食欲魔人日記 00年9月 第2週
9/4 (月)
胡麻入り卵焼き
2日目の豚汁
御飯
麦茶

麗しの2日目の豚汁。味のなじんだ2日目の豚汁は、朝食で最も高い位置を占めるものである。たかが豚汁、されど豚汁。
「目玉焼きする?」
「いーや、豚汁には卵焼きでしょう。」
と何事も豚汁主導で料理は決まる。豚汁に合わせて卵焼きを作る私。

フライパンに胡麻油を薄く引き、だしと醤油、塩に砂糖を少々加えた卵液を流しながらパタパタと畳む。銅製の卵焼き器も欲しいは欲しいけど、フライパンでも割とまともに焼けるのだ。胡麻油を敷いては卵液を流し、固まりかけては胡麻をふって畳み、卵3個でたっぷりの卵焼きが出来上がった。

本日の朝の主役、豚汁様を前に置き、刻み葱をふって食す。
薄切りにした豚バラ肉がヒラヒラと漂っちゃうような、ちょっと下世話な豚汁だけど、それが良いのだ。

銀座 十石の
 いくらおむすび
緑茶

今日は涼しい。「天高く馬肥ゆる秋」は目前だけど、秋ならずとも春夏と肥えてきた私はこれ以上肥えてはいけないのであった。
「ダイエット、するよ。するかんね。絶対頑張るかんね。」
昨夜、だんなを前にちょっと誓ってみたものだから、今日の昼は控えめにしてみる。おむすび専門店「十石」にていくらおむすびを1個購入。緑茶の缶詰を買い、パリパリと包み紙を剥がしてこれを食べる。
ちょっと冷たい御飯に生のイクラがごろごろ。イクラには酢飯が合いそうにも思うけど、普通の御飯でもなかなか美味しい。

まぐろの山かけ
コールスローサラダ
豚汁
とろろ御飯
麦茶

だんな激ジョブで、息子と二人の夕御飯。
昨日、安売りしていたマグロ赤身のサクを買ってきた。
早速本日ダシを取り、煮きり醤油と味醂を加えて"づけ"を作成。刻みキャベツでコールスローサラダを作り"これでオッケー"と思っていたところ、冷蔵庫の底からちょっと前の山芋が発掘されてしまったのであった。これは喰わねばなりますまい。

「とろろ御飯かな?まぐろの山かけかな?」
と方向の定まらないまま山芋をうりゃうりゃとすり下ろし、すりばちでゴリゴリとしながらだしと醤油で伸ばしてみる。
方向の定まらないままテーブルに並べて、結局まぐろと御飯の両方にとろろをかけて喰ってる私。あっちもネバネバこっちもネバネバ、何だか大変な状況になってしまった。ま、トロロ好きだし。

9/5 (火)
まぐろのづけ
3日目の豚汁
とろろ御飯
麦茶
多田克彦の焼きプリン

昨夜遅くに帰宅して、とろろも"づけ"も食べられなかっただんなの為にずらりと昨日のおかずを並べてみる。とろろとマグロ、御飯。そして今日のメインも豚汁。しかも3日目の豚汁だ。

2日目の豚汁もかなり愛しいが、3日目は殊更だ。大根もにんじんもすっかり角が取れてやわやわとなっていて味噌色に染まっている。豚肉の塊がほとんど無くなってるのは残念だけど、ヒラヒラしたかけらを発見するとそれもまた嬉しい。煮詰まった味噌の味は上品とはとても言い難いけど、でも美味しいんだからしょうがない。
うやうやと残り少々の豚汁を皆で分け、食す。刺身まであるなんてなんか贅沢な朝御飯のようだ。

デザートにスーパーで100円特売していて思わず目が輝いてしまった"多田克彦の焼きプリン"。多田克彦が何者なのかはとんと存じ上げないけれど、彼の名を関した乳製品はどれも美味しい。ちょっと大きめな焼きプリンを1人1個、わくわくといただく。

……でも、どうも朝から体調の悪い私。プリン喰ったら治るかなと思ったけどどうも治らない。ムカムカと吐き気が続いて、結局戻してしまったのであった。あああああ、私のプリンが……勿体ない……大ショック……。

チャイ山盛り

私の胃袋から出ていってしまったプリンを惜しみ、それがショックで本日はおとなしく家で養生する。
確か、腹下しには熱いミルクティーを大量に飲むのが良いと聞いた。腹はくだしてないけど「消化器系がくたびれてんだから一緒よね」とわけわかんない理由でミルクティーを御飯代わりにひたすら飲む。

大きな鍋に少々のお湯を沸かし、アッサムのお茶っ葉入れてフツフツと煮出し、牛乳をこれでもかとたっぷり入れてミルクティーに。砂糖も入れてスパイスも入れて、甘くほのかに匂いのあるチャイをたっぷり作る。大きめのボール状の器に入れてぐびぐびと2〜3杯飲み込んだら良い感じに汗が出てきた。ああ、これに似合うバナナケーキなんかあったら最高なのに。生クリームつけてね。(←食欲はあるらしい)

肉たまごうどん
麦茶

体調不良なのに、今日もだんなはお仕事で遅いのである。しょぼーん。

で、一人悲しく調理する。さっぱりと、肉うどんなどを作ってみる。
かつお節で取っただし汁を少なめに用意して、醤油と味醂と塩でちゃかちゃかと濃いめに味をつけ、薄切り豚肉をこってり煮含めてみた。卵も入れて半熟状にし、茹でたてのうどんにひたひたになるくらいにつゆをかける。肉ごろごろ、卵もごろり、良い感じになった。
何だか、こうして作ると妙に"うどんは病人食"っていうような気がしてきてしまうから不思議。ぶっかけ食べたりするときは全然思わないのになぁ。

9/6 (水)
冷凍エビピラフ
アイスカフェオレ

「御飯なーい」
「パンもなーい」
で、冷凍庫からエビピラフを発掘。私がベッドの上でボケボケと寝ぼけている間に、だんながちゃっちゃと炒めてくれた。
1袋のピラフを家族全員で分け合って食す。牛乳、カフェオレ、アイスコーヒーをそれぞれ前にして。

バターの匂いが漂うエビピラフは、やっぱり冷凍ピラフの味がした。海老コロコロ、野菜もコロコロ、独特のコンソメのような味にほのかに漂う冷凍庫の匂い。たまにはいいかなぁ〜と思いつつがつがつ食す。

づけ丼
麦茶

どうやら風邪らしい私の体調不良に加えて、とうとう息子まで発熱してしまった。半ば野戦病院と化した我が家で、病人の大人一人と子供一人がづけ丼を食す。

何か作る気力のない時に、"づけ"が冷蔵庫に入っているのはありがたい。マグロのづけを何枚か御飯の上に並べ、タレを少々かけて、揉み海苔をたっぷりふって胡麻ふって、中央にワサビ乗っけて食べる。1分で出来るような料理のくせに充実感があるのがとても嬉しい。
ガツンとワサビ効かせて大盛り1膳のそれを平らげたら、なんとなく元気になった。

回鍋肉
揚げ茄子のおろし醤油
ニラ玉の豚スープ
御飯
モルツ、麦茶

美味しいものを食べたいなぁ……と思い、一念奮起して料理に取り組む。大根やら茄子やらキャベツやら台所に並べ始めると、料理する気力も沸いてきた。

先日から"食べよう〜"と言い続けていた回鍋肉を作成。それ用に買ってきたのに他の料理に使って目減りしてしまった豚バラ肉を近所のマーケットで買い足して、塊のそれをグラグラと茹でる。茹でた茹で汁はスープになる。スープは取れるし美味しいし、回鍋肉はやっぱり塊肉を使うに限る。

茹でた豚バラを3mmほどの厚さにスライスして、そして別途キャベツとピーマンを湯通ししておく。で、ガンガンに熱した中華鍋に刻み生姜と刻みにんにくをぶっこみ、豆板醤もぶっこみ(本当は大さじ1とか入れるらしいけど辛いの苦手な我が家は耳掻き2杯ほど)、肉をざざっと炒めて野菜も入れてざざっと炒めて、合わせだれをぶっこんで3回ほど鍋振り回してから水溶き片栗粉でとろみをつければできあがり。"回鍋肉の素"なんて市販のパックを買ってこなくてもそんなに難しい料理じゃない。スープ大さじ3、醤油大さじ2、砂糖と酒と甜麪醤各大さじ1、胡麻油とオイスターソース各小さじ1、塩に胡椒、それを合わせれば回鍋肉の味になる。
今日の回鍋肉はちょっと汁っぽいものになってしまった。まぁ、いいか。

ついでに余り茄子を少しの油で炒め揚げにする。大根おろしと醤油を用意して、これは酒の肴になる。
スープはニラとししとう、卵を入れて中華風のスープに。うむ、今日も美味しそうな食卓になった。甘辛い味噌味の回鍋肉は御飯もビールも進む進む。ビールを2缶、御飯を2膳平らげて、すっかりシアワセになってしまったのであった。

さて、前回からこっち、半年も経ってしまったけれど今更ながら「私の好きな道具たち」第2段。


【私の好きな道具たち − 胡椒挽き】

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うちの料理に"挽きたての胡椒"は必須だ。サラダにガリガリ、炒め物にガリガリ。ホールの胡椒を買ってきて、黒いやつをガリガリとふる。これが香ばしくてたまらない。挽きたての胡椒の香りは、なんだか料理が上手いような幻想も抱かせてくれる。

で、これは何かというと、「片手で挽ける胡椒挽き」。
これまで我が家には木製の、左手で支えて右手でガッシュガッシュと蓋部分を回すタイプの胡椒挽きがあった。これって卓上で使うには良いけど、"炒め物しながら胡椒挽く"とか"片手でハンバーグ生地練りながら挽く"なんて時には非常に困難だ。で、これ。

右手で作業しながら、左手で黒いレバー部分を握るだけで胡椒がガリガリと挽けてしまう。しかも挽く細かさもダイヤルで調節できてしまう。さらにさらに、上部には塩が入れられるので、逆さにしてふれば塩もふれてしまう。何ともイカす道具だ。もうこれなしには料理できない。

同じ会社からウサギの顔を模した、耳部分がバーになっているタイプのも出ているけど、場所取らないこっちのほうが私は好きだなぁ。ウサギもまた、妙にキュートではあるんだけど。


9/7 (木)
づけ丼
ニラ玉の豚スープ
海苔の佃煮
アイス烏龍茶

今週頭に作った"づけ"で最後のづけ丼。もう数切れしか残っていないそれを、だんなと分け合って海苔ふって胡麻ふってワサビ添えてサラサラと食す。づけが足りない分は、海苔の佃煮を出してきてそれをおかずにサラサラと引き続き御飯を食す。
昨日のスープに冷蔵庫にたっぷり作ってある烏龍茶。それだけあればシアワセなものである。

そう、我が家では飲み物はすべからく自宅で作られるものと決まっている。さすがにコカコーラやスポーツドリンクは作れないので必要があれば買ってくるけど、お茶やコーヒーは滅多なことが無ければ買うことはない。麦茶も烏龍茶も水出し用のパックで作り、アイスコーヒーもアイスティーも自家製で夏場は常備されている。どちらも粉末の豆やお茶っ葉を水に入れて常温で8時間ほど放っておけば美味しいやつができてしまう。ペットボトルより安くつくし、何よりこちらの方が美味しい。美味しいんだから作らなきゃソンだ。

シカゴピザの
 グランドパイレーツとテリヤキキングのハーフ&ハーフ
 クリスピーフライドチキン
 ハッシュドポテト
コカコーラ

今日はだんなも私も休んで家にいる。息子の発熱を理由に、お互いに会社に"明日休みます"と昨日言ってしまっていたのであった。今更行くのもなんだしね〜、と息子の看病がてら家でごーろごろすることにする。
ごーろごろ今月の『ダ・ヴィンチ』を読み、『dancyu』を読む。ゲームしたりインターネットサーフィンしたり。昼食はピザで簡単に済ませることにした。

平日の昼間に配達してくれるピザ屋というのが案外に少ない。数店のメニューをめくりめくり、シカゴピザに頼むことにした。魚介入りの"グランドパイレーツ"とテリヤキチキンピザのセット、フライドチキンにハッシュドビーフ。
氷をたっぷり入れたグラスと取り皿を用意して届いたばかりのピザにかぶりつく。甘ったるい醤油だれとマヨネーズのかかったテリヤキチキン、イカやら海老やらが乗ったグランドパイレーツ。ハッシュドポテトにはたっぷりのケチャップをつけつつ食べる。手も口も油でギトギトにしながらコカコーラを飲み干すと満腹になった。

さんまの塩焼き with 大根おろし・すだち
ししとうの塩焼き
切り干し大根の煮付け
玉ねぎと油揚げの味噌汁
御飯
モルツ、アイス烏龍茶

とうとうサンマの季節がやってきた。スーパーではぷりぷりしたサンマが1尾150円で氷漬けになっている。目もキラキラしていて良い感じのサンマだった。早速買ってきて塩焼きにすることに。

サンマがメインの献立ということで、今日は和食一辺倒。こってり煮含めた切り干し大根とにんじん、油揚げの煮物にししとうの塩焼き。味噌汁はワカメと油揚げと予定していたけど、ワカメを切らしていたので急遽玉ねぎと油揚げに。

御飯も炊けたところで、サンマをグリルでじくじく焼き始める。数分おきにグリルの窓から中を覗き込みながら強火でガンガンサンマを焼く。皮全体が良い感じの焦げ色になって、何ヶ所かが油でぷくーっと膨れてきたらひっくり返す。また窓から覗き込み、裏側もぷくーっとなってきたところで急いで盛りつけ食卓へ。長皿に溢れんばかりの長身のサンマの脇に塩焼きししとうと大根おろしと半割のすだち。すてきだ。

今年初めてのサンマはまだちょっと脂の乗りが少ないような感じではあったけどフクフクで旨かった。すだちたっぷり絞って、大根おろしもつけつつ食す。ビールにも合うけど御飯にもサイコーに合う。パリパリになった皮のところがまた美味しくて、頭と骨とワタだけを綺麗に残してサンマは消えた。秋の燒き魚、美味しいなぁ……。

ところで本日の「どっちの料理ショー」は回鍋肉VS麻婆茄子。我が家の昨日の夕食は回鍋肉。
「おおお、期せずして話題を先取ってしまったぞ!」
「やっぱり私たち、時代の先端行ってるって感じぃ?」
……行ってへんて。先端。

9/8 (金)
切り干し大根の煮付け
玉ねぎと油揚げの味噌汁
卵御飯
アイス烏龍茶

私の体調も万全。息子の発熱も収まった。……でも、息子には熱を出し続けていただいて、ちょいと夫婦で遊びに行っちゃおうかと不届きな計画を立ててしまう私たち。すまん息子すまん保育園すまん会社。でも9月の平日のナンジャタウンなんて、とっても空いていそうじゃないですか。

で、そそくさと朝御飯。昨日の残りの煮物と昨日の残りの味噌汁を並べ、御飯には生卵ぶっかけてうりゃうりゃと食べる。腹を飯で満たしてお茶を流し込んだらいざ出発。10時開園の池袋はナムコのテーマパーク「ナンジャタウン」に出かけていく。

池袋ナンジャタウン 満福軒にて
 ライスカレー
 特製ブタマン

9月平日のナンジャタウンはガラガラだった。赤外線銃でゴーストを打ちまくり殺虫剤で殺人蚊を退治しまくり園のキャラクター"ナジャヴ"を抱えて強盗殺人の犯人を推理したり、遊ぶ遊ぶ遊ぶ。

お昼は、「福袋7丁目商店街」という昭和30年代のレトロな町並みを再現したエリアの一角、「満福軒」というラーメン屋にて食す。ここのチャーシュー麺は昔懐かし町のラーメン屋という感じのラーメンで、何というかしみじみと旨い。並んだりする程の味じゃないけど、ここに来たらなんとなく食べたくなってしまうのだ。で、だんなはそのチャーシュー麺とブタマンのセットを、私は「ライスカレー」と壁に書かれていたチキンカレーを注文。ほどなくお皿にどかんと乗せられて来た巨大なブタマンをだんなと半分こしてはぐはぐと食す。

で、ライスカレーは小麦粉たっぷり、もっさりどっしりしたドロっとしたカレーだ。ごろごろと鶏肉の細かい塊が入っていて、見た目よりもじんわりと辛い。軽いガラスのグラスに水を何杯かお代わりしながら、壁に張られた古の石原裕次郎の映画のポスターなぞを眺めつつカレーを平らげる。

池袋ナンジャタウン イル・プチーノにて
 いちご&バナナクレープ
 アイス烏龍茶

池袋ナンジャタウン 焼窯ベーカリーにて
 コロッケパン
 コーヒー牛乳

園中を歩き回るアトラクションを何度かこなして、一休み。
メルヒェンなエリアに巨大なクレープが売られているのがずっと気になっていて、それと一緒に烏龍茶を抱えて席につく。紙のカップに入ったクレープ、イチゴのソフトクリームに生クリーム、バナナとイチゴ、チョコレートシロップがたっぷりとかかっている。思ったよりもソフトクリームが大量で大量で、いつになったらちゃんとクレープをクレープとして食べられるのかが不安になってしまうようなシロモノだ。安っぽいようなイチゴのソフトクリームにチョコソースがかかったものは、まんま"アポロ"の味がした。だんなと二人、「アポロだー」「アポロの味がするー」と騒ぎながらアポロ味のクレープをつつきまわす。

で、また散策。で、おやつ第2弾。
ここに来たからには食べなきゃいけないものが一つある。焼窯ベーカリーのコロッケパンだ。落書きの"コックさん"がキャラクターのこのお店、コロッケパンにメンチカツパン、ハムカツパン、コッペパンに挟まれた心そそられるパンが並び、"猫の手あんぱん"なんて名物もあるらしい。飲み物は瓶入り牛乳にコーヒー牛乳、ラムネなど。どうも心にぐっと来てしまうし舌にもぐっと来てしまうのだ。

コロッケパンとメンチカツパンを1個ずつ頼むと、脇でパンを切り、コロッケを切り、キャベツを挟み、ソースをかけてくれる。コックさんのマークが入った紙袋に1つずつ入れてもらったそれを飲み物と一緒に持ち出して昭和30年代の世界の空間をほてほてと歩き、住宅街の一角の竹製ベンチに腰を下ろす。目の前にはこのエリアの名所「三条さん家」がある。たった三畳のそのお宅、白黒テレビに黒電話、ちゃぶ台に茶箪笥が並ぶなんとも味わい深い空間だ。夕焼け色に染まった世界で袋をがさがさと開いてコーヒー牛乳を傍らにおきつつコロッケパンを食す。ああ、なんだか浸れる世界になってしまう。

しみじみコロッケパンを食した後は、園内の神社の境内を通って帰る。
千社札マシンを見つけた私は、前回に味をしめていたようでまた千社札を作ってしまった。今度は「せりあ由紀」、しかも「食欲魔人」のロゴ入り。

周囲にペタペタ貼られまくっているのを見て、思わず私も貼ってきてしまった。ナンジャタウンの福袋神社の片隅、千社札マシーンの右脇に「せりあ由紀 食欲魔人」の札は密かに光っている。

棒棒鶏麺
大根と人参のスープ
モルツ、アイスアールグレイティー

「棒棒鶏麺みたいなのが食べたいなぁ。」
とだんながおっしゃるのでそれにすることにした。
「いつものソースより、ちょっと胡麻が少ない方がいいなぁ……。」
なんて注文も飛んできたので、ちゃんと従うことにする。

塊の鶏もも肉をグラグラ茹でる。煮詰まった茹で汁は濃厚なスープになったので大根と人参と葱を放り込んで具沢山のスープに加工。
茹で鶏を刻み、きゅうりを刻み、たっぷりの白髪葱も準備。タレを作って麺を茹でれば完成だ。

しかしこのタレ作りが案外とめんどくさい。いつも参考にするのは珍建一さんのレシピだが、これが「混ぜるな混ぜるなかき混ぜるな」と大変にうるさい。うるさいけど"葱から水が出て水っぽくなっちゃう"なんて理由は理にかなっているので誠実にこれを守って作成する。醤油と酢と砂糖を合わせて混ぜ混ぜ。これに刻み生姜を入れて混ぜ混ぜ。芝麻醤を入れたら、もうかき混ぜてはいけない。分離してようが何だろうが、ただたださっさと合わせるだけだ。芝麻醤の上から胡麻油とラー油をたらし、たっぷり山盛りの刻み葱を入れる。混ぜない、とにかく混ぜない。ゆっくりとなんとなく合わせた状態でタレの器をうやうやと食卓に運び、各自鶏とキュウリと葱を乗せた麺に垂らして食す。

いつもより3割ほど芝麻醤を減らして作った、醤油味がちょっと濃いめの棒棒鶏はなかなかそれは美味しかった。葱たっぷりで濃度のある甘辛いタレをキュウリや鶏肉と一緒に絡めて麺をずるずるとすする。氷でキリリと冷やした麺も良い感じだ。

9/9 (土)

台場AQUACITY ピエトロにて
ピエトロセット
 サラダバー
 豚肉と玉ねぎのピザ
 海老とマッシュルームのドリア
 蟹と蟹味噌のスパゲッティ
 オレンジのタルト
 アイスティー
ブレッドバー
グラス生ビール

お腹が空いて、10時起床。だんなと
「どこか食べに行くかー。」
「行くかー。」
「マクドナルド?」
「……んー。いまいち。」
「スパゲッティ……」
「スパゲッティ?」
「スパゲッティ!」
と会話を交わした後、チャリこいで台場に向かう。

今日はまた格別に暑い。フジテレビ前には今日も岩手の観光バスだの福島ナンバーの家族連れなどが続々と押し寄せていて、今が旬の観光地の様相を呈している。どーでもいいシャツとズボン姿ですんません、とAQUACITYのドアをくぐる。アマートアマートにベッラベーラ、洋麺屋五右衛門などの店を検討しつつ、初めての"ピエトロ"に入ってみることにする。

我が家愛用のドレッシングがこの"ピエトロ"製だ。洋風のような和風のようなそのピエトロドレッシングをデパートで見つけた母は試しに買って以来すっかりハマってしまっていて、私は結婚するまでの10年間近くこのドレッシングを家で使いまくっていた。結婚した後も、結局常備しているのである。妙にクセになるドレッシングだ。

福岡の小さな洋麺屋だったというピエトロ、お店に入って実際に食べるのは初めてだった。
明るい店内の大きな窓からはレインボーブリッジが良く見える。奥のソファ席に案内され、"ピエトロセット"なるセット料理を取ることにする。パスタとピザ、リゾット(グラタンやドリアも含む)から1品ずつ選び、サラダバーとドリンクとデザートがついてくる。3800円なり、悪くない。
蟹と蟹味噌のスパゲッティ、豚肉と玉ねぎのピザ、海老とマッシュルームのドリアをいくつものメニューの中から選択、150円で追加できるブレッドバーも取ることに。それとそれと、ビールも忘れちゃいけない。生ビール1つに、ハーフ&ハーフ1つ。昼間っから(しかもこれは朝食だ)当然飲むつもりの姿勢でいる、不真面目な私たち。

サラダバーやブレッドバーは1回しか行ってはいけないらしい。サラダ用の洋皿と、ブレッド用の小さなバスケットを1つ渡される。サラダはレタスやトマト、千切り玉ねぎなどと一緒に茄子のマヨネーズサラダや煮られた南瓜、ポテトサラダやツナサラダなども用意されている。ドレッシングは当然ピエトロ製だ。胡麻が混ぜられていたりマヨネーズが混ぜられていたりと何種類かある。大きくはない皿にこんもりと盛り付けて、マヨネーズ入りピエトロドレッシングをかける。

パンは小ぶりなやつが6種類ほど。ほうれん草入り、人参入り、胡麻にクルミにカレント入り、と揃っている。ふわふわと食べ応えはないけど味わいのある、という感じのパンだ。クルミ入りはクルミがどかどかと入るほの甘いもの。全種類を篭に詰めて席に帰り、皆で分け合いつつ食す。

さて、ピザが来た。ビールも来た。角張ったピザは薄く薄く、トマトソースにひき肉に玉ねぎ、チーズがトロリと溶けている。サクサクの生地にさっぱりした具はイタリアンというより昔からの洋食屋さんの味、という風情だ。悪くない。アツアツでビールと良く似合っている。
適度に間を置いて、料理は次々と来る。開店直後に座った私たちの周りも隨分と埋まってきた。

次は海老とマッシュルームのドリア。横長の鉄皿に海老がジュクジュク言いながらやってくる。皿に分け取り、わしわしと食す。ほの甘いクリームソースに海老もごろごろと良い感じだ。これは悪くない、ていうか美味しい。ここのところ台場でロクな店を発掘できてなかったので、これはとても嬉しいことだ。ビールも無くなってしまった。もう一杯飲んだら最後、多分しばらく帰れなくなってしまう。水を飲みながら先へ進む。

そして蟹と蟹味噌のスパゲッティ。細かい蟹肉が茶色い蟹味噌のソースと和えられてパスタに絡んでいる。見た目はあんまし宜しくないが、口にすると「カニカニミソミソ〜」とじわりと主張の来るものだった。これもイタリアンというよりは"日本の洋麺屋さんの味"という、妙に親しみやすい味がする。お、美味しいぞ。息子も横で、両手を茶色く染めながらスパゲティと格闘中だ。

デザートはオレンジのタルト。生のオレンジの果肉が上にみっちり並んだ、カスタードクリーム入りのタルトだった。タルト生地がパサパサと歯触りの良いもので、頼んだアイスティーと似合っていた。
うん、すっかり満腹だ。普通は「お二人様用」なんてセットは絶対足りなくなってしまう私たちだけど、3皿来るこのお二人様用ピエトロセットは良い具合に満腹にさせてくれた。ビール飲んで息子にりんごジュース貰ってブレッドバーも1つ追加してきっちり5000円。
家族、ご機嫌に店を出る。

食事後はふーらふーらとAQUACITY内を歩く。使い古してしまったバスタオルの替えを4枚まとめてBATH&BODYSHOPで購入し、神戸屋で明日のパンを購入し、ここまではなんとなく良い感じだったのに最後にトイザらスでおもちゃや踏み台や紙おむつまで買ってしまって自転車をヒーヒー言いつつこいで帰宅。ああ、観光バスがじゃんじゃん来るのに、パンパースの大袋を籠に入れて帰る自分……とほほ。

かき氷 (イチゴミルク)

午後2時帰宅。一番暑い時間に自転車こいでしまったものだから暑い暑い暑い。
帰宅するなりクーラーを全開にし、かき氷を作り始める。

手製のかき氷器をシャーコシャーコと言わせて家族分のかき氷。だんなはみぞれ、息子はイチゴ、そして私はイチゴミルク。
イチゴのシロップをたっぷり、その上から更にコンデンスミルクをた〜っぷりかけて、ガラスの器に入れたかき氷にわくわくとしてとりかかる。コンデンスミルクのこってりとした甘さが舌に絡みつくミルク氷、大好きなのだ。
全員で脳天が"キィィィィィン"となりながらかき氷を食した後は、昼寝。

茹で枝豆
戻り鰹のたたき
茄子の味噌汁
御飯
モルツ、ほうじ茶
梨・桃

昨日、安売りしていた戻り鰹を買ってきた。鰹とくると、やっぱりたたきにしたくなる。竹串刺して、こんがりと強火で焙って氷水へ。味醂と酒をしっかり煮きって醤油と柚子酢と合わせたタレを用意して、たっぷりのニンニクと万能葱を散らしていざいざいざ。
ついでに今年最後となるかもしれない枝豆も茹でて、茄子の味噌汁、炊きたての御飯。

戻り鰹、脂がたっぷり乗っていてギラギラとしている。食べるとねっとりと舌に絡みつくようなこってりさがあって、これは初鰹より全然好みだ。旨い〜、めっちゃめちゃ旨い〜!と薄切りにんにくをたっぷり乗せてタレも絡め、御飯の上に乗せて一緒にかきこむ。私の母は鰹の生臭さとにんにくがそれはもう大嫌いで、結婚するまで食卓に鰹もにんにくも出ることはなかった。その反動か、今の食卓には鰹も出まくればにんにくはキロ単位で買ってしまう。臭い食べ物、大好きだ。ふはははは。

そしてデザートに梨と桃。
先日遊びに来たTさんが持ってきてくれた市川産の梨。ほんの少し渋みのある出始めの梨はほの甘くてとても瑞々しい。梨、大好き。

そして桃は昨日池袋で買ってきた5個1000円のやつだ。生産者が自ら売りにきていたようなトラック売りの桃は、どれもほんの少しずつ傷ついている。気にはならないけど、多分売り物にはならないそれがたたき売りされていた。トラックの周囲1mに近づくと甘い桃の匂いの膜があるような感じだった。思わず購入。一番大きな桃は5個で1000円だった。桃も、大好き。
この桃が、ちょっと茶色く柔らかくなっている部分はあったもののものすごく甘かった。この季節で食べたもののうち、ダントツに美味しかった。スーパーで買ったものより、松屋デパートで売っているものより美味しかった。切った端からジュースが溢れてくるような感じで、木で熟れたような柔らかさがある。中も外もひたすら甘い。ごっつぅ、美味しい。

その桃、まだ冷蔵庫に4つ入っている。なんだかとってもシアワセだ。

9/10 (日)
神戸屋の
 クリームチーズデニッシュ
 焼きプリン
カフェオレ

昨日、神戸屋で買ってきた菓子パンにて朝御飯。
"焼きプリン"という商品名のそれは、実際はプリンじゃなくて"プリンタルト"だ。巷で"カスタードタルト"とか"エッグタルト"とか言われているアレである。香港で食したときはそれは"蛋撻"(タンタ)という名前だった。最初に食べたのがその"タンタ"だったので、私にとっては"プリンタルト"も"カスタードタルト"も"エッグタルト"もおしなべて"タンタ"ということになってしまっている。その"タンタ"、大好物なのだ。で、買ってきた。だんなも好きなので、も1つ。息子も多分大好きだろうから、も1つ。3個のタンタと一緒にミートパイ、クリームチーズデニッシュ、メロンパンを買ってきたのであった。わくわくわく。

そろそろホットコーヒーも懐かしく思える気候にじわりじわりと近づいてきた。今日は熱いコーヒーを入れてカフェオレにする。牛乳山盛りのハーフ&ハーフだ。カフェオレというよりミルクコーヒーだ。
サクっとした生地の中にほの甘くこってりしたチーズクリームの入るデニッシュ、相変わらず旨い。生地もほんのり甘く、これまた旨い。いかにもパン屋さんの生地、というふわりとしたパイ生地にプルプルと柔らかいプリンの詰まった"焼きプリン"もなかなかだった。小さなものなのに、いっちょまえに底にはカラメルらしい黒く苦い部分がある。

そして、今日のヒットは息子のメロンパンだ。
最近流行りの"メロンの味のするメロンパン"は神戸屋にも浸透していた。こんがりと緑色のメロンパンは、中にも緑色のクリームが詰まっている。そして皮からもクリームからも濃厚なメロンの匂いが漂っている。口に入れると、んもぅ全面的に口の中も鼻の中も喉の奥も"メロンメロンメロンメロン"してしまうシロモノだった。

「これって、さぁ……。」
一口分のメロンパンを横から囓っただんなは、もっきゅもっきゅとやりつつ困惑した顔で言った。
「あの、メロン型の容器のシャーベットと同じ味がする……。」
子供の頃に良く売られていた、プラスチックのメロン型容器に入った黄緑色の安っちぃシャーベット。確か50円とか70円とかで買えたようなアレ。それと比較しちゃ、あまりにも神戸屋が可哀相な気がするけど、いかがか。

ケンタッキーの
 和風チキンカツサンド
 カーネルクリスピー
 ビスケット
 コールスローサラダ
 フライドポテト
 コカコーラ

"ケンタでサンド♪"
というTVCMを見て、だんなが「うっしゃ、ケンタだ〜。」と出がけついでに買ってきてくれた。広告に弱い我が家。

「サンドが食べたいなー」
という私のリクエストに応えて、和風チキンカツサンド。それだけじゃなく、袋からはガサガサとチキンやらビスケットやらポテトやらサラダやらがわさわさと出てくる。ずらりと並べて皆で昼御飯。

甘いタレにマヨネーズ、それにチキンカツ。なんともカロリーの高そうなカツサンドなのである。しかも衣がカリカリとたっぷりついたチキンに、メープルシロップかけて食べるビスケット。"健康"という言葉から対極にありそうな食べ物群のくせに、妙に美味しいのだから困ってしまう。

茹で枝豆
サニーレタスのタルタルソースサラダ
海老のチリソース
スペアリブとクレソンのスープ
ハムと卵の炒飯
モルツ、麦茶

"海老チリをしましょー"とパック詰めの剥き海老を買ってきた。これがいまいち量が少ない。「ご飯は炒飯にしましょ」「ついでにサラダも作りましょ」「スープは豚肉で作りましょ」などと考えていったら、えらく豪勢な夕食になってしまった。

サニーレタスが余っていたので、これをサラダに。大きな葉っぱをそのまま器に盛り付けて、まん中に自家製タルタルソースをたっぷり乗せる。ゆで卵に玉ねぎにピクルスにアンチョビにオリーブ、ざくざくと細かく切って混ぜ合わせて、マヨネーズと粒マスタードで練り練り。葉っぱにタルタルソースをたっぷりつけて、くるくる巻いて手で持って食べる。

鶏がらスープでごろごろと角切りになってるスペアリブを煮込み、1束のクレソンをそのままぶっこんで煮たスープ、ハムと卵と長ねぎのたっぷり入った炒飯はだんなが作ってくれて、その横で私は今日のメインディッシュ"海老チリ"を作成する。

豆板醤を炒め、香味野菜を加え、ケチャップを入れてスープを入れて、塩胡椒と砂糖と酒を入れて、下味つけて茹でた海老入れて、葱入れて、酢を垂らして、水溶き片栗粉でまとめる。文章で書くと簡単そうだけど、これを1分程度でやれというんだから、厨房の私はパニックになってしまう。
用意しておいたケチャップが残りわずかで分量の大さじ2杯に足らないという要因もあって、今日の海老チリは香味野菜が焦げてちょびっと苦く、しかもケチャップが足らなくてなんだか色つやの悪いものになってしまったのであった。だーいしっぱーい。とほほ。

ま、それはそれで悪くなかった。ケチャップの甘ったるさのない"大人の味の海老チリ"という感じで、炒飯に乗せてわしわしと食す。炒飯に肉入りスープに海老チリ。「何だか定食みたいだねぇ。」なんて言いながら。