食欲魔人日記 01年04月 第3週
4/16 (月)
豚の角煮ベトナム風 (夕御飯)
うどん(ひやひや)
抹茶入り玄米茶

そろそろ冷たいうどんが美味しい季節になってきた。
冷凍うどんを茹でて水でキリッと締め、そこへカトキチ製「瀬戸内いりこだし」なる濃縮だしを濃いめに水で溶いてぶっかける。刻み海苔とすり胡麻かけて、チュルチュルと啜る。

シコシコと冷たい麺が喉に落ちていくと、いよいよ初夏かという気分だ。網戸も補修して窓も全開にできるわ、半袖でも寒くないわ、いよいよ暖かくなってきた。そういえば、週末にはスイカを売っているのを見てしまった。まだ4月も半ばだというのに。

おむすび
さんまの蒲焼き缶詰
抹茶入り玄米茶

だんなは案外とマメな人で、炊飯器に残り御飯があったりするといつのまにかおむすびを作っていたりする(私は四角くまとめてラップでくるんで冷凍庫へポイ、だ)。
気がつくと、食卓に3個のおむすびが皿に乗ってラップがかかっていたりするのだった。ありがたく、昼御飯はおむすびを食べることにする。具のない塩むすびなので、おかずにと缶詰。さんま蒲焼きの缶詰。

冷凍アメリカンドッグが美味しいように、冷凍ピラフが時々恋しくなっちゃうように、「シャービック」の安っぽい味に嬉しくなっちゃうように、そういう食べ物にはそういう食べ物の美味しさがある。私は魚の蒲焼きの缶詰が大好きだ。マーケットの100円均一コーナーに薄っぺらな四角い缶詰が並んでいると、いそいそと2つ3つ買ってきてしまう私だった。「お、マルハだ」とか言いながら。

缶詰開けて、開けっ放しの缶に箸つっこんで魚をつまみつつ握り飯を食べる。あまり人には見せられない食卓の光景だったけど、密かに楽しい私だった。

豚の角煮ベトナム風 with 茹で青梗菜
マッシュパンプキンのサラダ
冷やし汁
御飯

これがやりたくて大きな豚バラ肉を買ってきた。今日は「豚の角煮ベトナム風」。
料理本じゃないけれど、『小さなモンダイ』(大田垣晴子・NHK出版)というエッセイとも漫画ともつかない本の中に載っていたレシピだ。ああ美味しそう美味しそうと思い続け、ついに今日実践。

作り方は、おそろしく簡単だ。醤油1/2カップにナンプラー大さじ2(本には「ニョクマム」とあったけど、なに、同じだ同じ)と砂糖大さじ1、おろしにんにくを鍋に入れて一口大に切った豚バラ肉を揉み込み15分放置。そこへ水をひたひたに入れて火にかけてコトコトと煮込み、途中からゆで卵も加えて火を通す。茹でた青梗菜を敷いた皿に盛ってできあがり。最初に下茹でする必要も、焼き付ける必要もなし。こんな簡単でいいのか、大田垣晴子。

暑かった日中の温度に合わせて飲み物は冷たいものを。だしを取り、南瓜を煮てから味噌を濃いめに溶き、水と氷を投入して温度を下げておく。椀に刻み茗荷と刻みキュウリとすり胡麻を入れたところに冷たい汁を注げば完成。
ついでに残りの南瓜をマッシュにし、胡麻味のドレッシングを作ってレタスや茹で海老、さやえんどうなどと一緒に盛り合わせる。

煮上がった角煮にゆで卵と青梗菜を添えてテーブルへ。おおお、美味しそうだ。素晴らしい。
すり胡麻ねり胡麻たっぷりのドレッシングをかけた南瓜のサラダも上々だったし、いつもと違った風味の角煮もなかなか良かった。ナンプラー独特の臭さがもうたまらん、というか。

4/17 (火)
松本楼(日比谷)にて「フィレビーフステーキ」 (夕御飯)
黒豚ガーリックピラフ(冷凍もん)
冷やし汁
アイスウーロン茶
ヨーグルト

朝起きて飲む、冷たい味噌汁が美味しい季節になった。茗荷やキュウリの浮かぶ味噌汁は、いつものと違ってかなり良い感じだ。単に自分が猫舌だということもあるけれど、私は冷たいスープ類が大好物なのだった。

冷たく冷やすとインスタントだしの味の悪さが何故か舌に残るので、鰹節と昆布でちゃんとだしは取らなければならない。南瓜はそのだしで煮て、そこへ生のものをスライスしたキュウリと茗荷を散らす。しそを刻んでも美味しいらしい。すり胡麻をたっぷりふって飲むと、そこへご飯も放り込んでしまいたくなるくらいスカッと旨いのであった。

ご飯は食べきったので、仕方なく「黒豚ガーリックピラフ」なる冷凍ものをざかざか炒める。今日は仕事だというのにいきなりニンニク臭くなって良いのか、自分。

マクビティビスケット(チョコレート)
ウーロン茶

本日の夜は、だんなと一緒に日比谷で観劇だ。宝塚である。ベルばらである。「愛、それはぁ〜♪ほにゃらら〜♪」である。私の頭の中は朝からロココ調だった。「文句があるならベルサイユへいらっしゃい」とばかりに滅多に履かないヒールのある靴を履いて仕事に行ったのだった。……それが失敗だった。

もう、大学に着く前に歩けないほど踵と右足親指が痛い。半べそかきながら大学のトイレで絆創膏をぺたぺたと貼りまくる。もう「昼御飯どこに行こうかな」と思う余裕など何処にもなく、結局買い置きのマクビティビスケットをウーロン茶を片手にポリポリ齧るだけの昼飯となった。ああ、買っておいてよかったマクビティ。ありがとうマクビティ。

マクビティ、大好物なんである。あの全粒紛のポソポソとした感じがたまらない。プレーンも好きだが、やはり愛好家としてはチョココーティングしてあるのが外せないところだ。少しばかりモソモソとするビスケットにチョコレート。
最近は、3枚入り小袋×4袋入りの四角い紙箱入りのばかりが売られていて、以前の長い筒状の紙容器に入ったものは見かけなくなってしまった。あの長いやつを端からポリポリと食べるのが好きだったんだけどなぁ。20枚とか一気喰いして「あららぁ」となったりするのもまた一興だったのに。

1袋食べては「あと1袋、いいかな」と恐縮しながら2袋目を空け、「もう、もうあと1袋だけ。ね?」と誰もいないのに肩身狭くして3袋目を空け、4袋目を空けようとしたところで「さすがに食べ過ぎだろう」と思いとどまった。
紙箱入りマクビティはダイエットには効果あるかもしれないけど、ちょっと切なかった。

日比谷 松本楼にて
 フィレビーフステーキ カフェ・ド・パリ風 セット
 グラス赤ワイン

5時前に仕事を終えて、いざいざ日比谷方面へ。都営線を一駅手前の「内幸町」で降り、日比谷公園内の松本楼で一人飯を食っていくことにした。

公園内の、でかい樹に囲まれた一角に老舗の洋食屋「松本楼」がある。秋口に「10円カレー」を出すことで知られている店だ。少しばかり古くさい印象のあるその店が好きで、結婚式の食事会も2次会も私たちはここでやったのだった。この季節は1階のテラス席で御飯を食べられる。大きな道路に面している狭いカフェで、「流行のテラスだし」とか言いながら排気ガスにまみれてお茶などするよりも、ずっとこちらの方が気持ちよくて私は好きだ。目の前の巨木から風が吹くたびにハラハラと葉のカケラが降ってきたりするけど、そういうことは気にしないことにする。

なんでもただいまステーキフェアということで、通常メニューの他にステーキメニューが5〜6種類並んでいる。「フィレビーフステーキ カフェ・ド・パリ風」なる仰々しい名前のステーキを注文し、サラダとパン、コーヒーのつくセットにして貰った。ついでに1杯350円の赤ワインもひとつ。開演時間まで1時間、のんびりしながら夕日の下でもりもり一人でステーキを喰う。横ではおじさんが枝豆つまみながらジョッキのビール傾けていたり、あちらではおばあちゃんが一人でドリア喰ってたりする。一人客がけっこう多いらしい。

フランスパンを大きく切ったものとバター、ワカメとプチトマトとの乗った醤油味ドレッシングのレタスサラダに、分厚いステーキがやってきた。
皿に敷かれたドミグラスソース、バターを添えたじゃがいもと、ブロッコリーと丸いニンジンつきで、ごろりとしたステーキの上にはハーブ入りメレンゲのような黄色いソースが乗っている。

適度に焼かれた柔らかい肉を頬張り、パンを囓る。風も暖かいし、樹の間から向こうにチューリップの花壇なんか見えちゃったりしてもうサイコーだ。相変わらず風と共にハラハラと上から木くずのようなものが降ってきたり、ついでにスズメがパン屑目当てにテーブルの周りに集まってきたりもするけどやはりそういうことは気にしないことにする。

グラス1杯のワインでほど良く良い気分になったまま、改装が終わった新生宝塚劇場へ。開演時間数分前に仕事を終えて飛び込んできただんなと一緒に「ベルサイユのばら」観劇。
いやいや、凄かった凄かった。宝塚観劇2回目の私はもとより、初めて見るだんなは顎が外れそうになったようだ。
始まるなり白でピンクでライトでまつげで歌で踊りで真っ赤な唇で眼がチカチカ。ウェディングケーキをぶちまけたようなある意味悪趣味な光景は相変わらず凄い。
幕間の30分の休憩に入った途端、だんながズルリと椅子に凭れかかって
「……もう、フランスがお腹いっぱい……」
と泣き言を言っていた。

なぜ、死ぬ前に歌うんだアンドレ!(←宝塚だから)
なぜ、バスティーユへ行く時に踊りまくるんだオスカル!(←宝塚だから)
なぜ、死した後にペガサスつき白い馬車が迎えに来るんだ両名!(←宝塚だから)
大仰な動作とセリフ回しにどこかコメディー臭いものを感じつつも、それでも時々ドキドキしてしまう私だった。
ラインダンスも相変わらず。最後の大階段も相変わらず。最後は全員で「あいぃ〜それはぁ〜♪」とベルばらのテーマを大熱唱。
2列目という絶好の席にて至近3mほどにマリーアントワネットを見てしまって「……夢に出そう……」と思った私はヅカファンの資格はないでしょうか。

4/18 (水)
ポークカレー (夕御飯)
自家製コロッケサンド
牛乳

昨日、帰りが23時だったというだけで、こうも翌日疲れるものか。ああ、これが老化というものか(←違うと思いたい)。
7時にテレビがタイマーで動き出しても起きられず、その10分後にケンケンの時計が「シーッシシシシ」と鳴き出してもやっぱり起きられず、そのままずるずると寝坊。だんなは「いいよ〜、どっか途中で朝御飯適当に食べるから」と言って仕事に向かった。す、すみませんです。すまぬ。許せ。

同じく遅く起きてきた息子にはバナナを2本喰わせた後、いつもより遅めに保育園に送り届ける。私の御飯はどうしよう。頭ボケボケ。

帰り道のパン屋にふらりと寄る。「揚げたて!」とポップ札のついた籠に盛られたコロッケと目が合う。ついでに「今日のセール!」とポップ札のついたクロワッサンとも目が合った。これは、「コロッケサンドを作りなさい」という神の思し召しだ。別にクロワッサンでなくても、ロールパンでも食パンでも神の思し召しなのだと思う自分だと思うけれど、そういうことは気にしない。

白い袋に入れて貰った2つのコロッケは、すぐに紙の表面がじっとり油と湯気で濡れてくるほど揚げたてだった。
急ぎ帰って、クロワッサンを横にサクッと切れ目を入れて、刻みキャベツをちょっとだけ詰めて、コロッケ詰めてテーブルへ。飲み物を用意するのももどかしく、牛乳を並々コップに注いでからコロッケサンドを手にとって、とんかつソースをぶっかけるやいなやかぶりついた。

……揚げたてのコロッケでコロッケサンドするのは美味しいなぁぁぁぁ。シアワセだ。立て続けに2個のコロッケサンドを美味しく食べる。
そういえば、会社勤めしていた時に足繁く通った東銀座の「チョウシ屋」は今も変わらずだろうか。ちょっと追想なぞしてみたりして。

カレーライス
コーンスープ
マヨネーズ味コールスロー

無性にカレーライスが食べたくなった。昨日、「明日はカレーをしても良いですか?」と尋ねると、
「いいですねぇ、とっても良いですよ。うんうん。」
と答えてくれた。

無性にカレーが食べたくなった時のカレーは、市販のカレールーを使った、あのこってりもっさりした感じのカレーでなければならない。カレー粉を始め、多種のスパイスを調合して作るような本格カレーはちょっと違う感じなのであった。普通の、普通のカレーが食べたいのだ。肉とじゃがいもがごろんごろん入っているような。

「やはり豚だな。」
「うん、豚だ。……いや、鶏とかでもいいけど。」
「いや、豚だ。絶対豚だ。」
豚にこだわる夫婦なのだった。脂身が適度に入る角切り豚肉のカレーが、何となくカレールーを使うカレーには合うような気がする。というわけで、近所の愛すべき肉屋「ニュークイック」で豚肉500gを買ってきた。玉ねぎをたっぷり炒め、そこへ肉とにんじんも加えて炒め、コトコト気長に煮込んだ後に、煮くずれないようにじゃがいもと玉ねぎを後から追加して軽く煮る。鍋いっぱいのカレーができた。10皿分。きっと10皿も喰わないうちに無くなるのは目に見えている。

あとは、クリームコーンの缶詰にコンソメ入れて牛乳でのばしただけのコーンスープ、キャベツの残りでマヨネーズ味コールスロー。福神漬けも用意した。ラッキョウもぬかりなく帰宅途中のだんなに買ってきてもらった。カレーはどこか浮き足立つ。

久しぶりのカレーは、何ともしみじみ旨かった。ラッキョウ好きの私はラッキョウをバリバリ食べながらカレーをもりもりと食べる。カレーは、「このくらい食えるかな」以上に食えてしまうから危険な食い物だ。食えちゃうんだけど……食後に御飯が腹の中で膨れてパンパンになっちゃうのよねぇ。いつもそうと知っていながら喰っちゃう私。

4/19 (木)
ふくちゃん(幕張)にて「牛すじ博多ラーメン」 (昼御飯)
2日目のカレーライス
冷茶

先日、だんなはパスケースを紛失してしまったらしい。数日で期限が来る定期券はともかく、免許証をなくしたのは痛いところだ。今日は仕事を休んで、再発行手続きに行くという。私もならばとぽてぽてついていくことに。

朝御飯は、2日目のカレーライス。朝御飯ゆえ1膳でやめときゃ良いのについつい2膳喰っちまう。あああ。

幕張カルフール内 博多らぁめん上々ふくちゃん にて
 牛すじ博多ラーメン
 餃子
 ビール

幕張カルフール内 シューファクトリーにて
 ミルクシュー
 アイスコーヒー

免許センターは幕張にある。ならばと、
「コストコに行けるね。カルフールにも行けるね。」
と私は内心わくわくしていた。どちらも幕張が誇る巨大スーパーだ。方やアメリカ発祥の会員制マーケット、方やフランス発祥のマーケット。会員制のとこ(コストコ)で買い物する気はないけれど、ちょっと覗いてみたかったし、何しろ結構いけるホットドッグが食べられるらしい。お昼はそこで、ということに。

免許センターにつき、手続きを済ませてから数百メートル離れたコストコに向かう。直線距離は数百メートル、しかし間に線路が横たわっていて、実質距離は1.5kmほどだっただろうか。車で来るお客が基本なので、当然無料送迎バスなどはなく、ひたすら小雨の中てくてく歩いてコストコへ。

会員制なのは分かっていたけど、まさか入口でチェックされるとは思わなかった。買いたいものを選んだ後に、レジのところでチェックされるものとばかりに思っていた。当然、中で食べられるというホットドッグだって非会員でも食べられると思っていたのだ。だってだって、どういう品物があるのかわからんうちに会費3500円を払わせるわけは……ないだろう、と思うのが普通じゃなかろうか。

しかししかし、20分ほど汗をかきつつ歩いてコストコに辿り着いた私たちを待っていたのは残酷な一言だった。ドアをくぐるなり、
「お客様、会員カードはお持ちですか?」
と店員が寄ってくる。
「入店するにも登録が必要でございますが……」
と横のカウンターを指し示す。1階のその場所のもう数メートル先は、件のホットドッグコーナーだ。カフェテラス然のそのコーナーがすぐ目の前に見えている。
「あの……友人に、ここのホットドッグが美味しいと聞いて食べに来ただけなのですが、それでも?」
と聞くと、
「……申し訳ございませんが。」
と笑顔を張り付けたような顔で慇懃無礼な返事が返ってきた。

商品を見るのもダメ。喫茶コーナーに入るのもダメ。店のあらゆるところを利用するのには3500円の会員登録が必要な店なのだった。がっかり……。

だんなと二人、ムカムカしながら巡回マイクロバス100円なりに乗り込んでそのままカルフールへ移動。こっちは会員登録は必要ない。建物の中には巨大スーパーの他にも各種専門店や飲食店が軒を連ねている。2階のフードコートは、各種ファーストフードがぐるりと周囲を囲うスペースになっていた。カレーからスパゲッティ、シュークリーム専門店やクレープ屋までがみっちり並んでいる。博多ラーメン屋を見つけ、ここから買うことにした。「牛すじ博多ラーメン」はピリ辛、とある。真っ赤なラー油がたっぷり浮かぶラーメンと、棒餃子、ビールも頼んでだんなと二人、平日昼間にビールを飲み干す。昼間のビールは人間がダメになるほど美味しい。ましてや平日昼間のビールのシアワセときたらサイコーだ。

酢醤油と味噌ダレの2種類の小皿が添えられた棒餃子は皮がパリパリで思ったよりも美味しかったし、ピリ辛ラーメンは確かに口の周りがビリビリしたけどトロンと煮えた牛すじがたっぷり入っていた。
ビールを飲み干し、餃子をばりばりと食べ、辛いスープは飲み干せずにラーメンを食べ終えた後は、やはりデザートだ。そば粉のクレープ屋とシュークリーム専門店の前をウロウロした結果、シュークリーム屋の「ミルクシュー」なるものを食べることにした。カスタードクリームとホイップクリームが詰まったシュークリームで、しかも「ベトナム産練乳使用」なんて魅惑的な文字が書いてある。アイスコーヒーを飲みつつ、クリーム山盛りのシュークリームにかぶりつくと、コストコへの理不尽な怒りもちょっとばかり薄らいだ。

で、カルフールは素晴らしかったでございます。
めちゃめちゃ安いものとまぁまぁ安いもので構成された店内は確かに巨大でえらい品数だった。チーズ類の安さに驚きつついくつか買い物し、帰宅。
カルフールはまた是非行きたい。でも、コストコは……もういいかな……。

かぶの鶏あんがけ
マヨネーズ味コールスロー
2日目のカレーライス
モルツ、冷茶

2日目のカレーを再び堪能。まだまだ飽きない。味がなじんでまろやかになったカレーはやっぱり美味しい。昨日の残りのサラダと、あとは残り物だったかぶ料理。だしでかぶを柔らかく煮込み、蕪を取り出した後に鶏ひき肉と醤油、味醂を放り込んで少々煮込み、片栗粉でとろみをつけたあんを作る。かぶにぶわっとぶっかけて、食べる。ビールの肴だ。

ところで、カレーには福神漬けとラッキョウは欠かせない。どちらも私の大好物。しかし、7種類入ってるから"福神"漬けであるわけだけど、喰ってても中身はさっぱりわからない。確か、大根、茄子、キュウリ、蓮根、生姜、しそ、なた豆が入っているのだと聞いた。発祥当時はかぶや椎茸が入っていたものだったのだとか。「なた豆」は熱帯原産で、断面がヒョウタンみたいな形になる。福神漬けに入ってる、ちょっと黒っぽいヒョウタン型のヒラヒラしているものは「なた豆」なのだそうだ。ちょっと得体が知れぬものが福神漬けには入っているのだった。

4/20 (金)
大学学食にて「ごまだれ丼」 (昼御飯)
Kさん製 ぶっかけうどん
抹茶入り玄米茶

うどん打ち名人、Kさんが私の誕生日祝いとうどんを送ってくれた。讃岐遠き地にある今(しかも都内の美味しいうどん屋からも遠くあるという今)、彼の打つうどんが美味しいうどんを求める我らの胃袋の救世主となっている。

「ねぇねぇ、Kさんがまたまたうどん送ってくれるってー!」
「やったぁーーー!」
とこの数日、わくわくしていた我が家であったのだった。

何でも、日清製粉の『香 特雀』という粉を使ったものであるらしい。"少し固腰系"とメールにあったそのうどんは、13分茹でて水で締めるとピカッと光った。もちもちもちもち、どっしりとしたコシのある、相変わらずの美味なるうどんだ。盛大に茹でたら軽く5玉分くらいあって、それに一緒に送っていただいたイリコの強く香るだしをぶっかけて食べる。もちろん万能葱の刻みもたっぷり乗せなければならない。口で食べるというより喉で食べるようなツルツルとしたうどん。あああ、そこはかとなく讃岐の風が香ってくるようだ。って、どんな香りだ。うどん粉の香りなのか。

家族無言でしばしズルズルとうどんを啜り、シアワセ気分で仕事へ向かう。手打ちうどんは、素晴らしい。

大学学食「カフェテラス」にて
 ごまだれ丼
 ウーロン茶

本日お仕事。学生の昼休み時間より少々早く休みを貰い、徒歩1分の学食へ向かう。さすがに人影もまばらで、4人がけの席に一人腰掛けて昼御飯。

「王者ラーメン」などという怪しげな品も並ぶ中、今日の料理の見本が並ぶショーケースから「ごまだれ丼」なる珍妙な品を選んでみた。御飯コーナーへ行き、注文。510円なり。
白い御飯の上に錦糸卵たたっぷりかかり、エビだのイクラだのがどかんと盛りつけられたものが出てきた。棒棒鶏ソースのような胡麻だれがかかり、てっぺんにプチトマト1つ、胡麻がぱらり。何だかすごい。

旨すぎることもなく、さりとて不味くもない学食の味は、やはりしみじみと学食の味だ。レンゲを片手にもりもり食べる。
……そういえば、私の出身高校もこのすぐ近くなのだった(付属校だし)。今度は高校の学食行ってみようかなぁ。あそこのコロッケとかラーメンが好きだったんだわ。……って、さすがに行ったら怪しまれるだろうか。

新玉ねぎのおかか醤油
カマンベールチーズコロッケ
カツカレーライス
モルツ、アイスウーロン茶

3日目のカレー。最後のカレー。
今日はだんなにトンカツを買ってきてもらい、カツカレーとすることにした。「とんかつ買ってきてね」と言ったのに、カマンベールチーズコロッケやらメンチカツやら、何やら増量された袋と共にだんなは帰ってきたけれど、こういうことはいつもの事だ。カマンベールチーズコロッケは、クリームコロッケの中にとろけたチーズが詰まっている、なんともカロリー豊富そうな揚げ物だった。とんかつソースをたっぷりかけて、ビールと一緒にぱくりといく。

ついでに、お義母さんから貰った新玉ねぎで簡単な一皿。スライサーで薄くスライスした玉ねぎをしばらく水にさらしておき、水気を切ってから鰹節ぶっかけて醤油をかけて食べる。辛さが強い玉ねぎだとあまり美味しくならないけど、柔らかな新玉ねぎだとほんのり甘さがあるので生で食べてもめちゃめちゃ美味しい。

最後は巨大なトンカツをさくさく切って御飯に乗せ、上からカレーをたっぷりかけてカツカレー。んふふー。
……さ、旅行の準備しよ。

4/21 (土)
あつた蓬莱軒(名古屋)にて、「ひつまぶし」 (夕御飯)
Kさん製 ぶっかけうどん

土曜日というのに、近年稀な早起き。……といっても平日のいつもの朝と変わらないくらいだったりするけれど。
バタバタと起き出し、まずは大鍋に湯を沸かすことから始める。留守4日分持つように、ベランダの花やハーブに大量の水を与えて、慌ただしく髪や顔を整えてその化粧品類をバッグにぶちこむ。
今日から4日間、私たちは名古屋へ行く。

朝御飯は、昨日に引き続きKさんのうどん。うどんは茹でた後に水で締めるか締めないかで全然違う食感になる。締めないままだと滑らかなコシの、ぴよーんと伸びのあるうどんになる。締めると組織がギュッと固まったように、キュッキュと力強いうどんになる。私は圧倒的に「ひやひや」派だ。冷たくキリリと締めたうどんに冷たいだしをかけて食べるのが大好き。

私は今日も「ひやひや」、だんなは「あつあつ」を食す。湯から上げたばかりの熱いうどんに熱く温めただしをかけた「あつあつ」は、肌寒い今日には案外丁度良くて、しかも表面が絹のように滑らかな食感なんかもあっちゃったりして、それはそれで美味しいのだった。
え、もう8時過ぎましたか。急いで出発しなければ〜。

名古屋市 名古屋駅そば「チャオ」にて
 からあげカントリー Bセット

11時半。名古屋駅に到着した私たちは、とりあえず名駅近くに取った宿に一度寄って荷物を預けた。そこから1kmほど離れたところに、「あんかけスパゲッティー」のお店がある。まずはそこで名古屋の味を満喫することにした。名古屋名物というほど知れ渡ってるわけではない「あんかけスパゲッティー」だけれども、何しろこの地域にしか無い食べ物である。自宅でレトルトパックまで買って喰ってる私たちとしては必須の店だった。

「あんかけスパゲッティー」の発祥は、「ヨコイ」という店だ。レトルトパックで出ているのもこの「ヨコイ」製。でも、名古屋市内にはこのあんかけスパゲッティー屋が他にも数々あるらしい。その1つが、今目指しているところの「チャオ」だった。

12時半。店は飲食店が多く入っているビルの1階にあった。土曜日だというのに、店はサラリーマン然とした客や、若いグループ客、女性1人客、競馬新聞を持ったおじさん3人組、などなど、様々な人で大混雑だ。少々の行列もできている。店頭のメニューを眺めて、注文を決める。

名物は「カントリー」というものらしい。竹の子とマッシュルーム、玉ねぎ、ピーマン、コーン、トマトが炒められてスパゲッティーの上に乗せられ、周囲にあんかけソースを敷いたものだ。この「カントリー」が基本となり、鶏の唐揚げが乗ると「からあげカントリー」となる。ウィンナーが乗った「カントリー」は「ミラカン」、白身魚と目玉焼きが乗った「カントリー」は「バイキング」と名前が変わったりもするらしい。なかなか難しいあんかけスパゲッティー道なのであった。

私は「からあげカントリー」を、だんなは「ミラカン」を。680円追加してつけられるBセットはコーンスープとサラダとデザートがついてくるらしい。腹ぺこの私たちはセットを注文。だんなはデザートのつかないAセットにし、自家製プリンを追加注文。名古屋到着早々、全開な私たちだった。どーすんだ、夜は「ひつまぶし」喰いに行くのに。

スパゲッティーが700〜900円程度であるのに、セットにすると680円追加というのはちょっとお高い。そう思っていたところ、巨大なサラダがやってきた。どんぶりサイズのボウルに、レタスとトマトがどかんどかんと盛られている。オニオンサラダを頼んだ私には山盛りの刻み玉ねぎとかつおぶしが、コーンサラダを頼んだだんなにはこれまた大量のコーンがこんもりと積まれていた。す、すごいです。セットのサラダというレベルじゃないです。続いて、これは普通のコーヒーカップに入れられたコーンスープもやってきた。サラダを囓り、スープを啜り、しばしスパゲッティーが来るのを待つ。

さて、いよいよレギュラーサイズであるのに、こんもりと山を成したスパゲッティーが運ばれてきた。
太めの麺の上に炒められた野菜類。横に置かれた巨大なわらじのような鶏の唐揚げ(というかチキンカツ)。そして周囲に敷かれた赤みを帯びた茶褐色のとろみのあるソース。全て文献で読んだ通りのかの姿に感動を隠せない私である。いやーん、やっぱり美味しそう。

ヨコイのレトルトソースはややピリ辛感があるものだけど、ここのは辛さは感じない。ケチャップに似ているようでケチャップ味ではなく、野菜や肉を煮込んだドミグラスソースにも似ているようでやはり似てない不思議なソース。トロンとしたそれを絡めて食べるのは、バターで炒めたようなコクのある太い麺。何だかどこを食べても栄養のありそうなパスタ料理であるのだった。しかも横にあるサラダは巨大だし。

旨味と少々の甘味と、もっと少々な酸味が感じられるソースと麺は良く似合う。フライものをつけてもやっぱり似合う。本場のあんかけスパはやっぱり美味しかった。行列できるほど愛されるのも良くわかる。

そして、デザートもまた見逃せなかった。セットについてきたデザートはヨーグルトムースのオレンジソースがけ。これも悪くはなかったけど、ホイップクリームとさくらんぼが飾られた「自家製プリン」がたいそう美味しかった。ふわんと柔らかくて、ちゃんと蒸されて作った本物の味がする。カラメルもほどよく苦く、滑らかな舌触りのそのプリンに、だんなは
「10点満点中8.5!」
という彼にしてみれば大層高い評価を下していた。ホイップクリームとさくらんぼがまた、泣かせるのよねぇ〜。

食べた後は、少々歩いてお買い物。日本では名古屋高島屋にしかないという、ニューヨークのケーキ屋さん「グラマシー・ニューヨーク」でマンゴープリンを買い込んで、あとは栄のダイエーで各種食材を買ってみた。レトルトヨコイのソースに、みそかつ用味噌ソース。東京では見かけない、コーミという会社のソースが何やら大量に売られていたので、ウスターソースを1つ所望。旅行先のマーケット探索はホントに楽しい。

名古屋市熱田区 あつた蓬莱軒にて
 うまき
 肝焼き
 ひつまぶし
 ビール

一度宿に入り、息子を少々昼寝させた後に、夕御飯。
名古屋の気になる店リストは、名古屋居住歴のあるだんなの同僚からの情報や、名古屋関連サイト検索などなどで調べまくった。「ひつまぶし」の美味しいお店は、どうやら熱田神宮そばの「あつた蓬莱軒」というところであるらしい。

「ひつまぶし」はおひつの中に御飯とざく切りにした鰻が詰まっているものだ。かき混ぜて食べるらしいのだが、それを知った頃は「要するにうな重のチープなもの?」という印象しかなかった。しかし、その食べ方を知ってからはその未知なる「ひつまぶし」の虜になってしまった次第。すなわち、
・御飯と鰻を充分にかき混ぜ、最初の1膳は盛りつけてそのまま食べる。
・次なる1膳は、御飯の上に葱や海苔、ワサビといった薬味を盛りつけかき混ぜて食べる。
・最後の1膳は、薬味を乗せた御飯にダシをかけ、うなぎ茶漬けとして食べる。
ううう、どれもこれもなんて美味しそうなんだ。

というわけで、午後7時「あつた蓬莱軒」に到着。事前に予約できるかと電話してみたら、「到着順にご案内しております」とのこと。店頭はもう10組ほどが並んで席を待っている状態だった。10分ほど並んで、掘り炬燵になっている座敷に通される。メインのひつまぶしの前に、ビールを1杯、その肴に「うまき」と「肝焼き」を注文。どちらも800円というなかなかの値段だ。

塗りの器に入った巨大な鰻入りだし巻き卵の「うまき」はほんのり薄味で柔らか。同時に来た「肝焼き」は、1人分が小さな片口の器に10尾ほどもあろうかという肝がみっしり詰まっているというシロモノだった。こんなに豪華な個数が入った肝焼きは初めてだ。ほんのり苦みのある肝は香ばしく、でも少しも生臭くない。すっきりした甘さのタレがほどよくなじんでフクフクと焼けた肝焼きは、これまで食べてきた中でも特上級の味がした。じわんとした旨味のある肝はビールととても良く似合う。いや、日本酒の方がきっと合うのだろうけど、疲れている今飲むには日本酒は危険な飲み物だ。

続いて、期待の「ひつまぶし」。
使い込まれたおひつに、みっしりと鰻。そして御飯。御飯、鰻、御飯、鰻と2段構成になっている内部はタレが程良く染みて良い色になっている。ざくざくかき混ぜて小降りの茶碗によそい、一口。
香ばしく柔らかで、上品な味の鰻だ。甘さもきちんとあるけれどくどい甘さではないすっきりとした味。細切れの鰻から染み出た脂でツヤツヤ光る御飯は、うな重とはまた違った美味しさだ。

で、海苔と万能葱の刻みをぶわっとかけ、ワサビを少々なすりつけて2膳目を食べる。これまたすっきりと軽い口当たりになって「あと2膳はいける」が「あと4膳は軽いかな」くらいに食べられそうな気になってくる。大変危険だ。

最後、待望のお茶漬け。薬味をたっぷり乗せて(ワサビもたっぷり小指の先ほど)、上から鰹節の香りが強い熱いダシをじゃばじゃばとかける。鰻のコクがだしに染み出し、鰻はだしを吸って柔らかな味になり、見た目は宜しくないけどぐじゅぐじゅになった御飯の旨いこと旨いこと。やばい料理だ。これならもうエンドレスで喰えそうな気分になってくる。

結果、ちょっと風邪気味だということで「……全部喰えそうにない……」と哀れにも弱音を吐いただんなの分も1膳分ほど平らげて、ほろ酔い気分で満腹の腹を抱えてホテルに戻ったのだった。
同じ座敷の隣の席、同じくひつまぶしを喰っていた若いカップルは、女性の方が半分ほど食べたところで
「も、もうお腹一杯……」
と箸を置き、その残りを食べたらしい彼氏の方もこれまた
「もう100%いっぱいいっぱい……」
と言っていた。
すみません、ホテル帰った後でケーキ喰いました、私……。

4/22 (日)
矢場とん(名古屋・矢場町)の「味噌かつ丼」 (昼御飯)
名古屋駅地下街 ベルヘラルドにて
 モーニング

名古屋2日目の朝。名古屋に来て初めての朝。
名古屋の朝は、やはり「モーニング」であろう。喫茶店におけるサービスが他県より遙かに充実しまくっているこの地では、コーヒーを頼んでコーヒーしか来ないところはケチンボさんなのであるらしい。頼みもしないのにコーヒーに柿の種やらおせんべやらがついてくるという風土において、最たるものはモーニングサービスの充実ぶりであるのだそうだ。ちなみに「モーニングセット」はドリンクの値段に少し上乗せされたセットメニューのことで、「モーニングサービス」はドリンクの値段のみでオプションメニューが追加されるものなのだとか。いきなり朝から奥深い名古屋だ。

さて、その「モーニングサービス」の充実がすごいのが、名古屋駅地下街に位置する「ベルヘラルド」という喫茶店であるらしい。朝はドリンクの値段だけでパンとゆで卵が食べ放題になるのだとか。しかもただの食パンなどではなくて菓子パンロールパンサンドイッチなどなどが盛りだくさんだという。そんな幸せな店に行きたくなってしまうのも仕方のないことなのであった。たとえ昼や夜にハイカロリー食事が待ちかまえていようとも。

朝9時、ホテルからてくてく歩いて地下鉄改札目の前の「ベルヘラルド」に到着。ほぼ満席という日曜9時のその喫茶店の奥まった4人掛け席に滑り込み、コーヒーと紅茶、オレンジジュースを注文。あとはバイキング形式で並べられるワゴンからパンとゆで卵を自分で取ってくる。

380円の紅茶は、葉っぱで入れるまずまず普通のものだ。スティックシュガーとコーヒーミルクがついてくる。普通の紅茶だ。だが、その380円で食べられるパンはチョコデニッシュ、苺ジャムを練り混んだデニッシュ、ミルクロールにロールパン、チーズスティックにピーナッツバターサンドと盛りだくさん。甘いのも甘くないのもたっぷりと揃っている。ジャムやバターも小さなパック入りで取り放題。そして、籠に山盛りのゆで卵。壮観だ。

うきうきと数種類を皿に持ってきて、食べる。刻み栗の入った「天津甘栗デニッシュ」なんてのもあって、どれもなかなか美味しい。悪くない。ガンガン無くなるパンの皿は次々新しいものと取り替えられていて、タイミングによってはハムサンドや卵サンドも出てきたりする。そういうものは周囲の注目を浴びてものの数十秒で消え去って行くのであった。

私たちの席からは、ワゴンが背後になっていて見えないようになっているけれど、だんなの席から厨房が覗ける位置ではあった。
「あ!サンドイッチ登場!」
だんなが呟くなり、ワゴンへダッシュ。大挙して押し寄せるおばちゃんおっちゃんらの群をかき分け、4切れのサンドイッチを抱えて意気揚揚と戻ってくるなどと、日曜朝にしてなかなか熾烈な戦いが繰り広げられていた喫茶店だったのだった。……楽しい。

名古屋市栄 丸栄内 FLOにて
 アイスカフェオレ
 シュークリーム

名古屋には「4M」と言われるデパート群があるらしい。すなわち、名鉄・松坂屋・三越・そして丸栄。
今日は全部を練り歩き、「名古屋におけるマンゴープリン事情」の探索。……と言っても、旬は夏のマンゴープリンが4月の半ばのケーキ屋あることはあまり期待できないので、ぷらぷらとのんびり歩くだけだったりした。

少々疲れて、丸栄内の食料品売場の隅にある「FLO」というキッシュとサラダがウリの総菜屋のイートインコーナーで一休み。お茶だけにしておけばよいのに、ついついショーケースを見て「私シュークリームね」「あ、僕はミルフィーユね」なんて頼んでいる私たち。
バニラビーンズたっぷり入りの巨大シュークリームは確かに美味しかったけど、この30分後に味噌かつ喰う羽目になるのであった。後悔はしない。

名古屋市矢場町 矢場とんにて
 味噌かつ丼

名古屋ときたら、やはり味噌かつを喰わねばならないだろう。名古屋在住歴のある、だんなの同僚の話曰く、
「栄の"もり川"が一番旨い」
のであるらしい。でも、「"矢場とん"は外してはならない」という話も各所で聞く。現在位置の場所関係や、日曜の昼の営業の可能性等々を考えて、「矢場とん」に向かうこととした。

12時きっかり。店の前には10人ほどの行列ができていたが、どんどんと店の中に吸い込まれていく。えらく回転の早い店であるらしい。ほどなく2階の席に案内され、冷茶がテーブルに出てきた。わらじとんかつ1600円、味噌かつ丼は味噌汁つきで1000円。中日ドラゴンズにそれは深いつながりがある店とのことで、店の中には選手のサインやユニフォームが溢れている。

「矢場とん」のロゴがしっかり入ったどんぶりに、茶色く染まった御飯に茶色く染まったカツが乗ってやってきた。普通のとんかつソースと違う、ちょっと赤くてねっとりしたソースからは味噌の香り。こってりと甘く、口にすると「みそみそみそみそ……」と口中全面的に八丁味噌の香りが漂う味噌ソースだ。そのまま食べても良し、甘い人はカラシをつけても良し、唐辛子をかけても良し、ついでに胡麻などかけても良し、と食べ方指南がテーブルに置かれている。確かに、そのまま食べても旨いけど、胡麻をかけたらまた良く感じに風味が変わって得した気分になる。

甘い味噌が染みた、ちょっとクタッとなったカツを頬張りながら、甘い味噌が御飯の下にも敷かれた茶色い御飯をわしわしと食べる。ああ、これが名古屋か。すばらしき名古屋。
……思わず帰りがけに持ち帰りソース300円も買ってしまいました。これで我が家でも味噌かつ可能。

グラマシーニューヨークの
 パイナップル入りココナッツムース(正式名称失念)
アイスカフェオレ

昼食後、観光客らしく名古屋城の見物などしてきた後に、ホテルに一時帰宅。9時から出歩くとさすがに疲れる。
息子を昼寝に寝かせた後、だんなと二人で密やかにおやつ。昨日買ってきた、「グラマシーニューヨーク」なるケーキ屋のケーキを分け合いつつ食べる。私はパイナップルが中に入ったココナッツのムース。だんなのは苺の入ったミルクケーキ。

日本初上陸のケーキ屋だというニューヨークのケーキ屋さん、グラマシーニューヨークは店構えも重厚だけど値段も同じく重厚だった。1個400円はくだらないというケーキ類はどれも手が込んでピカピカと光っている。1つ1つに丁寧にチョコの飾りが施されていたり、綺麗なフルーツの飾りがあったり。包装もそれはそれは丁寧な、東京でも滅多にお目にかかれないようなケーキショップだ。
昨夜食べたマンゴープリンも、滅多にお目にかかれないハイレベルな味だったし、今日のココナッツムースも素晴らしく美味だった。店が客で大混雑していた理由も納得できる。

ここ、1日に3度ほどの焼き上がりで「ニューヨークチーズケーキ」なるものがあるらしい。金属の輪っかがはめ込まれたままの姿で、直径20cmくらいのケーキがワンホール2000円。東京に持って帰ろうと、目下画策中。(他の焼き菓子類もめっちゃ美味しそうで、これも気になっちゃう……)

千寿の
 天むす
冷茶

息子昼寝でホテルにてだらだら中、だんなが「ちょっとお買い物に行ってくる」と部屋を出ていった。30分ほどして戻ってきたその手には、「東京じゃ品薄で買えなかったんだー」とゲームボーイの充電機、そして天むすの袋をぶら下げていた。充実したお買い物であったらしい。

名古屋名物とうたわれる「天むす」だけど、天むすを「天むす」として商標登録しているのは「千寿」という店なのであるらしい。デパートの地下食料品売場にて5個600円だったという、小さな包みを開けて第二のおやつ。お供に冷茶。ホテルの冷蔵庫は幸い、買ってきたものがたっぷり入れられるような構造になっていて、私たちはチェックイン直後に牛乳やら冷茶やらアイスコーヒーやらを1リットル単位のボトルを買い込んで保存しているのであった。ケーキにはアイスコーヒー、天むすには冷茶。安上がりなくせにちょっと贅沢な気分。

まだほの温かい天むすはまん丸でころころしていた。海苔が細長く、ちょいと不思議なラインを描いて巻かれている。肝心の海老の天ぷらは、御飯にほとんどくるまれて薄く茶色い衣が見えるか見えないかという感じ。小さくて可愛い天むすだ。
ほの甘いタレに絡んだ、しっとりした小さな海老天が入るおむすびをぽいぽいと1人2個くらいずつ食べる。時間は5時。夕食前にこんなん喰って良いのだろうか。

名古屋駅前 世界の山ちゃん にて
 手羽先唐揚10本
 焼き肉サラダ
 クラッカーチーズ
 串揚もりあわせ(みそかつ、チーズフライ、うずらフライ)
 どて煮
 鶏皮パリパリ揚げ
   ビール

一応予定では、今日の夜は味噌煮込みうどんを食べに行くことになっていた。が、昼に味噌カツを喰って夜に味噌煮込みうどんを食べるというのはいかにもヘビィだ。手羽先を喰いに行くことにした。

手羽先の有名店は「世界の山ちゃん」及び「風来坊」という2大チェーン店であるらしい。名古屋駅からほど近いガード下にあるらしい「世界の山ちゃん」を目指してみることに。
午後6時45分、店は既になかなかの混雑だった。たまたま空いていた座敷席に通されて、足を伸ばしてくつろぎながらメニュー検討。基本は居酒屋の店なので、酒の肴系食べ物が多い。5本380円の手羽先はとりあえず10本、そしてサラダや串揚、どて煮などを次々と注文。当然ビール。

丁度注文が混みあっているらしく、最初のビールが来てからしばし時が泊まる。座敷席のふすまの向こうでは「あいにく満席になりまして〜」なんて言葉も聞こえてくる。で、手羽先の登場。
茶色くテラテラと光る手羽先は皮がパリパリ、そして胡椒がガツンと効いていてピリ辛だった。ビールが進むことこの上ない味になっている。"く"の字になっている手羽先をパキンと2つに折ってそれぞれしゃぶるようにして食い尽くす。濃い味でビールが進む。進みまくる。こりゃいいや。

焼肉サラダはにんにく醤油味の焼き肉がこれでもかと乗るキャベツサラダ、クラッカーチーズはクラッカーにパイナップルを混ぜたクリームチーズが添えられる。400円の串揚もりあわせは2本ずつのみそかつ、チーズフライ、うずら卵のフライのセット。細い串に小さなフライがそれぞれ刺さっていてこれまた悪くない。

……しかし、確か「昼に味噌カツ食べたから夜は手羽先にしよう」と言ってここに来た筈なのだった。小さいとは言え味噌カツを食べ、しかもどて煮まで喰ってしまって、もう何が何やら、という感じ。
どて煮は、豚のモツとこんにゃくを八丁味噌味のタレでこっくりと煮たもの。シチューのような見た目で、椀に盛られてやってくる。こってりと甘いタレに浸ったモツもこんにゃくも、どれを喰っても味噌味噌味噌味噌とひたすら濃厚な味がした。
何だか名古屋は、味噌の味。