食欲魔人日記 01年06月 第5週
6/25 (月)
豚肉の生姜焼き (夕御飯)
ざるうどん
麦茶

未だ真夏とは言えない季節なのに、とうとう今日は30℃を越えるとか越えないとか。
朝からクーラーを稼働させ、今朝は冷やしうどんの朝御飯。

カトキチから最近発売されたらしい「細うどん」を2玉茹で、氷水できっちり冷やしてから器に盛る。上から万能葱をぶわっと散らして、あとは既製のそばつゆにちょいとつけてはツルッと啜る。暑い日の冷たい麺類はとても心地よい。我が家の3つの製氷皿がフル回転の今日このごろ。

バタージャムサンド
アイスカフェオレ

本当はふらっと外出しようと思ったのだけど、微量に身体の調子が悪い。土曜日に「ドリームキャストダイレクト」から届いたばかりのゲームソフト、「ソニックアドベンチャー2」などを涼しい部屋でやりまくるか、とやりまくり始めたら視界が揺らぎ始めた。

そもそもこのゲームがポリゴン山盛りの3Dアクションゲームなので、しばらくやってりゃ視界も揺らいで当然なのかもしれないけれど、それにしてもゲームの電源を切ってもぐらんぐらんしまくっているのはゲームだけが原因ではなさそうだ。ついでに喉に灼熱のピンポン玉でも入っているような感覚があったりなんかして、「こりゃもう風邪だ」という感じなのであった。確か、だんなと息子は先週末くらいまで2人してひどく咳をしまくっていた記憶もある。どうやら今頃私に伝染ってきたらしい。

時計の針もいつのまにか1時を回っていたので、「な、何か食べなきゃ……」と台所散策。冷蔵庫にコッペパンが半分だけ残っていたので、これをトースターで温めて、バターとイチゴジャムを両方たっぷり塗って食べる。ジャムバターサンドは私の大好物だ。ピーナッツバターサンドも大好きだけど。

ジャムをちょっとつけすぎて甘くなりすぎたパンは、ついでにバターもちょっと多すぎてこってりしてしまっていた。
何となく、『バトル・ロアイアル』の一節を思い出す。銃で撃たれてその後発熱した女子生徒に「ちょっとでも食べとけ、おねちゃん」とイチゴジャムをこってりなすりつけたパンが差し出されるシーンがあったのだ。
「ちょっとでも……と言わずに、私はどんな時でもしっかり食べちゃうんだけどさ。」
と染みる喉に構わずにコッペパンもぐもぐ。

豚肉の生姜焼き
きのこのバター醤油炒め
大根の味噌汁
御飯
モルツ、麦茶

身体だるくて手抜きをしたし、されど今週末からの旅行に備えて食材整理しなければならぬし、で、「困ったときの生姜焼き」をすることにした。薄切り豚肉を生姜の千切りと一緒に炒めて、醤油と味醂で味つけるだけで済む生姜焼きは、本当に簡単で有り難い。しかも、醤油と味醂の味付けというのは食欲なくても食べられる味だ。

食材整理も兼ねて玉ねぎとピーマンを一緒にざかざか炒めた生姜焼きと、あとは山盛りのキノコをバター醤油炒めにしたものを準備。大根の味噌汁と炊きたて御飯があれば、夕飯の体裁はなんとか整った。準備時間は20分ほどの簡単夕食だ。

夕食を作って食べたところで、どうやら私の体力ゲージは限界になったようで、そのまま風呂にも入らずもそもそと就寝。
明日は仕事に行かねばならないけどー、無理かもしれぬー……。がく。

6/26 (火)
風邪にはやっぱり「桃缶」でしょうか
グレープフルーツ
風邪薬

昨日の段階で、「灼熱のピンポン玉が入ってるみたい」だった喉が「灼熱のビリヤード玉が入ってるみたい」になってしまった。イヤな汗は出てくるし頭痛いし、完璧に風邪だ。こりゃこりゃ。
本当は仕事の日であったけれども、あえなくお休みをいただいて、今日はひたすら寝に徹することにした。

だんなと息子を寝間着姿で見送り、そのままゲヘゲヘと就寝……しようと思ったけれど「何か食べて薬飲まなきゃ」と半割にしたグレープフルーツを食べることに。
「病気だしねー、体力つけなきゃねー」
と体力に変わる脂肪はこれでもかと自分の身体についていることは一切無視して、砂糖たっぷりかけたグレープフルーツをシャクシャクと食べる。う……、喉痛い……。

じゃがいも味噌汁のぶっかけ飯
麦茶

副作用でちょっと眠くなる薬のおかげで、午前中は爆睡。それでもお昼に目覚めてしまうところが私の腹時計の頼もしいところだ。病気の時は、別に腹時計が作動してくれなくても一向に構わないんだけど、腹時計は今日も職務に忠実だった。

「食べものー食べものー」
と呟きながら冷蔵庫の中を見て、食料庫を見て、炊飯器を見て鍋を見る。昨夜の御飯が炊飯器に残っているのを眺めていたら、猛烈に「味噌汁ぶっかけ飯」が喰いたくなってしまった。どうしたことだ。

他人に「これが大好きなのよー」というのが憚られるものの一つが「味噌汁ぶっかけ飯」だ。幼少の頃から大好きだった私は、今でも密かに好物である。味噌汁の具はじゃがいも、あるいは豆腐がベストであると私は勝手に思っている。鍋の中に残っているのは大根の味噌汁で、これは御飯とは少々ミスマッチだ。
「じゃがいも、入れちゃえ」
と大根があと僅かしか入っていない味噌汁に、薄切りのじゃがいもをどかどか放り込んで、急遽じゃがいもの味噌汁を作る。煮えたところで汁ごと御飯にぶっかけて、御飯茶碗に口つけつつサラサラと食べる。

御飯と、ほくほくのじゃがいもが崩れる食感の混ざりが楽しくて、味噌汁味のするお茶漬け然とした御飯は、どこか「禁断の味」という感じ。でも好きなのだ。旨いのだ。

とろろそば
サラダ巻き
麦茶

六花亭のマルセイバターサンド
牛乳

「ごはん、作れないかも。すまぬー、すまぬー。」
と電話口でだんなに訴えたところ、とろろそばとサラダ巻きを買ってきてくれた。だんな、自分用には「ペヤング」及びおむすび。
「今日はUFOじゃなくてペヤングな気分だったのだ。」
って、一体どういうのが"ペヤングな気分"なのだろう。あの四角い容器がたまらなく恋しくなっちゃったりするのだろうか。

キュウリと葱つきのとろろそばに、卵やカニかまの挟まるマヨネーズ味のサラダ巻き。
どうも、ちょっと舌が利かなくなってきているようで、あまり美味しく食べられなかった。ああ、悲しい。超絶悲しい。

食後、「とほほほほー」と自分の食欲の無さにがっかりしていたところ、だんながブラボーなお土産を鞄から出してくれた。六花亭のバターサンドだ。何でも北海道出張に行く人がいて、「バターサンド買ってきてくれませんか?」とだんながお願いしていたものであるらしい。10個入り1箱丸ごとが我が家にやってきて、これはかなりシアワセだった。

とろろそばを全量食べられなかった夕飯後、1人1個のバターサンド。レーズンがこれでもかと混ざったバタークリームがしっとりしたビスケット生地に挟まっているこれは、相変わらず何とも美味しかった。風邪も喉痛もこれには全然関係ないらしい……。

6/27 (水)
親子丼だんなバージョン (夕御飯)
うどんですかい
麦茶

昨日の夕方、我が家に突然「うどんですかい30個セット」が届いた。
「な、なぜインスタントうどんが大量に我が家に!?」
と一瞬焦ったけれど、そういえば数週間前、だんなから
「JALの通販で"うどんですかい"買っていい?いい?」
と相談されていたのを思い出した。

"うどんですかい"はだんなの大好物だ。彼曰く、インスタントうどんで(←生麺じゃなくて)一番美味しいのは"うどんですかい"をおいて他にはないという。大きさも他のカップ麺よりも小さめで、そのサイズもまた多分良いのだろう。

届く早々、朝御飯に一家揃って"うどんですかい"を食してしまった。湯を注いで待つこと3分。油揚げの乗った和風味の小さなうどんを皆でずるずると食べる。ちょっと甘口のだしで、味はインスタントうどん以外の何物でもないのだけれど、確かに妙に美味しいかもしれない。

ヨックモックのシガール
牛乳

2日前からひいていた風邪は、なんとか昨日で峠を越えたらしい。でもまだ今日も身体中がだるすぎる。
本当は友人Kちゃんの勤めている鞄屋さんの大バーゲンが催されるので行く予定だったのだけど、外出も取りやめて今日はおとなしく家にこもる。こもって何をしているかと言えばテレビゲームしてたりするので、風邪に良いのか悪いのかさっぱりわからないけれど。

未だいまひとつ立って動ける気力がないので、昼はすぐに食べられるものの発掘をしてみることにした。ヨックモックの「シガール」を発掘。葉巻型のこのクッキー菓子は、子供の頃からの大好物。確かだんなが行った結婚式の引き出物で貰ってきたもので、私は"選べるギフト"よりも何よりも、このお菓子が紙袋から出てきたのが嬉しかった。バターの匂いがする甘いクッキーをがさがさと袋から出して続けざまに3本食べる。一人シガールはちょっと後ろめたくて、でも美味しい。(息子もだんなも大好物だからさ……)

で、帰ってきただんなに「喰ってしまいました」と報告したところ、
「え、だったら昨日貰ってきたバターサンドもあったじゃない」
と言われてしまった。……忘れてました、バターサンド。がーん。

ししとうの串焼き
親子丼
キャベツの味噌汁
モルツ、麦茶

布甸楽園の「完熟マンゴープリン」
アイスカフェオレ

喰ってしまわなければならない鶏肉と卵を食うべく、夕飯は簡単に親子丼。喰ってしまわなければならないししとうは、塩をふって焼くだけにし、更に喰ってしまわなければならないキャベツは味噌汁にした。

親子丼、私が作るとどうも上手くいかない。丼鍋の中央に卵がこびりついてしまって御飯の上に綺麗に盛りつけられないのだ。
「じゃ、俺がやってみましょうか」
と仕事から帰宅直後のだんなが交代してくれた。これが……上手い。卵1個は溶き卵にして固め、割ったままの卵1個は綺麗に半熟になっている。黄身もプルプルで美味しそう。く、悔しい。

「だしが沸騰したら卵を鍋の周囲に沿って敷いて入れて〜、で、すぐに火消して十秒ばかり待ったらできるのよ」
って、一体そんなことどこで覚えたんだ、だんな。……ま、味は一緒だよね、うん(←負け惜しみ)。

ちょっと甘口の親子丼は鶏肉盛り沢山で充実した食べ応えだった。姿は崩壊してしまったけど、私の作ったものも味としては悪くない。美しい親子丼を作るには、まだまだ精進努力が必要だった。とほほほほ。

デザートは、都内近郊JR駅にじわじわと展開しつつある「布甸楽園(ぷりんらくえん)」のマンゴプリン。なんでも山崎製パンがJRとタイアップしてやっているものであるらしい。アジアな雰囲気のプリン類がいつも数種類売られていて、現在は期間限定の「はちみつクリームプリン」もあるらしい。有楽町駅で販売されていたのをだんなが見つけて買ってきてくれたのだった。杏仁豆腐やミルクプリンと一緒にマンゴプリンをテーブルに並べて、つつきあいながら皆で食べる。

最近リニューアルしたらしいマンゴプリンは、マンゴーピューレを固めたような何とも濃厚なものだった。ちょっとばかり甘さは強かったけど充実したマンゴーの味がけっこうシアワセ。口に入れた途端にグズグズッと崩れていくような柔らかい食感も心地よい。
この「布甸楽園」、実は一番気に入っているのは青みがかった陶器の器だったりする。しっかりした素材の陶器の器は、家でプリン類を作るときにもとっても重宝。別に器目当てで買っているプリンじゃないけれど、じわじわ溜まっていく器がちょっと嬉しかったりなんかして。

6/28 (木)
鶏肉の煮込みバスク風 (夕御飯)
レバンテのあんぱん
牛乳

有楽町の駅前、交通会館ビルのすぐ近くに老舗洋食屋の「レバンテ」がある。何故かその名物は「あんぱん」だ。子供のげんこつ大の粒あんが詰まった薄皮のあんぱんは、どこか懐かしい味で私は大好き。で、昨日、だんなが「昼飯、レバンテだったのよ」とあんぱんを買ってきてくれたのだった。

久しぶりのレバンテのあんぱんは、相変わらずどっしりしていた。あんぱんの超老舗、木村屋のあんぱんは、あんもパンも両方ほどよく存在感を感じられるものだけれど、レバンテのあんぱんは、とにかくあんこが主役だ。重量比にして3対1とかいう感じの圧倒的なあんこの迫力が押し寄せてくるあんぱんは、パンじゃなくて饅頭のような気がしないでもない。でも、美味しいのだ。

お供は牛乳。日本茶でも紅茶でも、ましてやコーヒーでもなく「あんぱんには牛乳」の不文律は勝手に私の中で構築されている。甘いあんこと牛乳の脂肪分ってめちゃめちゃ似合う。カロリーもお高くなりそうだけど。

マルセイバターサンド
牛乳

冷蔵庫の中には、土産物として一昨日我が家にやってきた六花亭のマルセイバターサンドが7個眠っている。日曜の旅行出発の朝までに喰ってしまわなければ、それから6日間冷蔵庫の中で眠り続ける羽目になるバターサンドだ。固くなって不味くなっちゃうのはしのびない。喰ってしまわなければならぬ。
「食べちゃわなきゃねー。しょうがないもんねー。」
と全然「しょうがない」じゃない口調で呟きながらバターサンドを昼御飯代わりに食べてしまう。しっとり系のビスケット生地に挟まったレーズン山盛りのクリームがしみじみ美味しい。

鶏肉の煮込みバスク風
茹でとうもろこし
キャベツの味噌汁
御飯
モルツ、麦茶
さくらんぼ

旅行を前に、我が家の冷蔵庫は着々と片づきつつある。使いかけのパプリカなどが発掘されたので、今日は鶏肉とパプリカで何か作れないかというのが夕食のお題。旅行先が香港だから、もう中華料理は厳禁だ。鶏肉とピーマンの中華風炒めなんか、ものすごく簡単そうなのに却下しなければならない。つらいところだ。

で、調べてみたところ「若鶏の煮込みバスク風」なる料理が、ピーマン山盛り使える鶏肉料理のようだ。初めて作るこの料理をレシピを見つつ作成してみる。鶏肉に小麦粉と塩胡椒をはたいて、焼く。焼けたら鶏肉は皿か何かに移しておき、同じフライパンでにんにくと玉ねぎとパプリカを炒める。野菜が炒まったら鶏肉をフライパンに戻し、スープ2カップ弱を注いで30分ほど火を通す。野菜と鶏肉は皿に盛り、煮汁はいったん越してから煮汁だけを火にかけて煮詰めていき、最後にバターを落としてソースとする……らしい。鶏肉を取り出せだの煮汁を漉せだの、なかなかめんどくさい料理だった。こういう手順が続く料理はきっとフランス料理だろう、フランス料理に違いあるまい(←フランス料理に偏見があるらしい私……)。

ともあれ「鶏肉の煮込みバスク風」ができた。肉と野菜とソースと盛りつけて、最後にオリーブの実を散らして完成。基本は塩味とコンソメ味のさっぱりした鶏肉料理だ。
鶏肉およびパプリカと奮闘中、お義母さんから電話がかかってきた。
「あのねー、とうもろこしが沢山届いたの。食べる?」
どうやら今すぐ持ってきてくれるらしく、ならばとこちらも湯を沸かして待っていることにした。もいだばかりだという皮つきヒゲつきのとうもろこしが2本とさくらんぼ1袋と共にお義母さんはやってきて、今日も高笑いしながら去っていった。いつも元気な人なのである。

今日の「どっちの料理ショー」は「スペアリブVS中華風鶏の唐揚げ」
「そんなもん、油淋鶏に決まってるじゃんねー」
と呟く私たちは、とことん中華料理が好きらしかった。
な、なんで負けちゃったんだ、油淋鶏。

6/29 (金)
みづきあん(田町)にてフォアグラ丼 (昼御飯)
ミスタードーナツの
 シュガーレイズド
 アップルパイ
カフェオレ
さくらんぼ

昨夜、だんながドーナツを買ってきてくれた。
「エンゼルクリームとエビグラタンパイが両方売り切れでさー」 と彼は若干元気がない。何しろだんなはミスドに入るとエンゼルクリームとエビグラタンパイしか見えていないような人なのだから。

私はシュガーレイズトとアップルパイ、だんなはフランクロールと新発売の「カリーパン」、息子はダブルチョコ。アイスコーヒーを入れて牛乳で半割にした牛乳多めのアイスカフェオレを飲みながら皆でドーナツをぱくつく。
新発売の「カリーパン」はなかなか美味しそうだった。カレーパンが好物のだんなに言わせると、
「ん、案外美味しいよ。カレーがね、普通のカレーパンはもっさりしてるんだけど、これはドロッとしてるの。本当のカレーが入っているみたいで良い感じよ。」
なのだとか。

今朝はドーナツに加えてデザートつき。昨夜お義母さんがくれたさくらんぼを皿に盛って皆でつつく。淡い紅色のさくらんぼは、ちょっと酸っぱくてほんのり甘くて、何というか初夏の味、という感じだった。そういえば「ツイン・ピークス」が流行った頃、なんだかやたらとチェリーパイを食べていたな、なんてことを思い出したりして。

田町 みづきあん にて
 フォアグラ丼セット
 (フォアグラ丼・ミネストローネ)

本日、お仕事。昼休み、混雑する時間を避けて1時過ぎに大学周辺を歩いてみることにした。大学の正門からちょっと歩いたところに小洒落た感じのビジネスビルがあって、飲食店も入っているようでちょっと気になっていたのだ。改めてビル前で看板などを眺めると「みづきあん」なる和食屋さんがあるらしい。おむすびがメインの軽食チックな店で、ちょっと気になって入ってみることに。

黒いスチールの椅子に石を張った壁など、どこか無機質な印象もあるのに和風にも感じられるちょっと面白い店だった。背の高い椅子が並ぶカウンター調のテーブルの上には麦茶やレモン水と一緒にコップが並べられ、紙製おしぼりも箸も全部セルフサービスになっている。メニューには15種類ほどのおむすびの名前が並び、豚汁や味噌汁とのセットや焼きおむすびのお茶漬け風のようなものまで並ぶ。

そのいかにも和風なメニューの中に、何故かあるのが「タコライス丼」及び「フォアグラ丼」。全てのメニューは700〜800円あれば充分食べられるようになっているが、フォアグラ丼はさすがに1380円とお高かった。お高いけど、妙に気になる。メニューには「和風ソースで仕上げたフォアグラは絶品です。」なんて書いてあってますます気になる。思わず注文。味噌汁かミネストローネが、好きな方がついてくる。

フォアグラ丼が来るまでに、しばしメニューをじっくり眺めてしまう。おむすびは、基本の「さけ」「焼きたらこ」「ツナ」などをはじめとして「ガーリック高菜」「焼きたらこマヨネーズ」「梅海老しらす」などの面白いものもある。1個200円前後だ。
かくして、目の前にフォアグラ丼がやってきた。濃茶にテラテラと焼けたフォアグラが3切れほど、若干軽めに盛られた御飯の上に乗っている。かいわれ大根や刻み葱がたっぷりかかっていて、御飯にも茶色いタレがしっかり染みているものだった。どんぶりはさることながら、ミネストローネも和風の陶器の器に入り、使い古されたような赤い塗りのスプーンがついてきている。やっぱりどこか洋風でどこか和風な面白いセンスのお店なのだった。妙に居心地良く感じてしまう。

甘辛く醤油と味醂の味がするフォアグラは、表面カリカリで中はふわふわで、想像以上に美味しかった。苦さはなく、甘さと濃厚さしか感じないようなフォアグラはとても良い感じ。御飯とも意外と良く似合う。
「な、なんか精力つきそうだな……」
とおっかなびっくりしながら期せずして食べることになったフォアグラをしっかり味わってしまった。「ん〜、マンダム〜」って感じだ。ちょっと気に入ってしまったのでまたこのお店に来てみることにしよう。(そして次はタコライス丼……)

キャベツとアンチョビのスパゲッティ
ロメインレタスのサラダ
アイスウーロン茶

旅行を2日後に控え、いよいよ冷蔵庫の中は閑散としてきた。今晩は、最後の最後に残ったキャベツとレタスを処分しましょう、というお題目の料理。にんにくがガツンと効いたパスタが食べたかったので、キャベツとアンチョビのスパゲッティにすることにした。

パスタと一緒にキャベツのざく切りを鍋に放り込んで一緒に茹でる。キャベツにさっと火を通しただけのシャキシャキのやつも美味しいけど、今日はくったくたに煮たキャベツが食べたい気分だった。パスタを茹でている脇で、フライパンにオリーブ油を入れてにんにくの薄切りをたっぷりとアンチョビを刻んだやつ2切れ分ほどを弱火でじくじくと炒め、パスタと茹でキャベツを皿に盛った上からにんにくとアンチョビのオイルをどばっとぶっかければ完成。

目的通り、にんにくがガツンと効いたパスタにはなったのだけど、使い切ろうとしたキャベツの量が案外と多かったらしい。
これでは「キャベツ入りパスタ」というより「パスタ入りキャベツ」という感じゃないか。とほほほ。
「ちょっとスパゲティっぽくなくなっちゃったけどね、ごめんねー」
と、だんなが遅い今日は息子と一緒にパスタを食べる。アンチョビの独特の塩気がなんとも旨かった。ふー。

6/30 (土)
スーパーで買ってきた握り寿司 (夕御飯)
うどんですかい
アイスウーロン茶

今日は10時半から美容院に予約を入れてある。後ろ髪が異様にうっとうしくなってきたので、さっぱりしてから旅行に行くのだ。
目覚めたのが9時前で、だらだらと洗濯と花の世話などしていたらもう10時前に。急がねば!とだんな秘蔵の「うどんですかい」を食べて行くことにした。確か「30個あっても、俺一人できっとすぐなくなっちゃうしー」とか言いつつ彼が買ってきた「うどんですかい」だったような気がするけれど、何だかすっかり一家でよってたかって食べてるのであった。
油揚げ入りのインスタントうどんは、だんなに感化されてきたのか何だかやたら美味しく思えたりなんかして。

稲毛 ドルチェ・ヴィータにて
 Cランチセット \1800
 (前菜・サラダ・パスタ・メイン・ドルチェ・コーヒー)

1時間ほど髪を切るのにかかり、店を出たら11時半だ。
「おわったよー。息子と一緒に出てくる?」
とだんなに電話したらすぐに待ち合わせ場所の本屋に来てくれた。「旅行用の買い物をしよう」と薬局などを覗きつつ、そういえばお義母さんがここは美味しいわよ、と言っていたイタ飯屋があったので入ってみることにした。

マーケットの裏、バス通りに面した小さな店は「ドルチェ・ヴィータ」というらしい。白塗りの壁が気持ち良い小さな店だった。パスタのランチは800円ほど、パスタとメインを食べても税込み1800円となかなかお安い。かなり空腹を覚えていたのでパスタもメインもがつんと食べることにする。パスタ3種類から1種類、メインは肉か魚かどちらか選んで1種類。

全体的に「1800円でこれだけ食べられるなら、なかなか上等かも」という感じの料理だった。前菜は3種類。トマトとチーズ、鯵のマリネ、ツナのサラダ。レタスがメインのルッコラやトレビス入りのサラダと、温かいパンはどこかもちもちとしていて良い感じだ。充実した量が盛られたパスタはちょっとばかりオーバーボイル気味だったけれどブロッコリーとベーコンのオイルパスタはにんにくがガツンと効いていて程良い塩加減だ。メインは牛肉の赤ワインソースか黒ムツのムニエル。だんなとそれぞれ別のものを取って分け合いつつ食べる。表面がパリッと焼かれたムニエルにはビネガーの香りがただよって、トマトのソースがかかっていた。
どれもこれも、「うーまーいぃぃぃぃ」という程のものでもないけど、値段を考えるとコストパフォーマンスは良いかなと思う。

しかもデザートつき。これも嬉しい。カスタードクリームが詰まったパリブレストはバナナや粉砂糖の飾りつき。アールグレイの匂いがするアイスティーを飲み干して、充実した胃袋で店を後にした。

でも、だんなはいまいち満足できなかったらしい。
「なんか、店員の口調がちょっと腹立たしい」
なのだそうだ。
確かに皿を置くときなどに、どこか投げやりというか慇懃無礼というかな印象を感じる口調の店員さんだった。言葉自体はすごく丁寧で、だからまぁ、その人の喋りのクセなのかな、という感じの。
でも安いから、私はまたきっと行ってしまうのだ。

マーケットで買ってきたお寿司&いなりずし
日本蕎麦
かきたま汁
モルツ、冷茶
さくらんぼ

「海外赴任に行く人の壮行会じゃさー、やっぱり寿司としゃぶしゃぶが定番なわけよ」
とか言いながらスーパーマーケットで握り寿司を買ってきたのである。別に海外赴任するわけでもないのに、香港行きに盛り上がっている私たちは絶好調だった。
「ばってらも買おう、ばってらも」
「蕎麦も茹でよう、日本蕎麦」
気分はすっかり「さらば日本」なのであった。

蕎麦を茹でて海苔をたっぷりかけてざる蕎麦に、イクラや穴子、ねぎとろなどが入った握り寿司が2パック。ばってらといなり寿司も1パックずつ。ラスト1個の卵を食べるために吸い物を作り、かくして絵に描いたような和風の食卓になった。どこかチープな味の寿司も、まぁご愛敬だ。

普段なら私の分のイクラの握りを息子に取られそうなものならば目の色を変えて「だめぇぇ、お母さんのっ!」と熾烈な抵抗をする私であるが、旅行前日の私はこれ以上なく寛大だった。
「そう、イクラ食べたいの。あげるわよ、うんうん。」
毎日旅行前ならば、我が家の食卓は平穏なような気がした今日の晩餐であった。