食欲魔人日記 01年09月 第2週
9/10 (月)
刺身のサラダ (夕御飯)
鯵たたき丼
しじみの味噌汁
冷茶

「昨日は良くやったよね、私たち」
と昨夜の検討を夫婦で称えつつ、鯵のたたき丼。丸のままの鯵をかっさばいて骨を抜いて切り身にし、手巻き寿司にした昨夜の残りの鯵なのだった。3尾分を切り身にしたので、まだけっこうな量残っている。包丁でトタタタタと細かく叩いて刻み葱と生姜も加え、ざっと醤油を和えてからご飯の上に乗せる。私は昨夜の残りの寿司飯、だんなは今朝炊いた、炊きたてのご飯の上に。炊きたての御飯の上に乗せるのも当然美味しいけれど、温かくない寿司飯に乗せて食べるのもまた美味しい。

いかにも「魚」っぽい味のする鯵は私も好物だけど、だんなは私以上に鯵を愛して止まないらしい。
「もしかしたらイクラとかより好きかも」
などと言うのである。「イクラ・ウニ・穴子」をもって寿司ネタ三種の神器としている私には
「……あんなにお安い鯵でよろしいんで?」
と言ってしまいたくなるのだけれど、だんなは一向に構わないらしかった。お手軽な人だ……。

おむすび
卵焼き
いぶりがっこ
緑茶

昨夜の寿司ネタ残りの厚焼き卵の残り、それに合わせて緑茶を入れて大きな握り飯を作り、それで昼御飯。塩を手につけてむすんだだけの塩むすびと、海苔の佃煮入りの海苔むすび。両方とも焼き海苔をぐるっと巻いて沢庵3切れほども添えたら、なんだか弁当のようになった。

冷蔵庫にはまだまだ魚が残っているのである。夕飯は……サラダにでもするかなぁ。豪華な刺身のサラダ。

卵豆腐
刺身のサラダ
しじみの味噌汁
イクラウニ丼
冷茶

数種類ある刺身を使って、刺身のサラダな夕御飯。
ちょうど、昨晩食べた大根と貝割れ大根のサラダが残っていたのでまずはそれを皿に敷く。その上に角切りにした刺身類をパラパラと盛りつけ、すりおろし玉ねぎのドレッシングをかける。玉ねぎとにんにくをフードプロセッサーにかけて粉みじんにしたところに醤油と胡麻油、少々の柚子酢を垂らしただけのドレッシングともタレともつかないようなものだ。刺身に玉ねぎをぶわっと絡めて、ぶわっと食べる。冷蔵庫の中に香菜も残っていたのでついでに散らす。……良くわからない料理になった。

あとは、炊きおきの御飯に昨夜の味噌汁に、冷蔵庫から出しただけの卵豆腐。
台風大接近中だというのに、今日はだんな、仕事が遅くなるらしい。

「……じゃ、ウニやイクラも食べちゃおうか」
「たべちゃおっかー!」
と、息子と二人してウニとイクラを御飯の上にどかっと乗せて豪華丼を堪能しちゃうのであった。
食い終えて数分後、だんなから電話
「あ、やっぱ今日早く帰れそうだわー♪」
そ、そう言われても貴方の好物の鯵もイクラも腹の中……。

9/11 (火)
目玉焼きのリングイネ (夕御飯)
ミスタードーナツの
 エンゼルクリーム
 バタークランチ
アイスカフェオレ

昨夜、だんなは雨の中ミスタードーナツのお土産を持って帰ってきた。
「エンゼルクリーム、残ってたよ〜」
と"エンゼルクリーム愛好家"の彼は妙に嬉しそうだ。

冷たいカフェオレと、私の分もエンゼルクリーム、そしてバタークランチ。
今日は昼間近に台風が関東をかすめるらしい。朝からとんでもない雨と風が窓を叩きつけてきて、どうやら電車の運行もかなり制限されているようだ。
「……今日は家で作業させて貰おうかなぁ……」
と、大学への出勤を休ませてもらうことにした。便乗して息子も保育園休み。二人で
「凄い雨だねー」
「ねー」
と呟きながらおとなしく家で過ごす。こういう日に限って宅配便がじゃんじゃん届いたりするのは何故か。

ピーナッツバター塗りコッペパン
牛乳

「ホットドッグでも作ろうかな〜♪」
とコッペパンを出して眺めていたところ、息子が
「パン、たべゆ!」
と寄ってきた。

「ホットドッグ、喰うかい?」
と聞いてみたら「いらな〜い」とのこと。
「それ、ちょうだい!」
と素のままのコッペパンを食べたいとのご所望だ。
「もしかして、バターとか塗りたい?」
と冷蔵庫を開けると、「これ!」とピーナッツバターを発掘された。はいはい、ピーナッツバター塗りのコッペパンでございますね。それは私も大好物でございます……ということで、昼御飯はコッペパンのピーナッツバター塗りとなった。お供には牛乳。

外はまだ大変な大雨だ。ベランダの大きな植木鉢が1個、ごろりと横倒しになったのが見えたけれどベランダに向いた窓には雨が容赦なく降りこんでくるから救助にも行けない。かつてなく凄い天候に、不謹慎ながらちょっとわくわく。

かぼちゃのポタージュ
目玉焼きのリングイネ(ポバティ)
ペールエール、冷茶
エスプレッソ

結局買い物にも出られずに、家にあるありあわせの材料で夕飯はパスタにすることにした。
先日買ってきた「グラナ・パダーノ」(←パルミジャーノ・レッジャーノに似たイタリアの硬質チーズ)を使って、目玉焼きのパスタ、別名「貧乏人のパスタ(=ポバティ)」。

まずは中華鍋にお玉1杯ほどのオリーブ油を熱し、揚げ焼きするような感じで目玉焼きを1人1個作って小皿にとっておく。もちろん黄身は半熟。パスタは茹ではじめておき、茹で上がる30秒ほど前に、先のオリーブ油入り中華鍋に更に1人1個の卵を割り入れる。固まらないうちに茹でたてのパスタをガバッと中華鍋に入れ、卵と絡めるようにジャジャジャと炒める。そこにすりおろした「グラナ・パダーノ」をたっぷりと放り込み、塩をふって胡椒もかけて、全体を混ぜ合わせたらできあがり。皿に盛ったら目玉焼きを上に飾り、更にすりおろしグラナ・パダーノと黒胡椒をたっぷりかければできあがり。麺と卵とチーズと油さえあればできる、笑っちゃうほど簡単なパスタだ。

「やっぱり見栄え綺麗にしないとね」と、美しくチーズや胡椒をかけて写真を撮った後、おもむろにその5倍量ほどのチーズと黒胡椒を更にかける。本当は、黄身の黄色も見えないほどチーズはかかっているし、黒胡椒も下品なほどかかっているのだ。でも、それが本当は美味しい。

大きな南瓜の1/4ほどを使って作った濃厚なかぼちゃのスープと、黒胡椒がビリッとくるチーズ味のパスタ。
食後はだんなが「飲む〜?」と入れてくれたエスプレッソ。肉や魚は食べてないけど、妙に充実した夕御飯だった。

思えば、エスプレッソマシンは結婚記念にとだんなの友人M井さんが贈ってくれたものだ。私の友人たちからは日常使いのノリタケの食器セット、だんなの友人Tさんからはオーブンレンジ。そういや他にもエプロンやらパスタ皿やら、色々なものを友人たちから貰っていた。良く考えたらほとんど全てが食べ物関係。まるで今の生活を暗示していたようなプレゼントの数々に、今振り返るとちょっと笑えたりなんかして。
そういえば私とだんなの友人の中で唯一無二の変人奇人ぶりを誇るM井さんに久しく会っていない。そろそろ遊びに来ないかしらん。

9/12 (水)
鶏肉のホイル焼き (夕御飯)
たぬきうどん
冷茶

今朝、私たちは寝不足だった。昨夜10時頃から午前1時前まで夫婦揃ってテレビゲームに興じた挙げ句、「そろそろ寝るか」とゲームの電源を落としたところ、とんでもないニュース映像が流れてきたためだ。ずっとゲームをしていたので、そんなことがアメリカで起こっていたとは全然気が付かなかった。

しばらく呆然と速報を続けるテレビ画面を眺め、ニューヨークで働いている友人の事を思い出した。忙しい合間をぬって、彼女が帰国してくる時には年に数度、高校時代の仲良しグループで顔を合わせている友人だ。
「ととと、とりあえず安否確認のメール……」
とメールソフトを立ち上げたところ、既に何通ものやりとりが友人内の同報メールでなされていた。彼女は、無事だった。
長くないメールの中で彼女はいつもの口調で淡々と「大丈夫よ〜」の報告をしていたけど、まるで映画の映像のようなテレビ画面よりも、その淡々とした文章の方が余程身の毛がよだつものだった。タイムスタンプは現地時間で午前11時。2本目のビルが倒壊してから30分後の発信だった。

家を出ると、いつもは2つ並んで見えているビルが1つしか見えない。愕然としつつオフィスに向かうと、途中、目の前でその2つ目が崩れていった……のだそうだ。彼女も含め、皆、路上で泣いていたとか。「信じられないね。もうないんだよ、あのビル、両方とも。」とあって、それだけの文章で何だか泣きたくなってきた。酷い事件だ。

というわけで、いつになくどこか悶々とした朝御飯。うどんを茹でて氷水で締め、揚げ玉と刻み葱をぶっかけて食べる。今日の揚げ玉は、先日テイクアウト天ぷらを購入したときに「揚げ玉無料」と書いてあったやつを貰ってきたものだ。「揚げ玉」として作られたものじゃなく、海老やかき揚げなんかを揚げる時に自然発生したやつを集めただけの、えらく細かくサラサラとした揚げ玉だった。カリカリパリパリとしていて、これもまた食感が心地よくて美味しい。
だんなも息子も揚げ玉山盛り。かくいう私も山盛り。

コッペパンのツナサンド
アイスティー
巨峰

「ツナものが食べたい」
と思い、パスタにしようかサンドイッチにしようか少々悩み、コッペパンを手に取った。切り込みのすでに入っている親切設計のコッペパンにバターを塗り、具を詰める。ツナと、たっぷりの刻み玉ねぎ、ついでにピクルスとオリーブとアンチョビを適当に刻んで混ぜてマヨネーズ少なめにして和えたツナペーストだ。豪華に詰めたら「ツナサンド」というよりは「パン添えツナペースト」のようになってしまった。見栄えは悪いけど、けっこうステキだ。

アールグレイのアイスティーを入れて、ぐびりぐびりと飲みながら巨大ツナサンド。食後に、今日は1日これしか各局放映していない米テロのニュースを眺めながら巨峰を食べる。

鶏肉のホイル焼き
にんじんのグラッセ
ほうれん草のバター炒め
冷たいかぼちゃのポタージュ
御飯
モルツ、アイスカフェオレ

昨日作ったかぼちゃのポタージュもあるし、「今日は、洋食チックなものにしよう」と鶏肉を買ってきた。小学校や中学校の給食でそれはそれは大好物だった「鶏肉のホイル焼き」を作ることにする。

鶏もも肉はなるべく薄く大きく平たくして、塩胡椒して軽く白ワインふって、チーズを芯にしてぐるんとロール状に巻く。アルミホイルで包んで、オーブンで25分ばかり焼く。何回作っても、いまひとつ学校給食で食べたどこかチープで懐かしい味にはなかなかならない。"とろけるチーズ"系を使うと、完膚無きまでにチーズが液状化して流れて消えてしまうのも問題だ。だから今回は"カチョカヴァロ"という半硬質チーズの残りを詰めてみることにした。

1本余っていたにんじんはコンソメと砂糖とバターで煮て甘煮に。ほうれん草はバターで炒めて塩胡椒して、ついでに冷凍ミックスベジタブルなぞも放り込んでみる。鶏肉とにんじんとほうれん草を1皿に盛ったら、いかにも洋食チックなものになった。そうそう、こういうのが食べたかったのよー。

昨夜のかぼちゃのポタージュは、も一度味を調整して今度は冷やすことにする。冷たいものは塩分強めにした方がなんとなく美味しいような気がする。
で、これだけ整えたら主食はガーリックトーストあたりの方が良いかもしれないけど、「白飯愛好家」なるだんなのために御飯を炊いておくことにした。

30分ばかり焼いた鶏肉は、ちょっとばかり焼きすぎたようで、肉汁と溶けたチーズのエキスで汁びたしになっていた。溶けきってないチーズがまだ肉の中にたっぷり入っていてそれはとても美味しかったけど……やっぱり学校給食のアレが一番美味しかった、ような気がする。

9/13 (木)
ハンバーグ (夕御飯)
だんな特製ホットドッグ(ダブル)
アイスティー

ホットドッグにする予定で買ってきていたドッグパンを、ピーナッツバターだのツナだのを挟んで食してしまったので、「だんなに怒られちゃうかしらー」と、新たにドッグパンを買ってきた。今度は6本入り。
早速それを使って今朝はホットドッグ。「パンが小さいからさ」とか言いながら、1人2本のホットドッグ。

以前の私はそれほどホットドッグが好きではなかった。ファーストフード店でも、まず頼むことはなかった。「だってパンにソーセージ挟んだだけじゃん」と、ソーセージをハンバーグや照り焼きチキンほど愛していなかった私は、まず「チリドッグ」などを頼むことはなかったのだ。それでもドトールのジャーマンドッグは好物だったけど。

炒めたキャベツはソーセージと合う。こんがり焼いたソーセージとパンもすこぶる似合う。とろけるチーズなどかけて焼いたらサイコーだ。それを気付かせてくれたのは、晴海埠頭に時折出没する「TOKYO-DO」なる名前のワゴンのホットドッグ屋さんだった。チリドッグやらプレーンドッグやら買い込んで、レインボーブリッジなぞ眺めながら潮風にあたって食べたホットドッグはいつもしみじみするほど美味しかった。我が家のホットドッグは全体的にそこのマネなのだった。

ワゴンの中でせっせとホットドッグを作る兄ちゃんは(←ちゃんとワゴンの中にオーブントースターも常備してあったりする)、クレープを焼くのも上手かった。ホットドッグを食べてジンジャーエールでも飲んで、その足で再びワゴンに向かってデザートの「バナナチョコクレープ」とか頼んじゃったりするのだ。ああ、懐かしい。

ほうれん草のおひたし
納豆
御飯
冷茶

一人の昼飯。わしわしと納豆が食べたい、と納豆ミニカップ3個セット149円なりを買ってきた。ほうれん草が少し残っていたのでおひたしにし、納豆と御飯。これなら「粗食」と言えるかもしれない。いや、玄米御飯にでもしなきゃ「粗食」にならないのだろうか。

いつもいつもバターだのオリーブ油だの、あるいは肉汁溢れる豚肉だとか脂の乗ったネギトロだとかを愛好しているので、たまには納豆とかひじきとか切り干し大根とかも喰わなきゃいかんと思う。

にんじんのグラッセ
茄子とピーマンのバジル炒め
ハンバーグ
刻み野菜のエスニックスープ
御飯
モルツ、冷茶

昼に「粗食だー、粗食はいいぞー」と思っていたその感情はものの3時間と持たなかった。「夜は、ハンバーグだ!」と、牛ひき肉を400gもわしわしと買い込んで、保育園帰りの息子と帰宅。数週間前に購入した、『ケンタロウ+キッチンでおいしい生活』(ケンタロウ/著 (株)ソニー・マガジンズ)なる本を参考にして、「正しいハンバーグ」というものを作ってみることにした。なんと、焼いている最中に湯を入れて蒸し焼きにするらしい。餃子ならやるけど、ハンバーグで湯を入れるのは「あり」なのだろうか。半分不安になりながら、彼の書くとおりに作ってみることにした。

玉ねぎは1/2個はみじん切りにしてから炒めて冷ます。卵1個と牛乳50cc、パン粉1カップをボウルに混ぜ合わせておき、別のボウルで軽く練った牛ひき肉400gと塩胡椒、ナツメグと一緒にしてよくよく混ぜる。形作って、フライパンで両面こんがり焦げ目をつけたところでハンバーグの高さの半分ほどまで湯を注ぐ。蓋をして蒸し焼きにして、汁気がなくなったら完成。フライパンから一度ハンバーグを取り出して、そこに水150ccとトマトケチャップ大さじ3、ウスターソース大さじ2、酒とバター各大さじ1、醤油小さじ1を放り込んで煮立てて煮詰めてとろみをつけたらハンバーグを戻して絡める。アツアツになったらよそってできあがり。

できあがったハンバーグのタネは隨分と柔らかだった。手でペタペタと形作っても、ヘナヘナと崩れてしまいそうだ。割れないように気をつけながら焼いたけど、やっぱり割れた。とほほ。
それでも、できあがったハンバーグはうっとりするほど巨大で良い感じ。付け合わせは、昨日の残りのにんじんのグラッセと、茄子とピーマンをオリーブ油で炒めて塩胡椒して、最後に刻みバジルをざっと混ぜた炒め物。ついでに南瓜といんげんと玉ねぎのコンソメスープを用意して、面白半分にターメリックやコリアンダーやチリパウダーを放り込んでエスニック風にしてしまう。

で、湯を入れた蒸し焼きハンバーグは、ちゃんと美味しかったのだった。中の肉汁もたっぷり詰まっていたし、綺麗についた焼き色も良い感じだ。綺麗に焦げ目をつけようと思うと、ついつい表面は黒コゲで中は半生になってしまったりなんてことが度々あったので、分厚いハンバーグが綺麗にできたのはちょっと嬉しかった。
というわけで、多分これからこれが我が家のハンバーグになりそうだ。

9/14 (金)
スモークサーモンといくらのクリームパスタ (夕御飯)
チョココロネ
ツナマヨパン
アイスカフェオレ

こういうのを「貧乏性」と言って良いのかはわからないけど、食パン目当てでパン屋に入ったはずなのに、ついついいつも菓子パンを買い込んでしまうのである。「食パン1つ買うのは恥ずかしい」なんてことを思うわけではなく、「あ、あ、あ、あのクリームパン美味しそう……」とか「ああっ、そういえばツナの乗ったやつは久しく食べていないじゃないか!」とか「くるみのパンって好物なのよねぇ……」などと思ってトレイを片手に徘徊している間にトレイの上にどんどんブツが増えていくのだ。というわけで、今朝は菓子パン。

だんなにチョココロネとソーセージとチーズのパン、私にはチョココロネとツナマヨパン、息子用にはクリームパンを買ってきた。が、袋を開けた途端に息子はチョコに狂喜乱舞している。「チョーコ!チョコチョコチョコ!」騒いだ挙げ句、結局だんながクリームパンを食べることになった。

油っこいツナの上ににょろりとマヨネーズがかかったものがトッピングされたパンは、トースターでしっかり温めてから食べる。表面がちょっとパリッとなってアツアツになった総菜パンはしみじみと美味しい。美味しさ5割増し、という感じでちょっと満足。

田町 大戸屋にて
 親子丼

本日、お仕事。大学は未だ夏休み中で、学内は教授陣とか勉強好きの学生とか、あるいはサークルの集まりの人々などしか人影がない。学食もお休み中。昼休みには「親子丼が食べたい……」と大学目の前の定食チェーン店「大戸屋」に行くことにした。システマティックな店は近隣のサラリーマンにも人気のようで、12時直前に滑り込んだ直後、あっというまに満席になってしまった。

親子丼は味噌汁とお新香つきで540円。けっこうお安くて良い感じ。
甘すぎず辛すぎもしない味付けの、卵半熟のごくごく普通の親子丼だ。目をやると、大テーブルの向かい側に座った同い年くらいの女性もまた、一人親子丼をかっこんでいた。こういうところは長居は禁物、何だか向かいの人と争うようにハフハフたいらげた後、店を後にした。ふー。

刻み野菜のエスニックスープ
スモークサーモンといくらのクリームパスタ
ジンジャーエール

魚介のパスタを食べたいなー、と先日レシピデーターベース(←Microsoft Accessで「これ、食べたい」なレシピをまとめた自作データベース。これがないと私のレパートリーは極限まで落ち込んじゃう)をぺけぺけと検索していたところ、「ほうれん草とスモークサーモンのパスタ」なるものが出てきた。ちょっと前に『dancyu』か何かに掲載されていたような気がする。「KIHACHI」のレシピだ。ほうれん草はここ数日食べていたので、さやいんげんで無理矢理代用することにした。

バターでさやいんげん(本当はほうれん草)を炒め、白ワインを少量注ぐ。そこに1人分50ml見当の生クリームを注いで、焦げない程度に少々煮詰めてトロンとさせておく。そこに茹でたてのスパゲティを加えて和え、スモークサーモンも放り込んでざっと混ぜたら皿に盛る。イクラも添えたらできあがり。超簡単だ。

ほうれん草より、ちょっと青臭さというか土臭さの漂うさやいんげんは、「や、やっぱほうれん草の方が良かった……かも、しんない」というものではあったけど、クリームソースに似合わなくもなかった。それよりも、スモークサーモンやイクラが生クリームに似合うことにちょっとびっくり。自分で作っておきながら「お、案外美味しいよ、けっこう美味しいよ」と自らを褒め称えながらパスタをすするのであった。

今日、だんなは飲み会で遅いらしい。彼の遅い帰宅をてっきり忘れて3人前見当で材料を買ってきてしまったのだけど、「イクラが残ってもしょーがないしねー」と超山盛りにして食べてしまった。イクラ山盛りパスタは、ちょっとしょっぱいけどかなりゴージャス。むふふ。

9/15 (土)
おばあちゃん特製お赤飯 (昼御飯)
胚芽パンのバタートースト
アイスカフェオレ

今日は「敬老の日」なのである。
私方の祖父母は全員死去しているが、だんなの母方おばあちゃんはまだまだ健在。少々ご無沙汰してしまっていたので、私ら家族と義妹の4人で遊びに行くことにした。いつもいつも、遊びに行くと大量の御馳走を準備して待っていてくれるおばあちゃんなのである。
「何も土産なんてはいらないから、お腹を空かせておいで」
と毎回毎回言われていて、実際いつでも大変な大量の御馳走が待っているものだから、今日も心して行くことにする。

朝御飯は、サンドイッチでもしようと買っておいた薄切り胚芽パンをトーストして食べる。冷たいカフェオレを飲んで、普段にしてはものすごく軽い朝御飯。電車を乗り継ぎ、いざいざおばあちゃんの家へ。

だんなの祖母宅にて
 蟹肉のサラダ
 紫蘇入りポテトコロッケ
 鶏肉の網焼き
 大根と里芋とタコの煮物
 きんぴらごぼう
 茗荷と卵の吸い物
 お赤飯
 ビール
 お茶
 玉ねぎ茶
 梨
 コーヒー
 そうめん

午後1時前、叔母とおばあちゃんの待つ家に到着。大量の食べ物が待っている家にこれ以上食べ物を持っていってもしょうがないので、明るい色の花束を持っていった。すぐさまちゃぶ台には大皿に盛られた御馳走がどかどかと出てくる。

紫蘇の入ったひき肉とじゃがいものコロッケはサクッと柔らかで、とてもとても美味しかった。だんなと義妹と私の3人で、「あ、これ美味しいよ、とっても美味しいよ」と瞬く間に10個ほどあったコロッケを急激に消費したところ、「まだまだあるんだよ」と更に10個ほど出てきたりするのである。甘辛い味がこってりと染みた大根の煮物とか、黒光りするきんぴらごぼうは、いつもの"おばあちゃんの味"だ。お年寄りを敬う日であったはずなのに、すっかり逆にもてなされてしまっている私たちなのであった。

そして、待望のお赤飯。義弟が大好きなお赤飯は、義弟が訪れる時にはいつも必ず作られているものだったらしいけど、私も好物だということが知られてからは、私が行くときにも必ず作ってくれるものになった。何しろ、お赤飯は大好物なのである。当たり前のようにお土産用も準備されて、5合はありそうな大量のお赤飯が今日も待っていたのだった。ありがたいことだ。

今日のお赤飯は、いつもと違ってほんのり甘かった。なんでも信州の方のお店か宿で食べたものがこんな感じで、小豆を炊いた時に砂糖を入れるものなのだそうだ。ほんんり甘い小豆が入るお赤飯も、いつものものと同じくらいに美味しい。

で、全員が全員お腹を空かせていったにもかかわらず、やっぱり全てを食べきることはできなくて、数時間後には皆して屍のように畳の間にごろごろする羽目になっているのである。なのに、「おや、もう食べないのかい〜?あ、梨剥こうかね、お菓子も出そうかね」というのがおばあちゃんの恐ろしいところだ。

義妹もだんなも私も、一人元気な息子を除いて全員が畳に倒れ伏していた時、「これ、ヒミツのお茶〜♪」と言って叔母が何やらポットを持ってきた。コンソメに似た香りのお茶は、独特の玉ねぎの匂いがする。
「これね〜♪、テレビでやってたんだけど、動脈硬化に効いて、痩せるんですって。血液サラサラ〜♪」
というそのお茶は、玉ねぎの皮の赤い部分を集めて煮出したものなのだそうだ。叔母さん、おばあちゃん、それってもしや"みのもんた"ですか?若人は一斉に「ああ、みのもんた信者だ……」と後ずさりしそうになる中、玉ねぎ茶は静かに湯気をくゆらせているのであった。すごく不味いものじゃないけど……塩気もない玉ねぎ風味のお湯というものはちょっと奇妙な味がした。血液サラサラになっても、ちょっとばかりイヤだ。

そして、やっと動けるくらいに胃袋に余裕ができて、「そろそろ夜になるし帰ろうか……」という頃、「お夕飯、軽くて済むように素麺を茹でようかね」とまたもやおばあちゃんが動き出す。
「え、いや、もう、いいです!お腹いっぱいです〜〜〜」
と全員が首をふったが、数分後にはまたもや巨大なボウル一杯に素麺が出てくるのであった。
おばあちゃん家の御飯、とっても美味しいのだ。ほんのちょっと口うるさく(て、みのもんた教で)はあるけれど愛すべきおばあちゃんなのだ。……でも、素麺はやっぱりちょっと多かったです。げぷ。

西武新宿駅そば NATURAL STATIONにて
 巨峰ミルク

午後7時前、よれよれになりながら一同祖母宅を後にした。久しぶりに曾孫に会えたおばあちゃんはそれはそれは楽しそうで嬉しそうで、一応「敬老」したのかなぁ、と思いながら電車に乗って家への道を急ぐ。
「な、なんか甘くてさっぱりしたものが食べたいよ……」
と西武新宿駅で「NATURAL STATION」に寄ることにした。伊藤園の経営するジューススタンドで、近くを通るとついつい寄り道してしまう危険なスポットだ。定番メニューの「白いバナナミルク」が大好物。

現在の季節メニューには「巨峰ミルク」なんてのがあるようで、これを飲んでみることにした。トロンと濃度のある紫色のジュースがグラスの底に沈み、上からは牛乳がたっぷりと入っている。砂糖や、果物や野菜、牛乳以外の水分を入れないのがここのウリであるらしく、濃厚なジュースはどれも美味しい。葡萄と牛乳って似合うのかなぁ……とちょっと不思議な感じもしたけど、実際飲んでみた「巨峰ミルク」は美味しかった。良い香りがする葡萄の甘さと牛乳というのは案外似合うものらしい。

で、9時過ぎて帰宅しても、案の定全然お腹は空かないのであった。おそるべき、おばあちゃん家。

9/16 (日)
だんな特製スペシャルカツ丼 (夕御飯)
おばあちゃん家のおみやげ
 お赤飯
 きんぴらごぼう
 鶏肉の網焼き
冷茶

午前10時、のんびりと起床。
昨夜、おばあちゃんがお土産に持たせてくれたお赤飯やらきんぴらごぼうやらを温めて、朝御飯。

世の「おばあちゃんの家」がそうであるように、だんなのおばあちゃんの家には空き箱やら空き缶やらがいつでも大量にストックされている。遊びに行くと、いつも色々な箱に御馳走の残りを詰めて持たせてくれるのだ。昨日もたっぷりの赤飯を箱に詰めてくれた。隅にはきんぴらごぼう。アルミホイルでくるんだ中には、鶏肉の網焼き。

「今朝の御飯は準備がらくちん〜♪」
と、全てを温め直して食卓に出す。甘く煮た小豆が入る、いつもとちょっと違うほの甘いお赤飯と、香ばしい網焼きの鶏肉。茶色く染まったきんぴらごぼうは、昨日よりも一層味が染みたみたいだった。確か「敬老」で昨日は祖母宅へ赴いたはずなのに、色々してもらったのはすっかりこちらだったりして。

ヨコイのスパゲッティー (ミラカン)
アイスカフェオレ

数日前、我が家に大量のヨコイ製極太スパゲッティーの麺が我が家に届いた。12.5kgの麺である。今この瞬間、食糧難がやってきてもとりあえず極太スパゲティーだけには困らなくて済みそうな現状だ。
さっそく、
「今日は、ヨコイだ〜♪」
と燃えている男が約1名、我が家にはいるのであった。

極太麺を茹で、茹で上がったところを一度水で締める。麺を炒めて、平行して具も炒める。今日は玉ねぎ、ピーマン、真っ赤なウィンナー。塩炒めした具をこんもりと盛りつけた麺の上にこんもりと乗せ、皿の円周に沿って麺にかからないようにレトルトパックの「ヨコイソース」を敷いていく。名古屋のお店で出されている「ミラカン」に似た料理が、めでたく完成。

「名古屋には、他県にない独特な"あんかけスパ"が存在している」
と知り、そのレトルトパックを購入するようになってからというもの、すっかり私たちはヨコイに魅了されている。
初めて食べた時には、それほど美味しいとは思わなかった。「ちょっと辛くて、甘さはなくて、ミートソースというよりはケチャップみたいでなんかヘンな感じ」というのが正直な感想だった。でもなんとなく何度か食べているうちに、もはや「パスタ料理が食べたい」としてのヨコイではなく、「もうっ、ヨコイをとにかく熱烈に食べたいっ!」とまでなるようになってしまった。こうなってくると、もう中毒だ。

今日の麺はからは、いつも漂うバターの香りがしなかった。なんでも基本にのっとってラードで炒めたものなのだという(お店ではラードかサラダ油で炒めているのだそうだ)。いつもは大量のバターで炒めたバタくさい麺で、それをいつも美味しいと思っていたので、何だかきょうは少しばかり物足りなかった。バターで炒めた麺が、やっぱり美味しい。

だんな特製スペシャルカツ丼
大根と油揚げの味噌汁
モルツ、冷茶

昨夜の「チューボーですよ!」は「カツ丼」だった。だんなは何やら夢中にそれを見ていたのだが、今日のお昼、「俺、肉屋行ってくる!」とロース肉を買って帰ってきた。生パン粉まで買い物袋に入っている。そういうわけで今夜はカツ丼だ。しかもだんな、やる気である。午後6時前には自ら進んで米を研ぎ、だしを取り始めた。かなりやる気だ。

「番組で生パン粉使ってて美味しそうだったんだー」
と、台所にパン粉を散らしながらせっせと準備をし、そうして大きなカツを揚げてくれた。それを使ってスペシャルカツ丼。1人2個の卵を使うので「スペシャル」なのである。半熟になるように、と溶き卵を入れた後に黄身を崩さない卵も1つパカンと割り入れ、火を通す。どうも卵が綺麗に中央に収まらずに「あれ?あれれれれ?」とコンロの前でだんなはうろたえながら作っていたけど、卵が中央になんてこなくても、とても美味しいカツ丼だった。

わざわざカツを揚げてつくるカツ丼は何だか贅沢だ。しっかりだしを取り、カツを揚げ、アツアツのカツで作ったカツ丼はとてもゴージャスだった。揚げたてのカツは駅前のとんかつ屋で買ってくるより数億倍美味しくて、一同感激のままに山盛りの御飯をわしわしと食べちゃうのであった。
揚げ鍋片づけたりパン粉のトレイを片づけたり、後かたづけは大変なんだけどね。