食欲魔人日記 99年5月 第1週
5/1 (土)
だんな特製 卵炒飯
ヨコイのスパゲッティ ポークピカタ乗せ

昼過ぎ、義弟が遊びに来る。
来客定番ヨコイのスパを作成し、皆で食べる。
今日は卵の衣を豚肉につけて、ポークピカタ。ピリ辛ソースと合って、良い感じ。

豚の角煮 卵と大根入り
冷や奴
茄子の味噌汁、ご飯
苺 with 練乳牛乳

義弟が義母の手料理入りタッパーを持ってきてくれていた。
中身は特製豚の角煮、一緒に卵と大根も煮込んじゃったんだもんねバージョンだ。生姜が効いていてなかなか良い。うーん、今日は楽できたぞ、ありがとう、おかあさん。これと、今週の月曜日に買って放置されていた絹ごし豆腐を慌てて食べる。とりあえず、キケンな香りはしなかったから大丈夫、大丈夫……(汗)

5/2 (日)
だんな特製 卵炒飯

2日続けて炒飯だ。炒飯はだんな担当だから、2日続けてだんなが調理。休みなのに申し訳ない。ぺこり。
何故炒飯ばっかかと言うと、冷凍御飯が冷凍庫から溢れてきたからさ、ベイベ。

昼定食 \5,000也
マンゴプリン
ふわふわ杏仁豆腐
ビール

本日、だんなが友人と遊びの予定が入っていたので、母を誘って息子と3人でおでかけする。
母リクエストにより、横浜ホテルお泊まりだ、ランランラン♪
本当はインターコンチネンタルが本命だったのだが満室予約でダメ、続いてロイヤルパークホテルニッコーも満室でダメ、更に頼んだパンパシフィックホテル横浜でなんとか予約が取れました。っほ。

さて、お昼ご飯はトゥーランドット游仙境。
中華料理のレシピを見た時から敬愛していた、脇屋友詞さんという人が料理長の中華料理店である。この人のレシピによって、私の豚肉の角煮は"人間がダメになる"(=毎日食ってると人間がダメになる、そのくらい美味しい、の意味)称号を得たのであった。マンゴプリンもとっても美味しそうなのだ。楽しみ、楽しみ。

問題は一つ、このお店が入っているのがパンパシフィックホテル。そのホテルの総料理長だか総合プロデュースだかが、かの名誉鉄人石鍋某さんである。「クィーンアリス」の石鍋某。
実は、私はこの人があんまり好きでは無い。ていうか、まったくもって大嫌いである。
「雰囲気も料理のうち」という人はキライです。ましてや「盛りつけも料理のうち」などとは笑止千万。
美味しい料理、及びレストランは基本の料理がしっかりしていて経営理念が真っ当ならば雰囲気など自然と生ずるものなのだ。料理が丹精こめて作られたものならば、自ずと美しい料理になるはず。それが例えモツ煮込みでも。
ま、色々理由つけてみてますが、要するに嫌いなのです。だって、綺麗かもしれないけど全然美味しそうに見えないよ。

ともあれ、トゥーランドット游仙境なわけです。
店の入り口、いきなり藤棚(葡萄棚か?)が横に鎮座ましましている。お洒落な椅子がそここに。左手クィーンアリス、右手トゥーランドット。おお、いきなり両者並びたつか。
……若干の不安。
トゥーランドットの門をくぐる。ああ、門の脇には脇屋氏の著作がずらりだ。著作だけなら良い、掲載雑誌まで並べるなっての。
天井、まっ青、壁ピンク(一部だけどね)。テーブルクロスピンク、上にかかるリネンは真っ白。壁にはドレープのかかったレースのカーテン。
んでもって、客席が2段になっていて上の段はテラス調になっている。気取った手すりなんかあったりして。
なんだか豪奢。そしてメルヒェン。なんでも「オペラ座のイメージ」だとか。中華料理店では、もはや、ない。
……不安いや増す。
いけないいけない、こんなに楽しみにして来たのに、いきなり引いてどうする。
予約したのは、私だ。

机の上には、木の葉で作った怪しげなオブジェ(人によってはこれを"お洒落"と見るかもしれない)。
横には段々重ねになっている調味料の器。木の小さな棚に美しく入っており、それが各テーブルにある。
んで、店のそこここには、トピアリー。ベンジャミンゴムの木などが美しく円錐だとか円形だとか三角だとかに切り揃えられている。手入れがしっかりされているな……と思ったらフェイクだった。ニセモノの、木。
テーブルの上のオブジェの隙間からは発泡スチロールの土台が見え、ニセモノのトピアリーと共に、このお店……というかこのホテルのレストランを端的に感じ取れたような気がしてきた。
左を見ても右を見ても、上を見ても自分のテーブルを見ても、「ここらへんが石鍋」「ここらへんも石鍋」「ここらへんさえ石鍋」とたくさんの矢印が見えてくるようだ。なんとかしてくれ。
……不安増大。
やばい。まだ御飯は始まってないのだ。

料理は\3,500と\5,000のコース、後はアラカルトになる。母が折角だからと\5,000のコースにしてくれた。初夏の暑さを感じる日和に喉も乾き、ビールを飲みながら料理をいただく。
料理は大変、美味しかった。料理の味は、だが。
以下、出てきた料理である。(料理名は、レストランで貰ってきた品書きにあったまま)

游仙境前菜飾り盛り 春の香り
 焼き豚、ピータン豆腐、いんげんの辛味和えなど、4〜5種の盛り合わせ。
 肉には味がじっくり染みていて、大変美味。どれも小さな仕事がきっちりされている。
 しかし、問題なのは皿だ。大きなプレートに細工の施された小さな皿がコロコロ並ぶ。
 綺麗だよ、綺麗だけど……どーしてそんなにチマチマ盛るの?綺麗だから?
 結構食べにくいし……大体、全ての料理が一口どころか半口分もない。
 うう、せめて二口分欲しいなぁ。

干し貝柱とふかひれの蒸しスープ
 赤茶色の蓋付きの素焼きの器に盛られて来た。
 ふかひれの存在感があまり感じられなかったけど、スープそのものは美味。
 「なんか懐かしいような味がする」と思ったら、入っていた葉物が白菜だった。
 懐かしくて、洗練されている。いけるじゃないか。

オマール海老の煎り焼と芝海老のパリパリトースト
 要するにオマールの海老チリ、トースト乗せ。
 でも、美味しいです、ごめんなさい。
 特にトーストは、本気で美味しかった。
 パンを短冊に切り、両端にワンタンの皮をつけて揚げたものだ。
 細かい細工だが、食感が計算されていて最高の歯触り。
 でも、これもチマチマ美しい盛りつけ。もっとドカンと頂きたいところ。

筍の子と黒豚三枚肉のトロトロ煮込み
 要するに東坡肉の筍添え。
 我が家の東坡肉は脇屋さんのレシピだ。
 同じ味がした。嬉しかった。
 (そりゃ、こっちの方が美味しかったよ〜)

春キャベツと桜海老の香り煮
 これがねぇ、単純な料理だ。
 キャベツと桜海老を白湯(パイタン)で煮ただけ、みたいな。
 でも、実はこれが心に響くほど美味しかった。
 このスープは、素人じゃ再現出来ない、としみじみ思った。
 白磁の皿に、ただよそっただけの料理。
 このあたりに、脇屋さん側の意地が見えたような気がした(笑)

四つの宝の蒸しご飯 山椒風味
 要するに、山椒と筍としそと茗荷の混ぜ御飯。
 何故「宝」なのか。答えてくれ、石鍋。
 量が子供の御飯茶碗にも満たないものだった。
 うう、悲しい。3倍量はいただきたい。

トゥーランドット特製デザートと本日のお楽しみ一品
 悲しさ最高潮。
 特製デザートは、杏仁風プリンと桃のアイスと柏のクッキー。
 でも、大きな皿に小さなカップ、カップの中にちんまりとプリン。
 カップの横に、楚々と盛られるアイスクリーム。
 切ないほどの量だ。君らはリスにでも餌付けをしているつもりか。
 3口で無くなっちゃった。子供に2口やったので、実質私は1口(号泣)
 「本日のお楽しみ」はココナッツカスタード団子。
 ふわふわで、ほわんとした甘さがしみじみ美味しい。

特選烏龍の極上茶葉あまい香
 要するに烏龍茶。
 確かに「あまい香」とまで書き記すだけあって、良い香り。
 でも、そんなものは品書きに記すもんじゃなくて、個人が「あ、良いお茶だ」と感じれば済む
 問題じゃあないかね、明智君。

マンゴープリン
 マンゴプリナーとして、当然頼んだマンゴプリン。
 美味しかった。マジに美味しかった。
 詳細はマンゴプリンページを見ていただきたい。

ふわふわ杏仁豆腐
 更に追加注文。杏仁豆腐は「ふわふわ」と「つるつる」の2種類があると言う。
 自分の好みで「ふわふわ」注文。
 舌にとろける、液体と固体の境界の曖昧な物体がやってきた。ううーん、ふわふわ。
 「杏仁豆腐」としては聘珍樓が勝るけど、これはこれとして非常に良い。異常に良い。

以上、食事の内容でした。
何度も何度も書いたけど、味は本当に良いのである。
なのに、皿の美しさにこだわるあまりか、それとも経費節約の為に見かけでごまかしているのか、量が絶対的に少ない。私や母の皿から子供が横から食っていた、というのも当然さっぴいて、だ。これは女子高校生のダイエット食か〜!!!健啖家の女や、ましてや男には絶対足らない食事だぞ。
見かけをなんとかする前に、量をなんとかせんかい、コラ。

ごめん、脇屋さん。
とっても美味しかったよ。美味しかったけど、このお店にはまた来たいとは思えません……。

洋梨のタルト
紅茶

さて、そんなこんなでチェックイン。
部屋は海側、遊園地側。21階の、バルコニーから観覧車が良く見える部屋だった。
ツインのベッドはセミダブルの、ややゆったりめ。茶系の落ち着いた家具が置いてある。洗面所にはエステダムの化粧品サンプルサイズ、バスソルトやヘアバンドまである。女性好みな造りだねぇ。
ラブホテルじゃないんだから、別にそこまでしてくれなくても良いのにねぇ。

それはさておき、腹ごなしにクィーンズモールを散策、ケーキを購入(あれ?)。
クィーンズイーストにあった、Au Fin Palet (オー・ファン・パレ)という店のタルトである。私は洋梨、母はタルトタタン、息子はモンブラン。いつ通っても、素朴な、良い感じのタルトを売っていて、実はず〜っと気になっていたのであった。
部屋に戻って紅茶入れて、ささやかなお茶会をする。
半分くらい貰おうと思っていたモンブランは、一口も私の口に入ることなく息子の胃袋に入るのであった。……ぬぅ、食欲小魔人め……(汗)

ダイエット懐石 \8,000也

夕食は、軽くしようね〜っと親と協議した挙げ句、ホテルの中にある和食の店、「おしどり」に入ることにした。
軽くしようね〜っと言っていたはずなのに、なんか懐石食ってるし。おいおい。

実は、夕食は息子が隨分とぐずってくれて、宥めたりすかしたりオモチャやったり料理分け与えたりでてんやわんやの状態だった。……ので、あんまり覚えていないのです。っう、不覚だ。
出たものは、こんな感じ、あと3品くらいあったけど。

茄子と里芋、おくらの水晶寄せ
茄子と椎茸の吸い物
こんにゃくの烏賊素麺風
冷や奴
山菜飯
ところてん(黒蜜で)

どれも、特別に奇をてらったもの、というものは無かった。でも、だしの味がしっかりしていたり、一見海苔の塊なのが、実はゼリー寄せだったりと細かい技が光っている。「ダイエット懐石。カロリー控えめです。でも必ずご満足頂けます」と書いてあったとおり、こんにゃくの烏賊素麺風はかなり本物に迫っていた。

後に、この店がdancyu5月号に載っていた事が発覚。どうやら評判の店でもあったらしい。
子供が騒いでごめんなさい。今度はしっかり味わいます。