食欲魔人日記 02年06月 第2週
6/3 (月)
銚子丸(稲毛)にて「大トロ握り」♪♪ (夕御飯)
冷凍の吉野家牛丼
冷茶

昨夜は暑くて寝苦しかった。「なんだかねむーい」と思いつつ、週の最初からして全くやる気のない起床。

同じく「眠い眠い」と言いつつも、だんなは妙に前向きだった。
「朝御飯、牛丼でよい?よい?」
と言いつつ、いつのまにか冷凍御飯は温められてるし冷凍牛丼は熱湯に入れられてるし、どんぶりもぬかりなく準備されている。ちょっとばかり御飯を少なめにして盛られた牛丼は、心もち「つゆだく」状態だった。
「つゆだく、つゆだく」
と呟きつつ、私やだんなのどんぶりから息子の分にと取り分けて、皆で食べた。

しかし……暑いねぇ……。

近所のパン屋の
 ピザトースト
 バナナケーキ
 あんドーナツ
セロリとキュウリのスティックサラダ
アイスカフェオレ

今日は私も母も仕事が休み。私の代わりに息子と保育園に連れていってくれた母は、帰りに近所のパン屋さんであれこれと買ってきていた。
「ほらほら、一緒に食べる?」
と誘われてお昼、テーブルについてみれば長さ20cmほどのフランスパンが縦割りになった巨大な巨大なピザトーストと、バナナケーキ、あんドーナツが置かれていた。

「……な、なんでピザトーストに、ケーキとあんドーナツまであるの?」
と聞いてみたところ、
「なんとなく」
という返事が。

オーブンでこんがり温めてとろけるチーズを溶かしたピザトーストは半分こし、櫛形に切られたバナナケーキも半分こ、あんドーナツも半分こ。
「これ、食べちゃわなきゃいけないし」
と、いつのまにかセロリやらきゅうりやらでスティックサラダまで用意されていて、"バナナケーキを食べつつセロリを囓る"という面妖な食事になってしまった。……まぁ、いいか……。

稲毛海岸「回転寿司 銚子丸」にて
 いわし
 はまち
 ウニ
 中トロ
 甘海老
 イクラ
 うずら納豆
 いさき
 こはだ
 大トロ
 茶碗蒸し
 あら汁
 スイカ
 生ビール
などなど

今日はだんな、上司の歓送迎会の飲み会らしい。
めんどくさがりな私とその母のこと、
「ビヤホールかなー」
「幕張あたりの食べ放題かなー」
「居酒屋かなー」
などと昼間からあれこれ"行きたいお店"をリストアップし、リストアップした挙げ句
「やっぱり寿司だな、うん」
と、馴染みの回転寿司屋に行くことにした。
多分混むだろうから、と5時過ぎに息子を保育園に迎えに行ったその足でそのまま自転車かっとばして店に向かう。
案の定、入店した時点ではガラガラだった店内も6時を過ぎてからあっという間に満席になってしまった。寂しかった回る皿の分量も、どんどん充実していく。

何しろここ数週間はウニフェアらしいのである。いつもなら380円だかするウニ軍艦が250円で食べられるらしいのである。
「ウニよ、ウニウニ」
「中トロも食べちゃうわよー」
「ぼくはねー、たまごと、いくらー」
と、年齢差約60歳の3人で、よってたかって食べる。回る皿からあれこれ取り、壁にあるオススメのメニューから注文し、ついつい"うずら納豆"とか"茶碗蒸し"あたりのイロモノも取ってしまう。

ちょっと下品じゃないかと思えるほどにネタは大きく、シャリも割と分量が多い。それでも、そのへんの一般の寿司屋に入るより美味しいし安いもんだから、ついつい足が向いてしまう。
唯一の500円の皿、「大トロ」も、多分こんなふうに三枚肉のような層になっているのはそれほど良い素材じゃないんだろうなぁと思う。でも、口に入れると体温でふわっと溶けちゃいそうな食感だとか、こってりねっとりした脂の乗りとか綺麗なピンクの切り口だとかは500円でこれが喰えるならけっこう幸せだ、と思う。

今日もまた、「旨そうなやつだけを腹一杯食べるのだ」と思いつつ、イロモノに浮気しまくり、ビールの他にあら汁まで注文して胃を膨らまし、挙げ句スイカまで食べてしまって店を出た。1時間半ほど食べて食べて、お会計は3人分で8000円。60歳過ぎの母と4歳の息子とピー歳の私という組み合わせでその値段はどうよ、とちょっとだけ思ったり思わなかったり。

6/4 (火)
ずぶ六(田町)にて「ずぶ六揚げ定食」 (昼御飯)
バタートースト
アイスカフェオレ

暑いと全体的にやる気の出ない私。私は暑さに弱い。いや、寒さにも弱い。快適温度帯がけっこう狭いので
「暑いからやる気ない〜」
「寒いからやる気ない〜」
と、要するにものぐさである。午前5時頃に起きて家族のために家中掃除、なんてことは何があってもできない私なのだった。しかも最近、もっぱら掃除も花の水やりも母がやってくれちゃうので、ますます自堕落に拍車がかかっている。いかんいかん。

今朝も、全体的にやる気がなかった。だが、今日は仕事だ、起きねばならぬ。
「パン、焼くよ〜。以上!」
と、母が買ってきてくれていた食パンをトーストして、各自好き勝手にバターやらジャムやらをこてこて塗りつつ食べる。ちょっとやる気をば出して、そろそろもう少しだけまともな朝食を作ろうと決意してみた。こっそりと。

田町「ずぶ六」にて
 ずぶ六揚げ定食

我がボスの教授は、流行りものに乗る人という印象はない。「ワールドカップ」のワの字も言いそうになかったが、出勤した私にいきなり
「ワールドカップが」
と切り出したのだった。

「……ワールドカップ、ですか?」
「ええ。あなたは……その、御覧になります?サッカー」
「いや、興味は多分人並以下だと思いますが……家にいるときに試合やってればテレビつけとくかなー、ぐらいの」
「そうですか……いえ、今日、夕方から試合やりますでしょ。その、見たかったら早めに帰られてもよろしいですよ、と、そういうわけです」
「……は、ありがとうございます」
「わたくしは……チケットを貰いまして」
「……えぇ!?今日の試合の、ですか?」
「いえいえ、オペラの。オペラのチケットが、取れまして……♪」
先生、何やら嬉しそうだ。やっぱり彼の中ではワールドカップはどうでも良いことらしかった。それから5分ほど、「めづらしいオペラなんです」とオペラの解説をしてくださった。先生の言いたかった趣旨は、どうやら「今日はそういうわけで私は早めに帰るんで、貴女もどうぞお帰りください」と、そういうことだったらしい。

早く帰らせてもらうのに、昼御飯ゆっくり摂るのも申し訳ないような……と思いつつ、今日はパンも弁当も買っていかなかったので、街が混雑する12時前に大学を抜け出した。
ちょっと気になっていた、「オリジナル料理」という看板を掲げる「ずぶ六」なる小さな店に、今日は入ってみる。夜は居酒屋、昼は定食屋という、ありがちなお店だった。店頭のランチメニューには「酢豚どん」「ばくだん揚げ定食」「ずぶ六揚げ定食」「豆腐ステーキ」など、妙なネーミングの料理名が並んでいる。1人客ということで4人がけの狭いカウンターに腰かけて、「ずぶ六揚げ定食、ください」と言ってみた。

薄暗い店内、ガタピシ言いそうな木製の椅子とテーブル。ちょっとだけ油ぎっているメニュー。日本酒や焼酎の品揃えはそこそこ充実しているみたいだけど、厨房のもうもうと湯気が上がっているすぐ横、カウンターの段差のところに一升瓶が並んでいるのが気になった。ラベルには「久保田」だの「八海山」だの、私でも知っているようなメジャーな名前があり、その瓶は空であったり7割程が無くなっていたり封を開けたばかりのようだったり、と様々だったけど、どっから見ても保存状態が良いとは思えず、それがちょっと気になったりしつつ料理を待つ。

オヤジが一人、広くはない調理場で動き回り、その奥さんらしきおばちゃんが一人で接客を担当している。最初空いていた店もあっという間に満席になった。
ツナのサラダが小鉢にやってきて、ワカメの味噌汁と、御飯。そして平皿に盛られていたのはこれでもかと巨大な鶏のフライだった。山盛りキャベツと共に、鶏肉にはジャバジャバと黒々としたソースがたっぷりかけられていて、キャベツの横にはこれでもかとどぎつい色のナポリタンスパゲッティがこんもりと盛られている。

やたらと味の濃いおかずだった。
どぎつい色のスパゲッティは不思議とケチャップ臭くなく、少しも甘くない。こってりと、ラードか何かで炒めたような味がする。鶏肉からは胡麻やにんにくの下味が感じられて、ジャバジャバとかけられたソースは、何だかウスターソースとどろソースを混ぜ合わせたような辛みの強い味がした。ボリュームがあって、これで730円。悪くはない。しかし、味は濃い。

「御飯がすすむなぁ……」
と思いつつ、サカサカとスパゲティを平らげ、肉も平らげ、当然キャベツも平らげ、行列もできかけていたので急いで席を立つ準備。席を立ち上がる直前、隣の席のおっちゃんにやってきたのは、豆腐ステーキだ。その淡白なネーミングに似合わず、これまた濃いめの強烈な匂いがもわわわわ、と漂ってくる。その甘辛系のこってりとした匂いに髪の毛をかき回されているような感じがして、店を出る足が心もち早くなってしまった。うーん、ヘビィな店だった。
そして午後は喉が乾いてたまらなくなった。

駅前で買ってきた
 一口ヒレカツ・ジャーマンポテトコロッケ・唐揚げ
 焼き鳥いろいろ
グリーンサラダ
きゅうりの浅漬
羽釜御飯
ビール、冷茶

「早く帰って良いですよ」(つーか、"早く帰れ")
と言われて早めに仕事を切り上げたものの、次までに済ませておきたい仕事がまだ残っていたので持って帰ることにした。明日は明日でやりたいことがあるから、できれば今日のうちにちょっとは仕事しておきたい。

「家族、すまん」
と夕食の支度の時間を犠牲にさせていただくことにして、駅前の総菜屋であれこれ買って帰った。焼き鳥あれこれ、揚げ物あれこれ。幸いワールドカップ対応らしく、「どーぞ、食事はこれでどうぞ」と言わんばかりに色々安売りされていた。

母にサラダと米炊きを任せ、日本戦を横目で見ながらペケペケとお仕事。
職場のテレビに電源を入れられ、仕事してたというのに周囲が観戦してわーわー応援し始めたので「仕事にならん」と早めに帰ってきただんなも共に、ラスト20分ぐらいを観戦しながら食事した。ビールと安っぽい味の焼き鳥、コロッケにヒレカツ。なんだか観戦気分が妙に盛り上がってしまうのであった。

6/5 (水)
鯖の生姜煮 (夕御飯)
ジャーマンポテトコロッケ(昨日の残り)
唐揚げ(昨日の残り)
フライドポテト(昨日の残り)
焼き鳥2本(昨日の残り)
御飯(昨日の残り)
麦茶

確か、昨日の朝、
「ダラダラした朝はどうかと思うから、明日からがんばろう」
と決意したはずなのである。その翌日の今朝、あっけなく寝坊。気がつくと8時。

「卵御飯でも食べていこうか」
なんて昨夜には言っていたというのに、結局だんなは何も食べずにいそいそと出勤することに。母も出勤し、あとは頭ボサボサの私と息子が残された。

「……なんか、食べる?食べられる?」
「んとねー、プリン、プリン食べるよー」
という息子に、時間もないししょーがないし、と買い置きのマンゴプリンを1個喰わせて(3個パックの1個を私が食べて、あまりのマズさに残り2個を放置していたもの……というのは、ヒミツ)、急ぎ保育園へと送迎。

洗濯して軽く掃除して、「さて飯は」と見渡したところ、昨日のおかずの余りたちと目が合った。コロッケに唐揚げにフライドポテトに焼き鳥。宴会の残りかピクニックの残りかという感じの光景にちょっと胸焼けのような気分を感じつつも、御飯をよそってそれを食べることに。
冷めたポテトは味気ないので、レンジでチンしたあとバターのかけらを落とし、フライドガーリックもまぶして食べちゃうことにした。コロッケも食パンかコッペパンがあったらコロッケサンドにするところだけど、パンがないので御飯のおかずに。

「HIROTA」のシューアイス(プレミアムバニラ)
アイスティー

午後、義妹が遊びにやってきた。
「あんまり暑いからさー、冷たいシュークリーム買ってきたよ。今、おねぇちゃんと私が1個ずつ食べて、あと4個あるからあとはみんなで食べてね」
と個数もきっちり計算の上、HIROTAの袋に入ったそれを渡してくれた。よい妹だ。

プレミアムバニラ2個に巨峰が2個、イチゴに抹茶。アールグレイのアイスティーを出して、二人でもきゅもきゅ食べながらあれこれ語ってみた。
現在大学4年生の義妹、就職先は某システム系の会社になった模様。
「ねねね、おねぇちゃん、なんかさ、会社の人が"日経パソコンを読みなさい"っつって、送ってくるんだけどーっ!」
と、何やら困惑していた。
「そうかそうか、読み終わったら我が家に持っておいでなさい」
と伝えておいた。20過ぎた今でも「学生さんでしょ。え、高校生じゃないの?」と美容院などで向こうから学割価格にしてくれちゃうような可愛らしい娘なんである。来年春から社会人とは……想像できない。がんばれ義妹。

鯖の生姜煮
きゅうりの磯和え
母特製きゅうりの浅漬け
グリーンサラダ(昨日の残り)
冷やっ汁
羽釜御飯
ビール、麦茶

「夕食は〜、棒棒鶏か油淋鶏もどきだなー」
と鶏肉を買った後に、2尾330円というサバと遭遇してしまった。鶏肉料理は明日に回すことにして、今日はサバ料理。焼こうか味噌煮かなやんだ挙げ句、さっぱりと生姜山盛りでテリテリに煮付けることにした。

水と酒と醤油を同量、それにその分量より心持ち少なめの砂糖と味醂を鍋に入れ、赤唐辛子を1本、それに山盛りの針生姜を放り込む。あとは2枚おろしにしたやつをぶつ切りにしたサバを並べて、んがーっと炊いていくだけ。煮詰まってきたら、煮汁をすくってかけながらテリテリと染みさせていく。皿に盛ったあとにも更に生姜を盛りつけて、完成。

そして現在は「きゅうり大消費キャンペーン」中。冷蔵庫には、私が買ってきた3本のきゅうりと、母が買ってきた6〜7本のきゅうりと、更に前から冷蔵庫に入っていた2本のきゅうりが入っている。きゅうりはすぐにグジャグジャになってしまうので、とっとと食べたいところだ。

で、磯和えと冷やっ汁。
酢と砂糖と薄口醤油で薄切りのきゅうりと焼き海苔を和える。冷たい味噌汁は濃いめのとっただし汁に多めの味噌を溶き、水で薄めて(←ホントは味噌汁を水で薄めちゃいかんような気がする。ちゃんと作った味噌汁をゆっくり冷ます方が美味しいとは思うけど、でもでも時間がないのよねぇ〜)更に氷も沈めて冷蔵庫に入れておく。器に刻みキュウリと刻み茗荷を入れ、そこに冷たい汁を注いですり胡麻をたっぷり散らせば、冷やっ汁。

母の作った浅漬けもあり、サラダもあり、なんだかテーブルの上はキュウリだらけになった。これでスティックきゅうりとか板ずりきゅうりなんかもあったら、カッパ様用おもてなし料理になってしまいそうな。
魚の煮付けは久しぶりだった。何しろだんなも母も、「煮た魚ってあんまり美味しいと思えないのよねー」という感じなのだ。脂の乗った魚をコテッと煮たものなんか、刺身や焼き魚の美味しさにも劣らないと思うけどなぁ。

6/6 (木)
風呂上がりに、アイス♪
(目下、「カルピスウォーター ボトルアイス」がお気に入り)
パン屋さん「サンジェルマン」の
 チョココロネ
 ベーコンエッグデニッシュ
アイスカフェオレ

昨日、息子を保育園に迎えに行き、息子と一緒に肉だの魚だの買い込んで帰ったところ、
「パン、ほらほら、パンよ。チョコパン、たべたいなー」
とパン屋の前で訴えられた。

「……パン買ってく?」
「ぼくねー、チョコパン。やすいなー、ほんっとうに、やすいなー」
「……いや、別に安くはないと思うけど」
息子は、何か欲しいものがあるとき、そのブツの前で「安いなー、ほんっとに、安いなぁ」と言うのが癖だ。いったいどこでそんなネタを仕入れてきたのか、さっぱりわからない。大抵は
「全然安くないじゃん!」
と私やだんなに突っ込まれるのがオチである。

ともあれ、「ま、いいか」と息子にチョコパン。定例のごとく、私とだんなには甘いパン1個、甘くないパン1個の組み合わせで購入していく。小食の母にはブルーベリーマフィンを1個。
濃いめの熱いコーヒーをたっぷり準備し、これでもかと氷を入れたポットの中に注いでアイスコーヒーにして、それを」皆してがばがばと飲む。今日の気温は27℃くらいになるらしい。……あちー。

田町「万豚記」にて
 冷やし担々麺 980円也

本日、お仕事。
「まぐろ丼かなー、ウナギもいーなー」
と、混雑する12時を前に、早めに大学を抜けて今日も近隣のお店開拓にとぷらぷらしてみた。

目当てのまぐろ丼屋は早くも満席で、しょうがなしにぽてぽてと裏通りなど歩いているところに、ちょっと怪しい風情の麺と炒飯の店を発見した。墨筆でぬぐったような線での豚のイラストが店員さんのTシャツに描かれている、「万豚記」なる店だった。

裏通りから、そのまま段差なく入れる店内の床は「コンクリート流しっぱなし」という感じの、黒々とした土間そのものみたい。香港の粥麺屋を模したような内装で、メニューは汁麺、炒め麺、炒飯に」あんかけ御飯、といった感じ。その内装や店の感じに比してメニューは少々高めで、1品800〜1000円といったところ。
幸いカウンター席が1つ空いていて、そこに腰掛け、表に張り紙のあった「冷やし担々麺」を注文してみた。それは980円。

で、やってきたのは妙に小洒落た担々麺。
焦げ茶のタレがテラテラと絡まる麺は、大きな皿に盛られていて、若干少なめなように思う。麺の下にはラー油が赤く透明に輪を描いており、麺の上には水菜やもやし、刻みネギなどがシャキシャキとした状態でこんもりと。そして揚げた春巻きの皮状のもの、クルミなどのカリカリした食感のものも散らされており、とどめにとばかり山椒と胡椒がかけられていた。

ビリビリと辛い麺は、それでも辛いだけじゃなくてけっこう美味しい。ちょっとばかり山椒と胡椒でごまかされている感じもしないではないけど、シャキシャキした野菜とともに食べると、箸が進んだ。……悪くない。悪くないけど、なんか こう、
「こういうの、どっかで見たことあるし、どっかで感じたことがあるようなこの感覚が……」
とモニャモニャしたものが胸をよぎる。見た感じはチェーン店のようにも見えないけれど、なんなんだろう、と思いながら仕事場に戻った。

で、すぐさま検索。今の時代、わからんことはとりあえずインターネットで検索するに限る。そして、すぐにわかった。
http://www.kiwa-group.co.jp/kiwahp/restaurant/chinese/wan/wan.html
「kiwa-group」というネーミングには、ものすごく覚えがある。アレだ。私の大嫌いな大嫌いな「紅虎餃子房」を運営している会社だ。あああ、そういえばさっきの担々麺も同系列の「胡同マンダリン 」あたりで食べた料理の盛りつけと良く似ていた。そうか、そうだったのか。

この会社、何が気に入らないってボスが気に入らないのが一番だけど(「料理人は料理を売るんじゃない、夢を売るんだよ」ってどっかで言ってたのを見たんだけど、その言葉に私が感じるイヤさが凝縮されていた)、夢を売ってる割には、その料理からは一向に「夢」はおろか「美味」も私には今ひとつ伝わってこない。
"渋谷の紅虎はけっこう美味しい"などと色々聞いたことはあるけど、銀座の「紅虎」と千葉の「紅虎」と丸の内の「胡同マンダリン」の3軒行って、どれもあんまり満足できなかった(というか前向きに怒りたくなった店すらあった)。
何しろ「自家製」などと記されていたマンゴプリンは「責任者出てこい!」と暴れたくなるほど、美味しくなかったのが一番悲しかった。

なんか、味そのものの追求じゃなく、「盛りつけを綺麗に見せれば客は来る」とか「シチュエーションを流行のものにすれば客は来る」という理念が全体的に感じられて、店やその料理から漂ってくる、その妙な方向の気合いの入れっぷりに私は毎回げんなりしちゃうのだ。いや、イロモノならイロモノとして徹底している店だったら、別にこんなに嫌いにはならないんだけど、半端にお洒落で半端に美味しく、ってその半端っぷりがどうにも気に障っちゃうのだった。
夢を売る前に、美味しい料理を売ってくれよ……と思いつつ、そんな私の思いとは裏腹に店舗はどんどん増えているらしい。

今日の担々麺はそこそこ美味しいと思ったし、今度はあんかけ御飯にも挑戦しちゃおっかなー、とうっすら思いながら帰ってきたんだけど、
「あー、紅虎かー紅虎チェーンかー。あそこで食べると紅虎を儲けさせることになるのね」
と思うと、何だか足が遠のいてしまいそう。別にフランチャイズ全てを嫌うことはないんだけど、なんだかこう、もにょもにょもにょ……。

タコチップwithタコソース
スティックきゅうり
青梗菜の炒めとウィンナー
鯖の生姜煮
御飯
ビール、麦茶

午後7時半、激ジョブ中のだんなから電話。
「仕事がまだまだ終わらないから、今日は遅くなる。明日は早く帰るから……」
声に怒りが滲んでいた。ああ、だんな、かわいそう。

そして、全体的にやる気のないまま、母と息子と3人で夕御飯。ちょっとばかりお仕事の作業をしていたところだったので、母が代わりに動いてくれた。醤油と塩味で炒めた青梗菜とウィンナー。ざくざく切ったきゅうり(←まだきゅうり消費キャンペーン実施中)、昨夜の残りの鯖の煮込み。御飯は冷凍もんをレンジでチン。ビールの友にとタコチップとタコソースも出して、簡単な夕食となった。

本当は、きゅうり切ってざくざく敷いて、鶏肉料理でもしようと思ってたんだわ。明日は早く帰って来られるといいねぇ、だんな。

6/7 (金)
鶏肉の油淋鶏風 (夕御飯)
焼き豚とレタスの炒飯
麦茶

昨夜だんなが帰ってきたのは日付もそろそろ変わるかという頃だった。
そういう日の翌朝は、とにかく遅くまで寝かせてあげるに限る(←と理由をつけつつ私も寝ていたりする)。
今日なんて、私より疲れているはずのだんなが先に起きていた。今日は新聞回収の日で、だんな、その1ヶ月分の新聞をまとめている。今日は燃えるゴミの日で、だんな、2日分のゴミもまとめている。私は寝ている。こらこらこらこら。

「ひゃー、ごめんね。だんな、ごめんね」
と起き出して、出勤するだんなを送り出し、息子を保育園に送り出し、そして私はお仕事をやりだした。折良く先方からそれ用の写真もたくさん届き、「あーでもない、こーでもない」と加工し始める。本当は、今日の昼は一人で近隣の飯処開拓に行く予定だったけど、仕事が面白くなってしまったので、家で適当に食べることに。
冷凍御飯をチンして、買い置きの焼き豚を刻み、長ねぎを刻み、卵1個パカンと割って、ついでに冷蔵庫に入っていたレタスの残りもばりばりとちぎって、焼き豚炒飯。

「炒飯には、これを入れるといいよ」と教えられた「天津白菜」(中国の壺入り漬物。細かくて、かなりしょっぱい)を最初にじっくりカリカリに炒め、一旦それを取りだした中華鍋で今度は卵を炒める。半熟になったところで焼き豚と一緒に御飯を放り込んでざかざか炒め、長ねぎとレタスとさっきの天津白菜をざざっと混ぜつつ炒めて醤油をチーッと垂らしてあおって、できあがり。

実のところ、我が家の「炒飯担当」はだんなのである。私は炒飯を作ったことが……ほとんどない。全くない。冷凍ピラフを炒めることくらいしか、米炒め系の技術を使うことはない。
「うがー、中華鍋にくっついてくるー」
「うぉー、米が飛び散るー」
「焦げるっ焦げるっ焦げるっ」
と一人めちゃめちゃ焦りながら一人分の炒飯をこしらえた。あああ、だんな、炒飯作りに今すぐ戻ってきてくれぇと思いながら(←その頃、彼は銀座でうどん喰ってたらしい)。

ちょっとばかり塩気が足りない炒飯は、それでもレタスがシャッキリしていてそこそこ美味しかった。
炒飯道は、まだまだ果てしないようだ。

鶏肉の油淋鶏風
茄子の揚げ煮
ゴボウと卵の中華スープ
羽釜御飯
ビール、ほうじ茶

山のようにあったキュウリも、数日間の我が家での「キュウリ消費キャンペーン」により残り1本。最後のとどめに、ここは油淋鶏か棒棒鶏かをしたいところ(どっちもキュウリを下に敷くとけっこう旨い)。
「ゆーりんちー、と、ばんばんじー」
と数日前から言っていたところ、
「だったら油淋鶏希望」
とリクエストが入った。更に
「あとね、茄子の揚げ煮も」
と追加要望もいただいてしまった。

いや、でも、油淋鶏は揚げないやつを作るよ……(だからそれは油淋鶏のようで全然違うニセモノ料理)、と思いつつ、ついでに「それって調味料がほとんど同じじゃん!……とも思いつつ、お疲れのだんなのためにリクエスト通り作ることにする。

油淋鶏風は、醤油と酢と砂糖、胡麻油などを使用。茄子の揚げ煮は醤油と味醂と砂糖と酢、豆板醤などを使用。微妙に配合は違うけど、似ている味ではある。
茄子をざくざく素揚げしては長ねぎと生姜とにんにく入りのタレにどんどん漬け込んでいき、鶏肉は揚げないで皮目をこんがり焼いてから葱たっぷりのタレを最後にぶっかける。
今日は「イングランドVSアルゼンチン戦を見たいから」という理由でだんなも早く帰ってきて、前半戦を見ながらの食事になった。甘酢の味の鶏肉はビールが進むし、甘辛こってり味の茄子は御飯が進む。何だか今週は、すごく長かった気分(うーん、それほどワールドカップに夢中になっていたわけでもないんだけど)。

6/8 (土)
久しぶりの焼き餃子 (夕御飯)
ミスタードーナツの
 ベリーチョコファッション
 カスタード
アイスカフェオレ

ここのところ、仕事と趣味の両方の理由でパソコンの前に座ってばっかりで、そういうことにすぐのめりこんでしまう私はずっと気分が高揚中。
今日も休みだというのに7時半に目覚めてしまい、一人音量をゼロにしたパソコンの前であれこれ作業してしまった。

そして9時過ぎ、だんなと息子も起きて来た。母は仕事でとっくに家を出ていて、
「なに食べる〜?」
「……んー(生返事←パソコンいじくり中)」
などと気のないやりとりを何度かした後、「じゃあ、ドーナツ買ってきたげるよ」とだんなが自転車こいで近場のミスドにお買物に行ってくれた。
「あ、私、ベリーチョコファッションとカスタードね」
と、それまでの生返事はどこへやら、詳細に指示を出す私。

ドーナツは基本中の基本、オールドファッション的なものが大好きな私。最近になって、一部分しかチョコがかかっていなかった「チョコファッション」から一面チョコだらけの「ベリーチョコファッション」にバージョンアップして、私は嬉しくて仕方がない。エンゼルクリームか悩んだところで、あとの1個はカスタード。アイスカフェオレはコップに3杯。今日もあちー。

稲毛「トラットリア ヴィーノ」にて
 ランチセット
 (サラダ・トレヴィスとベーコンのクリームソースパスタ・パン・アイスティー)

最近、私とだんなは「ブリトラ」にはまっていた。
もう1年半も前に解散してしまった2人組の歌手である。リアルタイムでは全然知らなかったくせに、だんながおもむろに2枚のアルバムを借りてきて、今更ながら二人ではまっているのであった。
「これはもう、カラオケに行って練習するしかあるまい」
と、今日はカラオケに行くことに。
「歌う前には腹ごしらえをせねばなるまい」
と、12時過ぎに家を出て、近隣のお店開拓にとぷらぷらしてみることにした。

「パスタが食べたい気分だしー」と言いつつ、「あそこにほら、看板がある」「ここにも黒板が」などとあっちの店を見、こっちの店を見、しながら駅前ロータリーまでやってきてしまった。ロータリーの道路からほんの3mほど入ったところの2階にイタ飯屋があり、ちょっと気になっていたその店に入ってみることにする。一家でやっているような、席数20くらいの大きくはない店だ。

スペシャルランチは1800円。パスタランチは800円くらい。サラダとパンとドリンクに日替わりパスタが3種類から選べてちょっとばかりお得な感じがある。今日はタコのトマトソースと白ワインベースのボンゴレ、トレヴィスとベーコンのクリームソースのスパゲティ、という感じらしい。

サラダはレタスにオリーブ油とヴィネガーとパルメザンチーズ、というごくごく普通のもの。パンは温められて、上にさらっとオリーブ油がかけられていた。肝心のパスタは、ちょっとばかりオーバーボイル気味で、ちょっとばかり塩気も強めで、という感じではあったけど、それほど悪くはない。けっこう、普通に、安心して食べられる味というところ。パスタをメインとするこのお店はピザもあって手頃なワインも揃ってる風で、この週末には1500円でワイン飲み放題なんてプランもあったりして、ちらちらとお客も絶え間なく来るようなところだった。
気軽に来られて良いかもしれない。今度はピザを食べに来てみよう。

そして、すぐ脇にあるカラオケ屋で2時間カラオケ。息子もいっちょまえにアンパンマンマーチだとかトトロの歌だとかを熱唱した。私とだんなは、「ブリトラ」。呆れるほど「ブリトラ」。「あ、私、練習」「次は俺も練習」と同じ曲を何度も入れたりする。
今日歌ったのは、「コンビニ」×3、「ひとりのうた」×2、「さなだ虫」×2、「柔突起」×2、「カテキン」、「石焼きイモ」、「かたくり粉」、「となりの柳橋」など(で、なんなのよ、この題名は……←いや、内容はもっとすごい)。これだけ歌ったのに、ろくにハモれない私たち。やはり家での特訓が必要らしい。とほー。

枝豆
冷や奴
焼き餃子
水餃子のスープ
羽釜御飯
ビール、麦茶
すいか

ここんとこ、だんなはちっとも「餃子をしよう」とは言ってくれなかった。
彼の「餃子熱」はおよそ1ヶ月ほどのサイクルで到来する、というのが私が経験から得た法則だ。そして私の「餃子熱サイクル」はおよそ1ヶ月半。私が食べたいなーと思う以前に、だんなの方から「餃子だ餃子だ」と言ってくるので、私の餃子熱はあまり高まることなく日々過ぎていくことになっているのであった。

が、最近、彼はちっとも「餃子しよう」と言ってくれない。どうやら平日の昼食に外で喰っているらしいのだ。そして今日は私が
「……餃子にする?」
と言ってしまったのであった。なんか悔しい。そのセリフを吐くのはだんなの役目のはずなのにー。

もともと餃子好きのだんながそれに異論を唱えるはずもなく、今晩は餃子。我が家の餃子は白菜がたっぷり入る。最初に白菜を茹でてからフードプロセッサーで粉砕し、それをサラシでくるんでこれでもかと絞ったものをひき肉に加える、というその作り方は、「文琳」というお店の名を掲げたレシピ本に載っていたものだ。結婚してから色々なレシピを試してきたけど、もう3年ほどこの味に落ち着いてしまっている。にんにくを入れても美味しいし、ニラも美味しい。でも、「茹でて刻んで絞った白菜」は必ず入れるのであった。絞ると旨味が全部抜けるんじゃないかと心配していたけど、そんなこたーない。美味しいんである。しかもだんなが焼くと、皮の底はパリッと香ばしく、上はふくふくと柔らかく、肉あんへの火の通り具合も完璧でそれはそれは美味しいんである。今日は……使った皮がなんとなく湿っていたせいか、フライパンにくっついちゃって、ちょっとばかり大変だったらしい。

できあがった45個ほどの餃子。大人たちは当然わしわしと食べていたが、息子がえらい勢いで4個5個と食べている。確か1年前くらいまでは水餃子しか食べなかったはずなのに、今は「もうひとつー」「ね、ね、もうひとつー」と皿に素手を突き出そうという勢いでむさぼり喰っている。今日はこころもち控えめの量を作ったはずだったんだけど(作るときは60個くらい作っちゃうので)、おかげでちと物足りなくなった。そのうち100個くらい作らなきゃいけないようになるんだろうか。母はちと怖い。