食欲魔人日記 02年02月 第2週
2/4 (月)
ブリの照り焼き〜 (夕御飯)
浅草 セキネの
 あんまん
抹茶入り玄米茶

昨日の朝に続き、浅草で買ってきた「セキネ」の中華まんの朝御飯。肉まんに続いて今日はあんまんだ。

手にずっしりとくる、なかなか大きなまんじゅうを10分ほど蒸して、湯気が立ち上ったアツアツのところをハフハフ言いながら食べる。胡麻の風味が濃厚で、その割に甘さは控えめ、とても食べやすいあんまんだった。ちょっとばかり物足りないような気がしないでもない。

「ん、でも、これは美味しいや、ふがふが」
「中華まん食べてると、551蓬莱が懐かしくなりますね」
「そうっすね、ふがふが」
……どうやら近々通販で大阪から551蓬莱の豚まんを購入してしまう予感がひしひしと。

天茶もどき
冷茶

一人の昼御飯。台所で、先日天ぷら屋さんで貰ってきた天かすと目が合った。
「……天茶、食べたいなぁ……」
と思い始めたら止まらない。本当の「天茶」はかき揚げが乗るゴージャスなお茶漬けだ。その味をなんとなく想像しながら、天かすで天茶。足りない味は想像力でカバーだ。

御飯を椀に盛り、抹茶入り玄米茶を注ぐ(本当はだしが良いと思いつつ、手抜き)。わさびを多めにたっぷり溶いて、天かすをざらざらぶっかけて、啜りこむ。方向としては間違っていない味になった。うむ、そうそう、こんな感じ。

中華料理店や洋食屋、イタリアンなんかは息子連れでどんどん行ってしまうけど、どうしても子連れじゃ入りづらいのが回らない寿司屋であり、カウンター席のみの天ぷら屋だったりする。そこらへんは、息子を育てて「わくわく中年ライフ」に突入してから、だんなとゆっくり行くのだ。野望なのだ。

ブリの照り焼き
白子のマヨネーズソース和え
アスパラガスの白和え
キャベツと油揚げの味噌汁
羽釜御飯
日本酒:水芭蕉 特別本醸造 活性にごり

昨夜のにごり酒が半分残っていたので、それに合わせた夕御飯。
魚の煮付けでもしようと魚屋を覗き、寒ブリが安いので方向転換、
「照り焼きだ照り焼きだ、これは絶対照り焼きだ」
と切り身を買ってきた。ついでに同じくらいの値段の白子があったので、つまみにそれも。

ブリはフライパンで両面焼いてから醤油と味醂をジャーッと最後に絡めちゃう(以前は焼く前からタレに浸していたけど、焦げる割に味は染みないので方法を変えてしまった)。
アスパラガスは塩茹でして練り胡麻、砂糖、醤油と一緒に豆腐を合わせて白和えに。白子は、「マヨネーズ和え」なるちょいと怪しいレシピがあったので興味半分に作ってみることにした。塩とレモン汁(がなかったので柚子酢で代用)を入れた熱湯で白子をさっとゆがき、水気を切って器に盛ったらマヨネーズと生クリーム、刻んだ万能葱を合わせたソースを上からちらりとかける。

にごり酒をちびりちびり飲みながらの和風の夕食。白子のマヨネーズソース和えは、想像以上に美味しかった。柚子酢多めでゆがいたのが良かったのか、ふわふわと柑橘の香りが漂ってきて良い感じ。プルプル柔らかでほのかにマヨネーズの甘さと酸味が絡まって、白子と不思議に良く似合う。日本酒とも似合う……ような気が、しないでもない(←いまひとつ自信なし)。

そして、やっぱり今日も羽釜御飯は旨かった。羽釜を買った直後の痺れるような感動は薄れつつあるとはいえ、いつ食べても「めっちゃ美味しいなぁ……」と思う。外食でいまいちの御飯を食べてしまった時は殊更、自宅に帰ってからの御飯が美味しく思えてしまう。
「あー、御飯が今日も美味しい」
「おかずなくなっちゃったけど、お代わりしちゃうほど美味しい」
「……っふ、僕はバター醤油ライスに行くよ」
「……私もそれ、行くよ」
"御飯にバター乗せて醤油ぶっかけてかき混ぜて食べる"という、壮絶な御飯を、今日もまた食べてしまったのであった。

2/5 (火)
バーニャカウダだ (夕御飯)
だんな特製チャーシュー炒飯
キャベツと油揚げの味噌汁
冷茶

我が家には、
「煮豚を作ったら、喰いきらずに残しておくべし」
の習慣がある。ついでに
「タレも残しておくべし」
というおまけもついている。タレと煮豚の残りのカケラがあれば、だんなが炒飯にしてくれるのだ。

今回の煮豚は、「残りのカケラ」というよりは「半分わざと余らせました」というくらいの大量なシロモノだった。醤油と酒しか入っていないこってりしたタレもたっぷりと。醤油代わりにこのタレを使い、じゃかじゃかと卵と葱を入れて朝から中華鍋をふるう我が夫。炒飯作成に関しては、だんなの方が圧倒的に上手だったりする。

「その料理をより愛する方がその料理を作るべし(何しろその方が美味しくできあがるのだから)」の我が家の掟に従って作られたチャーシュー炒飯は今日も絶品だった。脂プルプルのチャーシューの塊がこれでもかこれでもかとざくざく入っている。甘辛いこってり味の炒飯は、朝から喰うにはいかにもヘビィなものだけど、朝から炒飯ってのも活力が湧いてきてとても良い感じ。

エクセルシオールカフェの
 ペッパーハム&チーズサラダサンド
 バナナマフィン
 ヘーゼルナッツチョコラータ ラージ

本日、お仕事。カロリーたっぷりな朝食を食べたので、いまひとつ昼はガツンと食べる気がせず、出勤途中の「エクセルシオールカフェ」に寄ってコーヒーとサンドイッチを買っていくことにした。ドトール系のコーヒーショップだけど、ちょっと高くてちょっと洒落てて、サンドイッチ類もそこそこ美味しい。猫舌な私はテイクアウトでホットドリンクを持ち帰って、30分くらいしてから飲むと丁度良かったりする。最近の容器は保温性ばっちりで、なかなか冷めない。なかなか飲めない。困る。

黒胡椒がガツンと効いたハムサンドと、薄切りチーズがたっぷり挟まったサンドイッチのセットを暖房効きまくりの研究室で食べる。レタスがシャリシャリ、悪くない。

デスクの前の大きな窓からは、真っ正面に東京タワーが良く見える。毎回「絶景かな絶景かな」と眺めていたけど、ここ数週間、様子が変だ。良く見ると、特別展望台の下、長さ100mほどに渡って青い網がひっついている。
「投網だ……投網が東京タワーに絡まってるぞ……」
と思った直後に「そんな馬鹿な」と我に返り、ホームページで調べてみた。
何でも展望台改装リニューアル工事をしているらしい。ここしばらくは、記念撮影をしてもちょっと様にならない東京タワーになりそうだ。

ところで、ヘーゼルナッツチョコラータはすこぶる甘かった。かなり。そんなにチョコシロップ入れなくても!というくらいたっぷりのチョコが入ったコーヒーだった。口中、全面的にチョコチョコチョコチョコ。今度はカフェオレにしておこう……。

山盛り野菜のバーニャカウダ
スパゲッティプッタネスカ
白ワイン:Tocai Friulano '99 di Lenardo

夜。「夕飯、パスタかな〜」と悩んでいたところに山盛りの野菜が届いた。だんなが先日注文していたやつだ。
魚やら調理器具やらをいつも購入している「クック&ダイン」の、「ながしま農園 旬野菜セット」。2380円で三浦大根、カリフラワー、ブロッコリー、小松菜、春菊、ほうれん草、ラディッシュ、赤じゃががセットになっている。箱の中には、更にだんなが追加注文したらしい白菜と香菜も。
安いとは言えない野菜だ。でも、昨年末に買ったここの三浦大根は太くて立派で甘くて煮込むとほろりと柔らかく、それはそれは美味しいものだった。大根愛好者のだんなはすっかりここの大根の虜になっている。

今回買った野菜の目的は、バーニャカウダ。
年末に、マンジャペッシェバーニャカウダセットを買ってきてみた、そのソースが使われないまま保存されている。早く食べちゃわないとソースが悪くなっちゃう、と、ずっと気になっていたのだった。
「バーニャカウダ」とは「温かいお風呂」という意味。アンチョビとにんにくがベースのオイルペーストを温め、そこに生野菜や茹で野菜をつけて食べる。野菜のフォンデュという感じの料理だ。

届いた野菜からルッコラ、香菜、大根、ラディッシュ、赤じゃが、ブロッコリーを選んでみた。赤じゃがとブロッコリーだけ軽く茹で、あとは生のままざくざく刻む。バーニャカウダの容器に瓶詰めのペーストをあけ、下から蝋燭でじわじわと温めていく。フツフツとオイルが泡立ってきたら、いざいざ野菜を浸して食べる。

適度な塩気ににんにくの香りが柔らかいペーストは、野菜とものすごく良く似合う。食べる度に、「これが生野菜を一番美味しく食べる方法じゃなかろうか」とまで思ってしまう。大根の辛さも和らぎ、香菜の香りもにんにくと程良くなじむ。胡麻の風味のするルッコラとの相性も最高だ。
しかも、野菜の側もまた、これまためちゃめちゃ美味しいのだった。大根は辛くもあるけど甘さも濃厚で、火を通したブロッコリーも甘さが口一杯に広がってくる。しゃきしゃきした生のラディッシュも、茎が太くてどっしりしたルッコラも、どれもこれもピカピカしていた。

でも、私が一番喜んだのは立派な立派な香菜だ。これまで2回ほど買って「大きい株だなぁ、美味しいなぁ」とは思っていたここの香菜だけど、今日のは「これは香菜じゃなくて育ちすぎたイタリアンパセリか何かですか?」と疑いたくなるほど立派な立派な株だった。葉は濃厚な緑色で歯ごたえもしっかり。茎を1本折るだけで周囲数メートルに香菜独特の芳香が強烈に漂ってしまう、香りの塊のような香菜だった。すごすぎる。
「どどど、どうしよう、どうやって食べよう、凄すぎる」
と、明日に向けて「カレーかな、おそばかな、それとも生のまま味噌つけて喰っちゃうかな」とときめき始めてしまった私。

イタリアワインを呑み呑み山盛り野菜を堪能したあとは、夫婦して酔っぱらいながら「スパゲティプッタネスカ」を作って食べた。「娼婦風」という名のその料理は、イタリアの常備食であるオリーブやケッパー、アンチョビ、唐辛子、にんにくがたっぷり入ったトマトソースのパスタ料理。材料炒めて、軽く煮詰めて和えるだけ。簡単だ。
しばらく野菜が美味しい料理をしましょうね、うひひ、とピカピカの野菜を前にシアワセな火曜の夜。

2/6 (水)
カーオマンガイ (夕御飯)
吉野家の冷凍牛丼
冷茶

寝坊した。だんながばたばたと出勤の準備をする中、息子と一緒に半ば寝ぼけながら居間に座りこむ。もたもたとだんなを見送り、もたもたと息子にはバナナを与え、もたもたと保育園に送り届け、全体的にやる気のないまま洗濯などを済ませてみると午前10時。何も喰っていないことに気がついた。「あー、何も食べてなかったやー」と気がついた途端に、猛烈な空腹感が襲ってきたりするのである。
「どどど、どうしましょう、何食べましょう」
とバタバタした後、冷凍牛丼と目があった。これだこれだ、これ喰っちゃえ。

先日、Yahoo!オークションで吉野家の冷凍牛丼を業者らしき相手から落札しただんなは、その後何やらお安い食材屋を探し当てたようで、ざくざくと牛丼を買っている。現在は、冷凍庫の扉を開けると10個20個の冷凍牛丼がお出迎えするようになってしまった。うち、牛丼屋じゃないんだから、こんなにあっても困ってしまう(いや、嬉しいは嬉しいけど)。だんな曰く、
「いやぁ、こんなにあるとさ、一気に2パックあっためて"特盛!"ってやりたくならない?なるよね、なっちゃうよ、うん」
だそうである。先日は合羽橋で吉野家チックな伊万里焼き風の丼まで買ってきた。ますます我が家は牛丼屋化してきている。

冷凍御飯を2包み解凍したところ、「並」というより「大盛」になった。
「こ、これで牛丼2つ解凍したら、いわゆる"頭大盛り"とかって状況になるのかしらん」
と思いつつ、牛丼は1パックぶっかけるに留めてみた。

我が家最寄りの吉野家はちょっと遠い。「家であの味が満喫できるって、嬉しいわぁ」と一人密かに思いつつ牛丼はぐはぐ。

弦つき干し葡萄
バーニャカウダ
ほうれん草とじゃがいものフリッタータ
カーオマンガイ
白ワイン:Tocai Friulano '99 di Lenardo

昨夜、山盛りの野菜が届いたため、昨日から「美味しい野菜をどう食べるか」を主目的とする料理ばかりを考えている。
「うーん、春菊はパスタにしてみるか〜」
「ブロッコリーはカリフラワーと合わせてグラタンもどきにして……」
と自作のレシピデータベースをしばらく睨み続け、今日は昨日に続いての「バーニャカウダ」と野菜たっぷりのイタリア風オムレツ、更にタイ料理、とまったく良くわからない組み合わせになった。

「カーオマンガイ」とは、鶏スープの炊き込み御飯。「カーオ」が「御飯」、「マン」が「油」、「ガイ」が「鶏肉」であるらしい。正式な作り方がこれで良いのかはわからないけれど、鶏の脂とにんにくで米を炒め、別鍋で肉を生姜と一緒に茹でておき、茹で上がったらその茹で汁で米と肉を炊く。残ったスープには根菜類を放り込んでパクチーや葱を散らして御飯のお供にする、という感じ(多分スープはおまけの副産物と思われる)。

何種類かの野菜を刻んでアンチョビにんにくソースで食べるバーニャカウダの準備をしつつ、あとはオムレツ、フリッタータ。赤じゃが(←その名のとおり、赤みがかったじゃがいも)とほうれん草を茹でて刻み、バターで炒めたところにチーズ入りの卵液を流して両面こんがりと焼く。食べ際にバルサミコ酢をさっとかけて、いただきます。

イタリア料理にも、パクチーは多用されるのであるらしい。イタリア語では「コリアンドロ」、だ。パクチーをスープやら御飯やらにぶっかけると一気にエスニック感が高まってくるものだけど、案外バーニャカウダとかフリッタータにも違和感なくそぐう味だ。
昨日の残りのワインを傾けつつ、干し葡萄をつまんで生野菜をバリバリ食べる。こんがり焼けたバター風味のフリッタータも美味しくできた。ワインを飲み干したところで、鶏の御飯と鶏のスープ。ちょいと炊きすぎてしまったようで、「お焦げがある」というよりは「お焦げ満載」な御飯になってしまった。ちょっと失敗。とほ。

2/7 (木)
合鴨と春菊のパスタ (夕御飯)
ハムチーズパン
クリームパン
牛乳 with ココア味ミルメーク

出勤日の朝は実際のところ、菓子パンを食すのが準備片づけが素晴らしくらくちんで嬉しかったりする。あとはドーナツとか。
昨日は「久しぶりにドーナツかな、うん」とミスドを目指し、半額キャンペーンの大行列の前にあえなく敗退。「ううう、別に半額じゃなくてもいいのに、定価でも買うのに」と項垂れながら菓子パンを買ってきた。

甘いパン1個、甘くないパン1個を1人分の大体の目安として買う習慣になっている。だんなはカレーパンとクリームパン、私はハムチーズパンとクリームパン、息子は熱烈なリクエストによりチョコデニッシュ。お供に牛乳、そういや先日買ったミルメークがあったよな、と大きめグラスに溶かし、かき混ぜて飲む。

「ミルメーク」、普通は学校給食に出るものらしい。が、私が経験した小中学校の給食では一度も出たことがなかった。小さな小袋に入った、イチゴやコーヒー、ココア味などの甘い顆粒だ。一度飲んでみたくて飲んでみたくて、給食と縁がなくなり10年ほど経った段になって初めて、一度業者から直接、大きな袋に入ったミルメークを大量購入したこともあった(で、放置してたら小袋に入っていたにも関わらず凝固してしまった……ちょっと悲しい思い出……)。

んが、ここ数年、気がつくとスーパーなどで20袋くらいが入った小さなパッケージが売られるようになった。先日はココア味を発見して、喜び勇んで買ってきた。200mlの牛乳に1袋注いでかき混ぜるだけ。はっきり言って、ちょいと甘すぎる気がするし、どことなくジャンクな味だし、溶けにくいような気もする。でも、なんとなく給食を思い出させる懐かしい味だ。ここ数日、実は我が家の牛乳消費量は半端ではない。

日比谷 リストランテフレスコにて
 ランチセット
 (前菜・パスタ・ドルチェ・カフェ)

本日お仕事……だったはずだけど、結局仕事らしい仕事は30分もしなかった今日。
私のボスは大学教授で、私の仕事は「私設秘書」というやつだ。論文作成の手伝いなどを週2度ばかりやっている。すごく気楽な職場な上に、報酬も悪くない。しかも教授はお茶目だし楽しいし。
で、この季節、なんでも「なんちゃら研究費」を消化しなきゃいけないということだ。要は、与えられた予算を使い切るべく、お買物をたくさんしてしまおうということで。朝一番、教授はいきなりお買物相談を持ちかけてきたのだった。

「自宅で作業するためにね、小さなコピー機が欲しいんですよ……」
「はい」
「あとですね、ぱわーぽいんと、っていうんですか?そのソフトも入れたいんです」
「はい……私、買ってきましょうか?」
「……どこで売ってるものなのですか?(←教授は恐ろしくそういう知識に乏しい)わたくしもご一緒して、宜しいですか?」
「……えーと……そうですねぇ、有楽町駅前のビッグカメラが、このあたりでは良いかもしれないです、大きな店ですし」
「では、まいりましょう、今すぐに!」
出勤して30分後に、おもむろに教授と二人でお買物。

1時間ほどで戻れるつもりだった、教授も私も。が、どうやら教授、そういうお店に来るのは初めてだったらしいのであった。
「……隨分パソコンがいっぱい並んでるんですねぇ……」(ここで30分立ち止まる)
「スキャナー、っていうんですか?これ、あると良いかもしれませんねぇ……」(おもむろに1万円のお買物)
「これ、この小さな端末、なんていうんですか?ザウルス?……ほー、良いですねぇ、面白いですねぇ」(予定もなかったのにいきなり5万円のお買物)
更にふらふらとデスクトップパソコンまで買おうとする教授を「ちょ、ちょっと待てぃ!」と制止しつつ、大きな紙袋を2つ抱えて買い物が終了する頃には1時半を過ぎていた。

遅めのお昼、「帝国ホテルはあっちですか?」といきなり帝国ホテル方面に歩き始めた教授を
「そんなとこで喰ったら2時間はかかっちゃいます〜」
と押しとどめ、結局日比谷シャンテの中に入ることに。ヴェネツィア料理専門、というイタリア料理店に入り、パスタランチをご一緒した。

4種類から選べる前菜、本日のパスタ、選べるドルチェとドリンクつきで2300円。
選んだ前菜は桜肉のカルパッチョ、パスタは鴨肉ラグーのペンネリガータ、ドルチェはチーズケーキにティラミスの盛り合わせ。大きなボトルのミネラルウォーターをたっぷり飲みつつ、ヴェネツィア料理を食べてみた。どこか素朴な感じというか野暮ったさもあるような、そこそこ美味しく今ひとつインパクトはなく、という料理だ。赤ワインで煮込まれた鴨肉は、いまひとつ風味が薄くて鴨だか鶏だか牛だかもわからないという感じ。ドルチェには白ワイン風味が効きまくったザバイオーネソースがこれでもかとかかっていた。今時こういう、ちょっと昔がかったようなことをする料理店の方が珍しいかもしれない。

それでも、料理やワインの話をしながらの教授との食事は楽しかった。すっかり満腹して、大荷物抱えて大学へ帰還。自分の金じゃない金で自分のものじゃないものを大量に購入したけど、なんだかものすごく散財してしまったような気分がひしひしと。

合鴨と春菊のパスタ
ブロッコリーとカリフラワーのグラタンサラダ
赤ワイン:Aglianico di Roccamonfina '99 villa matilde

ついうっかり、「パスタにしよう」と合鴨肉を買ってきていたというのに、昼飯にまさにその鴨肉のパスタを喰ってきてしまった。ま、昼はショートパスタだったしな、と気にしないことにする。これから作るのは和風のパスタだし。うむ。

春菊を美味しく食べよう、ということで、以前どこかの本で見たこのレシピを選んでみた。それと、ブロッコリーとカリフラワーを山盛りにオーブン焼きにしたグラタンサラダと。
イタリアはカンパーニャの赤ワインの栓をあけ、料理に使いつつ料理と一緒に飲むことに。葡萄の果実味が強めで渋さもけっこう強めのワインだった。

で、パスタは思ったよりも美味しくできた。「赤ワインに……醤油と砂糖も入れるのか……うーん……」と味の想像がいまいちできないまま作ってみたものの、シャキシャキした春菊に長ねぎ、香ばしく焼けた鴨と赤ワインのソースの組み合わせは思いの外、良く似合っていた。だんなも息子もふがふがと威勢良く食べてくれて、私は満足。密かに「またこの料理作るぞせりあちゃんリスト」に加えることに決定したのだった。生の春菊が入るパスタというのも、面白くて美味しい。

【 合鴨と春菊のパスタのつくりかた 】

材料(2人分)
スパゲッティ160g
合鴨ロース肉120g
春菊1/4束
長ねぎ適宜
 
ソース
 赤ワイン1/4カップ
 コンソメスープ1/4カップ
 醤油大さじ2
 砂糖小さじ2
 胡椒少々

  1. 鍋にソースの材料を全て入れて煮たたせ、水で溶いた片栗粉(分量外)でとろみをつけておく。
  2. 合鴨肉は5mm厚さほどにスライスして、カンカンに熱したフライパンで焼く。春菊は葉先だけを摘んでおく。長ねぎは小口切りにする。
  3. 2と平行してスパゲッティを茹で、茹であがったらざるにあげて水気を切り、バターを軽く絡める。
  4. パスタを皿に盛り、春菊を盛りつけ、焼けた合鴨と長ねぎを飾る。上から合鴨の肉汁もかけちゃう。赤ワインソースをかけて、いただきます。

2/8 (金)
焼き餃子 (夕御飯)
ピザトースト
ダージリンティー

明日から3連休。心躍る金曜であるはずなのに、昨日からだんなはちょいと風邪気味だった。
「なんかね……すっごくだるい。すっごく眠い」
と言っていたかと思うと、今日になって発熱。だんなの仕事、本日お休みとなることに。

具合が悪い割には食欲はきっちりあるようで、
「ピザトースト、食べる?」
と聞いたら嬉しそうに頷いた。4枚切りの厚切り食パンにピザソースたっぷり、ベーコンと玉ねぎとピーマンをわらわらと散らし、最後にチーズを乗せたらトースト。厚切りパンの食感は御飯にも似て、腹持ちも抜群だ。

夫婦してこたつに入り、だらだらと過ごす金曜日。何だか突然4連休になってしまった。

冷凍の吉野家牛丼
鶏肉と大根のスープ
抹茶入り玄米茶

「昼御飯はぁ……?」
とだんなが問うので
「……牛丼?」
と答えたら、これまた顔がパッと輝いた。君は本当に病人なのか。何故冷凍牛丼の具を3パックも温めようとするのだ、ここにいるのは2人なのに。

御飯2合を炊き、伊万里の丼を取り出して
「……並、だな」
「うむ」
と、並サイズ牛丼を堪能。冷凍牛丼、お店で食べるのと大差ない味のように思えるけど、玉ねぎの煮え具合がちょいと甘いのが実は物足りなかったりする。私はぐずぐずに煮崩れそうな玉ねぎが大好きだ。ぺろりと並盛り牛丼を互いに食べ、先にたいらげただんなが言うことには
「……ねぇ、あと、半盛りくらい喰えそうにない?」
と、きた。本当に本当に、君は病人なのか。私にはそうは思えない。

……で、結局、もう1杯並サイズ牛丼を作って半分こしたりしているのである。

焼き餃子
タイ風サラダ
羽釜御飯
モルツ、冷茶

私は三ヶ月クール、だんなは一ヶ月半ほどのクールで、訪れる波。それが「餃子食べたい熱」だ。一度餃子を作ると、大体だんなが先に「餃子が食べたい餃子餃子餃子」と呪文を唱え始める。今回も、1週間ほど前からその呪文が聞こえるようになっていた。「金曜に作ろうね」と数日前に取り決めたばかりだ。
「……具合悪いのに、餃子喰うの?」
「……喰うよー。作るよ、焼くよ、全然OK」
餃子熱は体調より優先されるものらしかった。

我が家の餃子は、茹でた白菜をフードプロセッサーにかけ、これでもかと水分を絞ったものを大量に入れる(作り方は、ココ)。ニラやにんにくは基本的には入れず、代わりに塩や醤油、ラードや胡麻油がけっこうな量投入される。結婚後何種類となくいろいろなレシピを試してきた結果、『文琳の中華 点心』(河田吉功/著 大海社 1997.10)なる本に載っていたものが一番旨いと思えたのだった。
んが、載る分量は豚肉100gに対して白菜200g、私たちには少々物足りなく、いつも豚肉500gに対して白菜1/4個ほどを入れるのが最近のパターン。包み方も、本来は端は止めずに棒状にせよというところを普通の餃子の形状にしている。"焼き"は、より餃子を愛するだんなの担当だ。

餃子だけじゃちと野菜不足じゃなかろうかと、ついでにタイ風サラダも作ってみる。キャベツとトマトと香菜をざくざく刻んでビーフンと混ぜあわせ、牛肉をXO醤入りのピリ辛だれで炒めて野菜と合わせる。レモン汁と刻みナッツをぶっかけたらできあがり。

餃子は75個できた。ビールを片手にがふがふと食べ、ビールが尽きたら御飯茶碗を片手にがふがふと食べる。カリッと焼けた餃子は今日も絶品だ。ラー油多めの醤油をつけて囓ると、中から肉汁がじゅわーっと出てくる。白菜の甘さも濃厚だ。
で、包んだ餃子は75個もあったのだった。さすがに全部食べきることはかなわず、残りはラップしてジップしてフリージング。でも、その残り餃子の個数は24個だったから……食べた個数は、えーとえーと……。

2/9 (土)
牛肉のタイ風サラダ (夕御飯)
チーズトースト
アップルジュース

本日は、友人たちとお昼を一緒にする予定。11時40分、表参道スパイラルビルの1Fにて中学時代からの友人Kちゃんと待ち合わせをしている。9時に起床し、「とりあえず何か腹に入れよう」と、山形パンをちょっとばかり薄めにスライスしてチーズトーストに。アップルジュースを家族全員で飲みつつ、さくさくとチーズトーストを囓る。

ずっと雨になると予報されていた今日、しかしどうやら雨は降らないらしい。さすが晴れ男の我が夫。だんなが外出予定に絡むと、見事なまでに雨はふらない。

青山 Cucina Tokionese Czoimaにて
 グリーンピースのポタージュ
 金目鯛のカルパッチョ
 ナルチャ産生ハムとルッコラ
 魚介と野菜のフリット・ミスト
 豚肉・豚足・豚耳煮込みのトマトソースのパッパルデッレ
 苺のグラニテ
 岩手短角牛のグリル 野菜の煮込みと里芋のフリット、にんにくグリル添え
 グラススプマンテ、グラス赤ワイン

 ココナッツミルクソースのパンナコッタ
 エスプレッソ

今日の食事の題目は、「恋人募集中の友人の引き合わせ」だ。私の友人Kちゃんと、だんなの仕事仲間であるMくんを誘い出して一緒に食事しようという趣向。だんなと食事場所について協議した結果、一番使いやすい店に連れていっちゃうことにした。最近、何かとマスコミに出るようになってきた、青山の「Cucina Tokionese Cozima」、今月は『dancyu』にシェフのカラー写真入りで、インタビューが載っていた。

スプマンテで乾杯の後、メニューの検討。ランチ用メニューもあるものの、
「今日は良い牛肉が入っておりまして……」
の声にぐらりとし、
「山菜や魚介を取り合わせたフリットミストなど……」
の説明にうんうんと頷き、結局メニューを見たり見なかったりしながら、適当に組んでしまうことにした。

最初に来たのは、デミタスカップ入りの一口分のポタージュスープ。
「そろそろ春なので」
と、これまでの南瓜からグリーンピースのスープになった。口にした途端に鼻から口から胃までが全面的に豆豆してしまう、風味濃厚なスープだった。互いの紹介などしながら啜った後には、小盛りにしてもらったカルパッチョと生ハムを続けて出してもらう。とろりと脂の乗った金目鯛には細切りにした生のうどと、パルミジャーノ・レッジャーノが散らされている。生ハムは、「ナルチャ」という地方のもので、たっぷりのルッコラの上に薄切りのそれを盛りつけていただいた。常温で置くと、ハムの脂がやわやわとどんどん柔らかくなってくる。フォカッチャの上にルッコラと盛りつけて一緒に囓ると、その適度な塩気とか脂っけとかがルッコラの香りやパンの食感と一体になって、とてもとても良い感じ。話しながらも、美味しいものが出てきた直後はしばし全員、無言になる。

そして、イイダコとイカ、うどと春菊、ふきのとうがカラリと揚げられたフリットミスト。大皿で中央にどかーんと出てきて、皆でもしゃもしゃとつついて食べる。素材の水分が抜けた野菜はほろほろパリパリと口の中で崩れ、イカやタコはとても柔らか。スプマンテを飲み干した後はグラス赤ワインを盛ってきてもらって、くぴくぴ飲みながら連続する前菜をたっぷり食べた。

次はパスタ。私のパスタは豚肉の煮込みソースのパッパルデッレ。豚足や耳、トリッパなどをぐずぐずになるまで煮込み、豆や野菜と一緒に幅広のテレンとしたパスタに絡めているものだ。だんなは穴子と野菜のオイルソースパスタ、KちゃんMくんは海苔と柚子胡椒のストラッチ(布切れパスタ)。息子はキノコと生ハムの入ったクリームソースのパスタを先ほどから物も言わずに食べている。息子がおとなしく何かを食べているときは、大抵すごく美味しいと思っているときだ。生ハムやフリットミストをちゃっかり横から奪いつつ、息子はしっかりイタリアンを堪能中だ。

メインディッシュは、4人分で1kgという、岩手産の短角牛だった。スキレットでじんわり焼いて、少々寝かせて落ち着かせてからシェフ自らテーブル脇で切り分けてくれる。厚さ3cmほどはあろうかという、巨大な巨大なステーキ状のそれは、「あ、そのまま、その1kgのままガブッと喰わせてください〜」と言いたくなってくるほど、ツヤツヤとして美味しそうだ。味はシンプルに塩と胡椒、仕上げにかけたオリーブ油だけ。中は綺麗なロゼ色の、ごろんごろんとした肉が1人分5切れ6切れと豪快に盛られてやってきた。添え物は、ピエモンテ風だかウンブリア風だか失念してしまったけれど、柔らかく火を通した野菜に緑色のソースを軽く絡めたもの。それにサクッと揚げた里芋のフライに、肉と一緒にグリルしたらしい、皮つきのにんにくが1つずつ。

時勢が時勢なので、注文時には
「牛肉だけど……大丈夫?気にする?」
なんてKちゃんらに確認しつつ持ってきてもらった短角牛。適度に脂が乗って、でも柔らかすぎず適度な歯ごたえもある。塩胡椒だけで豪快に焼くのがぴったりという感じの肉だった。私やだんなはもとより、皆さん、牛肉を食べることに全く抵抗がないらしい。良いことだ。

シンプルな味の牛肉は、しみじみ美味しかった。1人あたり200g強、前菜もパスタもしっかり喰った後にこれだけの肉をガツンと喰えるのは、一種快感だ。「肉だ、肉だ、肉だ」と肉食人種な気分が盛り上がる。ここ最近は豚肉の美味しさの虜になってはいるけれど、牛肉は牛肉のミルク臭さとか充実した脂の味わいだとかがやっぱり美味しい。

だんだん、顔合わせ会だか、単なる食事会だか区別がつかなくなってきた。
最後は、お気に入りのココナッツミルクソースがけのパンナコッタを。ベージュ色のアーモンドジェラートがついてくる。甘くて白くてぷるぷるしたドルチェを食し、心も体もお腹いっぱい状態になってみると、食事を始めてから2時間半が経過していた。

食後は、表参道の紀伊国屋前で、
「私たちはここで買い物してくから〜」
「あとは若い人は若い人同士でね、ってことで、ね」
と解散。2人取り残されて超緊張した風情の二人はごにょごにょと話し合っていた。お互い、気が合ってくれれば紹介した甲斐があるというものだけど、はてさて。

神保町 ぶらじる にて
 冷やしブレンド珈琲

「ケッパーとピクルスを切らしていたのよ〜」
と、紀伊国屋であれこれ物色した後、家族で神保町の書店巡り。1ヶ月後に讃岐うどん詣でを計画している昨今、最近出たという『恐るべきさぬきうどん』の新刊、及び『さぬきうどん全店制覇攻略本2002年度版』を入手せねばならない。香川の小さな出版社から出ているこの本、一般に流通ルートには乗らないようで、東京では普通の本屋でまず見かけることはできないのであった。どうやら「書泉」には入荷しているらしい、という情報をつかんでいざいざ、と行ってみる。

『恐るべきさぬきうどん』はなかったものの、2時間以上に渡る書店巡りで様々な収穫物を得ることができた。『散歩の達人』の欲しかったバックナンバー、最近発売された同雑誌のムック本、小林カツ代の料理本、ダッチオーブンの指南書、PhotoshopやIllustratorの技術本。呆れるほど大量の本を買い込んで、気が付いてみれば午後5時を過ぎていた。

荷物を抱えてよろよろしつつ、
「……あ、そういえば、君、具合悪いんじゃなかったっけ」
「……今頃気が付いたの……?」
と、昨日から不調だっただんなの体調にやっと気付く。ご、ごめんだんな、すまんだんな。本に夢中ですっかり忘れていたよ(こらこら)。
疲れ果てて、裏通りから地下に入ったところにある「ぶらじる」なる珈琲屋さんで一休み。学生時代、だんなはふらっとここに入って珈琲の美味しさに感動したという。私は私で、やっぱり神保町散策の時に一休みしようと入ったことが一度ある。壁には古めかしい振り子時計、木製のテーブルに木製の椅子、広くはない店内はこちゃっとしていて薄暗く、珈琲の香りがふわふわと漂っている。

苦みが強い珈琲は、ちょっと濃いめで香りが豊か。
買ったばかりの文庫でも片手に、時間を過ごすには素敵な空間だ。1日限定10個だか15個だかと書かれた珈琲ゼリーもまた、美味しそうだった。神保町には、美味しい喫茶店が多いような気がする。時が止まったような感じがまた、良いんだな。

牛肉のタイ風サラダ
551蓬莱の
 豚まん・あんまん
プーアル茶

大荷物抱えて、疲れ果てて帰宅。食材も本も、買いすぎたような気がする。しかも、食べ過ぎたような気もする。全く腹が減らない。
そんな折、タイミング良くだんなが先日注文していた551蓬莱の豚まん類がどかっと届いた。豚まんあんまん焼売、マンゴープリン。

「早速食べようか」
「ちょこっと食べて、終わりにしよう」
と、あれこれ蒸して食べることにした。昨夜の残りのタイ風サラダをつまみつつプーアル茶をたっぷりと飲み、独特な味のする豚まんを囓る。ラードが大量に入っているのか秘密の調味料でも入っているのか、中華風の「肉まん」を想像して食べるとちょっと異なる味がする。皮はほの甘くもちもちとしていて、具は肉と共に野菜の存在も感じられる割にはこってりとした味わいだ。

帰宅した直後からぐにゃぐにゃと元気がなさそうだっただんな、食後はソファーにもたれて動かなくなったと思ったら
「……も、寝る」
と寝室にひっこんでしまった。あ、あらららら……。

2/10 (日)
おばあちゃんのきんぴらごぼう (夕御飯)
スクランブルエッグとハムチーズのホットサンド
牛乳 with ココア味ミルメーク

金曜日から調子を崩していただんなの体調は、今日になって最悪になってしまったらしい。熱はそれほど高くはないけど、とてもだるそうだ。連休だというのに(といっても予定があるわけじゃなかったのが幸い)、可哀相なことだ。
が、食欲はあるらしい。

「ホットサンド、食べるかーい?」
「食べるよー」
「スクランブルエッグと、ハムとチーズを挟もうと思いますが」
「いいよーん」
で、今朝は具沢山のホットサンド。

スクランブルエッグを塩胡椒多めで作り、厚切りハムととろけるチーズと一緒にホットサンドメーカーへ。お供はココア味ミルメーク投入の、牛乳。一家でミルメーク入り牛乳を飲むと、一気に600mlが無くなってしまう。最近の我が家の牛乳消費量は半端じゃない。カルシウム摂取多めで、良い感じ。

だんなは不調、そんな折、お義母さんから電話があった。
「今日ねー、これからお祖母ちゃん(←だんなのおばあちゃん、息子にとっては曾ばあちゃん)がうちに来るんだけど、いらっしゃいな♪」
「……え、いや、実はだんなが風邪でぶっ倒れてしまって……」
「あら、だったら"それ"は抜きで、いらっしゃいな♪」
お、お義母さん……実の息子を"それ"呼ばわりとは……おそるべし……。

だんなの実家にて
 「さかえ寿司」の中落ち丼と握り寿司
 お茶

だんなと一緒に
 「高円寺ナイルカレー」のポークカレー
 アイスカフェオレ

そういうわけで、半纏をかぶってこたつに籠もるだんなを家に置き、息子と一緒にだんなの実家にちょこっと出かけていった。お義母さんにとって息子は初孫、お義母さんのお母さんにとっては愛してやまない初孫の初子ときていて、しかもそれが初曾孫(そういってみれば、私の母にとっても初孫だし、私の祖母にとっても初曾孫だったと思い出す)。色々と「初」を冠する状況にある我が息子は、そりゃもう猛烈に寵愛されているのであった。

先日は、
「うちにね、いっぱいいっぱいあるのよ、洋服が。送ったから」
の一言と共に、大量の子供服が送られてきた。今年大学を卒業して就職した(ってことは20年近く前のもの、ということに)、だんなの従兄弟の名前つきの洋服が詰まっていた。男物はともかく、従姉妹の名前のものもあるので笑ってしまうやら困ってしまうやら。「女ものじゃん……明らかに」とツッコミ入れつつ、「どこにしまうのー?」と少しばかり途方に暮れた。今度は「おもちゃもあるのよ、いっぱいいっぱい」と言っている。
「そ、それは送っていただかなくても、遊びに行った時にいっぱいいっぱい遊べますからっ!」
と必死に阻止している私。おばあちゃんの愛はとどまることを知らない。我が家の箪笥はそろそろ飽和しているというのに。とほほ。

顔見せして、すぐに戻るつもりでいたのに、家にお邪魔して十数分したところでお寿司が届いた。
「いくら!いくらだー、たまごだー」
と騒ぐ息子。中落ち丼も握りも、とても美味しそう。思わず尻を落ち着けていただくことにしてしまった。
この近隣じゃ、かなり有名な寿司屋であるらしい。中落ち丼はとろりと脂の乗りまくったマグロがたっぷり、大根おろしやキュウリなどの薬味もこんもりと、とてもバランスの良い旨い丼だ。トロや平目の握りもちゃっかりいただいて、気がつくと午後2時。

「だ、だんなが心配なので戻りますねっ」
と、息子と交流したくて仕方がないおばあちゃんたちの元に息子を置き、私だけ家に帰った。カレーライスなら食べられそう、というだんなのために、「高円寺ナイルカレー」にタッパー持ってポークカレーのルーを買い求めに行った。2人分のルーを買ってきて、先ほど中落ち丼喰ったばっかだというのに、きっちり1人分のカレーを喰ってしまったのであった。ちょっとだけ……げふ。

常夜鍋(豚肉・ほうれん草・小松菜・うどん)
おばあちゃんのきんぴらごぼう
おばあちゃんの浅漬け大根
おばあちゃんのお赤飯

ほうれん草や小松菜が冷蔵庫に入っていたので、今晩は常夜鍋。昆布だしに豚肉と青菜を放り込みつつ、胡麻だれで食べる異様に簡単な鍋料理。胡麻だれは自家製にしてみたり高級なものを買ってみたりと色々試してみたけれど、こればっかりは「ミツカンごましゃぶ」が妙に似合うような気がする。常夜鍋にはミツカンごましゃぶ、我が家の法則になりつつある。

あとは、おばあちゃんから大量にお裾分けしてもらった総菜と、お赤飯。恒例のごとく、孫や曾孫に会うときは、大量のお赤飯を炊くのがおばあちゃんの常になっている。こってり濃いめの味つけのきんぴらごぼうと、柚子の皮が多めにまぶされた、甘酢に漬けた大根。御飯の友にぴったりだ。

息子が帰ってきたのは、午後8時をまわったころ。しっかり夕飯も馳走になってきたらしい。さんざん遊んでもらったようですっかり御機嫌な息子だった。