食欲魔人日記 00年11月 第3週
11/13 (月)
さわらとしめじの煮物 (夕御飯)
バタートースト
ロールキャベツ
カフェオレ

寒い朝、大鍋にロールキャベツがあるというのは幸せなことだ。
同じ思いをだんなも抱いているのか、起きるなり早々鍋に火を入れていた。洗濯機を回すよりも顔を洗うよりも早く温められる鍋。だんなの本気がそこに見える。
デパートで買ってきたフォションの食パンをシャーコシャーコとぶ厚めに切り、バターを塗ってオーブンへ。コーヒーメーカーにも電源を入れて、あつあつのロールキャベツと焼きたてのバタートーストとカフェオレが並ぶ。うーむ、ゴージャスだ。ただし朝なのでロールキャベツは1個(昨夜は一人3個ずつ食べた)。

ちろりとケチャップを垂らし、ロールキャベツにかぶりつく。肉から出ただしが良い感じにスープとキャベツに染み込んでいて、2日目のロールキャベツは2日目の豚汁と同じくサイコーに美味しい。まだ数個残る残りは、また明日の朝御飯に出てくるのだ、きっと。

銀座 スワンベーカリーの
 シチューパン
牛乳

私はけっこう単純だ。TVCMやテレホンショッピングや通信販売のチラシにすぐ魅了されてしまう。殊に食べ物関係となると効果は絶大だ。新発売ケーキミックスの旨そうなCMが流れたら買ってしまいたくなるし(永谷園のマグカップケーキ"モコモコ"を嬉々として買った前科有)、新しいチョコの広告など見てしまうと気になって仕方がない。

最近の私はマクドナルドのCMに魅了されていた。晩秋である。愛しの「月見バーガー」が去ったあとにやってきた「グラタンコロッケバーガー」の季節なのである。「シャカシャカポテトォ〜」とCMに踊らされるままに踊りまくってしまう私なのであった。マックブリュレも美味しそうじゃないか。(←かなり重症)

そうして昼休み、とことこと会社近場のマクドナルドに行ってみる。私が考えることは、世の人も考えるものであるらしい。マクドナルドはかつてない混雑だった。店から外に5m以上も並ぶ人の列。もともと混雑する店ではあったけどこれはちょっと尋常でない。グラタンコロッケバーガーは私に「まだ食べられないのよ」と重い真実を突きつけるのであった。がっかり。

来た足取りは軽く、戻る足取りは重く、会社に戻る。戻る途中にあるお気に入りのパン屋で自分をなぐさめるべく「シチューパン」を買ってきた。さくさくのデニッシュ生地の上に、シチューというよりはグラタンのように粘度の高いもっさりとしたシチューが乗るおかずパンだ。温めるとシチューがとろっと柔らかくなり、混ざるじゃがいももホクホクになっちゃったりしてとても美味しい。牛乳と共に食すシチューパンは確かに相変わらず美味しかったけど、グラタンコロッケバーガーへの憧憬はつのるばかり。ああグラタンコロッケバーガー様……。

空心菜と干し海老のオイスターソース炒め
さわらとしめじの煮物
大根の味噌汁
ご飯
インディアペールエール、冷茶

「西京焼きにでもしましょうか」
と週末に買ってきたさわら。なのに味噌に漬け込んでおくことをすっかり忘れてしまったので、ならばと煮物にすることに。さわらをざっと下茹でし、しめじと一緒にだしと酒と醤油、少々の砂糖でうりゃーと煮込む。横の鍋で大根の味噌汁を作り、ご飯も炊き、あとはだんなが帰ってくる直前に空心菜を炒めることにしよう。

午後8時過ぎ、だんな帰宅。
さっぱりした煮物とにんにくたっぷりの空心菜の炒め物、ちょっと濃いめに味噌を溶いた大根の味噌汁で夕御飯。よなよなエールの発売元の会社が冬季限定で販売した「インディアペールエール」なる銀色の缶のビールを開ける。飲み口は穏やかだけど飲み干した後舌の根がビリビリ痺れるようなホップの苦みのあるビールだ。悪くない。薄味めに作った煮物も案外と味が染みていて、ほろりと崩れるさわらは美味しかった。しかしさわらは「鰆」と書くのにこの季節も旬なのだろうか。ちょっとだけ不思議。

最後に。
今日は何やら色々なファイルを作ってみたりした。

過去日記と関係ファイルへのリンクページ
これまで過去日記はjavaが使用可能でないと見られなかったのでこちらのバージョンも作成。
このページの上の方にもリンク張っときやした。
00年10月写真一覧版
10月分の写真だけをずらずらと並べたファイル。壮観だけど多分重いのであまり意味がないと思われる。
00年11月写真一覧版
こっちは11月版。30日分集まったら約300k。より重いのでますます意味がない……。
それでも過去リンクから飛べるように細工してみた。
食道楽リンク
もともとサイトにあったリンクページのサブページ。
食べ物関係のお勧めリンク集。料理写真関係が案外充実。
何故か意欲的な自分。もうすぐ(12月頭)讃岐に行けるから、そしてもしかしたら福岡にも行けるかもしれないから浮き足だっているらしい。わくわくわくわく。

11/14 (火)
米久のスタミナ弁当お赤飯
米久のスタミナ弁当 (夕御飯)
ロールキャベツ
ご飯
アイス烏龍茶

12個作ったロールキャベツ、残りは3個。
「喉が痛い……」と弱冠悪い顔色で起き出しただんなは、「……1個でいいよ」などとおっしゃる。夕飯の後ラーメン3杯をハシゴするような男が好物のロールキャベツを「1個でいい」とおっしゃる。由々しき事態だ。

だんなの由々しき事態は私の好機。だんなが大きめロールキャベツを1個食べ、私は小さめのやつ2個をいただく。キャベツはいまいちお好きでない息子にはロールキャベツの入っていたコンソメスープと卵ご飯。
こってり醤油味の煮物よりも遥かにあっさりしたロールキャベツはご飯に合うし、ご飯にロールキャベツもこれまた合う。お互いにもくもくと食べ続けてしまう困ったおかずだ。

マクドナルドにて
 グラタンコロッケバーガー
 シャカシャカポテト(アメリカンバーベキュー味)
 マックブリュレ
 アイスティー

昨日の屈辱を胸に、今日こそマクドナルドである。今日は敢えて昼休み遅めの時間を狙った。ぬかりなく、ホームページから割引チケットもプリントアウトした。CMに良いように踊らされている私は黄金の3点セットを求めに行く。

12時45分、マクドナルドの行列はあっさりしたものだった。2人ほどの並びを待ち、どきどきしながら注文する。
「この、MMセットを。アイスティーで。」
割引チケットを指さしながら言う。
「あ、シャカシャカポテトにしてください。」
シャカシャカポテト。何だか少しばかり口にするのが恥ずかしい。
「あ、デザートはマックブリュレで。」
マックブリュレ、だそうだ。クリームブリュレはクリームが入っているのだからきっとマックブリュレはマックが入っているのだ。気分が高揚してわけわからないことが頭をよぎる。

かくしてトレイを抱えて2階席へ。禁煙席の片隅でまずは「シャカシャカポテト」を作らなければいけない。ポテトを添付の紙袋にジャーッと入れ、しかるのちに小さな小袋入りのスパイスをふりかけ、「シャカシャカ」するのだ。見渡すとその「シャカシャカ」をしている客は一人もいない。いや、客全員が「シャカシャカ」していたらそちらの方が異様な光景だ。でも、せめて一人くらい「シャカシャカ」していてくれたら、私の緊張もちょっとほぐれるのだが。

さて、どうしよう。衆目監視の中、一人「シャカシャカ」するのは何というか非常に恥ずかしい。誰も見ていないのは分かっているけど、でもなんちゅーか恥ずかしい。とりあえず左手で袋を持ち、そっと右手を添えて「シャカシャカ」してみる。……それじゃラッコだ。仕方がないので、置き所のない右手を腰に当ててみる。……もっと怪しい。一人バタバタしている私はもっと怪しい。で、結局ろくに「シャカシャカ」できなくてまばらな味のポテトになった。

さて「グラコロ」だ。コロッケと同じくパンも異様にふかふかで、パンに歯を当てると中までずもももも、と沈んでいってしまいそうだ。薄味柔らかなコロッケにマヨネーズ風味のソース、そしてキャベツ。正直、ダブルチーズバーガーなどの方が好みだけれど「ああ、グラコロを喰ってるぞ自分」と妙な充実感がある。
ポテトは、スパイスの粉末が指に染みて少々困った。指先や爪の間がバーベキュー風味に香っている。甘辛い粉のまぶされたポテトはいつもと違って良い感じ。

して、マックブリュレだ。ぷるるんと柔らかな黄色の生地からほんのりバニラやミルクの香り。マンゴープリンの香料にはうるさいくせに、バニラの香りにはとても寛容な自分。バニラの匂いはちょっと幸せ。なんでもチーズが入っているというブリュレ、濃厚でほど良く甘くて美味だった。うん、これは美味しいよ、また買うよ。

とりあえずTVCMを見てから感じていた渇望が満たされて満足。そしてまだ指先はバーベキュー臭い。

たこ焼き
ねぎマヨ(たこ焼き)
米久の
 スタミナ弁当
モルツ、アイス烏龍茶

6時15分帰宅。「とりあえず洗濯物を」「いや、とりあえず風呂を」とバタバタしていたら5分後にだんなからTEL。
「今から帰るよー」と言うので
「ご飯炊くのこれからだし、何か買ってきてたもれ」と命ずる。

そして床暖房をつけた暖かい部屋でごろごろしながらだんなの帰宅を待つこと30分ほど。
「今、○○駅でぇ〜す。たこ焼き買ったからビール用意しておいてね♪」
と連絡が入る。そうかビールか。……うむ、入っているぞ。グラスも冷えているぞ。

そうして究極手抜きの夕食。だんなに買ってきてもらったものをずらりと並べて食べる。デパートの催し物コーナーに出ていたたこ焼きに、「ねぎマヨ」なるたこ焼き。焼けたたこ焼きにソースではなくマヨネーズと刻み長ねぎをうりゃ!とかけたものであるらしい。それとおこわ弁当。私の大好物、お赤飯入りスタミナ弁当に、だんなは新ごぼう入りの牛しぐれおこわの洋食弁当。どちらのおかずも微妙に違う。お互いに「あ、エビフライ」「あ、唐揚げ」と目線で応戦する。喧嘩はしない。ちゃんとわけっこする。

「これ、あげるね。かまぼこ。」(カマボコはキライ)
「エビフライ、おゆきさん好きでしょ?だからあげるね。」
「……じゃあ、唐揚げどうぞ。」(ちょっとしぶしぶ)
「ハンバーグも半分どうぞ。だからガンモちょうだい。」
「ああ、どうぞどうぞガンモどうぞ。」(ガンモはキライ)
「おゆきさん、コロッケも半分あげるね。」
「……」(もうあげられるもの無くなっちゃった)

夫婦でやってりゃいいのに、息子にまで強要するのである。
「息子さん、こいなり(小さないなり寿司)美味しそうですね。」
「豆の甘煮あげるから、こいなりちょーだい。」
「イーヤー」
「じゃあお父さんがニンジンあげるからこいなりちょーだい。」
「イーーヤーー」
「じゃ、じゃあコロッケあげるからこいなりを……。」
「イーーーヤーーー」
子供ってわがままだなぁ。(←どっちが?)

11/15 (水)
フレンチトースト (朝御飯)
フレンチトースト
カフェオレ

少々固くなった食パンがあったので、フレンチトーストにすることにする。
卵と砂糖と牛乳で卵液を作って、それにパンをちゃぷんと浸してからフライパンでこんがりと焼く。焼き上がりにバターを落として、フォークとナイフでいただきます。

今日のフレンチトーストには特選素材がついている。バターだ。「ゴマVSニンニク」対決のどっちの料理ショーに出てきた正真正銘の「特選素材」だ。先日The dancyu shopで買ってきた缶入りのバターをシャコシャコと開け、トーストの上にどかんと乗せる。イヤな匂いの一切ない、ふわりとした風味のバターだ。いつも大切にしつつ使っているカルピス特撰バターも相当旨いけど、このバターもめちゃめちゃ美味しい。優しい甘さとミルクの良い香りがする。いやー、こりゃ旨い。

お供のカフェオレは熱いミルク入り。猫舌の私はいつも熱いコーヒーに冷たい牛乳を入れてほどよくぬるくなったところを飲んでいるのだけど、今日はあまり寒いのでミルクパンで牛乳を熱くしてみた。温めた牛乳はふわりと甘い。何となく全体的に甘い朝食。

丸ごとバナナ
小岩井コーヒー牛乳

「さて、昼御飯は何を食べようかな〜」
と11時も過ぎてぼんやりと思い始めたところで、仕事机の上にころんと「丸ごとバナナ」が降ってきた。なんでも同僚が客先で「丸ごとバナナ8個セット」という得体の知れないものをもらってきてしまったらしい。……昼食のデザートというより昼食そのものだなぁ、この大きさは。
近くのコンビニで500mlコーヒー牛乳を買い求め、ストローをぶっすと刺して丸ごとバナナの横に置く。何だか迫力の昼御飯だ。

白っぽいオムレツにたっぷりの生クリームとバナナ1本丸ごとがぐるりと包まれた「丸ごとバナナ」。ずいぶん前からあるような気がするけど、変わらず売り続けられている。女の子は大抵これが好きであるらしい。私も好きだ。口の周りに生クリームがついてしまうのをデスクトップパソコンで隠しつつ、コーヒー牛乳すすりながらオムレツを囓る。

ピット・イ・パンナもどき
にんじんのグラッセ
ハンバーグステーキ ドミグラスソース
コーンスープ
ご飯
インディアペールエール、アイスカフェオレ

1kg500円だったひき肉がまだ500gくらいある。全部使って豪快にハンバーグステーキにしちゃうことにする。
塩と胡椒、卵とパン粉と炒めた玉ねぎと一緒にひき肉を練り練り。ぺたんぺたんと空気を抜いて3等分にすると手のひらから溢れそうな草履型のハンバーグができた。巨大だ。すごく巨大だ。嬉しい。
焼き上がり際に、ハインツのドミグラスソースのミニパックを1つジャッとフライパンに放り込む。10秒ほど強火で温めてできあがり。あ、チーズ乗せれば良かった、目玉焼きも良かったかも、なんて出来上がる直前に色々思いついてしまうのはいつものことだ。付け合わせも多いのでトッピングは諦める。

付け合わせにコンソメと少々の砂糖で煮たにんじんのグラッセ。仕上げにバターをぽいと放り込む。クリームコーン缶を開けて鍋に入れ、牛乳で伸ばして顆粒コンソメを溶かす。フツフツしたところで仕上げにバターをぽいと放り込む。洋食の付け合わせには何やらバターが良く似合う。

あと何か出来るかな……と冷蔵庫を覗き野菜籠を覗き、玉ねぎとじゃがいもをざくざくと角切りにする。ベーコンも同じ大きさにざくざく切る。胡椒を効かせて塩でじっくり炒めたら「ジャーマンポテト」。
しかし、この材料を盛ったボウルを見て、帰宅しただんなは
「あ!ピット・イ・パンナ?」
と目を輝かした。……あ、ピット・イ・パンナ。いいねぇ、そうしよう。

「ピット・イ・パンナ」は北欧地方の家庭料理であるらしい。10月につばめグリルに行った時に食べてきたやつだ。玉ねぎとじゃがいも、牛肉が塩味で炒められていて中央にポーチドエッグ。卵の黄身を崩しながら食べる。それを真似して、炒めた玉ねぎじゃがいもベーコンの鍋の中央をより分けて空間を作り、目玉焼きを焼くことにする。白身が適当に固まって黄身が半熟になったところで、ガーッと皿に盛り、ガーッとかき混ぜて食べる。半熟の黄身が絡まったじゃがいもやベーコンはまた濃厚で美味しい。ビールの良き友になる。

今日は全体的に洋風になった料理を食卓に並べ、「よなよなエール」の販売元が出した期間限定ビールを開ける。下の根に苦みが残るスキッとしたビールでピット・イ・パンナもどきがおおいに進む。ハンバーグも進む。コーンスープの大好物な息子はひたすらコーンスープを進めている。

今日のハンバーグは3割ほど豚肉が混ざった感じの合挽肉だったけど、これがなかなか良い感じだった。ほどよく脂が染み出て肉汁たっぷり。切るとじゅわーっと溢れる肉汁に
「うむ、これからハンバーグは"豚肉ちょっと混ぜ"がポイントかな!?」
「だなっ!」
と盛り上がっている私たちなのであった。

11/16 (木)
ビビンバ (夕御飯)
ミニハンバーグwithにんじんのグラッセ
コーンスープ
ご飯
アイス烏龍茶

昨夜のおかずの残りでもって至極簡単な朝御飯。でも、ちょっとしたおかずが残っているのは結構嬉しい。
「お、ハンバーグがまだあるじゃないかあるじゃないか〜」
と目玉焼きを焼こうとしていたフライパンを棚に戻し、朝から肉を食べられる喜びを享受する。ころころと3個ほど残っていたミニハンバーグを皆でつつく。

我が家のコーンスープは異様に簡単だ。鍋に少々の湯を沸かして心持ち多めに顆粒コンソメを溶いておき、溶けたところでコーンのクリーム缶をどかんと入れる。湯で伸ばして、更に美味しそうになる濃度まで牛乳を足して温めればできあがり。仕上げにバターをちょいと落とすと一層美味しい。最初に玉ねぎを炒めて、とか煮込んだやつをフードプロセッサーにかけて、とかついでに漉して、とか色々創意工夫をしてみたこともあったけど、結局のところは一番簡単な作り方が一番美味しくできてしまうのであった。ちょっとばかりトウモロコシのかけらがざくざくと混ざってしまうけど、あんまりそういうことは気にしない。

アロエヨーグルト

ちと風邪気味で喉が痛く、唐突に「葛湯が飲みたい」と思う。よく和菓子屋さんなどで売っているあの葛湯だ。"らくがん"みたいな砂糖の塊然としたものを湯で溶かし、かき混ぜて飲む。粘度が高くて甘さも強い、かなり濃いめのどろっとしたやつをスプーンですくって飲むのがめちゃめちゃ美味しい。

「くずゆ、くずゆ、くずゆ!」
と外に出てみたものの、さて、どこに売っているんだろう。売っていそうな和菓子屋はこの付近にはない。コンビニには……ないか、やっぱり。明治屋には売っていたと記憶するけどコンビニにはさすがに売ってない。大体「葛湯」の季節はまだちょっと先かもしれない。

で、結局買ってきたのは「アロエヨーグルト」。"アロエと葛の触感は似てるし"というどうしようもない理由だ。葛湯は冷たくないし、乳製品でもないし、ついでに酸っぱくもない。似ても似つかないものだけど"このアロエの食感は葛の食感"と思い念じながら口に運ぶ。……やっぱりアロエはアロエの味。美味しいんだけどちょっとがっかり。今度見つけたら葛湯買ってこよう。抹茶味のものが好みだ。

ビビンバ
牛肉とワカメの中華風スープ

ビビンバ熱が高まってきた。つい先日の「チューボーですよ!」の題材が「石焼きビビンバ」だった所為かもしれない。モヤシやほうれん草、ぜんまいの水煮などを買い込んできて、早速ナムルを作り始める。

洋食が"バターたっぷり"ならば韓国料理は"胡麻油たっぷり"だ。そして"炒り胡麻たっぷり""にんにくたっぷり"。1つ1つの素材に胡麻とにんにく、塩でしっかり味をつけていく。
ほうれん草は茹でて長ねぎと炒り胡麻、胡麻油、塩で揉む。もやしは髭根をしっかり取ってから茹で、これも炒り胡麻と胡麻油、塩とにんにくで揉み込む。にんじんは胡麻油と塩で炒め、ぜんまいは醤油と砂糖、胡麻油で炒める。全部それぞれ小皿に盛っておく。本当は大根の甘酢味のナムルもあると良かったけど、それは時間切れで断念。肉は、参考にしている「コリアンハウス」のレシピによると醤油のみで炒めるらしいけど、それは物足りないのでにんにくと醤油、ひとたらしの"焼き肉のたれ"で炒め合わせる。かくしてテーブルにずらりとナムル入りの小皿が並ぶ。

今日の特選素材は京都・山田製油の胡麻油。ちょっと前に友人のKさんが「これでナムルを作ると最高ですよ!」と下さったものだ。ガラス瓶入りの、琥珀色のとろりとした油はいかにも美味しそうで、しょっちゅう取り出しては
「美味しそうだね。」
「だね。」
「……もったいないね。」
「ね。」
ともっぱら観賞用になってしまっていたものだ。胡麻油をいつまでも鑑賞していても仕方ないので満を持して今日、開封する。

これがこれが、すごい油だった。たかが油と侮っていたけど侮ってはいけない胡麻油だった。爽やかに周囲に立ち上る上質な胡麻の香りと濃厚なコク、なのにサラリとした風味で少しも油臭さがない。この油でただ炒めて塩をしただけのにんじんの旨いこと旨いこと旨いこと。どんなナムルも美味しくできて、シアワセになってしまった私がへらへら笑っているところにだんなが帰ってきた。ナムルの並ぶテーブルを見て、
「おおおおお!今日はビビンバァ〜!!」
と雄叫びを上げる。かなり嬉しいらしい。

ご飯の上にナムルを盛りつけ肉を盛りつけ、中央にうずらの卵を1個割り落とす。コチジャンを少々上に乗せ、あとはスプーンでわっしょいわっしょいと底から丹念にかき混ぜていく。混ぜれば混ぜるだけビビンバは美味しい。具と飯が渾然一体になって最高に見てくれが悪くなった時が最高に美味しい。

そして今日のビビンバは最高の最高に美味しかった。味つけもバッチリ、特選素材の胡麻油も恐ろしいほど頼もしいフォローをしてくれている。
だんな曰く、
「背筋が"ぞぞぞぉ〜"とするほど、美味しいね。」
であり、
私曰く
「……これ、売り物になるね。」
である。そのくらい、美味しかった。
「残りは、明日の朝御飯に食べていいですか?」
とだんなが幸せそうに残ったナムルにラップをかける。今食べ尽くすより、明朝にもこの悦びを享受したいと思うほど美味しかったのだ。

11/17 (金)
サンマの塩焼き (夕御飯)
ビビンバ
牛肉とワカメの中華スープ
麦茶

昨夜に引き続き自家製ビビンバ。
昨日のおかずがそっくり翌朝に出てくるということは多少なりともゲンナリしてしまうものだけど、コロッケやハンバーグ、とんかつなどは対象外だ。「お、お、まだあるじゃないか」と嬉しくなる。ビビンバもその1つ。にんじんのナムルは残り少なくなったけど、もやしもゼンマイもほうれん草も、牛肉もしっかり残っている。これは嬉しい。

昨日のご飯に昨日のスープ。飯の上にナムルを今日もてんこ盛りにし、うずらの卵落としてコチジャン乗せてわしわしとかき混ぜて食べる。昨日の美味は今日も美味。相変わらず胡麻油は香ばしく美味しいし、あっさり塩味もばっちりだ。

タカナシプレーンヨーグルト ダイエットシュガーかけ

朝食のご飯は山盛りだった。良く考えたら昨夜炊いたご飯は4合で、それが2回の食事で無くなってしまったのだ。大人2人と幼児1人で一度に2合食した計算で、今朝の私は0.7合くらい食べていたのかもしれない。そう思い至ってしまったら満腹状態が昼まで続いてしまった。

で、昼御飯はプレーンヨーグルト。酸味の少ないタカナシのやつに顆粒のダイエットシュガーをぶっかけてただただスプーンで食べまくる。

最近はやらなくなったけど、ヨーグルトにジャムを混ぜるのがすごく好きだった。殊に昔良く母親が買ってきてくれたパイナップルの生ジャム(確か新宿TAKANO製ではなかったか)は最高にヨーグルトに似合っていた。パイナップルの酸味と甘味がジャムになって一層濃厚になっており、果肉入りのトロッとしたやつをヨーグルトに混ぜて食べるとそれはそれは素晴らしい美味だった。

調子に乗ってジャムを使いまくるものだから、1パックのジャムが1週間ほどで無くなってしまう。無くなったジャムは着実に私の血となり肉となり……いや、全面的に肉に変化してしまい、それに気付いた母は「パイナップル生ジャム戒厳令」を発令するに至った。それ以来、そういえば結婚してからもパイナップルジャムとは御無沙汰だ。今度久しぶりに買ってきてみるか……。

酢油キャベツ
豆腐のあんかけ
刺身盛り合わせ(イカ・帆立・はまち・トロ)
サンマの塩焼き かぼすと大根おろし
なめこの味噌汁
ご飯
モルツ、麦茶

さんま、そろそろシーズン終わりの時期かもしれない。
「塩焼きを堪能するのも最後かな」
と北海道産なるさんまを2尾買ってきた。

味噌汁は濃いめに作ったなめこのもの。絹ごし豆腐は軽く茹でてから水切りをし、醤油と味醂をだしで伸ばしてとろっととろみをつけたあんをかける。上からパラッと万能葱。
それだけではちと物足りなかったので、冷蔵庫に残っていたキャベツで「酢油キャベツ」も作る。日本橋「たいめいけん」の名物コールスローだ。にんじんと玉ねぎの薄切りを塩で揉み、キャベツも加えて塩をして軽く混ぜ合わせ、サラダ油と酢、少々の砂糖を加えて軽く揉み込み重石をすること30分。揉み込みすぎないのがコツであるらしい。結構大量のサラダ油が入るのもコツであるらしい。ほの甘く、コテッとサラダ油の絡むキャベツはシンプルな味のくせにいくらでも食べられる。

かくして豆腐料理や野菜料理も整い、充実した食卓になった。しかしだんなは更なるおかずを持って帰ってきてくれた。
「生協で刺身が安くてさ〜。500円〜♪」
の声と共に4種盛り合わせの刺身が登場。食卓は更に華やかになってしまった。さんまが焼けるのを待ちながら刺身をつまんでビールを空ける。500円の刺身は500円以上に美味しかった。ちょっとばかり筋の入っていたトロは、でも柔らかで溶けていくし、帆立もぷりぷり。ちょっと塩の強くなってしまった酢油キャベツもビールと合わせるとあまり気にならない。

で、おそらく今シーズン最後のさんまの塩焼き。
山盛りの大根おろしとかぼすを添える。思い切りカボスを絞り、大根おろしと絡めて食べる。ちょっと脂少なめではあったけどジュクジュク言う皮も小骨の多いほろっとした身も美味しかった。そう、我が家には「さんま皿」が無いので、長皿に乗せたサンマは大抵頭がはみ出てしまう。さんま専用のお皿が欲しいなぁ、来年は。

11/18 (土)
台場「炉や」にて 焼き肉〜♪ (夕御飯)
福岡ラーメン
麦茶

今日は午前中から出かけるつもりだったので、炊飯器に御飯も残っていないのである。なのに起床は10時と遅く、しかも突き抜けるような良い天気に思わず洗濯機を2回動かしてしまう。予定外に時間はどんどん過ぎてしまい、腹が空いてしまったと騒ぐ息子の為に、だんながラーメンを作ってくれた。福岡出張土産の福岡ラーメンだ。

情けないことに、私はつい最近まで「福岡ラーメンは"縮れ麺"ではない」ということを知らなかった。棒ラーメンは確かに縮れが無いけれど、それは棒ラーメンのオリジナリティだと思っていたのだ。そうではなく、福岡ラーメンは総じて縮れてないらしい、と知ったのがついこの間。だんなが土産に買ってきた中村屋というメーカーの「長浜ラーメン屋台味」なるラーメンも、かくして縮れていなかった。ツルーッとしたまっすぐのラーメンは濃厚なトンコツスープと確かに合うものなのかもしれない。

ラーメン茹でて濃縮スープを溶いて、そして刻み万能葱をうりゃあぁ!とふっただけの朝御飯。「屋台味」なる味のラーメンは、弱冠のケダモノ臭さが漂う濃厚なものだった。けっこう好み。

台場 麻布茶房にて
 クリームスイートポテト(カスタード) (右写真)
 アイスミルク抹茶

クリームスイートポテト、こんな感じ あまりの天気の良さに、「銀座に買い物に行こう」から「台場の台場を見に行こう」に予定変更。
黒船襲来に備えて大砲を並べていたのが「お台場」の名前の由来であって、いくつかある台場のうち1つは史跡として今でも徒歩で入っていくことができる。砂浜をてくてくと歩いてレインボーブリッジのふもとそばの台場へ。何度も来ている「お台場」だけど「台場」に行くのは初めてだ。芝生の上にはレジャーシートを敷いて昼寝する人あり、ワイングラス持参でピクニックしているカップルあり、犬を連れた家族連れありでそれでも人影はあまり多くはなくやたらと静かだ。2時間ほどかけてゆっくりゆっくりそこらを歩き、DECKS近辺まで戻ってきたら腹が空いた。時間は午後2時。

海に面した通りに、学生時代に何度も通った「麻布茶房」を見つけたのでここで一休み。
この店の名物は「クリームスイートポテト」だ。温めたスイートポテトに通常サイズのソフトクリームがうねうねと乗っており、上にソースがかけられている。ソースは黒胡麻とかハニーレモンなど7種類ほどがあるけれど、ついついカスタード味ばかりを頼んでしまう。さらっとしたカスタードソースがかかる冷たいソフトクリームと一緒に食べる温かいスイートポテトは妙に美味しい。
学生時代、品川にあった「麻布茶房」にそれはそれは良く通っていた。夫の青春の味が「吉野家」ならば私はもしかしたら「麻布茶房」かもしれないという程だ。

もさもさっとした素朴な感じのスイートポテトにごくごく普通のソフトクリーム。相変わらずの懐かしい味だ。
だんなはいそべ巻き、息子は白玉ぜんざい。甘味処で休むと疲れも不思議と取れてくる。

台場 炉やにて
 ユッケ
 牛タン葱塩
 ハラミ
 ゲタカルビ
 カルビ
 サンチュ
 にんにくバター焼き
 野菜焼き
 ビビンバ
 生ビール、麦茶

息子の冬用ジャケットを買い、今年のボージョレヌーボーの試飲などをし、そしてトイザラスで紙おむつを大量に購入し、よろよろと「後は今晩の食材を買ってタクシーに乗って帰ろう……」と歩き出したところで、だんながピタリと足を止めてしまった。何度か行きつけた焼き肉屋の看板を凝視しながら、
「……焼き肉……。」
と呟いている。やばい。顔も声もかなり本気だ。

「軽く軽く食べてからスーパー寄って帰る?お腹空いたら後でラーメンでも食べるとか。」
と妥協案を出すと、
「いや……入ったら本気で喰っちゃう。」
とますます不穏な事を言っている。そういえば先々週くらいから焼き肉焼き肉と彼は連呼していたっけか。

更に彼は目を血走らせながら
「ビール……生ビール……」
と呪文を唱え始めた。それは更にやばい。ビールは私もとても飲みたい。私の顔も本気になった。

で、結局親子3人ふらふらと焼き肉屋に入店。午後4時、この時間に客は誰もいない。早々に
「生ビール2つとオレンジジュース、あとユッケね。」
と注文。牛タンハラミ、野菜ににんにく、と注文は続く。ずらっと炭火のまわりは皿で埋まった。夕方早々だというのに実に壮観な風景だ。

ビールを2口3口流し込み、早速タンを焼き始める。塩と胡椒が良く揉み込まれたタンをさっと焼いて葱を巻いてレモン汁に浸して食べる。ああこれこれ、肉だ肉だ肉だ。提案者のだんなならずとも嬉しくなってくる。
そして炭火の上、隅っこにはアルミ製のグラタン皿にみっしり入ったにんにくが据えられている。巨大なバターの塊がいくつも入っており、じくじくと溶けていっている。にんにくバター焼きが出来上がるのをひたすら隅に置いてじっと待つ。

お店お勧めらしい、「骨と骨の間の肉」と説明のあった「ゲタカルビ」なるものは"Y"の字の形をした脂たっぷりの肉だ。トロッとしていて悪くない。ちょっと内臓系の匂いがする柔らかなハラミを堪能し、玉ねぎやにんじんもしっかり食べた頃にやっとアルミ皿でじくじく言っていたにんにくがこんがりと良い具合になった。程良い塩気のにんにくはホクホクと栗のようになっていて、ひたすら深部までバターがしみ通っている。肉のお供にもビールのお供にもこの上ない。ごっつぅ、美味しい。

「軽くね」「さっとね」とか言いながら、結局肉4皿喰ってる次第である。最後に私はビビンバ、だんなはクッパを注文。ほうれん草とモヤシ、ゼンマイと大根のナムルに肉そぼろが盛られたビビンバは、正直言ってこないだ我が家で作ったもののほうが旨かった。

……そういえば、ナムルというものは全く同じレシピであっても作る者によって全く違う味になってしまうのだとか。どこかの店のオモニ曰く、「それは手から出る味」なのだそうな。それってつまり、私からは「せりあ液」が、だんなからは「だんな液」が出るということだろうか。それはちょっと、いやだ。

散々喰って、帰ってきたみたらまだ6時過ぎだ。……後できっとまたお腹が空いちゃう。どうしよう。

11/19 (日)
豚味噌鍋 (夕御飯)
ホットドッグ
アイスカフェオレ

「ホットドッグが食べたいなぁ」
と昨夜言っていただんなは、予言通り朝からせっせとホットドッグ作成に勤しんでいる。刻みキャベツを少々のカレー粉とバターで炒め、ウィンナーも炒め、パンにバターを塗ってから具を盛り合わせてオーブンへ。もちろんとろけるチーズがかかっている。

「今日はね、工夫してみました。」
チーズをみょーんと伸ばしながらだんなが言う。今日のホットドッグも格別に美味しい。

「この間、気合い入れて"フォートナムメイソン"のカレー粉使ったら何だか苦みが出てしまいまして。」
「じゃあ、あの缶入りの方のカレー粉使ったんだ?」
「そう!やっぱりホットドッグには"S&B"ですよ!これがまた旨い旨い旨い!」

朝からS&Bへの愛を語る私たち。
そう、以前奮発して買ったフォートナムメイソンのカレー粉、いまいち苦味が強くて使いづらいのであった。やっぱり我らにはS&Bの赤色缶カレー粉が馴染むのであるらしかった。

551蓬莱
 叉焼まん
 焼売
 マンゴープリン

午前中、「551蓬莱」のロゴも鮮やかな段ボール箱がどかんとクール宅急便で届いた。先週あたりから
「551の豚まんが食べたい食べたい食べたい」
と騒いでいただんなが職場の同僚と一緒に注文したものであるらしい。豚まん10個入りの巨大な箱に叉焼まんの小箱、餃子に焼売にマンゴープリン。冷蔵庫はあっというまにギッチギチになってしまった。私もホームページを見ながら注文に参加はしたけれど、それにしたってすごい量だ。どうやって喰うんだ、おい。

「だから今日から早速喰うんですよ〜。昼御飯は、豚まん♪」
とだんなは嬉々としてセイロをコンロにセットし始める。豚まんの巨大な箱よりも、小さな叉焼まんの箱を空けるのが先決と、昼御飯は叉焼まんと焼売が2個、そしてマンゴープリン。

微妙に甘く柔らかな皮は確かにあの、大阪は難波の街角で食した551蓬莱のあの味がする。叉焼まんは、実際のところ「豚まん」ほどのインパクトはないけれど、甘辛い豚肉の塊がごろごろと入っていて気持ちいい。それに、焼売の旨いこと旨いこと旨いこと。崎陽軒の焼売のサイズを1崎陽軒と定義するならば、551蓬莱の焼売は3.5崎陽軒というところだ。でかい。蒸すと表面に豚肉の脂がじわーっと染み出てくる。練り辛子をなすりつけつつ醤油を垂らして食べると、これだけでビールとご飯がn杯いけてしまいそうな勢いだ(nは2以上の自然数)。

ああ、旨かった旨かった。
しかし、まだ冷蔵庫に中にはみっちりと10個の豚まんと2個の叉焼まん、15個の餃子に6個の焼売がみちみちと詰まっているのだ。どうしろと言うのだろう(速攻で無くなっていくのよ、きっと……)。

豚味噌鍋
うどん
インディア・ペールエール、麦茶

我が家の冬は「味噌練り」で始まる。

豚味噌鍋用の味噌練りをじっくりと腰を据えて行った週末を過ぎると、「冬だなぁ」と思う。
そして今日が味噌練りの日であった。だんなは昼過ぎから厨房に籠もり、延々と木べらを動かしている。もう1時間にもなるだろうか。

水分をたっぷり含んだ酒粕が販売されるのが丁度この季節であり、酒粕が手に入るとこの味噌が作れるようになるのである。たっぷりの味噌を冬の初めに練り、冬の終わりまで何度か味噌を新たに練りつつ冬を越す。豚肉と白菜と葱、ただただそれだけの鍋なのに喰う人を魅了する。我が家の来訪度ナンバー1のM井さんはじめ、この鍋に魅了されてやってくる客も多い。レシピをプリントアウトして持って帰る客も多い。
とは言っても、このレシピの作成者は我が家の誰でもなくて、割烹料理店「とらたつま」のものだ。ありがとう「とらたつま」。荒木町にあるというその店、まだ行ったこともないけれど我らは皆、貴店の鍋レシピの大ファンです。

酒粕たっぷり、練り胡麻も入った味噌を溶いた鍋は、やたらと身体が温まる。白菜を1/2個もりもりと食べ、薄切りの豚肉もたっぷり食し、最後は禁に背いてうどんも堪能。我が家は11月に入ったところから12月初旬の「香川 讃岐うどん旅行」に向け、ひたすら「うどん断ち」の日々を送っていたのであったが、この鍋をするとなったら話は別だ。これはどうしてもうどんで締めなければならない。
「すみません、でもこれ豚味噌鍋ですし。」
と謝罪のような言い訳のような台詞を誰ともなく呟きながら、茶色く染まったうどんをツルツルと食べる。

ふー、やっぱこれだよ、これが冬だ。

【 豚味噌鍋のつくりかた 】

鍋用合わせ味噌の材料(10人分)
仙台味噌300g
酒粕(できるだけ良いやつを)100g
練り胡麻90g
醤油・日本酒各100cc
砂糖15g
にんにく10g
生姜5g
ミネラルウォーター360cc
一味唐辛子少々
旨味調味料少々
具の材料(3人分)
豚ロース薄切り肉300g
白菜1/4個
長ねぎ1本
万能葱1/2束
うどん2玉
鍋用合わせ味噌200g
だし昆布5cm×10cm 1枚
ミネラルウォーター720cc
●合わせ味噌を作る
  1. 合わせ味噌を作る。にんにく、生姜はすり下ろす。
  2. 一味唐辛子と旨味調味料以外の全ての材料を鍋に入れ、強火にかけて混ぜ合わせる。
  3. ふつふつと煮えてきたら、弱火にして20分間加熱する。この間、手を休めずにかき混ぜ続ける。
  4. ケチャップと同じくらいのとろみがついたら、一味唐辛子と旨味調味料を加えて混ぜる。冷蔵庫で1ヶ月くらいは保存が可能。
●鍋を堪能する
  1. 白菜はざく切りに。芯の部分は薄く削ぐようにすると良い感じ。
  2. 長ねぎはやや厚めの斜め切りにざくざくと。
  3. 万能葱は根性入れて細かく刻む。
  4. 水にだし昆布を入れ、しばらく置いておく。強火にかけたら沸騰直前に出すのを忘れずに。
  5. 水が沸騰したら、"ちょっと薄いかな"程度の濃度に合わせ味噌を溶く。
  6. 白菜と葱を大ざっぱに放り込み、蓋をするように豚肉を1枚ずつみっちり並べる。蓋をして煮上がったところを、どうぞ。七味唐辛子と万能葱をぶわっと入れて食べると旨い旨い旨い!
  7. 最後はうどん。カトキチの冷凍うどんがベスト。
参考:『王様のキッチン 鍋の競演』(河出書房新社・1996.12)