食欲魔人日記 06年3月 第1週
3月1日 水曜日
サラダ食べつつ、親子会議
「美味飲茶酒樓」の
 チャーシューまん
 塩卵のカスタードまん
プーアル茶

昨日行った飲茶屋さんのメニューに「お土産メニュー」なるものがあって、点心類や前菜の詰め合わせなどが載っていた。ああ、おまんじゅうの類買って行ったら明日の朝御飯になるかもと、チャーシューまん3個と「塩卵のカスタードまん」なる可愛らしいサイズの甘いおまんじゅうも3個。メニューに載るセットはチャーシューまん2個とカスタードまん3個だったのだけれど、「3人家族なのでチャーシューまんも3個欲しいのです」と伝えたら快く詰め合わせにしてくれた。

「塩卵」は中華の独特な食材のひとつで、あひるの卵を塩漬けにしたもの……らしい。中華街などで、茶色い泥にくるまれたピータンではなく、黒い灰のようなものにくるまれた卵を見かけることがあって、それが「塩卵」。どう料理して良いかもあまりわからないので購入したことはないのだけれど、自作することもできるらしい。やはりそれなりに塩気のある卵であって、でも月餅のあんなどに用いられてもいるらしい。カスタードまんもきっと美味しいに違いないと買ってきてみたのだった。うん、全然しょっぱくは、ない。甘さは控えめではあるけれど、「おかず」というよりはちゃんと「おやつ」な方向の味のカスタードまんだった。

ちょっと甘めのこっくり味のチャーシューまんに、もっちり固めの真っ黄色の濃厚な甘いあんが詰まったカスタードまん。昨日の本格飲茶のお店の味そのままで、朝からすごく幸せな気分になれた。

魚介の親子丼
菜の花と卵とコーンのスープ
麦茶

今日から3月。行きつけのジムから顔見知りのインストラクターさんがだいぶいなくなるようで、3月からのジムプログラムスケジュール表には見知らぬ名前がいっぱい。めげずに行くぞ、3/1の今日から行くぞと鼻息を荒くしていたのだけれど、仕事がたっぷりでとても行ける状況じゃないと午前中早々に思い知ることになった。だめだこりゃーと、朝から真面目にお仕事お仕事。お昼御飯は、半端に残っていた鮭フレークとお義母さんからもらった自家製イクラがあるのを思い出して、簡単魚介親子丼を。鮭もイクラも案外たっぷりあるなぁと思いつつ、でも御飯は控えめの具沢山丼にしていただいた。

昨夜のスープも残っていたので、丼とスープでそれなりの、でもごく簡単に準備できたメニューでお昼御飯をぽそぽそと。ん〜、flashはものすごく色々なことができるけど、できるゆえに難しい……。今日の午後は仕事してるのか勉強してるのかわからなくなってきた。

「サイゼリヤ」にて
 肉サラダ \499
 プロシュートWサイズ \789
 グラスビール \199

私はジムに行けなかったけど、息子も今日がジムの日だ。捻挫もすっかり完治した息子は元気に出かけて行った。終わる頃には暗くなってしまうので迎えに行くことにしているのだけれど、春休み期間中に開催されるスキー合宿の募集案内が子供用ジムの入り口に張り出されている。3月下旬、息子はちょうど対象年齢、初心者の参加ももちろん可能。3泊4日でみっちりスキーを教えてくれるらしい。

「ねぇ……これ、行ってみる?」
「スキー!行く!ぼく、行く!」
「んー……今すぐに結論出さないでさ、ちょっと食事でもしながら考えようか?」
昼御飯を軽めに済ませちゃったので、私は腹ぺこ。汗みどろで運動してきた息子もやっぱり腹ぺこ。もういいや、サイゼリヤに行っちゃえ〜、と、久しぶりのイタリアンファミレスに足を向けた。

息子はカルボナーラスパゲティとコーンスープ。私はビールと共に、密かな好物「肉サラダ」と、サイゼリヤにおいては超高級メニューの部類に入る「プロシュートWサイズ」を注文した。

皿の上には、やや厚めの巨大な生ハムが5枚ばかり。1枚につき1個ずつ2口サイズくらいのミニパン(ミニフォカッチャ)が添えられていて、なかなか良い感じだ。当然のように息子にハムとパンを相当量奪われたので、私も息子のスパゲティとスープを奪ってみた。肉サラダも取り分けつつ、結局全ての料理を息子と半分こして食べるような具合になって、バランス良さげな夕御飯。

「肉サラダ」は豚の焼き肉がトッピングされていて、その名も「サイゼリヤドレッシング」なるサウザンアイランド風のドレッシングがたっぷりかけられている。この安っぽ〜い焼き肉の味がなんとも良い具合で、「サイゼリヤ サラダといえば 肉サラダ」(ともぞう心の俳句)なのだった。

サラダと生ハム(とミニパン)だけじゃさすがに物足りないかなと思っていたけど結局のところスパゲティもスープも息子に分けてもらえたので追加注文もすることなく、これだけ食べてたったの2千円の夕御飯。サイゼリヤは相変わらずおっそろしいほど安かった。

そしてお安い夕飯つつきながら、親子会議。
「……で?行けそう?スキー旅行って言っても、ジムの旅行だからお母さんやお父さんは行かないよ?コーチや他のお友達たちと行くんだよ?」
「んー……うん、行けそう。行く。がんばる」
「お荷物は全部自分で持つんだよ?お風呂や着替えも全部自分で準備して自分でやるんだよ?」
「がんばる」
「夜遅くなって、"さびしいよー"ってなっても大丈夫?」
「がんばる」

まぁ、多分、本当に不安に思っているのは親の私たちの方であって、さびしいのも親の私たちの方なのかも。息子の決意は充分固いようであり、やっぱりスキーの初歩の初歩はスクールで基礎をたたき込んでもらった方が効率的だというのもあり、だんなとも電話で相談した後、お店を出たその足でスキー教室の申し込みに行ってきた。その手の合宿は新2年生にはまだちと早いかもしれないけど、対象年齢は新1年生からとなっているし、子供扱いに長けた「体操のお兄さん」たちが一緒だし、何よりいろんなイベントがとても楽しそう。雪まみれになって巨大雪だるまを作ったり、そり遊びしたり、スキー以外にも山ほど遊ぶ予定があるらしかった。かわいい子には旅をさせよということで、行ってらっしゃーい。

「しろたえ」のレアチーズケーキ
紅茶

フジテレビで「うそつき」と緒川たまきが呟くちょっと前に、だんなが帰宅。手には「しろたえ」のチーズケーキを持っていた。ばんざーい!美味しいものだー!ちょうど今日の夕飯はデザートとか食べてなかったし、これは嬉しい嬉しいと、ポイズンな時間帯にポイズンな夜のおやつ。

昔ながらの味がするこのお店のチーズケーキ、外見はちんまりとやけに小さいのだけれど、口にしてみると、「あ、この大きさでちょうど良いんだわ」と納得できる重量感がある。甘さがそんなに強いとも言えないのだけれど、どっしりもっちりねっちりとした濃厚かつシンプルなレアチーズケーキで、底にビスケット生地の土台があって上にピスタチオのかけらが1個飾られている他は何もないストイックなもの。相変わらずの美味しさだった。

「なぜ?なぜなぜ?ホワイトデーはまだ先なのに、なぜ?」
嬉しいなー嬉しいなーと食べていると、
「いや、赤坂見附で昼飯喰ったから。赤坂見附としろたえは、組でしょ?」
と返された。もうだんなの頭の中には「赤坂見附=しろたえ(でチーズケーキを買って帰らねばならない)」という構図ができているようで、それは何よりと思いつつ、夜のポイズン。それじゃあ君、もっと赤坂見附でランチを取ると良いよ。

3月2日 木曜日
うーん、コーンのパスタはやっぱり甘い〜
チーズハムパニーニ
カップスープ(インスタント)
いちご

夜中にチーズケーキなぞ食べると、翌朝に若干の胃もたれが残るのだなぁと自覚して、「あーもー若くないんだなー私もー」とほんのり鬱々とした気分になってしまった今朝。でも昨日買って来ちゃった朝御パンはあるし、せっかくの家族の朝御飯に「なにもいらなーい」というのも寂しいので、「昼御飯を抜きにすることにしよう」と考えて、買ってきたパンを温める。

買ってきたパンは、木村屋のパニーニ。昨日息子と一緒にスーパーに寄ったときに
「これ!これ、朝御飯に食べたーい」
とねだられたのがポケモン蒸しパンで、息子がそれなら私とだんなはどうしようと売り場を見渡して、割と可愛らしいサイズのパニーニがあったのでそれを1個ずつ買ってきたのだった。

私が想像するパニーニよりも、ちょっとしっとりめの柔らかいパン生地にちょっとばかり安っぽい味のハムとチーズがぴったりとくるまれたもので、カリカリ感のないホットサンドのよう。これはスープの方が似合うなとインスタントのポタージュを用意して、スープもパンもはふはふ言いつつ平らげた。

鶏と玉ねぎのスパゲティ コーンクリームソース
レタスと茹で野菜のサラダ
アイスティー

今日も一日仕事と格闘して、そして予定通り昼御飯はスルーした。昼間は中国茶をがぶがぶ飲みつつ、「そういえば週末は美味しいもの食べに行くんだったんだー」と数日後の豪遊に思いを馳せつつ、今日は一人静かな一日。

さて夕御飯はどうしよう、スパゲティにでもしようかなと思っていたら、息子が夕方、食料庫をがさがさ漁っている。
「お母さん、こんなのが出てきた!」
とミニサイズのコーン缶を持って戻ってきた。それは……出てきたんじゃなくて、「探しあてた」んじゃ?と思いつつ次の言葉を待っていると、
「ぼくがー、これを使ってー、夕ごはん、作っちゃおうかなー?」
と不穏な事を呟いている。じゃあそれ使ってスパゲティ一緒に作ろうかと誘ってみた。

パスタ用のお湯を沸かして、スパゲティと一緒に一口大に切った鶏肉と玉ねぎも一緒に茹でちゃう。別鍋にコーンクリーム缶と牛乳と半端に残っていた生クリームを入れて熱して軽く煮詰め、茹でたあれこれと一緒に盛りつければできあがり。鶏肉を切るのがちょっと大変かもしれないけど、これだった子供にも比較的簡単に作れそうな(でもコンロを2つも使うから危ないか……)料理かもしれない。

「で?この野菜はなんでしょう?」
「キャベツ!」
「ブー、レタス。……この肉は?」
「牛肉!」
「ブー、鶏肉。……こっちは?」
「ねぎ?」
「そう、ねぎ。何ねぎ?」
「……なぞねぎ……?」
「そんなのありませーん、これは玉ねぎ」

わかるようでわからない食材クイズをしながら、今日は息子もずっと一緒に料理していた。これはキャベツじゃないよーレタスだよーと言いつつ、1枚ずつペリペリ剥がした葉を2人で一口大にちぎっていき、サラダスピナーでの水切りは息子にお願いする。レタスやキャベツは丸のままの状態だったら区別できるみたいだし玉ねぎも皮つきの状態ならちゃんと理解しているようだけれど、刻んでしまうとなかなか難しいらしく、食材クイズは息子にとってなかなか難問らしかった。

手持ちの野菜をあれこれ茹でてトッピングしたレタスのサラダも添えて、コーンの甘さが強めに漂うパスタで夕御飯。うー、私もけっしてコーンは嫌いじゃないのだけれど(むしろ大好き)、そしてクリームものも大好物なのだけれど、このパスタはお子ちゃまの味だなぁと思う。うひー、甘い甘い、辛めのプッタネスカとかが恋しくなってくるよーと思いながら、でも
「今日のぼくはおりょうりがんばった?がんばってた?おいしい?どこがおいしい?」
と息子がすごーく幸せそうだったので私も幸せ。
あとちょっとしたら春休みも始まるし、そしたらもっとたくさん一緒に料理できるかなー。

3月3日 金曜日
雛祭りだから、ケーキを食べるのよ
一色パン(チョコレート)
バタートースト
カフェオレ
いちご

サンドイッチ用のパンが4枚だけ残っている。早朝起きてジムに行くだんなにホットサンドはしんどいだろうと、だんなの分は三色パンを買ってきてみた。
「三色パンがあるよ。一色でも二色でも三色でも、好きなように食べていくと良いよ」
と伝えておいたら、一色だけ残っていた。

おお、残ってるのはチョコ部分だ。三色パン、私にとっては「ジャム・クリーム・チョコ」がパーフェクトな組み合わせなのだけれど、大手メーカーパンだとたいがいは「クリーム・チョコ・あんこ」となっているような気がする。チョコとあんこじゃ色一緒じゃん、つまらないじゃん、あんぱんはあんぱんとして食べる方がいいから三色パンにはいらないよー……と思っているのだけれど、なかなか私的パーフェクト三色パンには出会えないのだった。昔ながら〜のパン屋さんみたいなところでは時々見かけるのだけれど。

で、「一色パン」が残っていたので、ホットサンドという感じでもないなぁと10枚切りパンはそのままただのバタートーストにして1枚ずつ。半端に残ることになる残り2枚の行く末をちょっとだけ不安に思いつつ、だんなが淹れていってくれたコーヒーを飲みつつパンを囓った。
……美味しい三色パンが食べたいなぁ〜。

「文明堂」のカステラ
牛乳

一日せっせとお仕事お仕事。朝食のデザートに息子と2人いちごをばりばりと食べまくってしまった(といっても1/2パックぐらいよ、多分)ので、昼御飯は軽くでいいなと1時頃になってから台所あたりを探索。文明堂のカステラの小さな包み菓子が見つかったので、
「これはだんながお友達にもらってきたやつだなー、だんなのものは俺のもの、俺のものは俺のもの……」
とつぶやきながら、それをいただいてしまうことにした。普通の味のと、ココア味のと2種類の小さなカステラ菓子は、どちらもあの文明堂カステラのねっとりとした蜂蜜の味がして幸せ。後でもう少し何かつまもうと思いつつ、忘れ呆けてflashのお仕事と格闘を続けてしまった。

千葉 「La Maison ensoleille table」にて
 カラメルバナナタルト
 アールグレイティー

今日はひな祭り。せめてもと玄関に桃と菜の花を飾ってはいたけれど、雛人形も飾ることなくあっさりとこの日が来てしまい、過ぎ去ろうとしていた。ああ、せめて夕飯はちらし寿司でも……と先週のうちにピンクの綺麗なでんぶと、ちらし寿司の素を買ってきてあったのに、3月になって配布された学校給食の予定表に「3月3日ちらし寿司」の文字が。……や、やられた……。

そう、全然そういうのに無頓着であるのよりは季節の行事を大事にしてくれる献立はとっても嬉しいのだけれど、おかげで家の献立と重なることも多くて微妙に困っちゃう学校給食。そうかー、ちらし寿司ダメかー……とがっくりしつつ、「ちらし寿司がダメなら、せめて寿司!」な気分に転向。きっとだんなの帰りは遅かろうし、音楽教室を終えた息子と2人で食べて帰っちゃおうとデパ地下で明日の朝用ベーグルを買ったところでだんなから電話があった。
「あのねー、今日はけっこう早く帰れそう」
と。

んじゃ材料買って帰ることにしようかどうしようかと電話口で話し合い、結局千葉で落ち合うことになった。息子も私も小腹が空いていたので、落ち合うまでの2時間ほどを、まずは喫茶店で過ごすことに。でっかいパイが食べたいな、アンナミラーズが恋しいな……と、千葉そごうの中のお店を目指してみれば、そこは先日改装されて全体的に小綺麗になっちゃって、アンナミラーズもどこかに消え去っていた。同じあたりの場所にはLa Maison ensoleille tableというお店が出来ていて、店頭にはバボーンと大きなタルトやパイが並んでいる。アンナミラーズが消えていたのは色々と悲しい(あの制服のおねぇちゃんが見られなくなるのもすごく悲しい……)のだけれど、ここのバボーンとしたケーキも美味しそうだねとこのお店に入ってみることにした。

息子は苺タルト、私はカラメルバナナタルト。どちらも色々とうず高く積み上げられている大変に迫力のあるタルトだった。お母さんのはバナナがたくさんでおいしそうね、いやいや君の方こそたっぷりのクリームが美味しそうじゃないの?とお互いのタルトを牽制しつつ(そしてさりげなく奪い合いつつ)、大きなケーキを1個ずつ食べた。

でも、見かけから感じたような甘さはあんまりなくて、クリームもタルト生地もカスタードクリーム等々も、実にあっさりとした味。カスタードクリーム状の部分も、砂糖と卵と牛乳でねっとりと練り上げました〜という感じじゃなくて、ゼラチンで薄めの卵液を固めたような、良く言えばあっさり、悪く言えば味気ない感じの味だった。皿にカラメルソースがしかれ、トッピングにもナッツと共にカラメルソースがかかったカラメルバナナタルトも、カラメルの苦さがはっきりと感じられる大人っぽい味。美味しいんだけど、不味くはないんだけど、歯が痛くなるほどの甘さとかはいらないんだけど、でももうちょっと「甘いケーキ食べてます〜っ」という充足感が得られるくらいには甘いケーキだと嬉しかったなぁ。

食後は、じっくり30分くらいかけて、デパート内の大型本屋で料理の本とパソコンの本をじっくりと眺め歩く。何かを買う予定は少しもなかったはずなのに、気がつけば『魚介のイタリア料理』、『ウー・ウェンのおうち飲茶』、『速習WebテクニックFLASH MX 上級サンプル100』、『Flash モーションデザインハンドブック』、『きょうの猫村さん 1』、『HUNTER×HUNTER 23』、『Steel Ball Run 7』と、買いに買って1万円以上を本屋で散財して、手がちぎれそうなほどの紙袋を手にすることになってしまった。料理本2冊はしょうがないとして(今日買わずとも遠からず買ってしまいそうな本だったし)、そして今日発売の漫画本2冊もしょうがないとして、flashの奥深さに追いつめられるままに、既に3冊もflash本持っているというのに教則本を2冊追加、そしてもうとどめとばかりに「猫村さん」。猫村さん、もう何ヶ月も前に図書館に予約入れてあるのだけれど、まだまだ私の番はやってこないらしいのでついに買ってしまった。ああ、ついに怪しい猫本が我が家に来ることに……なんか、でっかいよ、この本。(でも後悔はしない)

千葉 「銚子丸」にて
 いわしのレモンマリネ
 白子の博多焼き
 ししゃもの唐揚げ
 春うらら劇団セット
 ぶり握り
 うずら納豆軍艦
   穴子握り
 とろ中落ち手巻き
 蟹汁
 ビール
などなど

大変な大荷物になってしまって、よろよろと銚子丸でだんなと合流。今日は雛祭りらしく、可愛らしいお寿司をつまんで、今日限定品のはまぐりのお吸い物でもいただいて、女の子らしく過ごすのよとか最初は思っていたのに、座るなり
「あ、ビールください」
とか言っちゃうし、そのままの口で「あといわしのレモンマリネと白子の博多焼きもください」とか言っちゃうし、更にはししゃもの唐揚げとか食べちゃうし、完全に「飲んだくれ」モードになってしまった。もう女の子の節句なんてどこかに行ってしまったんだ。どこに行ってしまったんだ、という感じ。

お腹も空いて、喉も乾いて、つまみをつつきつつビールをがぶがぶ。ほんのり甘めなレモンだれがかかるいわしのマリネに、小さな卓上コンロで熱されて出てくる白子の博多焼き(葱とバターのかけらと少量の明太子を乗せた白子をジュージューと焼いて食べる)、子持ちししゃものカリカリの唐揚げ。どれもこれもビールに似合って、それでしばしだんなと晩酌をした。あとは、"鯛のづけ"などが盛られた5貫盛りの「春うらら劇団セット」をはじめに、ぶりとか鯛とか今日のおすすめものをあれこれと。「卵〜生卵〜、スタミナ〜」とか呟きつつ「うずら納豆軍艦」なども食べてしまって、ますます女の子の節句から遠ざかっていく自分を感じつつ、最後は中落ち手巻きでしめた。おかしいなぁ、はまぐりの吸い物を飲むつもりで来たのに、だんなと一緒に蟹汁啜って喜んでしまったよ。

いやー、いいね、白子はいいね。子持ちししゃもとうずら納豆軍艦も、もう最高。これで今日の夕方、アンナミラーズでケーキ食べて、あの制服を着たおねぇちゃんが見られたら最高だったのにね、なんて思いつつほろ良い気分で帰る私の心には、今日も小さなおじさんが住んでいた。そうか、私おじさんだから女の子の節句は関係ないんだ……。

3月4日 土曜日
初めてだったかもしれない、「鯉のあらい」
「BEGEL&BAGEL」のボルケーノベーグル
クリームチーズ(トマト&バジル)
カフェオレ

昨日、千葉に行ったついでにデパ地下のベーグル屋さん「BAGEL&BAGEL」で、朝御パンを買って帰った。月変わりベーグルが大好きな息子は、3月のベーグル「ローズヒップ&クランベリー」を選び、私はチーズトッピングの「ボルケーノ」、だんなには「ゴールデンセサミ」を。チーズやセサミだったらクリームチーズが似合うかなと、冷蔵ケース中に並ぶ各種フレーバーのクリームチーズから「トマト&バジル」を1個一緒に包んで貰った。

なんでベーグルっていうとクリームチーズになるのかなー、確かに似合うんだけど、面白いなーと思いつつ、あっためたベーグルにチーズこてこて塗りつつ食べる。
このお店のオリジナルレシピ本が2冊出ていて(これこれ)、それがいつも店頭に積まれているから毎回気になってしょうがない私。

津田沼 「SAND'S DINER」にて
 ビーフジャンバラヤ \1029
 生ビール(小) \367

今日は、お義母さんの還暦のお祝いの会。会は夕方からなのだけれど、いろいろ買い物したいものもあって昼頃に家を出た。でっかいスーパーみたいなところで買いたいものがあるんだよねぇと向かった先は津田沼で、ジャスコやらイトーヨーカドーなどをぷらぷらしながらあれこれ買い物。お昼御飯は、気になっていたテックスメックスのお店「SAND'S DINER」に行ってみることにした。

「テックスメックス(texmex)」とは、「テキサス&メキシコ」のこと。メキシカンなアメリカ料理であり、アメリカンなメキシコ料理である……らしい。メキシコ料理はアメリカに住んでからはじめて開眼した料理だったけれど、確かに一般的なメキシコ料理よりもアメリカ的な肉っけが多いような、そんな感じのメニューだった。

「お、ケサディーラがあるよ、エンチラーダも。懐かしいなぁ……」
タコスにファヒータに、ついでにジャンバラヤにタコライスにとあれこれ揃うメニューで、この店の人気は「チキンステーキ」なのだとか。タコスが食べたいなぁと思いつつ、でもそれじゃビールがぶがぶ飲みたくなっちゃうしなぁと、今日は「ビーフジャンバラヤ」を食べてみることにした。ビールも小サイズのを1杯だけもらって、ジャンバラヤやだんなが頼んだ「アメリカンハンバーグ」(780円)ができあがるまで、オニオンリング(409円)やチップ&ディップ(409円)をつまんで待つことに。

トルティーヤチップに添えられたサルサは玉ねぎ多め、香菜もしっかり混ぜられた自家製らしきもので、チェダーチーズベースのチーズソースとサワークリームが添えられてきた。カリッと揚がったオニオンリングにはたっぷりのケチャップとマスタード。広くはない店内も全体的にアメリカ〜ンでメキシカ〜ンで、だんなのハンバーグに添えられたソース(自家製だというバーベキューソース)もものすごく懐かしいような味。こっくり濃いめな味のビーフジャンバラヤにはハラペーニョのピクルスが添えられていて、「からーい、からーい」と言いつつそれをポリポリ囓りながら牛肉どっさりのジャンバラヤを食べ終えた。

全体的にお値段がお高めだけれど(アルコールが微妙にお高い……)、「エセアメリカ料理」みたいなんじゃない、ちゃんとそれっぽい料理の数々に大満足。今度は夜に行って、コロナビールがぶがぶ飲みながら色々食べてみよう。

柴又 「川千家」にて
 お座敷コース

そして夕方、柴又に移動。1時間くらい早く行って帝釈天でも参拝しようかと向かったところ、駅前でばったりお義父さんたちと会った。同じ電車に乗っていたようで、一緒に帝釈天と「矢切の渡し」見物をしているうちに、義弟夫妻とも合流。千葉から柴又は1時間くらいで行ける距離なのに誰も柴又に行ったことがなかったようで、
「あ、あ、ここ、寅さんのお店だよね」
「へー」
「ほー」
と、すっかり観光客気分で柴又をうろうろした。私も柴又は初めて。

そして宴席は「川千家」という川魚料理の専門店で。お義母さんにどんなものが食べたいかリサーチしたところ、「ひつまぶしが食べたい」と、子供たち全員が想定していなかった言葉が返ってきて、あれこれ探した結果、「ここだと個室も使えるみたいだし、雰囲気も良さそうだし、よろしいんじゃないでしょうか」ということで決めたお店だった。鯉と鰻をメインに出してくれるお店で、コースの鰻重をひつまぶしにしてもらうようにお願いして、2階のだだっ広いお座敷で宴会した。これがもう、20畳くらいはありそうな大座敷で、その広さに息子が喜んじゃって大変なことに。料理もすごく美味しくて、なのに部屋代はおろかサービス料もコース代に含まれていたようで、お酒やジュース類も良心的価格。お会計はびっくりするほど安かった。

前菜は、鰻と菜の花の胡麻和えや、とびこのクリームソース和え、鰻の肝のおろし醤油和え、などなど。春らしい小鉢の数々に桜の枝も添えられた華やかな前菜で、そして鯉のあらい、海老とキスと鰻とししとうの天ぷら、魚介ときゅうりの酢の物、はまぐりの酒蒸し、そして肝吸いとひつまぶし、と、適度な間をおきつつ次々と料理がやってきた。

「鯉のあらい」、私は今日が初体験だったように思う。軽く湯通しされたような、キュキュッと身のしまった鯉のお刺身で、添えられるのはさっぱりとした味の酢味噌。コリコリしてプリプリして、少しも泥臭さなんてなくて、想像していた以上に美味しいものだった。お義父さんのお猪口に日本酒注ぎつつ自分の猪口にも盛大に注ぎ、日本酒のんで鯉をつまんで、鯉をつまんで日本酒飲んで、ああ、なんか幸せ。

最近は割烹料理店はおろか、お寿司屋さん天ぷら屋さんなどにもワインが置かれてしまうような状況になりつつあるけれど(以前ある天ぷら屋さんを検索していてみつけたページで「この天ぷら屋さん、美味しかったけどワインが置いてなかったから減点」なんて記述があってすごくびっくりし た……え、そのへんが減点対象なの?って……)、私はやっぱり「基本的に、その国の酒はその国の料理と合わせるべし」という思いがあって、こういう空間、こういう料理、そして日本酒、全部揃って積み重なって、幸せ最高潮!という気分になる。こういう雰囲気で御飯を食べたのは久しぶりで、本当に楽しい宴席だった。

そして、コース料理にあるまじき量が最後にどかーんとやってきた、「ひつまぶし」。きっちりと1人3膳分(以上)が1人1つのおひつに入っていて、添えられた薬味は刻み葱と三つ葉、わさび。お茶ではなく濃いめにひかれただし汁が添えられた「あつた蓬莱軒」式のものだった。鰻もふくふくで柔らかで美味しいもので、「ひつまぶしの食べ方」なんてリーフレットが添えられたそれを、皆でわっしわっしと食べる。私はとにかく「うな茶」が大好きで大好きで、1膳目はそのまま、2膳目は薬味まぶしで、3膳目にお茶漬けに……というセオリーをすっ飛ばして、1膳目の半ばから薬味まぶしにして、2膳目早々から早速お茶漬けにして食べまくった。案の定だしが足りなくなって、他の人から残ったものをもらう始末……。さすがに天ぷらやお刺身をいただいた後でのひつまぶしは量が多くて、なのに義妹以外の全員が完食した。

息子がおばあちゃんにプレゼントしたのは、可愛い張り子の猫の置物。お腹に大きく「福」の字が書かれていて、祝いの席にもちょうど良いねと昨日私と一緒に選んだものだった。私は、同じ売り場に置かれていた同じ作家のものと思われる張り子の蛙(こちらはお腹に「若かえる」の文字が……)が良いんじゃないかと思ったのだけれど、息子のイチオシで猫に。

お義母さん、還暦おめでとう〜。

3月5日 日曜日
豚すね肉をことことと煮込みました
「ミスタードーナツ」の
 ポン・デ・あずきホイップ
 エンゼルクリーム
カフェオレ

昨日はすっかり酔っぱらって帰宅して、今日の朝御飯についてはノーアイディーア。どうしましょうねぇ……と軽く話し合った結果、だんながミスタードーナツに自転車を走らせてくれることになった。朝のミスドの品揃えはいつも不安定なので、選択はだんなにおまかせ。私もだんなもお揃いのだった2個ずつのドーナツは、新発売の「ポン・デ・あずきホイップ」と「エンゼルクリーム」だった。おお、エンゼルクリーム、久しぶり。

エンゼルクリームのホイップクリームは植物性油脂の味がする。私は植物性油脂のホイップクリームは少しも好きじゃなくて、コンビニデザートの上にトッピングされているやつとか、回転寿司屋のデザートの上にトッピングされているやつとかは食べた直後に気持ち悪くなってきてしまうのだけれど、エンゼルクリームは不思議と前向きに好きなのだった。乳脂肪がベースのクリームとは全然思えないのだけれど、なんでエンゼルクリームは好きなのだろう。いつも不思議。

新発売のあずきホイップが挟まれたポン・デ・リングもふわふわクリームのもの。ほんわかした小豆の味が良い感じで、全体的にふわふわした朝御飯になった。

天ぷらうどん
麦茶

今日は布団干し日和だなぁと布団を干し、洗濯をし、花の手入れもちょこっとだけやって、午前中はのんびりと。だんながスポーツジムに出かけていき、私はおもむろにアイスバインの仕込みを始めた。

金曜日に届いた、大きな豚のすね肉。お気に入りの店クック&ダインで扱う「豚王」というすごい名前の豚肉のアイスバイン用すね肉で、前回扱った時に欲しいな欲しいなと悶えていた。今回緊急追加ということで案内をいただいたので、いてもたってもいられなくて2本注文。せっかくなら送料無料になる5000円分まで買っちゃおうと、「豚王」のモツ串焼き5種セット粗挽きウィンナーも一緒に買ってみた。冷凍便で届いた豚肉で、冷凍庫はぎちぎちに。本当はバラ肉とかも買いたかったのだけれど、すね肉がどれだけ美味しいか食べてみてから考えることにした。

で、販売ページに掲載されていた「アイスバイン」で食べることに。「アイスバイン」はドイツの伝統的料理の「豚すね肉の煮込み」の料理名であり、豚すね肉をのものを指す言葉でもあるらしい。本式のアイスバインは一週間ほど塩水(ピックル液、というらしい。塩の他に砂糖やスパイスも入れる)に浸した後に茹でるらしいので、今日のこれはエセアイスバインというか、単なる「茹で豚すね肉」であるのだけれど、まぁ気分だけはアイスバインということで。

使うのはこの手の料理にはたまらなく威力を発揮してくれるダッチオーブン。この鍋に半解凍状態の肉を入れ、なみなみと水を注ぎ、急な温度差ができないようにゆっくりめに加熱してみた。じわじわと解凍しながら火を通す感じでゆっくりゆっくり沸騰させ、沸騰したらアクをひいて、あとは蓋してとろ火でひたすら煮ること5時間ほど。特にかき混ぜたりすることもなく、ひたすら煮ているだけなのに、いつのまにかスープが「トンコツスープ」に他ならない色ととろみがついていた。おお、トンコツスープって案外簡単に白濁してくるものなんだな、と妙なところに感心しつつ、途中鍋の番をだんなに交代してもらいつつ夜を待つことになった。

昼御飯は、だんなの提案で天ぷらうどん。加ト吉の冷凍うどんに、以前買った讃岐うどんの麺についてきただし、そしてスーパーで買ってきた野菜かき揚げを使ったうどんで簡単な昼御飯になった。野菜かき揚げは玉ねぎと人参がメインで、ほのかに甘くて美味しかった。

アイスバイン(もどき)
ザワークラウト・茹でじゃがいも・ソーセージ
チーズフォンデュ(フランスパン・ブロッコリー・スナップえんどう・ソーセージ)
ビール(オクトーバーフェスタ)
ビール(ヒューガルデンホワイト)

カフェオレ
「ユーハイム」のバウムクーヘン

そして夕方になってますます良い感じに煮えるすね肉。アイスバインらしく食べたいねと茹でたじゃがいもを大皿に盛った上にアイスバインを置き、輸入食材屋で買ってきた瓶詰めのザワークラウトを添え、粒マスタードを準備。塊のまま美しく飾ろうと思ったのだけれど、トングで肉を持ち上げた途端に骨がずるりと取れて全体がモロモロと崩壊して大変なことになってしまい、その見事な肉っぷりにだんなと私の目が輝きまくる。やっぱりドイツビールよねと、以前買ったドイツビール「オクトーバーフェスタ」をテーブルに出し、そして冷蔵庫には更に今日追加で買ってきたベルギーの「ヒューガルデンホワイト」も控えている。

アイスバインに添えるのはどんな料理が良いのだろうと考え、息子が今シーズンはまりにはまったチーズフォンデュを用意することにした。フランスパンとじゃがいも、ブロッコリーにスナップえんどう、ついでにすね肉と一緒に届いたソーセージも少し茹でて刻んでおく。ソーセージの一部は茹でた後フライパンでこんがり焼いてアイスバインに添えた。

「はは……アイスバインはドイツだし、チーズフォンデュはスイスだし、アレなんですけど」
「ビールはベルギーだしね」
まぁいいや、そっち系(ヨーロッパの北方面系?)ってことで、と、なんとなく無節操な食卓になったけれど、でも幸せな日曜夜の食卓。

茹で豚すね肉は、おっそろしく美味しかった。
肉そのものの味がしっかりと強く、でも臭みや嫌みなクセがなく、関節付近のプルプルとしたゼリー状の部分までもがほのかに甘くて美味しさたっぷり。もうどこを囓っても骨以外のところはホロホロのぐずぐずで、でも柔らかいだけじゃない存在感もちゃんとあって、塩ふってマスタード添えただけの肉がなんでこんなに美味しいのかと。

ソーセージもソーセージで、軟骨入りなのだというコリコリとした食感が心地よく、ぷりっぷりのムチッムチのこれまた美味しいもの。チーズフォンデュなんかで食べちゃもったいない(チーズの味が余計な添え物になっちゃう)ようなソーセージで、ビール、ソーセージ、ビール、アイスバインでもう3時間くらい飲み食いできてしまいそうな黄金の組み合わせになっていた。

「……や、やばいよこの肉、人間がダメになるよ」
「うん、ヤバイね、いくらでも食べられそうだね、とりあえず今回茹でたの1本だけにしておいて良かったよ」

久しぶりの「人間がダメになる」発言が出て、これは本当に人間がダメになるのかそうでないのかというくだらない話題でだんなと議論。「人間がダメになる○○」とは、「こんなに美味しいもの、しょっちゅう食べてちゃ人間がダメになっちゃう危険な料理」の意味で、我が家においては「豚味噌鍋」「角煮」「白濁スープの水炊き」がこれに該当している。ただ煮ただけのすね肉がこんなに旨いんだから、加工したらどうなっちゃうんだろう。もう1本残ったすね肉はカレーにすべきか、本式アイスバインに挑戦するかで、とてもとても悩ましいところ。

そして最後には白濁スープに塩だけを加えて、豚スープを堪能。あー、要するにこれ、テールスープみたいなもんだよねと、おもむろに冷凍御飯をチンして加えてクッパ状態にして啜ってしまった。これがまた、旨いの旨くないのって、
「あー、そうだ、明日の昼、これに大根と人参入れて軽く煮て、クッパにして食べちゃおう〜」
と私が呟いたら、だんなが
「あー!そんなことしたら、そんな旨そうなもの一人で喰ったら、離婚だよ離婚」
と、夫婦間の危機に直面してしまったほどだった。離婚は困るから、スープの続きは明日の朝飲むことにする。