食欲魔人日記 04年11月 第1週
11月1日 月曜日
豚味噌鍋、翌朝。
味噌おじや
麦茶

今日は幼稚園都合で幼稚園休園。そして息子の進学予定の小学校の入学前健康診断が重なっている。健康診断は午後からだし、弁当作らなくて良いのは嬉しいわ〜……と、だんなが6時半過ぎに出勤(激ジョブのあおりで……)していったのを良いことに、朝寝を盛大にむさぼってしまった。私が起きたのは9時過ぎ、息子が起きたのはなんと11時過ぎ。息子も良く寝たけど、私も良く寝た。

朝御飯は、昨夜の「豚味噌鍋」の残りのスープを使っての味噌おじや。土鍋に少量残った味噌味のスープを煮立て、そこに御飯を適当に入れておじやにする。我が家では追加の具などはあんまり入れず、ただただ味噌味の御飯を楽しむのが通常。刻んだ万能葱と七味唐辛子と共に、今日は温泉卵を割り落としてみた。

卵をぐずぐず崩して、茶褐色に染まった御飯を息子と2人ハフハフ言いながら食べる。時々肉や白菜やうどんの小さなかけらが混ざっているのが嬉しかったりして、私は2膳、息子も2膳ぺろりと食べた。豚味噌鍋の翌朝は、やっぱりこれなのよねぇ。

さんまの塩焼き
餃子(「暖家」の豚焼き餃子・「餃子屋台」の海老焼き餃子)
鶏肉とごぼうと舞茸の吸い物
羽釜御飯
自家製いくら
ホッピー
麦茶

午後は2時間ちょっと、息子の通う小学校に。子供たちは子供たちだけで検査会場に連れて行かれ、保護者はその間、体育館で「子育てセミナー」とかいう名の講演会を聞かされる羽目に。どうせろくな内容じゃないんだろうなぁ……と思ったら、案の定ろくでもない内容で、
「はい、お母さんがた緊張しないでくださいね。緊張の季節は終わりましたしね、金鳥の夏ってね、ははは……」
と早々にかまされた駄洒落で席を立って帰りたくなる。

内容は「子供は誉めて自信をつけさせましょう」とか「外の遊びも大事です」とか「学年掛ける10分くらいの家での勉強が日々必要です」とか、特に目新しくもない内容ばかりがだらだらと続き、その合間合間に
「誤解なさらないでくださいね、ここは五階じゃなくて体育館ですしね」
「自信が大切……新潟で起こった地震のことじゃないですよー……」
などと恐ろしくくらだない冗談が飛ぶ。自分の注意力の2割も使えば充分すぎるくらい理解できる話だったので、残りの8割でずっと持参した漫画を読んでいた。持っていった漫画5冊を読み終える頃に、息子が帰ってきた。

さて、夕御飯は組み合わせが悪いなぁと思いつつも、さんまと餃子。さんまは昨日お義母さんが持ってきてくれたもので、餃子は冷凍の「これを食べなきゃもう他に何も入らない」というほどに切羽詰まった状況で詰め込まれていたもの。どちらも今日明日中に食べなきゃいけなさそうなものだったので、どちらも出してしまうことにした。吸い物は、久しぶりに鶏肉とごぼうと舞茸のものを用意。

鶏肉とごぼうと舞茸を使った吸い物は、秋田出身の母がよく作ってくれたもの。どの具も「きりたんぽ鍋」に使われるものばかりで、薄口醤油と塩でシンプルに味をつけたお吸い物。正月にはこれに餅を入れて雑煮にしたりもする、秋田の親戚の家に行ったりしてもしょっちゅう食卓に出てくる吸い物だった。

「お、この吸い物ひさしぶりー」
今日は根性で帰ってきただんなは、久しぶりに作ったこの吸い物に感想を漏らして、その後ちゃかちゃかと餃子を焼いてくれた。食卓につく直前に焼いた海老餃子は私が焼いたのだけれど、なにしろしばらく「餃子焼き道」から遠ざかっていたのでスキレットにくっついちゃったりして微妙にうまくいかない。
「すんません、次からお願いします……」
と、だんなにスキレットを渡し、その後2回ばかり豚肉の餃子を焼いていただいた。

脂ノリノリジュクジュクのさんまと餃子の組み合わせはちょっと妙な感じだったけれど、どちらもホッピーや白い御飯にすこぶる似合う美味でちょっと幸せ。息子は今日もおそろしい量の餃子を平らげていた。

11月2日 火曜日
豪華なさぬきうどんセット。まんぷく〜。
トースト with ピーナッツバター
牛乳

だんなは朝ジム。息子の弁当の下ごしらえはほとんど終わってるし、ちょっとのんびり寝ていよう……と思っていたら、のんびり寝過ぎた。慌てて起きて弁当を作ってリュックサックに詰め、水筒を用意。なんでも今日は、幼稚園でピーナッツを取りに行くそうで。

「……だよね?ピーナッツ掘りに行くんだっけ?」
「ちがうよ」
「……違った?」
「ピーナッツじゃなくて、らっかせい。でー、ほるんじゃなくて、はたけに行くの」
「あー……"ピーナッツ掘り"じゃなくて"落花生畑"ね」
「そう!」
「そっかー」
数日前に「らっかせい、ほりに行くんだよ」とか言っていたから、落花生って地中に埋まってるんだっけ?……と思っていたのだけれど、今日の息子は「はたけに行くの」と言っていた。豆みたいなものだから枝豆みたいに地上になるものだとばかり私は思っていたのだけれど、どうやら落花生って地中にできるものみたいで(知らなかった……)。

落花生とピーナッツは違うものだと言い張る息子に「同じものだよ」と教えつつ、ピーナッツバターを塗ったトーストを食す。美味しくて調子に乗って食べていたら、金谷ホテルピーナッツバターがすっかり残り少なになってしまった。そろそろ別の種類のを探してくるかなー。

千葉 「こんぴら丸」にて
 四色生じょうゆうどん ミニ丼セット 990円

今日はKさんに誘われて、Kさんのご近所さんのナリス化粧品の販売員さん宅の「無料ホームエステ体験」なるものに行ってみる。以前何度かKさんの日記にもその体験が記されていて、「おお、気持ちよさそうだなぁ……」と思っていたのだった。最近はろくなスキンケアもやっていなかったわ……と自らを振り返りつつ、迎えに来てくれたKさんの車に乗ってお出かけ。ちらりと寄ったKさん宅で、「生こたつ」(18歳になる、おばあちゃん猫)と初対面。ハスキーな声で「ニィヤーオ」と鳴いて、嫌がらずになでさせてくれた(おお、生毛皮……うっとり……)。しっぽが綺麗なシマシマで、オレンジ色っぽい茶色の毛色が鮮やかな猫さんだった。「生こたつー!」とデジカメで激写させていただいた後、いよいよエステ。

ごくごく普通のお宅の、食堂のテーブルや洗面台で洗顔したり化粧水はたいたり、超音波発生マシーンみたいなもので顔をぐにぐにマッサージ(?)してみたり。Kさんも脇で一緒に同じことをしながら、あれこれおしゃべりしつつ2時間くらい。夏にUV対策はしないわ、電車に乗るほどの外出をしない日はすっぴんで過ごすわ、「肌丈夫だし」と体洗いタオルで顔をガシュガシュ洗っちゃうわで、「それはダメです!」みたいな事ばかりをやってきたものだから、教わる事が多い多い。会社勤めをしていた頃には、女性向け雑誌のコスメ特集を真剣に見て、新発売の美容液目当てにデパートに行ったりもしていたのだけれど、最近はそういう方向の情熱はかなり失せている(だからと言って体洗いタオルで顔を洗うまでにならなくても……とも思う)。

で、ここ数年の無精を反省しつつ、しっかりあれこれやってもらい、メイクまでしてもらった後は僅かに顔の輪郭も変わり、眉もすっかり整っちゃった自分がいた。うーん、もう若いとは言えない年齢だし、ちゃんとケアしていかなきゃなぁ……。でも、今はちょーっとお金ないから、今化粧品をがっちょり買い込むことはできないんだなー……。

普段着なのに、アイシャドーにアイラインにマスカラつきのばっちり「セレブ顔」(どんなだ)になった私とKさん、
「お昼、どこかで食べましょー」
「そうしましょー」
「まだ行ったことないんだけど、気になってた讃岐うどんのお店があってね……」
「んじゃそこ行きましょー!」
と、セレブ顔のままうどん屋にゴー。「こんぴら丸」というお店、入り口は狭そうに見えたけれど小上がりあり、大テーブルありでなかなか大きなお店だった。メニューも豊富で夜は「うどんも食べられる居酒屋」という感じになるみたい。讃岐うどんのお店ということだけれど、メニューには初めて見る怪しい品名も多く並んでいた。

みそバターコーンうどん。
こんぶだしスペシャルうどん。
イタリアンサラダうどん。
レットドラゴンサラダうどん。
「あはは、冗談みたいなうどんが山盛り……ごく普通のうどんはないのかな?」
と見ると、シンプルな生しょうゆうどんも、おろし、なめこ、キムチ、なんてトッピングのあるものが何種類か載っていた。セットものも豊富。

で、私は「四色生じょうゆうどん」のミニ丼セット。うどんはキムチとなめこと生卵と揚げ玉と大根おろしとトロロがトッピングされているらしい。で、セットになるミニ丼は天丼・穴子天丼・キス天丼・かき揚げ丼などの天ぷらの丼の他に、鯛飯、ミニカレー、焼き鳥丼、うな丼、お茶漬け、稲荷寿司、おにぎり……とあれこれあれこれ選択可能。穴子天丼を選んでみた。

数分待ってどどーんと目の前にやってきたのは、想像以上にボリュームたっぷりないくつものお皿。どんぶりには、うどんが見えないほどにたっぷりとトッピングされた各種の具が盛られ、胡麻や生姜、刻み葱やレモンも小皿に添えられる。天丼もなかなかのボリュームで、御飯茶碗に普通に1杯(いや、もっと多いかも……)の御飯の上には、ドドーンと大きなかぼちゃの天ぷら、ばばーんと迫力の茄子の天ぷら、ボボーンと厚く重量感のある穴子の天ぷら、そしてそっと添えられていたししとうの天ぷら、という構成。うどん用の生醤油の入った容器と、天丼用の天つゆの入った容器、更に、きんぴらごぼう、キャベツのサラダ、生野菜の酢醤油和え(という風なサラダ)の小皿も3つついてきた。990円という値段はちょっとお高い?という思いがあったけれど、出てきたものを見て「どっひゃー」という感じ。
セレブ顔の2人で
「すっごーい」
「すごいよねぇ……」
と感嘆のため息ついて、いざいざと箸を手に取った。

うどんはシコシコキュッキュと歯ごたえ良く、ピカッと光る切り口四角のうどんは確かに「さぬきうどん」という感じ。で、かなり太い。2〜3本も口に含めばそれで口一杯になってしまいそうな、ごっつい太いうどんだった。このごっつくぶっというどんには案外とネバネバしているものが似合うようで、トロロやなめこや生卵のネバネバツルツルした食感がすごく気持ち良い。見た目は悪いけれど、キムチも大根おろしも全部渾然一体にかき混ぜてからうどんと絡めて啜ると、揚げ玉のカリカリした歯ごたえも感じられてとても美味しかった。……でも、キムチはちょっといらないかな、と思う……(だってキムチが入ると全体的にキムチ風味になっちゃう……)。「四色生じょうゆうどん」自体はすごーく好みな味だったので、今度は「キムチ抜きで」と言ってみることにしようかしら。

野菜の天ぷらの存在がさりげなく嬉しかった天丼も、天つゆシャバシャバかけてしっかりいただいた。小鉢の中身も全部食べきり、
「はぁー……すっごい満腹……」
と向かいを見れば、Kさん、私より早く食べ終わってるし!!(私、女の中では相当早食い・大食いの自覚があるのに!)

「Kさん……早い……つーか、全部食べたの?すっごい……」
「えー、これくらいならね、楽勝よん♪これの倍でも……」
「倍でも!?」
Kさんの見事な喰いっぷりに、今日から「食欲魔人日記」という大層な名前を「食欲人日記」くらいに変更すべきかしら、と思っちゃったのだった。化粧だけセレブな私たち、2人とも大食い……。

適当ミートソースのスパゲティ
鶏肉とごぼうと舞茸の吸い物
サンペレグリノ

先日から冷凍庫には蔘鶏湯(サムゲタン/韓国の丸鶏煮込み料理)が2個も保存されていて、いかんともしがたい状況だったので
「今日、家で夕飯食べられるなら、蔘鶏湯と、あとビビンバでも作るけどー?」
とだんなにメールしてみる。速攻で「ダメぽ」と返事があった。……ちぇ。

ボリュームたっぷり昼御飯が案外と尾を引いていて、夕方になっても午後7時を過ぎてもいまいちお腹が空いてこない。でも息子には何か食べさせてやらにゃならないし……と色々考えつつ、「とりあえず、冷蔵庫の奥にある牛挽き肉を食べちゃわなきゃな」と台所に立つ。昨日の吸い物があるからなるべく和風の料理にしたかったけれど、野菜庫に1個だけ残っていたトマトと、少量残っていたバジル入りのトマトベースのパスタソースと目があってしまったため、ミートソースになってしまった。ミートソースと舞茸入りの吸い物だなんて激しく似合わないけれど、とりあえず気にしない方向で。

息子が
「おなかすいたなー……」
と壮絶な顔をして訴えてきたので、急いで作った適当ミートソース。
鍋にオリーブ油を少量熱して薄切りにんにくを炒め、そこに牛ひき肉を加えてせっせせっせと炒めたら赤ワインを大さじ2くらい投入。終始強火で赤ワインと煮飛ばしたら、ナイフでざくざく切ったトマトと、トマトソースを加える。あとは塩胡椒で調味して、トマトの形がなくなるくらいにガーッと煮詰めればできあがり。最後に粉チーズをバサバサッとソースに加えておいた。茹であがったスパゲティをそのミートソースの鍋に入れ、ざっと全体を混ぜてから盛りつけてできあがり。ソースにもチーズを入れたけど、更に上からサラサラとかけて。

ジャンルめためたな、しかも適当に作った夕御飯だったけれど、息子には好評だった。
「おいしい!おいしいけど!あつい!」
と叫んだ後、「でもぜんぶ食べられるよー」と呟いて、私より盛りを良くしたパスタを本当に食べきってしまったのだった。私はちょっと控えめに。

11月3日 水曜日
小さな町の、絶品インドカレー屋さん
検見川 「sitar」にて
 タンドリーランチセット 1180円
 マンゴーラッシー

今日は祝日。高校時代の友人Sちゃんが、久しぶりに我が家に遊びにやってくる。どこかでお昼御飯を食べようか、どうしようか〜……と、ずっと気になっていたインドカレーのお店に皆で一緒に行くことになった。そのお店はsitar(シタール)、京成線の検見川駅から歩いて数分のところにあるらしい。

休日とあって、初めて行くそのお店が営業しているかどうか不安だったので、数日前に電話してみた。
「はいはい、休日もいつも通り営業ですよ。11時半からね。……でも、今日も11時45分には満席になっちゃったから、もしお休みの日にいらっしゃるならちょっと早めに来た方が良いかもしれませんよ。満席になってしまうと何十分もお待たせしてしまうかもしれないから……」
とのこと。一応余裕をもって、開店15分前に店に到着するようにSちゃんと待ち合わせた。

テーブル席6つくらい、あとはカウンター席だけの、こぢんまりとしたお店だった。お店の感じが、我が家近くのカレー屋さん「Shiba」とちょっと似ている。通りに面した窓の近くにタンドール釜があるようで、丸めた生地や串に刺した肉、大きな大きなカレー鍋がその窓からよく見えていた。広くはないカウンターの中で、何人ものお兄ちゃんおっちゃんたちがきびきびと働いている。

一品料理の品数も豊富だったけれど、とりあえず初めてということで1180円の「タンドーリランチセット」を大人3人全員で頼んでみる。アチャールサラダ(ピクルスみたいなの)、パパド(揚げせんべいみたいなの)、タンドーリローストチキン、タンドーリチキンティッカ(ハーブやナッツを揉みこんだタンドーリチキン)、ハーフサイズのナンとライス、4種から1種を選択するカレー、デザートのマンゴームース、それがセットで1180円というのはなかなか嬉しいお値段だ。それでも充分お腹いっぱいになりそうだったけれど、メニューに載っていて気になっていた「ガーリックナン」も1枚注文してみる。

選択できるカレーは、辛さ★3つのチキン、マトン、辛さ★1つのバターチキン、ベジタブルというもの。
「やっぱり★3つはちょっと怖いかなぁ……」
「バターチキンかな」
「Sちゃんもバターチキンだよね?うーん、全員でバターチキンというのも芸がない……」
あれこれ話し合い、結果、私は試しに★3つのチキンを注文してみることに。すんごく喉が乾いてもなんとかなるように、甘い飲み物「マンゴーラッシー」も注文してしまう。

店の感じや、続々とやってくるお客さんの顔などを見ても「ここは美味しそう!」な感じがしていたのだけれど、出てきたものは、そりゃもうステキに美味しいものだった。何を食べても美味しい。焼きたてのナンとタンドリーチキンが最高だった。もちろんカレーも。

丸いアルミの大きな皿には、ババーンとたっぷり巨大な(これでハーフサイズ……)の香ばしいナン。その上にはごろりごろりと2〜3個の肉塊(タンドーリチキンとかチキンティッカとか)が乗り、ナンの下にはこんもりとインディカ米。深皿にこれまた肉たっぷりのカレーが盛られ、そしてレタスの上にアチャール(玉ねぎなどの酢漬け)が。

★3つのチキンカレーは、確かに辛かったけれど辛さよりも「旨さ」が勝つようなこっくりした風味。たっぷりの唐辛子とたっぷりのクローブ、そしてココナッツの香りもぷんぷん漂ってくる。だんなとSちゃんが注文したバターチキンも味見させてもらったけれど、こちらはとてもマイルドな優しい味で、これまた美味しかった。もちもちふかふかのナンも、すんばらしい。中央にドカンと置かれた皿には大きなナンが置かれ、その上には刻んだにんにくがこれでもかと散らされている。焼きたてのナンは、それだけで他に何も口にしたくないほど、止まらなくなる味だった。

デザートのマンゴーゼリー(マンゴーのジュースをそのまま固めたような濃厚なゼリーの中に、シロップ漬け果肉も入っている)を平らげる頃には、全員すっかり満腹に。Sちゃんは巨大な肉塊を全て食べることはできなくて、タンドーリチキンを1個お土産に包んでもらっていた。

「ISO」のいちごとピスタチオのマドレーヌ
自家製マロンパフェ
中国茶色々

午後は我が家でだらだらだら。ベランダに植えている花の話などしながら種苗店の通販カタログなどめくって「このバラが〜」なんて話をしていたら、だんなが
「奥ちゃんたち、中国茶飲みますか?」
と美味しいお茶をせっせと淹れてくれた。我が家ではなんとなく、「夫の友人は妻がもてなし、妻の友人は夫がもてなす」という風になっていて、私の友人が来ると、だんながいつもエスプレッソ淹れたりお茶淹れたりスパゲティ作ったりしてくれる。ありがたいことだ。「えー、友達来るの?じゃあ俺は家を空けてるよ」ということはしたことがない(ていうか、だんなはお客さん大好きなのね、基本的に)。ありがたいことだー。

で、そんな中国茶を飲みながら、Sちゃんがお土産に持ってきてくれた「ISO」の焼き菓子ももりもり。しかもその後には、皆でパフェ作って食べたりして、なんだか「ずっと食べっぱなし」という感のあるSちゃんとの午後だった。ISOのお菓子は、上品だけれどどこか懐かしさもあるような味で、甘さも適度にしっかりとしていて美味しい。

今日の自家製パフェは、「マロンパフェ」。イタリア産の栗ペーストが手元にあるのだけれど、どうやって食べれば良いかいまいちわからずに使えずにいたので、今日は思い立ってホイップした生クリームと混ぜてみる。絞り袋に作ったマロンクリームを入れ、普通のホイップクリーム入りの絞り袋をもう1つ作り、丸のままの栗の甘露煮、細かく砕いた栗の甘露煮、モンブラン味のポッキー状のお菓子、チョコシロップ、そしてバニラやクッキー&クリーム、カスタードプディングなどの各種ハーゲンダッツアイスやコーンフレーク、シロップ漬けさくらんぼなども用意する。テーブルにずらーりとそれを並べ、全員で好き勝手にアイスや栗やクリームを盛りつけてパフェを作り上げ、一緒に食べた。息子はパフェグラスのてっぺんから放射状に5本くらいのポッキーをはやした物体Xを作り、それを平らげて「おかわり」までしていた。

お刺身(イシダイ・チダイ・まぐろ)
蔘鶏湯
しじみの味噌汁
羽釜御飯
ビール(モルツ)・ほうじ茶

先日、通信販売で酒粕を何種類か購入した。
「粕漬け、作ってみる?」
「いい粕使って、いい魚使ったらさー、"魚久"くらいの味は出せるはずだって。ねぇ」
と、注文してみたのがクック&ダイン鮮魚御用聞きセット。「粕漬けにして美味しいものを、送料込みで5000円で」とお願いしてみたところ、スズキが1尾にイシダイ1尾、チダイ(メダイとも言うらしい)3尾やってきた。どれもツヤツヤピカピカのとれたての魚という風でいかにも美味しそう。私がSちゃんと話している午後の間に、ウロコ取りと内臓取りをだんなが済ませておいてくれた。

夕方から、だんなと私の2人でせっせと粕漬け作り。酒粕に酒と砂糖と塩を入れ、そこにガーゼでくるんだ魚の切り身を次々に漬けていく。酒粕が2種類あるので、チダイもスズキも半分くらいずつそれぞれ漬け込んでみた。チダイの1尾とイシダイは、今日の夕飯にお刺身にして食べることにして、近所のお魚屋さんでマグロのサクも買ってきた。

タイは固いところが多く、全体的にトゲトゲした部分が手に刺さる魚で、だんなも私も手のあちこちが傷になった。私は頭を割ろうとして太い骨を思い切り中指に刺してしまい(魚を手から外したら鮮血がピャーッと出ていて、だんなと2人「どっしぇー」とのけぞった)、だんなは腹を裂こうとして包丁を指に軽く滑らせてしまったり。指に絆創膏をお互い巻きながらの夕飯になってしまった。魚をさばくのは難しい……。

苦労のかいあってか、魚はすごく美味しくて、コリコリプリプリした強い歯ごたえのイシダイも、イシダイよりもふわっと柔らかいチダイも、どちらもいかにも新鮮なキュッキュとした歯触りで幸せ。刺身には激しく似合わないなと思いながらも、つい卓上に出してしまったのは蔘鶏湯。これいじょう冷凍庫をこれに占拠されてもなぁ……と我慢できずに出してしまったのだけれど、なんでも定価3,800円/個だったそれを、2個4000円ちょっとでオークション落札してしまったのだとか。ナツメの匂いがぷんぷん漂うふかふかに煮えた鶏のお腹には御飯と一緒に朝鮮人参や生姜、なつめ、銀杏などがざくざく入っていた。馴染みの薄い味なのに、どこか懐かしさも感じる丸鶏の煮込み料理。さすがにたっぷりの刺身や炊きたて御飯と一緒に食べるには量が多すぎたので、明日の朝に続きを食べる予定〜(しかも冷凍庫にはこれがまだもう1羽……)。

11月4日 木曜日
青菜たっぷり牡蠣たっぷりの、イクラトッピングスパ。
2日目の蔘鶏湯
麦茶

昨日温めた食べた「キムチでやせる」の蔘鶏湯。1回じゃとても食べきれなくて、今朝、再度温めていただいた。骨付きの丸鶏のお腹の中には御飯がみっちり詰まっていて、その奥の奥にはにんにくや銀杏、朝鮮人参、なつめもギュッギュと押し込まれている。御飯がたっぷりどんぶり1杯以上は入っていたので、昨夜酒を飲みつつ刺身を食べつつでは、なかなか食べ尽くすことができなかったのだった。

「銀杏、はっけーん」
「肉……骨ついたまま取り分けちゃえ」
と、「残骸」という表現が似つかわしくなりつつあった鶏の煮込みを適当に各自の皿に取り分け、骨だけ残して平らげる。ほんのり白濁したスープが水炊きのスープのようで、コラーゲンたっぷり旨味たっぷりという感じ。なつめの独特な香りが鼻の奥に残るけれど、自然な味の美味しい煮込み料理だった。これがまだ丸1個冷凍庫に入っているので、冷凍庫臭くなってしまわないうちに温めて食べないと……。

「蔘鶏湯」(サムゲタン)なる食べ物は、これまでも知識としては知っていたのだけれど、一度韓国土産のレトルトパック入りのを食べたことがあるだけだった。蔘鶏湯らしい蔘鶏湯を口にしたのは、だからこれが最初になるのだけれど、鶏好きなつめ好きの私にはとても「うまー」なものだった。新宿(というか大久保?)あたりに蔘鶏湯の専門店があるらしいと以前聞いたことがあるけれど、いつか行ってみたいなぁ。

おばあちゃんのお赤飯
みぶ菜のおひたし
麦茶

今日は真面目にお仕事お仕事。せっせとお仕事だけを……のつもりが、休憩のつもりで作り始めたDVDラベル作りにハマる。録画したアメリカンプロレスのPPV番組などをDVDに焼き付けているのだけれど、そのラベルにとロゴ入れて画像入れてとエキサイト。自分一人で楽しむにはもったいないほどの美しいラベルができあがった。今、スカパーで「MONSTER」の放映も始まったので、MONSTER用のDVDメニュー画面とかラベルもデザインして遊んでみたりしているうちに、あっというまに昼御飯時に。

「仕事……全然進まなかったじゃん……」
と反省しながら、おばあちゃん(だんなのお母さんのお母さん。息子にとってはひいおばあちゃん)お手製のお赤飯をいただく。何日か前にお義母さんとお義父さんが2人でおばあちゃん家に行って来たそうで、「由紀さんが好きなお赤飯、いただいてきたわー」と帰り道に我が家に寄って届けてくれたのだった。そういえば、おばあちゃんの誕生日がこの時期だった……。

おばあちゃんは唯一の曾孫である我が息子の成長をそれはそれは楽しみにしていて、うかがえば大御馳走を用意して歓待してくれるのだけれど、片道2時間近くかかるということもあって(そして一度行けば「2時間でおいとま」なんてのは絶対無理で一日仕事になっちゃうわけで)なかなか頻繁に顔を見せられない。

ここ数年、小豆を一度軽く甘さをつけて煮てから餅米と蒸していたおばあちゃんのお赤飯は、1年ほど前から、普通の塩味のお赤飯に戻っていた。孫たちが皆集まる正月には、1升くらい炊きあげているらしい。たっぷり作るから……という理由だけじゃなく、おばあちゃんのお赤飯はいつもしみじみ美味しいのだった。
「うー……なかなか行けなくて、ごめんなさいぃぃぃ」
と思いつつ、お浸し1品用意して、胡麻塩ふったお赤飯をもぐもぐ。

そうそう、お赤飯には、私は「ぜったい黒胡麻。白胡麻じゃなくて」という思いがあるのだけれど、だんなの実家(お義母さん宅とかおばあちゃん宅とか)の人々は、あんまりこだわりがないみたい。卓上に白胡麻を炒ったものがドン!と出て、それとは別にあじしおがドン!と出て、それぞれを好き勝手にかけるようになっていることが多い。黒も白もそんなに味は違わないのだけれど、白胡麻をふったお赤飯はやけに軽やかな印象があって、いつもほんのり不思議に感じてしまうのだった。で、それを不思議に思っているのは私一人のようで、それがまた不思議で……。

牡蠣とみぶ菜のアーリオオーリオスパゲティ
しじみの味噌汁(昨夜の残り)
アイスティー
「アドナイ」のヨーグルト(加糖)

昨日は祝日で息子のジムはお休みだったので、振り替えて今日、ジムに連れて行く。今日も汗みどろで
「おなかすいたー、のどかわいたー」
と出てきた息子と一緒にスーパーでお買い物。「おなかすいたー」な人のために、コージーコーナーで"ポップコージー"なるふわふわカスタードクリーム入り筒状ケーキを買ってやった。……夕御飯は……いくら、食べちゃわなきゃ。

「いくらがありまーす。そろそろ食べきらないとね。いくらの御飯にする?いくらのスパゲティにする?」
息子に聞いたら、即答で
「いくらのスパゲティ!」
と。それならスモークサーモンか、あるいは生鮭か、適当なお魚みていこう……と売り場を歩き始めて
「そういえば!冷蔵庫の奥にむき牡蠣のパック突っ込んだままじゃん!」
とヤバイ事を思い出した。確か、日曜日にお義母さんがお裾分けしてくれたやつだ。冷蔵庫の肉コーナーの奥の方だから、多分カッチンカッチンに固まってるんだろうけど、でもヤバイ。とにかくそれを調理しよう、と、何も買わずに帰ってきた。

いくらのスパゲティと、牡蠣のベーコン巻きソテーにでもしようかなと思ったけれど、牡蠣味のスパゲティが恋しくなっていたので、いくらとは似合わないかなと思いつつも牡蠣がメインのスパゲティに。よく洗って水気を拭いた牡蠣に塩胡椒して小麦粉を軽くはたいてオリーブ油でソテー。適当に焼けたら別の皿に避けておく。同じ鍋にもう一度オリーブ油を敷いて、今度は薄切りにんにくと赤唐辛子をじくじく焼いていく。スパゲティの鍋には、スパゲティが茹であがる直前に、みぶ菜をパッと入れて軽く火を通し、スパゲティもろともにんにくオイルの鍋に投入して全体を炒め合わせる。牡蠣もここに加えてざっと混ぜ、あとは盛りつけるだけ。
「好きなだけいくら、かけていいよー」
と、息子と一緒に上からいくらをトッピングした。にんにくといくらという組み合わせは、いまいち合わない気もするけれど……。

一口食べて、顔をクシャクシャにした息子。
「おかーさーん……これ、このスパゲティ、からいよー」
私も一口食べてみると、確かに辛い。「キャー、パスタが茹であがっちゃった」「飲み物の準備もまだしてないし!」とバタバタやっている間に、ちょーっとにんにくが焦げ気味になっちゃったかなという風ではあったのだけれど、その過程で唐辛子の辛味成分がこれでもかと浸出してしまったものらしい。いつもより唐辛子を多く入れたり、細かく刻んだりということはなかったのだけれど、しっかりと辛さを感じるスパゲティになってしまっていた。

「うーわ、確かにこりゃ辛いね。私は、まぁ普通に食べられるけど……君はちょっと辛いよね」
「からいよ……からいよ……」
昨日食べたカレーよりはずっと辛くないスパゲティだったけれど、でも息子には不評だった。
「いくらはからくない……おいしい……スパゲティは好きだけど、これはフツー……」
スパゲティの料理は大抵なんでも「好き!」という息子が、今日のこの料理に対しては「フツー」なのだそうで。小ぶりだけれどブリブリプリプリした牡蠣も、たっぷり入れたシャキシャキ野菜もそれなりに美味しかったし、案外とこのアーリオオーリオの味にいくらも似合っていたりしたのだけれど、息子の中では「からいいくらのスパゲティ」という料理名で固まっちゃったらしかった。唐辛子を使うときは、ちゃんと味を確認しながら使うようにしましょう(教訓)。

11月5日 金曜日
初めての「自家製粕漬け」。上出来?
メロンパン
カフェオレ

数日前、我が家近所のスーパーの入り口に、見慣れぬワゴン車が止まっていた。ワゴンには「焼きたてメロンパン」の文字。売られている商品はただただメロンパンのみで、1個150円。

「……前に、テレビか何かで"大人気!ワゴンのお店の焼きたてメロンパン屋さん!"なんてのをやってなかったっけ……?」
なんて思いながら、でも全然お客がいなかったそのお店から試しにメロンパンを3つ買ってきてみた。「大人気!」と騒がれていたのはどうやらこのお店らしいけど、私が見たのはこういうワゴン車じゃないしこういうメロンパンじゃなかったなぁ……。多分、別物。

だんなと私の共通の見解が、
「メロン味のメロンパンはメロンパンじゃない」
というもの。"メロンパン"の名の由来は、ドーム型の生地の表面に張ったビスケット状の生地が、焼きの工程でひび割れてマスクメロンの皮のようになるから……というものだったと記憶している。表面がごわっと固く甘い、しっとりしているような乾いているようなモハモハした食感のパンであるのが本来のもので、中にカスタードクリーム詰めちゃったり(これは私の中ではギリギリOK)、ましてやメロンの果肉やメロンクリーム詰めちゃったり全体を緑色に染めちゃっていたりするのは「これはメロンパンじゃなーい!」ということになるのだった。

その点、今日食べたこのメロンパンは正真正銘のメロンパン。ざらめがふりかけられているような、ジャリッとした砂糖の食感が感じられる、いーい感じにモハモハした食感のメロンパンだった。しかもでかいし。

冷凍餃子を焼いて
冷凍御飯をチンして
麦茶

今日は午前中、真面目にお仕事お仕事。急ぎのものがあれこれあって、今日はテレビや漫画やその他諸々に心奪われることなくがんばった。がんばって、いつのまにかお昼御飯時。
「はぁ……うなぎ、食べたい……」
唐突にそんな欲望が沸き上がってきて、近所に食べに行くか買いに行くか、本気で考える。……けど、止めておいた。

「うなぎ、うなぎ」
と鰻への欲望を抱え込みつつ、かといって我が家に鰻が常備されているわけでもなく、冷凍庫から冷凍餃子を10個ばかり取り出してテフロンフライパンで焼く。ついでに冷凍御飯も1包み取り出して、チン。海老餃子にはマヨネーズも似合うそうなので(と、説明ペーパーに書いてあった)、酢醤油の小皿の他にマヨネーズ皿も用意してみる。冷凍ものばかりだけれどアツアツのおかずとアツアツの御飯が用意できて、それなりに癒された。多分、鰻を食べただろう場合の7割くらいは癒された。

息子の戦利品落花生
自家製粕漬け(スズキ・マダイ・チダイ)
ハムカツ・鶏の唐揚げ
サンドイッチ(ハム&ポテトサラダ)
みぶ菜と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
ホッピー

今日は息子の音楽教室の日。帰りに用事があって三越デパートに寄ったついでにデパ地下をぷらぷら。久しぶりにJohanのパンを買い、
「……夕飯、何か買って行こうか……もう6時だし……」
と、割引価格になりつつある総菜コーナーや鮮魚コーナーをじっくり眺め歩き、2パックで350円だった揚げ物屋さんでハムカツのパックと鶏から揚げのパック、そしてJohanの総菜コーナーで1パック200円になっていたサンドイッチを2つ買ってきた。きっとだんな、今日も遅いだろうなぁ……ということで、簡単にサンドイッチ&揚げ物の夕飯にしようかと。

んが、帰宅してみると、「今日は帰れそう」のメールが届いている。携帯電話にも同じ内容でちゃんと4時過ぎに連絡が入っている。あらまぁ、全然気がつかなかったわぁ〜、と、慌ててホッピーとホッピーグラスを冷凍庫に突っ込み、御飯を炊く用意と味噌汁の準備。「粕漬け食べよう」とメールに書かれていたので、一昨日漬け込んだ魚をどれどれと出してみた。

新鮮な魚と美味しい酒粕を使えば、魚久の粕漬けも超えられるはず!という目論見で、作ってみた、初自家製粕漬け。魚はクック&ダイン鮮魚御用聞きセットで「粕漬けにして美味しい魚を詰めてちょーだい」とお願いし、酒粕はシマヤ酒店(地酒の品揃えがすんばらしい、我が家から5kmばかり離れたところにある酒屋さん)から「菊姫 大吟醸酒粕」と「夏季限定 八海山 純米吟醸ねり粕」を買ってみた。

「これで美味しくならなきゃ嘘だよねぇ……」
と、せっせと魚をさばき、酒粕には塩入れたり酒入れたり砂糖入れたりして床の準備。切り身にした魚をガーゼできっちりくるんで2つのタッパーに分けて並べ、2種類の酒粕をかけて漬け込んでみていた。今日さっそく、スズキとマダイとチダイをそれぞれ掘り出して焼いてみる。

魚の粕漬けは、とにかく焦げやすい。焦げるのか先か、中までちゃんと焼けるのが先かという感じで、まめにグリルの中での魚の位置を変えつつ全体を焦げすぎない程度に香ばしく焼き上げる。
「焼ける、焼けるよー……ホッピー、準備してくれる?」
と帰宅直後のだんなにもお手伝いいただき、焼きたてほやほやの粕漬けを食卓に並べた。旨そうに焼けたぞー。

「菊姫 大吟醸酒粕」は、もう何度もこのお店で買ったことがある、我が家の豚味噌鍋の練り味噌を作るにあたって欠かせない酒粕。ふわっとやわらかくムースのような状態で、なんとも上品な味のする(でも濃厚な)酒粕だ。酒を加えたらかなり汁っぽい状態になったのだけれど、漬け込んだ魚は水っぽくなったわけでもなく、適度に酒粕の香りが染みていた。砂糖はあまり入れていないのにほんわか甘い、上品な風味。

「八海山 純米吟醸ねり粕」は、かなりコッテリと濃厚な水気の少ないもので、塩さえ加えれば漬床ができるということだ。袋もジッパーがついていて、いかにも「この中に野菜や魚を突っ込んでください」という感じ。酒粕の濃厚さがそのまま魚に染みていて、スズキはいーい具合に酒粕臭くなっていた。美味しいなぁ。

「うん、おいしいおいしい」
「とても美味しい」
だんなと2人、大皿に盛りつけた各種酒粕にせっせと箸を伸ばしつつ、
「でも……やっぱり魚久って美味しいんだね」
「だね」
という言葉も漏れる。自家製粕漬けはそれはそれは美味しかったけれど、あの脂の乗ったジュワジュワ感とか、えもいえぬ甘さと酒臭さのバランスなんかはまだ一歩も二歩も魚久のそれに及ばない。何が違うんかなー、やっぱ魚かなー、いやでもあの漬床ってけっこう甘いよね、とかそんな事を話して次回に備えつつ、そして茹でた落花生をぽりぽりぽり。

先日幼稚園イベントで「落花生掘り」に行ってきた息子は、今日になって戦利品が山分けになったらしく、小さなビニールにいっぱいの泥つき落花生を持ち帰ってきた。
「ゆでるかね、やくかね、あと、"みそピーナッツ"もおいしいなんだって」
と教えてくれた息子に
「み、味噌ピーナッツ?……うん、なんとなくわかるけど……」
と、とりあえずシンプルに茹でてみる。大きさはまちまちだし形も不揃いな落花生だったけれど、ちゃんと甘くてコリコリしていて美味しかった。落花生は千葉の名産じゃけんねぇ。

11月6日 土曜日
ノドイタだんなに、杏仁豆腐。
「Johan」の
 チキンクリームパン
 チョコブレッド
アイスカフェオレ

午前6時過ぎ、玄関のドアがカチャリと音を立てた。
「おやぁ〜?」
目を覚ますと、隣に寝ているはずのだんながいない。
「浮気か!?浮気なのか!?近所の電話ボックスで逢い引きか!?」
そんな事を思いながらまたうつらうつらの寝てしまい、次に気がついたのは8時。だんなは居間でアメリカンプロレスを見ているようだった。
「なんだ……いるじゃん……」
と、またうつらうつらして、目覚めると9時半。まただんながいない。
「どうなってんだ〜?」
寝ぼけながらトイレに行ったら、その直後だんなが戻ってきた。

数日前から「喉が痛い」と言っていただんな。昨日も痛い痛いと風呂にも入らず早めに寝たのだけれど、明け方になって本格的に痛くなってきたらしい。朝の6時に行きつけの内科の先生のところに診察券を置きに行き(なんか、えらい早くから診療受付をしてくれる病院なのだ)、9時過ぎに診療に行ってきたのであるらしかった。診療結果は「扁桃腺炎」。かなり進行していて、喉が白く膿んでしまっていたそうだ。
「高熱が出てもおかしくない状態だって言われたよ。でね、運動と酒は禁止だって……」
こんな顔→(´・ω・`) して帰ってきただんなは、ゆえに今日一日、病人食。いや、今日一日どころか数日は病人食かな。喉に負担のない、滑らかなスープとかゼリー寄せなんかを食べさせなきゃいけないらしい。「絶食」も有効とか。

「……じゃあ、昨日買ってきたジョアンのパンは食べられないね……とりあえず、アドナイのヨーグルトでも食べておく?」
「うん、そうする……」
と、だんなは一人、ほんの数口分のヨーグルト。かわいそうかわいそう……と言いつつ、私と息子はがっちょりとJohanのパンを堪能した。

似た商品はあちこち色々あるけれど、やっぱりチョコブレッドはJohanのが一番好きだ。しっかり甘くしっかりチョコで、でもそんなにくどくないように感じられていくらでも食べられそうな気分になる。息子はクリームコロネとチョコブレッド、私はチキンクリームパンとチョコブレッド。丸く平べったいパン生地の上にグラタンみたいな味のクリームあえチキンがトッピングされたパンで、なんとも上品な味がした。だんなには「角煮パン」というこのうえなく怪しいパン(楕円の固めなパン生地の中央に、角煮とネギらしきものがトッピングされている……)を買ってきたのだけれど、これは明日の私の朝御飯になりそうで。

「はりや」のうどん ひやひや
天ぷら(ちくわ天・さつまいも天)
麦茶

幸い熱はないけれど、「安静」を命じられただんなのために、近所のスーパーにお買い物。コーヒーゼリーとのリクエストがあったので、コーヒーゼリーと、シチューの材料やりんごジュースなんかを買ってきた。うどんだったら少しは食べられるかな、と、私と息子の分の天ぷらも購入。

昼御飯は、そういうわけでうどんを茹で茹で。冷凍の「はりや」うどんをさっと茹でて水にさらしてキーンと冷やし、冷たいだしをかけていただく。だんなは天ぷら抜きの葱抜きの、「すうどん」をほんの碗に1杯。息子はさつまいも天のみトッピング、私はさつまいも天とちくわ天と刻み万能葱をたっぷりとトッピング。

千趣会の冷凍のさぬきうどんの回についてくるだしは、たいてい薄い色合いのいりこ風のかけだし。でも、この「はりや」のうどんについてきたのは濃いめ甘めのつけつゆ。ざるうどんにした方がそれっぽかったかもしれないけれど、どんぶりにうどん入れて、だしをピャーッとかけていただいた。甘いだしに天ぷらがよく似合う。スーパーのなんてことない天ぷら囓りながらチュルチュルうどんを啜っていたら、猛烈に「かしわ天」が恋しくなった。だんなの扁桃腺炎が完治したら、かしわ天作ろうかな。

チキンクリームシチュー
レタスのサラダ
もやしのナムル風
「Johan」の薄切り食パン
麦茶

自家製杏仁豆腐

今日はおとなしくおとなしく、だんなもベッドで寝ていたので私も静かに本を読んだり仕事したり、そして杏仁豆腐を作ったり。夕御飯は、具を小さくしたシチューだったらいけるかしら、と、今シーズン初のクリームシチューを作ることにした。

ルーは手軽に、スーパーで選んで買ってきた「こくまろ」。私が作るものにしてはとても具が細かい、学校給食のシチューみたいなものになった。入れたものは玉ねぎにんじんじゃがいも鶏肉、そしてマッシュルームとしめじとブロッコリーとコンビーフ。コンビーフ入りのクリームシチューは、私の母が何度か作ってくれたものだけれど、美味しくて美味しくて私は大好きだったのに、「これって、鍋が焦げつくのよねー」と5回に1回くらいしかコンビーフ入りは作ってもらえなかった。自分も作るようになってみてわかったけれど、確かにコンビーフ入りのシチューは焦げつく。

御飯を炊いてもだんなは食べられないだろうなぁ……と、添えるのは昨日買ってきた食パンで。久しぶりにレタスが150円という安さで売られていたので、「レタス価格の平常化を祝して〜」と1個買ってきて、それでサラダも。数日前に買ったは良いけど調理していなかったもやしは茹でてから叙々苑ドレッシング(いかにも焼き肉屋さんのサラダドレッシングって味で好きなんだなぁ……)と胡麻油と塩で和えてナムルのように。あれこれ用意したけれど、だんなの前にはシチューの皿だけを出した。分量も少なめにして、「食べられるようならお代わりしてね」と。

相変わらず喉は痛いみたいだけれど、それでもシチューは2杯食べていたし、あろうことかもやしを
「あ、ナムルだ〜♪」
と箸出してきてもりもり大口あけて食べている。もやしの塊なんて、めちゃめちゃ喉に痛そうなのだけれど、ツルツルしているから案外平気なのだそうで。具沢山のシチューはだんなにも息子にも美味しく食べていただけたようで何よりだった。

で、デザートに自家製杏仁豆腐。鎮痛・解熱としての薬効がある漢方としても利用される杏仁を使って、「きっとツルツルした冷たいものなら美味しい……」と、午後に時間をかけて作ってみた。台湾で買ってきた南杏(甘みがある)と北杏(苦さが強いけれど香りが良い)を使い、それを一度軽く炒って香りを出してから水に2時間浸し、牛乳と一緒にミキサーにかけてから布でしっかり絞って漉したものを使う。他に加えるのは砂糖とゼラチンと水でコンデンスミルクと生クリーム。以前買った、聘珍樓のシェフの著作『香港甜品』(謝華顯 柴田書店 2003/05)を参考にして、本来は寒天も加えるところ、手持ちがないのでゼラチンをちょっと多めにしたりして。

アジアンスイーツの本はここ数年にあれこれ沢山発売されているけれど、香港スイーツに限定すれば「糖朝」のオーナーによる本『ミセス・デイジーの香港スイーツ』(洪翠娟 文化出版局 2001/06)と、脇屋友詞氏による『香港のデザート』(脇屋友詞 文化出版局 1997/12)が写真も美しく内容も本格的で充実、素敵な本だと思う。でも、一番「すっごーい」と思ったのが、『香港甜品』。本格的すぎて作れそうにないものもたくさんあったけれど、同じシリーズの麺と御飯の本『香港粉麺飯(ファンミンファン)』と併せて、「大好きなレシピ本」の一角を担っている。そういえば、数ヶ月前におかずの本も出たらしいけど、まだ買ってなかったわ……。

杏仁の薬効も期待しての自家製杏仁豆腐。かなり柔らかめにできたので、ざっくりとスプーンですくって小皿に盛りつけた。水っぽくプルンツルンとしていて、杏仁の香りもたっぷり。牛乳や生クリームもしっかり入っていてミルキーだけれど(本当の昔ながらの杏仁豆腐は、どうやら杏仁だけであの白い色を出すのだそうで、乳製品加えちゃいかんのらしい……)アーモンドエッセンスで風味づけだけしたようなものとは違ってなんとも良い香りのデザートだった。

杏仁豆腐はまだまだバットにみちみちに残ってるし、明日もたっぷり食べて扁桃腺炎撲滅だ。がんばれだんな。

11月7日 日曜日
具合悪い時に限ってこういうものが恋しくなるんだよ……
「Johan」の
 角煮パン
 チョコブレッド
アイスカフェオレ

昨日から(正確にはもう何日か前から)「扁桃腺炎」なるものに苦しめられている夫。昨日もずっと
「いたいーいたいー」
とショボーンな顔でろくにものを食べられずにいた。「おぅおぅ、かわいそうだねぇ」といたわりながらも、しょせん他人事であった私だけれど、今朝起きてみるとどうも具合がよろしくない。鼻水ズルズルで頭が重く体はだるく、しかも喉が痛かった。

「……かぜ?かぜだよねぇ……扁桃腺炎って、伝染しないよねぇ……」
おののきながら、一人だけ猛烈に元気な息子のためにも朝御飯の準備。だんなのために買ってきてあげたは良いけれど、「こんな固いものはもう絶対無理」ということで食べられずにしまわれていた、Johanの角煮パンを数分オーブンで温める。好物のチョコブレッドもざくざく切って皿に盛り、でもだんなはコーヒーゼリーを1個だけ。

温めた角煮パンは、全粒粉を使っているのかポツポツとした茶色い粒が混ざっている固めのもので、切り込みのある中央部分にはコロコロとした角煮と長ねぎとマヨネーズ(!)が詰められている。味はまさに「角煮」そのもので、「なぜジョアンでこんなパンを……?」と、ジョアンのパンのイメージとのギャップにちょっとびっくりしてしまいながら、美味しくいただいた。ジョアンらしく、微妙に上品な味の角煮パンだった。

「CoCo壱番屋」の
 ポークカツカレー ガーリック&コーンつき
麦茶

だんなの喉は、相変わらず真っ白けっけ(膿みが出て、その色になるらしい……グロイ……)。しかもところどころ黒かったりして、もうなんだか大変な様子で、私はしょっちゅう懐中電灯をだんなの口に突っ込んでは
「まぁーすごいー。ひゃーすごいー」
とうきうきと観察しているのだった(←悪趣味)。

が、昼過ぎてだんだんそんな元気もなくなってきた私。喉はますます痛くなるし、何だか寒気もしてくるし、非常にヤバい状況になってきた。扁桃腺炎の原因となった何物かが私の方にもやってきたのかしらん。喉もさることながら、鼻水が止まらなくてそれがつらい。

つらいのに、なぜかこういうときに限ってカツカレーなどというものが恋しくなるもので、お昼御飯はCoCo壱番屋の宅配を頼むことに。近所のお店に電話をかけて、
「お名前お願いしまーす」
の声に
「○○です」
と名乗った直後に
「×町××−×の○○さまですか?」
とすぐに返ってきて、ちょっとびっくり。多分、発信者番号がわかる電話機で電話番号を確認して名前と照らし合わせたのだろうけど、名前だけ伝えて住所を即答されると、びっくりするなぁ。

で、喉の痛さでちょとゲレゲレした声で
「ポークカツカレーひとつ。辛さと盛りは普通で。ガーリックとコーンもつけて、あとお子様カレーを1つお願いします」
とつらつら注文。風邪ひいてて喉痛くてもカツカレー。多分、昨日からちょこちょこ読んでいた『サイバラ茸 2』がその諸悪の根元のような気がしないでもない。なんか、西原理恵子の本を読んでるとコッテリコテコテなとんこつラーメンとか、カツカレーなんかが恋しくて仕方がなくなる。松本零士の漫画を読むと無性に生卵落としたラーメンが恋しくなるような、そんな感じ?(ちがう)

20分後くらいに届いた、ボリュームたっぷりカツカレー。さくさくの揚げ衣は腫れたのどにしみじみと痛かったけれど、でもとっても満足。じわっと辛いカレーのルーもきっと喉や胃腸によろしくないけど、でも満足。大好きなガーリックとコーンをちりばめたカツカレーは、久しぶりの美味しさだった。

昨夜のシチューでドリアもどき
レタスのサラダ
アイスティー(ペニンシュラ)

昼過ぎ、CoCo壱番屋のカレーを注文する前、「なに食べよう……やる気ない……」と呟いていたところ、だんなが
「お昼御飯さぁ、残ったシチューを御飯にかけて、チーズ散らしてドリアみたくして食べたら?」
と提案してくれた。ああ、それは良いねそれは美味しそうだね、と、夕飯にそれを作ってみることに。ノリとしては「ゆるめのドリア」という感じ?
「いや、シチューのおじやって、感じ?」
「ドリアとおじやだから、オジアとか、どじや、とか」
くだらない事言いつつ、深めのグラタン皿にたっぷりのドリアもどきを作った。

チンした御飯を器に詰め、その上に温めたシチューを具を多めにしてドッパーとかける。ピザ用チーズを上にまんべんなく散らし、更に粉チーズとパン粉をぴらぴらと。オーブンで15分ほど焼いてこんがり焼き色をつけたらできあがり。だんなも一緒に食卓につき、ちょっとだけ食べていた。

本来のドリアより水気が圧倒的に多いので、やっぱりおじやというか雑炊というかリゾットというか、という物体に。でも、ヒリヒリする喉にはこのくらいでちょうど良かった。ぴよぴよ伸びるチーズもとても似合うし。
昨日に引き続きレタスのサラダを添え、お茶はすっきりした後味のものが恋しかったのでL'EPICIERの「ペニンシュラ」を。オレンジ入り、ほうじ茶をブレンドしたすっきり優しい味のお茶をくぴくぴ飲みながら食べるドリアもどきは思った以上に美味しかった。今日、こんなに私まで具合が悪くなるとは思わず、昨日たっぷりのシチューを作っておいていたことをとてもとてもありがたく感じてしまう。

……明日にはちょっとでも良くなっているといいなぁ……(とりあえず「プレコール持続性カプセル」と「ペラックT錠」(←喉の痛みに効くらしい)を服用中)。