食欲魔人日記 03年09月 第2週
9/8 (月)
趣の異なる2個のお弁当作成……つかれた
すじ肉カレー(ライス抜き)
バタートースト
ヨーグルト
牛乳

今日は息子の幼稚園初登園日。一昨日・昨日と「怪奇堆積手芸地獄」を味わった私は、今日から「恐怖無限弁当地獄」に引き続き取り組まなければならない。お弁当作る事自体は決して嫌いではないのだけど、でも、「義務」というのはなかなか重く、しんどい。「今日はめんどくさいからやめっぴ〜」とふて寝することは許されないということが、けっこうストレス。

で、まだ自分でもどうやって作業して良いかわからないので、これまで30分でお弁当の支度をしていたところ、1時間取って早起きしてみる。本日のだんなのお弁当は「鶏の胡麻照り焼き丼」。鶏肉をこんがり焼きつけ、同じフライパンでピーマンも炒め、焦げ目がついたピーマンは避けておいてから醤油や味醂や炒り胡麻をフライパンに次々投入して最後に煮絡め、ピーマンと共に丼にする。ピーマンと肉を二口分ほど分けてもらい、それを息子のお弁当におかずとして詰めた。息子の御飯は鮭おにぎりとたらこおにぎりに。あとは両者に卵焼きを詰め、いぶりがっこを詰め、だんなの方にはほうれん草のお浸しも追加。見かけは全然違うお弁当だけど、案外と早く支度できて、まずまず満足。

それでは、と弁当作成に使った調理器具を洗う傍ら、昨夜のカレーを温めなおす。「カレーライス」として食べるのはちょっと重いなぁ……と思ったので、シチューのようにカレーを少量添えてトーストを用意することにした。スライスしていない食パンが、3枚に分断するには半端な量しかなかったので、分厚い塊のままオーブンへ。適当に焼けたところでざくざくと3等分して直方体の形状をしているごろりとしたパンを皿に乗せた。バタートーストとカレーというのは、すんばらしくよく似合う。ふわんふわんの、トーストしない食パンをカレーに添えるというのも、これまたすんばらしくよく似合う。

食後にヨーグルトも食べて、準備万端整ったところで息子を幼稚園に送りだした。今日は初日で大荷物なので、本来バス通園のところ自転車で連れて行く。靴箱の場所を確認し、担任の先生に息子を託し、さて息子はちったぁ不安そうな顔をして私を見ているかなー……と振り返ると、やけに楽しそうにニコニコしている。不安のかけらも無し。余裕たっぷり。「おかーさんは、まだ何をやってるんだい?」という顔になった後、
「ばいばーい」
と言われてしまった。……少しは寂しそうな顔をしてもらいたかったかなぁ……(まー、いいんだけど……)。

稲毛 「割烹うえむら」にて
 うな丼

久しぶりに息子不在の平日の昼間。タイミングよく仕事も入ってきたので、さてがんばるかぁ、とパソコンの前に座ると、背後から激しく掃除機の音が聞こえてくる。今日は母の仕事が休みだった。
「んもー、あんた、ちゃんと掃除しなさいよ。あそこもここも埃だらけじゃない」
母という人種は、「何もこんな時にそんな事言わなくても」という絶妙のタイミングでお小言を言ってくる。今は掃除じゃなくて、お仕事やっつけなきゃいけなくてね……なんて事を、掃除を始めた母に言っても無駄なのである。掃除機の音は、しばらく高らかにガーガーと鳴り響いていた。うん、お掃除してくれてありがとうママン……。

我が家に私の母が共に住んでいるけれど、だんなの実家も徒歩十数分のところにあるという、現在のちょっと奇妙な状況の我が家。今日はよくよく「母」に縁がある日らしく、昼間近になったところでお義母さんから電話があった。
「あのねーぇ?鰻食べに行かない?前に御馳走してあげるって、言ってたじゃない?」
えー、あー……今日は私の母もいるのです、と伝えたら、じゃあもちろんお母様も一緒にどうぞ、とのこと。娘1人に母が2人、というこれまた奇妙な状況で一緒に御飯を食べに行くことになった。ほど近いところにある鰻屋さんは、だんなの実家の皆様がちょこちょこ食べに行くお店らしい。私は初めてだったのだけど、小上がりにテーブルが2つ、あとはカウンターに2席だけという究極なまでに小さな鰻屋さんだった。「割烹うえむら」という名前だけれど、その実、その店はまんま鰻屋さんという感じ。住宅街のど真ん中、「まさかこんなところに?」という一角に鰻を焼く匂いが充満していた。近所に住んでいたら、快感なような不快なような、微妙な感じ。

ごくごくシンプルなうな丼は肝吸いと漬物数種の小皿つき。ふくふくと柔らかい鰻は、確かになかなか美味しかった。アツアツの御飯にアツアツの鰻が良い感じ。鰻がちょっと苦手な母(というか、母は"魚臭い御飯"が苦手)のために、お義母さんは事前に焼き鳥丼を頼んでいてくれて、それまた野菜の煮物などが添えられた美味しそうなものだった。
留学中のあれやこれやを話したり、幼稚園に通いだした息子の動向を伝えたり。
「じゃあ、これ。はい、入園祝い♪」
とお義母さんから何人かの諭吉さんをいただき、我が母からも
「じゃあ私からも。どうぞ」
とこれまた複数人の諭吉さんをいただいてしまった。ばんざーい(しかも鰻つき)

茹でとうもろこし
ブロッコリーと海老のタルタルサラダ
秋刀魚の塩焼き with 鬼おろし大根
おかーさんのイクラ
いぶりがっこ
しじみ汁
羽釜御飯
ビール・抹茶入り玄米茶

今日はすごく「魚」の気分。
リニューアルした駅ビルには、なかなかお安く新鮮な魚介を買うことができる人気の魚屋さんがある。今日はどんな感じかなー、と覗きに行くと、キンメダイやイカやアジがお安かった。
「たたきかなー……煮付けかなー……」
と進んでいくと、
「はい、きょーうの目玉商品っ、サンマ1尾50円っ!」
ダミ声でおっちゃんが叫んでいる。それぇ!それ、それ!夕飯は決まりっ!と秋刀魚が入ったケースに駆け寄った。3尾で150円。4人家族で150円のメインディッシュ(母は1尾の魚は多いと文句たれるので息子と半々)。なんて幸せなのかしら。大きなブラックタイガーも10尾で380円、しじみも1パック100円程度だったので、今日は魚介尽くしにしましょー、と秋刀魚のン倍の値段がするそれらも買ってきた。

しじみは味噌汁に。海老は、某サラダ総菜屋のタルタルサラダを真似て、ブロッコリーと共にゆで卵、刻み玉ねぎ、マヨネーズと和えてサラダに仕立てた。秋刀魚はただただ塩焼きにして、たっぷりと大根おろしを添える。以前、「鬼おろし」という、ごっつい竹製のおろし器をいただいたのだけど、これで作った大根おろしは、すんごく美味しい。普通のおろし金ですった、ふわふわの大根もあれはあれで美味しく思えるけれど、秋刀魚に添えたり、ナメコやしらすと和えて食べたりするときには鬼おろしでおろした大根が最高に美味しい。じゃくじゃくっと大ぶりな粒の大根は、おろしたその底に水気が溜まることもなく、みぞれのようなジャリジャリっとした食感が素敵。巨大すぎて今ひとつ安定性に欠けるし、力というかコツも要るのでなかなかやっかいなおろし器だけれど、鬼おろしは手放せない道具に1つに、いつのまにかなってしまった。

で、今日は肉っけなしの魚介尽くしの夕御飯。タイミングよく、先日お義母さんからイクラ(すじこをほぐして醤油と酒で味つけた自家製イクラ)をいただいたので、ますます御飯が進む食卓になってしまった。秋刀魚を半分食べるうちにビールを平らげ、続いて御飯で秋刀魚食いを続行。漬物をばりばり食べて御飯を食べて、しじみ汁啜って御飯を食べて……と危うく何膳も平らげそうなペースになってしまったところを、無理矢理1膳で片をつけた。
秋刀魚がしみじみ美味しいと秋なんだわぁという感じがする。今年はやっぱり異常気象で7月8月あたりから既に秋刀魚に脂が乗りまくって美味しくなっちゃってた、なんて話も聞くけれど、やっぱり気持ちとしては9月10月に食べる秋刀魚が美味しいってのが、嬉しいんだわぁ。

9/9 (火)
3日目のカレーで「青春すじ肉カレー」。うみゃ〜 (夕御飯)
「CICOUTE」のスコーン
ホイップはちみつバター
ミルクティー

「今日は朝、ちょっと早く行かなきゃいけなかったんだー」
と、7時に起きるなり出勤してしまった我が夫。本日はお弁当作成が異様に簡単に済みそうだったために、私も早起きしていなかった。
息子の分の弁当箱をがさがさやりながら「いってらっさーい」とお見送りした後、息子と2人で手早くしかしゆったりと朝御飯。

先日いただいたCICOUTEのパン。ほとんどはビールの友にとか、軽いおやつにとかでスライスしつつ消費し終わろうとしていたのだけど、ころりとした小さなスコーンがまだ残っていた。素朴な外見のそのスコーンはさくさくぽろぽろといかにも軽そうな粉っぽさ漂う外見で、「クロテッドクリームとジャム」という組み合わせよりも「バターとはちみつ」なんて組み合わせの方が似合いそう。お茶の準備をする間にバターひとかけを室温に置いて柔らかくし、そこにはちみつをひとたらりして軽く混ぜ、サクッと温めたスコーンにつけて食べた。アッサムティーを濃いめに淹れて、ミルクティー。ほらよー、と息子の前に冷たい牛乳を入れてぬるく作ってやった紅茶を置くと、
「はーい。いただきまーす」
と、ごっきゅごっきゅと一気飲みしてくれた。……紅茶はそうやって飲むんじゃないんだってば……と苦笑いしながらもう一杯作ってやる。

松茸おいなり
五目おいなり
抹茶入り玄米茶

昨日、お義母さんに誘われて昼御飯に鰻を食べに行ったわけなのだけれども、実はその直前、私はお昼御飯を駅ビルで買ってきてしまっていたのだった。すぐに食べなきゃ痛んでしまうものではなかったのでそこは当然鰻を優先し、昨日の昼御飯は今日の昼御飯に持ち越し。買ってきたのは、おいなりさん数種類だった。「釜揚げいなり」とか「松茸いなり」とか「五目いなり」とか。更に梅だのじゃこだのと何種類もいなりずしが置かれていたその店で、大小取り混ぜて何個か母と私の昼御飯用に買ってきてあった。

……で、本日の幼稚園弁当はいなり寿司ということに。小さなサイズのいなり寿司を2個弁当箱に詰め、茹でとうもろこしを1かけ、塩揉みキュウリをスティックで数本。昨日の初日、息子はお弁当が全部食べきれなかったようなので、ちょっと軽めかつ食べやすいものにしてやろうと、そんな感じのものにした。そして私は五目と松茸のおいなりさん。静かな一人の昼間、お茶いれて食べた。シンプルな具なしのいなり寿司も美味しいけど、胡麻入りとかじゃこ入りもかなり美味しい。五目となると、更に美味しい。でも、期待の松茸いなり(さすがにちょっと高かった)は、あんまり松茸感が感じられず、単に「ぺろぺろしたきのこのようなコンニャクのようなものが入っているようないないような」という微妙な風味に微妙な食感。いまいちである。

ともあれ、母の思惑は良い感じに生きたらしく、午後3時に戻ってきた息子は綺麗に空になった弁当箱を自慢気に見せてくれた。通いだした幼稚園、特にイヤな事もないようで誇らしげな顔つきで
「ぼくはねー、ようちえんに、行くんだよ。あしたも、行くんだよ」
頼もしいことを言ってくれる。ちょっと落ち着いたら私はせっせとプールにでも通おうかね。

青春すじ肉カレー
きのこと海老のイタリア風炒め
キャベツとコーンのスープ
ビール・アイスティー
メロン

「男の料理 すじ肉」なんて、すごいサブタイトルつきのイカしたレシピ本、「SUJI MADNESS」という書物がある。他にも「MOTSU MADNESS」「TEBA MADNESS」というシリーズがあり、もう7年も前に発行された本なので今では入手もちょっと難しくなっている様子。当時そんなにレシピ本に投資できるほど経済的余裕がなかったので、本屋で見て「いいわぁ」と思った私とだんなは、図書館に予約して取り寄せてもらい、舐めるようにその本を見て、レシピを色々ぺけぺけとテキストに落としておいたのだった。モツもテバも素晴らしいけど、秀逸なのはやはりすじ肉レシピ本だったりして、私をすじ肉の魅惑とコラーゲンの世界に落としこんでくれたのはきっとこの本だろうと断言しても良いほど。

その本に載っていたのか違う本だったのか、記憶は定かでないのだけれど、「青春すじ肉カレー」という料理があって、そのレシピもデータベースに残っている。すじ肉を丁寧に下ごしらえし、玉ねぎを大量に炒め、にんじんやリンゴのピューレも加えて、野菜の粒なぞ残らない風にトロントロンに煮込んだカレー。それを最後に御飯と共に炒め合わせ、生卵の黄身を落として食べるというものだった。そのレシピそのまんまも作ったことがあるけれど、今回はリンゴは入れていないし、じゃがいもやにんじんが塊でごろごろ入ってしまっている。それでも"3日目のカレー"のトロトロ加減だったら、その「炒め合わせ&卵落としカレー」によく似合うのじゃないかなぁと思い、今日は「青春すじ肉カレー」。すじ肉のコラーゲンがすっかりカレーの汁気と一体となり、怪しくテロテロと光輝くカレーを炊きたて御飯と共に中華鍋に放り込み、ざっかざっかと炒め合わせた。中央に黄身をぽとりと。

微妙に残っていた海老はにんにくと赤唐辛子を入れたオリーブ油で軽く炒め、ついでにきのこもどっさり投入し、シンプルな塩味炒めに。最後にバジルの葉をベランダから摘んできてばばばばばっと散らしてみた。茹でとうもろこしが半端にあったので実を削り落としてキャベツと共にスープに。明日のお弁当用に鶏肉を茹でていたので、その茹で汁をスープにした。

ピザとかチーズトーストなんかのチーズものはけっこうてきめんに顔に吹き出物が出現したりするけど、すじ肉はこってりした口当たりの割に吹き出物はまず出ない。お肌もぷりぷり。安くて美味しくて、なんて素敵なの、すじ肉。

9/10 (水)
海苔と柚子胡椒のクリームパスタ。美味しいのよ。 (夕御飯)
「551蓬莱」の豚まん
アイスプーアル茶

昨夜のうちにかなりの下ごしらえをしてあったので、今日のお弁当作成はけっこう簡単。30分でぱぱぱーっと3人分の弁当を作り、ゴミをまとめて洗濯機回して、だんなと息子を起こす。
「食べる前に弁当の中身が見えちゃったらなんだかつまんない」
とだんなが以前言ったことがあるのだけれど、それにはまったくもって同感なので、彼らが起きてくる前に適当に冷めた弁当をラッピング。今朝の御飯は豚まんにしましょう、と蒸籠をコンロにかけておいた。

だんな1個、私も1個、息子は半個の豚まんを一緒に食べる。何もつけずに食べても美味しいし、醤油つけてもソースつけても豚まんは美味しい。今日はウスターソースをシャバシャバつけつつ食べてみた。

おうちでお弁当
 おにぎり(鮭・たらこ)
 鶏肉ときゅうりのピリ辛和え
 スナップえんどうのおかか醤油和え
 さつまいもの甘煮
 いぶりがっこ
麦茶

今日は親子3人、ほとんど同じ内容のお弁当。相違点は、御飯がふりかけ御飯であるかおにぎりであるかの程度で、全員同じおかずを詰めた。
息子にはふりかけをまぶしたおにぎりを2個、私には鮭おにぎり1個とたらこ1個。だんなはお弁当箱に海苔挟みの御飯を詰めて、ふりかけをかける。メインディッシュは鶏肉ときゅうりのピリ辛和え。茹でた鶏肉を裂いて、ごま油と塩胡椒、少しの豆板醤できゅうりと和えたさっぱりおかず。さつまいもは砂糖を少しだけ加えてほんのり甘く煮て、スナップえんどうはさっと茹でてからおかか醤油で。息子、ちゃんと全部食べられるかなぁ……と思いつつ、幼稚園児の弁当にしてはやっぱりやや渋めな外見のそれを持たせてやった。

私は同じおかずを平皿にちょこちょこっと盛りつけて1人昼御飯。麦茶傍らに、
「……しずかだわー」
と少しばかりしんんみりしながら昼御飯を食べた。同じ時間帯、家族全員が同じものを違う場所で食べていると思うと、なんだか楽しい。

……で、午後3時。
「ただいまー!」
と幼稚園バスから元気に降りてきた息子は、
「おべんとう、ちゃんとね、食べたんだよ。家にかえったら、みてみる?みてみる?」
と誇らしげ。帰ってから見せてくれたその弁当箱の中身は美しく空っぽだった。ばんざーい。

海苔の少し辛いクリームソースのリングイネ
茄子と牛肉の炒め物
ビール・アイスティー

海苔と柚子胡椒のパスタが久しぶりに食べたいなぁ……と、今日はリングイネを茹でる。
焼き海苔をたっぷりと、少々の水に溶かしてぐずぐずにし、そこに生クリームを加えて軽く煮込んだ後に柚子胡椒を加えるという、なんだか少しもイタリア料理じゃないみたいなパスタ料理。何年か前にCucina Tokionese Cozimaで食べた料理だ。海老も入っていて、その素材の不思議さもあってすっごく印象に残った料理だった。後にどこかの本か雑誌か何かで作り方を知り、簡単さも嬉しくて時折無性に食べたくなる。そういえば母に食べさせた事はなかったなぁ……と作ることにしたのだった。

たっぷりの海苔を水でぐずぐずにペースト状にし、生クリームをだばだば〜っと注いで、焦がしたりしない程度に煮詰めていく。その間に、おかずの炒め物も準備。普通に炒め物をするときの倍量ほどのサラダ油を中華鍋に熱して薄切りにんにくを入れ、こんがりと揚げていく。美味しそうなきつね色になったらにんにくを引き上げ、油の残ったその鍋で乱切りにした茄子を"揚げ炒め"みたいな状態で火を通していく。適当に柔らかくなったら茄子は皿に盛り、続いて薄切り牛肉を同じ鍋でこんがりと焼きつける。これまた火が通ったら茄子の上に積み上げるように盛りつけ、空になった鍋ににんにくを戻し入れ、日本酒をだばだばー、醤油をだばー、砂糖をんばー、といった感じに調味料を放り込んでこってりと煮詰める。最後に茄子と肉の上から、そのにんにくだれをぶっかけてできあがり。パスタがゆであがる前にそれができあがった。

海苔のクリームソースには火からおろす間際に柚子胡椒を小さじ1ほど放り込む。割と強めに、パスタを口にしたときに「ビリッ」とはっきりした刺激があるくらいが美味しいのだけど、さすがにそれだと息子に酷なので少々控えめ気味に。茹でたてのパスタとざっと絡めてすかさずテーブルに出した。

「え〜?クリームの、チーズの、白いスパゲティじゃないの?ぼくはね、それが好きなんだけどなぁ〜」
アメリカ麺が心の底から気に入ったらしい息子は、好きなものはアルフレッドソース(バターと生クリームのソース)であるとかマカロニ&チーズ(チーズこてこてマカロニ料理)であるとか(どちらもイタリア本国じゃ全然メジャーな料理じゃない……日本でも)だったりする。とにかく白っぽかったり黄色っぽかったりしてトロンと柔らかくクリーミーなソースがお好みだ。
こんなに黒っぽいすぱげてぃじゃなくてね……といった風情に、若干不満気にフォークを操っていた息子は、なんだこりゃ美味しいじゃーん、という表情に変わってがつがつと食べ始めた。今日は和風とも洋風ともつかない、ちょっと不思議な夕御飯。

息子ががつがつと食べちゃうのも無理ないほど、このパスタ料理は美味しい。海苔と生クリームが似合うというのもちょっと不思議な気がするし、何よりも柚子胡椒と生クリームが似合うというのがすごく謎。「柑橘系と牛乳系は今ひとつ相性がよろしくない」という印象が私には強いのだけど、煮詰めた生クリームがテラテラと光るソースから漂う柚子の香りはとても心地よい。塩気の決めどころがちょっと難しいパスタなのだけど(塩が少ないと、他のパスタ料理と比較して殊更にボケた味になる……)、今日は塩気もほどよく決まり、更にこてこて味のにんにく炒めおかずもあって味のバランスの良い夕御飯だった。
そして息子はパスタをお代わり。私の皿から分けてやったのだけど、そんなことならもう30g多くパスタを茹でておくんだった……。

9/11 (木)
近所で人気のチーズケーキ屋の品を買ってきてみる
ピザトースト
アイスカフェオレ

「明日の昼はね、同僚と一緒に食べに行こうと言ってるから」
と、今日のお弁当はいらないよん、とだんなから昨日のうちに言われていた。今日は息子1人分のお弁当。しかも今日は母の仕事も休み。じゃあ息子1人の分だけをちゃっちゃと作れば良いわよね〜と、30分で作ったお弁当はサンドイッチ。

バターロール2つを割ってバターを塗ってサラダ菜を敷き、1つには卵サラダ、もう1つにはツナサラダを詰めた。パンにふれないように隅に果物を少しだけ詰め、よっこらしょと幼稚園バッグに詰めこむ。もう息子はどんなお弁当でも残さずに食べてくれそうな状態に思われるので、母としてはすごく気が楽だ。卵とツナなんて俗な具じゃなく、テリヤキチキンサンドとかポテトサラダサンドにしようかなとも思ったのだけど、何より私自身がそれよりも卵とツナの組み合わせが大好きなので、「ま、そういうことで」と弁当準備は終了。

さて、朝御飯はどうすんべー、調理器具を洗いながら考える。なんだかパンが食べたい気分。しかもピザトーストが猛烈に食べたい気分。ピーマンと玉ねぎあるな、ベーコンもあるな、ピザソースも……ああ、ちょっとだけ残ってる、と冷蔵庫を覗き込み、でも食パンがないじゃん、と思い至る。私が数日前に買ってきた食パンは既に平らげてしまった。でも、台所には紙袋に入れられて棚のフックにぶらさがっている「アンデルセン 長期熟成食パン4枚切り」の袋が1つ。昨日、母が自分で食べるために買ってきたらしい、昨日からぷらぷらしている袋だ。

「4枚のうち2枚半とか使ったら……鬼かしら……」
と思いつつ、でもピザトーストの欲望は止められず、母の食パンをいただいて作ってしまった。ソース敷いて、ベーコンと玉ねぎとピーマン散らして、上からはピザ用チーズをたっぷりと。あとはじくじくと10分ほどかけて中まで温かくこんがりと焼いたらできあがり。
「おおー、ピザトースト、久しぶりー」
「チーズがね、ぴよーんって、なるんだよ」
だんなと息子の評判も上々で、今日の気温に負けない熱さの朝食だった。
母には、あとで「すまん」と謝った。ちゃんと代わりのパン、あとで買ってくるからね……。

今日もご機嫌に登園する息子、「仕事ヤだなぁ……」と苦笑いしながら出勤する我が夫。私は家で仕事したり、母はその私の背後で掃除機かけたり。
悩みとも言えないささやかな愚痴程度のものだけど、現在の私の唯一の苦しみは「幼稚園送迎バス前後の井戸端会議」の存在。子供を送り出した後、子供を迎えた後、同じバス停を利用するお母さんたちはよくしゃべる。しゃべり続ける。何十分でもしゃべる。たいした内容じゃなくてもしゃべる。息子や夫の事、近所の店の事、とにかくしゃべる。気味が悪いくらい、互いの家の事を把握している。
その人たちそれぞれはとても良い人だと思うし、仲良くしたいと思うのだけど……なんというか、その、濃密にできあがってしまっている「場」の雰囲気にはなかなか馴染めない。

毎日なるべく早く輪から抜けて帰宅するようにしているのだけど、それでもなんだかいまいち居心地はよろしくなく。……バスを使うの、止めようかしら。息子息子、どうしましょう。自転車通園に変えても良いかしら……。

「NEWYORK DELI」の
 デミグラスソースオムライス
 ピリ辛味ジャーマンポテト
麦茶

と、そういう次第で、ここ数日の私は朝からお疲れだったりした。
さすが私の母だけあって、というかその母の娘が私だというだけあって、母も私と同じく「井戸端会議なんて楽しいものじゃないわよね」と思う人。ここ数日の母は、ひどく私に優しい。

やさぐれつつ午前中ぐーたらしていたところ、一人でぷらりと図書館に出かけていった母が駅ビルでお昼御飯を買ってきてくれた。最近我が町で話題沸騰大行列中のチーズケーキのお店のチーズケーキと、デリのお総菜。デミグラスソースのかけられたオムライスとジャーマンポテトを半分こして食べた。
かなり赤ワインの香りが強いオムライスと、スパイスがこれでもかと効いたジャーマンポテト。その名も「NEWYORK DELI」というその店は、名前の割には分厚いパストラミサンドイッチなどは置いてなく、でも妙な"アメリカ風っぽくしているけどアメリカでそんなの売ってないよ……"的巻物お寿司類がパック詰めされて冷蔵ケースに並んでいたりする。ん、でも、大きなじゃがいもがごろんごろん入っているジャーマンポテトは旨かった。

いちじくのパン カマンベールチーズ乗せ
牛もも肉の冷しゃぶ&茹でブロッコリー おろし醤油
羽釜御飯
「R1/F」の
 ローストビーフのサラダ
 春雨と海老のサラダ
 きのこのサラダ
ビール

「Tio Gluton」のチーズケーキ
アイスティー

今度の週末が明けたら数日間の旅行が待っている。少しずつ食材整理を始めていて、「ややや、これがまだあると思ったのに」というものが冷蔵庫に存在していなかったりする。今日も、まだまだあんなものがあるに違いないと思っていたものが冷蔵庫内に見あたらず、明日のお弁当の仕込みと今日のメインディッシュを作ったところで作業が頓挫してしまった。サラダでも作りたいけど、これって食材がない。

「というわけで、牛しゃぶはあるのですが、なにかこう、おかずが足らんのです。サラダ買ってきて」
今から帰るコールをしてきてくれただんなに伝えたところ、閉店間際の駅ビルで気張って色々買ってきてくれた。3種類も買ってこいとまでは言ってないよー、と笑ってしまいながら、結局皆で全部平らげてるし。

少々残っていたいちじくのパンは温めてスライスし、カマンベールチーズの薄切りを乗せてビールの肴に。牛もも肉の薄切りは冷しゃぶにし、茹でたブロッコリーも添えておろし醤油で。あとは御飯。
寂しげな食卓だったけれど、だんながローストビーフのサラダやら春雨のサラダやら、色とりどりのサラダをあれこれ買ってきてくれたので一気に華やかな食卓になった。駅前であれこれ購入できると思うと、つい手抜き欲が沸いてきてしまう。よろしくない。

デザートには母が買ってきてくれた、チーズケーキ。「Tio Gluton」(ティオ・グラトン)という店である。調べたところ、大阪の「麦の穂」なる会社が運営するチェーン店で、全国まばらにぱらぱらーっと展開中であるらしい。最近マスコミにも登場するようになって、妙に人気が出てきているらしかった。東京では昭島にお店があるらしい。
更に調べたところ、同じ「麦の穂グループ」に「ガラムとマサラ」という店がある。千葉のデパート内、
「ガラムとマサラのカレーパンでーす」
「カレーパンでぇーす」
と、店員全員が唱和して売っているそこのカレーパンは以前食べたことがあった。なるほどなぁ……と、なんとなく納得してみたり。

行列するのも、ただ単に人気があるから……というだけではなさそうだ。なんでも「できたてを美味しく」とかいうコンセプトのために、オーダーされてからケーキをカットしてパイ生地に乗せ、1個1個ラッピングしているのであるらしい。1人の客をさばくのに時間がかかる。ゆえに客足がそこそこまばらでも混雑しているように見える……という仕組みになっているらしい。いくら「できたてを美味しく」でも、持ち帰って何時間もしてから食べるんじゃあんまりその効果はないんじゃないかなー、と思ったりしてしまう。

1個100円のケーキ。「1個」というより「1本」と表現するのが良さそうな、細長いケーキだ。一時期モスバーガーで売られていたケーキみたいな、スティック状。さくさくのパイ生地の上に、"しっとり"と"ふわり"の中間のようなベークドチーズケーキが乗せられている。10人も20人も行列する中で購入するのはちょっと馬鹿らしいけれども、ふらりと立ち寄ってすぐに買えるものだとしたらなかなか美味しいし、値段も手頃。それほど重い生地でなく、けれども空気を含ませまくってる頼りなさもなく、けっこう好みな味だった。この店が駅前にオープンしてもう10日以上。でもまだ相変わらず常に数人の客が列を作っているらしい。今までろくなケーキ屋がなかった(不二家くらいだった)我が町なので、なんだかみんな幸せそう。

9/12 (金)
鶏の塩焼き葱ポン酢 (夕御飯)
クリームパン
コーンマヨパン
牛乳

7月8月と纏まった休みを取ってこなかった我が夫の、遅い夏休みは明日から1週間ほど。夫の夏休みはイコール家族の夏休み。せっかく通い始めた幼稚園ということもあって非常に恐縮してはいるのだけれど、息子も来週1週間は幼稚園をお休みだ。私の仕事は、もしも発生したとしてもパソコンと電話回線さえあればどこででも可能な事だし、多分大丈夫。

それでは休み前の最後のお弁当ということで、とちょっと早起きして家族3人分の弁当を作った。お肉屋さんには、既に揉みダレで和えられた焼き肉用の牛肉などが売られたりしているけれど、あの化学調味料味は今ひとつ気に入らなくてあまり購入したことはない。でも、数日前、かなり安く売られていたその肉を見て、「……お弁当だったら良いかしら」と数百グラム包んでもらった。炒めるだけで調理完了の簡単牛肉。私とだんなには御飯の上に並べて丼にして、息子にはひとくちサイズに切ったそれをおにぎりの脇におかずとして添える。あとはきんぴらごぼうとタラモサラダ。食材処理も兼ねているので冷蔵庫内のものを適当に使って適当に作ったところ、彩りいまいちな外見になってしまった。とほほほほ。

朝御飯は、ちょっと久しぶりな菓子パン類。クリームパンにチョコパン、コーンマヨパンにウィンナーロール。塩気系(というか甘くない系)のパンは基本的にあっためて食べる方が美味しいものが多いので、コーンマヨパンとウィンナーロールはオーブンでこんがりと。1日1パック半は消費される牛乳を家族全員がぶがぶと飲みながらパンを囓った。

「……あれぇ??」
牛乳でヒゲを作った息子が、食べはじめてすぐに泣きそうな顔になっている。なになにどーした?と覗き込むと、
「あのね……チョコじゃない……チョコじゃないよ!」
彼のために買ってやったチョココロネを、息子はこちらに向けてきた。見ると、コロネの太い部分(開口部?)、チョココーティングがどっぷりと覆うようにされているのだけれど、その奥からはチョコクリームではなくカスタードクリームが覗けていた。てっきりチョココロネだと思ったのだけど、どうやらそれは"チョココーティングつきクリームコロネ"であったらしい。……ありゃー、そりゃ、サギだねぇ……と、私は苦笑いしてしまったのだけど、息子は本気泣き。チョコじゃないよ、チョコがよかったんだよ……と朝から不機嫌な息子だった。

チョコと言えば、あの安っぽい紙製のケースに入ったチョコペーストの味がけっこう好き。あのシリーズのピーナツバターとかイチゴジャムもさりげなく「なつかしの味」だったりして、見かけるたびについ購入したくなってしまう。

おうちで弁当
 カルビ焼き丼
 きんぴらごぼう
 タラモサラダ
麦茶

一人の昼間。今日は特にやることがなかったので、午前中はプール。帰宅後、ふと思い立って四夜連続一気放送したときに録画してあった「新世紀エヴァンゲリオン」のTV版ビデオ(しかも終盤の人類補完計画がなんだというあたり)を流しながら京極夏彦の『陰摩羅鬼の瑕』を読む。死がなんだ生きるってなんだ補完がなんだ妖怪がなんだと、かなり嫌な感じに頭がぐちゃぐちゃになり、悪酔い状態になった。……どっちか片方にしておけば良かった、せめて『陰摩羅鬼の瑕』のバックミュージックにエヴァンゲリオンは止すべきだった、と思っても遅かった。悶悶とする。我ながらバカオロカ……。

美味しくお昼御飯を食べる時間に変に悶悶としているのはよろしくない、と、みのもんたの顔を見ながら(←それもまたある意味不健康な気が……)お昼御飯。だんなも息子も違う場所で、おそらく似たような時間帯に同じおかずのお弁当。ほんのり下卑た味の焼き肉丼、ちょっと醤油味が強めな甘辛きんぴらごぼう。火を通したじゃがいもには茹でとうもろこしと茹でタラコをほぐしたものを加え、マヨネーズで和えた。

"レンジで××する○○"な商品は買ってもきりがないし、なかなか使いこなせないしであまり買わないことにしているのだけど、つい先日どーしても気になって買ってしまったのがキチントさんの「レンジでつくる温野菜」。たまたま2割引セールをしている薬局で見かけて買ってきた。プラスチック製の器と内ザルと蓋のセットで、なかなか便利。おひたしを作るとき、じゃがいもに火を通すとき、かぼちゃを柔らかくするときなどに格段に楽ができるようになった。

鶏の塩焼き葱ポン酢
グリーンサラダ
卵ペースト・ツナペースト
食パン
ビール

夕食用の肉か魚を買ってこようと思っていたのに、うっかり午前中の外出時に買ってくるのを忘れてしまった。仕事帰りの母の携帯に連絡を入れ、
「今晩のおかず用の肉か魚買ってきて。安いお魚があったらそれが嬉しいんだけど」
と伝えてみる。そしたら、鶏肉を買ってきてくれた。
「魚、良いのなかった?」
尋ねると、あっさりと
「だってね、私、やっぱり魚って苦手みたいなのよ。お肉がいいわ」
とのこと。齢60を越えたというのに、母はくっきりはっきり肉食だ。私も魚食よりは遙かに肉食寄りだという自覚が多分にあるけれど、それでも、現在の家族の中で煮魚が一番好きなのはきっと私。そして次に息子。母もだんなも、煮魚に対しては割とはっきりと「苦手」という意思表示をしてくる。サバ味噌とかカレイの煮付けとか美味しいのに、だからなかなか作れないのだった。

たまにはレタスのサラダを作って……と、買ってきてもらった鶏肉を前にして夕食の思案をし始めたところで、だんなから「遅くなるよー」と電話があった。休みの前の最後の仕事日なので、色々と大変であるらしい。では、と、ごく簡単に準備してごく簡単な食事にしてしまった。

レタスと玉ねぎとキュウリとパプリカ、プチトマトを合わせた具沢山のサラダ。鶏肉は塩をしてフライパンがガーッと焼き、焼いている間に万能葱をたっぷり刻んでおく。焼き上がった肉に葱を乗せ、ポン酢をうりゃーっとかけたらできあがり。冷蔵庫内にサンドイッチ用の卵ペースト、ツナペーストの残りが少量あったので、食パンに添えたりサラダに添えたりしつつそれも消費することにした。

「なぁに、これ?鶏肉を焼いて?ポン酢だけ?なんの工夫もなく?ポン酢だけ?」
「えーえー、ポン酢だけですよ。なんの工夫もなく。……鶏に塩はしたけどね」
料理下手というほど下手ではないのだけれど、「なにしろ料理がキライでね」という母は、確かにレパートリーはすごく少ない。料理がキライだから料理本を見たりすることもなく、だから新しい料理に挑戦することもここ20年くらいしてないんじゃなかろうか。私はこんなの作らなかったのにね、なんて言いながら、私の作る料理で気に入ったものについてはあれこれ質問を重ねては覚える努力をしているらしい。母に私が何かを教えるようになってしまったなんて、なんだか不思議。

9/13 (土)
ベトナム麺を食べに行く (昼御飯)
「551蓬莱」の豚まん
アイスプーアル茶

「おかーさんのパソコンがこわれちゃったらね、ぼくのパソコン、見せてあげるね」
横でごにょごにょ呟く声で目が覚めた。あーん?と横を見ると、息子が完全起動した光輝く目でこちらを見ている。見せてあげるからね、見るだけだからね、とか言いつつ近づいてきた後、「のど乾いた」と牛乳を催促。なんだかよくわからない週末の幕開けだった。息子のパソコン見せてもらっても……オークションで中古のを落札して使わせている息子の旧式パソコンじゃPhotoshopあたりは動かないんじゃないだろうか。ていうかWordもExcalも何にも入ってないし(ゲームとネットサーフィンくらいしかできない)。

朝御飯は、最後の残りの「551蓬莱」の豚まん。名残おしげに、今日はソースも醤油もつけずに食べる。高級中華料理店の「肉まん」のような、肉がとにかくムチムチとたっぷり入って椎茸やらその他野菜もさりげなく華やかに入って……というものよりは、かなりジャンク寄りの味の「豚まん」なのだけど、それがどうにもクセになる。先週の今日、だんなが10個買ってきてくれた豚まんは今日で綺麗に無くなった。

それにしてもここのところ、毎日毎日すごい暑さ。9月にもなればそろそろ温かいお茶を飲みたい気分にはなってくるのだけど、気温がそれを許してくれない。
「アイスプーアル茶って、美味しいのよね」
「暑いときには格別よね」
と、氷をみっちり詰めたピッチャーに濃いめに淹れたプーアル茶をだばだば注いでキンキンに冷やしてから飲む。最近ペットボトル飲料業界でもプーアル茶ものが出るようになったけれど、飲みやすいようにとあれこれ他の茶葉がブレンドされているようで、今ひとつ物足りない。あのカビ臭さというか埃臭さというかな匂いが美味しいのになぁ。

津田沼 「Chao Bietnam」にて
 ランチセットB
 (フーティユ(ミニサイズ)・鶏肉の炒め&ライス・海老生春巻・サラダ)
 マンゴージュース

先だって、息子の幼稚園登園準備に地獄の手芸大会を繰り広げたのだけど、よく考えたら毎日使う布製品だと「替え」が必要なのである。特にランチョンマットあたりは非常に汚れやすい用途に使用されているブツなので、非常に危険なのだった。
「……もう1セット作ってやるか……そのうちに。できるときにね」
と、津田沼にある巨大手芸用品店「ユザワヤ」に皆でぞろぞろとお買い物。

「ほらほら息子、コカ・コーラの布があるよー」
「ピカチュウがいいなー」
「ウルトラマンもあるよー」
「ピカチュウでいいなー」
「ほらほら、ONE PIECEだよー。お母さんはゾロが好きなんだよ(聞いてない)」
「ピカチュウがいいの!」
何がなんでもピカチュウものでなければいけないらしい。どのみちキャラクターものの布はどれも似たようにお高いのである。リクエスト通り、ピカチュウ満載の布と色合いが似たデニム生地とを合わせて買ってみた。

「僕は安売り洗剤をゲトーしてきました。仕事で使う用の小物も買えたし」
という、別行動をしていただんなと合流してお昼御飯。
津田沼パルコ内にあるベトナム料理屋さんの生春巻がなかなか美味しいらしい、という話を以前いただいたことがあったので、
「あ〜、フォーが食べたいかも」
「この暑さだし、スパイシーなの、いいよね」
とその店を目指してみた。チャオ・ベトナムという、フロアの隅っこにある可愛らしいお店だ。

ランチセットは、麺と春巻とサラダのセット、及び麺がミニサイズになりおかずと御飯がプラスされたセットの2種類。だんなは麺メインのAセット、私はおかずつきのBセットにした。息子はミニサイズのベトナム風チャーハン。

澄んだスープは、説明によると「とんこつスープ」なのだとか。化学調味料っぽい味の塩気が少々強めのスープには半透明の平麺がたゆたっている。具はニラと海老と香菜。そうそう、この独特の匂いがフォーの香りよね、と久しぶりのベトナム麺を楽しんだ。海老入りの生春巻には砕いたナッツを散らしたピーナッツ味の甘辛ソースがついてくる。香菜の香りがぷんぷん漂うキャベツがメインのサラダに、今日のおかずは鶏肉をスパイシーに焼いたもの。

日本・ベトナム間よりアメリカ・ベトナム間の方が物理的にはずっと遠いはずなのに、アメリカのベトナム料理屋の味は驚くほど本格っぽいものだった。やはり移民の国だからなのか、南部の片田舎の町だったのにプチベトナム人街が存在していて、そこにはベトナム人のおやじたちが昼間っからたむろってしまうような怪しい空気の漂う店もあったりした。麺とは別に平皿に生のモヤシやニラや唐辛子、山盛りの香菜に枝付きのバジルなんかが添えられて、ライムをぎゅうぎゅう搾りながら食べる"フォー"は、驚くほど美味しくて感動した記憶がある。「食べた時の、アジアの麺への飢え具合」とか色々な要因があるとは思うけれど、今日食べたベトナム麺は、あの時のそれと比べるとかなり日本人の舌に合った味。適度に異国感があるけど、とても食べやすい。生春巻に巻かれているのもバジルと香菜じゃなくてシソだったりするし。
決して不味いわけじゃなく、前向きにちゃんと美味しい料理だったのだけど、あの独特の香りのバジル(イタリア料理とかで使うスイートバジルとは、またなんだか違う品種みたいなのよねぇ……)がもりもり使われているような本格ベトナム料理が食べたいなぁ。

カジキマグロのハチミツだれ丼
厚揚げの葱挟み焼き
スナップえんどうの味噌汁
ビール・アイスプーアル茶

今日は魚を食べるのよ、絶対魚なのよ、と、夕飯は鼻息荒く、魚屋さんで買い物してきた。だんなは放っておくと肉屋に直進してしまうし、母も「魚か肉かをお願い」と頼むと間違いなく肉を買ってきてしまう。だから私が魚を買うの、と、魚屋の特売コーナーを覗きつつ歩いた。秋刀魚は相変わらず安い。イカも大量に。金目鯛もざく切りのそれが1尾900円くらい。どれもちょっと違う気分なのよねぇ……と歩き、カジキマグロ4切れ480円のパックと目が合った。なかなかお安い。

「カジキマグロかぁ……」
「おゆきさん、アレがいいな、バター醤油のアレ」
いつ作ったのかさっぱり忘れてしまったのだけど、以前カジキマグロの丼料理を作ったことがある。だんなはその時の料理がいたくお気に召したようで、時折「カジキマグロのアレが食べたい」と言っていたのだった。確か、ケンタロウさんの料理本で見かけた料理。フライパンでカジキマグロの切り身をこんがりと焼きつけ、最後にバターと醤油とハチミツで絡めてタレにし、御飯にタレごと魚を乗せて軽く刻み万能葱を散らして食べる、というもの。バター大さじ3に醤油大さじ2、ハチミツは小さじ1、そんな感じの調味料の配合だった。砂糖よりもテリが出るような、あのトロ〜ンとしたハチミツの甘さが妙にバター醤油の風味や焼き魚の香ばしさに似合って美味しいのだ。で、夕飯はそれに決定。

ビールの供には厚揚げのオーブン焼き。厚揚げを適当に切り、厚みを半分にするように切り込みを入れ、刻み葱とおかかと醤油を混ぜ合わせたものを挟み込んで、こんがりと焼く。オーブンじゃなくても焼き網でもフライパンでも焼けるのだけど、コンロがふさがってしまったので今日はオーブンで熱されていただく。冷蔵庫内のスナップえんどうも食べてしまおうと味噌汁にし、ここ数日の私の念願だった「お魚夕食」にありつけた。

今日の夜はスカパーでアメプロの夏の祭典「サマースラム」の放映が。
「ああ……とうとう……」
「とうとうペイパービューにまで手を出してしまった……」
「これだけはやるまいと思っていたのに……」
「高いのに……」
と呻きながら、マッチョマンたちの戦いをおおいに観戦したのだった。やっぱりアンダーテイカーさんは素敵。
「ぎゅうにゅう飲むと、おっきくなる?」
しょっちゅう聞いてくる息子に
「大きくなるよー。アンダーテイカーみたいになるよー」
と力強く答える私だった。

9/14 (日)
山盛りうどん、とにかくうどんの夕御飯
ピザトースト
アイスカフェオレ

近所の駅ビル(というか高架下ショッピングモール)に、パン屋さん「アンデルセン」がオープンしてから早や2週間。昨日通りかかったときに、食パン1本を4枚切りの厚さにスライスしてもらった。
「ピザトーストがいいな。ピザトーストがいいよ」
と、だんなはピザトーストに御執心。私も嫌いじゃないけれど、だんなは殊更にピザトーストが好物らしかった。

で、9時過ぎに一家全員が起床した本日日曜日、起きるなりピザトーストの準備。厚切りパンにピザソースを塗り、薄切り玉ねぎと細切りピーマンと角切りベーコンをまんべんなく散らす。シュレッドチーズをみっちり広げたらしっかり中までアツアツになるまでオーブンへ。息子も、葱類とピーマンはあまり好物ではないくせに、ピザトーストなら何故か問題ないらしい。

一昨日あたりから一度もクーラーの電源が落とせないほど今日も引き続き暑い中、アイスカフェオレを傍らにチーズをぴよぴよと伸ばしながら3人でピザトーストを盛大に食べた。ピザも良いけど、ピザトーストも格別なのよね。

「モスバーガー」の
 フレッシュバーガー
 オニオンリング&フライドポテト
 山ぶどうソーダ

"CD-ROMラベル印刷機(インクリボン使用の単色印刷機)で、WWEのマークを赤と黒で美しく2色刷りにする"
という、よくわからない作業をだんなにリクエストされてやっている間(昨夜見たペイパービュー番組を美しくDVDに保存しておきたいのだそうで)、そのだんなは近所にお買い物に出かけていった。当初の予定では「昼食はラーメン」だったのだけど、暑いし昨夜の予定はうどんなので麺続きになっちゃうしで、急遽モスバーガーに変更。出かけついでに、買ってきていただいた。

サウザンアイランドに似たオレンジクリーム色ソースが挟まる、レタスやトマトががっちょり入るフレッシュバーガーは、かなりお気に入り。何も考えずにモスバーガーのカウンターの前に立つと、ほとんど無意識にオーダーはテリヤキチキンバーガーかフレッシュバーガーのどちらかになってしまうほどの好物だ。今日もモスチーズバーガーにしようかロースカツバーガーにしようかとあれこれ考え、結局フレッシュバーガーに。いつものオニオンリングつきのセットに、いつものソーダ。

ポテトをぽりぽり囓っていて、唐突に
「……あ、ケチャップが欲しいかも」
と思った。いつもケチャップをつけているわけではないけど、今日に限って唐突にそんな事を思い、でもめんどくさいな、とちらりと冷蔵庫を見やる。と、私のその行動と何秒も違わずにおもむろにだんなが立ち上がり、小皿を手にとってケチャップを絞り出してテーブルに持ってきた。私は一言も何も言っていないのに、目の前にケチャップ。

「……え?あれ?なんで?」
「いや、ケチャップが欲しいなー、と思って」
「……私、ちょうど今そう思って"動こうかなー、どうしようかなー"と思ってたんだけど……うん、ありがと」
今日も夫婦間電波が絶好調ということらしかったけれど、今日に限らず、私はだいたい発信主体でだんなが受信主体になっているような気がする。だんなの電波も受け取ってやろうと日々構えているんだけど、どうも私が負け気味で悔しい。めんどくさがってないで、思ったらすぐにケチャップ取りに動いていれば良いことなのだ、多分。

かしわざる
ビール

今日の夕飯は「かしわざる」ということに、一昨日あたりから決定されていた。というのも、木曜日、だんなが築地で生うどんを5人分も買ってきたから。
店の名前は「ザ・うどんや大将」というらしい。
「昼にね、築地行って食べてきたんだよ。セルフの店じゃ、かなりイケる讃岐うどん屋でさー!で、で、店頭で"5人前生うどん、通常価格1000円のところ、今なら500円!"って売られていて!こりゃ買いでしょ?しかも消費税なし!」
帰宅するなりべらべらとよくしゃべる我が夫。「ちょっと聞いてよー」という、その顔はおじさんなのに動作はおばさんだ。

もうね、絶対かしわざる、かしわざるに決定!となにやらわくわくしているので、今日の夕飯に皆で啜ることになった。何故か担当は明確に別れていて、だんなが「だし作成担当」及び「うどん茹で担当」、私が「揚げ物担当」である。今日の午前中、早い段階からせっせといりこと鰹節その他諸々でだしを取り、昼過ぎからは冷蔵庫できっちり冷やされただしが用意された。私は夜、食べ際にせっせと鶏肉の天ぷらを作っていく。足りないよりは余るくらいでいいよね、と鶏もも肉3枚を天ぷらにしたら大変な量になってしまった。しかもうどんも大変な量になっている。

うどんに添えられた説明ペーパーによると、1人分は120gとのこと。それが5人前なので600g程度が袋に入っているはずだったのだが、試しに計ってみると1kg以上も入っている。まぁいいか、茹でちゃえ茹でちゃえと鍋に放り込んだが、4人で食べるにこれはちょっといかがなものか、な分量になってしまった。母がかなりあきれ顔でテーブルを眺めている。

「好みで葱かけてー、胡麻かけてー、生姜なんかも入れてー、どうぞ食べて。天ぷらはそのまま食べてもいいし、だしにつけながら食べてもいいし」
と、「讃岐うどんって……初めてかも」という母にレクチャーしながら「いただきます」。だんながせっせとアクすくって鍋に張り付いて作ってくれただしは、関東じゃ滅多にお目にかかれないようないりこ風味ぷんぷんの、香川の風が感じられるようなもの。そうそう、このね、舌の根にじんわり広がるいりこ味がたまらないのよねぇ〜、と身もだえしながら太くごつい麺をせっせと啜った。確かにかなり本格な麺。どっしり重めで、断面がシャキッと四角く、気持ちの良い麺だった。やっぱりどう見ても5人分どころの騒ぎじゃない。

だんなと私はもとより、息子も母もせっせとずるずる食べていき、うどんは綺麗に消費された。さすがに天ぷらは少々余り、明日に持ち越しに。
うどんは……危険なのだ。食後に腹の中で水吸って、もこもこもこもこと増量していって……。