食欲魔人日記 00年11月 第1週
11/1 (水)
焼き餃子 (夕御飯)
香港ガーデンの
 マンゴープリン
牛乳

風邪と微量の二日酔いで、頭ぐらんぐらんする。
居間に座り込んだ私がぼへーっとしている間に、だんなは
「牛丼食べる?食べない?あっそ」
などと言いつつ牛丼の準備をしている。……昨日は確か、その牛丼をうどんにぶっかけて食べたような気がするけど、彼の頭の中には昨日と同じものを食べているなんてことは全然ないのであろう。

私は、とりあえず冷蔵庫に残るマンゴープリンを食す。
広尾は飲茶の食べ放題、香港ガーデンのマンゴープリンだ。果肉がたっぷり入っていてプリプリでイケる。甘さも丁度良い。

コンビニの
 鮭おむすび
 肉まん
緑茶

cgiなどをいじくってあれこれと試して、すっかり昼御飯の時間など過ぎてしまっていたのである。風邪と微量の二日酔いに、ショックと空腹もあわさってフラフラしながら近くのコンビニに。
鮭おむすびと、そろそろ季節の肉まんを買ってきた。ちょっと保温器に長く入りすぎていたような肉まんはちょっとばかり表面がぺしゃっとなってしまっている。不味くはないけど旨くもない。しくしくしく。

で、おむすびだ。自慢じゃないけど、私はあの「ここをひく」だとか「ここをめくる」だの書いてあるあのビニールと海苔で構成された"おむすび包みマシーン"が苦手である。昔のめくったり剥がしたりするやつでは何度も何度も失敗しておむすびを床に落とした記憶があるし、今の、ビニールを上から下にツピーッとひっぱってから左右にキュッとやるタイプでも海苔が欠けたりクズが落ちたりとしっちゃかめっちゃかになる。
htmlは器用に書けてもおむすびは器用に包めない不器用な私だ。いや、htmlは関係ないか。

ほぐし鮭が入っている冷たいおむすび、この寒い季節、しかも雨の日の今日食べるには若干のむなしさが漂った。仕方がないのでお茶だけは熱いやつを入れてきて飲む。ふー。

スティック野菜
ハムとサニーレタスのサラダ
シャケ缶ディップ、バジルマヨネーズ
豚バラ肉の葱醤油和え
焼き餃子
鶏手羽とキャベツのスープ
御飯
モルツ、麦茶

今日はM井さんが遊びにやってくる。準備が比較的めんどくさくはあるけれど"みんなで包めばいいもんね"と、焼き餃子。それに慢性野菜不足で生野菜に飢えているM井さんの為にスティック野菜やたっぷりのサニーレタスを準備する。普通のマヨネーズも良いけれど、今日はバジルペーストを混ぜ合わせたバジルマヨネーズを用意。ついでにケンタロウ氏の本を見ながら「シャケ缶ディップ」なるものも作ってみる。

シャケ缶1つとクリームチーズ50g、マヨネーズと刻みパセリ……はなかったのでこれはドライハーブを少々、おろしにんにくと塩胡椒、オリーブ油を混ぜ合わせて綺麗なムース状になるまでしっかり混ぜる。オリーブの実を少々飾ってできあがり。野菜にも合うらしいし、フランスパンにつけても旨いらしい。

で、早めに帰ってきただんなと二人で餃子包み。
我が家の餃子は白菜入り。茹でた白菜をギャギャギャギャとフードプロセッサーにかけてしっかり絞って肉に混ぜ込んで作る。ラードがけっこうな量はいるのもポインツだ。小さな餃子が60個できた。……ちと少なかったかもしれない(←そうか?)

してM井さんが来るまでの残り10分でもう一品。残り物の豚バラ肉を茹でて、ついでに青梗菜も茹でて、刻み葱に醤油と胡麻油とXO醤とおろしにんにくを混ぜ込んだやつをどかんと乗せる。簡単過ぎて笑っちゃうような料理だったけど、
「お久しぶりでございます……」
と雨に濡れて現れたM井さんは
「ん、これ、美味しいです。」
とだんな共々素早く平らげて下さった。そうですか旨いですか。手本はこれまたケンタロウです。

60個の餃子は3回に分けて焼いて、ビールで食べてビールで食べて御飯で食べた。野菜共々、旨かった。

食後、真面目にPhotoshopに向かう私に
「由紀子殿、ほとしょっぷとゆうのはですね。こここ、これこれこのとおり。」
とM井さんが歩み寄ってきた。
「れいやー、というものを上手く使うとですね。」
と色々教えて下さった。
「露光を上手く使うんですよ。ほらー、ほらほらー。」
……教えてくれてる、というよりも彼が楽しんでいるというような。

で。
「こっっこれわ光る餃子!?」
の声と共に提示されたのが下の画像。

せりあ由紀・作
M井画伯・作

……って、M井さん、これじゃ「ミスター味っ子」……(汗)

11/2 (木)
正調卵どんぶり (昼御飯)
卵チーズホットサンド
クリームコロネ
カフェオレ

M井さんは勤め先が我が家から近いものだから、翌日が平日ならば必ず泊まっていく。慣れきった我が家も当然のように朝御飯の準備を整えており、家族3人+M井さんの4人の朝食。刻み茹で卵をマヨネーズで和えて、とろけるチーズと一緒にパンに挟んでホットサンド。1枚だけじゃ足りなかろうと、菓子パンも1人1個。苦みの強いコーヒーを煎れ、雨の日のあったかい朝御飯。

「……また遠からぬ日に伺わせていただきます。でわ……」
と変人M井さんはしずしずと去っていく。(どのくらい変人かというと、このくらい変人)
昨夜の御飯も気に入ったようで、餃子も豚バラの葱醤油和えもスープもえらい勢いで食べていた。彼は大仰に「美味しいですねぇっ!」などとは言わないけれど、美味しいと思ったら箸のスピードが16倍速くらいになるのですぐわかる。とても御馳走し甲斐のある男なのであった。
また来てねー。鍋しましょう、鍋。

正調卵どんぶり
麦茶

さて、息子が昨日から発熱しているのであった。昨夜はしゃいでしまった所為もあってか熱が高くなってしまったので今日はお休み。午前中ぶっとおしで赤い顔して熟睡していた息子のために、「正調卵どんぶり」なる丼を作る。手本は小林カツ代さんの本。どこらへんが「正調」なのかは不明だけど、写真はとても美味しそうだった。

一人分、卵2個。
小鍋にだし大さじ2・醤油大さじ1・酒、味醂、砂糖各大さじ2/3を煮立たせる。そう、どんぶりに御飯を盛って三つ葉を少々ちょん切って、お茶を入れて箸の準備をしておかなければならない。これからは時間との勝負であるらしい。
溶いた卵を鍋へ。そのままじっと30秒。ざっとかき混ぜて、今度は蓋して20秒。タイマー片手にきっちりカウントし、半熟のところを即座に御飯にぶっかける。あと5秒というところで電話が鳴ったけどここは無視だ。
三つ葉を乗せて、すぐさま食卓へ。

だし醤油の甘辛い味の染みた卵も御飯も旨かった。ただの"生卵ぶっかけ飯"も美味しいけど、一手間かけるとまた格別だ。
案の定、息子も喜んで食べてくれた。良かった良かった。

……はて。電話は誰からだったのだらふ。(←だんなでした)

ピザーラの
 イタリアンバジル・ジェノバのハーフ&ハーフ
 ポップコーンシュリンプ
 巨峰のシャーベット
ダイエットコーク

さて米でも研ぐかと思っていた午後6時、突如仕事の話が舞い込んだ。ファイル作ってメールして電話などしている間に早や7時。だんなの帰りも遅いらしい。もう全面的にやる気がなくなり、ピザ屋のチラシと向かい合う。とりあえず、わかるかわからんかわからないけど、息子にチラシを見せてみる。熱も下がったみたいだし。

「どれなら喰えそう?」
「これー」
「……これ?」
「これー」
息子よそれはダイエットコークだピザではない。

ともかく、息子のリクエスト通りダイエットコークを。そして現在キャンペーン中のバジルのピザ2種類をハーフ&ハーフで。1つはトマトがたっぷり乗るもので、1つは魚介が乗るものらしい。キャンペーンゆえ海老のフリッターが無料でついてくる。サービスチケットでシャーベットもついてくる。ちょっと、嬉しい。

きっかり30分で届いたピザにはバジルソースのパックがついてきた。こいつをピザにニョロニョロとかけて食すものであるらしい。細かいバジルの葉が入るそれからは、確かに濃厚なバジルの香り。んー、悪くないけど、変にイタリア風本格ピザを目指すよりは、宅配ピザは宅配ピザらしいあのベーコンやサラミが乗るギトギトと油っこいやつが好みだな私は。それを期待して注文するわけだからして。

11/3 (金)
鳳林(横浜中華街)にて「海老おこげ」 (夕御飯)
海苔バタートースト
牛乳

本日の予定は「11時に横浜桜木町、クィーンズイースト」。

なんでもミレニアムなパスタフェアがクィーンズイーストで開催されるのだそうで、良くはわからないけど面白そうなので行ってみることにする。クィーンズイーストにはdancyu shopもあるしで、何というか馴染み深い場所なのである。

そういう次第で休みの日にしては珍しく8時過ぎに起き、洗濯機を回し始める。
朝御飯はごくごく簡単に、サンドイッチ用の薄切り食パンをトースターへ。バターと海苔を乗せてこんがり焼いて、海苔バタートースト。コーヒーを煎れるのももどかしく、牛乳を流し込んで速攻で準備する。

横浜クィーンズイースト 「ミレニアムパスタフェア」にて
 秋の木の子のクリームソースのフェットチーネ

さて、若干方々で時間を取られてしまったけれど11時15分、桜木町到着。クィーンズイースト、食料品フロアの中央あたりに仮設レストランがオープンしている。

席についてメニューを眺める。ランチタイム外は8種類、パスタも自由な組み合わせで食べられる料理だそうだが、今の時間は残念ながら限られた4種類しか食べられないらしい。どのパスタも900円で、フォカッチャと「イタリアンたこ焼き」なる奇ッ怪な品もついてくるということだ。
「やはりエゾ鹿の煮込みソースか……」
「トマトソースも捨てがたいよね……」
とメニューにがぶりよって眺めつつ、あれこれ注文。

最初に、ザラ紙に包まれたアツアツのフォカッチャ。表面にざっとオリーブ油が塗られているようで、良い香りがしてくる。表面がサクッで中がモチモチ。具なし塩味だけのシンプルなフォカッチャは、だけど香ばしさがとても心地良い。だんな、息子に7割がた奪われる。

そして、バジルマヨネーズがかかった「イタリアンたこ焼き」なるもの。……たこ焼きである。粉の感じとかタコの入り具合とか、紅生姜の混ざり具合とか、まんまたこ焼きである。バジルマヨネーズではなく、おかかとソースかけたらそのまんま「たこ焼きです」と主張できそうな、立派なたこ焼きである。しかしバジルマヨネーズのかかる「イタリアンたこ焼き」の横にはパスタが並んでいる。違和感だ。違和感だけど、イタリアも粉もの文化な国だから……良いのかもしれない。悪いかもしれないけど。

パスタは、普通に美味しかった。
どうやらこのイベントの協賛が国内某製粉メーカーのようで、お店でいつも使っているものとは違ったみたいでいまいち風味が乏しく感じられる。粉の旨味のようなものがあまりない。ソースはいつもに劣らず美味なるものだけど、麺との主張が噛み合っていない、というか。美味しいは美味しいんだけど、やっぱり倍額出してお店で食べる方が美味しいかもしんない。それでも、舞茸やエリンギなどの木の子がたっぷり入る塩味の効いた濃厚なクリームソースはかなり好みな味だった。

食事の後はフロア内のdancyu shopでお買い物。dancyu shopの前店長、現在横浜東急のインターネット担当をしているYさんと感動の再会を果たす。dancyu shopと我らは「ヨコイつながり」という奇異な関係を持っている。昨年頃、ヨコイのスパゲッティを麺のみ置いていた当時のdancyu shopに対して「ソースも入荷してくださいよー」とだんながリクエストをし、入荷したところ結構な人気でお店ウハウハ状態になり(いや、そんなにウハウハになっていないと思うけど)、すっかり「ヨコイの○○さん」という認識をされてしまっているのであった。10袋単位で買いまくってるから覚えられるのだ、という噂もある。

ともあれそのdancyu shopである。
この店では、10/12のどっちの料理ショー「ゴマVSニンニク」で出てきた、ごっつぅ美味そうなバターが売られているのだ。何せ番組の「切り札」として出てきたバターだ、ショップのホームページでも「只今注文が殺到しており、製造が間に合いません。」なんて不穏な文字が輝いている。買いたい。でも買えない。

で、
「11/3あたりにそっちに行くんですけど、くだんのバターが余っていたら取って置いてくださいなー」
とダメもとで伝えておいたところ、無塩と有塩1つずつを確保していてくださった。通販分のキャンセルが出たりしたらしい。万歳。ありがとうYさん、現店長のOさん。これでタラコスパゲッティを作ります……ってそれは贅沢すぎますか、やはり。

優しそうな顔した巨人のYさん、彼はすごい食い道楽であるらしい。話していると同族の匂いがぷんぷんしてくる。
「来月、『恐るべきさぬきうどん』持って香川県行ってくるんですよ〜」
と報告したら、
「午前中の製麺所巡りが要です!」
と熱く語り始めてしまった。ディープな人なのである。んもぅ、そういう人、大好き。

横浜中華街 鳳林にて
 前菜三種盛り合わせ
 雲白肉
 大根餅
 香港風クリーミー巻き揚げ
 蝦餃
 小龍包
 海老おこげ
 排骨飯
 自家製マンゴプリン
 生ビール、青島ビール

桜木町から横浜へ、そして石川町へ。移動する度に何故か荷物は重くなり、夕方に中華街へ到着。中華街に着いたら着いたで永楽製麺所で麺を買い、1kg入り甜麪醤を買い、3本1000円のオイスターソースを買い、旨そうなXO醤を探し、またすごいことになっていた。

夕飯は5時予約で「鳳林」という初めてのお店。
なんでも、鶴見の「翠華樓」の元料理長が独立して開いた店なのだそうである。思いがけなく「鳳林」の料理人と仲の良い人からメールを貰ってしまい、「行くときは連絡ください。マンゴープリンサービスしますよ〜。」の言葉に素直に甘えて予約を入れていただいた。店に入って名乗ると、
「ああ、あの……インターネットの?」
とおばちゃんに言われる。
「はい〜。あの、"すきすきまんごぷりん"、という……」
嗚呼、自分のサイトを名乗るのはなんと恥ずかしいことなのだろう。「食欲魔人日記」も相当恥ずかしいけど「すきすきまんごぷりん」なんて更に恥ずかしい。「マンゴープリン研究ページ」なんて固い名前にしておけば良かったと思っても後の祭りだ。

メニューを見ながら色々注文。前菜盛り合わせにビールをとりあえず頼み、雲白肉やいくつかの点心、最後にはだんなと私で好みの御飯ものとおこげを貰うことにした。そして当然マンゴープリン。

翠華樓と同じく、余分な装飾はない一見地味な感じの料理が並ぶ。前菜はチャーシューに蒸し鶏にくらげ。ごくごく普通な組合せであるのに、何故かじわっとくる美味しさがある。しかも見た感じは量が少なく見えるのに、実は下に横にと思った以上に積まれている。"一見豪華、中身はちゃちい"なんて傾向の方が強い飲食店界において、これはかなり珍しい。生姜の乗る蒸し鶏も、周囲が真っ赤ないかにもなチャーシューも、じわっじわっと染みいる美味しさ。ビールが進んでたまんない。

点心も、どれもプリプリ良い感じ。肉汁たっぷりの小龍包も、浮き粉の皮がプルプルと弾力のあった蝦餃も、干し貝柱や腸詰の繊維がざくざくと感じられるざくっとした大根餅も想像以上に美味しかった。初体験の「香港風クリーミー巻き揚げ」は表面が泡だったようなサクサクの衣の春巻のようなもので、中には火傷しそうに熱いクリームソースに絡んだ海老や香草が詰まっている。香菜の香りが苦手な人にはちと匂いのきつい点心かもしれないけれど、"臭いもの大好き"な私には堪えられない美味だった。

そしてそしてそして、雲白肉だ。
お店を教えてくれた方が「オススメ」と言っていた料理、「他の店と比べて量は2倍で値段は半分」とおっしゃってた。説明文には「豚肉の特製ソースがけ」と書いてある。
「お待たせしてしまって、申し訳ありません」
と恐縮されてしまいながらちょっと遅めに出てきた皿には円形にずらりと薄切り豚肉が並んでいる。どうやら塊のバラ肉を茹でてから切ったもののようだ。上にはラー油の赤い油が浮かぶこってりとした茶褐色のソース、中央には薄切りきゅうりがたっぷりとてんこ盛りになっている。

これまたシンプルな様相だったけど、これがすこぶる旨かった。
XO醤のような魚介の旨味が入っているようなソースは甘く辛く、口にした感覚はこってり濃厚、ほの甘く、そのくせ喉を落ちた途端に舌の根元からビリビリと強烈な辛さがやってくる。思わず生ビールを飲み干して青島ビールを追加注文し、ビールを片手にグビリグビリやりながら肉を食べる。御飯も恋しくなってくる。さっぱりしたキュウリを口直し代わりに口に放り込みながら、甘辛い肉にひたすら対峙する。辛いのに美味しいのに辛いのに美味しいのに、辛いー。ヒー。

……これだけ喰って、尚喰うのである。私は排骨飯、だんなはおこげ。
こんがり揚がったおこげに、テーブルにてジャジャジャジャジャーとあんがかけられる。海老はたっぷりと、プリプリの巨大なやつがたっぷりと入っていてうっすらとあんはピンク色に染まっている。ソースにも魚介の味が染みている。ほの甘く、わずかに酸味。筍もたっぷり、シャキシャキの絹さやも入っていてその食感がこれまた旨い。
「排骨飯」は骨付き豚肉を揚げて、それをとろみのついたタレに絡めて御飯にかけたもの。ほんのりカレー粉が香る豚肉はこってりタレに絡んで、御飯にぶっかけてわしわし食す。雲白肉の辛さで吹き出た汗が、今度は熱で吹き出てきてさっきから汗まみれになってしまっている。喰ってます喰ってますひたすら喰ってます。しかし何故こんなに喰ってますか。

「満腹だー」
「下向けないー」
「食べ過ぎたー?」
なんて言いながら、それでも食後のマンゴープリン。
これまたこんな感じで旨かった。

帰り道、だんなと話す。
「ダイエットの神様は、さー。土日祝日休業なんだよね?」
「そうそう。だから、おっけー。」
「……ていうか、ダイエットの神様の営業時間は平日の9時から12時、13時から17時半、ってなってんじゃないの?」
「それって私の出勤時間と同じなんですけど。」
「……だから、そうなんでしょ。」
「……平日の昼と夜も営業時間外だって言いたいわけ?」
「うん。そう言いたいわけ。」
「そっかー。それじゃしょうがないよなー。」
「そうだよねー。わははははー。」
「わははー。」
……笑いごとではないのである。

11/4 (土)
鶏肉と青梗菜の煮込みそば (夕御飯)
横浜中華街 頂好食品の
 咸水角(ハムスイコク)
 カスタード揚げ胡麻団子
 蛋撻(タンタ)
プーアル茶

横浜中華街には「市場通り」という狭い通りがあるのだが、その隅っこにある「頂好食品」なる点心屋さんが私は大好き。実のところ、味がものすごくたまんなく美味しい!……とかいうわけではないのだけれど、店頭に山にして売っている胡麻団子だのココナッツ団子だの油条だのにいつも引き寄せられてしまうのだ。山はいけない山は。ついつい買ってしまうじゃないか。それにしみじみとした"おふくろさんの味"的美味しさがある。1個80円のお団子なぞをついつい2個3個と買ってきてしまうのであった。

昨日は咸水角と胡麻団子のカスタード入りのもの、蛋撻を買ってきた。一晩明けた揚げ物は油が染み出てヘチャッとなってしまっているが、気にしてはいけない。同じく中華街で買ってきたプーアル茶を黒々と濃いめに入れて、点心3つで簡単な朝御飯。

咸水角は、椎茸入りの豚肉あんが餅にくるまれて表面を揚げられたもの。私はこれが好物で好物で、飲茶屋に行くと頼まずにはいられない。お店で食べる揚げたてのものは、表面サクッで中がもちもち、甘くて旨味が詰まっていてなんともいえない美味がある。目の前にあるこれは、さすがに"表面サクッ"とはいかなくて深部までほにょーっと歯が入っていってしまう。気合いの抜けた咸水角、という感じ。味は悪くない。

そして、大好物の蛋撻。「たまごタルト」だの「カスタードタルト」だの言う名前でちょっと前にブームになったアレだ。初めて食べたのが96年の香港旅行の時だったものだから、「たまごタルト」だの「カスタードタルト」だの言われるよりは、「蛋撻」(タンタ)と言われた方がなんとなくしっくりきてしまう。中華菓子としてのこのお菓子は、皮の具合も何となく粉っぽく白っぽく、ぐずぐずと崩れる感じで洋菓子の「パイ」とはちと違う。甘いプリン部分もプリンというよりはポクポクとやや固めの歯ごたえで、ミルク分が少なくさっぱりした印象のように思う。これがまた美味しいんだ。

ハムとチーズのホットサンド
蜂蜜入りホットミルク

だんな、実家に帰ってしまった。
別に喧嘩したとか離別したとかではなく、義父が「インターネットをやりたいぞ。メールなるものを出したいぞ。」と熱烈な希望を抱いているとのことで、パソコンの設定の助けに行ってしまったのである。私と息子はお留守番。

昨日はかなりの暴食をしてしまったので、今日は節制しなければいけない。
昼御飯は、残っていたサンドイッチ用のパンで簡単なホットサンドにすることにする。ホットサンドメーカーは使わずに。
パンにバターをたっぷり塗って、とろけるチーズを乗せ、薄切りハムを乗せる。もう1枚のパンと一緒にオーブンへ。こんがり焼けてチーズがとろ〜んとしたところでサンドにして4等分してテーブルへ。蜂蜜入れたホットミルクも作って、息子と半分こして食す。

鶏肉と青梗菜の煮込みそば
麦茶

中華街に行くと、何故こんなに戦利品を買い込んでしまうのだろう。
今朝平らげた点心の他にも、永楽製麺所の麺7玉にスープ7袋、「まるた小屋」なるお店の1800円チャーシュー1本、その他諸々XO醤だのオイスターソースだのの調味料類が食料庫に入りきらずに溢れているのである。このままでは我が家、しばらく中華である。それもまた本望。

息子と2人で夕御飯、昨日買ってきた麺とスープを使って煮込みそばを作成。
濃縮塩味スープに湯を加えてコンロにかける。脇の鍋でざく切り青梗菜を茹でてスープに放り込み、続いて肉も下茹でしてからスープに放り込み、しばらくぐつぐつと煮立たせる。鶏の旨味がスープに溶け込み、スープの旨味が青梗菜に染みた頃に軽く片栗粉でとろみをつけて、そこへ麺も放り込み火を通す。塩と胡椒で味を調えたらできあがり。土鍋で作った方が美味しいようなラーメンだ。
ざっと盛り付けて刻み葱ふって食卓へ。

息子は大の"麺喰い"だ。だんなと息子の存在のおかげで、私は「我が家で最も麺料理が好きではない人」になってしまっている。私も麺料理かなり好きなはずなんだけど。
塩味の澄ましスープのラーメンを前にした息子は、キラキラと目を輝かせて両手でむんずと麺を掴み、ずぞぞぞぞと食べ始めた。「おいっちー!」と感動するその声は、3日がかりで作成した自家製ビーフシチューなぞを前にした時よりも余程シアワセそうなのである。なんかこう、ちょっと複雑というか。

11/5 (日)
だんな特製チャーシュー炒飯 (朝御飯)
だんな特製チャーシュー炒飯
麦茶

昨夜、自分の実家で鰻を食べて帰ってきただんなは何やら恐縮していた。
「あのね、鮭と酒粕貰ってきたよ。」
「粕煮作ったら、食べる?食べる?」
夜11時を回っているというのに、台所に立って粕煮を作ってくれていた。今朝のコンロの上には、従って粕煮の鍋がかかっている。

そして今朝。今朝の私はテンパッていた。急ぎの文書作成のお仕事が飛び込んでしまっていたのだ。
「おゆきさん、朝は何を食べますかー?粕煮丼?味噌バターコーンラーメン?」
「……ちゃーしゅーちゃーはん。」
「はい。チャーシュー炒飯。」
私のテンパり具合を分かってくれているだんなは、朝御飯を作ってくれる。もとより炒飯作成はだんなの担当だ。
「その料理をより好きな人がその料理を作るべし」(だってその方が絶対美味しくできるから)。
我が家の家訓である。

卵と長ねぎ、そして中華街で買ってきた1本1800円のチャーシューを材料としたチャーシュー炒飯。表面が食紅で真っ赤になった甘辛いチャーシューは香ばしくてさすがに美味だ。角切りのやつがごろごろごろごろ入っていて、それがまた嬉しいのなんのって。

モスバーガーにて
 フレッシュバーガー
 フライドポテト・オニオンリング
 クラムチャウダー
 ジンジャーエール

一週間分の食材を買いにバスに乗って近くの町へ。
「ミスドでおひる?」
「フレッシュネスでおひる?」
「それともモス?」
と話し合いながら、結局モスバーガーに入ることにした。

分厚いトマトがどかんと入ったハンバーガーが食べたい気分だったので、フレッシュバーガーのセットを。オニオンリング入りのフライドポテトとジンジャーエール。息子も飲むかとクラムチャウダーも1つ追加。この季節、モスのスープは楽しみの1つだ。

ほどなく待ってやってきたフレッシュサンド。期待通りの分厚いトマト、ケチャップとマヨネーズを合わせたような色合いと味のソースがたっぷり挟まっていて、今日も口の周りをべたべたにしながら囓りつく。
学生の時分、モスバーガーは「彼氏と一緒に入っちゃいけない店」の1つとされていた。シェーキーズの食べ放題も別の意味でNGとされていた。いかんせん、モスバーガーのバーガーときたら何を食べてもソースがたっぷりで上唇の端だの上だのにソースがついてしまうのだ。恥じらう女子高生、おちょぼ口で食べようとしてもそれは難儀なことだった。だから「彼氏と一緒に入っちゃいけない店」というわけ。

大口開けて食べるハンバーガーは美味しい。塩気の強めのポテトをポリポリ食べ、ジンジャーエール飲み干して、さー食材買いに行きましょー。

ミスタードーナツの
 バタークランチ
カフェオレ

「おやつ、買っていきましょう」
と買い物最後にミスドに立ち寄る。1人1個のドーナツ購入、家に帰ってコーヒー煎れる。

好物のオールドファッション系にするかココナッツなんちゃらにするかきなこボールにするか散々悩んだ挙げ句、ちょっと久しぶりの「バタークランチ」に。甘くてサクサクの黄色いツブツブがシンプルなドーナツの周囲にまぶされているやつだ。あの黄色いサクサクがバターであるのか砂糖であるのか詳細は不明だけど、あれが美味しいんだなぁ。

苦めのトラジャコーヒーをすすりながら甘い甘いドーナツを食べる。そして昼寝。この世は極楽……。

横浜中華街 まるた小屋の
 チャーシュー
空心菜のにんにく炒め
五目あんかけ堅焼きそば
モルツ、麦茶

先日、横浜中華街で堅焼きそばの麺を買ってきた。油で揚げてあるベビースターのようなパリパリのやつだ。それを使ってあんかけ焼きそばが本日のメインディッシュ。

まずは同じく中華街で買ってきたチャーシューでビールを一杯。軽く温めたチャーシューは表面の脂がじくじくと溶けてなんとも美味しそう。添付のたれをかけて、甘辛いやつをぱくりと食べる。更に本日1束100円で買ってきた空心菜の炒め物。その名のとおり、茎がスコンと空洞になっているこの中華野菜は、笹の葉のようなすらりとした葉がついている。僅かばかりアクがあってほろ苦いけど炒め物にするとシャキシャキしてこれまた旨い。薄切りにんにくと塩で炒めて、最後にスープ少々をふって絡ませる。

そしてだんなが鍋をふるってくれて、あんかけ焼きそば。
冷凍のシーフードミックスに豚肉、白菜にんじん筍、白菜とにんにくの芽。炒めてスープで煮込んでとろみをつける。そうそう、小さな缶詰を開けて入れた「うずらの卵」は1人2個と厳密に決められた。うずらの卵は皆が大好き。
パリッパリの焼きそばはとろんとしたあんと良く馴染んだ。そばに負けないボリュームのある具沢山のあんも、濃縮鶏がらスープや顆粒鶏がらスープが駆使されていて濃厚だけどさっぱりしている。くどくない。

パリパリの麺がくたくたになる前にと、麺の前の私達は寡黙だった。
汗をかきつつ5分で食して洩れたのはただ溜息のみ。ああ、旨かった……。