食欲魔人日記 00年5月 第4週
5/22 (月)
グレープフルーツ

昨夜から、さすがに胃が重いと感じる。
「御飯、どうするー?」
「……食欲、あんまりないねー。」
「……ないねー……。」
我が家に極めてふさわしくない会話を交わしつつ、昨日買ってきたグレープフルーツを食べることにする。
半分に割って、だんなはそのまま、私はほんの少しグラニュー糖をふってスプーンでショリショリ。さっぱりしました。ほ。

ホットケーキ with クロテッドクリーム&メープルシロップ
牛乳

息子の具合がどうも悪そうなんである。彼用に用意した朝食のバナナと卵クッキーと牛乳を食後すぐに戻してしまって、フニフニと泣いている。
ウィルス性腸炎だかで休んでいる子が結構いると聞いていたので、大事を取って自宅で看病。
その割には、「きゃー」とか言いながら家中走り回っている息子だが。

久しぶりの「笑っていいとも」なぞを見ながら、息子と御飯。
うどんかおじやか、それともクタクタに茹でたスパゲティか……と思案して、ホットケーキを焼いてみることにした。手のひらサイズに薄く焼いたやつにバター塗ってジャム塗って二つ折りにして食べさせてみる。がつがつ喰ってる息子を見て、一安心。

そして私も私の分のホットケーキを食べる。
ミニフライパンにきっちりの大きさのやつを2枚焼いて、冷蔵庫に残っていたクロテッドクリームを取り出して添えてみる。ジャムも少々、メープルシロップも少々。
ホットケーキはスタンダードなバターにメープルシロップの組合せが一番好きだ。でも、クロテッドクリームも悪くない。バターより油っぽくなくホイップクリームよりは濃厚なそれをぺたぺたと塗り、メープルシロップちろりと垂らして食べる。……んまい。

豚肉と舞茸入りのゴボウのキンピラ
切り干し大根のサラダ
しじみの味噌汁
御飯

最近のマイブームは「学校給食」。
今日も夕飯を給食風にしようかと、「コーンシチューとマカロニサラダ」「鶏肉のクリーム煮とコールスローサラダ」「鶏肉のホイル焼き」なんてメニューを頭に思い描いてみたものの、ふと気が付くと昨日のしじみの味噌汁がコンロの上に寂しそうに佇んでいるのである。しじみの味噌汁は食べちゃわなきゃなぁ、するってぇと、和風のおかずだろうなぁ、と予定変更。

「豚肉とおろしにんにく入りのキンピラゴボウは美味しいわよ」
と以前Kさんに教えていただいたのをふと思いだし、冷蔵庫からゴボウを取り出しささがきにする。
豚バラ肉の薄切りをざくざく切って、ついでに舞茸も出してみる。胡麻油でゴボウとお肉と赤唐辛子とおろしにんにくをジャッと炒めて、舞茸放り込んで醤油と味醂と酒を垂らして飛ばして最後に胡麻ふって出来上がり。
な、なんだか「豚肉入りキンピラゴボウ」というよりは「肉炒めゴボウ入り」って感じになってしまったぞ。まぁいいか。

あとは、切り干し大根のサラダ。戻した切り干し大根を醤油と酢と醤油と胡麻油で和えるという、ケンタロウ氏のレシピに初挑戦。目分量で調味料入れたら酢が多くなってしまって、慌ててマヨネーズや醤油を足す。う〜〜〜〜む、切り干し大根はやっぱり、だしと醤油と味醂で煮含めるやつがいいなぁ。油揚げやにんじんと一緒にね。

何だか御飯が進むおかずが出来たので、炊きたての御飯と一緒にこれを食す。

帰宅しただんなが、居間のテーブルに積み上げたままになっていた『なつかしの給食』『なつかしの給食 おかわり!』『なつかしの給食 献立表』(アスペクト社)の三部作ムックを興味深そうに再読していた。
「ソフト麺……美味しいのになぁ……不味くないのになぁ……」
なんて呟きながら。

5/23 (火)
ベーコンエッグ
御飯
ほうれん草と油揚げの味噌汁(レトルトもん)
アイス烏龍茶

半熟の目玉焼きを焼いて、御飯の上に乗っけて醤油垂らして食す。何だか久しぶりの「普通の朝御飯」的食卓風景だ。
今日は30度近くなるらしい。朝からもわぁ〜んと温かい空気がベランダからやってくる。夏じゃのう。

自宅近くの運河の水面が妙に白く光っている。思わず寄ってみたところ、大量のミズクラゲがふわふわと浮いていた。あの半透明の、ふわんふわんと伸びたり縮んだりしているやつだ。小さいものは手のひらサイズ、大きなものは直径40cmもあらんかというのが視野に入るだけでも30個くらいふわふわと漂っている。ちょっと壮観。
「捕獲して乾かしたらキクラゲみたいになったりして……」
と思ってしまった自分の食欲にちょっと唖然。

西麻布 アクアパッツァにて
 Cコース \4,800なり
 Stuzzichino(先出)
 前菜の盛り合わせ(3皿)
 本日のスパゲティ
 鮮魚のアクアパッツァ
 デザート
 エスプレッソ

だんなが六本木で一日お仕事だというので、お昼に待ち合わせして西麻布のアクアパッツァに行ってしまう。
給料出たし、あと1ヶ月ちょっとすればボーナスだし〜♪と大盤振舞、「アクアパッツァを食べるぞー」と気合を入れて。

六本木駅からてくてく10分歩いてきた私たちは汗びっしょりだった。
眼光鋭いチャーミングな髭のK氏が出迎えてくれる。
K氏、以前はマンジャペッシェにいたマネージャーさんだが、5月からこっちの店舗に異動になったらしい。

「暑かったでしょう。今、冷たいものを持ってきますね。」
とKさんがバーカウンターに消えた後、ワイングラスが2つやってきた。
生の果汁を使った、ブラッディオレンジのカンパリだという。真っ赤なジュースはカンパリ特有の舌根に残る苦みがほんのりあって、爽やかな香りがした。生ジュースの果肉が感じられる豪華な食前酒だ。カンパリのキリッとした後味で汗がひいていく。半地下のお店の窓は全開にされていて良い感じの風が入ってきて、今すぐここで昼寝したくなってきてしまう。

本来最初に出てくる「Stuzzichino」はちょっと時間がかかるので、ということでスティック野菜からテーブルにやってきた。
西麻布店名物、スティック野菜。
二年半前、息子を妊娠しているときに初めてこのお店のランチにやってきて、出てくるなり驚愕してしまったスティック野菜だ。生の野菜が平皿に盛られ、ディップが添えられている。その野菜がどこで食べるよりも美味しくて、そして私たちはこの店の虜になったのだ。ついでに私のトマト嫌いを克服させてくれたのもその時に出たプチトマトだった。

人参、蕪、大根に葉わさびにイタリアンパセリ。エシャロットのみじん切りが混ざる薄紅色のソースとバジルが香る黄緑色のソースが添えられる。そして初めてみる鮮やかな緑色のエキストラバージンオリーブ油も皿に注がれる。その1リットルは入っていようかという見慣れないボトルに目を留めると、
「アメリカ産、カルフォルニアのオリーブ油なんですよ。」
と教えてくれた。イタリアでオリーブ農家やってた人がアメリカに渡って作ったものなのだとか。若いオリーブを絞ったばかりのようなカラッとした風味がある。岩塩と胡椒もやってきたので、皿にガリガリ塩と胡椒を挽いてオリーブ油と一緒につけて野菜を食べる。コリコリカリカリと、まるでウサギになった気分。こんなに甘くて味のある美味しい野菜はウサギ喰わせるのはもったいないけど。

ほどなくやってきた「Stuzzichino」は薄切りパンの上にハムが乗ったものだった。こんがり焼かれたパンの匂い。上のハムは妙に白っぽくトロンとした見慣れないものだった。
「日高シェフが、一昨日イタリアから帰ってきまして。(←バルサミコ酢の国際イベントに日本代表として出ていたらしい。で、それは『料理王国』だかにこれから掲載される……らしい。)その地方の生ハムなんです。」
とKさんに教えてもらいつつ、一口。

甘くて柔らかなハムだった。
脂分が霜降りのようにたっぷり入った豚肉で、しかも甘かった。砂糖の甘さとかじゃなく、肉の甘さ。甘くてほんのり塩辛くて、口に入れると体温でほろほろ〜んと溶けてしまうハムにサクサクのパン。おおおおお〜、美味しいですぅ、美味しいですよKさん!思わず拳をぐっと握りしめてしまったり。

そして冷菜盛り合わせ。大きな皿に今日もこれででもかとたくさんの一口前菜が盛られている。アサリと花ワサビのマリネ、パンのサラダ、玉ねぎのこんがり焼き、魚のトリッパ(←マンボウの腸、ですって)と牛すね肉の煮込み、空豆入りのフリッタータ(オムレツ)、鯵のフライの酢漬けに鶏肉のマリネにキャベツとひき肉のマリネ。オリーブオイルを吸ってくたくた〜となってキラキラしている料理はどれもイケる。
「この前菜5皿くらいと、御飯があったらそれだけで幸せだよねぇ」
と言ってる私たちはちょっと庶民くさいかもしれないけど。

前菜3皿目は温菜3種類。
ハマグリのバター焼き、魚のトリッパのグリル、比内鶏のトマト煮込み。
大きな貝殻に乗ったハマグリにはバターがたっぷりかかっていて、上にアサツキが散らされている。プッタネスカソースに和えられたコリコリした香ばしいお魚に、じんわりと火が通ったしっかりした歯ごたえの比内鶏。出来たての温菜はそれもまた素晴らしく美味しくて、思わずバターにハマグリバターをしみ込ませて食べてしまう。貝のバター焼きは、なんでこんなに旨いのでしょうか。

で、やっとプリモピアット。いつもオイルベース、クリームベース、トマトベースの3種類が用意されていて好きなものを選ぶようになっている。今日は唐辛子を練りこんだ自家製パスタに、アサリとつぶ貝のクリームパスタ、うさぎの煮込みソースのフジッリの3種類。クリームパスタとフジッリをだんなとそれぞれ注文する。当然お皿は途中で交換して食べる。食べねばならない。

いつもいつも嗜好が重なる私とだんな。
先に「うさぎにしてね♪」と注文した私に、
「ちょっと、分けてね。」
「うさぎ、食べさせてね。」
「分けてよね。」
とだんなは前菜を食べつつ3度もそう念を押した。だから、あげるってば。別に独り占めはしないってば。

ホロホロに煮込まれて肉が溶けそうになったウサギのフジッリがやってきた。
赤ワインで煮込まれたほんの少しケモノ臭いウサギは柔らかかった。フジッリ(キュルキュルとねじった形になってるショートパスタ)にこういうラグー系のソースはよく絡むものだけど、今日のこれもまた、サイコーに美味しい。肉肉肉肉、肉喰ってます〜という充実した味と食べ応えがある。
だんなのクリームパスタもまた、アサツキがパラパラと散り、濃厚だった。2人皿を取り替えつつもっきゅもっきゅとパスタに臨む。

ここでふと時計を見ると、だんなが仕事に戻るべき時間15分前になっていた。私は……営業職だから、どーとでもなるのだ(不良社員……)。
「すすす、すみません、あと15分で戻らなきゃいけない時間になっちゃって」
とだんなは焦り、スタッフも厨房も焦る。「お魚、できるだけ早くしてくださいっ」と奥に投げかけているKさんの声がし、こちらにやってきたKさんは
「今、パッツァしてますからね。こう、グラグラと。」
と目の前でグラグラしてからまた奥にすっ飛んでいった。
「ドルチェ、間に合うかなぁ。すぐお出しできるようにしよう。」
とてきぱき動いている。

そして素早く魚がやってきた。
今日の魚は「ウメイロ」。体色が梅の色に似ているから「ウメイロ」という名らしい。フエダイ科の細長くイサキに似た体型の魚だった。色鮮やかなグリーンオリーブにブラックオリーブ、自家製ドライトマトのソースに和えられて殻つきアサリがごろごろ入る。美しい。
Kさんが器用に身を取り分けて素早く2人分の皿に盛ってくれ、いざいざと今日のメイン「アクアパッツァ」に相対する。

塩と油というシンプルな調味料だけのはずなのに、オリーブやケッパーやトマトやアサリや魚の煮汁が絡んで絶妙の酸味や甘味が混じるソースにこんがり焼かれた皮目が美味しい。皮はこんがり、身はふわふわ。頬肉はトロのように脂が乗ってトロンとしている。
そうそうこれこれ、このアクアパッツァが食べたかったのだ。至福。

で、だんなタイムリミット。デザート1つ、食後に速攻やってきたのにむしゃぶりついて数分でバタバタと出ていった。
苦笑しつつ私とKさんが見送って、私は一人、だんなが1分で食べたデザートをゆっくり味わうことになる。いや……本当は私もゆっくり食べる余裕なんて無いのだったが。物理的に。

そのデザート。
「今日は、少し"乱暴な"デザートをご用意してあります。」
とメニューを決めている時にKさんがニヤリと笑ってそう言ったのであった。
"乱暴"な????

「なんだろう。」
「すごい見かけをしているとか。」
「お皿が上から降ってくるとか。」
「……いや、デザートが出てくる数分前に厨房からすごい音がするに違いない。」
「きぇ〜!とか奇声が聞こえたりして。」
「……それはイヤだ。」
「……うん、イヤだ。」
勝手な妄想を繰り広げていた我々なのであった。

そのデザートは、「ブリオッシュのアイスクリームサンド」だった。
お皿に温められたブリオッシュ。横半分に両断されていて、その間にバニラアイスクリームとピスタチオアイスクリームとチョコレートアイスクリームの3種類がえいやっと挟まれている。なんちゅーか……豪快なデザートだった。そりゃもう"乱暴な"デザートかもしれない。
「手が汚れますが……はみ出て垂れそうなアイスクリームを舐めたらそのままちょっと押しつぶしてガブリといってください」
だ、そうだ。
ぬかりなくフィンガーボールと濡れナプキンも用意してくれた。

ブリオッシュの熱で溶けていくアイスクリームをまずはぺろりと舐め、傾けてもとりあえず垂れないようにしたところで、両手でぐっとおしつぶしてガブリといく。
ブリオッシュのバター味と香ばしさに絡む冷たいアイスクリームのツルンとした食感と甘さ。これは……美味しいなあぁぁぁ。でもリストランテで出すデザートでもないような気がするんですけど。しかもたっぷりの前菜とパスタと魚料理食べた後のブリオッシュ。何だか自分らしくて笑ってしまうけど。

口と手をベタベタにしつつブリオッシュとアイスクリームに格闘していると、ラズベリーソルベを恭しく運んでいくスタッフが視界に入った。あれ?
「これ、シチリアなどで良く見かける食べ方なのですけれどもね。いかんせん"乱暴な"ものですから"いつでもどうぞ"と言えないものでして……着飾ったお嬢さんやビジネススーツの方にはあまりお勧めできないものなんです。」
とKさんは笑って言った。
あ、確かにラズベリーソルベの運ばれた先は赤いミニタイトのワンピースを着た長い茶髪のお姉さんであったぞ。
私もだんなもビジネススーツ着用ではあったけど、出してくれたってのはやっぱりそっちの方が喜ばれるとKさんには理解されていたわけで、しかもそれはその通りだったりするので、嬉しいやら嬉しいやら。

そして私は一人、更にデザートを喰っている。
夏のデザート、マンゴーのタルト。この間ホームページを作っていて、「旨そ〜旨そ〜旨そ〜」と悶えていたのだ。で、出して貰う。何だか心なしか大きな一切れをエスプレッソすすりつついただく。

薄切りにされた国産メキシコマンゴーがずらりと並べられ、上はうっすらバーナーで焼かれている。甘さ控えめタルトにしっとりしたアーモンド生地、そして薄く引かれたカスタードクリーム。
マンゴー含有量が絶対的に違うからマンゴープリンほどマンゴーマンゴーした味ではなかったけれども、甘くてこってりと濃厚なマンゴーが存分に活かされたタルトだった。へへへへへ。旨いわ。また食べたいわ。ていうか、このお店でマンゴープリンを作ってもらって……(無理か、さすがに)。
デザートが充実する食事は嬉しい。満足満腹、至福のまま私は仕事に戻るのである。

鶏肉のオーブン焼き
FLOの
 チーズポテトサラダ
 たまごサラダ
ハムと南瓜のコンソメスープ
御飯
サンミゲール、アイス烏龍茶

台南担仔麺の
 愛玉子
 杏仁豆腐

新宿のデパートで色々な惣菜を買ってきてみた。ルミネでみつけた「台南担仔麺」で愛玉子と杏仁豆腐を、んでもって伊勢丹の「FLO」でサラダを。デパート変われば惣菜屋ケーキ屋も案外全然違うものが入っているもので、うきうきしながらデパート散策(でもマンゴプリンは1個も見つからなかったのね……←それが主目的だったのに)。

FLOは、表参道や青山にお店を持つレストランだ。デパ地下の惣菜屋にはなかなかイケるサラダと、かなりイケるキッシュと、相当イケるデザートタルトが売られている。前に銀座松屋に入っていたので隨分買っていた記憶があるけど、撤退してしまって以来ご無沙汰していたお店。手抜きのお供、サラダ2個ゲット。サラダとデザート抱えて、今日は手抜き御飯ができそうだ。

昼に色々な味のものをたっぷり食べてしまったので、さておかずはどうするかと思案する。中華は日曜日に胃が破裂するほど食べちゃったし、和食は昨日したし、ついさっきイタ飯は食べてきてしまったばかりだし。買い置きの鶏もも肉まな板に広げて考え込み、しょうがないので一口大にざくざく切って塩すり込んで、胡椒をガリガリ粗挽きでふりかけて焼いちゃうことにした。250度のオーブンで皮目を上にして15分ほどガーッと焼く。途中、キッチンペーパーで染み出た油を吸いながら焼いていくと皮パリパリのステキなビールのつまみになった。

「愛玉子」とは……台湾デザートだ。中華料理の本を見てもほとんど載ってないし、飲茶店でもあまり見かけない。

「愛する玉子」と書いて、「オーギョーチー」と読む。
(中略)
さてその、愛玉子とはなんぞやというと、これが、台湾は新高山の麓に産する木の実で(なにやら筑波山の麓に生息する四六のガマ、みたいな話であるが、これは掛け値無しの本当である)、その果汁から精製したゼリー状の甘いものが、くだんの愛玉子なのだ。
食べてみると、これが曰く言い難いものだ。そうさなあ、まず黄色い寒天を想像してください。これが氷レモンの上にかかっている甘く黄色い汁のなかにプカプカ浮いている、とそういう風情のものである。そうして、味はというと、ただ薄甘いだけのものだというより批評のしようがない。ではなぜそのようなものが、天下に売り物として通用するかというと、これはれっきとした薬膳なのである。つまり、この怪しい寒天状のものが、なんでも腎臓の妙薬なのだという。それだから、せいぜいこれを食して腎を養おうというわけである。そういう興味のある人はぜひ一食されよ。しかし、とくに美味いものとして吹聴するには及ばないものである。
(『菊籬高志堂四時報』「畸廛珍舗録」林望/著より抜粋)
 ↑市販されてるものじゃないっすー。ま、ファンクラブの会報みたいなもんす(←入ってるし、自分……)。

吹聴するには及ばないものなんだけど、でも私はその腎を養う愛玉子が大好きなのだ。そのグミと寒天の中間のような、妙にモチモチネチネチした歯ごたえとかツルリとしたその感触だとか、爽やかなレモンの風味だとかはやっぱりこれならではの美味しさがある……ような気がする。仙草ゼリーほどの乾燥臭さはなく、氷を放り込んで食べると夏らしい格別のデザートなんだなぁ。
しかし林先生の文体は美しい。「ぜひ一食されよ。」なんて私も使ってみたいものである。一食されよ。一食されよ。よし、覚えたぞ。

で、愛玉子。期待に外れず旨かった。杏仁豆腐は……最悪だった。缶詰の杏仁豆腐をそのままパックにしたような、そんな風味も何にもない、舌触りボクボクのものだった。がっくし。

5/24 (水)
ハムエッグ
ハムと南瓜のコンソメスープ
御飯
アイス烏龍茶

どうも眠くて眠くて起きられない。
「ほら〜、おゆきさん、洗濯機回しちゃうよー。」
「タオルも洗っちゃうよー。」
とだんなの声をぼーっと聞き流しつつベッドの上で座り込んでいたら、だんながハムエッグを焼いてくれた。ばっちり半熟、私の好み状態に。すばらしい。
焦げ目のついたアツアツのハムに、黄身とろとろの目玉焼き。

コンビニの
 冷やしラーメン
アイス烏龍茶

水木金と3日間、研修を受ける予定になっている。そしてその研修場は隣駅前のビルだ。通勤時間自転車にて10分。
昼休み、そういうわけで家に帰ってくることにした。スーツ脱いで、ソファに座って、だらだら〜んとお昼御飯。作ってる余裕もなかったので、途中のコンビニで「冷やしラーメン」なる初めての物体を買ってきてみた。

パック詰めの茹で麺に、プラスチックトレイに乗ったチャーシューやわかめや葱。麺と具を適当に盛りつけた後、添付の冷たいスープをかけて食せ、とある。こういうの、店頭では美味しく見えちゃうのよね。パッケージを開けてみると「……あれ?」と思って、口に含むと大抵「……こんなもんか」と落胆するのがいつものことだ。
そして今日もやっぱり落胆。麺は伸びきった輪ゴムのような歯ごたえで味もへったくれもなく、スープも化学調味料味80%という感じだったし、ネギはかさかさチャーシューは脂っこいだけでワカメも合成繊維のような感じだった。
はあぁぁぁ。ショック。せめてデザートにヨーグルトでも買ってくるんだったわ。と思いつつ。

ピザーラの
 ネギベエとメガミートのハーフ&ハーフ
 竜田ミックス
 北海道コロッケ
 シーザーズサラダ
よなよなエール、ダイエットコーク

給料も出たということで、退社後にスポーツジムに行ってくる。
月6000円の「アクア会員」に入会し、プールでばしゃばしゃ泳いでみる。500m泳いで20分くらい。1000mふんばると50分くらい。いい加減運動不足になっていたポヨポヨの身体は、300mを超えたあたりでランナーズ・ハイに突入してしまった。それまでの息苦しさがふっと消え、妙に身体が軽くなっていくらでも泳げそうな気分になってくる。こりゃ明日は筋肉痛だな〜と危惧しつつ、軽くサウナに入って帰宅すると、保育園に代わりに行ってくれただんなが息子と帰ってきたところだった。

「今から御飯炊いてもねー。」
「1時間くらいかかっちゃうし、ねー。」
「今日は暑くてビールが美味しそうだしー。」
「そうそう、私も今泳いできて喉渇きまくりだしー。」
「ビールだ!」
「ビールだ!」
「ピザだ!」
「ピザピザピザ!」
……と、なんでピザ注文してるかなぁ。
まるで私、ビールとピザを美味しく食べるためだけにジムに行ってきたみたいじゃないか。

まぁ、良い。良いのだ。このビールの旨さ無くして何の人生か。
30分きっちりでやってきたピザーラのピザと竜田揚げとポテトとコロッケとサラダを前に、ビールで乾杯。3秒でグラスが空になる。
引き続きダイエットコークをグラスに入れて、油とチーズ満載の食物に取りかかる。

長ねぎとコーンがたっぷり、添付の海苔をかけて食べる初挑戦「ネギベエ」はカラッとして旨かった。サラミやベーコンがドカドカ乗ったカロリー高そうな「メガミート」もまた旨かった。しょうゆ味の竜田揚げもカリカリでいけるし、マスタードソースをつけつつ食べたポテトも旨かった。とんかつソースをこってりつけたコロッケも、クルトン・チーズ山盛りのシーザーズサラダもこれまた旨い。旨い旨い旨い。

……はぁ、運動の後のビールは格別ですな。
これだから運動は止められませんな。
……何か激しく間違っているような気がしないでもありませんが。

5/25 (木)
肉まん
アイス烏龍茶

冷凍保存しておいた肉まんおよび花巻を蒸籠で蒸かす。
3段に重ねた蒸籠がシューシュー言ってる様は飲茶店のようでちょっとわくわくしてしまう。

中国人おばちゃんの屋台で買ってくる肉まんは完全お手製で、すぐカビが生えてしまう。買ったら速攻冷凍して、食べる度に蒸かすのがお作法となっているのだ。もちもちした皮の中にはちょっと薄味の肉あんが詰まっている。
……今日も暑くなりそうだねぇ。

胡麻だれつけ麺
アイス烏龍茶

研修2日目。おうちで御飯。
残り物の1人分の中華麺を茹で、たまたま残っていた胡麻味のつけ汁を蕎麦猪口に用意する。麺の上には燻製比内鶏ときゅうりと錦糸卵を乗せてちょっとゴージャスに。
刻み海苔もたっぷり振って、胡麻だれ麺をいただいた。

冷やし中華然としたものを食べる度、2年前の妊娠中を思い出す。
思いの外つわりが酷かった私は、妊娠8ヶ月の頃になっても食べたいものも思い浮かばず、食事の支度も出来ず、の状態だった。
真冬のある日、朝も昼もろくに食物が喉を通らなかった私宛に、だんなからTEL。
「今日は何、食べられそう?」
と聞いてきた彼に、私は何も考えずに
「……冷やし中華が食べたいなぁ……。」
と言ってしまったのだ。真冬に冷やし中華。真冬の冷やし中華。

だんなは、探してくれたらしい。デパートを見て、近所のマーケットを見て、足を伸ばしてちょっと遠くの大型マーケットまで。あの合わせ調味料入りの冷やし中華のパックをそれはそれは一生懸命探してくれたのである。……でも売ってなかった。今の季節はもう当たり前のように並んでいる冷やし中華は、真冬になんて売ってなかったのだ。

結果、別のラーメン袋を買ってきただんなは、『dancyu』を見ながら自家製冷やし中華を作ってくれた。錦糸卵にきゅうりに鶏肉に、と完璧に具を揃えて、酢や醤油でタレを作って。……あの冷やし中華は本当に美味しかった。
以来、出産直前までだんなは「今日はサラダ仕立てにしてみたよ♪」とか「今日はマヨネーズをつけて食べるようにしてみました」とか色々な冷やし中華を作ってくれたのであった。息子の身体の2割くらいは冷やし中華で構成されている、とみた。

鶏肉のホイル焼き
マカロニサラダ
カレーシチュー
御飯
サンミゲール

フルーツのヨーグルト和え

本日の夕食は「給食スペシャル」。
先日「給食当番」に行ったのがお互いそんなに楽しかったのか、だんなは
「カレーシチューが食べたいなぁ……」
とか言ってるし、私は私で
「鶏肉のホイル揚げが食べたいなぁ……」
とか思っていたのである。そういうわけで今日は両方作っちゃう。給食スペシャル。

「鶏肉のホイル焼き」は経験上、安い安いやっすいチーズを使った方が上手くできるらしい、と知っている。スライスのとろけるチーズを3つに細く畳んだやつを用意して、塩胡椒をたっぷりすり込んだ鶏肉でくるくると巻き、ホイルで包んでグリルで焼く。

『なつかしの給食』(アスペクト編集部/編)を見ながら作ってみたカレーシチューは、カレー粉と醤油、塩に砂糖に旨味調味料を調味料とする。具を炒めたところで小麦粉をふり入れてそれがとろみ付けになる。豚肉に玉ねぎじゃがいもにんじん、そしてグリーンピース。ほらほらなんか給食みたいになってきたじゃないか。

添え物にはマカロニサラダ。キャベツたっぷり茹でたじゃがいもやにんじんも入る、野菜たっぷりのマカロニサラダ。味つけは塩とマヨネーズのみ。
お揃いの器に御飯を盛り、シチューをよそい、平皿にサラダと鶏肉。食器がアルミで先割れスプーンが添えられていたら完璧な給食セットだ。
カレーの味がするのに全然辛くないシチューも、柔らかくなったチーズが中心に入るホイル焼きも、ほこほこのじゃがいもが入るマカロニサラダも美味だった。飲み物は瓶入り牛乳にしたいところだったけれども、さすがにビールにしてしまう。ビールを飲みつつサラダに鶏肉にシチューを食す。

そしてそして、デザートにはこれでしょう!と果物ミックスの缶詰とヨーグルトを買ってきた。缶詰の桃にパインにみかん。プレーンヨーグルトを混ぜて、砂糖もちょいと入れて、そしてバナナの輪切りを入れる。
「旨いよ!おゆきさん!そうそうこれだ!」
とだんなは妙に感動していた。
今度はカルピスゼリーでも作りましょうかね。ふふふ。

5/26 (金)
カレーシチュー
マカロニサラダ
御飯
フルーツのヨーグルト和え

昨夜の残りがたっぷりあったので、それを温め朝御飯。
2日目のカレーシチューは味が馴染んで、カレー粉や醤油やその他諸々がお互い手を繋いだような状態になっていてとても美味しくなっていた。

しかも、完熟の柔らかいバナナを使ったヨーグルト和えがこれまた美味しい。バナナにみかんにパインに桃。息子も私たちもニコニコしながら食べてしまう。

デニーズにて
 ペンネのグラタン&チキンドリア
 マンゴープリンパルフェ

「デニーズにマンゴープリンパフェがあるらしい」という話を聞いて、近場を探してすっ飛んで行ってみることにする。
ランチメニューのペンネのグラタンとドリアのセットに、デザートは件の「マンゴープリンパルフェ」。

正午間際のデニーズは制服姿の女性客2人組だとかYシャツ姿の男性らがとても多い。私もファミリーレストラン、嫌いじゃない。時々無性にこういう味のものが食べたくなる。甘辛い照り焼きソースのかかったハンバーグとか、塩気の多いポテトフライとか。薄いコーヒーに甘ったるいコーンスープ。とりわけ私はデニーズが好きなのだ、実は。

メニューの写真に心奪われて注文してしまった、ドリアとグラタンが1皿に半分ずつ乗ったものがやってきた。
ミートソースが和えられたペンネのグラタンと、ホワイトソースがたっぷり絡んだチキン入りのドリア。ほうれん草のソテーに、溶けたチーズがこんがりと焼けている。良い感じだ。

久しぶりのグラタンは、胃にどっしりと入って美味しかった。肉に御飯にパスタにチーズ、滋養の塊〜♪
はふはふ言いつつ料理をたいらげ、そして期待のデザート。

「マンゴープリンパルフェ」と名付けられたそれは、私は「"マンゴープリン"パルフェ」であると期待していたのだったが、実のところは「"マンゴー""プリン"パルフェ」だった。ちょっとショックだったが、味はまぁまぁ。バニラアイスにミルクプリンにマンゴーソースにマンゴーの果肉。上にはホイップクリーム。堪能致しました。

回鍋肉
だんな特製 桜海老入り焼きそば
よなよなエール

だんなは麺喰いだ。スパゲッティーも蕎麦もうどんもラーメンも大好きだ。
「大好き」どころじゃなく、麺を数日食べないでいると禁断症状まで出てくるらしい。
で、
「中華麺が食べたいな〜。焼きそばが食べたいな〜。」
とか騒いでいる次第。
彼の頭の中は、最早麺一色……というか麺一食なのであった。
「キャベツと豚肉入りで上海風……いやいや、あんかけも良いかもしれない……」
と彼は自らの麺ワールドに浸っているのであった。
……そんなに麺好きかね、君。

結局、だんなはもやしと桜エビがたっぷり入った塩味の焼きそばを作ってくれた。シャキシャキのもやしと香ばしい桜エビがほっこりと湯気をたてている。あとは、ビールのつまみ用にと回鍋肉。薄切り豚肉を使った、少々手抜きの回鍋肉だ。

回鍋肉は、やっぱりガツンとした豚バラ肉の塊を使うのがベストだ。大きな塊をグラグラと下茹でして、それをスライスしたやつを使うと本当に美味しくなる。噛むと滲みでる肉汁も、甘い脂の歯ごたえも、塊肉ならではの旨味がある……のは分かってはいたけど残り物の豚肉が薄切りだったものだから仕方がない。キャベツと赤ピーマンと一緒にジャジャッと炒めてXO醤多めに入れた甜麪醤ソースで味をつける。

こってり甘辛の回鍋肉をがつがつ食べつつ、ビールで乾杯。
そろそろ本当にビールが美味しい季節がやってきた。枝豆茹でよう、空豆茹でよう、鶏の唐揚げにフライドポテトに焼き鳥厚揚げ冷や奴!って感じですか。

5/27 (土)
ミスタードーナツの
 チョコファッション
 ハム卵
アイスカフェオレ

昨日、無性にドーナツが恋しくなってしまった。
あの!ミスタードーナツの!表面が固いオールドファッションが食べたいのである。円周約1/3の部位にチョコレートコーティングが施されている「チョコファッション」ならば、尚のこと宜しい。
「ミスド♪ミスド♪ミスド♪」と浮き足立ちながら、朝食用に買ってきた。私に2つ。だんなに2つ。息子にも2つ。

甘いもの2つはマズかろう、と念願のチョコファッションの他は「ハム卵」にしてみた。バターたっぷりという感じの生地にマヨネーズがテラテラと光る卵とハムが詰まっている。甘いものはマズかろうとか言ってる横からこちらもカロリー激高なのが窺える……が、そういうことはこだわらないことにしている。(←これだから……)

濃いめのホットコーヒーを煎れて、氷たっぷりのマグカップに注いでアイスコーヒー。ブラックな苦手な私は半分ほど牛乳混ぜて、アイスカフェオレ〜。
オーブンで5分ほど焼いて表面サクサクにした「ハム卵」と、相変わらずモソモソと愛しい歯ごたえのチョコファッションをがつがつ食べる。そうそう、これだこれだ。これが食べたかったのよ〜♪

ドーナツと言えば。
だんなが先日、用あってアメリカ大使館なるところへ行ったそうだ。
早朝からの会議、着いてみると廊下にはアメリカンコーヒーがたっぷり入ったサーバーに、てんこもりのドーナツとデニッシュが待ちかまえていたそうな。アメリカ人も日本人も、片手にドーナツ片手にコーヒーカップを持ち、もっきゅもっきゅとやっていたのだとか。
ツイン・ピークスのあのドーナツだらけの世界は、本当に本当だったのね〜と私は笑ってしまったのだ。

かぼちゃのリゾット・しょうが風味
アイスカフェオレ

だんなが友人と約束があるとかで、出かけてしまった。
息子と2人のお昼御飯、さてどうするかと考えて、「リゾット」を作ってみることにした。

昔何度か洋食屋で食べた「リゾット」なるものは、たぷたぷのスープに沈んだ御飯といった様相で、「要するにコンソメで煮たお粥なんだよね」とずっと思っていた。……でも、それはどうやら違うらしい、と最近になってやっと気がつかされた。
どうやら本物の「リゾット」というやつは、思いの他水分が少ないらしい。お米は1粒1粒がバラけていて、パスタと同じく"アルデンテ"の出来上がりを目指さなければならないもの、なのだそうだ。『日本の食材でイタリアン』(世界文化社 日高良実/著)に顔を突っ込みつつ、「かぼちゃのリゾット・しょうが風味」なるものに取り組んでみる。

バターで玉ねぎ(本当はエシャロット)とお米を炒めて、白ワインを注ぐ。そしてブロード(スープストックのこと。顆粒コンソメで代用)を入れ、細かくした生の南瓜も入れ、ひたひたの水量を維持するべくブロードを足しつつ炊くこと10分。最後に蒸した南瓜を潰したものも投入して水分を飛ばし、バターひとかけとすりおろし生姜とパセリにみじん切りを混ぜて出来上がり。レシピには2人分のお米120gに対して生姜100gを使用し半量をみじんに半量を千切りにして素揚げにし、最後に飾り付けよ、とある。米と同じ量の生姜かい……とちょっと臆してしまって少なめに使用。

かくして目にも美しい黄色のリゾットができあがった。
おお、レシピの写真に近い水分の加減だし、ころころと入る南瓜がいかにも美味しそう。口にすると、ちょっと歯ごたえのあるお米に南瓜の甘さが絡んでいる。たっぷり入れたバターの匂いがそこら中に漂って、ちょっと幸せ。
で、生姜は後味でふんわり香るくらいのやや物足りない加減になってしまっていた。やっぱり、プロの料理人を信じて100g、使うべきだっただろうか。

あさりの豆鼓蒸し
青梗菜と帆立のミルク煮
御飯
よなよなエール

ぷりぷりのアサリを買ってきて、さてどうするかと思案する。
酒蒸しして日本酒一杯。スパゲティボンゴレビアンコ。御飯と一緒に炊いてあさり飯。結局、香ばしいものが食べたくなったので豆鼓蒸しにしてみることに。

生姜ににんにく、長ねぎ豆鼓赤唐辛子。香味野菜をこれでもかこれでもかとたっぷり刻んで、あつあつの油で炒めたところにアサリを投入。と醤油とお酒と少々の砂糖と塩入りのスープを入れて蓋をして放っておくこと2分ほど。蓋を開けると全てのアサリがカパッと口を開いていて、ネギや生姜が良い感じの茶色に染まっている。ビールだビールだビールだ!とすかさずビールを冷凍庫で冷やしておいたキンキンのグラスに注いで、乾杯。

「豆鼓(トウチー)」とは中華調味料、大豆の発酵したものだ。干し葡萄をもっとギュッと固めたような、黒くてコロコロとした物体で麻婆豆腐なんかに入れられる。日本の浜納豆に似ている……らしい。独特の旨味や匂いがあって、これが入ると何でも中華料理臭くなってしまう。
あまり使ったことのなかったこの豆鼓をたっぷり使ったアサリの蒸しものは、ビールも御飯もすこぶる進むおかずになった。
ざくざく入る香味野菜が良い感じで、アサリの殻に汁とそれを盛りつけて、ついでのみじん切りの香菜なんかも乗せちゃって、アサリの身と一緒にぽいと口い放り込む。すかさずビールをそそぎ込む。ぷは〜。美味しい〜♪

パークハイアット東京の
 マンゴープリン
 栗のシュークリーム
アイスカフェオレ

新宿へ出かけて行っただんなのお土産は、パークハイアットホテルのケーキだった。
「マンゴプリン、出ていたよ〜♪」
とぬかりなく買ってきて下さるだんなの背後に後光が見える。素晴らしい。

で、ホットコーヒーを煎れて氷たっぷりのマグカップに注いでアイスコーヒーを作っていただくことにする。
小さなマンゴプリンはだんなと私で1個ずつ、息子にはベリーのムース、更に「栗のシュークリーム」なんてものも買ってきてくれていたのでこれを包丁で半分こしてだんなと食べる。

実のところ、ケーキ屋さんのマンゴプリンで美味しいと思えるものはあまり無いのだけれど、ここのマンゴプリンは絶品だ。滑らかなプリン生地、上にかかるタピオカ入りのココナツクリームもアロエの水煮も涼しげでとてもプリンと合っている。420円もするそれを恭しくいただき、こってりした栗のペーストが乗るカスタードクリームたっぷりのシュークリームにかぶりつく。黄色の濃厚なカスタードにホイップクリームにマロンクリームの三段重ね。土曜の夜、甘いお菓子に冷たいカフェオレ。至福。

5/28 (日)
パークハイアット東京の
 スコーン with クロテッドクリーム&ジャム
アイスアッサムミルクティー

昨日のだんなのお土産、第二弾はスコーンだった。
「確かクロテッドクリームが余っていたよね〜」
と自分はあまり好きじゃないくせに、2つ入りのスコーンの袋をぶら下げて帰ってきただんなに感謝。有り難く紅茶を煎れて頂戴する。

少々小ぶりで可愛らしく綺麗に形の整ったスコーンにはレーズンがたっぷり入っている。オーブンでこんがり焼いて、クロテッドクリームをつけて食す。クリームぺたぺた、ジャムもぺたぺた。

「ああ……私ったらこんなにカロリーを添加しているわ……」
と自虐的精神にも浸りつつ、クリームぺたぺたぺた。

このスコーン、パークハイアット内の「ピークラウンジ」という名の喫茶コーナーでも食べられたと記憶している。ティータイムにはお皿が3段重なった、小さなサンドイッチやプチフールと一緒に来るセットも供されていて、乙女心をくすぐって止まない。

「クロテッドクリーム」なるものを初めて認識したのが、確かこのお店だ。生クリームよりも濃厚で、バターほどくどくないこのクリームに感動して、
「一体これは何というものなんですか?」
とウェイトレスさんに聞いてしまい、「これなんですよ。業務用、なんですけれども。」と言って彼女が奥から持ってきてくれたのがナカザワ製のクロテッドクリームだったのだ。運良く三越デパートで販売されているのを知った私と母は、以来3日と開けずにスコーン及びクロテッドクリームを食べる習慣になってしまったのである。

そうそう、余談だけどパークハイアットホテルのスタッフは美男美女揃いだ。よくもまぁこんなに、と呆れるほど顔の良いのが揃っている。その美しさを愛でるのがまた楽しくてね……って、私はオジサンかい。

ピザーラの
 クワトロボンバー
 ローステッドポテト
 竜田チキン
 シーザーサラダ
ダイエットコーク

ちょっと前に「スキャナーが欲しい〜」とこのサイトのトップページに書いたところ、
「良ければ譲りますよ。」
とだんなの高校時代の同期の友人、Tさんがメールをくれた。日替わりのメッセージを見逃さないとは……恐るべしTさん。

そして今日、「持っていくよ〜」と連絡があってスキャナーとスキャナーを持ったTさんが……いやいや、TさんとTさんに運ばれてきたスキャナーが我が家にやってきたのであった。感謝感謝。

昼御飯は「ナポリタンスパゲティにでもしましょうかね」と当初言っていたのだけど、湿気の多い暑さやら何やらにあまりやる気も無くなってしまい、急遽ピザを取ることに。
最近お気に入りのピザーラから「テリヤキチキンとアスパラ・ナスミート・完熟トマトと粗びきソーセージ・ポテトミート」という4種類が1枚になったクワトロピザを。ポテトとチキンとサラダもぬかりなく注文し、そして近所のコンビニでダイエットコカコーラも買ってくる。

「ピザは、久しぶりだなぁ〜」
というTさんと共に、何かしょっちゅうピザ喰ってる私たちはコーラで乾杯。
ミートソース入りのもの、ホワイトソースがかかっているもの、スタンダードっぽいものにテリヤキチキン乗せ。味が見事に違ったやつがそれぞれ3切れ、巨大な1枚になっている。皆でわいわいやりながら、窓全開してピザを食す。

手羽先の揚げ浸し
ピーマンとベーコンのサッと煮
三つ葉のお浸し
茄子の味噌汁
御飯
サンミゲール、アイス烏龍茶

ふと手羽先肉が食べたくなって、買ってきてみた。
焼いて喰うか煮て喰うか。和食か中華かイタリアンかエスニックか。
パック入りの肉を前に少々思案して、揚げ浸しにしてしまうことにした。また、そういう、ビールのつまみになるようなものばかりを……。

塩胡椒して片栗粉ふって、こんがり揚げた手羽先。これを揚がったそばから酢と醤油と砂糖と酒を同量ずつ合わせて煮立てたタレにどぷりとつけていく。刻み万能葱をバラリとふって、速攻で食卓へ。丁度だんなが冷えたビールをグラスに注いでくれていたところで、急ぎ乾杯。あつあつの手羽先を手を油まみれにしながら食す。そうそう、これこれこれ!こういうのが食べたかったのよ。

お供に赤と黄色のパプリカと緑のピーマンを全部千切りにしてベーコンの千切りと一緒に塩味でガーッと煮た煮もの。残りものだった三つ葉はお浸しに。炊きたての御飯にくたくたに煮た茄子の味噌汁。

甘酸っぱいタレに漬かった肉もネギもまた美味しくて、思わず甘酸っぱいネギを御飯の上に乗せて食べてしまう。これで1膳。そしてお代わりをしただんなは、「のりたま」ふりかけで2膳目に突入している。あ、あ、あ、ふりかけいいな〜、「のりたま」いいな〜、と私もつられて御飯2膳目。
明日のお弁当用に3合炊いておいた御飯は、何だか心もとない量になってしまったのでありました。……あらららら。