食欲魔人日記 01年05月 第4週
5/21 (月)
だんな特製 牛すじ煮込み (夕御飯)
だんな特製 焼きうどん
麦茶

今日は何だかどえらく暑い。そろそろ夏は近いという感じ。
「豚肉あるな?葱もあるな?よーし、焼きうどん〜」
とだんなが厨房に立って焼きうどんを作ってくれた。薄い醤油味でうどんと豚肉、長ねぎを炒めて、最後にかつおぶしをぶわっとかける。

醤油がちょっと焦げた匂いのする焼きうどんは、かつおぶしも香ばしい。アツアツだけど、暑い日に食べても美味しいうどんだ。

青梗菜と鶏肉の煮込みそば
アイスウーロン茶

本日、ジムの日。えっさえっさと動いて帰るとテレビではタモリが笑っている。
「ごはん、なーい」
「パンも、なーい」
と台所を徘徊した後、「煮込みそばを作ろう」と決定。
鶏肉をぶつ切りにして湯で煮立ててスープにし、青梗菜も入れてくたっと煮えたところで乾麺投入。塩と胡椒で軽く味つけて、ずるずると啜る。お供にアイスウーロン茶。あああ、熱い麺を一気食いしたら、鼻の頭が汗まみれ。

茹で枝豆
焼き板わかめ
合鴨肉の焼き浸し
だんな特製 すじ煮込み
鶏肉と牛蒡と舞茸の吸い物
グリーンピース御飯
神亀 ひこ孫純米吟醸にごり酒

昨日、だんなは何とも旨そうな日本酒を買ってきた。
「神亀」の「ひこ孫 純米吟醸にごり酒」。『dancyu』で「神亀は旨い」という記事を見て探していたところ、その神亀酒造の「純米活性にごり酒」と出会ったのが数年前。その淡く甘みがあるのにキリッとしている微炭酸の活性にごり酒に、私たちは魅了され続けているのであった。もとより、にごり酒は大好物だ。
今回だんなが「見つけてきたよー」と2本買ってきたのは、そのにごり酒の古酒なのだそうだ。製造年は95年とある。いやーん、美味しそーう。

で、美味なる日本酒を味わうために、日本酒の肴を目指した夕御飯。
だんながじっくり煮込んで作ってくれた牛すじ煮込みを筆頭に、合鴨の焼き浸しも作成。フライパンでこんがり焼いた合鴨肉を醤油と味醂のだしにつけ込み、食べる直前にスライス。上から漬け汁を熱して片栗粉でとろみをつけたものをかける。青梗菜を茹でたものを周囲に敷いてできあがり。

ついでに茹で枝豆、更に貰い物の「焼き板わかめ」。
牛すじ煮込みは椀によそって万能葱をパラリとふり、七味唐辛子をかけて食べる。
いかにも「酒席」という感じになった。わくわくわく。

8時過ぎに帰ってきただんなと、いつもは30分くらいで終える食事を1時間かけえだらだらと食べる。いや、飲む。
ふわふわと白濁した沈殿物が漂うにごり酒は、蓋を捻ると「シュッ」という音と共に底から泡が吹きあがってきて、それを蓋を閉めたり緩めたりしてなだめながらお猪口に注ぐ。辛さも強いけれど、熟成された為か丸い味もある酒は、期待に違わず美味しかった。

ゼラチン質がぷよぷよととろけんばかりのすじ煮を噛みしめて酒を飲み、甘辛い鴨肉を囓っては酒を飲む。潮の味の強い板わかめと、固めに茹でた枝豆。つまみながら、やっぱり酒を飲む。月曜なのに、だんなも私も赤い顔。酒盛りは楽しいなぁ。

すっかり良い気分になったまま、グリーンピースを炊き込んだ御飯と、鶏肉入りの吸い物を飲む。実は初めて作ったグリーンピース御飯。普通に炊いた御飯に、塩ゆでしたグリーンピースを酒と一緒に最後に混ぜ込む。学校給食でイヤというほど出たグリーンピース御飯は、改めて作ってみると不思議に美味しかった。豆の味が漂う御飯は春の味〜。

5/22 (火)
肉団子のスープ御飯 (夕御飯)
目玉焼き
鶏肉と牛蒡と舞茸の吸い物
グリーンピース御飯
アイスウーロン茶

朝起きて、炊き込み御飯が炊飯器に入っていると思うとちょっと嬉しい。
グリーンピースだらけの豆御飯だったとしても、やっぱり嬉しいのだった。小学生の頃は「うぇ、またかよー」と全然好きじゃなかったくせに、今になって「旬の料理だしぃ」と嬉々として作ってる自分が少々違和感。

吸い物は、我が家定番の鶏肉と牛蒡と舞茸を入れたもの。秋田県人の母はこの吸い物を2週間に1度は作っていた。きりたんぽ鍋を彷彿とさせる吸い物だ。かつおだしに、下品じゃないかと思うくらい醤油をたっぷり入れるのが秘訣らしい。塩もどばっと。結婚した当初、その味を思い出しながら作ってみたところ、醤油と塩を控えめにしたら妙に上品になってしまって「これは違う、これじゃない」と苦悶した記憶がある。醤油と塩がたっぷり入った濃い味の黒い吸い物が、やっぱり母の味なのだった。いや、秋田の親戚宅でも軒並みこの濃い味の吸い物が出てくるのだが。
何しろ、3時のおやつにお茶と一緒に菓子ではなくて漬物が出てくる土地なのだ。醤油ドバドバが愛される風土なのだった。

モスバーガーにて
 ピリマメバーガー
 モスチキン
 アイスティー

本日、仕事。
大学に着く直前に小雨がバラバラと降ってきた。昼も何とも不安定な天気。裏門を出たすぐのところにあるモスバーガーに駆け込んで、研究所にテイクアウトすることにした。期間限定、2回目のピリマメバーガー。アイスティーに、モスチキン。ピリマメバーガーはやはりピリリと辛くて、何ともマメマメしている。キドニービーンズはあまり大好物とは言えないものだけど、このバーガーは結構好みだ。

で、フライドポテトと天秤にかけてモスチキン。だんなはこのモスチキンがいたくお気に入りで、店に入ったが最後モスチキンを注文せずに出ることはまずない。
「えぇ〜。ケンタ以外のファーストフードのチキンっていまひとつじゃない?」
と当初私は怪訝に思っていたのだが、「まぁ喰ってみろ」と何度か囓らされている間に、私まで虜になってしまっているのであった。醤油と生姜の味がする、何とも日本くさい味がする。この、弁当おかずのような味も良いし、衣のサクサク感も良い感じ。

「やっぱりイケるわー」
と研究室でモリモリ食ってたら、机の下に衣がたっぷり散らかってしまったのであった。しかも研究室の中が妙に油臭くなったし。
「教授すみませんすみません、ごめんなさいごめんなさい。」
と心中謝りつつ、教授が戻ってくる前にせっせと床掃除。その後、空中にデオドラントスプレー散布。教授には何も言われませんでした。ほ。

肉団子のスープ御飯
コーンサラダ
アイスウーロン茶

当初、パスタ予定の夕飯であったけど、夕刻だんなから「遅くなるー」とメールが飛んできた。パスタは次回に延期して、とりあえず飯を炊く。こういう時のために、我が家には白米の他に無洗米の袋もどかんと台所に置いてある。正直、白米を研いで炊く方が美味しい気がするので、いつもは非無洗米。こういう時だけ無洗米の袋を開けてお米をジャー、水をジャー、炊飯器に入れてスイッチオン。最近はやたらとテレビCMも流れるようになってきて、無洗米の地位は向上中らしい。いつも買ってるお米屋さんも、基本は無洗米販売、という感じになってきたようだ。米を研ぐ側にしてみれば、楽な事は良いことだ。

「サラリとしたものが食べたいぞ」と、肉団子のスープ御飯に決定。
鶏のもも肉をフードプロセッサーで粉砕してひき肉にして、塩胡椒と紹興酒と片栗粉と卵1個ぶちこんで練り練り。それを顆粒鶏ガラスープを溶いた湯の中に丸めてぽいぽい入れていく。火が通ったら、炊きたての御飯の上にぶっかけて、刻み葱と胡椒ぶっかけて、完成。
もしかして、御飯は炒飯にでもすれば良かったのかもしれない。何でも昨今「スープ炒飯」が流行りだそうだ。卵と葱の炒飯に、この肉団子スープをぶっかけたらいかにも美味しそうだ。でも、時間が無いので今回はパス。白い御飯にぶっかける。

何だか全体的に白っぽい食卓になって寂しかったので、コーンの缶詰を開けて、それをそのまま器に移して食卓へ。缶詰コーンをそのままモリモリ食うのって、実は最高に美味しい。ちなみにホワイトアスパラガスの缶詰も開けたそばからマヨネーズでもかけて喰うのもかなり美味しい。うずらの卵の缶詰も……(以下略)。
「コーンサラダだよー」
と、缶詰から出したまんまのコーンを食卓に出すと、息子はスープ御飯よりも余程嬉しそうにそれに取りかかった。
「美味しい?」
と聞くと、コーン入りの椀を持って
「おいしーよー!」
……いや、だから、コーンじゃなくってさ……。

5/23 (水)
さばと大根の味噌煮 (夕御飯)
鶏団子スープ 卵落とし
御飯
冷茶

昨夜、調子に乗ってごろごろと作った肉団子スープは、まだまだ大量に残っているのであった。総団子数は23個というところだっただろうか。当然、朝御飯にも出す。沸騰したところで卵など割り落として、半熟になったところでテーブルへ出してみた。
味付けは昨日と同じなので、昨夜も食べた私は内心少々物足りない。だが、うかつな調味料を入れてうかつな味のものを昼に引き続き食べるのはちょっとイヤだ。

学生時代、一人暮らしの男友達などから聞いたところによると「調味料投入の際、もっとも後戻りできないのがカレー味」なのだそうである。肉と野菜類を大鍋で煮る。だしの味かコンソメ味か、とにかく最初はシンプルな味のものを作り、翌日はそれにトマトジュースを入れてみたり、牛乳を入れてみたりしてちょっと趣向を変える。更に翌日はこれを加えて、その翌日はアレを加えて……としていき、最後はカレー粉やカレーのルーを入れて終了なのだそうだ。この工程に辿り着くと、もうカレー味以外の何物にも加工しがたいのだそうだ。4日目のおでん(しかもカレー味)を食べたという強者の話を聞いたことがある。一人暮らしの勇者として、周囲から褒め称えられていた。いやだわ、そんな勇者。

というわけで、目の前の未だ残る鶏団子スープは昼御飯には何かに化ける予定なのであった。カレー味は、ちょっと止めておこうと思う。

鶏団子のエスニック風汁そば
アイスウーロン茶

雑誌を読んでいて、無性にエスニック風麺料理が食べたくなった。
鶏団子スープに「うりゃ!」とナンプラーを放り込み、チリパウダーなど散らし、ニラをざくざく切って加えたらなんとなくそれっぽい感じになってきた。これで香菜があればかなり良い感じだけど、残念ながら香菜は手持ちが無い。しかも本日は盛大な雨模様で買いに行く気力もない。仕方がないのでベランダで繁殖中のイタリアンパセリを散らしてみた。……なんか、違う。

麺は、友人から香港土産に貰った乾麺。海老の卵入りの平麺を煮立てたスープに放り込み、箸でかき混ぜながら煮ること2分。麺そのものもどことなく異国の味の、なかなか美味しい麺料理になった。ナンプラーの威力は素晴らしい。

冷や奴
さばと大根の味噌煮
だんな特製 牛すじの煮込み
根菜と豆腐の白味噌汁
御飯
神亀 ひこ孫純米吟醸にごり酒

ショートケーキ
カフェオレ

一昨日の夜に飲んだ500ml入りの旨い酒(←神亀ひこ孫純米吟醸にごり酒)がまだ半分残っているので、今夜も酒盛り対応夕食。だんなが仕込んだ牛すじ煮込みも残すところ数切れしかない。

「たまには魚も喰わんとな」
と今日はサバを買ってきた。切り身でなく、体長40cmほどの丸のままのサバだ。内臓も抜かれていない。魚屋で処理して貰っても良かったけれど、こういうものはやらねば上達しないのだ。鼻息荒く、1尾のサバを買ってきた。
頭をガコンと包丁で落とし、腹をさばいて内臓を引きずり出し、骨に沿って刃を入れつつ3枚におろす。頭でわかっていても、難しい。
「あああ〜、内臓がオレンジ色で綺麗で不気味〜」
「あああ〜、まな板が血でスプラッタ状態〜」
「あああ〜、骨に肉がたっぷりまだついてる〜」
訴える相手は息子しかいないので、弱音を吐くのは心中だけにしておいた。「魚はキモチワルイ」なんて認識を子供に植え付けるのはよろしくない。

「さばの味噌煮」という料理は、実のところまだ数回しか作ってないので、これという作り方を覚えていない。今日は割烹「青柳」の作り方でやってみることにした。調味料は砂糖と味噌だけ、何とも濃厚そうだ。
水1と1/2カップ、酒1/2カップ、砂糖大さじ3を入れた鍋の中に、一度湯通ししたサバを並べて、更に大根も一緒に入れる。落としぶたでしばらく煮、サバに火が通ったら70gの桜味噌を投入。再び煮て、煮汁がとろんとしたらできあがり……ということだ。真っ茶色の大根が美味しそうに炊けた。にごり酒には、ちょっとくどい肴かもしれないけど、まぁ気にしない。

一昨日封を開けたにごり酒は、ちょっとばかり風味が飛んでいたけれど、充分美味しかった。ちびちびお猪口で冷や酒を飲りつつおかずを食べる。煮汁の上5mmがゼラチン質が溶けた層になっているテラテラした牛すじの煮込みと、味噌がガツンと染みてるサバミソ。今回のような、全体的にミソミソミソミソしているさばの味噌煮も悪くないけど、日常に作るにはやっぱりもう少し軽めの味のものの方が良いかもしれない。いかんせん、喉が乾く。

で、本日はデザートつき。
「なんか食べたくなっちゃって〜」
とだんなが駅前のパン屋でケーキを買ってきた。ショートケーキとシュークリームと、ティラミス。丁度私も今日の夕方、「うう、なんかケーキが食べたい……」と不二家の前で足を止めてしまっていたのだ。
「だんな、ナイス電波!」
「……"電波"は止めようよ"電波"は。」
ショートケーキは、美味しかった。

5/24 (木)
カマンベールのフォンデュ風サラダ (夕御飯)
卵どんぶり
根菜と豆腐の味噌汁
アイスウーロン茶

昨夜、実は1つ失敗料理があったのだ。「根菜と豆腐の白味噌汁」。
普通の味噌汁を作ろうと準備し始めたのは良かったけれど、なんと味噌汁用の味噌を使い切っていたのが味噌を入れる段になって発覚した。
探しても出てくるのは八丁味噌や白味噌などなど。結局、「白味噌の味噌汁もいけるかもしれない」と作ってみたのが過ちだった。いくら入れても塩辛くならない白味噌の味噌汁は甘くなるばかりで、困惑しながら醤油と塩を入れたら更に悲惨な結果になった。誰が甘いうえに塩辛い味噌汁を愛せるだろうか。(いや、でも、地方によっては雑煮が白味噌仕立てだったりするのだよね、確か)
「……甘いね。」
「……ごめんね。」
と言いながら、昨夜の食事は進行していたのであった。

捨てるのはもったいないので、今朝はその失敗味噌汁の液体部分だけ半分ほど流し、湯を足して赤味噌を溶いてみた。多少マシになった。やれやれ。

で、メインの御飯は卵どんぶり。
「目玉焼き食べますかー?他のが良いですかー?」
と聞いたらば、「卵丼が食べたい」というだんなのリクエスト。だしと醤油と味醂と砂糖を張った割り下に溶き卵を流し入れて半熟に固めて御飯の上に乗せるだけ。卵どんぶりは、ちょっと甘いくらいが美味しい。味噌汁の甘いのは勘弁だったけど。

葱おかかおむすび
ごまじゃこおむすび
緑茶

今日は1日雨らしい。ジムに行く気力も萎えてしまって、一人、家で読書したりピアノ弾いたりの1日。3歳から習っていたはずのピアノは、でもここ10年はすっかり怠けレベルの趣味になってしまっているので恐ろしく下手になっている。情けない。ていうか勿体ない。これからはちゃんと練習しておこう。

炊飯器に御飯が残っていたので、これで昼御飯を作る。茶碗に御飯をよそうだけじゃなんとも侘びしいので、おむすびを作ることにした。
葱を刻んで鰹節と混ぜ、醤油をかけたものを具にしたやつと、胡麻とちりめんじゃこと塩を混ぜたやつを具にしたやつ。海苔を巻いてお茶を入れたら、それなりの見栄えになった。
「じゃこ入りは、焼きおむすびにすれば良かった……」
などと言いながら居間の畳に座り込んでだらだらと昼御飯。
雨の日の熱いお茶ってのは、なんだかとても美味しい。

コールドポークのトンナート風
カマンベールのフォンデュ風サラダ
スパイシーガスパチョ
御飯
モルツ

日々の献立をどうやって考えているかというと、「せりあちゃんのお料理ノート」なる(←もうちょっとその名前は何とかならんか)自作データベースに頼り切っているのであった。「お、これ美味しそう」「いつか作ろう」と思ったレシピをここ数年間MicrosoftAccess形式のデータベースに片っ端から入力し続けて、その数はとうとう3000強。「肉料理」「パスタ」などから検索できる上に、全ての食材からの検索も出来るようにと年々バージョンアップしているのである。このデータがふっとんだら、我が家の自炊生活は多分7割方は魅力激減するはずだ。

今日も夕方にパソコン画面を眺めて、手持ちの食材をぺけぺけと入れてみる。「豚かたまり肉」「トマト」「きゅうり」などなど。かくして献立が確定した。「コールドポークのトンナート風」「スパイシーガスパチョ」と、名前だけ見るとなんだこりゃ状態だけど、ここはモニターに出ている文字を信じて作業する。

「ガスパチョ」とは、なんでもイスラム語なのだとか。その意味は「びしょ濡れのパン」だそうな。トマト味がベースの冷たいスープのこと。野菜しか使わない濃厚そうなものもあれば、トマトジュースやブイヨンが入るちょっと薄めのものもある。今日は、ちょっと薄めのトマトジュース入りのものを作成。
トマトときゅうりとセロリとパプリカを細かく切り、それをトマトジュースやブイヨンや白ワインやレモン汁などと共にバーミックスでギャギャギャギャギャと鍋の中で粉砕する。チリパウダーをパッパと加え(←本当はタバスコを入れよとあった)、塩味を調えれば完成。見ようによっては野菜ジュース以外の何物でもないような気がするが、気にしないことにする。

で、「トンナート」はイタリア語だそうだ。ツナベースのマヨネーズ味のソースであるということだ。
豚ヒレ肉の塊を茹でてスライス。その1枚1枚の上にツナペーストを塗って並べていく。ツナペーストは、ツナとマヨネーズを合わせたやつにウスターソース少々とレモン汁少々を垂らしたもの。最後に肉の上からケッパーをんばっと散らして、完成。

そいでもって、カマンベールチーズを使ってフォンデュチックなサラダ。カマンベールチーズは周囲の白いところは溶けにくいけど、内部はすぐにトロンとなる。平らな白カビ面の1面をこそいで内部の面を出し、オーブンで焼けば白い器の中がとろけたチーズ状態になる。これにオリーブ油ににんにくとアンチョビを叩いたものを入れて熱したやつを上からジュッとかけて、軽くかき混ぜて野菜をつけて食べる。アスパラガスとパプリカとじゃがいもをまとめて茹でて積んでみた。

かくして今日は洋食っぽい夕御飯。主食がパンの方がそれらしいと思うけど、何しろだんなが(私も)白い御飯が大好きなものだから、ついつい御飯を炊いてしまう。
洋風おかずの夕飯は、なかなか美味しかった。ツナ味の豚肉も妙に美味しい。ケッパーがとても良く似合う。アツアツのチーズが冷めないうちに野菜をどかどかつけてビールを片手に食べる。
「洋風のおかずも良いでしょー?」
と聞くと、だんなは2膳目の御飯に海苔ふりかけをたっぷりかけつつ
「ん、そうだねー。いいねー。」
と返してきた。……だんなの海苔ふりかけは、それ、めっちゃ和風なんですけど。

今日は「どっちの料理ショー」。満腹になったところで「ホットケーキVSピザトースト」を観戦。
だんなは最初からピザトースト派で、私は最初からホットケーキ派である。何しろ私は甘党なのだ。美味しい卵と牛乳とバターとメープルシロップの組み合わせは何にも代え難い。んが、ピザトースト側で登場した何とも旨そうなチーズにグラグラしながらギャーギャー言いつつテレビを見ている私たちなのであった。

しかし、派手にするのがテレビ番組の使命とはいえ、料理はやはりシンプルに限る。
「トマトソースに玉ねぎピーマン、チーズにサラミ、ピザトーストはこれで充分ですよ〜」とだんなは言い、
「いやいや、ホットケーキはバターとシロップ、せいぜいホイップクリームくらいがついていれば充分なんですよ〜」と私は言う。
……週末は、きっとピザトーストとホットケーキ作ることになるのだろう。

5/25 (金)
目玉焼きのスパゲッティ(別名、貧乏人のパスタ) (夕御飯)
だんな特製チキンライス
スパイシーガスパチョ
アイスカフェオレ

「ガスパチョ」は、やはり白い御飯には似合わないのである。トマトを始め、セロリやキュウリやピーマンの入るスープはやっぱり野菜ジュースのようで、そもそもトマトが嫌いなだんなは、やはりあまりお気に召さなかったらしい。自分的にはけっこう旨くできたと思うのだけど、旨くできてたとしても、白米には似合わないのであった。

で、残り鶏肉や野菜を出してチキンライス。鶏肉と玉ねぎとピーマンを刻んでから
「チキンライス職人、お願いします。」
とだんなに中華鍋を渡した。重い中華鍋で炒め飯系を作るのは、だんなの方が圧倒的に上手いのだ。彼の作るチキンライスには、私では投入しない(できない)ほどの大量のバターが入っていて、それが焼けた風味がまた何とも美味しいのであった。ケチャップ味の赤い御飯とトマト色のスープが並んで、食卓は真っ赤になった。うへぇ。

チリパウダーがガツンと効いたスープをすすりつつ、ほの甘い赤い御飯を食べる。うむ、これなら似合うぞ。真っ赤っかだけど。

田町 杏花園にて
 冷やしタンタンメン

本日、お仕事。もう5分で12時という頃に
「……そろそろ12時ですので、どうぞお食事にいらしてください。」
と教授がおっしゃったので、混雑する学食を避けて今日は大学を抜け出してみた。裏門を出たところには数々の飯屋が並んでいる。すかいらーくがあり、「大戸屋」というチェーン定食屋がある(←ちょっと気になっている)。まぐろ丼専門店があり、蕎麦屋もある。ちょっと足を伸ばせば駅前に怪しい立ち食い串揚げ屋もある。今日は駅を背にして通りを逆方向に進んでみた。通りの先には東京タワーが今日もにょきにょき立っている。

「冷やしタンタンメン」の文字を見て、「杏花園」という小さな中華料理店に入ってみた。店は近隣のサラリーマンで混雑しており、OLさん4人組が待っている。幸い、小さなカウンター席に空きがあったのでそこに一人腰掛け「冷やしタンタンメンを下さい」を告げる。杏仁豆腐つきで850円なり。

ガラスのボウルに入ってきたのが冷やし中華然とした担々麺。こってり濃厚な胡麻だれが下に敷いてあり、麺の上にはキュウリとかいわれ大根、トマトが乗っている。中央には焦げ茶色の肉そぼろ。ラー油独特の赤い色は見えず、一見辛くなさそうだった。安心してズルズルと啜る(実は辛いものがそれほど得意じゃないもので)。

んが、辛かった。胡麻だれはともかく、肉にガツンと辛さが染みている。喰ったそばから唇と舌の先がビリビリビリビリしてくるのを水を飲みつつ一気に食べる。「ピリ辛そぼろ乗せ胡麻味冷やし中華」という感じだったけど、案外美味しかった。牛肉のうま煮丼などもけっこう美味しそうだ。
店の手製らしい杏仁豆腐はなんだか薄い味で、それだけ残念だったけど。

目玉焼きのスパゲッティ
茹で野菜のサラダ
ビール:San Miguel DARK
アイスカフェオレ

しろたえのチーズケーキ
アイスティー

イタリアで「貧乏人のパスタ」と呼ばれる料理がある。一説によると、それは唐辛子とにんにくだけを使う「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」であるらしいのだけれど、この「目玉焼きのスパゲッティ」も「貧乏人のパスタ」と呼ばれるらしい。今日は目玉焼きのスパゲッティ。

パスタを茹で、茹で上がりの2分ほど前に中華鍋にオリーブ油をたっぷり(一人あたま大さじ2くらい)熱し、そこに1人2個の卵をばかばか割り落としていく。揚げるような感覚で卵に火を通し、半熟になった頃にパスタが茹で上がるのがベスト。卵は半量、形を崩さないように取りだしておいて、残りの卵が入った鍋に茹でたてのパスタを投入。胡椒をガリガリたっぷりかけ、イタリア産の硬質チーズ、ペコリーノ・ロマーノをすりおろしたやつをこれでもかと混ぜる。半熟卵を麺にしっかり絡めて、チーズが溶けたら皿に盛る。取り出しておいた卵を乗せて、更にペコリーノ・ロマーノと胡椒をガリガリかけたら完成。
「きっとニンニクも合うよねぇ〜」
などと言いながら、レシピにはないフライドガーリックをどかどかかけて喰う。傍らに黒ビール。うまひー。

ペコリーノ・ロマーノはイタリアの羊乳チーズ。パルミジャーノ・レッジャーノチーズ(パルメザンチーズ)と似た感じの硬質チーズだけど、どこか枯れ草のような匂いがする。塩味もけっこう強い。お国ではとても安価なチーズらしいから「貧乏人のパスタ」になるのだそうだけど……日本で買うとあまりお安くないのであった。貧乏人気分はあまり満喫できない、高価なパスタになってしまう。独特の風味でペコリーノがやはり美味しいけど、きっとパルメザンチーズでも美味しくできるはずだ。
ひたすらチーズと卵の味がするパスタは、カルボナーラとも違ったさっぱり加減で良い感じ。

で、本日はだんなが「昼に行ったから」と赤坂「しろたえ」のレアチーズケーキを買ってきてくれた。ちっこいケーキだ。1つ2cm×8cm×5cmくらいであろうか。大口開ければ一撃で消滅する大きさだ。ビスケットを砕いたような台に、チーズ生地がどかんと乗り、上にピスタチオのかけらが1つ。シンプル極まりないケーキで、その小ささもあいまって「5つくらい一気食いできそう」といつも思ってしまう。

しかし、このレアチーズケーキは恐ろしく重い。甘さも軽く、スポンジ部分もなく、ひたすら滑らかなチーズクリーム層であるのに、これが何とも重い。どっしりしていて、それがなんとも美味しいのだ。今年の新茶のダージリンをアイスティーで準備して、舐めるようにケーキをちびちび食べつつお茶を飲む。週末だねぇ。幸せだなぁ。

5/26 (土)
肉、煮えてます。今夜はすきやき〜 (夕御飯)
ミスタードーナツの
 チョコファッション
 ココナツ
アイスミルクティー

昨日の夕方から、息子は熱を出していた。昨夜は何も食べられる状態ではなく、ごろんごろんしながらアイスノンを抱えて眠りにつき、朝8時。人の顔をぺちぺち叩いて「おはよー」とか言ってる息子であった。まだ39℃前後の熱出してる割には、元気だ。
「アクエリアス、飲む?」
「のむー。」
「……ヨーグルトは、食える?」
「たべゆー。」
……元気じゃないか。

それでも、いつもの食欲比1/10ほどになっているようなので、「息子が食べられそうなものを」ということでミスタードーナツ。だんなが行って仕入れてきてくれた。
「あのねー。チョコファッションと、ココナッツまぶしてあるやつ。そっちはチョコ不可。どっちか無かったらエンゼルクリーム。」
私の指示は完璧だった。そしてチョコファッションと「ココナツ」が我が家にやってきた。だんなはもう不動の選択と化している(いつもいつもいつもいつもコレなのだ……)エンゼルクリームとエビグラタン、息子用にハニーディップとシュガーレイズド。昨夜作ったダージリンのアイスティーに牛乳混ぜて飲む。ダージリンのアイスミルクティーは渋みが強くて若干違和感。気にしない。

「シュガーレイズド、食えますか?」
「(チョコファッションを指さして)チョコー!」
「……はちみつがけのは、どうですか?」
「(チョコファッションから指を微動だにせず)チョコー!」
で、結局チョコファッションは39℃の息子に奪われました。ま、いいけどね。病気なんだしね。次は渡さないぞ。(←おとなげない……)

小僧寿司の
 握り寿司
 いくら巻き
 うなぎ巻き
冷茶

今日は外出控えて家でごろごろごろ。スカパーで録画し続けたビデオテープが山になっているのでビデオラベル作りに励む。「演劇集団キャラメルボックス」(わたし用)とか「探偵物語」(だんな用)とか「カノッサの屈辱」(両用)とかあるのはともかく、「あらいぐまラスカル」とか「マジンガーZ」とか「あしたのジョー」などの存在はどうしてくれようか。いにしえのアニメが着々と増えていく我が家なのであった。怪しい。

「カノッサの屈辱」を巻き戻してえんえんと見ている私に、だんなが「……お買い物してくるね」と言い置いて外出していった。1時間ほどして、様々な食材と、昼御飯の小僧寿司と共にだんなが帰ってきてくれた。1リットル入るポットに盛大に冷茶を作ってがばがば飲みながら寿司をつまむ。80円の怪しい手巻き寿司があったよ、と「いくら巻き」「ねぎとろ巻き」などと共に「うなぎ巻き」「塩カルビ巻き」という怪しい一品も袋に入っていた。

寿司飯と鰻の蒲焼きというのも、似合わないではなかった。でも、塩カルビはちょっとどうかと思う。化学調味料がたっぷり入ったような味の塩だれに絡んだ牛肉が寿司飯と何ともミスマッチ。
「ジャ、ジャンクだよ。」
「たまらなくジャンクだ……すごくジャンクだ……。」
それはそれでニヤニヤしながら食べられて美味しかったんだけど。

すきやき
御飯
モルツ、ペールエール、麦茶

先日、お義母さんが
「お肉、安かったのよー。持っていって。」
となんか重い袋をくれたのである。ついてたラベルには「鹿児島産黒毛和牛モモすきやき用」「637g」と書いてあった。中を開けると、1枚ずつビニールの挟まれた、やたら美味しそうな肉だった。

「すきやき用って書いてあるよ」
「じゃあ、すきやきしなきゃねぇ。しょうがないよねぇ。」
全然「しょうがない」とは違う顔の私たち。春菊とえのきと長ねぎと焼き豆腐としらたきを買ってきて、今夜はすきやき。そろそろ鍋ものも限界の陽気だから、きっとこれが今期ラスト鍋料理だ。

確か私の家ではすきやきは割り下をあらかじめ作ってからやったものだけど(←こっちが多分関東風)、だんなの家ではいつも直接鍋に醤油や味醂を注ぎ込んで作っていたのだと言う(←こっちが多分関西風)。我が家は、だんなにおまかせの関西風。
肉を鍋で一度焼き付けて、そこに醤油や味醂や砂糖をだばだばとぶっこんで、その後に野菜類を放り込んでいく。薄めの肉は油断するとすぐ硬くなってきてしまうので、しゃぶしゃぶのようにしっかり見張っては煮え立てのところを生卵に浸しては食べていく。良い肉だった。どこか独特の乳臭さがある牛肉は柔らかで、旨味もしっかり。だんなの実家方面に向かって感謝電波を飛ばしつつ、637gの牛肉は綺麗に無くなった。はふー。

で、確か今朝まで高熱だった息子は、しっかり横で牛肉だの豆腐だのふりかけ御飯だの食っているのであった。君、元気でしょ。実は。

5/27 (日)
角煮、煮えております
角煮
ピザトースト
アイスカフェオレ

昨日の昼、テレビで「王様のブランチ」を見ていただんなが
「うおぉぉぉ、角煮っ角煮っ。」
と騒ぎ出した。角煮の美味しい料理店が番組で紹介されたらしい。
「美味しそうなバラ肉、買ってくるよ。」
と、彼はなんと2kgの巨大豚バラ肉を買ってきた。奮発して国産黒豚のを買ってきたそうで、100g198円。2kg買ったら4000円弱だ。大変なことだ。

我が家で最大級の寸胴鍋で下茹でし、角切りして一度焼き付けてから醤油と砂糖の味付けで炊いていく。たっぷりの豚肉が鍋の中でずっと踊っていたのだった。
「きっとM井さんは食べたがるね。」
と、わざわざ友人M井さんに
「ただいま角煮が炊けております。早く来ないとなくなっちゃうよ。」
とメールする。

かくして今朝、まだ手つかずの角煮がたっぷりと煮汁に浸っているのであった。先週の「どっちの料理ショー」に触発されてピザトーストを作っているというのに
「美味しそうだね。」
「食べちゃおうか。」
「食べちゃおう。」
と角煮も皿によそう。大変にアンバランスな朝食となった。

厚めの食パンにピザ用ソースを塗り、薄切り玉ねぎとピーマン、ベーコンをたっぷり散らす。上からとろけるチーズもたっぷりと。トースターで8分ほどこんがり焼けばできあがり。傍らにアイスカフェオレ。でもその横には角煮。醤油と砂糖の、なんとも和風な匂いを醸し出す角煮が自己主張しているのであった。ピザトーストの立場が、ない。

でも、良い肉で作った角煮はかつてなく美味しくできた。さすが黒豚。ありがとう黒豚。
肉部分は柔らかく、脂部分は更に柔らかくトロンとしている。噛んだ途端に脂の層が口の中でモロモロと崩れてきそうなゼラチン質の豚の角煮は、もう最高に美味しかった。
M井さんは、どうやら明日来るらしい。誘った私たちが言うのも何だけど、物好きな人だと思う。

胡麻だれ冷やし中華
角煮
麦茶

大学生の義妹が、「授業がわからない〜」と我が家に遊びにやってきた。数学科の彼女は、経済学部(←もろ文系だ)出身の私と理工学部(←理系だけど選考は化学だ)出身のだんなに、何を期待しているのだろうか。案の定教えられることなどあまりなく、結局彼女の持ってきたVisualBasicの教材など楽しく読んでいるだけなのであった。おお、何だか楽しそうだぞVisualBasic。

義妹は無類のラーメン好きだ。大学学食でラーメンを注文しないと厨房のおばちゃんに心配されるくらい、ラーメンを食べまくっているらしい。幼き頃から、お父さんなどに
「今日は外で食べよう。何が食べたい?寿司か焼き肉か?」
と言われても
「ラーメン!」
と断言していたというその嗜好は折り紙付きの義妹である。だから、彼女が来るときは大体ラーメンを供することになる。今日は冷やし中華。

具は薄切り豚肉の冷しゃぶと、錦糸卵、千切りきゅうり。氷水で締めた麺を皿に乗せ、冷蔵庫で冷やしておいた具を盛りつけて胡麻だれをぶっかけて食べる。
「角煮、あるよ。食べる食べる?」
と角煮もテーブルへ。角煮は大好評であった。

だんな特製 天津丼
モルツ、麦茶

昨今、結婚式の引き出物は「カタログギフト」が非常に多い。先日もだんなが持ち帰った巨大な引き出物袋の中にはカタログ入りの紙箱が納められていた。……でも、あのカタログギフトというのはいまいち欲しいものがないのである。どれも、本当に欲しいものよりは若干安っぽかったりして。結局、消えものである食べ物を選択するのが多くなっちゃうのであった。
今回頼んだのは、蟹。ハガキを投函してから1週間ほどで、冷凍蟹が宅急便でやってきた。蟹の大きな脚が1匹分、発泡スチロールケースに収められている。
「蟹チャーハン?」
「……天津丼?」
「そのまま、いく?」
家族会議で色々意見が出された結果、半量使って豪華天津飯を作ることに。解凍した蟹を、だんなと一緒にバリバリと身を取り出す。なかなか辛い作業だけれど、1時間後の美味を思えばなんてことない。調理バサミを使って、バキャバキャ殻を割りながら数十分ほど検討する。

炒めた蟹肉と筍と葱を卵液に混ぜ込んでふっくらと焼く。あんは酢と醤油と砂糖で作る。だんなが焼いてくれた蟹玉は、いつもながらふっくらと半熟に焼けていて、淡い味の薄いとろみのあんもまた美味しかった。いつもの蟹缶入りの天津丼とは、蟹の量、当社比2倍という感じだ。蟹の甘い味がそこかしこから漂う、なんとも豪華な天津丼になった。でかい蟹の肉やら細かいほぐれ身だのがざくざくと入っていて「蟹!どこ喰っても蟹!」という天津丼。ああ〜幸せ。蟹、大好き。