食欲魔人日記 04年11月 第4週
11月22日 月曜日
ミートソースに粉チーズパラパラ
「ミスタードーナツ」の
 シロップマロン
 D−ポップ
カフェオレ

昨日、通りかかったミスタードーナツでドーナツ全品105円セール実施中。
「あさごはん♪」
「うん、あさごはんあさごはん♪」
と、うきうきと600円分ほどのドーナツを買ってきた。私が選んでみたのはシロップマロンなる新商品と、一口サイズドーナツ6個セットのD−ポップ。

だんなは、明日休日ということもあり、今日の朝にジムに行くことにしたらしい。昨夜、目覚まし時計をセットしながら
「俺、ジム行くからね。……おゆきさんは、何時に目覚ましセットしておけばいい?」
「んー、だったら7時のねぇ……」
「それとも、一緒に起きて、カタマる?」
「!!!カタマるカタマる!」
「ダメだ、このヒト……」
なんて会話を繰り広げ、そして私は今朝、その話どおりに6時前にきっちり起きた。
「起きた……起きたよこのヒト、今まで一度もジムの日に一緒に朝飯喰ったことなかったのに」
だんなはすごく複雑な表情になっている。

で、コーヒー淹れてドーナッツ朝飯。息子はまだ寝かせていたので、2種類買ってきたドーナツ、1種類はだんなと食べてもう1種類は息子と一緒に食べることにした。最初に食べたのが、新商品の「シロップマロン」。ろくに説明も見ずに買ってきたのだけれど、囓ったらサバランのようにジュワッと冷たいシロップがにじみ出てきて、ちょっとびっくりしてしまった。どっしりと重めの生地にシロップをたっぷり含ませたものが「シロップケーク」というシリーズなのだそうで、あきらかに「おやつ」に似合うような味わい。まずくはないけど、でも私、実はサバランがあんまり好きじゃなくて、「そっか、こういうドーナツだったか」と、ほんのりとショックだった。もう1種類、何やらモハモハした食感のように思われる四角いドーナツも新しく出ていたのだけれど、そっちにすれば良かったかなん。

だんながジムに向かった後は、予定どおりカタマリをごろごろごろごろ作って遊び、7時半頃に息子を起こして朝食第二弾。息子もD−ポップ、私もD−ポップ、1箱ずつ美味しくいただいた。今日の中身はチョコファッションとオールドファッションとバタークランチとココナツチョコレート、エンゼルクリームとストロベリーという組み合わせだった。さりげなーくエンゼルクリームが入っているのがシアワセ。

漫画喫茶で
 コンビニで買ってきたコロッケパン
 コーンクリーム風スープとか、紅茶とかジュースとか

近所にオープンした漫画喫茶、私がずっと読みたいと思っていた、ちょっとマイナーな漫画が置かれていることが昨日わかり、いてもたってもいられなくて朝9時に息子を幼稚園に置いたその足で向かってみてしまった。幼稚園お迎えのギリギリまで粘るつもりで、コンビニでパンを1個買って持っていってしまうことに。たっぷり5時間居座って、全20巻のそれを読み終え、ついでに読みかけだった『BLACK CAT』も3冊ほど読んできた。これだけ根を張って漫画を読み続けたのは久しぶりで、お店を出たときに軽い目眩を感じてしまったりして。

まだまだピカピカ新しい漫画喫茶(←最近はネットカフェとかって言うのねー)なので、嫌な匂いもないし椅子もふかふかだし、とっても良い感じ。漫画の品揃えがいまいち悪いのと、ドリンクコーナーにソフトクリームがあったら言うことなし、という、広くて綺麗で快適な漫画喫茶は今日も案外空いていた。

リクライニングシートにずっぽり埋まって、10冊単位で棚からごっそり持ってきた漫画を読み読み。昼頃になると、僅かに埋まった席からがさがさとビニールを破く音やら何やらが聞こえてきて、周囲に人たちも食事をはじめた模様。お茶用に用意された湯を使ってカップラーメンらしきものを啜っている人の音も聞こえてきた。15分100円くらいで、席と飲み物が手に入ると思えば、昼御飯を食べるためだけにこういうところにやってくるのも悪くないのかもしれないなぁ……と思ってみたりして。一応、音や匂いがあまりしないものをとコロッケパンを買ってきたのだけれど、そんな気を使う必要もあんまりなかったようで、ドリンクコーナーから持ってきた「コーンクリーム風スープ」とかいう怪しいものを飲みながらカフカフと食べた。5時間パック料金で1600円。満足満足。

ミートソーススパゲティ
温野菜とチーズ「モンドール」
ビール(モルツ)、赤ワイン(DRINK&EAT BEEF)

「5th Avenue Chocolatier」の生チョコ
エスプレッソ

チーズも残ってるし、牛柄ワインも半端に残ってるし、
「……これはやっぱり、牛肉料理?」
と思って、でもパスタ料理が食べたい気分。牛ひき肉を買ってきて、ミートソースにすることにした。

レシピなどを何も確認しないで作った、簡単ミートソース。オリーブ油で牛ひき肉と刻んだ玉ねぎをざかざかっと炒め、赤ワインを1/2カップほどダバーッと注ぐ。強火で熱してアルコールを飛ばし、あとはトマトの水煮缶1つあけて、果肉を手でぎゅうぎゅう押しつぶしながら鍋に入れ、あとは塩胡椒して味を調えて水気が少なくなるまで煮込んでいくだけ。甘さを加えるためにケチャップをひと垂らしし、仕上げにコクを加えるためにと粉チーズをガガッとふって加え混ぜて、できあがりー。ソースがおおむね煮詰まったところでだんなも帰ってきた。

ミートソーススパゲティと、茹でたじゃがいもとブロッコリーを添えたモンドール。
「パスタ、どのくらい茹でればいいかな。このくらい?」
「うんにゃ、もうちょっと……このくらい?」
「うーん、このくらい?」
帰ってきただんなとスパゲティを束にして握りしめ、茹でる分量を決定。私の親指と人差し指でぴったりと輪っかを作るのにちょっと足りないくらいが、我が家の3人分のパスタの分量。

茹であげてから、息子が
「スパゲティ、もっとたべたい」
「もうちょっと、もうちょっと」
とか言い出して、私とだんなの取り分がほんのり少なくなってしまった。日に日に食べる分量が増えていく息子、今度は親指と人差し指を輪にしてみっちりにしたくらいの分量のスパゲティを茹でなければならないということらしい。

素朴〜な優しい味になったスパゲティをビールやワイン片手に平らげ、デザートにとエスプレッソとニューヨークのチョコレート屋さんの生チョコを。30分以上室温に出して柔らかくしたチョコレートはこってり濃厚で口に入れた途端にとろけてしまいそうな柔らかさ。甘さはこっくりしっかり強めで、なんともリッチな味のチョコレートだった。チョコレートとエスプレッソはすさまじくよく似合う。あんまり飲むと胃が痛くなるのだけれど、ついお代わりしてたっぷり2杯飲んでしまった。昨年秋に台所の家具の配置を変え、コーヒーメーカーを触りやすい位置にしてから、ちょっとだけエスプレッソを飲む頻度が増えた。

「エスプレッソ、飲みたい」
と言うと、
「んじゃ、淹れましょか」
とだんなが立ち上がって、ギャーッと音立ててエスプレッソマシンを動かしてくれる。家にエスプレッソマシンがあるというのは良いことだなぁと思う。コーヒーメーカーつきのこのマシンはM井さんが結婚祝いにくれたもので、壊れることなくせっせと日々動いてくれている。M井さんが結婚する暁には全力でお祝いしなきゃねと思っているのだけれど……そんな気配は、なさそうだなぁ……(ていうか、しばらく会ってないなぁ……。

11月23日 火曜日
パエリア食べてきました
「モスバーガー」にて
 テリヤキチキンバーガー
 オニポテ
 モスチキン
 抹茶シェイク

今日は外出予定もなく、家でのんびりする予定……だったはずだった。んが、起きて金魚の水槽の水を取り替えたりした後にメールチェックをしてみると、
「今日横浜で飲む予定ですが、ご一緒しませんかー」
の連絡が、Dちゃんと、現在日本に帰国中のSちゃんから。飲みに行こうという話はしていたけれど、あれあれ今日ですか今日なんですか、とバタバタと横浜に行くことに決定した。どうせ行くなら中華街も行きたいし、そういや東急ハンズにもちょっと寄りたいと思っていたんじゃなかったっけ……と、午前中から出かけることに。朝御飯には、以前からそろそろ行きたいねと言っていたモスバーガーに寄っていった。

久しぶりのテリヤキチキンバーガーに、モスチキンという鶏肉の組み合わせ。新発売の抹茶シェイクもつけてもらって、空の胃袋に一気に流し込んだ。お化粧して出てきたのに、その数十分後にはさっそく顔がテカテカになってしまったよ(ダメじゃん……)。

横浜中華街 「鳳林」にて
 大根餅
 上海蟹みそ入り小龍包
 焼き餃子
 五目チャーハン
 生ビール ×2
 コーラ

久しぶりの横浜。駅前デパートで、買わなきゃと思っていた息子のフォーマルウェアを眺め(今度の春には小学校入学だからどっちみちスーツが必要だわと思っていたのだけれど、来週に幼稚園卒園アルバム用の写真撮影をするとかで「襟つきシャツを着せてください、ズボンや靴にも留意してください」というお達しが……)、東急ハンズで自家醸造ビールキットを涎垂らしつつ眺め、同じ調理器具コーナー内で、その場で名前を彫ってくれるという新しいお箸を新調してきた。新しいお箸は「かばば」「せりあ」の名前入り(←本名にしようかとも思ったのだけれど、ついウケ狙いで……←誰のウケなんだか)。ついあれこれ歩き回り、次の目的地だった中華街に到着できたのは3時を過ぎた頃だった。ハンバーガーを食べたのは10時過ぎだったとはいえ、さすがにお腹が空いちゃった。

「うーん、夕食は7時からだし……今、たらふく食べるわけにもいかぬ」
「でも、何も食べずに7時まで我慢するわけにもいかないし」
なんて言いつつ、「みなとみらい線」に初めて乗って中華街方面に向かってみた。点心をいくつか軽くつまむのはどう……なんて言いながら関帝廟通りを歩いていたら、目の前にお気に入りのお店「鳳林」が。

「……あ、鳳林」
「ここ、餃子や小龍包もあったよね、種類は少なめだけど」
「ちょこっとつまんでチャーハン1皿とか取って食べようか」
「あとビールもね」
店頭で20秒ばかり話し合い、そのままニョロリと入店してしまった。半端な時間ということもあって、お店はガラガラ。予定通り、点心を3種類とってチャーハン1皿取って、さらさらっと食事してきた。

今は上海蟹の季節ということで、上海蟹の蟹味噌入りの小龍包、なんて魅力的な品もある。迷わずそれをいただき(700円だった)、あとは息子のリクエストで大根餅と焼き餃子、そして五目チャーハン。
「あのね、あと3時間くらいしたらまた御飯食べに行くからね、そんなにお腹一杯になるまで食べなくてもいいからね」
「でもねー!ぼく、おなか、すんごくすいちゃったなんだよ」
子供に「軽めにしておけ」なんていうことが通用するはずもなく、そして息子は腹一杯幸せそうに大根餅や餃子やチャーハンを堪能していた。

知らずに店の前を通っても、気づかずに通り過ぎてしまいそうななんてことのないお店。我が家も数年前に「このお店のマンゴプリンが美味しいですよ」と教えていただくまで存在を知ることもなかった。雲白肉が分量たっぷりタレも絶妙で大好きだし、素朴な風合いの点心もどれも手頃な値段で安心して食べられる美味しさ。ムチムチした皮が厚めの小龍包は、スープがたっぷりと詰まりまくっていて、蟹の香りがぷんと漂ってくるものだった。こんがり焼けたアツアツの大根餅もプリプリモチモチで素敵な歯触り。

「香菜もあるし、明日はお粥にしよう」
「じゃ、油条買っていこう」
「あとピータンもね」
「ついでに永楽の麺もいくつか見ていきたいな、チャンポン麺とか」
「うん、寄ろう寄ろう」

のんびり歩けば1日仕事になってしまう中華街、お気に入りのお店だけを効率的に立ち寄って、そして時刻は5時。歩き疲れて座りたい心境だったこともあり、関内駅前のカラオケボックスPASERAで1時間だけ歌いつつ休憩。目下大ハマリ中のゲーム塊魂内で使われている曲の数々(クリスタルキングの田中雅之とか新沼謙治などの微妙に豪華な陣営が歌っている。エンディングテーマは松崎しげるだし)が入っているのを良いことに、
「ナーナナナナナーナーナー♪かたまりだまーしいー♪」とか
「チェキだ、ファンキだ、みんな黙って俺についてこい♪」とか
ひたすら塊魂の曲を歌ってきた。

横浜 「オリーブ」にて
 ミガス \450
 パンコントマテ \520
 小イカの墨煮 \1300
 ムール貝のガーリックバター焼き \850
 マッシュルームのセコビア風 \900
 セビリア風サラダ \1200
 ガーリックトースト \400
 オリーブ風パエリア \2600
 小イカの墨煮 \1300
 パン \?
 イイダコのガーリックバター焼き \?
 サングリアスイート(ハーフピッチャー) \1600
 サングリアドライ(ピッチャー) \3200
 サングリアスイート(ピッチャー) \3200
よく飲んだなぁ……。

さて、午後6時45分。Dちゃんに指定された横浜駅の改札に時間通り到着してみれば、そのDちゃんの姿がない。待ち合わせ時間に「まだ家にいる〜」という電話があって、
「なんじゃそりゃー」
「指定したのはそっちだろー」
「ていうか、その店ってどこにあるの!?」

久しぶりに会ったSちゃんと一緒に、ぷーぷー言いながら先にお店に向かって飲み食いしちゃうことにする。何やら色々とトラブルを抱えて忙しかったりダメージを受けていたりするらしいDちゃんなので、そのDちゃんの話を肴にそれから2時間Sちゃんと一緒に飲み。やっとDちゃんが合流してから、また1時間ちょっと飲み。結局、初めて入った「オリーブ」というスペイン料理屋さんで、3時間以上まったりと飲み食いしてしまった。スペイン料理はもう10年ぶりくらいな気がするけれど、何を食べても美味しくて良かった良かった。パエリアも格別だったし、スルスル飲めるジュースみたいな甘いタイプのサングリアが心地よくて、気がつけば2.5リットル分のサングリアを空けてしまっていたりして。

"羊飼いのまかない料理"だという「ミガス」は、クルトンとソーセージをカリッと炒め合わせた(揚げた?)みたいなもの。コリコリパリパリした食感で適度に塩気があってアルコールによく似合う。ドザーッと皿に乗せてはパリパリポリポリ食べ、パンコントマテ(トマトディップを塗ったトースト)を囓りつつ見事に真っ黒な小イカの墨煮を。パン粉たっぷり、刻みにんにくがこれでもかとまぶされたムール貝のガーリックバター焼きに、これまたにんにく風味のマッシュルームの炒め煮のようなもの。全体的ににんにくが効いている、やはりどこかイタリア料理にも似た料理の数々だった。つくづく、サングリアが進むものばかり。

「待ちきれないからパエリアも注文しちゃえ」と頼んだ「オリーブ風パエリア」(他にもいか墨パエリアがあったり、カニパエリアがあったりどれも魅惑的……)がテーブルにやってくる直前、やっとDちゃんが到着。
「なぜ遅れたー」
「まず話を聞かせてもらおうか。ああん!?」
「まぁサングリア飲め、ピッチャーごと」
「お会計はきっちりワリカンだからね」
憔悴していたDちゃんに容赦なく追い打ちを浴びせつつも久しぶりの邂逅を喜んで飲み食い飲み食い。手長海老やムール貝やアサリがどっさり入ったパエリアは端がパリッとしていて香ばしくウマーだった。我が家何度かパエリアを作って食べていたけど「ああ、やっぱりこんな風でいいのか」と納得できたのと同時に、改めてパエリアパン(パエリア用の鍋)が欲しくなってしまったりして。

お店を出ると、10時も過ぎようとしていた頃。まだ終電までには1時間ほどあるけれど、それだと帰宅が日付が変わってからになってしまう〜……と、ここで私たちはさよならして帰宅。帰宅は11時半近くで、入浴する元気もなくてそのままベッドに沈没。充実した一日でした。

11月24日 水曜日
中華粥だよ
中華粥
アイスプーアル茶

冷蔵庫には数束の香菜。昨日中華街で「油条」(揚げパン)とピータンを買ってきた。そして我が家にある大量の干し貝柱。あとは米があれば、美味しい中華粥ができる。

昨日は日付が変わりそうな頃に帰ってきて風呂にも入らず寝たのだけれど、中華粥の仕込みだけはきっちり済ませておき、今朝になってからコトコトコトコト1時間くらい煮込んでお粥を用意した(仕込みしたのも火を通してくれたのもだんなさま……)。煮込みながら、早朝に入浴。風呂上がりにホコホコに温かい中華粥をたっぷりといただいた。

添えたのはトースターで温めてざくざく切った油条と刻んだ万能葱、刻んだ香菜、そしてキッチンバサミでジョキジョキと適当に切ったピータン。粥の表面が見えないほどに思いのままに好みの具を盛りつけて、碗にたっぷり2杯平らげた。冷蔵庫に薄切りの豚肉が入っていたので、それも入れて"猪肉皮蛋粥"という感じ?(中国語のメニューだと豚肉を猪の肉と書いたりするからね)

息子には熱い粥は大変かなということで馬拉[米羔](マーライコ=蒸しパン)を買ってきてある。
「このパン、おとーさんとおかーさんにはないの?おいしいよ?」
と言いつつ、レンジでちょっと温めた蒸しパンにかぶりつく息子も嬉しそうで、何より何より。

サンマの塩焼き
自家製粕漬け(スズキ・チダイ)
焼き鳥(ねぎま・にんにくま・皮)
卵豆腐
ほうれん草の胡麻和え
白菜の味噌汁
羽釜御飯
発泡酒(サントリーダイエット生)・抹茶入り玄米茶

今日はなんだか眠くて眠くて、ここのところ不自然に早起きしてゲームしたりしていたツケがやってきたのか、とにかく眠い。
「……じゃあ、寝てよ……」
と、11時くらいからぐーぐーと幼稚園のお迎え時間まで盛大に昼寝した。昼御飯の時間は華麗にスルー。寝ていたから特に空腹を感じることもなく、夕食の時間を迎えた。

ここのところ妙に外食が多くてしかもワインだビールだホッピーだ日本酒だと暴飲暴食気味。今日は油っこいものは避けてアルコールも控えめにして軽め薄めな夕御飯にしよう、と、サンマを3尾買ってきた。あとはだんなの大好物の卵豆腐と、まだまだお高いけれどどうしても胡麻和えにしたのが食べたくてほうれん草も1把。
「サンマと卵豆腐と胡麻和え、味噌汁と御飯。うむ、良い感じ良い感じ〜」
と準備をはじめ、でも「あと15分でだんなが帰ってきます」という段になって
「……やっぱりこれじゃ足りないかも?」
と焦り出す。結果、
「なんか物足りないかもしれないから焼き鳥でもちょくっと買ってきてくださいな」
とだんなにメールして駅前で数本の焼き鳥を買ってきてもらった。更に物足りないかなということで、数週間前に漬けてすっかり「古漬け」状態になっていると思われる自家製粕漬けも冷蔵庫の奥から引っ張り出して焼いてみた。……そしたら、妙にゴージャスな夕御飯に……(当初の予定が……)。

もう晩秋と言って良い季節、サンマはまだまだ美味しかった。焼くとジュージューシュワシュワ脂が焼けて落ちる音が聞こえてきて、いかにも美味しそう。すだちと一緒に大根おろしをこれでもかと添えて食べたサンマは実際とても美味しかった。もうカスカスになっちゃってたかと思われた粕漬けも、中までしっかり味が染みているのにフクフクとしていて、これまた悪くない。
「お、旨いよ旨いよ」
「すごく旨いよ」
と言いつつ、半身のスズキと開きにしたチダイ(メダイ)の粕漬け焼きを発泡酒のお供に。

そんな感じで今日はそれでもサラリサラリとした食事内容にした(つもり……)のだけれど、明日は焼き肉、明後日は寿司、そして日曜の夜は「白トリュフの夕べ」再びのイタリアンディナーの予定。今日1日軽くしたところで、もうどうしようもないっていうか……。

11月25日 木曜日
焼き肉屋さんのデザート、マロンマロン。
「山下」のうどん 釜玉
おにぎり(鶏そぼろ・お赤飯)
麦茶

我が家、朝御飯がなーんにもない時もあれば、今回のようにだんなと私で買い物が重なっちゃうこともある。今回は、私がサンドイッチ用のパンを買ってきて、だんながおにぎり屋さんの閉店間近の投げ売りセール品を買ってきたのだった。
「あちゃー……おにぎり、余計だった?」
「うんにゃ、サンドイッチ用のパンなら1日2日くらい先になっても別に問題ないでしょ」
「んだか」
「んだ」

で、今日はパンじゃなくておにぎりの朝御飯。ついでにうどんも茹でて「釜玉」にし、何やらうどん屋さんの朝御飯のようになった。茹でたてのうどんを溶き卵を入れたどんぶりにザッと入れ、卵を半熟に固めるように麺と卵をチャッチャとからませれば「釜玉」。
「おにぎりは、鮭と鶏そぼろと、おゆきさんの好きな赤飯買ってきたよ」
「んー、赤飯いただくわー」
と、1人2個ばかりおにぎりをぱくぱく。

錦糸町 「神戸屋キッチン」にて
 ハムとカマンベールチーズのパイ
 ロイヤルミルクティー

人形町 「浜町藪そば」にて
 鳥せいろ

久しぶりに溜池のオフィスに顔を出さなきゃだわとか、人形町のお医者さん(兼某レストランオーナー氏)に仕事の話をしにいかなきゃいけないわ、と仕事の予定を立てていたところ、そういえば今日は息子の「オープン参観日」。一日中、いつでも子供達の様子を見に来てくださいねというイベントで、見に行く見に行かないは各家庭の自由なのだけれど、やはり子供としては見に来てもらいたいものらしい。どうしましょうどうしましょう……と相談した結果、だんなが仕事を休んでくれることになった。

「いってらっしゃーい」
と、息子を幼稚園に連れて行って帰ってきただんなに見送られ、ぽてぽてとお仕事に。途中どこかで昼御飯を適当に食べなきゃなぁ……と、乗り換え地の錦糸町をちょっとぷらぷら。パン屋さん「神戸屋」のイートインコーナーがあったので、そこに寄って軽く食べていくことにした。パン、2個くらい食べちゃおうかな……と思ったのだけれど、何やら嫌な予感がしてとりあえず「ハムとカマンベールチーズのパイ」を1個。神戸屋の食パンはほわっと甘くてふかふかしていてとても好き。食パンと同じように、パイ生地もほわっと甘くてサクサクで、これまた好きな味だった。濃厚な牛乳たっぷりなロイヤルミルクティーを飲み干して、12時半の約束の人形町にいざいざ。

「えっと、これがお渡しする書類で、で、いただいていきたいのが……そうそう、これでした」
用件はもう決まっていたので、10分くらいでぱらぱらっと話して渡して貰うもの貰ってではこれで……と去ろうとしたら、
「おそば。食べに行きませんか?おそば」
と、先生に誘われた。

「……へ?おそば?」
「蕎麦、お嫌いでした?近くにね、藪があるんですよ」
「いえ、おそば、大好きで!」
私のモットーは「胃袋に状況を合わせず、状況に胃袋を合わせる」。さっき食べた1個のパンなど胃袋の下のほうに押しやることにして、ありがたーく蕎麦をゴチになることにした。会うたび「この先生、いつも良い服着てるんだよなぁ」と思うのだけれど、今日もいかにも上質な白いワイシャツの上にVネックの紺色のセーター(胸に何やらブランドのマーク入り)など着込んじゃって、相変わらずダンディなお姿だ。

歩いて数分、「浜町藪そば」に到着。
「あのね、2つです」
「2つ、ですか」
「1つじゃとても腹一杯になりませんからね、2種類くらい取っておいた方がいいですよ。ザルとあったかいの、とか」
「……あはは、そうなんですか……」

本気で2種類注文しようかと思ったのだけれど、そうしてしまうにはさっきのカマンベールチーズがまだ胃に溜まってるのが自覚できてしまうし、何より私はかなりな猫舌で、しかも先生はかなりの早食いなのだった。あったかいお蕎麦を注文した日には、絶対食べるのにもたついて盛大に待たせることになってしまう……と判断して、
「じゃあ私、鳥せいろにします。大盛!で」
ということに。先生は宣言どおり、ざるとあったかいの(かまぼことわさびがトッピングされた……花巻、とかって言ったかしら……)を注文していた。

レストランのお店のスタッフも、この人の前に出るとものすごーく緊張したりするそうで、私もそれなりに軽口は叩くけれども、やっぱりこの方の前ではすんごく緊張する。一緒に御飯を食べようものなら「お箸の使い方間違えないようにしなくちゃ」とか「背筋伸ばさなきゃ」とかあれこれあれこれ考えて、いつもの6割くらいしか味覚に意識がいかないような感じ。いつも美味しいところに連れてってくれるのにこの余裕のなさが我ながら情けない……。

すごく久しぶりな蕎麦屋さん、きりっと甘さ控えめの熱く濃いだしに鶏肉と葱がたっぷり、そしてちょっと色が薄めに思われた蕎麦からはそれでも粉の香りが漂ってくるようで、しこしこっとした喉ごしが心地よかった。帰り際、奥のレジに向かった先生、ごにょごにょと店のおばちゃんと話したかと思うと小さな紙袋を1つ持って出てきた。

「お好み焼き、家で作ったりします?揚げ玉、良かったらどうぞ」
その紙袋をこちらの手にぽんと置いた。わぁありがとございます、お好み焼きはそれほど頻繁に作りませんが、うち、しょっちゅううどんに乗せて食べてますよー、とありがたくいただく。手頃なところでスーパーなんかで買ってきちゃってるんですよ、100円の、と伝えたら
「あぁ、それよりかはずっとずっと旨いから楽しめますよ。胡麻油の匂いが良くってね」
「胡麻油、いいですねぇ。夫は、揚げ玉を味噌汁に散らすのが好きなんですよ」
「それもいいですね。あとねぇ、下品だけど、何もおかずがないときに御飯の上にバラッと乗せて醤油ピャッとかけるのもね」
「……先生、そうやって召し上がったことあるんですか?」
「さぁ、どうでしょうねぇ」

今日も仕事の話は2割くらいで、あとは「自分家で燻製料理してみるのも楽しいですよ」とか「中近東の方は羊料理が何より最高でね」とかそんな話ばかりをしたお昼の仕事。午後は午後で溜池のオフィスに向かったら
「この端末、業者から貰ってきたはいいけど○○したら××できなくてしかも△△で、まったくハッカー泣かせなんだよこのクソマシンッ」
とボスがぼやいていたりして、そのまま無駄話に突入してしまった。

オフィスで無駄話しながらボヘーッとしていたら、窓の下から妙に聞いたことがあるような知ってるようなキンキンした高い怒鳴り声が聞こえてきて、ボスはすかさず
「……あ、ムネオだ」
と。

「え?ムネオって、鈴木宗男?」
「んー、ほら、事務所があそこにあるからさ、このへん通るわけよ。よく見るよ」
「わ、私、ナマムネオ見たことないです。見たい見たいどこどこ?」
「いやー、あのおっさん、声でかいから。きっとね、声はするけど姿は見えないよ」
「どこー?どこどこー?」
ボスと一緒に窓の外に顔突き出して「なまむねおー?」と言いつつ見渡してみたりして。
今日の仕事は、実り多いような少ないような、ビミョーな感じ……(いや、でも宿題はいっぱいもらってきたから明日から家でお仕事)。

稲毛 「牛角」にて
 やみつき塩キャベツ \290
 温玉キムチ \190
 ねぎタン塩 \630
 豚タン塩 \390
 国産カルビ 塩 \680
 ハラミ(たれ) \490
 塩にんにく黒豚カルビ \0
 黒豚のしょうが焼き \0
 にんにくホイル焼き \390
 お子様焼き肉セット \580
 牛角クッパ \630
 牛角風冷麺 \630
 白玉きなこアイス \180
 マロンマロン \0
 デカレンジャーバニラアイス \290
 シークワーサーサワー 2×\100
 生レモンサワー \100
 ピンクレモネードサワー \100
 カルピスサワー 2×\100
 コーラ \100
……安かったなぁ……(これだけ食べて5000円くらい……)

今日の夕飯はチェーン焼き肉屋牛角に行く予定。割引券や1品無料券がごそごそとあるし、平日の夕方に行けばサワー類が1杯100円で飲めるしと色々あって、駅で待ち合わせして帰宅のその足でそのまま焼き肉屋に行くことになっていた。よく、職場から帰るだんなを迎えに息子と一緒に改札で待つことはあるけれど、逆の立場になるのは初めてかも。

「おかえりなさーい、おかあさーん」
「おう、おかえりー」
息子と夫に改札で出迎えられるというのは、なんだかちょっと良い気分。息子は幼稚園にお父さんが見に来てくれたのがよほど嬉しかったようで、朝からずっと先生に
「今日はね、おとうさんが来てくれるんだよ」
と言い続けていたのだそうだ。

「この券でこれが喰えるでしょ、あとこのはがきでもあっちが喰えるでしょ……」
「んで、100円でこの紙に書いてあるサワーは飲める、と」
「この券持ってるから合計金額は1000円引きになる、と」
方針決めて、ぐわーっと注文。今日は何だか豚肉ものが多かった。黒豚のしょうが和えや塩にんにくカルビを、炭から炎ビュービューあげさせながら(豚はあの脂のすごさですぐ炭から火が出てきてしまう……)、じくじく焼いて食べていく。「黒豚のしょうが焼き」は、まんま生姜焼き味で、焼き肉屋さんで食べる味じゃないみたいで笑えてしまった。初めて食べた豚のタンも、牛タンと食感などがやはり近しくて、なるほどなぁ、と。

最初にさらっとキャベツや温泉卵和えのキムチをつついた後は、ひたすらに肉肉肉肉、たまににんにく、といった風に6皿ばかり食べ続け、ほんのり物足りないなと思うところで、いつもはハーフサイズにしている冷麺やクッパをノーマルサイズでいただいた。いかにもチェーン店っぽい感じの味つけなのだけれど、でも何でか好きなのよねぇ。

食後は、これまた無料サービスの「マロンマロン」というオリジナルデザート。栗味のアイスに、モンブランのようににょろにょろと絞られたマロンクリーム、そして"甘栗剥いちゃいました"みたいな栗が4粒ほどトッピング。
「あはは、ほんとに栗ばっかだー」
と、すっかり酔っぱらいつつぺろりと平らげ、ゲームセンターでちらっとダーツ1ゲームやって帰宅。あしたは、スシ〜。

11月26日 金曜日
スシー、スシスシー
フルーグラノーラ with 牛乳

朝御飯はホットサンド!と思っていたのだけれど、だんなは微量に二日酔いみたい。私もちょっと胃が重い感じがして、さらさらっと済ませることにした。早めに職場に着かなきゃと言っていただんなはサンドイッチ用のパンをトーストしてスープと共に平らげて出かけていき、私はだんなを見送ってから息子と一緒にコーンフレークを。

先日Sちゃんにいっぱいいっぱいお土産もらったのだけれど、そのほとんどが、我が息子宛て。息子の大好きなフリーズドライストロベリー入りのコーンフレークと、それとは別にフリーズドライのストロベリーのパック。息子は大喜びで、
「あのねあのね、すじさんのくれたカリカリ食べたいな」
と、うきうきとコーンフレークとイチゴのパックを抱えている。

「すじさん、じゃない。スージーさん、もしくはSちゃん」
「すーじさん?」
「うん、まぁ、いいや、すーじさん、で……」

息子の中では牛スジと同様のモノになっちゃってるのかもしれないけれど、ともかく息子はスージーさんがお気に入り。今日明日と千葉方面に用事があるということで、「だったらうちに泊まっちゃいなよー、宿代浮くし、楽じゃんー」と昨日からお誘いしていたりする。とりあえず、一緒に飯は食おうということで、今日は寿司屋に行く予定。
「今日は、スージーさんと一緒にお寿司食べに行くんだよ」
「おすしって、ちょうしまる?」
「そうそう銚子丸。でね、その後、うちにおいでーって誘ってるんだけどね、スージーさん"でもおうちに帰ろうかな"って言ってるの」
「ダメだよー!ぼくんちおとまりしたほうがいいよー!」
「だよねぇ。だったら、君からもメールでお誘いしてみたら?」
「うん、メールするー」

元々イチゴがたっぷり入っているシリアルなのに、それに更にフリーズドライストロベリーをトッピングして(少しずつ大切に楽しもうという心持ちはないらしい……)、息子はコーンフレークをいつもより1.5倍ほどの早さで平らげた。私はフルーツグラノーラ。食べ終わるなり、パソコンの前に座ってぺけぺけと「きょうのよる、きてね」なんてメールを打ち始める息子。……効果あるかな?

ホットサンド (つなたまちー)
ホットミルク

さらっと済ませた朝御飯、昼御飯も引き続きさらっとめに済ませることに。息子のお弁当を卵とツナのサンドイッチにしてあったので、その残りの具を使ってホットサンドにすることにした。
「ツナと卵、両方入れても合うよねー、うんうん」
と、マヨネーズ和えのツナとマヨネーズ和えのゆで卵を両方パンの上に乗せ、あとはチーズをぱらぱらっと。ホットサンドが焼ける間に牛乳を温め、少しだけはちみつ入れたホットミルクを作った。

我が家のホットサンドメーカーは2つ。どちらもガスじゃなく電気で焼くもの。1つは一度に2セット作れる、5〜6年前に購入したツインバード社のもの。もう1つは三菱製の、1個焼きのもの。こちらはだんなが"嫁入り道具"として実家から持ってきたもので、20年くらい使い続けているものだ。最近のホットサンドメーカーはほとんどすべてが三角形に焼ける(食パンの対角線上に1本線が入る)ようになっているけれど、この三菱のものはフチの四角の部分だけが抑えられるようになっている。その分、具もいっぱい入るので私もだんなもこちらの方がお気に入り。食べている間に具がどんどん下の方に傾いていってしまうのだけれど、それもまた良いじゃないかということで。シンプルでごつくて可愛い、この1個焼きのホットサンドメーカー、もしもまだ売られているならばいくつか買いたいところなのだけれど、もうどこでも見かけることがない。絶滅しちゃったのかな。

「んー、この、ツナと卵の調和がなんともいえぬー」
と、一人アツアツの四角な形のホットサンドをはぐはぐと。サクッとした食パンの食感とアツアツの具の歯触りや味は普通のトーストじゃ味わえない快感で、しかも1個でけっこうお腹が膨れるのも嬉しいところ。

ホットサンドを愛すると、いつかは直火式のバウルーにたどり着くそうで、私も実は先月くらいから「うー、バウルーで焼いてみたーい」と心揺れていたりする。これ以上調理器具を増やしても収納場所に困るだけだから、我慢我慢。

稲毛 「銚子丸」にて
 ぶり(すなずり)
 季節の5カンにぎり
 焼きなす田楽
 生すじこ
 穴子握り
 中トロあぶり
 黒うお
 ハッカク
 えんがわのづけあぶり
 中落ち軍艦
 生ビール2杯
などなど

自宅にて
 日本酒(菊水 五郎八)
 日本酒(一人娘)
 ホッピー
 つまみ色々

息子のお誘いは功を奏したようで、Sちゃんから「遊びに行くよー」と連絡があった。Sちゃんと一緒に寿司を食べるんだよ〜……と連絡したら、DちゃんとHさんもご一緒することに。回転寿司屋の一番大きなテーブルに6人が一緒に席につき、もりもりと寿司をつつくことになった。

「ぶりのすなずりありますよ〜、美味しいですよ〜」
というお店の人の声に、全員が
「それ、ください!」
と1皿ずついただくことに。「すなずり」とは脂の乗ったおなかあたりの部位の名前なのだそうだ。いつものぶりよりちょっとばかり色が薄く、でもトロンプリンと脂が乗ってとろけるよう。続いて、ちょっとお得な旬の5カン盛り(1カンずつ5種類食べられて525円)も5人1皿ずつ。今日はカツオとボタン海老とイクラ、アジ(いや、サンマだったかな……)ともう1つ白身のコリッとした食感の魚。それからは思い思いに注文してみたり、気になる皿を取ってみたり、1時間ほどでこれでもかと食べてしまった。

「うん、来てみたかったんだぁ、このお店〜」
アメリカ暮らしのSちゃんは殊の外喜んでくれて、店に入った直後から
「Sちゃん?Sちゃん?」
と話しかけても上の空でニコニコニコニコ寿司が回るレーンを見つめていて、夢中な様子。席についてからも、
「あと何個食べられるかなぁ……あぁ、あれ、オイシソー」
食べながら悩みつつ、悩みながらもずっとニコニコニコニコ幸せそうにしていた。

平日の午後8時過ぎという時間に入店したのは初めてだったのだけれど、さすがに品切れのものも目立っていて
「あんきもくださーい」
「あー……すんません、売り切れです」
「さんまはあります?」
「もうおしまいですー……」
なんてことが度々。食べている最中にも
「なめろう終わりでーす」
「すじこも終了でーす」
なんて声がカウンターの内側から聞こえてきていた。やっぱりここは昼間に来るのが一番かしらん(平日昼なら味噌汁も無料でついてくるしねぇ)。

たらふく食べた後は、
「うちで酒でも飲む?にごり酒とかあるしー」
と、そのまま我が家へ。先日、新潟物産展で買ってきた菊水の濁り酒「五郎八」を出し、途中のコンビニで買ってきたかっぱえびせんやさきいかを出し、豚味噌鍋用の練り味噌ににんじん添えてつまみにし、秋田の「いぶりがっこ」(桜で燻製したたくあん)も。適度に甘くトロリとした、でも案外さっぱりめの濁り酒を全員でくっぴくっぴとテンポよく飲みつつ、1時間半ばかりだらだらおしゃべりしつつ酒盛りした。

「せりあさんが言ってる、カタマリなんとかって、ナニ?」
と、Dちゃんがテレビゲームを始め、
「うぉ、おもしろいぞ、これはハマるぞ」
と半ば酔っぱらいながらテレビの中でカタマリをごーろごろごろごろと。「もう、この電車に乗って帰らないとヤバいんじゃない?」というギリギリまでゴロゴロやってから帰っていった。

我が家に泊まることになったSちゃんは、その後しばらく一緒に麦茶割り焼酎とかほうじ茶割り焼酎をぐびぐび飲んだ後、2時近くになって就寝。いい年して若い者みたいな遊び方をしちゃって、今日はなんだかすごく楽しかった。

11月27日 土曜日
ちょっとは粗食を目指そうと、にらそば。でも胡麻油たっぷり……。
痩肉皮蛋粥
アイスプーアル茶

起床8時過ぎ。昨夜2時近くに寝たにしては、案外早く目が覚めた。ぱたぱたとお粥の鍋に火を入れ、洗濯機動かしたり食器を出したり。洗濯籠持って洗面所から出てきたところで、「おはよーございます〜」とちょっと眠そうな声のSちゃんと目が合った。よく眠れましたか〜?

寿司と酒とその他諸々でお疲れの胃をいたわりましょうということで、朝御飯は中華粥。中華街で買ってきた油条とピータン、そして香菜と刻み葱をたっぷり用意してテーブルの中央にどかんと出す。干し貝柱をたっぷり入れて煮込んだ粥には、昨日からたっぷりの塩をまぶしてラップにきっちり包んでおいたブロックの豚バラ肉をスライスして入れる。出した碗はちょっと小ぶりのものにして、
「おかわりして、たーんと食べてね♪」
と、アイスプーアル茶と一緒に出した。

「飲みの翌日のお粥って、最高だよねぇ〜」
「それにしては、妙に具沢山だったりするけどね〜」
またーりと各自それぞれお粥をかっこみ、その後数時間部屋でだらだらと。Sちゃんはお昼過ぎに今日の目的地に向かえば良いらしいということで、お昼御飯もご一緒することにした。
「稲毛の二大カレー屋さんのどっちかに行きましょう。黒いカレーかスパイシーなカレーか、どっちどっち?」
と選択を迫る。

稲毛 「高円寺ナイルカレー」にて
 ハンバーグカレー

「あのね、黒いカレーがずっと気になっていたんだ〜」
と言うSちゃんと、昼御飯は「高円寺ナイルカレー」。元々は現マスターのおじさんが高円寺でやっていたカレー屋さんということもあって、どこか中央線の匂いがする小さなかわいいカレー屋さんだ。11時45分頃に到着したら、既に2組ほどのお客さんが席についていた。10人も入ればいっぱいというお店なので、私たちがテーブルにつくとほぼ満席という状態。

「ハンバーグカレーが美味しいよ。あと、基本のポークカレーもいいよ。あとオムライスも捨てがたい……」
「うわー!どうしよう!」
昨日の寿司屋でも真剣だったけれど(←胃袋の容量と、自分の食べたいものを必死に天秤とふるいにかけていたそうで)、今日のカレー屋さんでもやっぱり真剣。
「俺はオムライスにするよ。一口分けてあげるから」
「私はハンバーグカレーにするよ。一口分けてあげるから」
「その代わり、肉ちょうだいね」
と、だんなはオムライス(エビメシにカレーソースのオムライス)、私はハンバーグカレー、Sちゃんはポークカレー、そして息子はお子様カレー。

野菜と果物をたっぷり使ったような味のする、見かけに反して優しい味の黒いカレーは今日もしみじみ美味しかった。確かに間違いなくカレーの味だけれどスパイシーな感じはなくて、不思議な風味。だんなの頼んだ大盛りオムライスがこれまた迫力で旨そうで、良い感じだった。毎回毎回、「やっぱカレーにしよう」とカレーを頼んじゃうんだけど、今度はオムライスを食べようかな。

「ホルトハウス房子」のレモンパウンドケーキ
カフェオレ

Sちゃんと駅で別れ、私たちは千葉駅に。目的はヨドバシカメラで、
マッハ!のDVDが出たそうですよ。特典映像がいっぱいらしいですよ」
「なんと!それは買わねば!」
と、この夏に見たムエタイアクション映画のDVDを買い求めに行ったのだった。DVDソフトが売られるコーナーはゲームソフトが売られるコーナーと隣接していて、そして今日はドラゴンクエストVIIIの発売日。そこら中で、昔懐かしい聞き覚えのあるテーマ曲が流れていて、デモ画面もそのへんにゴロゴロと。
「ほぇー、綺麗なもんだねぇ……ポリゴンっぽいけど、アニメみたいねー……うつくしい」
美しいな美しいな、これは、なんだかやりたくなってきてしまったな……と、5作目以来手を出していなかったドラゴンクエストの第八作目、ついふらふらと衝動買いしてきてしまった。……やる暇、あんまりないのになぁ……。

「ふふふ、マッハだ」
「ふふふ、ドラクエだ」
他に特にお買い物することもなく、そのまま帰宅。なんかお菓子が食べたい気分……と思ったところで、昨日Sちゃんからお土産にケーキを貰っていたことを思い出した。横浜で買ってきてくれた、ホルトハウス房子さんのレモンのケーキ。Sちゃん、お目が高い。ここのチーズケーキはめちゃめちゃお高いけれど、めちゃめちゃ美味しいのだ。他のケーキもずっと気になっていたのだけれど、何しろお値段がよくて手が出せなかった。嬉しいな嬉しいな。

冷蔵庫に入れてあるけれど、バターが程良く溶ける室温にしばらく置いておいて、と書いてある。コーヒーを淹れている間にこたつの上に置いて、しばし柔らかくなるのを待ってみた。上にかかったシュガーコーティングも程良く甘く中はしっかりジュワッと濃厚にレモンの風味。「レモン風味のパウンドケーキ」なんてものじゃない、レモンレモンしたレモン味のそのものなケーキですごくさっぱりした味だった。軟弱な柔らかさはなく、どっしりと重いけれど食感は案外軽やか。すごくリッチな味のレモンケーキで、もったいないわとちびりちびりと囓ってしまう。

で、そんな爽やか酸味のケーキを食べつつ、テレビ画面には先ほどからトニー・ジャーがムエタイ技を繰り広げまくっている。一度映画館で見ているからストーリーも細かなところも全部覚えているのだけれど、それでも見事な膝蹴りや肘打ちが悪役にヒットするたびに
「おおお〜」
「すっげー」
と呻いてしまうのだった。

にらとにんにくの和えそば
もやしの中華風和え物
アイスプーアル茶

このところの暴飲暴食対策ということで、今日はあっさりあっさりした夕御飯を。アルコールも抜きの方向で。

「……さっぱりと……ラーメン?とんこつラーメン?」
「それ、全っ然さっぱりじゃないよ……そばはそばでも、和えそばみたいなのは?にらそばとか」
「……うん、いいかも」
幸いにらが1束98円だったので、今日はにらそばに決定。もやしも恋しくて、
「ほら、ノンオイル中華ドレッシングみたいなさ、あんな味付けのもやし食べたい」
と、1袋買ってきた。

中華街で買ってきた卵麺を茹で、胡麻油と塩でざっと和える。上からこれでもかと細かく刻んだ長ねぎとにらをたっぷり散らし、その上からカリカリに茶色く揚げたにんにくをその揚げ油と共にジャーッとかければできあがり。ジャーッとかける油が1人あたり大さじ2くらいはあるし、麺を最初に油で和えてもあるのだから、実は全然さっぱりした料理じゃないのだけれど、生のにらがたっぷり味わえてそれが快感な麺料理。夕方、ちょっと疲れてこたつに足突っ込んで寝ていたら、だんながもやしの和え物をちゃちゃっと作ってくれた。私はにらとねぎを刻む担当ということで。

生のにらのじわっと辛い味が楽しめるそばだけれど、息子にはやっぱり不評。
「この、ねぎみたいなの、からいね」
と、必死に除けようとしている。

「ちゃんと食べなよー。これ、にらって言ってね、餃子にも入れてるよ」
「そっかぁ……」
"餃子"の一言で、「じゃあこれはやっぱり僕の好きなもの?」という顔になって改めてつつきまわしていたけれど、
「でもね、ぎょうざに入ってるのは美味しいけど、この、ねぎみたいなまんまで入っているのはやっぱりからい……」
味わった後に、更に絶望的な顔をしていた。うん、私もきっと高校生くらいになるまではこの和えそばは不味いと思っていたと思うし。

11月28日 日曜日
トリッパのトマト煮込みに白トリュフをゴーリゴーリ
ホットサンド (つなたまちー)
カップスープ(コーンクリーム)
アイスカフェオレ
ヨーグルト

今日はおでかけ。
「なんかさ、金曜の夜から騒いでたから、それが土曜日で昨日は日曜な気がしていたよ。今日は月曜だ〜って気分だったから、なんか得した気分」
「ま、今日も一日お出かけするからきっと疲れるんだろうけどねー」
そんなこと言いながら、なかなか食べられなかったサンドイッチ用の食パンで、ホットサンド。具はシンプルに卵とツナとチーズ。冷蔵庫の奥から、ここんところちょっと忘れ去られていたチーズ「カチョカヴァロ」の端っこのほうが出てきたので、薄くスライスして挟んでみたところ、今まで使っていたピザ用チーズがプラスチックか何かに思えてしまうほど風味豊かでぴよーんと伸びてほのかに甘くて、めちゃめちゃ美味しかった。

「うぉ!なんか豪華な味!」
「なんだこの豪華なホットサンドは!」
とか言いながら、もぐもぐ。

水道橋 「ふらんす亭」にて
 コンビプレート(サービスレモンステーキ+サービスねぎ塩焼き)
 アイスウーロン茶

電車にがたごと揺られながら、
「お昼御飯、どこで喰うべー」
と話し合い。乗り換え予定地の飯田橋にカフェハイチがあるらしいよ(←ドライカレーがしみじみ美味しい……って、もう10年近く食べてない……)とか、ちょっと歩いてMOS'S-C(モスバーガー経営のハンバーガー屋さん)にしようかとか、いっそ池袋まで出ちゃう〜?とか色々話し合った結果、

「あそこ行ってみたいんだけど。水道橋のさ、駅降りてちょっと歩いたところにある緑色っぽい洋食屋さんの……ふらんす亭」
「……いいよー……って、何の店?」
「レモンステーキとかいうのが名物でー、ステーキっていっても塊じゃなくて薄い肉らしいけど」
「うん、いいんじゃなーい?」
ふらんす亭というあちこちに店舗を構えるチェーン洋食屋(ステーキ屋?)さんに行くことになった。

私は名物のレモンステーキと「ねぎ塩焼き」がセットになったコンビプレート、だんなはチーズレモンステーキとサルサマヨネーズソースのハンバーグのコンビプレート。御飯を大盛にしてもらい、息子に分けつつおかずも適当に分け合うことにした。コンビプレート1つが1200円くらいだったかな。安いとはいえないけれど、案外と食べ応えがあって(ライスとスープとサラダもついてくるし)、しかも思ったよりもずっと美味しかった。名物のレモンステーキよりも、ねぎ塩焼きの方が私の好み。

ジュージューいいまくっている鉄製のお皿の上にはソースが飛び散らないように紙のついたてがかぶせられていて、その皿の上に肉料理が2種類。味が混ざらないように中央にもやしといんげんなどの野菜炒めが盛られていて、左にレモンステーキ、右にねぎ塩焼き。ほのかにレモンの風味がする醤油味ベースの懐かしげな味の"レモン風味薄切り牛肉焼き"と、塩胡椒を効かせた油と刻み葱の和えものがごってりと薄切り牛肉にまぶしつけられたねぎ塩焼き。どちらも御飯にすこぶる似合う味で、あとはワカメ入りのスープと、焼き肉屋さんで出てきそうな味のドレッシングがかかったレタスのサラダ。息子用にと持ってきてもらった空のサラダボウルに
「御飯、食べな」
「お肉も食べな」
と適当に料理を分けてやりつつ、ちゃちゃっと昼御飯を済ませた。近所にあったら頻繁に行っちゃうかもという、手頃な味の手頃なお店。満足したところで南北線と有楽町線使って池袋サンシャインシティに向かう。

青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 小さな前菜盛り合わせ
 厚岸産生牡蠣
 アンガス牛のカルパッチョ 白トリュフがけ
 トリッパのトマト煮込み 白トリュフがけ
 トスカーナ産ドライトマトとアサリ、バジリコのリングイネ
 アイナメのソテー、ヴァン・ブランソース
 自家製ソーセージを詰めたウズラのロースト 白トリュフがけ
 チーズ(モンドール・パルミジャーノ・ゴルゴンゾーラ・ブラッシャネーラ)
 口直しドルチェのプレート
 栗のスフォリアテッラ(ナポリ風パイ包み焼き)とバニラジェラート
 ハーブティー

 アペリティフ(フレッシュな苺ジュースのスプマンテ割り)
 白ワイン(Bianco Faye 2000 Pojer & Sandori)
 赤ワイン(Carmignano 2001 Capezzana)
 デザートワイン(Essenzia 2001 Pojer & Sandori)

今日最初のイベントはキャラメルボックスの冬公演「SKIP」。初めての原作つきの劇とのことで、期待半分不安半分。見終わった感想は「うーん、やっぱりいつものドタバタ活劇の方が好きかなー」という感じだった。小説をネーム多めの漫画に無理矢理したような違和感がところどころあって(原作で出てくる言葉を大切にしたんだろうなというのはとてもわかるんだけど)、途中でちょっとタルいところもあったりして。でも、元気な若手と力のあるベテラン勢が程良く混ざった今のキャラメルボックスの雰囲気は嫌いじゃなくて、やっぱり次も見に行っちゃうのだろうなぁ……(次回作は「TRUTH」再演だそうで、それまた微妙に楽しみで微妙に不安……)。

観劇後は有楽町線と半蔵門線を乗り継いで表参道へ。
「ちと早く着いちゃったね」
と、途中のアンデルセンで明日のパンなど買いつつ、「Cucina Tokionese Cozima」に赴き、今日は総勢8人の豪華ディナー「白トリュフの夕べ」。秋の風物白トリュフ、10月頃からクリスマス頃までお店に出てくるのだけれど、去年のちょうど今頃トリュフ尽くしの夕御飯を一度食べて、すっかり魅了されちゃったのだった。

「また行きます?行っちゃいます?」
「行きましょう行きましょう」
「今度はF夫妻もお誘いしましょう」
「大人6人で食べるなら、トリュフの負担もちょっと軽くなるかもね」
なんていう話になり、今回は前回ご一緒したTさん夫妻に加え、先日ビール造りをご一緒したFさん夫妻もご一緒に、そしてTさんの娘さん(8ヶ月の赤ちゃん。ぷにぷに)と我が家の息子も入っての8人での宴会ということになった。男性陣3人は高校時代の同級生。女性3人は皆揃って料理好き美味しいもの好きということもあって、わいわいがやがやの3時間ほどの食事はとてもとても楽しかった。育児疲れのMさんも、少しは良い息抜きになったかなー?

子供もいるし大人数だし、地下(落ち着いた雰囲気)よりも1階(ちょっとカジュアル)の隅っこあたりでお願いします、と最初から伝えておいてもあったし、食事を始める時間も午後6時と早めにしたし、そして幸い今日はあまりお客さんも押し寄せて来る日じゃなかったらしくて、窮屈さをいつも以上に感じることもなくのびのーびと御飯が食べられた。赤ちゃんをたーっぷりだっこさせてもらったし、それも幸せ。トリュフも酔っぱらうほど味わえて、それもこの上なく幸せ〜。楽しい夕御飯だった。

最初に、
「白トリュフ、どれに致しましょうか?」
と目の前に3個の白トリュフをドーム型の蓋つきの皿に乗せて見せていただく。小さいのは1万円ちょっと、大きい30g強のものは3万円弱。
「う……3万円……」
「でもでも、せっかく来たんだから」
「だよね、おっきいの食べたいよね」
と、36〜37gほどの白トリュフを1個お買い上げ。これを料理にたっぷりかけてもらうことにする。

突き出しには、豪華に花形小皿に7種類の盛り合わせ。中央には北海道の甘いトマトの一口スープのグラスが置かれ、周囲6ヶ所、お皿の"花弁"にあたるところにポンポンと一口サイズの料理が配されている。スプマンテを苺の果汁で割った、ふわんと甘い食前酒を飲みながら、スナック菓子のようなサイズの可愛いパニーニ、クワイのバーニャカウダソース添え、黒オリーブ1粒、イベリコ豚のパテ、ゴルゴンゾーラのムースのクロスティーニ、蒸し蛸。ひんやり冷たい前菜はどれも目先が違う味がして、どれから食べようかなと考えるだけでわくわく。ふんわりと柔らかな口当たりのゴルゴンゾーラのムースと、コリッと感じるところどころの食感が心地よかったイベリコ豚のパテが格別だった。

話も進み、お酒も進んで、ここで白ワイン1本と赤ワイン1本をお願いした。ポイエール・エ・サンドリという造り手のビアンコ・ファイエと、続く赤ワインは手頃な価格のトスカーナワイン。ビアンコ・ファイエはイタリア料理店ではお馴染みのもので、何度も何度も(仕事上)目にしたことがあるけれど、飲むのは初めてだった気がする。トロンとした、コクもあるけれどさっぱりとした白ワインだった。

で、ここからトリュフトリュフの夕べの本番。今回は、前回のような「何もかもに白トリュフをかけちゃおう」というある意味下品だったものじゃなくて(いや、その下品さが嬉しかったのよねぇ……)、トリュフを楽しめる皿と、一度口の中をさっぱりできる軽めのパスタや魚料理を間に挟んだ構成になっていた。メリハリがついて、これはこれで白トリュフの風味が楽しめて良かったかも。

前菜1皿目は、届いたばかりだという厚岸産の生牡蠣を1人3個ずつ。シンプルにレモンだけが添えられていて、ギュッと絞ってツルンと食べる。それほどブリブリに大粒なものじゃないけれど味がギュッと詰まっている冬の生牡蠣。ほのかに甘くて磯の香りがして、プルンプルン。続く皿はアンガス牛のカルパッチョ。生野菜をお団子みたいにくるむように、薄い薄い牛肉が丸いオブジェを形作っている。ハーブやオイルでたっぷりマリネしてあったというアンガス牛は綺麗な赤身で味が濃厚。

で、このカルパッチョの上に、白トリュフをザーリザーリとスライスする。肉の1/3が隠れてしまうほどのたっぷりな白トリュフはでも薄く薄く透けるよう。私は隅っこに座っていたのだけれど、2人挟んだ向こうの端に座るTさんの皿にトリュフをかける時でさえ、周囲にもわわわ〜んとあの独特の芳香が漂ってきた。全員の分のトリュフが皿に削られた頃には周囲にもやんもやんとそのオーラが見えそうなくらいにトリュフの匂いが漂いまくっていて、その匂いだけで酔っぱらいそう。適度に塩胡椒が効いた、ほのかにスパイシーな肉に白トリュフが溶けてしまいそうに絡んでくる。酒がこれまたよく似合う。

「えへへへ、トリュフだトリュフだ」
「えへへ」
「うふふ」
と怪しい笑いがにじみ出る私たち。

そして次の皿もトリュフ。柔らかく優しい味に煮込まれたトリッパのトマト煮込みに黄身がとろんとろんの温泉卵が添えられ、黄身を潰してトリッパにくちゅりと絡めつついただく。そしてその上にも白トリュフ〜。ほんのわずか、好みな感じのけだもの臭さが残るトリッパはツルンと柔らかでプリプリとしていた。お皿はすぐに空になる。

さらっと数口分のパスタは、オイルベースのドライトマトとアサリとバジリコのもの。じわっと辛くてさっぱり味。続く魚料理もトリュフ抜きのあっさりなもの。下仁田葱をクタクタに火を通したものの上に皮目をパリッカリッと焼いたアイナメが1切れ。白ワインとバターのほのかに酸味のあるソース、「ヴァン・ブランソース」がとろりと添えられていて、肉料理の「前座」という印象の淡白な料理だった。

そして、肉料理は自家製ソーセージ詰めのウズラのロースト。黒や白、褐色の色合いの炊いた雑穀が敷かれ、その上にカリッと焼かれたウズラがこぢんまりと。肉で巻かれるように、ざっくり粗く刻んだようなツブツブ感のある舌触りのソーセージが詰められていた。上に、とどめのように白トリュフがヒラヒラヒラと。赤ワインとウズラと白トリュフが胃袋や口の中で混ざると、そのアルコールの風味とかほんのり野生の味のする鳥肉とトリュフの香りで口と舌両方からますます"酔い"が全身に回るようで、すごく気分が良くなってくる。かつてトリュフは媚薬として使われていたと聞いたことがあるけれど、それも無理ないなぁと理解できてしまう。

各自赤ワインがちょっとずつグラスに残ってしまったので、チーズも少しだけ。モンドールとパルミジャーノとゴルゴンゾーラとブラッシャネーラを盛り合わせてもらい、更に皿にはアカシアの蜂蜜と自家製モスタルダ(マスタードの辛味の効いたマーマレード……のようなもの)も。赤ワイン飲みながらチーズつついて、チーズつついている間に赤ワインが消えて、その頃に
「こちらもどうぞ」
とデザートワインを出していただいた。白ワインと同じ作り手、「ポイエール・エ・サンドリ」のデザートワイン。貴腐ワインにするほどに葡萄の実を放っておかず、適度に完熟したところで葡萄を摘んで作ったのだというそのワインは、ソーテルヌほどトロ〜ンとしておらず、ソーテルヌほど甘ったるくもなく(あの甘さも甘さで好きだけど)、適度に軽くて爽やか。ピリッと辛いゴルゴンゾーラ・ピカンテに蜂蜜をちらっと垂らしたものにおそろしくよく似合っていた。

本番ドルチェ前の小さなドルチェプレートには、柿をアマレットで漬けたものとか、抹茶とホワイトチョコレートのソースを添えたパンナコッタ、ライチのシャーベット、ハイビスカスのお茶、カスタードクリームを挟んだ焼き菓子などなど。ほんの1口分ずつ、2人分ずつ1つのプレートに盛られたそれを、
「ぼくもーぼくもたべるー」
「お子さまの分はありませーん」
「でもたべるー」
「じゃあこれ、一口だけあげよう」
と、息子と奪いあいながらいただく。ちょこちょこつまんでいるうちに、アツアツのドルチェもやってきた。

今日のドルチェは焼きたての、栗のパイ。温かいチョコレートソースがパイの下に敷かれ、少し離したところにバニラジェラートが添えられている。これはもう、こうするしかないでしょー、と、あったかいパイを一口分フォークに刺して、チョコソース絡めて、バニラジェラートも上にコテッと乗せて、口の中へ。あったかいアップルパイとバニラアイスとか、あったかいスイートポテトとソフトクリームとか、こういう組み合わせってなんでこんなに美味しく感じてしまうのかわからないのだけれど、幸せな美味しさ。たらふく食べて呑んだ後のパイやチョコのドルチェというのが、重いようでいて、しみじみ美味しいのが、また不思議。

最後にはフレッシュハーブを使ったハーブティーをいただいて口の中をさっぱりとさせ、気がつけば3時間近く経っていた。今日、同僚の結婚式があったということでシェフのKさんは不在だったのだけれど、どれも安心していただける味のものばかりで一安心。ただ、通して食べるとほんのすこし中心がぼやけたような、重心がほんのりズレたような、そんな印象も少しだけあったかなぁ……(魚料理がちょっと無難すぎる皿だったかな、みたいな……)。

「今日、"良いお年を!"って去るのも何ですしね」
「12月中にもう一度は来たいです〜」
と挨拶して、お店を後にした。向かいのコシノジュンコビルでは真っ赤なクリスマスツリーがキラキラと。
我が家も昨日ツリーを出したのだけれど、今晩の食事はまるでクリスマスディナーのように豪華絢爛だった。

11月29日 月曜日
昨日に続いて、今日もイタリアンだ……
「アンデルセン」の
 クリームチーズデニッシュ
 チョコデニッシュ
カフェオレ

昨日の帰宅は10時半頃。そんなに遅くもないし眠くもなかったはずだけど、
「いやいや、美味しかったねぇ〜」
「このまま寝ちゃいますか〜?」
と、いつもの「酔っぱらった夜」のように、風呂も入らず帰るなり寝てしまった。

今朝はもそもそと(だんなが)6時に起きて、(だんなが)お風呂つけて(だんなが)コーヒーメーカーの電源入れて、
「あれ?おとーさん、おはよー」
「うん、お風呂入る?」
「うん、はいるはいる」
と、起きてきた息子と夫が風呂場に消えていっても、まだ私は起きられなくて布団の中でもごもごと。……ここんところ、さすがに遊びすぎたよ……眠いよ……。

息子が風呂からあがる頃にやっとの思いで起きて、あれこれ散乱した部屋の物体を片づける。遊び過ぎたというか食べ過ぎたというか、ともかく胃が荒れているような感じなのに、なのに朝御飯はデニッシュ。表参道に行ったらアンデルセンに寄りたい気持ちが沸いちゃうわけで、アンデルセンに寄ったらバゲットとかよりもデニッシュ類に目がいっちゃうわけで、
「しょうがないなー、もー」
なんて言いながら甘いパンを買ってきてしまった。2種類も。

「他の、どのデパ地下で買うよりもここで買うのが美味しい気がするんだもんなぁ〜」
と言い訳しながら、チョコデニッシュとクリームチーズデニッシュを牛乳多めのカフェオレ片手にもぐもぐと。
……これ食べたら、今週は菓子パン控えるようにしよ……。

広尾 「ACQUA PAZZA」にて ゴチランチ
 バーニャカウダ
 小さな魚介のフリットミスト
 イイダコのマリネ ジェノバペースト と サルシッチャ詰めのレンコンのグリル
 自家製ツナのオイルベースのスパゲティ
 いろいろきのこのクリームソーススパゲティ
 ドルチェ(いちじくとクルミのタルト、洋梨コンポート添えパンナコッタ、マルサラ酒漬けレーズンのジェラート)
 プチフール
 ハーブティー
 白ワイン

昨日さんざん白トリュフとイタリア料理を堪能してきたのだけれども、今日もイタリア料理店、しかも昨日と同じ系列であるアクアパッツァにお出かけ。最近ちょっとした組織変更があって、その諸々の手続きやら何やらがあったりしてホームページ担当者として「近いうちに伺います〜」と言ってはいたのだけれど、月曜にどうでしょ?と数日前に日高シェフ直々からお電話いただいちゃったのだった。

「お久しぶりです。日高です」
「ひ!は!はい!お久しぶりです。おはよ……いや、こんにちは!お世話になっておりますっ!」
会ったり話したりするのが初めてというわけじゃないのに、いちいち悲しいほどに緊張してしまう私。何をどう話したのか忘れてしまったけれど、とにかく今日、月曜日の開店前にお店に伺うことになった。はー……と受話器を置いて、深呼吸したところで再び電話の着信音が。

「は!はひ!」
「あ、何度もごめんなさいね。日高です。月曜日、もしも時間おありでしたら、ぜひランチ食べて行ってくださいね。御馳走しますから」
「わ!うわ!ありがとうございます!嬉しいです〜!」
"食べていってくださいね"を伝えるためだけだった二度目の電話が切れて、再びふにゃふにゃと力が抜ける。……そういえば、広尾のお店に行くの、もう1年ぶりくらいだったかもしれない。ずっとずっと、行こうと思っていたのだけれどなかなか機会がなくて。

開店前のお店には、日高シェフと広尾店マネージャーTさん、総括マネージャーKさんと、いつもメールや電話でやりとりしているUさんが。4人と私とで円卓を囲んで、今後こうしたいああしたい、こんなこともできますが〜、などと話し合う。以前、千駄ヶ谷のお店でパタパタ動き回っていたTさんが、すっかり貫禄がついてマネージャーとして動いているのに時の流れを感じてしまった。そりゃ、もう何年も前に作ったホームページの基本レイアウトも手垢がついたみたいな感じになってきて当然だろうなと思う。……そろそろスタイルシートとかばりばり使っちゃっても良いかしら。一応、当初は年輩のお客さんも多いことを考えて文字やボタンを大きめに、余白多めに、なんて考えてきていたのだけれど、少しずつ方向を変えていくのも必要かな、と。広尾のお店もちょっと改装されて、数段敷居が低くなった風になったので、それに合わせてホームページも変え時なようで。

有意義な話をあれこれした後は、今日は本当は非番だったのだというUさんと2人でランチ。
「こういう機会でもないと、なかなかお話できませんしね」
「そうそう、私がお客さんで来ても、Uさんがフロアで動いていたらそんなに長くお話できませんものね」
年が1歳違いだということも判明した気安さもできて、インターネットやホームページについて〜とか、料理業界について〜とか、あれこれあれこれ話しながらゴチランチ。白ワインもかっぱかっぱといただいてきてしまった。

最初は、広尾店では定番のバーニャカウダ。家で作ろうとすると気が遠くなるほど何度も何度もにんにくを牛乳で茹でこぼさなければならないソースは、アンチョビ入りの温かいもの。これを生の野菜につけていただくのだけれど、野菜ってこんなに美味しかったのかと強烈に思ったのが初めて西麻布時代のアクアパッツァに行った7年前の事だった。相変わらず、このお店でこうして食べる野菜はどれもこれもが美味しい。一口サイズの大根やにんじんが可愛らしくグラスに納められていて、イタリアンパセリなどと一緒にもりもり食べる。

前菜は、柔らかなイイダコのマリネにジェノバペーストを添えたものと、温かいレンコンのグリル。コリコリッと粒が感じられるサルシッチャ(ソーセージ)がレンコンの穴に詰められているように収まっていて、ふわんと温かい。サラダも添えられて、彩りも綺麗。テーブルの中央にはフリットミスト(揚げ物盛り合わせ)がやってきて、
「私、半分取りましたからあとUさんの取り分ですよ」
「わ!じゃあ、いただきますね」
2人でわちゃわちゃとあれ食べたりこれ食べたり。セモリナ粉の衣をつけて揚げたカラッと軽い食感のフライは、イカとか白身魚とか海老とか親指大のかわいい小魚とか。適度に塩気もついていて、そこにレモンをギュッと絞って食べる。

そしてあとは2種類のパスタと、たっぷりのドルチェ。オイルベースのパスタは自家製ツナとたっぷりの野菜、クリームベースのパスタにはたっぷりのきのこが入っていた。麺と同じくらいの分量、たっぷり使われているんじゃないかというツナがホロンホロン。素敵な食感だった。

「改めて見ると、本当に女性ばっかりなんですね、お客さん」
「そうなんですよ、近くの高校や大学に通う子供さんのお母さんグループ……といったお客さんも多いみたいで」
だから、重いメインディッシュをお出しするより、前菜とパスタでさらっと済ませて、かわりにちょっとボリューム多めのドルチェが喜ばれたりして……という言葉になるほどなるほどー、と頷きながら、私もそのボリューム多めのドルチェを前に喜びが顔に滲み出てしまう。

大皿に盛られたドルチェは、香ばしいいちじくとクルミのタルト、ふわわんと優しい味のパンナコッタに洋梨のコンポートを添えたもの、そしてちょっと大人っぽい味わいの、マルサラ酒漬けのレーズンをたっぷり混ぜたジェラート。それで終わりかと思いきや、ハーブティーと一緒に横長の黒い皿に8種類ほどもプチフールがやってきて、鼻血が出そうになった。濃厚なトリュフに、四角い可愛いマシュマロ、ビスコッティにシロップを染みこませたフィナンシェにチョココーティングのレーズン、チョコ菓子チョコ菓子……と、どれもがささやかだけれどいちいち美味しい。いかにも女性客が喜びそうなプレートで、しっかり私も悦びに浸ってきた。

全体的に、大きくは外さない、でもキランとどこかが光っているイタリアンといった風で、安心してゆったり楽しめるランチのコースだった。あああ、こんなに美味しいのにご無沙汰しちゃっててすみません、今度はきっちり自腹で家族で来ますから〜……という感じ。暖房完備のテラス席は屋内よりも温かいくらいで、新しいそのテラス席もとても気に入った。

「は〜、ごちそうさまでした〜。……仕事は、気合い入れて!がんばります!」
「ですね。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
笑顔の素敵な子鹿のようなUさんと店頭で別れ、美味しいもので気合いを入れたところで広尾を後にした。年末年始、お仕事いっぱいしそうな予感……。

「松屋」の
 豚キムチ丼(大)
わかめと長ねぎの味噌汁
ビール(モルツ)

今日の夕飯は軽く軽くごく軽く、
「んとー、卵御飯とシンプルな味噌汁、あとはかぼちゃを蒸して、肉あんでも作ってかけるかなー」
なんて思っていた。ちょこっと仕事したり、ちょこっとゲームしたりしているうちに午後7時半。
「じゃあ、そろそろ冷凍御飯をチンしましょうかねー」
と、冷凍庫の扉をあけたところで冷凍御飯が全然ないことに気がついた。

「げ!ないじゃん!冷凍御飯、ないじゃん!これから炊いたら……炊けるのは8時過ぎだよねぇ……あっちゃー」
大変大変、しょうがないからうどんでも茹でようか……と鍋を手にとったところでだんなから
「遅くなりそうって言ってたけど、今終わったからー。帰るからー」
と電話があった。

「もう喰っちゃった?何もないならどこかで適当に食べて帰るけど」
「食べてない……何もないっていうか、今この状態で何もないっていうか……」
「……はぁ?」
ほんのり呆れた風のだんなに、冷凍ごはんがー、んでー、うどんをー、と必死に説明。結果、豚丼を買ってきてもらえることになった。……すみません……。

買ってきていただいた、松屋(いつもならこういうときは吉野家になるところ、今日のお昼にだんなは吉野家に行ってしまったそうで……)の豚丼。だんなと息子は豚丼で、私は豚キムチ丼。味噌汁だけは私が準備して、わかめと葱の味噌汁に揚げ玉をパラパラッと落として食べた。350ml缶半分こして飲んだビールと豚丼味噌汁で簡単夕御飯。松屋の豚丼も、案外好きな味だわ……バラっぽいピラピラ感が、なんとも。

……明日は野菜をちゃんと食べよう……。

11月30日 火曜日
牛肉たっぷり簡単ハヤシライス
フルーツグラノーラ with 牛乳

「火曜はジムに行くから、5時半起きだからね」
「……私も起きようかなー」
「……サルですか?」
「うっきー」
これまで、だんなの早朝ジムのための起床につきあうことはほとんど全くなかった私。数週間前に久しぶりに手にとってしまったテレビゲーム(ちょっと前まで塊魂、今はドラゴンクエストVIII……)にハマッてハマッてお猿になって、ついには、夫につきあって早起きしてテレビ画面に向かうようになってしまった。昼間はちゃんと仕事しなきゃという思いが一応あるゆえの早起きだけれど、いい年して何やってんだろとつくづく思う。……でも、楽しい……。

パンかなうどんかなと思いつつ、息子に
「朝御飯は何が食べたいですかー?」
とたずねれば、
「いちごのカリカリー!」
と即答された。フローズンストロベリー入りのシリアルに、更にフローズンストロベリーをトッピングするという大変にイチゴイチゴしたシリアルは、注いだ牛乳もほのかなピンク色になる。あと2ヶ月もしたら生の苺をざくざく入れるのも楽しい季節になるけれど、とりあえず息子はフローズンストロベリーがそれはそれは気に入っているらしかった。

「おかーさんも、いちご、食べるー?」
「いや、苺は君のだから、私はいらないのよ」
私も「いちごのカリカリ」は大好きだけれど息子の好みを尊重して、私はフルーツグラノーラ。秋になって「おいもとあずきのグラノーラ」が今年も発売されているようだけれど、これよりはいつものプレーンなものの方が好みなので、それをガツガツ食べている。シリアルをガツガツ食べるのもいかがなものか。

簡単ハヤシライス
牡蠣のチャウダー
コールスローサラダ
アイスティー

昨日は松屋の豚丼という、ちょっとわびしげな晩御飯だったので、今日はきちんと何かを作ろうかと。ただし、肉少なめで野菜たっぷりで何かないかしらー、と思っていたところ、義妹から「良かったら、今日の晩御飯食べさせて〜」と連絡があった。なんでもお義母さんとお義父さんが2人してゴルフに行っちゃったのだそうで、今日の夜は一人なのだとか。仕事して疲れて帰ってくる人に蒸し野菜だけの夕御飯というのもあんまりだろうなぁ、と、シチューにしちゃおうかなポトフもいいないっそカレーとか、とあれこれ考えつつスーパーに。牛薄切り肉が安売りされていたので
「うん、ハヤシライスにしちゃおう。デミグラスソースの缶詰、そろそろ食べちゃわなきゃってのがあったし」
と、バラ肉ともも肉の薄切りを買ってきた。

昨日、お義母さんに貰ってきた剥き牡蠣のパックがあったので、これはチャウダーに。バターで細切りにした玉ねぎ、にんじん、セロリを炒めて、小麦粉ふって、そこに牡蠣に白ワインふって軽く蒸したその蒸し汁だけを加えて軽く煮詰める。更に水入れて顆粒コンソメ入れて、牛乳入れて、沸騰させないように温めたら最後にワイン蒸しにした牡蠣をポンポンと落としてできあがり。ワインの酸味がちょっとばかり強くなっちゃったけど、トロンと濃度のあるなかなか美味しいチャウダーになった。

ハヤシライスはデミグラス缶とトマトジュースの缶詰を使った、めちゃめちゃ簡単な作り方(ケンタロウさんの本に載ってた……確か……)で。バターとサラダ油を大さじ1くらいずつ鍋に落として温め、玉ねぎと肉をせっせと炒める。赤ワインをちらっとふってそれを飛ばしたら、ハインツのデミグラスソースとジュースを注ぎ、あとはケチャップとウスターソースと少しの醤油で味を調整。軽く煮込んで味が馴染んだらできあがり、という、めちゃめちゃ簡単だけれど、それはそれで「おうちの、おっかさんが作るハヤシライス」という味がして私はけっこうこの味が好きだったりする。

あとは、刻んだキャベツとにんじんとセロリを軽く塩で揉んでからマヨネーズであえた、コールスローサラダ。
ハヤシライスはこれでもかと肉たっぷりだけれど、あとは野菜もそこそこ使われた献立になった。外食続きだと、この程度の簡単な料理でも自分の家で食べられる味にどこかほっとしてしまう。

「おねぇちゃん、くるの?」
「うん、来るよー」
「おとうさんは?」
「んー、どうだろねー」
と言っていたのだけれど、午後6時過ぎて、だんなから
「むりぽ」
のメールが。続いて義妹からも
「おねぇちゃーんゴメン!バグが……バグが……」
と「号泣」の文字が飛び交うメールが届いて、何だか兄妹して仕事が大変になっちゃってる様子。うん、こういう事もあるだろうなと思って、だから炒め物とか焼き物のメニューにしなかったんだよー、と、自分の先読みの良さに感心しつつ(ハヤシライスは残ったら冷凍すれば良いことだし)、でもちょっとだけショボン。

「カレーっぽいのに、カレーの味がしないねぇ」
とハヤシライスを美味しそうにつつく息子は、でも牡蠣はいまいち苦手みたいで
「この……くろいの……いらない」
と必死に除けてスープを啜っていた。ほのかに苦いし、食感も何やら不気味なところがあるし、それは無理ないなぁと思うけれど、
「この、かきってたべもの、味も好きじゃないなー」
と断言された。私は冬になったら必死になって生牡蠣を食べようとしてしまうほど牡蠣が大好きなのだけれど、息子がそうなるにはまだ10年以上の歳月が必要みたい。

「でも、サラダとごはんはおいしいんだよ」
「……うん、まぁ、それならいいやー」
ほのかにワインの香りのスープとハヤシライスの夕御飯を平らげた後、居間に飾ったクリスマスツリーの電飾の電源をぽちりと入れてみたりして。