食欲魔人日記 03年01月 第5週
1/27 (月)
具沢山中華粥 (朝御飯)
中華粥
 (皮蛋・油条・香菜・刻み葱 のせ)
アイス烏龍茶

アジア食材屋で売られている皮蛋は、日本で買うそれに比べると驚くほど安い。6個入りパックが3ドル弱で買えるのだ。しかも香菜もメキシコ料理などでメジャーな食材なので、どこに行ってももしゃもしゃとパセリのように盛大に育ったやつを買うことができる。皮蛋好き及び香菜好きにはなかなかたまらない環境だった。
「香菜が、またまた安売りしてますねぇ……」
と、先日オーガニックスーパー「Wild Oats」の野菜売り場で思案していた私。1束(←しかも巨大)が60セントだか90セントだかだった。
「買うなら中華粥作ったげるけど?」
と背後から我が夫。どうもありがとー、と喜びながら1束買ってきた。

中華粥はとても簡単。ただ、作ろうとする前日の晩に米と干し貝柱を水に浸しておくことだけ忘れなければ、あとは30分ほど火を入れるだけだ。作ってからしばらく置くとねちねちと粘りが出て日本のお粥のようになってしまうので、作ったらすぐ食べる。ふわっと花開いたようなサラサラのお粥が中華のお粥だ。皮蛋をハサミでジョキジョキと切り、香菜の葉をちぎり、刻み葱を準備する。あとは冷凍保存してある油条(←12月のニューヨーク旅行の際に中華街で買ってきたのだ)も解凍してハサミでジョキジョキと切る。粥の表面を覆い尽くすようにどかどかと具を投入して、寒い日の朝に嬉しい朝御飯。

「こういうの食べるとさ」
「ん」
「"今日も一日がんばるぞー!"って気合いが沸くよね」
「うん。……でも、腹持ちは悪いのよね」
「すぐお腹は空くんだよね」
「うむ」
などと言いつつ、1人1.5杯くらいずつ食べる。

照り焼きチキンサンド
牛乳

昨夜は鶏照り焼きピザをしたのだけど、照り焼き鶏を大量に作っておいてみた。今日の午後に研究室仲間の前でプレゼンをするというだんなのために、昼休み外に出なくて済むようにとお弁当を作ってあげることに。弁当箱などはないので、ジップロックのタッパーで代用。御飯の上に海苔を敷き詰め、スライスした照り焼き鶏を並べてタレをかける。すみっこに茹でアスパラガスと煮豚のタレに一晩浸した煮卵を添え、ごくごく簡単なお弁当。
「昼もご飯っていうのはけっこう嬉しいなぁ……」
と、だんなはタッパーを抱えて出かけていった。

私と息子は、同じ照り焼き鶏を使って、ただしご飯ではなくサンドイッチ。バターロールが6個密着したような形状の"テーブルパン"を買い置きしてあったので、1個ずつ切り分け横に分断する。ルッコラ敷いて鶏乗せて、ついでにマヨネーズをちょろっとだけかけてサンドした。モスバーガーの照り焼きチキンサンドが懐かしいなぁ、と思いつつ、食べる。

鶏の辛み焼き乗せ御飯 ルッコラ乗せ
角切り野菜のクリームスープ
ビール(MICHELOB HONEY LAGER)

何だか鶏肉続きだけど、今日の夕御飯も鶏肉料理。「Wild Oats」で美味しそうな鶏もも肉を買ってきていたので、これをとっとと喰わねばならぬということになったのだった。
驚くような安さの牛肉と同程度とまでは言わないけれど、アメリカの鶏肉はやはり日本のものより格段に安い。最初のうちこそ喜んで食べていたけれど、大手スーパーに並んでいるとりわけ安い鶏肉は、
「なんか……独特なブロイラー臭さがあるんだよね……」
と、思い始めた今日この頃。脂が乗りまくっている、いや、乗りすぎている感があるのはさほど気にならないとしても、何だか化学調味料が肉の間に染みこんでいるような、何だか舌にイヤな後味が残るような気がする。
「それじゃ、オーガニックショップで買ったらどうなんだろう?」
と、骨つき鶏もも肉を2本買ってきてみたのだった。

鶏肉を胡麻油でソテーし、醤油とオイスターソースとカレー粉と豆板醤を合わせたタレを刻み葱と共に絡めてご飯にかける、というレシピはケンタロウさんの本に載っていたものだと思う。オイスターソースと豆板醤に……カレー粉???とちょっとびっくりしてしまいながら、いつか作ってみようと思っていた料理だった。骨つきのままの肉をスキレットでこんがり焼きつけ、酒をふってから合わせ調味料をぶっかける。ほのかに怪しくエスニック調の味の鶏肉になった。平皿にご飯を盛りつけ、横にこれでもかとルッコラを乗せたところに鶏肉をタレごと乗せ、ご飯や野菜にタレを絡めつつ食べる。

鶏肉は、確かに違った味がした。イヤな後味は少しもない。柔らかく火が通り、これで水炊きでもしたらけっこう美味しいだろうなぁという味がした。
"オーガニック"ということそのものに夢中になるつもりは全然ないのだけど、何だか「Wild Oats」に足繁く通ってしまいそうな予感。

1/28 (火)
Carrabba's(Nashville)にて、Antipasti Platter (夕御飯)
バタートースト
牛乳

昨日、大学の帰りにスーパーマーケットに寄ってきたらしいだんなは、「明日の朝はこれを食べましょう〜」とホットドッグの材料を持ち帰ってきた。ドッグパンにスモークソーセージ、ザワークラウトまで買い物袋の中に入っている。
しかし今朝、当のだんなはなかなか起きてこない。私が目覚めて息子が目覚めて、確か月曜の授業は11時からのはずだったけれど、10時間近になってもだんなはまだ起きてこなかった。基本的に"寝る子は起こさず"がモットーである我が家なのだけど、さすがにそろそろまずいだろう。息子をけしかけて
「おとーさん、もうすぐ10時になるよー」
と声をかけさせたところ、
「げ!マジ!うわー!」
と慌てて起きてきた。

「ホットドッグ食べてる余裕なんて……」
無理だよねぇ、と聞いてみたところ、
「ゴメン、無理だわー」
とのこと。とにかく急いで牛乳とバターをテーブルに出している間にテーブルパンをオーブンで軽く温め、うりゃ!と食卓に並べた。午前10時という時間にこんな慌ただしいことやってて良いのだろうか。まったくダラけている最近の我が家だった。
しかも、食べようと思っていたヨーグルトも忘れてるし。

Nashville 「Carrabba's」にて
 Antipasti Platter
 Today's Special Fish (Trout)
 ビール(Bohannon Pale Ale)
 グラスサングリア(Red)

今日の夜はファヒータにする予定だった。肉と野菜をスパイスで炒め合わせ、トルティーヤで巻いて食べるメキシコ料理だ。野菜もチーズもスパイスも、ついでに缶入りの豆までぬかりなく準備していたのだけど、肝心の牛肉を先日使い切っていたことが調理の準備の時点で発覚した。もう6時半を過ぎようとしているところだ。

他の料理に転向しようにも卵料理や豆腐料理くらいしか作れなさそうだし、私は何となく肉か魚をガツンと食べたい気分だった。なんとなく昼御飯を食べそびれていて、朝パンを囓ったきりだったので空腹もきわまっている。
で、気になっていたイタリア料理屋に行くことにした。我が家最寄りのショッピングモール内にある「Carrabba's」という店は、Nashville Citysearchという総合情報サイトで2002年版イタリアンレストランナンバー1に選ばれたらしい。我が家が大好きな「Caffe Nonna」という店はランキングのかなり下方面に名前が連なっていたので、どれほど美味しいのかと気になっていたのだった。
帰りがけにお店のカードをもらって見て判明したのだけど、アメリカの南東部を中心に展開しているチェーン店ということが判明。結局は
「やっぱりCaffe Nonnaの方が美味しいじゃんねぇ」
という気がしないでもなかったけれど、なかなか美味しく、楽しめた店だった。

まずはビールと前菜の盛り合わせを注文し、すぐさま来たビールを飲みつつメインディッシュを決める。周囲を見ると「前菜とパスタだけ」「前菜とピザだけ」なんて頼み方をしている人も多そうで、しかも量も多そうだ。パスタとメインディッシュ、なんて注文の組合せは破滅コースだと思われたので、だんなはパスタ、私はトラウト(鱒)のソテー。共にスープかサラダが無料でついてくるので、シーザーサラダをつけてもらった。

やってきたのは、余裕で3人前くらいありそうな前菜の盛り合わせ。
楕円の皿の半分を覆うようにイカとタコのフライが山盛りになり、その横にはモッツァレラチーズのフライが3切れ。そしてトマトのブルスケッタと、マッシュルームのブルスケッタが1個ずつ盛られていた。唐辛子がビリビリとくる辛めなトマトソースがついてきている。
サクサクの衣のフライはほんのりハーブの味がしてなかなか美味しかった。噛むととろけたチーズがぴよ〜んと伸びるチーズのフライもなかなかだ。親子3人でチーズをぴよ〜んぴよ〜んしながらフライを食べた。

料理の添え物とは思えないサイズの、ボリュームたっぷりのサラダを平らげた後は、イタリア料理のはずなのに超アメリカンサイズなメインディッシュがやってきた。
我が家でパスタ料理を作るときには、毎回けっこうなボリュームになる。大盛りパスタには見慣れていたはずなのに、だんなの目の前にやってきたパスタは我が家で「大盛?特盛?てんこ盛り?」と表現するボリュームスケールにおいて"超超てんこ盛り"サイズに属するものだった。軽く2.5人前ほどはありそうな感じ。

そして、私の前にやってきた鱒のグリルは"ほっけサイズ"だった。
居酒屋で注文して、2人から4人がかりくらいでつつきまわすほっけの開き、それとほぼ同じサイズで開きになった魚が楕円の皿にどどどーんと横たわっている。香ばしくグリルされた魚の上には、レモンバターベースのパプリカのソース。味は悪くないんだけど、何しろほっけサイズだ。巨大すぎる。
「パスタつける?それともポテト?今日のベジタブルはブロッコリーだけど?」
と聞かれた付け合わせにパスタを選択したのだけど、これまた日本で言う1人前と同等クラスのクリームソースフェットチーネがこんもりと添えられていた。

「ほっけが来たよ……」
「いやぁ、俺のパスタもね……大量だ……」
と苦笑いしてしまいながらメインディッシュに取り組む私たち。注文をする時までは
「あ、このオリジナルデザート、おいしそー」
なんて言う余裕があったのだけど、今日もまたデザートには到底辿り着けそうにないのだった。山盛りの前菜とサラダという山を越えていたこともあり、ほっけ(ほっけじゃなくて鱒だけど)は半分食べるのがやっとだ。それだって普通サイズの魚のグリル1人前以上はあると思うけど。

日本のスタンダードな1人前パスタというものは80g〜90gくらいが妥当とされていて、アメリカに来てから購入したパスタレシピ本も1人前が3ozと表記されているのでやっぱりそれは90g位だ。今日、だんなの皿の上に山を成形していたパスタはどう見ても150gを軽く越えていたような気がする。恐るべし量だった。我が家のパスタなんて、可愛いものだ。(そういうのと比べてもしょうがないんだけどね)

1/29 (水)
風邪には、フルーツの缶詰なのよね〜
ホットドッグ
アイスカフェオレ

ホットドッグというものは挟む具の種類によってあれこれと違う名があるらしいということを知ったのは、アメリカに来てからのことだ。ショッピングモール内のフードコートにあるホットドッグ屋さんのメニューを見て、「何が何やら……」と思ったのだった。
「え?なに?シカゴドッグって何?何が入っているのよー?」
と小さな文字で書いてあるメニューの説明を必死に読んで注文した記憶がある。
よく見る名前は、大体こんな感じなのだった↓

Chicago Dog (シカゴ ドッグ)
みじん切りピクルス・トマト入り。

Chili Dog (チリ ドッグ)
チリビーンズ入り。

Kansas City Dog (カンザスシティ ドッグ)
ザワークラウト・チーズ入り。

New York Dog (ニューヨーク ドッグ)
茹でた玉ねぎ・マスタード入り。

Southern Dog (サザン ドッグ)
コールスロー入り。

我が家でいつも作っているホットドッグは、"バターで炒めてカレー粉ふったキャベツ入り"である。アメリカにはこのようなものはないらしい。元々は晴海埠頭に出没していた(今も晴海にいるのか、それともお台場あたりに河岸を移したのかは定かでない)「TOKYO-DO」なるワゴン車のホットドッグ屋さんのホットドッグを真似したものなので、「東京ドッグ」とか「晴海ドッグ」とか、そんな名前で良いような気がしないでもないけど。

で、カレー粉キャベツ一辺倒だった我が家だけど、最近は"刻みピクルスと刻み玉ねぎ乗せて食べるのも美味しいよね""ザワークラウト乗せなんかも悪くないよね"と、新たなホットドッグの境地に踏み込みつつあった。今日の朝食のホットドッグはザワークラウト乗せ。茹でてから炒めたスモークソーセージをドッグパンに挟み、ザワークラウトを盛りつけてからケチャップとマスタードで食べる。

「Harris Teeter」(ちょっと小洒落たスーパーマーケット)でだんなが買ってきた1袋1ドル程度のザワークラウトは、ちょっと酸味が多めだった。ん〜〜、これなら普通の(ソーセージ以外の具なしの)ホットドッグが美味しいかもしれない……。
ホットドッグ道はなかなか奥が深い。

Nashville 「Ken's Sushi Restaurant」にて
 握りAセット
 イエローテイル巻き

今日の午後は私も同行してのミーティングがあるので、お昼に一家で家を出る。昼御飯にと入ったのは、馴染みの寿司屋さん、通称"ケンちゃん"。
握りのセットは2種類で、お高いAはマグロやハマチ、サーモンなどの魚が中心で、安めのBは卵や蟹肉、海老などのセットになっている。どちらも数種類から選べる巻物つき。私はAセットにCrunky Shrimp Roll(海老天巻き←うまい)をつけてもらい、更にはまち巻きまで頼んでしまう。だんなはちらし寿司、息子は大好物の玉子の握り。

これを食べ終わる時までは「な〜んか鼻が詰まるなぁ……喉も痛いなぁ……」という程度だったのだけど、食べ終えてミーティングに出終わったあたりからイヤ〜な寒気が襲ってきた。
「これは……風邪かなぁ……」
「いや、俺は風邪だと思う」
「うーん、でもね、風邪という可能性も捨てがたいよねぇ……」
と、風邪風邪言いながら帰宅。だから、具合悪いんだってば。掛け合い漫才している場合じゃないんだってば。

トラウトのグリル(昨夜の残り)
フェットチーネアルフレッド(昨夜の残り)
ご飯
洋梨の缶詰
リンゴジュース

今日こそは冷蔵庫内にはファヒータセットが過不足なく詰められているというのに、メキシコ料理どころではなくなってしまった。
幸い、昨夜レストランで食事したおかずの残りも冷蔵庫に冷えている。
「そうだ!ホッケ、ホッケがあるよ」
「いや、だからホッケじゃなくて、あれはマスだし。しかもイタリア風のグリルだし」
と、魚料理と息子が残したクリームソースパスタを温める。パスタをおかずにご飯を食べるという、何だか凄いことになってしまった。

食後は、せっかく風邪をひいたことだし、と果物の缶詰を食べることに。熱っぽい時にキリッと冷えた果物の缶詰はたまらなく美味しい。
「やっぱりここは王道の"もも缶"ですか?あとね……洋梨も冷蔵庫に入ってるけど」
と、我が夫。しばらく悩んだ末、洋梨を食べることにした。1人分のミニ缶を一人独占。ちょっとシアワセ。

1/30 (木)
帆立のにんにくバター焼き&イクラ乗せご飯 (夕御飯)
はちみつレモン湯

昨日の午後からどうも風邪っぽかった私。
「はなつまるー、寝苦しー」
と寝ている横で、息子はもっとつらそうになっていた。元々ここ数日だんなが風邪をひいていたのだけど、私と息子に見事に伝染ってしまったらしい。
夜が明ける頃には、息子の具合の方が圧倒的に悪くなっていた。熱が上がる一方だ。私は熱はないけど喉痛とか鼻づまりとか頭痛とかその他諸々の症状。

朝御飯はやる気なく、お湯に蜂蜜たっぷりとレモン汁溶いてはちみつレモン湯。
「喉が痛いときには蜂蜜がいいのよねー」
とぐびりぐびりと飲んでいたら、だんなが
「じゃあ、これも作ってあげよう……」
と大根を角切りにしてタッパーに入れ、蜂蜜をぶっかけたものを作ってくれた(←本来は水飴でやる)。
大根のエキスが甘いシロップに溶けた怪しい物体は、"お婆ちゃんの知恵袋"的味がする。喉の痛みにこれが、どういうわけだかめちゃめちゃ効くのだ。

「Hong Kong」のお弁当
 焼きそば
 鶏肉とじゃがいものカレー煮
 魚介の塩味炒め

食欲も、起きあがる元気もある私に比べ、息子は今日は起きあがることすらできない模様。だんなは大学の授業に行ってしまったので、親子してだらだらして過ごす。昼に帰ってきただんなは
「焼きそばだったら食べられるかーい?」
と、中華屋のテイクアウト弁当を買ってきてくれた。炒飯か焼きそばを選び、8種類ほどのおかずの中から好みのものを2〜3種類選んで盛りつけてもらう仕組みのこの店、美味しいおかずは"ねぎ鶏"なのだけれど、今日もねぎ鶏は棚に並んでなかったらしい。その代わり、鶏肉とじゃがいもをカレー風味で"肉じゃが"にしたような怪しい料理があったようだ。何度かここのランチボックスを試していて、初めてみた料理だった。

我ながら病人とは思えぬ勢いで中華料理をがつがつ食べ、次の楽しみは夕御飯(いつにも増して食べることしか楽しみがないらしい)。

だんな特製
 帆立のにんにくバター焼き
 ピータン豆腐
 イクラ
 豆腐の味噌汁
 羽釜御飯
 アイスティー

病状が深刻な息子のために、だんなは大好物のイクラを買ってきた。でも、超好物の"イクラ御飯の海苔巻き"すら息子は食べられないらしい。
「ジュースもね、いらないの……牛乳でいいなぁ……」
と一日中、牛乳だけをちびりちびりと飲んでいた。

で、仕方ないのでイクラ御飯は私とだんなで食べることに。昨日買ってきた帆立は、だんながにんにくバター焼きにしてくれた。豆腐の味噌汁まで作ってくれるらしい。台所の方から「……ひややっこ?」とあれこれ思案する呟きが聞こえてきたので、ベッドから
「あのぅ〜豆腐でしたらピータン豆腐を希望致しますぅ〜」
とリクエスト。段々自分が病人じゃないような気がしてこないでもない。

イクラ乗せ御飯が旨すぎてしっかり2膳喰ってしまったことは秘密。

1/31 (金)
おうちで、ファヒータ (夕御飯)
だんな特製ハムエッグ
テーブルパン
コンデンスミルクのお湯割り

昨日は風邪で起きあがることもできなかった息子は、今朝にはすっかり目に光が戻っていた。昨日は85ダメーくらいはあったはずなのに、今日は12ダメーくらい。子供の回復力というものは恐ろしい。そういう私は昨日56ダメーくらいだったのが今日は42ダメーくらい。いまひとつ回復してないのであった。
「あー、やっぱり昨日はちゃんとおとなしく寝ておくべきだったなー」
「おゆきさん、僕は昨日から散々そのように申し上げていたはずですが」
「昨日は活動できるくらいの体調だったから、ついついネットサーフィンとかしちゃっていたのよねー」
「おゆきさん、だから僕は昨日から(以下略)」
と起床早々だんなに怒られつつ、今日も私はおとなしくしていることが決定となった。

朝御飯は、ハムエッグと温めたパン。ついでにコンデンスミルクのお湯割り。
"コンデンスミルクのお湯割り"とは、本当にただコンデンスミルクを適当な甘さになるまでお湯で薄めただけのシロモノなのだけど、妙に美味しい。温めた牛乳やコーヒーに溶かしてもたまらないおいしさです。

「Krispy Kream Doughnuts」のOriginal Grazed Doughnuts
カフェオレ

「ちょっと研究室に顔だけ出してくるよー」
と出かけて行っただんなは、ドーナツの箱を抱えて帰ってきた。Krispy Kream Doughnutsの工場に隣接したお店に寄ってきて買ってきたのらしい。

Krispy Kream Doughnuts」は1937年にノースキャロライナにオープンしてから全米に広がりつつある巨大ドーナッツチェーンだ。大手スーパーに行けば、白地に緑の水玉模様の箱を簡単に見かけることができる。我が家も何度か、スーパーで一口サイズの丸いドーナッツを買ったことはあった。

「でもねー、やっぱり工場で、揚げたてのものを食べるのが美味しいのよー」
と、長くこの地に住む友人Rさんは言う。
「休みの日、子供連れて朝早く行くとね、"子供はタダ!"とか"朝だから飲み物タダ!"とかって、なんか2ドルくらいでお腹いっぱいになるまで出来たてのドーナツ食べられたりするのよー」
だそうだ。横に立つ米国人のだんなさんもうんうんと頷き
「あの、できたてのドーナッツの旨いことと言ったら"Pancake Pantry"もメじゃないね」
などと言う。我が家が愛してやまないパンケーキ屋さんもメじゃないほど旨いとは!!と、ずっと気になっていたのだった。でも休みの日に早起きするのは難しいし、大体起き抜けに甘いドーナッツ食べに行くというのも、ちとつらい。

「そういうわけで、なかなか行けないので今日買ってきました〜」
と我が夫。大きな箱に中にはこのドーナッツ屋の基本ともいえる"Original Grazed Doughnuts"が6個詰まっていた。プレーンな生地のドーナツに、液体になった砂糖をシャバシャバシャバーっとぶっかけてコーティングしたものだ。お店のお兄ちゃんに
「6個買うんだね?その金額で1ダース買えちゃうけど、どーする?」
と言われてしまったのだそうだ。いや、でも、1ダースあっても困っちゃうし……と6個だけにしたのだとか。

残念ながら"できたてほやほや"というわけにはいかなかったようだけど(なんでも機械の掃除を始めていたところだったそうで)、スーパーマーケットで買うものよりは格段に美味しいドーナッツだった。コーティングは確かに甘いけれど歯が溶けるような強烈な甘さではないし、ドーナッツの生地もふわんふわんでかなり良い感じ。
「工場併設のはうまいね」
「やっぱり朝に行くしかないのかな」
などと言いながら2人2個。

ファヒータ
(肉と野菜の炒め・トマト・レタス・香菜・豆ペースト・サワークリーム・チーズ)
ビール(Corona)

今日の夜は、ここ数日の懸案だったファヒータ。
日本にいるときはまず行くことがなかったメキシコ料理店だったけれど(興味がないというわけじゃなくて、手頃な店が近くになかった……)、アメリカに来てからちょこちょこ食べるようになった。それで好きになったのは、タコスも勿論そうだけどファヒータ(Fajita)だ。カウンター式の店で頼むと、最初からトルティーヤにくるまれて出てくることもあるけれど、基本的には"Fajita Pan"(こんなの)に盛られて出てくることが多い。細切り牛肉(とか鶏肉とかあるいは魚介とか)をピーマンや玉ねぎと共に炒め合わせた、妙に馴染みのある味の料理だ。これをこれだけでトルティーヤでくるんで食べたり、トマトだの豆の煮込みだのアボガドディップだのと一緒にくるんだりもする。

で、だんなが気張ってテーブルにたっぷりの具を用意してくれた。刻みトマトに千切りレタス、私の好物香菜に、缶詰の豆ペースト。サワークリームとチーズと、あとはファヒータパンの上にたっぷりの肉野菜炒め。オーブンで温めたソフトトルティーヤにそれらを盛りつけ、折り畳んで食べる。シャキシャキした野菜や、冷たいチーズが適当に味の変化をつけてくれて、いくらでも食べられそうな味だった。
「ダメだー。やっぱり病気だから食欲があまりないー」
と言う割には私は3枚のトルティーヤに具を大量に乗せてもりもり食べていた。だんなはというと、5枚。