食欲魔人日記 06年3月 第2週
3月6日 月曜日
そんなに好きかー、と笑いながら
「DONQ」のコーンブレッド
カフェオレ
ヨーグルト

昨日、チーズフォンデュ用のフランスパンを買おうと、千葉そごう内のDONQでお買い物してきた。ついでに朝食用のパンもいくつか。表面に白い粉のついたパリッとした感じのコーンパンが美味しそうだったのでそれを1個ずつ買ってきた。

うっかり昨日夕食の食卓に出すのを忘れちゃったパリパリチーズ(正式名称不明)もオーブンで一緒に温めてコーンパンと出したのだけれど、薄焼きのパリッパリのパンがいとも簡単に焦げてしまって、パリパリチーズが「ニガニガチーズ」になっちゃって自己嫌悪。悲しくなりつつ、せめてもと食後にヨーグルトを出してみた。

さー、今日は一日お仕事だー。

豚スープのクッパ風 根菜入り
麦茶

必要に迫られて、1ヶ月くらい前からflashを勉強している。何冊か教則本買ってきて、あとはネットサーフィンなどして調べつつ、やりたいことを1個ずつやっていってみようと、仕事の合間に独学中。マウス乗せるとボタンがスライドするメニュー画面と、スライドショー的なムービーは作れるようになって、次の課題は「フォトアルバム」。外部のjpg画像を読み込んで、そのサムネイルを並べて、クリックするとエフェクトをつけつつ大サイズの画像を表示して、更に外部テキストファイルから説明文を読み込んで……と、やっている事はさほど難しくはなさそうなのに全然思い通りに動いてくれなくて四苦八苦。画像を全部flashファイル内に収納するやり方なら実現できる段階まではさくっと進められたのだけれど、問題は外部データの扱いでー、loadMovieとかloadVariablesという文字列をもう何度打ち込んだことか。

「ばっふーん……」
朝から何回か頭のてっぺんから空気が抜けるような気分を味わいつつ、昼はきちんと休もうと台所でクッパ風雑炊の準備。昨日作った豚すね肉の美味しい美味しい白濁スープ、まだ残っているので、そこに人参や大根を放り込み、くつくつ煮込んであっためた御飯の上からドバーッとかける。仕上げにパラッと葱ふってできあがり。ついでに茹でたほうれん草も添えた。

肉っ気はないのに、スープ自体に肉の味が溶け込んでいるから、充実した味わいの昼御飯。煮込んで煮込んで骨を砕いて作った鶏ガラの白濁スープも美味しいけれど、このすね肉でとった豚スープの美味しさときたら!まろーんとろーんとした丸くて深い味わいで、塩だけを足したスープが旨味の塊になってしまっていて、最高に幸せな昼御飯になってしまった。

「このスープ、一人で飲み干したら怒るよねぇ?」
「怒るなんてもんじゃないよ、離婚だよ、離婚の危機だよ、いや、危機じゃなくて離婚」
なんて会話が昨日なされたものだから、スープは少し残しておいた。明日の朝御飯に食べていきなさいね、だんな。

チーズフォンデュ
塩豚のグリル リーフサラダ添え
アイスティー

午後も勉強、夜も勉強、今日は一日ずっと勉強。
いつの間にか息子が帰ってきていて、いつの間にか私の隣で宿題やってて、「ゆうごはん、まだかなー?」なんて呟いていて、ああもうすぐ7時になっちゃうのかと認識した。

昨日溶かしたチーズのソースがまだ残っていて、パンもほどよく残っているので、昨日に続いて今日もチーズフォンデュにしちゃうことにした。数日前に買っておいた豚ロース肉を塩漬け("漬け"といっても、大さじ1ほどの粗塩を揉み込んで、キッチンペーパーとラップでみっちりくるんで冷蔵庫の奥に入れておいただけ)にしてあったので、それを適当にスライスしてスキレットでジュージュー焼いた。かなりの塩気がついているので、バターと醤油を少しだけ風味づけ程度に落として、ミックスリーフをオリーブ油とビネガーで軽く和えたものを盛りつけた皿の上に乗せる。あとはブロッコリーにスナップえんどうににんじんにじゃがいもに玉ねぎに……とあれこれ用意した茹で野菜をチーズフォンデュでいただいた。

「おいしいねぇ〜、ほんっとにおいしいねぇ〜」
と今日も息子は大喜びでチーズフォンデュを堪能した。本当は白ワインがそれなりに入るのだけれど、息子も食べるのだしと、我が家は牛乳でチーズをのばしている。チーズは手持ちの、とろける系チーズを色々ミックス。ほんのちょっとだけ青カビチーズも入れてみた。

息子がこれだけチーズフォンデュが好物なのだったら、専用鍋を買うのも良いかもしれない。我が家はバーニャカウダ用ポットを使っているのだけれど、チーズフォンデュ専用容器よりもずっと小さい器だから、別鍋に作ったチーズソースをせっせと移さなきゃいけなかった。若干距離のあるティーキャンドルでの加熱もほんのり心もとなくて、「でも、ま、雰囲気は出てるから、いっかー」とだましだまし使っているのだった。
ルクルーゼのフォンデュ鍋もあるのかぁ……いいなぁ……と思いつつ、今密かに欲しいのはタジン鍋
どちらも用途は限られていて、収納場所も必要な難しい調理器具で、さぁどうしようかなー。

3月7日 火曜日
初挑戦、カスレ(もどき)
「DONQ」のアーモンドパン
牛乳

いろいろ計算を間違えて(日曜の夜に食べるつもりで買ってきたパンを日曜夜に食べ忘れたりだとか……)、月曜の朝に食べる予定で買ってきたアーモンドパンを本日火曜日に持ち越してしまった。朝食に食べるものが何もないのもすごく切なくなっちゃうけど、「あれ食べなきゃ、これもあるし」という状況になってしまうのもなかなかつらい。朝ジムに向かうだんなには豚すね肉のスープでクッパを食べていってもらい、私と息子でアーモンドパンを半分こして食べることにした。

パンよりパイに近い、大きく丸く平べったいアーモンドパン。軽くグラニュー糖がまぶされていて、ほんのり甘いサクサクとしたパンを適当にちぎって牛乳飲みつつもぐもぐ食べた。

豚スープのクッパ

稲毛 「太閤園」にて
 なす野菜炒め定食 \730

仕事も勉強すべきこともあれど、銀行に用事があって午前中は外出。食材もひととおり買ってこなくちゃと魚や肉を買って帰ってきた。冷凍の国産豚の豚足が安かったから買ってきてみたのだけれど、私に料理できるかしら。解凍したらどんな風になっちゃうのかしらと戦々恐々。いかにもな「足です」という風情じゃなくて、厚さ3〜4cmほどにカットされたものが2切れずつパック詰めされていて、いまいち豚足的イメージが沸かない物体なのだけれど、ともかくも数日中に調理してみようと思う。

台所の鍋には、ほんのちょびっと豚すね肉のスープが残っていた。お昼はもういいやこれでと、茶碗半膳分くらいの御飯をチンしてスープに放り込み、さらさらっと飲むように食べたのが12時頃。その十数分後に「ピンポーン」と玄関のベルが鳴って、Kさん登場。
「やっほー、せりあさん、お昼御飯食べちゃった?」
と、ランチのお誘いで、あいやー十数分遅かったよーと言いつつ(今日はたまたま携帯電話を忘れて出かけちゃったのだそうで、事前連絡ができなかったのねー)、でも御飯ほんの数口だったし、後で何かつまもうと思っていたくらいだし、もう全然OKだよと一緒に昼御飯を食べに出かけた。

このへんでまだ行ったことないお店を開拓するのも良いかもねなんて話しながら駅方面に向かったのだけれど、結局いつもの「太閤園」に。
「私、なす野菜かなー」
「うん、私もなす野菜かなー」
と、なす野菜なす野菜言いながら2人でおそろいの定食を注文して食べてきた。

いつもながらの、醤油ベースの、でもオイスターソースなのか味醂なのか酒なのか、他の調味料が判然としない、でもウマウマな中華炒め。肉少なめの野菜多め、今日はとりわけ白菜多めな感がある炒め物だった。いつもの卵スープと、たっぷりの御飯と、きゅうりのキューちゃん。あ、しまったな御飯少なめにって言うべきだった……と思いつつ、御飯は半分ほど残して、でもおかずは綺麗に平らげた。

食後は我が家で怪しいお茶(花びらやドライフルーツの入った緑茶のフレーバードティー)をかぷかぷ飲みつつ、主にパソコンの話など。他の友人に「このボタンにアクションスプリクト仕込んで、外部データ呼び出して云々」とか、「こういうエディターでcgiファイル開いて云々」とかって話はなかなかできないもので、小学生の子供がいるお母さんたちの会話っぽくないなぁと笑ってしまいながら深い数時間を過ごした。そういえば、だんな以外の大人と会話したのは何日ぶりかという感じ。気分がリフレッシュできて良かった良かった。

塩豚とひよこ豆の煮込みカスレ風
グリーンサラダ
レーズンパン・くるみパン
サンペレグリノ

夕御飯は、「塩豚」を有効活用できないかということで、「カスレ」なるものを作ってみることにした。パン屋さんDONQのホームページを検索していて見つけた、DONQサイト内の白いんげん豆の煮込みカスレ風が美味しそうだなと。手元にあるのは白いんげん豆じゃなくてひよこ豆の水煮缶だったりしたのだけれど、このレシピを参考に作ってみることにした。

「カスレ」とは、フランス南西部のラングドック地方の家庭料理。白いんげん豆をベースに、そこに鴨肉、羊肉、ソーセージなどを加えて煮込んだもので、トマト味が濃厚だったりあっさり味だったり、バリエーションは豊富らしい。その昔々、オーブンなどがなかった時代には各家庭のおっかさんたちが材料入れた土鍋を馴染みのパン屋さんに持ち込んで、パン焼き後の釜の余熱を使わせてもらって料理していたのだそうだ。

塩豚とベーコンは一口大に、ソーセージはそのまま、そしてみじん切りにしたにんにくと、適当に切った玉ねぎ、にんじん、水煮のひよこ豆を鍋で炒める。700ccほどの湯を加え、コンソメキューブを1個溶かし、トマトピューレを大さじ1くらい、あとはドライタイムをひとふり、クローブを3本、ローリエを1枚。塩気は既に肉にかなりついているので、塩は加えずに様子見ながら1時間ほどことこと煮てみた。最後15分で一口大に切ったじゃがいもも加えてじゃがいもが柔らかくなったらできあがり。

参考にしたレシピどおりの「うっすらトマト味」の、あっさり味カスレ。加えた豆缶がミニサイズだったので、あまり豆豆した感じにはならなかったのだけれど、色々な肉の旨味が染みた美味しい煮込みができあがった。やっぱりこれにはパンだよなと、今日買ってきたばかりのレーズンパンとくるみのパンを添え、あとはレタスやきゅうり、玉ねぎなどのグリーンサラダを。

初体験のカスレは、思った以上にクローブの存在感が濃厚だった。パウダーじゃなくホールタイプのをほんの3本くらい落としただけなのに、独特の甘い匂いがしっかりスープに溶けている。塩揉み効果か豚の肩ロース肉もほろろんと柔らかく煮えていて、濃厚しすぎず薄すぎずの良い感じの味に仕上がった。

うん、満足満足……と2つお皿を並べて息子と食べたのだけれど、クローブ臭が微妙に息子に不評。
「きらいじゃあないんだけどねぇ……好きなたべものじゃ、ないかな……」
と微妙なコメントをいただき、それでも盛ったたっぷりの一皿は平らげてくれた。うーん、お母さん的には、かなり美味しくて、今度はちゃんと白いんげん豆で作ろうと次回への展望も見えてきたところなんだけどなー。

3月8日 水曜日
黄身をつけて食べる甘辛つくね。うま〜
塩豚とひよこ豆の煮込みカスレ風
ハイジの白パン
アイスカフェオレ

昨日の煮込みが鍋にまだ残っている。これはぜひだんなにも食べていただきたいなと、朝食用の「ハイジの白パン」は昨日のうちに買ってきてある。白いふわふわのパンと肉の旨味がこっくり溶けたほんのりトマト味のスープは似合うだろうなぁと、大きなパンは1人1/2個にちぎり、ソーセージや肉、あとは野菜と豆がざくざく入る煮込みをボウルによそった。

今度はクローブ、4〜5個も入れないで1〜2個だけで充分だなと思いつつ、ほんのり異国のスパイスの味が漂う煮込みを平らげ、そしてだんなは遠く四国に出張していった。いってらっしゃーい。

ハイジの白パン(残り)
牛乳

一日仕事とか、勉強とか。朝にたっぷりの煮込みを食べたので、昼は軽くでいいなぁと、ハイジパンの残りを囓ることにした。2個買ったパンを1/2個ずつ3人で食べたので、残りの1/2個にちょいとバターつけて、牛乳傍らにもぐもぐもぐ。ただの「白パン」だったらそれほど惹かれないのに、「ハイジの」がついただけでなんか美味しそうな気がしてしまうのはずるいことだなぁ、いやそもそも私が単純すぎるのか、と思いつつ、表面に粉の乗ったモハモハする食感のパンでお昼御飯。

案の定、夕方にはめちゃめちゃお腹が空いてきた。

稲毛 「土風炉」にて
 串焼き(うずら卵・つくね・砂肝・ハツ)
 豚の角煮とチーズ入りコロッケ
 特盛りそば
 生ビール・ホッピー
息子と料理を半分こ。

だんなの実家で
 昆布締め鰺・昆布締め鯛
 鮭の粕漬け
   きんぴらごぼう
 ブロッコリーのソテー
 焼酎水割り

夕方息子はジムへ。そういえば私は最近行けてないなと反省しつつ迎えに行くと、汗みどろの息子が
「はー、もうね、お腹、ぺっこぺこ。のども、かっらから」
と全体的にひからびていた。これは大変とお茶を飲ませ、でも私もそういえば腹ぺこだわと
「……蕎麦でも食べて帰っちゃおうか?」
と。

行ってみたのは、半年ほど前に駅近くに新しくオープンした「土風炉」(とふろ)という居酒屋。銀座などにもお店があるチェーン店で、勤め人だった頃に何度か行ったことがある。迷路みたいな内装と狭いお座敷の席が案外と居心地が良くて、シメの「十割そば」が名物。

あー、ここもちょっと迷路っぽい作りなんだねぇと薄暗い店内を案内され、4人がけのテーブルについた。クーポンで息子のマンゴージュースと私の生ビールが無料になって、ちょこちょことつまみを頼んで、最後は2人分盛られた特盛りそばを息子と半分こ。全体的にお高いけれど味は悪くないし、今日は頼まなかったけれどお豆腐の料理やお刺身もなかなか素敵な品揃えだった。息子用のつまみにコロッケとうずら卵の串焼きを頼み、つくねは2本、私用には砂肝とハツ。最近レバーみたいな苦々しいものがすっかり美味しく感じるようになったんだなぁと思いつつ、コリコリした砂肝をつまみに軽くビール。さてそろそろお蕎麦が来るかなというところで、携帯電話が鳴った。お義母さんからだ。

「あのねぇ、パソコンが変になっちゃってねぇ、助けて欲しいのー。来て貰えるかしら?」
と。あいやー、今、蕎麦食べてますよ、しかも酒飲んでますよと慌てつつ、でも「じゃあ、お蕎麦食べてからうかがいます〜」と電話を切った。調子に乗ってホッピーまで注文しちゃったところで、しかもそのホッピーセットの焼酎がやけにたっぷりだったもんだから、ほろ酔いをちょっと通り越した状態でだんなの実家に向かうことになった。

パソコントラブルは簡単に修復できて、夕飯食べていきなさいな、あ、でもお蕎麦食べてきちゃったんで、とやりとりの後、お義父さんと軽く酒を酌み交わすことに。仕事を終えて帰ってきた義妹とお義父さんと3人で焼酎の水割りをくぴくぴ飲みつつ、お義母さんお手製の昆布締めのお魚やきんぴらごぼうをいただいてきた。2回の夕食はどちらも酒の肴になるものばかりで、ついつい酒量がかさんでしまって帰宅後はすっかり良い気分で沈没。だんな不在の一日だったけれど、いつも以上ににぎやかになった一日になった。

3月9日 木曜日
コラーゲンづいてます
サンペレグリノ

昨日はすっかり良い気分であれこれ飲んでしまい、なんともだる〜い木曜の朝。二日酔いというほどでもない……はずで、
「……食い過ぎ。多分食い過ぎ。多分じゃなく食い過ぎ」
と判断して、今日の昼間は胃を休めることにした。

息子に朝御飯を食べさせつつ、私は750ml瓶のサンペレグリノを取り出して、微炭酸のそれを飲む。息子が朝食摂ってる間に500mlほど飲み干して、それかパソコンの傍らに瓶を置いて残りを飲みつつ仕事した。サンペレグリノが空いた後は、中国茶淹れて「体の中から、いろいろと流れていっておしまいなさい」とばかりに、水分補給の一日。午後1時すぎてさすがにお腹が空いてきたのだけれど、その直後に短縮授業が始まった息子が「ただいまーっ!」とえらい勢いで帰ってきたので、もういいやーと何も食べずに。

最近「コラーゲンとろとろ豚煮込み」にハマッているらしい私。数日前に冷凍の豚足をお肉屋で見かけて、「近いうちに煮よう」と買ってきたのだけれど、今日のだんなの帰宅が思いの外早いらしいので、煮てしまうことにした。

縦割りにされた豚足を一度茹でこぼし、水と泡盛を1:1くらいに合わせたところに豚足を入れ、生姜、にんにくと共に弱火でことことと煮る。1〜2時間火を通したところで醤油と味醂と砂糖を足して味を染みこませつつ、更にことことと。煮汁にはどんどんとろみがついてきて、煮汁を味見するたびにどんどん美味しくなってきて、
「んにゃー、美味しいっ」
「んー、もう、最高っ」
と味見で煮汁を微量に減らしていってしまいつつ、早くだんなが帰ってこないかなーと家中を豚臭くして待っていた。

カナッペいろいろ&スモークチーズ
豚足の煮込み
鮭の塩焼きみぞれ山芋
じゃこ天
じゃがいもと卵のスープ
羽釜御飯
ビール(モルツ)

夕方、豚足は美味しく煮えた。片栗粉もコーンスターチも加えていないのに、煮汁はとろっとろん。途中ダッチオーブンの蓋をあけて水分を飛ばすようにしながら煮詰めていって、ここだ!というところで蓋を閉め、あとはあまり煮詰めずに。豚足は、深鉢にたっぷりの茹でほうれん草を敷いて、その上に盛りつけることにした。

さっぱりしたおかずも欲しいなと、鮭の塩焼きも。「青柳」のレシピで、大根おろしに刻んだ山芋と醤油を和えた「みぞれ山芋」を添えた鮭の塩焼きを用意して、ベーグル用のトマトとバジル入りのクリームチーズが余っていたので、
 トマトバジル入りクリームチーズのカナッペ
 レーズンバターのカナッペ
 柚子のモスタルダのカナッペ
を適当に皿に盛り合わせ、スモークチーズも少量添える。あまり息子が好きそうなおかずじゃないかも……と、せめてスープはと息子の好きな具のじゃがいもと卵の組み合わせにしてみた。

めでたく夕食時に帰ってきただんな。手には出張先でみつけたのだという「じゃこ天」を手にしていて、その"黒っぽい笹蒲鉾"様のそれをグリルで軽くあぶってそれも1人1切れ食卓に出した。1束のほうれん草をばりばり食べつつ、とろとろの豚足。

安かったものだから調子に乗って足3本分(1切れが1/2足分になっていたので全部で6切れ)買ってきたのだけれど、食べてみると「1人1足が限界である」という認識に至った。脂というよりコラーゲンの塊なのだろうけれど、プルプルプリプリの肉部分はさほど食べられる分量はなさそうなのに腹はかなり膨れてくる。美味しいけど分量食べられるものじゃなくて、あとはさっぱりと鮭つついたりじゃこ天囓ったり。

残った豚足は明日食べるかなーと小鍋に移していたら、
「あ、明日は俺、王将で飲み会だから」
と、だんな。……しょうがない、明日一人で豚足囓るか。

3月10日 金曜日
揚げにんにくトッピングしてもらったら大変なことに……
「551蓬莱」の豚まん
麦茶

ここ数ヶ月ほど、どうにも中毒のように
「豚まん食べたーい……551蓬莱の豚まんが食べたーい……」
と悶えていた私とだんな。なんとも欲求さめやらず、「中村家」の肉まんなども買ってきてみたりしたのだけれど、なんかこう、求めている方向と微妙に違っていたりするので欲求不満が積もる一方。これはもう通販申し込みをするしか、と思っていたところで、だんなが西の方向に出張した。目的地は大阪じゃないから、まぁ買っては来られないだろうなぁと思っていたところ、新幹線の車内販売で(多少割高だったとはいえ)冷蔵の551蓬莱の豚まんをゲットしたよと連絡が!わーいわーいばんざーいJRありがとう。JRえらい。

「売ってたのが6個入りの冷蔵のだったのね。コーヒーとかと一緒にワゴンに乗せられてきてさ。で、1箱買ったわけよ。……で、ちょっとしてまたワゴンが来て、そこにも豚まん乗ってたんだけどさー……さすがに2箱も買うと、俺バカ?って思ってさぁ……俺一人で買い占めるのも何だかなぁって……」
バカじゃないよ、俺バカ?とか思わなくていいよ、なんでそこで2箱12個買ってこないかなぁ、もー全然OKなのにさぁ……と、昨日はそんな話をしながら豚足を囓っていたのだった。

ともあれ、冷蔵庫には6個の豚まん。551蓬莱の豚まん。幸せ幸せ幸せ〜っと、今日は豚まんを蒸す時間分ちょっとだけ早起きして、蒸籠に豚まん入れてシュンシュン蒸した。豚まんがアツアツだから、添えるのは冷たい麦茶でいいや。

「おかあさん……このおまんじゅうは、1個しかないのかな?」
「うん、1個しかないのよー。全部で6個だからさ、みんなで食べると1人何個よ?」
「2個。……2個、あるじゃん!ぼく、2個!」
「でもさー、2個一度に食べたら、1回の御飯でなくなっちゃうわけよ。1個ずつ2回に分けた方がよくない?」
「よくない」
「まぁ、そう言わずにさー」

食欲激増中の息子は、「おまんじゅう2個」を熱烈に所望したのだけれど、まぁいいじゃんいいじゃんと宥めつつ、1人1個。玉ねぎがどっさりで、胡椒が利いていて、実はけっこうジャンクフード的な味わいもあったりするのだけれど、でも551蓬莱の豚まんの味、大好き。皮のふわんとした甘さとか、焼売の具にそのままなってしまいそうな(実際、同じ具で焼売も作られている)白っぽい肉あんだとか、一つの完成系をみているすんばらしい豚まんなのだった。

中華街などで売られているような、1つ350円くらいしちゃうすごく肉肉した肉まんもそれはそっちのベクトルとして大好きなのだけれど、「学校帰りに1個買って食べながら歩きたい豚まん」のような、気取ってなくて懐かしいような味でなにしろお安くて、
「……君もこのおまんじゅう、好きですか?」
「うん、だいすきー」
と、息子と豚まんの美味しさを噛みしめながら平らげた。

じゃこレタスチャーハン
じゃがいもと卵のスープ
麦茶

そういえば最近体を動かすことを忘れていたなぁと、2週間ぶりくらいのスポーツジム。ひととおり動いて、おにぎり買って帰ろうかなぁサンドイッチにしようかなぁと思いつつ、
「いや……冷凍御飯たんまりあるから、家でチャーハンでもするか」
と、運動しすぎてギシギシと軋む足で自転車こいで空腹抱えて帰ってきた。

なんどか作ったことがある、レタスのチャーハン。塩と醤油の味付けで卵チャーハンを作り、最後の最後に一口大にちぎったレタスを混ぜるだけ。今日は冷凍保存してあったちりめんじゃこも大量に入れてみた。テーマは「カルシウムと食物繊維」。昨夜のスープもちょうど1人前分ほど残っていたのでそれも温め、
「……そういえばもうすぐ息子は春休みになるんだわ……」
それなりにちゃんとした昼御飯作らなきゃいけないようになるんだわ大変だわ仕事の進みが遅くなるだろうから今のうちにやれるだけやっておかないと……などとぐちゃぐちゃ考えながら、それなりにそれっぽくできあがったチャーハンをさくさく食べた。

我が家にはすっかり使い古されていーい色になった中華鍋と中華お玉(←人も殴り殺せそうなごっつい鉄製)があるのだけれど、チャーハン作りが下手くそな私は、中華料理ジャンルにおいてチャーハンに限っては中華鍋を使わないことにしている。チャーハンにはスキレット。この鋳鉄フライパンに薄く油をひいて、強火でゴンゴン煙が出るまで熱すれば、ちっとやそっとじゃ鍋の温度が下がらなくなるので、そこでざっざか御飯と具を炒めれば、何のテクニックも要らずにパラリとした焼き飯ができあがる。強火にかけた中華鍋を鉄人のごとくふりまわさなくても、木べらで御飯ほぐしながらジュージューやるだけでそれっぽくパラリと仕上がるので、私がチャーハンを作るときはもっぱらスキレットが使われることになるのだった。生っぽいシャキシャキのレタスが良い感じのチャーハンのできあがり。

稲毛 「旨麺」にて
 パーコー麺(パイタンベース) \900
 追加トッピング 揚げにんにく \100
 絶品杏仁豆腐 \150

今日はまた冬に逆戻りしたような肌寒さ。冷たい雨も降ってきて、寒いね寒いねと息子の音楽教室に行き、発表会前の特訓で親子共に疲労して帰ってきた。

「さむいね」
「ね、さむいね」
「おなかもすいたね、お母さん」
「んー……そですか?もう腹ぺこ?」
「ぼくねぇ、とってもはらぺこ」
「そうですか……」

帰ってからやらなきゃいけない仕事もあるしなぁ、家に帰ってパスタでも茹でようかどうしようかと迷いつつ、なんだか無性にラーメンが恋しくなって、最寄り駅の駅前近くにある旨麺というラーメン屋さんに寄ってきてしまった。一応基本はあっさり系とんこつラーメンのお店……なのだと思う。でも醤油ラーメンも塩ラーメンも担々麺もあるので、選択肢は豊富。叉焼麺、排骨麺などをそれぞれ醤油ベース、パイタン(とんこつ)ベース、担々ベースとスープを選べるようになっている。

松本零士の世界的なラーメンを好む息子はシンプルな醤油ラーメン(600円)を、私は排骨麺をパイタンベースで、しかも揚げにんにくをトッピング。なんとなくにんにく味が恋しかったのでついトッピングを頼んじゃったのだけれど、やってきたラーメンの上にこんもり盛られたにんにくを見てけっこう驚いた。多い、多いよにんにく。大量だよ。あとで牛乳でも飲んで(りんごを食べたり、りんごジュースを飲む方が効くらしいね……)、歯をしっかり磨いておこう。

それなりにとろみはついているもの、でもあまりケダモノ臭さはない案外とあっさりとした味のとんこつスープに太い縮れ麺。茶色くごつめの衣がついた揚げ豚肉に、トッピングはほうれん草、半熟煮卵、葱など。息子の醤油ラーメンにはチャーシューや海苔、メンマもトッピングされている。すごーく美味しい!……というほどではないものの、安心して食べられる「くどすぎず、薄すぎず」な適度な感じの味だから、「なんとなくラーメン」の気分の時に足を向けたくなるお店。

ツルリとした口当たりの杏仁豆腐がけっこう美味しい(しかもラーメンとセットにすると150円で食べられる)ので、私も息子も1杯ずつ最後にいただいた。キウイ(目)とライチ(鼻)とミカン(口)で顔の模様が作られていて、可愛い外見のそれを顔のパーツから平らげつつ、気がつけば息子はラーメンも杏仁豆腐も1人で綺麗に完食していた。思い起こせば「ラーメンは大盛りにしてもらって、大盛りで増えた分を息子に分けて」なんて事を1年前くらいにはしていたような気がするのに、もうそんな注文じゃ全然足りなくなってしまった。男の子の成長って、おそろしい。

そうそう、備忘録。「こんなフェアに行ってきました」とお教えいただいた、
ヒルトン東京 ストロベリーデザートフェア
何がすごいって「チョコレートファウンテン」というのがあるそうで、調べてみたらばこんなのなのだそうで、ラーメンと杏仁豆腐を食べてきたばかりだというのに、モニターに張り付いて
「うわあぁぁぁ〜」
「すっごーい……」
と目の輝きが止まらない私と息子。……春休みに行ってきます。チョコ噴水を堪能しに。

3月11日 土曜日
思った以上に食べ応えがあった、500円ポトフ
バタートースト
リーフサラダ
コンビーフ入りオムレツ
カフェオレ

「あいやー、すっかり"ベビー"じゃなくなっちゃったよ……」
天気の良い土曜日。日差しもぽかぽかと暖かく、朝食前にベランダの草花の手入れをしていて、気がついた。そういえば寒かった2月、あまり育たないしなと鉢植えで育てている「ベビーリーフ」をほとんど食べてなかったなと。

レタス類、それに水菜にルッコラに青梗菜にとあれこれの葉野菜のタネがミックスされている種を100円ショップで買ってきたのが去年の秋頃。暖かかった頃はすくすくと育ってくれて、数週間に一度適当に収穫してはサラダで食べて、また空いたところに種を蒔いては育てていた。2月の間あまり食べずに水と肥料だけ適当にやって育てていたら、いつの間にかもこもことまた成長し始め、気がつけばすっかり「ベビーリーフ」じゃなくて「ただのリーフ」になりつつある。ちょっと葉が固くなったなぁ、生で食べると苦さがあるかもなぁと思いつつ、育ちすぎの感があるものを収穫して食べちゃうことにした。

あとは、バタートーストと、「オムレツ食べたいので作ってくださーい」とだんなにお願いして作ってもらったオムレツ。ベーコンがあるよ、あ、コンビーフの残りもあったと思うよ、と伝えたら、「当然コンビーフでしょ」とばかりにコンビーフの包みを手にしただんな。たっぷりの卵でコンビーフ入りのオムレツを作ってくれたので、家族で適当に大きなそれをつつきつつ、ほろ苦い野菜もしっかり食べた。空いた植木鉢には、またまた種巻きしておいた。春になるとアブラムシとの戦いになってくる。口に入れるものには除虫剤とか使いたくないので、牛乳スプレーを片手に戦うことになるのだ。

「サイゼリヤ」にて
 肉サラダ(だんなと半分こ) \499
 新鮮きゃべつときのこの具沢山ポトフ \499
 生ビール \279

お買い物に行かなきゃだよ、と、昼過ぎて家族でお出かけ。あっさりめの和食が食べたいねぇ、厚揚げを炙るとか、あんかけにするとか……と話しつつ、スーパーマーケットのフードコートの一角にある「サイゼリヤ」で軽めの昼御飯にすることにした。あまり肉っぽいものは恋しくないし、ピザとかパスタという感じでもなかったので、私は「具沢山ポトフ」を。だんなの
「肉サラダ、半分食べる?」
の声にうんうんと頷きつつ、どちらからともなく「今ならビールが279円だってよー」という話にもなり、昼から中ジョッキなどあおってみたり。

やってきたポトフ、たったの500円なのにえらく食べ応えがあった。薄めなハンバーグ、太いソーセージが2〜3本。1/8切れの塊がごろりと入った大きなキャベツ、そして椎茸やしめじなどのきのこもちらちらと。キャベツ……でかい……と思いつつ、だんなのキャベツのクリームソースパスタと交換しつつ、全体的にキャベツ感溢れる昼御飯を楽しんだ。
しかもその後買い物に行ったスーパーでキャベツ1玉100円!
当然買いました。まだ春キャベツ特有のゆる〜い感じはあまりないキャベツだったけれど、瑞々しくて美味しそう。

FINAL FANTASY XII ポーション

そしてキャベツと共に買ってきた、数日前に発売されたサントリー製ポーション。FINAL FANTASYをプレイした者ならば知らぬものはいない基本中の基本の回復アイテム「ポーション」がこの度サントリーとのコラボレーションで現実化したそうで、不味いとか美味しくないとかHP回復するどころかダメージになるとか、色々悪い噂も耳にしている。で、ボトルキャップつきの特別仕様版がスーパーに大量に置かれていたものだから、興味本位で1箱買ってきてみてしまった。おお、青い瓶で綺麗だなー。RPGのキャラクターはこんなもの持ち歩いて旅をしているのかーと、思わずニヤニヤ。

「これ、これ、なぁに?」
息子はやたらと興味津々。
「ポーションだよ。飲むと体力が回復する……らしい」
「強くなるの?」
「強くはならなくて、回復する……って、設定よ、ただの設定。ジュースだよただの」

かなり危険な味わいらしいから、せめて一番美味しく飲めるシチュエーションで飲もうじゃないかと、冷蔵庫でしっかり冷やしたうえ、風呂上がりに飲むことにした。100ccを3人で3等分。夕飯前に入浴して、入浴後に一人2口くらいずつポーションを摂取してみた。

あはは……謎な味……。

摂取後の後味が化粧品臭いなどという話は色々聞いていたのだけれど、なんともいえない妙な匂いが喉元からせり上がってくる。ポーションらしく、あれこれ薬草やハーブの類を配合しているらしいのだけれど、それがなんとも不思議な飲後感を漂わせる。うすら酸っぱいオロナミンCのような味なのだけれど、この後味の悪さは、HPは回復しないかなーできないんじゃないかなー、みたいな……。

「自分からはなかなか飲めそうにないシロモノだよね……まぁ、薬は美味しくないのが普通だけど」
「だから他のキャラクターから無理矢理飲まされるわけよ、戦闘中に」
戦闘中にこんなもん飲んだらますますピンチになりそうだよなぁ〜などとあれこれ思いを馳せつつ、「え?でも、おいしいよー」という息子にだけはポーションは効果をあげたらしかった。飲んだ後、「ところで、ぼくのヒットポイントって、どのくらいあるのかな?」と呟いている息子。えーと、370くらいかしら?(7歳ってことでレベル7くらい?)

茶碗蒸し
炙りじゃこ天
厚揚げのきのこあんかけ
豚足の煮込みと茹でほうれん草
とろろ
豆腐とわかめの味噌汁
玄米入り羽釜御飯
ビール(モルツ)

鍋の中、2切れ残った豚足が見事な「煮こごり」に変貌していた。表面にはラードの層が固まっていたのだけれど、この層が思いの外薄くてびっくり。角煮の時は厚さ1〜2cmの脂の層ができてそれをせっせと取ることになるのだけれど、豚足の鍋の脂の層はほんの2〜3mmだった。一応こそいでみたのだけれど白い層の下は見事に固く凝固したゼリー層。固まったそれを一口食べてみたら、豚の旨味が凝縮したプルプルプリプリしたなんともいえない美味しさで、思わずスプーンでもうひと匙すくって入浴中のだんなのところにも「食べてみ!まぁ、食べてみ!」と押しかけてしまった。あー、あのプルプルは脂じゃなくてコラーゲンだったんだねぇと改めて認識しつつ、他はあっさりめのおかずを用意した。

厚揚げは、グリルでこんがり両面焼いてスライスし、醤油味のきのこあんをかける。少量の胡麻油で刻みにんにく、刻み生姜と共にえのきだけとしめじを炒め、醤油と塩で調味したとろみ強めのあんを作ってかけた。鶏肉と百合根、銀杏とかまぼこを具にした茶碗蒸しも作り、玄米御飯にとろろを添える。息子が大好きな豆腐とわかめの味噌汁も準備して、盛り沢山の夕食になった。

今日の茶碗蒸しはなかなか良い出来。前回薄味に作りすぎて、「ぼやけた味の茶碗蒸しって美味しくない……」と学んだので、今日はレシピの分量任せにしないで、卵液をちゃんと味見して塩加減を調えた。こまめに確認して火が通りすぎないようにも気をつけて、味も蒸し加減も今日は上々の仕上がりに。

とろろは、お義母さんがお裾分けしてくれた、確か「丹波の山の芋」という名前のもの。ごつごつした丸っこい無骨な外見と裏腹に純白の綺麗なとろろがおろせて、しかもその粘りがものすごい。おろしたままの状態だとお餅のような塊になってしまうので、同量くらいのだしで伸ばして薄口醤油と塩で味を調えた。それでもかなりのどっしり感で、このうえなく濃厚なとろろをかけての玄米御飯。ガツンとした肉や魚がない、「で、メインのおかずって何なんだろ?」という感じの夕飯だったのだけれど、でもなんだかすごく御馳走溢れる食卓だった。

3月12日 日曜日
あんこう鍋!どどーん!
「モスバーガー」にて
 モスライスバーガー カツカレー
 グリーンサラダ
 ウーロン茶

今日は午後5時半から夕御飯。月島行って、あんこう鍋。待ちに待ったあんこう鍋。

あれは今年の年明けすぐくらいの頃だったか、職場のだんなかから昼休み中に
「同僚に"おいしいあんこう鍋屋知らないか"って聞かれたんだけど、知ってるー?」
とメールがあったのだった。私あんこう鍋食べたことないもん!そんなの知らないよ!と返事したところ、
「俺だって美味しいの食べたことないから聞いてるんじゃん!」
と、大変にギスギスした雰囲気のメールが飛び交ったのだった。

で、その旨その日にトップページの一言にちらりと書いておいたのだけれど、そうしたところ、
「あんこう鍋だったらここ行け!是非行け!」
と何通かいただいたメールのほとんど全てに「ほていさん」の文字が。調べてみると、こりゃもうすさまじいあんこう鍋を出してくれるお店のようで、早速お店に電話してみた。……が、1月は既に予約がいっぱい。子供連れは日曜日だけ受け付けてくれるということだったので、「じゃあ、ホワイトデーにあんこう鍋ということでどうか」と3月2週の日曜日に予約を入れることにしたのだった。バレンタインデーはビーフシチュー、ホワイトデーはあんこう鍋、もはや何のイベントだかさっぱりわからなくなってしまっているけれど、いいの、美味しいもの食べられるなら何でもいいの。

夕方5時半という早い時間の夕飯なので、じゃあ朝は遅めに昼御飯兼用ってことで……と、買い物がてらモスバーガーに。「なくなる前にカツカレーライスバーガー食べておきたいよねー」という事しか考えていなかったのだけれど、本日3月12日は「モスの日」であったらしい。1972年の今日に、成増にモスバーガー1号店ができたのだそうだ。それを記念してということで、小さな日々草の栽培セットをいただいて、ちょっと嬉しい私たち。もうちょっと暖かさが安定してきたら種蒔いてみよう。

選んだメニューは、初志貫徹でカツカレーライスバーガー。これがけっこう重量感ある食べ応えなので、ポテトは頼まずにサラダのセットにしてもらった。飲み物も、甘いものは似合わないなとウーロン茶で。うん、なんかこう、「カツカレーセット」的な組み合わせになったぞと内心思いつつ、今日も「こんなスマートなカツカレー、みたことない!」がコンセプトのはずのライスバーガーをいまいちスマートに食べられずに、そこら中ベタベタにしながら食べることとなった。カレーでマカロニサラダで、キャベツで、全体的に食べにくい。モスバーガーの食べにくいアイテム最強品はテリヤキチキンバーガーだと信じて疑わなかったけど(あ、でも、夏に出るナンシリーズもさりげなく食べにくいよね……)、カツカレーライスバーガーはかなりの強敵だ。

笑っちゃうくらい、カツカレーの味がちゃんとするカツカレーライスバーガー。優しい味のカレーソースも、不思議に調和するマカロニサラダもすんごく好みな味で、もう一度くらい食べに来てしまいそうな予感。

月島 「ほていさん」にて
 お任せ料理 \5,250/人
 生ビール・熱燗

昼の間は急に思い立って食料庫の整理をしたり、子供部屋のカーテンを洗ってみたり。夕方になって家を出て、いざいざと久しぶりの月島に向かった。

かつては、ご近所さんだったこともある月島エリア。15年ほど前から7年ほど中央区に住んでいたことがあって、自転車に乗ってもんじゃ焼き食べに行ったり、月島のボーリング場に遊びに行ったりしていた。いかにも下町の商店街っぽい匂いが大好きだったのだけれど、町並みも微妙にあちこち変わってしまっていて、どこか「つくられた下町」のような感じに。地下鉄が開通したことで近隣の高層マンションの数もおそろしく増えていた。こんな名前のもんじゃ焼き屋はなかったなぁ、こんなお洒落な店もなかったよ……と変わってしまった景色をほんのり悲しく思いつつ、でも夕暮れ迫る仲通りはけっこうな混雑ぶりで活気があった。

仲通りから細い細い道を入って数メートルほどのところにあるのが「ほていさん」。10月から4月があんこう鍋のシーズンで、メニューは「お任せ料理」お一人様5,250円のみになる。オフシーズンには海鮮の炭火焼きになるそうで、魚料理専門店、という感じなのかな。あんこう鍋シーズンの「お任せ料理」は、あんこう鍋、刺身盛合わせ、突き出し2品、雑炊、お新香のセットなのだそうだ。1階はテーブル席が並び、上の階にはお座敷などもあるらしい。私たちは1階のテーブル席に案内された。お子さま連れ可能な日曜日ということで、店内には小さな子供連れのお客さんがいっぱいで、各テーブルには巨大な鍋がぐつぐつと煮えている。大人も子供もあんこう鍋。問答無用にあんこう鍋。
初めてシャコを食べました……

座ってビールを注文するかしないかのうちに出てきたのが、2人前盛りのお刺身(右の写真)。
マグロにブリに、帆立、タコ、トリ貝、そしてたーっぷりの、ウニ、更に、シャコ。私、シャコはこれが産まれて初めてだったかもしれない。あの、「海老というよりは虫」という外見にはどうにも抵抗があるのだけれど、これも良い機会だわと1匹食べてみた。子持ちで、コリコリした卵がいっぱい詰まっていて淡泊な身がほのかに甘くて、悪くはなかった。でもやっぱり、海老というよりは、虫……?
あんこう鍋の前にまた初体験を1つ増やしちゃったと思いつつ、他のお刺身もたっぷり堪能。甘い甘いウニがなんとも新鮮な味で、それがもうごっそり盛りつけてあるものだからビールが進む進む。つい熱燗も1本頼んでしまった。

更にテーブルには深皿が2種類来ていて、1つはもずく、もう1つは胡麻豆腐(黒胡麻のソースがけ)。もっちもちプルプルした柔らかな白い胡麻豆腐はしっかりとした甘さがあって、そこに更にしっかりとした味のある黒胡麻のたれがかかってお菓子のような味わい。それらを全て食べきるか食べきらないかのうちに、テーブルにどどーんとカセットコンロと大きな鍋がやってきた。我が家でいつも使っている土鍋より一回り大きくて、でもこれで2人前なのであるらしい。うわぁ。中身を見て、更にうわぁ。

既に検索して他の方の写真付き訪問記録などを読んで見知ってはいたのだけれど、いざ目の前にしてみると「うわぁ」以外に言えない迫力の物体が。野菜もあんこうの身も覆い尽くすように、「これは、味噌ですか?」といった感じにこんもりと大量に鍋に積まれているもの、それはあん肝。細かく叩かれてモザイク模様のようになったキラキラ光るあん肝がこってりこんもりと層を作っていて、店内で甲斐甲斐しく働くおばちゃんが
「はい、火にかける前に少しだけ食べる?」
と蓋を持ち上げてくれた。はい、食べます食べますぜひぜひと箸ですくって一口。あまーい、うまーい。熱燗もやってきたことだし、あと一口、もう少しだけ……という間もなく、無情にも蓋は閉じられ、コンロは点火されてしまったのだった。おばちゃんが去った後に、そっともう一度だけ蓋あけて、写真撮影してみたり(写真で、あん肝の手前がちょっと崩れているのは、だから私が箸で掘ったからなのよ……)。

基本的に、鍋の世話はおばちゃんがやってくれる。火加減を調整するつまみは私たち側ではなく通路側に向けられ、おばちゃんが適宜
「はい、もーちょっと待っててね」
「よそいましょうか?」
「おかわりは?」
「お雑炊にしましょうね」
とそれはもう甲斐甲斐しくお世話してくれる。だんなのところにエンガワが大量に行ってしまったりもして、後でこっそり具のトレードなどもしていたのだけれど、基本的に鍋のお世話を私たちがすることは全くないまま、サクサクと食事は進んでいった。

具は白菜、春菊、長ねぎ、椎茸、春雨、豆腐、そしてあんこう、というところ。だしは若干甘めに調味されていて、そこにあのあん肝の塊がふわふわと全体に溶けて黄金色のスープになっていく。あん肝のだしを野菜が吸って、その野菜のエキスをまたあん肝スープが取り込んで、と鍋の中では大変な化学変化が起こっているようで、もうとにかく、いい感じに煮えた鍋の美味しさときたら、すさまじいものだった。どこもかしこもあん肝の味。あん肝愛好者ならばたまらないあの魅惑の味が、もう白菜にも葱にも何もかもに染みこんでいる。あまい〜うまい〜こってり〜。

「はい、どうぞーどうぞー」
とおばちゃんがよそってくれるのは「これは取り皿ではなく、どんぶりです」というサイズのごつい碗で、そこになみなみと汁もろともにたっぷり1杯。野菜たっぷりのアツアツのスープをハフハフ言いながら飲んでは食べ、あんこうの骨しゃぶっては白菜を囓り、軟らかく煮えた椎茸を噛みしめては長ねぎも堪能し、そうこうしているうちに「お代わりは〜?」とおばちゃんがやってくるのでまたどんぶりをなみなみと……と、それを2回ばかり。突き出しの2品と刺身だけでもけっこうなボリュームがあったのだなぁと振り返る間もなく、めちゃめちゃお腹一杯になってきてしまった。
小金色のお雑炊……♪

そして最後には、雑炊!(左の写真)
これもまたおばちゃんが、「じゃあお雑炊にしましょうねー」と奥から御飯を盛ってきて(追加料金とかなしで、息子の分もと多めに御飯盛ってきてくれた……ありがとう……)鍋にそれを放り込み、蓋して数分煮込んだ後に刻み葱を加えた溶き卵を投入し、ざざっと混ぜたら火を止めて、蓋してまた数分。御飯がパンパンにあの「滋養の塊」みたいなスープを吸って膨らんだ雑炊ができあがって、それをよそってもらって、更にお代わりして食べて。

もうダメだよー、鍋も美味しかったけど、この雑炊はダメだよー人間がダメになるよーと悶絶する私とだんな。我が家の冬の味「豚味噌鍋」も相当に美味しいと思うし、翌朝いただく味噌おじやもかなりのもんだと思うのだけれど、この雑炊には完敗だ。あん肝、優しい味。卵、優しい味。御飯も優しい味。なのにこれを合わせて雑炊にしたらラスボス級の手強さです、一撃です、フェニックスの尾ももうありません復活できません、という感じで。雑炊直前に胃袋はかなりいっぱいっぱいだったにも関わらず、雑炊も綺麗に綺麗にすっかり綺麗に平らげて、大変な状態で店を後にした。

「あははー、美味しかった、美味しかったよー超美味しかったよー。あんこう鍋って、どこもこんなに美味しいの?こういうものなの?」
「いや、これが特別だよ、俺、前に一度別んとこで食べたけど、こんな感動はなかったもの」
「そっかー、ここが特別かー」
産まれて初めて食べたあんこう鍋が、こんなに美味しいもので良かったのかどうか。ある意味不幸かもしれないと思いつつ(だってこんなの、家じゃ作れないっぽい……)、いいよいいよ、毎年食べにくればいいんだよ、と、大江戸線に揺られて帰路についた。体もあったまって、しかも外もいい陽気で、すっかりいい気分。あんこう鍋ばんざーい……。