食欲魔人日記 04年04月 第5週
4月26日 月曜日
今日も飽きずに手巻き寿司……
フルーツグラノーラ with 牛乳
味わい練乳いちごヨーグルト

ついこないだ海外出張から戻ってきたばかりだというのに、だんなは今日明日と大阪方面に出張なのであるらしい。今日はちょっと早く出なくちゃというので、7時前にだんなと一緒に私も起床。朝飯は途中でおにぎり買うから良いよということだったのだけど、ちと寂しいのでせめてと一緒にヨーグルトを食べる。私も息子も、そしてだんなも大好きな"味わい練乳いちごヨーグルト"。先日大変な安売りをしていたので、ごっそり買ってきて冷蔵庫に詰めてあるそれを、うまーうまー言いながら食べる。

「じゃあね、行ってくるからね」
ヨーグルトを食べ終わり、支度も終わっただんなに、「あいよー」とパソコン画面に目を向けたまま答えたら、
「ダーメ、パソコン見てちゃダーメ!愛が足りない!」
と激しく怒られた。いや、違うよー。ちゃんと玄関にお見送りしようと思って今は声だけ返したんじゃないかー、と弁解しながら、熱烈にお見送り。
「うむ、愛ある。愛オッケー!行ってきます!」
だんなは元気に出勤していった。えーと、私たちはもうすぐ結婚7年目の「銅婚式」にあたる夫婦なはずなのだけど、なんかこう、「飽きない」なぁ……と思う。

私の好きな、とある演劇のセリフに
「二十年だって、新婚よ。……金婚式を迎えるような夫婦から見たら」
「子供ができても新婚か」
「孫ができても新婚よ」
とかいうのがあるのだけど、本当にそうなれたらちょっとステキだ。うー、でも、今日は息子とまた二人ぼっちなのねー。

チェダーチーズトースト
アイスティー

本日午前中は、一人静かな事を良いことにずーっとお仕事。昼御飯はふらっと一人でどこかに食べに行こうかな(豚丼とか……←豚丼かよ)とか、ちょっと凝ったサンドイッチでも作ろうかなと思っていたのだけど、興が乗ってしまってずるずると息子の幼稚園お迎え時間直前まで作業してしまった。外に食べに行く余裕もないしコンビニ弁当とかも味気ないしなぁと、手早く食べられるものはないかとあれこれ物色。食パンに薄くバター塗ってちょい厚めにスライスしたチェダーチーズを乗せてオーブンへ。
「……厚く切ったらなかなか溶けないじゃん……」
と、己の数分前の行動をほんのり後悔しながらチーズが溶けるのをじっくり待って、その間に用意したアイスティーを傍らに置いてバリバリと食べた。

チェダーチーズは、かつては苦手な部類にあったチーズ。口中に漂うモヤンとした独特の匂いがブルーチーズのそれよりも馴染みにくいように思えて、以前はほとんど買わなかったチーズだ。が、アメリカに行ってみると、基本のチーズがチェダーチーズ。ハンバーガーの間に挟まるのも、ピザ用チーズも、タコス用も、チェダーチーズ含有量が大変に多かった。真っ白な"モッツァレラチーズミックス"なんかも当然あるいにはあるのだけれど、でもその隣にはほぼ間違いなくオレンジ色ベースの"チェダーチーズミックス"が。外食でチェダーチーズを食べ、慣れてきたところでスーパーでもその手のものを購入するようになり、いつのまにか"あのオレンジ色のチーズって美味しいわぁ"と思えるようになっていた。喉の奥がキュッと縮むような独特の匂いが、慣れるととても快感なものに。今日のトーストも美味しかった。

今日も手巻き寿司
 昨夜の残りの刺身類
 マグロのたたき・シメサバ
甘海老の味噌汁
麦茶

だんなのいない今晩の食卓、昨夜の酢飯と刺身が微量残っていたので、それをつまみつつ貝の酒蒸しでもしようかな、くらいに思っていた。

が、幼稚園からの帰り道、息子が自転車に乗る私の背後から話しかけてくる。
「ねぇねおかあさん。きのうと同じなやつね、あれがたべたいなー」
「……へ?手巻き寿司?同じやつがいいの?」
「同じのがいいのー」
他に特にこれ!という食べたいものもなかったので、じゃあリクエスト通りにしてやろうかなと魚屋さんに寄って帰ってきた。

マグロ数切れに、甘海老、帆立、イクラ、玉子が少々残っている。さすがにそれだけじゃ物足りなかったのでマグロのたたきとシメサバを追加購入してきた。御飯は「きっとこれでまた残っちゃう……」と思いながらも一応2合炊き、昨夜のそれも合わせておく。で、昨日ほど具に華やかさはないものの、今日も昨夜に続いて手巻き寿司。

息子はやっぱり手巻き寿司がそれはそれはお気に入りになったらしい。
「つぎはすごいぞー。イクラとね、たまごをいっしょに入れちゃうなんだよー」
とか言いながら、ひとつひとつ楽しみながら巻いて食べていた。私は「納豆とツナって一緒に巻いたらどうかしら」なんて危険な想像をしてしまうのだけど(←それはさすがにやめておいた)、息子はまともな組み合わせをちゃんと選択している。一番のお気に入りと思えるのは、マグロのたたきとイクラの組み合わせかな。

「……なかなか良い選択をするわね、君は……」
と言いつつ、私はマグロとシメサバを1つに巻いて「……いまいち……」となってしまっていたりした。サバに酢の味は似合うけど、マグロにはやはりよろしくないようだ。

4月27日 火曜日
北海道物産展での収穫物
おいもとあずきグラノーラ with 牛乳

だんな不在の朝。今日は一日荒れ模様の天気らしい。

「うー、あめあめだよ。息子、どうする?濡れてもがんばって幼稚園行く?……休んでもいいよ……」
どっちかというと"送迎がめんどいから休んでくれ"という気分でそう尋ねてみると、
「ぬれてもいいからー、ようちえん、行く!」
キラキラした瞳でそう返されてしまった。だよねぇ、幼稚園、行きたいよねぇ。

幼稚園は、息子が歩くにはちときつい距離。雨となると、片道30分くらいかかってしまうのだ。何度か歩いて往復してから、私は「雨だろうが雪だろうが、絶対自転車で連れていくぞ」と強く心に決めている。雨足が多少強くても、その雨の中を30分かけて歩くくらいなら5分で自転車飛ばした方が濡れる量は少ないのだと、何度かの経験で思い知った。だから今日も決死の覚悟で自転車往復。ううう、風が強そうだよぅ。

朝御飯、どうしようか……トーストにでもしようかな、と呟いた私に、
「カリカリー、カリカリー」
カリカリがいいなー、と今日も呟いている息子。先日ごっそり買ってきたフルーツグラノーラもえらい勢いで食べるものだから残り少なくなってしまい、今日はおいもとあずきグラノーラを出してみた。1ヶ月前だか2ヶ月前に買ったは良いけれど、フルーツバージョンに比べるといまいち爽やかさに欠けて、我が家では不評な可哀想なグラノーラ。久しぶりに食べてみたけど、やっぱりビミョ〜に味気なかった。

ねぎとろ丼
水菜のおひたし
麦茶

今日もお仕事。もっぱら"新しい仕事"に関する作業とか勉強をしているのだけど、やっと少しずつ色々とわかるようになってきた。でも期待されているのは"いじくる事"ではなく"組む事"で、それはまだまだまだまだ遠い道のり。

昼御飯は、昨夜の寿司飯とマグロの叩きの残りを冷蔵庫から出し、一人ねぎとろ丼。冷蔵庫から出したての御飯はさすがに冷たすぎるので、ほんの1分ちょっとレンジにかけて室温程度に温める。マグロを乗せて刻み万能葱を散らし、醤油をピャーッとかけたらできあがり。ここ数日野菜不足状態のような気がしたので、水菜のおひたしもちゃちゃっと作って横に添えた。

北海道物産展で入手した
 切り落としハム
 ソーセージ
 コロッケ(牧場のクリームコロッケ・じゃがバターコロッケ・オニオンコロッケ)
チーズ
 クリームチーズフルーツラム
 フォレストスモーク
 レッドチェダー
 ブリーエキストラ
レタスと玉ねぎのサラダ
「アンデルセン」のくるみパン
ビール(MGD)

幼稚園終了後、息子を連れて千葉までお出かけ。早めに済ませたい用事があったので風雨のなか出かけてみたのだけど、この天気でどこも人は割と少なめ。用事も思ったより早く済んだので、デパートをぷらぷらして帰ることにした。タイミングよく、千葉そごうでは今日から北海道物産展を開催だそうで、
「北海道だよ北海道。きっとソフトクリームがあるから食べに行こうよ」
と、上階の会場に向かってみた。

物産展とか駅弁大会とかはどこもたいてい人気だけれど、特に北海道物産展は人気があるような気がする。会場は驚くほどの人が集まっていて、行列しているブースもいくつか。あまり行列に並ぶ気力もなかったので、適当に覗いて適当に買い物し、適当にソフトクリーム食べて帰ってきた。試食品が多くて「食べてってー」と手渡されてしまいながら足を止めていたら、一周する間にケーキ食べたりチーズ食べたりタラコ食べたりラーメン食べたりと大変なことに。

買ってきたのは、「あいの里」なるブースの骨付きハムの切り落としとソーセージセット、「グリーンズ北見」というところのコロッケ、「ベイクド・アルル」というところの純白ロール。あらこれ美味しそ、あーマルセイバターサンドも売られてるー、ロイズのチョコも!なんてわくわくしながら歩いてしまい、あやうく何千円も使ってしまうところだった。ウニ丼なんかも買ってしまうところだった。物産展はめちゃめちゃ危険。

だんなが出張から帰ってくるのは夜遅くだということなので、買ってきたものを使って晩御飯にしてしまうことにした。ざくざくっと分厚く大きく切られたハムを盛りつけ、プレーンとハーブ入り、チョリソーがセットになったソーセージを数本茹でた後こんがりと。クリームコロッケ、じゃがバターコロッケ、オニオンコロッケの小ぶりな3つのコロッケは温めてから半分に切って息子とそれぞれ分け合った。御飯のお供という感じのおかずじゃなかったので、くるみパンを買ってきてこれも軽く温める。

そして、先日オーダーチーズ・ドットコムで購入したチーズも出してみる。届いたのはもう1週間近く前だったのだけど、チーズに似合うような夕食じゃなかったので開封できずに冷蔵庫にごろごろ転がっていたものだ。
私が買ったのは、何が届くかわからないという「春の福袋」なるもの。価格は3000円と5000円の2種類があって、「5千円分もチーズがあっても……しょうがない気が……」と、3000円のを試しに注文してみたのだった。届いたのはラム酒に漬けたドライフルーツを混ぜた甘いクリームチーズの大きな塊と、スモークチーズ、パルミジャーノレッジャーノ、レッドチェダー、ブリーエキストラがそれぞれ200gくらいずつ。そしてガーリック風味のホイップフレッシュチーズが1箱とレンジでチンするだけのフォンデュスナックが1箱。全部で7種類のチーズが箱には入っていた。ブリーもスモークチーズも大好きなので、割と好きな組み合わせだった。パルメザンチーズもあるだけ使うし。

で、ビールに合いそうなものを4種類ばかりコロコロと少しずつ切ってみる。ビール傍らにチーズつまんでハムつまんで、サラダもつまんで……と、こういう食事はなんだか久しぶり、という内容になった。塩気が薄く色も薄いハムはとても柔らかですんごく美味しい。素朴な味のソーセージもコロッケも、なかなかいける。特にオニオンコロッケが、炒めた玉ねぎどっさりのほの甘いもので、サクッとした衣とクリームコロッケとは違った方向にとろっとした具の組み合わせがとても好みだった。じゃがバターコロッケにはコーンも入っている。

ビールと肴の夕飯もいいなぁ、でも、息子は物足りないかしら……と思って見ると、楽しそうにソーセージつまんでコロッケつまんでパンにかぶりついていたので良しとする。
「ぼくはねぇ、やっぱりねぇ、この、オレンジ色のチーズがおいしいと思うよ」
と、チェダーチーズをばくばくと食べていて、
「ああ、それねぇ、君の好きなマッケンチーズの材料だよ」
息子に言ってみたら、
「しってるもーん。おんなじ味がするもーん」
と返された。……な、生意気……なんて生意気な……(母はね、二十歳くらいになるまでチェダーチーズ食べたことなかったわよ)。

4月28日 水曜日
ゆでたん。ぶあつ〜い。すご〜い。
「アンデルセン」のクリームパン
カフェオレ

最近、「美味しいクリームパン」が食べたくて仕方のない私。かといって遠出までして買ってくる気力もなく(目下、気になってしょうがないのは神楽坂の「亀井堂」というところのクリームパン。お菓子の職人さんが作ってるクリームパンなんですって……どきどきどき)、昨日は千葉そごう内のアンデルセンでクリームパンを買ってきた。我が家最寄りの「アンデルセン」よりは明らかにパン焼きコーナーの規模が広そう(ゆえに品揃えも全然違う)で、味も違うかもなぁ……と、期待。……でも、あんまし変わらなかった……普通だった……。

「んーんーんー、表参道のアンデルセンは、あそこはあっからさまに違うんだけどね……」
と呟きながら、"もったりしている"というよりは"火が通りすぎてブツブツしてる"に近い、固めの甘さ控えめクリームを舐める。もっとこう、艶やかで(でも水飴とかが入ってるようなんじゃなくて)、でも重さがあって、卵と牛乳の味が強く漂ってくるようなクリームパンが食べたいなぁ。

だんなも一緒にクリームパン。息子はチョココロネ。

「吉野家」で豚キムチ丼

昼過ぎにスポーツジムに行ってこようと思ったら、昼前に猛烈な土砂降り。
「……これは……試されている?雨でもちゃんと行くかどうか、試されている?」
と思いつつ、目的のプログラムが始まる45分前に小降りになったので急いで家を出た。昼食もどっかで食べてから行かなくちゃということで、向かったのは「吉野家」。手元にはだんながくれた「半熟玉子無料券」があるので、それを使って豚丼でも食べましょう、と、ここ数日思っていたのだ。

今日食べてみたのは、初めての豚キムチ丼。豚丼より50円高くて、中央にキムチがこんもりと。無料の半熟玉子を脇に置き、半分くらい食べ進んだところで卵落として混ぜつつ食べた。……うまー。

牛丼の復活を今も変わらず心から願っているけど、でも、豚丼もけっこう美味しいと思う。牛丼とははっきりと味が違うのだけど、でも"吉野家の味"という感じ。卵無料チケットをくれただんなに、
「どう?変わらず吉野家詣では続いているの?」
と聞いたところ、
「オフコースッ!」
と、CMの新庄みたいな表情が返された。そうですか、オフコースですか……。

なんでも、ちょっと前に職場の同僚がわざわざ築地店まで行ってランチに牛丼を食べ、だんなも欲しがるだろうと"特盛"を1個買ってきてくれたのだとか。
「もうねー、牛丼、久しぶりでねー。本気泣きしそうになったよ。旨かったぁ……」
だそうで。牛丼を前にして漢(おとこ)泣きする夫の姿、見てみたいような見たくないような。

四ツ谷 「たん焼 忍」にて
 ゆでたん \860×5
 たん焼き \860×2
 どて煮 \630
 たんの生姜煮
 たんぞうすい
 生ビール×3
 麦焼酎 ロック
 オレンジジュース×2

明日はお休みということもあり、夕食は四ツ谷までお出かけ。だんなが以前同僚に連れて行ってもらった牛タンのお店なのだそうで、
「もうね、すっっっっっっっごく美味しかったからね。是非行こう。一緒に行こう」
と誘われていた。じゃあ、明日が休みだからちょうど良いね、と、息子も連れて6時半過ぎに電車に乗って都心に向かう。

四ツ谷駅から新宿方面に向かって、太い通りと平行に走る細い路地を5分くらい歩くと、目指すその店「たん焼 忍」が。暗い通り沿いにぽつぽつとコンビニや飲み屋、小さな料理店がある中、その店の前がぽうっと明るく、何人かのお客さんが既に並んで待っている。6時以降の予約は受け付けてくれないということなので、しばし店の前で待つ。20分くらい待って、ようやく中に入ることができた。

店の中は、広くない空間にぎゅうぎゅうと大変な人が肩寄せ合って料理をつついている。カウンター席もきゅうきゅう、テーブル席も相席はあたりまえ。丸太をちょんぎったような椅子に、その椅子の高さとあまり変わらないような、大木を縦方向にちょんぎったようなちと狭めのテーブル。私たちは既に仕事帰りと思われる女の子3人組のテーブルに相席させてもらうことになった。雰囲気はいかにも居酒屋で、子供を連れてきちゃ悪かったかしら……と思ったのだけど、お店のおばちゃんやおねぇちゃんは、
「ゆでたん、お子さまの分だけ胡椒控えめにしときましょうか、1人前くらい」
「はい、ジュース、氷少なめでジュース多めにしといたからね〜いっぱい飲みな」
などとあれこれ世話やいてくれ、最後には、「ほーら、おみやげ」と円筒形のケースに入ったマーブルチョコまで出してきた。ううう、ありがとうございます。

さて、この店の名物は、なんといっても「ゆでたん」なのであるらしい。
「とにかく"ゆでたん"だから!……4人分くらい頼むね。頼むからね?」
と、勝手のわからない私にそう言うだんな。よ、4人前も食べられるの……?と尋ねたら、「楽勝!」と、これまた新庄みたいな顔で返された。

生ビール2つにオレンジジュース1つ、ゆでたん4枚に焼きたん2枚、どて煮をまずは注文。店内の壁、あちらこちらにメニューが貼られているのだけれど、その内容は当然牛タンものばかり。生野菜盛り合わせとかアスパラガスの炭火焼きとか冷や奴とか、そういうメニューもちらほらとあったのだけれど、今日はとにかく牛タンをお腹一杯食べることにした。

で、やってきたのは大皿にばばばーんと12枚切られた盛られた厚切り牛タンの勇姿。厚めと聞いてはいたけれどその厚さはかなりのもので、2切れで焼き肉の"牛タン塩"1皿分相当かしら、という感じ。上からは胡椒がガーリガーリとかけられていて、わさびが隅にちょんちょん、と添えられる。1人前はこれが3枚ということなのね。

この"ゆでたん"、めーっちゃめちゃめちゃめちゃ美味しかった。箸でさくさく切れちゃうほど柔らかで、とろとろぷるぷる。口の中でほにゃにゃ〜んと溶けていってしまう。この厚さでも、いや、この倍量の厚さでも全然OKと思えるほどの柔らかさだった。息子も嬉しそうにがふがふと胡椒少なめゆでたんにかぶりついている。味つけは塩と胡椒と、好みによってワサビのみ。いやー、うまいー、2〜3人前は楽勝で食べられそうだわー。

"焼きたん"もまた、"ゆでたん"よりはさすがに薄いものの、食べ応えのある厚さでやってきた。炭火でこんがり両面を焼かれた牛タンは、独特なゴムみたいな弾力のある歯ごたえで、これもこれでなかなか。仙台の牛タン屋さんのように、塩もみ野菜が別皿にこんもりと盛られてやってきた。香ばしい炒り胡麻がたっぷりかかってピリ辛なお漬物、これをつまみに焼きタンもばりばりと食べる。ほぼ同時に来た"どて煮"はこんにゃくと共に味噌味で煮込んだ牛タン。こっくりした味で、上からは刻み万能葱がぶわっとかけられている。このあたりでだんなは2杯目のビールを注文し、私はビールから麦焼酎に切り替えて、くぴくぴと。息子も負けじとオレンジジュースをお代わりしていた。

「……ああ、御飯もあるのね。焼きおにぎりとー……あ、"たんぞうすい"、これは食べなきゃ。あとねぇ、ゆでたん、もっと食べたいな」
"4人前も食べられるの?"とか言っていたのに、もうノリノリの私。だんなの「あ、生姜煮ってのも美味しかったよ」の声に、生姜煮も追加注文。最初から最後までタン尽くしの料理を食べることになった。

1人前3枚の牛タンをありがた〜く味わっていただき、生姜煮の美味しさにもくねくねしちゃう。薄切り生姜がどっさりと、ぐずぐずに煮込まれたタンに散らばっていて、醤油と味醂でこっくり強めの味つけで煮たという風なもの。生姜が効いた角煮の味つけ、という感じ。爽やかな生姜の香りが全体のコテコテギトギト感を和らげてくれて、いかにも酒のアテというか御飯の供というか、喉は乾くのに何杯でも食べたくなっちゃう美味しさだった。

そしてシメにはたんぞうすい。小さめの鉄鍋にぐつぐつと、御飯とスープとたっぷりの刻み葱。御飯の隙間には薄切りにしたタンもヒラヒラと。牛タンのだしがたっぷり、という味ではなかったのだけど、さっぱりとしてシメにはぴったりの料理だった。息子も葱入りスープを最後にしっかり堪能していた。

夜9時も過ぎ、最後にはお土産に牛タンの切り落とし(下処理後に冷凍してある。400gで500円ちょっと)もいただいて、
「はい、食べ方、中に入れときますからねぇー。カレーにするといいわよ」
とおばちゃんにアドバイスも受け、くしゅくしゅビニール袋に入ったタンをぷらぷらさせて帰路についた。お会計、親子3人飲んで喰ってお土産もらって1万2千円。ヒョー。
「うわー、あのぎちぎちの空間で飲み食いして1万2千円かー……けっこう高いね」
「いやでも!あの茹でタンの美味しさを思えばそのくらい!」
「そうだねぇ、あの茹でタン2枚で焼き肉屋の500円のタン塩相当と思えば……」
「そうそう、喰った量が尋常じゃないからそのような結果になったけれども!妥当な価格!」
麦焼酎くっぴくっぴ飲んだせいですっかり脳裏にお花畑が広がっている中、そんな事言いながら四ツ谷駅に向かう。

今日は、今までの生涯で最も大量の牛タンを食した日となりました。お腹一杯。

4月29日 木曜日
だんなの作る麻婆豆腐は茶色くて肉だらけー
「551蓬莱」のぶたまん
アイス烏龍茶

今週頭、だんなは関西方面に出張していた。で、お土産が「551蓬莱」の豚まんと焼売と、神戸「大黒屋」の「いかなごのくぎ煮」。ほんのりジャンクな味のする551の豚まんも、甘辛く煮付けた黒々とした佃煮も、どちらも大好き。冷蔵庫内ににはみっちみちに何箱もの豚まんと各種チーズ、それに"味わい練乳いちごヨーグルト"なんかが入っていて大変な状態になってしまっている。

「ぶったまん、ぶったまん♪」
「ぶったまん♪」
ぶたまんぶたまん言いながら、今日の朝御飯はさっそく豚まん。息子の分も合わせて3個の蒸籠を積み重ね、しばし蒸してアツアツになったところをハヒハヒ言いながら食べる。

中華街で買ったり高級チックな飲茶の店で食べる1個500円くらいもしちゃうような"高級肉まん"とは全く方向が違うのだけど(んでもってそういうリッチな肉まんやらチャーシューまんも大好きなんだけど)、551蓬莱の豚まんは美味しいと思う。「肉というか……ネギというか?」と思ってしまうけっこう白っぽい具に、もちっとしたほのかに甘い生地。全体的にほわんとした甘さが感じられる豚まんなのだけれど、醤油つけても良しソースつけても良しカラシなすりつけても良しと、非常に許容範囲が広いというかなんというか、とにかくそんな味なのだ。もう大好き。

ツナエッグクレープ

「築地 銀だこ」のたこ焼き
アイスティー

今日はお休みだけど、どこかにお出かけする予定はなくて、
「私はねー、11時45分から12時15分までジムの有料プログラムに参加するんだよ」
「じゃあ俺はその後のボディコンバットとボディパンプに続けて出てこようかな」
と、脳味噌筋肉な会話をしている私とだんな。で、私のプログラムが終わった頃に時間にジムの入り口で待ち合わせして、息子の受け渡しをすることになった。

私が参加した有料プログラム(参加費1000円)というのは「ボディパンプのフォームチェック」なる、微妙にマニアックな内容のもので、生徒5人(定員8名のところそれしか集まらなかったらしい)に対してインストラクターが4人という豪華な組み合わせ。もう10回以上、20回近くボディパンプというものに参加しているのだけど、自分が正しいフォームなのかいまひとつ自信がなかったのでみっちり色々教えてもらってきた。えーと、ベンチプレスは肩を浮かせない。トライセプスエクステンションは、臍じゃなくて鳩尾にバーベルをおろーす。アップライトロウは胸すれすれじゃなくて、ちょっと前に腕を出す、持ち上げすぎなーい。

30分みっちり動いて、入り口で待っていただんなから息子と自転車の鍵を託され、息子と一緒に帰宅。連れて来られて、その後ただ帰るだけの息子はちょっと不機嫌そうで、
「ねぇね、ぼくもね、ジムでうごきたいなぁ〜」
と呟いている。いやー、でもね、そっちの大人用のコーナーは君は入れないしー、こっちの子供用のコーナーはね、今こんなことやってるけどどうする?……と、いつも息子が運動している体育館の窓にへばりついて中を覗かせてやると、
「……わぁ……ぼくには……ちょっとむりだや……」
かえる……と、おとなしくエレベーターに向かって歩き出した。子供用コーナーではその時間、中国雑伎団のような超ハイレベルな体操教室を開催中で、自分の背よりも高い鉄棒に乗った子供がくるくると回転しまくっていたり、マットの上でお子様がくるくるバク中をしまくっていたりするのだった。

しょぼんとした息子を連れ、豚まん1個で30分わきわきと動いていたのですっかりお腹が減った私は、
「ねぇね、スーパーのクレープ屋さん寄って何か食べていこうか?」
とフードコートのクレープ屋さんに息子を誘い、寄り道してしまった。動いた後はしょっぱいものが恋しくなるようで、いつもは"イチゴチョコカスタード"とか"バナナチョコ生クリーム"とかいうものが恋しくなるのだけど、今日はツナエッグという塩味系クレープを。息子はイチゴカスタード&生クリームを注文し、椅子に座ってもりもりと食べてきた。塩味クレープもけっこう好き。でも、こんなにこれが美味しいと思ったのは久しぶりの事だ。
「息子さんはツナエッグのクレープをたべますか?」
「おかあさんは、いちごのクレープをたべますか?」
二人で交換しながら、
「お、イチゴも美味しいじゃん!」
「おかあさんのも、おいしいじゃん!」
とか言いながらもぐもぐと。

……そしてそれから数時間後に帰宅しただんなも
「いやー、なんかさ、しょっぱいおやつが食べたくてさ」
とたこ焼きを手にしていたのだった。今日もなんか夫婦間で色々と、電波が。

だんな特製 麻婆豆腐
だんな特製 牛肉とワカメのスープ
「551蓬莱」の焼売
自家製餃子を蒸したやつ
切り落としハム・スモークチーズ・ブリーチーズの盛り合わせ
いかなごのくぎ煮
羽釜御飯

ジムからの帰り道、だんなが
「今日は何食べる?……焼売あるな、餃子もな……じゃあ中華つながりで麻婆豆腐だ麻婆豆腐。材料買って帰るね!」
と、割と問答無用な感じで麻婆豆腐の材料を買ってきた。29日で"ニクの日"だったので、ニュークイックでたくさんの肉も買ってきた。主婦みたいな我が夫。夕飯の支度も、
「麻婆豆腐とスープは俺が作るよ。俺の方がきっと好きだし」
と"我が家の掟"にのっとってだんながさくさく動いてくれた。妻、らくちん。

551の焼売と、先日我が家で作った焼き餃子の残りを冷凍したやつを蒸籠に入れて蒸していく。麻婆豆腐とそれがあれば、もうけっこうな御馳走だったのだけれど、冷蔵庫の中にまだまだあるハムやチーズもビールの肴にとちょこちょこ切って盛りつけてみた。だんなは麻婆豆腐の支度をしながら、
「うぉっ、なんだその銀杏みたいな匂いのチーズは!」
と、スモークチーズの匂いに悲鳴をあげている。……そ、そんなに臭いか?(全然気にならない……)

で、ほのかに中華風味なおかず数品と、ハムとチーズの盛り合わせと、関西出張土産の"くぎ煮"という、よくわからない組み合わせの料理が食卓を飾った。だんなの作る麻婆豆腐は、甜麪醤がこってり入って辛さの全然ない、黒茶けたもの。豆板醤の辛さも感じないし豆鼓なんかも入ってないし、すごーく味噌っぽい味の麻婆豆腐だ。そいでもって、肉が多め、とろみ強め。そのまま食べるよりも御飯にかけた方が美味しいような麻婆豆腐だ。

551の焼売ってさ、美味しいんだけどさ、でも豚まんの中身とほとんど同じ味がするよね……とか言いながら、焼売や餃子をもぐもぐやりつつ麻婆豆腐をかっくらう。数十分前に冷蔵庫から出して常温で置いておいたスモークチーズ(銀杏臭いと評されたやつ……)は、すごく柔らかにとろんとなって、風味も良かった。一緒に盛りつけたブリーチーズ(カマンベールに似た白カビチーズ)もツルンとした舌触りの滑らかな香りの良いもので、ああ、どちらもけっこう良いチーズだったんだなぁ……と今更ながらに気づかされる。これらを福袋で買ったオーダーチーズ・ドットコムからは今日、「エーデルクロレン」(詳しくはこちら←もう注文はできないです……)という「モンドール」というチーズと良く似たタイプのものが届いたのだけど、こちらもいつ食べようかなと、かなりわくわく。

どのチーズも大切に食べようと思っているのだけど、皿に盛りつけると息子が脇から
「チーズなー、おいしいなー」
と、銀杏臭がしようがなんだろうがばくばくと食べてしまうのだった。さすがにブルーチーズだけは苦手らしいけど、それは私も成人するくらいまで食べられなかったし……(そのほかのチーズも美味しいなぁと思い始めたのは二十歳過ぎだし……)。

美味しいチーズ食べてあれこれ食べて、冷凍庫には昨日「たん焼 忍」で買ってきた牛タン切り落としなんかも入っていて、食生活は静かに潤っている気がするけど、でも何も予定がないゴールデンウィークの始まりだった。どこ行っても混んでるだけだしねー。

4月30日 金曜日
チーズいろいろ。レーズンも。
「551蓬莱」の豚まん
麦茶

昨夜、麻婆豆腐が少しだけ残った。だんなは
「明日は朝、ジムに行くからー、うどん茹でて麻婆豆腐かけて喰っていこう♪」
と計画していた。それを聞いて、私は無性に"納豆うどん"が食べたくなった。

だんなが麻婆うどんだったら私は納豆うどんにするんだわ、と思いながら朝を迎え、息子に
「ねーねー、今朝はうどんに……」
しませんか?と声をかけようとしたら、全部言い終わる前に
「えええー、おまんじゅうがいいなぁ〜」
と強い要望が出されてしまった。

"おまんじゅう"とは、「551蓬莱」の豚まんの事に他ならない。以前はそれほどまでに「おまんじゅうが好き!」という風じゃなかったのだけど、いつのまにか息子は肉まんチャーシューまんの類が大好きな子供になっていた。昨夜も、蒸籠で蒸した焼売と餃子を夕飯の食卓に出したところ、焼売も餃子も好物なくせに
「えええー?これに入れるのは、おまんじゅうじゃなかったのー?」
と、えらく不満そうだったのだ。

確かにね、おまんじゅうは早く食べなきゃいけないしね、と、豚まんを蒸かす。弁当の準備をしながら15分ほど蒸籠を火にかけ、アツアツのところをフーフー言いながら1個ずつ食べた。

「……なんで、そんなにこのおまんじゅうが好きなのよ?いや、美味しいんだけどね、かあちゃんも好きだけどね」
「えー、だってね。これは、この、おまんじゅうはね、あったか〜っくて、おいし〜っくて、で、ふあふあだからね、だから好きなんだよ」
だそうで。あったか〜っくて、おいし〜っくて、ふあふあなものは、確かにどれも息子の好物。……私は買いたてのJohanのコーンパンが食べたいぞ。まだホカホカなやつ。

納豆飯 (納豆ダブル)
牛肉とワカメのスープ

水曜日にジムでトレーニングしてきて、昨日の木曜もたったの30分とはいえフォームチェックの講座を受けて、そしたら手首やら二の腕やら何やらがめちゃめちゃ筋肉痛になってしまった。キーボードも打ちにくいほど腕が痛くなるのは久しぶり。バカ……。

それでもパソコンの前に座ってあれこれやっていた午前中。昼御飯は絶対"納豆うどん"にしようと思っていたのだけど、うどんより白い御飯の方が恋しくなってしまったので冷凍御飯をチンして納豆ぶっかけて食べることにした。納豆食べたい、いっぱい食べたい、これでもかってブワーッとかけて食べたい……と、欲望に駆られて納豆を2パック開封。普通サイズの御飯茶碗に1膳分程度の御飯を小丼に入れ、上から2パック分の納豆をねばねばさせてぶっかけたら、御飯と納豆の量があまり変わらないんじゃないかという状態になった。ふふふ、満足。

いつからそんなに好きになってしまったのか、全然記憶はないのだけど、私は納豆が大好き。小粒とかひきわりとかじゃなくて、大粒のバボーンとしたやつの方が好み。母は納豆がそれほど好きではなく、子供の頃の家に常備されていたわけではなかったのに、いつのまにか納豆が好きになっていた。息子にとっては"子供の頃から常に冷蔵庫に入っている食べ物"であり、"お母さんが旨い旨いと言って食べているもの"であるわけなので、当然のように納豆は好物だ。納豆がとにかくダメなだんなは、我が家では"少数派"に属してしまうのだった。

しかし、2パック分の納豆は食べ応えがあった……ありすぎた……。

チーズプレート
鶏肉入りクリームソースのペンネ
牛肉とワカメのスープ
ビール(Corona)

だんな、今日はお仕事。今週は出張行ってたり牛タン食べに行ってたりしたこともあり、「今日はもう、絶対遅くなるー……」と言っていた。息子と2人で夕御飯。御飯を炊こうかパスタにしようか、メインのおかずのアイディアは何もなかったのだけど、ただひとつ「ビール飲みながらチーズを食べるぞぉ〜」と決めていた。悩んでいると、すかさず息子から
「マッケンチーズとかねぇ、クリームのスパゲティとかがねぇ、いいと思うなー」
とリクエストが入る。充分予想の範疇のリクエストで、でもそれはチーズのつまみと相性も良さそうで、リクエストに応じてあげることにした。ペンネと一緒に鶏肉を茹で、刻み玉ねぎを炒めたところに生クリームを加えて軽く煮詰めて塩味をつけたソースで和えるだけの簡単一皿。

で、パスタの準備をする傍ら、チーズも何種類も出して皿に盛りつけてみた。イギリス産のチェダーとスティルトン、フランス産のブリーとスモーク、そしてわくわくしながら開封した「エーデルクロレン」。温めたりしなくても、常温でトロントロンのクリーム状になっている柔らかなそのチーズを、小さなスプーンですくって他のチーズと一緒に並べてみた。中央には弦つき干し葡萄。

「エーデルクロレン」を知ったのは、同じ産地、フランスのフランシュ・コンテ地方で冬だけに作られる「モンドール」というチーズにハマッたから。昨年冬にそのクリーミーなトロントロンのチーズを舐める機会があって、「うっわ、すんごく美味しい、どうしよう、買いたいけど買えるのかしらん」とモタモタしている間に3月を過ぎて今シーズンの販売は終わってしまっていたのだった。次にそのチーズを購入できるチャンスは10月以降。悲しいわぁと思っていたところ、"夏版モンドール"とも称されているらしい、「エーデルクロレン」の存在を知ることになったのだった。200gで2200円、送料入れたら3000円くらい。決して安くはないのだけど、お高いケーキでも買ったと思って……と清水ダイブして注文してみた。

モミの木枠がはまったチーズで表面はブヨンと乾いて固い感触。上部をナイフで十文字に切り裂いてその表皮をぺろりとめくると、中には綺麗なミルク色をした滑らかなクリーム状のチーズが。よく熟成されてトロンとなったカマンベールチーズに似た傾向の香りがぷわんと漂って、クセが全然ないともいえないけれど案外と軽く、でも「チーズ喰ってるぞー」という満足感もしっかりと。
「たべる?たべてみる?……ムリにとは言わないけど……高いチーズだし……」
チーズだチーズだ、と、チェダーからモリモリ食べはじめていた息子にスプーンを差し出してみると、子犬のように匂いを嗅いだあと、一口でベロンと舐めてしまった。
「うん、これ、おいしいじゃ〜ん。これもね、いいと思うよ」
などと超生意気な事を言っている。いいでしょ、いいと思うでしょー。次回はワインでも開けて温野菜にかけたりクルミのパンにつけたりして食べるのよ。