食欲魔人日記 06年3月 第4週
3月20日 月曜日
とろっと、蜂蜜味のカジキ丼。
メープルベーグル
コーンパン
カフェオレ
ヨーグルト

「ベーグルが冷凍してあるよ」
「じゃあそれを食べましょう」
「でも、コーンパンもあるんだよね」
「コーンパンも食べましょう」
「……両方食べるんですか?」
「両方食べます」

そうですか……と、だんなの願いどおり、ベーグルとコーンパン両方をオーブンに放り込んだ。今回買ってきたベーグルは、ほのかに褐色がかったメープルベーグル。クリームチーズなどは買ってなかったので、温めてバター塗って食べた。私はめんどくさくて温めたままのそれにガブーとかじりついたのだけれど、だんなはナイフで綺麗に両断していた。ベーグルもコーンパンも、方向はちがえどそれぞれ小麦粉の香りが香るようなパンで、とても私の好みだ。

ベーグル大国のアメリカには、「ベーグル専用トースター」とか「ベーグル専用スライサー」といったベーグル特化製品が売られていた。スライサーは、丸っこい容器にベーグルをセットし、ギロチン状の刃を落とすと見事ベーグルがまっぷたつ……というシロモノだったように記憶している。買う人いるのかしら……?とキッチンウェア屋さんで苦笑いしながら眺めていたのだけれど、ベーグルが好きになった今、そのスライサーはなかなか便利なものだったのじゃないかと思えてしまうのだった。……息子が春休みになったら、一緒にベーグル作りに挑戦してみようかしら。

ミニミニビビンバ
麦茶

息子の春休みまであと数日で、静かな一人の昼御飯を摂るのもあとわずか。

今日は昨夜の残りのナムル類でちっちゃなビビンバを作ることにした。ひととおりのナムルが昨日の夕食後の段階で余っていたものだから、
「……明日、これでお弁当作ったら持ってく?嬉しい?」
とだんなに提案してみたところ、これ以上ない高速でぶんぶんと首を縦に振ってきた。ほうれん草多めにね、4割くらいほうれん草でいいからね、と言われつつ、今朝牛肉を追加で炒めてナムルと一緒に弁当箱に縞模様に詰めた。その残りが微妙にちょっとずつ残っているので、それを私の昼御飯に。

ほうれん草は1把じゃ足りないけど、2把茹でるとさすがにたっぷり。もやしもそれに合わせて2袋くらい作れば良かったなぁと思いつつ、もうすっかり残り少なくなったもやしと共に、まだたっぷり残るほうれん草やぜんまいを盛りつけた。にんじん、大根、牛肉もお愛想程度に残っていたのでトッピングして、ヤンニョンジャン添えてわっしわっしとかき混ぜて、喰う。

今回使ったゼンマイは、秋田の母が昨年か一昨年の春に送ってきてくれた缶詰。ラベルらしいラベルのついていないこの缶詰は、確か母と叔父が2人で山に入って収穫したゼンマイを水煮にして、お店で缶詰にしてもらったものだったと聞いた。太さも長さも不揃いで、でも味の濃い美味しいゼンマイで、「おっかさんありがとう〜」と思いながらナムルに加工したのだった。煮たような缶詰で、「ひめたけ」とか「なめこ」とか「ひらたけ」とかもあって、更に、何のラベルもない銀色の缶に「くり」とだけ書かれたものも1個手元にある。
「"くり"ってどんな栗〜?甘いの?煮てあるの?どんな状態??」
と、なかなか空ける勇気が沸かない「くり缶」だった。甘露煮じゃあないと思うのよね……

茹で野菜のサラダ with マヨネーズ
カジキマグロのはちみつバター丼
わかめと大根の味噌汁
冷茶

息子と2人の夕御飯。魚が食べたいなと昨日買ってきたのはカジキマグロだった。さやつきのグリーンピースも買ってきたので、魚をおかずに豆御飯にしようかなとか色々考えたのだけれど、でも結局好物のはちみつバター丼(ケンタロウさんレシピ)に。カジキマグロやマグロの切り身をフライパンでこんがり火を通し、一度魚を除けてからフライパンにバターと醤油と蜂蜜を投入。軽く煮詰めてから魚を戻して軽く絡め、その甘辛だれごと御飯にかけてできあがり。刻み葱をぱらっとかける。

この味の丼にはマヨネーズ味の添え物が欲しいなと、スティックきゅうりとざくぎりにしたキャベツ、そして茹でたホワイトアスパラにいんげんににんじんに……と野菜を用意して、松田のマヨネーズを添えた。

蜂蜜のあの粘るような甘さがほのかに舌に残る、旨味たっぷりカジキ丼。今日もなかなか美味しくできたのだけれど、息子は刻みきゅうりの方に何故か夢中で、
「おかあさん、きゅうりのおかわりある?いっぱい食べてもいい?」
と言いつつ、パリポリパリポリきゅうりばかりを平らげていた。他の野菜もあるしときゅうりは1本分だけ出したのだけれど、急遽きゅうりを追加で切って、親子してパリポリパリポリ。新鮮なきゅうりのこの食感って確かに心地良いのよね。

3月21日 火曜日
命名「たまごとコーンのふっくらピザ」ですって
チョコブレッド
自家製いちごシェイク

先日、千葉三越のワゴンセールで、2パック300円という破格値の苺を買ってきた。安いだけあって、市販の小粒の苺の更に半分ほどのサイズしかない小さな小さな粒のがパックにぎゅうぎゅうに詰まっている。味の方も酸味もかなり強いということで、加工用なのだそうだ。ジャムにするのも良いかもなと思いつつ、息子の
「ストロベリーシェイク!ストロベリーシェイク!」
の声に、やっぱりシェイクですかそうですかと、ともあれ2パック買ってきたのだった。

2パックもあるものだから冷蔵庫でけっこうな場所ふさぎになっている大量の苺を、家族3人分シェイクにしちゃうことにした。苺をバーミックス(もどき)でピュレ状に粉砕して、そこにバニラアイスクリームも投入。牛乳も混ぜて味見して、やっぱり甘さがかなり控えめな苺だったので練乳をちょっと垂らして更にシェイク。これでもかと苺の香りと味が漂う、お店の合成香料臭いピンク色のシェイクとは全く違ったものができた。

チョコデニッシュの残りを1人2切れずつ用意して、なんだかお子さまメニューのような朝御飯。息子が「家で作ろ、シェイク作ろ!」と大騒ぎするだけあって、やっぱり家で作ると美味しいんだこれが。まだ苺は半分以上余ってるから、まだ1〜2回シェイクができるよ。これは冷凍してとっておこう。

自家製ピザ
 たまごとコーンのふっくらピザ
 4種チーズのピザ

今日はだんな、筋肉イベント。昼前に出かけてしまったので、午後は息子と2人、みかんをつまんだりしながらのんびり過ごしていた。今日は息子と一緒に何か夕御飯を作ろうという約束をしていて、何が良いかと尋ねてみれば
「ピザがいいなー」
と。スパゲティを粉から作るんでもいいよ、餃子とか、でなきゃおやつを一緒に作って夕飯は普通の炒め物とか煮物にするとか?と色々代替案も提示したのだけれど、
「ピザがいいなー」
と。

そんなに言うならピザにしましょと、夕方になってから、うっかり買い置きを切らしていたドライイーストを買いに行った。
「ピザはねぇ、ハム乗せるとおいしいと思うよ、ハム」
とのリクエストも出され、ハムも買ってきた。

強力粉にイーストと塩とオリーブ油を湯に混ぜたものを入れて混ぜ混ぜこねこね。ざっとまとまったら力強く10分ほどこねて、発酵させる。綺麗に膨らんだら等分して丸めて伸ばしてピザ生地にして、下焼きしてトッピングしてまた焼いて……と、発酵時間も含めれば2時間ほどになる作業を息子は全部一緒にやってくれた。粉からパン生地ができてピザになる過程が楽しいらしく、発酵中の生地を数分おきに確認しては「わー」だの「うぉー」だの言っている。ホール缶のトマトを潰してバジル、ローリエ、塩を加えて煮詰めてピザソースを作っているのを脇から見て
「ソースまで!ソースまで作るのかお母さんは!」
と何やらチェックを入れていた。

せっかく最初から一緒にやったのだからと、ピザ1枚は全て息子に仕上げてもらった。1人で伸ばして(焼くところだけは危ないから私が手伝ってオーブンに入れてやり)、トッピングも息子1人のセンスにおまかせ。

「あのね、パンみたいな、ふかふかのピザが好きなんだぁ〜」
と息子は、あえて分厚く伸ばした生地にこれでもかとコーンと卵をトッピングして、「トマトとチーズがないと、ピザの味っぽくならないよ?」との私の助言で慌てて上からチーズをかけたりしながら、息子ピザを無事に焼き上げた。私は私で4種チーズのピザを準備して、それも焼く。テーブルの上には刻んだ玉ねぎとかピーマンとかトマトとか、まだまだ具が何種類も用意されていたのだけれど、結局親子2人じゃ2枚のピザを食べきるのがせいぜいで、生地も具も半分くらい余ってしまった。

卵とコーンの味の、いかにもな息子が好きそうな味のピザを半分こ、私の好みの青カビチーズも乗った4種チーズのピザも半分こ。薄焼きのパリパリピザが好きな私の伸ばした4種チーズのピザ生地はパリパリカリカリで、息子のはしっとりふかふかのパンのようなピザ生地だった。どちらもそれぞれ美味しくて、2人でニヘラニヘラ笑いながら食べた。

「のこっちゃったピザの生地は、どうするのかな?」
「んー、とりあえず下焼きだけしておくよ。冷凍か冷蔵かしておけばまた後でピザできるし」
「あした続きしよう!」
「明日はヤだなぁ……」
「じゃああさって続きしよう!」
「明後日かぁ……」
どうやら息子、ピザなら毎日続いても全然苦にならないらしい。自家製のはそんなにくどい味にならないとはいえ、さすがに連日続くのはどうよとお母さんは逃げ腰になっちゃうのだった。

3月22日 水曜日
「崩さないように持ってくるのが大変です」と……
ウィンナーロール
カフェオレ

昨日、ふらりと買い物しに行ったスーパー併設のパン屋さんで「100円均一セール」をやっていた。普段130円140円する総菜パンが軒並100円。ここのところパン続きな朝食で「そろそろ御飯かうどんでも」という気分だったのがふっとんでしまい、100円パンをいそいそと買ってきた。

かわいいサイズのウィンナーロールをオーブンで温めて、カフェオレで。
息子はいよいよ今日で給食が終了だ。満喫しておいでー、と息子を送り出した。

青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 「シニョール・メノッティに捧げる春のトキオネーゼ」コラボレーションディナー
 フリウリ地方伝統のポテトとチーズのフリッコとトリッパとお豆のやわらか煮
     愛媛産イヨカンのスプマンテ割り
 フルーツトマトに詰めた空豆のムースと海老・ホタルイカ・桜マス・白魚 “春のフェスタ”
     Pinot Grigio 2004
 鯛のラヴィオリ仕立て トマトとフレッシュハーブの香り
     Tocai Friulano 2004
 イサキのパリパリ焼き 菜の花のピューレ アサリのリゾット添え シチリア産エクストラバージンオイルで
     Chardonnay Grafin de La Tour 2003
 ハンガリー産 ウズラの詰め物 赤ワインソース ホワイト・グリーン2色アスパラ
     Merlot Graf de La Tour 2002
 北海道井ノ口さんのリコッタチーズの天使のクレーマ 苺と桜の春仕立て
     Grappa di Verduzzo NONINO
 エスプレッソ

今日は楽しみにしていた、Cucina Tokionese Cozimaのワインイベントがある。イタリアのワイナリー、「Villa Russiz」の醸造家ジャンニ・メノッティさん(ワイン評価本「ガンベロ・ロッソ」で昨年の最優秀醸造家賞を受賞された方なのだそうだ)が来日して、そのワイナリーのワインと料理のマリアージュを楽しもうという趣向だ。去年のだんなの誕生日祝いなどで、料理に合わせて1品に1杯ずつグラスワインを出していただきながらコース料理をいただくのは、このお店で何度かお願いして楽しんだことがあるのだけれど、それが美味しいワイナリーの自慢のワインで統一されていて、しかもそのワインにぴったり合わせた料理を出してということになると、もうとんでもなく美味しいんだろうな幸せなのだろうなとわくわくわく。早速予約を入れた。

で、息子をその間どうしようかと。ディナータイムに何度か連れて行ったことはあるものの、ワインイベントに連れて行くのもなぁ……と思い悩んだ。大人2人に子供1人という組み合わせで4人席を占拠するのはあまりにレストランに申し訳ないので、大人3人に子供1人で予約したらどうかとか、あれこれあれこれ。近くにお料理教室のスタジオを持つTさんをお誘いしようとしたのだけれど、そういえばTさんはあまりアルコールにお強くなかったと思い直して、「スミマセン、食事中息子をみていてはいただけないでしょうか」と、お誘いメールはチャイルドシッター依頼メールに変わり、そしてすごい勢いで快諾していただいた。食事は一緒にしましょうね、クッキーも一緒に焼きましょうね、あとはお絵かきをしましょう!とTさんが準備万端で待ちかまえてくださって、私とだんながワイン飲んでヘロヘロに酔っぱらっている間、息子はそれはそれは幸せなひとときを過ごさせてもらったようだった。

そして私とだんなも幸せなひとときを。自慢のワインにきっちり1皿1皿合わせていった料理の数々は、隅々までピーンと緊張感と気合いが感じられるものばかりで、いつにないシェフのKさんの気迫に驚くばかり。ワインもほんっとに美味しかったし、料理もほんっとに美味しかった。毎回毎回新しい驚きがあるKさんの料理だけれど、今日は本当に恐れ入りました、まいりました、という感じ。でも、いつもこんなに隙のない料理だと、作っている方も食べている方も疲れてきてしまいそうなので、年に何度かのこういうイベントならではの空気だったのだろうなと思う。

最初は大きなフライパンに作られたポテトとチーズのフリッコと、トリッパと豆をトマトソースで柔らかく煮たものをほんの1口ずつ。合わせるのはイヨカンをスプマンテで割った食前酒。「フリッコ」は千切りにしたじゃがいもとチーズを混ぜつつ炒めて両面カリッと、中はモチモチッと焼き上げた、どこかお餅に煮た食感もする北イタリア、フリウリ地方の郷土料理。チーズの焼けた匂いがぷんと漂う香ばしい料理で、今日のは特にモチモチッとした素敵な食感だった。もっとじゃがいもじゃがいもした感じのものは何度か食べたことがあるのだけれど、水分を飛ばしながら刻んだじゃがいもをチーズと一緒に加熱しながら練って練って練りまくって、ひとかたまりになったところをホイッと裏返して両面カリッと焼き上げたのだとか。柔らかくクセがなく、でもちゃんとトリッパの旨味が生きたトマト煮もつつきながら、お酒もすぐに空になった。もうお腹すいちゃって「フリッコ鍋ごとください」「トリッパもバケツでください」という勢いだったのだけれど、まだまだお酒も料理も続くよということで最初は軽く。

続く前菜(さっきのは「お楽しみの一皿」)が今日の写真のもので(キャンドルの下での撮影だったからこんな感じにしかならず……)、「春のフェスタ」と名付けられた魚介満載の可愛い一皿。甘いフルーツトマトに春の味の空豆のムースを詰め、そのムース入りトマトとトマトの蓋の間にはたっぷりの白魚、海老、プリップリのホタルイカ、そして燻製にした桜マス。ほのかにスパイスの香りが漂うアイオリソース(卵とオリーブ油で作るマヨネーズ状のソース)を周囲に飾り、ふわふわっとハーブの葉も散らされる。合わせたワインは、甘い香りが漂い、こっくりしながらも後味がすっきりした「Pinot Grigio」という白ワイン。まだまだ最初なのにかなり存在感のある白ワインが出てきて、この先どうなるのかしらと思えば存在感が増していく一方の白ワインが次々に出てくることになった。

パスタは、ほぐした鯛の身を詰めた円盤状のラヴィオリをさっぱり味のトマトのソースに絡め、上からたっぷりのフレッシュハーブを散らしたもの。セージにイタリアンパセリにセルフィーユにとふわふわした葉が絡んだ、なのに鯛の味と香りが口いっぱいに広がるラヴィオリには、切れ味鋭いナイフのような力強さに丸い甘みもある「Tocak Friulano」。フリウリ州は優れた白ワインを数多く出す土地とのことで、今日も肉料理に合わせたメルローの赤ワイン1種類の他は白ワインが続き、どちらかというと赤ワインよりは白ワインが好みな私とだんなには嬉しく感じられる内容だった。

そして、魚料理のイサキに合わせられたのが、とんでもなく美味しいシャルドネ「Chardonnay Grafin de La Tour」。Grafin de La Tourは、かつてその地方を領土としていた伯爵婦人の名前なのだとか。すぐ隣のテーブルで他のお客さんたちと同じようにワインと料理を堪能していたメノッティ氏が、食事の合間合間に中央に出て、ワインのなりたちやワイナリーの紹介をしてくれる。イタリア語での案内なので、通訳さんがちゃんと脇について、そして食事の最初と最後に各テーブルをまわって少しばかりお話も。

10ヶ月間木樽の中で熟成されるというそのシャルドネは、形容しがたい複雑な香りが漂って、そのまろ〜んとした香りそのままに、口に含んだ最初の印象がまろ〜んこってり〜という感じ。熟したフルーツのような甘い香りが漂ってきて、でも口の中にベタベタと残らないすっきりさも兼ね備えていて、しっかりめの味の肉料理にも合ってしまいそうな味だった。強い存在感がたまらなく好みなワインで、でもそのワインの存在感に負けていないお魚の料理。しっかりめの味のついたアサリのリゾットが敷かれた上に皮目をパリッと焼いたイサキが乗り、周囲には色鮮やかな菜の花のピューレが添えられていた。ほんのり苦みのある菜の花のピュレが春の味。

いつもより料理は若干軽めだなと思える分量だったのだけれど、でも最後には骨付きウズラが出てきて、胃袋がちょうど良い具合に。ウズラのムースを中に詰めたウズラ肉には深い味の赤ワインソースが添えられ、太く柔らかな2色のアスパラもどっさりと。料理の流れをスッと軟着陸させるような、バランスの良い味のメルローの赤ワインが出され、その頃には正直、けっこう酔っぱらってしまっていた。1杯1杯はさほどの量じゃなかったと思うのだけれど、「もう少しいかがですか〜?」とじょぼじょぼ注ぎに来てくれて、その度に「はい〜、いただきます〜」なんて言ってるから、なかなか大変なことに。

定番のミニドルチェの盛り合わせ(アマレットのシャーベット、パンナコッタ状のムース、柚子のジュース、生チョコレートにいちじくの小菓子、などなど)の後は、桜と苺の香りが漂うリコッタチーズのムース。ムースの下に敷かれたソースに桜の花の塩漬けが使われていて、甘い中にもほのかな酸味を感じる不思議な存在感のドルチェだった。せっかくですから、と、最後にはグラッパ(今日のこのワイナリーではグラッパは作っていないので、同じ地域のフリウリ州で作られたグラッパを)も1杯出てきて、目の前はふわふわ、頭もくらくら、すっかり良い気分になってお店を辞した。いやー、美味しかったなぁ。何が美味しかったって、シャルドネ。空豆ムース詰めのトマトも、ラヴィオリも、ウズラも最高だった。

お店を出るときに連絡を入れて、そしてTさんのスタジオ建物入り口で息子のお迎え。一緒に作ったのだというたっぷりのクッキーと自家製パンをお土産にいただいてしまい、ぽーっとする頭でお礼を告げて急いで帰宅。
「んとね、クリームのスパゲティとー、ハーブのポテトと、ふしぎにあま〜いあま〜いトマトと、あと、肉団子!食べたよ。すごーく、おいしかったよ」
と、息子は本当に美味しく楽しかったそうで(↑しかも息子の好物だらけ……Tさんナイスリサーチ……)、帰り道には
「お母さんも、お料理の先生になればいいのにね?おいしいもの、いーっぱい、だよ?」
と思わぬ転職依頼が息子から発せられてしまって、「それは無理……全然無理……」と苦笑いした。

3月23日 木曜日
息子のクッキー、カントリーマアム風
Tさんの手作りパン
チョコチップクッキー
カフェオレ

「焼いたので、どうぞ〜」
と、昨日Tさんからいただいてきたパンとクッキー。クッキーは、息子が一緒にバターをこねたりしたのだそうだ。
「チョコとね、あと、ピーナッツバターもね、はいってるよん」
先日のピザ作りに続いて、ここ最近料理人づいている息子、得意気に「ぼくが作った!」と胸を張っている。そういえばクッキーは家で作ったことがなかったものね、と、朝御飯に少しだけクッキーもつまませてもらった。あとは手のひらサイズの可愛いパンをオーブンであっためて。

黒いチョコに白いチョコ、ナッツ、ほのかにピーナッツバターの香りのしっとりとしたクッキーは、久しく食べていなかったカントリーマアム的(←実は大好物)な口当たり。チョコの甘さが感じられるけれど生地自体はさほどこってりしていないので、危うく手がたくさん出てしまいそうな危険なクッキーだった。粉の味がちゃんと漂うふかふかのパンも囓って、今日から息子は午前授業。

稲毛「高円寺ナイルカレー」にて
 オムライス(チキンライス・カレーソース)

なんだか午前中、無性に無性にオムライスが恋しくて、どうしたことかと思ったら今朝見たポケモンアニメ(スカパーで毎朝再放送中)でサトシとピカチュウがオムライスを食ってたからだと思い至った。ケチャップが気に入ったらしいピカチュウがケチャップの容器抱えてペロペロなめたりしているのを見ているうちに、実にあっけなくオムライスが食べたくなっていた私。きっとサブリミナル効果とかの類に真っ先にやられるタイプなのだと思う。

「あのさっあのさっあのさっオムライス食べに行かない?カレーのお店に」
「行く!オムライス行く!」
お昼前に帰宅した息子に声をかけて、目指したのは近所のカレー屋さん「高円寺ナイルカレー」。カレー屋さんだけど、メニューにオムライスがあって、それがもう絵に描いたようなオムライスで、すごく美味しい。卵たっぷり、チキンライスもたっぷり、チキンライスの中の鶏肉もたっぷり、ケチャップもたっぷり、と色々たっぷり感が漂っている。

で、息子はチキンライスにケチャップのスタンダードなオムライス、私はチキンライスにカレーソースのオムライス。他に「御飯をチキンライスじゃなくエビメシに」という選択肢もあって、「エビメシ&ケチャップ」「エビメシ&カレーソース」という組み合わせも選べるようになっている。

オムライスは私の鬼門のひとつ(私には鬼門がいっぱい……)。錦糸卵と玉子焼きはそこそこちゃんと作れるのだけれど、オムレツ、オムライスはとにかく苦手で、苦手だから作らない、作らないから上達もしないというオムレツネガティブスパイラルに陥っているここ数年。そんな事言ってないで練習すれば良いのだけれど、どうにも腰が上がらない私だった。

ともあれ、絵に描いたような美しきオムライス。しっとり優しい味のチキンライスをふわふわのたっぷり卵が綺麗にくるんでいて、上からはこの店の黒く優しい味のカレーソースがたっぷり。自家製コールスローサラダ(マヨネーズも多分自家製)と福神漬が添えられてくる。
「う〜ん、美味しいねぇ」
「おいしいねぇ〜」
と、そういえば息子はこの店で1人前は食べたことがなかったんだわ(いつもは"お子さまカレー"を頼んでいる)と息子の皿を見ると、綺麗に平らげられていた。おお……完食ですか……。

自家製ピザ (野菜ピザ・コーンと卵のピザ)
アルザス風 豆のスープ
アイスティー

「今日は、今日は、ピザだよね?」
息子に言われて初めて思い出した。あー、そうだ、一昨日焼いた自家製ピザの生地の残り、冷凍庫に突っ込んだままだ。ソースも具材の残りも冷蔵庫の中で、確かにこれは早く食べてしまわなくちゃ。一昨日の夜、確かに「残りは明後日食べようね」という話をしてたんだった。

今日は野菜と豆のスープとかを用意したいところだなと手持ちのレシピを検索したところ、「アルザス風豆のスープ」というのが見つかった。バターで玉ねぎ煮て、ベーコンとにんじんとにんにくを加え、ひたひたに水を加えて沸騰させたらたっぷりのキャベツとひよこ豆を加えて、コンソメ味で煮込むというもの。味つけは塩味だけで、特にハーブなどが入るということもなく、「……アルザス風って、どこらへんがアルザス??」とちょっと謎に感じつつ、ともかくもそんな感じの野菜スープを作った。そろそろ食べちゃわなきゃという状態だった鶏肉があったので、ベーコンではなく鶏肉で。あとはたっぷりのキャベツと、にんじんと玉ねぎ。ひよこ豆もちゃんと入れた。

ピザの方も、今日はあっさりめがいいなぁとチーズ少なめ野菜多めの方向で。1枚目は玉ねぎとピーマン、トマトをそれぞれたっぷり、そしてハムとコーンを散らして、チーズは表面がごく薄く隠れるくらいの野菜ピザを。2枚目はトッピングを息子にも手伝ってもらって、コーンやゆで卵多めのミックスピザにした。こちらも野菜が多めになって、
「……今日のピザのお名前は、どうする?」
「いいよ?好きに名前つけてよ」
「じゃあね、"のぞとおかあさんのくみあわせ"!」
「うんいいね……って、でもそれじゃ君とお母さんが具になってるみたいだよ?」
「……そう?」
「うん、まぁ、いいけど」
などとごにょごにょ話し合いつつ、冷凍保存しておいた、下焼き済みのピザ生地にあれこれ乗せてしっかりと余熱したオーブンに。

ピザを焼くにあたって、一時期ものすごくデロンギ社のコンベクションオーブンが欲しかった。ピザがそれは上手いこと焼けるらしい。ストイックなフォルムも良い感じ。けれど今のレンジオーブンと入れ替えるわけにもいかず(レンジはレンジで必要だし……)、そして買ったのがデロンギ社の、そのコンベクションオーブンに付属でついてくるというピザストーン単品だった。

これ、とってもとっても良い感じ。最初のうち使い勝手がいまいちわからなかったのだけれど、ちゃんと使えるようになってからは「電気オーブンにピザストーン突っ込んでおけば万事解決」ということになった。いまいち温度が高くならない電気オーブンでも、実にピザがピザらしく焼き上がります。

乾いたままの状態のピザストーンをオーブンが冷たいうちから中にセットしておいて(上段下段の調節ができるなら上段の方に)、そしてオーブンを250℃に余熱。ピザストーンが中までしっかり温まるまで余熱してから、そのピザストーンの上に直接ピザ生地を乗せて焼く。裏側がしっとりすることもなく、裏から焦げていくこともなく、良い加減に水分が抜けつつパリカリッとしたピザがちゃんと焼ける。魚焼き用のグリルを試してみたりスキレットを使ってみたりと試行錯誤していたけれど、やっと「電気オーブン+ピザストーン」という組み合わせが自分なりにしっくりいくようになった。ガスコンロに乗せるタイプのこんな商品もあって、それはそれで興味津々(でも置く場所ないから置けないの……)。

あっさりスープとあっさりピザで、今日は割と軽い感じの夕御飯。それでも2枚目のピザがコーン山盛りでちょっと具沢山過ぎて、すっかりお腹一杯になってしまった。

3月24日 金曜日
結局、なんというか「花より団子」
フルーツグラノーラ with 牛乳

息子は本日修了式。朝御飯は軽めがいいなぁと、買い置きのフルーツグラノーラ(南国フルーツいろいろ入り)を息子と一緒にはぐはぐと食べる。
昨夜の残りの野菜スープはジム行き前にだんなが食べていったようで、まだまだ残る愚沢山スープは私と息子の昼御飯にすることにした。

アルザス風 豆のスープ(昨夜の残り)
パンあれこれ
アイスティー

元の色はどんなんだったっけ?と思われるほどに汚れた防災ずきんや、すっかりチビた色鉛筆、通信簿等々と一緒に息子が帰宅。ここしばらくのピザ尽くしからちょっと離れましょうと、油っけのない昼御飯を用意して待っていた。ひよこ豆がどさどさ入る、ほんのりにんにくの風味のキャベツのスープと、何種類もあるパンあれこれを。

Johanのコーンパンが1個だけ残っていたり、Tさんから先日いただいた小ぶりのパンが残っていたり、だんながお友達からいただいてきたチーズクッキー(甘さ控えめでお菓子っぽくない味)があったり、それらを適当に大籠に盛り合わせて「好きなのお食べ?」と出してみた。私はコーンパン半分とあとはそれぞれ1個ずつくらい。息子がどう選択しても良いようにたっぷり盛り合わせておいたのだけれど、
「これ、食べていいの?全部食べていいの?」
と息子がやけに喜んでいる。「まさか、そんなに食べられないでしょ?」と返した十数分後くらいには籠が綺麗に空になっていて、お母さんはびっくりだった。

最近、やけに豆が美味しく思われるようになってきた。無精して水煮缶を使ってしまうことが多いのだけれど、今度はちゃんと計画性をもって前日からいんげん豆を水に浸すとかして作りたいねぇ。

東京 「どんぶり子」にて
 白レバー塩ねぎ焼き \500
 パリパリ皮せんべい \500
 もものたたき風 \500
 きじ丼セット \1350  生ビール \600

夕方、音楽教室を終えた息子をお義母さんに託して、今日は有楽町にお出かけ。スカパーの某番組のアンケートに答えたところ、「コルプス・ド・バレエ」という舞台のチケットを2枚いただいてしまった。3日前に突然届いたチケットにたいそう慌てたのだけれど、幸い息子はおばあちゃん家で見ていてもらえることになったので、だんなと2人で初めての「踊りの舞台」というものを見てきた。

バレエ『ジゼル』を基軸としながら、ウィリーからドラキュラ、フランケンシュタイン、カニハリズムまで、イメージを展開。
テキストは弁士の第一人者、澤登翠によるオリジナル書き下ろし。

という趣向の舞台で、内容はなんというか……前衛的というか、筋があってないような、というか、かなり不思議な感じのものだった。難解。
特別出演に、キーロフバレエ団のソリストソフィア・グメローワという方が出てきて「ワインの精」的な役どころでふわふわと踊っていたのだけれど、彼女一人だけが踊っていて足音が立たない。おそろしく細い足なのに空中を飛ぶように踊っていて、彼女1人が舞台に上がると周囲の空気が見事に変わっていた。前衛的な舞台はいまいちわからない(不協和音が響く中、死にそうにのたうちまわる男性1人の演技とか……こう、見ていて「何?これは、何?」というハテナマークが飛び交うばかりで、なかなかつらい……)けれど、ソフィア・グメローワさんの踊りはすごかった。彼女の「白鳥の湖」とか見てみたいかも。
ワインが飲みたい、でも飲めない、的な大筋だった1幕の後はそれとリンクするようにロビーで赤ワインの試飲会が行われた。

会場は、有楽町のよみうりホール。旧そごうデパートのそのビルには現在ビッグカメラが入っていて、観劇終えて1階に下りたところ、
「ただいまよりニンテンドーDSライトの販売を開始します。店の正面玄関にて云々」
というアナウンスが。え?DSライト?と立ち止まろうとしたところで、だんながすごい勢いで正面玄関に向かって走っていく。え?買うんですか?え?買えるんですか?と慌てている間に、店の多くの客がおそろしい勢いで正面玄関に向けて走っていく。時間が時間だから、お客さんはほとんどが会社帰りのおっちゃん、お兄さんたち。彼らがバイソンの群のごとく店内を駆けていき、私がヘロヘロとその行列にたどり着くと、だんなはしっかり前から10番目くらいに並んでいた。そしてものの数分でDSライトは完売した。

「はい、誕生日プレゼント〜」
まだ私の誕生日には2週間ほど早いのだけれど、そうだんなから手渡されたネイビーカラーのDSライト。そうそう、そういえば、私の今年の誕生日プレゼントは「"もっと脳を鍛える大人のDS"と"ニンテンドーDSライト"にしたら嬉しい?」とだんなから言われていて、「うん、すごく嬉しい」と数ヶ月前に答えていたのだった。そうか、私の誕生日プレゼントを買うために走ってくれたのか、と嬉しさと呆れを感じつつ、でもマイDSはとてもとても嬉しい。これで思う存分脳を鍛えたり英語の勉強ができるってもので。

「はー、それにしても難解でしたね」
「ね」
などと話しつつ、夕飯を食べられるところを探したのだけれど、金曜夜に空席のあるお店なんかほとんどなかった。ガード沿いに有楽町から東京駅方面に歩いたのだけれど、ガード下の居酒屋系は全滅、TOKIA内のお店も満席ばかり。残るは穴場のあそこかなぁと、東京駅に隣接したKitchen Street方面に向かってみた。ラーメン屋やカレー屋など、お客の回転の良いお店が多いから、ここならスルッとどこかに入れるだろうと。

そして、入ったのは、だんなが以前行ったことがあるという、どんぶり子というお店。新橋の焼鳥屋「鶏繁」が手がける丼もの屋さんで、でも500円おつまみも色々あるらしい。ジョッキでビールをいただきつつ、小皿を3品ほどもらい、そしてきじ丼や親子丼を食べて帰ってきた。

おつまみは、パリパリカリカリの皮せんべい、さっと湯通ししたもも肉に刻み万能葱ともみじおろしを添えた「たたき風」、甘辛味の柔らかな白レバー焼き。当然ながら鶏料理が中心で、でもメニューには鶏煮込みラーメンとか、鶏肉のキーマカレーなども並んでいてなかなか面白い品揃えだった。

プリップリのレバーをつつき、レモンをキュッと絞った皮せんべいを半分こして、そしてシメにどかんと丼。炭火で炙った塩味の鶏がどかんともも1枚分トッピングされた「きじ丼」、御飯には甘辛だれが適度に染みこませてあって、 素晴らしく美味しかった。鶏スープと大根の漬物がセットで1350円。だんなの注文した親子丼(セットで1000円)も、ふわっふわに良い具合に火が通った卵が最高だった。

もとはといえば、デイリーポータルZに掲載された写真を見て、だんなが「これだ!」と思ったお店だったのであるらしい。写真どおりのボリュームある鶏肉が嬉しかった。新橋の本店もきっと美味しいんだろうな。焼き鳥ラブ。

3月25日 土曜日
チョコ噴水に、みんな釘付け
産地直送いかなごの釘煮
羽釜御飯
アルザス風 豆のスープ
温野菜 松田のマヨネーズ添え 麦茶

今日の昼には、楽しみにしていたビッグイベントに出かける予定。胃袋的なビッグイベントなものだから、朝御飯は軽めにしときたいところだけど、さてどうするべ?と、特に案もなく、早めに起きた私と息子、遅く起きてきただんなの3人はこたつに籠もって(←そろそろ片づけたい季節だけれど、これがなかなか……)うだうだしていた。ら、ドアチャイムが鳴った。

届いた荷物は、神戸からの宅配便。友人Kさんが送ってくださった、産地直送トレトレピカピカの「いかなごの釘煮」!!!
ばんざーいブラボー、すんばらしー、と、速攻で飯炊きの準備をした。届いたからには、朝飯は釘煮飯。絶対絶対釘煮飯。

関東では馴染み薄い「いかなごの釘煮」だけれど、神戸の垂水をはじめとしたあのへんの地域では、「この時期になると町中がこの匂いで空気が染まる」というほどに町中いたるところで、解禁されたいかなご漁の収穫物をゴンゴン煮るのだそうだ。なんでも「いかなごソング」なんてものもあり、更には「いかなごパック」(釘煮のお裾分けに最適な密閉パック。調味料がセットになったものもあるとか)、「いかなご宅配便」(釘煮のお裾分けに最適な段ボール等々のセット)なども存在しているのだとか。届いた箱にもでっかく「いかなご」の文字があった。すごいな、すごいないかなごの地。この季節のこの地を一度訪れてみたいものだと思う。

豆腐かなめこの味噌汁でも作りたかったのだけれど、ちょうど椀に3杯分ほどの豆スープが残っていたので、これをそのまま出しちゃうことにした。代わりに、飯を炊くコンロの脇で野菜を茹でる。安売りしていたホワイトアスパラとブロッコリーを茹で、お気に入りの「松田のマヨネーズ」をにょろにょろと絞りつつ食べた。釘煮みたいな醤油の甘辛味にはマヨネーズが似合っちゃうのよねと、野菜パリポリ食べつつ、釘煮飯を堪能した。生姜の香りが漂う、しっとりと柔らかく魚の味がちゃんと残るプリプリの釘煮。あやうく御飯を2〜3膳食べちゃいたいところだったのだけれど、ぐっとこらえて大盛一膳にしておいた。でも大盛。

新宿 ヒルトン東京内「マーブルラウンジ」にて
 ストロベリーデザートフェア \2940

そして一路新宿へ。向かった先はヒルトンホテル1階のマーブルラウンジで開催中の「ストロベリーデザートフェア」だ。こんなん行ってみました、と、とある方に以前教えていただいたのだけれど、そこの目玉が「チョコレートファウンテン」なのだという。ちらりと調べてみたところ、こんな動画を見つけてしまい、いてもたってもいられなくなった。

チョコレートファウンテン、訳して「チョコレート噴水」。数段に組み上げられた金属の土台に温めて溶かしたチョコレートを循環させ、その流れる「チョコ滝」にフルーツなどを突っ込んでコーティングして食べるらしい。ヒルトンホテルのそれは1.2mのなかなか大きなサイズだそうで、そしていてもたってもいられなくなった私と息子はそのままホームページから予約をしたのだった。無事に席は取れたし、ホームページからの予約は飲食10%オフだそうで、色々とラッキーだった。

狭くはないラウンジなのに、2時半のブッフェ開始後は大変な大混雑。予約のお客さんも相当数いる中、予約なしの人たちもラウンジを半周するようにぐるりと囲んで並んでいる。豊富なデザートの数々がおそろしい勢いで消えていき、次々と新しいのがやってきた。フェアに題されているとおり、ストロベリーものがたっぷりで、奥の方には鎮座ましますチョコレートファウンテン!!

チョコレートファウンテンの前には、竹串と共に苺、メロン、パイナップルを一口大に切ったものが用意されている。マシュマロやカステラ、バナナなども欲しいところだけれど、竹串から外れやすいものとか、粉やかけらがチョコに落ちるものはやっぱり難しいらしい。何しろこれを目当てに来たのだからと、息子は速攻でチョコ噴水に突撃していた。私やだんなはとりあえずは腹ごしらえと、サンドイッチやカナッペ、焼きそばに炒飯に蒸し餃子にとこれまたけっこう豊富に揃う塩味メニューに取り組んだ。海老蒸し餃子なんかが、案外とちゃんと美味しくて嬉しい。飲み物もブッフェ代に含まれていて、紅茶コーヒーウーロン茶、注文した同じ種類のものだけをお代わりして飲むことができる。

そしていよいよストロベリーまみれの甘いものシリーズ。いちごババロア、いちごシェイク、いちごタルトにロールケーキ、いちごがどっさり乗ったパイ、トライフル、クレープ。他にもりんごとレーズンのクランブルや、パンプディング、フルーツポンチ、チョコケーキに「ヒルトンチーズケーキ」と、選択肢は豊富だ。

チョコをコーティングしたいちごは、しばらく置いておくとチョコが冷え、屋台の「バナナチョコ」みたいなコーティングフルーツになる。それがまたけっこう美味しいものだから、せっせとチョコファウンテンに通ってはチョコがけフルーツを持ってきた。合間には「やっぱり甘いものばかりだとねー」とか言いながら春巻食べたり、鶏手羽の塩焼き食べたり、唐揚げつついたり。皆さん同様な心持ちだったらしく、肉メニューは出てくるなりおそろしい勢いで消え去っていた。

砂糖ミルク抜きの紅茶をがぶがぶと3〜4杯飲みつつ、食べて食べて1時間くらい。最後はいちごもチョコも見るのが嫌になるほどにお腹一杯になった。息子も、チーズサンドをむしゃむしゃと食べつつ、苺も半パック分以上は食べたんじゃなかろうか。帰り際に、お会計場のおねぇさんに
「いっぱいいっぱい食べたよ。おなかいっぱいだよ。すごーく、おいしかったよ」
と報告しておねぇさんに
「来月もまたぜひ来てくださいね。今度は桜のフェアで、すごく大きなロールケーキが出ますよ♪」
と答えられていた。ほー、すごく大きなロールケーキ。それもとっても素敵だねぇ……。

万かつサンド
ビール(よなよなエール)

久しぶりのケーキバイキングはそれはそれは胃に溜まり、皆でゆっくり歩きながら新宿駅に帰ってきた。

だんなの叔母Eさんがパソコンを買いたがっているとちょうど今朝連絡があったので、そのリサーチにヨドバシカメラに寄り道。これまたすごい混雑の中、「最近のノートはまたまたお安くなったんだねぇ」と感心しながら、E叔母にぴったりと思われるパソコンを探して歩いた。超初心者には富士通とかSONYとかの「いたれりつくせり系」が良いのかな、なんて話しながら、結局電話先からの「なんでもいいのよー、選んでくれる?」のE叔母の言葉に、超お買い得品だった東芝のノートをその場でお買いあげ。自分のものじゃないけど、お高いものをうりゃ!と買うのは気持ちが良いね。

夕飯はもう、蕎麦か何かでいいねと言いつつあちこちを覗き歩き、結局帰宅は8時近く。新宿駅への戻り道、デパ地下の「万世」で「万かつサンド」を買って帰った。じゃあ電車に乗って帰ろうねというところで
「あ……万カツサンド。万カツサンド?万カツサンド?」
と、疑問符を散らしつつだんなが階段を上がっていく。そういえばしばらくその店のカツサンドはご無沙汰だったねと、かつサンドとハンバーグサンド(という名のメンチカツサンド)を1つずつ買ってきた。自宅最寄り駅近くの酒屋で冷えたよなよなエールも買い込んで、帰宅してから1人数切れずつかつサンドをつついての簡単な夕御飯。

息子は今日、好物の美味しいものいっぱい食べて、ヨドバシカメラで自分だけの腕時計も買って貰い、以前から欲しかったらしいリストバンドは自分で買って、
「今日はいい日だな。とってもいい日だな」
とうっとりしていた。収穫物の多い一日。

3月26日 日曜日
久しぶりに炭火焼き器を出して
中村屋の肉まん
プーアル茶

最近豚まんブームが続いている我が家。昨日も外出先の新宿で
「明日の朝は豚まんが食べたーい」
とデパ地下を徘徊していた。歩き疲れていた頃だったのであまりあちこち歩くこともできず、他の用事ついでに立ち寄った小田急ハルクの下には残念ながらこれ!という豚まんがない。しょぼーんと歩いていたところ、ハルク内の食材売り場で「中村屋」の肉まんを発見。スーパーなどに卸すタイプの安価なやつで、賞味期限が迫っていたものが安売り対象になっていた。いいよいいよこれいいじゃん!と5個入りのそれを買ってきて冷蔵庫に突っ込んでおいた。

今日は盛大に朝寝坊な家族の皆さん。だんなは午前2時過ぎ頃までFINAL FANTASY XIIに興じていたし、息子もちょっと夜更かししていた。私はちょっとばかり早く目が覚めてゲームしていたのだけれど、家族が居間に揃ったのは10時を過ぎてから。すっかりお腹も空いちゃったので肉まん5個を全て一気にふかしてしまうことにした。1つの蒸籠に1個しか肉まんが入らないので、タワーのように蒸籠を5段積み上げて蒸しまくった。

筍と椎茸がたっぷり入った、とろみのついた肉あんがとても良い感じ。5個をどう家族で分配しようかなと思っていたところ、
「ぼく、2こ食べたい!」
という人がいたので、私とだんなが1個を半分こして1個半ずつ食べ、我が家最軽量の人が2個平らげていた。

ケンタの
 胡山醤チキンセット \630
 (胡山醤チキン・笹巻き五目おこわ・野菜ごろごろ根菜スープ)

春休みに入って早々、息子は明後日からスキー合宿に一人で行く予定。足りないものを買うためにも荷造りしなきゃと、午前中は大きなボストンバッグに荷物をあれこれ詰めていた。着替えにスキー道具に洗面道具に……あと、おやつは行きと帰りの分500円とか、当日昼間のお弁当とか、色々用意するものはある。お弁当の材料も買わなきゃと、午後になって近所のスーパーに行って来た。

遅めの朝食だったのでこのまま夜まで我慢しようかとも話していたのだけれど、どうにもお腹が空いちゃったのでスーパー内フードコートのケンタッキーフライドチキンに寄り道。いつのまにかおこわや根菜スープの胡山醤チキンのセットなんかが登場していて、これを試しに頼んでみた。

おこわや根菜スープは、なんというか非常にファーストフードの味(冷凍食品の味?)だったけれど、胡山醤チキンの味はけっこう好き。チキン1本、小さなおこわ1つ、スープ1杯の簡単なセットを平らげて、そしてパンにチーズにハムに、鶏肉トマト椎茸と、あれこれたっぷりお買い物して帰ってきた。

おうちで炭火串焼き
 「豚王」のモツ串焼き5種
 鶏肉・スペアリブ
 ウィンナー・うずらの卵
 長ねぎ・ピーマン・銀杏・椎茸
刻みキャベツとプチトマト with 松田のマヨネーズ
羽釜御飯
豚スープ
ビール(モルツ)

夜は、炭火焼き肉!

先日、豚王すね肉なるものを購入して、ダッチオーブンでホロホロモロモロになるまで煮込みまくってアイスヴァイン(もどき)を堪能したのだけれど、その時一緒に購入したのがモツ串焼き5種セット。機は熟したり、と、今朝冷凍庫から出して解凍しておいた。モツばかりの串なので息子がつまらないかしらと、鶏の正肉串も用意。更にウィンナー、うずらの卵、野菜類にとたくさんの串を準備して、更には軽く下茹でした豚スペアリブも用意することになった。

美味しそうな豚モツなので、これはやっぱりホットプレートなどではなく炭火で焼きたいところだと、久しぶりに棚から出したのはファイヤープレイスという家庭用炭火焼き器。5〜6年ほど前に、雑誌『dancyu』のモニター企画で使わせてもらい、「使ってみて意見聞かせてね、もしも使用した商品を買ってくれるなら格安にしておくよ」というものだったのを、試用後に気に入ったので買い取ったのだった。

シンプルな外見ながら火おこしから焼き、消火まで一気にできる炭火焼き器なので、すごく便利な炭火焼き器だ。器に墨を並べてそれをコンロにかけ、墨が温まったところでその器を食卓に出す。器の下には水を張った受け皿があり、使用後は器の上に濡れタオルかけて上から水を注げば消火完了。器と受け皿の2つで最初から最後までの処理が完了するので、ものぐさな我が家にはなかなか便利なものだった。こんなにお洒落な七輪なんかも今は売られていて、これもまたいいなぁと密かに思っていたりして。

で、さすが炭火焼き。すごーく美味しい。何焼いても美味しい。最高!……なんだけど、問題は煙の多さだ。炭火の鶏はそりゃもう美味しいものだけれど、なにしろ煙が大変なのだった。だから、すごく美味しい割になかなか食卓には上らない悲劇の調理器具となっている。でも、それでも、今日は何がなんでもこれで焼いて食べたい気分だったので、食卓に通じるドアは全て締め、窓は全開にし、クーラーも空気清浄モードでゴンゴンつけ、更には窓と食卓を結ぶ直線上に扇風機もセットして、「煙よ外に出ていって」対策を万全にして炭火焼きに取り組んだ。が、結局は焼け石に水。台所を中心に家中が炭火焼きの煙で燻されて全体的にいい匂いが染みついてしまった。ファブリーズ1本使ってもこの匂いはなかなか消えそうにないくらい。後悔はしないわ〜。

ぎゃ〜煙が〜!目が、目がぁ〜!などと大騒ぎしながら、でも鶏も焼いたし豚モツもしっかりと堪能した。セットのモツは、レバー・テッポウ(直腸)・ガツ(胃)・かしら(ほほ肉)・トントロ。かしらとトントロは「肉」的なもので、これは息子もがつがつと食べていた。コリコリとしたガツも、モチモチムニムニとしたテッポウも、そしてレバーも、どれを食べても臭みのない、レバーには濃厚な甘ささえ感じる美味しい肉で、ただただ粗塩だけふって焼いて食べたのだけれど、それがこれ以上ない御馳走になっちゃって、せっかく用意した刻みキャベツや野菜がいまいち減ってくれない。美味しい肉は脂も美味しいものだけれど、内臓も美味しいんだなぁと改めて思い知らされた。それにしてもレバーが美味しいなぁ。これたっぷり使って、レバニラ炒めとか作ってみたい気分。

息子は肉の他はウィンナーとうずら卵に夢中になり、私とだんなは炙ったスペアリブにバーベキューソースをちょいとつけて囓ったりもして、でもその間大変な煙(鶏ももとトントロ焼く時が、もうもう大変……)になったりもして、息子はうちわを持って踊り狂っていた。

2時間近くのたっぷりな串焼きを堪能した後は、だんなはこたつに入ってうつらうつら。息子は突然に
「フォトショップで、ぼくの日記のタイトル、作ってみてもいーい?」
と私のパソコンに向かって絵を描き始めた。息子が喜びそうなフィルターの使い方とか、レイヤーの使い方とか、画像の一部分のコピーの仕方とかを脇から教えてあげたのだけれど、それらを駆使して作品がひとつできあがった模様。早速タイトル画像を入れ替えろとリクエストされたので、さすがにスタイルシートの変更まではまだできないので、最後の設定だけ私が代理でやってあげた。その調子でどんどん作品増やしてくれるのかなと、お母さんはちょっと楽しみ。