アイスカフェオレ
梨
昨日の日曜日の午後早く、お義母さんが訪ねてきた。
「ほほほほほ、美味しいぶどうパンのお裾分けよ」
と渡されたぶどうパンは、何でも山中湖だか相模湖だか富士五湖だかのちょっと有名なパン屋さんのものなのだそうだ。柔らかめの大粒干しぶどうがざくざくと入るふかふかのパンを適当にざくざく切ってテーブルに出す。ついでに、まだ出始めの梨も剥いてみた。
「ぶどう?ぶどう?」
とぶどうパンを前に首を傾げた息子は、おもむろに全ての干しぶどうをほじくり出して食べ始めた。見事に穴だらけになったぶどう無しのぶどうパンを、最後に美味しそうに食べている。ちょっと……その食べ方は違うんじゃないかな……息子よ……。
ぶどうパン
アイスカフェオレ
一人の昼御飯。朝食に引き続き、半端に残ったぶどうパンを食べることに。
ついでに、ひとかけらのモッツァレラチーズの残りも出てきたので、これは茹でたじゃがいもにバターと共に乗せてオーブン焼きにすることにする。熱で溶けた、ぴよーんと伸びるチーズが良い感じだ。はふはふ言いながらじゃがいもを食べつつ、ぶどうパンを囓る。
「だんなは今頃、何喰ってんのかなー、息子は何喰ってんのかなー」
と台所をぷらぷらして保育園の給食表を見たところ、カニ玉に御飯、すまし汁、ピーナッツ和え、フルーツ、などと書いてある。うーん、いいなぁ保育園給食。
茹でとうもろこし
牛すじのXO醤蒸し
茄子といんげんの回鍋肉風
ごぼうと茄子の味噌汁
御飯
モルツ、冷茶
梨
今日の夕飯、メインは「牛すじのXO醤蒸し」。だんなが土曜の夜からことこと煮込んで仕込みしてくれた牛すじを皿に盛り、刻みにんにくと葱とXO醤をたっぷり散らして蒸し器で蒸す。以前、「アサリのXO醤蒸し」を作ったところ、それがめちゃめちゃ美味しかったので、色々な材料で試してみよう、というのが近頃の我が家のブームであるらしい。スペアリブを使ったりしても、きととても美味しいはずだ。
こってり味のXO醤蒸しに合わせて、冷や奴と茹でただけのとうもろこし。ついでに味噌味の炒め物があっても良いかと、茄子といんげんに残り物の牛肉を放り込んで、回鍋肉と同じような味付けで炒める。こちらにもにんにくたっぷり。
XO醤蒸し、牛すじの煮汁を一緒に皿に盛ってしまったところ、ちょっと汁気が多すぎてペショペショしたものになってしまった。干し貝柱や干し海老の塊がごろごろ入るXO醤のピリリと辛くもコクのある味は想像以上に良い感じにできたけど、まだまだ試行錯誤が必要らしい。
1kg近く買ってきた牛すじは、これでおよそ半分ほどに。残りは醤油と味醂と砂糖で甘辛く煮て、万能葱たっぷりふって食べるのだ。これもまた旨し。
蒲鉾
卵御飯
茄子と牛蒡の味噌汁
冷茶
今日はお仕事。今朝はちょっとばかり早く、8時過ぎには家を出なければいけない。せかせかと昨日の味噌汁を温め、すじ煮も温め、生卵やいぶりがっこや残り物の蒲鉾なども並べて、手抜きながら和食っぽい今朝の食卓。
牛すじの煮込みは、小さな小さな片口の器にもったいぶってちょっとだけよそい、刻み万能葱をたっぷりかけて食べる。ついでに七味唐辛子もぶっかけて食うと良い感じ。煮れば煮るほど、ぐずぐずと柔らかくなっていく一方の、けだもの臭い一口大の肉は卵御飯と妙に似合った。今日は久しぶりに、肌寒ささえ感じる気候で良い感じ。仕事がはかどりそうだ。
特選大戸屋ランチ
お盆直前の大学は、さすがに人気もほとんどない。ここぞとばかりに学内の工事をする業者の人々だとか、サークルの用事で来ているようなお気楽な格好の学生だとか、あとは学業目当ての面々だとか、ちらほらと人口密度の低さを目立たせるだけのような人々がちらちらと見えるだけだ。研究室にやってきた教授も、いつになく砕けた格好をしている。センセセンセ、そのシャツくしゃくしゃですがよろしいのでしょうか。
「学食もきっとガラガラよね〜」
と、久しぶりの学食を堪能せんと、昼休みに学食に行ってみたところ、「8月17日まで休業」の文字。喰う人がいないのだから、学食も当然開いているわきゃないのであった。とほほほほ、だ。
「どうしましょうか……」
と呟きつつ、とりあえず学校の裏門を出る。裏門の正面には、定食屋チェーンの「大戸屋」がある。ずっとずっと気になっていた店であった。定食屋というものに、あまり入ったことがない。
「大戸屋?うん、普通の定食屋だよ。普通の。食券制の。結構旨いよ」
なんてだんなは言うけど、そもそも「普通の定食屋」を良く知らないのだ。「きっと中はおっさんばっかりなんだわ……」と偏見も甚だしく、だけれども定食じみたものが食べたかったので初めての大戸屋のドアをくぐってみることにした。
こざっぱりとした店内は、思いの外若い客が多い。どころか、女性客もかなり入っていた。3割ほどが若い女性客だろうか。一人客も多い。
入口で料理を注文して精算し、その注文は席番号と共に厨房に伝えられ、客は案内された席に座って待つだけだ。続々と、木製のトレイに乗った定食料理が客の元に運ばれていく。燒き魚定食とか豆腐ステーキの定食とか。
私の頼んだ「特選大戸屋ランチ」は580円。「御飯少なめ」なんて注文もできて、それは20円引き。目の前に来たのは「御飯少なめにしといて良かったよ……」というような豪華定食だった。鶏肉の竜田揚げには大根おろしがたっぷりとかかり、刻みキャベツと目玉焼き、かぼちゃのコロッケがこんもりと盛られている。わかめの味噌汁と、紫蘇がパラパラとかかった御飯、沢庵がついていた。
「無農薬ソース」なんて文字のついたソースがあったり、沢庵は胡麻で和えたやつだったり、どことなく「健康に良いようにね〜」という思いが感じられる店だ。豆腐料理なんかも多いようだ。
カリカリに揚がった竜田揚げもサクサクのコロッケも良い具合にアツアツだ。トマトの味がするような、ちょっと面白い味のソースをキャベツとコロッケにたっぷりかけて、左手に御飯茶碗を握りしめて箸をせかせかと口と皿の間を往復させる。けっこう美味しいぞ。いや、かなり美味しいかも。
隣に座ったサラリーマンらしき女性一人客は、美味しそうに親子丼を食べていた。いいなぁ、親子丼。今度は親子丼にチャーレンジ。
コーンたっぷりピザ
スティックポテト
モルツ、ダイエットコーク
巷はそろそろお盆のはずだ。大学も今週末から来週半ばまで休みに入る。仕事もなく、思う存分ゲーム三昧……!?と心中わくわくしていたのだったが、
「これ、御自宅でできるかしら。大学に出てこなくても良いので、お休みの間にやっておいて下さいますか?」
と教授から仕事のお土産をいただいた。帰宅したら、ポストカードデザインの仕事も飛び込んでいた(納期は2日後!)。
「人生と商いは止まらない列車……」
と西原理恵子さんの本で読んだ文句を呟きつつ、とりあえずあれこれと作業を開始する。こうなってくると、のんびり料理もしてられなくなる。そもそも帰宅は6時半を回っていた。だんなの帰りは、遅いらしい。
「ねぇねぇ、ピザ、食べるぅ〜?」
と猫なで声で息子に迫る。「食べたい」「食べたくない」の返答も聞かず、
「どれ食べたい?どれどれどれ〜?」
と息子ににじり寄る。優しい息子は「ヤダ」とも「食べたくない」とも言わず、ピザのメニューを見て
「これコーン?コーン?コーン!」
とコーンピザを指して騒いでくれた。よし、コーンピザだな。それを取ろう。
キャンペーン中にて、本来1300円近いピザが980円になっていた。ポテトもつけて、ついでにダイエットコークも持ってきてもらって、電話2分食事10分の夕御飯。このコーンピザ、粒のコーンも確かにごろごろしてはいるのだけど、その黄色の粒々の下には粒々の少なさをごまかそうとしてか、大量のピューレコーンが敷かれているのだった。パンタイプのピザ生地に、コーンピューレと粒コーン、その上にチーズ。ただただ、ひたすらに、その名の通りに、コーンばっかりのピザだった。女子供はコーンが好きとは言うけれど、それにしたってちょっとこりゃやりすぎじゃなかろうか。
「……甘いね。」
「あまいねー」
「……美味しい?」
「おいしくなーい」
"おいしくなーい"という割には、息子はコーンピザを良く喰った。でも、2切れが限界だったようだ。
麦茶
台所のコンロにかかっている、大きな両手鍋に中には牛すじの煮込みがまだまだたっぷり残っている。
「これさこれさ、うどんにかけて食べたら美味しいんじゃないかなぁ……」
と呟いたら、だんなが一も二もなく頷いた。で、朝からうどんを茹で始める。
茹でたうどんを水にさらして締め、市販のめんつゆを適当に薄めたやつを少々かける。そして上からは牛すじの煮込みをたっぷり。肉が隠れそうなほど万能葱の刻みを散らして、七味唐辛子をぶっかけて、で、ずるずると食べる。
甘辛く煮詰められつつある牛すじは、日が経つほどに美味しくなってくるようだった。どの肉のかけらもホロホロと崩れそうに、いや、実際崩れてしまっていく。脂とはまた違う、ゼラチン状の「コラーゲンの塊です」みたいな白いぷわぷわが何とも美味しい。
そして今日も「夏の暑さに負けるなよー」と鍋に呼びかけて、せっせと朝晩両手鍋に火を通すのだ。
冷たいコーンスープ
数日前から咳をしていた息子が、発熱してしまった。今日は保育園をお休みだ。
朝のうどんもあまり進まなかった彼のために、冷たいコーンスープを作ることにした。これならきっと喜んで飲むはずだ。
クリームコーンの缶詰を開け、それを牛乳で適当に薄め、塩と液体コンソメで味をつけるだけ。漉すなりなんなりしたら、スーパーで売られている紙パックのコーンスープっぽいものになりそうだけど、めんどくさいので細かい粒々が入りまくったままのもの。それでも味は笑えるほどそれっぽい。
「スープ、飲める?」
「のむー」
「パンも、食べる?」
「たべゆー」
「……おいしい?」
「おかわりー」
……なんか、全然心配する必要なかったらしい。1リットル牛乳パックが半分なくなるほどたっぷりできてしまったコーンスープを、「頼むからもう飲むの止めてくれよ」というほどスープを飲み干して、そのまま息子は4時間に渡る昼寝に突入してしまうのであった。
油淋鶏飯
モルツ
HIROTAのシューアイス(ラムレーズン)
アイスカフェオレ
夕方、郵便で文書入りフロッピーディスクとデジタルカメラの画像データが届いた。「時間ないの。急いで作ってね。」と先日から頼まれていたポストカードのデザインのお仕事だ。料理の写真を1個ずつ加工して、ぺたくたとハガキ大のレイアウト画面に貼り込んでいき、文章を加工してちょこちょこと収めていく。楽しいけど「急げ」というのがけっこうつらい。
真剣にやっていたら、激ジョブのだんなが早く帰れるのは今日くらい、という今晩であったにも関わらず食事の準備もする余裕がなかった。
「今から帰るよー。何か買って帰るもの、ある?」
と電話で聞かれて
「……夕御飯……」
としょぼしょぼと答える。ご、ごめんだんな。すまんだんな。
我が家最寄りの駅の前には、「アジアン・デリ」という中華テイクアウト屋がある。中国人らしきオヤジが中で鶏を揚げたり炒飯を炒めたりしているそこは、妙に異国じみた味がしてだんなも私も大好きな店だ。その店の油淋鶏飯と排骨飯、炒飯をだんなは買ってきてくれた。んが、玄関ドア前に「ただいま」と言って立つだんなは心なしか(いや、もう、見てすぐ分かるほどに)不機嫌だった。
「夕飯の準備してなくて、怒ってますか?怒ってますか?」
とおどおどしてみたところ、
「いやもう、なんかすごくアジアン・デリ悪くなっててさぁ〜」
とのこと。彼の怒りはお店に向けられていたようだ。
なんでも、いつもは注文してから奥で揚げられる肉類が、既にカウンターのそばに転がっていたのだとか。炒飯も作り置き。いつものオヤジは見あたらず、若い店員が2人ばかりで揚げ鍋の火も落としていた状態だったのだとか。
「これで不味かったら、俺もう二度とあそこで買わない……」
とぷりぷりしているだんなと一緒に夕御飯。だんなの悪態に反して、キッチュなプラスチック容器に収まる丼はいつもと同じ味がした。別に冷めてもいない。
ちょっと醤油の味が強めの油淋鶏がざく切りになって御飯の上に盛られ、もやしの炒めと高菜の炒め、青梗菜の炒めもたっぷり添えられている。どこかほんのり、日本の調味料じゃないものの風味が感じられる、どこかジャンクで相変わらず美味しい丼だった。たとえば高校時代の頃、部活で疲れ果てて帰ってきて買い食いするのに最高だろうなという味、というか。
実際近隣の高校生にも少なからず人気のようで、昼過ぎに歩くと女子高生がその店のぶたまん喰って歩いていたりするのだ。このまま美味しいといいなぁ。
オレンジカルピス
昨日発熱した息子は、今日もどうも体調不良であるらしい。
だんなを仕事に送り出した後、「ホットケーキ、喰いますか?」と焼いてやることにした。何となく、「くるくると巻いた平べったいホットケーキ」を食べたい気分であったので、ホットケーキミックスに分量以上の牛乳を混ぜ込んでゆるい生地を焼くことに。フライパンいっぱいの大きさの、巨大な平べったいホットケーキを焼いて、そこにジャムと余りもののクロテッドクリームを適当に塗り。端からぐるりと巻き込んでロールケーキみたいにした。ナイフで輪切りにしていくと、本当にケーキのようだ。
「ほらほら、ケーキだよー」
と息子に出すと、
「けーき?けーき?」
と、一生懸命巻いたロールを端から元通りに広げて彼は食べ始めた。まるで超幅広の麺でも喰ってるような感じだ。私のやったこと、全く意味がなかったらしかった。がーん。
納豆
いぶりがっこ
御飯
冷茶
昨夜、私は仕事のポストカード版下作成に励んでいたのであった。昨夜とりあえず第一稿を渡すことができ、本日はめでたく無修正で印刷所へ送付手続き。2000枚も刷るらしい。高校時代、同人誌作成なぞにうつつを抜かしていた体験が、すっかり仕事に役立つようになっている今日この頃。
全てを終えて色々な書類だの何だのが散乱した部屋を振り返ると、たらふくホットケーキを食べた息子は書類にまみれて昼寝中だった。気が付くと1時半だ。そそくさと、一人で昼御飯。
納豆、すじ煮、いぶりがっこ。どれもこれも御飯のお供になるようなものばかりを並べ、白い御飯をわしわしと食べる。「ラップしてジップしてフリージングしてチン」した1包みの御飯じゃ足りなくて、思わずもう1包み。ちょっと食べ過ぎた。
アイスミルクティー
HIROTAのシューアイス(バニラ)
牛乳
とうもろこしは今が旬だけど、これってどう食べれば良いのだろう。台所の床には、お義母さんから貰ってきたとうもろこしがまだ2本、ごろりと置かれている。とうもろこしは大好物なのだけど、
・そのまま茹でて囓る
・茹でてバター醤油塗りながらコンロであぶって、それを囓る
くらいしか適当に思いつくものがなく、そういえば、と思い出したのが先日千駄ヶ谷「マンジャペッシェ」で食べた「とうもろこしとフォアグラのパスタ」だった。粒々のぷちぷちしたコーンが何とも美味しかったのだ。フォアグラなんぞは我が家にないけど、鶏肉使っても、ま、なんとかなるだろう。
半端に残っていたカッペリーニを使うことにした。「天使の髪の毛」が語源のパスタなので、めちゃめちゃに細いパスタだ。茹でて水にさらし、冷たいパスタとしてトマトやバジルなどと絡めて食べるのが多いパスタだ。茹で時間はたったの3分。カップラーメンのようだ。
鶏肉をサラダ油とバターで炒め、ぷちぷちと1粒ずつにバラしたとうもろこしも加えて塩味強めで適当に炒める。茹でたカッペリーニは水にさらしてからオリーブ油と塩を絡めておいて、麺を盛りつけてから適当に鶏とコーンの炒めを盛りつける。コーンごろごろ鶏肉ごろごろ、やけにダイナミックな皿になってしまった。気にしない。
缶詰の濃厚な甘さのコーンと異なり、生のものを炒めたものは淡い甘さで適度な歯ごたえもあってとても心地よい味がした。細い麺にも適当に似合っている。当初目指したものとは何だか別の方向に行ったような気がしないでもないけど、コーンのパスタというのも美味しいものだ。
……ところで、とうもろこしの本体から粒を外すのって、何か秘策でもあるものなのだろうか。ナイフを使っても曲線の断面から全てを綺麗にこそぐのは不可能だし、手で一粒ずつ摘むのはいかにも面倒だ。「りんご芯抜き器」みたいな、「とうもろこし芯抜き器」でもあったりするのかなぁ。
牛乳
今日は久しぶりに熱暑の日だ。
数日前に発熱して、未だ咳が収まらない息子は今日も保育園を休み、私と一緒にだらだらと家ですごす。だんなを仕事に送り出し、10時前に咳をしながら起きてきた息子と一緒に遅めの朝御飯……というか昼御飯。
昨日焼いたホットケーキの生地がまだ冷蔵庫内に残してあったので、それを使って今日はスタンダードなホットケーキ。1枚ずつ焼いている間に冷めるのがイヤなので、2つのフライパンを並べて同時にがんがん焼いていく。2枚2組作ったら、それを重ねて上に四角く切ったバターを乗せてできあがり。メープルシロップもつけて、ごくごく普通のあたりまえのホットケーキを前にしていただきます。
私がフォークとナイフを繰って食べているのを見て、息子も「それ、それちょーだい」とナイフを指さす。「……やってみる?」とナイフを渡してやると、息子はホットケーキをひどく奇怪なモザイク模様に分断し始めた。切り分けている、というよりも粉砕している、という感じ。楽しそうだし、遊んでいるわけじゃなくてちゃんと食べているし、まぁいいか……。
アイスティー
昼近い時間に朝御飯を食べたので、昼御飯はなし。代わりにと、以前母に買って貰って冷やしておいた「テリーヌ・ドゥ・フリュイ」なるゼリー菓子を引っ張り出して食べることにした。日本語で「フルーツのテリーヌ」とでもいう意味だろうか。オレンジとグレープフルーツ、ぶどう、ピーチとチェリー、とそれぞれの果物がゼリーの中にみっしりと固められたような美しいゼリーだ。確か、田舎への土産にとデパートに行ったときに
「あらあら、これ綺麗ねぇ。これ買って帰るわ。あんたの家にもお裾分けねー。」
と全種類1個ずつ袋に詰めて分けてもらったのだった。
プラスチックケースの中に収まるゼリーの蓋を剥がし、いつも使っているグリーンの皿にカポンとあける。……が、皿の緑が見事に透けてしまって、何だか美しくない。こういうものを食べるにはガラスの皿にでも出すのがやはりお約束であったらしい。わかっちゃいるけど、ガラスの皿などという小洒落た食器は我が家には皆無なのであった。ラーメンどんぶりとか巨大深皿とかは揃っているのに、どうも偏りがある我が家の食器棚である。
赤くプリプリしたさくらんぼと、白桃が詰まるゼリーは柔らかめでフルフルと口に入れた途端に溶けていく。夏はとにかく「冷たくて甘酸っぱくてフルフルしているもの」が美味しくてたまらない。
牛すじ肉の煮込み
胡麻ドレッシングのサラダ
御飯
冷茶
だんな今週は激ジョブらしい。遅くなるよ、と言われていたので、息子と2人の夕御飯。
「タコライスしようと思うんだけど、いいかなー?」
と一応息子に聞いてみたところ、どういうわけか
「おむすび!おむすび!おむすび!」
という予測しえなかった返事が。一体何が彼をおむすびに駆り立てているのか知らないけれど、
「いや、だからタコライスを食べたいな、と……」
と言っても「おむすび!」攻撃は止まない。
タコライスをおむすびにしても何だか不気味そうだし難しそうだしなぁ……と仕方ないので残り物を適当に並べておむすびと和風おかずにすることにした。
もう残り僅かとなった牛すじの煮込みに葱と七味唐辛子をふり、胡麻豆腐はだしつきのパックを開けただけ。レタスとキュウリと玉ねぎのサラダには、胡麻味のドレッシングをかけた。私は白い御飯。息子には海苔を巻いたおむすび。
「リクエストどおりに握ったぞ。ほれ。」
とおむすびを見せると
「おお〜、おむすびぃ〜!」
と狂喜乱舞して食べ始めるのであった。しかし、何故おむすび……?
数日前からエスニック料理に飢えつつあった私。
「タコス食べたいよ。ああ、インドカレーも良い。Shibaに行こう。シバシバシバ」
と起き抜けのだんなに「シバ〜シバ〜」と訴える。願いは叶い、12時開店のその店に開店直後に向かうことにする。朝から何も食べてないので一同腹ぺこだ。
この店のやや水っぽいカレーは、やたらとスパイシーだけれど激辛というわけでもなくて大好物なのである。この地に中学生の頃から住んでいただんなも最近まで知らない店だったけれど、「知る人ぞ知る」という店らしい。カレー特集の雑誌やムック本などにもしょっちゅう登場しているようで、今日もやっぱり大混雑。開店直後に滑り込むように着席できたものの、数分経ったら店の前に行列ができはじめた。
この店の名物は「サービスターリ」なるビビンバの如く全部を混ぜ合わせるカレーであり、客の注文は今日もそれに集中しているらしい。だんなもチキンのサービスターリ。私は「チキンセット」を頼むことにした。チキンカレーと野菜のカレー、「ダールスープ」なる豆のスープ、玉ねぎのマリネとタンドリーチキンとサフランライスのセットだ。
やはり若干水っぽいカレーは相変わらずスパイス山盛りという感じだった。クローヴの香りがツンツンとしてくるチキンカレーに、トマトの酸味が効いているピーマンや茄子入りの野菜カレー。白っぽい粒々入りのダールスープも共に、3つがカレーのルーを入れるスプーンつきののっぺりした容器に入ってくる。「チキンカレーをかけて〜♪野菜カレーもぶっかけて〜♪」とサフランライスに2種類のカレーをどかどかかけてどかどかと食べる。両方のカレーの味が混ざったところがまた何とも美味しい。アツアツのタンドリーチキンも、飲み込んだ後から舌の根がヒリヒリしてくる辛さがあるけど、やはり美味しい。しかし、カレー2種類とスープも一緒に御飯にぶっかけて食べていると、ほとんどだんなの食べている「サービスターリ」と変わりがない見てくれになってきてしまう。
「せりあちゃん、ゴー!」
「かばちゃんも、ゴー!」
と最後はだんなも私も口中がヒリヒリしつつ(息子は"パッパル"というパリパリの薄焼きパンのようなものを食べていたのでヒリヒリしてない)、食後に甘く冷たいお茶を飲む。「サービスターリ」についてくるのはミルクティー。私はアイスマサラチャイを追加で取る。
スパイスが入るミルクティー、「マサラチャイ」は普通シナモンだとかクローブだとかが入っているものだろうけど、ここのはそれ以上に生姜の香りと味がものすごく強い。「生姜入りのホットミルク」なんてのが香港でメジャーな飲み物らしいけど、それに似ているような感じだ。生易しい量じゃない生姜の風味が辛さを感じるほどビリビリとしてくるミルクティーは、それでもカレーの辛さは消えていく面白い飲み物だ。クセになる。
食後は
「じゃあ、今晩はタコスにするぞー」
「タコシェルを買いに行くぞー」
と、一路スーパーマーケットへ。
アイスカフェオレ
スーパーの店頭で、「"ちゅらさん"でおなじみの!」なんてポップ札を立てて「サーターアンダギー」が売られていた。ドーナツに良く似た沖縄の揚げ菓子だ。
「お、サーターアンダギーだ」
「おやつに食べよう!」
と6個入り400円のブツを買ってきた。水を使わず、小麦粉と卵と砂糖を合わせて油で揚げたものなのだとか。ドーナツというより、中華菓子の「開口笑」に良く似ているような気がする。
で、本来の目的は「タコシェルを買いに行こう!」だったはずなのに
「ややや、サンチュが売られている」
「そういえばさっき牛肉が安売りされていたぞ」
「焼き肉?」
「……焼き肉?」
といつのまにか買い物籠はカルビだのタンだのハラミだの南瓜だの長ねぎだのでいっぱいになっているのである。
しかも、肝心のタコシェルは買い忘れてくるし。とほほほほ。
家に帰ってから、アイスコーヒーを作ってサーターアンダギーを堪能。
表面サクサクのクッキーみたいな食感のお菓子は、中はかなりみっしりとした重めの生地になっている。ほの甘くて素朴な味が良い感じだ。売り場には「サーターアンダギーミックス」なんて粉まで売られていてちょっとびっくりだった。
牛タン・ハラミ・カルビ
にんにく・長ねぎ・玉ねぎ・かぼちゃ・茄子・ピーマン・とうもろこし・サンチュ
だんな特製牛肉とわかめのスープ
ガーリックライス
モルツ、冷茶
だんなは最近『焼肉の掟』(松岡大悟・コリアンワークス著/光文社文庫)なる本を買ったらしい。
「これ読んだよー。おゆきさんも、読む?」
と手渡しただんなの目には「焼肉」の文字が確かに見えた……ような気がした。だから、だんなはここ数日焼き肉熱が高まっていたらしいのだ。
「牛タンはねー、片面だけ焦がすくらいに焼くのが旨いらしいんだよ」
などと嬉しそうに言っている。で、今晩は焼き肉。
タンとハラミとカルビを200gずつ買ってきた。野菜も全て怠りなく切りそろえ、牛タン用にサラダ油を軽くまぶした刻み長ねぎとレモンも用意した。にんにくはアルミホイルで作った小さな箱に並べ、バターのかけらを散らしてある。この「アルミホイル皿」をホットプレートの隅に置いてバターで揚げ煮するようにして食べるのがとても美味しい……ということは焼き肉屋さんで食べて覚えたやり方だ。
我が家には炭火焼き用のセットもあるけれど、今日は締めにガーリックライスが食べたいねということでホットプレートの焼き肉。炭火焼きの焼き網よりも焼ける面積が大きいので野菜もがつがつ食べられるのがちょっと嬉しい。
片面だけちょっと焦げるくらいこんがり焼いて、上の面は端の方からチリリと焼け目がついて、底から肉の色がじわーっと変わり始めた頃にタンを取り上げ葱巻いてレモン絞って食べる。肉汁たっぷり染み出たタンは、確かにこういう焼き方をするとまた違った美味しさがあるような気がする。ビールにひたすら似合うタン塩を平らげて、それから肉と野菜に移行。焼き肉のタレはもっぱら「赤と黒」がお気に入り。
サンチュに焼いた肉を乗せ、御飯少々と貝割れ大根、サンチュ味噌をつけてくるりと巻いて食べるのもまた美味しい。茹でておいたとうもろこしをサッとあぶってタレつけて食べるのもまた美味しい。
「美味しいね〜」
「たまらんす〜」
「ビールが止まらないっす〜」
と上機嫌で食べまくり、そうして山盛りの野菜と600gの肉が異次元に消え去ったのであった。
締めは、だんなが作ってくれた牛肉をわかめのスープに、だんなが炒めてくれるガーリックライス。肉の焦げとか肉汁とかが表面にこびりついた鉄板にバターを落としてにんにくを炒め、醤油で味付けて御飯を炒める。鉄板も割と綺麗になるし、御飯も美味しくなるしで一石二鳥の締めの御飯。これがあるからホットプレートは手放せないのだ。うまうま。
カレーパン
アイスカフェオレ
私はあまり注意深く見ることはないのだが、だんなはスーパーのハム・ソーセージ売り場をいつもさりげなくチェックしている。目当てはホットドッグにできるような長いソーセージであるらしい。昨日も
「おおおっ!」
と言って長いソーセージの袋を見つけ、1個うきうきと買い物籠に入れていた。そのまま踵を返し、「パンも買ってこなくっちゃ」とドッグパンも探してきて籠に放り込む。好きなものに対するだんなの腰は、本当に軽い(←いつも"尻が軽い"と言い間違えてだんなに怒られている自分)。
同じスーパーに「カレーパン専門店」なんてものまでオープンしていたので、それも買ってきた。今朝はホットドッグとカレーパンの朝御飯。
キャベツをバターで炒めてカレー粉で軽く味をつける。ドッグパンに切り込みを入れてバターを塗り、キャベツを詰めて軽くあぶったソーセージを乗せて、とろけるチーズも乗せて、そしてオーブンへ。チーズが溶けたらケチャップをたっぷりとぶっかけて、囓る。以前、食べて美味しかったホットドッグ屋の真似をした作り方だけど、このキャベツやチーズが何とも美味しい。
もっさりしたカレーが詰まった表面サクサクのカレーパンも予想より遙かに美味しくて、朝から何だか満腹だ。
麦茶
本日は1日だらだらとゲーム。本当はお盆なのでだんなの祖母宅に行ってお線香をあげに行きたいところだけど、息子の風邪が完治していないので予定は却下された。昼過ぎて、近所のスーパーに行き、夕食の材料や切らしていた調味料の買い込みをする。
「もう2時過ぎで半端な時間だけど、腹が減ってしまったぞ。何か喰いたいぞ」
と私が騒ぎたて、ならば軽くうどんでも、と揚げ玉を買って帰ってきた。
冷凍うどんを茹でで氷水にさらし、刻み葱と揚げ玉、すり胡麻を思いっきりかけて食べる。つゆはミツカン「追いがつおつゆ」を薄めたやつ。非常に簡単だ。
揚げ玉をぶわっと散らして食べる冷たいうどんは美味しかった。発砲スチロールの容器に思い切り入っていて50円だ。
「こんなに入っていて、他の家庭ではどうやって使うのだろう」
と呟くと、
「どの家もきっとたぬきうどんとか作るんだよ。あ、それと味噌汁に入れても美味しいよ」
とだんなから答えが返ってきた。み、味噌汁に揚げ玉っすか……そりゃまたハイカロリーな。
タコライス
モルツ、アイスティー
梨
今日は、この数日の悲願だった「タコス」。どうもここ数日、レタスシャキシャキ、スパイシーな肉たっぷりのタコスが食べたくて仕方なかったのだ。タコスの皮「タコシェル」と肉を炒めるミックススパイス、ソースのサルサも買ってきて、いざいざタコス。
牛ひき肉にスパイスをまぶして水を加えて炒め煮にしてそぼろ状にし、レタスは刻んでトマトも刻む。細切りのピザ用チーズも用意して、あとはタコシェルを電子レンジで温めて具を詰めるだけ。肉を詰めて野菜を詰めて、チーズを散らしてサルサもかければできあがり。食べにくいことこの上ないけど、食感と味の調和の妙がタコスはとても心地よい。傾けると端からボタボタと全てが落ちてしまいそうなので、顔を横に思い切り傾けつつこぼさないように食べる。顔も手もそのうち肉汁やらトマト汁だらけやらになってしまうけど、気にしない。
タコシェルを温めて詰めて食べ、温めて詰めて食べ、全部で7枚ほどのタコシェルを消費する頃にはちょっとお腹も膨れてきた。まだ肉も野菜も余っている。
「こりゃ、明日の昼は一人でタコライスかなぁ……」
と内心ほくそ笑んでいたところ、だんなが
「そうだ、タコライスを食べよう!」
と動きだし、冷凍御飯を解凍し始めた。私の考えるような事は彼も当然考えることらしい。私の内心ほくそ笑みは霧散してしまうのであった。だが、負けはしない。負けてなるものか。
「わ、私も食べる!タコライス食べる!」
と、結局タコスを3つ食べた後にタコライス。御飯の上に肉と野菜とチーズとソースを、タコスと同じように散らして食べる。これもなかなかどうして美味しい。熱でくたっとなったレタスもまた良い感じだ。
「タコスって美味しいよねぇ。メキシコ人はいっつもこんなの喰ってるのかなぁ」
と呟いたところ、だんながぼそっと
「それって、"広島人はいつも広島風お好み焼き喰ってるのか"と言ってるようなもんだと思う……」
と返してきた。そ、それはそうかもしれないわねぇ。