中華風コーンスープ
御飯
麦茶
時折、何かのスイッチが入ったように"お片づけモード"に入る私は昨夜、居間の棚の徹底的大掃除をしていたのであった。コーヒーと紅茶の瓶や袋が同じ棚にあるのはまだしも、その真下には"キョーレオピン"なるそれはそれは匂いの強い飲み薬が置いてあったりして、"ちょっとそれはいかがなものか"な状況にあったのだった。片づけ終わって、気が付くと午前0時を回っている。結局寝たのは午前1時をまわらんとしていた。そういうわけで、本日は寝不足の目覚め。
目覚まし用テレビがタイマーでついても、続いて目覚まし時計が鳴っても全然上瞼と下瞼はお互いから離れようとしない。やっとの思いで午前6時起きるところを午前7時半に起き、よろよろしながら台所に向かうと、だんながすじ煮の鍋を前にしていた。こってりした良い香りが周辺に漂っている。
「昨日のスープと、すじ煮でいーっすねー?」
とご機嫌に言うだんなに、ふんふんと頷いて洗面所へ去り、戻ってみると食卓には御飯とスープとすじ煮が綺麗に並んでいた。すばらしい。刻んだ万能葱もばっちり用意されている。すばらしい。
甘いスープに甘いすじ煮はちぐはぐではあるけど、2日目のトロトロすじ煮は旨かった。
万能葱をパラパラかけて、七味唐辛子もたっぷりかける。ゼラチン状のとろけた牛すじ肉は、煮汁も同じくトロンとしている。御飯が進んでしまうことこの上ない。
朝っぱらから熱い牛すじに熱い御飯をがふがふとお腹に詰め込んで、1週間の労働が始まるのだ。
ミックスサンド
牛乳
寝坊してしまって弁当はなし。
会社から数駅先の、出先の駅前にあった小さなパン屋でサンドイッチなど買ってきてみる。街のパン屋さん然とした小さな小さなパン屋は、売れているのか売れていないのか、昼時間だというのにいまいち客も入っていない。
大きめのサンドイッチのパックにはハムサンドとトマトサンド、チーズサンドにポテトサラダサンドにハムカツサンドに卵サンド、と小さな一口大のサンドイッチが種類を違えて6つ詰まっていた。バター塗ってハム挟んだだけ、バター塗ってレタスとトマト挟んだだけ、といった感じのシンプル極まりないサンドイッチだったけど、大昔の子供の頃に母が作ってくれたような素朴な味がした。悪くない。ハムカツサンドに至っては、衣が大きめの、ちょっと水分吸ってペシャッとなったカツがケチャップまぶされてパンに挟まっているというもの。これまたなんというか、チープなチープな味がした。
ピーマンの肉詰め
きのこのバター醤油焼き
牛すじ肉の煮込み
南瓜のポタージュ
御飯
サンミゲールビール(黒)、アイス烏龍茶
「ピーマンなんて苦い野菜好きな人なんて人間じゃないわ」
と十数年前の私は思っていた。
今の私はピーマン大好き。あの頃の自分にしてみれば、今の私は人間じゃないってことになってしまう。
母が作ってくれたピーマンの肉詰めはピーマンを剥がして食べ、中華料理店に入ってみれば青椒肉絲のピーマンと筍を除けて肉だけ喰っていた。わがまま極まりない幼少の自分だった。
そんなことを思い出しながら、半割にしたピーマンに肉を詰め詰めする。牛乳に浸したパン粉にたっぷりの玉ねぎと合いびき肉を練りこんだものは詰めても詰めてもたっぷりあって、結局ピーマン6個がたっぷりの肉詰めになった。
カマンベールチーズを切ったものと、きのこをバターで炒めて醤油をひと垂らししたもの、あとは煮た南瓜をミキサーにかけた牛乳たっぷりのポタージュを用意。御飯のお供に牛すじの煮込み。
ピーマンの肉詰めというやつは、火を通しすぎるとピーマンがやわやわに崩れていって肉と分離してしまう。そこまで火を通すのは多分失敗で、本当はピーマンがピーマンの形でいる(だから歯ごたえは心なしかシャキシャキしている)絶妙の火の通り具合が理想なのだと思う。……でも、火が充分通った、クッタクタになったピーマンは甘くて美味しいのだ。ほんのり甘くなって、やわやわ〜んとなったピーマンを肉汁染み出たハンバーグと一緒に、とんかつソース垂らして口に入れるのがサイコーに美味しい。
つけるソースは4種類。とんかつソースとウスターソースと英国産"A1ソース"なる酸味のあるソースと、"どろソース"。
「辛い"どろ"がたまらん。」
「いやいや、やはり"とんかつ"が。」
などと言いながら、色々つけては口に入れる。もう一つ、必須のソース"ケチャップ"は、よりにもよって現在切らしているのであった。がーん、とんかつソースとケチャップの味のハーモニーを今日は満喫しようと思っていたのにぃ……。
南瓜のポタージュ
御飯
アイス烏龍茶
弁当を作ろうと早めに目を覚ますと、足下で転がって爆睡中の息子は妙に温かかった。ていうか熱かった。発熱している。
とほほほほー、と弁当作りは諦めてスポーツドリンクなどを飲ませ、本日は家で看病してやることと相成る。
朝御飯は昨日のスープに、ハムエッグ。塊のハムを薄切りにして、フライパンでじくじく焼いて卵を落とす。蓋して水差して蒸し焼きにする。半熟の目玉焼きを御飯の上にどかんと乗せて、醤油垂らして5分ほどでがつがつ食べる。
アイス烏龍茶
眠る息子を背後にして、本日の私は一日CGIの独学などをしてみることに。
勉強の甲斐あって、マンゴプリンのレシピ検索フォームなんてものが完成した。ブラボー、自分。
昼飯は、まだハヒハヒと苦しそうな息子にスポーツドリンクを飲ませ、さくらんぼ入りのヨーグルトを喰わせたところで、私の分をと台所を物色してみる。
我が家の台所は、いつのまにかカップ焼きそばが増殖するという魔の空間だ。犯人はただ一人、だんなだ。彼が「新しくでたー」と言っては1つ買い、「安かったー」と言っては2つ買い、現在は5〜6個の各種焼きそばが棚の上に積まれている。自分で買いたいと思うほど好きじゃない焼きそばも、だんなが目の前で喰うとその匂いになんとなくつられてしまって一口二口貰ってしまうんだなー。
で、初めて食べる「昭和の焼きそば」なるものを取り出し、喰ってみる。息子も大好物なので、食欲があるようだったら食べさせてやろうと思いつつ。
思ったよりダメージの大きいらしい息子は、大好物のはずの焼きそばを前にしても首を横にふるだけだった。梨もダメ、リンゴもダメ。あああ、「喰えない」ことはなんて可哀相なんだ。
さてその「昭和の焼きそば」はサラリとしたウスターソースタイプのソースをかけるものだった。かつぶし粉が入っていて、それを最後にパラリとふって混ぜ込んで食べる。お湯で戻したあの独特のクターっとしたキャベツ。やっぱり頻繁に食べたいもんじゃあない。私にとっては。
アイス烏龍茶
うとうとしては泣いて起きて、を繰り返す哀れな息子。
「とりあえず飲んどけ」とスポーツドリンクだけは大量に摂取させて、"柔らかい茹で卵なら喰うかなぁ"と卵を茹でる。卵は滋養の塊だ。「火垂るの墓」でもそういうセリフがあったじゃないか。
だんなの帰りも遅いというので、私は一人レトルトカレーで簡単に済ませることに。千趣会の、「ビーフキーマカリー」なるスパイスたっぷりサラリとしたカレー。自分用にも固茹でした卵を用意して、カレーの上に薄切りして並べて食べる。
息子用柔らか茹で卵にも、ほんの少しカレーをかけてやったら熱で真っ赤な顔しながらなんとか食べた。カレーのかかった御飯も食べた。食べたら寝た。……子供は単純だ。
目が覚めると、なんと午前8時半。
まだまだ熱の下がらぬ息子の面倒を見る私は良いとして、だんなはもう出かけなければいけない時間だ。
「半額フィレオフィッシュでも喰っていくー」
と焦りながら出ていっただんなを申し訳なく見送りながら、未だ体温39℃の息子にとりあえずスポーツドリンクなぞを飲ませる。
私の朝飯はシリアル。好物のフルーツグラノーラに牛乳をぶっかけて食べる。ほんのり甘く、リンゴだのレーズンだの南瓜の種だの入っているこれは、歯触りも複雑でなかなか楽しく美味しい。
シャクシャク言わせて食べていると、息子がいつのまにか横に座っていて「それなら喰う」と意思表示をする。で、大小の器を並べて親子でシリアル。
オレンジーナ
以前、チューボーですよ!でやっていた"そば粉のクレープ"がめっちゃ食べたいと思っていた私。ならば、とホームページの過去のレシピを探して作ってみようということに。
ところが、レシピを見るとなかなか大変だ。そば粉の他、卵白やらビールやらが生地を作るのに必要らしい。それはめんどくさいし大変だ。
「一人分だし、手抜きしちゃえー。息子用にホットケーキも作るし」
と急遽生地作成は"ホットケーキミックス使用"という極端な方向転換を強いられるのであった。
ホットケーキの生地を普通にガッシュガッシュと作り、クレープ分だけ取り分ける。多めの牛乳で伸ばして、薄くクレープに。程良く焼けたら中央にハムを敷き、卵を割り落としてちょいと黄身を崩し、チーズをかける。ほんとうはグリュイエールチーズが良いらしいけど、手持ちがないのでパルミジャーノ・レッジャーノを薄切りに、ついでに溶ろけるチーズもぱらりとふる。蓋をして少々待ち、卵が焼けたら円形のクレープの周囲をぱたんぱたんと内側に倒し、正方形に整ったら出来上がり。フランスの家庭料理らしい素朴な料理だ。
さて、なんとか出来上がったは良いけれど、やっぱり"ホットケーキミックス"はまずかったらしい。ハムの塩気もチーズの塩気も卵の濃厚さも、ホットケーキミックスの甘さとバニラの香りと不似合いだった。やっぱりこれは甘さのないクレープをちゃんと作るべきだったようだ。ハムもふわんと熱くなり、卵は半熟、チーズもトロンとなっていてそれらはとても良い感じなのに、肝心のクレープからはどうも浮き立つ料理になってしまったのであった。
"せりあ、だいしっぱーい……"
そう呟きながら一人食べる私。
しかも、普通にやいたふわふわパンケーキも体調不良の息子は食欲がないみたいで食べてくれないしー。しくしくしく。
……今度は明治屋の"甘くないパンケーキの素"でも買ってきて作ってみることにしよう。(←まだ"素"を使う気らしい)
豚肉の生姜焼き
牛すじの煮込み
大根の味噌汁
御飯
SanMiguel DARKビール、アイス烏龍茶
お弁当用にしよう、と取り分けておいた豚肉が弁当作らぬまま早2日。そろそろデンジャラスな具合になってきているのだった。
豚肉は玉ねぎと生姜焼きに。南瓜は薄切りして皿に並べ、塩胡椒をがりがりふってオリーブ油をかけてオーブンへ。大根の味噌汁も作り準備万端整えてだんなの帰りを待つ。
今日のメインは3日ごしトロトロ火を通していた牛すじ肉の煮込みだ。
土曜日に買ってきた松坂牛のすじ肉は、その質の良さからかいつまでも煮崩れてしまうことはなく、良い具合にひたすら柔らかくなるだけだった。ゼラチン質が溶け出たのか煮汁もかなりとろみがつき、醤油の煮えた良い匂いが火をつける度にそこら中に漂うようになった。ああん、幸せ〜。
これが最後と器に牛すじを全部盛りつけ、万能葱の刻みをてんこ盛りに、七味唐辛子もたっぷりとふりかける。
肉は舌でほぐれるくらい柔らかになっていて、筋の部分もそりゃもうプヨプヨにゼリーのようになっている。口に入れると溶けるそれを口に入れては御飯をかきこむ。
「あああ〜、牛すじってなんて美味しいんだろう。」
「何故みんな買わないんだろう。」
なんて言いながら、煮込まれた牛すじの至福を享受する私たち。
息子の発熱3日目。んもぅ子供という生物はチャッカマンのように着火しやすいものらしい。まぁ……仕方ないのだ。
生卵ぶっかけ飯と大根の味噌汁を喰っただんなが出勤していた後、私はフルーツグラノーラを食す。好物のシリアルもちょっと続いて飽きてきた。ごく普通のコーンフレークスも悪くないし、チョコ味のやつも実は好物だったりする。……あ、ホットサンドも食べたいぞ。シリアルのボールを前に、何故か一人ムラムラしている自分。
アイスアールグレイティー
息子と2人の昼御飯。
朝、だんなの卵御飯を横から奪って喰っていた息子だったので、"柔らかい飯なら喰うのか?"とリゾットを作ることに。これなら私も美味しく食べられるので一石二鳥。
子供の為に作るとはいえ、やはり気合いを入れて本格リゾットを作りたくなる。
まずはちょいと大きめの鍋に湯を沸かし、顆粒コンソメを溶かしておく。それを弱火のコンロにかけてフツフツと沸騰させておいてから、おもむろに厚手の鍋にバターを投入。みじん切りの玉ねぎを炒め、米を加えて炒め(←この米は研いでしまうと粘りが出るので研がないのが作法であるらしい)、それぞれが美しい半透明になったら白ワインをひとたらし。それも蒸発したところで、横の鍋のコンソメスープをかぶるくらいに注ぐ。
あまりかき混ぜずにフツフツ具合の沸騰状態で18分。途中、水気が少なくなったら横の鍋から適宜スープを足していく。最後にはざっと水分を飛ばし、バターをひとかけ落として香りを漂わせたところでパルメザンチーズをおろしたものをたっぷり混ぜ込む。火を止めて、予熱でチーズが溶けたら皿に盛る。そう、上からはたっっぷりの黒胡椒をガーリガーリと挽くことも忘れちゃいけない。米の中央にほんの僅かに芯の残る、アルデンテ状リゾット。こうしてみると、米もパスタの一種なのかと思いたくもなる。
耐熱グラスのコップに入れたたっぷりの氷の上から濃いめに入れた熱い紅茶を入れて即席アイスティーを作り、黒胡椒の散った綺麗なクリーム色のリゾットをテーブルに並べる。おお、なんか病人食じゃなくなってるぞ。すまん息子(←彼用には無論胡椒抜き)。
チーズの香ばしい匂いたっぷりの、バターのこくのあるリゾットは我ながら良い出来だった。これでもかとかけた胡椒がまた良い感じだ。これでポーチドエッグでも落としたら"カルボナーラスパゲッティ"ととても似た味になるだろう。
息子も顔を赤くしながら熱いリゾットをハフハフと喰っていた。……でもいつもの半量くらいも食欲がないらしい。いとあはれ。
和幸の
ロースカツ弁当
ミックスフライ
アイス烏龍茶
夕刻、息子用病人食を作成。クリームコーン缶でシチューを作成。玉ねぎとじゃがいもを入れて、マカロニも放り込んだらいかにもな子供向けシチューになった。カップ1杯ほど分けてもらい、息子と2人で早めの夕御飯。これで揚げパンでもあったらまんま学校の給食のようだ。
で、8時半過ぎに帰宅しただんなは和幸のとんかつ弁当を買ってきてくれた。何故かフライも御飯も3パックずつ入っている。どこから見ても3人分だ。
「だって、一人一つじゃ足りないでしょぅ〜?」
とだんなは言うが、しかし2人に3人前のフライというのはちと多くはないか。そう思いながらも"あ、海老フライだ"とか心中喜んでいる私。ロースカツはたっぷり2枚、ミックスフライの箱にはヒレカツとメンチカツ、海老フライが詰まっている。キャベツもどっさり。特製ソースとキャベツ用柚子ドレッシングも添付されている。
ではではいざいざ、とフライの箱と御飯の箱を並べて簡単ながら夕御飯。
御飯にはごま塩がふられ、昆布の佃煮が乗っている。ごま塩のおかげで塩気のある御飯は、何だか"労働者の飯"という味だ。疲れると塩気はとても個恋しくなるし。
小皿にとろみのあるソースを入れて、サクサクの衣のロースカツをつけ、食す。昔は豚肉の脂は一口も食べられなかったのに、今は甘くて美味しいとすら思えるように成長した私。ダイエットの面から見るとそれは成長じゃなくて退化なのかもしれないけど、美味しいことは良いことだ。ヒレカツもメンチカツも半分こし、海老フライはより好物である私がいただいた。その代わりにロースカツは一切れだんなに進呈する。
我が家には、
「よりその料理を愛する者がその料理を作るべし」
の掟と共に
「よりその料理を愛する者がその料理を多く食べるべし」
の掟もまた存在する。そういう次第で海老フライは私の物だ。
カツと一緒に食べる、細かくふわふわとした千切りキャベツもまた美味しい。柚子ドレッシングで食べ、ソースでも食べ、そうして"多いじゃないのー"と言いつつ食べた3人分のカツ弁当は綺麗に無くなった。
「もうシリアルは飽きた」と言いつつまたシリアル。
飽きた、飽きたぞー。うがー。……と思いつつ、まだポッポポッポと発熱物体になっている息子が"これなら喰う"とジェスチャーするので仕方がない。
自分用に大きなボール、息子用に小さな木製サラダボールを並べて、シリアル入れて牛乳注ぐ。木の器に牛乳っぽいもの(シチューとか)入れてスプーンですくうのを見ると、"アルプスの少女ハイジ"気分が無性に盛り上がる私。
これでこのサラダボールがふたまわり位大きかったら大人も使えて一層ハイジ気分になるのに、と私は密かに"木のボール購入計画"を練っている。購入の暁には、チーズトースト作って(無論チーズは串刺して暖炉で焼くのだ←無理)、シチューと並べて食べるのである。
アイス烏龍茶
ムースポッキー
サクマドロップ
4日目の息子対応病人食。
「今日はきつねうどんを作りましょー」
と目の前のコンビニに油揚げを買いに行く。ちょっと歩いてマーケットに行きたいは行きたいけど、家から一歩出ようとすると赤い顔の息子が後をついてきてしまうので遠出は禁物だ。息子と二人でコンビニを歩く。
油揚げ1つ持ってレジに並ぶと、背後から「私を食べて♪」という声がさわさわと耳の後ろをくすぐってくる。気になる物体がレジに並ぶ直前に視界に入っていたみたいで、深層心理が「食べて食べて♪」という信号をキャッチしている。この信号は、大概新発売の菓子であったりアイスであったりするので大変危険だ。振り返ることは反ダイエットの道を歩むことに他ならない。
振り返っちゃいかん、いかんと思いつつ、ついつい目を後ろにやってしまうとそこには「ムースポッキー」が山になっていた。
グリコのムースポッキー。
数ヶ月前に一旦発売されたにも関わらず、余りの人気に需要に供給がおっつかずに販売停止になってしまったという曰く付きの品だ。いつのまにか再販売されるようになっていたらしい。気になる。気になる。気になる。
そういう次第で、本日のお買い物は油揚げ1袋にムースポッキーと相成った。とほほほほ。
家に帰って、きつねうどん作り。油揚げは醤油と味醂と酒で甘辛く煮含めておいて、冷凍うどん茹で用の湯をぐらぐらと沸かす。つゆも鰹節できっちり取って、薄口醤油と味醂と塩で味つけしておく。茹でたての麺につゆかけて、油揚げ乗せて刻み葱盛って、ついでにわかめなど漂わせて七味唐辛子をかければ完成だ。
案外と息子の琴線に触れてくれたらしいきつねうどんは、最初に油揚げを全部食べられる羽目になって結局すうどんになってしまった。揚げ玉の乗る"たぬき"も良いけど、煮含めた油揚げってのもまた美味しいものだ。
で、デザートに念願のム〜スポッキ〜。
ノーマルポッキーより太めのクッキー生地はココア入りで、その周囲に分厚く空気をはらんだチョコレート生地が巻き付いている。淡めの甘さに、あまり"チョコだーチョコだー"と主張しない程度のチョコ加減。サクサクの歯ごたえで、人気が出るのもわからないではなかった。
……でも私はやっぱり昔ながらのポッキーが大好きだ。あの赤い箱の昔ながらのポッキー。
一体誰がそんなことやるんだ、と思うのにCMで牛乳の入るコップに入れられたり氷の山に刺さったりしているあのポッキー。牛乳に入れたりなぞせず、やはり赤い箱から直接ポリポリやるのが普通じゃないだろーか。牛乳の入ったコップを傍らにおいてポリポリやってるといつのまにか空になっちゃうんだよなー、あったかい部屋に置いておくと5本くらいが融合していたりしてなー、と、やけに上品なムースポッキーを囓りながら回想モードに入る私。
"懐かし系菓子"が何だか恋しくなった私は、棚からサクマドロップの缶を出してしまうのであった。
昔ながらの、10円玉か何かでアルミの蓋をコキンと開けて、逆さにしてふって出すタイプのあのサクマドロップだ。いつかマーケットで見つけて、あまりの懐かしさに買ってきたやつだ。アニメ映画「火垂るの墓」の所為でここ数年また売り上げが上がっていると聞いた。
ふって出たドロップが好物なやつならいいけど、ハッカやコーヒーはいまいち好きじゃなくて、そのロシアンルーレット的なところもまた良い。コーヒーはともかく、ハッカは嫌いで食べられない私は、缶をふってハッカが出てくるとそれは見なかったことにして、戻してもう一度缶を降るのをお作法としていた。最後になると5粒中4粒ハッカということになって、ハッカを食べてくれる人のいなかった一人っ子の私は毎度大変なことになっていたのであった。
この家では、息子もだんなもハッカを食べてくれる。
一度で出てきた好物のグレープ味のサクマドロップは昔と変わらない味がした。うふふ〜。
ブロッコリー入りクリームシチュー
チキンジャルフレージー
御飯
モルツ、アイス烏龍茶
本日のメイン、"チキンジャルフレージー"。"ジャルフレージー"なる瓶詰めペーストを炒めた玉ねぎと鶏肉に絡ませてちょいと煮るだけの簡単な料理だけど、そもそも"ジャルフレージー"なるものが何なのかは実は知らない。カレーの一種であるらしいけど。
「今日は、チキンジャルフレージーだよーん」
と大皿にぺたぺたと平たく盛った御飯に、中央を窪ませて鶏肉ごろごろの炒め料理状のものを盛って出すと、だんなはしばらく難しい顔をした後で
「"軟弱者の日本航空、エルム街の悪夢風"?」
なんてニヤニヤしながらそう言った。違うて。それに"エルム街の悪夢"の悪人なら"フレディ"じゃ。
チキンジャルフレージーは、辛い。唐辛子の突き抜けるような辛さが脳天に抜けていくような感じで、野菜ベースの甘さもある。スパイシーだけど、ターメリックが少ないのかいわゆる"カレー"っぽい味じゃない。御飯に絡めて食べるとけっこうイケる。
息子用にと作ったクリームシチューも皆で食べ、ビールのつまみにとパイナップルが混ぜ込まれているクリームチーズをクラコットにぺたくたつけていただいた。
さーて、明日は私、中学時代からの友人Rの結婚式に出席なのだ。だんなと息子はお留守番。二人で何を喰うんだろう。
本日は、中学来の友人Rの結婚式に出席だ。気合いの入れたお洒落なぞほとんどしない私は昨日からパニックだった。眉毛を抜いて整えて、マニキュアも塗った。
古くなっていたマニキュアを一掃処分していた事を忘れて、風呂上がりに「マニキュアが一本も、ない、ない〜〜〜」と大騒ぎした挙げ句、だんなが近くのコンビニでベージュのマニキュアを買ってきてくれた、というエピソードまで追加された。
朝は朝で、きつめのコルセットをつけんと頑張っていたところ、
「やめときなよー。」
「きっと御飯の途中で苦しくなるよー。」
「大体、いつも苦しくなったところで途中で外しちゃうんだからー。」
「御飯、全部食べたいでしょー?」
と脇のだんなからは大変有効な助言もいただきつつ、それでもコルセットを装着。イヤリングも持った。普段はつけぬアイシャドウも塗った。いつもは手櫛で整えるだけの髪も気合いいれてブローした。ああ、お洒落はこんなにも大変だ。
苦しい服を着て、それでも何か食べていかなきゃマズかろう、と残りのコーンフレークをがさがさ出して軽く食べる。
待ち合わせは12時10分、高田馬場駅。空腹抱えて、いざいざいざ。
シェリー酒・ポートワイン
車海老と帆立貝の香草風味ゼリー寄せ
タラバ蟹と花野菜の洋風茶碗蒸し
コンソメスープ ウェディングベルとインゲンリーフ
真鯛のバプール フランソワ一世風
ダージリンティーのオレンジ風味グラニテ
牛フィレ肉のロースト フレッシュペパー香りソース
赤肉メロンとストロベリー
チェリーフランベ ジュビレ風
コーヒー
シャンパン、白ワイン、赤ワイン、ビール、烏龍茶
曇天の中、漆喰の壁が美しい天井高き教会にてつつがなく式は進む。私は腹が空いていた。
威厳溢れる牧師が、長いベールにフリルたっぷりの豪華なウェディングドレスのRの前で言う。
「−愛は、忍耐強い。」
……わたくしの食欲は忍耐強くありません。
「−不義を喜ばす、真実を喜ぶ。」
……不味を喜ばす、美味を喜びます。
「−すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。」
……でも私は空腹に耐えられません。食べ物を切に望みます。
「……アーメン。」
……ああ……麺。
自分も3年前、神の御前で生涯の愛を誓ったというのに頭の中は食欲でいっぱいだった。すまん、神様。
そうこうして午後3時、披露宴の始まりだ。
控え室で空腹と喉の乾きについついとシェリー酒とポートワインを続けて飲んでしまった私はちょっとふわふわしていた。
80人ほどの列席者の披露宴だ。群青色のテーブルクロスと、真っ白な椅子のカバーには同系色の花の模様がついている。キャンドルと花が盛られた背高いオブジェが各テーブルの中央に置かれる。ずらーっと並んだフォークにナイフ、4つほどのピカピカのグラス。おお、何だかとても披露宴している(←自分ときはしなかったから……)。
二人のなれそめ、来賓挨拶に続いて、シャンパンで乾杯。ほどなく最初の前菜がやってきた。皿の中央に美しく層を成しているゼリー寄せ。海老や帆立の白い身が丸く並ぶ間にパプリカや葉野菜が詰まっていて、周囲にはオリーブと香菜の飾りにトマトのソース。華やかだ。たっぷりの魚介はなかなか食べ応えがある。しかもシャンパンに合う。ついついシャンパンが一気に空になる。
つづいて"洋風茶碗蒸し"。茶碗蒸しに洋風も何もあるのかは謎だけど、中には蟹がみっちり詰まっていた。火の通ったカリフラワーのほにょっとした歯触りと崩れる蟹の隙間に卵液が固まっている、という感じ。テーブルに知り合いは、私の右に座る同じく中学同期のKちゃんのみ。テーブルにつく大学時代の友人や習い事の友人、という人々とおしゃべりしつつ食事は進む。
「ビール、オレンジジュース、烏龍茶は如何ですか?」
というスタッフに
「あ、ビール下さい。」
とついつい建前より本音を優先してしまい、喉を流れる炭酸を気持ちよく味わってしまう。ああ、周囲の女性客は皆ジュースかお茶だ。ははは。
さて、各人の前にスープボールが置かれ、そこに注がれるのは"ウェディングベルとインゲンリーフのコンソメスープ"。見ると浮き実の人参がそれはもう薄く綺麗にベル型にくりぬかれている。ふわふわ赤いベルに天使の羽のような緑の薄葉の浮かぶスープ。ぷぷぷぷぷ、何だかこういう演出は、私としては笑いしか出てこないんだけどなんちゅーか、披露宴だ。
味は……コンソメスープだ。するすると喉を降りていく、さっぱりとしたものだった。
次、魚料理。鯛の切り身が盛られ、チーズと生クリームベースと思われる濃厚な白いソースがたっぷりかかっている。マッシュルームもヒラヒラと入っている。今度は"フランソワ一世風"ときた。
「このソースがフランソワ?」
「いや、この魚の感じがフランソワ?」
と謎は深まるが、とりあえずフランソワ風なのだ。ピリッと胡椒が効いていて、そして私は白ワインが進む。
宴も佳境だ。ウェディング姿の新婦は退場し、十数分おいて新郎もいつのまにか退場し、そして高砂にはテディベアが2対ちょこんと並んでいる。
グラニテに、オレンジ味の紅茶のソルベ。ほのかな酸味にオレンジのさっぱりした甘さがある。食べ終わったところで、お色直しを終えた二人が戻ってきた。R、今度は濃紺のスパンコールがちりばめられたロングドレスをまとっている。じゃじゃーん、と華やかな音楽。横に控えるスタッフは籠を持ち、キャンドルサービスならぬ手作りカップケーキサービス、がここで供される。
うーん、何というか、"披露宴"だ。絶妙なタイミングの音響効果、プロの司会者、プロのビデオ撮影に写真撮影も入る、これは本当になんというか"披露"宴なのであった。"やれば良かった"という思いよりも"やっぱり大変そうだなぁ"という思いが強くなってしまう私。
さて、メインディッシュ肉料理はローストビーフだ。小さめながら厚い肉は中央が綺麗なローズピンク。じゃがいもベースのキッシュににんじんのグラッセ、いんげんが添えられて、ドミグラスソースベースのピリリと刺激のあるソースがかかる。この肉、柔らかでジューシーでとっても美味しかった。
Rの友人の余興が始まる。フルート演奏に、歌。テーブルにはメロンと苺の盛り合わせ。
そして次には、2発目デザートのデモンストレーションが始まった。私のすぐ右手に2台のワゴンに2人のスタッフ。ワゴンにはチェリーがみっしり置かれたフライパンに、小さな小さなミルクパンのようなものが2つずつコンロにかかっている。
「当ホテル名物、チェリーフランベ ジュビレ風でございます〜。」
の声と共に会場は真っ暗に。
ファンタジックな音楽と共に、スタッフ恭しくミルクパンを掲げる。両手のミルクパンもどきにはどうやらブランデーが入っていたようで、全体が青い炎に包まれている。一方のミルクパンからもう一方のミルクパンに炎ごとブランデーを垂らし、手の高低を変えてもう一回。更にもう一回。"お二人を祝福する、炎の滝でございます〜"と言わんばかりに青い炎が横でメラメラと上がっている。最後にはチェリーのフライパンにどどどどどーと炎ごとブランデーを落としてできあがり。フランベ1つに、何だかすごい演出なのであった。さすが披露宴。
演出過多と思われたそのチェリーは、バニラアイスクリームの横に添えられてやってきた。まだ温かで良い香りを出しているチェリーは大きくプリプリしていて確かに美味しい。でもそんなに"じょろじょろー""じょんじょろりんー"とかやらなくても良いじゃないか、と苦笑い。装飾過多、演出過多がどうにも苦手な私は、ついつい腰が引けて行ってしまう。
バニラアイスに、続いてショートケーキ、最後にコーヒー。
かくして2時間半に渡る披露宴は終宴した。いやぁ、異空間を体験、恐るべし披露宴。
パイナップルとココナッツのムース
アイスアールグレイティー
で、Kちゃんと連れだって午後7時過ぎ帰宅。
「息子でも見に寄ってく?ケーキ買ってってお茶でもしよう。」
と誘ったら、寄ってくれることになったのだ。ホテルのケーキをいくつか買って(いや、買ってもらっだんだ、ありがとー>Kちゃん)、袋ぷらぷらぶら下げて、歩くの辛いからタクシーと電車を乗り継いで早々に家へ。
あらゆる家事の中で片づけが一番苦手だというのに、だんなは玄関の靴を片づけて、転がる鞄も片づけて、ついでに居間のごちゃごちゃも片づけてくれて準備万端待っていてくれた。
「冷たいお茶が飲みたいぞー」
と言ったらばたっぷりのアールグレイのアイスティーなぞ作ってくれて、家族3人プラスKちゃんの4人でケーキを囲う。
だんな用にと見繕ったチョコモンブランは案の定「これ食べたい」と御指名を受け、私用にはパイナップルが周囲に並べられたココナッツのムース、息子にチーズのスフレ、Kちゃんはフルーツが乗ったムースっぽいもの。たっぷりの氷と一緒に入れたアイステイーを大きめのコーヒーサーバーの容器に入れてテーブルにどかんと置き、「じゃんじゃん飲みましょ」とアイスティーを飲みまくる。
ふわっと溶ろけるような柔らかいココナッツのムースは、甘くシロップ煮にしたパイナップルと良い感じに似合っていた。
息子と遊び、去年にこの家に越してから初めての来訪にそこここを眺め、
「いーなー、一人暮らし、したいなー……」
と呟きつつ、Kちゃんは帰っていった。
現在彼氏なしのKちゃんと、我が家のアイドル(?)M井さんを出会わせよう、という計画が本日正式にスタートすることになったのはまた別の話である。