食欲魔人日記 03年05月 第5週
5/26 (月)
Johnny Rocketsでだんなが頼んだ2/3ポンドサイズハンバーガー。……でかい。
卵サンド
アイスココア

今日は祝日(メモリアルデー。南北戦争の戦没者を敬う日……だそうで)。昨夜はなんだかんだで疲れ果てて家に帰り、日記を書き終わったら風呂も入らずに寝てしまったのだった。先週はいろいろと忙しかったということもあり、今日は9時半頃まで皆でごろごろ。「充電完了」の文字を両目に光らせて最初に起きてきた息子に私もだんなも起こされた。……うー、あと1時間は寝ていたかったぞー……。

朝御飯は、卵サンド。ちょっと固くなってしまったサンドイッチ用のパンはこんがりトーストしてからバターを塗り、マヨネーズ和えした刻みゆで卵をたっぷりと挟む。だんなが
「では、僕がサンドイッチを作ってあげよう……」
とパンにバターを塗り塗りしてくれている間に、私はアイスココアの準備。ココアと砂糖に少量の湯を入れて粉っぽさが消えるまでせっせと練りあわせ、それを冷たい牛乳でのばしていく。冬のホットココアも格別だけど、最近はアイスココアの美味しさが気に入ってしまい、なんとなく手がココア缶を探し求めてしまうのだった。温かいココアだと、砂糖の甘さがないとちょっと物足りない気分がしてしまうのだけど、冷たいのだと甘くなくても気にならないし。

Nasivlle 「Johnny Rockets」にて
 私:
 Smoke House Hamburger
 Deluxe Shakes & Malts (Strawberry-Banana)
 だんな:
 1/2 Fries & 1/2 Rings
 St.Louis Hamburger with Extra Patty
 Original Shakes & Malts (Chocolate)
 息子:
 Kid's Hot Dog
 Kid's Shake & Malts (Vanilla)
 

今日はちょっとだけお買い物。"Best Buy"なるCDやDVDも扱う巨大電気屋さんに行くついでにスポーツ用品店も覗いてみよう、そういえばあそこのモールも久しく行ってないね、などと結局数時間に渡るけっこうな外出になってしまった。
Best Buyでは、
「うーん、"E.T."、欲しかったんだよなぁ……」
「ああ〜"AKIRA"が、日本語音声切替つきで売られてる〜」
「"Air Force One"だぁ……ハリソーン……」
と、当初予定していた捜し物以外に心ときめかせ、結局5本お買いあげ。日本アニメが2本に洋画が2本、プロレスもの(←アンダーテイカーさんオンリーDVD……)1本。アニメーションDVDの棚はほとんど全てが日本アニメ、宮崎アニメはもちろんのことセーラームーンから"ラブひな"まで揃っているのが何だかすごかった。

昼御飯は、ショッピングモール内にあったJohnny Rocketsで。レストランスタイルのハンバーガー屋さんで、値段はちょっと(いや、かなり)高めだけど味はなかなか。シェイクがあるのがまた嬉しい。そしてこの店、タイミングが合えば"踊る店員さん"を見ることができる。"とある曲"(どうもその対象曲は複数あるみたいなんだけど)が店内に流れると、店員さんがぞろぞろとフロアに出てきて並び、「ヘーイ!」なんてかけ声つけつつ数分踊ってくれるのだ。……が、休日の昼過ぎ、お店は大混雑だった。

「あー、これじゃ踊ってくれないかも〜」
「厨房も接客もてんてこまい、って感じだもんねぇ」
とちと残念に思いつつ注文を済ませる。家族全員揃ってシェイク、そしてハンバーガー。私はチーズとベーコン、オニオンリングを挟んでバーベキューソースをかけた"Smoke House"というハンバーガー。だんなは野菜各種にチーズ、特製"セントルイスソース"なるものをかけた"St.Louis"バーガー。通常はさまっている肉は1/3ポンドのものが1枚だそうだけど、だんなはそれに
「あ、パティ1枚追加してね♪」
なんて"肉1枚追加"の注文をしている。しょ……正気?だんな?2/3ポンドのハンバーガーってちょっとすごいよ?しかもここ、シェイクはおかわりつきだよ?

そしてほどなくやってきた各種シェイク。ロゴ入りグラスにシェイクはたっぷりと満たされてやってくるのだけど、材料を入れてマシンにかけるステンレスの容器に残っている"お代わり分"も容器ごと持ってきてくれる。全て飲み干せばたっぷり500cc以上はあるんじゃないかと思われる、かなりなボリュームのシェイクだ。今日は、スタンダードのものよりちょっとお高いストロベリーバナナ味。苺の果実も入っていて、スムージーのようでもある。

ずるずるずー、とシェイクを飲む店の外では、まだまだ入店待ちの人が10人以上も列を作っている。そんな中、店内にこれまでのBGMより幾分大きなボリュームで流れ出した、テンポの良い聞いたことのある昔なつかしな感じの曲。あら?あら?と思っている間に店員さん7人ほどがフロアに手拍子しながら出てきた。さすがに厨房内で肉焼いたりシェイク作ったりしている人は出て行けるわけないだろー、てな具合にパタパタ仕事を続行していたけれど、接客担当のスタッフは全員でくねくね踊っている。お客も皆、「おー、今日も踊ってるのー」という顔で彼らを眺め、ダンスが終わったところで皆拍手。やっぱりコレがないとこの店に来た気がしないのよね、とだんなと顔を見合わせて笑ってしまう。

やってきたハンバーガーはすごかった。私のもけっこうすごかったけれど、何しろだんなのブツがすごかった。どうやって口に入れるんじゃい!と唸りたくなる分厚いバーガーだ。中にはこれでもかと野菜も入っているし、上から軽く押さえただけで肉汁がぼったぼった垂れてくるようなハンバーガーだ。私のバーガーも揚げ玉ねぎががっちょり挟まっているものだったので、これでもかと大口あけて口に突っ込まなければならないサイズだ。中に挟まった褐色の甘辛いバーベキューソースが玉ねぎに染みて良い感じ。シェイクも必死に飲み干して、バーガーを平らげる頃には気持ち悪いほどお腹一杯になっていた。

枝豆
ピータン豆腐
お茶漬け
ビール(Foster)
麦茶

"たかがハンバーガー"であったはずの昼御飯は、これでもかと胃に溜まっていた。夕方過ぎても一向に空腹感は訪れず、本当は「豚の生姜焼き作ってさー、あと、残った豚肉で豚汁なんかも作ったりして」と言っていた夕御飯は、とてもその内容で食べられそうにはない。
「こう、なんつーかこう、サラッと……」
「冷たい蕎麦とかねぇ……」
「あぁ、お茶漬けとかねぇ……」
「お茶漬け!それイイ!」
ごろごろしながら夕飯の算段。ビール片手に枝豆と豆腐をつまんで、あとはお茶漬けでさらっと済ませましょうということになった。

オーガニックスーパーで売られていた冷凍枝豆をチンして温め、豆腐は角切りにしてついでにピータンを添える。醤油とおかかよりは甘酢醤油かな、と醤油と酢と砂糖を大体同量ずつ混ぜ合わせ、胡麻油とラー油を垂らしてタレを作った。あとはビール。最後にお湯を沸かしたら山本山のお茶漬け海苔に登場いただく。10分もあれば全ての準備が終わってしまう簡単な夕御飯になった。

ご飯にお茶漬け海苔1袋ぶっかけてお湯入れるだけのお茶漬けは、なぜゆえにこんなに旨いのだろう。あの緑の粒々の甘じょっぱい独特な味もたまらんし、刻み海苔の存在もステキだ。私としては長かったり丸かったりするあのアラレの存在が今ひとつ不満なのだけど(最初は良いけど、水吸ってクタクタになってしまったものの食感が何とも……私としてはいまいち……)、それでも久しぶりのお茶漬けは「そうそうこれこれ!こういうのが食べたかったのよー」と頷きたおしたくなるくらい美味しかった。生姜焼きは、明日だな。

5/27 (火)
豚肉の生姜焼き。ビールもご飯も止まらぬ…… (夕御飯)
「Alpha Bakery」のカレーパン
牛乳

ここしばらく、冷凍庫や冷蔵庫、食料庫を覗き込んで
「あー、あれ食べなきゃ」
「これも食べなきゃ」
と、その日の食料消費計画を立てるのが日課のようになっている。家にあるものはできるだけ食べてしまいたいし(でなきゃあとは捨てるか誰かにあげるしかないわけで)、とはいうものの、あちこち食べ歩いてもおきたいし、心中複雑。本音を言うと、棚の奥に残るひじきや切り干し大根を食べるよりはハンバーガーやステーキを食べておきたかったりする。

で、今朝。
「冷凍庫からカレーパンを発見しました!」
とだんなから報告を受け、とりあえずはそれを食べることになった。電子レンジで軽く解凍した後にオーブンでこんがり焼いたカレーパン。お供は牛乳。適度に辛く、適度に甘いもっさりした具だくさんのカレーが詰まったAlpha Bakeryのカレーパンは相変わらず絶品だ。サイズが大きめなのもまた嬉しい。

白玉だんご
麦茶

今日は一日仕事で研究所に行ってしまった我が夫。昼御飯はお互い適当にしましょう、と夕方まで私は息子と一緒(息子と一緒に、というか、息子に足を引っ張られながら、というか)に家の片づけ。棚や引き出しの中身が徐々に殺風景になっていく。

片づけついでに台所で発見したのは、未開封の白玉粉と未開封のこし餡の袋。こし餡は、冬に日本の家族が送ってきてくれたものだったと思う。あれにしようこれにしようと勿体ながっているうちに放置プレイ状態になっていた。
「この組み合わせで2つの品が発掘されたということは、"白玉だんごを作りなさい"という神の啓示でありましょう」
勝手にそう解釈し、おもむろに白玉だんごを作り始める私。水で白玉粉を練って、耳たぶくらいの固さになったら適当に丸めて茹でていく。ぷかりと浮き上がってから少し待てば、茹であがり。温かいまま汁粉に入れたりキリリと冷やしてかき氷に乗せたりする。確か小学校の家庭科の授業でやったぞこれ……と思いながら、こねこねこねこね。息子が面白そうな顔をして近寄ってきた。

「おかーさんおかーさん、なに作ってるの?」
「お団子作ってまーす」
「おだんごは、どうやって作るの?」
「白玉粉に水入れてこねてね、で、茹でる。あんこつけて食べよう」
「そのままじゃだめなの?食べられなくなっちゃうの?」
「こねただけだとねぇ……お団子にならない。食べられないよ」
「ゆでるとー、どーして食べられるの?」
「……えー……?えっと……」
息子は時々答えがたい質問を投げかけてくる。「茹でないとお腹壊すよ」は真実とは言い難いし(多分そのまま喰っても喰えないことはない……はずだ)、白玉粉に含まれるこれこれの成分が熱を加えることによって……なんて言っても息子をわからせる以前に自分がよくわからないし。
白玉だんごをお気楽に作るだけのはずだったのに、予想していなかった思考の海に突き落とされた火曜の午後。まぁ、あんこつけて喰えや、息子。茹であがったし。

どら焼きや最中に挟まっているようなもの以外、お餅や白玉だんごにつけて食べる餡は粒餡の方が圧倒的に好みな私。粒があまり崩れていない、プチプチと粒が残りまくっている"あずき煮"のような餡が好きなのだけど、小洒落た甘味屋などでは大抵ねっとりと練りに練ったこし餡の方をよく見かける。封を切った今日の餡も、練りに練ったタイプのねっとりこし餡だった。これはこれで嫌いではないんだけど……残った餡はどら焼きにでもしようかな。そしてまた息子に「どら焼きは、焼くとどうして食べられるの?」と聞かれるのだ、きっと。

豚肉の生姜焼き
千切りキャベツ
Vidalia Onionのスライスwithドレッシング
豚汁
羽釜ご飯
ビール(Corona)
麦茶

今日は買い置きの豚バラブロックをスライスして生姜焼きに。800gくらいありそうな巨大な塊肉を、電動スライサーでシャーコシャーコと薄切りにしていく。半量ほどを豚汁に、残り半量を生姜焼きに。豚と豚の組み合わせだけど、生姜焼きと豚汁というのは最高に素敵な組み合わせだ。美味しいご飯とビールがあったらもう最初から最後までクライマックス状態な箸の動きになってしまう。あとは、生姜焼きのタレに浸して食べるとこれまた箸が止まらないようになってしまう千切りキャベツも。

昼御飯らしい昼御飯を私もだんなも食べていなかったので、ちょっと早めに準備を始め、午後6時過ぎには米に火を入れ始め、豚汁も良い感じに煮えつつある状態に。もう1品何かが欲しいよねということで、刻んだのは先日ファーマーズマーケットで買ってきたVidalia Onion。毎年初夏になるとスーパーなどに並ぶ玉ねぎの品種で、生でシャクシャク食べられるほど甘くて美味しい玉ねぎなのだと聞いていて気になっていた玉ねぎだ。ちょうど数週間前からマーケットに並びだしているその玉ねぎは、普通の玉ねぎの上下をぺこっと押しつぶしたような平たい形をしていて、僅かに色が薄い。いかにも瑞々しい感じのずっしり重い玉ねぎだった。さささっとスライスして軽く水にさらしてからそのまま齧ると、少しも辛くない。ショリショリいくらでも食べられそうな玉ねぎで、こないだはそれにおかか醤油をかけて食べた。今日はドレッシングをかけて食べる。レタスのサラダより、よほど味があって美味しい気がする。しかもビールに合うし。

ご飯は、これまた以前日本から送ってもらった(で、後生大事にちまちまちまちま食べていた)あきたこまち。ちゃんと食べきってから帰りましょう、と今日はたっぷり3合炊いて、身もだえしながら食べることになった。
「くはー!ご飯が美味しいよー。やっぱり日本のお米が最高……」
「この、生姜がガッチョリ効いた生姜焼きがこれまた」
「多めのタレがキャベツに染みて、これでまたご飯が進んじゃって」
「ああ、豚汁も大好きなのになかなかお代わりできないじゃん、もー」
と、生姜焼きと千切り玉ねぎでビールを飲み干しそのままご飯をかっこみ、豚汁啜ってご飯をかっこみ、キャベツでまたご飯をかっこみ、騒いだり無言になったりしながらこれでもかと満腹になるまで豚肉料理の食卓を堪能してしまった。

「も……もうダメちょっと倒れます……」
「僕もダメです倒れます……」
「あー、おかーさんもおとーさんも、ねちゃったのー?」
と、まだ食事途中の息子をよそにベッドに倒れ込む私とだんな。お互いいい年なんだから、そんな倒れるまで食べなくても。もうアホかと。

5/28 (水)
これが最後のアメリカントンカツ (昼御飯)
ご飯
ごはんですよ
2日目の豚汁
麦茶

明日には最初の帰国人であるIさんが日本に帰る。
「最後に皆で一緒に昼飯でも」
「……ってことは水曜日の昼だね?」
「カッパーケトルだな」
「トンカツだな」
ボスのA先生も交えて「水曜日はトンカツの日だからあの店に行かなきゃね」ということになったらしい。
「当然行くよね?」
と、数日前に言われてもー私にも都合ってもんがー……特にないから良いんですけれども。当然行くし。トンカツ好きだし。

とにかくボリュームたっぷりな南部料理屋さんに行くことがそういう次第で決定していたので、今朝は軽め軽めにさらさらっと朝御飯。昨夜の豚汁に昨夜の残りご飯。ご飯と味噌汁だけじゃ少々味気ないので"ごはんですよ"もテーブルにどかっと出す。この1年、薄切り肉があまり売られていないアメリカでせっせと手切りしたりスライサー使ったりして薄切り肉を作っていたのを思い出す。あと1週間ほどしたら、
「あ、豚こまくださいなー、300gくらい」
の一言で(いや、スーパーだったらその一言も要らずに)薄切り肉が買えるのかと思うとちょっと嬉しい。しゃぶしゃぶ食べたいなぁ……。

Nashville 「Copper Kettle」にて
 Crispy Pork Chop
 w/Mac&Cheese
 w/Butter Corn
 w/Strawberry Jello Salad
 Iced Tea

11時頃に研究室に集合して、2台の車で「Copper Kettle」。メンバーは我が家とIさん、Mさん、A先生にスタッフMさん。全員揃ってトンカツ好きだ。特にA先生がトンカツ好きだということが見逃せない。
「皆さんの分、私が払いマース。これは命令ですから」
とニコニコと宣告され、ごちになってしまった。最後の最後までお世話になっている私たち。

南部料理のスタイルである"Meat&3"の形式の料理を出すこのお店、カウンターであれとこれとそれと、と指示して皿に盛りつけてもらう仕組みになっている。週替わりのおかずが1種類と、日替わりおかずが更に1種類。サイドメニューは温かいものと冷たいもの合わせて10種類以上が常に少しずつ内容を変えて用意されている。ここのマカロニ&チーズは絶品だ。で、できればMeat&3(おかず+サイド3品)の形式で食べたいのだけど、何しろどれを頼んでも量が大変なことになってしまうので、ちょっと覚悟が必要なのだった。周囲を見るとサイドの数を減らしてMeat&2とかMeat&1スタイルで食べている人もけっこういる。今日は息子の分の注文を止めて自分たちの皿から取り分けてやろうということで、心おきなくMeat&3にすることにした。

これが最後かもしれないし、と、彩りはいまいち悪くなるけど好物のマカロニ&チーズとコーン、そして今日初めて見かけたストロベリーサラダを盛りつけてもらい、何やらファンシーな色合いに。だんなもまたマカロニ&チーズを盛りつけてもらい、あとはベークドビーンズ、メロン盛り合わせ。それぞれサイドディッシュは違うものの、全員揃ってメインディッシュはトンカツだ。以前この店にブルドッグとんかつソースを持ち込んだ挙げ句、店に瓶1本置いてもらうことに成功したのだけど、そういえば最近見かけなくなっちゃったねと小瓶を1本我が家から持っていった。アメリカ人だらけの店内、アメリカンな食卓の中央に1本のとんかつソース。皆でだばだばだ〜とそれをぶっかけながら、ソース1本ですっかり日本の味になっちゃったトンカツをガフガフと食べた。

日本のカツの衣と微妙に異なり、こちらのフライはサクサクというよりはカリッとした歯触り。割としっかりめに肉には下味がついていて、肉は"柔らかで美味しい"というよりは"味があって美味しい"という感じ。比較的しっかりした歯ごたえがある肉だけど硬いということはなく、脂身はプルプルと柔らかく下品な味はしない。
「あ〜、トンカツだ」
「やっぱりこれはどう食べてもトンカツだ」
とため息つきながらアメリカンなトンカツを満喫した。一人で食べるには多すぎたサイドディッシュ3種も、息子が脇からせっせと奪っていってくれちゃって、クリーミーなマカロニ&チーズの7割ほどとほんのり甘いコーンの7割ほど、ストロベリーサラダの3割ほどが息子の胃袋に消えてしまった。Jelloというメーカーのゼリーミックスを混ぜつつ生クリームや苺の果肉と合わせたらしいストロベリーサラダは、ココナッツフレークとミニマシュマロがこれでもかと入っている。見た目はかなり甘そうだったけれど案外甘くなく、マシュマロのほわんとした甘さが苺の酸味に溶けているようなさっぱり味。ファンシーな色合いの1皿はずっしりと食べ応えがあって、息子に手伝ってもらったのを感謝しながら食べきった。大体、肉が大きすぎる。1枚300gくらいあるんじゃないかという豚肉だ。

この店にはポイントカードがあって、メインディッシュ1つに対して1つスタンプを押してくれる。12個コンプリートすれば次の1皿はタダになる。我が家のカードは2周目に突入していて、その2周目も先日コンプリートしてしまったらしい。
「A先生、これで1皿タダになりますからー」
とゴチになる分を1皿無料にしてもらおうとしたのだけど、
「オー、あなたたちには、まだチャンスがありマース、とっておいてください」
と結局全てを御馳走になってしまった。いや……チャンスがあるって先生……これから帰国までの1週間のうちにもう一回来いと……?と苦笑いしていたら、Mさんが脇で
「そうよ、まだ来週の水曜日があるじゃない」
とトドメの一言。
いや、もう一度来るとしたらトンカツじゃなくて別のもの食べに来ます。フライドチキンとか、食べ放題サンデーブランチとか。

ほうれん草のキッシュ
ビール(Foster)

Copper Kettleの恐怖は、何しろ「昼にそこに行ったら夕飯まで全然腹が減らんようになる」ところにある。今日もトンカツ1枚喰いきった私たちは
「5時過ぎたけど……」
「全然お腹がすかなーい」
と呻くことになった。かなりガツガツあれこれ食べたはずの息子だけが一人、「おなかすいたなー」「なにか、作ってほしいなー」「おかしとか、どうかなー」と私とだんなの回りをぐるぐるぐるぐる歩いて催促してくる。もう辛抱ならん、という風情で
「ねー。ごはん作ってよー?」
と真正面から上目遣いで見上げられた。あー、はいはい。ご飯ねご飯。ちょっと早いけど何か作ろう。

今日は"冷凍庫に残るパイ生地を消費しましょうキャンペーン"ということで、キッシュ。色々準備してもほとんど食べられそうになかったので、キッシュのみ。1品料理ですまん息子、と心の中で息子に謝りつつ準備した。冷凍パイ生地に茹でて刻んだほうれん草とハムとチーズをちりばめて、卵と生クリームと牛乳を合わせて(卵1個に対して生クリームも牛乳も50ccずつくらい)、塩胡椒した卵液を流しこむ。あとはオーブンで30分ほど焼いていく。

キッシュを作るついでに、"グラハムクラッカーとアルミのパイケースを消費しましょうキャンペーン"の一環でレアチーズケーキも作成。チーズ総重量1.3kgを使うようなチーズケーキはあまりにヘビィすぎたので、今回はクリームチーズ200gで作れる簡単レアチーズケーキ。ヨーグルトや生クリームが多めに入った軽いものだ。あの1.3kgチーズケーキはあれはあれでかなり美味しかったので、食べてくれそうな人を何人か確保してから作ることにしよう。我が家だけじゃあんなの絶対食べきれないし。

とかやっているうちに、キッシュは美味しそうに焼けた。こんがり焼けたところをざくざく切って食べていく。私も息子も1/6切れほどをさらっと食べたらけっこうお腹も膨れてしまったのだけど、だんなは
「うまー。キッシュ、好きだなぁ……」
もくもくと2切れ3切れ食べていく。結局、直径30cmほどのパイ生地型で作ったキッシュの2/3ほどが無くなってしまった。自分で作ってみるまで、「キッシュなんて小洒落たものは買ってきて食べるもの」みたいなイメージがあったのだけど、作ってみると異様に簡単だし、材料揃えてみれば「洋風茶碗蒸し」みたいなものだし、こりゃもう買ってくる必要はあんまりないかなぁと思い至った。ほうれん草とハムを入れた一番スタンダードなものがやっぱり恋しくなるし美味しいと思うけど、今度はこれでもかとせっせと炒めた飴色玉ねぎどっちゃり入れたりして作ってみようかなぁ。

5/29 (木)
Heritage House(Lynchburg)にて、デリサンドイッチ (昼御飯)
Nashville 「Krispy Kreme Doughnuts」にて
 Original Glazed Doughnuts ×3
 Milk

今日は一日、「最後まで我が町近辺の観光をしてみましょう」ということで外出。週末に行くと混んでいそうなところということで、ジャックダニエルの醸造所に行くことにした。しかもここ、日曜日はアルコールの販売が禁止されているということで日曜に行ってもジャックダニエルその他諸々アルコールを購入することができないらしい。荷造りとか仕事とかは週末にやることにして、今日は一日遊び呆けることに。

朝御飯は、だんなの提案によりチェーンドーナツ屋さんのKrispy Kreme Doughnuts
「やっぱり帰国前にこの店のドーナツは食べなくちゃ」
「いいねぇ〜」
「やっぱりダース喰いよね」
と、ちょっと早起きして工場が稼働中の時間を狙って行くことにした。スーパーマーケットやガソリンスタンド脇のショップなどで割とどこででも買えるこの店のドーナツだけど、真の美味しさは工場併設の店、しかも"Now Hot"の看板が点灯している時間帯に行かなければ味わえない。店内のカウンターの奥では脇がガラス張りになって席から丸見えのオートメーションドーナツ製造器が動いていて、そこで続々とできあがっていく揚げたてほやほやのドーナツが食べられるのだ。しかも、その機械が動いている時に行けば、「フリーサンプルですよー」ともれなく1人1個のドーナツを無料でもらえてしまう。そのゴールデンタイムは、午前中の早めの時間か夕方ということになっているので、私たちとしては「朝食にドーナツ」か「おやつ、もしくは夕飯にドーナツ」という選択を迫られてしまうのだった。

久しぶりのKrispy Kreme。親子3人ぞろりとカウンターに並ぶと、
「フリ〜サンプル〜」
1人1個のふわふわドーナツが手渡された。私もだんなにも、息子にも。持つとまだちょっと熱いくらいのふわふわドーナツが薄紙にくるまれて手渡され、それを手にとりながら
「ドーナツ1ダース、くださいな♪」
と高らかに注文。手元に来たのはそういう次第で合計15個のドーナツで、がさがさと箱を抱えて席についた。今日も迫力の光景だ。目の前には15個のドーナツ、背後には数百個の続々と揚がっていくドーナツ。まだ膨らみきらない薄っぺらく小さなドーナツ生地が丸く大きく膨らんで揚げ鍋に放り込まれてひっくり返され、とどめにシュガーコーティングをばしゃばしゃぶっかけられて静かに乾いていく工程が全て見えるようになっている。で、目の前には15個のドーナツ。……食感は軽いけど、見た目は果てしなく重い。

シュガーコーティングかけ揚げたてドーナツは、確かに甘いことは甘いんだけど(コーティングがない方が美味しいんじゃないかとうっすら思ったりはするんだけれど)、ふわんふわんで香ばしくてめちゃめちゃ美味しい。はむっと齧るとそのまま噛みきった切り口がぺちゃんこになってしまうほどの頼りない食感で、5口くらいでがぷがぷと口にできるものだ。私は3個、息子は2個、だんなは4個。各々コーヒーや牛乳片手に、手をベタベタにしながら食べきった。
残り6個のドーナツはそのまま抱えて、いざ出発。

Lynchburg 「Heritage House」にて
 Deli Sandwich
 Iced Tea

Nashvilleから車で1時間半ほどのところにある小さな小さな町Lynchburg。町のちょっとだけ外れにJack Daniel'sの醸造所はあり、到着するとあと数分で次のツアーが出発するところだった。数分間のムービーを見た後は、バスに乗って醸造所の最奥に連れて行かれ、そこからは徒歩で見学していく。積み上げた木材を燃やして炭にする(で、ウィスキーの濾過に使用する)工程から、この地に湧き出ている湧き水が流れる小さな洞窟を見学し、アルコール臭がぷんぷんに漂うエリアをぽてぽて歩く。砕かれた穀物がみっちり詰まるタンクにフツフツと泡が絶えず沸き上がってくるところもガラスなどの仕切なしで見学できた。
「これ、舐めてみます?」
とガイドのお兄ちゃんが言うやいなや、皆ぞろぞろとタンクに指突っ込んで醸造中のウィスキー(というか穀物塊)を舐めている。私は匂いだけで酔っぱらいそうだったので舐めなかったのだけど、指に納豆菌でもついていたらこのタンクはおシャカになるんじゃないかなぁ……とぼんやり考えてしまった。以前に別のウィスキー工場を見学したときもそうだったけれど、アメリカはこういうところがおおらかすぎる。羨ましいというか、いい加減だなぁというか。

1時間ちょっとのツアーを終えると、終着点のビジターセンターに用意されていたのはキリリと冷えたレモネード。ジャックダニエルじゃないのねー、と残念に思いつつレモネードのグラスを片手に併設のおみやげ物屋さんをぷらぷら覗く。この醸造所で売られているのは限定もののジャックダニエルしかなく、ロゴ入りグッズや他のカクテル類は町のおみやげ物屋さんに行かなければないらしい。

時間もちょうどお昼時。おみやげ物屋さんを覗きついでに昼食も摂ることにした。
Lynchburgは本当に小さな町で、町の中央にある教会(と思ってよくよく見たら、実は裁判所だった……)をぐるりと取り囲むように十数店のおみやげ物屋さんと飲食店が並んでいるだけの、あとは住宅がぽつぽつあるだけなところ。コテコテなアメリカもの土産を売る店や、手芸用品を売る店、お菓子屋さんなどが並ぶ中、ジャックダニエル経営のロゴグッズ屋さんも確かにあった。中にはロゴ入りエプロンやロゴ入りゴルフボール、シャツや靴下、食器類やキーホルダー、やたらと多くの品々が揃っている。ジャックダニエル印のマスタードとかジャックダニエル印のバーベキューソースとか、もう何でもアリという感じ。色々面白そうな商品もあったけれど、結局何も買わずに出てきてしまった。

昼食は、その並ぶお店の1つだったHeritage Houseというところで。メニューはサンドイッチがメインのようで、店頭にはココナッツパイとかチョコレートパイとかピーカンパイとか、デザートメニューが盛大にずらずらと黒板に書かれていた。
「チリチーズバーガー、って書いてあるよ」
「うーん、美味しいかもしれない」
と、入店し、ナマズのフライとかハンバーガー、サンドイッチ類が多く並ぶメニューからあれこれ注文した。だんなはそのチリチーズバーガー、私は具を選べるデリサンド、息子はチーズサンド。

私のサンドイッチは、「以下の具から、1つでも全種類でも好きなだけ選んでね」とメニューに書いてあった。ターキーハムと普通のハム、ローストビーフなどの肉類にチーズが5種類くらい、そして野菜もいくつか。温かいサンドイッチにするのか冷たいのにするのか、まで選べるらしい。いや、具を全種類と言われても……としばし悩み、
「ローストビーフとスイスチーズ、で、あとは野菜をつけてねー」
と頼んでみた。スープの欄にオニオングラタンスープも見つけたので、それも。

やってきたのは、フランスパン的なちょっと固めのパンに挟まったローストビーフサンド。チーズごとオーブンに入れられたようで、全体がほわんと温かくなっている。横に添えられた野菜はトマトと玉ねぎとレタス。パンを適当に持ち上げて野菜を適当に挟み、ついでにミニカップに入ってきたマヨネーズもちょっとなすりつけてもう一度パンでぎゅっと押さえ込む。5枚6枚と重なって挟まっていたローストビーフが肉肉していてなかなか旨い。チリソースがこれでもかと挟まっただんなのハンバーガーも、期待以上に美味しかった。
ピーカンパイやココナッツパイが気になったけれど、まだやり残した用事もあれこれあるということでとり急ぎ帰宅。1本買ってきたジャックダニエルでウィスキー風味たっぷりのケーキでも作りたいなと思うけど……ちょっともったいないか、それは。

鶏肉の油淋鶏風
3日目の豚汁
羽釜ご飯
ビール(Corona)

自家製レアチーズケーキ
牛乳

今日の夕飯のお題目は"万能葱を処理しましょう"ということで、鶏肉の油淋鶏風。本当は揚げ鶏で作るものだけど、油の用意などがめんどくさくて(でもってカロリーも倍増するのがちと怖くって)、大抵我が家では焼いた鶏で作ってしまう。醤油と酢と砂糖を大体1:1:1の割合で混ぜるたれを用意するのだけど、今日は酢を少なめにして代わりにバルサミコ酢を使ってみた。胡麻油もちょっと垂らして、こってり味。こんがり焼いた鶏肉をざくざく刻んで刻み葱をぶわーっとかけ、たれをかけて食べる。うまー。

3日目の豚汁と羽釜で炊いたご飯とビールという、今ひとつ品数の足りない夕御飯だったけれど、何しろ7時からは毎週恒例のプロレス番組が放映されるものだから、木曜ばかりはそっちがメインディッシュみたいなもので、今日もテレビをちらちら見ながら
「おー、ゲレロがっゲレロがっ」
「おー!!ヴィンスがー!」
と目線と口調を熱くしながらの食事になってしまった。何しろ今日はアンダーテイカーとブロックレスナーがタッグ組んでいるんです奥さん!(誰が奥さんか) これでご飯4膳くらいはいけるってもんです。
筋肉マッチョな男たちをおかずに食べるご飯は、油淋鶏の胡麻油ギトギト感が薄れてしまいそうな程に脂っこかった。

番組終わって午後9時、落ち着いたところで昨日作ったレアチーズケーキ。クリームチーズを1パック(約200g)だけ使った、あとは生クリームやヨーグルトがたっぷり入った軽めのもので、台はしっかりとグラハムクラッカーとバターと砂糖を練って敷いて焼いたもの。昨夜も少し食べたけれど、1日経ったら味が丸くなって一層美味しくなっていた。どっしり重めの焼きチーズケーキも好きだけど、ゼラチンで固めて作るレアチーズケーキもそれはそれで美味しい。
参考にしたレシピは、もう5年くらい前に発売された栗原はるみさんの料理本だったと思う。3年くらい前にかなりブレイクして本が出まくるようになった頃には「な、なんかレシピの内容がいまいち美味しそうに思えなくなってきちゃった……」と思うようになってしまって、以来遠ざかってしまったのだけど、結婚直後の我が家の食生活を支えてくれたのはこの人のレシピ本だった。『ごちそうさまが、ききたくて。』なんて、大好きな本だったんだけど、今はなかなかあそこまで「おおっ!」と思える本がないなぁ、と。

5/30 (金)
チェーンステーキ店「Ruth's Chris」のフィレステーキ (夕御飯)
店内薄暗くてこんな写真しか……とほほほほ。
Krispy Kreme Doughnuts
 Original Glazed Doughnut ×2
カフェオレ

昨日の朝ダース買いしたドーナツが、まだ6個余っている。朝から絶好調な息子が
「ぼくはねー、3個、食べるんだよー」
とドーナツの箱を凝視しながら足踏みしていた。こら、3個も食べたらとーちゃんとかーちゃんの分が無くなるではないか。
「ダメだよ。6個しかないから、とーちゃんも、かーちゃんも、君も、全員2個ずつね」
と皿にドーナツを積み上げながら「ほら、全員2個ずつ」と示してみる。まださすがに足し算とか"等分にする"という概念は5歳児には難しいらしく、
「ん〜、でもね、3個……」
まだ不服そうな我が息子。ていうか、3個は食いすぎだろう。

揚げたてではなくなってしまったドーナツは、レンジで数秒チンするとふくふくになって旨いぞと箱に書いてある。1個につき7秒くらい放り込んでみると適度に柔らかくなり、表面のコーティングが良い感じにネトネトに。両手の指先を今日もネトネトにしながら甘ったるいドーナツを齧る。この味に慣れちゃったら、ミスドのオールドファッションはさぞ甘み少なめに思えちゃうんだろうなぁと思いつつ、そういうドーナツもちょっと懐かしい私。……あ、きなこボールが懐かしいかもー(大好物でした)。

自家製キッシュ(残りもの)
Limade

今日の夜は"さよならアメリカ第n弾"ということで、ステーキ屋さんに行くことにしている。相当なボリュームが予想されるので、昼御飯はできるだけ軽くしようねということになっていた。だんなは残った仕事を片づけに朝から研究所に籠もりに行き、私は仕事。昼御飯はいらないかなと思っていたけれど、息子はさすがにそういうわけにもいかない。12時過ぎると、「おなか、すいたなー」と家の中をうろうろし始めた。あ、いや、ちょっと待って、あと15分くらいしたら仕事が一段落するから……と息子に話しかけつつ、台所を彷徨う息子の行動を観察してしまう。

「スパゲッティとかー、パンケーキとかー」
食料が入っている棚を見上げながら、そんな事を呟いている。「……あ、アイスクリームもあるよー」と続く呟きが聞こえ、冷蔵庫前に移動した気配が伝わってくる。冷蔵庫の扉を開けた音がしたなと思ったら、数秒後に
「ピッツァ!なんか、ピッツァみたいなのが出てきたよー。これなんか、いーんじゃない?」
とアルミの皿を抱えて私のそばまでやってきた。出てきたよーじゃなくて君が出したんだろう、と苦笑いしながら、これは確かに手頃でいいかとその"ピッツァみたいなの"を温めた。

一昨日あたりに焼いた、自家製キッシュだ。残りは1/3ほどの量になっていて、90度ほどの角度がある大きな1切れを「これ全部食べられる?」と息子にあげたら、猛烈な勢いで首を前後にシェイクして(猛烈に頷きたかったらしい)、キッシュにかぶりついた。私は45度ほどの最後の1切れを。
黄色い生地をつつきながら、息子は何やら楽しそう。
「ほうれんそうとー、チーズとー、やっぱりピッツァみたいだねぇ。ぼくは、これが好きなー」
とほうれん草を引きずり出してもりもり食べている。ほうれん草が好きな幼児というのもすごいなぁと思いつつ、プルプル卵生地のキッシュはそれで全部無くなってしまった。あとは夕飯まで空腹抱えて我慢我慢。

Nashville 「Ruth's Chris Steak House」にて
 私:
 Caesar Salad $5.95
 Filet Steak $26.95
 Potatoes Au Gratin $4.95
 Red Wine(Glass) $9.00
 Iced Tea $1.95
 Creme Brulee $5.25
 だんな:
 Gumbo Soup $5.95
 Ribeye Steak $26.95
 Fresh Spinach Au Gratin $4.95
 Red Wine(Glass) $9.00
 Double Espresso $4.50
 息子:
 Garlic Bread $2.95

本日の夜、事前に予約を入れた上で行ってみたのはステーキチェーン店のRuth's Chris Steak Houseというお店。広告の写真などでは、高さ10cmほどはあるんじゃないかという分厚い(というか、表現としては"高い"の方が正確じゃないかという感じの)ステーキの画像が使われている。断面、中心部に向かって綺麗に茶色からバラ色にグラデーションがついた、美味しそうなステーキの写真だ。アメリカ東部を中心にパラパラと展開しているチェーンで、我が町にもダウンタウンからちょっと離れたところに1店舗ある。もう何ヶ月も前に、留学生仲間が
「OUTBACKと間違えて入っちゃったー」
ということがあったのだけど、「短パンとサンダルで行っちゃってさ、当然予約もなくて。なんだかウェイターさんにバカにされちゃった気分……」なんて話を聞いていた。ちょっと重厚感溢れる店らしい。なので、数日前にちゃんと「7時に行くからー。大人2人と子供1人ね」と予約しておいた。子供を連れて行く分には特に問題ないらしい。

ドリンクオーダーを取りに来た兄ちゃんが、
「当店は初めてですか?そうですか。では……前菜はこれこれがオススメです。このサラダにはブルーチーズが散らされてうんぬんかんぬん……」
と流れるような口上でぺららららーと全体の説明をしてくれる。早口だよ、何言ってるのか5割くらいしか聞き取れないよ。あー、サイドディッシュは量が多めなのでシェアするのもおすすめ?今日のスープはシーフードガンボ?のんびり食事をしに来たのに、気分はTOEICのヒアリングテストだ。必死な顔で説明を聞いてしまった。

私はシーザーサラダとフィレステーキ。肉に添えるのはポテトのグラタン風。だんなはシーフードガンボにリブアイステーキ、ほうれん草のグラタン風。息子にはこちらから肉を分けてやることにして、ガーリックトーストを。
にんにくがぷんぷんと香るシーザーサラダは、「ロメインレタスの葉……1/3株くらいは使ってませんか?」というほどのボリューム。チーズが混ぜられたドレッシングがふんわりと絡まり、クルトンが散らされる。キッシュ1切れで昼食を終えていたので、何しろ空腹きわまりなく、ウサギのようにせっせせっせと野菜を口に運ぶ。ステーキだし、と我が家にしては珍しく赤ワインをグラスでいただき、けっこう渋い味のそれをくぴくぴと。映画監督コッポラの名がついた赤ワインは、常温に馴染んでいけばいくほど甘さが感じられた。

で、ドガーッとやってきたボリュームたっぷりのステーキ。メニューには何オンスの肉なのかが記載されていなかったのだけど、これは1ポンド近くあるんじゃないかというボリュームだ。ここの肉は塩と胡椒だけで調味しているのだそうで、ちょっと強めの塩が全体にきっちりとしみこんでいる。触ると確実に火傷するほど熱せられた白い皿に盛られた肉は、さくっと切ると皿の表面で肉汁がパチパチと爆ぜてくる。

日本の牛肉のような"全体にサシが入って柔らかですよー"というものとは方向性が全然違うけれど、アメリカのステーキは本当に美味しいと思う。適度に歯ごたえがあり、かといって固すぎるということはなく、肉汁はたっぷり。何より"肉喰ってます"と口やら鼻やら、顔の下半分全体でそう感じられるほどの濃厚な味がある。ケダモノ臭いというのとはちょっと違う、乳臭さっぽい肉の味。肉の皿の傍らには、これまたボウルに1杯ずつほどのサイドディッシュ。特に打ち合わせをしたわけではないけど、私はグラタン風のポテト、だんなもまたグラタン風の、こちらはほうれん草。クリームソースを絡ませて柔らかく火を通した野菜の上からチェダーチーズをぶっかけてオーブンに放り込んだようなものだった。あ、やっぱりこれは1皿をシェアするべきだったのね……、と苦笑いしながらサイドディッシュを交換しつつ肉を食べる。

「最初に見たとき、"あ、けっこう食べられそうじゃーん"って思ったけどさ……」
「肉、でかいよね。かなりでかい……」
「うー、そろそろ苦行モードに突入した感じ……」
と、当初の余裕はどこへやら、肉が無くなる頃には家族全員満腹になっていた。息子にも「肉喰え、肉」とぽいぽい彼の皿に肉を乗せて手伝ってもらったのだけど、それでも大変なことに。

「でもね、クレームブリュレは食べられるんだなー」
最後にそれでもクレームブリュレを注文してつついていた私を、だんなはゾンビでも見るような目で眺めていた。こってり濃厚な、トロンふわんとしたクレームブリュレは、これまたボリュームたっぷりで、ベリー類が綺麗に飾られている。息子にベリー類はほとんど全て奪われ、だんなにも3口ほど手伝ってもらってブリュレも完食。怒濤のように食べたステーキディナーは、皿の出てくるタイミングも早かったこともあり1時間ちょっとで終了した。ステーキ最高〜。

5/31 (土)
動物園でハンバーガー! ……さて、どうやって食べようかなー……
昨夜の残りの
 グラタン風ポテト
 グラタン風ほうれん草
 ガーリックトースト
チーズピザ
アールグレイのアイスティー

週末だというのに、珍しく早めに家族全員目が覚めた。今日も良い天気だ。
「……どこか、行きますー?いい天気だし」
と、我が夫。いや、でも、まだ仕事がたくさん残ってるって言ってなかったっけ?週末は仕事と荷作りだって。
「仕事は夕方と夜にやるから。昼に数時間出る分には問題ないでしょー。どっか行こう」
だんなも、ここ数日バタバタしていたのがイヤになっちゃったらしい。そーだよね、週末だしね、と出かけることにした。

行き先は、車で15分ほどのところにある、我が町唯一の動物園。以前から行こう行こうと言っていたのだけど、「もうちょっと涼しくなってから」「もうちょっと暖かくなってから」とタイミングをうかがっているうちに帰国が迫ってきてしまったのだった。「ショボくてあまり楽しくない」という噂も聞いていたし。

朝御飯は、昨日のステーキ屋から持ち帰ってきたサイドディッシュの残りたち。残ったポテトやほうれん草料理を
「持ち帰ってもいい?」
とお店の人にお願いしたら、ロゴ入りの袋に詰めて持ってきてくれた。固い容器が入っているわけでもなさそうだし、一体どのような状態で詰め込まれているのかと思ったら、料理1つ1つがジップロックの袋に詰められている。息子用に注文したガーリックトーストの残りもちゃんと入っていた。

それだけでは物足りないかと、冷凍庫に保存してあった自家製ピザ生地を焼く。数分空焼きしてから、チーズだけを全面に散らして引き続き数分間。
チーズだけのプレーンピザをつまみつつポテトをつまんだり、クリーム和えのほうれん草をピザの上に乗せて齧ったりした。腹ごなしもできたし、いざいざ出発〜。

Nashville Zoo内「Charley's」にて
 4oz Cheeseburger
 Coke

Nashville Zooは確かに小さな動物園だった。肉食獣といえば、チーターと虎とクーガくらい。あとは鹿やシマウマなどの大型草食動物が少しと、鳥とは虫類と……という感じ。ただ、有料ではあったけれど象に乗ることができるコーナーがあったり、大人も遊びたくなるほどの子供向け巨大遊具施設があったりと、子供連れには楽しめる動物園だった。大人と子供が乗って7ドルの象ライドにもしっかり挑戦した。地上2mほどのゆさゆさ揺れる背中を、私と息子で堪能しながら一周100mほどのサークルを2周。高いなぁとは思うけど、園内一番の人気アトラクションらしく、子供連れが行列を作っていた。

一周し終わって、入口近くの休憩エリアで一休み。この園内には、この町に3店舗展開しているハンバーガー屋さん"Charley's"がある。大学の近くの1軒と、我が家最寄りのモール内にある1軒にはちょこちょこ行っていたけれど、残り1つであるこの動物園内の店に入るのは今日が初めて。
「同じロゴだー」
「おおー、メニューも同じ……いや、キッズメニューがここにはあるね」
「でも、全体的に高めだねぇ……」
とわいのわいのしながらハンバーガーを購入した。4ozと6oz、2種類の肉のサイズを選べるチーズバーガーのうち、今日は小さい方を。

カウンターで焼き上がったバーガーとパンを受け取り、セルフサービス式になっているコーナーで好きなように野菜を盛りつけ調味料を添える。とろけたチーズの上にケチャップをまんべんなく絞り、その上にレタスと玉ねぎとアルファルファとトマトを積み上げたら大変なことになってしまった。屋外の席に到着するまでに、ぐらりと揺れて野菜が倒れていく。よっこらせ、と積み上げなおしたところで「一体どうやって喰えっちゅーねん」という外見であることには変わらない。いつもいつも、「玉ねぎ多めが美味しいわよね」「アルファルファも捨てがたいわね」とあれこれ積み上げて大変なことになるというのに、毎回の教訓は今ひとつ生かさていないようだ。だんなのバーガーもまた、今日はとりわけうずたかかった。

上からふわふわのパンをギューッと押さえ込み、大口あけてかぶりつく。小サイズとはいえボリュームのあるハンバーグは、この店のものもやっぱり香ばしくて美味しかった。マヨネーズを上から一垂らししたシャキシャキの野菜類が肉とパンと共に口に一気に入ってきて、そうそうこれがハンバーガーの美味しさなのよねー、と青空の下で家族揃って御満悦。口の回りはべとべとだ。

午後早々に帰ってきた後は、私と息子はそのまま住宅内のプールへ。だんなは一人でお仕事。がんばれー。

にしんの醤油煮
枝豆
卵ご飯
インスタント豚汁
ビール(Foster)
麦茶

自家製レアチーズケーキ
アイスティー

本日の夕御飯は、"とにかく残った食材をなんとかしちゃいましょう"を念頭に、インスタントの味噌汁とか、冷凍ものの枝豆とか、レトルトパックの魚の醤油煮とか、少々切なさ漂うラインナップ。昨日はこれでもかと脂っけの多いステーキを食べたのだから、このくらいでちょうど良いと言えばちょうど良いのかもしれない。

ご飯を炊き、食料庫に残るインスタント味噌汁数種類の中から「豚汁」を選択し、真空パックになっているにしんの醤油煮を温める。
今日の夕食の献立が決まっていなかった昼間、動物園で休んでいる時に
「今日の夕御飯は、何が食べたいですか?」
と息子に聞いてみた時に
「んとね、たまごごはんー!」
と力強く即答されてしまったので、彼のリクエストに応じて卵の準備。

"アメリカの卵はサルモネラ菌汚染されている恐れがある"というアメリカ卵事情に対して、その対処法の1つとして知られている"熱湯に1分卵をくぐらせ、「1分ゆで卵」を作る"を実行していた我が家。生卵を使いたい時にはおっかなびっくりその手法をとり続けていたけれど、なんとかこの1年我が家の誰の腹も痛くならなかった。「この方法は正しかったのね!」というよりは、「ロシアンルーレットに勝った……」という思いの方が強かったりする。今日はお代わりして卵ご飯を堪能できるように、4個の1分ゆで卵を準備した。

炊いたばかりのご飯に生卵かけるのも贅沢だなぁ……と思いつつ(卵ご飯と決めて食べるときは、冷凍ご飯を解凍して使うのが普通だったから)、ビール飲んで枝豆つまんだ後は、全員揃って卵ご飯。
「2個のゆで卵で3膳分の卵ご飯ができると思わない?で、お代わり確保用にあと2個あれば完璧」
というだんなの予言は見事に的中し、息子も私もだんなも揃ってご飯2膳。(卵があるからお代わりした、という話もあるけど……)