食欲魔人日記 02年10月 第5週
10/28 (月)
だんな特製 カルボナーラリングイネ (夕御飯)
ふりかけ御飯

2日ずっと改善が見られず体調不良。ついに昨夜は飲み続けていた風邪薬と栄養剤の服用をストップし、
「ちょと1日、病気の好きにさせてみるわー」
と昨夜寝たのだった。すぐさま熱が出始め、昨日は氷嚢片手に一晩中ごろごろごろごろ半寝半起状態。2日もあれば風邪くらい治るだろうと思っていたのに、今日も相変わらず不調だった。ネットサーフィンもできないほどの不調は久しぶりだ。

午前中はだんなが大学に顔を出しに行ってしまったので、「おなか、すいたね」という息子と台所を漁る。昨夜だんなが握ってくれていたらしいおにぎりを発見して、「これだ!」と思った途端、横の息子に
「あー、おにぎりだー、ぼく、おにぎりたべたいなー」
と先手を打たれてしまった。しょうがないのでおにぎりは息子にゆずり、私は冷凍御飯をチンしてふりかけ御飯。
「あのー、息子さん、コーンフレークとかじゃダメですか?」
と、チンする前に一応確認してみたけど、
「えぇ〜?ぼくは、カリカリよりおにぎりが好きなんだなぁ……」
と真剣な目で答えられてしまった。息子もやっぱり日本人なのねぇ。

だんな特製 ホットドッグ
オレンジーナ

昼過ぎ、大量のビニール袋と共に帰宅しただんな。一人でWAL☆MARTに行って買い物してきてくれたらしい。
「もうトイレットペーパーがなかったので買ってきたよ」
「あとね、ジップロック。ちょっと安いWAL☆MART製もあったからこっちも買ってきてみた」
「パスタソースも2種類買ってきてみたよー」
と、なんだか私より主婦っぽいセレクションだ。最後に
「お昼御飯ホットドッグで、夕飯はカルボナーラで良いですかね?」
と確認された。彼の中では、「こうなったら俺はしばらく、おさんどんするんだもんね」という決意がしっかり出来上がっているものらしい。ホットドッグでおっけーでーす。カルボナーラも大歓迎です。

最近我が家のブームは、"刻み玉ねぎ&刻みピクルス乗せホットドッグ"。炒めキャベツ(バター&カレー粉風味)を詰めたやつもそれはそれは美味しいけど、玉ねぎ&ピクルスもさっぱりしていてなかなか旨い。マスタードと良く似合う。

だんな特製 カルボナーラリングイネ
アイスカフェオレ

夕飯は、たっぷりベーコン入りのカルボナーラ。生クリームがちょっと多めの、柔らかい味のカルボナーラだった。
ここのところ、私に合わせてアルコールを断っていただんなは、さすがに今日はビール片手。私はまだまだビールが恋しくないってことは、まだ体調いまひとつなのだろう。身体中の関節がビシビシ痛いし、頭も痛い。この風邪、なんだかあちらこちらが痛くなりまくるやつのようで、けっこうイヤなタイプなのだった。
明日はIさんとMさん呼んで"常夜鍋の会"。お客にばっかり食べまくられないように、それまでにはなんとか体調を戻したいところだ。山ほど豚バラ肉買ってきたことだし。

10/29 (火)
みんなで常夜鍋♪
(肉の質の違いからか、アクがすごくてすごくて悪戦苦闘中だったのよ) (夕御飯)
干し葡萄入りコーンフレーク with 牛乳

今日からはあれこれ予定が詰まっていて、風邪だなんだと寝ているわけにもいかなくなった。何しろもうすぐハロウィンだし。
朝起きて、数日ぶりに玄関先のカボチャを見る。5日ばかり前に中身をくりぬいてカービングしてジャック・オ・ランタンにしたやつだ。目と鼻が三角の笑い顔を彫った裏には、3匹のコウモリまでがんばってあしらったやつ。それが、ここ数日の雨のための湿気か見事にカビが生え始めていた。彫ったエッジもちょっとばかりシオシオになってしまい、ジャック・オ・ランタンはすっかり老けた表情に。しかたないのでカボチャもう1個買ってきて彫ることにしよう。
「カボチャがシオシオになったよ……」
とだんなに報告したところ、
「ああー、俺も気がついてた。……でもね、大学のそばの家の軒先に飾ってあったジャック・オ・ランタンはもっと悲惨で……リスに囓られて顔がヘンになってた」
とのこと。ジャック・オ・ランタン作りもなかなか難しいものだ。

朝御飯は息子と一緒にコーンフレーク。
コーンフレーク食べると、めちゃめちゃ牛乳が減っていく。最近、お気に入りのオーガニック牛乳をガロン買いしている我が家だけど、当初1ガロンの消費に1週間くらいかかっていたような気がするけど最近は4日くらいなような気が。

「Hong Kong」の2種おかず弁当($4.90)
アイス烏龍茶

まだ今ひとつ本調子とはいえない私のために、
「何か昼御飯買って帰ろうかー?」
と大学からだんなが電話してきてくれた。
「チーズハンバーガーとか?」
と続けて言われたので
「……いや、買ってきてくれるなら"香港屋さん"のお弁当がいいなぁ。できるだけさっぱりしたおかず希望ってことで」
と答えたところ、すぐに「ああ、あれか。OKOK」とすぐに理解してくれた。

店名は「Hong Kong」で良いらしいけど、本当にそれで良いのかよくわからない。夜も同じ内容で開店しているのかも不明(夜にオープンしているのかどうかも今ひとつ不明)。
昼に行くと、カウンターにブッフェ台のごとくおかずが並べられていて、お客は店員に「あれとこれ、詰めてね」と指示して1つの皿(ないしテイクアウトボックス)に詰めてもらうようになっている。白い御飯か炒飯か焼きそばの中から主食を選び、おかずは8種類ほどの中から2種類を選ぶ。それで5ドル。「香港」を名乗るにはちょっとトホホな味だけど、我が家近郊の中華(チックな)お店の中ではコストパフォーマンスは良いし、「香港」さえ名乗らなければそこそこ美味しいと思える。味噌っぽい味の麻婆豆腐なんて御飯に似合って良い感じだ。ネギだれの蒸し鶏も悪くない。

炒飯と焼きそば、そしておかず4種という組み合わせで2箱のドギーバッグを抱えて帰ってきただんな。ここの弁当、めちゃめちゃ量が多いことでも知られているようで、
「……これだけの量、アメリカ人はみんな食べてるの?」
とだんなに聞いたら
「うん……ほっとんどの人は綺麗に食べていくねぇ。たまーに大量に残したままゴミ箱に突っ込んでいく人もいるけど。でも残すような人は最初からドギーバッグに詰めてもらって持って行ってるよ」
とのこと。どんぶりいっぱい程の炒飯に、どばーっどばーっとおかずの山というこのお弁当、食べきるのはなかなかに至難の業だ。

我が家も3人がかりで2人分の弁当にとりかかり、それでも食べきれずに蓋を閉じるに至ってしまった。
息子の炒飯の喰いっぷりはたいしたもので、1/2人前ほどを「たべる、たべるよー」ともりもり食べていた。けど食べきれない。麻婆豆腐とネギ鶏、回鍋肉と海鮮の塩味炒めのおかずはどれもほどよく炒飯や焼きそばに似合っていて困ったものだ。

常夜鍋
羽釜御飯
ビール(コロナ)
冷茶

一昨日の日曜日、17日の長期旅行からIさんが帰ってきた。途中、オレゴンにいるときに大学に報告電話があり、
「飯、どうよ?」
と聞いたところ
「つらすぎるぅ〜」
と息も絶え絶えの返事だったとか。

自炊しない(できない)、食に興味がないというIさん、困ったことに「美味しいものを食べようとしてもハズレを引く」確率が恐ろしく高い。どこに行ってもそれなりに美味しいものを選択して食べていけばそれほどストレスはたまらないだろうに、彼のメニュー選択眼ときたら恐ろしく精度が悪いのだった。未だ"P"に行ったことがないという彼を連れて皆でパンケーキを食べに行ったとき、彼の選択したものは、おそらくあらゆるパンケーキメニューの中で一番"イケてない"品だった。普通の甘いパンケーキを食べ慣れた人が、時々手を伸ばすような感じの品を選んでしまい、泣きそうになっていたのは最近のことだ。彼には食欲魔人の神様は全く光臨してくれないものらしい。

そういう事情もあり、「Iが帰ってきたら豚汁パーティーやろう。それとは別に、常夜鍋もやろう」とだんなが張り切っていたのであった。皮つきの豚バラ肉がアジア食材店にあると知ってから、だんなはすっかり豚バラ愛好者になっている。脂肪分無調整の牛乳と豚バラ肉が常時冷蔵庫にある我が家、アメリカの一般的な"健康志向"の人々からは眉を潜められてしまうものに違いない。

買ってきた1ブロック1kgほどの豚バラ肉は、そのまま冷凍しておいた。柔らかいままじゃスライサーにかけられないので、固まったところで先日購入したミートスライサーにかけていく。安いスライサーなので業務用の切れ味は望めないけれど、それでもヒラヒラの憧れ薄切り豚バラ肉が皿にてんこ盛りになった。そうそう、こういう透けるような肉って、アメリカのスーパーじゃまず見かけない。かなーり嬉しい。

御飯が炊け、カセットコンロに土鍋代わりのダッチオーブンがセットされたところで(土鍋とダッチオーブンじゃえらく違いがあるけど、それはそれ)、IさんとMさんの2人がやってきた。更にHさん宅のSちゃんもやってきた。現在Hさん宅には日本から友人が遊びに来ていて、今日は大人だけでダウンタウンに繰り出したいということだ。独身男性陣はSちゃんの来訪に大喜び。動作ひとつひとつが可愛らしいSちゃんは、留学生仲間全員に愛されまくっている。
「3X歳の年の差なんて関係ないよ。駆け落ちしちゃおうかな」
とIさん(←別にロリ嗜好ではないはずだ、多分)。
「"駆け落ち"って、どう1歳児に承諾とるんだよ!」
「それは世間では"キッドナッピング"と言うんだよ!」
と周囲からツッコミを入れられていた。

我が家における「常夜鍋」は"豚バラ肉の薄切りとほうれん草をしゃぶしゃぶにして、胡麻だれ(ミツカンごましゃぶが似合うんだなぁ……)につけつつひたすら食べる"というもの。きのこ入れたり白菜入れたりなどはせず、ひたすらひたすらほうれん草と豚肉ばかり食べ続けるのだ。本当に夜を徹して食べられるような鍋料理で、私もだんなも大好き。何回か「もっと高級な胡麻だれを買ってきてはどうか」「自作してはどうか」などと試行錯誤したことがあるけど、結局のところ"ミツカンごましゃぶ"に戻ってきてしまうのだった。
今宵用意した肉は2kgほど。ほうれん草は2束+サラダ用袋入り1.5袋という感じ。お米は4合。

「どっからでもかかってきなさーい」
といった心持ちでスタンバイしていたけど、さすがに肉2kgは多かったらしい。カセットコンロにかけたダッチオーブンに肉を入れほうれん草を入れ食べ、肉を入れほうれん草を入れ食べ、ひたすらひたすら大人4人でハフハフ言って食べていた。東京Xでも黒豚でもない、そういう品種すらわからない豚肉だけど、トロンとした脂が美味しい良い肉だった。ちゃんとしゃぶしゃぶ肉のように薄く切れていたし。

Sちゃんがやってきたのがちょうど"宴もたけなわ"といったところだったので、そのまま皆で「子供2人をかまう会」のような様相に。10時半を過ぎてHさん夫妻が迎えに来るまで、狭い我が家で大人も子供も全力で遊んでしまった。
……そういえば、風邪、よくなったっぽいなぁ。

10/30 (水)
だんな特製ガーリックステーキ(夕御飯)
(また"だんな特製"だし……)
「Alpha Bakery」のデニッシュブレッド
アイスカフェオレ

病気の苦しさに夜中に目が覚め悩まされることなく、久しぶりに迎えた充実した朝。
「よっしゃあぁぁぁ」
とベッドから立ち上がり、でもまだ膝がカックンカックンしてるし頭の上にはヒヨコが3羽くらいピヨピヨ飛んでいるような状態。
「あっはっはっは、まだダメージが10桁ほどありそうです」
と、本当は"まだ1桁じゃなく、16とか17とかありそうです"と表現したかったのにそんな言い間違いをして、
「10桁ですか!……それじゃ瀕死の重傷ですなぁ」
とだんなに笑われた。いや、そうじゃなくて、1桁じゃなくて10の位が1の2桁ダメージが残ってるんだよ、とごにょごにょ説明。

朝御飯は、バターたっぷりのデニッシュブレッド(正式名称は"ファンブレッド"とかそんな感じ)をトーストしてそのまま囓る。バターの香りのサクサクした生地は何もつけなくてもしっかり美味しい。スーパーマーケットでも似たような外見の、層状に生地が重ねられたような外見のパンを見かけることはできるけど、「Alpha Bakery」のそれはやはり人気があるようで、それが棚にあるときは飛ぶように売れていってしまう。今回買ってきたのはプレーンだけど、アプリコットジャムを上部にコーティングしたバージョンもあって、それはそれでアップルパイの皮のようにキラキラ光っていてすごく旨そうなのだった。パンっていうよりお菓子という感じもしないではないけど。

Nashville 「Charley's」にて
 4oz チーズバーガーコンボ

やっとボリュームたっぷりハンバーガーを食べる気力が沸いてきたので、昼にはだんなに「Charley's」に連れていってもらう。この町に数軒ある(1軒は大学のそば、1軒は我が家最寄りのモールの中、最後の1軒は、動物園の中)「チーズバーガー・チャーリーズ」はファーストフードの倍くらいの値段で10倍くらい美味しいハンバーガーを喰わせてくれる素敵な店だ。
ハンバーガーは4ozと6ozの2種類あって、6ozバーガーを食べてしまった日には7時間くらい何も食べなくても良いくらい満腹になれる。だから今日はちょっと気弱に4ozチーズバーガー。

コンボを頼むとドリンクのコップが渡されるので、自分でジュースディスペンサーにてだばだばだ〜と好みのドリンクを注いで席にて待つ。そのうちカウンターで"バンズ片方にハンバーガー&とろけたチーズ、そしてその脇のバンズ片割れ"という皿が渡されるので、あとは野菜置き場で心のおもむくままにレタスだのトマトだのマッシュルームだのピクルスだのを積み上げてケチャップとマヨネーズとマスタードをぶっかけてサンドして食べる。バランス感覚とか美的感覚も若干要求されるハンバーガー製作だ。

「で、美的感覚がない人は体力に訴える、と」
と、今日もだんなはすごい量の野菜を挟んでいた。テーマはマッシュルームバーガー、らしい。レタスや玉ねぎなどの野菜類もこんもりと挟まり、肉+パンの厚さよりも野菜の厚さが大きいような、どう考えたって人の口を全開にした高さを凌駕するボリュームハンバーガーになっている。で、それを上からぎゅうぎゅうと押さえつけおしつぶし、おもむろに食べ始めた。なるほど、美的感覚よりは体力に依存しているハンバーガーかもしれない。でも、パン押しつけたらなんだか美味しくなくなっちゃいそうだよー……と私は思う。

今日は控えめにレタスとトマトと玉ねぎとピクルスだけ(だけ?)を挟み、肉の上にケチャップかけて野菜の上に少量のマヨネーズなどもかけて、アイスティー傍らにがぶがぶ食べた。野菜コーナーはセルフサービスなので、周囲をよく見ると「ハンバーガーの脇にピクルスてんこ盛り」とか、「ハンバーガーの脇にマヨネーズかけたレタスとトマトを山盛り」などと、野菜を添えものとして食べている人も多い。
肉汁たっぷりのハンバーグにシャクシャクとした野菜のハンバーガーは1ヶ月ぶりの今日もしみじみ美味しかった。

そして帰りにはドリンクお代わりして、大きなコップに大量のアイスティー詰めて持っていくのだ。日本に帰ったら
「そうか、ソフトドリンクのお代わりは無料じゃないのねえぇぇぇぇぇ」
としばらく溜息をついていそうだ。そもそもSサイズドリンクなんて、もう飲めない身体になってしまったような気がする(日本に帰ったらいつでもLサイズドリンク飲んでしまいそう……危険だ)。

だんな特製ガーリックステーキ
 にんじんグラッセ・ほうれん草のバター炒め
羽釜御飯
ローストガーリック入りクリームマッシュルームスープ(キャンベル缶詰)
ビール(コロナ)

今日は久しぶりに夫にくっついて大学の研究室まで行ってきた。その後スーパーマーケットをハシゴして明日明後日にあれこれ使うイベントの材料を買い揃え、帰宅した頃にはさすがにへろへろに疲れていた。そういえば私は土曜日に倒れてから一歩も外に出ていなかったのだ。
今朝は頭の上に3匹ほどだったヒヨコが身体中をピヨピヨ飛んでいるような状態になってしまったので、
「だいじょぶだいじょぶ、俺にまかせときんしゃい!」
と今日もだんなが御飯を作ってくれることになってしまった。
"だんな特製"がここまで続くとありがたみが少ないというか、いや、私本人はすごく有り難く思っているけど、文字の上で"だんな特製"が醸し出すオーラがどんどん軽いものになっているのではないか、なんて密かに危惧してみたり。そもそもどんなオーラが醸し出されているのかは謎。

数日前にマーケットで安売りしてたから、とだんなが一人で買い物に行った時に買ってきてくれたステーキ用牛肉があったので、それをガーリックステーキに。薄めの肉だったそうで、さっと両面焼き付けてから皿に盛り、その鍋ににんにく放り込んで肉汁煮詰めて上からかけた、という感じ。御丁寧に、にんじんのグラッセとほうれん草のバター炒めまで作ってくれて、皿の上はレストランっぽい光景になった。炊きたての御飯に、スープはキャンベルのマッシュルームスープ。ここ数日のおさんどん続きですっかり要領もよくなってきたようで(うどん打ちなどはひたすらそれだけを作るという工程だけど、食事の支度となると3つ4つの事を同時に進めなきゃいけないから、やっぱり別のスキルが要求されるものらしい)、今日は御飯の炊きあがりとステーキの焼き上がりが見事に同じタイミングになっていた。ステーキが焼き上がる直前に、皿にはにんじんとほうれん草が盛られている。もう完璧。すばらしい。にんにくに、もうちょっと火が入っていれば、パーフェクトだった。

表面をさっと炙っただけのような肉は、ちゃんと生でなく"レア"だった。
「病み上がりの妻にステーキ喰わせるのはどうかと思うけど」
と笑いながら、「でも美味しいでしょ?」と我が夫。
にんじんのグラッセみたいな、こちゃこちゃした添え物作るのは私の方が圧倒的に得意だと思っていたけれど、ついにその領域までだんなはやるようになってしまった。あとは肉じゃがとマンゴプリンあたりを作られちゃったら私の地位は危うい。

10/31 (木)
今日はハロウィン♪(研究所でミニパーティー) (夕御飯)
干し葡萄入りコーンフレーク with 牛乳

今日はハロウィン。「万聖節(11/1)の前夜祭であり、死霊が蘇る(そしていたずらをしたりする)日」などという背景があると知ったのはアメリカに来てからだ。これまでは、なんとなく漠然と「……かぼちゃ祭りの日?」などと思って生きてきた私。

今日は大学の研究室でミニパーティーを開いてくれるそうなので、息子も仮装してみることになった。パーティーにプリンを作って持っていこうと思っていたし、明日は留学生仲間皆が集まる「豚汁の会」が開催されるのでその仕込みもある。今日は一日料理人モード。いよいよ料理人モードに戻れる、と"だんな特製"におんぶにだっこの日々だった私はちょっとホッとしている。

朝御飯はごくごく軽く、牛乳ぶっかけシリアル。
さー、プリン焼くか。

スパゲッティ ジェノベーゼ
アイスティー

午前中、だんなが大学に行っている間にプリン作成。
別にハロウィンとプリンの間には全く関係はなく、ここしばらくずっと
「あー、カスタードプリン作って食べたいなぁ。バットにいっぱい作るんだ……」
と思っていたのを、実行してみただけだったりする。一人でバットいっぱいのプリンを食べるわけにもいかないので、パーティーがあるなら丁度良いから持って行っちゃおう、と思ったのだった。不味そうにできちゃったら持っていかずに一人でこっそり食べる、ということで。

今年の春からのご縁で、料理研究家Tさんのホームページ制作を引き受けている。そちらの業界の裏話があれこれ聞けたり、料理教室でのレシピをいただけたりすることは、たまらない役得だったりするのだけれど、先日いただいたレシピの中に「クレーマ・カラメッラ」という焼きプリンを作ってみようとずっと思っていたのだった。分量を見ると、どうも作ろうとしているバットでは少なくなりそうだったので全ての材料を1.5倍量にして作ることにした。すると卵は9個、牛乳は750ccとなかなか大変な分量に。
「卵9個!ひー!」
と笑いながらバカスカ卵を割りまくってプリンを焼き上げた。上々の出来だ。

更に、卵の半数は卵黄しか使わなかったため、残った卵の白身で「牛乳プリン」も作成。香港にその専門店もある「牛乳プリン」、以前作ったことがあるけれど、蒸し失敗でボコボコクレーターだらけの失敗プリンとなった。先日、メールで教えていただいたところによると、電子レンジに様子をみながら数分かけると見事な牛乳プリンになるらしい。牛乳プリンは2個できたのでこれは我が家で食べちゃうことに。

大量にできたプリンを前にニヤニヤしている私の横で、帰ってきただんなは昼御飯にパスタの準備をしてくれた。以前買ってきてみたジェノバペーストを使って、茹でたてのパスタをじゃかじゃかっと絡めるだけの簡単昼御飯。
「クラッシコ」なるブランド名のパスタソースシリーズは、パッケージなどが妙にイタリアチックだけれど、中身はしっかりアメリカ製だ。最近は"ここのものを試してみよう"とミートソースや何やらを買い込んでいる。
ジェノバペーストはちょっと酸味も感じられる味だったけれど、バジルたっぷり、にんにくや松の実もたっぷりでそこそこ美味しかった。

大学研究室でハロウィンパーティー
 ケーキやお菓子、ジュースにお酒

そして午後3時。無事に美味しそうに焼き上がった(でもつまむわけにいかないので味の自信はあるようなないような)プリンを抱えて、海賊の仮装をした息子と一緒に大学に行ってきた。
広くはない研究室には各家族が持ち寄ったジャック・オ・ランタンやお菓子類、研究室スタッフMさんが用意してくれた色鮮やかなケーキ類が並んでいる。私もすみっこにプリンを置いた。全体的に光景はオレンジと黒に染まっている。ハロウィンだなぁ。

A先生もやってきて、
「お酒、飲みますかー?」
とおもむろに焼酎を取り出し、「甘い甘いケーキと焼酎」というわけのわからない組み合わせになったりしながら、十数人でささやかに「ハッピーハロウィーン」と盛り上がった。
私のプリンは想像以上に歓迎されて、
「そうそう、こういう適度な甘さのが恋しかったんだよー」
「日本のプリンの味がするー」(いや、でもレシピは西洋風のはず……)
と20分ほどで綺麗になくなってしまった。最後はIさんがバットを抱えて生地のかけらを集めて食べていた。良かった良かった。

鶏肉の中華風葱ソースかけ
ミニ煮豚丼
豚スープ
ビール(コロナ)

そしてそのまま"料理すきすきモード"まっしぐら。
パーティーの帰りにスーパーマーケットに寄ってみたらマンゴーが安売りされていたので、思わず冷蔵庫内の残りもの生クリームの消費も兼ねてマンゴプリンに加工してしまう。これがまた10人前ほどある大量のプリンになった。明日の豚汁パーティーに持って行っちゃうことに決定。

更に明日用のポテトサラダも作り、だんなは煮豚を仕込み、しかも「煮豚があるならチャーシュー麺作れるよなぁ」と中華麺まで打ち始めてしまって大変なことになってしまった。夕方からそんな感じで2人でわちゃわちゃと台所を動きつつ、夕食の準備もする。

醤油と酒でテラテラと煮上げた皮つきの豚バラ肉、ちょっとだけ薄切りにして丼にして食べることに。更にその煮汁を湯で伸ばして葱を散らして味を調えスープとして飲むことに。おかずが1品欲しかったので、鶏肉をダッチオーブン蒸しにし、山盛りの刻み葱に塩を強めにかけて胡麻油で軽く和えた葱ダレを添えて食べた。何もかも、だだだだだーと準備してコンロも鍋もボウルも大活用しつつ作った料理の数々。だんなもここ数日ですっかり料理をするクセがついてしまったようで、2人で
「料理が楽しい〜」
「ついつい何か作りたくなる〜」
とワキャワキャしながらの夕食となった。

皮つきの豚バラ肉、本当の本当に美味しい。煮豚にすると、その皮のプルプル加減が一層際だっちゃって、涙ちょちょぎれるほど美味しいのだった。(煮豚の作り方はこちら
煮豚をそのまま"汁なしチャーシュー麺"に移行するのもまた旨いけど、薄切りにして御飯の上に乗せて食べてもそれはそれでシアワセが感じられる。本当は明日の夜用に仕込んでいたはずなのに、モリモリと食べてしまった私たちだった。
明日は豚汁と煮豚と生姜焼きとトンカツ、豚尽くしの夕御飯だ。我が家にある巨大な寸胴鍋にたっぷりの豚汁を作る予定で、発起人の我が家が実は一番楽しみにしているような気もするのだった。大人10人、子供3人分の料理、果たしてちゃんと作れるのか楽しみなような不安なような。