食欲魔人日記 04年02月 第4週
2月23日 月曜日
胃腸の弱いあなたに、すうどん
森永 あじわい練乳いちごヨーグルト

朝起きると、いきなり絶不調だった。お腹いたーい、吐き気ぐるぐる、トイレに行ってみれば、芸術的なまでの腹下り状態。寒気もある。家族全員分の弁当を作るつもりで早くに起きたのだけど、とても起きていられる状態じゃないなともう一度布団に倒れこんだ。

「だ、だんな、だんな?」
「……」
「だんなぁ〜」
「……なんだぁ〜」
だんなに声をかけ、なんだかすっごく体調が悪いんだよと伝えると、「ああ、そりゃ、風邪だ」と。そういえば、数日前に幼稚園からのプリントに「下痢とおう吐の症状が出る風邪が大変流行っています」と書いてあったなぁと思い出しつつ、もう起きていられなくて布団ひっかぶって横になる。

「俺が幼稚園連れてくから。迎えはおかんに頼むとして……」
「なにか作っておこうか?豚にんにくおじやとか」
「飲み物枕元に置いておこうか?」
色々、声が聞こえてきたけど、私はほとんど意識がないまま「だいじょぶー」とか「いらなーい」とか呟くだけで、そのうち私は本格的に寝てしまったのだった。"起きていられない"なんて状態になるのは、本当に久しぶりのことだ。

何度もトイレを往復したり、こういう時にかぎってかかってくる仕事の電話を何本か受けたりしつつ、次にはっきりと覚醒したのは午後2時過ぎてお義母さんからの電話があったとき。
「あのねぇ、今、幼稚園から戻ってきたんだけど、"おばあちゃんの家に行きたい"って言ってたからうちに連れてきちゃったの。大丈夫?夕飯食べさせてから帰そうか?」
ああ、なんてありがたい言葉。ありがとうお義母さん。

胃腸の具合が悪いときには絶食した方が良いと思うのだけれど、でも何か胃に入れてから薬を飲んだ方が良いんじゃないかなー……と、冷蔵庫を漁って目があったのが「練乳いちごヨーグルト」。これなら食べられそう〜♪と午後2時過ぎての本日初めて口にした食べ物がそれだった。

すうどん

いつもよりちょっと早めに帰ってきてくれただんなが息子をおばあちゃん家に迎えに行き、私の夕御飯も作ってくれた。
「うどんでいい?柔らかく茹でて、ほんとに麺だけ」
「……ねぎ……冷蔵庫にあるよ……?」
「いや、あるのは知ってるけど、その腹具合じゃ刺激物は入れないほうがいいって」
「……あ、そうか……」
と、絵に描いたような「すうどん」が出てきた。うどんとだし汁だけの小どんぶりだったけど、胃袋に染み渡る美味しさだった。あー、あったかいなー、とか、あー、柔らかいうどんだなー、とごくごく軽めのそれを食べ、今日の食事はそれで終了。

私が胃腸をやられるということは滅多になくて、反対にしょっちゅう胃腸をやられるだんなが絶食状態で寝込んだあげくに2kg痩せた3kg痩せたという話をするたびに、「いーいなぁ、私も胃腸ガツンとやられて寝込んで痩せたいなぁ」などと酷いことを言っていたのだけど、今回思い知った。胃腸は壊さないに限る。食欲が沸かないのも悲惨だし、ずーっと下腹がシクシク痛むのも我慢ならない。「ちゃんと食べられるけど熱や咳が悲惨」という事態より露骨に体に力が入らなくて、私の体力メーターがジャーッと音たてて数値が下がっていく感じ。
しっかり寝て、明日には治すぞー。

2月24日 火曜日
病み上がりに、常夜鍋。
「入舟製パン場」のコーンマヨパン
牛乳

だんな、今日は仕事を休んで一人日帰りスキー。東京からガーラ湯沢まで、JRのチケットとリフト券と何やら何やらついで1万円チョッキリくらいなのだそうだ。一緒に行こうよ、と前から誘われていたのだけど、興味ないわけじゃないんだけど日帰りでブイブイ行くほどのやる気もないというかー……とゴニョゴニョした私の返答により、結局だんな一人で行くことに。そして私は昨日から近年稀に見る体調不良だったりした。

「いいよー、スキーはキャンセルするよ、心配だし」
「いーや、スキーに行っても行かなくても私の体調に変化はないわけだから。行ってらっしゃいな」
「えー、でもそれじゃ、俺が心苦しい」
「キャンセル料がかかる方が、私としては心苦しい」
「えー、でもー」
「いいから、行け。行ってこい。行けったら行け」
行け行け行け言ってたら、結局行くことにしたらしい。朝6時過ぎに起きてひっそり家を出ていっただんなは、それでも息子のお弁当を作っていってくれた。あああ、ありがとう……。

さて、腹痛及び下痢及び吐き気及び微熱に昨日の朝から悩まされていた私。今日はそれでもほんのり楽にはなっていた。昨日が97ダメーだとしたら、今日は63ダメーくらい。昨日はトイレとベッドの往復がやっとだったけれど、今日はトイレとベッドの間にスクワット6回くらいは挟めるかな、という感じ。息子の幼稚園送迎も、なんとかなった。

多少は胃腸がシャンとしてきたのか、やっと空腹も感じるようになってきていたので、昼御飯にパンを1個。日曜日に中野で買ってきたコーンを乗せたパンをじんわりと中まであっため、牛乳傍らにもぎゅもぎゅと囓った。中野のアーケード商店街、「ねりまだいこん酵母」なるポスターを掲げたそのパン屋さんの名前は「入舟製パン場」。客の入りも多く、店内がピカッと良い感じの輝きがあって、なんとなーく美味しそうなオーラが漂っているお店だった。友人Sちゃんと一緒に歩いていて、
「……あ、ここ、美味しそう。気になる」(←そういう風に直感のまま赴くのはいつも私……)
「うん。寄ってく?」(そしていつも嫌がらずつきあってくれるSちゃん……)
と、プララララーッと立ち寄っていくつかパンを買ってきたのだ。月曜のうちに食べられれば良かったのだけど、そうもいかず……。

腐ってたらすまん、食べられるだけ食べてやるから!……とあっためてみたパンは、少しも傷んでいなかった。もちっとしたパン生地に、マヨネーズ、コーン。しっかりと粉の味がする、なかなか美味しいパンだった。昨日ならもっと美味しかったんだろうけど、食べられなくてごめんよ。

常夜鍋(通常比40%削減量)
ビール(モルツ)・麦茶

「せりあさん。その症状は、牡蠣です」
「牡蠣は1日置いて出ます」
今日の午前中にやっと昨日の分の日記の更新ができて、数時間後、読んでくださった人から届いたメール。
牡蠣?まさか、食べてから36時間は経過しているのに?……と思いつつ調べてみたら、

(牡蠣に含まれる食中毒細菌である、小型球形ウィルスSRSVの)潜伏時間は24〜48時間で、下痢、吐き気、腹痛、発熱(38℃以下)が主症状です。
だそうで……症状はもう、どんぴしゃり、というか(38℃以下の熱というところまで)……もう笑うしかないというか……。確かになぁ風邪による下痢とかとは、なーんか違うような感じがあったしなぁ、と思いあたるフシはありすぎるほどあるわけで、多分今回の体調不良は「牡蠣あたり」なのかな、と。おのれ小型球形ウィルス。

というわけで、「牡蠣は1日置いて出ます」。でも多分、私の今回の症状なんて可愛らしいもんだと思う(吐き気はずーっとあったけど、結局一度も吐かずに終わりそうだし……)。もう一息だ私の胃腸。がんばれ。負けるな。(←普段酷使しておいて……)

だんなが帰ってきたのは、7時の時報が鳴った頃。「鍋が食べたい」と伝えておいてみたところ、「では常夜鍋?」と、肉とほうれん草を買ってきてくれた。我が家の常夜鍋は、ほうれん草と豚バラ肉を昆布だしでシャバシャバと煮て、ミツカンごましゃぶにつけてひたすら食べる、というもの。

その家ごとに「胡麻だれではなく、おろし醤油で」とか、「胡麻だれだけど、もっと具の種類はたっぷりと」と色々あるらしいのだけど、だんなの実家からの伝来の我が家版はひたすらに豚肉とほうれん草とミツカンごましゃぶ、最後にはうどん。笑っちゃうほどシンプルな味なのだけど、これがなかなかどうして箸が止まらない美味しさだった。昨日何も食べられなかった人が、豚バラとかほうれん草みたいなアクの強そうなもの食べちゃっていいのかしら、と他人事のように思いつつ、がふがふと食べる私。

「……で?スキーはどうだった?昼御飯は何食べたの?カツカレー?」
「うん、カツカレー」
「そう」
「……って、何で知ってるの……?」
おゆきさんまさかあの時あの場所で俺の背後にいたのか!?と、だんなに本気で脅えられてしまった。オムライスにしようかなー、カツ丼やラーメンもあるなー、とメニューを眺めて散々考えて決めたカツカレーなのに、私にあっさり見透かされてすっごく悔しいのであるらしい。いやーだってさ、スキー場で食べるお昼と言えば、カツカレー……(あとビールとか雪見だいふくとか……)。

今日も夫婦間電波の送受信はばっちりのようで、そして私は食後にあっけなく腹痛が復活してしばらく横になる羽目になるのだった。うーん、牡蠣かなー、やっぱり風邪なのかなー。

2月25日 水曜日
息子さん、ちょーっと茶碗撮らせてもらうわよ
うすうすお茶漬け

……油断した。

月曜の朝に吐き気と腹痛と下痢と微熱に襲われて、「風邪か!?牡蠣か!?」とオタオタしながらも昨日の火曜日はちょっと楽になったので、ついあれこれ食べちゃったのだった。たっぷりのほうれん草に豚バラ薄切り肉という、胃腸にはあんまりよろしくないのじゃなかろうかという「常夜鍋」を。

……したら、今朝はまた猛烈な腹下りに……(号泣)
(食事日記なのにねぇ、ほんとにこんな話ばっかりで……)

吐き気や熱はもうないものの、腹痛と下痢が見事にぶりかえして、さぁお弁当を作りましょ♪と冷凍御飯をチンしただけで、その後布団(とトイレとのピストン運動)に逆戻り。
「うええぇぇぇん、だんなぁ〜」
「なんだぁ〜」
「……ダメぽ」
「そうか、ダメか。では寝てなさい」
「……よろしくね?」
「……何を?」
「……よろしくね?」
「……だから、何を?」
「弁当作りと、息子送り……」
「あー、うん。はいはい」
熱とか咳とかだと悲壮感漂うけれど、下痢というのはあまり悲壮感が漂わないもののようで、だんなからも心なしか「もー、しょうがないなー」という気配が……。すみません……。

かくして、今日は本当に一日節制していよう、と心の底から決意して、ちょっと水で薄めたスポーツ飲料などだけ飲んでみていたり。そして、こういう体調の日に限って非常にタイミング悪く「お弁当パーティーのご案内!」なんてプリントが幼稚園の連絡帳に挟まってきたりした。

要するに、「1年過ごした友達とのお別れ会をするから、皆でつまめるようなお弁当を各自持ってきて昼食会をしましょうね」というものらしい。趣旨はわかったし、内容もすぐにわかったけど、B4版プリントにはみっっちりと今回も細かな指定が入っていた。息子の幼稚園、いっちいちいちいち細かい指導をするのが大好きなようなのだ。

「お寿司かおにぎりかサンドイッチかのいずれか1種類を10個作ってきてください」
「子供が一口で食べられるような大きさにしてください」
「お母さんのアイデアを生かしたおいしいお弁当をお願いします」

ここまでは、良い。問題はこの後で、

「細巻きは1本の1/4くらいの大きさに」
「太巻きは1本の1/8くらいの大きさに」
「おにぎりは小さめの三角や丸、俵型など」(それ以外にどんな形があるってんだい……)
「中身やまわりにまぶすものを工夫してください」
「お赤飯や炊き込み御飯も良いですね」
「ロールサンドは1枚で作って1/2の大きさに」
「ロールパンはを使うときは小さいものを使用し、市販の大きさのものは1/2の大きさに」
「手作りあんぱん、手作りメロンパンなども小さめに」
etcetc……

あーもーあーもー、うるさいなぁ、という感じ。御丁寧にイラストつきで「ハートのサンドイッチ」とか「手作りあんぱんまん」「サッカー型おにぎり」なんてものまで紹介されていて、幼稚園が「お母さんのお弁当」に何を求めているのかが感じられちゃうような内容だった。まぁ、「パーティーだから」というのもあるんだろうけど、私はサンドイッチをハート型にするような意味のない細工はキライなんだな。そこまでいちいち「指定」しなきゃ気が済まないんだったら、指定通り作ってくれるデリバリーでも頼んでパーティーしたほうが精神衛生上お互いに良いんでは……とまで思ってしまう。

プリントの内容もさることながら、以前そのイベントのスケジュールだけを知らされたときに
「そっかー、お弁当パーティーかー。冷めても美味しいマカロニ&チーズでも工夫してみるかな」
とか思っていた私は、お寿司でもおにぎりでもサンドイッチでもないそれを作るわけにはいかなくなって、かなりショボンな気持ちになっちゃったのだった。んもー、んもー、んもー(空腹も影響して苛立ってます)。

そんなこんなで、今日はスポーツドリンク以外何も固形物を口にしないまま、夜に。ずーっと腸がグルグル言ってるせいか、あんまりお腹も空かないのだった。本日のだんなの帰りは遅い予定。
「スパゲティでも茹でようか?おかあさんはね、まだちょーっとお腹痛いから、あんまり食べられそうにないけど……」
息子に相談してみると、
「ごはんは、ある?イクラがれいぞうこにあるし、あと、のりがあればいいんじゃない?」
と提案された。

ごはんとイクラでね、のりを巻いてたべるだけでいいのよ〜とか言ってるので、白い御飯を準備。さすがに御飯だけじゃ可哀想すぎるので、ワカメの味噌汁も準備。そして私は、御飯茶碗に2口分くらいの御飯を盛りつけ、お茶漬け海苔をかけ、熱い湯をた〜っぷりダバダバドバドバ注いで汁気たっぷりの雑炊風にして軽く啜ることにした。これなら胃腸への負担は軽いはず……だといいなぁ……。

イクラは、一昨日に私が最悪の体調だった時に息子が義母宅で夕飯としていただいて更にお土産に持たせてもらったもの。旬の時期には生スジコをほぐしてイクラに仕立ててくれるお義母さんだけど、今の季節は生スジコそのものが手に入らないということで市販品のイクラ。義母宅での夕飯でも、これでもかとイクラを食べてきたらしい息子だったけど、今日もうきうきとした風情で冷蔵庫からイクラの器を出してきた。

「いっただっきまーす」
「いただきまーす……手抜きでごめんね……」
申し訳なく思う私の眼前で、やっぱり何だか楽しそうな息子。もくもくと、
小皿に焼き海苔を乗せる→御飯一口分乗せる→イクラひと匙乗せる→巻いて食べる→皿に海苔を……
をえんえんと繰り返し始めた。あのね、おばあちゃん家で、こうして食べたなんだよ?とか言いながら、ひたすら海苔巻きを作っては口に運ぶ、を繰り返す。

ああ、きっとお義母さんは孫に「ボンボン(←イクラの事を何故かこう呼ぶだんなの実家)たべる?海苔で御飯巻いてあげようか?」と一生懸命世話してくれたんだろうなぁ、と。端でずっと見ている親としては、3歳から4歳、4歳から5歳であれもできるこれもできる何でもできるようになった……というのが良く見えていて、今では
「そのくらい、自分でやんなさい」
ということばかりなのだけれど、おばあちゃんにしてみれば"まだまだちっさい孫"なのだろうなぁ〜と。あまりだんなの実家に連れていってあげたりしてないしな……と反省。

「おばあちゃん、巻いてくれたなんだよ?」
上目遣いで私を見る息子に、
「あらそうなの〜、良かったじゃない。でも、自分で巻けるでしょ?」
と今日も我が子に試練を課している私だった。ふふふ、強くおなり(胃腸も強い方がいいぞ……)。

2月26日 木曜日
マッケンチーズ♪(そして肉!)
マッケンチーズ
鶏の塩焼き 山盛りクレソン&マヨネーズ添え
「R1/F」の
 柔らかイカと野菜のマリネ マスタード風味
 春野菜と海老のグリーンサラダ(正式名称不明)
ビール(モルツ)・麦茶

体調を崩してから、今日で4日目。そろそろ良くなっても良さそうなものだけど、昨日の体調を鑑みて、私が我慢できるところまで今日もなるべく飲み食いしないようにしよう、と決意する。多分、そろそろ大丈夫だろう。大丈夫だといいなぁ。

息子のサンドイッチ弁当を作り、コーンフレークを食べさせ、私はスポーツ飲料だけの朝御飯。だんなは
「ん〜……鮭イクラ丼でも食べていこう……」
と吉野家経由で出勤していった。息子と一緒にテーブルにつき、朝食を終えるまで共にいると息子は今日もあれこれしゃべるしゃべるしゃべる。

「あのねおかあさん。ようふくについちゃった汚れがね、ごはんつけると、きれいになるなんだよ〜」
なぜか"生活一口メモ"みたいなものが好きな我が息子。
「あのねぇ、"いとうけのしょくたく"でやってからね、おかあさんもやってみな?」
特に「伊東家の食卓」がお気に入りだった。なんでそういうのが好きなの?息子……。

やたらと空腹感があるってことは、きっとほとんど体調が戻っているということなんだろう。
「でも、我慢よ〜、もうちょっと我慢なのよ〜」
と我慢して我慢して我慢して、夕飯まで我慢。今日の夕飯はマッケンチーズ(マカロニ&チーズ)。肉も食べたいので、鶏肉をシンプルに塩焼きにしようかなぁ〜と思っているところ、今日は帰って来られないかなと思っていただんなが帰ってこられることがわかった。じゃあサラダも作ろうかな、いや、あんまり野菜買ってなかったんだっけ、と家の中で右往左往し、結局
「マッケンチーズと鶏の塩焼き作るけど、サラダ買ってきてくれると嬉しいな」
とだんなに御報告。だんなとサラダが帰ってくるのを待ちつつ、久しぶりな気分で台所に立った。

「マッケンチーズ」とは、10ヶ月のアメリカ滞在中で、おそらく息子が一番好きになった食べ物だと思う。「Macaroni & Cheese」とか「Mac'n Cheese」などとキッズメニューに載ったそれはファミレスで、ステーキハウスで、もう色々な場所で見かけることができた。だからといって子供だけに向けた料理というわけじゃなくて、定食の付け合わせみたいな存在でもある。南部風フライドチキンとか分厚いローストビーフなどと一緒にしょっちゅう食べていた食べ物だった。

オーブン焼きにしたクリーミーなグラタン状のものもあるけれど、メジャーなタイプはコッテコテギットギトのチェダーチーズ味のもの。鮮やかなオレンジ色をしたチーズクリームが絡まるマカロニは、アメリカの食生活に良い思い出がある人は、割と嬉しそうに
「ああ!あれね!」
と言い、反して悲惨な記憶が多い人は
「ああ〜、あのギットギトのマカロニね……」
と苦い顔をするものらしかった。ここ何代もの代々のアメリカ留学者とだんなが会話した結果、抱いた印象がそんな感じだったらしい。

で、我が家は揃いも揃って皆してマッケンチーズが大好物。
バターで小麦粉を炒め、生クリーム(牛乳でも良いんだけど、たまたま生クリームがあったから)を加えてホワイトソースにし、そこにおろしたチェダーチーズをどさどさ加えて溶かしたら茹でたてのマカロニを加える。本当は短く細い、すスーパーで安売りされているタイプのマカロニが似合うのだけど、今回は安売りしていたペンネを使用。鶏肉はオーブンで焼こうかスキレットで焼こうかあれこれ悩んで、「……コンロ、ふさがってるしね」と今日は魚焼きのグリルで焼いちゃうことにした。脂が網の下に落ちて良い感じなのでは?と思いつつ焼いたら、とってもとっても良い感じに皮がパリパリに焼き上がって私は御機嫌。

ペンネが茹で上がる2分くらい前に帰ってきただんなは、これが買ってきてくれた何度目かのイカのマリネサラダと、今回初めての春野菜のサラダを手にしていた。駅ビルには3〜4店はサラダを扱うお店があるのだけど、やっぱりアールエフワンが無難だしけっこう美味しいなと思っている。この冬に何度か買っていたイカのマリネは好みな具合の淡い酸味と粒マスタードのプチプチした感じが好きだった。

「奥さんも息子さんも、お待たせしました。いただきます」
「いっただっきまーす」
「さぁ、食べるわよ〜。食べちゃうのよ〜」

おゆきさん、忠告しとくけどね、自分が食べられると思う量の半分くらいにしといた方がいいと思うよ。常夜鍋のときはね、可哀想に〜って思ってたけど、これでまたぶりかえしたらそのときは呆れるからね。
……とだんなは忠告してくれたけど、もう禁欲制生活も限界の私。食べるの、食べちゃうの。食べちゃうったら食べちゃうの。とモリモリとマッケンチーズと塩焼き鶏を堪能した。コテコテチーズのペンネ、消化にはいまいち良くないかもしれなかったけれど、私は存分に楽しめた。
……あとは、明日の朝の、私の胃腸に期待。

2月27日 金曜日
カレーよー、カレーだわー
バナナ
もみじ饅頭
牛乳

「腹具合、よーし!腹痛、なーし!」
元気に起床。起きてみれば、だんなはとっくにスポーツジム経由の出勤にと出かけた後だった。ああ、私は今週、一度も行けなかったなぁと思いつつホゲホゲと起床。
「起きてー起きてー、息子、起きてー」
「……」
「起きないと、幼稚園休みになるよー」
「……だーめー、やすまないぃ〜」
「朝御飯はパンにする?それとも、バナナとかカリカリとか」
「バナナ」
食事のリクエストは即答かい。

で、息子と2人の朝御飯。リクエストに応じて、バナナと牛乳の朝御飯に、そういやあと数個残ってたよねと餡入りのスタンダードなもみじ饅頭を1個ずつ。

ああ、腹が痛くない朝というのはなんて幸せなことなんだ。
今まで、胃腸を壊して寝込む(そして何キロか痩せる)だんなに
「いいないいな、私も胃腸壊して効果的なダイエットを……」
とか酷い事を言っていたのだけれど、ごめんなさいもう言いません。腹下しなんて、もうこりごりさー。

「ファミリーマート」の夜市魯肉飯・芒果布丁
麦茶

5月頃から9月頃の期間、私はいつもより頻繁にコンビニに足を向けている。目当ては大好物の「マンゴープリン」。夏のデザートというイメージがあるみたいで(マンゴーそのものは一年中輸入されているんだけれどね)、そのあたりでコンビニのオリジナルデザートのマンゴープリンやら、各種メーカーのマンゴープリンがわさわさと出てくるのだった。2月の今頃は、ぜーんぜん注意を払っていない季節だったりする。

そんなとき、「ファミリーマートで新シリーズが出てますよー」という御報告をいただいた。なんでも「A-sian!台湾」なるキャンペーン中で、弁当やデザート類をシリーズ展開しているらしい。
「台湾?台湾飯?」
と、マンゴープリンが気になるのと同じくらい台湾飯に思いを馳せながら、久しぶりのファミリーマートに足を踏み入れた。

デザートは「芒果布丁」(マンゴープリン)と「珍珠芒果」(タピオカ入りマンゴープリンドリンク)があるらしいのだけど、残念ながら後者は棚に並んでいなかった。なんでもブラックタピオカが入った、マンゴープリン味の(←マンゴー味とどう違うんだろう……)飲み物らしいのだけど、見つからなくてちと残念。目当てのマンゴープリンと、「夜市魯肉飯」なるめちゃめちゃ魅惑的な名前の、けっこう魅惑的な外見のお弁当を買ってきてみた。ファミリーマートは前からアジア系のお弁当シリーズを出していて、すんごく好きだったものもあったよなぁ〜と思い出しつつ帰宅。コンビニ弁当はかなり久しぶりな気がする。

「……どこがルーローハンだー?」
苦笑いしながら、平べったい丸い器に入った御飯をかっこんだ。御飯の上には甘辛く煮たそぼろ(これはまぁ、魯肉飯っぽい)、スライスした豚バラの煮込みが数枚(これは角煮であって魯肉飯の"魯肉"とは違う気が……)、もやしのナムル風のオイリーな和え物に、炒め青菜(花ニラかしらん、それとも葉玉ねぎ?)。中央に半割にした煮卵1個。
「なんか、違う……激しく違う……」
と思いつつ口にしたのだけど、角煮がなんかテローンとイヤな感じに甘ったるい味がして、期待ほどには美味しくなかった。んー〜、4〜5年前に何度も食べた「アジアごはん」シリーズとかって、もっともっと美味しかったと思うんだけど、いかにもなコテコテコンビニ味になっていて、ちょっと悲しい。この魯肉飯の味なら、台湾で60円くらいで買ってくる魯肉の缶詰を御飯にかけて食べたほうがずっとそれっぽいかなぁと。

んで、マンゴープリン。こちらはシロップ漬けの缶詰マンゴーとおぼしき果肉がヤケクソのようにこれでもかと投入されたもので、ちょっと面白かった。普通は、プリンの生地の間にちらちらと果肉が入っているか、あるいは全く入っていないもの……というのがメーカーものマンゴープリンのスタイルなのだけれど、これはもう、果肉の間に生地が入っている状態。
「でも、なんか、缶詰マンゴーだと桃缶とかと大差ない味がしてよくわかんないのよね」
とか言いつつペロリと平らげた。ん、なかなか美味しいかもー。

ポークカレー
茹で菜の花、ラディッシュ、プチトマトのサラダ
ブロッコリーとベーコンのスープ にんにく風味
福神漬
ビール(モルツ)

「今日は多分遅いと思う」とだんなから言われている今日の夕御飯。

「なんかこう、ワンプレートディッシュとかにしたい気分……野菜いっぱい添えて……」
と冷蔵庫をガサガサしていたら、日曜日に購入したものと思われる豚肩ロースの塊肉が出てきた。鮮度オッケー、問題なーし、と、「えっとー、スライスして焼いて、バルサミコ酢のソースでイタリアンな感じにして、茹でてバター絡めただけのパスタとか添えて……」なんて洒落た事を考えていたはずなのに、いつのまにか肉パック握りしめて
「いや、やっぱカレーだな!」
とか言っている私……。
豚の塊肉を見ると条件反射のようにカレーとか煮豚とか角煮とかにしたくなる自分の嗜好がちょっと情けなくなりつつ、でも、「家の御飯」で食べたいのって結局そういうものに偏りがちだ。

「……あ!カレーかな?」
まな板の脇に用意された「こくまろ」をめざとく見つけた息子が、嬉しそうに聞いてきた。
「うーん……カレー……かなぁ?カレーがいいかな?」
「ぼくはねぇ、カレーが好きだなぁ。カレー♪カレー♪カレー♪」
踊り出してしまったので、こりゃ「カレーやめた」とか言ったら暴動になるかなぁと、やっぱりカレーにすることにした。みんな、カレーが大好き。

「今日、帰れそう」
というメールをよこしてきただんなも、
「ああ、そりゃ良かったね。今日はカレーだよ」
と返したら
「カレー!帰る!絶対帰る!」
と熱いメールを返してきた。ほんとにみんな、カレーが大好き。

シンプルめな野菜スープを作ろう、と、ベーコンとブロッコリー入りのコンソメスープを。玉ねぎをどっさり入れて、ほんのりにんにくで風味づけした。あとは、野菜を食べましょう、と、茹でた菜の花とスライスしたラディッシュとプチトマトを皿に盛りつけ、お気に入りのオリーブ油を回しかけてからパルメザンチーズを皮剥き器でヒラヒラと削って散らす。最後に岩塩と粒胡椒をガーリガーリ。昨日は肉に飢えていたけど、今日は野菜に飢えてるのよ。

私が作るカレーは、毎回毎回具が大きい。今日は新じゃがを皮つきのまま放り込んだので、ますますゴロゴロした外見になった。肉にしっっかりと塩胡椒してカレー粉まぶして炒めたので、じわっと辛いいーい感じのカレーになった。子供がいても、我が家のカレーは容赦なく中辛。そういえば一度も甘口のカレールーは買ってきたことがなかったなぁと、「もしかして、離乳食の頃から中辛だったのかしら」と数年前を振り返る。……ヨーグルトとか生クリーム入れて薄めたルーをかけたりしていた記憶はあるけど、でも子供向けカレーは買ったことがなかったかも……(すまん息子……)。

かくして、野菜どっさりスープと、緑黄色野菜のサイドディッシュをつつきつつ、心ゆくまでカレーをかっこむ。スパイスどっさりインドカレーも、美味しいけど、「おうちのカレー」はこのごくごく普通のありきたりすぎる味がいいんだわ。

2月28日 土曜日
ぬぅ、これが世に言うホープ軒のラーメン……
2日目のカレー
バタートースト
牛乳

今日は昼から夜までお出かけの予定。起きたら洗濯機回して、乾燥機放り込んでからでかけなきゃ……と思いながら昨晩布団に入ったところ、9時前に目が覚めてしまった。……もうちょっと寝てても大丈夫だったのになぁと、それでも起きて洗濯機を回す。だんなと息子もほどなくして起きてきた。

カレーライスを作った日の翌朝のお楽しみは、「パンと楽しむカレー」。翌朝に食べるカレーライスも、そりゃもう涙ちょちょぎれるほど美味しいのだけれど、パンを傍らにシチューのように啜って食べるカレーもまた、涙ちょちょぎれるほど美味しいのだった。特にバタートーストが果てしなく似合う!……と私は思っている。バターが染みて表面がサクサクッとなった厚切りパンのトーストをもぎゅもぎゅ囓りつつ、カレーにちょっと浸しちゃったりなんかしながら食べるのが大好きだ。今日は厚切りパンは手元になかったので、サンドイッチ用の薄切りパンを使ってトーストにした。

「飲み物どうする?アイスコーヒーあるけど」
「いや!カレーとパンなら、牛乳でしょう!」
「……牛乳、ですか?」
「牛乳でしょう!」
と、お供には全員牛乳をコップに1杯。

千駄ヶ谷 「ホープ軒」にて
 ねぎラーメン \800

本日、午後1時半から4時半まで、だんなは東京体育館で用事があるのだった。なんでもスポーツマッサージ講座なるものに参加するのだそうで、職場同僚のジム仲間と一緒に申し込んだのだそうだ。
「時々ねぇ、こういう講座やってるのは知ってたんだけど、今回の、めちゃめちゃ面白そうだったからやってみることにしたんだー♪」
と、参加費たったの2000円という講座にだんなはうきうきとTシャツやタオルを準備していた。私と息子はその間、適当にそこらをぷらぷらしていましょうということに。

「東京体育館と言ったらねぇ、ホープ軒なんだよ!」
「そうか、ホープ軒なのか」
「……一緒にラーメン食べてく?」
「うん、食べてく食べてく」
と、その講座の前に家族皆で千駄ヶ谷の駅に降りたち、ぽてぽて歩いてラーメン屋さん「ホープ軒」に向かう。私と息子は、初めて入るお店だけど、だんなにとっては"青春の味"の一要素を構成する味なのであるらしい。

若かりし頃、ピチピチの大学生だっただんなと親友M井さんは、
「……肉ついたなぁ……落とさなきゃ」
「ええ、わたくしも」(M井さん、常に敬語で話す人……)
と、2人で東京体育館のプールに行って週1くらいでジャバジャバ泳いでいたのだそうな。で、プールの後にはそのすぐそばにあるホープ軒のラーメンを1杯。

「……それでさぁ、効果はあったわけ?プールの」
だんなに呆れ顔で私が尋ねると、
「まさか」
という答えが返ってきた。実際、ラーメンを啜りながらだんなとM井さんは
「……で、俺たちは痩せるためにプールに行っているのではなかったか」
「いいえ違います。旨いものを食べるためにプールに行っているのです!」
なんて話していたのだそうだ。

そういう、だんなとM井さんの青春の味、ホープ軒。
「"背脂チャッチャ系"なんでしょ?」
「いや、"背脂チャッチャッチャッチャッ系"というか、"背脂ジャッジャ系"というか……」
「ああ、コテコテなのね」
「そうそう、コテコテ。もうテーブルなんかもギットギト」
「うへぇ〜」
うへぇ〜とか言いつつ、そういうのが大好きな私はニヤニヤとして店に向かうのだった。今日の夜にはレストランのオープン記念のレセプションに行くことになっていて、一応普段は着ないジャケット着てみたりジーパンじゃなかったりと微量にお洒落しているものだから、ホープ軒にそぐわないことこのうえない。

1階で食券を買い、
「子供さんいるなら、3階にどうぞ〜。席、ありますから」
と店のおばちゃんに言われて狭く急な階段をよれよれと上っていく。「俺も3階は初めてだ」とだんなが言うそのフロアには、いくつかのテーブル席があった。冷たいジャスミンティが出され、それを傍らに噂のラーメンを。

スープの色はちょっと薄めな醤油味のラーメン。麺はごっつく太めでメンマとチャーシュー、モヤシがトッピングされ、更にこれでもかと大量の刻み葱が盛られていた。"ネギラーメン"とは言っても、軽くひとつかみくらいの白髪葱が乗っているくらいなのかと思ったら、やけに大ぶりざく切りの、"1本分くらいあるんじゃないか"という分量の葱が、もうヤケクソのように乗っている。普通のサイズでも充分すぎるくらいたっぷりめな分量なのに、だんなの頼んだ「大盛チャーシュー麺」ときたら洗面器サイズだった。そしてスープの表面にはふわっと花が咲いたように大量の背脂がぷわぷわぷわぷわと浮かんでいる。……すっごーい。

「……いやん、美味しいわ」
「おいし!おいし!」
「あーもー、久しぶり。8年ぶりとか10年ぶりとかだよ」
とか言いつつ、家族全員でずるずるずーとラーメンを啜る。だんなの大盛分から麺を分けてもらって小丼で啜っていた息子も果敢によく食べていた。見た目どおりにこってりギットリしたラーメンだけど、ああ、私はやっぱりこういうのが大好き。すんごく好みな味だった。化粧がぜんぶ剥がれるほどの驚異の脂っけだったけど、気にしないことにする……(そして数分後に必死に化粧直し……)。

渋谷で
 チョコクリームクレープ

ホープ軒を出た後は、その向かいの公園でやっていたフリーマーケットをちょっと覗く。3個の蒸籠に蓋がついて100円、なんてものを売っていたおねぇさんから、
「これね、CMで使ったやつなんです。モー娘の飲茶樓の……」
「おお!そうなんですか」
「モー娘が触りましたか!」
とそれを買い上げ(いや、モー娘に惹かれたんじゃなくて、100円というその値段が……)、ここでだんなは私たちと別れて東京体育館に行ってしまったので、続きは私と息子の2人でぷらぷらと。

結局、30分以上も会場をぷらぷらして、2枚で3000円だったWWE(アメリカンプロレス)のオフィシャルTシャツ(ストンコ1枚、ロック1枚……お金があったらもっと買ってた、多分)を購入し、息子にとゲームウォッチみたいな100円のアメリカ玩具を。ファイヤーキングは売られているわ、リチャードジノリのデミタスカップが6客15000円だったわと、すごく楽しいマーケット。お金があったら散財しまくっていたところだけど、今はお金がないのねん……。

その後は、講座が終了したらだんなと待ち合わせる予定の渋谷をぷらぷら。本屋に行ったり、東急ハンズをこのうえなくじっくり眺めたりしつつ、
「おかぁさん、おなかすいちゃったよ」
「……やっぱり?私も、ちょっと疲れたよ」
とか言いながら、ついクレープなど食べてしまった。そんなことしてると、3時間なんてあっという間に過ぎ去るわけで。

中目黒 「Restaurant Pagliaccio」にて
 レセプションパーティー
 (シャンパンとか生ハムとかカナッペとか……)

銀座「おかずや」にて
 ねぎトロ \880
 地鶏の唐揚げ \880
 江戸餃子 \480
 ロースハムと野菜とモッツァレラチーズのオムレツ \880
 五目あんかけおこげ \980
 フレッシュマンゴープリン \550
 ビール(ハーフ&ハーフ)ジョッキ 2×\580
 山査子酒 \500
 ジンジャーエール \430
……を、家族3人で

赤坂見附「しろたえ」のレアチーズケーキ
アイスカフェオレ

かつて、「Cucina Tokionese Cozima」のマネージャーをしていたHさん。「今度、ここのお店のマネージャーをやることになりました〜」と届いた葉書はレセプションの招待状だった。中目黒にオープンする、イタリア料理のお店「Pagliaccio」(パリアッチョ・イタリア語でピエロという意味)が、そのお店。お世話になったHさんなので、お土産もって顔だそうか、とお気に入りの日本酒1本携えて顔を見せてきた。

なんだかんだで(お店で知り合って仲良くなったスタッフが移動して〜とかいう繋がりで)、「レストランオープンのレセプションへのおよばれ」はこれが3回目。ちゃんと着席して何点か料理を食べさせてくれて、とか、最初は食前酒と軽くつまみで生ハムとかが出て、そこから改めて席に移動して何点かお料理を、とか、要するに"結婚式"とかと同じでスタイルはそのお店お店によって色々あるんだなぁと、今回改めて思った。

テーブルも椅子もなく広いフロアになった店のカウンターには次々と料理が出されてきて、お客はそれを適当につまむ立食スタイル。大きなガラスの向こうはオープンキッチンで動いている料理人さんたちがしっかり見えて、大きなカウンターにはお好み焼きでも焼けるような大きな鉄板が。"カウンター割烹"でもできそうなそのカウンターのうしろにはテーブルや椅子も並べられるスペースがあった。壁も天井も白い、清清しい内装のお店。

レセプションが始まった直後に赴き(子供も連れていってしまったので、お客が少なめな頃合いにちらっと顔だけ出そうかなぁと思ったのだった)、まだ料理も始めの始め……といった風の前菜っぽいおつまみをいくつかいただいて、帰ってきた。でも、今回のレセプションに集まった人々はこれまで行ったお店と比べると格段に年齢層が低くて、カジュアルな服装の人が多く、子供もうちの子だけじゃなくて、ちょっと一安心。
「息子、ランチタイムとかに連れてきちゃっても大丈夫ですかね?」
とひそひそHさんに聞いてみたら、
「ええ、もう、大丈夫です!いつでも!全然!」
と太鼓判を押してくれた。オープンしたら、週末のお昼にでも来てみようかね〜。

で、いただいたのは、ハーブ風味のパン粉をまぶしてカリッと焼いた大粒あさりのオーブン焼きとか、牛タンと根菜を可愛くサイコロ型に切って楊枝でちょんと止めたものとか、生ハムとか。息子ときたら、よりにもよって生ハム(一番お高い食材かもしれないのに……)を嬉しそうに何枚も盛りつけてもらっている。よりにもよって生ハムを……(すみません……)。

お店を辞したのは赴いてから30分後くらい。広くはないお店に続々とお祝いにかけつける人がやってきて、長居しちゃ悪いかなと失礼してきた。
「せっかく!おゆきさんたちにお土産買ってきたのに職場に忘れちゃったよ!」
とだんなが言っていたので、だんなの職場を経由しつつ
「……さっきのレセプションじゃ、あんまりお腹膨れなかったね」
「なんかこう、ビール飲んで肴食べてクハーッってやりたい気分」
と銀座に移動。あそこ、久しぶりに行ってみようかと久しぶりに赴いたのは「おかずや」という銀座インズ内にあるお店。独身時代からちょっと気に入っていて、ちょこちょこ行っていたお店だった。

黒が基調の薄暗い店内で出される料理はやや和風寄り(そしてアジアン風味)の居酒屋。昨今"1品ごとの値段はそこそこ安いけど、でも盛りつけがすっごく貧弱"というお店が多いなか、このお店は割合と"盛り"が良いので気に入っている。そして以前来たときと変わらないメニューが、「おこげ」と「マンゴープリン」。どちらも美味しくて、特におこげはこのお店に入るとシメに毎回食べている料理だった。

「ビール、ビール」
「オムレツ頼まない?今日のはハムと野菜とモッツァレラだってさぁ」
「あと、シメには当然おこげだよね」
昼間、講義を受けてあれこれモミモミを学んできただんなと、その間ひたすら歩いていた私と息子は、その疲れを癒すべく2回目の晩御飯だというのに盛大に食べてしまった。

「ねぎトロ」は、イクラも混ぜられたマグロのタタキに刻み野菜や海苔が添えられ、自分でくるりと巻き寿司のようにマグロを巻いて醤油をつけて食べるようになっている。タルタルソースのようなマヨネーズソースが添えられた唐揚げに、トマトソースがかかった、割と本格なオムレツ。石鍋に入れられてやってくるおこげは、今日もジュージューパチパチと良い音を立てていて、変わらない味がした。餃子はまぁ……普通の味、かな。ちょっと酸味強めのマンゴープリンは、そこらの中華料理店で食べるよりはずっと美味しく感じられる、変わらずの美味だった。うひひひ、満足。

で、帰宅してから、だんなの職場からついさっき回収してきたお土産を。
赤坂の「しろたえ」のチーズケーキは、これまた変わらぬ美味で、もうもうシアワセ……。

2月29日 日曜日
日曜の夜にひつまぶし
自家製カレーうどん
麦茶

金曜日に作ったカレーは、ほんの5人分ほど。カレーライスとして一度食べたら残りはもうそれほどなく、昨日の朝にパンと共にシチューのように啜ったら、あとはほんの少し。
「……でも、カレーうどんにするには丁度良いかもねー」
と、"カレーの最期"として定番のカレーうどんにすることにした。何しろカレー鍋はピカピカになるし、美味しいしで一石二鳥の食べ物だ。カレーの最期はたいてい朝に訪れるので、カレーうどんは朝御飯に食べることが多い我が家。

かつおだしをとり、残ったカレーに注ぎ入れて適当な量にする。カレー分多めならあまり味の調整はいらないかもしれないけど、我が家ではちょっと薄めになってしまうことが多いので、醤油と味醂、塩で適当に味を調整。醤油を入れることで、よくあるカレーうどんな味のカレーうどんになる。サラサラなスープの状態でもそれはそれで美味しいけれど、今日は片栗粉を溶いてとろ〜んとさせた。

「……できましたよん♪」
と、テーブルに出したところで、「ああそうだ、刻み長ねぎも用意すれば美味しかったんだ」と思い出したけど、めんどくさくなってしまって今回はパス。ざくざく刻んだ長ねぎを刻むのも香ばしくてすごく美味しい。

カレーうどんは服にシミ作っちゃうのよね……と、気をつけながら静かにチュルチュル啜っていたら、向かいに座った息子は早々に着ている服に美しい水玉模様を形成していた。……あーらららららー……。

ヨコイのスパゲッティ ウィンナ&ナゲット乗せ
アイスカフェオレ

本日は、ちょっと遠くにあるホームセンターに買い物に行くつもりだったのだけれど、なんだかやる気がなくて一日中家でごろごろごろ。近所にぷらっと買い物に行くだけの一日になった。うーん、もうすぐ春だし、ベランダの花やらハーブやらと一回り大きな鉢に植え替えてやりたかった(だからそれ用の土やら何やらを買ってきたかった)のだけど、そのうち平日の昼間にでも一人でぷらっと行ってくることにしよう。

息子は、昨日から具合の悪かったパソコン(彼専用パソコン←IBMの中古ノートパソコンをヤフオクでお安く落札したもの)の復旧作業を見守る一日。荒っぽい使い方をしていたせいか、いつのまにかWindowsのファイルがメタメタに壊れてしまっていてハードディスクの再フォーマット&再インストール作業をする羽目になり、昨日はだんなのパソコンから日記を更新していた息子。そのうち旅行先とかからも更新しそうでちょっと怖い私だったりする。

昼御飯は、ちょっと久しぶりな名古屋名物あんかけスパゲッティ、「ヨコイのスパゲッティ」。
「なんかこう、ヨコイ熱が高まっていたのよね」
「おや、奥さんもでしたか、実は、だんなもなんです」
と意見の一致により、ヨコイブランドの極太麺を茹で始める。胡椒がビリリと効いたとろみたっぷりあんかけソースはケチャップともミートソースともつかない不思議な味で、これがナゲットとか赤いソーセージといったジャンク臭漂う食べ物にとてもよく似合う。チキンカツや牡蠣フライなどの揚げ物にもめちゃめちゃよく似合う。今日はジャンク風味でね〜と、ナゲットと真っ赤なソーセージをトッピング。半熟に焼いた目玉焼きを一番上に乗せ、麺の周囲にドーナツ状にレトルトパックの「ヨコイのソース」をかければできあがり。

「息子さんもヨコイでいいですか?それとも、ハッシュドビーフの素もあるから、そっちかけたい?」
と尋ねると、
「んとね、ぼくはね、カレーがいいなぁ」
と微妙な答え。
いや、ハッシュドビーフはカレーとはちょっと違くてね……などと色々説明した結果、ヨコイソースがけよりハッシュドビーフがけの方が良いらしいということになり、彼にはそれを。

久しぶりのじんわりピリ辛あんかけスパは、今日もしみじみ美味しかった。
最近都内にもちらちらと「名古屋名物あんかけスパ、専門店」なるものが登場していて、特に「パスタ・デ・ココ」というチェーン店(カレー屋さんのCoCo壱番屋の系列店)は現在都内には2店舗、虎ノ門と神田にあるそうな。行きたい行きたいと思いつつ、場所がビミョ〜でまだ行けてないのだけれど、すっごく気になっている。だんなは既に虎ノ門店で何度か食べているらしく、
「うむ。ちゃんとあんかけスパだった!」
と力強く報告してくれたので、ますます気になる。

ひつまぶし
ちぢみほうれん草のおひたし
ビール(モルツ)

買い物先でちょっと安めの鰻の蒲焼き(のざく切りパック)を見つけ、
「……ひつまぶし……」
「うん。ひつまぶし……」
と、ひつまぶしひつまぶし言いながら2パック買ってきた。昼はあんかけスパ、夜はひつまぶしと、今日は名古屋色豊かな食卓に(だんなも私も名古屋に親戚などは一人もいないはずなのに……)。

スーパーの安売り鰻も美味しく食べられるひつまぶし。飽きることなくそればっか食べても満足度が高いひつまぶし。家で食べる鰻料理といったらもう、ひつまぶし以外には考えられない我が家だったりした。

まずは、だしをとることから。鰹節たっぷり使って濃厚なだし汁を作り、薄口醤油と酒と塩で、"吸い物より濃いめのしょっぱさ"を目指して味つけ。そして刻み海苔と刻み万能葱をたっぷりと。わさびも必須。今回うっかり準備し忘れてチューブ入りのわさびになってしまったけれど、生のわさびを買ってきてシコシコおろして使うと、すんごくリッチな味になる。そして、深めの鉢を用意して、
炊きたて御飯を詰める
→ざく切りにした鰻の蒲焼きを乗せる
→鰻のタレをチャーッと回しかける
→また炊きたて御飯を詰める
……
と、2層あるいは3層くらいに鰻と御飯の層を作ったらできあがり。

で、それをわしわしっと混ぜ合わせ、まずは鰻と御飯の混ぜ御飯のようになったそれをそのまま1杯いただく。次には海苔と葱とわさびを添えて、薬味和えでいただく。最期はその薬味和えの混ぜ御飯にだし汁を注ぎ、「うな茶」として食べる。葱の爽やかさと海苔の香ばしさとわさびのピリ辛さが、もう何杯でも鰻御飯を食べさせてくれて、しかも特売鰻みたいな質がイマイチな鰻でもしっかり美味しく食べられる。私は特にうな茶の虜。

ちぢみほうれん草をおひたしにしたものだけを用意して、かくしてひたすら鰻御飯を頬張った夕御飯。もう1膳目の途中から薬味を入れはじめ、合計4〜5杯平らげた御飯(ほら、薬味たっぷり乗せるから常よりずっと軽めに盛りつけるわけで……)のうち半分以上はうな茶として楽しんだ。やばいよやばいよ美味しいよ、とか、わけのわからないことを呟きつつ、3合弱用意したと思われる鰻御飯は綺麗に空に。

ひつまぶしは……食べ過ぎちゃうのが一番の問題だわ……。
(だから明日は久しぶりに運動してくるのよ……)