食欲魔人日記 00年8月 第1週
8/1 (火)
コンビニの
 卵・ハムサンド
 アメリカンドッグ
アイスカフェオレ

「萩の月でも食べて朝御飯にしよーかなー」
と汗だくで目覚めて、思考のまとまらない脳味噌を回転させる月曜の朝。
したらだんなが
「コンビニででも買ってくるよー。」
と外に出てくれた。

私には卵とハムのサンドイッチにアメリカンドッグ。彼は「焼きラーメン」なる怪しげなカップ麺と穴子のちらし寿司。朝っぱらから良く喰う奴である。我がだんなながら。

しかし、私のサンドイッチとアメリカンドッグはともかく、彼が前にしている「焼きラーメン」って一体なんなのだ。
"冷やしラーメン"は良く聞くけど、"焼きラーメン"って焼いたらあんたそれは"焼きそば"になるんじゃないか!?とパッケージを見て困惑する私。なんでもとんこつソースだという。興味津々でぼへぼへと眺めていると、作り終わっただんなが
「食べたい?食べたいよねー。食べると思ったから寿司も買ってきたんだし。」
とか人を見透かしたような事を言いつつ容器を私に押しやってくれた。

「焼きらーめん……」
困惑しつつひとすすり。
何というか、化学調味料味バリバリの濃縮ソースが、本来は湯で割るべきもののようなその味がただ単に麺と絡んだだけ、という感じのなんとも言えない味がした。麺も"ラーメン"とか言うわりにUFOだとかとほとんど変わりないし、要するに
「暑いからスープなんて飲めないでしょ。だからお湯抜きのを作ってみました。」
という感じのものだったのであった。しかも不味いし。

朝っぱらから妙なものを口にしてしまって、何だか異様に後で喉が乾いてしまったのである。

なしー

食欲が無いわけじゃないんだけど(ええもう、カツ丼喰えと言ったら喰えるんですが、わはは)、なんとなく昼食抜き。

午後3時過ぎて空腹が極まってちょっと不機嫌。
やっぱり食べないと集中力とか全然持たないのよね。明日はちゃんと食べよう……。

茹で枝豆
だんな特製あんかけ焼きそば
モルツ、アイス烏龍茶
冷凍みかん

「焼きそばが……食べたいねぇ。」
ということになる。
我が家では麺料理、殊に"焼きそば"というジャンルはどういうわけかだんなが担当だ。焼きそばが好きなのは私よりだんなだし、何と言っても彼が作る方が美味しいものが出来上がるのだ。
「美味しく作れる人がそれを作る。その食べ物に愛のある方が作る。」
が我が家の鉄則だったりする。

あんかけ焼きそばにしましょう、と豚肉、にんじんなどを用意。本当は白菜が良いところだけど余りもののキャベツがあるのでこれを使う。八宝菜のような味つけで炒めてスープ煮にして、最後にうずらの卵の水煮をころりと入れる。
「あんかけはねぇ〜、大変なのよ。」
とだんな、厨房でうりゃうりゃと動いている。見ている私は、"用意した麺にあんをかけるだけなのに?"と思っていたりした。

ところがところが。
だんな、麺を焼くのである。それも一人分ずつ。
息子の分の麺を少なめに小さく円形に焼き、大人用のも同じくまとめて円形に。サラダ油を引いたフライパンでジャーッと焼いてこんがりと焦げ目をつけて、表面が良い具合にパリリとなったところで皿に盛ってあんをかける。
すっごい。本格的じゃないですか。だんな、すばらしー。

こういうもの、レシピ本も見ずにちゃっちゃと適当に作れちゃうところがだんなの偉大なところだ。しかも今日のあんかけ焼きそばもすこぶる美味しい。どうもごちそうさまでした。

デザートは、冷凍みかん。
仙台で、東北新幹線に乗り込む前に買ったは良いけれど全然溶けず、結局自宅まで持って帰ってきてしまって冷凍庫に入れておいたものだ。
「解凍〜♪」
とだんなが風呂に入る前にテーブルの上に置いておいたそれは、風呂上がりには良い具合にやわやわと溶けていた。
冷たいみかん、何だかシアワセに美味しいのだ。

8/2 (水)
ミニチョココロネ・ミニクリームコロネ
シーチキンパン
アイスカフェオレ

近所のパン屋さんで買ってきたパンにて朝御飯。
コーヒーを煎れ、たっぷりの氷入りのマグカップに注いで牛乳加えてアイスカフェオレにする。

今日の菓子パンはミニコロネ。通常サイズの1/2以下くらいの手のひらサイズのコロネがチョコとクリーム、1個ずつ袋入りになっている。シーチキンとマヨネーズがたっぷり乗ったパンも共に囓りつつ、気温は今日も35℃を越えるらしい。
あうー。

フレッシュネスバーガーにて
 バナナケーキ
 グランベリーレモンソーダ

仕事の打ち合わせが昼前に終了。仕事先の近場にあったフレッシュネスバーガーの扉をくぐった。大きなグラスに透明なソーダとクランベリージュースが2層になったソーダ水とバナナケーキ、ハンバーガーは暑いのでちょっと断念。

いつもながら空気が入っていないようなどっしりとした、ちょっとモソッとしたケーキだ。ふわふわのが好きだと思いつつ、つい今日も食べてしまうモソモソとしたフレッシュネスバーガーのバナナケーキ。
甘酸っぱいソーダをすすりつつトマス・ハリスの『ハンニバル』下巻を読了。

自由軒カレー(もどき)
コールスローサラダ
牛乳

激ジョブでだんな、帰宅遅し。
ならばと溜まっていた冷凍御飯を片づけるべく、"自由軒カレー"(もどき)を作ってみる。
レトルトパックの"ビーンズカレー"なるものを発掘し、解凍した冷凍御飯と一緒に合わせてみる。味がちと足りないのでカレー粉やスパイスを少々補いながら、大阪で食べたあの苦っぽいカレーを再現すべく努力奮闘してみる。
出来上がったやつを皿にこんもり盛りつけて、生卵1個落として出来上がり。おおお、見た目だけはなんかそれっぽいぞ。

塩もみキャベツをサラダ油と酢と少々の砂糖、少々のマヨネーズで和えたコールスローも用意して、本日はカレーセットの夕御飯。お供にたっぷりの牛乳。

自由軒カレー(もどき)はもどきながらも何となく苦みがあって旨かった。思わずあのときそうしたようにウスターソースをちろりと垂らして喰ってみたり。

8/3 (木)
仙台銘菓 萩の月
牛乳

冷蔵庫から良い感じに冷えた(でもちょっと固くなってしまった……)"萩の月"1個を取り出し、これが本日の朝御飯。お供にこれまたヒヤヒヤの牛乳。
常温の萩の月も美味しいが夏は冷やすとやはり旨い。カスタードクリームにしてはちょっと固めなクリームがキリリと冷えて良い感じなのだ。

もっきゅもっきゅ、と箱に入っていた説明書なぞ読みながら萩の月を4口くらいで食す。やはり冷蔵庫で冷やすが吉、と書いてある。それに加え、冬場は電子レンジでちょいとあっためるとクリームが溶けてこれまた良いのだと書いてある。んんー……美味しそう……。

アイスチョコレートもなか
カルピスウォーター500ml

汗だくでパン屋に出向き、でもどうも食べたいと思えるものと出会いがなく、パン屋を辞する。
日本そばー?……うーむ、いまいち。
うどん……美味しいところないし、あるけど遠いし、パス。
ゾンビのように炎天下の中を歩き、結局冷房を求めて立ち寄ったコンビニでアイスもなかなんて買ってる私。もしかしてちょっと夏バテしてるのかもしれない。情けなかー。

アイスもなか、好きなんである。
コンビニで売られているアイス類の中では「pino」を最も愛してやまない私だけれども、あれって量がちと少ない。あの小さな6個のアイスを口に入れたら終わりなのである。できれば3〜4箱いきたいところだけど、ちょっとそれは見栄え的によろしくない。目の前の女がいきなりpinoを1箱喰ったと思ったら横に置いた袋からがさがさともう1箱出し、それを喰ったあとでまた1箱だし……としているのを見た日には、私ならきっと周囲中に言いふらすに違いない。自分が言いふらされるのはイヤなので、ここはぐっと堪えてたっぷりサイズのもなかにしてみる。

もなかの皮の裏にみっしりと板チョコのついたアイスもなか。安っぽい味のバニラアイスがたっぷり詰まっている。1区画を1口で食べんばかりに大口開けて、冷たいそれをがつがつと平らげる。食後、喉が乾いたので今度は500ml缶のカルピスウォーターをがぶがぶと飲み干す。
なんちゅーかこう……これで腹下しもしないのだから私の胃腸も丈夫というか。

茹で枝豆
鶏肉のスタミナ焼き
給食風マカロニサラダ
冷やっ汁
御飯
モルツ、麦茶

ここ数週間の"料理あんまりしたくないのよね"症候群もどうやら終わりを遂げた模様。
「あれ食べたいなー。」
「これ作りたいなー。」
とやっと"そっち"方面に頭が回るようになってきた(FF9をクリアしたからだ……という話もあるのはヒミツ)。

今日の夕飯のメインは鶏肉。フライパンで皮目からじっくり焼いた一口大の鶏肉に、にんにくと生姜がたっぷり入った醤油だれをチャッとかけて煮詰めればできあがり。酒と味醂と醤油、そして少々のケチャップが混ざったタレは、なんともビールと合ってくれちゃうのだ、これが。キンキンに冷えた500mlのビールも冷蔵庫に冷えている。枝豆もある。それだけで何となくシアワセになっちゃうのは今が真夏だからだろうか。

あとは残っていた千切りキャベツとタルタルソースを片づけるべく、一緒に混ぜてサラダにしてしまう。キャベツににんじんに玉ねぎ、それに茹でたマカロニも混ぜ合わせてタルタルソースと混ぜ合わせる。ソースが足りない分はマヨネーズと塩で増量、じゃかじゃかと手で揉んでいたら、何やら給食で食べたような味のサラダが出来上がった。ああ、このサラダなら鶏肉はグリンピースやじゃがいもと一緒にクリーム煮にでもした方が"らしく"て良かったかもしれない。給食風献立にすることができたかもしれない。

で、後は炊きたての御飯。熱い味噌汁はちょっと勘弁なので冷たい味噌汁。
味噌汁には顆粒のだしをいつもは使ってしまったりもしてるけど、冷たくする味噌汁に使ってしまうと、これがとても臭くなる。手間はかかるけど昆布と鰹節でだしを取り、味噌を濃いめに溶いてから氷をぶっこむ、という手間をかけて冷たい冷たい味噌汁を作成。きゅうりを浮かべて胡麻をかければできあがり。茗荷やしそが入ってもきっととても美味しい。

真夏に料理を作る時、いつも脳裏にハネムーン直後の夕食が蘇ってきてしまう。
3年前の夏、まだ料理歴3ヶ月にも満たなかった私は毎日ヒーヒー言いながら料理を作っていた。あのときから楽しくはあったけど献立を巧く考える余裕なんて全然なく、容量もすこぶる悪かった。そう、6月の終わり、ハネムーン先のバリ島から帰ってきた私は「日本食食べたいし」という理由だけでクソ暑い日の夕飯に"肉じゃが"を作ってしまったのであった。

「この暑いのに……肉じゃがぁ!?」
と帰ったままの格好で台所に立っただんなは、そう気の抜けた声を出したのであった。

……そうだよなー。肉じゃがはあんまりだ。
労働してきて汗だくで帰宅して、出迎えるのが鍋一杯の肉じゃがだったら、そりゃ私もクラクラしてしまう。同じような味つけのものでも、今はもうちょっとなんとか出来るのに、あのころは若かったわね……と3年前をふりかえる。

8/4 (金)
卵御飯
チーズ入り笹かまぼこ
マカロニサラダ(昨日の残り)
冷茶

生卵ぶっかけた御飯。冷蔵庫から取り出した笹かまぼこに昨日のサラダ。氷たっぷりの冷茶。
何だかとても温度帯の低い食卓なのであった。目覚めて数分後に鼻の頭に汗が吹き出るようなこんな日は、やっぱりこういうものが美味しく思えてしまうらしい。

笹かまぼこと言えば、私は数年前まで"笹にくるまれたかまぼこ"だと勝手に合点していた。
柏餅のごとく、葉っぱにくるりとくるまれたかまぼこだから"笹かまぼこ"というのだろうと思い、お土産用の真空パックになった箱の見本を見ては
「……これはニセモノ?」
とか思っていたのだ。
"笹かまぼこ"の"笹"は、葉っぱにくるまれているという意味じゃなく、その葉の形を模しているかまぼこという意味だと知ったのは、ほんの数年前のことだ。のっぺり平たく、ものによっては葉脈の模様なぞも描いてあるかまぼこ。そういえば笹にくるまれたものなんか一度も見たことがなかったのであった。ああ、恥ずかしい……。

スプライト350ml一気飲み

外に出まくる仕事だった午前中。
へとへとになって喉が乾き、ついつい目の前にあった自販機でスプライトの缶を買ってしまった。

喉が本当に乾いた時には甘い炭酸水よりはお茶なんかの方が良いのだとわかっていつつも、時折炭酸系のものがすごく恋しくなってしまうのだ。
プシッと開けて、んぎゅぎゅぎゅぎゅ〜……と一気に飲み干す。飲み干した途端、胃と食道の間あたりが猛烈に痛くなってきた。あうぅぅ。

そう、私は炭酸に弱かったのだ。ファンタが炭酸強いと言って飲めず、いつも微炭酸のものを好んで飲んでいるくらいなのだ。何を考えて私はスプライトを購入し、あまつさえ一気飲みしているのだろうか。すべてこの暑さが悪いのだろう、うんうん。

よろよろしながら椅子に座り、とりあえず机に突っ伏してみる。あああ、空気の固まりが胃の上を塞いでいるような感じ。ぎぼちわるい……。

ビールは一気飲みできるのに、やっぱりスプライトやファンタは鬼門だったらしかった。
うんうん唸りながら過ごすこと数十分。そして昼飯を食いっぱぐれた自分がここにいる。とほほほほ。

上海エクスプレスの
 酢豚
 五目炒飯
 マンゴプリン
モルツ

激ジョブにて、私の帰宅は7時過ぎ、だんなは深夜になるらしい。御飯を炊いてる時間を待つのもイヤだったので、ならばと息子と2人てんやもので済ませてしまうことにする。

パンフレットを見る限りあまり旨そうには見えない「上海エクスプレス」という店の中華料理デリバリー。選んだ理由はただ1つ、"マンゴプリン"がメニューにあったからだ。世の中で見かけたマンゴプリンはとりあえず喰わなければ気が済まないらしい自分は、これを機にとうきうきと注文してみる。マンゴプリン1つ、酢豚1つに炒飯1つ。全部息子と半分こ。

30分ほど待って届いた料理は全部プラスチック容器入りだ。2000円強くらいのお値段。
一応まだほわほわと温かい酢豚に、丸くこんもり盛られた炒飯は想像よりはなかなか食べられるものだった。"自家製チャーシュー入り"と書いてあった炒飯に入るそれはイマイチ味が染みてなかったし、酢豚の豚の衣もなんとなくべしゃっとしていたし、味つけも改良の余地がまだまだまだまだありそうではあったけど、電話して一歩も動く必要なしに30分後にひと揃いの料理が食べられるのだから多くは言っちゃいけないのだろう。

そしてデザート、マンゴプリン。
材料名には何故か「さくらんぼ」「桜桃」なんて文字があったのに、そんなフルーツは微塵も入っていないツルンとしたプリンだった。もしかしてさくらんぼや桜桃はピューレになって入っているのだろうか……いや、まさかそんな。
何だか甘ったるいオレンジジュースを原料に使っているような、やたらと甘くてくどいマンゴプリン。期待を外してというか予想通りというか、料理と同じくイマイチな味だったのだった。

そう、「料理はサイコーだけどデザートはいまひとつ」なところは数あれど、「料理はいまひとつだけどデザートはサイコー」というのはあまり見かけないような気がする。デザートが美味しいところは、料理もやっぱり美味しいところが多い、となんとなく経験則でそう思う。

8/5 (土)

銀座 とんきにて
 カツ丼定食
 生ビール(小)

朝10時。起き抜けに
「……カツ丼とか、食べたいなぁ……。」
と言ってるだんなもだんなだが、
「ああ、いいねぇ……じゃあ食べに行こうか。」
とか答えている私も私なのである。夏バテはどうしたんだ、おい。

いつも行ってる銀座の梅林にしようかどうしようか悩んだ挙げ句、
「行ったことのないところに行ってみよう。」
と頭の中のデータベースをひっくり返した挙げ句、
「銀座にもあるらしい"とんき"("き"は"七"を3つ重ねた文字)に行ってみるか。」
と場所を調べてお出かけする。数寄屋橋阪急の中に入っている旭屋書店、その斜め向かいくらいの外堀通り沿いにそのお店はあった。裏通りに抜けて看板を見つけ、息子のベビーカーをがしゃがしゃと持ち上げつつ細い階段を下り、地下のそのお店に入っていく。確かチェーン店だ。本店は目黒にあるとかないとか。

広くはなさそうな店で、混んでいたならベビーカーは顰蹙だなぁ……と心配しつつ引き戸を開く。
「いらっしゃい!」
と若い店員さんが出迎えてくれ、どうぞどうぞ、と入り口そばの4人席から椅子を1つ除けてベビーカーの場所を作ってくれた。お客はカウンターに2人のみ。店中に揚げ油の匂いがふわふわと漂っており、カウンターの奥に置いてある揚げ鍋が簡単に見えた。20人も入れないような小さな小さな店だ。メニューはどれも1000円以下という感じで、なんだかちょっと良い感じだ。

私は予定通りカツ丼を、だんなはカツ丼から方向転換してヒレ定食を頼んでいた。ついつい生ビールも注文。息子用には冷たい麦茶も出てきて、3人で乾杯して料理が来るのをのんびり待つ。テーブルには熱い麦茶と漬物の小皿も並べられた。

揚げたてのカツが、まだジュクジュク言っているような状態でテーブルにやってきた。私の丼も柔らかな卵でとじられていて良い具合のものだ。そして具沢山の豚汁も。
衣の薄い、サクッとしていてすぐ下に柔らかな肉があるようなカツだった。衣と肉の間に空気が入るようなこともない、とてもきっちりとしたトンカツだ。サクサク具合は卵でとじられていても続いていて、それがとても嬉しい。
ちょっと甘めよりの割り下に、程良く火の通った玉ねぎ。ふわふわ卵にたっぷりのロースカツ。お、美味しいじゃないか。
だんなのヒレカツも1つ貰って食べてみる。スッと歯の通る柔らかさのヒレ肉だ。これでもかと盛られたキャベツと一緒に御飯を口に放り込む。

そして豚汁だ。やや白っぽい味噌は甘さのあるもので、たっぷりの大根や豚肉と程良く似合っている。カツ丼と一緒に食べるのが豚汁というのがまた美味しくて、
「ここ……美味しいね。」
「それに安いし。」
「俺的にはもう、"好きな店"殿堂入りだね。」
とふがふが言いつつ数分で料理は無くなってしまった。しめて2390円というお会計。一人1200円程度でビール1杯と昼食が喰えたのだから、これはとてつもなくお安いことだ(梅林行っていたらこの倍額は覚悟しなきゃいけないし)。

すっかりシアワセになった我らは、新宿に向かう。
「焼き肉だ、焼き肉するぞ。」
「肉を買うぞ、たっぷりのカルビ肉を。」
そう言いながら、ニュークイックの入る小田急ハルクに向かう我ら。今食べたのもたっぷりの肉だったような気がするが、そういうことはどうでも良いのだ。

小田急ハルク 千疋屋にて
 マンゴプリン
 アールグレイアイスティー

本屋に行き、キムラヤに行き、小田急ハルクに到着。
いい加減疲れたのでどこかで休もうと、地下2階に入る千疋屋の前まで行ってみる。時間は3時過ぎ、当然のように待ち客がたむろしている。いつもなら行列を見たら速攻立ち去る私達だが(行列キライなのね)、今日は違った。メニューに「旬のメニュー」の文字と共に"マンゴプリン"と書いてある。
「食べなきゃ、食べなきゃ、食べなきゃ。」
わけのわからん義務感にかられつつ、十数分ほど待って着席する。私はマンゴプリンにドリンクセット、だんなはバナナワッフルのドリンクセット、息子にはソルベの盛り合わせ。

やってきたマンゴプリンはとうもろこしの粉のクレープに盛られた美しいものだった。たっぷりの生クリーム、マンゴーの果肉、マンゴソルベにバニラアイス。さすがフルーツ屋さん、というような豪華な盛り合わせだ。
高級マンゴーをたっぷり使ったようなマンゴプリンは、私の愛する中華料理系のそれとは方向が違っていたけどそれはそれで美味しかった。詳しくは専門ページにあったりして。

そしてだんなのだんなワッフルは焼きたてのアツアツのもの。たっぷりの生クリームにバナナとバニラアイス。目の前でフォークとナイフ使って喰っているだんなは何やらとてもシアワセそうだ。
息子のソルベは5種類。グランベリーにマンゴーに桃にメロンにバナナ。どれも果実の味そのままの豪華な盛り合わせだ。
「おゆきさんは、桃が美味しいなぁ。」
「俺はメロンがなんとも……。」
と言いつつ喰ってる私たち。ごめんよ息子。

骨せんべい
鯵のたたき
かんぱちとマグロの刺身
しじみの味噌汁
御飯
よなよなエール、麦茶

新宿高野の
 クリーミープリン マンゴー
アイスカフェオレ

焼き肉は明日ということで、本日は魚の夕べ。

「お刺身が食べたいね」
と言って買ってきたのは鯵4尾にかんぱちとマグロのサクだった。山のような魚を切りさばくことから夕飯の準備は始まる。

内臓を抜いて貰うところまでしてもらった鯵の頭をざくっと切り落とす。背中から包丁入れて3枚におろし、中骨を綺麗に抜いて皮を剥く。書いてしまうことは簡単だけど、骨は綺麗にとれねーわ、3枚におろしても中骨に肉がまだついてるわ、皮は剥きにくくてイライラするわ、それはそれは大変な作業だ。しかも4尾。泣けてくる。

それでも、だんなが鯵のたたきがこの上なく好きなことがわかっているので、必死こいて4尾分のたたきを作り終えてみた。
その間、だんなはしじみの味噌汁を作っている。
「中骨、やっぱり勿体ないしねー。」
とか言って骨せんべいも作っている。ビールも冷えてる、刺身も整った。で、8時前にようやく夕御飯。

中骨に塩胡椒して弱火の油でじっくりじっくり揚げた骨せんべいは今日もイカすビールの肴になってくれた。どこも噛めないところはない、サクサクの良い具合の骨せんべいだ。
大皿にたっぷりの刺身の盛り合わせ、それ以上にたっぷりの、葱を混ぜ込んだ鯵のたたき。ワサビ用の醤油皿と生姜入りの醤油皿を用意して、わしわしと生魚を喰らう。

ビールを2缶飲み終えたところで、だんなは御飯茶碗にこれでもかと山盛りにした御飯を盛ってきた。
「さ、本題いくね、本題♪」
とか言いながら生姜醤油につけた鯵のたたきを山盛り御飯に山盛りに乗せて、今まで以上にわしわしと喰い始めた。彼、本当の本当に鯵のたたきが好きらしい。
「旨いよ!これだよ、これ!」
私が御飯1膳平らげる前に、彼は1膳目の山盛りを平らげて2膳目の山盛りに臨んでいる。すごい。

山盛りあった刺身とたたきは、それでも少しばかり残ってしまった。
たっぷりのしじみを使った、田舎のおばあちゃん手製の味噌で作った味噌汁もまだ残っている。
「明日は……鯵丼、かな。」
なおかつ嬉しそうに呟くだんな。そ、そんなに好きか、君……。

8/6 (日)
新宿高野の
 フレンチトースト
 レモンブレッド
アイスカフェオレ

昨日、新宿にて購入してきた高野のパンで朝御飯。
2枚組みだったフレンチトーストをだんなと分け、あとはレモンブレッドにウィンナーベーグル、息子用にバナナパンケーキ。

ゼリー状のメープルソースがかかったフレンチトーストと、レモンクリームが中央に詰まったふかふかのパンをがつがつと食べる。ああ、何だか夏バテはどこかへ行ってしまった模様。

そうそう、何でも高野はメロンパンブームに沸いているらしい。「焼き上がりは○○時」なんて札までかかっていて、何でもマスクメロンだかをふんだんに使った"本物の"メロンパンだというのがウリであるらしい。
でも、そもそもメロンパンってのは"メロンのような縞模様が焼き上がりにできるから"メロンパンという名前になったのであって、メロン味がする必要はこれっぽっちも無いんじゃないだろーか。
新宿のパン屋さん、何だか軒並みメロンパン売っていてちょっとびっくりしたのであった。私はごくごく普通の、ほんのり甘くて表面がカリカリサクサクしているあのメロンパンがやっぱり好きだ。銀座のホテル西洋のメロンパンは、めっちゃ旨いのであります。

カンパチとまぐろのお刺身
鯵のたたき
しじみの味噌汁
御飯
冷茶

昨夜の夕飯の残りのお刺身。しじみの味噌汁もまだまだたっぷり残っている。
それに合わせて、昼に合わせて御飯を炊いておいてみた。日曜に炊きたての御飯で昼御飯というのはとても我が家では珍しいことで、しかも刺身が並ぶなんてことは滅多にないことだ。何だか贅沢な気分になってしまう。

海の香りのする味噌汁をすすり、醤油をつけた刺身と一緒に御飯を口に放り込み、ついでに醤油に浸した鯵を御飯の上に乗せてがつがつとかっくらう。そう、今日の夕飯は焼き肉するのだ。満腹になってはいけないのだ。
「だからね、ほんの少しのお代わりにするのね。」
とだんなが席を立って、彼にしては少量の2膳目を喰っている。
私も私で、
「鯵が残ってるのよね。しょうがないのよね。」
と言い訳にもならない言い訳をしながらやっぱり2膳目を喰っている。

そうして明日の朝も食べるしね、と4合炊いた御飯は隨分と減ってしまっていたのであった。
ありゃりゃりゃりゃー……。

焼き肉の宴〜♪♪♪
 牛タンの塩焼き200g
 合鴨の塩焼き100g
 カルビ400g
 長ねぎ・玉ねぎ・茄子・南瓜・ししとう・にんじん・にんにく
 サンチュ
 牛肉とワカメの中華スープ
 ガーリックバターライス
 モルツ、よなよなエール、麦茶

久しぶりの焼き肉。
だんなは昼過ぎからうきうきと牛タンを塩味の揉みだれに漬けこみ始めていた。そんなに嬉しいか、君。

午後6時半。居間の扉も閉めた。クーラーも全開。換気扇も強にセット。匂いのつきそうな布類を他室へ非難させ、いざいざ焼き肉。
我が家には確固たる焼き肉の掟というものが存在している。中でも最も重要な事項は
・最初に牛タンをたっぷり堪能すべし。
・長ねぎは最初からじっくりじっくり隅っこで焼くべし。
の2項目であろうか。

本日も、ニュークイックにて厚くて美味しい(しかも安い)牛タンをたっぷり買ってきた。ついでに何だか安かった"塩焼き用"なる合鴨肉も買ってきてみた。胡椒をガリガリ挽いた小皿を各自用意して、いつもはレモン汁をつけるところを生のすだちを用意。焼きたてのタンに胡椒とすだちをたっぷりつけて口に放り込む。火傷しそうなやつを、ビール片手にハフハフ言って食いちぎる。美味しい〜っ!やっぱり焼き肉はスバラシイ。

そして、最初からホットプレートの隅では長ねぎがごろごろといくつも並んでいるのである。だんなの焼き肉における最大重要項目、
「長ねぎを心ゆくまでじっくり焼く」
を遂行すべく最初に並べられた長ねぎは、宴が終わりに近づくころになってようよう食べられるようになる。白いところなど少しも残っていない、もう少しでケシズミになろうかという長ねぎが彼のお好みなのだ。葱臭いところのない、中はトロけるように火の入った長ねぎは確かに柔らかでものすごく美味しい。

「これ……まだ?」
「このへんは……一応"焼けてる"状態だけど俺的には"これから熟成"段階ですな。」
だんな、ウルサイ。とりあえず彼の承諾無くしては長ねぎを口にすることはできないのである。結婚当初、その彼の嗜好を知らないまま普通に焼けた長ねぎをポイポイ食べた私は、だんなに悲壮な声で注意をくらったのだ。
「それ!その長ねぎ!俺がキープしていたのにいぃぃぃ……」
だって、長ねぎころころ転がすだけで一向に食べない人がいたら、長ねぎがキライだと思ってしまうじゃないか。

で、だんなの嗜好も私の嗜好もほぼ完全にお互い疎通している今、焼き肉で困ることは隨分と減った。
長ねぎの世話は彼に任せる。彼が"いいよ"と言ったら美味しくなったということだ。有り難くいただく。肉の世話は大概だんな、私は野菜を主に並べる。皿を洗うのは私、ホットプレートを綺麗にするのはだんなの役目。お互い言葉を交わさずにちゃっちゃと動いて準備から片づけまで終わるのは大変に楽なことだ。

そうこうしているうちに、宴は牛タンからメインのカルビに移っているのである。400g強たっぷりのカルビをじゃかじゃか焼いていく。2パックのサンチュも用意、ついでに昨日はサンチュ味噌なるものも買ってきた。サンチュに御飯をちょびっと乗せ、サンチュ味噌をちょいちょいとつけてから焼きたてのカルビをタレにつけて、サンチュでぐるぐる巻いて食べる。野菜のシャクシャクと御飯のモチモチと肉の旨味が重なると、なんとも言えない美味になる。ちなみに焼き肉のタレは"赤と黒"中辛と甘口のブレンドがイチオシだったりする。

サンチュで肉を喰い、野菜も喰い、長ねぎもそろそろ焼けてくる。長ねぎの横で置いていた、でっかいにんにくも程良くホクホクになっていて、栗のようなそれをがぶりと食べる。なに、明日臭くなっても構うものか(ほんとはヤバイ……かもしれない)。

肉が無くなり、サンチュも無くなり、野菜もほとんど無くなった。
最後は鉄板についた肉の焦げをこそげとる効果もあって、ガーリックバターライスでシメるのが常だ。たっぷりのバターでにんにくの薄切りを焦がすように炒めて、御飯を加えて醤油をざっとかけて炒める。こんがり良い具合になったら出来上がり。ワカメと牛肉が入ったスープを傍らいに置いて、最後までニンニク臭くパワフルな料理を食べ続ける。
今日のバターライスも旨かった。確か明日の朝用にと昼間の4合炊いた米は、昼食と夕食で綺麗に無くなってしまったのであった。