食欲魔人日記 04年11月 第2週
11月8日 月曜日
600円の鶏肉&ハンバーグプレートは、目玉焼きつき。
「Johan」のチョコブレッド
バナナ
アイスカフェオレ

「どうどう?ちょっとは良くなった?」
起きるなり、だんなの口に懐中電灯突っ込んで喉の奥を観察させていただく爽やかな月曜日の朝。喉の奥は相変わらず白いし、なんか所々黒いし、しかもなんか糸引いているようにも見え、そのへんのブツブツからいつエイリアンが皮膚食い破って飛び出してもおかしくないそんな雰囲気が以下略、という感じ。この数日で、扁桃腺炎っておっそろしい病気なのだなぁ……としみじみ思い知ることになった。

私も私で相変わらず喉は痛いし鼻水も大量生産されているし、ゆえにダルいし頭も重いし、扁桃腺炎じゃなく単なる風邪っぽいけど色々としんどい。息子だけが元気という、ちょっと悲惨な状況にある。息子も体調を崩していないというのが唯一の救いなのかもしれない。

「俺、病院寄ってから仕事行くわ……朝御飯は……ヨーグルトでいいや……」
今日も幼児のおやつのようなものしか食べられないらしい我が夫。私と息子は、スライスしたチョコブレッドを1切れずつと、1房100円で安売りしていたバナナの1本を半分こしてアイスカフェオレ傍らにもぐもぐと簡単に朝御飯。喉が痛いと、とっても美味しいチョコブレッドの美味しさも半減だ。悲しい。

そうそう、今日食べたバナナは近所のスーパーで安売りされていたのを買ってきたのだけれど、あんまりにもあんまりな未熟な状態の、緑色をしたバナナだった。それでもなるべく黄色く色づきつつあるのを買ってはきたのだけれど、売り場でバナナの山を作っていた店員のおばちゃんが
「ひどいわよねぇ、こんな緑でねぇ……まったく、ひっどいわよねぇ……」
とブツブツ呟いていて、思わずそちらを向いてしまった私と目を合わせて
「ほんとにひどいバナナだよぉ」
と、「買わないほうがいいよ」というニュアンスで言ってきたのに苦笑い。まぁ、2日もぶらさげておけば(バナナスタンドなんて高尚なものは持っていないので、普通のS字フックにひっかけて台所の棚かどこかにひっかけるだけ)ちゃんと黄色くなるでしょう、と、100円バナナを買ってきたのだった。今日はまだちょっと青臭い味のバナナ。明後日あたりが美味しいかなー。

3日目のクリームシチュー 卵入り
バタートースト

食べたいものが食べられない状況だというのに、だんなは
「クリームシチューに、卵落とすと美味しいよね……」
なんて事を言ってきたりする。
「生卵落とすの?」
「うん、落としてー、ポーチドエッグみたいにして食べる」

いいねいいね、シチューに卵を落とすのはいかにも旨そう……と、その案をいただいて、昼御飯は卵落としの3日目のシチュー。生っぽすぎるのも嫌だし、かといって火が通りすぎた卵も悲しいものなので、鍋の横にずっと立って落とした卵を見守ってみた。白身がいーい感じに白く濁り、黄身がプルプルしている状態のところをすくって器に盛りつけ、一人静かにお昼御飯。バターを塗ってトーストしたサンドイッチ用の食パンを添えて、それを囓りながら。

卵入りのシチュー、うまー。黄身が生じゃなく絶妙にプルプルトロンとしていて、それをじゃがいもやら鶏肉やらにコテコテまぶしながら存分に食べた。コンビーフ入りのクリームシチューはしみじみ美味しい。そしてまだ残っている。

「サイゼリヤ」にて
 田舎風ミネストローネ \147
 鶏肉とミニハンバーグのグリル \609
 チーズフォッカチオ \157
 ドリンクバー \120

午後、だんなの実家で山のような柿をいただいてきた。おばあちゃん家の庭の柿の木が、今年はいつにも増してよく実がなって、しかも甘くて美味しいらしい。
「これも持ってく?あと、これも」
と、りんごやみかんや息子用のゼリーや、それと「だんなが扁桃腺炎で大変です」という話を伝えたところ
「じゃあこれ食べさせなさいな。ツルツルしてるからきっと大丈夫」
と冷凍された水餃子のパックもくれた。今日も大荷物。

さて、その冷凍餃子を白菜やにんじんや葱と一緒にクタクタ煮込んで、柔らかめに御飯を炊いて……とも思っていたのだけれど、こっちもいまいち体調が悪いのでグニャグニャ。一向にやる気がおきないまま、
「今から帰るよー」
のだんなからの連絡をもらってしまった。どうしよう。

正直に、「やる気ありません」の旨を伝え、夕飯は外食。扁桃腺炎はちょっとは良くなったようで、今日はベーコンエッグバーガーとうどんを食べられたそうなので、スパゲティみたいなものなら大丈夫でしょう……とサイゼリヤに行くことにしたのだけど、クタクタスパゲティどころか、米の飯喰ってハンバーグ囓って、しかも喉に痛そうな"辛味チキン"(ピリ辛味の手羽の唐揚げ)なんか注文してるし。大丈夫かしらん……と、ちょっと心配に思いながら眺めていたところ、全てを食べ終わった後に
「……いたくなってきた……」
と呻いていた。やっぱり手羽先が余計だったのではないかなぁ、と(でも美味しかったよ)。

サイゼリヤは、とにかくお安い、イタリアン風味のファミリーレストラン。セットメニューなどはないけれど、450〜600円程度の肉料理に150円のスープ、150円のライスやパン(フォカッチャ)という価格設定なので、ドリンクバーをつけても1人1000円札が1枚程度というお値段だ。今日もゆえに調子に乗って、
「ぼくはー、このスパゲティとね、コーンのスープものみます!」
「よーしパパもクリームチャウダー頼んじゃうぞー」
「あ、じゃあ私はミネストローネ」
「んで、ドリンクバーは3人ともね」
と、あれこれ注文してあれこれがっちょりいただいてしまった。

鶏肉とハンバーグのプレートは、ハンバーグが笑っちゃうほど薄っぺらいけれど、目玉焼きはついてるしフライドポテトやコーンもついてるし、値段を考えると充分豪華でジャンクな風味の美味しさがある。150円のモチモチしたフォカッチャを囓りつつ、パリッと焼けた鶏肉をバリバリといただいた。息子はカルボナーラスパゲティを食べて御満悦。
「えー、なんか、美味しくなさそう」と、入ってみるまで密かにバカにしていたけれど(サイゼリヤが昔っから大好きなだんなは、でも、「美味しいの?」という私の問いに「うーん、美味しいか不味いかで言ったらね……うーん、おいしい、と、思うよ……」と非常に曖昧な返事しかしてくれなかったし←それも今となってはすごくよくわかる)、「うん、なんかいいよ。これはこれで好きだよ」という味がして、サイゼリヤはけっこうお気に入り。

11月9日 火曜日
こんなに脂浮いてるラーメン食べちゃって、もう……
ミニ鉄火丼
ひじき煮・みぶ菜のおひたし
抹茶入り玄米茶
自家製杏仁豆腐

昨夜は外食ついでに、午後8時を過ぎた頃の時間帯に駅ビルの総菜屋さんやスーパーを覗いてきたのだけれど、どこもかしこも大安売りで、非常に非常に楽しかった。たまにお買い物する豆腐屋さんでは売値500円くらいの商品が一山300円になっていて、買う予定はなかったのに思わず足を止めてしまう。

「んー、これは豆腐と油揚げのセットか……どうせならがんもとか厚揚げが欲しいかな」
と、銀杏入りのがんもと五目具入り厚揚げ、ひじき煮のパックがセットになった山を選んでみる。そう何度も買い物しているわけじゃないのに、こちらの顔を覚えているらしいおばちゃんが
「あら、今日は豆腐はいいの?」
と言ってきた。

「うん、豆腐も欲しいんだけどね、このがんもが美味しそうだったから」
「じゃあ、豆腐も持ってってよ。焼き豆腐が今日は余っちゃってるから、焼き豆腐タダでつけてあげるから。どう?」
「わーい、いただきまーす」
結局、160円のがんもと190円の厚揚げの他にひじき煮と焼き豆腐1パックがセットで315円になった。なんかちょっと幸せ。

更にその後は、スーパーの鮮魚精肉コーナーで
「わーい半額シール」
「わーい3割引きシール♪」
とうきうきと眺め歩く。500円のマグロのお刺身パックが半額になっていたので、思わずこれも買ってきてしまった。閉店間際セール、楽しいなぁ。その気(買う気)はないのに、鼻息荒くなりまくってしまう。買う予定のないものにもつい手を出してしまうから、本当のところ、あんまり「得」になってはいないのかもしれないけれど。

ともあれ、朝御飯はそのマグロを使って鉄火丼。息子のお弁当用にと朝に御飯を炊くつもりだったので、ちょうどいいわーと、ちっこい鉄火丼を作ってだんなと一緒にいただいた。息子にはコーンフレークとバナナ。

炊きたて御飯を小ぶりのどんぶりに適当に入れ、お刺身をペロローンとトッピングして揉み海苔散らしてわさび添えて、だし醤油をピャーッとかけて、「いただきます」。昨日買ってきたひじきの煮物と、残っていたみぶ菜でちゃちゃっとお浸しを作ったら、割とちゃんとした食卓になった。赤身の部分やほのかにトろっぽい部分もあって、250円で作れた鉄火丼は大満足の美味しさ。閉店間際セールに感謝感謝。

「Johan」のチョコブレッド
牛乳

今日、息子は芋掘りの戦利品を使って「さつま汁」を作るのだそうで、
「あのね、ほうちょうでね、やさいをズバーッて切るんだよ」
と、お椀持って箸持って弁当持って、わくわくと幼稚園に向かっていった。お弁当は、シンプルな塩味のおむすびと、ひじきの煮物と鶏の唐揚げと卵焼き、おばあちゃん家の柿。きっとさつま汁に似合うお弁当だろう。

「……で、野菜ズバーッてするのはいいけど、手とか指をズバーッてやっちゃわないと良いんだけど」
と思いながら、昼御飯は軽くパンを囓るだけに。今日の夜はラーメン屋に行こう、何がなんでも脂こってりがっちょり味のラーメンを食べるんだ、と固く固く決意していたりするので、残っていたチョコブレッド1切れを口にして済ませることにした。チョコブレッド、少しだけ固くなっちゃっていたけど気にしない。……そういや、結局だんなはこのチョコブレッド、一口も食べることができなかったのね……。

私の風邪は昨日の午後あたりからちゃんと回復傾向にあって、鼻水半減、喉の痛みも半減と非常に良い感じ。今日から2泊3日の研修に行ってしまっただんなも、朝から鉄火丼バリバリ食べられたということはきっと回復に向かっているのだろうなと思う。良かった良かった。

原宿ドック

「さつま汁、2回もおかわりしてきましたぁ!」
いつも以上のハイテンションで息子が帰宅。お弁当も全部食べたうえに、さつま汁3杯も飲んできたらしい。来年からの小学校での給食時の行動が、今から容易に想像できる気がする(まず残った牛乳を飲もうとするでしょ、揚げパンも当然2個以上食べようとするでしょ、シチューやカレーも絶対おかわりだ……)。だんなに似ても私に似ても、きっとそうなる。

「ふーん、何かおやつ買ってこうと思ったけど、じゃあいらないか」
「うん、あのねー、おなかポンポンだから。見る?見る?」
100円ショップに用事があったので帰り道に買い物しようとスーパーのエスカレーターに乗っている最中、シャツをぺろんとめくって腹を見せてくれた。いや、見せてくれないでいいけど。

だからおやつは買わない方向で……と思ったのだけれど、総菜コーナーで「原宿ドック」を目にしてしまって、ついついそれを2本購入。あまりに久しぶりに目にしたもんだから、買わずにはおれなかったのだった。

「原宿ドック」が正しいのか「原宿ドッグ」が正しいのかわからないし(Googleで検索してみたところ、前者の検索結果が1,670件、後者の検索結果が1,450件ヒット)、「チーズドッグ」とほぼ同じものともいう説があれば明らかにそれとは違うという説もある。直径3cmほど長さ15cmほどの、表面が凸凹とワッフル状に凹凸のある「チーズ巻きカステラ」というのがその物体。ちなみに原宿で売られているのを見たことがない。大型スーパーのスナックコーナーとかデパート屋上のスナックコーナーとかで見かけることが多い、謎な食べものだ。謎だけど、これ大好き。

「わー、懐かしいな懐かしいな原宿ドックだ」
「なつかしいの?」
「うん、懐かしいの。おいしいよー。あっためて食べようね」
家に帰って、数十秒レンジでチンしてから息子に渡した。あまりアツアツにしてしまうと中のチーズで火傷しかねないので、ほわんとあっためるのがポイント。チープなチーズの味に、なんともジャンクな風味の生地の味、と、相変わらずの味だった。最近はほとんど見かけなくなった食べ物だし、もしかして絶滅寸前だったりするのかしら。

稲毛 「東京とんこつ拉麺一鉄」にて
 秘蔵らーめん \630
 大盛 \150
 ねぎ豚めし \300
 焼き餃子(無料)
自家製杏仁豆腐

初志貫徹ということで、夕飯は近所のラーメン屋さん。体調が悪くなってから、とにかくギトギトしたものばかりが恋しくて(何故だ)、ゆえに好みなギトギト感のラーメンを食べられるところということで「拉麺一鉄」に行ってきた。店名とおり、"東京とんこつ"のラーメン屋さん。とんこつベースのスープだけれど味は醤油で、表面に背脂がギトギトキラキラと浮かんでいる。

問題なのは、さつま汁3杯喰った息子がどのくらい食べられるのかということ。見誤ると私の夕飯がものすごく少なくなるか、食べきれないほどの分量を私が担当しなければならなくなる。大体見当はつくけど、でも間違ったら悲惨なことになる。
「まず、ラーメンは大盛にするでしょ、とりあえず」
「ごはんー、ごはんも食べるー」
「……ん、じゃあねぎ豚めしも1つ取ろう。……あ、でも餃子券があるから餃子も来るよ」
「ぎょうざもたべるー」
「……おっけー」

注文したのは、「秘蔵らーめん」の大盛及び「ねぎ豚めし」、そしてクーポン持参で餃子1皿。息子はラーメンの2/5ほどの分量と、1/4量ほどのねぎ豚めし、きっちり半量の餃子をしっかり食べてくれて、適度な感じに私も多すぎず少なすぎずの満腹になった。……しっかし、ほんとによく食べるようになったなぁ、息子よ。

褐色に染まった細麺が沈むスープはかなり濃厚な色合い及び味で、表面には脂や油がキラキラキラキラ。メンマとチャーシュー、焦がしにんにく、そして刻み葱がガバッとトッピングされていて、相変わらず濃厚なラーメンだった。餃子も下味が強めでちょっとしょっぱいし、ねぎ豚めしにもこれでもかと甘辛味の肉がトッピングされているので全体的に喉が乾く。でも、こういう味が恋しかったので悔いはない。

スープ啜ってると、こめかみに来るというより肋骨とか背骨とかに来ていそうな味がして、皮脂を抑えているはずの化粧水も化粧下地もファンデーションも全てすっとばす勢いで顔の表面(のみならず体全体の表面)がニカニカテカテカツヤツヤしてくる。鼻の頭に脂の粒が浮かびそうだよ。ああ、おそろしい(でもおいしい)。

このお店にも、なかなか美味しい杏仁豆腐があるのだけれど、
「杏仁豆腐なら、うちにあるじゃん〜」
「おかあさんのが、あるじゃんー」
と、店では喰わずに帰宅。帰ってから、お店で出てくるサイズの倍量くらいの杏仁豆腐を平らげた。

11月10日 水曜日
温泉卵を落とすと、なんでもごちそう化
ホットサンド(ハムツナコーン更にチーズ)
りんごのジュース

今日は、息子の幼稚園は幼稚園都合でお休み。だんなは泊まりこみの研修中ということもあって、
「じゃあ、朝寝しててもいいんだー♪」
と、昨日は調子に乗って2時頃まで本読んでだらだらしてしまった。いつもどおり10時前には布団に入った息子はちゃんと早起きして活動していた模様。私が起きた9時半には、とっくに起きて着替えて、一人居間で音量最小にして「電車でGO!」で遊んでいた。

食事の支度をする頃にはすっかり昼近くになっていたので、昼御飯のつもりで具沢山ホットサンドを。
「Johan」で「うすく、うすーくお願いしまーす」と切ってもらってきた食パンは1袋に13枚も入っていて、スーパーなどで買ってくるサンドイッチ用のパンよりかなり薄め。おかげで具をたっぷり詰め込むことができた。

いつも卵を入れてばかりなので、たまにはとツナ缶をあけてみる。ハム、マヨネーズと刻み玉ねぎで和えたツナ、コーン、そしてピザ用チーズ。コーンは缶詰のが本当は好きなのだけれど、こういう時にちょこちょこと使うのは冷凍のものが何かと便利。凍ったままのコーンを茶こしかざるに適当に入れ、その上からお湯をジャーッとかけて解凍して使う。解凍せずにそのままスープに突っ込んだりしていた頃は
「冷凍コーンってなんか冷凍臭くて、それがイヤなのよねぇ」
と思っていたのだけれど、最初に解凍してしまえば良いのだと学んでからは、すごく便利に使えるようになった。今日もホットサンドにたっぷり使用。

具沢山ホットサンドにりんごのジュース。息子はテレビで「やっぱ牛乳でしょ♪」のジュースオレのCMが流れるたびに
「ジュースオレのみたいなーのみたいなー、つくりたいなー」
と大騒ぎする。今日も楽しそうに、りんごジュースを牛乳で割って飲んでいた。……おいしいのかなぁ……。

ジュースオレは確かに果物によっては美味しいだろうけど、似合いそうなバナナやいちごの飲み物といえば元から牛乳入りの飲料になっちゃってるし、あと簡単に買えるのはオレンジとかグレープフルーツとかぶどうとかりんごになっちゃうわけで、「それに牛乳入れるの?ほんとに美味しいのかなぁ……」とちょっと疑問。果物買ってきて作るなら、ベリー類とか柿とかいちじくなんか、けっこう似合うかなと思うけどねぇ。

牛丼 温泉卵乗せ
五目厚揚げと白菜の煮物
サラダ
ひじき煮
冷茶

幼稚園がない日の息子はすごく暇そうで、テレビゲームをぽちぽちやってみたり、
「外いってきまーす」
と近所の子供達と遊んでみたり。幸い、近くに年の近い子供たちがうじゃうじゃと住んでいるので、遊び相手には不自由していない模様(でも、いじめっ子もいる模様……がんばれ息子……)。

息子と2人の夕御飯は、餃子入りの鍋料理にしようか薄切り牛肉使った料理にしようかしばし悩んで、結果牛丼に。ここ数日、肉に囓りつくような類のものをあんまり食べていなかったような気がして、牛肉たっぷり乗せた牛丼を作ることにした。

数日前に買ってきた肉のパックをあけると、中にはかなりピラピラに薄い肉が。こりゃしゃぶしゃぶみたいにして食べた方が美味しそうだなぁ、と、フライパンに醤油と味醂と酒を適当な分量煮立たせて、そこに肉をヒラヒラ1枚ずつ入れてしゃぶしゃぶ状にして御飯の上に盛りつけた。中央には温泉卵をぱかっと割り落とす。

あとは、残っていたサラダとひじきの煮物をテーブルに出し、スープ代わりに厚揚げの煮物。ざく切りにした白菜と五目の具入り厚揚げを薄味のだし汁でことこと煮込み、煮汁と一緒に深皿に。簡単ながら、それなりに野菜もある夕食になった。

何しろ、最近の息子は夕飯の食卓をばばーんと全景、写真に撮ってくれちゃうので(しかもそれを自分のブログに載せちゃう……)、品数がやたらと少ないのはちと情けないというのがある。あと、1年くらい前に、だんなのいない日の食卓にどうしようもなく手抜きな料理を出したところ(確か御飯とふりかけと冷や奴……みたいな)、世にも悲しそうな声で
「ごはん、これだけ?」
と息子に言われちゃったことも、それなりに、ずっしりと。一応、どんなに忙しくても毎回「これだけ?」と言われない食卓を目指そうと、それから思っている。

「……というわけでー。色々出したけどきっちり食べるように」
サラダと牛丼はともかく、ひじきの煮物や厚揚げを煮たのは、多分息子のそれほどの好物ではないはず。それでも、
「うん、おなかすいちゃったからね、全部食べるよ」
と、息子はサラダを空にし、ひじきを平らげ、厚揚げと白菜もちゃんと食べてから牛丼を空にした。全部食べた。

牛丼はちょーっと上品な味になってしまい、やや薄味。こっくりしっかり、下卑た味の牛丼の方が牛丼らしくて美味しいわ。

11月11日 木曜日
そういえば肉じゃがを作ったのは久しぶり
ホットサンド(こーんたまちー)
牛乳 with ミルメーク コーヒー味

昨日の午後から、どうも鼻がぐずぐず、喉がガラガラになっていた息子。こりゃちょっと悪化するかなぁ……と、夜は早めに寝かせたのだけれど、今朝はますます具合が悪くなっていた。昨日行かなかったジムに(私も息子も)行く予定だったし、今日の幼稚園は温水プールイベントの日でもあったのだけれど、こりゃもう全体的にダメだということで幼稚園はお休み。ここのところ、ローテーションで体調を崩している我が家。

「お"があざん"、お"があざん"、お"な"かがずいだよ"」
芸術的なまでのガラガラ声で、でもしっかり腹を空かせている我が息子。
「熱はないけどねぇ……お粥作ろうか?でなきゃバナナとか、缶詰の桃とか」
病人にふさわしい食べ物を提案してみたのだけれど、ガラガラな声で
「んどね"、ボッドザン"ドは?づぐれ"な"い?」
と言われてしまった。この体調でホットサンドが恋しいとは、さすが私の息子。

うん、パン残ってるから作れるよー……具は何がいいかな?台所で食料あさりながら尋ねると、
「ぼぐの"、すぎな"も"の」
だそうで。じゃあ、チーズだ。あと、卵と……コーンか?

今日の具は「こーんたまちー」。「こんたまちー」はコンビーフと卵とチーズだけれど、「こーんたまちー」はコーンと卵とチーズ。マヨネーズで和えたコーンと輪切りにしたゆで卵、チーズを挟んだホットサンド、こんなにコーンを入れたホットサンドはこれが初めて。これがまた、コーン好きにはたまらない美味しさのホットサンドになった。息子の好物のみならず、私の好物という感じ。幸せな味だった。

「私はコーヒーミルメーク入りの牛乳にするよ。君は?」
「じゅーず、お"れ"ー!」
「……またか……」
風邪ひいてても喉がガラガラでも、お気に入りらしいジュースオレ(りんごジュースと牛乳をコップに半分ずつ)。

幼稚園に送迎して、ジムに行ってジムに連れてって郵便局で用事片づけて……と色々やるはずだった今日、結局どこにも出かけることがなかったので仕事がおおいにはかどった。
「も"う"な"お"ったがら"ー、ぞどに"い"って"い"ーい"?」
「よくないよ。全然よくないじゃん」
「な"お"っで、な"い"?」
「うん、全然」
外行って遊んでもいいか、子供部屋でプラレールやってもいいかと言う息子に「いいから今日はおとなしくしてれ」と厳命して、お籠もりの一日。

肉じゃが
五目厚揚げとがんもと白菜の煮物
栗御飯
水餃子のスープ
発泡酒(サイトりーダイエット生)・麦茶

2泊3日の研修を終えて、だんなが帰ってきたのは午後8時。英語づけでヘロヘロになってきたらしい。宿舎の御飯はそれなりに美味しかったらしいけど、はたしてあのグログロゲチョゲチョの扁桃腺炎は治ったのかしら。だんなの扁桃腺炎と息子の風邪を鑑みて、それなりに消化の良さそうなものを作ることにした。

まず、数週間前に買っておいた炊き込み御飯の素を使っての、栗御飯。きのこを煮たのと栗の甘露煮、スープや昆布がセットになってて、「あとは米と水に混ぜて炊くだけ」というもの。先日、お義母さんが
「扁桃腺炎なら、こういうのがいいんじゃない?」
とお裾分けしてくれた水餃子用の冷凍餃子は、人参と葱とブナピー入れてスープにした。

昨夜の厚揚げの煮物には更にがんもを加えて軽く火を通し、そしてメインディッシュは「肉じゃが」。
我が家の肉じゃがは、小林カツ代さん方式。フライパンで玉ねぎを炒めたらそれを脇に寄せて中央に肉を置き、肉をめがけて醤油と味醂と砂糖を投入。水は加えず、こってりと肉に調味料を絡めた後に、じゃがいもを加えてひたひたになるくらいの水を加えて強火でガーッと煮込んでいく。汁気がほとんどなくなるまでの、ものの20分ほどでできあがり。早くできる上に、全体に味がしっかりと染みた美味しい肉じゃがになる。

この方法を覚えるまでは、「命のだし」をとってみたり、必死になってアクをすくってみたりと色々苦労していたのだけれど、そんなことするよりフライパン1つでだしも加えず水と調味料で作るほうが簡単でしかも美味しい。

あと10分で御飯の蒸らしが終わるという頃に、だんなは帰ってきた。帰ってくるなり
「喉は?喉大丈夫?」
とさっそく懐中電灯を口に突っ込んで観察。おお、まだちょっとグロテスクな部分が残ってはいるものの、素晴らしく治ってきている。まだ喉にかなりの違和感は残っているのだそうだけれど、あんまり痛くもないらしい。良かった良かった。これでチキン南蛮も食べられるねー。

風邪ひきの息子には、せめて水餃子くらいは口に入れてもらわないと……なんて思っていたのに、水餃子を食べ、肉じゃがも食べ、がんももしっかり食べ、最後に栗御飯を1膳平らげてデザートの柿までちゃんとつついていた。

肉じゃがは、いつにも増して大変に良い出来。肉に適度な脂っけがあったのが良かったのか、全体的にコテコテした味わいのいかにもそれっぽい味の肉じゃがになっていた。牛肉の肉じゃがも美味しいと思うけれど、私にとっての基本の肉じゃがは、やっぱり豚肉。で、じゃがいもは男爵。

11月12日 金曜日
しまった……うずらの卵を忘れたよ……
炒め栗御飯
水餃子のスープ
麦茶

昨夜から今朝にかけて、すっごい雨。しかもすっごい雷。窓の外では頻繁に閃光が走り、ドンガラドンガラ賑やかな音が聞こえてきていた。今朝になっても、ベランダに出ることすら躊躇するほどの大雨が続いている。昨日の体調が体調だったので、息子は今日もお休みさせることに。
心ゆくまで寝かせてやったのだけれど、8時半頃に起きてきた息子は相変わらずのガラガラ声で
「ぼぐ、ぎょう"も"おや"すみ"する"の"がな"?……ざん"ね"ん"……」
とか言っている。まぁ、ここで雨に濡れてまた悪化させても悪いしね。

朝御飯は、昨夜の水餃子スープと昨夜の栗御飯。私の母は炊き込み御飯を作るとその翌朝にいつも油でサッと炒めてチャーハンにしてくれていたのを思い出し、やってみることにした。2日目の炊き込み御飯はどうしてもポロポロパサパサになってしまうから……という母の知恵だったのだと思う。"五目釜飯の素"なんかで作った炊き込み御飯を炒めると、すんごく美味しかったのだ。
「……というわけで、炒めてみました」
と、炒め栗御飯をテーブルに。私の記憶の中にある"母が作った炒め炊き込み御飯"の味はもっと美味しかったような気がするけれど、でもそこそこ美味しいアツアツ栗御飯だった。

ロールパンサンド(ツナ・卵・ピーナッツバター)
鶏の唐揚げ・プチトマト
バナナ
牛乳 with ミルメーク いちご味

昨日の朝に作った、息子のサンドイッチ弁当。1日くらいなら冷蔵庫に入れておけば良いかなと取っておいたのだけれど、今日も幼稚園に持っていくことはできなかったので、息子と一緒に昼御飯に食べちゃうことに。卵サラダをロールパンに挟んだもの1個、ツナサラダを挟んだもの1個。それらは半分に切って小皿に盛りつけ、それだけじゃ物足りないかとピーナッツバターサンドも作って添える。同じく弁当箱に詰めておいた唐揚げはチンしてこれまた半分こにし、そしてプチトマトとバナナも。なんてことない内容の、でも少しだけ豪華な昼御飯になった。

昼前には雨もなんとか止んで、しっかり昼御飯を食べた息子の喉と咳と鼻水もほんのり良くなってきたので、午後はピアノの練習をしてから音楽教室へ。この2日半ほど家に籠もっていて体力がありあまっていたのか、音楽教室での息子は弾けちゃって大変だった。なんで歌うたいながら上下にピコピコ跳ねてるんだ、息子よ。

皿うどん
冷茶

音楽教室の後、夕飯のお買い物。だんなは長らく取り組んでいたでーっかい仕事が今週の頭にやっと終わったということで、今日は打ち上げ飲み会なのだそうで。

「というわけで、今日もかあちゃんと君と2人だけの夕飯なわけよ」
と、駅ビルの専門店街を物色。
「おさかなは、どーおー?」
「んー……秋刀魚は安いね。秋刀魚、焼いて食べる?」
「んー、ちがうのがいいなー」
魚屋を見て、肉屋を見て、どの商品もいまいちピンとこなかったので、最後にスーパーにたどり着いた。

「お、そばはどう?そば。これ、タイの焼きそばで"パッタイ"っていうの。パッタイセットがあるよ。あと、フォーもあるし、あと皿うどん用の麺もある」
麺コーナーでしゃがみこんで、パッタイだフォーだ皿うどんだと協議する私と息子。
「この、ぱったいが、いーんじゃない?」
「うん、パッタイ美味しそうだよねぇ……でも、けっこう高いよ。具も買わなきゃいけないし」
息子は「パッタイ」も「フォー」も多分ちゃんとはわかっていないのだろうけれど、パッケージの写真を見ながら「これはどう?」「これは?」と言ってくる。結局、安かったので皿うどん用の麺を買ってきた。具はやはり魚介も肉も欲しいなということで、海老とイカと豚肉のミニパックも。あとは手持ちの野菜を使って適当に作った。

使った野菜は白菜、にんじん、ピーマン、長ねぎ、ブナピー、にんにくの芽、きくらげ。2人分だということで、白菜は葉を2枚だけ、ピーマンは1/2個だけ、とあれこれ分量を工夫したけれど、でもたっぷりのあんかけができてしまって、麺より具が多いぐらいな状態になってしまった。まぁ、それもまたよし。

にんにくの芽はちょっと余計だったかもしれないけれど(全体的ににんにく臭いことに……)、おおむねそれらしい皿うどんになった……が、一番肝心なものを忘れてしまった。「うずらの卵」。うっかり買い忘れて帰宅してしまい、でもそれだけのためにもう一度買い物に出る気力もなく、
「あー、忘れちゃった……卵忘れちゃった……ショック……」
と、うちひしがれながら夕飯作成。うちひしがれるくらいなら近くのスーパーかコンビニに行ってくれば良いのにね。

「うん、まぁ、味はいいか。……どうですか?」
「うまい!うまうま!でぇーす!」
卵が入ってなくても、息子のうけは良かったので、まぁいいやー。

11月13日 土曜日
自宅でユッケを作ってみました。超!うま!
千葉 「銚子丸」にて
 旬の5カン盛り
 なめろう
 かわはぎ・キス
 アオリイカ
 赤尾アジ
 鰻・穴子
 甘海老
 ねぎとろ軍艦
 あぶりさんま
 ぶり
 ハタ
 中トロ
 戻りカツオ(にんにく)
などなど

「ヨドバシカメラ、行く?」
「行く行くー」
と、今日はヨドバシカメラにお買い物。じゃあ早めに出てドーナツでも食べて行こうかなどとあれこれ話し合ったのだけれど、11時頃まで我慢して、千葉のヨドバシカメラ近くの回転寿司を目指すことになった。

買い物を済ませてから開店直後のお店に入ると、回っているのは玉子の握りと稲荷寿司くらい。今日のおすすめの黒板をざっと眺め、
「キスとカワハギくださーい」
「こっちは赤尾エビとアオリイカくださーい」
「ぼくは、ジュースくださーい」
とあれこれ注文。今日はおすすめのものがどれも格別に美味しくて、なんだか得した気分。開店直後で、切ったばかりの魚ばかりが出てくるせいなのか、たまたま脂の乗りまくった魚が揃っていたのかはわからないけれど、美味しいものだらけで幸せだった。

最初に、525円の「旬の5カン盛り」をだんなも私も1皿ずつ。その名のとおり、その日によって内容が変わる旬の魚の5カン盛りで、今日はぼたん海老、生姜を添えた戻りカツオ、さんま、イクラ、イシダイ。コリコリッとした歯ごたえの良いイシダイに、鮮やかな赤い色のカツオに、プリプリブリブリしたぼたん海老。さんまもトロッと脂が溶けて垂れそうな柔らかさだった。

いつもそうする事が多いけれど、今日はいつも以上にだんなと1皿を半分こして食べまくる。
「アジ、おゆきさんも食べる?」
「うん、カワハギも食べるでしょ?」
「もちろん」
あれ食べる?これ食べる?とあれこれあれこれ交換して、今日はかなりの種類を食べまくった。コリッとしているのにどこかネットリとした食感のハタとか、淡白な白身だけれど味のあるキスとか、たっぷり食べられて大満足。最後には、
「カツオ、もう1回食べたいな……今度はにんにくで」
と言っただんなの皿から私も1カンいただいて、そしてすっかり口中をにんにく臭くして店を出ることになった。

自家製ユッケ
自家製ビビンバ
だんな特製ワカメと牛肉のスープ
ホッピー

ヨドバシカメラで買ってきたものは、電池とテレビゲーム。ついに「PlayStation 2 the Best」に長らく気になっていた「塊魂(かたまりだましい)」と、息子の猛烈な情熱に負けて「電車でGO! FINAL」まで買ってきてしまった。ゲーム機を取り合うようにして両方のゲームをやりまくる。FINALというだけあって電車でGO!は身の毛がよだつほどグラフィックが美しいし、何しろ私は塊魂に夢中。あはは面白いわ、めちゃめちゃ面白いわ。シュールなキャラクターも私好み。とんでもなく楽しいわ。……で、ただでさえこのところパソコンに向かってばっかりで肩凝りが悪化していたのに、コントローラー握りしめて両親指をぐーりぐりと動かしまくっていたら大変に悪化してしまった。馬鹿みたいだ……。

さて、夕飯はビビンバ、そして初めて作った、自家製のユッケ。
「なぜユッケが食べたくなったかと言うとだね、これが話すと長くなるんだが……」
「じゃあ言わないでいい」
「……言わない。もう絶対言ってやらない」
「……冗談だよ……」

だんなの話によると、トイレの壁に貼ってあるスケジュールメモ書きつきのカレンダーに原因があるのだそうだ。再来週あたり、土曜に予定していたものが急遽日曜に変更になってしまって、土曜の欄に書いた予定内容のところに私は矢印つけて、「コッチ」と日曜に引っ張っておいたのだった。
「その"コッチ"がさぁ、"ユッケ"に見えてしょうがなくって」
……全然長い話じゃないじゃないか。
「絶対見えるんだよ、ユッケにさぁ」
……わかったよ……。

そんなくだらない事話しながら、だんなと一緒にナムル作り。私がモヤシの髭根を必死に取っているところで、電車ゲーが一区切りついただんなが
「うわ!奥さんが大変なことやってる!俺もやるよ、手伝うよ」
と近寄ってきた。髭根はもう終わるから、ほうれん草茹でる方をやってくれる?あと葱も切らなきゃいけないし……などと言いつつ、お互いにサクサクとナムル作り。だんながほうれん草の味付けしたりぜんまい炒めたりしている間に私はモヤシを仕込み、にんじんを細切りにしたりして、言葉少なく美しく分業。にんじんを炒め終わって気がつくと、コンロの上に空のボウルが置いてあったりして、
「え?これって、にんじん用ですか?」
「そうですよ」
「なんとなく置いたってんじゃなくて?」
「にんじんのために置いたんだよ!」
だんなの気配りは今日もすんばらかしかった。

ユッケはこちらのサイトのレシピを参考にして。生で食べられる牛肉なんて、どこで買ってくればいいんだろ、デパートかな?なんて言っていたのだけれど、結局お店云々よりお店から我が家までの持ち運び時間の方が問題じゃないかということで、近所のニュークイックで国産牛の薄切りを買い、家でペケペケ細かく叩いてユッケっぽくした。調味料は胡麻油と薄口醤油と砂糖とヤンニョンジャン。刻み葱と、細切りにしたリンゴと軽く砕いた松の実を散らし、中央に生卵の黄身を落としたら、お店で食べたのと同じような感じになった。そうそう、ユッケってこんな感じだわよね。

お供にホッピー。これまで、適当に買ってきていた適当に安い焼酎で割って飲んでいたのだけれど、宮崎本店の「亀甲宮」という焼酎をこのたび1箱(8本)買ってみた。話によると、ホッピーのえらい人が「ホッピーには亀甲宮が似合うぞー」と言ったとか言わないとか。クセの強い焼酎はそのまま飲めば美味しいけれどホッピーにはいまいち似合うものじゃなくて、かといって安っぽい焼酎だと味わいが今ひとつだったりするわけで、「どうせだったらホッピーを美味しく飲みたい〜」と買ってみたのだった。

サラッとした口当たりの、良い意味でクセのないお酒。ホッピーのほのかに漂う苦さとかふんわり感じられる甘さやコクがちゃんと引き立っていて、確かにすんばらしく美味しかった。夏の暑い日にはビールの苦さがなんとも心地よいけど、寒くなってくるとホッピーの方が間違いなく美味しいと感じられてしまうくらい、我が家はすっかりホッピーの虜だったりする。ユッケにも笑っちゃうほどよく似合っていた。

「おおー……おいしいね、自家製ユッケ、めちゃめちゃ旨いね」
「……店で食べるのと変わらないじゃん、っていうかこっちが旨いくらいかも」
「ビビンバに混ぜると、これまたサイコー!」
きゃーきゃー騒ぎながら、おおいに自家製ユッケとビビンバを堪能した。

明日は、横浜方面にビールを作りに行ってきます。
ホッピーを賛美しておいて何だけれど、「自分の家でビールをいつか作ってみたい」プロジェクトが密かに進行中……。

11月14日 日曜日
初めてのトルコ料理。とってもとってもうまー!
ホットサンド (卵チーズ)
カフェオレ

「明日、早く目が覚めたら、塊作って遊ぶんだー」
「じゃあ俺は、早く目が覚めたら電車動かして遊ぶんだー」
新しく買ったゲームに思いを馳せて、早めにベッドに入った昨夜。今朝、私が目覚めたのは5時15分だった。勝ったー(なにに?)。

今日は朝8時の電車に乗って出かけなければならないので、目覚まし時計は6時45分に鳴る予定。ただでさえ早起きを必要としている日曜の朝だったのに、アホみたいに早く起きてゲームしてしまった。そんなに私、気に入っていたのか塊魂

1時間半後に起きてきただんなに呆れられながら食した朝御飯は、卵とチーズのホットサンドとカフェオレ。今朝の出発が早いからと、息子は昨夜の夕食後からだんなの実家に行ってもらっている。
「……息子いないと、やっぱり静かね……」
「んだね……ちょっとだけさびしいね……」
となんて言いつつ、アツアツのホットサンドをがぶがぶ。

鶴見 キリンビアビレッジにて
 前菜(ハム・サラミ・海老のチリソース風)
 卵入りコンソメスープ
 ポークピカタ
 御飯
 コーヒー
 生ビール(スプリングバレー)

さて、今日の目的地は横浜鶴見区にあるキリンビールの工場。

今年の夏、東急ハンズの調理雑貨売り場をうきうきと歩いていた私とだんなだけれど、だんなはそのとき、隅っこの一角から10分近くも動かなかった。釘付けになっていた目線の先にはビールの自家醸造キットが置かれていて、
「うわー、けっこう安く作れるんだなぁ……旨そうだなぁ……」
と、真剣に「家でビールを作ってみたい」という欲望に駆られていたのであるらしい。とりあえず、もうちょっと冷静になってから買うことにしよう……と一旦家に帰ってきたのだけれど、図書館で自家製ビールの作り方なんて本を借りてきてあげたら、これまた必死になって読んでいる。

そんな折、キリンビールの工場で開催中のビールづくり体験教室というのがありますよー……と教えてくれた方がいて、こりゃ良いやと参加してみることにしたのだった。参加費は、1グループの人数(4人から6人でグループを作って申し込む)によるけれど、大体3000円。ビール醸造の過程を実習し、昼御飯がついて、工場見学もちょこっとついて、最後に20本(1グループに対して20本)の中瓶サイズのビールをいただけて、それで3000円。けっこう安いものだと思う。

私とだんなは2人で参加なので、少なくともあと2人、多くて4人に声をかけて4人から6人のグループを作らなきゃいけないということで、声をかけたのはだんなの高校時代からの友人Fさんと、奥様。私とFさんは以前一度結婚式で隣席になって話したことがあり、だんなはFさん夫妻の結婚式に出席している。ワインが大好きなご夫婦で、2人とも料理が上手で美味しいもの大好きな、方向は異なるけれどちょっと似ているところのあるご夫婦だ。工場の最寄り駅で待ち合わせして、工場にゴー。

会場についてみると、私たち以外の全員がもう揃って席についていた。5グループで合計30人ほど、何度目かの参加になる方もいるようで、年齢層は私たちとあまり変わらない年頃の女性グループとか、60代くらいに見える何組かのご夫婦のグループとか、色々。女性の方がほんのり多い比率かな、という感じ。夏の頃は大変な倍率の、人気の講座だということだった。申し込んで1発で予約できたのは、案外ラッキーな事だったようだ。

最初は会議室でビデオを見、説明を聞き、それから場所を移して調理実習室のようなところでいよいよビール造り。1グループに1つずつの調理台が準備されていて、1グループに1人ずつのインストラクターがついてくれる。そこで作った15リットルのビール(の素)は、このビール工場で1ヶ月ほど発酵、醸造の過程を経て、12月24日に瓶詰めして代表者のところに送ってくれるのだそうだ。ちょうどクリスマスの夜に飲めるかなということになる。

作れるビールは何種類かあって、黒タイプ、赤タイプ、ボックタイプ、ピルスナータイプのいずれかを選ぶようになっている。シャープなのどごしで豊かなコクがあるという「ボックタイプ」を私たちは選んでみた。鍋をなんでこの温度に設定しなきゃいけないか、なんでこういう工程が必要なのかという理論からきっちり説明してもらって、たっぷり4時間ほど実習してビールの素を作ってきた。

最初は麦芽の「糖化」。一定温度にした湯に麦芽を投入し、ガスコンロの上に乗せた寸胴鍋で湯温を指示通りに保持しつつ、でっかい木べらで攪拌して攪拌してでんぷんを糖に変えていく。とにかく3時間くらい、交代しながら鍋の中身をひたすら「攪拌」。鍋の中の温度を均一にし、材料を焦げ付かさないように、そして一ヶ所に固まらせないように、攪拌が大切なのだそうだ。
「おいしいビールづくりのポイントは、温度管理、時間管理、そして攪拌」
と教わってきた。大雑把な私には、緻密な作業はなかなかつらい。

とにかく午前中は巨大な寸胴鍋の中身を攪拌し温度調節することでほとんどが暮れ、昼食前の最後に麦汁を濾過してそこにホップを投入して、終了。食事している間にインストラクターさんたちが「70分の麦汁煮沸」の工程をやっておいてくれた。昼食後は、ホップのカスなどを沈殿させ、上澄みのみを発酵用タンクに移し、冷却して終了。まだ少しもアルコール発酵は始まっていない、糖化して甘くなった麦汁を味見してみたり、ホップを舐めて大変に苦い思いをしたりといった体験しかしてなくて、ビールになった時の味はさっぱり想像もつかないけれど、それでも色々と貴重な体験ができて面白かった。こんだけ1日がんばったんだから、12月に美味しいビールになってくれてなくちゃ困る。

で、45分ほどの休憩時間中にいただいたお昼御飯は、その工場内で作られている地ビール、「スプリングバレー」を1杯いただきつつのランチセット。ビールに似合うハムやサラミなどの簡単な前菜と、簡単なスープ、炒めたコーンとポテトが添えられた厚切りのポークピカタが2切れ、そしてライス。
「ランチも以前は飲み放題だったんですが、飲み過ぎちゃって午後にずっと寝ちゃった人がいましてねー」
ということだそうで、昼のビールは1杯。全てが終了した後、アンケートを記入しながらビールを2杯いただける券をいただき、それで一番絞りを飲みまくった。工場で飲むビールって、なんでこんなに美味しいんだろう。実のところ、キリンビールは普段あまり飲まないのだけれど、毎日一番絞りを飲むのも良いかもしれないと思うほどに、できたてのビールは美味しかった。

昼に飲んで、夕方にも飲んで、そして案外重労働だった実習を終えて(巨大な鍋を洗ったり、冷却用の氷をざくざく運んだり……)、ちょっと疲れつつ、夜は4人で食事。

渋谷 「ANKARA」にて
 エキメキ 2×\250  フムス \700
 ドネルケバプ \1500
 タヴクル マンタル ジュズラク \1600
 ムサカ \1500
 シシケバプ \1600
 白ワイン(CANKAYA) \3000
 ストラチ 3×\500
 ドンドルマ \550
 チャイ 4×\250
大人4人でたっぷり食べて、1人3000円くらいでした

夕御飯は渋谷に出て、Fさんのお友だちがオーナーシェフをやっているというトルコ料理屋さんに連れていってもらった。トルコ料理は初めての私たち。
「えーと、ケバブとか?」
「のびるアイスとか?」
なんて知識しか持たず、細い階段を下りた地下にあるひっそりとした佇まいの店であれこれあれこれ食べてきた。何食べても美味しくて、トルコ料理にすっかり夢中。不思議な味のするものはひとつもなく、嫌いな味のものも何ひとつなく、大満足。

まずは、エキメキ(トルコパン、ピタパンみたいな)を2枚(8切れ)と、フムス(ひよこ豆のペースト)。豆のペーストはもっさりした食感もわずかにありつつ滑らかで、ほのかににんにくの香り。優しい味で、でも豆を潰してオイルと塩とにんにくを加えただけじゃない知ってる味だけれどなかなか再現できそうにない風味がある。そのまま舐めても美味しいし、パンにコテコテつけて食べてみても。

4人でフルーティーで軽い飲み口のトルコの白ワイン「CANKAYA」を飲みつつ、次にやってきたのは「ドネルケバプ」。牛肉の大きな塊肉を串に刺してローストし、それを細く薄くこそいだものだ(今日の写真が、ドネルケバプ)。フライドポテトとサラダ、茶碗にごく軽くといった分量のライス(塩気のあるバターライスといった感じのもので、これが何気なく美味しい……)が添えられている。見た目はほんのり焦げで、ひたすらに肉!という感じで、焼き肉の肉と比べるとなんとなく細い肉がごちゃごちゃしているという風な外見ではあるのだけれど、これがもう、香ばしくて適度にオイリーで揉みこまれたスパイスの味がじんわりと漂って、めちゃめちゃ美味しかった。お祭りの屋台でたまに「ドネルサンド」を食べることがあったけれど、その500倍くらい美味しい。ああ、度寝るケバプってこんなに美味しかったのか……と初めて思い知らされた。パンに挟んで食べるのも、これまた美味しい

そして、チキンとマッシュルームのクレープ包み「タヴクル マンタル ジュズラク」と、茄子とミートソースのトルコ風グラタン「ムサカ」。どちらもチーズたっぷりだけれど、あまりクセのない食べやすいチーズで、それがいーい感じにピヨーンと伸びる。ほのかに赤いクリーミーなソースに和えられた鶏肉とマッシュルームが、ちょっと厚めのクレープにくるりと巻かれて、その上にとろけたチーズがこれでもかとかかったのが「タヴクル〜」。柔らかく火を通した茄子とスパイシーな挽き肉と玉ねぎの炒め物が重ねられ、そこにこれまたとろけたチーズがこれでもかとかかったのが「ムサカ」。

ここでけっこうお腹一杯になったのだけれど、もう1皿と注文したのが「シシケバプ」。ラム肉と玉ねぎとピーマンを串に刺して炙り焼きにしたもの。甘辛いスパイシーな味がこれにも染みていて、適度に噛みごたえのある肉はとても美味しい。グリルしたトマトや生野菜が添えられてきていた。

何もかもが美味しくて、最後のトルコ風ライスプディング「ストラチ」までもが幸せな味。コンデンスミルクのようなこってりしたミルクの味のプリンは粘るようにとろみがあって滑らかで、ちょっと甘めだけれど(いや、その甘さがまた幸せな甘さで)すばらしい口当たり。底にはタピオカがプリプリと沈んでいる。表面をクレームブリュレのように焦がしてあり、シナモンパウダーをちょこっとふりかけてある。

初体験のトルコ料理に大満足で、しかもこれなら息子も全然問題なく食べられそうで、
「また来よう」
「うん、また来よう」
「ていうか、とりあえず次回はFさん夫妻と、Tさん夫妻のみんなでさー、白トリュフの会かポットラックパーティーしなきゃ」
「んだ」
料理好き美味しいもの好きゆえあれこれ話も盛り上がり、次も美味しいもの食べようねーと別れたのは、8時頃だった。

ビール教室で最後にもらった写真入り(鍋にホップを投入する瞬間を記念撮影してくれた)の「認定証」を、おばあちゃん家で良い子に待っていてくれた息子に「ほらほら、こういうことやってきたんだよー」と見せたところ、
「うわ!おとーさんもおかーさんもコックさん!」
と拍手された。そう、今日はおとーさんもおかーさんもビール作りのコックさん。お留守番ありがとうね。