食欲魔人日記 04年03月 第3週
3月15日 月曜日
豚味噌鍋翌朝の、豚おじや。
豚おじや
麦茶

「日曜日はジムに行けなかったし、月曜火曜と早起きしてジムに行ってこようかなぁ」
と、昨夜の我が夫。
「でもね、豚味噌鍋の次の朝だから、月曜の朝は豚おじやだよ。いいの?」
と言ったらば、これ以上なくあっさりと、「あ、じゃあ月曜はいつも通り出勤する」だそうで。我が夫の中の優先順位は「豚おじや>ジム通い」という位置づけになっているらしかった。

豚肉と白菜をたっぷり煮て食材のエキスを吸いまくった味噌味のスープに、冷や御飯を投入して煮込むだけ。今日は1人1個の卵も割り落とし、適度な半熟具合に火が通るよう、だんなが鍋の面倒をみてくれた。

じんわり濃い味の味噌味おじや。肉や白菜のかけらがひらひら混ざっているのを嬉しく思いつつ、ハフハフ言いながらたいらげた。最後の一滴まで美味しい鍋料理だ。

コンビニのミックスサンド
アイスココア
ハーゲンダッツのクリスピーサンド(リッチミルク)

午前中は、何だか久しぶりな気がするスポーツジムへ。今日はエアロビクスやってボディパンプやって、もうメロメロになって帰ってきた。運動するとお腹が減る。とくに甘いものが恋しくなる。ここで食べては運動の効果が何もないことはわかっているのだけれど、
「ああ、確か3月上旬にリッチミルクが出たんだっけ、ハーゲンダッツの……」
と、ふらふらコンビニに足が向いてしまう。今日から息子は春休み前の午前保育期間に突入してしまったので、息子と一緒に
「……あーもー、めんどくさいからお昼御飯もここで買ってっちゃおうか?」
「おかあさん、ぼくね、ぼくね、サンドイッチが食べたいなぁ〜」
と、コンビニをぷらぷら。目当てのアイスクリームもあったので、1つ買ってきた。

息子は卵とツナのサンドイッチ、私は卵とツナとハムのサンドイッチ。せめて飲み物くらいはちゃんと用意しよう、とアイスココアを準備した。少量の湯でココアパウダーと砂糖を練って溶かし、冷たい牛乳注いで混ぜるだけ。いまいち味気ないパンに具が挟まったペランとしたサンドイッチをつまんで
「……そうか、サンドイッチなら家で作れば良かったんだわ」
なんて今更ながらに思ってしまいながら(だって本当に悲しいほどに味気ない……)、もそもそと食べ応えのないパンをぺろっと食べた。

で、デザートに息子と半分こしてハーゲンダッツのリッチミルク味クリスピーサンド。クリスピーサンドは3/8に、カップアイスは3/15に発売された新商品のリッチミルク味。この冬、カスタードプディングとアズキをこれでもかと食べていた(そう、日記に書いてなくても風呂上がりとかにまりまり食べていた……)こともあって、すっかりハーゲンダッツ愛好家の私。

私はクリスピーサンドなる商品を食べたことがあって、「それって何ぞやー?」と数日前にキャラメル味を買ってきて食べていたのだけれど、リッチミルクもキャラメルも、どちらも美味しい。サクサクパリパリの薄いウエハースの間に薄くコーティングのかかったアイスクリームが挟まっていてアイスモナカのようなそうでないような、ちょっと面白い食感。モナカほど空気を含んでなくてウエハースとアイスが密着しているのが(それでいたウエハースがシナシナしていないのが)心地良いのだと思う。
「……うまー」
「おいしいね、おかあさん、これ、おいしいねー」
息子と2人で大騒ぎしながら食べた。美味しいのはよーく知ってるんだけど、でも高いのよハーゲンダッツ……。

茹で鮭とねぎの和え物
ほうれん草のお浸し
炒め炊き込み御飯
3日目の豚汁
麦茶

だんなは仕事で遅くなるそうで、明日に宴会を控えているということもあって晩御飯はごくごくごくごく控えめに。
「……ああ、豚汁があるじゃん……炊き込み御飯の残りも。鮭の和え物も残ってるじゃーん、おおっほうれん草まで」
と、あれこれ発掘したら1食分の食べ物が揃ってしまった。

冷凍保存してあった炊き込み御飯はそのままチンしても食べられるのだけど、どうも温めなおした炊き込み御飯はイヤな感じにポソポソパラパラして好きじゃない。母がよくこうしてくれたのよね、と、フライパンに薄く薄く油を敷いて炒めることにした。具を足すわけではなく、ただただ炒めただけの、"炊き込み御飯のチャーハン"は、でもほんの少しの油しか使わなくてもポソポソ感が消えて艶やかな風のパラパラさが出て、けっこう美味しくなる。
「足りない?足りないかなぁ……足りなかったら、フルーツでも食べようね」
と、ちょっと質素な夕御飯を済ませた後、数時間後にだんなが帰ってきた。

「ごめーん、こっちもありもので済ませちゃったから、あんまり食べ物、ないんだわー」
と伝えておいたら、おにぎりを買って帰ってきた。「スープ代わりにラーメン作ってたべよ♪」とお湯を沸かし始めただんなの脇を、
「ぼくのプレゼントはないのかなー?ぼくもこれ食べていいのかなー?」
と息子が捕食体勢に入っている。

「おべんと用のフォークつかっちゃおうかなー」
私もだんなも「食べていいよ」とは言ってないのに、フォーク持って万全の体勢でダイニングテーブルに着席していた。お父さんはまだ夕飯食べてないんだよ、あんたは食べたじゃない、と夫婦して突っ込みを入れると、
「でもね、まだなにか、食べたいなんだよー。食べられるなんだよー。食べるよ?」
やる気満々でフォークを放さない。時間はもう夜の9時半過ぎだというのに、フォークを握りしめた息子はだんなのラーメンを横からわしわし奪って食べていた。
……私もお腹空いてきちゃったなぁ……(でも我慢)。

3月16日 火曜日
ふあふあサクサク、私の大好きなハムスイコ。
マロンケーキ
カフェオレ

なんでもだんなは、数ヶ月前に同僚と
「今年度末までに体重を6%削減しよう」
という取り決めをしたのだとか。
「うーん、目的値に手は届きそうなんだけど、食後も理想値内にしておきたいんだよなぁ〜」
と、これから数週間はより一層の努力をすることにしたらしい。今朝も元気に早起きしてスポーツジムに向かっていった。

台所の棚に先日作ったマロンケーキをざくざく切って木製ボウルに入れておいたのを食べていったらしく、コーヒーサーバーに温かいコーヒーが「さあお飲み」といった風にたっぷり入っていて、遅く起きた私と息子もありがたくそれをいただくことに。

どっしりとした口当たりの、パウンドケーキ風のマロンケーキ。パン焼き機に材料をぽいぽい放り込んで作っただけのものだけれど、栗の甘露煮がどっさり入っているのでけっこうゴージャスな口当たり。でも、あまり一気に大量に食べるものじゃないし(食パンだったら1斤2〜3回で食べ切れちゃうんだけど……)、なかなかなくならなかったりする。

ツナと卵と野菜のサンドイッチ
アイスカフェオレ
ハーゲンダッツ クリスピーサンド(リッチミルク)

春休み間近で、今日も息子は早い帰宅。
「おかあさんおかあさん、きょうもコンビニ、寄っていこ?」
「……いや、今日は家で御飯作るよ。サンドイッチ食べたかったらサンドイッチ作ったげるから」
「ごはんのサンドイッチも食べるなんだけどね、クリスピーサンドかわなきゃ!りっちみるく!」
「……ああ、そっちのサンドイッチですか……」
毅然と突っぱねれば良いのに、結局クリスピーサンドを買ってきてしまった。

サンドイッチ用の食パンを買ってきて家で作ったのは、パンより具の方が3倍以上の厚さがあるゴージャスサンド。マヨネーズ和え刻みゆで卵と、刻み玉ねぎ入りツナと、レタスとトマトと、冷蔵庫の奥の方から発掘したハムをうじゃうじゃうじゃと盛大に挟みこみ、大変なボリュームのサンドイッチを作ってみる。大変に食べ応えのある品ができあがってしまい、息子と2人、顎を外しそうになりながら平らげた。

そして、デザートに今日もハーゲンダッツのクリスピーサンド。今日もリッチミルク味
「パリパリだねぇ〜」
「サクサクだねぇ〜」
「おいしいねぇ」
と1つのそれを分けっこしてパリポリパリポリ平らげた。やっぱり美味しい。とっても好み。

鶴見 「翠華樓」にて
 チャーシュー \800
 花巻 \400
 蝦餃 \550×2
 叉焼饅 \300
 小龍包 \500×2
 貝柱入り腸粉 \600
 咸水角 \450
 蘿蔔[米羔] \450
 春巻 \450
 蟹肉入り炒飯 \700
 五目焼きそば \700
 生ビール \500×6
 マンゴープリン \500×3
 杏仁豆腐 \450
……を、大人3人子供1人で。

「ちょっとヒマになりました。よかったら遊んで遊んで〜」
というメールがDちゃんから届き、じゃあ一緒に飯でも食いましょう♪ということに。この日記をつけていた私をDちゃんが見つけてくれたのがもう4年くらい前。ぽちぽちメールのやりとりをして、今は「美味しいもの好き仲間」みたいになっていて、だんなも息子もすっかり顔馴染みなので我が家+Dちゃんの4人で本日向かったのは「翠華樓」。

鶴見にある「翠華樓」は、中華街にある「翠華」の本店にあたる店(今はなんだか中華街のお店の方が本店のように煌びやかになってしまっているけど、確か鶴見の方が本店だったと以前聞いたのだ)。どの料理も安くて旨くて、なんといってもこのお店のマンゴープリンが大好きで、しょっちゅうやってきていた。……が、しばらくご無沙汰している間に「料理が美味しくなくなったー」「マンゴープリンも美味しくなくなったー」と、いまいち芳しくない噂を耳にして、不安を抱えつつここ1年半ほど足を向けていなかったお店だ。

「というわけで、ちょっと不安なんだけどねっ」
「不安なんですか……」
「不味かったらごめん!ということでね」
「あははは……」
会って早々に不穏な事を聞かされて、乾いた笑いを漏らすDちゃん。このお店、入り口からして非常にワビサビ感が漂っていて(そう、とても繁盛しているように見えない……)、大抵は席がガラガラだったりするものだから、更に不安を感じるお店。でも、美味しいんだなぁ。

「もう、料理はせりあさん夫妻にお任せしますからー」
と言われ、だんなとやいやい言いながら料理を選ぶ。一応位置づけは"飲茶も楽しめる広東料理屋"という風なのだけれど、点心大好きな私たちは
「ハーカウは必須でしょ」
「チャーシュー饅も必須でしょ」
「ハムスイコッ、ハムスイコも頼んでよっ」
「わかったわかった、あとチャーシューと花巻を頼んで……」
「腸粉も久しぶりに食べたいなぁ〜」
と、あれとこれね、これとこれもね、と矢継ぎばやに注文。しばしして、テーブルにずらーりと湯気のたつ点心が並びまくった。

味が落ちたと言われていたので少々の不安があったのだけれど、表面が美しく赤い、ほわっと温かなチャーシューはいつもながらの美味。肉まんの皮部分だけをふかしたような、具なしの饅頭といった風の「花巻」にチャーシューを挟んではぐはぐと食べる。ああ、花巻もいつもどおり美味しいわ。

そして点心類。プリプリの海老が入る海老蒸し餃子にちょっと皮が厚ぼったい小龍包、むっちりとした食感の蒸しクレープ「腸粉」、どれも懐かしいこのお店の味だった。以前、このお店のマンゴープリンの味が一度だけごっそり変わってしまったことがあったのだけれど、多分料理長か点心師かともかく誰か担当者が不在だったのだろうなという風だった。多分、評判が落ちた数ヶ月の間、料理人が揃って中国研修旅行にでも行ってたんじゃないかなぁ……とか、思ったり。ともかく、今日の料理の味は以前から衰えていないように思えた。ああ、良かった良かった。

そして、私が一番好きな点心、咸水角(ハムスイコ、とかハムスイコク、とかハムスイコッと発音する)。甘辛く炒めた肉と野菜をふわふわの餅でくるんで油で揚げた、揚げ饅頭。表面のサクサク感と餅のふわふわ感、そして具の旨みのバランスが店によってまちまちで、中には五香粉の香りを強くしたようなものもあって、面白く美味しい点心だ。このお店のものは、殊に私の好み。今日も揚げたてのそれは十二分に美味しかった。

蝦餃を追加し、小龍包も追加し、さんざん飲み食いしたあげくに炒飯と焼きそば。
「ここの炒飯、けっこうボリュームあるけど……」
「なんか焼きそばも食べたいのよねぇ……」
と、蟹炒飯と焼きそばを注文。蟹肉たっぷり入りの炒飯はちと塩気が薄めだったけれど、揚げ麺の具沢山焼きそばはしみじみ素朴に美味しかった。

で、トドメにマンゴープリン、息子は杏仁豆腐。
「そうだ……この店のマンゴプリンはボリュームがたっぷりだったんだ……」
「ちょっと苦しい……」
「でも食べる……」
「……うまー♪」
もう、お話するために集まったんだか、食べるために集まったんだかわからない状況に(いつも後者になっちゃうんだわ、私たちの飲み会は……)。噂のマンゴープリンは、ちょっと水っぽいかなという感はあったけれど、マンゴー果肉もたっぷりでミルク感もたっぷり。マンゴーの季節の夏にはもっと美味しくなるかしらんと思いつつ、好きな店が「昔好きだった店」に変わることがなくて一安心。

「……しっかし、腹一杯だね……」
「苦しいくらいだね……」
「何が悪かったんだろ……追加した小龍包?それとも焼きそば?」
「……いや、マンゴプリン、かな……」
きゃあきゃあ言いつつ、Dちゃんと別れて帰宅。うう、満腹で苦しい……。

3月17日 水曜日
大好きな太閤園の炒め物 ギトギトキラキラ
稲毛 「太閤園」にて
 回鍋肉定食

息子の通う幼稚園は今日が卒園式なのだそうで、年中の息子はお休み。出勤するだんなが起きるのに合わせて一緒に起きようとしたのだけど、
「起きる〜起きる〜起きるぞぉ〜」
「……いいから寝てなさいよ」
「ちゃんと、だんなを、お見送りするぞぉ〜」
「いや、いいから寝てなさいって」

もうちょっとスマートに起きられないものかと思う。それでもちゃんと起きて、色々なものが散らばる居間を片づけたり、ゴミをまとめたりしつつだんなを見送った。

会食づいているけれど、今日はWeb日記書き仲間のKさんと久しぶりに会う予定。これまで何度も何度も会おうね一緒にランチしようねと言い合っていたのだけれど、Kさんはいつも体調がつらそうで(仕事していて、心配になるほど寝不足が続いていた)なかなか実現しなかったのだ。この度めでたく(?)そのつらかった仕事が終わり、心おきなく会えることに。じゃあ、我が町が誇る2大カレー屋さんのどっちかに行きましょー!と約束を取りつけたのだけど、昨日わかった衝撃の事実。

「……Kさん、あのね、水曜日はShibaもナイルもどっちも休みでした……」
「うわ!……どうしましょう、明日とかにする?」
「うーんうーん、まぁ、お勧めの中華定食屋さんもあるし、もし興味あるならタイ料理屋さんとかも……」
よりによって水曜日はどっちも休みなんだということに今回初めて気づき、でもとりあえずタイミングが良いから会っちゃいましょうと。朝食は息子が起きてから……と思いつつ、掃除機かけたりちらりと入ってきた仕事を片づけたりしていたら、いつのまにか11時を過ぎていた。ああ、もう、お昼だやー……と、朝食は期せずしてスルー。

タイ料理屋はともかく、中華定食屋さんの方は12時過ぎたら座れませんよー……と伝えておいたら、ばっちり11時半頃にKさんはやってきた。再会の挨拶もそこそこにモニョモニョ話し合い、中華定食屋さん「太閤園(たいこうえん)」に向かうことに。
「えとね、炒め物でー、野菜炒め、肉野菜炒め、茄子野菜炒めと比較級のようになってまして、味つけは同じなのね。茄子野菜炒めには、肉の文字は入ってませんけど実体は茄子肉野菜炒めなんです。これがね、おすすめー。あとは、回鍋肉も旨いです。炒飯も捨てがたいです」
道すがらそんなことを話しながら、Kさん、私、息子の3人で小さなその定食屋を目指す。幸い、5つある4人がけの席の2つが空いていて、小上がりの席に無事つくことができた。

「うーんうーん……炒めものの定食と炒飯と、両方取ったら、多いですよね?」
「多いです」
もうKさん、やる気充分。炒飯は息子も食べたがるしなと、私は回鍋肉定食、Kさんは茄子野菜炒め定食、息子に炒飯を取ってやることにした。それなら私もKさんも炒飯をつつくことができる。

もう何十年も、おっちゃんが一人で中華鍋をふるっているお店だったりするので、お客が多いと料理が出てくるまで30分近くも待たなければならなかったりする。今回も料理が出てくるまで20分、最初の料理が出てから最後の炒飯が出てくるまで10分近くのタイムラグがあったりしたけれど、でも相変わらず美味しかった。中国人にこの店の料理を食べさせたら「これは中国料理ではない」とダメ出しされてしまいそうな店だけれど、でも妙に日本人の口にあう、じわっと旨い味つけの料理なのだ。

回鍋肉は大ぶりに切られたキャベツ1つ1つ、ピーマン1かけ1かけ、肉1つ1つに見事な灼熱油のコーティングがされ、油膜が味噌ダレをはじくようにしながら皿の底にこってり味のそのタレが広がっている。タレの周囲にはまた油膜の輪。もう見るからに油っこくて大変にくどそうな印象があるのだけれど、不思議とそんなに胃にもたれないし、見た目よりもさっぱりと食べられる。回鍋肉の限らず、このお店の炒め物はどれもそんな感じ。そして何を頼んでも、とにかくおっそろしいほどにアツアツの状態でやってくるのだ。チャーハンも、テーブルに出てきて3分経ってもまだ口の中に火傷を負う危険性があるほど。

「どですかどですか?なんてことない外見なんだけどね」
「うん、美味しいよー、せりあさん」
「ほんとほんと?良かったー」
炒め物の熱さで口の中をヒーヒーさせながら、今日もほぼ満席状態の店内でちゃかちゃかっと昼食を済ませた。
いつか酢豚とかニラレバ炒めみたいなのも試してみたいのだけど、このお店の味が恋しくなるときは茄子野菜炒めか回鍋肉か炒飯の味が恋しくなるときなのよね。なかなか他の味に挑戦できない……。

千葉 「木村屋」の苺大福
中国茶 (阿里山烏龍茶)

家に帰って、しばしKさんとおしゃべり。豆大福が名物の、千葉の「木村屋」という和菓子屋さんの豆大福と苺大福(午前中に売り切れてしまう人気商品)をお土産に持ってきてくださったので、じゃあ、さっぱりと中国茶でも淹れていただきますかー?と、功夫茶器のセットをかちゃかちゃ出してきて、ままごとセットのようなそれでお茶を淹れ淹れ、いただいた。中国茶器セットを見たKさんは開口一番、
「うわっ、リーメントの食玩(これ?)と同じだわっ」
と。第一声がそれですかー?と私は大笑い。

このお店の苺大福は、とっても巨大。苺の周囲にたっぷりめに白あんが巻かれ、ちょっと塩味を感じるふくふくの白い皮にくるまれている。苺の甘さと酸味に皮の塩味というのはちょっと不思議な組み合わせに思われたのだけれど、桜あんぱんのてっぺんに添えられた桜の塩漬けのような爽やかなインパクトがあって美味しかった。豆大福もまた、ぷくぷくしていてとっても美味しそう。ごそっといただいたので、夕食後か明日のおやつにいただくことにしよう。

「というわけで、次回はカレーねー、水曜以外に」
と、食べ物話にスタイルシートと画像加工の話などの高尚な(?)話も交えつつ、数時間の邂逅終了。次回は水曜以外に。

親子丼
ごぼうと三つ葉の吸い物
麦茶

だんな、お仕事で帰宅遅し。
「んー、昼に大量に食べたし……巨大な大福も食べたし……」
と、夜はさらさらっと親子丼1杯にすることに。

酒と醤油と味醂と砂糖、ちょっと甘めに味をつけた割り下の中で一口大に切った鶏肉をくつくつ煮込み、溶き卵を流し入れて半熟に火を通す。上からはたっぷり三つ葉を散らした。吸い物の具にも三つ葉を使い、全体的に青々とした組み合わせの夕食になってしまった。

3月18日 木曜日
カニー。カニー。カニー♪
おいもとあずきのグラノーラ with 牛乳

「あのねあのね、豆大福いただいたの。だから朝御飯は大福ね♪」
「朝飯かよ!」
「……イヤ?」
「いや……いい……」
そんな会話が昨夜のうちになされ、今朝も元気に早起きしてスポーツジム経由で出勤していった我が夫。台所にはちゃんと大福を食べた痕跡が残っていた。

「さて、息子と私は何を食べようかな」
と、1時間半後に起き出した私と息子。大きな大福は息子にはちと大きそうで、結局シリアルで済ませることになった(だんなが「俺には"大福が朝御飯だ!"と言っておいて……」と呆れ顔をするのが目に見えるようだわ)。
大福はおやつにしようねと、ザラザラッと"おいもとあずきのグラノーラ"をスープカップにあけてごく軽めの朝御飯。息子の幼稚園もあと2日。

コロッケとチーズのホットサンド
牛乳 with ミルメーク(コーヒー味)

今日は雨が降るぞ雨が降るぞという天気予報が出ていて、朝から非常にイヤな感じの雲がすごい速度で上空を流れていく。風も強くて、
「うわー、降りそう降りそう。12時までは耐えろよ、耐えてくれよー」
と思いつつ、幼稚園のお迎え時間前にスーパーに寄ってちょこちょこと買い物を済ませてきた。
「すごい風だし、もう降ってきそうだから急いで帰るよ」
「うん、ぼくはね、ちゃーんとつかまってるからね、大丈夫なんだよー」
いつもより2割増しスピードを出して自転車とばして帰宅すると、直後に嵐と言って良いほどの大雨になった。

おかあさんは、何を買ってきたのかな?と興味深そうに買い物袋を覗き込む息子。
「あのね、コロッケと食パン買ってきたからさ、コロッケのサンドイッチにしない?」
ビニール袋をしゃわしゃわさせながらそれを取り出すと、
「やったーコロッケだぁ!……でもさぁ、おかあさん、ホットサンドのほうが、おいしいと思うよー?」
と息子からアドバイスを出されてしまった。コロッケのホットサンドというのは作ったことがないけれど、確かにパンもコロッケもアツアツになって美味しいかもしれない。ちょっとチーズも加えてホットサンドにしてみようか、と、初めてのコロッケホットサンド。

表面にうっすらマーガリンを塗ったパンをホットサンドメーカーにセットし、間に上からぎゅうと押してちょっと薄く伸ばしたコロッケを挟む。そして3つまみほどのとろけるチーズも余白に突っ込み、コロッケの上からちろりととんかつソースも垂らし、ホットサンドメーカーをバチンと閉じる。具沢山にすると毎回閉めにくくなるホットサンドメーカーだけれど、今日はかつてなく苦労して上からぎゅうぎゅうこれでもかと押さえ込んでスイッチを入れた。

初めてのコロッケホットサンドはなかなかの味。刻みキャベツを入れても案外美味しいのかもしれないと思える味で、想像よりずっと美味しかった。ソースの味が強すぎてチーズの存在感がいまいちなかったのは御愛嬌……。

蟹!(茹でズワイ・茹でタラバ)
 ポン酢・レモン・にんにくバター・刻み万能葱
福井「幸家」の永平寺ごまどうふ
蒸しかぼちゃ・蒸しブロッコリー
いくら
蟹椀
羽釜御飯
ビール(モルツ)・日本酒(秋田・がっこ)

蟹は人心を惑わせる。私もここ数週間、何かというと「蟹……蟹……」と呟いてはいたのだけど、とどめとばかりにだんなの背中を押したのは、"蟹を喰うためだけに福井に行ってきます、今週末。"と話していたのだというだんなの同僚の存在だった。

「あーもう、蟹!蟹!」
「蟹喰いてぇ!」
「お店で食べるより、通販で買っちゃったほうが安いしいっぱい食べられるね」
と、あーでもないこーでもないと各種カニサイトを巡った数日後、カニ市場『北国からの贈り物』というサイトの1980円均一セールの品を買うに至った。ズワイもタラバも1980円。イクラ(これも1980円)もセットにしてもらい、「3品買ったら味噌汁用の蟹足サービス」というおまけもついて、大きな発泡スチロール箱が昨日届いたのだった。うきうきと今日1日かけて解凍し、蟹喰いの準備をする。

やっぱり基本はポン酢かしら、とポン酢を準備。刻み葱も散らすと美味しいかしらん、と万能葱をざくざく刻み、レモンも添える。それで充分な気もしたのだけど、
「そうだ、確かアメリカのレストランで、バターつけて食べたことがあったっけー」
と、溶かしバターも用意した。おろしにんにくを溶かし、バーニャカウダ用の鍋にティーキャンドル灯してぐつぐつと熱してみる。アメリカの魚介レストランのバイキングでは、蟹の横に溶かしバターの容器が置かれいるのを何度か見ていたことがあり、それがなかなか美味しかったのだ。だったら野菜も浸して食べちゃおうと、蒸したかぼちゃとブロッコリーも。味噌汁用のおまけ蟹足はおまけのくせにたっぷりとした分量で、いかにも美味しそうな蟹椀ができた。

全ては蟹のためにあるような食卓が整った頃、タイミングよくだんなも帰宅。ビールで乾杯するやいなや、バリバリと足をもぎはじめる私たち。
「うおぉ!身が!綺麗に!ぺろっと!」
「あああああ、口いっぱいに!カニが!」
大騒ぎしながら、ポン酢つけーの、レモン絞りーの、バターつけーのして、バリバリ食べた。1つ500g以上の蟹が2ハイあるとなかなかの迫力で、でも「残ったら蟹チャーハンにでもしよう」という思いも空しく全て消滅。足が細くシャキーンと美しいズワイガニも、どこもかしこもトゲトゲのごつい外見のタラバガニも、どちらもそれぞれ美味しく思える。はしたないほど口の中いっぱいに蟹肉を放り込んでモグモグとするのは、至福というか満悦というか、とてつもない幸せだった。ああ、なんで蟹1匹にこんなに心躍らされなければならないんだろう。

にんにくバターを蟹肉にちょいと垂らし、そこにレモンをぎゅうぎゅう絞って食べる新しい悦びも見いだしつつ、口直しにと出してみて驚くほど美味しかったのが胡麻豆腐。件の、福井に蟹喰いに行った同僚さんがお土産にくれたのだというそれは幸家というお店のもので、
「あなたが胡麻豆腐あんまり好きじゃないのは聞いたけど!でも!これは美味しいから食べてみてっ!」
とだんながいただいてきたものだった。豆腐そのものは塩気も甘さもさほどなく、胡麻の香ばしさがふわんと漂うねっとりこってりした味わいのもの。ピーナッツも入っているという味噌だれがとても良い具合の甘辛さで、確かにすごく美味しい胡麻豆腐だった。

さんざん蟹を食い尽くした後(甲羅に蟹味噌と日本酒入れて、啜りまくったりもした)、ちょっと細い部位の蟹足がどっさり入った蟹椀と、蟹と一緒に届いたイクラを御飯に乗せてそれも堪能。コレステロールだとか脂肪だとか、何だか胸焼けしそうな夕飯だったけれど、我が青春に悔いなし。美味しかったぁ〜。蟹最高。

3月19日 金曜日
スペアリブの農民風。「農民風」ってなんだろ?
卵御飯
蟹椀
麦茶

今日は息子の幼稚園、修了式。でもスポーツジムには行きたいのよねー、ギリギリまで運動してくるか、と精力的に早起きした。更に精力的に更に早い時間に起きただんなは今日も朝からスポーツジム。同僚とのダイエット成果争いが終盤に差し掛かったことで、3月末までは必死に運動する心づもりであるらしい。

昨夜作った蟹の味噌汁はたっぷり10人前くらいできあがっていたので、今日も引き続き蟹椀を器によそい、卵御飯を添えての朝食。昨日飽きるほど(いや、飽きてない)蟹を食べたのに、今朝も蟹を食べられるなんて、ああなんて幸せなことだろう。蟹♪蟹♪蟹♪と、大きな爪1つを椀に入れた。いっしっしっし、とバキバキ殻から身を剥がす私を、蟹の美味しさがまだいまいちわからないらしい息子は
「おかあさんは、なんだか、がんばってるねぇ〜?」
と、少々呆れ顔。昨夜も蟹そっちのけでイクラ御飯を楽しそうに食べていたのだ。

……まだまだあるわ……(うっとり)

「たごさく」の釜揚げいなり・高菜わさびいなり
焙じ茶

午前中はスポーツジム。急いで家に帰って身支度整えたら息子の今年度最後のお迎えということで保育室に集合して先生からお話や皆勤賞の表彰などなど。午後もあまり余裕がないまま外出することになっていたので、ジム帰りに駅ビルに立ち寄っていなり寿司を買ってきた。息子には小ぶりの五目いなりを2個、私はごろりと大きな釜揚げいなりと、初めて買ってみた"高菜わさびいなり"。
「高菜でわさび……?わかるような、わからんような……」
と、買ったそれをダイニングテーブルに置いて、すぐに幼稚園に向かった。

「みんな、頑張り屋さんで、優しいお友達もいっぱいで……」
最後の挨拶をする担任の先生は最初からちょっと涙ぐんでいて、もらい泣きし始めるお母さんたち多数。進級するだけなのになぜここまで湿っぽいのかなぁ……と思っていたところ、
「最後にわたくし事なのですが、今年度で退職することになりまして」
との先生からの御挨拶。えええ!?と悲鳴のようなお母さんたちの声が流れ、続く涙ずくずくの挨拶で教室にいる8割方のお母さんが泣き始めてしまった。あああ、私、こういうの苦手……。

人前で泣くのは苦手で、でもけっこう涙もろいもんだから顔が変な風に歪んでしまうのを必死に矯正する羽目になり(そんなことするくらいならおとなしく泣いてしまうほうがずっとまともな表情でいられるのに)、しまいには頭の中で、
「泣くな泣くな、泣いちゃダメだ……ここはよーし、歌を歌おう。ジン♪ジン♪ジンギスカーン♪……」
とわざわざ妙な事を考えはじめてしまい、そして私はこういう感動のシーンが訪れる度に一人変な妄想にふけってしまうのだった。感動ものの映画なんかも、だから全然ダメ。ずっと脳裏で歌い続けていた「踊るポンポコリン」の歌詞ばかりが印象に残ってしまったりする。

で、思ったより長くかかった修了式の後、家でさくさく昼御飯。
高菜わさびいなりは、すごく好みな味だった。"高菜とわさび"というより"わさび和え高菜"が御飯に混ぜられたような状態で、はっきりとわさびの味が感じられるビリッと刺激のある御飯がジュワッと甘い油揚げに思いのほか良く似合っている。あ、これ、美味しいかも、好きかも……と無言になってしまいつつ、もりもり。

スペアリブの農園風煮込み
春キャベツのコールスローサラダ
いくら
蟹椀
御飯
ビール(モルツ)・麦茶

今日の午後、息子は音楽教室の体験レッスンに行ってきたのだった。これまで何ひとつ習い事をさせていなかったのだけど(自発的に"これがやりたい"というものが彼になく、こちらとしても"これやっとけ"と思い当たるものもなく……)、私やM井さんがピアノを弾くたびに
「ぼくもね、ピアノがひけるようになりたいなぁ」
と言い出したので、興味が湧いてきたなら、じゃあやってみる?と。

数十分の無料体験、何しろ習い事は初めてなのでどうなることかと思ったけれど、「メリーさんのひつじ」を歌い、リズムに合わせてエレクトーンの黒鍵をパシパシ叩き、楽しそうにひととおりこなしていた。
「どですか?……また来てみる?」
「うん!たのしかったぁ〜。また、くる」
満面の笑顔で「たのしかった」と言われてしまったので、春から教室に通うこと、決定。

夕飯にと買ってきたのは、安売りしていた豚のスペアリブ。シンプルに塩焼きにしようかなとか、アメリカ南部で出てきそうなコテコテ甘辛味のバーベキューにしちゃおうかなとあれこれ考え、イタリア料理である「農民風煮込み」に。Tさんから教えていただいた、オレンジの皮を加えて煮る作り方も気になったのだけど、「オレンジないじゃん……」と、イタリア料理のシェフ日高良実さんのレシピ(これに載ってた)でやってみることに。

スペアリブは下茹でしておいて、水気を切ったら白ワインとブランデー、水と共に鍋に入れ、ことこと煮ていく。肉の上には2枝のローズマリー。ローズマリーというハーブはものっすごく強靱で、かつて何鉢ものハーブや花をダメにしてきた我が家で唯一、にょきにょきと育ちまくっている希有な存在だ。あ、あとミントとレモンバーベナーあたりももすごく頑健(でもこちらは芋虫が葉を食べちゃったりする)……で、香菜とルッコラはちょっと育つとすぐにアブラムシがついて全滅してしまうので我が家では栽培タブーなハーブ。

スキレットに入れ、蓋をしつつ蒸すように1時間ちょっと火を通したスペアリブ。最後は水気を飛ばすように焼き目をつけてやり、添えるソースはみじん切りにしたイタリアンパセリ(これもけっこう丈夫でベランダでよく育つ)とにんにくと塩胡椒をオリーブ油に混ぜたもの。にんじん、玉ねぎがどっさり入った春キャベツのコールスローも山盛り作って肉に添えた。

「……で、おかずは洋風なわけだけど、まだ蟹椀は出せるし、イクラもあるのよね」
と、昨夜に続いての魚介ものもモリモリ。スペアリブはソースにしか油を使っていなかったのだけれど、スペアリブ本体が脂をたっぷり含んでいる部位なので、かなりの食べ応えがあった。ワインとブランデーの旨味も染みてて、数時間で作った割には味がしっかりついていてなかなかのもの。ソースのにんにくがちょっと多すぎたかしらんとも思いつつ、久しぶりのスペアリブはしみじみ美味しかった。でも、やっぱり一番美味しかったのは蟹椀……。

3月20日 土曜日
せっかく運動したってのに、焼肉食べちゃ……(ダメ……)
ざるそば
焙じ茶

今日は8時半に起きようね〜と言っていたのに、鳴った目覚ましを速攻で止め、そのまま寝入る私。
「奥さん奥さんおゆきさん?起きないの?8時半だよ?ジム行くんでしょ?朝御飯、食べるんでしょ?」
と、今日は早めに目覚めたらしいだんなが起こしに来た。でも寝る私。

「うどん食べる?冷たいの」
「……んー」
「それともあったかいのにする?」
「んんー……」
「ああ、蕎麦にしようか」
「んんー……」
「やる気ないね奥さん?」
「んー」

しょうがないねまったくこのヒトは、と、だんながちゃっちゃと蕎麦を茹でてくれた。シンプルなざるそば、添えるのは海苔とネギくらい。3玉茹でて、家族揃ってズルズルズーと食べた。まだ20玉くらいあるのよねという、我が家でおなじみの蕎麦は信州の小妻屋本店のもの。相変わらず濃縮だしが好みの味だった。

ウィンナーとチーズのホットサンド
アイスティー(ペニンシュラ)

早起きして何をしたかといえば、夫婦してスポーツジムに行ってきたんである。祝日の今日、特別プログラムということで、我が家最寄りのそのジムではボディパンプの新曲発表スペシャルが10時半から行われるのだった。

「新曲だってよー。……私は、新曲はまぁどうでも良いんだけど、インストラクターが2人出るらしいから、面白そうかな、と。……行く?」
「行く行く。俺も行く」
と、息子はだんなの実家で遊んでいていただくことにして、2時間ばかりみっちり動いてきた。

2人だと聞いていた参加インストラクターは結局そのジムでのボディパンプ担当の4人全員がやってきていて、参加者40人くらいに対してインストラクターが4人という、贅沢なんだか暑苦しいんだかわからない妙な熱気のプログラム。目の前に、通常1人しかいないインストラクターが4人ずらーりと並んで、それぞれありえない重量(10kgとか20kgとか……)をぶんぶん動かして
「シングルーッ!ハイィ!」
「ハイィ!」
とかやってる図は、数ヶ月前の私だったら間違いなく引いていたと、思う。今は楽しさがわかってきたので、なんとか溶け込めるというか、溶け込める自分がちょっとイヤというか……。

よれよれになり、最後に軽くプールで泳いで帰宅。
「ああ、カレー食べたい」
「たこ焼き食べたい」
という誘惑に逆らいつつ、家でホットサンド作って食べることにした。でも、コンビーフはないし、卵茹でたりするのもめんどくさいし、と適当に用意したのはウィンナーとチーズ。

「いや、けっこう美味しいと思うけど、ウィンナーチーズホットサンド……」
などと言いつつ、私がパンにバターをぺたくた塗っている脇でだんながウィンナーを美しくスライスしてくれた。ピザ用のとろけるチーズどっさりと共にウィンナーをパンに挟んでホットサンドメーカーに。その間急いでアイスティーも用意した。柑橘系の香り漂う中国茶のような日本茶のようなお茶PENINSULA(ペニンシュラ)は、L'EPICIERで売られているお茶で一二を争うほど好きなもの。運動してきた後では殊に美味しく感じられて、ピッチャーにたっぷり作った冷たいそれをがぶがぶと飲み干した。

しかし、息子が
「おばあちゃんち、たのしいから、まだ、かえらないのー」
と言って全然帰ってきやしない……。

稲毛 「牛角」にて
 出来立てシャキシャキキムチ \390
 炙りベーコン \390
 ねぎタン塩 \550
 ぼたんロース \490
 チャック(タレ) \430
 熟成ハラミ(タレ) \490
 牛角カルビ(塩ダレ) \490
 にんにく豚カルビ \450
 サンチュ \390
 にんにくホイル焼き \390
 牛角ミニサラダ \390
 にんにくホクホクスープ(ハーフ) \250
 ごはん(小) \170×2
 牛角風 盛岡冷麺(ハーフ) \390
 もなかアイス(バニラ) 無料
 牛角アイス \180
 生ビール \490×3
 生柚子サワー \490
……を、だんなと2人で(食べたなぁ……)

「あー焼き肉食べたい……」
「私も食べたいけど……でも、運動してきて今日食べたら、なんというか、元も子もない……」
「でも食べたい!」
「……うー、行く?」
「行く!」

なんかさ、痩せるためにジム行ってるんだか、焼き肉美味しく食べるためにジム行ってるんだかわからないよね〜……なんて言いつつ今晩の焼き肉が決定した。が、午前中からおばあちゃん家に行った息子は、まだまだ帰る気配がない。5時過ぎてさすがに帰っておいでよと電話したら、
「あのねぇ、おばあちゃんち、泊まるね。おふろもね、じいじと入るからね」
と、無邪気な言葉。もうちょっと、「早く家に帰りたい」とか「お父さんとお母さんのところに行きたい」とかいう心の揺れはないものか、と思いつつ、これ幸いとだんなと2人で焼き肉に行くことにした。2人で御飯は、ちょっと久しぶり。それが焼き肉というのもいかがなものか、と思うけど。

「努力中だしさ、あんまり腹一杯食べないようにしようね」
「……お肉、5皿くらいにしとこうか?」
「いーや、7皿食べるでしょう!」
「……それ、変わらない、いつもと全っ然、変わらない……」
「え?だって1人350gだよ。全然普通でしょ」
「普通……かなぁ……せめて御飯ものはハーフサイズにしよう……」
とメニュー見ながら相談して、今日もよく食べた。結局、全然少なくないことに。

チェーン焼き肉屋牛角は最寄り駅の近くにあって歩いて食べに行けるところ。体中焼き肉臭くなっても、にんにく臭くなっても、酔っぱらってヘロヘロになっても歩いて帰れるということで、焼き肉というとここ数年この店ばかりにやってきている。適当に安くて適当に美味しくて、メニューの種類も豊富でデザートもあって、子連れでも行きやすくて……と、理由はいろいろ。今日もデザート1品が無料になり、1000円無料券もあったため、これだけ食べて7千円くらいだった。

運動して疲れていたからか、最初のビールでいきなり酔っぱらう。それから先、続々とイノシシ肉が来たりハラミが来たり豚が来たりしたのだけどそれが何かということもあまり考えず、「あらこれ美味しいわ、こっちも美味しいわ」とひょいぱくひょいぱく。生のざく切り白菜をキムチのタレでざっくり和えただけみたいな「シャキシャキキムチ」が美味しくて、サンチュに一口分の御飯を乗せてキムチを乗せてサンチュ味噌添えて肉も乗せてくるりと巻いて食べまくった。ああ、美味しいわ、何を食べても美味しいわ(←もうすっかり酔っぱらい)。

デザートにはしっかり信玄餅味の"牛角アイス"(バニラアイスにきな粉と黒蜜をかけたもの)も食べたというのに
「ハーゲンダッツのクリスピーサンド♪買って帰る♪」
「デザートしっかり食べたじゃん……おゆきさん……」
「でも♪買って♪帰る♪」
「……いいよ、うん……」
歯止めがきかない……というか、歯止めなんて最初っから無かったように、クリスピーサンドを2個買って帰ってきた。まだそれは食べていないのだけど、だんなは帰るなり居間で爆睡し始めて(彼も疲れてた上に酔っぱらって大変にグデグデだったらしい)、久しぶりの夫婦水入らずの夜はもう台無し、っていうか……。

3月21日 日曜日
沖縄のロイヤルポークのグリル。うまっ。
新橋駅で買ったミックスサンド 3切れ

今日は10時到着を目指して六本木に向かうことになっている。私は7時半に目覚めたものの、だんなと息子(息子、「おばあちゃん家に泊まるのー」とか言っていたのに、夜9時過ぎてあっさりと帰ってきた……)は起きる気配なく、8時を過ぎて
「あと30分くらいで出発なんですけどー!大丈夫ですかー?」
わさわさと揺すって、起こしてみた。六本木は遠いのだ。

で、朝食を摂る余裕もなく電車に乗り、ここで地下鉄で乗り換えてはどうかあっちでああいうルートで行ってみたらどうかとあれこれ話し合った結果、新橋から渋谷行きのバスに乗ることに。昼まで何も食べなくてもなんとか保つかなと思っていたのだけれど、新橋に着く頃にはあっけなく全員が空腹になってしまった。

「うーん、どこか寄るにも、でも、展覧会は早めに見ちゃった方がいいもんね、きっと」
「もう、バスの中で食べちゃおう」
と、とにかく少しでも何か食べ物を胃袋に入れておこうと、駅構内で買った小さなミックスサンドをバスの中でがさがさと。卵サンドとハムサンドが一口サイズで4切れずつ入るそれを、数分でパパパパパッと口にした。やっぱり朝食はちゃんと摂ってこなくちゃね。不味くはなかったけれど、何しろ急いで食べたのでいまひとつ味気なかった。

で、見てきたのは六本木ヒルズ内にある森美術館で開催中の「ROPPONGI CROSSING」。大抵の美術展は私がだんなを誘うのだけど、今回は珍しくだんながチケットを買ってきて「一緒に行くー?」と誘ってくれたのだった。「日本美術の新しい展望2004」なんて前衛チックなトゲトゲした印象なものを一体なぜゆえに我が夫が……?と思ってみれば、だんなの目当てはポストペット開発者の八谷和彦氏によるリアルメーヴェの展示だったりした。

「メーヴェって……あの、風の谷のナウシカのメーヴェ?」
「そうそう、あのメーヴェ?」
「それを本気で作ってるって?」
「そうなんだよー、もう、めちゃめちゃ面白くて!一度見てみたくて!」
「ほーぅ……」

で、見てきた。各種展示物にはよじ登れるものもあったり、小さなテントの中に入れるものもあったり、蚊帳の中に寝転がれるものもあったりと、美術展のくせに妙に体力を使うものが。楽しいものもあったしシュールなものもあったし、かなりグロいものもあったけれど、かなり楽しめた。リアルメーヴェは本当に「ああ、確かにメーヴェ!」とある意味感動もの。同時開催の「クサマトリックス」も、目眩がするような世界が構築されていて(どこもかしこも水玉ブチブチ……)、なかなか。

「蛍の群舞の中に消滅するあなた。」という名前のついた作品は、鏡で囲まれた真っ暗な部屋にいくつもの色とりどりの豆電球がぶらさがったもの。部屋に入って数歩で方向感覚が狂い、プラネタリウムの機械の中にでも入ってしまったかのような奇妙な気分が味わえた。「お出口は、こっちですよぅ〜」と係のおねぇさんがペンライトを時折ふってくれるのだけれど、それがなければどこに進んで良いのやら、という感覚。とても楽しかった(……が、ヘタレな息子は暗室を怖がって水玉ぶちぶちの明るい部屋で一人待っていた……綺麗だったのにー)。

青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 一口サイズのミネストローネ
 吉田牧場のモッツァレラチーズとフルーツトマト
 トリッパのサルティンボッカ仕立てのフリット
 フォアグラのパイ包み ピーナツ風味
 子持ちヤリイカのトマトソース煮込み リングイネ
 メダイのグリル ひよこ豆とじゃが芋のピュレ
 沖縄のロイヤルポークの 里芋のグラタンと
 ココナッツのジェラート マンゴーとパッションフルーツのソース
 エスプレッソ
 スプマンテ

週末の美術展(とか観光地全般)は状況が許すかぎり朝一で行くに限る、と私は思っているのだけれど、今回も「早く行って本当に良かったー」とつくづく感じる結果に。美術館がオープンする十数分前に到着してしまったので52階に位置する展望台も行ってきたのだけど、私たちが歩いた時はガラガラだったそこも1時間後に美術展から戻ってみれば窓にびっしり隙間なく人々が張りついていた。ガラガラだった美術館の入口にもかなりの人。階下に行けばどこもかしこも人だらけで、もうとっとと六本木は出ちゃおうね、とバスで2駅先の南青山に向かった。

昼御飯は青山の「Cucina Tokionese Cozima」。こちらから頼みたいことがあったり、あちらから頼まれたことがあったりと、食事以外の用事があったこともありうかがったのだけれど、
「まぁ、ほら、用事があって来ただけだから」
「前菜とパスタくらいにしておきますかー」
なんて事を言っていたはずなのに、
「もう、私たち腹ぺこで腹ぺこでー」
「だからもう、おまかせで!」
と、今回もこれ以上ないフルコース。たらふく食べて帰ってきた。

前菜4種、パスタ1皿にメインディッシュ2皿という豪華な組み合わせ。突き出しに出てきたのは、リキュールグラスに入れられた一口サイズのミネストローネ。水と野菜だけを使ったのだという、野菜の苦さや甘さや酸っぱさが感じられる大人な味なそれを、すっかり空腹な私とだんな(と息子も)は、クーッと一気飲みする。続く軽めの前菜は、岡山の吉田牧場のモッツァレラチーズと、熟して甘いフルーツトマトをシンプルに盛り合わせたもの。

吉田牧場のモッツァレラチーズというのは、その筋(どの筋?)では有名なものだそうで、契約して定期的に卸してもらっているレストラン以外の"新規"のお客が申し込むと半年待ちの人気商品なのだとか。ねっちりもっちりとして乳臭さが強く、その割に軽い口当たり。確かに美味しいチーズだった。でも、北海道アドナイのモッツァレラもすんごく美味しかったなぁ……とも思ったり。何しろ"本物のモッツァレラ"というものをそんなに食べつけてないので、「これはあれと比べてこのへんがこのように素晴らしい」なんて比較できなくて、ただただ美味しいなぁ、という感じ。

前菜3皿・4皿目は揚げ物とパイ包み焼きという重めな組み合わせ。生ハムで巻いてから衣をつけてサクッと揚げたトリッパの煮込みにはじわっと辛さのあるフレッシュトマトのソースと、玉ねぎやラディッシュなどを茹でたものが添えられている。フォアグラの味はするけれどあまり重さを感じさせないパイ包み焼きにはバルサミコ酢のソースがかかり、こんもりとルッコラベースの青野菜サラダ。どの料理も、メインとなる揚げ物やパイ包みは食べ切りやすい適度なサイズで野菜がしっかり添えられていて、最近野菜料理がしみじみ美味しく思える私たちには嬉しい限り。その野菜もいちいちあれこれ工夫されていて、火を通したラディッシュって美味しいんだなぁとか、里芋のグラタン(後で出てきた)も野暮ったくなくて上品な味がするんだなぁとか、毎回少しずつ驚きがある。

小さく盛られた続くパスタの皿は、こっくり煮込んだ磯の味が強めなトマトソースのリングイネ。子持ちのヤリイカのぶつ切りがたっぷり入っていて、コリコリモチモチとした独特の食感が素敵。そしてメイン2種の魚と肉は、どちらもこんがりと焼いたもの。メダイは皮をパリパリに焼いた切り身が白いピュレの上に盛られ、火を通した葉野菜も。

「これさ、このピュレさ、なんだろ?……豆っぽい」
「いや、じゃがいもだよ」
あれこれ言い合った後で、「あの、このピュレってじゃがいもですか?」とお店の人に聞いてみた。答えは
「ええ、じゃがいもです。そう、あと、ひよこ豆と」
というもので、
「ほらー、豆って、言ったじゃん、私」
「でも芋の味が強いじゃん!」
「いや、芋の味もしたけどね、豆だったんだよ」
偉そうにお互いに胸を張り合う私たち。

香ばしくて美味しい魚の次は、香ばしくて美味しい肉。今日の肉は、沖縄産の"ロイヤルポーク"。茹でた後そのまま(多分肉を茹でた鍋の、水気をそのまま煮詰め飛ばして火にかけ続け……、という意味だと思う)焼いたものだそうで、ソースはビネガーとレモンの酸味が利いたほんのり酸っぱいオイルのソース。菱形に切られた可愛いポレンタと、里芋のグラタンが添えられていた。茹でてから焼いた肉は、ただ焼いただけの時と違って適度な柔らかさと水気があり、でも表面はカリコリとした食感で、煮汁に一度染み出た旨味が淡く焦げて染みついたような感じ。複雑な調味はしていなさそうなのに、深い肉の味が楽しめるメインディッシュだった。

この料理は、シェフのKさんが修行していたイタリアのダル・ペスカトーレという料理店の名物のひとつなのだとか。冷蔵庫などがまだなかった時代、100年くらい昔からの伝統的な料理法で、生肉を保存するために一度茹で、それを焼き付けていた料理法が今に残ったものなのだとか。手元に『ダル・ペスカトーレ至極のレシピ集』という本があるのだけれど、確かに「仔豚のオーブン焼き」「仔やぎのオーブン焼き」などの料理で同じような作り方がなされていた。その料理写真に写っていたポレンタは今日食べたものと同じような外見で、それもまた面白かった。

これまでずっと、だんなも私も同じ料理だったのだけれど、ドルチェだけは違うものが。私には、この春のメニューのひとつ、ココナッツのジェラートにマンゴーとパッションフルーツのソースが添えられたもの。パッションフルーツは漉されて滑らかなトロトロ状態になっているけれど、マンゴーはソースに含まれている他に角切りの甘いものがざくざくとたっぷり周囲に散らされている。更にソースに浮かんでいるのは、ナタデココと白玉。白玉は確かに白玉なのだけれど甘味屋さんで見かけるようなころりと丸いものではなく、白キクラゲのような外見の薄くヒラヒラピラピラしたもの。そられた甘く酸っぱく香り豊かなオレンジ色のソースに浸されていて、不思議な食感が楽しめるドルチェだった。繊維っぽさが少しもない上品な味のマンゴーが春先に楽しめて、最後の最後まですごく幸せ。

だんなの元にはバニラジェラートを添えた抹茶のブランマンジェがやってきていたけれど、こちらも甘さ控えめな抹茶のブランマンジェがとても上品な味。息子もしっかりバニラとココナッツのジェラート盛り合わせをいただいて、2時間かけた楽しんだ優雅なランチは終わり。来週の日曜日も別な方向に優雅なランチを楽しむ予定なのに、また散財してしまった……。

冷やし中華
牛肉の大和煮(缶詰)
笹かまぼこ
ビール(さぬきビール・ケルシュ)
缶チューハイ(レモン)

昼にあれだけ食べればさすがに夕飯は軽くていいよねと、冷やし中華。具は錦糸卵ときゅうりとハムというごくごくスタンダードなものを準備して、あとは酒と肴。夕食前に入浴を済ませて準備万端整えて、
「よっしゃ、ビール〜♪」
「ビール空けたら、缶チューハイ〜♪」
と、かっぱかっぱと飲み干した。ああ、五臓六腑に染み渡るねぇ……昨日も染み渡ってた気がするけどねぇ……なんて言いながら、ちょっと遅めの夕御飯。

つまみは、先日安売り品を(だんなが)買ってきた牛肉の大和煮缶。本日安売り品を(これまただんなが)買ってきた笹かまぼこ。笹かまぼこにはわさび醤油をコテコテつけて、ちょこちょこつまんだ。
ビールは、今日帰り際に新橋の香川と愛媛のアンテナショップ「せとうち旬彩館」に立ち寄って、思わず買ってきてしまったさぬきビールなる地ビールのケルシュ(白っぽいビール)。淡泊だけれどコクがあってなかなか美味しいビールだった。

土曜に運動した成果も土曜の夜と今日の昼でパァという感じだけれど、でも後悔はしないの……明日また運動してくるの……。