当たっていたことが数時間後に証明された。

ブロッコリー入りチーズクリームのスパゲティ
鶏肉の塩焼き
「R1/F」の生ハムのマリネ・スモークサーモンのマリネ
クリームコーンスープ(紙パックもの)
アイスカフェオレ
今日は平日、だんな不在の夕御飯。
「……んー、何食べたい?」
「お母さんの作った、ピッツァ」
「……そりゃちょっと時間が足りないねぇ……今日みたいにお出かけしてる日はちょっとムリだよ」
「じゃあ、クリームのスパゲティ」
「そっかー……」
夕方は息子の音楽教室で、その帰り道にあれこれ相談しながらとりあえず生クリームとサラダを買って帰ってきた。

2人だし、何かサラダ2種類くらい買ってっちゃおうかと「R1/F」の前に立ったところで
「……ぼく、生ハムのマリネとー、スモークサーモンのマリネがいいなぁ」
とクソ生意気なリクエストをする息子。子供は子供らしくポテトサラダとかにしておこうよ……と思いつつも、生ハムとスモークサーモンも確かに少し恋しかったので100gずつ買ってきた。……しかし、いつの間に「生ハムとスモークサーモンは美味しい」なんて気色悪い嗜好を身につけちゃったんだろうか私の息子。時々だんなと2人、
「俺はなぁ、成人するまで"生ハム"なんか食べたことなかったぞ、存在すら知らなかったぞ」
「私もねぇ、家でんなもん出てきたことはなかったよ」
と、息子に真顔で訴えたりしている。

さて、クリームのスパゲティか……と、家にある食材で適当にチーズ風味のパスタを1品。バターでみじん切り玉ねぎを炒め、そこに生クリーム加えて軽く煮詰めつつクリームチーズを2かけらほど落としてあとは塩胡椒で調味。パスタと一緒に昨日の残りで半端な量残っていたブロッコリーを茹でてしまい、クタクタに煮えたブロッコリーもソースのようにして最後にチーズクリームと和えた。鶏肉はスキレットで塩胡椒して焼いただけ。

「今日はクリームのスパゲティですかー?」
「そうですよ」
「それとも、チーズのスパゲティですかー?」
「そうですよ」
「……どっちもなの?」
「うん、クリームとチーズのスパゲティなんだよー」
「うわぁ!すごい!スペシャルなスパゲティなんだねぇ!」
適当に作ったパスタ料理、とりあえず息子の心は鷲掴みにできたらしい。「わーい生ハム生ハム、わーいチーズチーズ」と、喜んでたくさん食べてくれた。

「おいしかったねー」
「そうだねー」
「また、たべたーい」
「そっか」
今日も平和。

5月7日 土曜日
急遽食した、市場の朝食。
千葉中央市場内 「三松食堂」にて
 ネギとろ・かきフライ定食 \700
友人Kさんが以前行っていた、千葉中央市場(稲毛海岸から、ぐーっと海側に向かったところにある)「どんぶり番長」というお店が気になっていた私。いつ行こうかいつ行こうかとずっと狙っていて、「じゃあ今週末に行きましょう」と、数日前に家族内で話がまとまった。日曜はお休みだから土曜に行かなきゃねー……と、バスの時刻表まで調べて、開店の9時ちょっと前には到着できるように早起きしてお出かけ。

20分以上かかるかと思っていたバスはあっさりと十数分で市場前のバス亭に到着し、「確かこの建物だよ……」と言いながら広い市場内をうろうろ。食堂街は「関連棟」という、鮮魚や野菜果物を扱うところとは別の、肉や加工品を扱う棟の2階にある。店の数は10軒くらいだろうか、やはり築地に比べると全体的に小規模だ。

……で、
「さすがに早く着きすぎたかな」
「私たちが一番最初だね」
と店の前に立つと、そこには「都合によりしばらくお休みさせていただきます」の、世にも悲しい貼り紙が……。うう、そんな事聞いてないよ、検索してもどこにも載ってなかったよ……と、あまりのショックに数秒固まっちゃう私とだんな。

店名が素敵なこのお店、ものっすごいボリュームの(こんな感じの)まぐろ丼・ねぎとろ丼・まぐろユッケ丼が味噌汁・小鉢つきでたったの700円で食べられちゃうらしい。しかも旨いらしいとあって、それはそれは楽しみにして
「よーし、マグロだぞー」
「朝からねぎとろ喰っちゃうぞー」
とそれはそれは楽しみにしていたので、この空虚な気持ちをどこにぶつけて良いかわからなくなってしまう。

あうあうあう、でもとりあえずお腹は空いたし、せっかくここまで来たからどっかに入ろうか……と他のお店をひととおり眺め歩く。お蕎麦屋さん、ラーメン屋さん、中華料理屋さんなどなどあって、
「ここの定食……ちょっといいかも?」
「チャーハンあるし、息子にはこれがいいかも?」
と、選んで入ったのが「三松食堂」というお店だった。昭和の時代から時が止まっちゃったような古めかしい定食屋さんで、ラーメンとナポリタンスパゲティとフライや炒め物の定食が一緒くたにメニューに載っているいかにもなお店。私は700円の「ネギとろ・かきフライ定食」、だんなも700円の「なかおち定食」、息子は600円のチャーハン。

御飯に油揚げとわかめの味噌汁、漬物の小皿と、小皿に盛られた2つのおかず。2種類のおかずということで、心もちボリュームは少なめだった。柔らかで脂の乗ったねぎとろと、揚げたてのサクサクした歯触りが気持ちいい、"2個揚げ"(1つのフライに2個の牡蠣が使われた)の2個の牡蠣フライと。息子のチャーハンには豚肉(チャーシューじゃなくて、薄切り豚肉)と椎茸、筍が入っていてちょっと独特。胡椒が効いていて、てっぺんに乗った紅生姜を息子はせっせと除けながら食べていた。

ごく普通の定食として美味しかったんだけど、でもでもあのボリュームたっぷりのねぎとろ丼が食べたかったよぅ……。いつになったらお店、復活するのかな。

「ミスタードーナツ」の
 六実デリサンド ベーコンポテト
 ポン・デ・リング
カフェオレ
朝食後、市場内をぷらぷら歩いたのだけれど、さすがに10時間近になるとお店のほとんどは店じまい。あんまり悔しいから夕飯はねぎとろ丼だ!……と鮮魚売り場も歩いたのだけれど、まぐろ屋さんも全部片づけられてしまっていて何も買えず。成果らしい成果はなく、バス亭から帰りのバス乗って寄り道せずに我が家最寄り駅まで帰ってきた。帰りのバス、なんと行きのバスと同じ運転手さんで、しょんぼりした私たちを見て
「ははっ、なーんにもなかったでしょう〜」
と。ええ、食材はともかく、お店がなかったんです。もうがっかりー。

がっかりーがっかりー……と、いつも買い物するエリアでお買い物して帰ってきた。定番商品100円セールということでミスタードーナツで昼御飯代わりに何個かドーナツを買い、
「お、ここのは安い〜」
「けっこういいかも〜」
と、駅ビルの魚屋さんでマグロのサクを2本買い。帰ったらもう12時で、
「12時だから、お昼ごはん食べましょう〜」
の息子の言葉に応じて、コーヒー淹れてドーナツ囓った。

ポン・デ・リングは100円。六実デリサンドは割引なしの定価で160円くらい。ポン・デ・リングのくびれたところから1個1個(1玉1玉?)噛みちぎってもぐもぐ食べた。

ポップコーン
コーラとかアミノサプリとか
だんな、今日の午後は何週間も前に録画したWWEのPPV「Wrestle Mania 21」をだらだらと見る予定らしい。アメリカで4/3に放映されたもので、日本での放映はその3週間遅れくらい。ばたばた多忙で、録画したは良いけど見られなかったのだった。

「……でっかいコップにコーラとか入れてさぁ……ポップコーンでもあったらそれっぽいよねぇ……」
冗談半分に呟いたら、それがだんなの心に直撃したらしくて、
「いいねいいね、作ろう作ろう」
と食料庫をがさがさ。

ずーっと昔に買った(アメリカで買ったやつだから……およそ2年前……?)レンジで作るポップコーンが発掘されたので、それをレンジでポンポン言わせながら、昼のコーヒーの残り飲んだり、ちょっと余っていたコーラを飲んだり。いかにも合成ものっぽいバター風味(アメリカ人はバターが嫌い=乳脂肪が嫌いだから、純正バターを使う加工食品はほとんどない)のポップコーン、塩気と油っけがちょうど良くて、
「おいしーねー」
「……止まらんな」
「……ヤバイね」
と、アンダーテイカー戦を見ながらずーっと手と口を動かしてもしゃもしゃポリポリパリパリ食べまくってしまった。ああ、今日もめちゃめちゃかっこいいわぁアンダーテイカー。ハリソンフォードが「握手してやろう」と立っていて、アンダーテイカーが「チョークスラムをしてやろう」と構えていて、長井秀和が「お前をネタにして披露してやろう」と立っていてら、もうどこに向かっていいか困っちゃうくらい、私はアンダーテイカーのファン(同時に同じくらいハリソンフォードのファンでもあり長井秀和のファンでもある、と……)。

リベンジねぎとろ丼
3日目の豚汁
水菜のナムル
いぶりがっこ・いかなごのくぎ煮
ホッピー

「マダム・ボンボニエール」のロールケーキ
紅茶

夕飯は、リベンジねぎとろ丼。加工品のまぐろのたたきはどうにも美味しそうに見えなくて、安売りのバチマグロのサクを買ってきた。フードプロセッサーにかけちゃって大丈夫かな?……と思いつつ、でも包丁で叩くより細かくねっとりしたものにしたかったので、試しにフードプロセッサーにぶちこんでみる。30秒くらいギャギャギャギャと攪拌したら、けっこう思い通りのまぐろのたたきができあがった。刻んだ万能葱も別皿に用意して、各自思いのままに御飯にまぐろ乗せ、葱を散らし、醤油をかけて丼に仕立てる。私とだんなは御飯の中央に卵の黄身も乗せてしまった(今日行けなかったお店の真似っこ)。

あとは、まだまだ残っていた豚汁と、箸休めの水菜のナムルとか、漬物佃煮も少々。食事の支度を始めてから慌てて冷やしたホッピーを飲みながら、
「……もう1サク買うべきだっただろうか……」
「それはね、やりすぎ。そこまでやったら下品」
「……今日行こうと思っていたお店は、そしたら下品の塊じゃん……」
「あれはいいんだよ、ああいうお店だから、あれが素晴らしいんだよ」
「……ああいう丼が食べたかったんだよぅ」
まだ諦めきれずに恨み節を展開させてしまいながら、それでも充分なボリュームのあった自家製ねぎとろ丼を堪能した。

食後は、1ロール735円のキャンペーン価格で売られていた(本来の定価は945円らしい)、「マダム・ボンボニエール」という千葉のケーキ屋さんのロールケーキ。シンプルなスポンジに好みな分量のどっさりのホイップクリームが巻かれ、ナッツや果物が使われていないとてもシンプルなロールケーキだったのでこりゃ旨そうだと買ってきてみた。スポンジとクリームのバランスがすっごく好みで、甘すぎず薄すぎずの適度な砂糖の分量で、口当たりも最高。ただひとつ残念なのは、ちょっと強めに香るクリームからの洋酒の匂いだった。もうちょっと、感じるか感じないかくらいの分量だと良いのだけれど、「洋酒が入ってますよー」とはっきり感じられる風味で、それだけがちょっと残念。

5月8日 日曜日
夕飯は汁なしチャーシュー麺
バターロール
豚汁
今日はお出かけの予定で、予定では少し早めの昼御飯を摂ることになりそうだったので、朝はごくごく軽めに1人1個のロールパン。
「……どうしよ、カップスープくらいは用意しようか」
「ぼく!ぼく!コーンスープ」
「はいよー……って……でも、すっごく半端な量の豚汁もあるんだった……」

ロールパンに豚汁を合わせるのはどうかなぁと思いつつ、「まぁ、バタートーストにカレーの組み合わせは悪くないし」とよくわからない理由をつけながら、私とだんなはロールパンに豚汁の組み合わせ。トーストしたロールパンにこてこてバターを塗り、刻んだ長ねぎを散らした豚汁を啜りながらいただいた。

バター塗ったあったかいロールパンに豚汁というのも、これが案外良く似合う。
「……バターと豚汁って、合うね」
「うん、不思議とね」
「そもそも、パンと豚汁はそう悪くないしね」
「うん、まぁね」
「じゃあ……豚汁にバターを入れてみるというのも、案外……!?」
なにが「じゃあ」なのかわからないけれど、だんなは不穏な事を呟きながら、それでも豚汁にバター入れるのは思いとどまったらしい。

船橋ららぽーと内フードコートにて
 オムライスハンバーグ \750
 生ビール \350
今日の目的地はららぽーと。ゴールデンウィーク最終日の今日、なんでもららぽーとに長井秀和が来て無料のライブを行うらしい。「行く行く、絶対見たい!」と鼻息を荒くする私に半ば呆れつつも、佐世保バーガー目当てのだんなとムシキング目当ての息子はついてきてくれた。

お昼過ぎに1回目のライブがあるらしいということで、早めに昼御飯を済ませようと目指したのが「東京パン屋ストリート」なる、最近よくあるタイプのフードテーマパーク。長崎のお店「ビッグマン」の名物「佐世保バーガー」がここで食べられるということで、このお店に直行してみた……ら、まだ10時半にもなっていないというのに、なんと「120分待ち」。食べ物1つに2時間も待つ根性は私たちにはなくて、
「ダメだ……」
「休日に来ようってのが間違いだったね……」
「平日にリベンジだ……」
と、数人の行列だけで簡単に買うことができた他のお店で明日の朝用のパンを買って早々にここは退散した。

最近、気持ち悪いほどよくあるフードテーマパークの形をそのまま踏襲したような、やけにメルヒェンな内装のエリア(森をイメージしたらしい……)で、なんとなく天井も低く感じられて混雑している状態では息苦しく思えてしまう。別に、美味しいものが食べられるならこんな変な方向の凝り方をしなくてもいいのになぁ……と私は思ってしまったり。

で、結局目的のハンバーガーを口にすることはできなくて、フードコートで早めの昼御飯を済ませてしまった。私は洋食屋ブースからオムライスハンバーグを、だんなはビビンバ屋さんの石焼きビビンバとチヂミを、息子はクレープ屋さんのミニピザとクリームソーダを。
「生ビールあるね」
「……飲んじゃいましょうか」
と、だんなと2人、ハンバーガーの悲しみを吹き飛ばすべく昼間っからビールをあおってみた。750円のオムライスハンバーガーは、ミニサイズのオムライス(チキンライスにケチャップのトッピング)に、ドミグラスソースかけハンバーグが添えられたセット。ちゃんと卵はぷるんと半熟に固まっていて、オムライスらしいオムライスだった。

だんな特製汁なしチャーシュー麺(汁多め)
ビール(モルツ)
大混雑の中、無事に長井秀和ショーを見ることができ、息子は隣接する「ViVit SQUARE」内のムシキングワールドで古い筐体のムシキングに興じて。テレビ(「エンタの神様」とか)じゃほんの数分しか見られない長井秀和の「間違いナイッ」も「気をつけろッ!」も「絶対だッ!」もたっぷり出てきて十数分語りまくってくれ、堪能しまくった。後半、パントマイムも見せてくれたけど、これがまた上手くって。

佐世保バーガーだけは残念だったけれど、それ以外の目的はあれこれ果たすことができて、夕方帰宅。夕飯は、だんなが昨日の夜から仕込みをしてくれていた自家製チャーシュー(というか自家製煮豚)で汁なしチャーシュー麺を作ってくれた。数少ない、「これがわが家のレシピですー」と胸張って言える料理のひとつだ。……いや、唯一の料理かもしれない。

元々はケンタロウさんの本に載っていたものだったけれど、「この煮豚使うときっと美味しい」とか「もうちょっと汁っけはあったほうがいいんじゃないか」と工夫を重ねてちょこちょこ変えたのがこの作り方。豚バラ肉を茹でて醤油ダレに漬けて少し煮たものとその汁、刻んだ葱をベースにして汁気少なめの和えダレを作って茹でたてのアツアツ麺を絡める料理だ。一時期おおいにハマッてしょっちゅうこれを作っていたのだけれど、今回はすっごく久しぶりな気分。久しぶりすぎて、だんなは加減をちょっと忘れちゃったらしく、
「しまったー……スープの量、倍にしちゃったよー……」
と、「汁なし」というより「ぶっかけ」に近い汁っぽいチャーシュー麺になった。でもこの汁っぽいのも悪くない。シンプルな味の煮豚とたっぷりの香ばしい葱が美味しくて、上にトッピングされた煮卵(ゆで卵の殻剥いて、煮豚の汁にちゃぽんと漬け込んでおく)と海苔も幸せな存在だった。

今日はある意味、とってもゴールデンウィークらしいゴールデンウィークな休日を過ごせたのだけれど……でも当分、混雑している場所は行きたくないね。だんなも息子もおつかれさまでした。どうもありがとー。