食欲魔人日記 01年03月 第4週
3/19 (月)
鰹のたたき (夕御飯)
3日目の豚汁
バターロール
抹茶入り玄米茶

「卵でも焼こうか」
と訊くと、
「うんにゃ〜、豚汁があるからいーよー」
と即座に返ってきた。豚汁があればご機嫌なだんな。豚汁があれば、おかずもいらないだんな。だんなは豚汁が大好きなのであった。いや、私も大好きなんだけど。

3日目の豚汁にぶわっと刻み葱を散らして七味唐辛子をふり、あとは炊きおきの御飯……と思ったが1膳分しか残っておらず、私はバターロールを囓ることにした。また調和もへったくれもない朝御飯だ。

たっぷりの胡麻油で具を炒めて作られた豚汁は、最後まで濃厚なコクがあって美味しかった。豚肉が千切れてどこ行ったかわからなくなっちゃってる状態も、残り物のかぶを放り込んだは良いけれど溶け去って跡形もない状態も、それもそれで良いかと思う。3日目の豚汁は、ほんに美味しい。

バタートーストwithミルクジャム
ミルクティ

「ミルクジャム」というものが、何でもここ数年流行っていたらしいのである。つい1ヶ月ほど前、もう巷のブームもとっくに収まっていると思われる時期に、私は初めてこの存在を知ったのであった。
なんでも、牛乳を煮詰めて作るジャム……というかペーストなのであるらしい。そりゃもうミルクの風味が濃厚で、どことなくカラメルの味でもあるのだという。その説明を聞いただけで色めきたつ乳製品ラヴァーな私なのであった。

何でも、紅茶やパンで有名なフランスのメーカー「FAUCHON」のものが人気であるということだ。さっそくお店で見たところ、1500円だかする巨大な瓶が売られていた。その瓶の巨大さと値段に臆した私はFAUCHONをすごすごと後にし、そして時が経つこと1ヶ月。小岩井の小さな瓶入り500円程度のミルクジャムを発見するに至った次第だ。これなら値段も大きさも気にすることなく購入できる。ありがとう小岩井。ありがとうミルクジャム。

……というわけで、トーストに塗ったくって食べる。
ベージュ色のペーストはぽってりした濃度で、濃厚に甘い。コンデンスミルクにカラメルを混ぜたような味で、コンデンスミルクがお好きな方にはたまらない、といった感じ。パンにも合わなくはないけど、バニラアイスクリームにつけたり紅茶に溶かしたりする方が案外と美味しいやもしれなかった。つけすぎに要注意だ。

このミルクジャム、自分でも作れるものらしい。30分牛乳をかき混ぜ煮詰める根気は、私にはちと無いかもしれないけど。

鰹のたたき
きのことベーコンの炒め物
ピーマンとじゃこの佃煮
茄子の赤だし
御飯

いちご with コンデンスミルク・牛乳

夕食のメインは鰹のたたき。
いつも、万能葱とにんにくの刻みをぶっかけて、柚子酢入りの醤油だれをぶっかけて食べるばかりなものだから今日はちと工夫。工夫と言っても、ケンタロウさんの本を参考にしただけだから威張れたもんじゃないけれど。

鰹の上に、貝割れ大根と茗荷と万能葱の刻みをたっぷりと盛りつけ、タレは醤油2に胡麻油とレモン汁を各1の割合で、それにおろし生姜とおろしにんにくをたっぷり混ぜる。野菜たっぷりのたたきにした。

あとは冷蔵庫の残り物と相談してこちゃこちゃとおかずを。
しめじとマッシュルーム、しいたけはベーコンと炒めて塩胡椒ガリガリ、醤油をひとたらし。ピーマンとじゃこは醤油と味醂のだし汁で甘辛く煮て、茄子の味噌汁は赤味噌で濃いめの味にした。炊きたての御飯も揃えれば、和風の食卓の完成。なかなかにヘルシィにできたような気がする。おかずの量の多さは気にしてはいけない。

貝割れ大根や茗荷が山積みになった鰹のたたきはさっぱりと旨かった。タレに入るおろしにんにくでは飽きたらず、薄切りにんにくもたっぷり混ぜ込んでにんにくがガツンと効いた鰹のたたき。胡麻油入りのタレなものだから、野菜もサラダのようにバリバリ喰える。

デザートにコンデンスミルクと牛乳をぶっかけた苺。

3/20 (火)
だんな特製味噌バターコーンラーメン (昼御飯)
アップルデニッシュ
コーンマヨパン
アイスカフェオレ

今日は祝日。くーかくーか寝ていたところ、起床は10時だ。
昨日だんなが買ってきてくれた菓子パンにて朝御飯。アップルパイにも似たアップルデニッシュと、コーンたっぷり、上にマヨネーズクリームのかかるコーンマヨパン。コーンマヨパンはトースターで温めて、その間にアイスコーヒーをマグカップにたっぷり作る。牛乳も入れて、アイスカフェオレ。

今日は良い天気だ。どんどん暖かくなってくるし、それに合わせてベランダのハーブ群がめちゃめちゃな勢いで成長し始めた。小山のようにわさわさと増えてくるイタリアンパセリは、さてどうしよう。

だんな特製味噌バターコーンラーメン

「無性にラーメンが食べたいぞー」
と朝食後、だんなは一人近くのスーパーにかっとんで行ってしまった。パック入りの味噌ラーメンと共にもやしや豚肉も買ってきた。

だんなの作る味噌ラーメンは美味しい。もやしや豚肉をしっかり炒めてそこに本来湯で溶くだけの濃縮スープを入れ、湯を加えて煮立たせるのだ。コクが倍増して何とも美味しい。その上にホールコーンの缶詰を開けてどかっと乗せて、バターもひとかけら落として完成。味噌ラーメンはやはりコーンとバターが無ければと思う。

鼻の頭に汗かきつつ啜るラーメンは美味しい。もやしはシャキシャキ豚肉たっぷり、コーンも甘くて大量に入っている。溶けていくバターを溶けきらない前に食べちゃうのがまた美味しいんだな。

ミートソースのリングイネ
シーザーズサラダ
モルツ、アイスカフェオレ

数時間前、「無性にラーメンが食べたいぞー」と言っただんなは、同じ口で「夜は……ミートソースみたいなのが食べたいぞー」と続けた。麺が続くような気がしないでもないけれど、食べたいというのならば仕方がない。いや、私もミートソースという言葉を聞いたらそれを食べたくなってきてしまったのだから人の事は言えない。

いくつかあるミートソースのレシピの中から、林望さんのエッセイに出てきた作りかたを参考にしてみることにした。手間はかかるけど美味しそうだ。肉を炒め、野菜をせっせを炒め、赤ワインとトマトでぐつぐつと煮込んでいく。スパイスもけっこう入る、大人の味だ。

缶詰ではなく生のトマトを3個使ったミートソースは甘く美味しくできた。上に刻んだ自家栽培のイタリアンパセリを散らし、パルメザンチーズをガリガリ削ってふりかける。
卵黄とアンチョビを混ぜ込んだチーズソースで作ったシーザーズサラダも添えて、パスタをがつがつと食べる。
「いやぁ〜、今日はパスタ、450gは茹でちゃったよ。」
ってだんな、それって5.5人前……(汗)(どーりで多いと思ったわよ)

こんなに「引用」しても許されるのかと思いつつ、作り方は以下に。いや、ホントに美味しかったもんだから。
(レシピ中の言葉は全て原文ママでございます)

【 ミートソースのつくりかた 】

ちょっと志の高いミートソースを作ってみよう。仲々クロウトっぽい味がします。

材料
牛の挽き肉400〜500g
タマネギ大1個
ニンジン5センチ
セロリ2分の1本
トマト中3〜4個(生でも缶詰でもよい)
ニンニクひとかけ
ケチャップ大匙1杯まで
パセリひと房
オリーブ油、バター
小麦粉中匙1杯ほど
スープ1カップ
適当
赤ワイン適当
スパイス
  セージ、タイム、コショウ、チリペッパー、タバスコ、
  ベイリーブス(2枚)、オレガノ、ローズマリー

まず下ごしらえから、つまり牛挽き肉に下味をつける。これが第一着手。
塩小匙2分の1、コショウ、セージ、タイム、チリペッパーなどを肉に振りかけてよく混ぜておく。
ニンジンとセロリはおろし金ですりおろしておくのがよろしい。タマネギはみじん切り。ニンニクはさらに、あたかも粉のような微細なみじん切りとしておくのである。
パセリはひと房をすべてニンニク同様のみじん切りにし、これを半分ずつに分けておく。そのうちの片方は、盛りつけの際に用いるのであるのから、ふきん等を以て、水気を切っておくべきであろう。
トマトはもちろん、赤くよく熟したものがよいのであるが、これを熱湯に湯浴みさせて皮を取り(つまり湯剥き)、然る後に3センチ四方ほどの大きさに切っておく(手でちぎるようにしたほうがよりよい)、もっとも、これは水煮にした缶詰でも構わない。
いよいよ本番である。

  1. 厚手のソースパンに、各々中匙1杯のバターとオリーブ油を入れて熱し、ここへ牛の挽き肉を入れて炒め、一応火が通ったところで、小麦粉をぱらりぱらりと振りかけ、これも完全に火が通ったところで、赤ワインをかけて、しばらく蒸らし、別の皿にとっておくことにする。

  2. 再び、厚手のソースパンに、バターとオリーブ油各々中匙1杯を入れて熱し、ここへタマネギ、ニンニク、セロリ、ニンジンを一緒に入れて、根気、根気そしてまた根気と、気を長くしてゆっくり炒めるのだ。これらがすっかり焦げ茶色となって、その実体を失うまで、とにかく焦げつかせぬよう、ゆるやかに炒め続けるのである。

  3. 2の完了したところへ、1と混ぜて、しばらく炒めると、神よ、さしものタマネギが、どこへ行ったか分らぬほどに、その実体を隠してしまうのだ。ここへパセリのみじん切りを2分の1量加え、しばらくあって、1カップのスープストック、トマトをいっぺんにソースパンに投げ込み、そこへ破いたベイリーブスをはじめとする各種スパイスをほうり込んで、さて、赤ワインなどもじゃぼじゃぼっと入れるのである。

    (上の123の工程は、12を逆にして簡略化することが出来る。その際は大匙1杯半ずつのバターとオリーブ油でまず、タマネギ、ニンニク等を炒め、それが焦げ茶色になったら、そこへ牛肉を入れ、これも炒め、小麦粉をふって更に炒め、次にワインという具合になる。)

  4. あとは、弱火にて、ひたすら煮込むばかりである。

  5. そうしていささか水気がなくなってきたら、何はさておいて、焦げつかせぬように注意しながら、コショウ、塩、チリペッパー、タバスコなどを入れて、味を調えるのであるが、こればかりは書くとも筆に尽くし難く、どうあっても、料理人各自の自覚と見識に従って宜しく味を調えられたい。で、仕上げにオリーブ油を大匙1杯から2杯ほど入れると、頗る艶と風味を増すのである。ケチャップは、今少し甘味が欲しいという向きに、せいぜい最大大匙1杯まで入れてもよいが、これ以上入れるこおは、悪魔の誘いといわねばならぬ。なぜなら、折角これほど心を込めて作ったソースがすっかり下品な味になってしまうからだ。

  6. かくて、これに平行して、時間を見計らってスパゲティを茹でておき、茹であがったところへ、間髪を入れずミートソースをかけ(もちろん皿は温めておくのだよ)、食卓へ運んで行くのがあるべき姿というものです。
    この際に、かねて用意のパセリのみじん切りを彩りに振りかけると、赤いソース、白いスパゲティ、そして緑のパセリと、目にも美味しいというものだ。かくて、食卓には、パルメザンチーズとタバスコを、程よく配置し、さぁ、食べよう!
出典:『音の晩餐』(林望・徳間書店・1993.5)

いつ読んでもどことなく雅な文体に、模写(模打?)している私はちょっと楽しかった。
かような雅な文体満載の『音の晩餐』は伝説の「あんこまパン」他「ベーコンドレッシングのサラダ」「美味特上ボルシチ」「サマープディング」などの魅惑的なレシピ満載でございます。確かもう文庫にもなってる筈。(と宣伝して派手な引用のいいわけにする私)

3/21 (水)
アジアン・デリの「油淋鶏飯」 (夕御飯)
スクランブルエッグ
おむすび
茄子と油揚げの味噌汁

昨夜から、突然鼻水が止まらなくなった。常に鼻の奥の方で何かがツンツンと皮膚に突き刺さるような感覚があって、大変につらい。まだ花粉症発症の洗礼を受けていない私だったけど、これが噂の花粉症というものなのだろうか。「どうか風邪であってくれい」と妙な願いをかけつつ、朝御飯。

昨夜、炊飯器に残っていた御飯をだんなが握り飯にしてくれた。
「明日の朝、食べましょう。おむすびってさぁ、握ると握るそばから食べたくなるんだよねぇ。」
などと言いながら。彼の作るおむすびは私の作るそれよりも美しい。きちっと三角形に握られているし、具入りのやつははみ出ずにできあがる。私は、どうも苦手なのだ。

白い塩味のおむびが3つ、食卓に。私は1個でだんなは2個、ついでにスクランブルエッグも作ってつまみながら囓る。たらこおむすびが恋しくなったので、今度たらこを買ってくることにしよう。

薄切りトースト with ミルクジャム
紅茶

鼻水、未だ止まらず。ついでに頭も重くなってきたので風邪の疑いが濃厚になってきた。ああ、風邪で良かった。
本当のところ、鼻が詰まって匂いも味もあまり感じられなくなっている状態なので食欲もあまりない。「喰わなきゃ薬も飲めんしな」とトーストを焼くことにした。バターを塗らずに焼いたトーストに、先日購入以来はまってしまったミルクジャムをこってりつけて食べる。紅茶は牛乳も砂糖も入れないやつを甘いパンと一緒に流し込んだ。美味しい……けど、いつもより美味しくない。ああつまらない。

食後、止めときゃいいのに病院でもらえる風邪薬と、鼻炎用カプセルを両方飲み下してしまった。しかも鼻炎用カプセルは処方の2倍だ。それだけその時の私はせっぱ詰まっていたのだと思うけど……本当にやめときゃ良かったのである。

アジアン・デリの油淋鶏飯
お茶

夕方になって、恐ろしい勢いで鼻水が止まった。頭の重いのも止まったけど、その代わりに身体全体が重くなった。
眠気も襲ってきて、夕方5時過ぎだというのにそのまま昼寝(夕寝?)に突入してしまう。動かせなくはないけれど、指1本動かすのもめんどくさい、という心境だ。風邪の症状か、薬の副作用か。ぼーっとした頭で「いいや、寝ちゃえ」とごろごろする。

夕飯は、そういう次第でだんなに買ってきてもらってしまった。
最寄りの駅前に「アジアン・デリ」というジャンクな中華御飯テイクアウト屋ができてからというもの、「何かあったらここに頼もう、美味しいし」という妙な信頼感というか安心感がある。今日買ってきてもらったのは「油淋鶏飯」。揚げた鶏肉の上に甘酢の葱ソースがかかってるやつだ。ほのかにケチャップの味もして、相変わらずジャンクな風情なのであった。
体調悪くでぐらんぐらんしている時にそんな揚げ物喰うなよとも思うが。

何ともチープな色使いの派手な赤い模様つきのプラスチック容器にたっぷりと御飯。青梗菜の炒めともやし、高菜のナムル風のものが盛られて、揚げ鶏がどかんどかんと乗っている。ああ、相変わらずどこか安っぽい味がするのに何とも美味しい。ステキだ。

ぺろりと丼を平らげ、8時過ぎだというのにそのままとりあえず寝ることに。
まだ早い時間に早々に寝るというのは、病人気分が盛りあがって、どことなく楽しかったりして。

3/22 (木)
合鴨の焼き浸し (夕御飯)
月見うどん
お茶

昨夜、風邪らしき症状でぶっ倒れてから12時間、我ながら良く寝た。目覚めても、残念ながら不調だった。脳味噌がフルーチェにでもなったかのように頭の中がぷるんぷるんする。
今日の午後は、息子の保育園入園の説明会に行かなければならない。這ってでも行くか、と思っていたらだんなが仕事を休んでくれた。ありがたやありがたや。

朝飯は、うどん。カトキチの冷凍うどんをゆがいて、顆粒のヒガシマルのスープを溶いただしに入れただけの、すうどん。リクエストして卵を1つ落として貰って、私のは月見うどん。
「病人だから滋養をつけなければ〜」
とふがふがうどんを啜る私に
「滋養って……このへん?」
とだんなは私の腹の肉をぷよぷよと撫でた。
ええ、どうせ私は身体中が滋養で満ちあふれておりますよ、ええ。

モスバーガーの  かき揚げライスバーガー
 モスチキン
 コーンスープ
紅茶

先日来、TVCMを見る度にモスバーガーの新商品が気になっていた。ライスバーガーの新作、かき揚げライスバーガーだ。なんだかとっても美味しそう。

「昼御飯は、何を食べたい?モスバーガー?」
と尋ねただんなに私はこくりと頷き、
「どういうのが食べたい?」
と続けただんなに
「かき揚げバーガーと、モスチキン」
と即答。
「揚げものばっかりじゃねぇかぁ〜病人がぁ〜」
とだんなはその場に突っ伏した。
だって、かき揚げバーガーは食べたことないから食べたいし、モスチキンは好物なのでやはり食べたいのだ。この際、風邪という私の身体的事情は二の次なのだ。
少々呆れながらも、だんなはモスバーガーに買い出しに行ってくれたのだった。

魚介入りのかき揚げ入りのライスバーガーは天丼に似た味で期待通りの旨さ。テレンとした甘辛いタレが御飯にも天ぷらにも染みている。生姜醤油の和風な味のモスチキンも相変わらず。揚げ物ばっかりだろうと、モスバーガーの品々はやっぱり私好みなのであった。

合鴨の焼き浸し 白髪葱添え
ほうれん草の胡麻和え
ピーマンとしらすの佃煮・海苔の佃煮
大根の味噌汁
御飯
モルツ、冷茶

和風の夕飯が食べたいなぁと思っていたところ、だんながさくさく動いて全ての夕飯の支度を整えてくれた。米を研いで味噌汁を作り、ほうれん草は甘さ薄めの胡麻和えにして、買い置きの合鴨肉は胡麻油でじっくりと焼く。

焼いた合鴨肉はスライスして、醤油と味醂のソースをぶっかけ、白髪葱を盛って食べる。鴨肉というと、洋食のレシピが圧倒的に多いような気がする。ソテーしてリンゴのソースを添えろとか、下仁田葱のピュレを添えろとか、そういうものが多い。ガーッと焼いてサッと食べるというレシピはなかなか巷に転がっていない。

醤油と味醂のシンプルな味の合鴨はこってりしていて脂がとろ〜んとしていて旨かった。全体的に薄味なほうれん草の胡麻和えもたいそう良い味だった。だんなは大抵、チャーシューを煮るだとか角煮を作るだとか、んがーっと炒飯を炒めるだとか、そういうどことなく大雑把な料理をする事の方が多いけれどもちゃんとお袋の味系も美味しく作れるのだ。ちょっとだんなの便利さ……もとい、器用さに感動してみたり。

明日は4月からの仕事の打ち合わせに母校の大学へ行く。風邪もきっちり治さなければ。

3/23 (金)
好好亭(銀座)にて「ピータン粥」 (昼御飯)
チーズトースト
牛乳

今日は、上京の日だ。
午前11時に息子をお義母さんに預け、我が母校に向かう。来月から月に5〜6度ばかり、出身学部の教授私設秘書というものをやることになったのだった。今日は、その引き継ぎ。

朝飯は、食パンをガーッと焼いて喰うことにする。バターをぺろっと塗ってチーズをぺろっと乗せて、しごく簡単なチーズトースト。お供に牛乳。

銀座 好好亭にて
 粥セット(ピータン粥・野菜まんじゅう)
 杏仁豆腐

ちと早く東京に向かい、だんなと一緒に新橋あたりで飯を喰おうと思ったのに、残念ながら彼の急な会議で一緒することは不可能になってしまった。一人ぷらぷら新橋近辺を歩き、何度か行ったことのある中華粥屋があったよなと思い出して「好好亭」に向かう。

中華粥をはじめ、ビーフンや焼きそば、ラーメンなどを出している小さなお店が「好好亭」だ。20人も入れば一杯になってしまうような店で、皆一様に粥を啜る光景はいつ見てもちょっと壮観。中華街あたりだったら珍しくもない光景かもしれないけど、ここはかなり隅っことはいえ一応住所は銀座なはずだ。

カウンター席に腰掛け、メニューを見る。粥セットは好みの粥と点心1つのセットで600円から。豚肉粥、ふかひれ粥、椎茸粥なんてのもあって全部で10種類ほど。当然豪華な粥は値段も豪華だ。ふかひれ粥で1500円くらい。
好物のピータンの粥のセットと、あとは杏仁豆腐も追加で注文。私の勘がここの杏仁豆腐は旨いと告げていた。

ほどなく待って、今日の点心が小皿にころんと乗ってきた。青々とした皮のまんじゅうは木の葉の形になっており、中には白菜やら椎茸やらを炒めた具が詰まっている。素朴な味のまんじゅうだ。
そして、私の大好物のピータンが4つ割りにされたやつが4切れ飾られた中華粥が。ワンタンの皮を揚げたようなパリパリのやつと、刻み万能葱がかかっている。あまり塩気もない、ツルツルとした中華粥は良く煮えていてしみじみ旨かった。旨かったんだけど……中華粥って腹持ち悪いのよね。数時間後に猛烈な空腹感で苦悩する私がいたのであった。

稲毛 牛角にて
 葱タン塩
 塩ギアラ
   塩ハラミ
 ロース
 骨付きカルビ
 月見カルビ
 ソーセージ盛り合わせ
 サンチュ
 牛角サラダ
 にんにくのホイル焼き
 御飯
 ハーフビビンバ×2
 生ビール×2
 ゆず梅酒ソーダ
 オレンジジュース
 バニラアイス
 杏仁豆腐
 ……を、親子3人で喰らう。

午後の秘書引き継ぎはつつがなく終了。もう5年ぶりくらいの学舎は相変わらずの姿だった。カビ臭いような古い本の匂いがする研究室棟も相変わらずだ。仕事は大変なようで大変じゃないようで、それでも案外楽しそう。教授はとっても良い人で、だけど何だか浮き世離れした人だった。

帰宅は6時。だんなの実家で茶などいただき、ついでにクッキーなどもつまんでいたらすっかり遅くなってしまった。ならばと駅でだんなと待ち合わせ、皆で焼き肉屋に赴くことに。いやー、もう、昼御飯に中華粥なんて喰っちゃったらすっかり腹減っちまったよ、私は。(←確か、"ダイエットしてるし"とかいう理由で私は中華粥屋を選んだはずだ)

チェーン店なれど、まぁまぁ安くて結構旨い焼き肉屋なものだから、平日も繁盛しているらしい。私たちは細長いカウンター席の隅になんとか座ることができ、どかどか注文してどかどか喰う。いつもながらオリジナル色溢れたメニューだけど、今日は比較的普通なものばかりを注文。ロースを焼いては白い御飯と一緒にサンチュにくるみ、味噌をつけて食べる。ハラミ(横隔膜)は塩で焼いてたっぷりタレをつけて。ギアラ(牛の第4胃袋)はしっかり焼いてタレつけて、コリコリした食感を楽しむ。内臓、けっこう好きなんである。肉もそりゃ大好きだけど。

今日の目玉は「月見カルビ」だろうか。こってりしたかなり辛口のタレが肉にべっとり絡みついていて、焼いた濃い味のその肉を卵の黄身にくぐらせて食べる。すき焼きチックな、面白い焼き肉だった。タレの濃すぎるくらいの味が、卵に絡んで良い感じ。更に、ビビンバと一緒に口に入れちゃったりするとますます良い感じだ。

しかし、どうもだんなの具合が妙だった。
いつもなら「タンは2皿だよね、当然。」とか言うのに1皿しか頼まず、しかも普段なら「最後はやっぱり石焼きビビンバだよ。……いや、やっぱクッパかなぁ。」などと最後まで旺盛な食欲をさらけ出すのに「あとは……この息子の残りのビビンバで良いよ、僕は……」とか言ってるのである。おかしい。どっか変だ。ビールも1杯で良いとか言ってるし、おお、肉の皿もたったの6枚ではないか。どうしちゃったんだ、だんな。

「なんかね……頭、痛い。」
と一昨日の私と同じような事を言っただんなは、帰宅するなりスーツを脱ぎ捨ててTシャツ姿で寝ちゃったのであった。あらあら、伝染っちゃったかしら、私の風邪。

3/24 (土)
鮭の香草バター焼き (夕御飯)
冷凍五目炒飯
大根の味噌汁
冷茶

土曜日である。週末である。んが、珍しく今日はだんなは一人外出。
今日に備えて、昨夜風邪気味の身体を完治すべく夜8時過ぎから風呂にも入らず寝ていただんなは、すっきりした顔で起床した。私も息子も寝ているというのに、一人風呂を沸かしてさっぱりしている。

朝飯は、だんなが冷凍ピラフを炒めてくれた。ごぼうや鶏肉の入る五目炒飯だ。
冷凍御飯にもこだわりの心を覗かせるだんなは、めっちゃ良い胡麻油を使って炒めていた。冷凍ものなのに、妙に香り豊かな御飯は変に高級な風情だった。

この胡麻油を使ってから、何を作ってもハイレベルな味にできるようになってしまったので、もう我が家ではこれが手放せない。今度は一斗缶を買ってしまうのだろうか。それはちょっと避けたい。

駅弁 京都舞鶴 柿の葉鯖鮨
抹茶入り玄米茶

だんな不在の土曜日、とりあえず息子と一緒に近所のマーケットなどに赴いてみた。駅弁大会が催されていた。

「駅弁」という言葉に私は弱い。私以外の万人が弱いからこそ、駅弁大会などが頻繁に催されるのであろう。「北海うに飯」とか「東京牛肉弁当」などという文字にわくわくしながらワゴンの周囲をうろうろし、「柿の葉すし」の文字が目に入ったのでこれを1つ買い求めてきた。すし物は、大好物だ。殊に押し寿司系はたまらなく好みだ。

私の出身高校の修学旅行は京都と奈良1週間の旅だった。泊まる宿も入る食事処もそれなりに厳選されていて、今思い返すとかなり豪華な旅だった。帰りの新幹線の中で出たお弁当が柿の葉すしだ。電車に乗るなり、連日の睡眠不足で爆睡状態に陥った私は、すしが配られたことも知らずにぐーかぐーか寝ていたのだった。東京駅に着いてから、友人が預かっていてくれた弁当を持ち帰り、母と食べた記憶がある。だから、何となく柿の葉すしは青春の味であったりした。

さて、購入したブツは鯖のすしであるらしい。京都舞鶴駅近辺で売られているものなのだという。細長い箱に柿の葉でくるまれた小さなすしが8個並んでいた。紅生姜とお魚容器に入る醤油つき。電車の中で食べるには剥がした葉のゴミが大量に出るし、手はベタベタするしでちょっと厄介な品かもしれない。

酢で締められてほんのり甘味もある鯖と、それに良くなじんだ御飯はさっぱりしていて旨かった。
剥がしては食べ、剥がしては息子に与え、お茶を飲みつつもくもくと息子と一緒にすしを喰う。
各地方の名物すしは、旨いものが多い。私の母の郷里、秋田には「ハタハタすし」というものがある。御飯がぐずぐずに柔らかくなってしまう「馴れすし」で、あの発酵した臭さがまた良いんだな(←臭いの大好き)。

鮭の香草バター焼き
ルッコラのサラダ
クラムチャウダー
御飯
モルツ、冷茶

山のようにルッコラを食べたい、とルッコラを買ってきた。近くのマーケットには、地栽培のほうれん草のような束のルッコラが売られている。ハーブコーナーに置かれるような、ちんまりとパックされている弱々しいものじゃなくて、固さもある濃厚な香りのルッコラだ。根を落としてガーッと洗い、ぶわっとオリーブ油(こういう時は断固としてエキストラ・ヴァージン・オリーブ油が美味しい)をかけて、赤ワインビネガーをひとたらし、バルサミコ酢もひとたらしして塩胡椒してザッとかき混ぜる。ボウルいっぱいのルッコラのサラダができた。さぁわしわし喰うぞー、とい感じ。

おかずは、チリ産のだという安売りの鮭を買ってきてみた。胴体を豪快にぶったぎった輪切りの鮭だ。バターで焼いて、最後にイタリアンパセリやらオレガノやらタイムやらのハーブを刻んだものとバターをフライパンに落としてソースにする。とても簡単。

あとは、だんな好物のクラムチャウダーを。あさりは一度茹でて殻を開かせ、野菜とベーコンを炒めたところにあさりのゆで汁を加えてちょっと煮る。最後にあさりの身と牛乳を入れて温める程度に火を入れたらできあがり。水分多めのえらくサラッとしたスープになってしまってちょっと失敗。モスバーガーで出てくるようなドロッとした濃厚なやつを作るのはなかなか難しい。

これでもかとルッコラを喰えた今日の夕飯にはかなり満足。ルッコラは「ルーコラ」「ロケット」「ロケット菜」などとも呼ばれているらしい。種を植えて自家栽培もできるけど、私が好きなルッコラはアブラムシも大好きなのだった。いつもアブラムシに全滅させられちゃうのだ。

3/25 (日)
だんな特製ナポリタン (昼御飯)
鹿児島名物さつまあげ
焼き海苔
御飯
抹茶入り玄米茶

先日、だんなは職場の同僚から出張土産だと鹿児島名物をいただいてきた。「さつまあげ」と「豚足」だ。どちらも日本酒の肴というか御飯のおかずというか、酒も御飯も旨くなってしまいそうな品だった。

今朝は、さつまあげを温めて御飯のおかずに。真空パック入りのそれを茹でて温め、御飯のおかずに囓りつく。ついでに焼き海苔を用意して、醤油に浸しつつ御飯をくるむ。磯の香りがなんとなく漂うさつまあげはちょっと甘味があって良い感じだった。

だんな特製ナポリタン
クラムチャウダー
アイスカフェオレ

今日はホームセンターに行く予定であったのに、朝から天気は思わしくない。土砂降りになったり小雨になったり、雷がなったりとやたらとせわしない空模様だ。
仕方がないので、近所にふらっと買い物に行くにとどめて今日は自宅でのんびり。

昼飯は、だんなが作ってくれた。「ナポリタンスパゲッティが食べたい……」と言い出しっぺした彼がサクサクと準備。具は玉ねぎとピーマン、そしてベーコンだけのシンプルなナポリタンだ。茹でたパスタを、じっくり火を通した具と一緒に炒め合わせただんなのナポリタンは、妙に美味しい。多分、これでもかとバターが入り、これでもかとケチャップを入れる結果なのだと思う。ナポリタン後のバターとケチャップの激減量がそれを物語っている。

こってり味のナポリタンに、昨夜作ったクラムチャウダーとアイスカフェオレを並べて昼御飯。シンプルなナポリタンには、あの喫茶店に置いてあるクラフトの粉チーズがたまらなく良い似合う。あのどことなく安っぽい味の粉チーズをざかざかかけて食べるのが美味しい。

八宝菜
ポテトサラダ
牛肉とワカメの中華風スープ
御飯
モルツ、冷茶

ちょっと中華を目指してみた夕飯。豚ヒレ肉の塊を買ってきたのでこれをざくざく薄切りにし、冷凍庫に入れておいたシーフードミックスを発掘。にんじん、椎茸、出始めたばかりの今年の筍、そして白菜……はなかったのでキャベツで代用。これだけあれば八宝菜ができる。少しばかりのオイスターソースと醤油と、でも基本はスープと塩味のあっさりした八宝菜を作る。

そして、何となく食べたかったのでポテトサラダを。きゅうりは薄切り、玉ねぎも薄切りにしてこちらは塩揉みに。じゃがいもは丸のまま1時間かけてふかして柔らかくし、皮を剥いてざくざく切って酢と砂糖と塩胡椒で一度ざっと崩しておく。じゃがいもが冷めたところできゅうりと玉ねぎと合わせてマヨネーズをにゅるにゅるとかけて混ぜ合わせて完成。最後にざっとパセリの刻みも混ぜておく。さっぱり味のおかずに添えるには、ちょっとくどいサラダだったやもしれないけど気にしない。

牛肉を胡麻油でざっと炒めてワカメと一緒にビーフコンソメで煮たスープも準備。日曜の夜は「The鉄腕DASH」を見ながら更けていく(TOKIOが好きというわけじゃないけど、この番組はおもしろい……)。