食欲魔人日記 00年12月 第2週
12/4 (月)
コンビニの
 ミックスサンド
 チョコデニッシュ
アイスカフェオレ

7時起床。今日は午前11時25分発のJAS便で福岡に向かうのだ。昨日香川で今日福岡。一旦東京に帰ってくるなんてめちゃめちゃ非効率だけど福岡行きを後から決めてしまったので仕方がない。今回の旅行は、私と息子は旅行だけれど、だんなはお仕事。だんなの出張に私と息子が「私たちも行く〜」と付いていくことになったのだった。

昨夜、山のように洗濯を済ませていた洗濯物を畳み、改めてパッキング。冷蔵庫には買い置きしていた500ml牛乳パックと少しばかりのアイスコーヒーの他はあきれるほど何も入っていない。卵もない。
まぁしょうがないね、とだんながコンビニに行ってちゃっちゃと食料を仕入れてきてくれた。私用にサンドイッチとチョコデニッシュ、自分用には小さなワンタンカップ麺とチャーハン。

レタスの入ったツナサンドや卵サンドをかみしめて、そういえば野菜を食べるのは久しぶりだとしみじみ思った。
「だってほら、香川でうどん喰ってたときは野菜と言えば葱だったからさぁ」
と告げると、だんなはそうかそうかと笑った後、
「福岡行ってラーメン喰ってもやっぱり葱だよ。」
と返された。ぬぬぅ、それもそうだ……(ラーメンばっかし喰う気かい)

羽田空港JASラウンジにて
 生ビール
 ミックスナッツ
 サンドイッチ

今日は快適なJASレインボーシート(エコノミーよりもちょっと広いシート)で福岡に向かう。JASのラウンジ券をだんなが持っていたので、これを使って出発前に一休み。

フリードリンクである。ジュースも水割りも、ビールも飲める。サンドイッチは有料だけどミックスナッツは無料で食える。「無料」とか「フリー」とかいう言葉に著しく弱い私たち、まだ午前中だというのにいきなりビールを飲み始める。だんなは飛行機が大の苦手で、出発前にそれを紛らわすためにアルコールを摂取したい、という割と必要に迫られた理由があるけど、私には何の理由もない。ただビールがタダだから飲むのであった。ほほほほほ、昼のビールは美味しいわ。

「ちょっとつまむ?」
とだんながミックスサンドを買ってきた。3枚のパンの間に卵とレタスのサラダ、ハムとポテトサラダ、など2種類の具が様々詰まっているやつだ。家族でたかって平らげる。

福岡市「博多龍龍軒 本店」にて
 ラーメン・チャーハンセット \700

13:30、強い向かい風の影響で定時より20分ほど遅れて福岡空港着。地下鉄で2駅、速攻でこれから3日間宿泊する「ホテル日航福岡」にチェックインする。昨夜までの宿の倍額近くするだけあって、広さもサービスも倍、更に倍、という感じ。さすがに居心地が良い。

福岡に来るにあたって、元福岡在住人の友人Kさんから『福岡・北九州・久留米のラーメン』(プランニング秀巧社)なるどこを捲ってもラーメンラーメンの小さなムック本をいただいてしまった。さすがにこの本、東京では手に入りそうもない。じっくり見やって行きたい店をチェックチェック。うー、どれも美味しそうだ。

チェックインを2時過ぎに終え、じゃあ3時で閉店してしまう近くの「龍龍軒」に行ってみるかということになる。何でも、山本益博氏が「博多で一番旨い!」と絶賛したというラーメン屋であるらしい。ホテル前の太い通りを越え、徒歩3分ほど。店の脇にはでっかい看板がかかっており、イラストにて髭面店主の顔がどどんと乗る。……ハズレな雰囲気。

店に入る。カウンター状の高いテーブルに高い椅子という6人がけのシマが3つほどと奥に厨房。壁にはひったすら掲載雑誌と色紙、有名人と店主のツーショット写真がわんさとかかる。……ますますハズレっぽい。ああ、厨房側の左上の写真では髭面店主と山本益博がにこにこと2人で笑っているじゃないか。……ああ、ますますなんだか(以下略)。

「有名人が良く行く」だなんて、「はぁ?それで?」と思う。有名人全てが舌肥えているわけじゃなし。「誰々さんがいらっしゃいました」と言われても別に自分がその店を選ぶ基準には全くならないはずであるのに、これでもかこれでもかと色紙や写真を見せびらかされるとどんどん気持ちは萎えてくる。んもぅ萎え萎えである。そういう気分で席につく。……いや、食券購入が先だ。

もう「これを選べ」と言わんばかりに"おすすめです!"とラーメンチャーハンセット\700が食券機の上に写真入りでポスターがかかる。ラーメンと半チャーハン、それにラーメンのトッピングを1つ選べるらしい。胡麻やわかめ、にんにく、からし高菜などなどなど。腹も空いていることだし、チャーハンもちょいと食べたかったしでだんなと二人これを食すことにした。

給水機から自分で水を汲み、席にて待つ。「麺の固さは?」とお姉ちゃんに問われて、とりあえず「普通で」と答える。何せ私、福岡に来るのも幼少の頃から久しぶりの2度目であるし、本場のとんこつラーメンを食すのは初めてなのだから。

ほどなく、かわいらしいチャーハンに脂たっぷりラーメンが来た。ものの本には「豚骨特有の臭みがないさっぱり味のスープ、脂分は少ない」などとあるけど、私にしてみれば「うそだ……」である。スープの上部2mmくらいの厚さにある透明の層(脂だ……)と今まさに溶けていこうとしていくそのふわふわした背脂は何だというのだ。これでさっぱり系なのか!?博多ラーメン、おそるべし。

トッピングは私が「味付け卵」、だんなが「こってりスープ」である。私には周囲が茶色く染まったゆで卵が両断されて入っており、だんなのは……うわ、表面が背脂でギラギラとしている。すごい。かなりなこってりだ。

スープは確かにさっぱり味であるかもしれない。どんぶりの中の背脂はギットギトであるけれども、スープそのものはどろっと白濁しつつも、くどくはない。塩味が強くもなく、辛くもない。なかなか飲みやすい。表面ギットギトだけど。

そして縮れのない細麺だ。白濁の豚骨スープに浸った麺が背脂の層をくぐってツヤツヤしたまま口に入る。ああ、豚骨スープはやはり美味しい。
具はトッピングの味付け卵の他、葱と胡麻ともやしが少々。脂の層も艶やかな、ぐるんと丸いチャーシュー2枚。

食べ慣れてないので、ここがいかほどの味なのかは比較しようもないけれど、私としては悪くなかった。「うまいぃぃぃぃ〜」と止まらなくなるほどのものでもなかったけど、「ああ、博多ラーメンって美味しいなぁ」と実感するに充分だった、というか。
替え玉まで頼んでいただんな曰く、
「ん、まぁまぁ美味しかったよ。"こってりスープ"がスープがこってりというよりは脂がこってりって感じでちょっと反則じゃねぇかと思ったけど。」
だそうである。で……夕飯もラーメンすか!?

博多区「鉄なべ」にて
 鉄なべ餃子 4人前
 モロキュー
 手羽先の煮
 ビール大瓶×2

だんな、夕方に一旦お仕事ということで出かけて行った。戻ってくるまで息子は昼寝、私は旅行記作成。
8時20分、帰ってきただんなと一緒に博多探索。彼おすすめのお店に連れていってもらうことにする。まずはホテルからほど近い「鉄なべ」なる鉄鍋餃子屋さん。ホームページを見て東京から来た、と店の人に言ったらば色々おまけしてくれちゃったんだそうな。もちろん餃子も美味しかったらしい。

バス通りから1本はずれた、裏通りにある餃子屋さんは8時半を過ぎて大盛況。ごく普通の居酒屋という雰囲気の店のなか、一人客はカウンターに座り、グループ客は奥の座敷に座りガヤガヤと酒飲んで餃子喰ってる。
「餃子……4人前ね。」
とだんなスラリと注文。え、4人前ですか!?これからラーメンも喰うのに!?
「いやー、こないだ1人で2人前喰って丁度良かったからさ。」
なんてしゃあしゃあと言ってますけど、私はだんなほどにはラーメンは食えない。猫舌だから食べ終わる前に満腹中枢が刺激されまくってしまうのだ(うどんはそれほどには熱くないのでけっこう喰えた)。

お店のオススメだという手羽先の煮込みを2本もらい、ついでにつまみにモロキューももらい、餃子が焼けるまでビールを一杯。
「あらあら、東京から来たんですか。」
とおばちゃんが蓮根の煮物を1つサービスでつけてくれた。

どれもこれも「おふくろの味」的で非常に良い。茶色く煮染めた蓮根も、数時間煮込んだという骨がずるりと取れる甘辛い手羽先も、塩が軽くまぶされて粒のはっきりとしたもろみ味噌をつけて食べるきゅうりもしみじみ美味しい。店員さんは元気だしシャキシャキ動いている。

で、本題の餃子。1つの大きさは「点天」よりは大きく普通の自家製餃子よりは小さい、という感じ。えーと、親指と人差し指で円を作ったくらい、というか。肉あんが皮に軽くくるまり、端をちょいちょいと摘んだだけのようなかわいらしい形をしている。それが丸い深みのある鍋に美しく円を描いて並べられていて、表面が程良く焦げている。美しい。

で、博多の餃子は柚子胡椒をつけて食べるものであるらしい。醤油を垂らした皿に餃子をとぷんと漬け、上に自家製だという粒々の固形物たっぷりの柚子胡椒をなすりつけて口に放り込む。なすりつけただけで周囲に鮮烈な柚子の香りが広がって、口に入れるとその香りと一緒にこれまた鮮やかにピリリとした辛さがピリピリと刺激になってやってくる。醤油とラー油に慣れた口には新鮮でびっくりだ。これが不思議と合う合う。醤油とラー油で「もう腹一杯かも」と思っても柚子胡椒ならあとまだ5個は胃袋に入る、そんな感じ。表面パリパリ……というよりはサクッとした感じの皮の焼き具合も良い感じだった。

ビール2本空けて、良い気分になって店を出る。バスに乗って、だんなオススメのラーメン屋でラーメン1杯ひっかけて帰ろう。

福岡市中央区「秀ちゃんラーメン」にて
 ラーメン\600

福岡と言えばバスである。バスと言えば福岡である(←それは違う)。
JR、地下鉄と共にそうは充実していない福岡市内の交通において、最も重用されるのはバスなのであった。バス路線図もバスターミナルにて入手した。1000円のバスカードも買ってきた。バスを活用して博多の夜を回る。

バスに揺られて博多寄りの地区から天神を過ぎて警固という地域へ。バス降りて数分歩くと黄色いのれんのラーメン屋につく。店中の壁と言わず天井と言わず、脂が染み込んでいるような店だ。壁という壁に来客の名刺や写真、プリクラシールから千社札までが所狭しと貼られている。その紙がおしなべて、うっすらと脂で黄色く変色しているような、そんな店だ。木製のカウンターも艶やかに光っている。でも掃除は行き届いていて少しもベタベタしない。

店はほぼ満席。隅っこにたまたま3席空いていたので家族で腰掛ける。ラーメンは600円。ニラ餃子などもメニューにはある。
ほどなくやってきたラーメン、ねっとりとしている。どんぶりを揺らすとスープが粘度を持ってゆったりと揺れるのだ。こってり系もこってり系、この店は最右翼のこってり系なのであるらしかった。だんなが絶賛する理由がなんとなく知れる。

スープの中には甘辛いタレの味の染みたチャーシューが静かに沈んでいる。素麺もかくやと思わせるほどの細い細い麺に、上からは刻み葱が表面を覆うようにたっぷりとかけられている。かなり個性的なラーメンじゃなかろうか。
レンゲですくうと、やっぱりゆらりと揺れるスープを口に含むとどこまでも濃厚なスープが喉を降りて行った。脂は浮いていない。脂っこいというのとは違う、ただただ濃厚なスープだ。なんでも豚骨を強火でガーッと火を通すことでゼラチン質が溶けてこうなるものであるらしい。どことなく我が家の水炊きのスープの作り方にも似ていて、ゆえに風味はどことなく似ている。骨の中のゼラチン質が溶けきってできたような濃厚なスープなのであった。時間が立つとゼラチン状に固まってしまいそうなスープだ。

麺をひとすすり。細い麺に濃厚なスープが絡んでこれはいける。たっぷりの葱がまた泣かせてくれるし、下に沈んでしまったチャーシューのかけらが濃厚なスープの合間を縫って出てきたりするのがまた嬉しい。嬉しいんだけど……餃子4人前喰った後にこれはキツイっすよだんな。美味しいけどスープ全部はとても飲み干せそうにないっす。飲み干したいけど。

いやいや、美味しいラーメンだった。多分好みは相当別れると思うけど私は大好き。濃厚で濃厚で濃厚で、ひたすらこってり、でも実はさっぱり、という豚骨スープは心にぐっときてしまった。昼に食べた「龍龍軒」のこってりスープが邪道、とだんなが言ったわけが良くわかったよ。口の周りがギットギトになっちゃったけど。

12/5 (火)
ホテル日航福岡 SERENAにて朝食バイキング
 レーズンパン、チェリーのデニッシュ
 レタスと玉ねぎのサラダ
 ポーチドエッグ
 かりかりベーコン、チキンナゲット、じゃがいものトマト炒め
 オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、干しいちじく、プルーン
 オレンジジュース、牛乳、ミルクティー

福岡2日目の朝。だんなは9時からお仕事である。だんなに付き添い、家族みんなで8時前にホテル内カフェテラスへ朝食を取りに行く。おなじみのブッフェスタイルの朝食だ。紅茶もコーヒーも自分で入れる。品揃えは可もなく不可もなく。物足りなくはないけれど豪勢とは言えない品揃えだ。薄切りレーズンパンを1枚と砂糖をまぶしたデニッシュを1個、それに大皿にサラダやじゃがいもなどを盛り合わせて席につく。ジュースと牛乳もぬかりなくテーブルへ。

特に変哲のない、普通の朝御飯である。だしがいまいち薄味だったポーチドエッグは、でも卵の具合は良い感じだったし、ハムやソーセージなどもそれなりに揃っていた。いつもの私からすると若干少なめのおかずを食べ終え、後はフルーツを堪能する。オレンジにグレープフルーツ、パイナップル。それにシリアルのコーナーで干しいちじくとプルーンも持ってきた。熱いミルクティを持ってきて、果物をバリバリ食す。息子も横で囓っていたシュガードーナツを放り出して小猿のようにバナナを喰っていた。

だんなを見送り、私と息子は2人で福岡探索へ。バスマップ持った。ちと恥ずかしいけど「るるぶ福岡」も持った。今日は福岡市美術館へサルバドール・ダリの絵を見に行くのだ。

福岡三越 鰻匠の
 うなぎ蒸籠蒸し
福岡三越 こじま亭の
 マンゴーブリュレ

平日午前中のガラガラの美術館を堪能し、乗るバスの選択に苦労しながらなんとか繁華街・天神にやってきた。デパート「IWATAYA Z-SIDE」の地下で沖縄名物タコライス(レトルトのスパイシー挽肉がパックになってるもの。温めて御飯にぶっかけて食す。タコスの御飯版。美味しいのだー)を購入し、デパート食料品売場探索に乗り出した。お腹も空いてきたけれど、いまいち食べたいところがない。アフタヌーンティーだのKIHACHIだの、東京にいくらでも生えているようなお店ばかりが目に付く。ああ、福岡名物の飯はないのか。まさかからし明太子を囓るわけにはいかないけど。

福岡三越で、旨そうなシュークリームと目が合った。「こじま亭」と言うらしい。有名な人なのかどうかは知らないけど、ショーケースの上には「料理の鉄人」に出場した時の写真がうらうらと飾ってある。……感じ悪い。私はそういうのはあんまり好きではない。見せびらかすなよ、と思う。それはそれとしてシュークリームは美味しそうだ。しかも下には「マンゴーブリュレ」なる商品まで置いてある。マンゴープリン道を探求する者、これも買ってみなくちゃいけないでしょう。……と、何故か大きなケーキの箱を抱えることになった私。

そのままぽてぽてと福岡三越地下を歩く。これまた旨そうな鰻の蒸籠蒸しを売っている。「柳川」という地域の名物がこの鰻の蒸籠蒸しであるらしい。名物発見。これを買って、ホテルで食べちゃうことにしよう。息子用には高菜のおむすびと赤飯のおむすびのセットを買って。

こうして、ホテルの部屋にてデパ地下食材のお昼御飯。豪華デザートつきである。好きなもの買ってきて、周囲に気兼ねすることなく部屋でゆっくり食べる御飯も最高だ。
ホテルの部屋には既に1リットルペットボトルの烏龍茶が配置されている(昨日買ってきたのよ)。エレベーターホール近くの給氷機から氷をざくざく持ってきて、冷たいグラスに氷と烏龍茶を満たして息子と乾杯。

御飯にもこってり甘辛いたれの味が染みた蒸籠蒸しは、鰻もとろんと柔らかく美味だった。筍の煮付けと甘辛く煮染めたごぼうも入っている。鰻重などとはまた違った美味しさだ。息子は自分のおむすびよりもこちらの蒸籠蒸しが気になるようで、結局御飯の半分ほどと鰻の半分以上を持って行かれてしまった。
引き続きデザートにマンゴーブリュレと紅茶のプリン。息子と分け合い……もとい奪い合い、ぎゃーぎゃー騒ぎながらプリンを食べた。淡い甘さととろける柔らかさのプリン。ああ、美味しかった。

日航ホテル福岡 TEA&COCKTAILLOUNGEにて
 ダージリンティー
 クッキー盛り合わせ

昼飯食べて軽く昼寝して、午後3時にひとつ約束が入っている。元福岡在住、現大阪在住の友人Kさんとのお茶。友人とは言っても、実はメールでしかやりとりしたことのない人だ。マンゴプリンページでそれはそれはお世話になっているのだけど、会うのは今日が初めてだった。メールの感じからして、何だかとても気が合いそうな方なのである。

目覚まし時計をセットして起きたのが2時48分。トイレ行って着替えて化粧しなおして、とバタバタしている間に3時2分。どひーどひーどひーと息せき切ってエレベーターを降りてみた。ロビー階に降りてきょろきょろすると、「あっ」という感じにこちらを見た華奢な女性がすたすたとやってきた。「はじめましてー」「はじめましてー」「お茶、しましょうか」「そうしましょう」とそのまま横のカフェラウンジに流れこむ。ポット入り紅茶を飲みながらお菓子つまんでおしゃべりおしゃべり。定常状態で眼が"笑い眼"になっているような子鹿の顔したKさんとの邂逅は楽しかった。いやぁKさん美人です。とても香港の麗晶軒でマンゴプリンn個一気食いした人には見えません。   

銀のすぷーん しゅうくりぃむ屋さんの
 シューサクくん
紅茶

5時過ぎに、今日のお仕事を終えただんなが帰ってきた。「客の行列が無かったからさー」とシュークリームの袋を1つ。シュークリーム、私も今日「こじま亭」で買ってきてしまった。ホテルの部屋にシュークリームが6個。困った事態になった。とりあえず、だんなが買ってきてくれたシュークリームはサクサク感がポインツであるらしいのでこちらを先に食べちゃうことにする。部屋に備え付けのティーカップとティーバッグで紅茶を入れて、手づかみでシュークリームをわっしと食べる。

昨月の福岡出張でだんなが買ってきてくれたこの店のこのシュークリーム、あのときは表面サクサク中はしっとりクリームはちょっとへたっていて、という感じだったけど今日のは正真正銘サクサクだ。パリパリとも違う、水分を多少含んだサクサクした生地に柔らかなクリームがてれっと入っている。やっぱり買いたては圧倒的に美味しかった。
……じゃ、夕飯食べに行こう。ラーメン!

グランドハイアット福岡内 CIAO MEIN(チャオメン)にて
 鯛の刺身のサラダ
 チャーシュー
 点心盛り合わせ
 豚肉の角煮
 マンゴプリン
 生ビール

ホテルから徒歩10分ほど、キャナルシティなるスポットに行ってみることにする。ここにあるホテル、グランドハイアット内の中華料理店にはマンゴプリンがあるらしい。それが目当て。
人工運河"キャナル"をとりまくように立っている建物群は、さしずめ"福岡版お台場"という感じ。クリスマス装飾がピカピカと華やかに輝く何とも良い雰囲気だ。

キャナル側が一面ガラス張りになったグランドハイアットホテルに入る。1FのメインダイニングCHI-NA(チャイナ)の店頭に行き、メニューをチェックするがどうも重厚そうな感じである。ジーパン姿のだんなにボーダーシャツの私にご機嫌な息子が入店するにはちょっと躊躇してしまう。地下には同じく中華料理店だけどカジュアル版のCIAO MEIN(チャオメン)なるところもあるらしい。そっちの方が無難だろう。ぞろぞろと家族、階段を降りる。

この後ラーメンも控えていることだし、と控えめな注文。刺身のサラダと3種点心が4つずつやってくるセット、店頭にぶらさがっていた美味しそうなチャーシューにだんな垂涎豚肉の角煮。生ビールを注文し、キャナルを真横にするガラス張りの窓際の席に座して待つ。時折キャナルの中から噴水がシパパパパーッと出てくるので見ていて飽きない。いいねぇクリスマスだねぇ。

最初に来たのが刺身のサラダ。白髪葱に香菜、揚げたワンタンの皮やナッツが刺身と一緒に盛られている。最初にざっくりと全体を混ぜてから食す。ごま油の効いた醤油だれを良く絡め、全体が混ざったところで口にする。ナッツとワンタンのカリカリや葱のシャキシャキ具合が刺身と絡まってこれはイケる。ビールが進む。

続いて点心。蝦餃と小龍包、蟹焼売が4つずつ、小さな蒸籠に入っている。まずは蝦餃をぱくり。……皮が厚ぼったい。あんの海老のぷりぷり感が感じられない。旨味が足りない。いまひとつ。

次に小龍包をぱくり。……スープをこぼさないようにとわざわざレンゲを持ってきてもらったのにそのスープは一滴も入っていない。ぺしょっとした肉あんに厚ぼったくてやや固めの皮。小龍包と言えばその中に詰まるアツアツのスープが身上である。身上のない小龍包。いつもは小龍包を見やると「僕も僕も」と食べたがる息子も、一口囓ってから箸が止まる。2歳児にまで嫌われる小龍包。とほほである。
それでも蟹焼売はまぁまぁだった。あくまでも"まぁまぁ"である。何故こんなに点心が不味いのか。教えてちょーだいチャオメン!

ちと暗澹たる気持ちになりながら、続いてやってきたチャーシューを噛みしめる。店頭にぶら下がっていたチャーシューは赤々テラテラと輝いていて旨そうだった。目の前の周囲が真っ赤に染まっているチャーシューも確かに美味しそうだ。噛みしめると甘辛いあの味。悪くない。悪くないんだけど……何だかちと物足りない。噛みしめてじゅわっと出てくる肉汁が全然ないのだ。何だかパサパサしているのだ。脂身が全然ないのだ。豚バラ肉を使えとは言わないけど、もうちっと脂部分がある肉を使った方がしっとり美味しいような気がする。うーん、味は良いんだけどなぁ。

サービスはさすがホテル、という感じ。「ビールのお代わりはよろしいですか?」とグラスの中身が少なくなるとすかさず飛んできて、いらないよと言うとすぐに冷たい水がやってきた。皿の取り替えなどもとても良く見てくれている。サービスはいいんだけどなぁ、なんでこういまひとつなんだろうか。店の調度も好みなんだけどなぁ。

最後の角煮は、旨かった。テレンと程良く煮込まれた三枚肉は皮つきだ。皮つきの豚肉を使うのが正式な東坡肉である。周囲に添えられた青梗菜もシャキシャキな、八角の香り漂う美味なる東坡肉。これを食してちょっと落ち着くことができた。

麺や御飯ものは食べないまま、デザートに突入。マンゴプリン。
ミルク分のほとんどない、妙に水っぽいマンゴープリンはほろっとした柔らかさでデザートとして悪くはなかったけど「美味しいマンゴプリン・不味いマンゴプリン」という仕訳で見たら不味い方に位置してしまう難しいものだった。香料の匂いはするし、マンゴプリンっぽさがほとんどないし、でもビールを飲んだほろ酔い気分の時にこういうデザートそのものは悪くない。大変謎なマンゴプリンだった。

釈然しないようなしたような気分を抱えてキャナルシティを後にする。
ホテルに戻る途中にあった「うま馬」なるラーメン屋でメイン料理を食べることにしよう。

博多区祇園町「うま馬」にて
 ラーメン \550

「昭和初期の屋台の味を受け継ぐラーメン」であるという「うま馬」。何でも博多在住の人の多くが知る店であるらしい。

ガラス戸を開けるとカウンターにテーブル席、あまり多くはない席がほとんど埋まっている。入り口そばのカウンターが3席空いていたのを幸いに席につく。カウンターには仕込み済の焼かれるのを待つ焼き鳥が積まれている。気難しそうな顔をした若い兄ちゃんが串を動かしていた。周囲の人も焼き鳥を摘む人、多し。ラーメンだけを頼むのは失礼かと思いつつ、だんなが「ラーメン、2つね」と注文した。

「あいよー、ラーメン2丁!」「ラーメン2丁!」
店中で唱和。「お子さんの小さなどんぶり、要りますか?」とミニどんぶりを出してくれた。

ラーメン、来るなりいきなり周囲にケダモノ臭さが濃厚に漂う。我が家で牛筋の仕込みを始めたとき、あるいは鶏がらスープの山とでるアクと戦っているときによく嗅ぐ匂いだ。この匂い、私もだんなも嫌いじゃないけれど嫌いな人は嫌いであろう、そういう匂い。匂いの強いスープは白濁していない。ほんのり濁った醤油ラーメンと言われたらそうかと思う。中には平麺が美しく沈んでおり、小さめのチャーシューが2枚、上には葱がどばっとかかっている。

臭みの強いスープは、でも飲み込むとクセはほとんどない。鼻孔に来る刺激と比して、舌への刺激はあまりない。旨味濃厚でもすっきり、さっぱりしたスープが食道を下っていく。このスープが絡んだ麺もまた、濃厚な匂いを持ちながらさっぱりと口に入る。葱も一緒に噛みしめることでよりさっぱり。スープを取っただしがらのような感じのちょっとパサついたチャーシューも、不思議と悪くない。

店の客は全員オヤジである。平均年齢47歳といった感じのスーツ姿のおやじ達が赤い顔して焼き鳥を喰っている。脇に座った2人組のおやじは2人でラーメンを啜り始めた。ラーメンだけの客というのもちゃんといるのね。

濃厚さっぱりなとんこつラーメンで、今日の夕御飯終了。満腹満腹。
「一人だったらあと2〜3軒行くところかなっ!」
とほざく約1名存在していたので、「じゃあ行ってきなよ留守番してるし」と言ったらば本当に行ってしまった。何杯喰って帰ってくるつもりなのだろう……。

12/6 (水)
福岡市中央区天神「プルネール」にて
 クラブハウスサンドセット \530

福岡3日目。だんなは「マクドかケ(=吉野家)ででも軽く喰ってくわー。」と8時すぎにホテルの部屋から出勤してしまった。私と息子はしばらくごろごろした後に「じゃあ今日は太宰府天満宮に行こう!」と身支度を整える。

太宰府へは天神までバスで出て、西鉄福岡駅から大牟田線乗らなければいけないらしい。果たして午前9時前にファーストフード店以外で営業中の食事どころはあるのだろうか。とりあえずバスに乗り、繁華街に出てみることにしよう。

天神中心街からほんの少し外れた「アクロス福岡」なるビル、この地下に焼きたてパンを売るパン屋さんがあるらしい。朝8時から中のカウンター席でクラブハウスサンドイッチも食べられるということだ。朝御飯はサンドイッチに決定。

「市役所北口」なるバス停で降り、目の前の近未来的なビルに入る。吹き抜けのホールを地下2階まで降りると、奥のほうで確かにパン屋さんが営業中だ。近隣のサラリーマンなのか、スーツ姿の人がパンを買っては去っていく。なかなか人の入りの良いパン屋さんだ。カウンター席が7つほど、そこで店内のパンもサンドイッチも食べられる。

ドリンクセットつきのクラブハウスサンドセットは530円。はちみつトーストセットは400円。これらを頼み、アイスカフェオレとオレンジジュースをつけてもらう。親子並んで朝御飯。
4種から選べるクラブハウスサンドは"ツナ&コーン"にしてもらう。コーンの粒々を見たコーン大好き息子は案の定、「僕が食べる僕が食べる」と大騒ぎ。コーンを周囲にまき散らしながらクラブハウスサンドにかぶりついた。……コーンは止めておいた方が良かったかもしれない。

クラブハウスはふかふかの白い山形パン、対してはちみつトーストには全粒粉を使ったようなほんのり褐色のもちもちしたパンが使われている。小さな容器に入ったはちみつを、たらーりと垂らしながら食べる。淡い甘さで悪くない。
20分ほどでがつがつ朝食を平らげて、西鉄福岡駅に急ぐ。太宰府ってどのへんにあるんだろう(←調べておけよ)。

太宰府 甘木屋の
 梅ヶ枝餅

"終点まで追い越しなし"なる表示つきで運良く太宰府行き普通電車に首尾良く乗れ、そのままどこどこと40分ほど電車に揺られて学業の神様・菅原道真公を奉る太宰府天満宮に辿り着く。嘘か誠か、私の母方の実家には道真公の血が流れているのだと聞いたことがある(本家の姓は一応「菅原」)。ばあちゃんの家には、尤もらしい道真公の掛け軸があり、毎年大晦日と元旦の朝にはそれに向かってパンパンと手をはたくのがしきたりだ。産まれて初めての先祖を巡る旅。多分先祖じゃないとは思うんだけど。

駅の前からは200mほどの参道が続き、いかにもなおみやげ物屋や饅頭屋が並んでいる。うーん、良い感じ。左や右を眺めながら緩やかな坂を上っていく。

それほど混雑していない本殿にて参拝し、おみくじもぬかりなく引き(私は中吉、息子は末吉)、ついでに学業面で悩むことは今はないはずなのに絵馬まで奉納してみた。境内を散策し、のんびりとまた駅に戻る。

ここの名物は「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」なのだそうである。米と餅米でできた皮であんこがくるまれた饅頭だ。平べったいその餅は表面がこんがりと焼かれている。そもそも餅に梅の枝をつけて道真公に差し上げていたのが起源なのであるらしい。境内を抜ける鳥居をくぐってすぐのところの「甘木屋」なる餅屋をなんとなく選び、ここで1つ喰ってみることにする。焼きたてのやつをそのまま1つ、渡してもらう。アチアチ言いながら摘んで息子と2人で半分こ。

餅の中のあんは、店によってこしあん粒あんあるらしい。ここのは残念ながら(←私は粒あんが好み)こしあんだった。でも、薄いもちもちした皮にくるまれたさっぱり味のあんこは結構いける。ぺたっと平たく表面がこんがり焼かれているので食感が心地よくていくらでも食べられそうだ。

じゃ、電車に乗って天神に戻ろう。祈願成就のお守りも買ったことだし。

福岡市博多区天神「點心處COX-TOP」にて
 香港ランチ\1000
 マンゴプディング\480
 咸水角\450

天神に着いて、丁度お昼頃。「イムズ」なるファッションビルの最上階にある広東料理店に行くことにする。マンゴープリンがメニューにあるらしい。東京にもある店だけど、東京でも行ったことがないのであった。

1900円ほどでオーダー式飲茶バイキングをやっている。40種弱の点心が注文式で食べ放題になるということだ。……そこまで腹はすいていない。ランチメニューの中から、今日のおかずは「芝海老とホタテのチリソース」であるという”香港セット”を注文することにする。息子と分けて食べようと、好物の咸水角(揚げ餅餃子/ハムスイコク)も1皿追加、セットにデザートはついているけれどもマンゴプリンも更に追加。

テーブルには大きなポット入りのジャスミンティー。ぐびぐび飲みながら料理を待つ。
ほどなくやってきたセットはなかなかボリュームがあるものだった。メインのおかずに蟹焼売が3個、キャベツの千切りのサラダにザーサイ、とろみのついた卵のスープに御飯。そして咸水角は3個セット。

ん〜、普通、である。特段不味くはなく逆に美味しい部類だとは思うけど「おぉ〜いしいぃぃぃぃぃ!」となっちゃうほど美味しくはない。私とだんなが敬意を込めて"三翠"と呼んでいる「翠華樓・翠亨腟茶寮・翠園酒家」には遠く及ばない。焼売はプリプリだけどもうちょっと旨味があっても良いんじゃないかと思うし、スープはやたらととろみが強い割には薄味で飲んだ気がしない。キャベツときゅうり、プチトマトの入るサラダにはごま油の味のドレッシングがかかっているけどその量が多すぎて酸味で思わずむせてしまう。チリソース煮込みはホタテと海老がごろごろとしておりワンタンの皮の揚げたやつが混ぜ込んである。ほどよい酸味と甘味で美味しいけど、これなら自分でも作れそう……という感じ。
うーん、ランチで1000円でこの量ならこのぐらいの味で妥当なのかしら。もうちっと美味しくても良いんだけどなぁ……。

で、デザートもこれまたいまひとつだった。バットに固めてざくっと盛ったような杏仁豆腐は見た目はバッチリ美味しそうだったのにポクポクと固くてショックだった。"アーモンドゼリー"じゃなくて確かに"杏仁豆腐"なんだけど、肝心の杏仁の風味がこれまた乏しい。マンゴープリンも見た目はバッチリだったけど、「マンゴー、どこどこどこ!?」とその風味を探してしまうほどマンゴー風味の乏しいものだった。色もツヤも良いんだけどねぇ……。

時間は1時を越えた。お昼寝タイムの息子がそろそろ眠そうになってきたので、一旦ホテルに戻ってごろごろごろ。

博多区 ベイサイドプレイス博多埠頭の屋台の
 豚バラフライ
 鶏唐揚げ

今日のだんなの仕事の終了は遅くなるらしい。ならばと午睡から目覚めた息子を連れて夕方「博多ポートタワー」に行ってみることにする。有名な「福岡タワー」はホークスタウン近くの「シーサイドももち」エリアにある。対して「博多ポートタワー」は博多駅から車で直進10分ほどのところにある埠頭にあるのであった。バスに乗って海側へ向かってみる。きっとクリスマスのライトキラキラ、美しいんだろーなーと思いながら。

……が、博多埠頭近辺は思いの外さびれた雰囲気だ。入場無料の「博多ポートタワー」に登る人はなく、エレベーターホールも上部の展望所も人一人いない。人の気配が全くない展望台は、隅に私が移動するだけでタワーが倒れるんじゃないかという錯覚まで起こってくる。冷や汗かきつつタワーを降りて、隣接したショッピングエリアをちょっとぶらぶら。揚げ物を売ってる屋台があって、なんとなく美味しそうだったので2串貰ってみた。塩で揉まれた豚肉が揚げられたやつと、でかい鶏の唐揚げが2個、それぞれが長めの串に刺さっている。息子と2人で串持ってぶらぶら。うん、冷めてはいるけどこのフライも唐揚げも美味しいね。

寒くなってきたので宿に一旦戻ってだんなの帰りを待つとしよう。

博多区「ラーメン住吉亭」にて
 ラーメン \600

午後8時前に帰ってきただんなと夜のラーメン。立食パーティーがあって色々口にしてきたということだけれど、ラーメンは別腹であるらしい。目指すは博多駅東側、山王公園そばにある「ラーメン住吉亭」だ。

バスの乗り継ぎに苦労し、ついでにバス停からも5分ほど歩き、やっと小汚いラーメン屋に到着。店の中といわず外までも、何となくこってり脂っこい店だ。ドアを開けたとたんに漂うケダモノの香り。

カウンター席がずらりと15人分ほど並び、テーブル席は8人分ほど。カウンターの端に座ると目の前がラーメンスープの大鍋だった。息子サイズの物体が簡単に茹でられてしまいそうなサイズの鍋がどかんどかんと4個並んでいる。そこから濃厚なケダモノの香り。
私は普通のラーメン600円を、だんなはチャーシュー麺750円を注文。

鍋から白濁した豚骨スープがじゃぶじゃぶと注がれやや太めの麺がたぷんと入る。上にチャーシューが私のはぺらぺらと3枚ほど、だんなのは10枚ほどが並べられ、きくらげ少々。そして刻み葱がこれは手づかみでうりゃあぁぁぁぁぁと乗せられる。もう、どんぶりの上は葱!どこから見ても葱!葱ばっか!言われなければ私のラーメンとだんなのチャーシュー麺は区別がつかない状況だ。この葱の多さがなんとも嬉しい。美味しそうだ。

骨の中からゼラチン成分が溶けきったようなとろみのある素敵なスープ。濃厚すぎない程度に濃厚で、白濁加減は少なめだ。他と比較してやや太めのような麺はスープの絡み具合も意外にさっぱり。テーブルの上には紅生姜やからし高菜、胡麻や朝鮮人参の入った酢、なんてものが並んでいる。チャーシューは紙のごとくに薄いものがヒラヒラと、脂の層も良い感じのものが入っている。それほど味のついていないチャーシューだ。そして麺を喰ってもスープを飲んでもチャーシューを囓ってもまとわりついてくるのが大量の葱である。葱葱葱。葱好きの私とだんなにはとれも美味しく感じられるものだ。

かなり良い具合の豚骨ラーメンだったんだけど……やっぱり「秀ちゃんラーメン」がダントツに美味しいんだよなぁ……。最初にそんな店を知ってしまった自分、何だか不幸だ。(いや、幸福なのかもしれないけど)

12/7 (木)
ホテル日航福岡 ルームサービスの
 クロワッサン・シナモントースト
 ヨーグルト
 フレッシュグレープフルーツジュース

朝8時。だんなは最終日の仕事に向けてホテルを出ていった。私も最終日、どこへ行って遊ぼうか。ホテルをチェックアウトしたら夕方までずっと外にいないといけない。息子も疲れてしまうだろうし、ならばとチェックアウトタイムぎりぎりまで部屋でのんびりすることにした。

午前9時に起きた息子が腹がすいたと騒ぎはじめ、しかしこのへんで朝御飯を簡単に喰えそうなところに心当たりがない。マクドナルドはあるけど……何も福岡まで来てマクドナルドに行かなくても、と思う。結局ルームサービスを頼んでパンとジュースだけの簡単朝御飯にすることにしてしまった。ジュース600円パン300円。お安くはない。お安くはないけど、寝間着着たまんまで部屋から一歩も出ることなく朝御飯が食べられるならそれもまた悪くない。

さて、ワゴンにかかるリネンもピカピカな、頼んだ内容に比して豪華な食事がやってきた。糊のピシッと効いたナプキンがこれでもかと使われている。ジュースは氷入りの銀色の器に入って冷たいままでいるようになっているし、パンは冷めないようにナプキンでくるまれており、一輪挿しつきのジャムトレーにはストロベリーとマーマレードとブルーベリージャム。カーネーションが美しく飾られていた。ヨーグルトには砂糖と小さな容器入り蜂蜜まで添えられて、何だかきらびやかだ。うっとりしながら息子と一緒にまだ温かいトーストに囓りつく。

シナモンシュガーがたっぷりショリショリと層になったシナモントーストは薄めの厚さでパリパリに焼かれている。ほろほろ崩れるクロワッサンも良い感じ。ではこれから1時間ほど再び部屋でのんびり過ごして、それから今日は「福岡タワー」に行ってみることにしよう。キャナルシティももう一度行きたいし。

早良区マリゾン内「エル・エラソン」にて
 ランチバイキング \1200

博多駅前バスセンターから都市高速経由で早良区のホークスタウン方面へ。30分ほどバスに揺られると福岡タワー真正面の終点に到着する。時間は午前11時10分。もうすぐお昼時だ。

子連れでもあるし、混雑する時間を回避しようと福岡タワー観覧の前に昼食を取ることにする。海側に向かって歩いていくと、砂浜が見えてきた。その向こうに小さな島のようなショッピングモール然としたものが見えてきた。看板を見ると「マリゾン」と書いてある。なんとなーくさびれた印象の一角だったけどたまたま「ランチバイキング」という文字を見つけたのでその店に入ってみることにした。バイキング料理となると2歳児は大概無料なのである。ジュースをがばがば飲んでスパゲティやフルーツをがつがつ喰うであろう息子の事を考えるとその方が安上がりだ。

「エル・エラソン」なる海がよく見える2階のレストランはまだ客が1人もいなかった。食べられる人を待つバイキング料理が全て手つかずのまま並んでいる。ちょっとばかり恐縮しながら窓際の席につき、息子と一緒に食べまくる。

料理は20種類ほど。醤油風味のたれつきのステーキや茄子のトマト焼き、鶏肉のオーブン焼きやクリームコロッケなどが並ぶ。主食らしきものは油分が少なくてちょっとパサついているベーコン入りの炒めスパゲッティとカレーライス、チャーハン、シンプルなハムや野菜のサンドイッチなど。サラダ類とフルーツ、オレンジジュースにアイス烏龍茶にホットコーヒー。充実してるのかしてないのか良くわからない品揃えなのであった。

味は……まぁまぁ。特別美味しくもないし不味くもない。二度と食べたくないほどの不味いものは1つもないけど、「これはいくらでも食べられる」と思えるものも1つもない。でも良く見ると骨付き羊肉の前菜風のものだとか殻つき牡蠣のオーブン焼きなんてものがあるものだから、私は主にそればかりを食べまくるという嫌らしい戦法に出たのであった。12個ほど並んでいた牡蠣がみるみるうちに無くなっていく。ほどなくやってきた2組目の客、おばちゃんの2人組もねらったように牡蠣ばっか食べるので、わずか2組の客で牡蠣ワンプレートが無くなってしまったのであった。
なんか悪いことしちゃったかなー、と思いながらこそこそと退場。

早良区マリゾン内「ブルーレベル」にて
 バナナ・いちご・くるみソフトクリーム

食事をした「マリゾン」の1階には面白いソフトクリーム屋さんがあった。混ぜ込むフルーツを自分で3種類選んで作って貰うというソフトクリーム屋だ。

ベースとなるものは阿蘇の低脂肪バニラアイスかフローズンヨーグルト。それにパイナップルだのベリーだのマンゴーだのイチゴだのバナナだのオレンジだの、あるいはチョコやくるみ、カシューナッツなど10種類ほどの具から好みの3種類を選んで伝えるのだ。横のマシーンで何やらうねうねとやった後、綺麗に攪拌されたそれがソフトクリーム状になって出てくるのだ。お、面白い……。

ガラスケースにへばりついて具を考える。マンゴーとバナナも美味しいだろう。パイナップルも良さそうだけど、それならバニラアイスよりもフローズンヨーグルトのほうがきっと美味しい。イチゴとバナナとマンゴーなんて組み合わせにしたらちょっと想像できない味になりそうだし……と、無難なところでイチゴとバナナにナッツを加えたものにした。

美しいピンク色のソフトクリームを舐め舐め福岡タワー方面にぽてぽて歩く。確かにイチゴとバナナの味がはっきりとするソフトクリームだ。中に細かく入っている粒々したものがくるみであるらしい。きっとナッツ2種類とチョコレート混ぜて、なんてやっても美味しいんだろうなぁ。面白かったのでちょっとご機嫌な私。

キャナルシティ「ディッパーダン」の
 チョコカスタードクレープ
 メロンソーダ

高さ234mの福岡タワー、入場料\800を払ってその展望を堪能してみた。ついでに時間があったので「西部ガスミュージアム」なるところでガスの炎の芸術作品もぬかりなく堪能。こちらは無料だ。
午後2時、そして中心街に戻ってきた。2回目のキャナルシティでお店を色々物色し、大道芸やってた外人のお兄ちゃんの前で座り込んで鑑賞し、のんびり歩いていたところで魅惑的な香りと遭遇してしまった。甘いもの、粉ものが焼ける匂い。クレープだ。クレープの焼ける匂いときたら腹が空いてなくても空いているような錯覚を覚えてしまう。クレープの匂いには弱いのだ。クレープ以外にも人形焼きにも大判焼きにも弱かったりするけど、まぁそんなことはどうでもよろしい。

チョコカスタードクレープなる最高に好物な品を注文し、メロンソーダもつけてもらった。息子と二人でベンチに腰掛け、クレープをわしわしと食す。焼きたてアツアツのクレープはチョコレートがとろんと溶けてきて甘く幸せ。
あ、だんなから「仕事終わったよ」コールが入った。じゃあ急いでホテルに戻って、最後の食事に赴こう。

中央区「元祖長浜屋」にて
 ラーメン \400

「福岡に来ると、一度は食べておかなくちゃと思うんだよねぇ。ひとつは秀ちゃんラーメンで、もうひとつがこの長浜屋。」
と言って、だんなが「元祖長浜屋」なるラーメン屋に連れていってくれた。天神を通り過ぎ、長浜を通り過ぎ、店はその先の「港一丁目」のバス停の近くにある。本店と支店があるが、どっちも恐ろしくぼろっちぃ店構えだ。ちょっとひく。一人だったら入るのに勇気が必要そうな店だ。

店の中には小さめの丸い木椅子がごろごろと。赤い大きなテーブルがどんどんどんと4つ並び、小さめのテーブルが2つ。ごろごろとテーブルをとりまく木椅子に人が座ってラーメン喰ってる。1つのテーブルに6人ほどがかけられようか。店の中、ほとんどケダモノ臭さがない。店の外装内装共に小汚い印象があったのに、これにはちょっと驚いた。

壁には「ラーメン\400 替え玉\50 替え肉\50」なる潔いメニューの文字が並ぶ。メニューはラーメン、ただそれだけなのだ。店に入るなり、
「固め一丁ね!」
などと常連は素早く注文。
テーブルの上にはでっかい薬缶に入るお茶、小さめの薬缶には醤油、そして割り箸の入る巨大な容器に湯飲みの入る巨大なざる。これまた巨大な器に紅生姜。胡麻の容器もある。何やら全体的にダイナミックなテーブルだ。

店名の入ったどんぶり入りのラーメン。白濁が美しいスープに、麺は若干太めだろうか。「薄く切ろうとしたんだけれども崩れちゃうんです。」という感じに煮込みまくったチャーシューの薄切りがペロペロと入っている。ひとつかみほどの葱もぶわっと入る。

こってりさが無いわけじゃないのに不思議とさっぱりとした豚骨スープだ。ケダモノ臭さはやっぱり全くない。するすると飲み込めるのに、「これ!」という感じの豚骨スープなのである。店自家製だという麺にも良くなじむ。タレの味の染みたペロペロのチャーシューに程良い量の葱、全てのバランスがたまらなく良い感じだ。紅生姜や胡麻を入れつつ食べるとこれまた旨い。そう、「福岡ラーメンってこんな感じ?」と私が夢描いていた理想の福岡ラーメンを具現化したようなラーメンだったのだ。そうそうこれこれ、こういうのが食べたくて来たのよ!という感じ。

かくして、私はこの旅行初めて「どんぶり内のスープを全部飲み干す」という快挙をなしえたのであった。
いつもいつも残すのを非常に申し訳なく思いながらどうしても飲み干すことができなかったのだ。理由は満腹であったりスープの味の濃厚さであったり色々だったんだけれども。たとえば私が丹誠込めて作った鶏がらスープを知人に食べさせて残されたら「こいつには二度と喰わせないぞ」と思ってしまうだろうから、ラーメンスープも出来れば残したくはない。でも飲みきれなくて毎回痛恨なのであった。ここのは不思議とごくごく飲めた。旨かった。
福岡最終日の夜に素敵なラーメンを食せて私は幸せでございました。

かくして午後7時35分発、羽田着9時5分の便でめでたく我が家到着。
しばらくうどんと豚骨ラーメンは喰わなくていいや、と思いながら。

12/8 (金)
シカゴピザの「ツナマヨラー」 (夕御飯)
クリームパン
クロワッサン
カフェオレ

「明日の朝に食べようね〜」
と昨夜、福岡空港にてパンを買ってきたのだ。コーヒーを入れるくらいしか準備が必要ないパンの朝食は疲れた朝にぴったりだった。

店名は良くわかないけど「博多 酒蒸しあんぱん」なるものを売っていたコーナーである。だんなはそのあんぱんとカレーパンを、私はクロワッサンとクリームパン、息子用にはシュガードーナツ、それぞれ買って手荷物と一緒に空輸して持って帰ってきた。

「木村屋」にも似た、パンの生地がほんのりと甘い菓子パンだ。ご飯のようにちょっともちもちしており、その中にこってりしたカスタードクリームが詰まっている。さくさくのクロワッサンも悪くない。

だんなはお仕事、私はお休み。息子も旅行で疲れているだろうと保育園をお休み。
今日は一日ぐにゃぐにゃになる予定。山のような洗濯物を干し、ぐにゃりぐにゃりとし、山のような洗濯物を取り込むだけで一日を終える予定。……の筈だったのに、結局一日かけて旅行記なぞ書いてしまっていたのであった。山のようなデジカメ写真もやっと整理できた。
「香川うどん紀行」「福岡ラーメン紀行」を載せた旅行記コーナーはこちら。写真満載で読み返した私の腹が空いてしまうシロモノでございます。

冷凍カレーピラフ
牛乳

やる気がない。息子もやる気がない。午前中のほとんどを寝て過ごした息子は、朝食のドーナッツを囓ってからまた寝てしまった。全体的に家の空気がぼ―――――んやりしている。平和だ。

息子も寝ちゃったしなぁ、と冷凍ピラフを炒めるだけの簡単お昼ご飯にした。少量のバターで冷凍ピラフをアツアツになるまで炒める。卵があったらオムライス風にしようかと思ったけど、卵もまだ買ってきてないのであった。家を出ていく気力もないのでカレーピラフオムライス化計画は諦める。
ピーマンと人参、コーンの粒々が混ざるカレーピラフはいかにもな冷凍ものの味。それでもうどんとラーメンを馴染みすぎていた舌には新鮮に感じちゃったり。

シカゴピザの
 ツナマヨラーピザ
 バタードポテト
 シーザーズサラダ
コカコーラ

だんな、出張明けだというのにいきなり激ジョブらしかった。ああ可哀相。遠く家からだんなの昼食夕食における食生活の幸せを祈る私。美味しいもの食べてると良いんだけど。

こちらはこちららで相変わらずやる気がない。いや、やる気はある。旅行記作成に全力を傾けていて「夕食?なにそれ、美味しい?」という状況だったのだ。牡羊座O型動物占い「猿」の私はとことん一つのことにのめり込んでしまうタイプなのであった。

気がつくと7時だ。まずい。ご飯も炊いてないし、どころかおかず一つ作れる肉も魚も卵もない。山のような洗濯物も取り込んでいない。いや〜ん。
「どうしましょう。ここはひとつスパゲッティにてアーリオオーリオペペロンチーノでもしようかしら。」
と途方に暮れたところで、昨日ポストに入っていたシカゴピザのチラシと眼が合った。ツナとうずら卵とマヨネーズのピザ。キャンペーン中にてコーラかポテトつき。……取りますか?取っちゃいますか?どうよ息子?

息子に判断をゆだねる。チラシをつまんで彼の目の前へ。
「喰う?」
と聞いたら
「おぉ〜いちそ〜〜〜〜ぅ!」(=美味しそう)
という返答をいただいたので注文の電話をかける。
息子は食べ物の写真であるならば大抵のものは「おいしそう」と言うのであるけれども、そのことはヒミツなので問題はないはずだ。

「50分ほどかかりまス〜」
と電話の向こうの頭のネジが3本ほどゆるんだような感じのお兄ちゃんは言っていた。
注文は7時20分。なのに届いたのは8時50分。……うーむ。

マヨネーズ風味の、ツナ山盛りのピザはまぁまぁ美味しかった。1切れに1個乗っている半割のうずらの卵が泣かせてくれる。
皮付きのスパイスをまぶしたポテトは、シェーキーズのピザ食べ放題コーナーにいつもあったあのポテトを彷彿をさせた。サラダを喰いポテトを喰い、ピザを喰い、久しぶりに口のまわりがチーズの油でベタベタになるようなものを食べて、ちょっと満足。

12/9 (土)
新記(台場)にて「鼓椒排骨撈麺」 (昼御飯)
お台場DECKS内「香港麺新記」にて
鼓椒排骨撈麺
牛バラ飯
マンゴープリン

本日は、来月転居予定の住宅の下見に行くのである。今まで十ン万かかっていた家賃が転居することで何分の一かになるのだから有り難いことではある。
転居予定先は、なんとだんなの実家から歩いて10分という絶妙な地である。お義母さんもお義父さんも大喜びであるらしい。
もうすぐお台場近郊という幸せを享受できなくなるのね〜……というわけで、下見に行く前に台場で飯を喰うことにした。

なんでもDECKSに「アイランドモール」なる新ビルがオープンしたのだそうなのである。その中には「台場小香港」なる、香港の街角をそのまま再現したフロアがあるのだとか。香港屋台風料理の店や麺の店、雑貨屋やマッサージ屋が並ぶという、聞くだに魅惑的なスポットだ。きっとマンゴープリンもたくさんあるに違いない。行ってみましょうそうしましょう。

オープン1週間後の週末、やはりかなりの人がやってきている。普通のファッションビル然としていたビルだが、エスカレーターを上り6階に到達するといきなり視界は暗くなる。眼がチカチカする華やかな香港風看板にライティング、時折鳴り響く飛行機の轟音の効果音などかなり凝っている。うきうきしちゃう。
息子よりもだんなよりもテンションが上がっていた私は「うひょー」「ひょえー」「すっごーい」とフロアを駆けずりまくった。あるある、食材屋に見たことないマンゴープリン、そこここのお店にもマンゴープリン、「回転飲茶」なるけったいなお店のメニューにもマンゴープリン!
で、「新記」という麺料理屋に入ることにしてみた。香港の中環(セントラル)エリアに本店を持つ麺料理屋であるらしい。チープな感のある「牛バラ麺」「骨付き豚肉麺」などと共にメニューに載るのは「マンゴープリン」の文字。

つゆ麺と小さなどんぶりご飯のセット料理がランチにはある。だんなはフィッシュボールやワンタンの乗るつゆ麺とチャーシュー飯、春巻とザーサイと杏仁豆腐のセットものを頼んでいる。私は単品で骨付き揚げ豚バラ肉の汁なし麺「鼓椒排骨撈麺」と小さな牛バラ肉のご飯、そしてマンゴープリンを注文。

店はざわざわ、小ぶりの背のない丸椅子に同じ素材のツヤツヤしたテーブルが並ぶ。私たちは大きな6人がけの席に他のカップルと合い席だ。なんだか香港の甘いもの屋さん「糖朝」みたいで、ますますわくわく。

ほどなく麺がやってきた。つゆ無し麺はオイスターソースベースのタレが絡んでトロンと光っている。揚げ豚肉と共に青梗菜も添えられる。麺は「日本麺」と、それよりも細く縮れの強い「香港麺」から選べる。香港麺を頼んだこの皿、クネクネクネクネとした麺が美しい。これと、煮られてぐずぐずになった牛バラ肉がタレと一緒にご飯にかかった小どんぶり、それに葱の浮いたスープがテーブルに並んだ。

スープを一口。「化学調味料が耳掻きいっぱい入ってまーす」という感じの味。だんなのつゆ麺も同様だ。なんとなく想像していたことではあったので、あまりショックも感じられず、逆に「そうそう、このチープな感じなのが食べたかったのよ〜」などと思ってしまう。こってり甘辛い麺に更にこってりした豚肉もまた悪くない。牛バラご飯はちとタレが少なかったけど、なんかがつがつ食べられちゃうような感じではある。

ちょっと固めではあるけれども果肉ごろごろのマンゴープリンもぺろりと平らげ、全部片づけた後で気がついた。
「麺料理、しばらく食べないんじゃなかったっけ……」
(ま、今のはうどんでも豚骨ラーメンでもないけれど)
ただいまオープニングフェア中ということで、先着100名様にプーアル茶の箱をくれているらしい。緑色の小箱を貰い、ますます御機嫌な私たち。

お台場DECKS内「DRAGON Deli」にて
 マンゴープリン \230

「台場小香港」をおおいに堪能。ナムコの小さなゲームセンターなどもあり、なかなか楽しい。
階下に降りて雑貨屋が並ぶフロアなど歩いていたら「DRAGON Deli」なるデリショップがあった。輸入物の食材を多く揃える「Deli」はあちらこちらにあるけれど、ここはどうやらアジアもの専門の「Deli」なのであるらしい。併設コーナーでは200〜300円ほどの料金でマグカップにて中国茶が飲めたりする。白牡丹(パイミュータン)なんてお茶をマグカップで安価で飲めるというのは嬉しいものだ。ちとここで休むことにする。

だんなは白牡丹、私はマンゴープリン、息子にと泡茶のキャラメルティー。キャラメルティーはキャラメル風味の冷たいお茶で、表面が泡立ち、その下には今流行りの巨大黒タピオカが沈んでいるものだ。太い太いストローでずずっと啜ると中を巨大なタピオカが走ってくるという奇妙な食感のドリンクである。

マンゴープリンは、パックものを開けたもののようで香料バリバリ、マンゴーの風味ほとんどなし!の「ああ、やっぱり……」というものだった。こういうの、「中華街土産!」とか「香港土産!」とか言って同じようなのが大量に売られている。本当の手作りマンゴープリンはこの1億倍くらい美味しいものなのに、こういうものをいわゆるマンゴープリンだと思う人が多くいると思うとなんだか悲しい。これに限らず杏仁豆腐も同じような境遇だったりするんだけど。

だんなの実家にて
 トマトとアスパラ、生ハム、チーズの盛り合わせ
 蓮根とベーコンのきんぴら
 ローストビーフサラダ
 鰆の西京焼き
 きのこと油揚げの味噌汁
 ご飯
 ビール

午後、千葉市某区へ向かう。転居予定の部屋の下見を済ませ、その後にだんなの実家へ。
引っ越し予定の部屋は思ったよりも遥かに広く、綺麗だった。扉がガタピシだし天井の砂壁然としたところはヒビなんか入っちゃってるけど充分暮らせる。引越大好きな私は今からわくわく。それにこのエリア、今のところと違って周囲にお安いマーケットが沢山あるのだ。ますますわくわく。

だんなの実家に行くと、まだ12月半ばというのに息子のクリスマスプレゼントが用意されていた。ピカピカのカラフルな三輪車だ。そのままずるずると居座り、夕飯まで御相伴に預かる。不意な来客であっただろうに、今日もおかずがずらりと並んだ。酒の肴にとチーズに生ハム、アスパラの炒めとトマト。山盛りのローストビーフに薄切り玉ねぎのサラダ。ご飯のおかずに鰆の西京焼き。しめじと椎茸と油揚げの入った味噌汁は味噌味が薄めでうっすらとろみがついていた。だんなが居て、酒飲み相手がいるお義父さんもどことなく御機嫌だ。普段の倍の人数で囲む食卓もにぎやかで楽しい。

今日もいつものごとく食い散らかすだけ食い散らかして帰ってくる。いつもいつも何がしかの食べ物をくれるお義母さん、今日は山ほどの林檎とさとうきびからできた「一番糖」なる巨大な砂糖の袋を下さった。もうすぐ近くに住むので、ますます貰いやすくなることでありましょう(←まだ貰うんかい!)

12/10 (日)
回鍋肉 (夕御飯)
カップ麺「恐るべきさぬきうどん」きつね
アイス烏龍茶

朝から何をしてるかと言うと、パジャマ姿で夫婦してインターネットサーフィンしているのである。
うどんのページばっか見ていたら、うどんが喰いたくなったのである。
「もう麺は食べないわ!」
とか言いつつ昨日もラーメン喰ってるし、そして今日はうどんかい!という気がしないでもない。だが、我が家の食料庫には珍妙な品が4つほど転がっているのであった。

カップ麺「恐るべきさぬきうどん」。"かきあげ大"。及び、"きつね大"。

そのパッケージの文字ときたら書籍と同じフォントである。
「すっきりダシに大きな具!これが讃岐うどん「針の穴場」のバーチャルテイスト!」
なんて煽り文句がついている。怪しすぎる。

なんでも10/23から京阪神のローソンで一斉発売された麺なのであるらしい。「当面四国では出んから」と香川旅行中に購入した『さぬきうどん全店制覇攻略本2』((株)ホットカプセル)には書いてあったけど、ちゃっかり高松市内に売っていた。それも山ほど。面白がって2種2個ずつ買ってきたのだが、ただでさえキツキツだったスーツケースに体重かけて押し込んだ所為で2つほどはゲショゲショにパッケージが潰れてしまった。でも喰う。中身は潰れてないはずだ。たいして。

さぬきうどんに再び懐かしさを感じた我らは、日曜の朝からいそいそとカップ麺を作るのであった。生麺を一度湯でほぐし、湯を捨ててからスープや葱を投入し、再び湯を注ぐ。1分たったらできあがり。だしからは微かにいりこの香りがしないでもない(ような気がしないでもない)。

さて、うどんはやっぱりうどんだった。カップ麺のうどんだった。箸でちぎれる。コシも喉越しもあったもんじゃない。だしはまだ多少まし、くらいだったけど、今までのカップ麺うどんを駆逐できるほどの旨さは感じられなかった。油揚げも何だかアルコール臭いし。
うぇ〜んうぇ〜ん、ホンモノのさぬきうどんがまた食べたいよぅ。……え、JASのマイルがもう1万マイル溜まりそうなんですか!?じゃあもうすぐ行けるじゃないすかだんな!!!(でもJALマイルは2万マイルが溜まりそうなのよね〜←2万あったら香港に行けちゃうのね〜)

ケンタッキーフライドチキンの
 カツサンドセット
 (チキンカツサンド・ポテト・スプライト)
 ビスケット
 コーンサラダ
ミスタードーナツの
 シナモンロール

旅行から帰ってから買いだしに行ってないので食糧が全然ないのである。ベーコンとスモークチキンしか入っていない冷蔵庫内蛋白質置き場はちょっと寂しそうだ。近所のスーパーにチャリこいでいく。

小ぶりだけど安いカサゴを「アクアパッツァにしましょー」と買い込み、ピカピカの出始めイチゴを1パック498円で買い込み、キャベツや豚バラ肉等々も買い込んだ。ついでに14500円なんてイカした値段のスーツをだんなは買っていた。裾上げ完了予定時間まで、まだちょっとあるみたい。スーパー内のファーストフードコーナーで簡単に昼飯喰っちゃうことにしよう、ということになる。

がばっと広いフードコーナー。簡素なテーブルと椅子がずらずらっと配置されており周囲にお店がカウンター式で並んでいる。ケンタにミスドにマクド。クレープ屋さんにラーメン屋さん。なんとも無秩序で、いかにも、という感じ。子供が走り、おじさんは疲れ、おばさんは叫ぶ。だるそうな女子高生2人組や、子供のことおかまいなしでしゃべりまくる若いお母さんたち。

「カツサンドセットを頼みます〜」
と息子と二人、席を死守してだんなを待つ。だんなが持ってきてくれたトレイにはセットが2つと何故かビスケットやコーンサラダやフライドフィッシュまで乗っている。
「いや〜、おゆきさん、ビスケット好きだよなぁ、と。サラダはおゆきさんと息子が喰うだろうなぁ、と。で、フィッシュは俺のね♪」
とだんな、その購入した物品の展望を語る。うん、確かにビスケットもサラダも大好きです。……でもちょっと多いです。

マヨネーズたっぷり、ソースが染みたチキンカツサンドは相変わらず旨い。ハンバーグ系、ちょっと飢えていたのだった。塩気の多いポテトとか、炭酸ジュースとか。メープルシロップをこてこてとビスケットにつけて食し、ついでに息子が残してしまったミスドのシナモンロールの残りも囓る。甘い甘いシナモンロール、砂糖が固まるその上からコンデンスミルクと思われる甘くて白いソースがかかっていて、何とも甘い。外も甘ければ中まで甘い。力が出たところで、買い物袋3つにいっぱいになった食糧を抱えて帰るとしよう。

回鍋肉
豚肉と白菜の中華風スープ
ご飯
インディアペールエール、アイス烏龍茶

久しぶりの自家製ご飯。豚バラ肉を買ってきて、回鍋肉だ。
まずは塊の豚バラ肉をぐらぐら茹でることから料理は始まる。青葱と生姜と一緒に茹でること30分、茹でたお湯は美味しいスープになる。茹で肉を薄切りにし、一度湯通ししたキャベツやピーマン、長ねぎと一緒に醤油や甜麪醤入りの合わせ調味料で炒め合わせる。たっぷりの生姜とにんにくも忘れずに。

夕方から、転居先の間取り図などを方眼紙に書き起こすことに夢中になっていた私。鼻息荒くテーブルに向かっていたらだんながキャベツを刻み、調味料を準備し、結局炒めるところまで全部やって下さった。
しばらく順調にふんふんと調理場から楽しそうな声が聞こえてきていたのだが、出来上がり間際になってから
「おゆきさ〜〜〜ん。なんだか凄い量になっちゃったよ〜〜〜。」
と泣き声が。

見に行くと、中華鍋にたっぷりの回鍋肉ができあがりつつあった。我が家で一番巨大な皿を出しても上までたっぷりの回鍋肉になってしまった。うわ、これ喰えるでしょうか全部……。
まぁ喰いきれなかったら明日の朝御飯か何かに移行だ、と思いつつだんなとビールで乾杯。久しぶりに家で飲むビールは腑に染みわたった。甘辛い回鍋肉が進む進む。ビールからご飯に切り替えても回鍋肉が進む進む。結局山のような回鍋肉は全部我らの胃袋に消え去ったのであった。……げふ。

そうそう、だんなは今日一生懸命端末に向かっていた。端末に向かい、「食欲大魔人特別寄稿」うどん編と福岡ラーメン編2を書き上げていた。私の表現と違って、これまた味わい深いです。こちらからどうぞ。