食欲魔人日記 00年2月 第2週
2/7 (月)
チョコクロワッサン
ソフトブレッド
小岩井コーヒー牛乳

昨夜から、咳が止まらず。
朝、目が覚めた途端に「がはげへごほがほ」と始まってしまい、どーしよーもないので会社を休むことにする。
頭が重く、身体がだるく、喉は痛いし咳は出る。どこからどこまでも身体中「風邪」状態なのに、なのに食欲は沈滞しない私。

「あ、朝はパンが食べたいです。んでもって、昼は鍋焼きうどんが食べたいです。簡単なように、冷凍のが良いです。」
と注文をつけて、だんなに頼んで買い物に行っていただく。
数分後、ぶらさげて帰ってきたそのコンビニ袋の中には、チョコクロワッサン。ふわふわパン(←ソフトブレッド)も入っている。
更に
「やっぱりパンならこれでしょー♪」
と言いつつ、だんなは小岩井コーヒー牛乳500mlパックを袋から出した。

親子3人で、パンをもしゃもしゃ。
小岩井コーヒー牛乳は、というか市販のコーヒー牛乳は大抵甘すぎるので、これも牛乳半割にして飲む。

コーヒー牛乳というと今は500mlパックが頭に浮かぶようになってしまったが、でも哀愁ノスタルジィ漂うあのガラス瓶入りコーヒー牛乳はやはり忘れられないのだ。
小学時代、私は古い古い木造2階建ての借家に住んでいた。風呂場は狭くてシャワーが無く、しかも湯の出も悪かった。1週に2度ほど、歩いて数分の銭湯に行くのが割と楽しみだった。
風呂上がりにはやっぱりコーヒー牛乳だ。
イチゴ牛乳やフルーツ牛乳、ノーマル白牛乳にココロ惹かれつつも、でも5回に3回はコーヒー牛乳を飲んでいた。冷蔵ケースから自分で取り出し、ビニールキャップを剥がして紙の蓋を取って飲むあの快感よ〜っ!
……って、いきなり牛乳屋に行きたくなっている私である。

冷凍鍋焼きうどん

初めて「冷凍鍋焼きうどん」なるものを食してみた。
火にかけて数分温めよ、とある。最初は強火にせず、弱火にしてスープを溶かせ、などともある。なかなか奥が深い。

鶏肉と海老と卵とかまぼこ、青菜や椎茸がそれらしく盛られた鍋焼きうどんは、想像よりは美味だった。だしの味もするし、麺はシコシコしてたし、具も案外まともな味がした。

焼餅
スパゲッティ カルボナーラ
麦茶

午後7時前に帰ってきただんなが、色々袋をぶら下げていた。
どうやら、毎週月曜日に出没する中国人おばちゃんの屋台から、今日も盛大に買い物してきたようだ。
5個入りの肉まん袋、5個入りのあんまん袋、それに3本の油条、5枚の焼餅。

だんなはお得意さんらしい。毎週のように来るので、最近いつもいつもおばちゃんはおまけをしてくれる。
3枚の焼餅の注文に1枚おまけ、というのがしばらく続いた。我が家は3人家族であるので、1枚のおまけは実のところ困惑のタネだ。
そこで、今日、だんなは言ったらしい。
「焼餅は2枚ね」
と。おまけが1枚。全部で3枚。完璧じゃーん、とおそらく夫は思ったに違いない。
しかし、焼餅は5枚、袋に入っていた。
「え、おばちゃん。5枚も入ってるよ。」
と訊いたところ、
「イイノイイノ。イツモ買ってくれるから、イイノ。」
とにこやかに返されたらしい。
う〜む、おばちゃん、上手である。いや、とっても嬉しいんだけど。

というわけで、スパゲティカルボナーラにも関わらず、食事前に焼餅を喰っている私たち。
肉まんをうすべったくして油で焼いたようなものなので、食べると結構胃にたまる。油たっぷりで濃厚で、病人にはちと辛い食べ物ではある。が、半分食べる。

メインはカルボナーラ。
卵2つに卵黄2つ、計4つの卵を使って、生クリームもたっぷり。パルミジャーノ・レジャーノチーズもたっぷり。
分厚く切ったベーコンがごろごろ入って、「精がつくぞー」という感じ。

2/8 (火)
中華粥 with 油条
プーアル茶

昨日買ってきたばかりの油条をざくざく切って、中華粥。
残念ながら、香菜は無くて物足りないけど、それでも旨い中華粥。

お粥に入れる以外の、油条の使い方。
・ちょっと温めて、グラニュー糖をまぶす(給食の"揚げパン"を彷彿とさせる)。
・あったかい牛乳に浸して食べる(←屋台のおばちゃん、オススメ法)。
・海老などの詰め物をして油で揚げ、おかずにする(と周富徳のレシピにあった)。

スワンベーカリーの
 カスナートミックスサンド
 シュークリーム
コーヒー牛乳

会社近所のパン屋さんに出向く。目当てはデザートのシュークリーム!
まだ開店して間もないパン屋さん。店員さんの愛想がやたらに良く、パンはどれもこれも輝いていて、何やらこの店には愛が溢れている。私のお気に入りである。
「焼きたてのガーリックバターパンです。ご試食どうぞ〜」
と勧められた試食のパンを囓りつつ、昼食を探し見る。む、バターがしっとり染み込んだこのガーリックバターパン、美味しいぞ。でも巨大だから昼食にはちょっと合わない。

てなわけで、今日の選択は「カスナートミックスサンド」。
フランスパンの形状の柔らかい筒状のパンのサンドイッチだ。ハムとジャーマンポテト、卵と3種類のサンドがパックされている。卵ふわふわ、レタスはシャクシャクで具の状態もばっちりで、"ああ、このパン屋は本当に美味しいパンを食べてもらいたいと思っているのね"という感覚がひしひしと伝わってくる。悪くない、とっても悪くない。

で、目当てのシュークリーム。
いかにも「パン屋のシュークリーム」といった風情の、クリームパンの中身と同じ、もっさりどっしりとした白っぽいカスタードクリームがたっぷり入っているシュークリームだ。皮もケーキ屋のパリパリサクサクといった感じよりパン寄りの、フカフカとして柔らかいもので、これがまたもっさりしたクリームと合ってグーなのである。
「グーなのよっ!グー、グー!」
とか心中呟きつつ会社の机でシュークリームを食べる私。ちょっと妙な人かもしれない。

蓮根と豚肉の中華風煮込み
南瓜のにんにく蒸し
青梗菜ときのこのトロトロスープ
ひじき御飯

さて、台所のシンク横には土曜日の「ひじきの生姜煮」が置いたままである。
冷蔵庫の中には、"もうちょっとでカビが生えそうなんですぅ〜"という状態のしめじ、その横にえのき。更にボールに入ったなめこがある。
しかもしかも、"変色しちゃって、そろそろ捨てどきなんですぅ〜よれよれ〜"という表情をかもしている青梗菜、なんていう存在も忘れちゃいけないのであった。
嗚呼、なんてことだ。青梗菜の下からは萎びた蓮根まで発掘された。
"僕、年末に購入されて煮しめにされた残りなんです。忘れ去られてました。"
と彼は語っている。うう、すまん蓮根。君の事はすっぱり忘れていたよ。君が悪いんじゃない。蓮根がいまいち好きじゃない私が多分悪いのだ。

で。
これらを全て使って調理すべし。
これが今日の課題であった。

きのこ類と青梗菜は一緒にスープにしてしまうことにした。鶏がらスープの素を使って、全部細かくしてくつくつと煮る。醤油をひとたらし、水溶き片栗粉でなんとなく中華風にとろみをつけた後、胡麻油とラー油少々をたらす。適当だがまず一品。
そして、ひじきの残りは御飯へ混ぜ込む。そのままテーブルに置いてもいまいち減りそうになかったので、御飯に混ぜて無理矢理全部片づける作戦。

超ヤバめの蓮根は豚肉と一緒に炒めて塩味煮込み。
ついでに南瓜を甘辛いたれでレンジ蒸しにして、最後ににんにくを胡麻油で熱して煙が出るほどにしたやつをジャッとかける。
お〜、見た目だけは何だか華やかな食卓になった。

黙ってりゃ良いのに、私は言ってしまうのである。言ってしまう性なのだ。
「今日の主題はね〜、"残りもの処分"。ヤバいものばっかだったの〜。」
食事中に、腹すかせて帰ってきただんなに言う言葉じゃないな、我ながら。
だが、彼は笑いながら言った。
「今日のテーマはぁ〜……"ヤバイもの"っ!」
鹿賀丈史調、ありがとうございます。

2/9 (水)
青梗菜ときのこのトロトロスープ
ひじき御飯
抹茶入り玄米茶

まんま昨夜の夕飯の残りもの。
ご飯は盛るだけ、スープはあっためるだけ。おう、なんて簡単なんだ。簡単すぎて、朝の時間が余ってしまうではないか。
そして私は思い出す。
せっかく、野菜庫から取り出しやすいように上の方に用意しておいたグレープフルーツを、今日も食べるのを忘れてしまったことを。
あああああ。

caffe AMERICANの
 ハンバーグ・エッグサンド
 コーンスープ

相変わらず飽きもせず、今日も私はパンを食べる。
本日は、会社そばの喫茶店、「AMERICAN」のやたらとボリュームのあるサンドイッチだ。
チキン、ハンバーグ、ツナに卵にポテトサラダ。それらを2種類併せてパック詰めにしたものが、入り口脇のカウンターにいつも並んでいる。今日はハンバーグサンドに卵サンドのセット。2切れなのに結構でかい。
400円のパックと一緒に200円のあったかいコーンスープも貰い、紙袋を抱えていそいそと会社に戻る。

玉ねぎやパン粉などの「つなぎ」が一切入っていないらしいハンバーグは、やたらと噛みごたえがあった。固いというわけでなく、「100%ひき肉を練ったものを齧ってます」という歯ごたえがする。
このハンバーグときゅうり、それにサウザンアイランド的ドレッシングが挟まったハンバーグサンド。パンの厚さ約2cmが2枚、その間にやはり厚さ2cmはあろうハンバーグが挟まっている。いつも思うが、何だかすごいサンドイッチなのであった。
卵サンドもきゅうり入り、サウザンアイランドドレッシング入り。卵は親指の先ほどの大きさに適当に切ってマヨネーズで和えられている。分厚いパンに、このざくざくと切った卵は妙に合っていて悪くない。

しかし。なぁ〜ぜ、いつも私は昼にパンを喰っているのか。

食べ物の好みが異様に似通っていて私はだんなと結婚したわけだが(無論、他の理由も沢山あるのでございますよ、ええ)、結婚後、あまりにも大きな嗜好の違いが発覚したのであった。
曰く、
「朝はご飯と味噌汁が良い」
のだんな。
そして
「朝はトーストとカフェオレが最高だ」
の私である。

カレー屋で、6種のカレーの「好きな順」が見事に一致する嗜好を持っていた私たちも、まさかそんな巨大な嗜好差があるとは思っていなかった。
まぁ、結局、「昨夜の残りのご飯と味噌汁を出して、らくちんさせていただこう」という結論の末に私が折れて、たいてい朝は御飯食がメインとなったのではあるが。

でも、パンが食べたいのだ。2日に1回、いや、3日に2回くらいパンっぽいものが食べたいのである。
私の血には、パン職人の血でも流れているのだろうか。(とか言い出したら、チョコ職人の血とか点心師の血も流れていることになってしまいますがな)

親子丼
冷や奴
大根と梅のみぞれ汁(インスタント)
麦茶

閉店前の木村屋ペストリーショップに飛び込んで30%引きの菓子パンをゲット。ついでに昔気質のナイスな豆腐屋、安達屋さんで絹ごし豆腐などを買って帰宅。

せっかく今日作ったばかりの豆腐を購入したので、早速冷や奴で食べることにする。大豆の香りがする豆腐は、まるでムースのようだ。かつぶしたっぷり、刻み葱とおろし生姜を少々、それにだし醤油をかける。

あとは、親子丼。
玉ねぎを味醂たっぷりの割り下でテレテレになるまで煮込んで鶏肉投入。火が通ったところで卵を落として蓋して少々、最後に三つ葉をパラリと散らして御飯に盛った。

な、なんかちょっと甘いぞ。息子好みにしてやろうとは確かに思ったが、味醂をちょいと入れ過ぎたらしい。
こっちは困惑してるが、何やら息子は美味しいらしく喜んでいる。鶏肉の塊3個にかぶりつき、小さなボウルに入れた御飯も玉ねぎや卵と一緒に全部たいらげ、あどけない顔で「ハイ」とか言いつつ空のボウルを押し出してくる。お代わり、らしい。
結局彼は大人用茶碗1膳分くらいの親子丼をたいらげてしまった。ちょっと、末恐ろしい。

2/10 (木)
木村屋ペストリーショップ
 アップルシナモンペストリー
 洋梨のデニッシュ
カフェオレ

木村屋ペストリーショップの閉店前30%オフセールは、本当にありがたい。
昨日入手したのは、リンゴの甘煮とレーズンをシナモンと一緒に生地で包んだペストリーと、上に粉砂糖がたっぷりかかった洋梨のデニッシュ。デニッシュは齧ってみると中にカスタードクリームとチョコレートが入っていて、ますます旨いがカロリーも怖いシロモノだった。

だんな用にはハンバーグ乗せペストリー。チーズとトマトも乗っている。それに昔ながらのクリームパン。
息子には、"特製クリーム入り"と札がついていたメロンパン。
3者3様のパンを、ブラックコーヒー、カフェオレ、コーヒー風味の牛乳、とこれまた3者3様の飲み物でいただく。

このお店のパン、店の雰囲気もレトロだが、パンもなんとなくレトロである。
見てくれが、ツヤツヤキラキラという感じではなくてどことなく野暮ったい。紙袋の中に入るパンも、ごく普通のテロンとしたポリ袋に包まれて入っていて、デパートのパン屋で包まれるような、半透明のシャリシャリとした油紙などは使わない。
「サンドイッチ用、くださいな」
というと、カウンターのすぐ後ろで、長く焼かれた食パンをシャーコシャーコとその場で切ってくれる。
ふと見ると、「少しだけ食パンを欲しいお客様に」なんて書いてあって、1/3斤からの値段が壁に貼られていた。
そこが、良いのだ。
変わってほしくないパン屋さんである。

銀座 かすみ亭の
 炒飯弁当
Asahiほうじ一番茶

「朝にパン食ったので、昼は御飯を食べよう」
と今日も自分の欲望に忠実な私は、昼御飯入手に出かける。

御飯弁当と言えば、「かすみ亭」だ。「お肉屋さんのお弁当屋さん」と看板を掲げたこの弁当屋は、確かに唐揚弁当だとかしゃぶしゃぶ弁当だとかが人気らしく、近隣のサラリーマンにも大人気だ。
何やらゴージャスそうに見えた、炒飯弁当を注文し、袋を抱えて会社に戻る。

んん〜、久しぶりに買ったが、相変わらず充実した弁当だ。たっぷりの炒飯、横に八宝菜、海老フライにマヨネーズつきの茹でブロッコリー、大根と豚肉の煮物に、牛肉と玉ねぎのにんにく炒め。味付け卵にナポリタンスパゲッティ、そして柴漬け。何やら凄い。八宝菜に、うずらの卵を大きな帆立がぬかりなく入っているあたり、ポイント高いではないか。
どれも弁当向けなのか、少しばかり味が濃い。
パラパラの炒飯には卵と豚肉、にんじんや葱がたっぷりと入っていて、冷めてる割に油っこくない。相変わらず美味しいぞ。
サラリーマン向けなのに、にんにく臭いおかずまで気にせず入っちゃってるところが、またよし。(いや、ホントはまずいんだ、営業なのに……)

ここのお弁当には、いつもいつも必ず醤油の染み込んだ味付け卵が1個ごろんと入っている。そして真っ赤な具のないナポリタンスパゲッティも。
まるでそうするのが何かの約束事のように、いつもいつも弁当容器の隅っこに、これらは並んでいるのであった。そして、どうということのない2品なのに、これが入っていると、「おお、かすみ亭の弁当なのだなぁ」としみじみ思う。
もしかして、私は店の策略に見事にはまってしまっているのだろうか。
なんて、愚にもつかないことを考えちゃったりなんかして。

なすカレー
ホワイトライス
アールグレイのアイスティー
ディサローノ・アマレットのロック

夕食〜。安売っていた茄子を買ってきて、今日は茄子カレ〜♪
にんにくと生姜を炒めて、鶏ひき肉を炒めて、そこに輪切りに茄子を投入し、煮込む。カレールーは使わず、カレー粉にターメリックとクミンとコリアンダーとチリパウダーとガラムマサラと……とぽいぽい適当にスパイス放り込んでしばらくぐつぐつと。
仕上げにココナッツミルクの缶を1缶放り込めば出来上がりだ。ココナッツの香り漂う、エスニック臭ぷんぷんのカレー。
確か、栗原はるみさんか、小林カツ代さんかのレシピだったと記憶する。

で、それには「ホワイトライスを添えよ」とある。
普段の御飯の炊き方の、水を半量牛乳に替えて炊く。バターもひとかけら、放り込む。ふわふわとミルクミルクした香りが漂う、面白い御飯。

「臭い食べ物には、臭い飲物ぉ〜♪」
と、飲物はアールグレイのアイスティ。
ん。何だかオシャレな夕食だ。調和してるかしてないかはわからないけど。

食事後、荷物が届く。
サントリーから、「ディサローノ・アマレットモニター賞品」と、ある。375mlの結構大きなボトルが段ボールより出てきた。
どうやら前にキャンペーンに申し込んだのが当選したらしい。我が家は何故か、食べ物や飲物関係のインターネット懸賞は結構当たるのである(そういうのばっか応募しているから、という説もある)。
杏の核から浸出したエキスが原料のリキュールだということだ。
早速ロックにして飲んでみると、杏の核が原料というだけあって、見事なまでの杏仁豆腐の香り。おお〜、美味しい。ナイス。杏仁豆腐リキュール、という感じ!(違うと思う……)杏露酒にも似た、でもアルコール度の高い、見事なまでの食後酒である。

2/11 (金)

銀座 Rin's Cafeにて
 前菜デリカ3種盛り
 海老蒸し餃子
 焼売
 大根餅
 旬のスープ
 牛肉のたたき
 海鮮卵炒め
 鶏蒸し御飯
 あんかけ焼きそば
 クリームパイ
 ジャスミンティ

給料日まで1週間。はっきり言って金欠である。
だが、今朝から私は笑顔であった。会社用の鞄の底から、「バークレーヴァウチャーチケット」7000円が出土したからである。加盟店に行けば、現金を使わずにお食事出来る♪るんるんるん♪

「バークレーチケットが出てきたので、皆で昼御飯を食べに行きましょう〜!」
と提案し、起きるなり(と言っても10時半を過ぎていたけど)パソコン前に座してホームページにアクセスして加盟店探しを開始する。
"陶陶居"なる中華料理店がヒットした。だんな曰く、
「有名な飲茶屋じゃない?会社の上司が"飲茶だったら陶陶居"とか言っていたし」
とのこと。有名?飲茶?だったら行くしかない!とこれから電話して行く旨伝えて、席を取っておいていただいた。
このとき、店の名前が"陶陶居"と聞き取れなかった、そして私がそれを確認しなかったのが失敗の始まりだったのかもしれない。

1時間後、店の前に立つ私たち。
だが、そこには「陶陶居」なる看板が無いのであった。妙に小洒落た看板には「Rin's Cafe」と書いてある。メニューは確かに中華らしいが、どうも「有名飲茶店」とは異なる雰囲気だ。
「どーするどーする」
「でも予約しちゃったし……そういえば店の名前が聞き取れなかったような……」
「やめるか、やめるか?」
「どーするどーする?」
と揉めつつ、とりあえず階下のその店に行くだけ行ってみることにする。

確かに中華料理のお店であるらしいが、やはりそのヌーベル・シノワっぽい雰囲気はまだ新しい店という感じだ。
聞くと、昨年12月に陶陶居がリニューアルオープンしてこうなったのだと、いう。とりあえず試しに食事してみることにした。

10種類ほどの点心、あとはスープや肉料理魚料理など、見開きメニューにずらりと料理名が並んでいる。見開きで済むのだから、あまり品数は多くはない。もう正午を過ぎており、すっかり空腹な私たちはあれもこれもと注文する。どうやら7000円のチケット全てを食い尽くすつもりのようだ。

テーブルに置かれたのはジャスミンティー。最初に来たのは3種盛り合わせの前菜だ。「デリカ盛り合わせ」とかいう、奇妙な名前がついている。
中身はくらげと牛タンと焼き豚。素揚げ素麺や花が飾られ、皿は煌びやかだが味はいまいち煌びやかでない。不味くはないが、"普通"。
「んん〜?」
「……普通、だね。良くも悪くも、普通だ。」
などと言いつつもしゃもしゃ食べる。
息子の前には「おこさまセット」。豚まんと焼売が1個ずつ、小さなつゆ麺とオレンジジュースと小さな杏仁豆腐がトレーに乗って600円。これに彼は満足らしく、両手で麺をつかんでひたすら食べている。

続いて、恭しく"牛のたたき"がやってきた。
キャベツやパプリカ、香菜が刻んで積まれた上に、薄切りの半生牛肉。ワンタンの揚げたものにピーナッツのかけらが散らされた大きな皿である。ウェイターさんが目の前で塩をふり胡椒をふり、油をかけて醤油をかけて、と次々動いて全体を混ぜ合わせる。アッピール力は充分だ。
しかし……味はやっぱり充分でなかった。何せ、牛肉が半解凍だ。
「私は、つい10分前まで冷凍庫で凍っていたんです」
という歯ごたえが見事に肉から歯に伝わってくる。ううう、あれだけ美しく目の前で調理して、それで半生かい。

何というか、この店、一事が万事そうなのであった。
美しい陶器の中国茶ポットの中の茶葉は少なく、"お代わり自由"をうたうくせに3煎目で見事な出がらしになってしまう。大根餅の風味は乏しい。海鮮卵炒めの中は蟹や帆立がそれなりにたっぷり入っているのに、どうも美味というほど美味ではないのであった。
悲しいほどに"可もなく不可もなく"の店である。
そして、悪いことに料理がいまひとつな店は大概、店員の態度もいまひとつだったりして「もう二度と行かない!」と言うに充分だったりするのに、なのに店員の気遣い、愛想は決して悪くはないのであった。店員まで"可もなく不可もなく"なのであった。

結局、満足したのかしてないのか、釈然としないまま店を後にする。
お会計は全部で9292円。7000円のチケットを持っていって2292円の赤字である。
その費用にも、やっぱり釈然としなかったりして、ますますトホホな気分である。ああ、私は"陶陶居"に行きたかったよ。こんなヌーベル・シノワ崩れな店でなく。

R1/Fの
 グリーングリーングリーンサラダ
 わさびの和風ポテトサラダ
 ベトナム風海老のサラダ
なすカレーライス
ビール

ドゥリエール
 ミルクレープ
カフェオレ

予定では「ポークソテーに千切りキャベツ、買ってきたサラダたっぷりに、味噌汁と御飯」だった今日の夕食。
だが、昼にあれだけ食べてしまったものだから、全然お腹が減らないのであった。
仕方なく、ビールを飲みつつサラダを食べる。せめてもと炊いていた御飯に、昨日の残りの茄子カレーをかけて。

ベトナム風海老のサラダは、何となく気になって買ってきてしまったものだが、これがなかなかヒット。甘辛いたれのかかったキャベツやにんじん、素揚げの海老は思い切り異国の味がする。辛くて、甘くて、これがんもうビールと合っちゃって、
「食欲、ないねぇ」
とか言っていたくせにがつがつ食べちゃう私たち。

そして、何故かデザートまであるのだった。
だんなが銀座で買ってくれた、ドゥリエールのミルクレープ。
銀座散策中、どうしてもフルーツパフェが食べたくなって千疋屋に行ってみたら大行列。デパートに行ってみたら今度はバレンタインキャンペーンでチョコ屋とそれに群れ集う女性客の山。
「パフェ〜、パフェパフェ〜」
と駄々こねていた私に呆れつつ、菓子売場の人混みをかいくぐって買ってきてくれたのだった。感謝感謝。
やっぱり、この店のミルクレープはサイコーに美味しいのだった。

2/12 (土)
トマトカレーのホットサンド チーズ入り
海苔バタートースト
カフェオレ

木村屋ペストリーショップで買ってきた12枚切りのサンドイッチパンを使って、今日はホットサンドだ。
初挑戦のカレーホットサンド。この日記で以前"他にバリエーションは無いものか"と漏らしたところ、読んでいた方から教えていただいたやり方だ(Y子さん、ありがとう!)。
「チーズと冷めたカレーを入れて焼きます。美味しいんですー。」
とのこと。千趣会のレトルトカレーなぞが棚に詰まっていたので、トマトカレーなるものを1つ取り出し、これを使用。チーズはコンテという半硬質チーズが冷蔵庫の隅より見つかったのでこれを使用。んんん〜、美味しくできるかな〜。わくわくわく。

が、パンとカレーとチーズをセットしたホットサンドメーカーからは「ジュクジュクプスプスプス」という、何やら不穏な音が立ち上ってくるのであった。ひょいと覗いてみると、カレーとチーズがパンから溢れ、ホットサンドメーカーからも溢れ、燦々たる状況になっている。カレーとチーズの焼ける香ばしい匂いが台所にたちこめちゃって、もう笑うしかない。

レトルトカレーを1袋、2枚のホットサンドの上に全部乗せちゃったのは、どうやら多すぎたらしいのである。(あたりまえや……)
購入後2度目、まだ白くてピカピカだったホットサンドメーカーは側面や内側が見事にカレー色に染まってしまったのであった。とほほほほー。バカバカ、私のバカ。

それはそれとして、カレーホットサンドチーズ入りは大層美味しかった。やっぱり、自分で作ったもっさりした粘度の高いカレーのほうが美味しいのだろうと思う。手抜きはいかんな、手抜きは。

そして、おまけに海苔バタートースト。残ったサンドイッチ用のパンに、バターをたっぷり塗って上に焼き海苔1枚べろんと乗せてトーストする。
これがんもう、黒い見かけは美しくないかもしれないがめっちゃイケる。海苔とバターはさりげなく好相性だ。
私もだんなも、これが大好きなのに、
「ブキミだから、ヤ」
という人もいるらしい。だんなが職場で
「騙されたと思ってくってみろ」
と勧めたのに、
「騙されたと思うに決まってるから、ヤ」
と断られちゃったのだそうだ。
そんなこと言わずに、騙されてみてくださいよ。ねぇ。

ざるそば
抹茶入り玄米茶

ハーゲンダッツのアイスクリーム

連休2日目。新宿行こうかー、買い物するかー、と言っていたのにだんなが風邪でダウン。
午前中から寝込み始めたと思ったら、いきなり38.6℃の高熱になってしまった。

で、赤い顔した彼のリクエストに応え、昼食はキンキンに冷やしたざるそば。
海苔をたっぷりかけて、長ねぎも多めに。

食後用に彼好物のハーゲンダッツのバニラアイスクリームも買ってきてみたのに、半分も食べられないようだ。そりゃ……重症だ……。

ほうぼうのアクアパッツァ
南瓜のクリームスープ
御飯
ダージリンアイスティー

病人食を作ってあげたいところだが、冷蔵庫には今日食べる用の生魚やあさりが入っているのであった。プチトマトをオーブンで焼いて乾かした、自家製ドライトマトも怠りなく準備されている。
そう、今日はアクアパッツァを作る予定だったのだ。
病人に聞くと、それでも食べるというのでアクアパッツァを決行。

"ほうぼう"なる魚を触るのは初めてだ。腹を裂き、内臓出してエラを取り……とモノの本には書いてあるが、この魚は皮が厚いらしく、包丁がなかなか通らない。通ったと思ったら、赤くて茶色くて緑色の内臓がドバ〜っと出てくるし、エラからも緑色のヒモ状のものが伸びているし、何だか泣きたくなってくる。やらなきゃ慣れないし、できるようになりたいし、と前向きに魚の内臓には触るように心がけているが、それでもヌラヌラした魚の皮膚を触っていると、言い様のない気持ちになる。

多分数日前には海を泳いでいて、この臓器も動いていたのに、今は死んでしまってるのね〜、有り難く美味しくいただかなきゃ悪いわよね〜、と殊勝に思いつつ、多分そう思うのは悪いことじゃないような気がして、だから私は切り身の魚より丸のままの魚が好きなのだ。
ああ……偉そうなこと言ってるけど、でも……キモチワルイ。あああ、血糊潰しちゃったよ、"ぶちゅっ"だって。ひいぃぃぃぃ。

ともあれ、たどたどしくも内臓を取り去ったほうぼうが目の前に置かれている。
塩をたっぷりふって、たっぷりのオリーブ油を熱したフライパンでこんがりと。焼けたところにアサリとドライトマトとオリーブの実を投入し、続いて水をカップ1ほど、たっぷり注ぐ。水がじゅわーっと"気狂い"のように跳ねて、これがいわゆるアクア=acqua(水)・パッツァ=pazza(気狂い)の名の由来。
潰したアンチョビとケッパーも放り込み、煮立った水を魚にかけつつ、数分ぐつぐつと煮れば完成だ。

イタリア料理ならではの、ケッパーやらアンチョビやらオリーブやらがどかどか入った料理なのに、なのに妙に炊きたて御飯に似合うから不思議。アサリと魚のだしをたっぷり含んだ汁を御飯に含ませると、なにやらしょっつる汁のような感じまでしてくるのであった。

2/13 (日)
海苔バタートースト
牛乳

どうも、1つ気に入るのができると連続して食べ続けるのが私の悪い癖なのであった。
中学生の頃はフレンチトーストにはまり、毎日毎日朝食がフレンチトーストになったし、数年前はクロテッドクリームたっぷりつけたスコーンにはまった。連日連夜ならぬ連朝、ミルクティーにジャムにクリームにスコーン。カロリーさえ気にしなければすばらしい朝食が続いたのであった。

そして、今は海苔バタートーストがブームらしい自分なのであった。
トーストにバターをたっぷりつけると良い具合に塩辛くなって、それがまた海苔と合うのである。

宅配寿司の
 上ちらし
 吸い物
抹茶入り玄米茶

ももかん

相変わらずだんなは病床。と思っていたら、今度は息子まで高熱を出し始めた。
病人花盛りのせりあ亭連休最終日である。とほほほほ。

昼飯は、だんなの「寿司なら喰えそう」のリクエストに応え、宅配寿司にすることにした。
息子と二人で食べられるし〜と頼んだ1600円の上ちらし。二段重ねで、一段は御飯、一段は刺身がたっぷり入っている。御飯の上にはピンクのでんぶと海苔と錦糸卵。まぐろやはまちや帆立や穴子の刺身も案外旨くて、食欲不振のだんなと息子をよそにガツガツ食べちゃう自分である。

でんぶ、って好きなのだ。子供の頃からの好物は、やっぱり今でも嫌いになれない。あんなに不気味な色だというのに、やっぱり見るとココロときめいちゃうのである。
幼き頃良く連れていってもらったお寿司屋さんでは、私が"でんぶ好きな子供"というのが把握されていた。
席につくと、まもなく「でんぶの軍艦巻き4個セット」が私の前に並んだのだ。
今から思うと、あれはイクラやトロや甘海老などの高いネタばかり好きだった私に対する親の策略だったような気がするのだが、でも案外嬉しかったんだな、でんぶの軍艦巻き。

タンシチュー with マッシュポテト・にんじんグラッセ
バターハーブライス

昨年のクリスマス、リキを入れて作ったドミグラスソースがまだ冷凍庫で固まったままだった。
折良くおととい、デパートで安売りしていたシチュー用牛タンを入手。昼過ぎからトロ火でぐつぐつ煮てみた。んが、煮るのは良いが家人は全員ぶっ倒れ中だ。明日は食べられるかな〜、と考えていたのに、だんなが食べられそうだというので今日の夕食になることになった。

ソースに野菜は入っていないのでじゃがいもと人参を添えることに。にんじんはコンソメと砂糖で煮てバターで照りをだしておき、じゃがいもは茹でて潰してバターと牛乳を入れてマッシュにする。
昨日炊いた御飯が残っていて少々カピカピになってしまっていたので、バターを放り込んで香りづけにハーブを散らしてごまかして。
これが結構良かったらしく、ベッドから起きあがっただんなはさらりとシチューと御飯をたいらげた。

やっぱり病気で"食欲がなくなる"のが何というか一番心配だ。
風邪でも何でも、"食えてる間はOK"と思ってしまう。
どうやらだんなは復活の兆し。息子は好物のバナナも拒否する現状。あ〜こりゃこりゃ。