食欲魔人日記 02年01月 第4週
1/21 (月)
今夜はおでん♪ (夕御飯)
味噌おじや
アイスウーロン茶

「豚味噌鍋」の翌日だからして、今朝は定番の味噌おじや。
土鍋の中には昨夜の味噌スープがまだまだたっぷり残っていて、肉のかけらやら白菜のかけらやら長ねぎのかけらやらがぷわぷわと浮いているスープに御飯をどかっと投入し、汁っぽさが少なくなるまでぐつぐつ煮込む。万能葱の刻みと七味唐辛子をかけたらできあがり。身体の芯からあったまる嬉しい朝御飯だ。

今日は朝から冷たい雨で、話によると夕方には土砂降りになるらしい。息子がちょいとつらそうな咳をしていることもあり、保育園はお休みして親子でごーろごろすることにした。こんな気温なのに、肩の皮が剥けてきていたりして。

鮭おむすび
おかかおむすび
アイスウーロン茶

今日は日がな一日テレビゲーム三昧。昨年末から潜入捜査ものアクションゲーに大はまり。もう何年も前に発売された前作まで引っぱり出してやりまくっていた。
「あ、みつかっちゃったのぉ?」
「しっぱい?だいせいこう?」
横から息子もちゃちゃを入れていくる。ええ、お母さんは大失敗しています。とほほ。

お昼御飯は、息子にお伺いを立ててみる。
「何が食べたい?」
「おにぎりー、おにぎりたべゆー」
で、リクエスト通り、残り御飯でおにぎりを。鮭フレークを入れて鮭おむすびと、おかかふりかけを中央にちょっと詰めたおかかおむすび。同じものを大小サイズを2種類作って息子と並んでこたつで食べた。

焼き鳥(つくね・皮・にんにくま)
おでん
羽釜御飯
日本酒 : 黒帯 98年山廃純米
アイスウーロン茶

ハーゲンダッツのクッキーサンド・バニラ
練乳コーヒー

昨日、せっせとだんなは大根の仕込みをしていた。今日はおでん。昼から練り物類をことこと火を通し、だんなの帰宅10分ほど前にはんぺんやちくわぶなどを投入して準備は万端だ。

大根にちくわ、ごぼう巻き、うずら玉、さつまあげ、はんぺんにちくわぶに、忘れちゃいけないゆで卵。半分に切った油揚げには小さく切った餅を詰めて"巾着餅"に。話によると、巾着餅ならぬ"巾着もやし"もすごく美味しいらしい。作ろうと思っていたけど、雨がひどくて買い物どころじゃなかったのだった。巾着もやしは明日放り込むことにしよう。

雨の中帰ってきただんなは、酒の肴に焼き鳥を買ってきてくれた。焼き鳥つまみつつアツアツのおでん、いかにもな日本酒飲みの夕食になった。金沢の辛い酒「黒帯」をちびちびやりながら、辛子たっぷりなすりつけた大根を囓る。大根の煮え加減はちょっとだけまだ足りない感じはしたものの、だしの染みた練り物類は酒に似合ってとても美味しかった。

で、デザートにハーゲンダッツのクッキーサンド。
何故か我が家は食べ物系の懸賞の当選確率が妙に高い。良く当たるからと食べ物系の懸賞にはついつい応募してしまい、余計に食べ物ばかり当たってしまうのだった。うまく循環しているようなしていないような。どうせ当たるなら一軒家とか車とかパソコンとか当たってくれないかと思う(←そりゃ無理だろう)。

先々週末、海外旅行出発前夜に届いたのが、サントリーの懸賞で当たってしまった「ハーゲンダッツクッキーサンド9個セット」なのだった。バニラとクッキー&クリームとストロベリーが3個ずつ。買うと4000円ほどするらしい。たっぷり1スクープ分のアイスクリームがアーモンドクッキーの間にみっちりと挟まっている。
「ハ〜ゲンダッツゥ〜」
「うれしぃ〜」
「超、うれしぃ〜」
「しかもクッキー&クリィムゥ〜」
届いた初日にも早速1つずつ食してみていた。サクサクカリカリのアーモンドクッキーが香ばしく、食感が心地よい。1週間を置いて食べたクッキーサンドはしっとりしていた。それはそれで、良し。

お供には熱いコーヒー。ベトナム風というか何というか、コンデンスミルクをだばだば入れて飲んでみた。ミルキ〜なコーヒーにミルキ〜なアイスクリームデザート。酒飲んだ後のこういうものがまた美味しかったりして。

1/22 (火)
鶏肉の生姜焼き (夕御飯)
冷凍吉牛丼
抹茶入り玄米茶

「吉牛冷凍パックの通販、安いところがないんだ……」
ここ数ヶ月、だんなはしょっちゅうそんなことを言っていた。ただでさえ割高感のある吉野家の冷凍牛丼だったけど、店舗での牛丼が280円なんて事態になると、ますます買いづらくなってくる。でも、家で牛丼を食べたい衝動が、時として訪れる。冷凍庫にあの具が入っていると、開くたびにホッとしちゃう自分がいる。

我が家の最寄りの吉野家は長い坂の先にあった。自転車で10分程、帰り道は必死でこいでこないと牛丼のテイクアウトもできやしなかった。我が家の周囲はマーケットにもファーストフード店にも美味しいカレー屋にも恵まれているけれど、吉野家だけには恵まれていない。
「ミスタードーナツと交換でもいい、駅前に吉野家こないかなぁ……」
「いや、ていうか駅前の"すき家"とトレード……」
などと不穏な事を言っている昨今だ。だんなももとより、私も実は吉野家大好きなのであった。

で、とうとうだんな、Yahoo!オークションで落札してしまった。頻繁に出品している業者らしき人がいるらしい。2箱購入して、職場の仲間と山分けにしていた。我が家にやってきた10袋ほどの冷凍牛丼。冷凍庫を開けるとパッケージのオレンジ色に心が癒される。私もけっこう重症だった。

「今朝は吉野家、食べませう?」
「お、いいね、喰う喰う」
「2人で1袋山分けしますか?」
「え?1人1袋でしょ?それが基本だよ」
とにべもなく「1人1袋体制」を夫につげられ、朝から山盛り御飯&牛丼というパワフルな幕開けだ。

あの玉ねぎにあの肉、牛丼にしては白っぽいあの色合いに、あのタレの味。店で食べるのと変わりないあの味が家で食べられるのは嬉しい限りだ。違うのは「ねぎだく」「トロだく」なんて注文ができないことくらい、だろうか。
「これ、一気に2袋かけたい衝動に駆られませんか?」
「え……なんで?」
「だってそうすると、"特盛"。シアワセ」
だんなは本当に吉野家が好きらしかった。いや、別に今日に始まったことじゃないけど。

豚味噌鍋用味噌使用の、豚味噌うどん
アイスウーロン茶

旅行疲れが一気に出たらしい息子は、昨夜も咳がつらそうだった。今日は休ませて様子を見るか、としてみたところ、午前中も午後も居間のソファでうつらうつらとしっぱなしだ。だるそうだし、疲れも溜まっていたようだ。せめて食事は彼の好きなものでも作ってやろうかという気分になる。

「なにか食べられる〜?」
と昼に目覚めた息子に聞いてみたところ、
「おそば〜」
という返事が。彼の言う「おそば」は麺類全般を指している。
「……うどんでいい?」
の答えには、
「うどん、たべるよー」
と。豚味噌鍋用の味噌を湯に溶いて、あったかい味噌うどんにしてやることにした。

白菜投入、豚肉投入、葱も投入、まんま鍋料理と変わらない。うどん1玉放り込んで適度にあったまったらできあがり。風邪ひいた時にはこういうものがすごく嬉しい。にんにくをたっぷり入れて豚と一緒に塩味で煮込んだ「豚にんにくおじや」なんてのも私はすごく好きだ。

私とだんなの子供らしく、体調が悪そうでも御飯はきっちり食べる我が息子だった。
「もっと、ちょーだい!」
とうどん1/3玉をお代わりして、結局半玉以上をぺろりと喰った。とりあえず喰えてる間は安心だな。うむ。

鶏肉の生姜焼き
おでん
羽釜御飯
日本酒:「黒帯」1998年山廃純米
アイスウーロン茶

ピノ

夕方から、ちょっとばかり仕事が入ってバタバタと。だんなから
「今から帰るよー」
電話があったときには、まだ全然何の準備もしていなかった。おでんは鍋にたっぷりと。御飯もすぐに炊ける。あとは冷蔵庫の中に鶏肉が2枚。野菜もいまひとつ買い置きがない。

「……焼くか」
と、"にんにく炒めにしよーかなー"と準備しかけたところで「明日は外出だ、仕事だ」と思い直して取り出しかけたにんにくを元の位置に。代わりにおろし生姜をたっぷり作って生姜炒めにすることにした。両面こんがり焼き付けた鶏肉の、焼き上がりに醤油と酒と味醂とおろし生姜を混ぜ合わせたものをジャーッとかける。香ばしくて良い感じ。酒の肴というよりは御飯のおかずチックな味だ。

大根、ゆで卵、イカ巻き、うずらボール、さつま揚げにハンペンなどのおでんをたっぷりつまみつつ、こたつに収まって日本酒をちびちびと。冬の味覚は夏とはまたちがう快感がある。

デザートも、これまた夏とは違った快感が走る「こたつでアイス」。アイスの安売りをしていた時にマーケットで買ってきたピノや雪見だいふくが冷凍庫に入っている。ピノを開封前、パッケージを眺めてみたところ「幸せのピノ」なる文字が書かれていた。どんなもんだかわからぬが、時々「幸せのピノ」なるものが混入されているらしい。
「なにが"幸せ"なんだろうねぇ」
「見たことないよ」
と笑いながら封を切ったところ、中央の1個のピノだけがハート型。これこそが「幸せのピノ」らしかった。
「わははははは、ハートだハート」
「これがシアワセだったんだねぇ」
と笑いながらのデザート。要するに"眉毛のあるコアラのマーチ"みたいなもんでしょうか。

1/23 (水)
ACQUAVINO(広尾)にて「うずらの唐揚げ」 (昼御飯)
ミスタードーナツの
 アップルパイ
 ココナッツ
カフェオレ

今日は朝8時半過ぎの電車に乗って広尾まで行かねばならぬ。お仕事だ。
幸い、息子の風邪もなんとか大丈夫そうだ。めでたい。

で、余裕のない朝御飯は昨夜だんなに買ってきていただいたミスタードーナツ。
閉店間際だったらしく、彼の好物のエンゼルクリームも売り切れであったらしい。私にはアップルパイとココナッツ。

広尾 ACQUAVINOにて
 サーモンとじゃが芋のフェンネル風味
 うずらの唐揚げ お豆のピューレ添え
 Piatto Unico - Fish Plate
 比内鶏のブイヨンスープ
 グラススプマンテ・グラスワイン

ACQUAPAZZA広尾店、上階にある事務所。今日の仕事は、このお店にやってきたおニューのパソコンのセットアップだ。
「俺が、俺が選んだんですこのパソコン!」
と、デスクトップ型VAIOを前にしたマネージャーK崎さんは嬉しそう。

10時過ぎから作業を始めて1時間後。あれこれと説明などさせていただき、お店のオープン間近にめでたく作業は終了した。せっかくだし1階のACQUAVINOで飯を食わせてもらおうと店に向かってみたところ、店では雑誌掲載用らしい写真撮影の真っ最中だった。日高良実さんもコック服姿でいらっしゃる。

「あ、おはようございます。パソコンの設定、終わりました」
目が合ったところで挨拶をすると、撮影スタッフと話していた日高さんがこちらにやってきた。
「あ、あのですね、ホームページの著作コーナー、どのへんまで掲載されていますか?」
「えーと……確か"シンプルイタリアン"までは少なくとも掲載しているはず、です」
「じゃあきっと器の本あたりは載ってないですよね、差し上げますからどうぞどうぞ」
と、さっき出てきたばかりの事務所へ日高さんと一緒に逆戻り。

「これ、この器の本、掲載ついでにどうぞ持っていってください」
「わ!ありがとうございます!」
実は以前からすっごく欲しいと思っていた本なのである。4000円近くの価格に、図鑑並みのサイズというこの本を買うのは色々と勇気が必要で、ずっと指をくわえて見ていた本だ。もうもう、嬉しすぎ。

「あと……共著の本だけど、このパスタ本も」
「はい!喜んでいただきます〜(こ、これも気になっていた本だ)」
「あと、これは僕の著書じゃないんだけど、"推薦する本"ということでこれも一冊」
「あ……イタリアで修行されてたお店の本ですね(あ、これも買おうかなと思っていた本だ)」
「で……これは掲載していただかなくて良いんですが、いっぱい買っちゃったんでおひとつどうぞ」
昨年に発行された『専門料理』までいただいてしまった。「21世紀の料理人」なるシリーズ特集の2001年11月号は日高さんの特集になっていた。
普通に買ったら1万円は越えるような書籍をがばっといただいてしまい、それらはしかも、どれも「気になっていたけど買えてなかった本」ばかり。『専門料理』も、そんな特集が組まれていると知っていたら自腹切って買っていたのは確実だった。

で、腕にシアワセに重い本を抱えて1階に戻り、お昼御飯。
「スプマンテでもいかがですか?」
「はい〜、いただきます〜」
遠慮会釈なくスプマンテをいただきつつ、黒板の「今日のおすすめ」を眺め、
「うずらの唐揚げ、食べてみたいっすー」
と注文。ほどなく、「サービスです」とやってきたのはじゃが芋と鮭が美しく並べられた一皿だった。薄切りのじゃがいもと鮭をうっすらとソテーして香草を散らした料理だ。味は塩とオリーブ油だけという感じで、シンプルだけどスプマンテに良く似合う。お客もまだやってこない店内、一人もくもくと喰う私。空腹に脂の乗ったサーモンがしみじみ美味しい。

で、私の注文「うずらの唐揚げ お豆のピューレ添え」もやってきた。黒豆を使ったものらしい、黒々とした柔らかい豆のピューレが皿の中央にこんもりと。その上によりかかるように2つのうずらの唐揚げが盛られていた。細かい細かいパン粉(パン粉というよりデュラムセモリナ粉じゃないかというような)をまぶして揚げられたうずらはカリカリサクサクの表面が良い感じで、鶏とは違った歯ごたえのある肉はちょっとばかり野生的な味がする。これもまたスプマンテに合う。ぐびぐび。

2皿ぺろっと喰っておいて、まだ「ピアットウニコも食べたいなぁ」と思ってしまい、注文する私。野菜の炒めと豆入りの玄米御飯、それに3種類から選べるソースが1つの大きな皿に盛られてやってくる、「定食」的なランチ向きの料理だ。今日のソース、魚はサーモンと野菜の豆乳煮込みだということだ。
野菜は蓮根と菜の花のソテー。御飯を中央に配して左に野菜の炒め、右には白いぽってりしたソースがかかっていた。くたくたぐずぐずに煮込まれた野菜が豆乳のさっぱりとしたソースに溶けている。プチプチコリコリする豆やら玄米やらの味が、新鮮なくせに懐かしいような感じもして、「ここじゃなきゃ食えないし」という気分もあって、ついつい食べたくなってしまう一皿料理だ。

ぐびぐびスプマンテを飲み干したところ、
「白ワインなどもちょっと、いかがですか?」
と勧められ、一度は断ったものの
「今日、けっこう美味しいソアーヴェを抜栓しまして」
と言われてしまってまたも頷く事に。ピアットウニコを食べながら今度は白ワインをぐびぐび。

12時も15分を過ぎて、いつのまにか店内はいっぱいだった。入り口ではカウンターに座って待っている人もいる。
客層は、「いかにも近所のサラリーマン」という感じのおっちゃん5人組とか、OLさんらしき女性客のグループとか。あるいは「近所に住んでます」風情な壮年の御夫婦らしき人とか。1人客も多い。賑わうところを見ると、こちらも何だか嬉しくなる。

で、私は一人4人席を占領していたのだった。席につこうとした時はまだ撮影が続行中だったりして、「お邪魔にならないところで……」と座らせてもらったのが入り口近くの4人席だったのだ。2人用のテーブルに2人でついている人が多い中、「あ、すんませんあつかましくてすんません」という気分になってきて、待ち人が出始めたところでばーっと喰ってばーっと店を後にすることにした。

お会計は「こらこらこらこら」というほど安かった。「サービスです」ものと共に、アルコールまでふるまわれてしまったらしい。
「パソコンの設定料なんかも、ちゃんと請求してくださいね」
とオーナーには言われているけど、本たっくさん貰って美味しいもの喰わせてもらったら「帳消し。ていうか私、ボロ儲け?一人勝ち?」という気分だ。設定料をいただいたところで、それは大抵美味しいものとか料理本とかに化けるのが目に見えている。設定料が御飯に化けて出てきたという感じしかなかった。設定料、もらうのやめよう。そうしよう。

いただいた器の本『器と料理』(野崎洋光・日高良実・河田吉功/著 学習研究社 2001.03)。日高さんは、なんちゅーかものすごく謙虚な人だ。「僕のこの本、良いんですよ!」なんて自慢じみた台詞はこれまで一度も聞いたことがなかった。その日高さん曰く、
「この本、ぜひ読んでみてください。1年間かけて、かなり頑張って真剣に連載していたものなんです。面白いと思いますよ」
というものだ。

陶芸家の造ったそれはそれは個性的な皿の数々に、和洋中(というか和伊中)のシェフが皿に見合う料理を作り盛りつけるという、雑誌『ラ・セーヌ』に連載していた総集編の本なのだった。レシピも最後に載っているので、料理本ではあるのかもしれない。しかし、その実は「写真集」であり「器についての語り」だ。巨大な写真にうつる料理はどれも凝っていてかつ旨そうなものばかりで、色々と勉強にもなる。……ま、
「縁に向かって下りに傾斜している白い皿にあわび料理を盛りつける」
なんてことは絶対家ではやらないし、できない事ではあるのだけれど。
(器も使われている食材も、もう家庭料理と別世界……)

霞ヶ関 千疋屋にて
 ストロベリーヨーグルトパフェ

我が家の夫婦間は、いつもなんとなく良好な電波関係が築かれている(←なんかイヤな関係だな、それ)。
これが食べたい、と思うと片方がそれを買ってきたりだとか。電波状態が良すぎて、互いに同じ雑誌を買っちゃったりということもないではないけど。
でも今日はちょっとすれ違い。

朝、息子を保育園に連れていってくれただんなが「急げばおゆきさんと同じ電車に乗れるかなぁ」と快速電車に急いで乗ってみたところ、私は同時刻発の普通電車に乗って西船橋経由の営団線乗り換えを目指してしまっていたり、
「お昼御飯、こっちで一緒に皿うどんでも喰う?」
とだんなが誘ってくれた携帯メールに気が付いた時には、私はACQUAVINOで酒飲んでいる最中だったり。

バタバタと慌ただしく昼食の場を抜けたところ、気が付くと今日はデザートを喰っていなかった。アルコールも摂取したから喉も乾いている。時刻は12時40分といったところで、きっとだんなは今頃昼食中のはずだ。今日の諸々のお詫びもかねて
「日比谷線に乗って、霞ヶ関で丸の内線に乗り換えるつもりだけど、ついでに一緒にお茶でもする〜?」
と誘い、昼食後のだんなと落ち合って千疋屋でパフェを喰うことにした。だんなの職場の至近エリアである。恋人同士じゃあるまいし、なにも平日の真っ昼間に職場の近くで一緒にパフェ喰うこたないじゃないかと思わないでもない。けど、新婚状態を抜けても相変わらずラブラブな私たちなのである。生涯ラブラブ。ああ、端から見るとうっとうしいぞ、きっと。

最下層はイチゴのゼリー。甘さ少なめヨーグルトには甘い甘いイチゴソースがかかっていて、ヨーグルトソルベの上にもイチゴがたっぷり。頂上はホイップクリームに、やっぱりイチゴ。イチゴイチゴのパフェだった。かなりシアワセ。
「日高さんに、本をいっぱい貰ってきたよー」
「おおおー」
「……全然、酔ってないよぉー」
「……酔うとるやん」
やっぱり、御飯もお茶も、誰かと一緒のほうが楽しいのである。

煮崩れつつあるおでん
アジアン・デリの排骨飯
モルツ、アイスウーロン茶

最近、全然全く料理をしていないような気がする。鶏肉炒めただけ、とか、御飯炊いただけ、とか、そんなんばっか。
そろそろ調理欲が盛り上がってきて、
「よっしゃ、色々作ろう」
と食材もろもろを買ってきた。買ってきて、夕方メールチェックしたところ、「明日お会いしませんか?」という某出版社からのメールが。

あああ、そういえば。12月頭に原稿渡してすっかり肩の荷を下ろしていたりしたけれど、まだ渡さなきゃいけない原稿があったりしたのだ。途中までやって、すっかり年末だー年始だー旅行だーと棚上げして放置プレイになっていた。明日会うなら、「ここまでできたよ」と何らかの形を見せなければならぬ。ああ、やばい、やばすぎ。

買ってきた豆腐もマグロもほっぽらかして、急ぎ端末に向かう。息子の
「ちー、でるよぉ」
の声にも、
「すまん、一人で行ってくれぃ。できるよね?」
と冷たく返し、夫の
「今から帰るよー」
の電話には、
「すまん、夕飯、買ってきてくれぃ」
と身も蓋もない注文を。

結局、駅前のテイクアウト専門中華料理店(←これが結構旨いので大好きだったりする)のどんぶり飯と、もはや煮崩れつつあるおでんの残り。もうハンペンなどはハンペンと名乗っちゃいけないような怪しい物体になりつつある。大根やさつま揚げを器に盛り、鮮やかな中華柄のプラスチック容器に入る肉と御飯をかきこんだ。ほのかなカレー味に、ジャンクながら異国の味がする排骨飯は相変わらず美味しかった。

明日こそは、料理をするぞ。

1/24 (木)
まぐろの韓国風タルタル丼 (夕御飯)
磯辺巻き
抹茶入り玄米茶

昨夜は午前1時頃まで、お仕事。だんなも真横でテレビゲームなぞしながら待っていてくれて、今朝は全体的にゲレゲレだ。
ボーッとしちゃって、まったくやる気がない。しかも部屋は荒れている。片づけ大好きな私が他の事に気を取られると、その瞬間から部屋は一気に荒れていく。何で床に新聞が転がってるんだー、なんで本がそこかしこに散らばってるんだー、ていうか、何で居間の床にプラレールの部品が転がってるのー?眠いのに、朝から片づけモード全開だ。

バタバタと居間を徘徊する私を見て、だんなが餅を焼いてくれた。
網の上で両面こんがりと焼いて、醤油に浸して海苔でくるむだけの磯辺巻き。大昔から食べ慣れている懐かしい味だ。数年前、週末になると銀座の通り沿いに屋台が出ていたりしたのを良く見ていたもんだけど、今でもそれはあるんでしょうかね。銀座で磯辺巻きって、何か似合うような似合わないようなちょっと不思議な思いをしたのを覚えている。

コンビニの
 炒飯おむすび
 塩だれネギ豚カルビおむすび
 ウーロン茶

本日、お仕事。昼休みにちょっとやりたいことがあったので(昨日の日記を書くとか、メールの返事を書くとか……)、朝のうちにお弁当を買っていくことにした。お気に入りのお弁当屋さんはちょうど私の出勤前後に弁当が並べられる。が、今日はまだだった。ショックだ。

その弁当屋を通り過ぎると、あとはあまり「買ってから2時間経って食べても美味しいテイクアウト屋」はないのである。吉野家はあるけど、あれもやっぱりあったかいうちに食べたいし。しょうがないので、コンビニ飯。「うぉー、まだ豚肉使ってんのかー牛肉じゃないのかー」と思いつつも"塩だれカルビ"のおむすびなんか買っちゃったりして。

案の定仕事は忙しく、今日も充実した勤務だった。
そしてボスの教授も絶好調だ。
「あのですね、私はちょっとこれからどこかへ行ってきます」
「え?どこへですか?」
「いえ……どこかへ。45分ほどで戻ります」
「あああ、先生〜」
行き先を告げないから、秘書として電話がかかってきたとしても、
「はぁ、あの、教授は校内にはいるのですが、戻りが45分後という以外は……」
としか言えないのである。いや、もしかしたら校内にもいないのかもしれない。

その教授、最近になって
「こうパソコンで、グラフや表を綺麗に書くものってありますかね?」
と言い出した。論文をデータ入稿するのに使いたいらしい。
「えーと……他の先生方がどういうものを使っているかを一度聞いてみた方が良いかと思いますが、一般的にはAdobe社のIllustratorを使うのが便利では……」
助言したとたんに、教授、ぽてぽてと出かけていってしまい生協からパンフレットを貰ってきた(←そういうことこそ秘書にやらせるべきでは)。

「これ、これですね。定価は高いですが、アカデミックパッケージは安いんですねぇ」
「おぉ!本当に安いですねぇ」
「……取り寄せてもらいましょうか」
また教授、足早に外に行ってしまった。だからそういうことは私が……。

数分後、「Adobe Illustrator 10」を抱えた教授が戻ってきた。
「ありました」
とか言って。
「なんかねぇ、バージョンアップ、してたんですよ」
とか言って。
Ver.10なんて、実際触るのは初めてだ。まぁ、機能満載。ステキ。もう、仕事そっちのけ。いいなぁIllustrator。今の私は大学の職員扱いだから、私もアカデミック版のを買えるかしらん。

まぐろの韓国風タルタル丼
豆腐と油揚げの味噌汁
シンハービール、アイスウーロン茶

「生のお魚の丼で〜、醤油だけの味じゃなくてちょっとピリ辛だったりする味の〜」
と漠然と思いつつ、昨日マグロのサクを買ってきた。昨日は夕食を作れなかったので、今日改めて理想の丼作成を目指す。確かカツオを材料に豆板醤を効かせたものがケンタロウさんの本に載っていたような。思い出しつつうりゃうりゃとマグロで作る。

ボウルに胡麻油を垂らし、醤油も垂らし、XO醤をたっぷり加えて塩胡椒と砂糖と酒も適当に放り込む。「美味しくおなり」と思いつつ味を調整。ちょっと甘めに、でもXO醤の辛さもびりんと来る味にした。そこへ刻み長ねぎを大量に放り込み、ついでに刻みにんにくもたっぷりと放り込み、角切りにしたマグロもざくざくと混ぜ込んでから10分ほど冷蔵庫でなじませて。

羽釜御飯を炊いている間に味噌汁も作る。炊けた御飯の盛りつけはだんなに任せ、その間に私は半熟目玉焼きを作った。フライパンに卵を落とし、白身が固まりかけたところに上から水を少量入れて蓋をする。蒸されて黄身の表面に薄い薄い膜ができたくらいの限りなく生にちかい半熟卵をマグロと一緒に御飯の上に。タイミングの良いことにお義母さんが今日イクラを分けてくれたのでイクラも飾る。最後に刻み海苔と胡麻を散らしてできあがり。うひょー、美味しそ〜。
加えたのが豆板醤じゃなくてXO醤だったりするので、今ひとつ「韓国風」じゃない味になった。でも気にしない。豆板醤の辛さが苦手な私にはXO醤の方が美味しそうに思えたりする。

実際のところ、マグロを一番美味しく食べる丼は「鉄火丼」とか「づけ丼」なのだろうなと思いつつ、時々食べるこういう丼もすごく美味しい。ピリ辛の、胡麻油の風味がこってり漂うにんにく葱が山盛りの丼は、左手を丼の底から動かさないまま一気に平らげる、という味だった。だんなも
「これ、お代わりあるの?」
と聞いてきた。な、ないよ、お代わり分、ないよ。けっこう大きなマグロを気張って買ってきたんだけどなぁ。お代わり要るっすか。うーん。

1/25 (金)
ウニの和風カルボナーラ (夕御飯)
ドリンクヨーグルト

寝坊した。目覚めたら7時45分。
「あらあらあらあら」
とバタバタと動きだし、息子はバナナと牛乳、だんなは残りおでんの朝御飯。私も一緒にこたつに入り、とりあえずドリンクヨーグルトを一気飲み。
今日は家でお仕事だ。

いくら・海苔の佃煮
ご飯&卵ふりかけ
豆腐と油揚げの味噌汁
アイスウーロン茶

今日は自宅で「校正」なる作業をちまちまと。ストーブつけた上にこたつに入って作業していると、「頭寒足熱」ならぬ「頭熱足熱」状態になってきて、しかも酸素不足だからか眠気まで襲ってくるように。ストーブを消して、「あー、すっきり爽やか〜」とソファにもたれ、そのままの姿勢で気がつくと2時間経過していた。思い切り寝ていたらしい。ダメじゃん。

時計を見ると、みのもんたが人生相談を終えるくらいの時刻である。「あじゃー、あじゃじゃー、まったくもー」と焦りつつ、とりあえず目覚ましにと飯を喰っちゃうことにした。冷凍ご飯をチンしてふりかけをぶっかけ、昨日の味噌汁の残りをすする。ご飯のお供にはイクラと海苔の佃煮。こってり味のおかずを少量つまみつつ、ご飯をわしわしと。

ウニの和風カルボナーラスパゲッティ
ピータン豆腐
アイスティー

数日前から「スパゲティプッタネスカが喰いたいなぁ」と、パスタ気分が盛り上がっていた。でも、今日は激ジョブにてだんなの帰宅は遅いらしい。遅いとなったら、彼が苦手で私が大好きな食材を使った夕食にするに限るのである。香菜、ウニ、納豆あたりがそれに当たる。

「だったら、プッタネスカというよりウニスパだよなぁ」
と、夕方スーパーでウニを1パック買ってきた。醤油入りの「和風カルボナーラ」を作ることに決定。
スパゲティを茹でている間、大きなボウルにウニをあけてスプーンで軽くつぶす。卵黄2個と生クリームをひとたらし加え、醤油も垂らし、そこに茹で上がったパスタを投入。味は塩と醤油で適当に調えれば完成だ。本当はもうちょっと"ウニウニした"ウニスパを目指していたんだけど、潰したウニは見事なまでにペースト状になってしまって、見た目は
「ウニスパだか納豆スパだか区別もつきません」
なものになってしまった。気にしない。

「サラダも作ろう」
と冷蔵庫から残り豆腐を発掘。ピータンも発掘。そういえばピータンもだんなの苦手食材だった。「こりゃ、ピータン豆腐をせよという神のお告げだ、きっとそうだ」と、豆腐とピータンをざくざく切って盛り合わせ、かつぶしかけて醤油かけてテーブルへ。和風とはいえスパゲッティと、醤油味とかつぶし味とはいえピータンのサラダ。"いけてる無国籍風食卓"か"ただ単に調和が崩れまくっている食卓"か、今ひとつ判断がつかないまま息子と一緒に「いただきます」。

ウニと生クリームと卵黄が入った濃厚パスタは、でも醤油味で妙にさっぱり。見た目よりウニの味がちゃんと漂ってきてかなり嬉しい。美味しかったけど、ちょっとばかり汁っぽいものになっちゃったので
「うーん、今度は軽く火を通して卵を半熟に……」
「いやいや、単に生クリームが多かっただけかも……」
と皿洗いしながら一人内心反省会。だんなのいない食卓はチャレンジ料理作成もちょっと兼ねていたりして。

1/26 (土)
Cucina Tokionese Cozima(青山)にて「ボッリート・ミスト」 (昼御飯)
カレーパン(ビーフとポーク)
牛乳

今日はおでかけ。昼飯も、お気に入りの青山「Cucina Tokionese Cozima」に予約済みだ。
「きっとまた腹一杯食べちゃうだろうし」
「朝御飯は軽くにしておこう」
と、1人1個のカレーパン。我が家最寄りの大型マーケットにはカレーパン専門店がある。「ものすごく旨いっ!」というほどには美味しくないけど、そこそこ美味しいカレーパンが購入できるのでちょっとばかり気に入っているのであった。以前はビーフカレーパンしかなかったが、久しぶりに買ってみるとポークカレーパンが増殖していた。両方買ってきてだんなと一緒に半分こしたけど、いまひとつ味の違いはわからない。

青山 Cucina Tokionese Cozimaにて
 スモークサーモンとポテトの前菜
 ヤリイカと野菜の冷製
 赤海老のスープ
 鴨と舞茸のファロット
 ボッリート・ミスト(イタリア版おでん)
 パンナコッタとココナッツミルク アーモンドのジェラート
 エスプレッソ
 グラススプマンテ

お昼、今年初めての「Cucina Tokionese Cozima」に家族皆で行ってみた。

厨房の前には今日、見慣れない物体が置かれている。ブッフェ料理のワゴンに並んでいるような、料理を固形燃料で温める台なのだった。
「今日はブリッコ・ミストがあるんです。もう、"食べ放題"感覚でどうぞ」
と案内されて、中を見せてもらった。中には卵や大根、それにたくさんの肉類。豚肉あり牛肉あり、臓物類もたっぷりと、という感じ。串にはトリッパやソーセージ、バラ肉がざくざくっと刺さっている。お、美味しそう。当然メインはそれにしてもらうことに。

私は「鴨と舞茸のファロット わさびの香りで」という料理がずっとずっと気になっていた。それだけ指定させてもらって、あとはおまかせで。

まずはスモークサーモンの下にふわふわのじゃがいものピューレを敷いた、シンプルな前菜。とろんとした舌触りのじゃがいもがさっぱりしたサーモンに良く似合う。
速攻で食べ終わり、次は体長20cmほどのヤリイカを中央に置いた冷たい前菜。周囲にはカリフラワーやビーツ、トマトや空豆が盛りつけられて、オリーブオイルの良い香りがする。シコシコとしたイカは内臓まるごと煮込んでから冷やしたもののようで、シコシコキュッキュとしているのにものすごく柔らかかった。

続いて、スープ。オレンジ色がかった赤いスープは赤海老のスープだということだ。中には根菜類が色鮮やかに半分沈みつつ盛られている。甲殻類の殻の味が染み出たような、口当たりは割とさっぱりしているのにコクのあるスープだ。甘さの中にほんの少し苦みも漂ってくるような、海老を頭から食べてるような味のスープ。

で、で、待望のファロット。リーゾ(米)を炊くのがリゾットならば、ファッロ(スペルト小麦)を炊くのはファロットになる。米ではなく、米よりも粒々感のある小麦を炊いたファロットは、口当たりもさらっと、噛みしめるとモチモチしていて、私の大好物だ。ちょっと独特だけどすごく美味しい。ましてや、鴨と舞茸とわさびが入るとなると、もうどうなっちゃうのかわからなくてすごく気になるのであった。

茶色く澄んだスープに入る、炊けた小麦の粒々。コンソメで煮込まれただろう小麦の間には鴨肉と舞茸がざっくりと大量に混ざっている。スープからはほんのりわさびの香り。和風の香りと辛さが不思議と調和していて、期待通りというか期待以上に美味しかった。
これまで、西麻布のアクアパッツァでかつて食べた「比内鶏と雑穀のリゾット その甘辛いソースで」という料理が私の中では「一番美味しかったリゾット系料理」だっただけど、今日食べたファロットはそれも越えるほど美味しく感じた。わさびの香りがふわふわと漂う中にこってりした鴨と香ばしい舞茸、粒々した小麦。

「美味しいっす、美味しいっす、超美味しいっす、これ!」
と料理長Kさんに報告すると、
「鴨とわさびはすごく似合うんです。完成した料理にしようとずっと思い続けていて……やっとその組み合わせをお出しできるようになったのが昨年の冬から、ですか」
だそうだ。鴨とわさび。案外、サッと塩ふって焼いた鴨にわさびを巻いて食べたりしたらすごく美味しいのかもしれない。

感動さめやらぬまま、一気にメイン料理。
「串、2本くらいいけますかね?」
と言われながら皿に取り分けていただき、3種のソースが用意される。皿にはざくざくと盛られた肉やら卵やら。卵がごろんと1個おさまるそれは、見た目本当に「おでん」だ。「Bollito Misto」(ボッリート・ミスト)という名のそれは、イタリア版ポトフというかおでんというか、見た目素朴で地味だけど、しみじみ身体に染みる煮込み料理だ。

串刺しにされた肉は各部位の肉の他、内臓類もたっぷりと。どれもしっかりとした下ごしらえがしてあるからケダモノ臭さはほとんどない。どの肉も煮崩れる寸前にホロホロになっていて、コリコリした食感のものやモロモロと柔らかい食感のものが混ざっていて食感もとても楽しい。ロールキャベツなんてのも入っている。
3種のソースは、マスタードベースのものと香草ベースのもの、パプリカベースのもの。どれもうっすらとした酸味があって、どれをつけてもちょっとした刺激になってこれまたいける。

「あ、僕、大根をお代わりで……」
「私も大根をひとつ……」
気分はおでん屋だ。皿を受け取ったKさんは、一瞬苦笑してから
「な、なんか新鮮な感覚ですね。普段"お代わり"の皿を受け取ることはないですからねぇ〜」
とこれまたあれこれとよそってくれた。なんかこう、おでん屋のお土産にするような、大きな缶にたっぷりと詰めて持って帰りたい感じだ。

盛大に喰って腹一杯になったところでドルチェ。
やわやわとしたパンナコッタは輪郭が溶けるようで、その輪郭を消すように真っ白なココナッツソースがかけられていた。横にはベージュのアーモンドのジェラート、上にはカリカリのアーモンドが何枚か飾られている。口に入れた途端にやわやわと溶けていくパンナコッタはココナッツソースの風味と一緒になって、なんだか身体がぐにゃぐにゃになってしまいそうな味がした。やっぱり食後の甘いものが美味しいと、これまたサイコーなのである。ああ、シアワセ。

たっぷり食べた2時間のお昼ご飯。
「夕方から雪らしいですよ」
「でもでも、渋谷でお買物したいなぁ」
「本屋も見たいなぁ」
と、バスにて渋谷へ向かう。本屋を散策、デパ地下を散策、試飲して「浦霞」の大吟醸を買ってみたり、マンゴプリンを買ってみたり、豊作豊作と帰宅した。時間は6時、ちょうど雨が降りつつあるところだった。危機一髪。

ビビンバ
モルツ、アイスウーロン茶

デパ地下の韓国食材コーナーでナムル盛り合わせを見て、
「ああ、ビビンバ、いいねぇ」
ということに。
「やっぱり自分で作らなきゃねぇ」
とほうれん草やもやし、ぜんまいなどを買ってきた。自家製ビビンバはすっごく大変だ。気分としては6種類くらいの料理をする感じなのに、できあがりは1つの丼という、やりがいがあるのかないのかわからない料理だ。

だんなと一緒に
「あ、だんな、にんじん炒めてね。私もやしやっちゃうから」
などと手分けしてせっせとナムル作りに励む。ほうれん草ともやしは茹でてから塩やにんにく、胡麻などで和えていく。にんじんとぜんまいは炒める。大根は甘酢の味付け。同じような味付けだからと食材を混ぜるのはダメで、1つ1つ丁寧に片づけていく。食卓はボウルだらけになってしまった。

炊きたての御飯をどんぶりに盛り、上には5種の自家製ナムルをたっぷりと。炒めた牛肉は焼き肉のタレで味付けちゃって(←醤油と塩とかいうのも良いんだけど、やっぱり焼き肉のタレの味がちょっとジャンクで良い感じ)トッピングし、最後に卵黄を生のまま落としたら完成。間髪入れずにスプーンでわっしょいわっしょいとかき混ぜまくり、ぐちゃぐちゃになったら食べる。手間はかかるけど、かけただけ美味しいのがビビンバだ。今日もすこぶる美味しくできた。

「うま!うまうま〜」
「このもやしがまた良い感じで」
ビビンバは、御飯の分量の半量、いやそれ以上の野菜を積み上げてかき混ぜるのである。それを考えずに御飯を盛ったら大変な量の山盛りになってしまった。当然、大変な満腹具合に。でも後悔はしない。

1/27 (日)
ブカティーニ カルボナーラ(夕御飯)
ベーコンエッグマフィン
アッサムティー

今日の午前中は荒れ模様らしい。と聞いていたので、昨日はマフィンを買ってきた。イングリッシュマフィン、幼き頃は今ひとつ好きにはなれなかったけれど、今はすっかり好物に。太めのソーセージなんぞフライパンで焼いて目玉焼きと一緒に挟んだりすると最高に美味しい。

現在の冷蔵庫内にはソーセージは入っておらず、しょうがないのでベーコンエッグにすることに。バターたっぷり塗ったマフィンはあらかじめトースターで焼いておき、その間ベーコンエッグを作成、両方良い感じにアツアツにできたところでパコッと挟んでできあがり。だんながフライパンの面倒を見てくれている間にアッサムティーなどいれてみた。外は大雨に大風、なんだか台風のようだ。あ、自転車置き場の自転車が将棋倒しに……。

ミニビビンバ
アイスウーロン茶

昼間近になっても、まだ雨は止みそうにない。台風気分が盛り上がる。と思っていたらいきなり一気に晴れて青空になりはじめた。

昨夜作成したナムルがまだ少しばかり余っていたので、小さなどんぶりにミニビビンバを作ってわしわしと食べる。具は野菜だけ。肉なし、卵なし。もやしやほうれん草、ぜんまいに大根ににんじんのナムル類を色とりどりに盛りつけて、しっかりかき混ぜまくってから食べる。石焼きじゃなくても、肉がなくても、ビビンバはやっぱりしみじみと美味しい。食している最中、使用中のコチュジャンが「未開封での賞味期限 1997年X月」だったことが発覚。いっくらなんでもこれは買い換えた方が良さそうだ。味は……別に問題ないと思って使ってたんだけど。

スーパー内にて
 バナナカスタードチョコクレープ

ようやく晴れたので、おやつの時間に一家で大型マーケットにお買物。食料品売場の脇にはファーストフード店が多数並んでいる。「中華料理」と書かれたその実ラーメン屋だとか、妙に種類豊富なビビンバ屋だとか、ジェラート屋だとかクレープ屋だとか。そしてマーケット入り口にはたこやき屋「銀だこ」もある。

「私はクレープが食べたいぞー」
「ぼくも、くれーぷぅ〜」
「……俺はたこ焼き買ってくるわ」
と、買い物前に甘い物を満喫することにした。バナナとチョコソースとカスタードクリームと生クリームがうにょろうにょろと挟まった、たいそうありがちなクレープだけど、これが妙に美味しい。

本当は、卵と長ねぎくらいしか、買い物リストにはなかったはずだ。でも、
「うぉー、冷凍食品が4割引〜!冷凍うどん、買っちゃえ買っちゃえ!」
だとか、
「あ、とよのかいちごカルピスが出ている〜」
だとか、衝動買いで籠はどんどんいっぱいになってくる。

挙げ句の果てに、「じゃがいも・玉ねぎ・にんじん、ビニールに詰め放題で300円」なんてものをだんなが見つけてしまった。
「つ、詰めてみる?」
「う、うーん、案外割高かもよ〜」
と言いながら、とりあえず玉ねぎをぎゅうぎゅうと袋に入れ始める。途中から、だんなが真剣な面もちで玉ねぎの上からじゃがいもを隙間に詰め始めた。そこに売場のおばちゃんが登場。「そんなに詰めないで」とでも言うのかと思いきや、
「あのねぇ、にんじんで防波堤を作るの。これがコツ」
いきなり「詰め放題のコツ」を伝授し始めた。じゃがいもや玉ねぎで挟むように、にんじんを4本ほどビニールからはみ出るように突き立てる。そのにんじんの柱によりかからせるように、更にじゃがいもを積み上げていく。あ、あの、おばちゃん、それって完全にビニールからあふれ出してますが……よろしいのでしょうか。

「袋はね、籠に立てて入れるといいですよ」
おばちゃん、籠へのしまいかたまで伝授。他の商品で押さえるように玉ねぎとじゃがいもとにんじんで構成された巨大な塔をそろそろと籠へしまった後、おばちゃん更に
「これも乗るかな、えいえい」
とじゃがいもを追加、しかも、だんなが愛想良く話していたからか
「おにいさん、感じいいからこれもおまけ〜」
と玉ねぎまで絶妙のバランスで積み上げた。あきらかにビニールの容量の50%分ほどが完全にはみ出している。玉ねぎ8個くらい、じゃがいも10個くらい、にんじん5本で300円。なんだかお得感溢れる詰め合わせになった。

レジで並んでいる間、後ろについた若夫婦が話している。
「あ、あそこで詰め放題とかやってるよ」
「うーん、どのくらい詰められるのかなぁ」
「袋の大きさにもよるよねぇ。……あ……」
背後から、私の押すカートに注がれる視線をひしひしと感じた。「あ、すごい……」と小さな呟きまで。
い、いや、これはね、私が詰めたんじゃないんです、おばちゃんが詰めてくれたんです、私こんなにがっついて詰めません、信じてください〜。いやでもこの詰めかたは尋常じゃないですよね、私もそう思いますですはい。
嬉しい詰め放題は、最後はちょっとだけ恥ずかしい詰め放題になった。でもシアワセ。

ブカティーニのカルボナーラ
鶏肉のオーブン焼き
シンハービール・ドラフト
アイスカフェオレ

冷蔵庫に余っていた鶏肉をオーブン焼きに。生クリームもあるしと、カルボナーラのパスタも作ることにした。細い穴が中央に空いたロングパスタ"ブカティーニ"を使用してみることに。安売りのものを買ってみたは良いけれど、使ってみるのは初めてだ。ミートソース系とかこってりしたチーズソースとか、どろりとしたソースに似合いそうなパスタではある。

ボウルに卵を割り入れて、生クリームをだばだばと入れる。胡椒をひいて、チーズ、パルミジャーノ・レッジャーノもガリガリガリガリと山盛り削って投入。カリカリに炒めたベーコンをそこに放り込み、茹でたてのパスタを入れて絡ませたらできあがり。ベーコンとパスタの熱だけで卵に火を通すから、半熟というよりほとんど生だ。でも、コンロで火を通そうとするとスクランブルエッグ状になってしまって、どうもカルボナーラは難しい。

穴あきパスタは面白い食感だった。ツルツルと口に運ぶと、普通のパスタだったらありえない方向から口の中に空気が流れてくる。「あーん」と口を開けるたびに、管状になった向こうから流れる空気と一緒にパスタが口の中にやってくるような感じ。1本1本に食べ応えがあって、なかなか面白いパスタだった。見かけはそうでもないのに、食べているうちに満腹感が早く訪れるような気も。
絶品のカルボナーラが作れるようになりたいけど、まだまだまだまだ修行が必要なようで。