食欲魔人日記 02年07月 第5週
7/29 (月)
おうちで、タコス (夕御飯)
だんな特製ホットドッグ
カフェオレ

充実した週末も終わり、今日からまた一週間。とはいっても、今は夏休み期間なので相変わらずのんびりとした日々が続きそうなのであった。
朝御飯は、ホットドッグ。私が洗濯に行っている間(ここらのマンションは、家の中に洗濯機スペースがあるのは稀で、大体共同のコインランドリーが設置されている。洗いも乾燥も1回$1。25セント玉を4枚、機械にガシャリガシャリと押し込んで使うようになっている)、だんながキャベツを切り、炒めていてくれた。毎日の洗濯に往復5分くらいかけて何度も移動しなきゃいけないのはちょっとばかりめんどくさい。暑い日となるとなおのこと、めんどくさい。

カレーバター炒めのキャベツにソーセージという、いつもと同じ味のホットドッグ。アメリカに来てからは黄色いマスタードもにょろにょろとつけるようになった。それもそれでなかなか美味しかったりする。

"オリエンタルテイスト"ラーメン もやし炒め乗せ
麦茶

先日、スーパーマーケットで「MARUCHAN」印のインスタントラーメンが売られているのを見て、思わず買ってきてしまった。「ORIENTAL TASTE」と書いてあって、いかにも怪しい。
「いったいどんな風にオリエンタル風味なんだろ」
「少なくとも和風とか中華風じゃなさそうだよねぇ」
と、さっそ今日、試してみることに。

幸い、近所のマーケットではモヤシを販売している。それを見て、
「ああ、もしもアメリカの味がどーしよーもなくイヤになったらモヤシ買ってきて卵と炒めて醤油ぶっかけて、御飯に乗せて食べるかなぁ」
と内心安心した私。あいにくまだ「どーしよーもなくイヤ」な気分にはなっていないけど、ラーメンにはやはりモヤシを乗せたいところだ。ひき肉と炒めてトッピングしたら、オリエンタルテイストなラーメンも馴染みの味に近づくかもしれない。

電気コンロで苦心してラーメンを茹で、スープを作り、モヤシと肉を炒め合わせる。残念ながらラーメンどんぶりは持っていないので、大ぶりのサラダボウルに盛りつける。1人2杯分くらいの「サラダボウル入りラーメン」ができ、なんだか「わんこラーメン」という感じ。

化学調味料味がブリブリバリバリに感じられたラーメンは醤油味のようなオイスターソース味のような。麺は一昔前のチキンラーメンみたいだった。胡麻油で炒めたモヤシと肉が適当に化学調味料味をマイルドにしてくれて、まぁまぁ食べられる味になっていたような気がする。
それでも、麺料理愛好家の息子は嬉しそうに食べまくっていた。そういえば、近所に日本食屋さんはあるけどラーメン屋ってありそうにない。コテコテの味噌ラーメンが食べたくなったらどうしよう。どきどき。

タコス (ハードシェル・ソフトシェル)
タコライス
コロナビール

今日の午後は、「ある部屋の家具含む荷物全てを別の部屋に移動させなければならない」という大仕事があるそうで、だんな含む仲間たちでその作業をすることに。その間、私と息子、留学仲間のHさんの奥さんと娘さんの4人は我が家で待機することになった。

とりあえず、息子にまだ友達はおらず、Hさん宅の1歳のSちゃんにも友達はいない。幼児期の年齢差3歳は少々大きいけど、とりあえず息子もSちゃんも互いを「仲間」と認識しつつある模様だ。Sちゃんは我が家で初めての"チョコレートミルク"を飲んで、身体をふるわせて喜んでいた(す、すみません、幼児に怪しい味覚を教えこんでしまいました……)。アメリカの甘いものは子供達には嬉しすぎるものばかりだ。特にチョコレートミルクなんて、ヤバいものの最たるものかもしれない。

夕方無事に作業も終わり、夕食は家族で「タコス」。
メキシカンも多く住んでいるらしいこの地域(というかアメリカ全域?)、マーケットにはタコスの材料が山のように売られている。10種類くらいもありそうな肉用のミックススパイス、多種多様のソースの類、皮もソフトからハードから"Fajita"に至るまで、これでもかと売られている。
「常温保存できるソフトタイプもあるけど?」
「……うーん、冷蔵タイプのが美味しそうな気がするなぁ……」
と、よくわからないけど自分たちなりに厳選してあれこれ買ってきてみた。タコスのファーストフードチェーン、"タコベル"のスパイスミックスなんかも売られていて、それもそれでちょっと気になった。

そのうち自分たちでスパイス使ってタコスを1から作ってみようと思いつつ、今日は市販のスパイスでタコス作成。1袋のミックススパイスで1ポンドの牛ひき肉を炒め煮し、皮は適当に温めて、レタスとトマトとチーズと玉ねぎなどと共にくるんで食べる。ちょっと厚めのソフトタイプの皮はオーブンで軽く温めるとモチモチとして柔らかくて非常に良い感じ。御飯の食感にもどことなく似ている。

日本でタコスを作るときは、"水分シャバシャバだとくるむときに大変じゃないのかな?"と一生懸命肉の水気を飛ばしてみたり、トマトの水切りをしてみたり、気を使って作っていたりした。
ところがこっちに来て食べるタコス、かなーり"水分シャバシャバ"なのである。肉から出る水気とか、トマトの汁とか、そういうものがタコスをくるむアルミホイルなどにダバダバ垂れてきていて、それを服に垂らさないようにしながらちょっとシナッとなったタコスの皮を囓る、という感じ。ああ、別にシャバシャバでもいいのか……と納得したら、タコス作りがまたらくちんになった。シャバシャバでもダバダバでも何でもいいから美味しく食べりゃ良いみたいなのである。買ってきた肉は脂っけがやたらと強くて、黄色い肉汁が皮を伝って指の間からポタポタと垂れてきたりして、それを舐めつつしこたまタコスを食べまくった。

私もだんなも4〜5個のタコスを食べた頃だというのに、最後、だんな曰く
「……タコライスも食べたいな」
と、おもむろに冷凍御飯を温めはじめる。結局「私も私も」「ぼくもぼくも」と白い御飯を半ば奪うようにしながら最後にタコライスでシメ。
御飯の上に綺麗に盛りつける肉と野菜とチーズとソース。これ、近所のタコス屋のオヤジなんかが見たらクレイジーだと思うのだろうか。……すんごく美味しいんだけどなぁ。タコライス。

7/30 (火)
きじ焼き丼 (夕御飯)
Nashville 「Bread & Company」にて
 ターキー&チェダーサンドウィッチ
 ガスパチョ
 アイスカフェラテ

朝8時半起床。
「なんだかパンの朝食もちょっと飽きたなぁ……」
と思いつつ、とりあえず洗濯に向かう。出がけに
「あさあさ、あさごはんは♪ぱんけーき♪」
と歌って出ていったところ、背後からだんなの「パンケーキかよ!」というツッコミがかすかに聞こえてきた。

で、本当にパンケーキ屋に向かう私たち。すっかりお気に入りの「Pancake Pantry」で、今日は甘くないのにしようか、それともA教授おすすめのブルーベリーあたりを攻めようか、色々考えつつ車を走らせる。昼は混雑しているらしいけど、朝9時に混雑しているとは思えなかった。……が、それが甘かった。

朝9時過ぎという時間に、店の前は長蛇の列。日本人もアメリカ人も考えることは一緒らしく、「朝御飯にパンケーキなんてサイコーよね♪」と思っている人々が老いも若きもおとなしく列を作っているのであった。30分、いや、1時間ほど待つかもしれない。結局、そのまま店の前をそのまま車で通過することになってしまったのだった。

そのまま数分車を走らせると、デリ併設のパン屋さん「Bread & Company」に辿り着く。結局今朝は、そこでサンドウィッチを囓ることにしたのだった。
パンも決して安くないが、サンドウィッチも安くはなかったこのお店。ターキーとチェダーのサンドウィッチときたら、$7ほどの値段がした。でも美味しそうだ。あとはスープコーナーでガスパチョと、アイスカフェラテ。

パンの厚みの5倍くらいのほぐし身のターキーに、パンの厚みほどのチーズとトマト、そしてレタスが挟まったサンドだ。手にすると、500gくらいあるんじゃないかというほどにずしりと重い。全体的な厚みは10cmほどもありそうで、どうやっても口を最大に開けた高さをオーバーしている。で、パンを抑えつつ口を最大限にこじ開けて、じわりじわりと囓っていったのだった。

私、自分が健啖家だという自覚があったし、自分に食べきれないサンドウィッチがあるとは思っていなかった。だからスープもとったし、ラージサイズのカフェラテも注文したのだ。だがこのサンドウィッチ、ぜんぜん量が減らないのである。ちょっとパサつくターキーの肉をこれでもかと頬張っても、厚切りトマトにかじり付いても、マスタードの効いたパンを呑み込んでも、左手にかかる重さは少しも減らない。どころかサンドの重さを支える左手の指が痺れるように疲れてくる。私の前でローストビーフサンドを囓るだんなも、私よりは小ぶりのサンドとはいえ目を白黒させてなんとか完食、という感じ。

バジルの香り漂う野菜たっぷりの冷たいトマトスープ、ガスパチョはキンキンに冷えていて美味しかった。ちょっとばかり漂う青臭さも心地よく、カフェラテのガツンとした苦さも良い感じ。でも……このサンドウィッチはでかいです。でかすぎました。

結局、支払い用のカウンターに行って
「テイクアウト用の紙袋、くださーい」
と言ってしまった私。サンドウィッチが包まれていたビニールに、半分ほど残ってしまったそれをくるんで紙袋に入れ、ついでに息子も食べ残したチョコクロワッサンも突っ込んで、持ち帰ることになったのだった。む……無念。

「Bread & Company」のチョコクロワッサン
オレンジジュース

ひと包みのサンドウィッチで昼になっても空腹にならないということはどういうことだ……と思いつつ、そのまま昼になっても何も食べずにスーパーマーケットに買い物に行ってきた。さすがに3時を過ぎて小腹が空いて、朝持ち帰ってきたチョコパンを囓ることに。

冷蔵庫の中には当然ターキーサンドも残っていて、でも2食続けて食べるのもなんだか苦しいものがあるので、これは夕飯のサラダに加工してしまうことにした。すまんターキーサンド。

きじ焼き丼
冷や奴
ターキブレストとレタスのサラダ
豆腐とワカメの味噌汁
Natural ICE Beer

ヨープレイトヨーグルト(カスタードスタイル・バニラ)

明日はだんなの誕生日。
なのに私ときたらここ数週間のドタバタでそんなことはすっかり忘却しきっていて、忘却していた事を今日だんなに悟られてしまい、いささか険悪な雰囲気に。
「きょ、今日はきじ焼き丼とか……」
とおそるおそる申し出ると、
「おお!きじ焼き丼!これで半分は許してやろう」
という寛大な返事をいただくことができた。ちなみに明日の誕生日当日ディナーはハンバーグ、ということに(そんなコテコテのアメリカ飯でいいのか、だんな……)。

なので、今日は一生懸命日本飯を、ということで味噌汁&冷や奴つきの本格和食を目指してみた。豆腐は日本食材屋さんで、1パック$1ほどで買ってきたもの。マンゴプリンやライチプリンで四角い紙パック入りのが日本で売られているけど、ちょうどそんな感じの豆腐なのだった。封を切って出してみると、いささか硬め。でも一応豆腐の味と香りがする。半分を味噌汁にして、半分を冷や奴に。おかかをドパッとかけて、醤油をちーっと垂らして食べる。

朝のターキーサンドの残りは、中身をボウルに全部入れてほぐし、刻みレタスと一緒にマヨネーズを混ぜ、サラダにしてしまった。胡椒をガツンときかせて、全然別の味にする。サンドイッチ半量分のターキーだというのに、なんで片手で掴みきれないほどの量があるんだろう。謎だ。

そして、きじ焼き丼。スキレットをガンガン温め、そこに塩胡椒した鶏肉を放り込んでいく。皮目に焼き色がついたら裏返して弱火にし、蓋をしてじくじくと火を通す。本当はシシトウを放り込みたいところだけど、シシトウがなかったのでピーマンの細切りを肉の上に少々散らしてこれも火を通しちゃう。肉がほどよく焼けたところで醤油と味醂と少々の水(すぐに調味料が煮詰まって乾きそうだったので)を入れ、軽く絡めたらできあがり。……とスマートに仕上げたいところだったけど、火の加減とスキレットの扱いがどっちも慣れていないので、鶏肉がちょっと生焼けに。仕方ないので調味料でそのままちょっと煮込んでしまった。おかげでピーマンがクタクタ状態で、ちょっと悔しいできあがりになってしまった。

仕上げに揉み海苔を散らすと、そこそこ日本の味になった。こっちで買ったこっちのメーカーの醤油は、まるで"しょっつる"のように塩気が強く香りもちと違っていたけど、不味くはない。キッコーマンも売られているけど、どうせだったら、と、知らないメーカーのものをついつい買ってしまう我が家なのだった。

「これで、七味唐辛子があれば完璧なんだけどなぁ……」
と言いつつ、夕御飯。うーん、七味唐辛子を買っても帰国までに使い切らないような気が……。

7/31 (水)
だんな誕生日ディナーは、巨大ハンバーグ! (夕御飯)
クロワッサン
ボローニャソーセージ & 目玉焼き
カフェオレ
Yoplaitヨーグルト(カスタードスタイル バニラ)

日本も相当暑い日々が続いているらしいけど、こちらも負けず劣らず蒸し暑いような感じ。洗濯袋を持って洗濯場に向かう時、うんざるするほどの熱気がアスファルトからもやもやと立ち上ってきた。
朝御飯は、クロワッサンに目玉焼き。昨日マーケットで、ケーキ用の丸形ケースに詰められた小型のクロワッサンを買ってきた。みっしりと12個ほど入って$3弱。ダースという単位はパンを買うのにいまいち相応しくないんじゃないかと私は思うけど、そういうパンばかりがマーケットには売られているんだなぁ。

そして、昨夜夕食の後に食べたヨーグルトの続きを今朝食べる。「Lowfat」なんてでかでかと書いてあるそのヨーグルトは、低脂肪なのは大変によろしいかもしれないけど、まずその量を減らすことが先決じゃないかなー、と、これまた私は思うのである。何の気なしに買ってきたミニパックだったけど、良くみると170gも詰まっている。親子3人、昨夜夕食後に1個ずつ開けてはみたけど全員揃って食べきれなかった。やっぱりヨーグルトは1回に100g程度が美味しく食べられる分量であるような気がする。100gくらいだったら乳脂肪もそれほど気にしなくても良いんじゃないかとも思う。こちらの人々の胃袋の容量が、未だ掴めず困惑する7月の最終日。

Nashville 「Pancake Pantry」にて
 "Swiss Chocolate Chip Pancakes"
 クリームマッシュルームスープ
 アイスティー

あまりにも暑い今日、だんなが午前中大学に顔を出している間、私と息子はプールで遊んでいた。今日は水中メガネも持っていって、深さ3m弱のプールを思う存分潜りまくってたゆたってきた。

お昼はだんなに誘われて、Hさん一家と一緒に「Pancake Pantry」。こちらに来て2週間、3度目のこのパンケーキ屋さんだ。いつも食事後半15分と食後30分くらいは「も、もうこの店しばらくいいや……」と思っちゃうんだけど、またすぐ食べたくなっちゃう危険な店だ。このままじゃ帰国前に全種類制覇も夢じゃない(というか、本気でこの店のパンケーキの画像だけをまとめたコーナーを作ろうかとすら考えている)。
しかも、スープまで美味しいとあって、ますます私たちはハマッているのであった。

今日の私の選択は、「Swiss Chocolate Chip Pancakes」。説明文には

For Chocolate Lovers! Old Fashioned buttermilk pancakes covered with rich chocolate chips. Sprinkled with powdered sugar. Served with butter and syrup.
とあって、怪しい雰囲気だ。「チョコレート好きに贈る!」なんて煽り文句を書かれた日には、どんな大量のチョコチップがまぶされてくるか、想像するのも恐ろしい。
だんなは「Pigs In A Blanket」なる、ソーセージを巻いた甘くないパンケーキを。そして2人で1つ、マッシュルームスープも注文。Hさん夫妻はチェリーコンポート乗せのと、ワイルドブルーベリー添えのものを注文。うきうきしながらパンケーキを待つ。

……で、やってきたのは上一面が真っ黒に染まったような、「パンケーキにチョコレートを散らしました」というよりは「チョコチップの下にパンケーキを敷きました」みたいなシロモノ。パンケーキは5枚、その上にこれでもかとチョコチップが散らされて、パンケーキの熱でそれが溶けてチョコソースと化していっている。こんもり盛られたバタークリームは相変わらずかすかな塩気。パンケーキもほんのり塩辛く、それがまたチョコの甘さを強調してくれる。

H夫人の元にやってきたのは私が先日食べたイチゴのやつのチェリー版という感じで、"まるごとバナナ"サイズの大きなパンケーキロールが3つ、山盛りのクリームを添えられてたっぷりのチェリーコンポートにまみれていた。絶句するHさん。最初は嬉しそうに食べていたけど、
「な、なんかもう、この段階で全部食べきれない気配が……」
と1つのロールをクリアしたところで表情に曇りが。後半、それまで昼寝していた1歳のSちゃんが目を覚ましたこともあり、娘に「おいしい?おいしいねぇ〜?」と一生懸命チェリーパンケーキを食べさせるHさんがいたのだった。

私のチョコパンケーキも壮絶だ。横から一口奪っただんなも、「お、俺自分が甘党だと思っていたけど一口でいいや……」と一口でギブアップ。私は美味しく食べていた。見た目は壮絶だけど、それほど甘ったるくもないしこってりもしてないし、やっぱり美味しいのだった。山盛りチョコに5枚のパンケーキで$5.45。その値段がまた嬉しいじゃないか。

で、このお店、オリジナルTシャツも販売しているのであった。背中部に描かれた素朴なイラストはもちろんパンケーキ!めちゃめちゃキュートなTシャツだ。
この地で着るのはちょっと恥ずかしいので、帰国する時に山ほど買って帰ろうかなと思っている。そして日本で布教活動(そ、そんな田舎町のパンケーキ屋を布教してどうする……)。

我が家でだんなお誕生日ディナー
 巨大ハンバーグ 目玉焼き乗せ
 マッシュルームのガーリックソテー
 にんじんのグラッセ
 ほうれん草のサラダ
 じゃがいもと玉ねぎの冷製スープ
 羽釜御飯
 ビール(コロナ)

 ロールケーキ(もどき)
 アイスティー

今日はだんなの誕生日。
美味しそうなケーキでも買ってきて……と思ったけど、この近辺に美味しいという噂のケーキ屋さんはなく、マーケットで買った日には歯が抜けそうな甘さのバタークリームがこってり(しかも極彩色)ということもあって、ここはひとつ自分で作ってみることに。ちゃんとケーキ飾り用のロウソクも買ってきた。

メインディッシュは、だんなリクエストによる巨大ハンバーグ。玉ねぎ炒めて自家製パン粉を少々混ぜて、卵と塩胡椒とナツメグも合わせる。そこに600gほどの牛ひきをバーン!と投入してこねてこねて丸めて丸めてスキレットで蒸し焼きに。仕上げに目玉焼き乗せて、ハンバーグ取った後の鍋に「JACK DANIEL'S Grilling Sauce (Original No.7 Barbecue Recipe)」なる瓶入りソースをダバダバと入れて肉汁と絡め、トッピング。このソース、A教授の奥さんが豆煮込みのレシピを教えてくれたときに「このソースが一番なのよ!」と教えてくれたものだ。ちょっと甘めだけどけっこう美味しいバーベキューソースではある。いかにもアメリカな味って感じ。

つけ合わせはにんにくたっぷりで炒めたマッシュルームソテーと、甘く煮たにんじん。ベーコンを細かく切って炒めて醤油や酢を垂らして温かいドレッシングにしてほうれん草にぶっかけて食べるサラダと、じゃがいも入りの冷たいスープ。まだフードプロセッサーもなく鍋も今ひとつ少なく、それでもなんとかディナーらしいディナーになった。ハンバーグもちゃんと美味しかったし、満足。

そして、ケーキはロールケーキを目指したけどロールケーキ(もどき)になってしまったシロモノ。
電気オーブンには天板がついておらず網だけだったので、薄スポンジが焼けるようにバットを買ってきてそれらしく焼いてみた。けど、スポンジはスポンジ(もどき)という感じになり、それにホイップクリームたっぷり塗って巻こうとしたらロールケーキ(もどき)に。ロールケーキは丸く巻くからロールケーキなのであって、三角形になったらそれはロールケーキではないんじゃないかと思う。焼きすぎだったのか何なのか、今ひとつ水分が少ない生地になってしまって、その生地の表面にヒビが入ってすっかり三角形となってしまったロールケーキ(もどき)だったけど、美味しそうなものを選んで買ってきたホイップクリームをせっせと泡立ててたっぷり詰めたケーキは少なくともマーケットのバタークリームこってりチョコレートケーキよりは美味しくできた。全体像は見せられたもんじゃないので、1人分ずつ綺麗なところをカットして、1切れずつにロウソク立てて、歌うたって皆でフー。

アメリカ生活に全然慣れていない時期でのだんなの誕生日だったけど、私と息子の誕生日が来る4月はもう帰国間近だ。そのときにはどんなお祝いになるのだろう(まさかあのバタークリームケーキでお祝い……?)。