食欲魔人日記 02年01月 第1週
1/1 (火)
マンジャペッシェのイタリアンおせち
マンジャペッシェのイタリアンおせち二段重
イタリア産白ワイン : CERVARO della Sala '99 ANTINORI (UMBRIA)

おしるこ
牛乳

刺身(かんぱち、赤身、ビントロ、甘海老)
牛肉のたたき
鶏肉と舞茸の吸い物
羽釜御飯
りんご入りヨーグルト

朝9時、もぞもぞと
「おはよーございますー」
「あけましておめでとございますー」
と起床。本当は、だんなのお祖母ちゃんの家に、だんなの実家の皆様と年始の挨拶に行く予定だった今日である。んが、昨日高熱を出した息子を連れ出すわけにもいかず、今日は完全なる寝正月。
(でも、昨夜10時頃まで好物のアイスもチョコも喰えずに横たわっていた状態の息子が、何故か11時過ぎに作成途中の天ぷらの揚げ玉を「おいちー」と食べ始め、しかも直後に蕎麦もかき揚げもしっかり喰い……実はけっこう治ってるんじゃないかと……)

今年のおせちは、マンジャペッシェのものをゴチになったものだ。
昨年末、レストランのオーナー手持ちのパソコンがコンピューターウィルスに汚染されてしまい、それを直しに行ったのだ。
「作業料、ちゃんと請求してくださいね」
と言ったオーナーに
「……あ、おせち料理でいいです」
と冗談半分に申し出たら、苦笑してよろめきながらも手配してくれた。普通に買えば2万5千円。自腹じゃあまり買うことはないだろう豪華おせちだ。本来の注文ルートじゃない申し込みだったんで、直接手渡しということで、30日にだんなが受け取りに行ってくれた。夜のお店では、「おせち完成おめでとう」ということでオーナーも含めて打ち上げをしていたらしい。

内容は、こんな感じ。

 一の重
鱈のエスカベッシュ
オリーブ・ケッパー・アンチョビのマリネ
フリッタータ(イタリア風厚焼き玉子)
昆布とゴボウの豚肉巻 バルサミコ酢風味
フォアグラ入りロールキャベツ
真ダコとお豆のトマト煮込み
カニを詰めた小カブの含め煮
カジキマグロのインボルティーニ

 二の重
オマール海老・ウイキョウの柑橘サラダ
鴨もも肉サルシッチャの玉葱詰め焼き
穴子のテリーヌ
あんのう芋とむらさき芋の二色タルト
鴨と数の子の自家薫製
根菜ピクルスを添えたスモークサーモン

な、なんだかいつもの正月とはえらく違った雰囲気の食卓になりそうだ。

そういうわけで、朝からワインの栓を開ける元旦。楕円の皿に各自料理を盛り分けると、本当にイタリアンの前菜盛り合わせのような光景になった。二の重の左側にはどかーんと巨大なオマール海老が赤々と鎮座ましましていて、フォアグラのロールキャベツだの紫色の綺麗な層の芋のタルトだの、と目に新鮮な鮮やかさだ。小さなカブは中をくりぬいてカニ肉のマリネが詰め込まれていたり、小さな玉ねぎの中には鴨の味がじわんと広がる自家製ソーセージが詰まっていたり、何かと手がこんでいる。こたつに入ってリストランテの味のお正月。

我が家にはえらく場違いな感じを醸し出しているおせちだけど(こういうの買う家って、朝日の差し込むダイニングキッチンなぞで花でも飾って喰うのかなー、という感じが……こたつではなく)、味は文句なしに美味しい。

朝(というか午前中全体)はおせちでだらだら。
その後はごろごろしながら小腹が空いたので、昨日煮ておいた小豆でお汁粉を少々。
3時にはお茶を煎れて、昨日福袋で届いた「福茶」なる黒豆入りの玄米茶を啜ってみた。
で、夜にはおせちに白ワイン、刺身に牛肉に御飯に吸い物。全体的にだらだらと食べ続ける1日となった。

夕食は、もう手放せなくなったこたつにこもり、TBSの「筋肉バトル」を観戦しながらのんびり食べる。これまで「ケインさまステキ」だったのが、今日からあっさり「室伏さまなんてステキなの」になった。あの筋肉!あの胸板!あの涼やかな眼!はぁ〜、かっけー、めちゃめちゃかっけー……(←酔ってますカンペキに)。

1/2 (水)
正月は汁粉だ! (朝御飯)
お雑煮・お汁粉
おせち
ほうじ茶

朝9時起床。息子の発熱のため、大晦日も元旦も家から一歩も出ないままだったりしたので、今日あたりは初詣にでも行こうかということに。幸い徒歩圏内に、割と大きな神社がある。

四角い餅をコンロで焼いて、お雑煮の朝御飯。何だか正月気分が盛り上がってきた。鶏肉と舞茸、ごぼうに大根に人参あたりが入る醤油味の吸い物は、私の母の郷里である秋田風のものだ。きりたんぽ鍋の具とも似ている。確か祖母宅のはとろみがついていたような気がするし、おばの家のは大根おろしを入れて食べていたような記憶もある。そのへんは適当に、気にせず作っちゃう。

雑煮で1枚餅を食べ、
「何だかものたりないよー」
と引き続き汁粉で餅を1枚。大晦日の午後に小豆をことことと煮て、三温糖をたっぷり加えて作った粒あんのお汁粉だ。小豆の粒がそのままごろごろ残っているのが私もだんなも好みである。雑煮を食べて汁粉を食べて、胃袋が動き出したらますます物足りなくなった。本当は食べる予定のなかったおせちまで冷蔵庫から出してもりもりと食べてしまう。朝から満腹。

甘酒
大判焼

だんなの実家に挨拶しがてら、近所の神社へ初詣。「我が子が健康に育ちますように」という願いはともかく、「痩せますように」という願いは、安産と子育ての神様に通じるものだろうか。とりあえず祈っておく。
混雑している境内では200円で甘酒なぞ販売していて、思わず飲んじゃう。ちょっと薄めの甘酒は子供も好きそうな超甘口だった。

参道には「りんご飴」だの「焼きそば」だの「じゃがバター」だの「大阪焼き」だのとたくさんの屋台が並んでいて、そそられる。
「じゃ、じゃがバター……」
「やめなさいって」
と、屋台に魅了されまくりの私はだんなに引きずられて歩く羽目に。結局、
「大判焼き、食べよーよー、ねーねー、ほら、息子も食べたがってる(実は私が一番食べたい)しー」
という私に根負けするように、だんなが大判焼きを1つずつ買ってくれた。チーズ1個とクリーム2個。焼き置きの大判焼きはすっかりぬるくなっていて、それを食べつつ歩いて家へ戻った。今日ものんびーり。

おばあちゃんのお煮染め
おばあちゃんの鶏の照り焼き
栗きんとん
おせち
鶏肉と舞茸の味噌汁
おばあちゃんのお赤飯
みかん

だんなの実家で、だんなのおばあちゃんが元旦用にと作ってくれたお赤飯やお煮染めをたくさんお裾分けしてもらってきた。巨大な鶏肉の照り焼きや、甘く炊いた小豆入りのお赤飯。お煮染めには里芋がたっぷり入っていて、海老や鶏肉も入っている。
「ラッキー」
とばかり、他に用意はほとんどせずに、いただきものをテーブルにずらっと並べて食べることにした。全体的にやる気がない夕御飯。

齢80を越えたおばあちゃんは、数キロ離れたマーケットまで自転車こいで買い出しに行ってしまうほど素晴らしく元気だ。孫や曾孫が集まる時には、これでもかと大量のご馳走を作って待っていてくれる。昨日は挨拶に行くことができなかったので、何となく申し訳ない。話によると、赤飯2升炊いていたらしい(一体どうやって炊いたんだろう……)。

家族全員でお代わりしてもまだ余るほどたっぷりの赤飯を噛みしめつつ、雑煮用にたくさん作ったのに残り少ない吸い物を啜る。醤油と味醂の甘辛い味が染みた鶏肉なぞ囓ると、「あー、なんちゅーかいつもの正月だ」という実感がじわじわと沸いてきた。

で、正月を満喫した後は、明日あたりラーメンとかカレーとかが恋しくなってしまうのだ、きっと、おそらく。

1/3 (木)
どうも1月3日にはカレーを食べちゃう…… (夕御飯)
釜玉うどん
アイスウーロン茶

中国茶:白牡丹(パイミュータン)

年末にKさんから送っていただいた手打ちうどんがある。
「そろそろおせちとか雑煮も飽きつつあるねぇ」
なんてときに、
「うどんがあるじゃん!」
と朝からうどん茹でに燃える。

いただきものの「特製かえし」なんてものが先日から冷蔵庫に入っていて、それをありがたく使って「釜玉」に。
茹でたての麺を丼に入れ、熱いうちに生卵をがっしゅがっしゅとかき混ぜる。うどんの熱で程良く半熟くらいになったところで、"かえし"をぶっかけて、食べる。万能葱の刻みをぶわっとかけるのも忘れずに。

手打ちならではのキュッキュとした強いコシや強い弾力の心地よい伸びが口にとても心地よい。ずるずるーっと長いうどんはだしの香りのする醤油に絡んで……高松のうどんが恋しくなってしまった。本気で恋しくなってしまった。そういえばANAでは全路線1万円キャンペーンを3/1から3/14にかけてやるはずで……うずうずうず。

ケンタッキーフライドチキンにて
 チキンポットパイ
 コーンサラダ
 メロンソーダ

別に、普段は3日あけずにファーストフードを喰ったり、などということはないはずなのである。でも、年末年始はどうも無性にジャンクなものとか「正月らしからぬもの」とかが食べたくなってしまう。そんな私たちの心を見透かすように、今朝の新聞の折り込み広告にはケンタッキーのチラシが入っていた。嗚呼、フライドチキン、嗚呼、和風カツサンド、嗚呼、チキンポットパイ。

息子まで広告を見て
「ポテト、たべるよー」
などと宣言する始末だ。結局、昼過ぎに家族でケンタッキーに行くことになってしまった。

テレビCMを見ていて、やたらと気になっていたチキンポットパイ。分厚いパン生地じみた感じのパイ生地が小さく切られた鶏肉やじゃがいもがごろごろ入るシチュー入り紙容器の上にがばっとかぶさっている。焼かれたさくさくのパン生地部分が良い感じ。息子のポテトを奪ってみたり、だんなの和風カツサンドを奪ってみたり、全体的にジャンクな味を楽しんだ。今年の初ジャンクは、ケンタッキー。

ポークカレー
ベーコンとほうれんそうのサラダ
モルツ、アイスウーロン茶

昼にジャンクフードを食べると、もう何だか止まらない。
「ピザ!ピザも何だか懐かしー!」
「いや、やっぱりカレーだろう、ポークカレー」
とわぎゃわぎゃ騒ぎながら、買い物に出かけた。

最寄り駅からバスに乗って十数分のところに巨大ショッピングモールがあり、初めて訪れたそこを満喫。だんなはPostPetのウサギの大きなぬいぐるみをUFOキャッチャーにて500円投資でゲットし(頭と股間を縦に挟むテクニックには妻うっとりだ)、古本屋では「1/8まで全品100円」の文字を見て
「うぉー、見たことない聖悠紀の恐ろしく古い漫画(奥付には"昭和52年"と……)が!」とか、
「うぉー、高橋留美子の"ダストスパート!!"が、しかも単行本で!」とか、
「うぉー巣田祐里子の見たことない本が!」とか、
「うぉーどこか見たことないのに見た記憶があるような気がする新谷かおるの本が!」とか、
夫婦で各棚を「萌え〜」「萌え萌え〜」とか呟きながら怪しくさまよってしまったりもした。結局6冊の懐かし漫画をお買いあげ。結婚したときに手放した本があったりして、「ああ!も一回買いたい!」なんて悶えたりして、困ったことだ。

で、計画通り夕飯はポークカレー。カレー用のぶつぎり豚肉を買ってきてガーッと煮込んだら1時間ほどで柔らかく良い感じにホロホロになった。「とろけるカレー・中辛」を使用して、「そうそう、これこれ」な感じのごくごく普通のカレー。お供には生のほうれん草のサラダ。カリカリベーコンに醤油と酢と砂糖を放り込んで熱した熱いドレッシングをかけてもりもり食べる。いよいよ正月も終盤に突入した気分。

でね、でねでね、「どっちの料理ショー 東京もんじゃ焼きVS大阪お好み焼き」対決を見ながら(関東人としてはもんじゃ焼きを応援したいけど、でもしかし……お好み焼きウマソー……)、何をしていたかというとANAの超割、3月の予約。
3月1日から3日、2泊3日で、またもや香川に「讃岐うどんを食べるためだけ」に旅行することが決定してしまったのであった。片道1人1万円。ありがとうANA。すばらしいぞANA。
次は香川の宿探し〜♪

1/4 (金)
Tさん家でキムチ鍋〜♪ (夕御飯)
だんな特製ホットドッグ
カフェオレ

今日からだんなはお仕事、私は夜から友人たちとの新年会。10月に結婚したばかりのTさんの新居に押しかける予定だ。とりあえず、夕方までは息子と一緒にお台場でもぷらぷらして遊んでいようかということになった。

朝御飯は、だんなが作ってくれたホットドッグ。バターで炒めたカレー風味キャベツをぎっちり挟んだあったかいホットドッグだ。ソーセージも炒めて挟み、上からとろけるチーズを山盛りかけたらオーブンで溶かしてできあがり。けっこう手間はかかるけど、いつもながらサイコーに美味しい。

お台場ヴィーナスフォート内 青龍門にて
 皮蛋豆腐
 糖醋肉塊(酢豚)
 油飯(中華おこわ)
 割包(中華蒸しパン)
 生ビールグラス
 コーラ
 ……を息子と2人で半分こ

午後1時前、お台場に到着。お台場に来た一番の目的は、子供服売場で毎年売られている福袋なのであった。「MINI BATSU」なるDCブランドの服は、変に甘ったるい感じがなくて母としてはかなり好み。毎年「これはお買い得!」な中身なので楽しみにしていた……ら、既に男の子向け100cmサイズは完売御礼状態だった。がーん。

結局、「MINI MAN」なる別のお店の福袋をお買い上げ。ワゴンに積み上げられた袋を睨んでいたところ、そそと近寄ってきた店員さんが、
「この、この袋がお勧めですっ。今朝、品を入れ替えたんですよー。これだけコートが入ってますっ!」
と囁いてきたものだから、「じゃ、じゃあこれください」と思わず即答してしまったのだった。我が買い物に悔いなし。

で、目当てのお買物を済ませた後は昼御飯。
「何が食べたいですかー?」
と息子にお伺いをたててみたところ、
「ふりかけごはん」
との答えが。
「ふ、ふりかけごはん?」
「ふりかけごはんー」
「そ、それはちょっとこのへんじゃ食べられないかなーっと……」
「やだー。ふりかけごはん〜。ふりかけごはん、たべゆのー」
子供は強情だ。

悩んだ末に、「スパゲティでも出した日には暴れられるかも」と、中華料理の「青龍門」に入ることにした。ここなら御飯はあるはずだし。
息子用にと中華おこわ。あとは一緒に食べようと、ピータン豆腐に酢豚、私用の主食にカーポ。ついでにビールと、息子はコーラ。昼から何やらご機嫌に、親子で酒盛り。

だが、久しぶりに来た青龍門は、なんだかちょっとばかり趣が変わってしまっていた。"元気で溌剌"とした印象だった店員さんたちは"なんかただ乱暴なだけ"という感じになってしまっていたし、200円程度で食べられた小椀入りの担々麺などはメニューから消えてした。どれもこれも700円800円する料理ばかりで、かつての「安くて美味しい」という感じのものではなくなっていた。「あー、観光地だもんね、このくらいしててもお客さん来るもんね、でも私たちはもう二度と来ないわねー……」と心中呟きながら、多分最後の青龍門飯を堪能した。んでも、味の方は相変わらずちょっとチープな感じの味が悪くなかったりするんだけど。

新婚Tさん宅にて
 R1/Fの生春巻・スモークサーモンサラダ
 焼きカマンベールチーズときのこのサラダ
 かぼちゃのサラダ
 キムチ鍋
 キムチ雑炊
 エビスビール
 オーストラリア産白ワイン

 千疋屋のモンブラン
 Tさんお手製抹茶のムース
 紅茶

午後6時半の新宿に高校時代の同期4人が集合。
「そういえば結婚のお祝いもあげてなかったねー」
「じゃ、今、見ていこうか」
とデパート寄ったり、
「酒!酒もいるよねぇ」
「ワイン買ってく?」
と酒売場寄ったり、
「キムチ鍋と聞いているし、それと合わせて(?)生春巻買ってこう!」
「いくつ買う?2パック?3パック……?」
とお総菜売場覗いたり、
「やっぱりケーキも必要じゃーん!」
とケーキ売場を散策したり、なんだか馬鹿みたいに大荷物になってしまったのだった。

目指すはTさんの新居だ。

ピカピカのマンションの1室には、既にお皿が綺麗に並んでいて、溶けたカマンベールチーズの周りにきのこやパプリカが美しく盛られた皿だとか、干し葡萄やアーモンドが入ったかぼちゃのサラダだとかが続々と出てきた。皆でまずはビールで乾杯。飲んで飲んで、キムチ鍋に突入する頃には白ワインに移行。でも、いつもはこれ位では酔わないはずなのに、今日の私は何だかえらく酔っぱらってしまっていた。
「あー、私酔ってます。あらぬことを口走ってしまいそうです」
などと言って皆を笑わせつつ、お腹いっぱいキムチ鍋を食べる。

豚肉にタラに豆腐、きのこに白菜にニラ。実はキムチ鍋を食べるのは初めてだった。私の母は辛いのがダメだったので独身時代は食べる機会に恵まれず、結婚後もだんなが「キムチ、ちょっとなら美味しいけど大量に喰えというのは……」という人だったのでこれまた機会に恵まれず。初めてのキムチ鍋は思ったよりも全然辛くなくて、キムチの味が染みた肉や魚も美味しくて、煮えばなのニラなんかも一人でさらった食べちゃうほど美味しかった。いいわぁ、キムチ鍋。
でも、やっぱり変だ。いつもより簡単に酔っぱらうし、満腹になってしまう。ケーキを食して午後11時頃にTさん家を辞した頃には、それでも何だかフラフラしていた。

「私、タクるから」
とNさんが消え、
「私は大江戸線〜」
とSちゃんが消え、
「私はせりあちゃんと一緒の方向だわー」
というYと一緒に品川駅へ。品川駅へついた途端に
「千葉行き最終は○番線です、お急ぎください〜」
なんてアナウンスが聞こえたりして、
「キャー」
「せりあちゃん、急いで急いでっ」
「どこどこ!?○番線って、どーこー?」
と泣きそうになりながら乗り換えて友と別れたのだった。な、何だか年明け早々バタバタの新年会……。

1/5 (土)
風邪にはしみじみ嬉しいパイナップルヨーグルト
卵サンド
モスバーガーのクラムチャウダー
パイナップルヨーグルト

4日の夜は新年会で、「何か変だ、すぐ酔っぱらうしすぐ満腹になるし」と思いながら帰宅したのだった。帰宅後も何だかふらふらとしつつ「酔ってる?まだ酔ってる?」と思いながらシャワー浴びて就寝。そしたら明け方間近から大変なことになってしまった。身体中の関節が痛いし、耳の下は腫れてる感じだし、頭は痛いしお腹は痛いし、それどころか息するだけで胸まで痛いし。そしてまもなくトイレと親密な関係を築いてしまった。

苦しみながら朝を迎え、起きてきただんなに
「いろいろ痛いし苦しいし、不治の病かもしれない……」
と訴えたところ、
「そりゃ君、どっから見ても風邪だよ」
と苦笑しながら居間に寝床を作ってくれた。横になった途端に寒気まで襲ってきて、あっというまに体温急上昇。意識まで朦朧としてきて、かつてなく重症な風邪になってしまった。痛いしつらいし、トイレとも縁が切れないし、苦しすぎる。

それでも、食欲はなくなりきっていなかったりした。
「おゆきさーん、何か食べられそうですかー?」
「えーとね、あったかくてドロドロしてるもの……そう、クラムチャウダーみたいな」
「はいはい、じゃあモスバーガーのでいい?」
「あとね……たまごさんど」
「卵サンド?いいよ、パン買ってきて作るよ」
「あとね、あとね……」
「まだ何か?」
「パイナップル……缶詰じゃなくて、フルーツコーナーに売ってるパック入りのやつ、あれにヨーグルトぶっかけて食べたい……」
「はいはい、缶詰じゃないのね、買ってくるよ」
病人だと思って言いたい放題の私であった。いやだって、本気でこれくらいしか食べられそうなのなかったし(これだけあれば充分だって)。

そして、ずらっと並んだお昼御飯。病人食とは思えないほど豪勢だ。
マヨネーズ和え卵だけを挟んだシンプルな卵サンドに、モスバーガーのこってり味のクラムチャウダー。ざくざく切ったパイナップルにはちょっと甘くしたヨーグルトがたっぷりかかっていた。そうそう、こういうのが食べたかったのよー。

熱も最高潮な身には、ほんのり甘くてほんのり酸っぱいパイナップルは「これが世界一のパイナップルかも」と思えてしまうほど美味しかった。あー、それにしてもすごく重症。かつてなく重症。

ざるうどん
ミニカレー
アイスウーロン茶

しっかり昼御飯食べて、風邪薬飲んで、毛布と布団合計4枚ひっかぶって、頭には氷枕、額には「冷えピタ」、足下には湯たんぽ(←だんながかつて、UFOキャッチャーでゲットしてきた"どこでもいっしょ"のトロのもの、こんなところで役に立つとは……)。だんなのやってるテレビゲームの音を遠くに聞きながら「あー、また敵に見つかってやんの……あ、リセットした」などと思いつつ夜まで寝たところ、隨分身体は楽になった。どうやら熱も下がってきた模様。

「うどんとかお蕎麦とか、食べられそうですかー?」
「はい、おっけーです。食べられます」
「……あと、カレーが残ってるなぁ……」
「あー、それも食べます。食べられます」
と、「うどん&カレー」という、立ち食い蕎麦屋のセットメニューのような夕飯になった。カレーが食べられなくなったら終わりなのである。いかなる状況下でも、カレーだけは食べたくなっちゃうのが人情というものだ。

茹でたてのところを水でキュッと冷やした冷たいうどん。そして、小さなお皿に一杯だけのミニカレー。
一昨日作ったカレーは、もう煮詰まっちゃって具が全て渾然一体となってしまっていた。じゃがいもの所為でもさもさした食感になってるし、肉も繊維がバラけて全て細かくなってしまっている。キーマカレーみたいだ。
うどんもしっかり喰ったし、カレーもしっかり腹に入れた。明日には良くなってるといいなぁ。

1/6 (日)
だんな特製チキンクリームシチュー (夕御飯)
ハムサンド、卵サンド
コーンクリームのカップスープ
牛乳

昨日からやっかいな風邪にて病人生活の私。熱は下がったけれど、身体中がビシビシと痛い上に、未だトイレとは抜き差しならない緊張した関係を保っている。何しろ水、水なんです奥さん!(何がや……)

それでも身体は隨分と楽になった。朝御飯は、昨夜だんなが作っておいてくれたサンドイッチをみんなで食べる。冷蔵庫に入っていたパック入りの生ハムを挟んだやつと、卵サンド。
「チープな感じにしたかったのに」
とだんなは言っていたけど、マーガリンをたっぷり塗ったサンドイッチ用パンに挟まれた生ハムは、妙に高級感溢れる味がした。

なんとか復活した今日は、たまりまくっていたメールを確認してみたり本をちょこちょこ読んでみたり。
それにしても、きっつい風邪だ。ホントに。

チキンクリームシチュー
羽釜御飯
アイスウーロン茶

いちご with コンデンスミルク・牛乳

「クリームシチューみたいなの、食べられる?」
とだんなが聞くので、うんうんと頷いた。そりゃいつも感謝していることだけど、自分が病気の時は殊更に「料理ができるだんなでほんっとに良かった〜」としみじみ思う。「シチュー食べたい」と言ってレトルトパックが出てきた日には「いーよ、自分で作るよ……」となっちゃうことだろう。

私が作るよりはちょっと小さめの鶏肉やじゃがいも、にんじんがざくざく入ったシチューが夕御飯。炊きたての御飯の香りも美味しそうだと思えるくらいに回復した。でも、胃腸的にはあまり喰わない方が良さそうだ。

「どのくらい喰えそう?」
とのだんなの問いに
「えーとね、口は食べたがっておりますが腸がイヤンイヤンと申しております」
と答えたところ、真剣な面もちで
「それには2つの道があります。ひとつ、口をねじ伏せる、ひとつ、腸をねじふせる」
「……ま、俺は大体後者の道をとりますな」
と返された。ならば私も腸をねじふせるしか。

結局、超小盛りの御飯をお代わりして計2膳、シチューを1杯。自分としてはえらくささやかな夕飯だったけど、腸にとってはそうでもなかったようで、また数時間トイレとの仲を深めてしまった。後悔はしない。

食後にイチゴ。
台所でショリショリへたを取って半分に切っていくだんなの横に立って私は応援。見ると、私より全然丁寧に処理していくのだ。私なぞは、へたが切れるのも構わずにざくざくと適当に切って後で水洗いして細かいへたのカスを流したりしているというのに。「すごいすごい」と関心していると、これまた真剣な面もちで返された。
「だってねおゆきさん、切り口に水を当てちゃうとビタミンが流れちゃうんだよー」
すごいよ君、私よりやっぱり主婦向きかもしんない。