ふりかけ御飯
留学生仲間たちと「おでん会」をやったのは金曜日。だが、我が家のコンロには片手鍋に入ったおでんがまだ残っていた。人気の卵や大根、はんぺん、餅巾着、ソーセージあたりはすっかり消え失せ、残るのはつみれとかコンニャクとか溶けそうな昆布とか、その他今ひとつ人気のない練り物類やお麩の類。全然楽しくない鍋の光景だった。
「ゆで卵作って入れておけばよかったなあぁぁぁぁ」
と思ってかき混ぜても後の祭りで、残っているものは喰わねばならず、今朝は残りおでんの朝御飯。
冷凍御飯をチンしたところ何だかパサパサで味気なかったので、こういう時の救世主"ふりかけ"を食卓に出す。日本食材屋で買ってきたふりかけは1瓶3ドル弱。私はたらこふりかけが大好きで、だんなと息子はたまごふりかけがお気に入り。息子の御飯にもたまごふりかけをかけてやっていたところ、不思議そうな顔をして
「たまごは、おとこの子用で、たらこは、おんなの子用なの?」
と言ってきた。
「へ?なんで?別に決まってないよ」
「だってね、おとーさんと僕がたまごで、おとこの子。おかーさんは、たらこで、ピンクで、おんなの子……」
……子供って面白いことを考えているなぁ、といつも思わされる。たらこふりかけが女性用でも私は別に困らないけど、でも、たまごふりかけが食べられなくなるのはちょっと困るなぁ。
天丼
午前中だんなが所属する研究室に出向いて、A先生をデジカメで撮影してきた。なんでもA先生、日本の新聞に定期的に原稿(コラム?)を執筆しているらしい。「執筆者近影」同時に掲載されるのだけれど、その写真は毎年歴々の留学生たちが撮影して新聞社にデータ送信しているのだそうだ。
「デジタルカメラで撮影して、パソコンに簡単に落とせちゃう人っているかしら?」
とスタッフMさんに言われ、そういうことなら適任が、とだんなが私を引きずって行ったのだった。画像加工して皺の消去をしたりすることも期待されているのだろうか(されてません)。
数年使っていたオリンパスのデジタルカメラがニューヨーク旅行中にぶっ壊れ、富士フィルム製のを衝動買いしてしまったばかり。デジタルカメラなんてどれも同じようなものだと思っていたけど、微妙に使い勝手が違って(小型になった上、各種設定はしやすくなったけど、色の出具合なんかが微妙に好みとズレている……)なるほどなぁ、と日々思っているところ。風景写真を撮るのはどちらでも良いけど、料理を接写したりするのは明らかにオリンパスのが綺麗だったなぁ……なんて思っていたり。
「デスクの前で電話をかけるフリをしているA先生」「窓の前で談笑しているA先生」「本を読むA先生」などの各種写真を撮り終えてすっかりお昼。ちょうど研究室にやってきたIさんと一緒に丼ものを食べにKen's Sushiに向かった。
「カツ丼」「うな丼」などの丼ものメニューが並ぶ中、定食には天ぷらがあるのに何故か「天丼」はメニューに載っていないKen's Sushi。"店で混んでいなければ天丼を作ってくれる"と聞いていたけど、どうも混雑していても作ってくれるらしい。本日私は天丼、だんなは握りのセットを注文していた。天丼は6ドル弱で超大盛り。なかなかお得だ。
余裕で食べられる腹具合の自覚で食べ始めたものの、海老にピーマンに人参に南瓜にマッシュルーム、と具沢山の天ぷらがそれぞれ2つずつ盛られた天丼はかなりのボリュームだった。巨大な丼には御飯もこれでもかと詰まっていて、タレは少々甘口だ。昨日の不調が若干続いているらしい息子も玉子の握りを少々残してしまい、結局ドギーバッグに詰めて持ち帰ってきた。
小学校4年生の頃、カツ丼をぺろっと一人前平らげて「まだもう一杯食べれそうだなぁ……」と言っていたあの頃の私に、ぜひこの天丼を食べさせたい気分だ(多いって……つらいって……)。
Bloomin' Onion
Outback Rack
Newcastle Brown Ale
午前中ぽつぽつ仕事が舞い込んで、ずーっとパソコンの前でペケペケと作業していた。今日は1週に2度の洗濯の日で、更には月曜はリネン類も洗うことにしている日。山のような洗濯物をランドリーから持って帰ってきただんなはそのまま片づけもしてくれて、「きゃー、ごめん、きゃー、すまん」と言いながらやっぱりお仕事。終わったのは6時を過ぎていてそういえば夕飯の算段も食材も何もなかったのだった。
「気になっていたステーキ屋さんがあって……"OUTBACK"っていうチェーン店なんだけど、行ってみる?」
とだんなに言われ、いいよいいよ、と車に乗り込んで出かけてみた。
メニューにカンガルーのイラストがあったり、メニュー名も"カンガルー"だの"コアラ"だの"ブーメラン"だのと、オーストラリアがテーマな店だ。コテコテのアメリカ飯がメニューに並ぶ中、菊の花のようにんばっと放射状に美しく開かれたオニオンフライの写真が載っている。
ど、どっかで見たぞ、これ。確か、幕張に新しく出来たモールに出かけたとき、"ニューオープンでーす♪"とこのオニオンフライの写真が載ったパンフレットを渡されたぞ、と、帰宅してから調べてみたところ、やはり日本にも何店舗も出店している巨大チェーンなのだった。
「日本に帰ってさー」
「"ああーアメリカ飯が恋しい!!"って思ったら、ここに来ればいいんだよね」
「近くだしね」
「幕張だしね」
と、なんかありがたみがあるようなないような話で盛り上がる私たち。
その怪しい玉ねぎ、一度食べてみたかったんだよねぇ、と6ドルほどするそれを注文。だんなはその名も「Outback Special」なる12オンスサーロインステーキを注文し、私は「おおっ羊もある!」とラムチョップの「Outback Rack」にしてみた。もれなくスープかサラダがついてきて、ステーキのつけ合わせとしてグリルドポテトだのマッシュドポテトだの蒸し野菜から1品選べるようになっている。パンも来る。
そして、広告に偽りのない、すごい玉ねぎがやってきた。丸々1個の玉ねぎをバラさらないよう格子状に切り目を入れ、ちょっと辛いスパイス入り衣をつけてカラッと揚げたものが大きな皿にべろーんと乗っている。中央にはサウザンアイランドドレッシングに似た外見の、しかし甘くなくスパイシーなソースが小皿に入ってたっぷりと。さくさくに揚がった玉ねぎはほんのり甘さもあって美味しかった……が、量もすばらしく多かった。
「こ、これ、全部食べたらステーキが入らなくなる……」
「無理せず食べずに、持ち帰ることにしよう……」
ということに。
で、ステーキとセットのスープもテーブルに。数種類のうちから選択できるようになっていたスープに"オニオングラタンスープ"があったので「それ!それがいい!」とだんなも私もオニオングラタン。
味は若干"玉ねぎ炒めるのめんどくさくなっちゃったんで、途中でインスタントスープも混ぜちゃいましたー"というジャンクな味ではあったけど、にんにくたっぷりチーズたっぷりの厚切りパンがぷわんと浮いていてこれがなかなか悪くない。
「ん〜、チェーン店にしては、なかなか……」
「"ピーナッツ床まき散らし"のLogan'sよりいいかも……」
と言っているうち、巨大な皿もやってきた。
巨大な楕円皿には、どどどーんと骨つきラムが4本……いや、2本一組でくっついてるから8本、迫力あるその厚みの肉塊がどっかんどっかん並んでいる。だんなの皿もだんなの皿で、
「いやぁ……俺、"ステーキ(縦)"っていうの食べてみたかったんだよねぇ……なんていうの?"この肉は立てても倒れません"っていう、ぶあっついステーキねぇ……」
と目を潤ませるだんなの前には、厚み3cmほどの肉塊が、どどーんと。アメリカ飯に慣れてきていたはずの私たちだったけど、久しぶりのボリューム満載のメインディッシュだった。私が選んだグリルドポテトは大人の拳よりも大きいし、だんなのマッシュポテトもグラタン一皿分くらいありそうな分量だ。ひーひー言いながら食べた。
ミディアムレアで焼いてもらったラムは、好みの赤さが残っていて、ガツンと効かせた塩胡椒がかなり良い感じだ。肉にはかなり脂が乗っていて、ゆっくり食べていたらすぐに満腹中枢がフル活動をはじめてしまいそうな、危険な味だった。
「肉、だねぇ……」
「肉だ……」
と、途中から目がうつろになってしまいながら巨大肉と格闘。結局、肉は食べきったもののポテトまでは完食できなかった。
そして、今日もやっぱり店員さんが聞いてくるのだ。
「ハァ〜イ♪楽しんでるぅ〜?デザートは、いかが?」
ムリ……今日もムリです……。
昨日の残りの天丼
牛乳
「はぁ〜い、Rでーす。水曜日あたりにポットラックしませんかー?」
というRさんからの電話で始まった火曜日。私が病気になったときに通訳としてついてくれてから、今度一緒に遊びましょー、と盛り上がっていたのであった。"ポットラック"とは何ぞや、と当初知らなくて調べた私。元々の意味は"あり合わせの料理"というようなもので、それが転じて「招待された人が一品ずつ料理を持ち寄るパーティー」という意味になったらしい。我が家もピザを生地から作ることにハマっているけれど、Rさんの家も以前からピザを焼いていたそうで、
「うちのはねー、ちょっと違うのよー」
というそれを、「是非喰わせてください」と詰め寄っていたのであった。なので水曜日の料理はRさん側はピザに決定。我が家はピザに合わせて……どうしよう、前菜とサラダでも持っていこうかなぁ。
どうしようどうしよう、と台所を見ると、テーブルの上には昨日の昼のドギーバッグ(天丼入り)と、昨日の夜のドギーバッグ(息子が残したハンバーガーとフライドポテト、私とだんなが残したオニオンフライ入り)が並んでいるのであった。こっちもどうにかしなければならない。
「ドギーバッグってさ」
「"犬にあげるための残り物入れ"なんて名目はついてるけど、活用するのは本人だよねぇ」
などと言いながら、私は天丼をつつき、だんなはハンバーガーを囓っている。5口分ほどの天丼だけじゃ物足りないので、バタートーストも作って食べたら今度は満腹になってしまった。残り物処理も色々と大変だ。
羽釜御飯
フライドチキン
ビール
これから何かと宴会に参加するし、何よりニューヨーク旅行で食べ過ぎてきたし、しばらく地味めな御飯にしようと密かに決意している今日この頃。今日はだんなだけが参加するパーティーが夕方にあるとのことで、彼の居ぬ間に
「たらふく喰ってくるならそれもよし、喰ってこないならばそれでもよし……」
と言いながら、丸々1個残っていたキャベツでロールキャベツを作っておいてみた。キャベツを丸のままぐらぐらと茹で、その間にタネを作成。豚ひき肉に刻み玉ねぎをどっさり入れ、卵を割り落として塩胡椒してナツメグも少しだけ振り入れ、こねこねしてみる。毎回毎回、ハンバーグやロールキャベツや肉詰めピーマンをするときはひき肉は1時間くらい前から常温に出しておこうと思っているのに忘れてしまう。毎回毎回、凍りそうなほど冷たいひき肉に手をつっこんでは数十秒後に「ひやゃゃぁぁぁぁ、つめたっつめたっ!」とか言いながらお湯に手を浸すことになるのに、どーして学ばないかな、自分。今日もことさらに冷たかった。
あとは茹でたキャベツをバラしてタネを巻いていくだけなのであるけれども、今回のキャベツは非常に使いにくかった。ぎっちり固く巻いたキャベツで、なかなか剥がれない。どころかもう15分くらいも茹でていたのに、中の方はほとんど火が通っていなかった。しかも1枚1枚の葉が小さい。ロールキャベツには非常に不向きなキャベツなのであった。ゆるい巻きの、柔らかい春キャベツがかなり恋しくなってしまいつつ、"ロールキャベツ"というよりは"カバーキャベツ"という怪しい小ぶりな物体を鍋に並べていく。爪楊枝で止めることもできないほどの非常に不安定なロールキャベツになった。
あとは、グラグラさせたら崩れてしまいそうなので、ひたすら弱火で火を通していく。
トマト味のもの、クリーム味のもの、と各種レシピが存在しているけど、我が家はひたすらにコンソメ味だ。外食で食べるロールキャベツはどんなタイプのものでも美味しいと思うけど、自分の家で食べるのはコンソメ以外のものを作る気は今ひとつ沸かず、そして食べ際にニロニロとかけるケチャップが必須だ。鍋底と一番上に刻みベーコンをペロペロと入れ、煮込んでいった。
7時過ぎに帰ってきただんなと、一緒に夕御飯。
「パーティー、思っていたよりちゃんとした料理が出たよー」
と、言っていただんなは、その割にはロールキャベツをもりもり食べた。私が3つでだんなも3つ、息子は1つ。冷凍庫に保存していたフライドチキンを「いいかげん、これは食べなきゃいけないだろう」とチンして囓りつつ、煮込んでも葉が固くていまいち柔らかくなってくれないロールキャベツをわしわし食べた。
「……で、パーティーに、何が出たの?」
「ローストビーフと……」
「ローストビーフ !!」
「スモークサーモンと……」
「スモークサーモンまで !!」
「あと、小さなシュークリームみたいなやつに入ったマヨネーズ味のサラダみたいなのと……」
「そんなものも !!」
「いや、でもそれは美味しくなかった……で、クソ甘そうなヌガーみたいなケーキと、クソ甘そうなブラウニーと、クソ甘そうなナッツのタルト……」
「いいなぁ……」
「良くないって!」
良くないかなぁ。そういうのも時々恋しくなるのよー(地味めな御飯を目指すんじゃなかったか)。
ごはんですよおにぎり
緑茶
炊いた御飯が余ると、なんとなーく無意識におにぎりにしてしまう最近の私。ここ数年ずっと、"おにぎりを作るなら私よりもだんなの方が断然上手い"という状況が続いていて、自分なりに危機感を抱いていたらしい私だった。昨日は「そうだ、"ごはんですよ"を詰めてみよう」と中心に海苔の佃煮を突っ込んだのは良いものの、表面に美しくマーブル模様が浮き出た怪しいおにぎりになった。
「そうそう、ごはんですよおにぎりは難しいんだよー」
と、完成したおにぎりを見るなりだんなに言われ、ちょっと傷心。"素おにぎり"はなんとか形になるようになってきたものの、具入りおにぎりが美しく作れるようになるのはいつの日か。
朝御飯は、おにぎり2個を1個ずつだんなと分け合い、更に私は昨夜のロールキャベツを、だんなはおでん(←金曜日からの残り……)を皿に盛る。
「おでん好きの俺も、さすがに飽きてきた……」
というおでんは傷んではいなかったけれどさすがにヤバイ。残っているものも、いかにも人気がなさそうなものばかりで、だんなは少々つらそうな顔で鍋を空にしていた。一人、味の染みたロールキャベツ喰っててすまん。
ホットミルク
今日は午後6時からRさん家でピザパーティー。我が家からは結局、前菜代わりに卵のタルタルソース風のサラダとサーモンのタルタルをチコリとクラッカーに乗せたものと、ほうれん草のサラダを持っていくことにした。ピザとは相性、良いはずだ……多分。
「そういうわけで、昼御飯は軽くしておこうね」
と、息子と2人の昼御飯は、先日買ったイタリアのクリスマスパン"パネトーネ"を中心角30度くらいに切り分けてつつくことに。ふわふわで今ひとつ食べた気がしないパンだけど、何しろ巨大なので(ひとかかえほどもある大きさで、重さは1kg)、30度くらいにカットしても何だかすごい量になってしまうのだった。
レーズンと甘く煮た栗がたっぷりのパン、息子はやっぱりレーズンと栗をほじくりながら食べていた。
サーモンのタルタル チコリ乗せ
卵のタルタル チコリ乗せ
ほうれん草のサラダ
バーベキューひき肉のピザ
コールスローピザ
ビール
ココナッツ入りブラウニー 3色アイスクリーム添え
タッパーにあれこれ詰めて午後5時半過ぎ、車に乗って一家揃って初めてのRさん家に向かう。Rさんは日本人だけど、旦那様は米国人、娘さんは見事な白人顔のキュートな3歳児だ。
ご夫婦揃ってアート方面の仕事をしていることもあってか、あちらこちら溜息が出てしまいそうな家だった。暖炉の上には届いたクリスマスカードが壁にとめられ、ご主人の描いた絵が。家中のあちらこちらにご主人の描いた絵は飾られていて、そして家中のあちらこちらがクリスマスの装いだった。ダイニングテーブルにはクリスマス模様が描かれた赤いテーブルクロスがかけられ、中央にはキャンドルが2本。
厨房ではピザ生地に具を乗せつつあるところで、ご夫婦揃ってわちゃわちゃと準備していた。私たちも持ち寄ったサラダ類を皿に盛りつけたり、あとは部屋を眺めて「すっげーすっげー」と感動していたり。日本文化が大好きなご主人が2階を見せてくれたけれど、フローリングの部屋に布団は敷いてあるし、芭蕉の句が書かれた書はあるし備前焼の壷があるしで、日本の一般家庭よりよほど日本文化が溢れていた。テーブルには墨と筆まで置いてある。
2階から1階に戻る頃には、ピザが焼けつつあるいーい匂いが漂っていた。前菜つついてサラダつついているうちにピザも焼き上がり、一切れずつ取り分けてから、いただきます。
1つはバーベキュー味で炒めたひき肉を散らしたピザで、もう一つは表面にたっぷりチーズを散らした、コールスローのピザだった。
「うちのは、ちょっと面白いのよー。"Alpha Bakery"の、あるモノをヒントに作ったのー」
とRさんが言っていたのは、コールスローのピザ。"Alpha Bakery"で売られているベジタブル・ロールというパンがまさにコールスロー入りのパンで、それが大好きな大好きなRさんが「これはピザにしてもきっと美味しい……」と作り始めたピザだった。パンのように、ちょっと厚めに成形したピザ生地にたっぷりのコールスローを乗せ、上からかけたたっぷりのチーズがこんがり焼けてとても良い感じ。温かいコールスローというのは想像以上に美味しくて、色とりどりの具を乗せたピザのよりも味の変化は少ないはずなのに、いくらでも食べられそうだ。
こってり味のひき肉が散らされたもう一方のピザは、ピーマンや玉ねぎがたっぷり。
「うわ、具沢山で美味しい……」
「なんか、我が家のピザは"もう一度修行してきます"って感じだなぁ……」
と感動したりあれこれ参考にと胸に留め置きながらもりもりと食べた。
デザートには、キャセロール型にたっぷり焼かれたブラウニー。ココナッツが散らされ、上にはチョコチップもたっぷりと。バニラとチョコのマーブルアイスの苺の果肉が混ぜられたアイスクリームが添えられていた。甘いけど、歯が溶けそうなほどの甘さではなくて、チョコの苦みも感じられるくらいの程良い甘さ。ピザでかなりお腹一杯になっていたにも関わらず、ぺろりと食べた。
我が夫も"よく動く人だなぁ……"と思っていたけど、Rさんのご主人のジェントルマンぶりはすごかった。
さささっと皿を下げてくれ、下げるのは"招待客のご婦人"である私から。水がなくなったらすすすっと注いでくれ、デザートの盛りつけも厨房でせっせとやっていた。そしてデザートの皿を配るのは、やっぱり私から。そういうの、やられ慣れてないので私などは照れ照れしてしまうのである。
「すっごいですねぇ……」
と、またもや感動しながら呟いたら、
「あら、でもね、洗濯はあの人絶対やらないのよ」
とRさんが笑っていた。
子供たちも散々遊び回り、8時半過ぎにRさん宅を後にした。
そこら中の家は、クリスマスのライティングでピカピカしている。庭先にサンタクロース型のライトがあったり、玄関先の木全体が光っていたり、家全体が光っていたり。玄関を開けたところが居間である家がほとんどなので、玄関脇の窓の奥に巨大なクリスマスツリーが光っているのがよく見える(なんか、カーテン閉めたりしないのよね、こっちの人……)。あんまりキラキラピカピカがすごいものだから、そのうち夜にカメラ抱えて撮影して歩こうかな、なんて思ったりして(それはきっと不審者に思われるぞ……)。
バーベキューひき肉のピザ(昨夜の残り)
コールスローピザ(昨夜の残り)
牛乳
あと2週間でクリスマスという今、我が家の周囲の各家は大変なことになっている。
9割ほどの家の玄関や窓にはクリスマスリースが飾られ、更に2割ほどの家にはキラキラピカピカなイルミネーションが施されるようになった。その家がそのままパレードの山車として動き出しても違和感がないような、家中光り輝いちゃってるような家もたまに見かける。
まさか、集合住宅である私たちの住むところが何かするとは思っていなかったのだけど、管理人のおばちゃんが住む棟の脇にある高さ5mほどありそうなモミの木に電飾がつけられた。てっぺんには御丁寧に星までつけられている。
「うひょー!すっごーい」
と喜び、昨日の夜に写真など撮って歩いていたらすっかり身体が冷えてしまった。
なんか寒くて身体がゾクゾクしてきたぞー、と、布団にぎっちりくるまって昨夜は就寝。幸い熱などは出なかったけれど、今朝起きたら微妙に頭が重かった。風邪はいかん、風邪はダメだ。今週末はクリスマスイルミネーションを見にGatlinburgという町に行ってみるつもりなのだ。明日の昼はパーティーなのだ。なんとしても治さなければならぬ。
「というわけで、ピザと、ロールキャベツを食べます」
と、何が"というわけで"なのかは分からないまま、病人なら絶対食べられないだろうボリュームたっぷりな朝御飯を食べる。昨夜のピザパーティー、ちょっとずつ残ったサラダと前菜をRさん宅に置いてくる代わりに「ピザ、持って帰ってもいーい?」とお願いして持ち帰らせてもらったのだった。オーブンで温めてからカットして皆でつまむ。ロールキャベツには、相変わらず私はケチャップダバダバかけて食べちゃったりして。
鶏釜飯
鶏とねぎの吸い物
アイス龍井茶
やっぱりちょっと風邪気味なのか、昼前にWAL☆MARTに買い物に行って帰ってきたところで眠くなってしまった。寝る、と倒れたのが午後1時で、目が覚めたのは午後4時だ。なんてこった、今日はクリスマスカードでも書こうと思っていたのに一日の予定が崩れまくりー……。
今ひとつ不調だ、と言っていたところ、今日の夕飯に予定していた鶏釜飯をだんなが作ってくれた。
「なんかこう、炊き込み御飯か釜飯か、そういうものをひたすらわしわし食べたい気分……」
と、冷蔵庫に残っていた鶏肉を使って炊くことになったのだ。
「ところで、"釜飯"と"炊き込み御飯"の違いって何だろう。炊き込み御飯のレシピはいっぱいあるけど、釜飯ってないんだよねぇ……」
「……"炊き込み御飯"を釜で炊いたら"釜飯"……」
「それだけ?」
「それだけだろう」
と、炊き込み御飯のような味付けをしただしで御飯を炊く。4カップ弱のだしに大さじ2の酒と大さじ1の醤油と味醂、小さじ1ちょいの塩を入れて軽く沸騰させ、3合の米に加えてから鶏肉とにんじんを表面に敷き詰め、あとは炊くだけ。
「御飯、2合でいいよねぇ?」
と聞いてきただんなに
「"釜飯だけをわしわし食べる"という趣向の元では3合が良いかと思います」
と、我ながら不調とは思えないような内容の台詞を吐いた後、本当に3合の米は綺麗になくなってしまうことになるのである。
だんなは残った鶏肉で吸い物も作ってくれ、今日は何だか鶏肉尽くしの夕御飯。
羽釜で炊くと、おこげがしっかりできるのが嬉しい。
「お焦げありましたー!焦げ焦げ焦げ」
と均等におこげ部分を盛りつけ、鶏肉たっぷりの御飯をとにかくそればかり良く食べた。息子も一緒になって「おかわりー」「もっとおかわりー」と小ぶりの茶碗に3膳も食べ、少しは残るかと思った釜飯はすっかり綺麗になくなった。
本当は、釜飯が残ったら、明日の朝か昼にでも炒めて食べようかなぁと思っていた。子供の頃、炊き込み御飯が翌日に残ると、母がよくサッと少量の油で炒めてチャーハンのようにしてくれていたのだけど、あれが炊き込み御飯とはまたちょっと違った味になってすごく好きだったのだ。今回もそれを狙っていたのだけど、あえなく失敗。4合炊けば良かった……。
ホットココア
だんな、卵サンドがお好きらしい。
「パンがあるな……卵サンドかなぁ……」
と、おもむろに台所に立ち、卵を茹で始めた今日の朝。
続いて紅茶でもいれようと思ったのか台所をガサガサする音が聞こえ、
「ああっ、"紅茶買おう"って言ってて結局買わなかったんじゃーん!」
と嘆く声も聞こえてきた。そうそう、中国茶はあるんだけどね……と声をかけようとしたところ、
「ココアはっけーんっ!!!!」
と力強い雄叫びが。……はい、ココアで全く不満はありません。と呟く私は何をやっていたかというと日曜から月曜にかけて行こうとしているグレートスモーキーマウンテンの周辺の町のリサーチをおこなっていたのであった。なんでもこのへん、冬季のイルミネーションが名物のようで、11月から2月にかけて町中キラキラのピカピカであるらしい。安い宿と美味しい店を求めてあれこれ検索していたのであった。
そうこうしているうちに卵ペーストができあがり、ココアと砂糖をマグカップに入れ熱湯を注いで練り練りし始める我が夫。さすがに私も手伝った方が早く御飯が食べられるだろうと、パンにバターを塗ってオーブンに放り込んだり、牛乳を耐熱容器に入れてチンしたり。ほどなく卵ペーストがたっぷり挟まったあったかいパンと、温かいココアがテーブルに並んだ。
近所のスーパーマーケットでは、そのスーパーオリジナルのパンもあれこれ置いてあるし、各種メーカーの各種パンも山のように置かれている。食パンもあるけれど、日本人に馴染みのあるサイズよりはかなり小さめ。2まわりほども小さいパンが、ただし量だけはたっぷりと長さ40cmはありそうな袋に詰められている。目下のお気に入りはハンバーガー用のバンズで、8個入りのが1ドル弱。表面に胡麻を軽く散らしたのが好みだけど、それは数十セント高かったりする(それでも1ドル20セントとか、そんなもん)。2週間ほっといてもカビもはえずに固くもならない驚異のパンは、ハンバーガーにしてもしなくても、ただトーストにしても卵サンドにしてもツナサンドにしても、そこそこ美味しく食べられる。でも、きっと添加物うじゃうじゃなんだろうなぁ……。
今日は午後2時から4時まで、研究所が主催するパーティーが研究所入口ホールで開かれる。
「冬のホリデイに作る自慢の前菜やデザートを1人1品持ってきてねー」
という趣向の研究所内でのパーティーで、だんなの所属する研究室ではまとめて数皿サンドイッチとケーキを出すことになった。今日は手ぶらでのパーティー参加だ。
1時半過ぎてホールには会議用の机が一列に並べられ、各々持ち寄った料理が並べられ始めた。おやつの時間に開かれるパーティーなので、内容はごくごく軽いもの。サラダ類や軽いサンドイッチ、クラッカーや果物の他は、ほとんどお菓子類で占められた。手作りの品がとても多く、見ていて楽しい。
レモンカード(レモン味のねっとりした、ジャムというかクリームのようなもの)を固めたようなケーキや、チョコレートチップを表面にまぶしたブラウニー。パウンドケーキや、コーンフレークを真緑に着色した砂糖でコーティングしたお菓子など。"Indian Pudding"なる名前のコンデンスミルクの味がするねっとりとしたプリンやざく切りにしたソーセージをリンゴのソースで煮込んだ温かい料理などもあった。どれも素朴で良い感じのものばかり。用意された紙皿はクリスマスらしく金と緑の色使いで、適宜皿を取っては料理を盛りつけ、飲み物を取って適当に座って食べる。飲み物はコーラにダイエットコーラにスプライト。あとはコーヒー紅茶。
「あ、けっこう軽食なんですね……」
と食べ始めたは良かったけれど、ノリはほとんど「ケーキバイキング」なのである。ふわふわのケーキなどは少なく、ほとんどがどっしり系のケーキばかり。アップルクランブルケーキも、チーズケーキも、きめが細かく空気が少なく、非常に密度が濃いものばかりで、しかも甘い。1切れずつ5種類も食べると食事している時以上に満腹になってしまった。
どれも美味しく食べられたけど(アメリカのケーキの甘さも、慣れてくると"ああ、こういうものなんだ"と美味しく思えてきたりして……)、それでもちょっと困ってしまったのが野菜のプレート。
巨大な皿には小指ほどの大きさにカットされたにんじん、ブロッコリー、更にアスパラガスが大皿に盛られていて、添えられているのはマヨネーズベースのソース。口直しに、とケーキを食べる合間に取ってきてみたところ……野菜は全部、生だった。1本そのままのアスパラガスも、一口大のブロッコリーも、全てが生。囓ってみて「うっひゃー……」と思ってしまいつつも、アスパラガスとにんじんをそのままコリコリコリコリとウサギのように食べてしまった。でもこれ、本来は茹でるかせめてチンするかして出すべきものでは。
ユンさん特製ひき肉入り卵焼き
4時までまったりと甘いものを飲み食いしていて、すっかり身体によくない栄養素(主に糖分と炭水化物……みたいな)で胃袋が満たされてしまった。
そんな折、だんなは韓国人留学生の友達ユンさんに、何やら食べ物を貰っていた。中にはクッキーと、パジョンに似た外見の小さな焼きもの料理がビニールに入れられてたっぷりと。今日は彼女のお兄さんの誕生日で、それに合わせて大量に作った料理をお裾分けしてくれたものらしい。今日の夕飯は、それと軽くパスタに決定した。
ユンさんのくれたものは、ひき肉をにんじんなどと共に炒め、それを溶き卵にくぐらせてクッキーのような大きさに焼いた小判状のものだった。基本は塩味だけど、ほのかにニンニクがぷんと香る。そのまま食べてもいけるし、ウスターソースをかけても旨い。ほのかに異国の味がする。
で、あとはだんなが作ってくれたアーリオオーリオスパゲッティ、帆立入り。卵の"お焼き"に負けじとにんにくがたっぷり入った、シンプルなオイル味のパスタ。色気がないのでドライパセリをぶわーっと散らして炒め合わせ、ツルツル食べた。このくらい夕飯が軽いと、いい感じだなー(でも昼にはケーキ食べ過ぎてるしなー)。
鶏天ぷら定食
今日は「ポータブルDVDプレイヤーを買おうじゃないか」という壮大なお買物計画があり、起きるなり外出(と言っても10時過ぎ)。
他にも細々と用事があり、まずは我が家から最も近いショッピングモール「Green Hill」で先生たちへのクリスマスプレゼントと息子のマフラーを購入。次はTARGETでDVDプレイヤーの価格調べとクリスマスプレゼントのラッピング用品の購入だ。
巨大安売り雑貨店「TARGET」の入っているモールには、いくつかのレストランがある。あそこで食べようかここで食べようかと議論した挙げ句、11時過ぎて開店したばかりの「弁慶」という日本食屋に入ってみることにした。日本食材店も隣接しているので、この近辺に住む日本人にはお馴染みの店だ。一度夜に入ろうとしたところ、スーツ姿の日本人が大量に席を埋めていて満席で入れなかったことがある。それ以来、あまり良い噂も聞かなかったこともあり、足を向けていなかった。開店直後の土曜日は、さすがにガラガラ。というか私たちが一番目のお客だった。
比較的頻繁に来るらしいIさん曰く、「うどん以外は美味しくない」だそうである。餃子もかなりいただけなかった、という話も聞く。更には、天ぷらを頼んだら揚げおきのものが出てきた、などという話も。
メニューに載る品はさほど高くもなく、定食類は内容にもよるけど6ドルあたりから。私が頼んだ「鶏天ぷら定食」も6ドル弱だ。だんなは「肉うどん」、息子は握り寿司の卵3つとイクラを1つ。
テーブルに最初に出てくるサラダと味噌汁を「やっぱりこれって違和感よねぇ」と思いながら味噌汁を啜り、サラダをつつく。玉ねぎのすりおろしをメインにしたような醤油味のドレッシングはちょっとばかり酸味が強め。開店直後ということもあってか、やってきた天ぷらは揚げたてのなかなか美味しいものだった。皮つきの鶏肉が、海老のように細く長く成形されて揚げられている。それが3本。あとは人参が2つ、ピーマンといんげんと南瓜と玉ねぎが1つずつ。1つ1つが大きいのでかなりボリュームがある。つけ汁はかなり薄めの味。
ちょっと衣が厚めではあったけど、サクサクの揚げたての天ぷらは幸い"揚げおき"でもなく、普通に美味しいものだった。鶏の天ぷらなどを見てしまうと、
「……かしわぶっかけ、食べたいなあぁぁぁ」
と讃岐うどんが恋しくなってきてしまったり。
だんなの頼んだ「肉うどん」はほうれん草とかまぼこ、ひらひらの薄切り牛肉たっぷりの甘口のうどん。これまた普通に美味しかった。
エッグノックラテ
TARGETを歩き、オフィスデポなどを覗いていたら少々疲れ、途中のスタバで休憩。
「今だけのフレーバー!」などと"ジンジャーブレッドラテ""ペパーミントモカ"などと共に"エッグノッグラテ"なるものが店頭にでかでかと紹介されており、「……あ、美味しそうかも」と魔が差してしまいエッグノッグラテを注文。エッグノッグ、12月に入った頃からスーパーマーケットで1リットルの紙パック入りのやつなどが大量に売られるようになって、ちょっと気になっていたのだった。
エッグノッグは、クリスマスシーズンによく飲まれる飲み物らしい。卵黄と牛乳を混ぜて砂糖で甘味をつけたミルクシェークのようなもので、ラムだのブランデーだのを入れられてカクテルの名前にもなっている。で、ノンアルコールのものがスーパーにはじゃかじゃか売られており、シナモンだのナツメグだののスパイスで風味をつける(つけられている)のが一般的らしい。
「要するに、あったかいミルクシェークってことで……」
と注文してみたのだけど……、ちょっと苦手な味だった。確かに牛乳っぽくて卵っぽくて淡い甘さがあるのだけど、ちょっと苦手な領域まで混入されているナツメグらしきスパイス臭がちとつらい。カプチーノに浮かんでいるミルクの泡泡(←ミルクフォーム、という名称で正しかったでしょうか)、カプチーノに浮かんでいるのは好きなのだけど、それがエッグノッグラテに浮かんでいると微妙〜に違和感が。
期待する味は「野暮ったいほどにミルクシェークな味がするあったかく牛乳牛乳している飲み物」だっただけに(←そういうのをスタバに求めちゃいかんだろ、と我ながら思うけど)、
「ちっがーう、こんなに洗練された味じゃなくて……」
とちょっとショックだったのだった。
微量に傷心のまま、DVDプレイヤーを探して徘徊。
結局ポータブルDVDプレイヤーは結局WAL☆MARTで買うことになった。DVDの他CDやMP3の再生ができ、5インチモニターつきで300ドルくらい。これでやっと米国製のDVDソフトを見ることができる。
青椒肉絲丼
中華スープ
ユンさん特製ひき肉入り卵焼き
ウーロン茶
「Alpha Bakery」のロールケーキ(モカ味)
夕方は、留学生仲間のHさん宅から借りてきた「真珠夫人」総集編をだんなと一緒に見てみたり。私は以前Hさん宅でHさんと一緒に全部見たことがあるけれど、この感動はだんなにも共有していただきたいと、先日ビデオを借りてきたのだった。
もう、第一部を見るだけで真珠夫人がお腹がいっぱいになり、続きはまた後日ということに。
たった1時間ほどしか見ていないのに、さっそく真珠夫人ごっこなどやっている私たちだった。
「わたくしは今日買ってきたカレーパンを片づけようかしら……はっ!カレーパンが!ない!」
「……フッ、ルリコさん、そのような事は僕がやっておきましたよ」
「ナオヤさん……なんてことを……わたくしはこの清い体のままでカレーパンを片づけようと思っていましたのに……」
で、いつのまにかだんながせかせかと米を研ぎ、肉を刻み、青椒肉絲丼の準備などしてくれているのである。私は何もすることがなくてとりあえずカレーパンの片づけをしようと思ったのに、それすら阻まれて悲嘆の涙なのであった。
「ナオヤさん、待っていてくださいましね。わたくしは清い体のままで……」
「ルリコさん……しかし、どうして夕食の支度をしてくれないんだ!僕は……僕はシンガポールへ行かせてもらう!」
「え"!? 食事の支度をしないとシンガポール行きなんですかー??」
ごっこをし続けるのも難しい。簡単に地に戻るのは大抵私の方なのだ。
幸い夫はシンガポールに行ってしまうこともなく、青椒肉絲丼を作ってくれた。いつのまにか中華スープまで出来ていた。清い体のままの私ができたことは、昨日ユンさんから貰った卵焼きの残りをチンすることくらいだ。
筍抜きのピーマンと豚肉だけの青椒肉絲だったけど、適度に濃い味付けで汁気たっぷり、御飯にかけると丁度良い味だった。中国茶をだばだば飲みながら真珠夫人について語りながらの夕御飯。
いやいや、面白いのはこれからなのよー。ナオヤさんに奥さんができてからがサイコーなのよー。
カフェオレ
いつもはぐーたら寝ている週末だけど、今日は7時半起き。
我が家から車で200マイルほどのところにある「グレートスモーキーマウンテン国立公園」付近の町はクリスマスイルミネーションがキラキラですごいらしい、という話を聞いて、1泊2日で出かけてみることになったのだった。お昼御飯にそのエリアにある地ビール屋さんに行ってみようという話になっていたので、昼頃現地に到着できるように午前8時過ぎに出発。
朝御飯は、昨日買ってきた「Alpha Bakery」のカレーパン。昨日「わたくしが清い体のままで」「いけない、ルリコさん!」とごっこ遊びしながら片づけるの片づけないのしていた元凶のカレーパンだ。やっぱりあたためないとねー、と余熱しておいたオーブンで2分ほど加熱。もちもちした生地にひき肉たっぷりのカレーパンは、相変わらず旨かった。
バッファローウィング
チキンアルフレッド
Beer(Golden Eagle Lager)
道路はさほど混雑しておらず、無事に昼頃高速道路を降りてグレートスモーキーマウンテンへの道路に入った。「Sevierville」「Pegeon Forge」「Gatlinburg」という3つの町を通って道は国立公園へ続いている。とりあえず目指す地ビール屋さんは「Sevierville」の町にある。
高速道路を降りた途端、道路はすごい混雑になった。「ここで曲がるのかな?」「あいや、違ったー」と曲がるところを間違えてぎゃいのぎゃいの騒ぎつつ、無事に「Rocky River」という看板を見つけ、駐車場に車を突っ込んだ。私たちの持つ時計では12時だったけれど、よく考えたらここは私たちが住むNashvilleと同じテネシー州内でありながら時差がある。ここは午後1時だ。
6種類ほどの各種ビールの中から私はラガー、だんなはレッドエールを注文。
「まだ移動しなきゃいけないし、とりあえず一杯だけね」
と言いつつバッファローウィングをつまんでジョッキ一杯のビールを飲み干した。
カラッとした軽い苦みがある"Golden Eagle Lager"はちょっと不思議な香りのある面白いビールだ。鶏の手羽元6本手羽先6本が素揚げされてタバスコ風味な真っ赤な辛いタレに漬けられたバッファローウィングは、ビリリと辛くてビールが止まらなくなる。ほんのりと酸味があり辛さが強く、甘さはほとんどないバッファローウィングはさすがに息子には食べさせられず、「全部で12本もあるよ……」と言いながらもだんなと2人でぺろりと平らげた。
前菜で半ば腹を満たしてしまいつつ、メインディッシュはチキンアルフレッド。150gはあるんじゃないかというほどのボリューム(パスタの1人前は普通70〜80gくらい)のペンネにこってりクリームソースが絡まり、上からは刻みチーズがたっぷりと。そして上にはハーブをまぶしてグリルした鶏肉が1枚分、一口大にカットされてドカッと乗せられていた。だんなの皿には厚みのあるハンバーグに炒め玉ねぎ、何種類かのうちから選んだオニオンリングがこれまたたっぷり乗っている。息子の皿はホットドッグとフライドポテトの山。
「あっはっは、アメリカ飯だね」
「見事なアメリカ飯だ」
と笑いながらもりもり食べる。肉は無くなったものの、山のようなオニオンリングや山のようなペンネはなかなか減りそうにない。お互いにお互いを励ましたり助けたりしながらも、さすがに全部は食べきれなかった。
しかし、何しろビールが美味しくて、もー。
午後2時過ぎに今日の宿を取る予定の「Gatlinburg」に入った。マークしていた宿は、モーテルチェーンの「Red Carpet Inn」。観光案内所でもらったクーポンを見せると20ドルで宿泊できるらしい。
「昼飯代の半分が宿代かよ!」
と半ば脅えながら宿に行き、無事にチェックインできた。広くはない部屋だし、清潔度もちょっとばかり低いような気がするけれど(しかもシャンプーやリンスはなく石鹸しか置いてない)、何しろ20ドルだ。
雪が積もりつつある「グレートスモーキーマウンテン国立公園」に入って黒毛の熊を目撃してみたり、暗くなっていく町をぷらぷら歩いてキラキラな町を堪能したり。「温泉街みたい」とか「軽井沢みたい」と聞いていたGatlinburgの街だったけど、なるほどなぁと思った。小さなおみやげ物屋さんや怪しいTシャツ屋さんが並び、ゲームセンターや屋内パターゴルフ場、子供向けの小さな遊園地があったりする。「プライベートジャグジーあります」の宿の看板は、「貸切露天風呂可能です」的な匂いを感じさせる。
しかし、2時間ほどかけて歩き回っていたというのに、全然お腹が空かない。私たちの時計で午後1時に昼食を食べ終わったということはこちらの時計では午後2時に満腹だったということで、
「あー、私たちの時計で6時ということは実際は7時ということで……でもお腹が空かない……」
「ステーキって感じじゃないし……"ビール飲んで何かつまむ"って感じでもないし……」
「明日は早起きしてパンケーキ食べに行くということで」
「うん」
と、息子のおやつ用に家から持ってきたクッキーとチョコレートケーキをちょこちょことつまむだけの夕御飯となった。かつてなく質素……というか、旅行中の夕食としてはかつてないような展開に。
昼にビール飲むと、その後全体的にだるくなっちゃうからいかんわよねー(とビールのせいにしてみる……)。