食欲魔人日記 03年11月 第2週
11/10 (月)
お気に入りの店のお気に入りデザート、パンナコッタ (昼御飯)
「ポール・ボキューズ」の栗デニッシュ
ミルクティー

昨日、夜も更けてから親戚宅から帰ってきた母は、東京駅のデパート内のお店のデニッシュをお土産に買ってきてくれた。袋にはうねくった英文字で「ポールボキューズ」のロゴが入っていて、ああそういえば大丸にそのような店があったような……と思い出す。食べるのはこれが初めてだったりした。

「……で、誰?ぽーるぼきゅーず」
「んとねー、フランス料理の、エライ人」
「ふーん」
「……みつぼし?……まぁとにかく、エライ人」
ポールボキューズが何者なのか、ひどくいい加減な事を言いながら、私は栗のデニッシュをもぎゅもぎゅと囓った。巨大な栗がどどーんと中央に乗っていてゴージャスだけど、デニッシュの生地そのものはさほどリッチな味わいじゃない。美味しいことは美味しいのだけど、今ひとつパッとしない味のデニッシュだった。ポールボキューズを軽んじながら食べてしまったせいだろうか。ごめんよボキューズ。

稲毛 「トラットリア・ヴィーノ」にて
 ウニのスパゲッティ
 (セット:グリーンサラダ・アイスティー)
 パンナコッタ

いよいよ明日、母は秋田に帰ってしまう。今日はもう、ひたすら荷造り。

「最後だし!あのデザートが美味しいお店行きましょう。ほら、あの白いやつ。スパゲティ屋さんの」
母の説明は、固有名詞があまり出てこなくて、「ほら、あそこの」とか「あれ、あれよあれ」なんて言葉が多かったりする。
「え?白?デザート?……クレームブリュレ?」
「違う違う、そんな舌噛みそうな名前じゃなくて、ほら、あれよ」
「……スパゲティ屋ってことは、ティラミスとか?」
「そんなんじゃないわよー、牛乳っぽいの。白いのよ。プリンみたいなの」
「あ〜!パンナコッタ!あそこの店か!はいはいはい」
やーっと話が通じて、母と二人でその店に向かった。

我が町にある小さな小さなイタリア料理店、「トラットリア・ヴィーノ」。ビルの2階にあり、20人も入ればいっぱいという感じのお店。ランチにしか来たことがないのだけど、そこそこ美味しい。安い価格設定でがんばってるなぁと思う。ピザもパリッとしてて、良い感じ。夜にはワインも揃え、煮込み料理なども豊富に出しているようだ。料理への愛が感じられて、密かに好きなお店だった。なんといってもデザートのパンナコッタがシンプルな味なのにとても美味しい。母はすっかりこの店のパンナコッタのファンなのであるらしかった。

800円の日替わりパスタもあるのだけど、私も母もメニューの中から1000円ちょっとのパスタを選んだ。母は海老ときのこのクリームソースのフジッリ、私はウニのトマトソーススパゲティ。数百円出すとサラダやドリンクがセットになる。グリーンサラダとアイスティーをつけてもらい、パンナコッタも2人して注文した。

アッツアツのスパゲティは、ウニがとろけてなくなる寸前の状態でソースに混ざっている。見た目はそれほどウニウニしていないのだけど、味はちゃんとトマトソースの中に独特な甘さと磯臭さが漂っていて、期待した以上に美味しい。パスタの分量も、そこそこボリュームがあって充実感がある。母は、
「やっぱりお店で食べるパスタは、あんたが作るものとはひと味もふた味も違うわねぇ」
と、私に失礼なのかお店に失礼なのかよくわからない事を言いながら、嬉しそうにちるちると食べていた。なにしろ母の郷里ではイタリアンレストランなど、滅多に見かけない。確かファーストフード店ですら、未だになかったんじゃないだろうか。そういう町に母は帰るので、とにかく「食べ納め」にここ数日必死なのだった。

デザートのパンナコッタは、大きなグラスに固められたたっぷりサイズ。いつもその上にちょこちょこっと飾りがなされて出てくるのだけど、今日はふわんと飴細工が飾られていた。ホイップクリームとパイナップルが1切れ、そしてカラメル味のクリームソースが少量かかっている。生クリームのこってりさが舌にねっとりとくる濃厚な味のパンナコッタは、素朴な味。

合鴨肉の杏露酒煮込み
 揚げ芋と茹で青梗菜
ルッコラとレタスのサラダ
かぼちゃのスープ
羽釜御飯
ぬか漬け盛り合わせ
ビール

「マダムボンボニエール」のモンブラン
カフェオレ

これが母と共にする最後の食事ということで、好きなものを作ってあげよう、と色々考えて食材を買ってきた。まずは、母の大好物のグリーンサラダ。私が何度か買ってきて食卓に出していたら母まで好きになってしまったルッコラをたっぷり買ってきてレタスに混ぜた。和食よりは洋食あるいは中華がよかろう、と、味噌汁ではなくかぼちゃのスープ。魚よりはなんといっても肉だろう、と肉屋をぷらぷらして合鴨肉を2枚買ってきてみた。

母は、60を過ぎてるのに、なんでそんな嗜好なのかと娘の私がびっくりしてしまうくらい洋食嗜好。味噌汁は、これから一杯も飲まなくても生きていけるのだそうである(私も多少その気はあるけど、でもやっぱり味噌汁の味は時々懐かしくはなる)。白い御飯にも、特に愛着はないのだそうだ(米どころの出身のくせに……)。魚もいまいち。煮魚は嫌い。コーヒーとパンとサラダと、肉料理があればもう幸せという母は、その嗜好だけだと私よりも世代が若いんじゃないかと錯覚したくなってしまう。

で、まぁ、とにかく、母も大好物の鴨料理。滅多に鴨肉なんて買わないものだから、買ったは良いけどどう料理して良いかわからない。レシピデータベースとにらめっこして、中華風に杏露酒ベースのスープで煮ることにした。
まずはさつまいもを拍子木切りにして素揚げに。続いて塩胡椒して紹興酒ふっておいた鴨を皮目からこんがりと焼き付ける。中華鍋に刻み玉ねぎと刻みにんにくを入れて炒めたら杏露酒とスープを加え、そこに鴨と揚げ芋を入れて数分煮込む。皿に芋とスライスした鴨肉を盛りつけたら、鍋に残ったソースを漉して煮つめ、醤油や塩胡椒で味を調えて肉の上からかける。……そんな感じのレシピだったのだけど、「さつまいも煮込むの、なんかイヤだなぁ」と揚げ芋は揚げ芋のまま煮込まず添えることにした。大事な食事なのに、初めての料理にチャレンジする自分もいかがなものか、と思いながら、いまいち思い通りになってくれないスープの味を砂糖入れたりして好みのものに近づけてみた。

鴨肉のちょっとばかりお洒落な料理、サラダにスープに、とけっこう洋食と中華の間くらいの感じにピシッとテーブルを整えたのだけど、何故かその隅には「ぬか漬け盛り合わせ」。昼食後に一緒に駅ビルをぷらぷらしていた母が、
「あらー、セールしてるわよぬか漬けセット。美味しそうじゃない?」
と、「でも、今日、鴨だよ、洋食だよ……」と呟く私をしりめに買い求めたものだ。キュウリと茄子と人参とキャベツとウリのぬか漬けセット。全部綺麗に切って鉢に盛りつけたら、ものすごい存在感をテーブルで発揮しまくってくれた。このアンバランス加減が、まぁ我が家らしいかもね……と笑いながら、夕御飯。お別れ夕食会なので、デザートにケーキも(何しろ母の郷里にはケーキ屋さんも以下略)。

ママン、少しは東京への未練、少なくなったかしら。
「もうもう、田舎には美味しいチーズも売ってないし、焼き菓子だって全然ない……キッシュもテリーヌも……」
とか言い出したら、せっせと宅急便でも送ってあげることにしよう。

11/11 (火)
息子が好きな「マッケンチーズ」……こんな感じ?
「ポールボキューズ」の胡麻パン
スクランブルエッグ&カリカリベーコン
ダージリンティー

ミルクティー

母は今日、秋田に帰る。朝からバタバタと最後の荷造りをしている近くで、私は弁当作りと朝食作り。3人分の弁当を作ってから、ちゃちゃっと朝食の準備を整える。大きな塊の、「ポールボキューズ」の胡麻パンをスライスしてトーストし、その間にカリカリベーコンの準備。ベーコンを焼いたフライパンでそのままスクランブルエッグを作って1人1人の皿に盛りつけた。生地にすり黒胡麻も入っているのか、かなり黒っぽい生地の胡麻パン。香ばしくて美味しいのだけど、やっぱりなんというか、ひと味ふた味足りない感じ。ポールと私はいまいち相性がよろしくないようだ。ごめんねポール……。

息子を幼稚園に送り届けると、もう母の出発まで1時間ほど。
「最後にさ、美味しい紅茶を淹れてよ。田舎帰っちゃったらもうそんなに飲めないし」
と母に頼まれ、煮出しミルクティーを作った。鍋に少量の湯を沸かし、茶葉を入れたらしっかり葉が開くまで浸しておく、それから牛乳をたっぷり入れて、温めたらできあがり。お茶菓子をちょこちょこつまみながら、最後のお茶を楽しんだ。母が使っていた部屋はもうすっかり片づいてしまっていて、母の愛用のティーカップもバッグの中にしまわれた。あとは段ボールを数箱、送り出すだけ。駅まで一緒に行った後、
「じゃあね、向こうについても、別に電話とかしないからね」
と母は振り返らずに去っていった。……やっぱりちょっと寂しいかな。

おうちで弁当
 海苔ふりかけ御飯
 いぶりがっこ(にんじん)
 煮込み風ハンバーグ
 小松菜のバター炒め
 葱入り卵焼き
麦茶

本日、息子の幼稚園は「さつま汁」を作るそうなのである。年長さんが主になって、先日行った「芋ほり」での収穫物を肉や野菜と共に味噌味で煮込むのだそうだ。で、お弁当の時間にそれを出してくれるらしい。丁寧なプリントが数日前に渡されたのだけど、
「おわんに名前を書いて持ってきてくださーい」(これはいい)
「汁ものを飲むので、お弁当もいつもより少なめに」(これもまぁ……いい)
「パンよりは御飯の方が合いますね」
もう、毎度毎度思うことだけど、なんでこんなに過保護なんだろう。パンだって御飯だって、そんなのは弁当を準備する人が判断すれば良いことであって、いちいち助言してくれることに対して少々うんざり。幼稚園児の保護者は、幼稚園児に対するのと同等の助言やお世話が必要だとでも思っているのだろうか。

「御飯がいいですね、とか言われると、私は別のを入れたくなっちゃうのよねぇ〜」
なんて内心思ってしまいながら、でもおにぎりが良いわよね、確かにね、と息子の弁当箱には塩おにぎりの小さめのを2個。おかずは息子もだんなも私も一緒、煮込み(風)ハンバーグ。

最近ブームのおろし玉ねぎを混ぜ込んだミニハンバーグは最後にケチャップとソースをざっと絡める。弁当箱には小松菜をバター炒めしたもの(バターだけで炒めると凝固しちゃうのでマーガリンも混ぜた)を敷いて、その上にハンバーグを。あとは葱入り卵焼き。さつま汁に備えて、おにぎり2個だけとかの方が良かったかしらー?と思いつつ、いつもよりは多少少なめに作ったその弁当を息子に持たせた。

一人のんびり昼御飯。ケチャップとかソースの味は、弁当御飯にとてもよく似合う。ハンバーグ弁当、美味しいなぁ……(でもさつま汁はもっと美味しそうだなぁ……)。

マカロニ&チーズ
鶏肉の塩胡椒焼き
ビール

「おいものスープ、のみました〜!」
「あのねあのね、○○くんと一緒にね、おかわりもしちゃったんだよぉ!」
さつま汁だけが原因だけじゃなかろうが、やけにツヤツヤぷりぷりした顔の息子が幼稚園から帰ってきた。この人はほんとに、汁ものが好き。味噌汁が大好き、スープが大好き、具沢山ならなおOK。だから今日のお弁当はそれはそれは幸せな時間だったようだ。

母はおらず、だんなは仕事。ひっさしぶりの息子と2人だけの夕飯になった。ちょっと寂しいねということで、息子の好物の品を作ってやることに。息子の希望はマカロニチーズ。
「ぼくねぇ、マッケンチ〜ズッが、好きだなぁ〜」
そんな、巻き舌こてこてでマッケンチィ〜ッズとか言われてもおかーさん困っちゃうよ……と思いつつ、ならば、とそれを作ってみることにした。アメリカでは非常にメジャーな料理だ。名前そのまんまに茹でたマカロニをチーズのソースで和えたもの。主としてレストランのキッズメニューに載っている。息子はしょっちゅう食べているうちに、この料理が大好きになっちゃったのだった。家で食べるには、1箱1ドルとかあるいは50セントとかでマカロニと顆粒のソースがセットになっているものがあって、たまにそれにお世話にもなっていた。自分で一から作るのはこれが初めて。

調べたところ、最初にベシャメルソースを作れば良いらしい。バターで小麦粉を炒め、牛乳を加えてベシャメルソースができあがったらチーズを溶かす。玉ねぎ入れたりチーズも何種類か加えたりと色々らしい。でも、こてこてのそれを作るには、なんといってもチェダーチーズ。アメリカ人はどういうわけかオレンジ色鮮やかなこのチェダーチーズが大好きで、アメリカのマーケットにはチェダーチーズが溢れている。でも、日本人には今ひとつ人気のないチーズのようで、近所のスーパーに買いに行ってみたのだけど固形のそれは品切れ中だった(品切れだったということはある意味人気があるのかもしれない)。とりあえず発見したトースト用の薄切りチェダーチーズを買ってきたので、それを数枚使ってみた。チェダーだけじゃくどいかなぁとモッツァレラ入りのピザ用チーズを投入したら、やけに色が白く上品な味のマッケンチーズになってしまった。こんなに上品なブツはマッケンチーズじゃない……と思いつつ、塩焼きした鶏肉を上に乗せてみる。息子は素直に喜んでくれた。

ホワイトソースが入ってるから、チェダーチーズだけを使っていても案外マイルドだったかもしれない。非常にテキトーに作ってしまったものだから次回に活かせるかわからないけれど、「もっとチェダー多めでいいかも」「それ以前にチーズ少なめでいいかも」と色々勉強になった。自作マッケンチーズ、まだまだ美味しくできそうだし、いろいろ試せそうだ。

11/12 (水)
ぬぅ、これが噂のギョーザドッグ。
レーズンパン
カップスープ(粒コーン)
牛乳

今日は息子の幼稚園、先生の研修だかなんだかでお休み。ここ数ヶ月、ずーっと
「ディズニーランド、行きたいなぁ〜。ディズニーシーでも、いいなぁ〜」
と息子が言っていたこともあり、では連れて行ってやろうかということになる。だんなも仕事を休み、家族みんなで秋の平日ディズニーリゾート。水曜日はけっこう空いているらしい。

「……で?どっちに行ってみたいの?ランド?シー?君の年齢なら、ランドの方が楽しいと思うけど……」
「んとねー、モノレールに乗りたいからぁ、シーがいいなぁ〜」
息子の目的は「ディズニーランド(もしくはシー)で遊ぶこと」よりも、それらを繋いでいるモノレールに乗りたいことであるらしい。じゃあいっそモノレールだけを一日中ぐるぐる乗せてやろうかとも思ったのだけど、さすがにそれもどうかと思い、結局シーに行くことになった。私もだんなも、シーは初めて。もうさっぱり何がなんだかわからない。ちなみに、ディズニーランドも前回行ったのはもう5年以上も前の話だから、「ファストパスって、ナニ?一体ナニ?」というほどの浦島太郎っぷりだったりした。

朝7時前に気合いを入れて起き、朝御飯は軽くレーズン入りロールパンを1個、カップスープを1杯。
どうせあっちで「たっかいなぁ〜」と愚痴たれながらきっと色々飲み食いしてしまうのだ。

東京ディズニーシー内「リフレッシュメント・ステーション」にて
 ギョウザドッグ
 アップルティーソーダ

で、開園後ほどなく無事に初めてのディズニーシーに入場。私もだんなも、あんまり着ぐるみキャラクターに興味がなかったりするので(ていうか、ぶっちゃけ、ディズニーキャラクター全般に愛着がない……)、「まぁミッキーよミッキー!」と近づいて一緒に記念撮影ということはしないのだけど、一応息子に、
「ほらー、ミッキーだよー」
と入り口近くで子供たちやおねぇちゃんたちやおばちゃんたちに揉みくちゃになっているミッキーを指さして見せてみたりする。子供らしく「ミッキーだぁ!」と喜んでそばに駆け寄ったりするようなら、母として写真でも撮ってやろうじゃないかとカメラを構える。……が、息子は
「あー、おっきいボールゥ〜……あぁー、あっちにクリスマスツリーだぁ!」
ちらりとミッキーを一瞥した後、周囲の建物やらオブジェに興味を示している。……興味ないか、君。全然興味ないか、もしかして。

息子の興味は、「とにかくいろんなものに乗りたい」であったようで、思う存分彼の欲求につきあってあげることにした。
「きっとこのあたり、好きそうなものがあると思うよ」
と、マーメイドラグーンなるエリアを目指し歩く途中で、ディズニーシー名物(とされているらしい)のギョウザドッグ売りのワゴンを発見。
「これを食べるのが、今日の僕の目的」
と、これまたわけのわからない目的を持っているだんなが嬉しそうに2本買ってきた。周囲は海底2万里の世界が展開されていて、火山がちゅっどんちゅっどんいってる脇のベンチに座ってギョウザドッグ。なんだかヘンな感じ。

名前だけは知っていたけど、私はてっきりコロッケサンドのごとくにコッペパンの間に餃子が挟まってるもんだとばかり思っていた。が、目の前の物体は、肉まんの皮に餃子の具がくるまれた、コッペパンの形状の物体、というもの。具は湯葉でくるまれた後、もちっとした生地の中におさまっている。確かに餃子……っぽい?いえなくもない?マズイものではないけれど、何十分も並んで買うものじゃないよなぁ、というものではあった(今日はほんの数分で買えたけど)。そうか、これが名物か、名物なのか……。

東京ディズニーシー内「カスバ・フードコート」にて
 3種のカリー(チキン・ラム・シュリンプ、ナン&ライス)
 ココナッツプリン
 スプライト

今日は、どのアトラクションも並んでもせいぜい10分ほどという空きっぷり。私が思ったとおり、息子は子供向けの乗り物が集まっているマーメイドラグーンでこれでもかと遊び倒している。初めてのジェットコースター(かなりぬるめ)に乗り、すっかりはまった模様。

私は皆で一緒に乗ったコーヒーカップ状の乗り物で気分が悪くなっていた。どうも私は回転ものの乗り物が嫌いで、その回転の半径が少なければ少ないほどダメになる。昔々に某遊園地で「ロックンロール」なる、"輪切りにしたロールケーキ"みたいな乗り物の中に2人が向かい合わせに座り、そのロールケーキがぐるんぐるん転がりまくる乗り物に乗ったことがあるけれど……あれは地獄だった。あれでその後半日以上ずっと気持ち悪かった。私の三半規管はすごく脆弱な構造らしく、コーヒーカップ1個乗るだけでぐらんぐらんする。

ともあれ、せっかくのファストパスを有効活用することもなく、淡々と片っ端から見て回る。息子の身長では2つほどのアトラクション(それがまた、この園で一二を争う人気のアトラクションらしい)は乗れなかったのだけど、それはそれで、またーりとした一日になった。

昼御飯は、マーメイドラグーンに隣接する「アラビアンコースト」内のフードコートで。ギョウザドッグの次はカレーと、ますます謎な食事内容。
私はカレー屋さんで三種カレーのセットを。単品のナンがあったので息子にそれをあげつつ、ココナツ味の海老カレーとピリ辛のチキンカレー、ビーフカレーを啜って一休み。ココナッツの香りぷんぷんのプリンも、カレーも、そこそこいける。
だんなは「……量が少ない……」と言いながら中華料理の店からかた焼きそばを買ってきて食べていた。あー、しかし高い。高いぞ。究極の観光地価格という感じ。

東京ディズニーシー内「ホライスンベイ・レストラン」にて
 ロールケーキ
 アイス烏龍茶

午後も船や電車に乗ってパーク内を移動しつつ、ひたすら動く動く。パークの入り口付近から奥までを繋ぐ電車に乗り、窓からぼーっと風景を見ていると、電車の窓からしか見えないような建物陰の木の下に、何故かミニーマウス(の着ぐるみ)とデイジーダック(の着ぐるみ)が。「あら、電車よ電車ー」てな感じにこちらを見上げてパタパタと2人で手を振ったあと、顔を見合わせて「きゃは☆」ってな感じに、会話しているようなそぶりを見せている。
「うっわ、ここからしか見えないようなところなのに……」
「芸が細かい……」
「プロだ……」
「ミニーマウスの中の人も大変だな……」
「うむ」
と変な方向に感動してしまう私たち。うん、確かに可愛い。可愛いけど、もうディズニーグッズやキャラクターは卒業しちゃったのよ私たち……。

「昼、軽かったから、なんかもー腹空いちゃって……」
というだんなと共に、「ボートディスカバリー」という奥のエリアで休憩。だんなはがっつりとチキンソテーを食べ、私はスープや唐揚げを脇からつまみつつロールケーキと烏龍茶。息子はメロンとメロンソーダ。

桃のロールケーキとあったけれど、中に入っているのは缶詰の桃でがっくりしながら(なのに値段は薄っぺらい一切れで450円!)、甘いものを食べて一休み。入園後5時間して、そろそろ本気で疲れてきた……。

東京ディズニーシー内「ヴォルケイニア・レストラン」にて
 ハーバーサイド・クリスマススペシャルセット
 (春雨サラダ・豚バラ肉のあんかけライス・レアチーズムース)
 ビール

隠れた人気アトラクションらしい「ヴェネツィアン・ゴンドラ」に今回最高の待ち時間30分を並んで乗り、船の類も乗りまくり、気がつくとあたりは真っ暗。5時を過ぎようとしていた。だんなは今晩、英会話の学校。それはやっぱり休んじゃいかんでしょ、とここでだんなと別れ、息子と2人で再び遊び出す。もうアトラクションはほとんど見終わってしまったけれど、夜にはクリスマスツリーの点灯式やら花火やらのイベントがあるらしい。

「クリスマスツリーがね、出るらしいよー。花火もあがるみたい。みてみたい?それとも疲れちゃったから帰る?」
と息子に聞けば、やる気をみなぎらせて「まつー!ツリーとね、花火をみてくー!」とのこと。再び人魚の里に赴いて、ジェットコースターを更に2回、空飛ぶ気球的なもの2回、イヤだイヤだと私はさんざん抵抗しつつ地獄のコーヒーカップを更に1回。網で作られた吊り橋みたいなのを渡れる子供用の遊び場を息子はn回(nは5以上の整数)歩き倒し、息子の体力に唖然とし始めた頃にはもう7時を過ぎていた。

ツリーの点灯式は8時過ぎということで、どこかで夕御飯をとネモの家(←どんどんいい加減な表記に……)方面に。中華料理のセルフサービスレストランがあるらしく、子供用のセットもチャーハンもあるということで、息子には文句なしの品揃えと思われた。

息子は600円弱の子供用セット(チャーハンと焼売2個、ミートボール1個、フルーツゼリーのセット)、私はサラダとあんかけライス、ムースつきのスペシャルセット。ビールも飲んじゃう。
周囲はカップル、女の子ばかりの4〜5人のグループ、子供連れのグループ、おばちゃん3人組、などなどととても華やか。だんなが抜けただけなのに"息子と母親2人だけ"というのは案外と寂しいものだ。息子は「やっと、ぼくの好物が」と言わんばかりに無言でチャーハンをがっふがっふと食べている。残すかなぁと思いながら眺めていたら、全てを平らげたあげくに私のムースも狙っていた。

暖かかった昼間も、さすがに午後8時となると11月らしい寒さになってきて、マフラーと手袋を装備して15分くらい前からショーを待つ。今年の夏は見なかった花火に息子は大喜びだったし、湖の中央にそびえる光のタワーも美しかった。
「あー、けっこう楽しかったかも」という余韻に浸っているとき、湖上の船の上からスポットライトを浴びたキャラクターがパーク中に響く声でご挨拶。
「まぁ〜あ、なんてステキなクリスマスツリーなの!」(鼻にかかったメスネズミの声)
「ハッハー、今日は最高に素敵な日になったね!」(蓄膿症のようなオスネズミの声)
 (中略)
「メリークリスマァス!」(キャラクター一同)
あぁ、ダメ……なんか脱力しちゃう……。もう、このテのものを前にするとシラジラ〜とした気分になっちゃうのは、私がひねくれた大人になっちゃったからなのかしらん。キャラクターグッズを見ても、「ただのボールペンなら100円、ネズミの絵が描かれただけで、それが350円……」とか思ってしまう。

結局園を出たのは9時過ぎ。家にたどり着いたのは、もう10時半を過ぎていた。よろよろとシャワーだけ浴びて、荷物もコートもそのへんにうっちゃったまま倒れるように就寝。つ、疲れた……過去3年で一番疲れたかもと思うほど……。

11/13 (木)
スタミナ納豆丼。ねばねばねばねば〜(夕御飯)
レーズンパン
ホットミルク
ジャージー牛乳ヨーグルト

だんなは今日から2泊3日の九州出張。出張準備かと思いきや、数日前から
「大分県の名物はなんじゃいなー……かぼす?すだち?」
などとお土産についての算段をしていた我が夫。昨日はディズニーシー疲れでヨレヨレな私たちの帰宅より更に遅く帰ってきて、一人出張の準備をしていた。今朝は今朝で早くの新幹線に乗らなきゃいけないということで、私と息子が寝ている脇で一人出立の準備。
「いいから寝てなさい。ちゃんと自分が起きる目覚ましはかけた?じゃあねー、行ってくるねー」
私たちを起こすことなく、静かに出ていった。ごめんー、ごめんねだんなー。昨日、君と別れた後アレやったコレした報告したかったのに、なんか全然できなかったやー。

で、私と息子は幼稚園出発数十分前に起床。かなり手抜きめなお弁当を急ぎ準備し、ホットミルクとレーズン入りロールパン、ヨーグルトの朝御飯。
私は"ジャージー牛乳もの"乳製品が大好き。特にその名がついたヨーグルトには目がない。上部にこってりしたクリーム層ができているものなんかかなり好みなのだけど、本日食べたOHAYO社ものは、いまいちこってり感が少なめだった。……グリコヨーグルト健康も好き。ガラス瓶入りヨーグルトもかなり好き。

豆せんべい
抹茶入り玄米茶

昨日は歩きまくって足パンパン。「疲れたぁ〜」とか言いながらちょこちょこ甘いもの食べてたから、疲れ以外の要因でも足やら顔やらがむくんでいるような気がするし、今日は一日節制気味にすることにした。

昼御飯は、特にあてもなかったので豆せんべい囓りながらお茶を啜る。塩味サクサクッとした歯ごたえの、豆入りせんべいは私の好物。大袋入りのそれを抱えこんでいると止まらなくなりそうなので小皿に数個移してお茶傍らにポリポリと食べる。
静かだなぁ……母の去った部屋の模様替えでもしようかな。それともクリスマスツリーを出すとか……(とか言いつつ昼寝)。

スタミナ納豆丼
具沢山豚汁
サラダ、漬物
麦茶

息子と2人の夕御飯。夕方5時頃までは、
「やる気なーい。……ピザか?寿司か?蕎麦か?カツ丼か?」
などと店屋物注文気分バリバリだったのだけど、空腹迫ってきて突然に豚汁が恋しくなった。一度恋しくなってくるともう止まらない。あー、豚肉、あー、ゴボウ、あー、大根、と思い出すとたまらなく、材料をざくざく刻みはじめた。すき焼きの残りの豆腐なども出てきたので、今日は適当にあれこれ具を追加する。豆腐と油揚げを入れてしまったら、微妙にいつもと違う感じの豚汁になった。仕上げに胡麻油をひと垂らし、食べぎわに刻み葱をたっぷり。

「どうせだったら、お父さんがいたら絶対にできない料理をしちゃおうかね」
と、メインディッシュはだんなの嫌いな納豆料理に決定。以前、納豆とひき肉を炒めた丼を作ったところなかなか美味しかったので、また作ってみることにした。確かレストランのまかない料理を集めたレシピ本に載っていたものだったと思う。胡麻油で合いびき肉を炒め、納豆を加えて刻んだニラも炒め合わせる。酒と醤油を同量、それらより少なめの味醂をざっと混ぜたらできあがり。アツアツ御飯の上からかけて、温泉卵を添えたら、いただきます。……そういうものだったのだけど、冷蔵庫にはニラはない。ニラの代わりにキャベツを使った。温泉卵を作るのはめんどくさいので半熟のゆで卵を作った……はずだったけれど、できあがったのは半熟状態を微妙に通り過ぎた具合の見事なゆで卵。目指したものとはちょっと(いや、かなり?)違うものになったけど、多分味は、大丈夫なはず、多分。

納豆をフライパンで炒めた匂いというのはけっこうすごいもので、これを昼に作った日には夜にもまだ匂いが消えないのではないかというほどのものだった。やっぱりだんながいない日に作って正解だったと思われる。
「お父さんがいないので、納豆の御飯にしてみましたー」
「おとーさんはなっとうがキライから、おかーさんと二人で食べるの?」
「そうそう」
事態をよく理解している息子は、「なっとうも好きだけど、スープはもっと好きなんだなぁー」とか言いながら、豚汁をたっぷり2杯、納豆丼はたっぷり1杯たいらげた。
うーん……静かだなぁ……。

11/14 (金)
手抜き料理は、つい丼ものに…… (夕御飯)
コンビーフとチーズのホットサンド
2日目の豚汁
牛乳

だんな出張中につき、息子と2人きりの2日目。目を覚ますとけっこう冷え込んでいたので、息子の弁当作りがてら
「朝御飯はホットサンドにいたしましょー」
とホットサンドメーカーを取り出した。先日ホットサンドを作った時の残りのコンビーフがあったので、それとチーズをセットする。息子にはホットサンドではなくジャムバターサンドにでもしてやろうかなと思っていたところ、作業を横から観察していた息子が、
「ぼくもー、ぼくもー、チーズぴよーんがいいなー。これがいいなー」
自ら私の数十センチ脇でぴよーんぴよーんと伸縮しながらホットサンドを所望した。はいはい、君もホットサンド。

ホットサンド、しかもコンビーフとチーズが具のホットサンドに豚汁という組み合わせはいかがだろうかと思いつつ、せっかくの「2日目の豚汁」があるものだからそれも一緒にテーブルに並べた。それに、豚汁と牛乳という組み合わせも悪くない。

「チーズ、ちゃんとぴよーんってしてますかー?」
「してますよー」
と、2人でチーズをぴよんぴよんさせながらホットサンドを楽しんだ。寒い季節の朝は、なんといってもホットサンド。

鮭おにぎり
おかかおにぎり
海苔入り卵焼き
いぶりがっこ
ほうじ茶

午前中、ちょっと久しぶりのスポーツジム。うりゃうりゃと1時間半ほど泳いで帰ってきて、さて昼御飯はどうしましょうと、息子の弁当箱に入りきらなかった海苔入り卵焼きが残っているのを眺める。
「……おにぎりの昼御飯ってのも、悪くない。ていうか、良い」
と、自分用のおにぎりを作ってみた。鮭フレークを詰めたものと、醤油をまぶしたおかかを詰めたもの。どちらもぐるりと焼き海苔でくるんでみた。

母が去ってだんなも不在で、昨日何件かあったセールスの電話も訪問販売もなく、今日はますます静か。鋭意鑑賞中の「X-FILES」鑑賞マラソンに専念してついに衛星放送での全話再放送に追いついた(何しろ週に5日、日に4時間も放映してくれちゃっているから、油断すると10話も20話も置いていかれる)。

「うぉ〜、深海の巨大生物が人を襲う!……ねぇ〜」
などと、オドロオドロしい内容の話を見ながら、大きく作ったおにぎりをぱくぱく。んまぁ、モルダー、ピーンチ!とか言いながら卵焼きをつまみ、スカリーが死体解剖でぐちゃぐちゃやってるシーンを見ながらほうじ茶を一気飲みした。

趣味があんまりよろしくない私は、学生時代に「とにかくぐちゃぐちゃドロドロのスプラッタ」映画を何本か借りてきて、友人たちと宴会をしたことがある。音頭をとったのは私。食べ物は「スプラッタ映画を見ながらこれを食べるのはどうよ」って感じの、唐揚げとか、ケチャップたっぷりつけたチキンナゲットとか、ミートソース入りのピタサンドとか。あの時よりは心臓の剛毛は減ったと思うけれど、でもやっぱり平気だったりするのだった。

ロコモコ
2日目の豚汁
杏露酒のソーダ割り

息子と2人の夕御飯。2日目の豚汁もまだまだ残っていて、これは当然いただくことに。
「そうすると、スパゲティってのはちょっとヘンだよなぁ〜」
と、今日も昨日に続いての丼もの夕飯にしてしまうことにした。冷蔵庫内に半端に残っているのは合いびき肉が少しとすき焼き用の牛肉が更にほんの少し。
「合いびき肉で丼……ハンバーグで丼……確かロコモコってのがそういう感じ……?」
あれこれ思い出し、「ロコモコ」を作ってみることにした。

これはハワイの料理。名前だけは雑誌などで見かけたことがあったけれど、レシピはケンタロウさんのハワイ料理本で見たのが初めてだったと思う。トマトソースでイタリア風とか、大根おろしを使って和風とか、色々バージョンはあったけれど、要するにハンバーグ丼であるということに代わりはない。今日はハンバーグを焼いてバターとケチャップとウスターソースと醤油と酒を絡めてソースにするというものにしてみた。目玉焼きを添えて刻み葱をぱらっと散らす。ハンバーグのタネにはナツメグパウダーとチリパウダーを混ぜこんだ。残っていたすき焼き用牛肉も一緒に焼いて添えてしまうと、なんだかもう当初の「ロコモコ」というイメージがどんどん崩れていく感じ……ああぁ、今日もなんだか適当な料理になってしまった……。

「ハンバーグだぁ!卵もあるぅ!」
と、息子はなにやら嬉しそう。でも彼は当のロコモコよりも2日目の豚汁の方が魅惑的だった模様。
「スープはやっぱりおいしいなぁ〜」
なんて言いながらぺろりと2杯飲み干した。……も、もしかして、毎日豚汁かクリーム系スープとかシチューを作っていれば息子、大満足?

11/15 (土)
我が家では登場頻度少なめな、おでん。(夕御飯)
レーズンパン
3日目の豚汁
牛乳

だんな不在の土曜の朝。ぐーたらぐーたら寝こけて10時過ぎに起きたところでだんなから
「これから飛行機に乗るからー。……昼御飯でも何か買ってく?」
と電話があった。帰ってくるのは午後1時というところか。

私より数十分早く起きていたらしい息子が
「おなかがすきましたー。なにか、作ってくださーい。おねがいしまぁ〜す」
起き抜けの私の周囲をぷるぷると歩き回っている。あー、空腹ですかそうですか我慢できませんか、と急いで食事の支度をした。2個だけ残っていたレーズン入りのロールパン、3日目の豚汁、牛乳。芸がないけど準備だけは素早くできた。

握り寿司いろいろ
3日目の豚汁(ラスト)
抹茶入り玄米茶

午後1時過ぎ、だんなが大分方面から無事に帰ってきた。
「パチンコで大勝ちしたので、奮発しましたぁ〜!」
と手には寿司桶。こらこら、パチンコって、君は出張に行っていたのではなかったか。
「いや、だから、出張先で夜、退屈だからパチンコしてたのね。通りかかった店が、"ちょっとやっていけー、いっぱい出るぞー"って囁いていたからちょっとだけ打ったらじゃらじゃらじゃらじゃら……」
とか言っている。まぁ、とにかくけっこう勝ったらしい。

お土産は、九州限定「ひよ子ペロティ」(ひよ子の絵柄つきチョコ駄菓子)、九州限定「さつまりこ」("じゃがいも"のさつまいも版)、かぼす酢、大分の麦焼酎。……食べ物ばっかりかい。

「豚汁は?まだある?」
この日記で不在時の食生活を余すところなく把握していただんなは、寿司をテーブルに置くなりそんな事を言っている。豚汁……もう具がトロトロになり果てつつありますけど、よろしいですか?OK?と椀に最後の豚汁をよそう。鍋にたっぷりの豚汁は、これで綺麗になくなった。

買ってきてくれたお寿司は、2種のマグロにウニにイクラにイカにタコに玉子に……というシンプルな内容。それといなり寿司も3個。ついでに、
「おでんタネもスーパーで安かったから〜」
と買い物袋もチャラチャラ言わせて持ち帰っていた。出張帰りだかなんだかさっぱりわからない格好だ。

「いなりずしとー、たまごのおすしとー、どっちも食べてもいーい?」
と息子は3個のいなり寿司と3個の玉子寿司をどちらもぺろりと平らげてしまった。まさかそこまでがつがつ食べると思っていなかった私とだんなはちょっと唖然としながら甘栗など囓ってみたり。

茹で枝豆
朝穫りキュウリ with マヨネーズ
おでん
缶詰使って、魯肉飯
ビール
麦焼酎(大分・酔うちょくれ)

我が家の「おでん」頻度はかなり低め。やっぱり他の家って、もっとおでんするものかなぁ?とだんなに聞いてみると、
「うん、すっごく多かったよ。2週に1度とか」
ということであった。だんなの実家では冬になると大鍋一杯におでんを作り、4夜連続おでん、ということも珍しくないことになるのだとか。そういえば、大学時代のゼミ仲間(一人暮らし・男)も、冬になるとしょっちゅうおでん作ってるって話をしていた記憶がある。

……でも、私はどうも、あのおでんの味ってのには飽きがきてしまって苦手なのだった。上野公園などをぷらぷらしていたりすると無性に食べたくなったり、屋台にふらーっと引き寄せられたくなったり、おでんの専門店ってのにも行ってみたいなぁとも思ったりする程度にはおでんが好きなのだけど、でも、家でやるとどうも2日3日と食べ続けることになって、それは私にとってはあんまり幸せなことじゃなかったりするのだった。だんなにとってはおおいに幸せなことらしく、
「よーし、おでんだおでん。大根は僕が仕込んじゃうぞぉ☆」
と、語尾に星マークをちりばめながら大根を剥き始めている。面取りまでちゃんとしている。米のとぎ汁で下ゆでも始めた。もうやる気満々。

で、今日は久しぶりのおでん。練り物詰め合わせパックの他に、大根、卵、牛すじ、餅巾着、こんにゃくなどなど。昆布だしを醤油や味醂、少しの砂糖などで味つけてことこと煮込む。結局我が家最大級の量手鍋には収まりきらず、更に大鍋1個が使用されてダブル鍋でのおでん煮込みということになった。各々好きな具を盛りつけ、大分土産の焼酎をお湯割にしてちびちび飲みながらつつく。
「……あ、幸せかも……」
「おでんに日本酒とか焼酎って似合うよねぇ……」
食べる前は寒い寒いと言っていたのに、すっかり体は温まり、なんだかんだ幸せな気分になってしまいながらあれこれつついた。餅巾着は最高だぁ……。

締めは台湾の肉煮込み丼、「魯肉飯」(ルーローハン)。
台湾土産にと缶詰の魯肉飯用煮込み肉を何種類も買ってきてあったのだけど、初めて1個開けてみることになった。小碗に移してレンジで温めてから御飯にぶっかける。にんにく臭がかなり強めでこってり味。缶詰特有のトロンとした肉の隙間にはギトギトしたスープもたっぷり入っていた。独特の香辛料臭さもほのかに漂い、確かにこれは魯肉飯。1缶で2膳の御飯にちょうど良い程度の分量だった。
ほろ酔い気分の時に魯肉飯はすさまじくよく似合う。

11/16 (日)
だんな特製ビビンバ。訳あって私は何一つ手伝わず…… (夕御飯)
卵とチーズのホットサンド
コーヒー牛乳

ここ数日、私の中の「整理整頓・お掃除スイッチ」が入りっぱなしだったりする。普段気になっていなかったところが無性に気になり、今日は起きるなり洗面台下部の収納庫の中身を全部ひきずりだして整理し始めた。洗面台の棚にも手をつけ、そのへん一帯は大変なことに。……ていうか、なんでホテルから持って帰ってきた歯ブラシがこんなにうじゃうじゃうじゃうじゃ何十本も出てくるかなぁ……(来客用にと、確かにちょこちょこ持ち帰ってはいたんだけど、それにしたって……)。

あーもー、止まらなくなってきちゃったなぁ、と天を仰いでいると、共に起きてきた息子が真横にしゃがみこんで
「おかーさんおかーさん、おなかが空いちゃったよぅ……」
と呟いている。
「あのね、パンを2つ、白いきかいに入れてー、焼いてー、チーズがぴよーんってするのがいいなぁ……」
だそうである。「白い機械」とは、我が家のホットサンドメーカーのことらしい。息子はすっかりホットサンドがお気に入りになってしまった。

だんなが起きるのを待ち、もう昼も間近になった頃に皆でホットサンド。私と息子は卵&チーズ、だんなはコンビーフ&卵&チーズ。トマトを入れても美味しいらしいね。

だんな特製チャーシューメン
麦茶

スイッチ入りっぱなしの私は、今日は一日片づけモード。母が去った和室を子供部屋にしようと、ピアノやベッドの配置変え。この際だからとアメリカで買ってきたカーテンを今までのものと交換し、せっかくだからとクリスマスツリーも出してしまうことにした。もう、子供部屋のみならず家中がわやくちゃな状態に。
「ツリー出すぞー。うりゃー」
「息子も手伝いなさい。ハサミ持ってきてちょうだい。ハサミ持ってきたら、今度はトンカチ持っててちょーだい」
息子はかいがいしく手伝ってくれた。何しろ今まで川の字になって寝ていたものが自分のベッドで寝られるようになるので嬉しくてしょうがないらしい。ぼくのベッドー、ぼくのベッドー、と母が使っていたベッド(←それって元は友人M井さんが買ってくれた通称"M井ベッド"……←で、M井さんが不憫なので新たに居間にソファベッドを購入してある)の上でぽよんぽよんと跳ねている。

昼過ぎて、まだまだ作業は終わらない。だんなが
「ほいじゃ、ラーメン作ってあげますかねー」
と、中華街で買ってきたチャーシューを使って塩ラーメンを作ってくれた。クリスマスツリーと格闘しているうちに
「できましたよー」
と声をかけられ、食卓に向かう。そういえば引っ越し直後とか大掃除やってる時など、私がお片づけモードに突入しているときは、おさんどんはいつもだんながしてくれているような気がする。ありがとう、だんな。これで私も心おきなく作業できるよ。

表面がまっかっかないかにもな中華風チャーシューは、それはそれでラーメンに似合う。みっちり肉が詰まっていて食べ応えのあるチャーシューを囓りながらシンプルな味の麺をツルツルと。スーパーの生ラーメンコーナーは、見るたびに新商品が出ていて毎回ドキドキだ。今日のは「横浜くじら軒」とかいう名前のついたラーメンだった。にんにく風味のふりかけ風トッピングがついていて、ちょっとばかり風変わり。

だんな特製ビビンバ
だんな特製牛肉とわかめの韓国風スープ
ビール・麦茶

アメリカで呆れるほど巨大なクリスマスツリーばかりを目にしてきたので、我が家に元々あった高さ50cmほどのものがなんとなーく物足りなく思えてしまったのである。家の狭さも考えずに高さ150cmのものを新たに買ってしまった。
ここで買ったら、購入時は150cmツリーが4000円(今は5000円弱に値上げしている模様)ということで、けっこう安い買い物だったかもしれない。今日初めて箱を開けて組み立ててみたのだけど、かなりのボリュームのツリーでみっしりついた葉枝が良い感じ。で、結局、現状のままじゃ居間におさまりきれないのでソファベッドやこたつをまたもや移動。調子にのってないで100cmくらいのにしておけば良かったかも、と少々後悔を感じつつも、わくわくしている私だった。

ツリーも飾り終わり、模様替えもほぼ終了し、あとは小物の整理だけというところまでなんとか作業は落ち着いた。その代わり、夕飯までだんなに任せることに。
「明日はビビンバを食べましょう〜」
と、昨日食材を購入してきていたのだけど、だんなが一人でほうれん草を茹で、もやしを茹で、ぜんまいを炒め、にんじんを炒め、肉を炒め、スープを作り、と頑張ってくれちゃったのだった。ビビンバは、大変に大変にめんどくさい料理だ。一品一品仕上げていかなきゃいけないので、「何種類かの材料切って炒めるだけ、もしくは煮るだけ」といった料理に比べると遙かにめんどくさい。家で作るビビンバはとてもとても美味しいのだけど(それはひとえにへんこの胡麻油のおかげ……)、めんどくさいからそうしょっちゅうは作れないのだった。

どんぶりに炊きたて御飯を盛りつけて、もやしとほうれん草とぜんまいとにんじんを飾り、中央に醤油で炒めた肉、更に卵の黄身を中央にぽとりと落とす。あとはコチュジャンをひとすくい混ぜながら、全体をわっしわっしと盛大にまんべんなくかき混ぜてからはふはふと食べる。ナムルの主な調味料は塩と胡麻油、あとはにんにくや葱といったところなのだけど、作る人によって微妙に味が異なる。大切なのは「おいしくおなーりー」と唱えながら揉むことだ、という説もある。今日の、だんな特製ビビンバは、久しぶりに神がかった美味しさだった。ビビンバの神が祈りに応えてくれたらしい。

「ほうれんそう、好きなー。にんじんもね、好きなー。ぜんまいもね、好きなー」
本当は「好きだなー」と言いたいらしいのだけど、「好きなー」という発音になってしまっている息子は、ビビンバもすっかり好物になったらしかった。「スープもね、好きなんだよ」とか言いながら牛肉とわかめのスープを3杯飲みつつ、小どんぶりに一杯のビビンバを平らげた。……最近の息子の食欲は、本当にすごい。ちょっとびっくり。

「あ、そういやさ、おでんもあるじゃん。おでんは一緒に食べないの?」
と言った私にだんなは、
「ビビンバの日はさ、ビビンバだけをお腹いっぱい食べたいのです……って、思わない?思わない?」
だそうで。そうか……そういうものか……(わからんでもない……)。