食欲魔人日記 00年7月 第5週
7/24 (月)
だし醤油 うどん
冷茶

暑い。
暑い暑い暑い。
毎日どうしてこんなに暑いのか。しかも暑くなる一方ではないか。
寝室の、目覚まし代わりに朝7時きっかりにテレビのスイッチが入るようになったNHKニュースでは「今日の最高気温は34度です。」とか言っている。
溶けるー。溶けてしまうー。いや、溶けてくれー私の脂肪。

朝の家族の会話も、ゆえにダラダラとしている。
「朝御飯。……うどん?」
「……んー……」
「……ぶたまん?」
「……んんんー……」
「やっぱり……うどん?」
「……んんんんー……」
キリがない。
よいしょ、と起き上がり結局うどんにすることに。だんなが鍋に水張って火にかけてくださる。

茹で上がったうどんをすぐさまザルに取り、氷水でキュッと締める。だし醤油をかけ、そのままずるずるとすする。
先日デパートでだんなが
「うどんに必要だよね〜」
と買ってきた1ケ50円なりのすだちもたっぷりと絞る。んんんー爽やかで旨し。

自慢じゃないが(いや、自慢なんだけど)、マジに良く気がつくだんななのである。顔は怖いけど。
「うどんに必要でしょ」と、デパ地下で人が化粧室に行ってる間にすだちを見つけて買っておいてくれたり、「だって好きなんでしょ」と、私の好物"苺カルピス"をみつけて買っておいてくれたり。サランラップも洗剤も子供のオムツまで、私が「ない!ヤバイ!」と気がつく前にいつのまにか買い揃えられているのであった。
ああ、私よりも確実に専業主婦向きだ、だんな。君が私の伴侶で本当に良かった。顔は怖いけど。

顔の怖いだんなと私、今日も笑顔全開の息子は3人で冷たいうどんをずるずるとすする。
今週もがんばろう。

銀座フロリダの
 クリームコロネ
 エッグツナサンド
べこの乳

会社の近所、美味しいと思っているパン屋に歩いていくほどの気力もなく、一番近場のパン屋に出向く。トーストという感じでもないし、揚げ物も食べたくはないし、堅そうなパンよりは柔らかめのものを……と思案してクリームコロネをトレイに乗せる。
「あ、あ、それは高カロリー……。」
耳元に囁く男性の声。
私は一人で来ているし、誰か他の人にでも向けた声なんだろう、と無視して声とは逆の方向のサンドイッチコーナーに顔を向ける。

今度ははっきりと、
「……それはヤバイぞー。太るぞー。」
の声。
振り向くと、そこにはMさんがいた。

3X歳独身のMさんは社内で唯一の私のゲーマー仲間だ。入社してから昨年の部署替えまでの5年間、ずっと同じシマで仕事をしてきた先輩である。何かっちゅーと
「FF、どこまで進んだ?」
「今度のロマサガはいまいちだねー。」
「あのアイテムがさー。」
「あのイベントがさー。」
と周囲には意味不明の会話をしてきたのであった。顔も良いし性格も良いし、私的には非常に"イイ男"だ。ただし強度のゲーマーだけど。

そういうわけで、会社の人間の中では数少ない気心の知れている友人でもある彼が、背後にひっそり立っているのであった。
トレイにはスパゲッティミートソースのパックと大きなホットドッグが乗っている。更にサンドイッチも買うつもりらしい。貴方のトレイの方がよっぽど太りそうに思えますが。
「俺はいいんだよ。暑いからバテちゃうのよ。」
とか言いながら、尚も背後から
「クリームは太るぞー。高カロリーだぞー。やめとけー。」
と呪文詠唱を続けている彼なのである。う、うるさい。食欲魔人に呪文は効かぬ!(←効けよ)

5分後。
呪文に負けず死守したクリームコロネを食べてる私。それとツナと卵入りのベーグルサンド。濃厚美味な"べこの乳"。

このクリームパン、暑さだか何だかで、ホイップクリームがでろでろでろ〜と柔かいやつだった。口にしようとする前にでろでろと流れてしまいそうな、はっきり言って失敗作だ。あうあう、呪文に素直に負けておけば良かった。ふかふかの蒸しパンか何かにすれば良かったんだわ。
後の祭りというやつである。

スモーク牛タン
焼き肉乗せ卵御飯
冷茶

1週間も休みを取った休み明けの激ジョブたるや、大変なものであるらしい。
私もまぁまぁ忙しくはあるのだけれど、だんなは本当に大変そう。今日も遅くなるとの旨、夕方に連絡が入った。
ってことは、FF9をやりまくってて良いということだ♪うっきーうっきーうっきっきー(お猿のダンスを踊り中)

これでもかというほどの究極な簡単一品料理で夕御飯。
生卵混ぜ御飯に、それだけじゃまるで朝御飯なので上に牛肉を。炒めて塩胡椒して焼き肉のタレで味つけただけのものだ。黄色い御飯に肉乗せて、上から胡麻ふってできあがり!これならレンゲで喰えるからゲームしながらでも喰えるぞと(←お行儀が悪いです)。

それでも「手抜きですまん」と多少の罪悪感を感じつつ作った夕飯は、息子には大受けだった。
「んま!んま!」
とか言いながら肉と卵と御飯をたいらげている。肉・卵・飯、なんて羅列すると滋養の固まりのような夕飯だ。さぁ、喰ったし風呂も入ったしまたゲームをするのだー。

7/25 (火)
蓬莱の
 ぶたまん
冷茶

字体は同じ「蓬莱」、されど「551蓬莱」とは似ても似つかない(いや、ちょっとは似ているけど)ぶたまんを蒸して食す。
ちょっと甘い皮にちょっと甘いあん。でもやっぱり"551"のあの味とはちと違う。
ちょっと悲しくなりながら食べる、朝のぶたまん。

マクドナルドにて
 ダブルチーズバーガー
 フライドポテト
 アイスコーヒー

昨日、だんながイカす割引チケットを貰ってきた。
SUBWAYのその名も「魔法のクーポン」。ドリンク回数券2つが\1,600→\1,000になったり、クラブサンドとスープのセットが200円くらい安くなったりするらしい。SUBWAY、嫌いじゃないのである。ラップサンドなんかかなり前向きに好きなのである。
で、お昼はSUBWAY♪と外に出て、暑さに堪えきれずにその道中のマクドナルドで飯喰ってる自分なのである。とほほほほ。

無性に食べてたくなってしまったダブルチーズバーガー、ポテトにコーヒー。あの"マクドナルド味"のチーズもハンバーグもバンズも相変わらず"マクドナルド味"以外のナニモノでもなくて、その味にほっとしてしまう私はかなりマクドナルド戦略にはまっているのかもしれない。

マクドナルド出てから気がついた。
「あ、SUBWAYの"魔法のクーポン"家に置きっぱなしだった……」
……ダメじゃん……。

牛肉のしゃぶしゃぶサラダ
アクアパッツァのレトルトパック
 ポルチーニ茸入りミートソースのスパゲッティ
バリ・ハイビール

スパゲッティか、あるいはタコライスの夕食にしようと思った。
「どっちがいーい?」
と帰るコールをしてきただんなに尋ねると、
「スパゲッティ〜♪」
とのリクエスト。
冷蔵庫に3パックほど残るレトルトパックのソースを用いて簡単に済ませることにする。ポルチーニ茸(←イタリア産の、ちょっと独特な匂いのあるキノコですじゃ)がたっぷり入ったミートソースらしい。どれどれどれ。

冷蔵庫を開けると、ぷんと異臭が漂った。肉を入れているあたりからだ。見ると土曜日に買った牛肉が怪しい匂いを放っている。
「バラ・もも切り落としパック」なるお徳用の牛肉パックは1/3ほどが変色してかなりヤバめの匂いがした。うげげげげ。200gくらいもあるのに全然食べてないし。大体、賞味期限は昨日の日付なのにその翌日にこうなるか?普通……。

ヤバめの香りは嗅がなかったことにして(おい!)、とりあえず茹でちゃう。
大きめ器にレタス敷いて、茹でた牛肉盛りつけて、胡麻ドレッシングふって上からも胡麻をぱらり。な、なんとか誤魔化せたかな……。

何だか牛肉牛肉した夕飯になってしまったけれど、胡麻味牛肉サラダにミートソースのスパゲティ。バリ島でしこたま買ってきたバリ・ハイビールを開ける。甘さや苦さのない"辛い"という感じのビールだ。コクは少ないけど切れ味は良い。

茹でたてのスパゲティにはバターをたっぷり絡めちゃう。
「今が旬の雪印製のバター!」
とか言いながらだんなが盛大にパスタ鍋にバターを放り込んでいた。いや……いいんですけれどもね。

7/26 (水)
インスタント皿うどん
アイス烏龍茶

本日の朝食はインスタントの皿うどん。
以前だんなが買ってきた、インスタントの焼きそば風のパックに入っているやつだ。麺はそのまま開封し、その上に真空パックのあんを熱湯で温めて上からかける。ただそれだけの簡単うどん。
パリパリの細い麺にとろみのかかったあんは、レトルトなくせに結構イケる。

しかし……これって、どうして「皿"うどん"」なのだらふ。
"うどん"という太さでもないし、大体こんなパリパリしているのが果たして"うどん"なのだろうか。いつも思うが謎である。謎なあまり私はいつも皿うどんとチャンポンをごちゃ混ぜに考えてしまうのであった。"皿うどん"という名前を聞いて、いつもつい想像してしまうのがチャンポンの汁を抜いて麺と具を平皿に乗せたもの、と思ってしまうのだ。それはそれで美味しそうではあるのだけれども。

牛乳

比較的気温の低くて楽な今日。
何か美味しいものでも食べるべかな〜♪と思っていたのに多忙で気が付いたら12時で、次に気が付いたら1時を回っていた。がーーん。

悲嘆にくれつつ牛乳1杯。

豚肉のサテ
タコライス
サンミゲール(黒ビール)

私がFFにはまっているばっかりに今日も手抜きな晩御飯。
本日のメニューは「タコライス」。「蛸ライス」ではない。「凧ライス」でもない。注意されたい。
沖縄名物らしいこのタコライス、「タコス・ライス」と言った方が誤解が無いかもしれないものだ。

箱の中には真空パックになったタコミート。スパイシーなひき肉のこれを温めて御飯の上に乗せ、刻みレタスと刻みトマトとピザ用チーズをたっぷりかけて混ぜつつわしわしと食べる。上から添付のホットソースをかけるものらしいけど、これがすこぶる辛いのでとても1袋はかけていられない。
本来のタコスがパリパリの2つ折りのクレープ状のものに具を入れるのに対して、御飯の上に全部乗せて食べても美味しいんじゃない?という発想から生まれた料理らしかった。イカス……。

1品だけじゃあまりに殺風景なので薄切り豚肉を串に差してサテ風に。フライパンで焦げ目がつくまで焼いて、バリ島で買ってきたサンバルソースをたっぷり絡める。上から胡麻ふってできあがり。焼きたてのそれをビールと一緒に流し込む。はぁ、ただの焼き肉じゃなくて串に差すだけで妙に美味しくなるのは何故だろう。

7/27 (木)
卵御飯
けんちん汁(フリーズドライもの)
アイス烏龍茶

生卵を混ぜた卵御飯の朝御飯。
だんなはというと朝から目の前でバター醤油御飯なぞ喰ってるのである。お供にはフリーズドライのレトルトもんの味噌汁なぞを。けんちん汁なんてのがあったのでこれを食してみることにする。思ったよりゴボウや油揚げの味がしっかり出ているレトルト汁をずるずる啜りながら見ているのはNHK。

テレビに映っているのは中国の一都市、「しょう(さんずいに"章")州市」なるところである。
この町、「果実の町」だか何だかを目指しているということで、街路樹がマンゴーの樹であるらしい。メイン街道沿いには3000本ものマンゴーの樹が並んでいるとか。今は丁度収穫の時期だということで放映されているのであった。
車が走る。自転車が走る。人もうようよ。そんな普通の町並みの街路樹は、しかしマンゴーなのだ。たわわに実るマンゴーは1つの木に数百単位でなるらしい。なんてステキなのだろう。

「ここのマンゴーは糖分が多くて甘くて美味しいのよー」
なんて中国人のおばちゃんがおっしゃってる。通りに出るかき氷の屋台のシロップもマンゴー、屋台の海老や肉の炒め物にもマンゴーが入っている。ああ、なんてステキなのだろう。
しかも1kg7個くらいで100円相当だということだ。ますますステキだ。

"この町に行ったら、両手一杯マンゴーもいで持ち帰ってマンゴープリンを作るのよ……うっとり……"
なんて考えていたら、ニュースキャスターが
「これは……町の人みんなが取って良いものではないんですね?」
「そうですね。町の認可を受けた業者だけが収穫出来るんです。それ以外の人は罰金です。」
「罰金、ですか。以上、アジアンドワールドでした。」
なんつってるのである。

あ、そうですか。罰金ですか……とほほほほー。

なしー

ところで今日は会社を休んでいる私なのであった。
朝起きたら喉がやたらと痛く、しかもどうも熱っぽいもんだから大事を取って休んでしまったのであった。明後日には従姉妹の結婚式に出なきゃいけないし、そっちに出られなくなるほうが由々しき事態になってしまうからである。

一日中クーラー効いた部屋でごーろごろしながらFF9をやりまくる。
目下「クイナ」というキャラクターが私のお気に入りだ。彼は「世界中の食を極めるために」というとんでもない理由で主人公御一同様に同行している。
「おいしいアルか!?おいしいものあるならどこでも行くアルよ!」
なんて言っている彼をとても他人とは思えず、私は彼の名前を「せりあちゃん」と設定してしまった。
彼の大好物であるカエルを捕獲していると、御師匠が来て言うのだ。
「せりあちゃんよ。また食の道を極めたようだな。」
なんて。あああ……ステキ……(←ダメじゃん)

そういうわけで、今日は昼間飯も喰わずにゲームしてたのでありました。

ピザーラの
 BBQレタス&ゲッツのハーフ&ハーフ
 ファミリーパック(チキンやポテト、コーンのサラダなどなど)
 シーザーサラダ
サンミゲール、ダイエットコーク

明日、会社帰ってタッチアンドゴーで新幹線に飛び乗って仙台に行くのである。明後日は従姉妹のTちゃんの結婚式。

食材買って残したらヤバいだろうということで今日の夕飯は宅配ピザで簡単に済ませてみる。期間限定もののBBQレタスににんにくたっぷりの"ゲッツ"ピザ。チキンやポテトのパックにサラダも注文。全部で4000円弱してしまうのだから、宅配ピザって安くはないよなぁ……としみじみ思う。でもピザ食べたかったのよね。久しぶり(?)にね。

レタスのパックが別添でついてくるBBQピザはコチジャンソースだそうで、甘くピリリと辛かった。ビールと合う合う。刻みレタスがバラバラと落ちていきそうなのをかき寄せつつ必死に食べる。油たっぷりチキンにポテト。一度食べるともう1ヶ月くらいは食べなくていいや、なんて思ってしまうけどまた数週間すると不思議に食べたくなってきてしまうのだ。

明後日結婚するTちゃんは秋田県は角館出身の可愛い女の子。秋田美人さんだ。
母方の従姉妹・従兄弟は私を入れて9人。私以外は全員角館で産まれ住んでいたものだから幼い時から毎年毎年冬や夏に秋田に行っていた。行っていた、というよりは"帰っていた"とい感覚の方が近いかもしれない。

角館は、食生活においてはなぁんにも無いところだった。ファーストフード店はおろかコンビニもなかった(秋田新幹線が開通してからいきなり発展しつつあるみたいだけど)。
ドーナツ屋もなければ当然牛丼屋も無いのである。それが幼き頃の私はとてもイヤだった。夏休みに行って3日もすると無性にハンバーガーやフライドチキン、美味しいケーキや洋菓子が恋しくなってしまうのだ。毎日毎日お米の御飯に自家製の漬物、ハタハタの焼いたのや煮物が並ぶ食卓。今思うとそれはとても贅沢なことで、そっちの方が有り難く思うべきものなのに、小中学生の時分の私はそれがいまいち好きになれなかった。

そんなことをちょっと考えながら食べる今日のピザ。ピザも美味しいし白いお米も美味しいよね〜と言える今の私はいつからこうなったのだろう。

7/28 (金)
かまたまうどん
アイス烏龍茶

暑い。
身体が溶ける。溶けていく。
どうせなら本当に脂肪が溶けてくれれば良いのだけれども、そんなこたない金曜日の朝なのであった。

というわけで、昨今ブームのうどんを今日も食す。冷たくキリリと冷やして、だし醤油と生卵をぶっかけてわしわしとかき混ぜて。
「暑いしねー」
「食欲ないしねー」
「2玉でいいよねー」
と3人家族分(うち1人は幼児だけれども)を2玉で済ませたら、案の定足りなくなった。
「やっぱり3玉茹でれば良かったね……」
卵抜きのぶっかけうどんを食しただんなは、そうぽつりと呟いたのであった。

さ、今日仕事したら仙台だ仙台だ。
昼御飯には美味しいものでも食べに行こう。

銀座 ひょうたん屋にて
 うな重(特上)

朝、だんながぽつりと言ったのである。
「ああ、鰻食べたいなあぁぁぁぁ……」

我が家では、大抵一人が「これ食べたいなぁ」と言ったが最後、聞いていた人間までもつられて食べたくなってしまうのが常だ。
更に、毎回欠かさず見ている「どっちの料理ショー」や「チューボーですよ」の放映後の週末にはそのお題の料理も食べたくなってしまうのも常だ。要するに、単純、なのである。わはははは。

そういう次第で、鰻が食べたくなっている私なのである。
私とだんなが「鰻食べたいなぁ」という時に想定するのはたった一つの店である。銀座の1丁目、プランタン銀座の近くではあるがひっそりと人通りもあまい多くない裏通り沿いにある「ひょうたん屋」。言っちゃ悪いが小汚い店なのである。いや、いつも清潔に掃除はされているのだ、しかし壁や柱のそこここには鰻の脂や煙がたっぷりと染み込んでいるような建物。だけど私はこういう空間が大好きだったりする。
このままじゃ店内で私とだんながばったり、なんてことにもなりそうだったので待ち合わせして一緒に行くことにしてしまう。

午後12時半。店はぎっちり人で埋まっている。さすがに土用の丑の日を2日後に控えているだけのことはあるらしい。いつもは日曜休業のこの店も、7/30の丑の日当日だけは昼間営業する予定だそうだ。
これまで何度か足を運んで来たことはあったものの、ここまでぎっちりのお客さんは初めてだ。狭い狭い店内に30人近い人々が全員うな重をかっこんでいる図というのもなかなか壮観である。8人がけテーブルの、入り口そばの奥まったところに座る。

メニューは4種類。ひたすらうな重なのである。並1200円(ランチのみ)、中1500円、上1800円、特上で2200円。安い。しかも旨い。
店のおばちゃんに言わせると、
「値段の違いは、鰻の量の違い、それだけですよ〜」
とのことである。それもまた潔い。

今晩からの仙台行きに精をつけようと(?)、特上を2つ注文。熱いほうじ茶と醤油をひとたらしした手製の糠漬け、葱を散らした吸い物が出てくる。しばし、待つ。

さて、ここの鰻は関西風だ。
関東風の鰻は背中から背開きにして割く。関西風になると腹開きに。武士の多い江戸では腹から割くのは切腹を連想させていかがなものか、という理由で背開きになったという由来があるらしい。そして最大の違いは白焼きしてから「蒸す」かどうか。関東風のは蒸す。関西風のは蒸さない。

東京で有名なお店(竹葉亭とか宮川とか)などの鰻もそりゃ美味しいけど、どうも蛋白なんである。ちょっと脂が抜けたような、それはそれでふっくらして悪くないけど「これが鰻の味!」という濃厚さにちと欠けるような気がしてならない。やはり蒸さずに焼く、この関西風の野趣溢れる鰻が美味しいんである。店と同じくらいの年代が凝縮されているような、毎日毎日足しつつ使っているようなタレの味だとか、溢れる脂だとか、ちょっと固く焼けている皮目のところとか、どれもこれも愛しいんである。

で、特上鰻に対峙する。
目の前の横長の重箱には鰻が3つ、「川」の字のように並んでいる。1尾半相当が私の目の前にあることになる。いやーん、シアワセー。
大型クーラーががんがんかかっているというのに汗が吹き出してくる中、周囲の人々と一緒にがふがふとうな重を喰らう。弾力のある、相変わらず旨い鰻だ。

合間に吸い物をすすり漬物を齧りつつ2/3を食べ終える頃には隣席のだんなは「ごちそうさまでした」と手を合わせているのであった。相変わらず早いよ、君……。
しかも私はちょっと満腹を感じている。もしかして私はそれなりに夏バテしているのであろうか。確かに風邪気味ではあるけれども、これくらいの鰻も食べきれないとは口惜しい。だんなに2口ほど手伝ってもらい、完食。

一瞬お客さんがざーっと捌けてしまった店内は、また再び満席に近くなってきていた。長居は無用と、とっとと店を出る。

崎陽軒のシュウマイ弁当
萬珍樓のマンゴープリン
ヱビスビール

午後7時40分の東北新幹線にて一路仙台へ。
改札前の弁当コーナーにて各種駅弁を検討する私たち。デパートの惣菜コーナーのお弁当にはいまいち心をそそられないくせに、駅弁となるとどうして妙に血が騒いでしまうのだろう。
「やっぱりチキン弁当だよ。」
「いやいや鳥飯弁当も捨てがたい。」
などと言いつつ店を見ると、肝心のチキン弁当も鳥飯弁当も売り切れなのであった。がーん……。これが楽しみだったのに。

やむなくきじ焼き弁当および崎陽軒のシュウマイ弁当に路線変更。ヱビスビールも買った。ついでに萬珍樓のショップを発見してマーライコとマンゴープリンも買ってみた。準備は万端、いざいざ禁煙席にてゴー。

列車の中で食べるお弁当やビールって何でこんなに美味しいんだろう。小ぶりの焼売が5個ほど並ぶ崎陽軒のお弁当というのもそれはそれでなかなかイカしている。蓮根や筍のうま煮に焼き魚、ひじきの煮つけや鶏の唐揚などがこちゃこちゃと詰まった弁当だ。ビールを飲み、弁当を食い、息子用のマーライコなどをつまんでいるうちに列車は大宮に到着。今度はデザートのマンゴープリンをがさがさと袋から出して食っている私なのであった。豪華デザートつきの列車の旅。うふふふふー。

列車は午後9時半前に無事に仙台に到着した。お宿は駅前に隣接しているメトロポリタンホテルだ。
明日は従姉妹Tちゃんの結婚式。息子は彼女に花束を渡す重要任務を仰せつかっている。……大丈夫かなぁ。王様、花束齧ったりするんじゃないかなぁ。とほほほほ。

7/29 (土)
ホテルのブッフェにて
 クロワッサン・バターロール with バターとジャム
 スパニッシュオムレツ
 ハッシュドポテト
 ベーコン
 グリーンサラダ
 ヨーグルトの蜂蜜がけwithパイナップル
 牛乳・オレンジジュース

ホテルメトロポリタン仙台の朝。
和食のお店と洋食ブッフェのカフェレストランが選べるようになっていたのでブッフェにお出かけ。ちょっと和食も食べたいような気もしたけれども息子が食えそうなものは洋食方面ばかりなのでいたしかたない。

普通の普通のブッフェだ。ジュース数種類にシリアルちょこっと。作り置きの卵料理が少しに野菜とソーセージがいくつか。果物少々とヨーグルト。菓子パン数種類にトースターが設置された脇に食パンも数種類、そんな感じだ。

パンを2種類とおかずを適当に、喉が乾いたので牛乳とオレンジジュースはたっぷり入れて持ってくる。デザート代わりには蜂蜜を垂らしたヨーグルトを。

午前8時半にもなると続々と親族が集まってきた。皆うちに来ては息子を見て、
「うきゃー、久しぶりねぇ〜」
などと言って去っていく。着飾った従姉妹たちは皆綺麗だ。10時半から始まるチャペルの式を楽しみに、時間は刻々と過ぎていく。

従姉妹Tちゃんの結婚式披露宴にて
 刺身盛り合わせ
 ふかひれ入り中華スープ
 海老のチリソース煮込み
 北京ダック
 帆立と野菜の中華風うま煮
 ビーフステーキ
 サラダ
 茶碗蒸し
 赤飯と焼き魚、香の物
 メロン
 オレンジシャーベット
 ショートケーキ
 ロゼシャンパン、ロゼワイン、ビール

チャペルでの式も滞りなく終わり……、いや、新婦のベールを上げるところで、特に"誓いのキスを"なんて言葉がなかったのに新郎がいきなり新婦にキスしたとか、最後の一番かっちょいい退場のシーンで新婦のお父さん(私の母の弟にあたる)が新婦のベールを踏んずけて新婦を躓かせてしまったりだとか、ちょっとした笑えるハプニングはあったけれども滞りなく披露宴へ。

新郎新婦の仕事関係者、友人知人隣人まで含めての200人規模の披露宴だ。ここまでの規模の式は出たことのない私、そもそも披露宴に出席するのも初めてな息子、一様にどきどきしているのであった。

3年前の私たちの結婚式を思い出す。あれは極めてシンプルな結婚式だった。
・本当に祝って欲しい人にだけ祝って欲しいので、上司を呼ぶ必要のあるような披露宴はやらない。
・ケーキ入刀もキャンドルサービスも、ついでに"親への手紙朗読"なんてのは絶対したくない。
・親族が末席に座らなきゃいけない披露宴も絶対したくない。
・お色直しも要らない。自分達を祝ってくれる席に衣装替えなんて理由で席を外すのはどうかと思う。
・自分が御飯を食べられないような披露宴も大却下。
……とにかく"やりたくないこと"尽くしで、結局チャペルの式の後は親族内だけの食事会、その翌日に友人を集めての二次会、という我侭だらけの結婚式だった。

今日の200人規模の披露宴は、私たちが"やりたくない"と思ったこと尽くしの、絵に描いたような披露宴だった。勤め先のおエライさんが一番高砂に近いところに座り、祝辞披露に、おエライ人の音頭で乾杯、ホテルの司会による新郎新婦の生い立ちの記録説明、ケーキ入刀、いきなり謡曲が始まってみたり友人たちによる座興の披露があったり、とやたらと盛りだくさん。これはこれでバタバタとしてはいるものの目先がくるくると変わって面白くはある。私たちの結婚式が私にとってのベストであったという気持ちは変わらないけれども、多分こういうのが好きな人は好きなのだろうなぁと思う。白く長い裾を引きずったウェディングドレスからピンクのかわいらしいドレスに着替えたTちゃんは、それはそれは清楚で美しかった。

で、料理。これまた何だか随分と盛りだくさんだ。
最初は刺身。続いて中華料理が並び、メインは牛肉。何故か和食のシメがあってデザートは3種類。少々謎に満ちたコース料理なのであった。味はどれも平均的には美味しかったけれど、数百人が出席する宴会料理にハイレベルな美味しさを求めるのは無駄なことだから仕方がない。おそらく保温を鑑みてのことかトロミが強すぎるスープだとか中華的おかずの数々。長時間保温されていたような味がした、赤飯の上に魚がころんと乗った謎のシメの御飯料理。フレンチだらけの料理では年長者の出席者がついていけないだろうし、仕方がないことなのかもしれないけれども。

ところで、右に座る息子の子供用のプレートがとても旨そうなのであった。
銀のお盆に乗る小皿の数々。ケチャップを乗せたオムレツにドミグラスソースかけのハンバーグ。グリーンサラダにチキンサラダ。大きな海老フライにはたっぷりのタルタルソースがかかっている。パッションフルーツのムースケーキ、オレンジジュースに、そして隅に乗るのはマンゴプリン!なぜ息子にだけマンゴプリン!

親戚にちょっと不信な顔をされつつも、彼のマンゴプリンを奪って写真なぞ取っている不穏な親が私なのであった。しかも食ってるし。
フィリピンマンゴーの酸味がちょっと強くはあったけれどミルキーなフワフワのマンゴプリンははっきり言って今日の料理で一番美味しいものだった。大人用にも出てくるかとわくわくして待っていたのにとうとう出ず、結局息子のそのデザートの大半を食べてしまったのを知っているのは一緒のテーブルにいた私の親や叔母たちなのだから問題ないであろう。
息子の御飯、本当に美味しそうだったのだ。なぜお子様ランチ然としたものはこんなに心にガツンと来るかなぁ……いいなぁ……。

仙台 味太助にて
 牛タン定食
 牛タン焼き(追加で)
 生ビール

夕方に幕を閉じた宴の後、親戚たちは三々五々帰途についていく。私たちはもう1泊して明日東京に帰る予定。
「やっぱり牛タンでしょ!」
と午後7時過ぎ、ホテルを抜けて旨いと言われるその店に出かけていく。

仙台から地下鉄2駅乗り三越デパート方面へ。100mくらい歩いたところにある裏通りには風俗店やバーなどが怪しく並んでいる。その一角に目指す古めかしい店「太助」がある。

数人から仙台情報を聞き、「やっぱりここは美味しい!」と複数の証言を頂いたのがこの太助、であった。ガイドブックにも絶対乗っているような有名店ではある。案の定、7時半も近い土曜の夜は行列を成しているのであった。10人ほどの行列を5分ほど待ち、2階の座敷に着席する。3人ね、と言うと上がり口そばの小さな3人がけのテーブルに通してくれた。大木を横にぶった切った、それもちょっと歪んだ形の重厚なテーブルだ。

壁際には信楽焼きの狸、大きな亀の甲羅、"太助"と文字の入った巨大な将棋の駒、天狗の面、何だか巨大な主張あるオブジェがどかんどかんと並んでいる。そのオブジェと溶け合ったような店になじんだ雰囲気のおばあちゃんが給仕をしている。
「ビール?お酒?お食事?」
呪文のように来る客来る客に聞いているのだ。

「あ、最初ビールください。あと、息子用にジュースを……あとは食事で。」
と言うと、
「ああ、子供さんにはヤクルトありますから。」
とヤクルト1つ、サービスで持ってきてくれた。妖怪のようなおばあちゃんをちょっと怯えていたことを申し訳なく思いつつビールをいただく。

ずっと親戚に囲まれて、息子が騒いでくれるなと戦々恐々としながら食っていた昼御飯だ。アルコールも結構飲んだのにぜんぜん酔う余裕はなかった。ああ、やっと落ち着けて飲むビール。大きなジョッキを掲げて、乾杯。即座にタンの皿もやってくる。大皿に10枚の分厚い分厚いタンが盛られ、横には浅漬け野菜、味噌のついた昆布。テールスープに麦飯も。

「…………うっめー!!!」
とビールをとりあえず飲めるだけ一口で飲みこんだ後は香ばしくアツアツのタンに臨む。
本当に分厚いタンだ。自宅用に買える最も厚いニュークイックの厚切りタンの、1.5倍くらいは厚かろうか。炭火で焼いたような匂いがふわりとただよう。頃合の塩加減に、噛み締めると牛の味がじわわわわ、と広がってくる。歯ごたえのある肉は、薄く切り目の入れられたところから噛み千切る。美味しいっ!

大きめ茶碗の麦飯を掻き込み、ビールも流し込み、野菜もがつがつと食いつつ、テールスープも飲みこむ。これまた旨いっ!
ざくざくと骨いっぱいのテール肉がたっぷり入ったスープは透明で美しい。臭み消しの役割もある長葱もたっぷり浮いている。牛の旨みだらけの豪華夕食だ。牛タン、麦飯、スープの3点セットで1350円なり。

もっきゅもっきゅ、と3枚目の肉を噛み締めている頃、ビールもなくなりだんなが聞いた。
「もう1皿、牛タン食えそうじゃない?」
望むところだと、1人前の牛タン追加。5枚やってきたそれをだんなが3枚私が2枚、綺麗に食べる。冷めていくにつれてゴムのように噛みきれなくなってしまう厚さのそれを、ひたすら熱いうちに噛み締め食べる。ああ、牛タンってなんでこんなに美味しいのだろう。
来る客は続々と絶え間なく、行列も8時を過ぎて一向に減る気配もなかった。美味しかったです。さすが仙台、牛タンの都。

最後に仙台が何故牛タン名物なのか、ということについて。
牛タンが名物になったのは戦後のこと。進駐軍が牛肉を大量に食べるものの、タンとテールは全く食べずに大量に廃棄していたことから、「これを何とか食料に利用できないか」と考案されたのがタン焼きとテールスープだったのだそうだ。歴史は深くはないけれど、この街に牛タン屋やお土産味噌漬け牛タンは大量に見かけることができる。
話によると、日本で唯一「牛タン屋」という項目が電話帳にあるのがこの仙台なのだそうだ。愛されているのね、牛タン。

7/30 (日)
ホテルのブッフェ朝食
 海藻入り丸パン、胡麻入りパン
 スクランブルエッグ with ベーコン
 白身魚のソテー
 ハッシュドポテト
 グリーンサラダ
 ヨーグルト
 オレンジジュース、牛乳
 紅茶

ホテルメトロポリタン仙台2日目の朝。今日も昨日と同じような内容のブッフェ料理の朝食に赴く。
冷房の効いたホテルの部屋ではどうしても喉が乾いてしまい、いきなりオレンジジュースの一気飲みから始まる朝食。怪しげな、ワカメのような海藻が入ったパン(磯臭かった……)を囓り、サラダやおかずをきっちり食す。

目の前のだんなは、
「朝食はやっぱり御飯が食べたいな……」
などと呟きつつ、おかずの一品として用意されているマッシュルーム入りのピラフをてんこ盛りにして喰っていた。

仙台 真助にて
 牛タン定食
 烏龍茶

予定は今日の午後4時前の新幹線にて帰宅する筈だった。
んが、息子が少々の発熱。予定を変更して新幹線の指定席切符を取り直す。昼過ぎの切符を取るあたり、"昼飯くらいは喰って帰るんだもんね"という私たちの意地が伺える。

で、折角昨日メールにて「奥州仙台西公園の中にある源吾茶屋のずんだ餅が絶品」なる情報をいただいていたのを残念ながら断念して(Hさん、ありがとうございましたー。次の機会に是非!)、駅前商店街内にある牛タン屋にまたも赴くことにする。今度のターゲットは「福助」。が、「福助」は日曜定休らしく、とぼとぼとその近所にあるらしい「真助」なるお店に予定変更。これが地図を見てもさっぱりわからない。路上に野菜を並べて売っていたおっちゃんに尋ねる。

「あの……このあたりに"真助"という牛タン屋さんはありますか?」
「ああ〜、反対だよ。後ろに向かって……そうだね、100mくらい行ったところの2本目の路地、それを入って表通りに出る中間くらいのところに、右手にあるから。2階だよ。」
懇切丁寧に教えてもらったその道を辿って行ってみる。表通りから直角に入っている薄暗い路地。飲み屋が並び、そのほとんどは閉まっているようなその裏通りにぼんやりと「真助」の看板が光っていた。細い細い階段を上って2階へ。のれんもかかってなく、店の前には生ビールのタンクがどかんと置いてあってとても入りがたい雰囲気のある店だ。ま、まけるもんか。入るぞ、よし。

古びれた雰囲気のカウンターと座敷の店だった。カウンターにはせいぜい8人、座敷には8人ほどが座れるようになっている。子供連れだというので、座敷の方に通してくださった。カウンターの半分ほどが埋まっており、座敷にももう1組の男性客が入っている。メニューはひたすら牛タンものばかりだ。牛タン焼き(塩かタレかを選べる)とテールスープと麦御飯のセットで1150円らしい。塩とタレ、1皿ずつ注文。ぼーっと待つ。

ほどなく塩の皿からやってきた。野菜の塩揉みが添えられた、これまた分厚い牛タンが7枚。息子に1枚あげて、だんなと2人で半分こしていただく。麦飯にスープ、タンを交互にがつがつ食べる。香ばしくて、ここのもうまひー。
昨夜の「太助」に比べると若干薄く、それ故にか柔らかくて歯で難なく噛みちぎることのできるタンだ。少々強めの塩加減だけれども悪くない。美味しい。透明なテールスープには長ねぎたっぷり肉もたっぷり。タンと麦飯とスープがあれば、エンドレスでいくらでも食べられそうな気分になってくる。

塩を食べ終わったところで味噌味のタレの皿がやってきた。味噌が甘辛く染み込んだ皿は、こちらも7枚。これも息子に1枚、だんなと私で半分こ。"タン喰ってるぞー"という気分を味わうには塩が好みではあるけれど、タレもタレで御飯が進んでしまうのだ。額に汗しつつ、湯呑みに冷たいお茶をお代わりして貰いながら数分で料理を平らげ店を出る。いつしか店は満席になっていて、カウンターの脇に臨時席の折り畳みテーブルや椅子まで設置してお客が入っているのであった。人気あるらしい。

さぁ、喰ったら出発まであと1時間。
土産物も整えて、いよいよ東京に帰るのだ。

新幹線車中にて
 牛舌つづみ(駅弁)
 冷凍みかん
 ミッシェルのマンゴプリン

午後2時発の列車内、つい1時間ちょっと前に牛タン喰ってたような気もするのに、「駅弁も牛タンだよ、困ったなぁ」とか言いながらまた喰ってるのである。1つ買った"牛舌つづみ"なるお弁当を、だんなと私で分け合いつつ食べる。
味噌味の牛タンが御飯の上に乗り、しかも御飯と御飯の中にも挟まっている豪華弁当だ。油揚げやひじきの煮染めと漬物なども入っている。駅弁は駅弁で、やっぱり美味しいのである。ああ素晴らしきかな牛タン。

そして、だんなが見つけて買ってきた冷凍みかん。がっちがちに凍ったそれを剥いてシャーベット状の房を口に放り込む。給食で食べたあの味がする冷凍みかん。
「やっぱり旅情溢れる旅には冷凍みかんとあのプラスチック容器入りのお茶ですよね〜。」
なんて言いながらだんなはお茶とみかんを探して歩いていたのだった。こだわり派の彼である。

そして、仙台駅ビル内で見つけたマンゴプリンも。300円で買ったそれは生クリームの脂っこさがちょっと口の中でもたつくような感じのややイマイチなものだった。
豪華デザートつきおやつを食した私たちを乗せて新幹線は1時間40分程度で東京駅に到着。青い空に白い雲、押し寄せる尋常じゃない空気の暑さにクラクラしながら帰ってきたのであった。

てんやものの
 ばらちらし
 インスタントの吸い物
サンミゲール、冷茶

「おなか、すかないねー。」
「寿司でも、かるーく取っちゃおうか。」
「そうだねー。」
という会話の後に、何故かちらし寿司2つとあなきゅう巻きのセット1つがテーブルの上に並んでいるのである。純粋に3人分の量があるそれらを大人2人と幼児1人で美味しくいただく。

まぐろやイカ、白身魚に卵などが細かく角切りされてみっしり御飯の上に乗った"ばらちらし"が私の注文。醤油を軽く上からジャッとかけ、わしわしと食べる。裸足で、どうでも良い格好しながらクーラーの効いた部屋で食す御飯。我が家がやっぱり一番いいなー、なんて思う瞬間だったりして。

7/31 (月)
目玉焼き
チーズ笹かま
御飯
パスタチップとベーコンのスープ(れとると)
アイス烏龍茶

昨夜、
「明日の朝の朝御飯が無いと困るから……」
なんて言いながら米を研いでおいてくれていただんななのである。
私はというと、ずっとFF9をやっていたりなどしているのであった。ごめんねー、だんな。おかげで今朝はタイマーセットで炊きたての御飯が食べられました。ぺこぺこ。

で、今朝は炊きたて御飯に目玉焼きを用意。御飯に乗せて黄身を崩して醤油垂らしつつわしわしと食べる。そして昨日仙台で買ってきた笹かまぼこ。だんなが「チーズ入りだチーズ入りがいい!」と主張して、小さなチーズ笹かまの小袋をいくつか買ってきたものだ。以前食べたものは棒状チーズがどかんと入っていたものだったけど、今回買ってきたものはみじん切りチーズがまんべんなく混ざったものだ。しかし仙台、デパ地下はかまぼこだらけであった……。豆腐入りとか創意工夫凝らしたものがこれでもかと売っていた。

なーしー

暑い。
仙台も暑いと思っていたけど、東京はやはり尋常じゃなく暑かった。昨夜は地震でぐらんぐらん揺れるし、一体東京はどうなっているのだろう。

ぼへーっとしているうちに昼食を喰うタイミングを逸してしまって昼食抜き。私は私なりにバテているらしい。

焼き葱のマリネ
チキンカツwith自家製タルタルソース
にんじんのグラッセ
千切りキャベツ
冷たいコーンスープ
ハーブバターライス
バリ・ハイ

仙台銘菓 萩の月
牛乳

今日はだんなの誕生日。
「31歳おめでとー」
とか言うと、
「16進数ではまだ十代だから問題ないのだ。」
なんてわけのわからんことを言っている。

ともあれ、暑さをこらえて厨房に立ち、お祝いメニューなぞを作ってみる。何だかすっごく久しぶりに台所に立つ気分。最近ろくなもの作ってなかったしなー、と反省も加えつつ一生懸命作ってみる。
メインはだんな好物のチキンカツ。大きなもも肉1枚まるごとを1人前に、大きなフライにしてしまう。ゆで卵をたっぷり混ぜ込んだ自家製タルタルソースも沢山用意した。付け合わせには千切りキャベツににんじんのグラッセ。酒の肴に甘酢だれに漬けた長ねぎのマリネ。冷たいコーンスープにハーブとバターを混ぜこんだ御飯。所用時間1時間ちょいながら、まぁまぁな御馳走ができあがった。

バリ島で買って帰ってきたバリ・ハイビールにて乾杯。やけにキレが良い、でも軽くはないビールだ。バリの建築物のシルエットがデザインされている缶のデザインもさることながら、味も割と好みだったりする。

8時過ぎに帰ってきただんなと、お祝い夕食。
「今日、昼飯にチキンカツ食べたいなぁ、って思っていたんだよー。」
と言うだんなは旨そうに一気に夕飯をたいらげた。今日も我らの意識感応力はばっちりらしかった。そうそう、なんかチキンカツ気分だったのよねー。

そしてデザート、仙台銘菓萩の月〜♪
"名物に旨いものなし"という言葉はとても真実を突いていると思いつつ、北海道六花亭のバターサンドと仙台の萩の月だけは無条件で買ってきてしまう私。あ、関係ないけどスキー場に行くと売っている"ミルクケーキ"(←長方形の板状、パリパリしたコンデンスミルク味のお菓子)は無類の好物だったりする。ついつい5袋も6袋も買ってくるオロカモノはこの自分。

今日も萩の月は美味しかった。スポンジにくるまれた真っ黄色のカスタードクリームは10年以上から変わらぬ味がした。だんなはアイスコーヒー、私は5:5のカフェオレ、息子は10:1の薄ーいカフェオレ。3人でグラス床に置いてもしゃもしゃと萩の月を食す。