食欲魔人日記 07年10月 第1週
10月1日 月曜日
にんにくの芽は甘くて美味しい
海苔バタートースト
カフェオレ

「5枚切りのパンでバタートーストすると旨いよねー」
雨降りの中に行った、昨日の夕方のお買い物。だんなはそう言いながら食パンの袋を手にとって、
「でも、4枚切りだともっと旨いよねー」
と、4枚切りの袋と持ちかえてカートに入れていた。要するに厚い方が好きだね?と笑いつつ、今回は4枚切りのパンでトーストに。確かに厚切りのパンの方が、表面のカリッとした部分と内側のふかふか部分の両方の食感が存分に楽しめて私も好きだ。8枚切りをトーストしたのを食べるより、4枚切りのをトーストして半分に切って食べる方が好み。

「皆さん、バタートーストで良いですねー?」
「いいですよー」
「いいでーす」
布団の中から大小の男共の声が聞こえたので、家族全員バタートースト。私とだんなは焼き上がりに焼き海苔をぺろっと1枚乗せて食べた。そろそろアイスコーヒーの出番が少なくなりつつある今日この頃。今日も朝から雨降りだ。

寄せ豆腐の冷や奴
茹でもやしの中華ドレッシング和え
豚肉とにんにくの芽の炒め物
豆腐とわかめの味噌汁
羽釜御飯
ビール(キリン秋味)

「豚肉があるので、もやしとニラと一緒に炒めるのはどうだろう」
と思っていたのだけれど、ニラがなぜかスーパーに売られていなかった。

「同じような緑色だからこれで良し!」とばかりににんにくの芽を買ってきたのだけれど、それだともやしと一緒に炒めるのはなんだか少し違う感じ。もやしはもやしで茹でて食べることにして、醤油味ベースで豚肉とにんにくの芽を炒めてみた。

味つけの参考にしたのはレバーとにんにくの芽炒めのレシピ。醤油と紹興酒、スープと胡麻油、塩を混ぜて合わせ調味料にして、刻みにんにく、刻み生姜、刻み葱と共に肉とにんにくの芽を炒め合わせて、最後に味つけて片栗粉でとろみをつけて、できあがり。思った以上にこっくりした味になって、確かにレバーに似合う味つけかもしれない感じだった。

なんだか豆腐が食べたくて、寄せ豆腐で冷や奴を、そして味噌汁にも豆腐を入れてみたのだけれど、地味に息子が喜んでいた様子。炒め物より何よりも先に冷や奴に手を出して、味噌汁も早々に飲み干していた。

早いもので、もう10月。今週末には息子の秋休みが始まり、一緒に旅行にでかける予定なので明日には秋田から母もやってくる予定。このところ、魚の出番がそれなりに多かったり、少しばかり和食寄りなものを多く作っていたりもしたのだけれど、明日からはきっと洋食っぽかったり肉っぽかったりするものが食卓に並ぶようになるのだ、きっと。

10月2日 火曜日
初日から飛ばしてます
「サンジェルマン」のあんぱん
牛乳

「あんパンあるよ、それともトースト?」
「トーストがいい!バタートースト!」

だんなも御飯と味噌汁の朝御飯を摂って朝ジムに向かったため、我が家において今ひとつ集客力がないと思われる、可哀想なあんパン。私はお前を喰ってやるぞ、お前を食べるなら供は牛乳だな、といそいそと準備して朝御飯にした。私好みの粒あんだ。良かった良かった。

「ミスタードーナツ」にて
 リッチドーナツ(ハニーディップ)
 カフェオレ

今日は朝から家中の片づけをして掃除をして、仕事もしたりゲームもしたりしつつ慌ただしい日中を過ごした。今日は秋田から母がやってくる。普段は地味な食生活をしている(らしい)母が、アレ食べたいコレ食べたいと欲望の塊になってやってくるのだ。予想通りというか何というか、もう「夕方」と表現して良い時間帯だというのに
「今東京駅着いたから、これからそっち向かうわね。時間あったら駅の近くでお茶でもしない?」
とメールが入った。

お茶と言っても、そういえば我が町にはいわゆる「喫茶店」のようなものはほとんどなくて、選択肢と言えばミスタードーナツをはじめとする各種ファーストフード店とか、スーパーのフードコート内にあるサーティーワンとかそんなくらいのものしかない。え、えーと……じゃあ、ドーナツ?カフェオレ飲み放題だし?などと言いつつ、地元駅で待ち合わせしてドーナツ食べてきた。ふわふわやわやわのリッチドーナツシリーズの、おやつに食べたのはハニーディップ。このふわふわっぽさはKrispy Kremeをそこはかとなく思い起こさせる食感でかなり好みかもー、と思いつつ、カフェオレお代わりしながら半年ぶりの母をあれこれ話して帰ってきた。

「そう、お寿司!お寿司ねぇ、前回食べたのは前にあんたん家来た時だったわよ。だから半年も食べてないの。半年も!」
と力説されて、今日の夕飯は銚子丸に決定。一応、クリーム煮あたりの洋風のメニュー用意しようかなーと鶏肉買ってきてあったんだけど、それは冷凍庫にでも移動してもらおうかな。

「銚子丸」にて
 海鮮サラダ
 お刺身盛り合わせ
 秋風香る劇団セット
 メダイ握り
 平目のえんがわ握り
 真鱈の昆布締め握り
 大トロ握り
 穴子握り
 なめろう軍艦
 うなぎバター握り
 生ビール・日本酒(八海山本醸造)
 などなど。

仕事を終えただんなとお店で落ち合う形で、夕飯は銚子丸。混んでいたら大変だしと私たちは一足先に入店して待っていた。

「餃子の王将」ではないけど、この「銚子丸」も店舗によって微妙にメニューが異なるようで、千葉駅前店にはある「おつまみ刺身盛り合わせ」が、今日行ったお店にはメニューに載っていない。
「お寿司じゃなくて、お刺身の盛り合わせとか作ってもらえますか?1000円くらいで」
と試しに伝えてみたところ、快く盛り合わせを作ってくれた。中トロと秋刀魚、鯛(多分メダイ)とイカあたりが盛られていて、スライスオニオンや刻み葱なども添えられていて良い感じ。それがテーブルにやってくる頃、だんなも到着した。

今開催中なのは「鰤フェア」であるらしい。美味しそうな鰤ものあれこれがメニューに並び、「秋風香る劇団セット」なるものは中トロ・秋刀魚・ぼたん海老・鰹・とろサーモンいくら乗せ・つまみ玉子という組み合わせだ。刺身の盛り合わせにも入っていたけれど、秋刀魚がいちいち美味しくて涙がちょちょぎれそうになる。

「はい、じゃあみんなで大トロ食べましょう。みんなで!」
母の音頭で金色の皿をずらりと人数分もらってみたり、季節のお勧め品の握りもあれこれもらってみたり、いつも以上に好き勝手美味しくいただいてしまった夕御飯。デザートたくさんあるのね、2つ食べちゃってもいいかしら?と杏仁豆腐とコーヒーゼリーをぺろりと平らげていた母は、相変わらず元気だった。日本酒飲みましょう日本酒!と小瓶の八海山を3人で空け終わる頃には私もだんなもお腹一杯。母の音頭より何より、最後に「うなぎバターにぎり」とか1貫ずつ分け合って食べていた私たちがいけなかったのだと思う。

明日のお昼はフレンチの予定。なのに初日からグロッキー気味です……と帰宅してからベッドに倒れ伏してだんなと反省会もどきの会話をしていた。
「最後さ……おしんこ巻きとかかっぱ巻きとかにすれば良いわけよ、さっぱりとね」
「そこで"うなぎバター"とか頼むからいけないんだよね」
「んでも、美味しかったよ……うなぎバター」
なんで美味しいものって健康に良くないものなんだろうね、うなぎバターを食べれば食べるほど健康になれば良いにね……というのが、本日の結論。

10月3日 水曜日
タテルヨシノ再訪。やっぱり美味しい……♪
「アンデルセン」の
 マロンクリームパイ
カフェオレ

母が来たりて、今日は美術館とフレンチレストランにお出かけの予定。ランチの予約はちょっと遅めにしてあるので、朝はそれなりにお腹に入れておかないとなと、昨日マロンクリームパイを買ってきた。コロネ状の丸いパイ生地の中にふんわりとしたマロンクリームが絞られたもので、
「そうそう、秋と言えば栗、栗と言えばモンブラン……」
モンブラン食べたいなぁ、しばらく食べてないなぁと思いながら買ってきたものだ。モンブランとはちょっと違ったクリームだけれど、すごく好みな味だった。

カフェオレお代わりして飲み干しつつ、いざいざ竹橋へ。

汐留 パークホテル東京内「tateru yoshino」にて
 Menu C \6,300
     二種類のアミューズブーシュ
     前菜
     お魚料理又はお肉料理
     プレ デセール
     グラン デセール
     コーヒーと小菓子
 食前酒(Stella Maris)
 グラス白ワイン

開館直後を狙って足を向けてみたのは、東京国立近代美術館で開催中の「平山郁夫 祈りの旅路」展。

「平山郁夫、好きなの。一回この人の美術館にも行ってみたいと思ってたのよ」
との母のリクエストだ。私は絵はがきとか画集くらいでしか彼の絵は見たことがなく、印刷物から受ける印象では「割と、のっぺりした絵を描く人?」といった感じで特に大好きという感覚はなかった。だから、美術館に入るまでは"あくまでおつきあい"という気分でいたのだけれど、行って良かった。素晴らしかった。絵の1枚1枚に圧倒され、何度も足を止めて時間をかけて眺めてしまった。

西洋の絵画ではほとんど見ない、美しい金色やなんともいえない深い青色、そして独特な砂の色。西洋画にも影響を受けているのだろう彼の絵は洗練された構図のものも多く、ある意味バタくさく感じるような部分さえあった。なのに油彩の艶やか華やかな表現とは方向が全く違う、温かでほっとする絵ばかり。サイズの大きな作品も多く、とても見応えがある展覧会だった。

一通りこの企画展を眺め、美術館の常設展示コーナーも見て歩き(期せずしてアンリ・ルソーの絵が見られて幸せだった)、予約の時間に汐留に移動。以前友人と食事に来て、
「あ、このお店、雰囲気とか味とか、母が絶対好きそうだわー」
と思ったお店、パークホテル東京内にあるレストランtateru yoshinoでランチを楽しんだ。午前中ひたすら歩いていたので、すっかりお腹もぺこぺこだ。

「いっぱい歩いたからね」
「そう、すっかりお腹空いたからね」
「良いめのコースでも良いんじゃない?」
「魚と肉と両方だと、さすがにちょっと重いけどね」
と、メインディッシュが肉か魚の一皿がやってくる「Menu C」にしてみた。前菜とメインディッシュ、グランデセールは数種類の中から選ぶことになっている。メインディッシュの後の「プレデセール」「グランデセール」「プチフール」という流れが相変わらずすごい。

料理メニューを決める前、リンゴのジュースとシャーベットがスパークリングワインに入っているオリジナルカクテルを舐め舐め、突き出しに出てきたのはプチシューくらいの大きさのチーズ入りのパン。ほのかに甘くふわっと優しい口当たりで、それをつまみつつメニューを選んだ。前菜に「山羊のカルパッチョ」があってものすごく気になったのだけれど、メインは肉を選ぶつもりだしと魚介の前菜にすることにした。母は「季節野菜のエチュベ」。一口大の可愛らしいオクラや大根、にんじんなど彩りも綺麗な野菜の蒸しものの盛り合わせだ。

前菜の前の「二種類のアミューズブーシュ」は、前回も食べた「夢たまご」の前菜と、一口サイズの栗のポタージュ。ほのかに酸味のあるクリームを添えた半熟の卵の黄身にハーブとハチミツを添えた面白い前菜は、見た目は可愛いけれどその不思議な味に驚かされる。前回初めて口にして「おお、この店なんだかすごい!」と感動したのだけれど、母も同様に
「あらー、食べたことない味がするわー」
おいしーわー、と呟きながら卵を食べていた。甘みのある栗のポタージュも滑らかでとろんとしていてとても良い感じ。

手長海老に薄切りの蕪を重ねた前菜は、赤と黄色のパプリカのソースとバジルのソースの3種類の色鮮やかなソースを添えたもの。爽やかな酸味のあるソースで和えられた海老で、ハーブの葉が数種類添えられていた。どっしり重めの白ワインをグラスでいただきつつ、メインディッシュは詰め物をしたウズラのグリル。

ワインで煮込まれた洋梨が添えられたウズラのもも肉には、青菜とワイルドライス、そしてフォアグラの詰め物がされていた。ニワトリとは違う細い頼りない感じの骨がついていて、最後にはその骨をわっしを掴みつつ、フィンガーボールを使いまくって骨をしゃぶる勢いで食べてしまった。表面の皮部分はこんがりと、素敵に香ばしい。母の食べていた和牛ランプ肉のステーキも、厚切りの肉の断面は美しいロゼ色。淡泊な味わいの肉なのにしっとりと柔らかく味わいがあって、一口味見させてもらった肉はとろけるようだった。

で、本番デザート前の「プレデザート」は2口サイズほどの人参のソルベ。ハチミツとアニスが添えられたソルベで、スーッとする独特な香りのアニスの存在が、どこか異国な味わいにしている。甘くて美味しいのに、驚くほどにその味は「人参」そのものだった。母の頼んだ本番デザートは「赤ピーマンのクレームブリュレ」だったりするので、全体的に野菜な感じだ。私のデザートはステラマリス風ブランマンジェ。とろんととろける口当たりのブランマンジェにコーヒー味のジェラートとキャラメルのムースが添えられた、甘みあっさりめなデザートだった。

とどめとばかりに、最後のハーブティーと共に、ワゴンサービスされるプチフールもしっかりつまむ。前回食べたガラス細工のような砂糖菓子がすごく美味しかったのだけれど、今回はそれはワゴンに乗っておらず、代わりにナッツが練り込まれたヌガーなどがあった。私は赤と黄色のマカロンと粉砂糖がまぶされたチョコレート、そしてヌガーを皿に乗せてもらって、「美味しかったー」「美味しかったねー」言いながらもぐもぐと。

のんびり2時間コースのランチを終えた頃には、「さぁ、早く帰らないと息子が学校から帰ってくる!」という時間になっていた。

枝豆
レタスと紫玉ねぎのサラダ
鶏の塩焼き ねぎポン酢添え
豆腐とわかめの味噌汁
羽釜御飯
ビール(プレミアムモルツ)

旅行前に自炊できるチャンスもあと僅か。買い置きの鶏肉食べなきゃ、レタスも食べなきゃということで、
「でも、昼が重かったからさっぱりした味のが食べたい……」
と、当初の予定の"洋風の鶏肉料理"から転向してさっぱり味鶏肉料理を準備した。

鶏肉は、塩胡椒してスキレットで皮目がパリッとするように焼いてから、刻み万能葱とポン酢を上からたっぷりかけた。母が秋田の家で育てていたのだという枝豆は茹で、紫玉ねぎはスライスしてレタスときゅうりと共にサラダに。だんなと息子には味噌汁と御飯も出したけれど、私と母はおかずとサラダですっかりお腹一杯になってしまった。

昨日の朝収穫して持ってきたのだという枝豆は、今年もうっとりするほど美味しかった。豆ってこんなに豆の味がするものなのか!とびっくりするほどに濃厚な味の枝豆で、さやの色も豆の色もとても鮮やか。

10月4日 木曜日
「そうそう、このお店も行っておかなきゃねー」ということで、
「満寿屋」の
 子クリームパン
 子アンパン
カフェオレ

帯広に、「満寿屋」(ますや)というパン屋さんがあるらしい。十勝あたりに住む人であれば知らぬ者はいない、というほどのパン屋さんなのだそうで、
「んでね、ショップが出ていたから、買ってきてみた」
と、だんながいくつかのパンを買ってきてくれた。全部1個100円だったというそれは、袋に「子クリームパン」「子アンパン」などとシールが貼られていて、どれも可愛らしいサイズ。

「子、なのか……"小"じゃなくて……」
なんか可愛いなぁと思いながら、私はクリームパンとアンパンをもらうことにした。使用している小麦は十勝産100%、クリームパンも地元の絞りたて生乳を使用しているのだそうで、全体的に「北海道」感たっぷりのパンだった。

クリームパンのクリーム、案外と白っぽい色合いで「卵の色」というより「牛乳の色」という感じ。かといって薄いという味ではなく、ちゃんとカスタードクリームらしいカスタードクリームだった。パン生地はほのかに甘く柔らかく、でも軟弱な口当たりというわけでもなくて、これまた悪くない。素朴な味の粒あんのアンパンもかなり好みな味だった。ただでさえクリームパンは美味しいものなのに、それに「北海道」という枕詞がついてしまうなんて、そりゃもうズルくて旨くて仕方がない。

「太閤園」にて
 酢豚定食
 餃子(母と半分こ)

仕事してゲームして旅行の荷造りして、午前中は慌ただしく過ごしつつ、お昼は母と2人でチャーハンを食べに行くことにした。チャーハンを食べたのは母で、私はお気に入りの酢豚定食。地元のお店「太閤園」に行ったのは数ヶ月ぶりだったけれど、相変わらず酢豚は美味しかった。チャーハンももちろん美味しかった。

「餃子も食べる?」
「食べる食べる」
と注文した餃子もやっぱりいつもながらの美味しさだ。純然たる中華料理という感じではないのだけれど、母もなんだかんだで上京の折にはこのお店の味が恋しくなるのであるらしい。

「えっとー、こっち来て、最初の夜にお寿司食べたでしょ、昨日はフランス料理食べたのよね?」
美味しいチャーハンも食べられたし、あとは今日の夜にイタリアンとか、そんな感じ?
と母にニコニコと告げられ、少しばかり絶句の私。今日の夜はイタリアンに確定のようだ。「いーわね、こっちの家の近くにはこういうお店がたくさんあって、いいわね」と上京のたびに母に言われるけれど、毎日のように食べ歩いているわけではない私やだんなの方が、案外早くグロッキー状態になってしまったりする。

こんがり揚げた適度な大きさの豚肉に甘酢が絡んだ、スタンダードな風のこのお店の酢豚。でも、パイナップルは入っていなくて、代わりにというわけではないのだろうけれど、キュウリが入っている。ほとんど火が通っていない、シャキシャキとした歯触りのままのキュウリが酢豚に入っているのは不思議な感じだけれど、甘酢と不思議と良く似合うので嫌いじゃない。あとは、玉ねぎとピーマンと人参もたくさん。

「トラットリア ヴィーノ」にて
 牛フィレ肉のカルパッチョ
 魚介のフリットミスト
 ピッツァ ビスマルク
 新秋刀魚のシチリア風リングイネ
 カルボナーラスパゲティ
 仔牛のサルティンボッカ
 きなこのシフォンケーキ マスカルポーネチーズのクリーム
 生ビール・白ワイン
などなど

明日からの旅行にあたって、「使い捨てカメラを買わなくちゃ」と言っている母。毎回使い捨てカメラで済ませるのも不経済だよ、いくらでも撮り直しできるし、今はあちこちでプリントアウトもできるし、デジカメにしたら?と話したら、
「じゃあデジカメ買いに行くわ」
と即決された。決断はやっ。

で、夕方母と息子と3人で家を出て、ヨドバシカメラでデジカメ買って、夕飯はだんなと合流して地元駅前にあるトラットリアで済ませることになった。
「貴女なら、どれ買うの?」
と母に言われ、いや、私が今欲しいのはペンタックスの防水デジカメで、でもそれは母が求めている方向とは違うでしょ……?と話しつつ、
「充電するのがめんどくさかったりするなら、単3電池が使えるのはどうだろう?旅行に持ち歩くのがメインだったらその方が案外便利かも」
などと話してみる。結局、手頃な値段だったということもあって、ペンタックスの単3電池使用の非防水のデジカメにしようということで話がまとまった。

母のおニューのデジカメ持って、息子もちゃっかり防水タイプの使い捨てカメラを1個買ってもらったりして、イタリアンの夕御飯。だんなが合流するのを待って、主に私とだんなで、あーでもないこーでもないとメニューの相談をしつつ、色々注文して皆でつついた。

胡椒の効いた牛肉のカルパッチョには薄切りのパルミジャーノ・レッジャーノがたっぷり散らされ、上にこんもりとルッコラが盛られている。フリットミストは白身の魚とタコ、イカ、海老、ホタテの盛り合わせ。前菜はそれらをつつきつつ、ピッツァはソーセージと半熟卵、モッツァレラチーズが乗った「ビスマルク」にして、あとは私のたっての希望で秋刀魚のアーリオオーリオベースのリングイネ。

息子の好物のカルボナーラも注文して、メインディッシュは仔牛のサルティンボッカを皆で分けて一口二口くらいずつ分け合って食べた。白ワインもボトルでとったので、お腹一杯だわ酔っぱらうわ、でも荷造りもまだ2割ほど残っているわでけっこう大変な状態になりつつの帰宅になったのだった。浮き輪を一体どこにしまったものなのか、全然見つからないんだよー……。

このお店は、近所にこういう店があって嬉しかったな、と思える感じの、手頃な価格でちゃんと美味しいイタリア料理店。2000円でメインディッシュにイベリコ豚のグリルが食べられるのだからありがたいなと思う。
薄焼きのピッツァはいつ食べてもどれを食べても幸せな味だし、なんと言ってもデザートメニューに時折のぼる(でも最近見かけないんだ、残念ながら……)パンナコッタが素晴らしく美味しい。黒板に記された「本日のおすすめ」の料理もどれも適度に気合いが入っていて、今日もかなり悩んでしまった。秋刀魚のリングイネは黒板に書かれていたものだ。

松の実やドライトマト、そしてセロリが入っている秋刀魚のリングイネはしっかりと唐辛子も効いているピリ辛味だ。こんがり焼かれた秋刀魚の身をざっくりほぐしたものがパスタに絡んでいて、それがオリーブ油や唐辛子、にんにくの風味と似合っていた。「シチリア風」と言うと、イワシのパスタとかイワシのオーブン焼きなどを思い浮かべるのだけれど、秋刀魚と方向は同じ魚だし、「シチリア風」と秋刀魚は相性がよいのかもしれない。

……で、帰宅したら浮き輪はあっさり見つかりました。
「おゆきさんてば、どこを探してたんだよ、もー」
とだんなが探してきてくれた……。
明日から息子が秋休みということで、南の海!

10月5日 金曜日
なぜかシンガポールで海南飯食べてました
成田空港内「パウゼ」にて
 カツサンドセット

今日から息子は1週間弱の秋休み。昨年に続き、今年も南の島に行くことになって、今年目指すのはマレーシアのランカウイ島。学校に行くいつも通りくらいの時間に起きて、いつも通りくらいの時間に家を出て、成田空港に向かう電車に乗った。

何も食べずに家を出て、ボーディングタイム2時間前にチェックインを終えて空港で朝御飯にした。和食の店も、たこ焼き屋さんも、ハンバーガーショップ等々も既に営業を始めていた時間帯で選択肢は色々とあったのだけれど、
「お」
と息子が足を止めた店には、ハムとチーズのホットサンドがショーケースに飾られていた。
同じ店の前で母も
「あらー」
と足を止めていて、その目線の先にはフレンチトーストの見本が飾られている。朝御飯はその洋食のお店ということになった。

「じゃあ俺、カツカレー」
「そっか、だんながカツカレーなら、私はカツサンドだな」
「……いや、俺やっぱ、デミグラスソースがけオムライスにしよう」

だんなが一度架けた橋を外すような事を言っていたけれど、でも私の心の中は全面的にカツになってしまったため、私はカツサンドをそのまま決行することに。刻みキャベツがたっぷり混ぜ込まれたカツサンドで、カツにもキャベツにもソースがしっかり染みていた。肉そのものはやけに固いものだったけれど、添えられた多めのアイスティーが嬉しくて、しっかり胃を満たしてから搭乗ゲートに向かったのだった。

JAL機内食
 牛卵とじ御飯
 グリーンサラダと玉ねぎドレッシング
 ポテトサラダ、ハム、中華風サラダ
 ミルクプリン
 パン・日本茶
 ビール(ヱビス)

行きの便は、シンガポールでお乗り換え(帰りの便はクアラルンプールでお乗り換え)。成田からシンガポールへの6時間のフライトの後、更に1時間半別便に乗ってランカウイに到着する。飛行機が飛び立って1時間後くらいに出てきたお昼御飯のおかずは、和風の牛肉卵とじ丼か、洋風の鶏肉のワイン煮の選択。遅めの朝御飯がガッツリしたものだったこともあって、昼御飯は全部は食べきれなかった。食後のミルクプリンが優しい味で、これはとても良い感じ。

息子のチャイルドミールは、海老とマッシュルームのドリア、クリームパン、ポテトサラダ、フルーツカクテルとプリン、キットカットのお菓子つきというなかなか魅惑的な内容で、朝食にホットサンドをぺろりと平らげたはずの息子はドリアを2口分ほど「これは食べきれない……」と残した以外は全てを綺麗に平らげていて大人たちをびっくりさせたのだった。

シンガポール 「Meritus Mandarin Singapore」内「Chatterbox CoffeeHouse」にて
 Mango Prawn Salad S$18.00
 Chicken Rice 2×S$20.50  F.Hokkien Mee S$22.00
 Kids Wanton Mee S$14.00
 Mango Pudding 2×S$8.00
 Juide(Zip) S$9.00
 Beer(Tiger) 3×S$11.00
4人でそんな注文してました。

午後5時、予定通りシンガポールのチャンギ空港に到着。1時間半の乗り換え時間を経て、SILK AIRのランカウイ行きに乗る予定だったのだけれど、この便が機材の遅れで2時間45分後の午後9時15分発になるという。

「……げー……」
「あらぁ、ランカウイのホテル着いてから夕御飯食べようかなって思ってたのにね」
「シンガポールの空港で3時間待ちか……」
「市内までどれくらいだったっけ?ぎりぎり海南飯とか食べて戻って来られるかな?」

便の遅れは少なくないことだけれど、せっかくのシンガポールで空港に閉じこめられるのもシャクだねと急ぎ市内に出る準備をした。でも、シンガポールに立ち寄ることなんて全然想定していなかったから資料も何もない。

「あそこに無料で使えるインターネット端末あるからちょっと調べてくる」
だんなが乗り換え便のチェックイン手続きをしている間、私はその端末でこの自分のサイトにアクセスして、3年前のシンガポール旅行記を見ていた。日本語は表示できる環境にないけれど、レストランやホテルの名前は英語で記してあるしリンクも張ってあるからどのレストランで海南飯食べたかくらいはわかるはず。ホテルのダイニングだったらクレジットカードで食事もできるし、あとは往復の交通費だけなんとかすれば大丈夫だろうとアタリをつけて、「じゃあマンダリンホテルの海南飯を食べに行きましょう!」ということにしたのだった。そのホテルまで空港からタクシーで30分ほどだといいう。タクシーに乗っても往復で5000円分のシンガポールドルがあれば充分だろうということで、5000円だけ両替した。

だんなに銀行行ってもらっている間に私はタクシー乗り場の場所をインフォメーションで聞いてみたりして、手早くシンガポールへの入国手続きも済ませ、事態がわかってから30分ほどでタクシーに乗り込み繁華街を目指したのだった。せっかくのシンガポール、転んでもただでは起きたくない。せめて夕飯に美味しい海南飯くらいは食べておきたい。

で、3年ぶりに訪れた、「Meritus Mandarin Singapore」の「Chatterbox CoffeeHouse」。内装も使われている食器もすっかり変わっていて「あれ、本当にこのお店だったっけ?」と思ったけれど、口にした海南飯はまさしくこの店のこれ。値段はお安くないし(どころか3年前と比較してお高くなってるし)、ある意味上品な少し気取った風の海南飯でもあるのだけれど、でも相変わらず美味しかった。

海南飯だけじゃつまらない?と注文したのはマンゴーと海老の乗ったサラダ。甘い甘いフィリピンマンゴーと茹でた海老がレタスベースのサラダにトッピングされていて、添えられているドレッシングは少し甘めのサウザンアイランド風。大ぶりの海老は綺麗に開かれていて、マンゴーの上にはローストした松の実も散らされていた。

海南飯は、鶏スープで炊いた香りの良いタイ米と、ガーリック風味の豆腐とレタス入りの鶏スープ、見た目以上にたっぷりの分量のある鶏肉(細切りにされた鶏肉は3層にわたっていて、多分鶏もも1枚よりも多いくらいじゃないかと……)には刻んだレタスやキュウリ、トマトなどが添えられている。たれは3種類。海鮮醤風の甘口の茶褐色のたれと、葱油的な緑色のもの、そしてかなりしっかりとピリ辛味のチリソース。鶏肉に適当にタレを添えて食べたり、御飯の上に鶏肉乗せてタレをかけてみたり、好き勝手に食べてもまだまだあるほど鶏肉はたっぷりだ。肉に3種類全部のタレをかけるのも、これまた美味しい。

あまり時間はないのだけれど、最後にはちゃっかりマンゴープリンなどもいただいてしまいつつ(サラダのマンゴーはめちゃめちゃ美味しかったのに、マンゴープリンはもっさりと固くてしかも甘さもあまり感じられず、いまいち……)、1時間ほどで慌ただしく食事した後、またタクシーに飛び乗って空港まで戻ってきたのだった。
予期せぬ足止めには疲れてしまったのだけれど、
「これはきっと、アレだよ。"なにシンガポールまで来ておいて、1時間半の滞在で余所の国に行こうってんだコラ"ってシンガポールの食の神様に足止めされたんだよ」
だんなはこれがシンガポール初上陸で、海南飯まで食べることができたのだからこれも怪我の功名なのかなと。

んで午後9時15分、ランカウイ行きの飛行機は今度はこの時間通りに出発して、11時前にランカウイに到着した。機内ではお茶と軽食のサンドイッチ(箱入りのツナサンド)が出されたけれど、お腹一杯でこれはさすがに全く食べられず。到着が遅れたけれど空港ロビーにはお願いしておいたホテルの送迎の人もちゃんとやってきていて、そこから数十分車に揺られて今回の宿に到着したのだった。

いや、これがもう新婚旅行を彷彿とさせるすごい部屋だったのだけれど、その続きはまた明日。
暗いので部屋の周囲も全くなんにもわからない……海岸は近くなのかなぁ。

10月6日 土曜日
フルーツたくさんな朝食
「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Br. Buffet (Adult) 3×RM106.50
 Br. Buffet (Child) RM53.00

今回宿泊したのは、ランカウイ島のフォーシーズンズホテル。実は今回の旅行、バリ島に行くことで計画を立てていたのだけれど、JAL便の正規格安運賃のチケットがどうにも取れないことがわかって8月になって急遽行き先を変更したのだった。時差がきつくなくて、同じような雰囲気の南の島で……ということで、ランカウイ。飛行機のチケットも無事に予約でき、気がつけばバリ行きよりもずいぶん運賃は安くつくことがわかったので、その分ホテルを良いものにすることにした。

「おおっ!2年前にフォーシーズンズがオープンしたばっかりだってさー」
ということで、決めたのはフォーシーズンズ。現在「3泊したら1泊無料になりますよ(buy 3 get 1 free というやつ?)」というキャンペーン開催中だったので、それで「素泊まり4泊、2部屋で」をお願いしたのだった。

これがなかなか、すごい部屋。一番安いスタンダードな部屋は、2階建ての1階2部屋2階2部屋の「Melaleuca」という建物になっている。1部屋1棟のヴィラではないしと大きな期待はしていなかったのだけれど、バリ島のフォーシーズンズに負けずとも劣らないゴージャスな部屋だった。バスタブは屋外の露天風呂。4人は余裕で入れそうな大きなお風呂に、その手前のパウダールームは中央に向かい合わせで洗面台が2つ。大きなクローゼットにシャワールーム、ベッドルームもババーンと広く、外にはデッキチェアと椅子とテーブル。屋外で朝食などを楽しめるような設えになっていた。

「もし可能なら、コネクティングルームで」
とお願いしていたところ、部屋は屋外のバスルーム部分で2部屋を行ったり来たりできるようになっているものにしてくれていた。息子などは大喜びで、さっそく母の部屋に自分の「巣」を作った模様。

昨夜は到着時、しとしとと雨が降り稲光までする悪天候だった。夜通し窓の外では雨の音が鳴りやまず、起きてみてもやっぱりどんよりと暗い空。
「そうよね、今、雨季って言ってたもんね……」
少しは晴れてくれると嬉しいなぁと思いつつ、曇り空のせいで少し涼しい空気の中、バギーを呼んで(海岸に沿って全長1.5kmの広大なリゾートなので、ロビーあたりに行くにはバギーを呼んで来てもらう。あとはリゾート内で借りられるマウンテンバイクで移動できたりも)朝食のお店に。アラカルトの用意もあるということだけれど、メインダイニング「serai」の朝食はブッフェも選択できた。今日の朝御飯は、ブッフェで。母の笑顔を見る限り、多分滞在中はずっとブッフェになりそうだ。

洋風、マレー料理、そして和食のコーナーまで存在した、選択肢豊富な朝御飯。インドネシアのナシゴレン、ミーゴレン、シンガポールで食べたカヤジャムと薄切りトーストなど、マレーシアは今回が初めてだったけれど、インドネシアやシンガポール、タイなどの馴染みのある料理が多く並んでいるのがとても嬉しい。あまり食べたことのないものを選ぼうと、マレーシア風パンケーキと説明のあった「ROTI CANAI」なるクレープ状の甘く温かい粉もの料理を持ってきてみたり、レンズ豆のカレー「DHALL」(←"ダールカレー"の"ダール"だよね)をよそってきてみたり、朝から色々楽しんだ。

私が食べたのは、こんな感じ。

  • ハム、スモークサーモン、スモークツナ
  • グリーンサラダ
  • マンゴーのペストリー
  • ROTI CANAI
  • 鶏肉のスパイシー煮込み
  • 海老のチリソース煮込み
  • DHALL、フィッシュカレー
  • ナシゴレン、ミーゴレン
  • フルーツ(マンゴー、ドラゴンフルーツ、パパイヤ、メロン、パイナップル)
  • 自家製フルーツカクテルのヨーグルト添え
  • ウォーターメロンジュース、紅茶

きっと今日はたっぷり動くことになるのだろうと、がっつり食べた朝御飯。サラダコーナーも充実していたし、フルーツコーナーの品揃えはさすが南国といった感じで母が大喜びだった。マンゴーのペストリーも甘く濃厚なマンゴーがとても美味しかったけれど、フルーツコーナーのマンゴーがまた最高。黄色い皮のフィリピンマンゴーのはずなのにとろりととろけるような甘さがあって、朝から山盛りのマンゴーを食べてしまった。

マンゴーやドラゴンフルーツ、パパイヤなどを混ぜた自家製のフルーツカクテルが自然な甘さで美味しくて、そこにプレーンヨーグルトをかけたものを最後に食べてお食事終了。ああ、また雨が降ってきたよ……。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Insalata Dell'Aia RM52.00
 Kids Pizza RM18.00
 Linguine Vongole RM62.00
 Fusilli al Pasto e Gamberetti RM64.00
 Pizza Margherita RM48.00
 Beer(Tiger) 3×RM14.00

空、真っ暗だねぇ、さすが雨季だねぇ……「雨季でも、降るのは午前中とか午後の30分くらいで、あとは晴れます、大丈夫」ってホテルの送迎の人が言っていたような気がするけど、晴れそうな気配がないよ……と空を見上げつつ、それでも雨は止んだようなので水着に着替えてホテルのプールへ。曇天の下、少し涼しいこともあってプールサイドにはまだ誰もいなかった。ガゼボも空いていたので「ここにしよう!」とガゼボに近寄ると、すかさずホテルのスタッフがやってきてバスタオルを敷いて冷たい水とコップを持ってきてくれる。

母は水着にならずに、ガゼボでのんびりしたり海岸を散歩したり。息子はひたすらプールで遊び、だんなはそれにつきあい、私はプール行ったり海辺を歩いたり好き勝手していた。プールのすぐ向こうは綺麗な白砂の海岸で、200mも歩けば波打ち際にたどり着く。海の色は綺麗なエメラルドグリーンだけれど、このあたりは砂の粒子が細かくてすぐに舞い上がってしまい、海自体の透明度はかなり低い。波もかなり高くてシュノーケリングなどを楽しむ状況ではなくて、せいぜい波とたわむれることができるくらいの海だった。でも、波が荒いこともあってか綺麗な貝殻がたくさん打ち寄せてきている。

この貝綺麗、あの貝綺麗と拾って歩いていたら、これまたホテルのスタッフがやってきて、
「お水どうぞ、貝殻、このテンポラリーバッグに入れてはどうでしょう」
と水とホテルのロゴ入りのビニール袋を差し出してくれちゃったりするのだった。……高級ホテルってすごい。

このホテルにプールは2ヶ所。子供は入れない「大人専用」のラッププールがあるらしいけれど、今日はそこを見に行くことはせず、ひたすら「ファミリープール」で遊んでいた。少し迷路のような感じに複雑に作られた2段構えのプールは、がっつり泳ぐという雰囲気のものではないけれど(がっつり泳ぎたい人はラッププールでどうぞ、ということなのだろう)、1辺が短いから息子の水泳トレーニングにはぴったりだ。少しも背がつかない150cmの深さのファミリープールだったけれど、息子は浮き輪を使ったり手放したりしつつそれなりに「特訓」していた。

お昼御飯は、南イタリア料理が食べられるという朝食を摂ったレストラン「serai」に行ってみることに。ちょうど昼時に行ったのだけれどお客は他に誰もおらず、冷房の効いた室内でのんびりサラダとパスタを食べてきた。
「Insalata Dell'Aia」は、ロメインレタスと鶏肉、ゆで卵とパルメザンチーズのサラダ。要するに「鶏肉入りのシーザーサラダ」といったものだったのだけれど、鶏肉にかけられていたバルサミコ酢ベースの甘酸っぱいドレッシングがとても良い感じ。値段からしてそこそこの量なのだろうと皆で取り分ける形にしたのだけれど、予想通りに一人ではとうてい食べきれない量のサラダだった。

で、私は「Fusilli al Pasto e Gamberetti」なる、ジェノバペーストで和えた、海老入りのフジッリを。ドライトマトやいんげんもたっぷり入る、具沢山なショートパスタ料理だった。これまた分量たっぷり……だけど、パスタは我が家で食べる時も分量たっぷりなので、「あ、これは想定内の分量だ」と思ったり。
だんなはボンゴレのリングイネ、母は薄焼きのマルゲリータピッツァ、息子はコーンやツナが乗った子供向けの内容のキッズピザ。薄焼きのピッツァはチーズたっぷり(食べきれない、と、母から数切れ分けてもらった)、だんなのボンゴレにはこれでもかと大量のアサリが乗っていた。アサリ、日本で食べるものは黒っぽい砂っぽい色合いのものだけれど、ここで食べたアサリは白っぽいベージュっぽい薄い色合いのもの。海岸に多く打ち上げられていた貝そのものの殻だった。せっせと拾ってきた貝殻のいくつは、どうやら単に「アサリ」だったのかと苦笑い。

プールサイドでライチのアイス

ランチを摂っている間に、雲は隨分少なくなってきていた。あれよあれよという間に日差しも差してきて、雲は僅かながら残るものの見事な青空に。気温もぐんぐん上がってきて、
「こりゃ、プールだな」
「もう一回プールだな」
と着替えて再びプールに向かった。やっぱり青空の下で泳ぐ方が断然気持ちがいい。昼前に撤収したガゼボも幸い空いたままで、もう一度ここにタオルを敷いてもらって母はのんびり昼寝をしていた。

「なんかね……"おやつ"が出るらしいよ。おやつ時にプールサイドとかいたら、食べられるんじゃない?」
なんて話していたところ、スタッフが大きな銀色のバケツを抱えて各デッキチェアを回り始めた。あ、アイスキャンディー配ってるー!とプールで遊んでいた私たちも一度水から上がっておやつを貰うことに。小さめのアイスキャンディーは、ライチの果肉が入ったシャーベットだった。おやつを食べて、再びプールに戻り、結局4時近くになるまで遊んでいた。

「The Westin Langkawi Resort & Spa」内「Breeze Lounge」にて
 Pimm's No.1

「The Westin Langkawi Resort & Spa」内「Taste Restaurant」にて
 Buffet Dinner(Adult) 3×RM98.00
 Buffet Dinner(Child) RM49.00
 Fr.Mango Juice RM17.00
 Beer(Tiger) RM14.00

「ねぇ、街まで出てみたい?お買い物したくない?」
と母が言い、夕方少し歩きやすい気温になってからタクシーに乗って島の南東にある「Kuah Town」に向かってみた。滞在ホテルは島の北端に位置しているので、車で30分くらいかかる距離だ。ショッピングモールで母と2人でバティックをあれこれ買い込み、隣接するスーパーマーケットで諸々の食材を買ってきた。タイガービールは1缶1.7リンギット(日本円で60円弱)と素敵な安さ。関税に引っかからない程度に数缶買い込み、スーパーではバクテーの素を見つけてこれまた買い込んできた。「四川風」「福建風」「伝統味」と3種類のバクテーミックスがあったけれど、何がどう違うんだろう。とりあえず四川は辛そうだ。

で、街で夕食をと思ったのだけれど、ショッピングモールあたりにはこれという店もなく、繁華街の端の海沿いにあるのだというウェスティンホテルに行ってみることにした。フロントでホテル内のレストランについて聞いてみると、夕食を摂れる場所は2ヶ所だという。1つはカジュアルなプール沿いのコンチネンタル料理屋さん、もう1つは「今日はシーフードディナーです」という、ブッフェ専門のダイニング。シーフードディナー、悪くないねとこれにすることにした。でも、ディナーの開始は午後7時。今は午後6時半なので30分くらい時間がある。

それじゃあ食前酒でもということで、ロビー階のラウンジでカクテルを。私はジンジャーエール割りのPimm's No.1を飲んだ。屋外テーブルからは眼下に大きな複数のプールが見えて、その向こうには海や小さな島々がよく見える。このホテルは、専用桟橋から出航するアイランドホッピングツアーが人気なのだそうで、それもとても楽しそう。いかにもな大型ホテルで大きなプールも遊び甲斐がありそうだ。

ホテルのスタッフもとても親切で、バティックやビールや食料品の袋を預けて「いや、宿泊は他のホテルなんだけど、夕飯ここでいただこうと思って。だから荷物預かってくださーい」とお願いしたところ
「お泊まりはどちらですか?夕飯は、こことあそこで摂れますが予約しておきましょうか?」
と色々手配してくれ、「予約摂れましたー7時以降でしたら何時に行かれても大丈夫ですよ」とラウンジの席まで教えにきてくれた。帰り際もその方がそそと寄ってきて「ディナーはいかがでした?もうタクシーは呼ばれましたか?」と最後まであれこれ世話をやいてくれ、最後の最後に、「いや、私実は先日までフォーシーズンズホテルに務めてまして」と、「だからフォーシーズンズに宿泊のお客様には格別の思い入れが」的な笑顔で見送ってくれたのだった。

シーフードディナーは、1人3500円弱という思ったよりも手頃な価格になっていて、料理もとても充実したものだった。魚料理が盛りだくさんだけれど、羊や牛のグリルなどもちゃんと用意されており、そして圧巻なのはコーナーの4割近くを占めるだろうデザートコーナー。小さなサイズだったけれど「チョコレートファウンテン」まである。アイスクリームは4種類、豊富なフルーツと洋風焼き菓子のあれこれ、マレー料理っぽい甘い米菓子の類も何種類か並べられていた。デザートまでどれだけ食べられるかなぁと胃袋と相談しいしい、食べたいものを食べたいだけ食べてきた。

食べたものは、こんな感じ。

  • ムール貝、海老のカクテル
  • タイ風魚介とマンゴーのサラダ
  • 蟹とかぼちゃのスープ
  • 巻き寿司
  • パエリア
  • シェパーズパイ
  • 羊のグリル
  • 温野菜
  • "Cantonese Stlye Yee Mee"
  • ピーチシナモンコブラー
  • ココナッツアイス
  • フルーツ(オレンジ、スイカ)
  • マンゴークレームブリュレ

鰻の蒲焼きが添えられた、少し珍妙な巻き寿司などもいただきつつ、皆に人気があったのが「Cantonese Stlye Yee Mee」。揚げ麺に魚介入りあんかけスープをかけて食べる、要するに「あんかけ固焼きそば」だ。あんにはムール貝、イカ、アサリ、海老などなどが入っていてかなりの具沢山。ゆるめのあんなので、たっぷりかけるとラーメンのようにもなってこれがなかなか美味しかった。息子はお代わりまでして大盛りのこの麺を堪能していた。
なんだか毎食マンゴー食べてる気がするわ、と、香菜風味のタイ風の甘酸っぱいサラダと食後のマンゴークレームブリュレも堪能して、すっかりお腹いっぱいに。

9時前にはホテルに戻ってこられたので、そこから屋外のバスタブにお湯張ってバスバブル溶かして、「これなら家族皆で入れるねー」とだんなと息子と3人で泡だらけになって遊んだりしていた。ジャグジーバスだったものだから、ジャグジーのスイッチを入れるたびに盛大な泡が出て、呆れるほどそこら中がもこもこの泡だらけに。ランカウイまで来て露天風呂(しかもでかい)に入れるとは思わなかった。

10月7日 日曜日
お部屋でランチ
「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Br. Buffet (Adult) 3×RM106.50
 Br. Buffet (Child) RM53.00

今日は8時半頃に少し遅めの朝御飯。私は今日も朝6時半頃に早起きしてしまって、「まだ外も暗いしー」とこの日記をつけたりしていた。朝食は昨日と同じくメインダイニングのブッフェで。大きな変更はないものの、全体的に少しずつ品揃えが変わっていて今日も色々楽しめた。今日口にしたのは

  • スモークサーモン、チェダーチーズ
  • グリーンサラダ
  • カヤトースト、チーズペストリー
  • マレーシア風パンケーキ
  • "SAMBAL SOTONG"
  • ナシゴレン、炒め平麺
  • お粥(干し貝柱、鶏肉、塩卵、葱入り)
  • フルーツ(マンゴー、パパイヤ)
  • 自家製フルーツカクテルのヨーグルト添え
  • マンゴージュース、カフェオレ

という感じ。じわっと辛いピリ辛味の「SAMBAL SOTONG」なるマレー料理がこっくりとした味つけで美味しかった。煮物などでもココナッツミルクを使ったものが少なくないマレー料理は、あまり詳しくは知らないのだけれど、タイ料理よりも私の好みな味のものが多いのかもしれない。

カヤトーストは、ちゃんとオレンジ色の「カヤジャム」が用意されているので、薄切りパンをトーストしてジャムをたっぷり塗りたくり、バターも食卓に持っていってバターも塗りつついただいた。塩味などのついていないプレーンなお粥も用意されていて薬味の類がたくさん脇に並べられていたので、干し貝柱や裂いた鶏肉を乗せ、塩卵もひとかけら。葱かけて、胡麻油かけて、醤油をうっすらかけて食べた。

パパイヤやメロン、スイカなどは「ものっすごく美味しい」というほどでもないのだけれど、マンゴーだけは相変わらず涙がちょちょぎれるほど美味しい。今日は山盛り持ってきて食後にマンゴーをメインにばくばくと食べてしまったのだった。

「Four Seasons Resort Langkawi」ルームサービス
 Fresh Catch Fish and Chips RM63.00
 Steak Sandwich RM48.00
 Cheese Burger with Tomato and French Fries RM22.00
 紅茶

今日はマングローブツアーにお出かけ。ホテルで申し込んでみたら、ホテル前のビーチから船を出しますよという話で、最大催行人数は6人だという。母は
「ジャングルツアーなんてイヤーよ、船もイヤ」
ということだったので、ホテルで一人留守番していてもらうことになった。向かったのは「KILIM GEOFOREST PARK」という自然公園だ。

私たち親子3人の他は、日本からの2人連れのお姉さんたちが一緒。日本人ばかりの組み合わせだったこともあってか、名古屋に6年留学していたのだという日本語英語マレー語ペラペラ、タイ語も解して現在中国語を勉強中だというガイドさんがついてくれた。始終堪能な日本語でのガイドをしてくれて、面白いものをあれこれみられたうえに色々な事を知ることができてとても楽しかった。

「マングローブ」とは、これまで、海水でも生きていける特定の木の品種名なのかと思っていたのだけれど、そうではなくて海水に浸る土地に生育している樹木全体を指す言葉で、その種類は多様にあるのだそうだ。タコ足のような根が出ているものばかりかと思いきや、そんなことはないらしい。これは○○という木の種、こちらは××という木の種、と色々見せて教えてもらった。塩水を塩水のまま吸い上げて、余分な塩分は葉の部分から雨や風で洗い流させるようになっているそうで、「塩水を溜めすぎちゃった葉は、黄色くなって水に落ちます。落ちてる葉はほとんど黄色い葉でしょ?」とのこと。

ツアーの一角では餌付けされた猿(カニクイザル)たちが近くまで寄ってきたり(どころか船にまで飛び乗ってきて餌をねだったり)、頭の白いトンビの群を見たり、洞窟の中のコウモリたちを見たり。途中には「泳ぐオオトカゲ」にも遭遇し、最後にはスコールに見舞われた。

出かける時は見事な晴天で、ツアー中も屋根のある船の脇から差す日差しで肩がチリチリいうほどだったのに、一気に風が強くなって涼しくなってきたと思ったら絵に描いたような豪雨。

「帰りはどうしますか?行きと同じく海で帰るか、揺れるのが嫌だったら川から帰るか……」
揺れるのは行きと大体同じくらいですが、と選択を迫られて「揺れるのは別に大丈夫です」「問題ないです」と全員で答えた結果、行きとはとんでもなく違う大荒れの中を帰ることになったりもした。豪雨と強風で海は荒れに荒れて、無料で体験できるスプラッシュマウンテン状態。川からホテルに向かうまでの外海の移動では高さ1mを軽く越える波で船は始終飛び跳ねまくり、何度か盛大に海水も頭からかぶることになった。船にはレインコートも積まれていて皆それを羽織っていたのだけれど、すっぽり足までくるまることができていた息子以外の大人たちは全員足を中心にびしょ濡れに。きゃあきゃあ悲鳴を挙げていた割には、実は皆楽しかったのであるらしく、息子は「遊園地みたいだ!」と最後まで怯えることなく大笑いし続けていた。

部屋に戻ったのは、予定を少しオーバーして2時を過ぎた頃。母はのんびりと過ごしていたようで、お昼は食べずにお部屋の果物とか食べていたわー、とのこと。時間も時間だったし外に食べにいくと夕飯が入らなくなりそうだと、簡単にルームサービスを頼むことにした。息子には本人のたっての希望で子供メニューのチーズバーガー、大人たちはステーキサンドと、フィッシュ&チップスを。飲み物は部屋のポットやカップを使って紅茶や珈琲を適当に準備して、1部屋に皆集まって適当にそこらで座りつつ食べた。

ステーキサンドは、パニーニのようなパンに分厚いステーキ肉が炒めた玉ねぎと共に挟まったもの。オニオンリングとピクルスなどがついてきていた。フィッシュ&チップスは、大ぶりの魚フライが3個と自家製タルタルソース、そして山盛りのフライドポテトのセット。大きくはない屋内のテーブル(屋外にもう少し大きなダイニングセットがあるのだけれど、何しろ外は雨降りで)に綺麗に料理を並べてくれて、スタッフが去っていった。タルタルソースがなんともリッチな味わいだ。

夕方もなんだかんだで雨続き。晴れ間を見たのでプールに行ってみたもののすぐにまた雨が降ってきてしまったので早々に部屋に戻り、夕飯の時間までおとなしーくしていたのだった。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「Ikan Ikan」にて
 Samosa Kilas Siongkong (カレーサモサ タピオカと人参包み) RM52.00
 Satay Ayam dan Daging (チキンとビーフのマレー風炭火焼き鳥) RM52.00
 Sup Soto Ayam (マレーシア風鶏肉のスパイシースープ) 2×RM48.00
 Bawal Putih Kukus Limau Kasturi (蒸しマナガツオ カラマンシ・ライム、ガーリックと香草チリ風味) RM125.00
 Sendi Kambing Brahsani (ラム肉煮 スパイス・コリアンダー、トマトとヨーグルト入り) RM85.00
 Nasi Goreng (ナシゴレン) RM38.00
 Ikan Ikan Mango Pudding (季節のフルーツのコンポート添えマンゴープリン) RM33.00
 Beer(Tiger) 3×RM14.00
 Wine(GIESEN) RM172.00

「Four Seasons Resort Langkawi」内「Rhu Bar」にて
 Planters Punch 2 RM27.00

夜になっても雨は降ったり止んだりで、「じゃ、そろそろ夕飯に」という頃にもなんとも収まりの悪い空模様。夕御飯は、ホテル内のエスニック料理レストラン「Ikan Ikan」(Ikanは魚という意味なのだそうだ)に行ってみることにした。

これまたムードのあるレストランで、入り口にはかがり火が炊かれてゆったりしたエスニック調の内装と大きな椅子が居心地がいい。メニューは見事なまでにマレーシア料理でありインドネシア料理であり、見たことのないメニューも多く載っていた。「今から行っても大丈夫?」と電話をしてから向かったところ、当たり前のように日本語表記のメニューが手渡されて、その日本語表記にけっこう助けられてしまったりも。

きっと前菜もメインディッシュも、1人1つでは多すぎる量なのだろうなということで、私とだんながソトアヤムを1杯ずつもらった他は全ての料理を皆で分けつつ食べられるようにしてもらった。カレーサモサは大ぶりなものが2個、サテアヤムは6本、マナガツオはどーんと1尾まるごとで、ラムは大きな骨つきのもも肉(と思われる)煮込みが1本、と、だいたい予想通りのボリュームたっぷりな盛りつけ。こっちのソースはけっこう辛いよ、あれは唐辛子だから食べない方が良いよとわいわいやりながら皆でつついた。料理はどれも辛さを表す唐辛子マークがついていないものばかりだ。

レンズ豆のカレー味ペーストが添えられた、クリスピーなカレーサモサ。甘くスパイシーなピーナッツソースが添えられた焼き鳥「サテ」と、初めて食べる風味のソトアヤム。ターメリックの味がするし香菜やモヤシも添えられているしで間違いなくソトアヤムなのだけれど、ふわふわの肉団子と固めたクスクスのような、ういろうのような歯触りの芋団子っぽい白い塊が数個スープに沈められていた。添えられたライムを絞ったりローストピーナッツを添えてみるとまた風味が変わって面白い。

マナガツオは柑橘風味のソースで、かなりはっきりとした酸味のあるソース。見た目は淡泊な感じなのに唐辛子も使われていてピリッと辛い。良い具合に火の通った魚の身はふわふわだった。
ラム肉は八角の香り。炒めた玉ねぎがたっぷり使われているような甘さを感じる煮込み料理で、うっかり「青っぽい何かの野菜」を囓ってみたらものっすごく辛い唐辛子で一人涙目になっていた私。せっかくだからワインも取りましょうということで、1本のワインを皆で空けつつ、最後はアイスクリームやチョコレートケーキのデザートも楽しんだ。

思わず注文してしまったマンゴプリンは、金箔が添えられたドーム型の濃厚なプリン。ねっちりと弾力のある生地で、朝食に食べているフィリピンマンゴーではなくアップルマンゴーの味がした。ドーム型プリンの土台部分は薄いホワイトチョコが敷かれていて、そのチョコの下には南国のフルーツのコンポートが色鮮やかに盛られている。マンゴープリンに金箔が添えられているよ……と笑いながら食べ終わる頃には、もうすっかり満腹だった。

「あと、バーに行きましょ、バーに!」
ワインも回ってすっかり御機嫌な母の音頭で、メインダイニング裏手にある中東な雰囲気のバー「Rhu Bar」に。トロピカルカクテルの項から選んでみた「Planters Punch 2」というカクテルは、パイナップルとオレンジ、レモンの果汁をラムに合わせたようなさっぱりした味のカクテルだった。果汁は生のものを使っているようでグラスの中にふわふわと果肉が浮かんでいる。

「……あ、トカゲがカンテラの中に」
天井から吊された大きなカンテラの磨りガラスにトカゲ(ヤモリ?)のシルエットが綺麗に浮かび上がっていて、カンテラをつつくとするすると裏側で移動していく。母は悲鳴を挙げていたけれど、そういえばこのリゾートの中ではトカゲとかヤモリをあまり見ない。私はけっこう爬虫類も好きなので、リゾート内にたまーにいるという大型トカゲにも会いたいなぁと思っている。