食欲魔人日記 03年10月 第4週
10/20 (月)
昨日はイクラ御飯、今日は筋子御飯(魚卵づいてます……)
ブリ茶漬け

今日はひっさしぶりに弁当作成。前回作ったお弁当といえば、息子の運動会用の豪華弁当(もう10日くらい前)だったりしたものだから、本当に久しぶりな気がする。今週はだんなの出張もないということで、思う存分お弁当を作って良いらしい。今日は早速だんなと息子と私の分の3人前の弁当を作った。本日はドライカレー弁当。30分で弁当の準備を整え、ゴミまとめと洗濯機回し、カーテンあけてパソコンのスイッチ入れて、ばばばばばっとひととおり動き回った後、
「朝だぜよー!おっきなさーい!」
とだんなと息子を起こした。

「朝だねぇ〜」「ん〜、朝御飯何にしよー」「……なんでもいーよー」などとだらだらーっと起きるよりも弁当を作っている日の方が一日がしゃっきりと行くような気がする。かといって弁当を作らない日も早起きしろとかいうのは、それは無理な相談なのだった。基本的に私はぐうたらなのだ。

ともあれ今日はちゃんと朝からエンジンがかかったので、
「朝御飯はお茶漬けでいいかな?昨日の残りのお刺身あるから」
と、朝御飯もてきぱきと準備。昨夜の残りの刺身は、ブリが大量に残っていた。鯛茶漬けがあるなら、ブリ茶漬けがあったって良いんではないかい?とすごく適当な事を考えながら、無理矢理「ブリ茶」なるものを作ってみる。鯛茶はあの淡泊かつ上品な味わいの鯛の刺身を使うから美味しいのであって、赤身ギラギラ脂たっぷりのブリの刺身を鯛茶のように仕立てるのはちょーっと無理だったんじゃないかなぁと後から思うとそんな気が。でも、朝の私は妙に気分が高揚していて、
「だいじょぶだいじょぶ、ブリでお茶漬け作っちゃいましょう〜♪」
と、何も考えずにそのようなものを作ってしまったのだった。

ブリには醤油と味醂とすり胡麻をまぶしつけ、御飯を温めると同時にお湯を沸かしておく。熱い御飯の上にタレごと刺身を並べ、上から更に胡麻をかけ、揉み海苔を散らす。あとはあっつい煎茶をだばだばだばとかければできあがり。わさびをちょっと多めに添えるともっと美味しかったかもしれない。
鯛ほど上品な味ではなかったけれど、ブリ茶もブリ茶で、悪くなかった。「ブリチャ」という語感がなんともよろしくないけど、味は語感ほどには面妖ではなかった。熱いお茶がかかって霜降り状になった刺身が適度に味がしみてて温かで良い感じ。

おうちで弁当
 ドライカレー
 いんげんとツナのサラダ
 かぼちゃのにんにく味噌漬け
 プチトマト
冷茶

午前中は、数週間ぶりにプールで泳いできた。息子を幼稚園に送りがてらぱぱぱーっと行って、ぱぱぱーっと帰ってきたのだけど、何しろ久しぶりに泳いだので40分ちょっと泳いだだけで疲れ果てる。
「あー、疲れちゃったから甘いものが食べたくなっちゃった……」
と、思っちゃいけないことを思ってしまいつつ、それでも甘いものは買わずに食べずに帰ってきた。お昼御飯はだんなと息子とお揃いのお弁当、ドライカレー。

合いびき肉を炒め、そこに刻み玉ねぎやミックスベジタブルを加えてウスターソースとカレー粉と醤油で味つけしたドライカレーを御飯の上にたっぷりかけた。添え物には昨夜作ったいんげんとツナのサラダの残り、それににんにく味噌床に1晩漬けておいたかぼちゃ。すみっこにはプチトマト。そこそこ野菜が多めの、味のバランスは悪くない弁当ができた。かぼちゃがちょっと(いや、かなり……)固かったのだけど、そこはまぁ……すまんだんな。すまん息子。キュウリや人参やセロリなんかはにんにく味噌床に生のままつけても何の問題もなかったのだけど、やっぱりかぼちゃはそうそう柔らかくなるものじゃないらしい。

家族に作ってやる弁当を自分用にも作って弁当箱に詰めて食べると、「あー、弁当で食べるにはこのおかずはちょっと味が薄めだなぁ」とか、「御飯はみっちり詰めすぎると食べにくくなっちゃうんだなぁ」とか、「このおかずとこのおかずは並べて詰めても案外味に違和感がないぞ」とか、作ってみるたびに発見があって面白い。

数時間後、先週は風邪で休みまくっていた息子が元気に幼稚園から帰ってきた。迎えの途中で寄ったスーパーでは
「おかーさん!白いスープがねぇ、あるよぉ!おやさいがー、いっぱいのー、スープ!たべたいなあぁぁぁ」
とシチュールウの試食販売のコーナーで雄叫びをあげて、ちゃっかりカップに1杯のシチューを貰って食べ(そうすると小心者の私はそのシチュールウを買わずにはいられなくなる……)、貝が欲しいだのブロッコリーを買えだのリンゴが安いぞだのうどんは買わなくていいのかだのと散々はしゃいでから帰宅。スイッチが切れたように昼寝した。弁当箱は、固かったかぼちゃも含めて綺麗に空になっていた。

バジルウィンナー
刺身(昨夜の残り)
茹でかぼちゃとブロッコリーのドライカレー和え
レタスとキュウリと紫玉ねぎのサラダ
自家製イクラ
筋子
羽釜御飯
ビール

「10月はね、かーなり忙しいかもしんない……」とだんなが数ヶ月前から予言していたのだけど、そのとおり今週は特に激ジョブであるらしい。今日の帰宅が遅いのはもう確定だったので、母と息子と3人での夕御飯となった。いつもなら御飯は炊かずに洋食好みの母のためにパンかパスタにするのだけど、
「イクラと筋子が両方あるからね、御飯炊くよー」
と、今日は白い御飯をもりもり食べる夕飯に。弁当に作ったドライカレーは半端に余っていたので温野菜と和え、レタスメインのサラダも作る。昨夜の残りの刺身と、粒マスタードを添えた、こんがり焼いたバジルウィンナー。どれがメインディッシュなんだかさっぱりわからない状況になったけれど、適度にビールの肴になって適度に御飯のおかずにもなる食べ物が並んだ。どっちみち、今日の夕食の主体は御飯とイクラと筋子だ。

母はイクラはあまり好きじゃない。筋子を御飯に乗せて食べるのは大好き。だんなはその逆で、イクラは大好きだけど筋子は苦手。息子と私はどちらも食べられる。息子はややイクラに好みが傾いているけれど、私はどちらも甲乙がつけがたいほど好き。ていうか、味が全然違うからどっちがどっちとは決められない。だから、
「ほらー、やっぱり筋子で御飯食べるのが美味しいでしょー?」
と言われても、でもイクラが嫌いということにはならないのよママン〜。ママンは自分の味方を増やしたがる。

「うん、私は筋子好きだけどね、昔から。……でも、嫌いだって言う人の気持ちも分かるよ。やっぱりかなり生臭系の匂いだし、味も濃いめだし」
と言いつつ、今日は白い御飯に筋子を乗せてほぐしながらわしわしと食べた。イクラのプチプチ感とか酒や醤油を吸い込んでパンパンになったあの味も好みだけど、いかにも「魚卵でございます」といった味の筋子もやっぱり捨てがたいものが。あ、でも別に"ママンの側"とかいうわけではないので、そんな期待の籠もった目で見られても……。

10/21 (火)
「ぶたの落としぶた」、買っちゃいました。ぶひ〜……。
ジャージーミルクパン
コーンマヨパン
カフェオレ

天気予報では「遠からず今日は雨」ということだったけれど、起きてみると空は青空。
「いいねーいいねー、幼稚園の送迎ラクだしねー」
と、今日もお弁当作成。3つの弁当箱を並べ、おかずを一通り作り終えた後、ちまちまと詰めていく。だんなには2段に別れたステンレスのボックスに御飯とおかずを別々に詰め、息子には小さな子供向け弁当箱におにぎりを2個作って詰めてから隙間におかずを詰めていく。私のはちょっと小ぶりの弁当箱に御飯とおかずを両方詰めた。

同じおかずを詰めているから色合いは全部同じだけど、詰め方が違うと印象は全然違う。数種類のおかずを箱に詰めるだけの行為だけど、どうすれば美しい外見になるかなー……と考えながら日々がんばって、結局なんだかいつも失敗している気分。料理雑誌に載っているような美しい弁当というのは難しいものだ。ていうか、「焼き魚にはレモンを添えます」なんて本には書いてあったりするんだけど、それだけのためにレモン買ってくるのもめんどくさけりゃ、他のおかずあるいは御飯とそのレモンがびちゃーっと密着してしまいそうで、とても弁当箱に詰める勇気も出なかったりする。本に載る写真には、やけに器に余裕を持たせてガサガサな状態で詰めてあったりもするけど、通勤電車に乗る人にそういうのを持たせても食べる頃には弁当箱の内部はカオスな世界が展開されていそうな気もするし。"弁当本"を読んでも、すごく参考になる時もあれば「そんなの無理だよ……」とため息をつきたくなる事もある。弁当道は難しい。

朝御飯は、息子の
「チョコのパンがね、食べたいなんだよー」
のリクエストにより、彼には薄くチョココーティングされたツイストパンを昨日買ってきた。だんなはあんパンとウィンナーロール、私はミルクパンとコーンマヨパン。濃いめのコーヒーを淹れ、ぐいぐい飲みながらパンを囓った。

おうちで弁当
 ふりかけ御飯
 牛肉と茄子の中華炒め
 ほうれん草のナムル
 海苔巻き卵焼き
ほうじ茶

昼御飯。午前中はなんだかんだとバタバタ動いていて、1時を過ぎてからちゃちゃちゃっと弁当を食べた。
今日のおかずは、牛肉と茄子の中華炒め。最初に"焼くと言うにはちょっと多めの油"で茄子を炒め、それを牛肉、葱と一緒に炒め合わせて醤油やオイスターソース、少しの豆板醤などで味つけした。野菜は茹でほうれん草をにんにくと塩と胡麻油とすり胡麻で揉んでナムルにし、あとは焼き海苔を巻き込んだ塩味の卵焼き。とりたてて目新しい味のものはなかったけれど、我ながらけっこう美味しい弁当だった。私は、卵焼きはいつもテフロンのフライパンで作ってしまうのだけど、ここ2年ほどになってやっとそこそこ綺麗な渦巻き模様で焼けるようになってきたので、そろそろ四角い卵焼き器を買っても良いんじゃないかなー……と密かに思っている。100円ショップにも小型の卵焼きフライパンとか売ってるしなー……。

昼食済ませて1時間もすれば、もう息子が帰ってくる頃合いになる。
「きょうもねー!おべんとう、ちゃんと食べたよー!」
と、弁当箱をカラカラ言わせながら帰ってきた。
「今日は、何が美味しかった?」
と聞いてみると、「たまご」。
「じゃあね、肉と魚、どっちが入ってる方が嬉しい?」
質問を変えてみたけど、「たまご」。
「ぼくはねー、たまごが好きなー」

御機嫌に何やらまだ呟いている息子の言ってる事を弁当箱洗いながら聞いていたところ、
「おべんとうにー、たまごと、つめたいうどんと、みかんを入れたらいいと思うなー」
だそうで。それは……おかーさん、ちょっと難しいかなー……(コンビニで、うどん弁当のパッケージの仕方なんかを真剣に見てこようかと思った私)。

鶏手羽と卵のプーアル茶煮
ポテトコロッケ
ほうれん草のナムル
レタスとキュウリと紫玉ねぎのサラダ
イクラ・筋子
羽釜御飯
ビール
洋梨

先日、我が家に強力な調理器具が増えた。その名も
「ぶたの落としぶた」

その名のとおり、豚の顔のついた落とし蓋である。「ぶたの落としぶた」と共に、「こぶたの落としぶた」というミニサイズもあったりする。以前テレビ(確か「郁恵・井森のお料理BANBAN」)を見ていた時にこれが出てきて、
「うっわかわいい……」
と、見事にツボにきてしまった私。その商品名を即座に調べ、商品名が「ぶたの落としぶた」だとわかったところで
「そのまんまじゃないか」
山田奈緒子のように呟いてしまいながらも通販サイトからとっとと購入手続きを済ませてしまったのだった。先日、めでたく豚は来たけど子豚は来ない。「入荷手続き中だから先にこっちだけ送るねー」というペーパーと共に、親豚だけが手元に来た。

シリコン製の、ぷよぷよくにゅくにゅとした手触り。豚の顔部分はけっこう頑丈にできていて、縁に近づくほど薄くペナペナになっていく。ぴったりサイズの鍋にも、ちょっと小さめの鍋にも使えそう。で、なかなかスゴイと思ったのは、豚の鼻の穴から湯気やら泡やらはちゃんと逃げていき、かつ、これを取り除く時には鼻の穴に菜箸をぶっすと刺せば良いというところ。鼻の穴に菜箸刺されたそれの画像を見たときに、私は固く購入を決意したのであった。

早速こいつを使うべく、今日の夕飯は手羽先を煮ることに。酒と醤油を絡めておいた手羽先をまずはフライパンでこんがりと両面に焦げ目をつけ、それをプーアル茶の煮汁で煮ていく。濃いめ濃いめに淹れたプーアル茶に酒と醤油とオイスターソースと砂糖を加え、適当に煮詰まったところで殻を剥いたゆで卵も加えながらことことと煮ていく。豚さんも、鼻から盛大に煮汁を吹き出しながら活躍してくれた(さすがにその画像を載せるのはどうかと思ったので、乗せたばかりの段階で写真撮影)。あっはっは、これ使って"トマトソース煮"とか作ったら、豚が鼻血出してるような光景になるぞ。どんとこーい。

手羽先の煮物の他は、母が買ってきたコロッケとか(母はコロッケが大好物らしい……)、昨日の残りものとかお弁当の残りとか。ゆで卵の殻を剥くときには
「ぼくもねー、たまご割るよ。りょうり、するよ」
息子がすり寄ってきて殻剥きを手伝ってくれたりしたのでかなりらくちんだった。ゆで卵を放り込んだ手羽先の鍋を覗き込んで
「……あ……ぶた……」
とちょっとびっくりした顔をした後、「このぶたさんも、食べるの?」と真顔で聞いてきたのには大笑い。

あ、ただひとつ、この「ぶたの落としぶた」、「匂いがつきません」というのもウリ文句のひとつらしいのだけど、匂いはしっかりついてしまった。使う前になでなでした後、
「こりゃ、匂いついちゃうかもなぁ……」
と覚悟してから使ったのだけど、やっぱり醤油と肉汁の匂いが染みついてしまった。八角などのスパイス入れて煮た日には、それもばっちり吸い込んでしまいそうだ(まぁ、ちゃんと洗って乾かせば薄くなっていずれ消えると思うし)。

10/22 (水)
煮物も2日目になるといーい色だねぇ…… (夕御飯)
コロッケサンド
牛乳

今日は息子の弁当が必要ない日。だんなは朝早めに出勤しなきゃいけないということで朝食も摂らず起きるなりとっとと出勤してしまった。息子は園の都合で午前保育ということで、コーンフレーク食べて登園すれば3時間後にはもう帰宅。ばたばたしているうち、私は何も食べていないまま息子の帰宅時間になってしまった。

あー、昼御飯だね、そうだ、昼御飯だ、と自分の空腹も思い出して改めてばたばた。昨夜のコロッケが残っていたので、サンドイッチにすることにした。薄切り食パンに軽くバターを塗り、刻みキャベツを挟んでから温めたコロッケを乗せる。とんかつソースをかけてからもう1枚のパンを重ね、上から軽くぎゅうと押さえ、食べやすく切ったらできあがり。
「こういう時には、瓶入り牛乳とか、500mlパック牛乳にストロー刺して……なんてのが雰囲気あって良いわよねー」
なんて言いながら、コップにたっぷり注いだ牛乳片手にコロッケサンドを楽しんだ。食パンのコロッケサンドも良いけど、コッペパンのコロッケサンドもちょっと懐かしい。かつて胸焼けするほど食べていた銀座の「チョウシ屋」のコロッケサンドは、今も変わらず美味しいのかなぁ〜。

食後は、毎度のことだけど、ついうとうとと眠くなってくる。
「眠いけど、寝ないぞー……いろいろやることあるんだから……」
と必死に耐えつつ居間の座布団の上に突っ伏していると、息子が何やらごそごそ動き始めた。

「はい、ふとんー」
フリースの膝掛けを持ってきてかけてくれ、
「はい、まくらー」
ビーズ枕を持ってきて頭にうんしょとあてがい、
「おやすみなさーい」
テレビの音量を半分にしてくれた。そ、そんなことしてくれたら、余計に眠くなっちゃうじゃん……と、もう声も出せなくなりそのまま私は沈没。2時間後に目を覚ましたら、パソコンをいじくっていた息子が
「あ、おはよー。よくねた?よくねた?まくらがあると、うれしかった?」
と頭をなでなでしに寄ってきた。す、すみませんねぇ……5歳児にお気遣いいただいてしまって。

手羽先と卵のプーアル茶煮
レタスと紫玉ねぎのサラダ
山羊乳チーズ(Rondele)
パストラミ
フランスパン
ビール

今週は、まだ一度もだんなと一緒に夕御飯を食べられない。息子は可愛いし母も愉快で楽しいけど、でもやっぱりちと寂しい。作ったおかずもいまいち減らない。
で、夕飯のおかずは昨日煮込んだ手羽先の煮込み。1晩置いたら、ツヤツヤとなんとも良い色合いになった。オイスターソースがけっこう入っているけれど、中華煮という感じではなく、醤油と砂糖でテラテラと煮込んだような味わいだ。手羽料理というと揚げたものを私は思い浮かべてしまうけど、煮た手羽というのもすごく美味しい。シンプルに塩味のスープなんかにしても、良いだしが出てくるからとても美味しい。食べる量が少なくても骨をしゃぶったりするとかなりな満足感が味わえるし、価格も安いし、ありがたい食材だ。

あとは、母が買ってきてくれた焼きたてフランスパンにチーズ。
「これ、カマンベールチーズかしら?」
「いや……パッケージに山羊の絵ついてるし。フレッシュチーズって書いてあるし……」
母がカマンベールと思って購入したそれは、母の嫌いな山羊乳チーズだったりした。
「あらやだ。カマンベールじゃないの?」
「見るからに違うじゃん!……いや、私は山羊乳も大好きだけど……母、嫌いでしょ?」
「いやーねぇ……嫌いだわぁ……」
イヤだわイヤだわと母は口にしなかったけれど、カッテージチーズのようなその山羊乳チーズはふわふわと柔らかく優しい味。確かに独特のケモノ臭さがあるけれど、却ってそれが美味しく思えた。

フランスパンにチーズ乗せて食べたり、野菜と一緒にパストラミを持って少しだけマヨネーズなどかけて食べたり。その合間にビール飲んで手羽先をつまんで、
「……もしかして、これってビールじゃなくてワインの方が似合ってた?」
というような夕飯だった。手羽先には……日本酒もいいかもねぇ……。

10/23 (木)
ママンと一緒にフレンチ(っぽい)ランチ
コーンフレーク with 牛乳

昨日は、日付が変わってから帰ってきただんなをビデオを見つつ待ちまくってしまい、寝たのはもう午前1時半を過ぎた頃だった。
「だんなの弁当作成は中止しま〜す……」
と、朝はだらだらと寝こけて7時半。もそもそ起きて息子の弁当だけ作った。本日はロールパンのサンドイッチ。1つにはレタスとパストラミをたっぷり挟み、1つには卵サラダだけをみっちり詰めた。隙間にウィンナーと一口大に切った梨を放り込む。
「わ!たまご!ゆでてる!……ぼくのお弁当だ〜!」
起きるなり息子は、かすかにボウルの底に残った卵サラダの残骸を見て、何やら無性に喜んでいた。卵のどのへんが一体、そこまで息子の心を鷲掴みにするのか、わかるようなわからないような。フォルムも可愛いし、色も鮮やかだし、殻をパカンを割るあの感じも心躍って良いのかもしれない。

朝御飯はごくごく軽く、家族皆でコーンフレークをさらりと食べて終わりとなった。ケロッグのフルーツグラノーラが、現在私の一番好きなコーンフレーク。ちょっと値段は高いけど、あのカリコリ感がお気に入り〜。

千葉そごう内「サファイア」にてランチコース
 盛り合わせ前菜
 野菜とファルファッレのコンソメスープ
 仔牛喉頭肉と牛フィレ肉のソテー マスカット添え
 サラダ
 パン
 フランボワーズのムース 果物添え
 紅茶
 グラスワイン(白)

「なんかこう、美味しいフランス料理でも食べたい気分ね」
ママンは今日も突然、そう呟いた。1週間ぶりにやってきたママンの休日、せめて今朝早めとか、昨日の晩とかにそう呟いてくれたのだったら私も色々行き先を考えるのだけど、呟いたのはもう午前11時近かった。
「……え?……はい?いや、だって、もう11時だし、息子を迎えに行くまでに3時間しかない……」
焦りつつ答える私に、
「ん、だからね。千葉駅だったら行って帰ってこられるんじゃない?そごうの上に、ホテルオークラがやってるお店があったじゃない」
軽やかに切り返すママン。

うーん、あそこはね……別に不味いってんじゃないんだけど、でも、値段ほどには美味しくないと思うよ……もっと安くてもっと美味しいビストロみたいなの、津田沼あたりにあるって聞くし、うちの町にも気になる店が……

お母様、聞いちゃいない。もうカンペキに準備して、「さ、行きましょ?」とばかりバッグをぷらぷら振り回している。あーもー、他に考えている時間はないなー……と、千葉駅に向かった。

千葉そごう、レストランフロアの上階には和食と中華と洋食の店が、全てがホテルオークラによって運営されている。そこそこ高級感があり(ホントにそこそこ)、そこそこ美味しい。オープン当初は色々目指すところとか理想のイメージなどがあったのだろうけど、やってくるのは千葉在住の普段着のおばちゃんばかり(そして我が家も全然人のこと言えない格好)……ということで、日を経るにつれどんどん野暮ったさが漂うようになってしまった。8000円のコース料理などもあったりするけど、料理や接客、調度品からは値段ほどの高級感は滲み出てこない。

でも、食べやすい味ものが馴染みの食材で供されるので、安心して食べられると言えば、言える。3500円のランチコースは、前菜とスープとメインディッシュ、パンとサラダとデザートとコーヒー、という、けっこうなボリュームのもの。牛フィレ肉のソテーに車エビのソテーを添えるか仔牛喉頭肉のフライを添えるかの2種類のメインディッシュから選べる。私は仔牛、母は車エビを注文し、昼からもりもりと良く食べた。

前菜はスモークサーモンと生帆立。イクラやケッパーがころりころりと添えられている。スープにはファルファッレ(蝶々型のショートパスタ)が入り、キャベツやにんじん、玉ねぎなどの野菜がたっぷり。
「焼き加減はいかがなさいますか?」
なんて聞かれた牛フィレ肉のソテーは、レアとミディアムレアを違う風に焼き上げるには0コンマ秒のタイミングで仕上げなきゃいけないんじゃないかというような、薄い薄い肉だった。う、うーん……レストランの味というより、家庭の味に近いかなー、みたいな……。

「だからさー、今度はちゃんと前から調べてさ、予約して食べに行こうよフレンチ。同じ価格ですっごく美味しいの食べられるところ、探すからさ……」
支払いを済ませる母に、背後からこそりと呟いてみる私。「食事するだけのために1時間も2時間も電車乗って移動するの、バカみたい!」と言ってはばからない人なので都内に連れ出すのは大変そうだけど、がんばれ私。

サンマの塩焼き with 大根おろし
栗御飯
豚汁
ビール

「木曜日は絶対絶対早く帰るよ。家で飯喰うよ」
とだんなが宣言していたので、今日の夕飯は「外食じゃあんまり食べられないかもしれないもの」がテーマ。まだまだ安売り中のサンマ(今日は1尾70円)に、買ってきたばかりの大根をおろす。白い御飯の方が嬉しいかな……と思いつつも栗御飯を炊き、そして大ぶりに野菜と肉をざくざく切って作った豚汁。

あとは野菜料理を何品か作ろう……と思っていたのだけど、
「仕事……つかまりました……」
午後7時過ぎてシオシオの声になっただんなから連絡があった。あーもーあーもー、なんでかなー……と悲しくなりながら、御飯に汁に燒き魚という「昼定食」にありがちな夕飯を母と息子と3人で食した。ああ、これに冷や奴とかひじきの煮付けなんか添えたら、もっとカンペキだったかもしれない。

我が家の豚汁の作り方。鍋にサラダ油をなじませてカンカンに熱し、それで豚肉(切り落とし肉かバラ薄切りを使用)をざかざか炒め、更に切った大根と人参とごぼうも加えてざかざか炒め、水を注ぐ。沸騰したらアクがわらわら沸いてくるので取り除き、あとは蓋をして弱火で30分くらい。田舎味噌を「ほんのり濃いめ」くらいの味に溶き入れ、最後に胡麻油をほんのひと垂らし鍋に入れる。あとは長ねぎを刻んだものをたっぷりと添え、食べる寸前にぶわっと散らして、いただきます。七味唐辛子をふったり黒胡椒をガリガリ削り入れても、けっこう美味しい。何しろ長ねぎを刻んだものが必須なのだった。

豚汁は2〜3日楽しめるから嬉しい料理だねー。

10/24 (金)
ビーフシチューにする予定牛すね肉は、いつのまにやらカレーに……
御飯
2日目の豚汁
納豆
冷茶

今日は息子分だけの弁当を作る日。昨日炊いた栗御飯をおにぎりにして、冷凍もののちくわの磯辺揚げを詰め、柿と梨を隅に入れた。ちくわはともかく、全体的に秋っぽくて良い感じ。丼ものを作ってみたり、おにぎりも日々ちょこちょこ味を変えてみたり、いつかはうどんも詰めてやろうじゃないかとあれこれ考えてはいる私だけど、息子に言わせると
「さんどいっちのお弁当でいいなー」
なのであるらしい。ただただ、中に卵サラダを詰めたロールパンのサンドイッチが詰まっていれば彼は幸せなのであるらしかった。張り合いのない奴め……。

珍しくも和食の朝食は、昨日作った豚汁がどっちゃり残っているため。
「豚汁があるからねー」
「豚汁あるなら、御飯だよねー」
「トーストも似合うんだけどねー」
と、冷凍御飯をチンして私は納豆をどっさりかけて食べた。私も息子も納豆大好き。私と息子が御飯の上でねばぁねばぁねばあぁぁぁ〜とその感触を楽しむ脇で、だんなは納豆がすごくすごく苦手だった。「いや、別に、納豆好きの人の嗜好を止める権利は僕にはないし」と言いつつ、そのねばねば光景をいつも容認してくれているけれど、やはりあの匂いはつらいらしい。なので、よっぽどの事がなければ我が家では「納豆味噌汁」(うまいよ)とか「納豆かけ冷や奴」(これもうまいよ)とか「納豆うどん」(これもうまー)は登場しないのだった。そのうち一人の昼御飯にでもやるかな、納豆うどん。

「アンテノール」の
 マロンロールケーキ
カフェオレ

ここ数日、私が昼間必死こいてやっているのは「Xファイル鑑賞」だったりする。スカパーで今月から来月にかけて「1stシーズンから8thシーズンまで一挙放送!」なんてのをやっていて、しかも一晩に5話も放映してくれちゃってるので録画してはDVDに焼いてまた録画してはDVDに焼いて……と、アホみたいな枚数のDVDが溜まりつつある。
「撮ったからには見なくちゃねぇ……」
と一昨日あたりから見始めたら、止まらないようになってしまった。夜、布団に入ると脳裏を宇宙人や半漁人がかけずり回り、あまり夢見はよろしくない。

今日もちょこっとやってきた仕事を片づけた後、リモコン片手にテレビの前に居座り続けて数時間。気がつくと息子を迎えに行く時間で、更に気がつくと母も帰宅する時間になってしまっていた。私の昼食摂取時間はどうやら宇宙人に奪われてしまったらしい。
「時間がね、消失しちゃったんだよねぇ……」
などと言いつつ、息子と母と3人でおやつにした。今日のおやつは、昨日デパートで買ってきた「アンテノール」という洋菓子屋さんのマロンロールケーキ。
「シンプルなロールケーキが食べたいなぁ。フルーツとかアーモンドスライスとかはいらなくてね、ただただカステラにクリームの……」
と探していたはずだったのに、マロンクリームコテコテのゴージャスなロールケーキをいつのまにか手にしていたのだった。これもきっと宇宙人の仕業に違いあるまい。

ホイップクリームが薄めのスポンジにぐるりと巻かれ、モンブランのようにマロンクリームが細くにょろにょろと上部全面に絞られた後に粉砂糖や栗の甘露煮で飾りつけされているロールケーキ。アンテノールのケーキは、「可もなく不可もなく」といった味の印象があるのだけど、シンプルな味で好みだった。クリームやスポンジの甘さは、けっこう控えめ。ふあんふあんとした食感で、いくらでも食べられそうな危険な味だった。

牛すね肉のカレーライス ゆで卵乗せ
レタスとルッコラのサラダ
2日目の豚汁
福神漬
ビール

先日スーパーで、100g98円の特売牛すね肉を買ってきた。適度にスジっぽく、適度に肉がついている。
「煮込んだら美味しいぞう♪」
と、2パック籠に放り込んだ。当初の予定では、ビーフシチューにするはずだったのだけど、ここ数日は案外と温かくてシチューやら煮込み料理やら鍋やらがなかなか恋しくならない。背後で息子が
「おにくー、大きなおにくー、カレー♪カレー♪」
と何やら自作のカレー応援歌を歌っていたので、カレーにしてしまうことにした。カレーライスと豚汁という組み合わせも悪くない。

3時頃から仕込みを始める。すね肉などはとにかく煮込んで煮込んで煮込んでおいて間違いはないので、まずは塩胡椒をしっかりし、ついでにカレー粉も揉みこんでからダッチオーブンに投入。玉ねぎ2個とにんじん1個を刻んだものも加えたら木べらでざっかざっかと炒め合わせ、水を加えて沸騰させてアクを取る。あとはぎっちり蓋を閉めて、とろ火にしたら数時間放置。3時間も経ったら玉ねぎはほとんど溶けて消えていた。肉もいーい感じにホロホロしている。白いスジの部分がぷるぷると透けるようなゼラチン質の塊になっていて、いかにも美味しそう。溶けた玉ねぎの代わりに更に1個の玉ねぎを投入し、じゃがいももここで投入し、15分ほど再び蓋をして火を通したらルーを溶かす。ちょっと置いて味がなじんだらできあがり。卵愛好者の息子とだんなのために、ゆで卵も作っておいた。

1パック98円だったルッコラをレタスと合わせてサラダにし、あとは豚汁を温めただけの夕御飯。カレーの傍らにあれこれ箸休めがあるのも嬉しいけど、でも、カレーの時はカレーだけをお腹いっぱい食べたかったりするのだった。我が家はどうも、「餃子だけをお腹いっぱい」とか「たらこスパゲティだけをお腹いっぱい」というメニューがすごく多いような気がする。でもそれが幸せなので気にしない〜。

10/25 (土)
トンカツもキャベツも全部カレーライスに乗せちゃえ〜
「小僧寿司」の
 イクラ巻き
 うなぎ巻き
 トンカツ巻き
インスタント味噌汁

「明日は久しぶりの合羽橋だー。わーいわーい」
と遠足前日気分で眠れぬ夜を過ごした私。脇に眠る息子は、別の意味で眠れぬ夜を過ごしていた。いつもは朝まで起きないのに、昨日は夜中に布団を抜け出してトイレに行き、帰ってくるなり
「ぐあいがねー、悪いんだよー……」
と呟いている。触ってみると、じわっと発熱していた。イヤー、また風邪ー?

異国の地で1年近く過ごしていたのに、そのときの息子は幼稚園に入園したここ1ヶ月ほど体調を崩すことはなかった。やっぱり小さい子供がいっぱいいるところで一緒に過ごすということは、いろいろ病気を貰ってきてしまうものなのだなぁと思い知る。朝になっても、やっぱりぽっぽぽっぽと身体は熱かった。外出なんて、全然無理っぽい。
「……ま、合羽橋は逃げないし……」
「行きたいと思ってたの1ヶ月くらい前からだから、今更1週間伸びてもどうってことないし……」
と、それでもやる気がばほーんと抜けてしまった。抜け殻のような私。

「朝御飯、どうするー?」
「……んー」
「まだ息子、寝てるしねぇ……」
「……んー」
「おゆきさん、やる気ないでしょ」
「……んー」
「土曜日はね、小僧寿司の手巻きが80円の日だよー」
「……んー」
「買ってこようか?」
「……んー」
「何買ってくればいいの?(さすがにほんのり不機嫌気味)」
「……まーかすー」
そこで夫が「なんだよ!」と逆切れしたら夫婦喧嘩に突入したりしてしまうわけだけれども、そこは良くできた人なので、
「んー、まーかされたー」
とふわふわと出かけて行ってしまった。出がけにこちらをキッと振り返り、
「でも!何買ってきても文句言うなよ!」
と言われてしまった。大丈夫大丈夫。貴方の好みはおおむね私の好み。

昨日の夜はけっこう暖かだったので半袖シャツで寝てしまったのだけど、今朝は何やら冷え込んでいる。「さむいさむい」と、だんなのお祖母ちゃんが作ってくれたはんてんを着込み、ジャージを履いて、適当に束ねた髪はボーボー。もう下町あたりの築30年木造二階建てアパート風呂なし共同トイレ六畳一間に住んでます、と発言してみてもなんら不自然ではないような格好になった。しかも御飯は手巻き80円均一の「小僧寿司」。

だんなが買ってきてくれたのは、イクラとうなぎとトンカツ。だんな本人のはイクラとねぎまぐろ、チャーシュー。
「なんかさー、肉っけのがちょっと食べたかったから、トンカツとチャーシューを買ってみたよ」
と、そのセレクションは特に文句のつけどころのないものだった。息子にはヨーグルトを食べさせ薬を飲ませ、だんなと2人でインスタント味噌汁など啜りながら80円手巻き寿司。もうどこから見ても全体的にやる気のない姿だった。

しかし80円手巻き、これはこれでジャンクな風味がけっこういける。
「チャーシュー、怪しー!」
「とんかつもね、なんともこのジャンクな味が……」
と、交換こしながらニヤニヤ笑いつつ綺麗に食べてしまったのだった。イクラも、ぶっといキュウリが挟まっていて、イクラ感が微妙に物足りなかったりするのが、これまた。

2日目のカレーライス
ロースカツ・千切りキャベツ
鶏の唐揚げ
ルッコラとレタスのサラダ(昨夜の残り)
ビール

外出が中止になって結論としては良かったようで、舞いこんだ仕事をぺけぺけ片づけたり、こたつを出したりしているうちに一日が終わってしまった。こたつを出して、居間の印象はそれだけで隨分変わる。ちゃんと「ここにクリスマスツリーを置くんだー」という配置想像まで済ませてみたりして、不要なものを倉庫に片づけたりもした。

夕飯は、朝食並にやる気なく2日目のカレー。午後にふらりと出かけていただんなが、
「夕飯どうするー?食材を買ってくる?夕飯を買ってくる?」
と連絡をくれ、「あー、やる気なさそうね」と"夕飯"を買ってきてくれた。ロースカツとコロッケと唐揚げ。御飯炊いてカレーかけて、その上に乗せちゃえ乗せちゃえ乗せちゃえとカツとキャベツを盛りつけた。学生さんの昼飯じゃないんだから、というなんだかすごい様相になってしまったそれを、
「カツカレーのカツにさ、ソースかけながら食べても旨いよね」
とか言いながらがつがつ食べた。カツカレーは美味しい。カレーだけでも美味しいし、とんかつだけでも美味しいのに、カツカレーにするとそれがまたなんでこんなに旨いんだというくらい、美味しい。

「唐揚げカレーも旨いよね」
「……うまいのか?ほんとに?」
とも言いつつ、ビール傍らに唐揚げもつついた。「家ですぐ食べられるお総菜」というと、やっぱり揚げ物が多くなっちゃうのねー。

10/26 (日)
三島土産の桜海老をたっぷりのにんにくとパスタに (夕御飯)
「ミスタードーナツ」の
 オールドファッション
牛乳

「日曜はたっぷり寝るぞー、起きるまで寝るぞー」
「だんなは先週、激ジョブだったしねぇ……」
と、"とにかく寝ましょう"モードで始まった日曜日。宣言通り、だんなは本当に呆れるほど良く寝ていた。

私は9時半に目覚め、洗濯機を回した後は静かにパソコンいじったりビデオを見たり。その1時間後くらいにはすっかり熱の下がった息子も起きてきて、
「おとーさんは、まだ、ねてるの?」
「お父さんはね、疲れてるからゆっくり寝かせてあげな」
とごにょごにょと小さな声で会話する。私も息子も活動をし始めても、だんなは一向に目覚める気配なし。
「朝御飯、食べちゃおっか」
「たべちゃいましょー」
結局12時頃に、もう朝御飯どころか昼御飯にちょうど良い時間となってしまったけれど、2人でドーナツを1個ずつ囓った。

昨日「全品100円セール」をやっていたのだと、母が買ってきてくれたドーナツがある。オールドファッションにチョコファッション、カスタードクリームやココナッツなどが詰められている箱から、私はオールドファッション、息子はカスタードクリームを取り出して牛乳傍らにもりもり囓った。
「まだ、おきないよ」
「いいっていいって。放っておいてあげなさい」
食後もごにょごにょと低音会話を続けていると、やっとだんなが起きてきた。
「げ!1時!ぐげぇ!」
と、ニワトリのような声を出している。おはよー。

カレーうどん
冷茶

2日間美味しく食べたカレーは、もう"ひとこそぎ"ほどしか残っていなかったので、カレーうどんにしようねと昨日の夜に言っていた。
「お腹空いたでしょ。カレーうどん、する?」
朝から見続けてもう4話目くらいに突入していた「X-ファイル」のDVDを止めながら言うと
「いーよいーよ、テレビ見てなさい。僕が作るから」
とだんなが台所に立ってくれた。鰹だしをとってカレーの鍋にだばだばと入れ、醤油や味醂や酒でそれらしく調味する。あとはうどんも加えて軽く煮込んだらできあがり。刻んだ長ねぎをたっぷり入れる。私がやったのは、ねぎを刻んだことと、どんぶりを出したことくらい。

鍋に少量残ったカレーは、その鍋でカレーうどんを作ってしまえば綺麗にカレーが片づくうえ、鍋もすっかり綺麗になる。問題は、その時々によって、やけにドロドロの濃厚なカレーうどんになってしまったり、「カレーの色がなんとなくついているような」という程度の淡泊なものになってしまったりすることだった。毎回、「今回は薄いね」とか「今回は妙にじゃがいもが多いね」なんて言いつつ食べるのだけど、それはそれで「我が家のカレーうどん」という感じで悪くないのだと思う。

今日のカレーうどんは、かなりサラサラ。なんでもカレーの風味がえらく薄くなってしまったので、カレー粉をちょっと足したのだとだんなは言っていた。これなら白いブラウスに飛ばしてもあまりシミにはならないかなという薄めのカレーうどん。でも、ちゃんと肉やじゃがいもがごろごろしていて嬉しかった。

桜海老のアーリオーリオスパゲティ
ミニアスパラの生ハム巻き アンチョビマヨネーズソース
ビール
ハーゲンダッツアイスクリーム(キャラメル)

「昼御飯食べたばっかりなのに」
「なんでもう3時なんだろ……」
「宇宙人に時間を盗まれたに違いない」
「いや、寝てただけだから単に。昼まで」
くだらない事を言いながら、遅めの午後、近所に買い物に。本屋を眺め、肉屋と八百屋に寄り、花屋をちらりと見た後に焼きたての食パンを買ってきて家で一口だけつまんで食べた。

夕飯は、冷凍の生桜海老(なんだか矛盾した響きだけれども)を使ったスパゲティ。数日前に三島に日帰り出張しただんなが、
「なんかねー、駅でいっぱい売ってたの」
とお土産に買ってきてくれたのだった。発砲スチロールの容器に2パックの桜海老が冷凍状態で納められている。解凍した後、茹でたり揚げたり焼いたりして食べるらしい。やっぱりかき揚げにするのが良いのかなぁ……と思いつつ、スパゲティにしてみることにした。いつかどこかで食べたことがあるのだけど、むちむちした大ぶりの桜海老を使ったパスタはすっごく美味しかった記憶がある。

「にんにくがっちょり使ってー」
「でも、母は苦手だから揚げにんにくは除けておいて、最後に皿の上でかけることにいたしましょう」
と、ちょっと変則的なアーリオオーリオスパゲティに。ちょっと多めの油で揚げるようにして桜海老に火を通し、シンプルな塩味に仕立てる。茹でキャベツなんか合わせても美味しかったかもしれない。

前菜代わりに、細く短いアスパラをさっと茹でて、生ハムでくるりと巻く。上からアンチョビペーストとマヨネーズと生クリームを適当に合わせたソースをたらーんとかけた。

桜海老のスパゲティは、良い感じにぷちぷちむちむちとした桜海老の食感が楽しめるものだった。頭や殻は頼りない食感にサクッと火が通り、透き通るような身がとても綺麗。今が旬の食材というわけではないはずだけど、
「桜海老、おいしー」
「三島はいいねぇ……」
と漁港に思いを馳せつつぺろりと食べた。旬に漁港に行ったら、冷凍なんかしていない生の桜海老も食べられちゃったりするのだろうか。うう、旨そう。

食後は、そろそろシーズン到来の「こたつでアイス」。昨日こたつをセットしたので、それを記念して弱くつけたこたつに足をつっこんでアイスを食べた。「これ、買ったことないかもー」と買ってきたのは、キャラメル味。カスタードプディング味ともバニラ味とも違う、どっしりと重めの味のアイスだった。嫌いじゃないけど、やっぱりカスタードプディング味の方が好みかな、という感じ。最近はどのお店にもカスタードプディング味が再び並ぶようになったので、うはうはしながら買い込んでいる私だった。