食欲魔人日記 10年10月 第2週
10月4日 月曜日
くろげわぎゅー!
バタートースト
ハムエッグ
葡萄
カフェオレ

体調を崩していた時に「冷たいうどんなら食べられそう」と言っていた息子。
当日は結局夕飯時にも起きなくて「冷たいうどん」は翌日の献立からもスルーされてしまっていたのだけれど、それがいたく残念だったらしい。
「冷たいうどん、食べたかったんだよ……ほんとに食べたかったんだよ……」
と嘆いていたので、今日の朝御飯、息子の分は冷たいうどん。
 
で、私とだんなはバタートースト。ハム1枚、ウィンナー1本というすごく半端な感じのものが余っていたので、「私はハムエッグ……で、だんなはウィンナーエッグかな」と、それぞれ目玉焼きを添えて皿に盛りつけた。
 
「冷たいうどん」のだしは、新橋の「せとうち旬菜館」で鎌田醤油の「ストレートかけうどんつゆ」が買えて、これが最高に便利。
 
1袋100円ちょっとするから、まぁ安くはないんだけどね……と言いつつ、新橋に行くたびに3袋6袋とまとめ買いしていたのだけれど、今回、醤油の通販ついでに「うどんつゆロットで買いたいです」と鎌田醤油に相談してみた。ロットで買うと1袋あたりの価格がぐんと低くなって(送料はかかるけど……)、なかなか良い感じ。もうすぐ80袋のうどんつゆが届くみたいですよ……そんな大量にあってどうするんだと思いつつ、でも3人で食べたら27食分くらいで無くなっちゃうということ。きっとあっという間に無くなっちゃうんだ。

しゃぶしゃぶ
 (黒毛和牛肩肉・白菜・水菜・もやし・えのきだけ・マロニー・豆腐)
羽釜御飯
ビール(アサヒ 世界ビール紀行 ドイツ・メルツェンタイプ)
日本酒(菊姫 山廃純米)

週末のお肉屋さんで特売対象になっていたのは「黒毛和牛」だった。
「うまそー」
「うまそー」
と冷蔵ケースに貼り付いて、「この薄切り肉は、しゃぶしゃぶかすき焼きって感じだよねぇ」と、献立について考える。さっと火を通して食べたい感じの肉で、それ以外の調理法はもったいないような感じ。
 
鍋料理2日続きになっちゃうけど、月曜にしゃぶしゃぶにしよう!ということにして、買ってきた。
 
で、今日、「しゃぶしゃぶに入れる野菜って、白菜と豆腐とえのきとマロニーの他にどういうのが一般的なのかしら」と検索してからお買い物に。
調べたところによると、「水菜」「もやし」あたりがメジャーらしい。あとは「ニラ」「人参」「長ねぎ」「春菊」「レタス」あたりも。
 
春菊とニラは茹で汁全体がその匂いになっちゃうからなぁ……レタスもこないだやっと平らげたところだし、と、水菜ともやしを買ってきた。もやしはだんなが大好物だからきっと喜ぶだろう、と「もやしも買った」と報告したら、
「さりげなく嬉しい…。ポン酢とごましゃぶで食べましょうそうしましょう。」
と、うきうきが伝わってくる返事があった。嬉しそうだなー。
 
旭ポンズにごましゃぶ、ラー油。豆腐と白菜の芯の部分はよく火を通しつつ、あとは良い具合に「しゃぶしゃぶ」しながらいただいた。さすがの黒毛和牛は、とろけるような美味しさ。「肉ー!もっと肉ー!」と息子が言う中、「野菜も食べなさーい」と、もやしや水菜もざくざく鍋に入れていく。さっと茹でてまだ固さの残るもやし+ごましゃぶ+ラー油の美味しいこと美味しいこと。マロニーも競争率が高かった。
 
ちょっどだけ日本酒も飲んじゃおう、と、ビール1缶空けた後に、菊姫の山廃純米を1人1合ほど。すっきりと飲み口が淡泊でスルスル飲めてしまうのに、でもちゃんと余韻の残る美味しいお酒。程良い酸味も心地よいし、「ああやっぱり菊姫大好き!」と改めて思った。菊姫の山廃純米の、無濾過生原酒飲みたいなー……。

10月5日 火曜日
夕飯はツヤツヤの酢豚。
チーズトースト
黄金桃の自家製コンポート
カフェオレ

豚味噌うどんとホットサンド、トースト、朝御飯は何が良いですかー?と息子に聞いたら
「トースト!チーズトースト!」
だそうで、今日の朝御飯はチーズトースト。そろそろ使い切りたいと思っていたピザ用シュレッドチーズをこんもり乗せてトーストした。なかなかヘビィな感じになってしまったので卵料理等は無しで。
 
食後に「そうそう、これもそろそろ食べちゃわなきゃだった」と、コンポートにした黄金桃を出したところ、
「桃缶だ!」
と、息子。違うよ私が煮たんだよと苦笑しながら返したら
「桃缶のように美味しい!」
と、お誉めの言葉をいただいた。
 
グラニュー糖とレモン汁だけの自然な味つけで煮た桃は、安い缶詰にありがちな金属臭さとも無縁の素敵な美味しさ。
 
今はいちじくのシーズンだし、いちじくを買ってきてコンポートにするのも美味しそう。洋梨も出回っているし、自家製コンポートと冷凍パイシート使ってフルーツパイというのもとても楽しそうだ。

稲毛 「太閤園」にて
 酢豚定食 \850
 餃子
 ビール(アサヒ スタイニー)

今日は夕方に息子の友達が遊びに来たり(で、私も助っ人に入ってモンハンやったり)、その後は息子が習い事に行ったりとちょっとバタバタ。
 
バクテーを煮ようと思っていたのだけれどうっかり仕込みもせずにいたので、「いいや、待ち合わせて夕飯外で食べよう」と、習い事を終えた息子と駅前で待ち合わせして、そのまま夕御飯を食べてきた。
 
「お母さんラーメンが食べたいんだけどー」
「じゃ、太閤園でいいじゃん」
「……太閤園だと、私は違う料理のが食べたくなっちゃうなぁ……」
などと話しながら、結局ラーメン屋ではなく"ラーメン屋兼中華定食屋"(私にとっては"中華定食屋"という印象の方が強い)「太閤園」に足を向けた。
 
「茄子とレバーの炒め物」とかも良いなと思いつつ、小上がりにつくなり
「私は酢豚定食と餃子とスタイニー……君は?」
「僕はいつもの、ジャンボラーメン」
と流れるように無意識に注文してしまっている私たち。あれ、茄子とレバーはどこへ行った。
 
餃子は半分こねーと、このお店お手製のラー油(なんか沈殿物がざくざく入ってる)多めに小皿に垂らして醤油もひと垂らし。小皿の枝豆もついてくる小さなサイズのビール瓶を空にしながら料理が出てくるのを待った。
 
幸いなことに今日はあまり席が埋まっていなくて、注文してものの10分ほどで酢豚の登場(タイミング悪いと注文してから40分くらい待たなければならなかったりする)。
 
テラテラと光る肉、そしてピーマンに玉ねぎに人参、そして「きゅうり」。きゅうりは最後の最後、火を止めてから和えるだけのようでシャキシャキと心地よい食感だからあまり違和感がないのだけれど、それでも「酢豚にきゅうり」というのは毎度のことながらちょっと不思議な感じ。
 
「ああ、このテラッテラした感じがね〜、良いよね〜」
と、餃子も御飯のおかずにしながら美味しくいただいた。……「御飯半分にしてください」というのを言い忘れて、どんぶり飯で超お腹一杯。

10月6日 水曜日
お値打ちイタリアンのお店でランチ。松茸ドーン!
※今日の写真はクリックすると大きくなります※
味噌煮込みうどん
麦茶

そういえば土鍋の中に豚味噌鍋の残りがあったのでした、と、今日の朝御飯は豚味噌鍋。毎日火を通して煮詰まりつつあったので、少し水を足してから冷凍うどんを入れた。こっくり煮えた白菜などもまだざくざく入っている汁ごと盛りつけて、上から刻み万能葱をぶわーっと。
 
いよいよこの味が似合う季節になってきたなーと、汁をさらう勢いでよそったら、土鍋はすっかり空になった。

市川 「Mercato」にて
 おまかせランチ \2000
     鮪赤身のカルパッチョ
     穴子と蕪、松茸のスパゲッティ
     松茸を添えた帆立と椎茸のグリル バルサミコソース
     ほうじ茶のパンナコッタ
     カフェ
 グラス白ワイン \500

いつも水曜休業なのに今週は営業するらしいのよー、と友人から誘いがあって、今日のランチは市川のイタリアン「Mercato」。
 
数ヶ月前に出始めの松茸をいただいたこのお店、ランチは2000円のおまかせコースのみで、でもその内容はとてもお値打ちで、気さくなシェフも良い感じ。
 
コースは肉を使わず魚のみで、乳製品もデザート以外には使うことがないとのこと。
 
前菜からメインディッシュまで、今日も魚介がふんだんに使われたコースは、松茸盛りだくさんだった。
 
前菜は、鮪の赤身をたっぷり乗せたカルパッチョ仕立てのサラダ。ビネガーの利いた玉ねぎ入りのドレッシングがかかっている。
 
スパゲッティは、オイルベースの穴子と蕪、そしてたっぷりの松茸が入ったもの。
 
「今日ねー、松茸がたくさん届いちゃったから、だからランチだけ営業しよっかなってね」
明日は明日で生のポルチーニが入る予定なんですよー市場次第なんだけどね、きのこ祭り♪、と、軽い口調で語るシェフ、でもその手は無造作にばっさばっさと松茸をほぐしてフライパンに入れている。あ、そんなに、あああ、そんなに……。
 
イレギュラーなランチ営業だったにも関わらず、ほどなく小さなお店は満席になった。
 
給仕の人のいない、シェフが一人で切り盛りするカウンター式のお店だから、カウンターに出された料理をお客さんが自分で手元に置き、食後の皿もお客さんがカウンターに上げ、というラーメン屋さん形式。
 
シェフとお客さんの距離が近くて、こういうお店のお馴染みになれたら楽しいだろうなぁと思う。
 
コリコリシャキシャキした食感も適度に残る松茸はとても良い香り。ふくふくした穴子、甘さのある蕪との組み合わせもとても良い感じだった。カウンターに並んだお客さんの元におおむねパスタが出回った頃は、小山のようにカウンターに積まれていた松茸もほとんど無くなっていて、「1人1本」くらいな感じで料理に使われていた感じだ。
 
メインディッシュは、可愛く積まれた帆立のグリル。椎茸と帆立を積み上げたものが3個、中央に松茸がどーん。ドライトマトも散らされ、少量添えられたソースは甘酸っぱいバルサミコ酢ベース。皮に可愛い細工を施されたすだちをギュッと絞っていただくととても爽やか、帆立と椎茸はどちらも肉厚で、なんとも「秋の味」だった。
 
「今日のデザートは、ほうじ茶のパンナコッタです」
と、小ぶりのココットに固められたミルクティー色のパンナコッタには栗が添えられている。旅行の話とか、最近私がはまっているクーポンサイト(KAUPON食べログチケットくるぽんミナワリGOTiなどなど……)の話で、美味しく楽しいランチだった。
 
クーポンサイトは玉石混淆という感じだけれど、好みなお店が出たりするとびっくりするような価格で食事券を手に入れられるから眺めているとなかなか楽しい。ベルギービールや地ビールのお店などはビール自体の価格が相当なものだから「飲み放題で食事つき○円!」なんてのがあると、ついつい買ってしまいたくなる。とりあず今月半ば、購入したチケット持って六本木のビール屋さんに行ってみる予定〜。

ちぎりキャベツのナムプラー風味サラダ
バクテー
羽釜御飯
麦茶

週末、国産豚のスペアリブが大変にお値打ち価格だったので、2パックばかり買ってきてみた。肌寒くなってきたことだし、ここはやっぱり肉骨茶(バクテー)でしょう!と、バクテーミックス(これをだんながどこかで買ってきてくれた……最近は日本国内でもちょこちょこ見つけられるようになって嬉しい限り)を使って、スペアリブとにんにくを煮込んでいく。
 
カレーに入れる豚肉などは、「煮込めば煮込んだだけ美味しい」感じがあるけれど、バクテーについては煮すぎは禁物。触っただけで骨がズルリと外れるくらいになってしまうとスープも濁りがちで、「骨はスルリと外れるけど、でも外れすぎない」くらいで火を止めるのが肝要だと思う。
 
今日は頃合いな感じにスペアリブも煮えて、あとは簡単に御飯とサラダで夕御飯。
市販のノンオイルのプレーンな感じのドレッシングにナムプラーちょっと混ぜてレモン汁も足して、手で適当に細かくちぎったキャベツとトマト、キュウリをざくざくっと和えた簡単サラダを用意した。それをパリポリつまみながら、にんにく風味たっぷりのスパイシーなバクテーを。
 
バクテーにはパクチーを添えたいところだったけれど、
「習い事の帰りにちらっと駅ビルの八百屋さん見てきてくれる?パクチーが欲しいの」
とお使いをお願いした息子が、駅ビルと更にスーパーまで足を伸ばしてくれたのに、どちらもあいにく売り切れだったとのこと。
 
「パクチーって、香菜でいいんだよね?駅ビルなくてさ……スーパーまで見たんだけど」
と、テニス習った後なのに(しかも息子本人はパクチーはむしろ苦手な食べ物なのに)あちこち寄ってくれてしまったようでお母さん大恐縮。せっかく今日の日中家を出ていたのに、買い忘れてきちゃったのね……。
 
明日は息子、朝練のうえに弁当持参だそうで(しかも食育の行事だかなんだかで「高学年は自分で弁当作りましょう」とか何とか……なんとはた迷惑なイベントよ……)超早起き。早く寝ましょうそうしましょう。

10月7日 木曜日
バクテー♪
バクテー
羽釜御飯
麦茶
葡萄(デラウェア)

今日は5時起き。
 
9月半ばから続く息子の朝練(10月下旬開催の陸上大会に向けたもの)は今日も変わらずあるというのに、それに加えて今日は「お弁当の日」。
 
千葉市が取り組んでいるもので全国的に同様のイベントが広がっているらしい。「家族でつながり、親子でふれあう機会の充実を目指し、さらには食の大切さを親子で考える機会として」設けられたありがた〜い日で、当日は子供と一緒に弁当を作らなければいけない。ただでさえ起床6時登校6時半過ぎなのに、一体何時に起きたら良いやら。
 
事前に学校からは「御飯は○割、動物性蛋白質は○割、野菜は○割が目安」云々の、これまたありがた〜い指導プリントもいただいていたのだけれど、息子と2人、献立考えて、
「おにぎりも案外手間だしねぇ。親子丼とかどうかなぁ……簡単だし、君、好きでしょ」
「親子丼!大好き!それがいい!」
と、献立計画から暴走気味だった我が家。
 
献立は親子丼、青菜の磯和え、ポテトサラダ、デザートに葡萄(息子ご指定のデラウェア)。昨夜横浜で野球観戦していただんながお土産にと崎陽軒の焼売を買ってきてくれたので、それも詰めてしまうことにした。
 
で、5時起床でお弁当を作る私と息子。昨夜のうちにポテトサラダの用意と昆布だしの用意(計量カップに分量の水入れて昆布のかけら入れて冷蔵庫に入れておいただけ)は済ませてある。
 
「玉ねぎスライスしてね」
「卵はこう、ぐるっと回しながら入れる。ドボンと一箇所に落とさない」
と、指導しながらの弁当作りは、常の食事作りよりも配慮しなければいけないポイントが多くて、それが大変。
 
「ホントはここで火を止めるんだけどね、お弁当だから卵にちゃんと火を通しましょう。あと10秒」
「しっかり冷めてから詰めるからね、まだ御飯に乗せない」
「おひたし詰めたら、その醤油がフルーツに行かないようにフルーツの下にはカップ敷いて」
と、あれこれバタバタ。
 
「お弁当の日」は、その成果を学校で友人と比べならがらの「授業」になるからそれが良いのだろうけど、今回は朝練とセットだったからいつにも増して大変だった。すっかり寝不足。
 
息子には朝食にパンを用意して、慌ただしく朝食を終えた息子を送り出し、嵐のような数時間が過ぎ去った後、だんなと2人でのんびり朝御飯にした。
 
だんなはまだ口にできていなかったバクテーを出し、御飯と共に。葡萄も出して、
「息子ったら、葡萄全部1粒ずつバラして詰めて行ったんだよ。"茎つけて詰めたらその分葡萄の粒の量が減っちゃう"ってさ」
「……彼らしいじゃない」
なんて話しながらもぐもぐ。
 
今回のバクテーは、やや上品めな味に、でもとても美味しく煮えた。肉のホロホロ具合も程良くて、でもにんにくが煮くずれてスープが濁りつつあったのが反省点。どうもスープを綺麗に仕上げるには、「にんにくの薄皮はつけたままで」「ある程度煮えたところでにんにくは取り除く」のがポイントらしい。……でも、煮えたにんにくも美味しいから食べたいのよね……除けてしまったら食べる時にはどうすれば良いのか(温めて入れ直すというのもなんだか……)、そのあたりが考えどころ。

冷や奴
じゃことキャベツのサラダ
わかめとねぎの味噌汁
ミニいくら丼
麦茶

今日は夕方、小学生男子が大挙して我が家にやってきた。
 
息子曰く、最近PSPでモンスターハンター(2ndG)をやる友達が増えてきたのだとか。冬に3rdの発売を控えて前作をプレイしようと始めた子供たちも多いらしい。我が家は2年前の発売からやりこむだけやりこんでいて、私は既にプレイ時間700時間越え、隠しボスも全部倒して訓練所も終わらせて勲章も全てゲット……とアホみたいな事になっている。
 
で、数日前に息子が友達を1人連れてきて、
「僕と友達だけじゃ終わらせられないから、最後の緊急クエスト手伝ってくださーい」
とお願いされ、私も一緒に狩りをした。……ら、学校で「○○のお母さん、G級ハンターでなんかすごいらしいぞ!」って事になったらしい。
 
「ホントにハンターなんですか?」「ホントにG級なんですか?」とやってきた子供たちとギルドカード(=キャラの成績表みたいなもの)を交換したら、
「うわー!ほんとにスゲー!」
と。それから2時間ばかり小学生男子たちと一緒に
「お母さん、ドドブランゴ2頭手伝ってください」
「次はレウスで」
「あ、あとティガ2頭……」
と乞われるままにぶんぶん刀振り回して助っ人していた。……一体どんなお母さんだと思われたんだろう……PTAの仕事は逃げ腰だったりするのにゲームでばかりアグレッシブでほんとすみません。
 
今日の夕飯は、ちょっと手抜きで「いくら丼」。
 
このところ、魚屋を覗くたびに「生すじこ」が売られていて嬉しい限りだけれど(普通にイクラを買うより断然お安い、そして美味しい)、イクラに加工したところでさっさと食べないと傷んでしまうし、魚卵のカロリーは侮れないしで、買いどころが難しい。先週末に息子が熱で倒れた時に「これ食べたら元気になるかな」と買ってきて仕込んだイクラがあったので、それを丼にした。
 
今日もだんなはいないしと(一昨日から今日まで3日連続野球観戦。数ヶ月前に「目の前で優勝が決まる瞬間が見られるかも!」とチケット取っていたのだった←残念ながら消化試合になっちゃったわけだけど……)、あとはありもので適当に味噌汁や冷や奴を用意して、
「今日のお弁当はどうだった?やっぱりおにぎりの人とか多かった?」
「ん〜おにぎり、多かったねぇ……別に、"この人のお弁当はこんなでーす!"みたいな、発表みたいなのは無かったけどね」
「ふーん」
と、今日の話など聞きながらの夕御飯。

10月8日 金曜日
日光ランチは素敵な雰囲気のお店の洋食♪
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「リトル・マーメイド」のあんぱん
梨・葡萄
牛乳

息子は今日から秋休み。息子の通う学校は体育の日の連休を挟んで1学期と2学期に別れるため、連休に絡めて5〜6日の「秋休み」がある。その分冬休みと夏休みは少し短め。
 
今年はちょうどそれに合わせてだんなが出張の代休を貰えそうだということで、「だったら平日にどこかにお出かけする?」とあれこれ調べて「日光に行ってみようか」ということに。
 
私は小学校の修学旅行で行ったことのある日光。でも息子の今年の修学旅行は「旅行」ではなく「農山村留学」だったし、だんなも小学校の頃は関東に住んでいなかったこともあって修学旅行先は日光ではなかったのだそう。
「ぼく、一度も行ったことないよ」
「俺もないんだよ」
という話を聞いていて、じゃあ一度行ってみようかという話をしていたのだった。今風の言い方をすれば「パワースポット」であるところの日光、私も修学旅行以来だから約30年ぶりというところ。
 
とりあえず安宿を1泊押さえ、「でももう1泊くらいしたくない?」ともう1泊別の宿を予約。日光行くなら東武の特急だよねスペーシアだよねと列車の予約も済ませた。出発は8時頃だからねーと早起きして猫の世話とかあれこれ準備。朝御飯は簡単に買い置きのあんぱんをフルーツと牛乳と共に。

日光 「日光ビール」にて
 グラスビール(ドゥンケル) \500

日光ビールの醸造所兼可愛いショップ 日光到着は11時半頃。今回は「(子供もいるけど)大人の修学旅行」ということで、日光駅に到着するなりタクシーに乗って目指したのは「日光ビール」。
 
タクシーに乗ってものの数分、到着した工場併設のショップはとても小さな可愛らしいものだった。
 
生ビールは飲めるけど、残念ながらおつまみなどの販売はなく、そこで注文して口にすることができるのはその生ビールとアイスクリームだけ。売店の壁がガラス張りになっていて、そこからビール醸造用のタンクなどが見えるようになっている。
 
ビールは2種類、「クリーンで爽やかな口当たりのするビール」ピルスナーと、「苦みをおさえ、モルトの甘味を十分に引き出したビール」デュンケル。グラスは500円、ジョッキは700円という価格だった。
 
「日光ビール」にて、生のデュンケルを飲みました おつまみが無くても、それでも一杯飲みたいねと、甘さのある琥珀色のビール「ドゥンケル」をグラスで(だんなはジョッキで)いただいた。
 
柿ピーの小皿が添えられていたので、これは嬉しいねとパリポリ食べながら空きっ腹にビールを入れる。
 
ホップの香りが漂う、麦芽の甘さを感じるビールはとても美味しかった。ここでソーセージとか色々食べられるなら昼御飯にできたんだけどねぇと、地図を見ながら
「……じゃあ、東照宮の方に向かって歩いてみる?ここまで歩けば洋食屋さんとかあるみたいだし」
そこでお昼御飯にしよう!と、歩いててくてく移動してみることに。
 
他に歩く人もいない、車もあまり来ない道中の看板には「熊が出ます」とか「鹿飛び出し注意」なんて文字が書かれていて、でもあいにく熊とか鹿とかと出会うことはなかった。出会えたのはカナヘビだけ。「ヘビー」「ヘビいた!」と盛り上がる私たち。

日光 「明治の館」にて
 オニオングラタンスープ \840
 ミートコロッケ \1785
 パン \210

ランチにと訪れてみたのは、東照宮に隣接した小高い場所にある洋食屋さん「明治の館」。
 
石造りの瀟洒な建物はアメリカの貿易商F.W.ホーンの元別荘だそう。ステーキやオムライス、グラタンなどの洋食メニューが一通り揃っていて、皆でスープとメインディッシュを1品ずつ選んで昼御飯にした。
 
私はオニオングラタンスープ(840円)とミートコロッケ(1785円)、だんなはオニオングラタンスープとカニクリームコロッケ(1785円)、息子はクラムチャウダー(735円)とオムレツライス(1680円)。
 
日光「明治の館」で、クラシックなオニオングラタンスープ♪ 値段もそれなりだったけれど、どれもしっかりと手の込んだ、とても美味しい洋食で大満足。
 
クタクタに火の通った玉ねぎが少しばかり形を残したオニオングラタンスープには、たっぷりのチーズを乗せた柔らかくスープを吸ったパンが浮かんでいた。見た目以上に食べ応えたっぷり。
 
ドミグラスソースを敷いた柔らかなミートコロッケには茹でたじゃがいもと人参のココットとクレソンが添えられ、カニクリームコロッケの方にはクレソンの代わりにパセリが添えられている。敷かれているソースもカニクリームコロッケはトマトベースのもの。
 
「交換こする?」
「1個食べて交換する?」
と、だんなと交換しながらコロッケを1個ずつ。
 
粗めのパン粉がまぶされたコロッケは、表現は微妙だけれど「カレーパン」のよう。火傷するほどアツアツで、バリッとしたパンも香ばしくて美味しいものだった。
 
期待以上に美味しいランチをいただいた後は一度宿に立ち寄って荷物を置き、本格的な「修学旅行」、二社一寺巡り。
 
橋の下を流れる川が実に綺麗だった「神橋」 まず目指したのは神橋
 
脇の橋からも神橋自体は見えるけれど、上に乗りたければ渡橋料300円が必要とのこと。小学生の息子なら100円ということで、乗りたがっていた息子を一人、橋の上に送り出してみた。
 
神橋は国の重要文化財かつ世界遺産に指定されている。「山間の峡谷に用いられた"はね橋"の形式としては我国唯一の古橋」なのだそう。綺麗な弧を描いた橋のフォルムも美しかったけれど、その下を流れる川の色もとても綺麗だった。
 
その後は共通拝観券を購入して日光山輪王寺大猷院・二荒山神社日光東照宮を見て歩く。
 
日光山輪王寺大猷院の雷神様 最初に歩いたのは、「とにかく、とにっかく階段だらけ!」という感じだった輪王寺大猷院。
 
仁王門、二天門、夜叉門……と立派な門があり、それぞれ仁王像、持国天・広目天らの像が門を守っている。他の像に比べるとそう大きくはないもの、真っ赤な雷神様が印象的だった。
 
山内は、平日ということもあってか修学旅行生客がたくさん。ほとんどが小学生たちで、
「私もこんな感じで修学旅行で来たんだよねぇ」
と懐かしくなる。
 
大人の団体客も絶え間なくやってきて(そして中国からの観光客もたくさん)、ガイドが先導しては次々門の中に吸い込まれていく。時間が押しているのか、彼ら団体客は御水舎でのお清めなんかも全部スルー。それで良いのか?と苦笑いしながら、そのガイドの説明をちょこちょこ脇から聞きながら拝殿を目指した。
 
日光山輪王寺大猷院の豪奢な本殿 輪王寺大猷院は徳川家光公の廟所。
 
拝殿には家光の像が置かれ、殿内はピッカピカでなんとも豪奢な雰囲気だった。
 
本殿の裏側に回ると中華風の門「皇嘉門」があり、この奥に家光公の御廟があるとのこと。
 
輪王寺を見終えた後は、二荒山神社へ。
巨大な御神木が何本もある二荒山神社、奥には「霊泉」も湧き出ている。ちょうど息子の持っていたお茶のペットボトルが空になったのでありがたいお水を汲んで、それを飲みつつ本日のメイン、東照宮へ向かった。二荒山神社の有料エリアの入り口では「お清めの塩」(1袋300円)を売っていたので1袋買い求めてみた。
 
東照宮の三猿、「見ざる・言わざる・聞かざる」 東照宮と言ったらこれ、の「陽明門」の手前に「御水舎」、更にその手前に「神厩舎(しんきゅうしゃ)」がある。
 
ご神馬をつなぐ厩のその建物の上に、猿の彫刻が8面あり(猿は馬を守る動物なのだそうで、ゆえに猿の彫刻がここについているのだそう)、そのうちの一つが「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿。
 
8面で「猿の一生」を表していて、三猿は子供時代の猿を表し、悪しきものを見ない言わない聞かないのが大事、という意味だそうだ。
 
三猿の数面隣にあったのは、「崖っぷちに立たされた猿」の彫刻。
 
東照宮「崖っぷちに立たされた猿」の彫刻。 「人生の崖っぷちにおいても、励ましてくれる仲間がいる。崖っぷちに立たされた猿。しっかりと足元をみつめる。」
 
と説明のあったその猿が、下から見ると味わいのある顔で思わず撮影。8面彫刻の最後には母猿が彫られ、その母が子を産んで最初に戻る……といった流れになっている。
 
三猿の近くには「上神庫」(かみじんこ)があり、そこには「想像の象」の彫刻もある。向かい合わせに2頭、白色と灰色で彫られた象はユーモラスな表情。その隣、階段の上に堂々とそびえるのが「陽明門」。
 
東照宮、陽明門。まぁ、なんというか……「すごい」です。 日光全体、さすがパワースポットと言われるだけの神々しい感じがするけれど、東照宮はやっぱり「ちょっと違う」感じ。
 
その手の気配に敏感なだんな曰く、陽明門は「特にすごい」らしいけど、でも良い意味だけの「すごい」ではないそうで、清濁色々集まって大変な感じ……みたいな?
 
美しい白い柱に、これでもかと彫られた彫刻の数は500を越えるそうで、門の左右に広がる赤い「廻廊」もすごい存在感。
 
陽明門をくぐると唐門があるのだけれど、現在唐門一帯は工事中とのこと。その工事の作業もビニールの窓越しに公開されていたのだけれど、1m×1.2mほどの飾り窓を綿棒を使って塗り替え、小さな金箔をペタペタ貼っていく作業は見ているだけで気が遠くなるものだった。
 
東照宮の「眠り猫」。ちーっちゃいです。見過ごします。 更に奥の「奥社」は、更に追加料金のかかるエリア。
眠り猫もここにいるし、と、入ってみた。
 
奥社への参道の入り口、上部にいるのが眠り猫。
 
猫のちょうど真裏、奥社から帰ってくる時に目にすることができるのが雀の彫刻で、「猫が起きていれば雀が襲われてしまうけれど、その猫も寝ているし」ということで平和な世の中を表現しているものなのだとか。
 
「角度を変えて見ると表情が変わるらしいよ?」
と、場所を動いて見たりしつつ、奥社にも階段上っていってきた。1段1段、割と高さのある石段が200段ほど。下の絢爛豪華な門や建物とは一風違う、真鍮や銅で覆った上から黒漆を塗った黒光りする建物は美しかったけど、階段の上り下り疲れで私はもうへとへとだったりした。写真を撮る余裕もなくて、見返すとどんどん枚数が減っていっているのが後から見ると、なんとも……。

日光 山内「日光茶屋」にて
 天然氷のかき氷 (自家製甘露)

……で、今日は決して気温が高いわけではなかったのだけれど、「もう1ヶ月分くらいの階段上り下りをしました……」というほどの高低差のあるところを歩き回ったせいで汗まみれ。「来る時は二荒山神社側から来ちゃったから、せめて帰りは石鳥居をくぐって帰りましょう、と表参道の方へ向かったところ、「天然氷のかき氷」というのぼりと目が合った。
 
「かき氷……天然氷!」
「今なら食べられる!てか食べたい!今食べねば!」
と、閉店間際だったそのお店にかけこんで1人1杯のかき氷。本当はガラスの器によそってもらえるのだけれど、閉店間際ということで使い捨てカップだったらお渡しできます、ということだったので、それでお願いした。
 
「日光茶屋」で天然氷のかき氷。これは「白桃+ミルク」 息子は白桃+トッピングミルク、だんなはあずきミルク、私は「自家製甘露」という、いかにも気になるものを。
 
3つ買って2200円となかなか良い値段だったけれど、良い感じにふわっふわとした口当たりのかき氷だった。冷たすぎず、頭もキーンとならない。氷そのものも美味しいし、シロップもちゃんと美味しい。白桃のかき氷を期せずして口にできた息子は御満悦。
 
「自家製甘露」は要するに「すい」とか「みぞれ」とかにあたるもので、自然な味の砂糖のシロップで、氷が溶けても美味しくいただけた。
足ももう膝が笑うほど疲れていて、美味しいかき氷で一息ついた後は宿に戻ってのんびりお風呂に。

日光 温泉宿の夕御飯
 <先付け>きのこ煮びたし
 <前菜>胡麻豆腐・柿柚子鳴門巻・銀杏串・いが栗
 <造り>めばちマグロ・紋甲いか・ボタン海老
 <煮物>揚巻ゆば・南瓜・茄子・もみじ麩・いんげん
 <焼き物>そい西京焼・はじかみ
 <揚げ物>海老天ぷら・きす開き・さつま芋・ししとう・茄子
 <台の物>栃木和牛石焼・松茸・赤パプリカ・アスパラ・玉ねぎ
 <洋皿>八汐マスカルパッチョ トマトドレッシング掛け
 <椀>吸物(うどんと巻き麩)
 <果物>キウイ・グレープフルーツ・パイナップル・メロン
 ビール・日本酒(天鷹生)

蔵王のスキー宿でも利用しているホテルチェーンに泊まった今日。蔵王の宿と同様に部屋には風呂どころかトイレもついておらず、でも宿泊費はお手頃価格の温泉宿。嬉しいことにちゃんと温泉だった。ラジウム泉ということで、いかにもな温泉の香りはしなかったけれど、足を伸ばして入れる大浴場にうっとり。
 
食事は食堂で、「5時半から夕食です」というところを6時からにしてもらって、少し部屋でのんびりしてから階下に向かった。
 
温泉宿の夕御飯。 献立表がテーブルに置かれていたので、ふんふんとそれを見比べながら、ビールを貰ってちょいちょい飲みながらつついていく。
 
嬉しいおかずは栃木和牛の石板焼き。固形燃料で厚い石板をカンカンに熱して、そこで厚切りの牛肉と松茸、アスパラ、玉ねぎ、パプリカを炙って食べる。味付けは粗塩とおろし醤油。ほんの2切れの肉だったけれど、とろけるような口当たりで最高に美味しい牛肉だった。
 
季節の味のものもあれこれ揃えて、食べ応えのある夕御飯。ビールを飲み干した後は栃木の生酒に切り替えて、ちびちび舐めながら美味しく平らげた。
 
歩き疲れたし、良い感じにアルコールも入ったし、部屋に入ったらすぐに寝てしまいたいところだったけれど
「今日は金曜ロードショー、"カリオストロの城"なんだよ!」
のだんなの一言で、皆して夜更かし。
何も旅行先でテレビ放映のを見なくても良いじゃない、うちにはDVDもあるのに……と思いつつ、でも見始めると私も一緒に止まらなくなってしまったりして。

10月9日 土曜日
中禅寺湖畔の素敵なフレンチレストランで。
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日光 温泉宿の朝御飯
 きのこと鴨の和え物
 青菜の白和え
 さつまあげ
 鮭の塩焼き、からし味噌
 温泉卵
 焼き海苔・納豆
 漬物皿
 豆腐とわかめ、キャベツの味噌汁
 御飯
 お茶

水の流れる音がするなー、そばに川も流れてるしなー……と、ぼんやり考えながら目覚めると、窓の外は雨。見事な雨。
 
旅行に出る数日前の天気予報では、「8〜10日のうち、最終日10日はちょっと天気が崩れるかもねー?」くらいの感じだったのに、どうも9日10日両方雨!という流れに変わってきていたらしい。3日間、屋外を歩け歩けな感じの旅程を考えていたから「どうしましょう」と思いつつ、悩んでいても仕方がないので朝御飯をいただきに宿の食堂へ向かった。
 
温泉宿の朝御飯って御飯が進んでいかんよねぇ いかにもな温泉宿の朝御飯といった感じの和朝食。
 
塩焼きに温泉卵に海苔に納豆。卓上にはおひつと急須。
 
「はい湯呑み寄越しなさい、お茶入れるよ」
「じゃあ俺御飯よそうから」
と支度を整え、お代わりもできる味噌汁はわかめと豆腐、キャベツが入っていた。
 
こういう朝食ってついつい御飯が進んじゃっていかんよねぇ……と、私も御飯を軽く足しながら、だんなの分ももらった納豆計2パックをもりもり食べてしまった。
ああしかし、天気悪いよ〜。

奥日光 竜頭の滝 茶屋にて
 みたらしだんご \400
 おぐらだんご \400

宿をチェックアウトし、今日2泊目の宿は中禅寺湖畔に予約してあるのでとりあえず中禅寺湖に向かいましょう、と、最寄りのバス停に向かっててくてく。折り畳み傘が1本しかなかったので、バス停のそばにコンビニがあるのをこれ幸いとビニール傘を購入し、ついでに今日発売だったジャンプも購入し、のんびりと路線バスを待っていたら数人乗り合わせていたワゴン車タイプのタクシー(まだ4人分くらいの空席が)が通りかかって「中禅寺湖まで行きますよー安くしますよー」と。結局予定のバスに乗るより子供1人分の料金が浮くくらいの感じで、バスより早く中禅寺湖方面に行くことができた。
 
ワゴン車タクシーが最初に向かったのが華厳の滝だったので、これ幸いとそこで下ろしてもらって、朝一番に華厳の滝鑑賞。
 
大迫力の華厳の滝。外国人旅行客にも大人気。 天気は悪いけれど幸い雨は止んでいて、うっすら紅葉が始まった華厳の滝を眺めることができた。
 
100m近くの高さがあるダイナミックな滝に、息子大喜び。すれ違う小学6年生の修学旅行の子供たち(連休中なのにたくさんいるんだ、これが)が「こんにちはー」「こんにちはー」言ってくるのに、息子も「同じ学年の子がたくさんいる!」と挨拶を返しながら驚いていた。
 
いよいよ雨が再び降り始め、あたりは霧が出て何も見えなくなってきた。華厳の滝も見えなくなってきたねぇとエレベーターを乗って地上に戻ると、外はもう真っ白。そんな中での散策もどうかと思いつつ、傘もあるしと宿に寄って荷物を置かせてもらった後、再び路線バスに乗って戦場ヶ原方面に向かってみた。
 
赤沼から竜頭の滝への散策路 戦場ヶ原の南端のバス停「赤沼」で降りて、戦場ガ原の「さわり」の部分をちらっと歩いてから林の中の遊歩道をてくてく歩いて竜頭の滝まで。
 
道は竜頭の滝へ至るまではほぼ平坦かやや下り道といった感じで歩きやすく、この天気だから人気も少なく、とても気持ちが良かった。
 
時折すれ違う人が鈴をつけていたのは「熊避け」だったらしく、この付近、けっこうツキノワグマが出没するのであるらしい。
 
タクシーのおっちゃんが
「今年の紅葉は、あんまり良くないんです。猛暑で葉っぱがね、焼けたみたいになっちゃって、遠目で見ると黄色く紅葉しているように見えるんだけど、よく見ると枯れてるの。それがちゃんと紅葉する前にどんどん散っていってしまっているから、紅葉するにも葉がない、って状態でね、今年は」
 
竜頭の滝。わずかに紅葉が始まっていました。 と言っていたとおり、黄葉しているかに見える葉は大体が「枯れ葉」で、強い風が吹くたびにそれらがバサバサと雨のように降ってくる状態。
遊歩道は枯れ葉だらけだ。
 
風光明媚な道を1.5kmほど歩いて、最後は繊細な美しさのある竜頭の滝に到着。
 
奥日光の紅葉はここから始まる、と言われているだけあって、ここは紅葉も淡く色づいて、良い感じの「紅葉の始まり」を堪能することができた。
 
「滝着いたー」
「やっと着いたー」
とお互いをねぎらいつつ、滝のよく見えるお茶屋でひと休み。
 
竜頭の滝のお茶屋さん お茶つきのお団子は小皿に8個ずつ盛られて「みたらし」と「おぐら」の2種類、各400円。
 
「おぐら」の方は草団子で、どちらも柔らかでほの温かく、疲れた体に染み渡るように美味しかった。
 
何しろ小雨が降る今日、標高1300mを越える標高の奥日光はかなりの寒さで、多分気温は10℃前後。……おかしい、日光旅行を決めた時は、まだ千葉は蒸し暑くて「日光に行けば少しは涼しかったりするかなぁ」という気持ちだったりしたのに。
 
休憩を終えると、もう12時を過ぎようというところ。お昼御飯にしましょうか、中禅寺湖の方に戻りましょうかとバスに乗って中禅寺温泉方面まで戻った。

中禅寺湖畔「シェ・ホシノ」にて
 おすすめランチ Bコース \2620
     温泉卵の生ユバ添え、オリーブソース
     虹鱒のムニエル シェ・ホシノ風
     ゴマ風味のプリン
 グラス白ワイン

ここ、この店、美味しそうだし、お値段もお手頃そうだしでチェックしていたんだよ〜と訪れてみたのは、湖畔にある「シェ・ホシノ」というフランス料理店。
 
外から見ても「あ、ここはなんだか美味しそう」と思われてくれるお店で、中も広々。ゆったりしたソファ席について開いたメニューには、プリフィクススタイルのランチコースが3種類とアラカルトメニューが並んでいた。メインディッシュとデザートをそれぞれ5種類ほどの中から選び、パン(かライス)、食後のカフェのAコースは2100円、Aコースにアントレ1品(これも5種類ほどの中から選択)を加えたBコースは2620円、Bコースに更にアントレ1品を加えたCコースは3150円。
 
「つまり、Aコースに520円足したら前菜が食べられるってことなのね」
「うーん、だったらつけてもらおうか」
と相談して、私とだんなはBコースをいただくことにした。息子は「本日のパスタ」(940円)からミートソーススパゲティを単品で。
 
前菜やメインディッシュはそれぞれ「本日の○○」というのもあり、山菜のキッシュや虹鱒のポワレ、ポークステーキなど美味しそうなものばかり。選ぶ楽しみがあって、しかもどれも美味しくて、お値打ちの幸せランチだった。
 
中禅寺湖畔「シェ・ホシノ」にてアントレの「温泉卵の生ユバ添え」 私が選んだ前菜はシェフのお勧めマークがついていた「温泉卵の生ユバ添え、オリーブソース」。
 
日光名物の生湯葉が深皿にたっぷりよそわれ、上にこんもり温泉卵。刻んだ野菜も入った色鮮やかなソースは塩気と酸味が程良くてサラダ感覚で食べられる品だった。
 
メインディッシュもシェフのお勧めマークつき、デザートもシェフのお勧めマークつきで、「虹鱒のムニエル シェ・ホシノ風」と「ゴマ風味のプリン(ブランマンジェ)」。大ぶりの虹鱒がどーんと1尾丸ごとムニエルにされた迫力のお皿はバターの香りがたっぷり。とろけるような口当たりのブランマンジェも、全部が全部美味しかった。
 
アラカルトにカレーやパスタがあるものの、案外ちゃんと「フランス料理」で、でも添え物にパンかライスを選択できるのもちょっと面白く、だんなはそこもまたお気に入りのポイントだったらしい。
 
「伊達鶏のロティ、ニンニクバター風味」をメインに選んだだんなは、
「そうだよ、こういう料理の時さぁ、"最後に残ったソース、御飯に絡めて食べたら美味しいだろうな"って常々思っていたんだよぉぉぉ」
とか言いながら"ソースと御飯のマリアージュ"をおおいに堪能。私は虹鱒の皿をパンでぬぐいながら「……確かにこういう時に御飯が欲しくなるよね」と思ったりしていた。
 
雨の中をてくてく歩いて「中禅寺」まで 天気予報通り、午後になると雨は激しくなるばかり。
 
でもまだ宿に行ってもチェックインできる時間じゃないしねと、雨の中湖畔の道をてくてく歩いて「中禅寺」まで行ってきた。
 
このお寺には桂の立木から彫られた千手観音(別名:立木観音)がいらっしゃる。子年生まれの人を守護する観音様でもあるのだそうで、子年生まれの私は俄然はりきって手を合わせてきた。
 
しかし、昨日もそうだったけれど、神社・お寺の商売っ気がどこもすごくて、すごすぎて、ちょっとげんなりしてしまう。
「このお守りはこのように御利益があって云々」「日光はお線香の生産で有名なんです。このお寺のお線香もこのように良い香りで云々」と、ご本尊の説明と同じくらいのボリュームでセールストークを聞かせられるのにちょっと疲れてしまった。
 
雨がますます強くなる中、スーパーで飲み物など調達して急ぎ今日の宿へ。

中禅寺湖畔 温泉宿の夕御飯
 山菜ときのこの和え物
 お刺身(マグロ・八汐マス・生湯葉)
 湯葉と椎茸、茄子、南瓜、いんげん、もみじ麩の炊き合わせ
 鮎の塩焼き
 湯葉衣の天ぷら(海老・キス)
 鴨と野菜の鍋
 蟹と湯葉の酢の物
 湯葉と麩の吸物
 御飯
 梨
 お茶
 ビール・日本酒

中禅寺温泉は、い〜い感じに硫黄の香りのする酸性の温泉の温泉郷だった。
 
「そう大きくない宿だけど、安さで選んだ宿だけど、ちゃんと温泉だし露天もあるみたい〜♪」
とわくわくチェックインして早々お風呂に行ってきた。そう大きくはな岩風呂の露天風呂は湯の花がふわふわと浮く「そうそうこれこれー」という感じのもの。お湯の注ぎ口には湯葉のように湯の花が薄い膜を作っていて「こんなところまで湯葉っぽいなーさすが日光だなー(?)」とすくって遊んでみたりした。
 
中禅寺湖畔、温泉宿の夕御飯。 この宿は夜も朝も部屋食。
 
部屋のテーブルに大きな足無しの膳が置かれ、そこには溢れんばかりに料理が乗っていた。
 
息子の分は大人のものから数品減らして(いかにも子供が好まなさそうな和え物、酢の物、あと揚げ物)、代わりに大きなハンバーグがついている。
 
温かいものは鍋ものと、ほんのり温かみが残る揚げ物だけ、と、いかにもな感じだったけれど、部屋でビール飲み飲み、調子に乗って東照宮で買った御神酒まで飲み飲み、時間を気にせずのんびり食べた夕飯は楽しいものだった。
 
それにしても、出てくる料理には湯葉がたくさん。ふわふわした生湯葉のお刺身はプルプルしてとても良い感じ。煮物には固く巻いたロールケーキ1切れ分ほどの湯葉が使われ、短い素麺をまぶしたような天ぷらの衣も「あ、これも湯葉なんだ」「湯葉だねぇ」と。とどめとばかりに吸物にまで湯葉が入っていて笑ってしまった。
 
昨日今日でけっこう歩いた(平地はともかく、階段や坂が多かった)ので私はすっかり筋肉痛。
「はい、これお酒ね」「御飯よそうよ」「お茶も入れとく?」とだんなが細々動いてくれて、
「だんな……優しい……」
いつも優しいけど、今日はとりわけ、と呟いたら
「でしょー?だんなの優しさは想像を絶するんだよー?」
なんて言っていた。いやほんとうにすみません、お世話になります……。
 
しかし中禅寺湖畔、コンビニの1件もなければ銀行のATMもなく、郵便局はというと「土日の営業は無しで(これはともかく)、ATMも土曜は2時まで」。湖畔に立つ宿なのにPHSの電波も入らず、「日記の更新ができなーい」「ネットで天気予報も見られなーい」と、なかなか大変な感じになっている。

10月10日 日曜日
金谷ホテルでお茶してきました
※今日の写真はクリックすると大きくなります※
中禅寺湖畔 温泉宿の朝御飯
 ぜんまいの煮付け
 サラダ
 鮎の甘露煮
 温泉卵
 漬物小皿
 豆腐とわかめの味噌汁
 山菜釜飯
 お茶

中禅寺湖畔の宿で過ごした一夜、家族揃って起床は6時半。
夜の間ずっと降り続く音が聞こえていた雨も、朝になってみるととりあえず止んでいる感じ。
「午前中天気が保って欲しいけど、むしろ午後の方が晴れそうな予報だよねぇ……」
と、とりあえずお風呂へ。昨夜は雨が入ってぬるめだった露天風呂は、今朝は良い感じにアツアツだった。
 
風呂上がりは
「栃木と言ったらこれよねー」
「レモン牛乳だよねー」
と、昨日のうちに買っておいたレモン色をした牛乳飲料を。日光のお土産物屋さんには「レモンクッキー」「レモンキャンディー」「レモンチョコ」と、レモン牛乳のパッケージイラストのついたお菓子があれこれ売られている。独特な香料臭さとほの甘さで、フルーツ牛乳を飲んでいるようなわくわく感があるレモン牛乳。ちなみにこの飲料、レモン果汁は1滴も入っていない。
 
朝御飯は山菜入りの釜飯♪ 朝御飯は、「お布団あげにきましたー」と、宿の人がバババッと布団をあげてくれた後、畳にお膳を並べての和朝食。
 
小ぶりの釜飯が1人1個、中には山菜、椎茸、筍、帆立、そして鶏肉という感じ。御飯茶碗に2杯とちょっとくらいの分量で、他には味噌汁や鮎の甘露煮、サラダや和え物。
 
品数はそれほどたくさんというわけではなかったけれど、アツアツの釜飯が何よりの御馳走だった。
 
「なんか、晴れてきたっぽいね」
「雲少なくなってきたし、あのへん青空も見え始めてる……」
これは案外天気が良くなるかもねぇと相談して、「じゃあ昨日乗れなかった遊覧船に乗ってみようか」と、1時間に1本ほどの遊覧船の時刻を調べて、それに合わせて宿をチェックアウトした。
 
中禅寺湖遊覧船に乗る。すっかり良い天気。中禅寺湖機船」の"名所おお廻り"の定期船の始発は「船の駅中禅寺発」が9時半。蒲ガ浜、立木観音に立ち寄りつつぐるぐる湖を遊覧している。
 
1階と2階に客席がある遊覧船、1階はテーブルつきのゆったりした席で、隅には缶飲料を販売する売店もある。2階の前方あたりの室内ベンチに場所をとり、だんなはそこでまったりと。私はカメラを持って後方のデッキで写真撮影などしていたりした。息子は息子で持参した双眼鏡を手にあちこち眺めては船内を散策しまくっていた。
 
中禅寺湖遊覧船から、男体山と上野島。 中禅寺温泉のすぐ脇にそびえるのが「男体山」。
 
湖に浮かぶ小さな島「上野島(こうずけしま)」は、勝道上人(=日光連山を中心とした山岳信仰の開祖)の墓所の一つ、なのだそう。男体山の頂上には二荒山神社奥宮があり、麓の中宮祠から登山できるということだけど、
 
「あの麓の神社から登山するの?ムリムリムリムリ……」
と、「私たちは下から見るだけで充分です」と気分の私たち。
 
昨日の竜頭の滝付近は紅葉しかかっていたけれど、中禅寺湖畔はまだまだこれからといった眺めだった。
でもすっかり綺麗な青空になって気温もほどよく高く、なんとも良い気分。
 
連休中は日光市内と中禅寺湖を結ぶいろは坂が大変な混雑になるらしい。紅葉のピークは片道4時間半くらいかかったりしますねぇ」なんて話を行きのワゴンタクシーの中で耳にしていたので、早めに戻りましょうと、路線バスに乗って市内に戻った。連休中日の午前中ということでタイミングも良かったらしく、さして渋滞に巻き込まれることもなく正午過ぎに日光駅前に到着。

日光市 「Beer Restaurant えんや」にて
 えんやステーキ丼ぶり \1480
 生ビール(ハーフ&ハーフ 中) \650

お昼御飯、一応チェックしていたビアレストランがあるんだけど、駅前からだとちょっと歩くかも、と話しつつ、「でも列車の時間までまだまだあるし、向かってみよう」とゆるい坂をが続く、東照宮方面に向かう道をてくてく。そのまま直進すれば「金谷ホテル」があるし、チェックしていた羊羹屋さんもある。そのあたりまで行って戻ってきて列車の時間にちょうど良いくらいじゃない?と、今日も一昨日昨日と同様「歩け歩け歩ける距離はどんどん歩け」な流れになった。その方面に向かうバスも無いではないけれど、東照宮の駐車場を目指す車が続々と増えてきていて、道路はけっこうな混雑。
 
で、お昼御飯は「Beer Restaurant えんや」というお店で。
 
アイスホッケーの地元チームが買った日には日光ビールを安くしますよ、などという企画をやっている、「観光客向け」というよりは「地元向け」といった雰囲気のお店で、日光ビールも飲めるし世界各国の瓶ビールもあれこれ楽しむことができる。ランチタイムサービスの料理にはスープとサラダ、ライス、ドリンクもついてきて「超荒挽きハンバーグ 170g」は1050円となかなかお手頃価格だった。
 
壁に貼られた月代わりのメニューも「牛ホルモン炒め」とか「牛すじと大根の煮物」といった魅力的なものが多くて気になったのだけれど、今日のところは家族皆ランチタイムサービス品をいただいた。息子は「超荒挽きハンバーグ」、私とだんなは「えんやステーキ丼ぶり」1480円。だんなは大盛り希望でプラス100円。
 
日光市内の「えんや」でお昼御飯、えんやステーキ丼ぶり。 ステーキ丼は、ガーリックライスの上に150gサイズのステーキが乗ったもの。
 
しっかりにんにくが香る、塩味しっかりめのガーリックライスの上に、一口サイズにカットされたボリュームのあるステーキがドーンと乗っている。
 
大根おろし入りの醤油ベースの和風ステーキソースは、息子のハンバーグに添えられているのと同じもの。練り辛子とレモン、そしてキムチが添えられていた。
  日光駅前にはいかにもな「観光客向けでーす」という感じの怪しい食堂(ラーメンからカツ丼から定食まであるような……しかも安くはない)があれこれあったけれど、あ、ここはなんだか正解だったねと、ビール飲み飲み満足なお昼御飯。大きめのボウルに入ったサラダも自家製らしい玉ねぎ入りのドレッシングがかかっていて、これもちゃんと美味しかった。

日光市 「日光金谷ホテル」内「メイプルリーフ」にて
 ケーキセット(コールドドリンクセット) \1365
     チーズケーキ
     アイスロイヤルミルクティー

それじゃあ腹ごなしに金谷ホテルまで行ってみよう!と、そこからてくてく1kmほど、だらだらした坂を登りつづけて(最後、バス通りからホテル入り口までは地獄のような急斜面をてくてく上って)「日光金谷ホテル」まで行ってきた。
 
創業は明治6年、当時は外国人向け宿泊施設だったそうで、今の感覚からすると(今風の高級シティホテルなどと比較すると)全体的に天井は低く、こぢんまりとした印象。でも真っ白な建物は実に美しくて、ホテル内部は東照宮で見たようなモチーフの装飾がたくさん。
 
日光金谷ホテルの眠り猫 建物入って左側のショップは帰り際にゆっくり覗くとして、ラウンジでケーキ食べましょと案内板に沿って奥に進むと、振り返った扉の上には「眠り猫」。
 
赤絨毯の敷かれた館内はどこも温かみがあって良い雰囲気だった。
 
ただ、コーヒーラウンジ「メイプルリーフ」は、天井も低くテーブルや椅子もごく普通な感じのもので、なんというか「デパートの食堂」みたいな雰囲気だったかな。その雰囲気もまた良し、かもしれないけれども。
 
ここはやっぱり名物のチーズケーキをいただきましょう、と、親子3人チーズケーキのケーキセットを注文した。
だんなはポットサービスのコーヒーのセットで1470円、私と息子はコールドドリンクセットでアイスロイヤルミルクティーを選択して1470円。
 
シナモンの香りのサクサクしたクッキー風の土台に、ベークドチーズケーキ、その上にサワークリーム風味の層を重ねた、「ベークドチーズケーキっぽいけどレアチーズケーキ風でもある」感じの濃厚なチーズケーキには、ミントの葉とホイップクリーム、ラズベリーのソースが添えられていた。素敵素敵良い感じ〜♪とケーキタイムを満喫した後は、館内の「竜宮」で蔵出し写真展が見られるらしいということで、それも見てきた。
 
宿泊棟をてくてく歩き(ちょうど清掃の時間帯であちこちの部屋の扉が開いていたけど、どこもクラシックな素敵な感じで、「泊まりたーい」「泊まってみたーい」とムラムラ……)、高い位置にある「竜宮」を目指すと、そこはプールとスケートリンクのある別棟なのだった。まさにその場所、竜宮でスケートを楽しむ家族連れの写真、竜宮から子供たちが遊ぶのを見る大人たちの写真などなど、大正から昭和初期にかけての写真がたくさん。
 
身なりの良い創業者一族、「狩りの後」と題された狩猟犬を連れた男たちの後ろに何十羽も吊された雉の写真、「三猿」の前で可愛らしく同じポーズをとる3人の着物姿の女の子たちの写真などなど、なんとも優雅で素敵なものばかり。
「……あ、でも私、微妙にイラッとしてきました。"この金持ちたちめー"って気持ちが盛り上がってまいりました」
と呟いたらだんなが「わかるわかる」と苦笑していた。
 
ホテルを後にすると、午後2時半頃。列車の時間まであと2時間。
 
駅へ至る道を戻りつつ、羊羹の名店「ひしや」を覗くと今日の分はとうに売り切れ。地元産の野菜などを扱う店で、たっぷり入ったツヤツヤピカピカの「ししとう1袋100円」とか籠盛りのきのことかを「いいなぁ」と思いつつ、お買い物したのはハムやベーコンのお店、「グルメやまなか」。
 
ちらっと覗いてみたら、これがなかなかお手頃価格で、しかもどれも美味しそう。
100gあたり280円のポークソーセージ、表面をゼリーで固めたレバーペーストは大きめのココットに入ってたったの400円。あとこれ、列車の中で食べない?と、1個45円の唐揚げを6個と、飴色に燻製された燻製卵1個95円を3個買ってみた。
 
東武日光駅前のお土産物屋さんの看板猫、「まーくん」 あとはこのへんでお土産物ちらっと見ればいいかー?なんて東武駅前まで戻ってきたら、とあるお土産物屋さんの店頭に、ライオンみたいにモフモフした大きな猫がいた。
 
とても愛想が良くて、撫でさせてくれるばかりか「さぁ、お撫で」とばかりに店頭に寝そべってくる。
 
出てきたお店のおばちゃんに「おっきな猫ですねぇ、愛想も良くて良い子ですね」と話しかけたら、名前はまーくん、オス猫、年は6歳、6kg弱、雑種で元は捨て猫だったのだそう。
 
他の店を見ていた息子も「猫だー!」と寄ってきたものだから、買い物もせんと(列車乗る前にせめてとここでビール買いました)おばちゃんと猫談議。保護したての頃のまーくんの写真を見せてもらったけれど、これがまた素晴らしく可愛かった。尻尾もボーンと大きくて、きっとメインクーンあたりの血が入ってる子なんだろうなぁ。
 
可愛い猫を撫でまくって、そしたら俄然「あ、我が家の猫たちは元気かしら」と心配になってきた。
 
帰りの列車はJR線直通のスペーシアで新宿まで。車内で食べた燻製卵、殻の見た目の色ほどには中は燻製臭がきつくなく、ほのかに塩気を感じる香ばしい燻製臭がとても良い具合だった。ものの2時間ほどで新宿に到着。

スティックきゅうり
「崎陽軒」のシウマイ
「グルメやまなか」のレバーペースト、鶏の唐揚げ
リッツとチーズ
羽釜御飯
ビール(オリオン)

昼たっぷりだったしケーキとかも食べたし、あんまり「しっかり夕御飯」という気分じゃないねと、家にそのまま帰ってきた。
 
「この長い(猫の)毛はどこの奴のニャー!」
と、りゃんりゃんたちに糾弾されないように、ちゃんと手を洗ったし洋服についた毛も落としてきたけど、でもそんなのは杞憂だったようで
「ご主人たち帰ってきた」「その鞄の中には一体何が!?」「それよりまず猫トイレを掃除してもらわないと」
という感じで鞄に特攻したり足にまとわりついてきたりの猫たち。2匹とも元気そうで一安心。
 
日光で買ってきたレバーペーストあるじゃん唐揚げも持ち帰ってきたし、リッツとチーズも出して、あ、そうそう崎陽軒の焼売も残ってたよー……と、御飯炊いてあれこれ出したら「軽い夕飯」にはちょうど良い分量の準備ができてしまった。
 
レバーペースト、ふわっと柔らかくて臭みもほとんどない、スパイスも強すぎない程度にほのかに効いていて「あ、買ってきて良かった」という感じのものだった。鶏の唐揚げも
「1個45円と聞くとピンとこなかったけど、10個450円と思うとけっこう安いよね」
「すごく安いよー、その場で揚げてくれるなら20個買って帰りたかったくらいだもん」
残ってる6個全部ください、て言って買ってきたけど、もっとあっても良かったね、と話しながら、これまた良い感じに美味しかった唐揚げをもぐもぐ。
 
神橋、東照宮、華厳の滝、戦場ヶ原に竜頭の滝、中禅寺湖……と日光巡りの修学旅行でまわるだろうところはおおむね行けたし、「地ビールとかも外しません」「お昼はそれなりの値段のところで美味しくいただきます(お酒付き)」という感じで、満足だった「大人の修学旅行」はこれでおしまい。はー、疲れたー(でも楽しかったー)。