食欲魔人日記 07年08月 第5週
8月27日 月曜日
すじぽん!
「CoCo壱番屋」の
 ほうれん草カレー
アイスコーヒー

息子も私もそれなりに早起きしていたのに、なんとなく朝御飯を食べるタイミングを逸したまま、仕事や勉強をし始めてしまったり。
「今からトースト焼いてハムエッグか何か用意しようか……いや、このタイミングならがっつり昼御飯食べた方が良いかもしれない……」
カレー取っちゃおうか?と息子と話し合い、少し早めの昼御飯を朝御飯兼用で食べることになった。いつもどおり、CoCo壱番屋に電話して届けてもらう。

こういうとき、地元の「高円寺ナイルカレー」にタッパー持ってカレーのルーを買いに行っていたものだけれど、黒々とした優しい味のカレー屋さんは、今年の頭に閉店してしまったのだった。店の外装も、きっとマスターたちにとってすごく思い入れのあっただろう内装もほぼ変わることなく、そのお店は今は「10円饅頭屋」になっている。木目の綺麗な壁やカウンターがそのまま残っているから、かつてそこにあったカレー屋さんが好きだった身としては、その饅頭屋さんのたたずまいが胸に苦しい。そのお饅頭屋さんに非はないことは重々承知しつつ、どうしてもそこでお買い物できない我が家なのだった。

今日は今ひとつ肉っけのあるカレーは口にしたくない気分だったので、シンプルにほうれん草カレーを。息子がトッピングしたコーンだけ少し分けてもらって、コーンほうれん草カレーにして食べた。
ほうれん草カレーなら少し辛くしても良いかしらと一段階辛めの味を選択してみたら、これが案外しっかり辛くてびっくりだ。

すじぽん
なすと豚肉蒸し 3種のソース
豆腐としめじのスープ(昨夜の残り)
羽釜御飯
焼き海苔
ビール(サッポロ黒ラベル)

「冷凍庫に牛すじ入れてあるんですがー……けっこう場所を圧迫しているのです」
他に何も入らんのです、とだんなに話したら、昨夜のうちにだんなが牛すじの仕込みをしてくれた。下茹でして、掃除して、一口大に切って、焼酎と水を併せた中で煮込んでいく。「すじぽん」で食べるのがとりあえずの目標なので、味はつけずにひたすら焼酎と水だけでことことと。今日になってからは私が火の面倒を見つつ引き続き数時間火を通してみた。まだ少しばかりケダモノ臭さの残る肉に、刻み万能葱をどっさりかけて、美味しいポン酢かけて食べるだけの「すじぽん」。美味しい牛すじで作ると、うっとりするほど美味しいものになる。

美味しくすじ肉が煮えたので、今日の夕御飯のメインディッシュはそれで良いかなと思いつつ、あっさり味の茄子と豚肉の蒸しものも用意した。ウー・ウェンさんのレシピのこの料理(載っていたのは確か料理雑誌)、料理自体はシンプルで、タレの味がしっかり中華だ。茄子は皮を剥いて縦両断。クッキングシートを敷いた蒸籠に茄子を並べたら、上に酒と胡椒を揉み込んだ豚薄切り肉を乗せ、強火で5〜6分蒸かす。3種のたれは、酢醤油(酢+醤油+胡麻油)と花椒塩、胡麻酢だれ(練り胡麻+豆板醤+酢を水で少し伸ばす)といった感じで、豚を乗せた蒸した茄子はかなり美味しくできたけれど、胡麻酢だれの味だけに関しては「うーん……」という印象だった。辛く少し酸味のある胡麻だれ、というのは棒棒鶏ソースともまた違い、甘さもなく馴染みの薄い味。子供はもとより、大人にも「こりゃ大人っぽい味だ」と感じられる味になったので、卓上にはいつもの市販の胡麻だれも出しておいた。

でも、蒸した茄子と豚に花椒塩というのはとても良く似合う。胡麻油風味の酢醤油も、あとは手持ちのポン酢や胡麻だれも良く似合っていた。このところ肉だ外食だと飽食気味だったので、「普通に蒸しただけ」の料理がしみじみ美味しく感じられる。傍らに、プルプルコラーゲンの塊のような「すじぽん」もあったので、メインのおかずをさっぱりめにしておいて本当に良かったと思った。

つくばのお肉屋さんで買ってきた牛すじは相変わらず良い味で、「すじ」と切り捨てるにはもったいないと思われる分量の肉もついている。すじぽんで楽しみつつ、取り分けて醤油と味醂で甘辛く煮たり、できれば「牛すじねぎスパ」にもしたい感じ。

8月28日 火曜日
お昼御飯に「すじたま丼」。見た目はいまいちだけど、うま!
水菜のおひたし
すじたま丼
麦茶

朝は軽くトースト食べて、今日も昨日に引き続き、私は仕事、息子は勉強の一日。
「今日の午後は、友達探して一緒に遊ぶんだー」
と息子は呟いていて、だから午前中にやることやっちゃうんだーとけっこうな勢いで漢字と算数のプリントを片づけていた。

外に遊びに行くのなら、昼御飯はしっかり食べた方が良いのかしら?と、適当に作ってみたのが「すじたま丼」。
大鍋にまだまだたっぷりある牛すじの煮込みを少し取り分け、醤油と味醂でこっくりめに煮つけてから卵とじにした。最後に軽く葱ふって、少々濃いめの甘めの味の丼。そうそうこんな感じ、と頷ける味になった。

牛すじを頻繁に調理するようになった始めの頃、「これ、普通のお肉じゃない……」と息子はいつも不審げな視線を牛すじ煮込みに向けていたものだけれど、何度か食べるうちに「これって、すっげー美味しいじゃん」という域に達してしまったらしい。今は普通に好物なようで、昨夜も嬉しげにポン酢をかけてがつがつ食べていた。コラーゲン満載の牛すじ丼で、すっかり胃も充実したところで息子はあれこれ遊び道具持って飛び出して行った。めでたく友達を見つけることができたようで、すごく久しぶりに息子のいない静かな午後。

「餃子の王将」にて
 冷奴 \157
 餃子 \210
 ジンギスカン \504
 ニラ肉炒め \472
 東京ラーメンセット \924
 冷やし中華 \630
 生ビール 4×\483

「奥さん、近々王将、行きませんか」
毎朝俺のために味噌汁を作ってくれませんか、みたいな真剣な面もちでだんなに誘われた数日前。毎朝味噌汁を作るのはちょっと大変だけど(ていうか、そんなプロポーズされた日には「えー……やだー……」と即答してしまいそう)、王将に行くのは大歓迎。では火曜日ではどうでしょう、と話し合って、夕方仕事帰りのだんなと落ち合って餃子とビールを堪能して帰ってきた。

「私……ジンギスカン食べたいなぁ、ほら、メニューのここに新メニュー」
「うん、いいよ……俺ね、最近ニラ肉炒めがマイブームなの」
それぞれ好みのおかずを頼んでみたら、どちらも「肉+もやし」がメインとなった、非常に似通った外見の炒め物がやってきてしまった。ニラ肉にはさすがにニラがたっぷりと加えられていて、でももやしが多いのはお互いに、という感じ。ジンギスカンはこってり味噌味、ニラ肉は醤油味だ。もやし好きだしね、悔いはないのよね、と、がっつり山盛りのもやしを堪能した。

今日はつい生ビールを1人2杯飲んでしまったこともあり、そうたくさんは食べられそうにないなとシメは冷やし中華をだんなと2人で半分こ。ニラ肉炒めや冷や奴もしっかり横から食べていた息子は、「東京ラーメンセット」(醤油味ラーメン、半チャーハン、餃子1皿)をぺろりと食べきる勢いだった。さすがに餃子1皿は多かったようで、それは私とだんなも一緒に食べる。

本当は今日の夜は、6年半ぶりの皆既月食が見られるはずだった。
見られると良いねと息子と話しつつ、月食、日食の仕組みを図に書いて説明してみたり、「月がこんな感じになるんです」とイメージ検索して、皆既月食になった赤い月の写真を見せてみたり、昼間それなりにわくわくして今日の夜を待っていたのだけれど、予報の「雨」どおり、お店を出る頃には月食どころか稲光を堪能しなければいけない状態。結局1秒も月を堪能することができないまま、月食は終わってしまったのだった。

8月29日 水曜日
フライの後ろに添えられた野菜サラダが、うんめぇ〜……のです
チーズトースト
カフェオレ

夏休みもあと僅か。「ぐるっとパス」を眺めつつ、
「それじゃあ、今日はお台場に行ってみようか」
と、息子と2人、お出かけすることにした。

朝御飯は、簡単にチーズトーストとカフェオレ。美味しそうな桃のゼリーのいただきものが冷蔵庫に入っているのだけれど、今日も食べられなかった……早く食べたいなと思いつつ。

台場 「船の科学館」ベイサイドテラス キャビンにて
 フィッシュ&チップス
 生ビール

今日、まず目指したのは船の科学館
「ぐるっとパスで船の科学館とリスーピアに入れるんだけど……どっち先に行きたい?」
リスーピアはすごく楽しそうだけれど、君にはまだちょっと難しいかもしれない……と伝えたところ、「じゃあ最初に船の科学館!」と。
結果的にはリスーピアの方が息子にとっては断然楽しかったらしく、時間配分としては"午前中に船の科学館"は間違っていなかったらしい。午後は日が暮れるまでリスーピアで遊ぶことになったのだった。

船の科学館は、私が子供の頃からあった船の博物館。なのになぜか一度も入ったことがなくて、私もけっこう楽しめた。驚くほどの数の模型があったり、かなり本格的にエンジンや船の構造の説明があったり。お台場には今や遊ぶスポットが山のようにあるので船の科学館はかなりガラガラで、船操縦のシュミレーターも息子の貸し切り状態で何度も遊べる状態だった。しっかり展望台にも上りつつ、南極観測船"宗谷"の中も見学しつつ、昼までたっぷり2時間ほど見学していた。

天井が低く、廊下もかなり狭めだった宗谷、「専用の浴室があったのは船長のみ」とか、士官用と一般隊員用の食堂が別だったり居住空間もかなり違いがあったり(士官は個室なのね)、見ていてかなり楽しい。閉所恐怖症気味の人にはかなりつらそうな空間だった。赤道を超えての南極行きなのに、クーラーはほとんどついていなかったというのも想像するだけで暑くなる。
「こっちは4人部屋!」
「あ、ここは5人部屋!」
などと各部屋を覗きながら息子と楽しく見学してきた。

昼御飯は、船の科学館に隣接していたセルフサービス式レストランで簡単に。息子はお子さまランチ(オムライス、ハンバーグ、鶏の唐揚げとフライドポテト、チーズケーキ)、私はロコモコにしようかなと思いつつ、つい目が合ってしまって「フィッシュ&チップスと生ビール」という昼から爛れた内容にしてしまった。館内けっこう暑くて、あーもービールとか飲みたいなぁと思っていた矢先にメニューに書かれていた「フィッシュ&チップス」、しかも「生ビール」。……あらがえなかった。

「お母さん、それだけなの?僕のオムライス、あげよっか?」
息子にそんなフォローまで受けてしまいつつ、でも目の前にやってきた籐製のバスケットの中には鱈のフライとフライドポテトが見た目以上の量詰まっていて、しかもちゃんとタルタルソースとモルトビネガーつき。けっこう食べ応えがあって、「ああ……ビールもう一杯飲みたい」と思いつつ、それはぐっと堪えて次の場所に向かったのだった。

銀座 「三州屋」にて
 このわた \530
 いたわさ (値段不明)
 カモ茄子揚げ出し \480
 たこ酢 \530
 〆さば \680
 刺身盛合せ \1000
 肉豆腐 \530
 鳥豆腐 \480
 フライ盛合せ \790
 海苔茶漬け (値段失念)
 生ビール 5×\580

そして午後はひとしきりリスーピアで。時間もあるし幸い空席もあったしで夕方からの「レインボースコープを作ろう」なる無料のワークショップにも申し込み、参加してきた。

パナソニックのアンテナショップのあるビル内の一角に作られた場所なので、広さはさほどでもない。1階の無料で入場できるエリアと3階の有料のエリアに分かれていて、ただ歩くだけなら20分もあれば楽に一周できるくらい。でも、各展示物がすごく凝っていて面白かった。「素数」や「π」の概念などが普通に出てくる展示物があったりするので小学3年生の息子には少々難しいかと思いきや、一周し終わってみると「僕はキッザニアよりこっちが好き!」と息子に言われてしまうような内容で、大満足。結局、ワークショップも合わせると4時間くらいは楽しんでいたように思う。

色々と面白いものはあったけれど、大人も子供も皆して夢中になってしまうのが「素数ホッケー」。

エアホッケーのパックの代わりに「数字」が表示されるもので、素数だったら打ち返さずに自分のゴールに入れなければならない。素数でないものは打ち返すのだけれど、「8」を打ち返せば「4」と「2」に分かれて相手ゴールへ飛んでいく。相手は「2」を自分のゴールに入れ、「4」を打ち返し「2」と「2」に分け、それは自分のゴールに向かって戻ってくる……といった感じ。1人プレイも2人プレイも可能なのだけれど、それが燃える燃える。2桁の素数は大体分かってはいても、「431」とか「727」といった3桁の数が降ってくると頭が真っ白になってしまう。自分の得点は「自分のゴールに入れた素数の合計」で決まるので、3桁の数を正確に判断しないと高得点は望めないようになっている。間違えて「素数でないものを自分のゴールに通す」と、その分マイナス点に。

息子には「素数」の概念を教えることから始め、わかってきたところで素数ホッケーに挑戦。一番人気といっても過言ではない人気ブースだったので、行列についてみたり、人の集まっていないタイミングを狙ったりしながら何度か遊んでみたのだけれど、大人が普通にムキになれる展示だった。

偏光板を使って作った紙コップ製のスコープをお土産にして、ゆりかもめに揺られて新橋へ。銀座までてくてく歩き、通りかかった「木村屋」であんぱんなども購入し、夕飯はだんなと一緒に海鮮居酒屋に寄って帰ることにした。お店の看板などには「大衆割烹」と書いてある海鮮料理の美味しいお店だ。「鳥豆腐」が名物で、ランチタイムには何度か来たことがある。お刺身も美味しいし煮魚も最高。冬の牡蛎フライなどもめちゃめちゃ人気があるらしい。
「美味しいお刺身とか食べたい」
と言っていたら、だんなが予約してくれた。昼も夜も大人気の店で、いつ来てもだいたい満席という状態のこのお店。プランタン銀座にほど近く、でも通りを奥ににょろりと入ったところにあるので普通に歩いているとまず気付かない。だんなに教えてもらうまで、私も「え?こんなところにお店あったんだ?」と、全然知らずにいた。そのすぐ隣にある喫茶店にはよく入っていたというのに。

いつもはランチタイムで、御飯と鳥豆腐とおかずがセットになっているものばかりを頼むのだけれど、今日は一品料理をあれこれと。椎茸や筍、人参なども乗った賀茂茄子の揚げ出しも良い味だったし、あっさり"浅漬け"な風のたこ酢もすごく美味しかった。1000円のお刺身盛り合わせは、まぐろと鰹、カンパチっぽいのと鯛っぽいのという内容。そう豪華な盛りっぷりではなかったけれど、何もかもがトロリと舌の上でとろけるような味で、「これで1000円は、かなりお得じゃないですか?」と感じられた内容。厚く切られたシメサバも良い感じだった。

そして鳥豆腐もしっかりいただき、息子は甘辛味にこっくり煮つけられた「肉豆腐」を平らげ、大人の私たちはシメにと御飯の代わりに「フライ盛合せ」を。プリプリの帆立のフライ2個にエビフライ、鮭の切り身のフライという内容で、刻みキャベツの横にはマヨネーズ味のサラダも添えられている。

「このサラダがね、うんめぇぇぇぇんですよ」
なんかね、懐かしい味するんだよ、給食みたいな……とだんなが言っていて私もしっかりつついたのだけれど、確かに美味しい。缶詰の桃が入っていて、あとはキュウリとかじゃがいもとか人参とか玉ねぎとか。多分味つけにヨーグルトも使われているようで、とろりと爽やかな甘さがあった。なんだかやけに幸せな味で、他のものもあれこれ美味しくて
「ああ、確かにこのサラダ、うんめぇぇぇ〜ですね」
「でもやっぱり鳥豆腐がうんめぇぇぇですよね」
と、あれが旨いこれが旨い言いながら平らげる。

ビールもたらふく飲んでしまって、確かお会計は9000円弱。
うずらの卵の黄身を割り落とした「このわた」(ナマコの腸の塩辛←ナマコというのを今まで知らずに食べていた私……)もたいそう美味しかったです。

8月30日 木曜日
昨日食べられなかったから、キンメの煮つけ!
「木村屋」の
 あんバター
 小夏(マーマレードジャムパン)
牛乳

あちらこちらのデパ地下などで普通に買える木村屋のあんパンだけれど、やっぱり銀座の本店で買うのはちょっと(かなり)違う。お店の奥の方ではかなり本格的なフォカッチャやキッシュなども売られていて、総じて美味しいものばかり。以前も今も、銀座四丁目あたりにやってくると「あー、あんパン買って帰ろうかなー」と思ってしまう。昨日の夜もけっこうな混雑だったのに、つい寄り道してしまったのだった。お店入ってすぐのところに「あんバター」なる魅力的なあんパンが置かれていたのもいけなかった。

「うぉ!あんバターだって……おいしそー……」
「これなに?お母さん」
「アレだよ、前、"マーガリンどらやき"っていうの買って食べたじゃん、美味しかったじゃん。あんな感じよ、バター入りのあんパンだよ」
「うひょー!オイシソー!」
「だよねぇ、これは買わなくちゃだよねぇ……」

大変大変、これは買わなくちゃでしょ、家族3人分必要でしょ、あと何買うよ……と、すっかり鼻息荒くして色々買い込んでしまった。今日の朝御飯は「あんバター」決定。ついでに明日の朝もあんパン決定。

木村屋のあんパンは片手の平に余裕で置けるほどの可愛いサイズ。でも「あんバター」はちょっと大きめのずっしりサイズ。パン生地に少し塩気があるのがまた良い感じで、危険なほどにバターの塊が上部に詰められている。バターとあんこの組み合わせはすごく危険だ。すごく美味しい。

あとは、期間限定品らしい「小夏」とかいう名前の、小ぶりのジャムパンも1個。マーマレードのジャムパンというのも珍しいけれど、さっぱりした甘さの美味しいジャムパンだった。
……やっぱり、木村屋のパンは美味しい。すんごく好み。

スティックきゅうり・いたわさ
寄せ豆腐
茄子の揚げ煮
すじぽん
金目鯛の煮つけ
しじみの味噌汁
羽釜御飯
ホッピー(白・黒)

昨日はあれこれ魚介料理を食べてきたけれど、煮物系は注文しなかったのだった。金目鯛の煮つけ美味しそうだな(いや、実際すごく美味しいんです)、でもフライも食べてみたいな、どうしようかな、全部は無理だな……とものすごく悩んでフライにしてしまったのだ。フライに後悔はしていないけど、煮つけが食べられなかったことはとても残念。今日の午前中に買い物に出たついでに魚屋を覗き、つい半身のキンメを買ってきてしまったのだった。

魚屋の店頭には、いよいよ本格的に並び始めた秋刀魚が手頃な価格で積まれていて、これもまた大ぶりでキラキラ光っていてとても美味しそう。キンメは半身800円、秋刀魚は1尾130円。
「あー、サンマおいしそ、サンマもいいな塩焼きで……」
昨夜の再現のようにここでもものすごく悩んでしまい、ここは初志貫徹しなければとキンメを貰うことにした。秋刀魚を買ってしまうと、自分で「夏はもう終わりです」宣言をするような感覚があって、まだダメ、もう少し……と、足踏みしてしまう。キンメもすごくボリュームのある美味しそうなものだった。

キンメは醤油と味醂と砂糖、酒でこっくり味に煮ていき、一緒に買ってきたしじみは味噌汁に。まだ鍋に残る牛すじの煮込みも出して、買ってきた美味しそうな寄せ豆腐も出した。今日のお酒はホッピーにしようかなー、だったら蒲鉾ときゅうりも出して、と食卓に並べていったら、なんだか昨日の夕飯と大筋変わらないような感じになってきた。野菜が足りないぞと急遽「茄子の揚げ煮」も作ってしまったら、ますます昨日の献立と似た感じに。

「あはは……今日もなんだか"飲み"の席みたくなっちゃいました……」
昨日とあんまり変わりばえしなくてスミマセン……と「いただきます」挨拶をしたのだけれど、だんなにも息子にもなかなか好評だったのでホッとした。すっかり煮え煮えの牛すじも美味しいし、とろんと柔らかく煮えた金目鯛も素晴らしく美味しい。

開店してほどないタイミングだったのでまだ半身の用意がなく、その場で半身におろしてもらった金目鯛。
「お待たせして申し訳ないしね、大きめのおろすからね。……骨つき?骨なし?」
どっちが良いんだい?と聞いてきたお店の愛想の良いおっちゃんは、
「あ、煮ます。甘く煮つけるの。だから、」
と私が全部言い終えないうちに
「あー、煮るなら骨要るね、絶対要るね」
頭もつけるからねと手早く半身のパックにしてくれたのだった。デパ地下の魚屋さんだけれど、すごく良い感じだった。

気持ち良くお買い物できたキンメが気持ち良く美味しかったので大変に満足。ついホッピーも進んでしまった。

8月31日 金曜日
お台場で慌ただしく昼御飯
「木村屋」の
 小倉あんぱん
 白桃あんぱん
牛乳

銀座の木村屋で試食した「白桃あんぱん」はたいそう美味しかった。息子と2人で試食して
「……うま!」
「すっごく美味しい!」
と顔を見合わせ、他のパンを既に買った後だったのについついそれを家族分お買いあげ。小さなサイズのあんぱんだったので、これ1個じゃなと小倉あんぱんも人数分買った。今日はそれで朝御飯。

桃独特の花のような良い香りのする自然な甘さのあんぱんと、スタンダードな安心できる味の小倉あんぱんをもぐもぐ。いよいよ8月最終日の今日は、お台場で最後のビッグイベントだ。

お台場 mediage内「Positive Deli」にて
 ポジティヴプレート \1300

毎年恒例のフジテレビの「冒険王」開催中のお台場、今日はお台場映画王の「ワンピースDAY」なのだそうで、ONE PIECEの映画3作品を上映するとか。1つか2つ見られると嬉しいなと思って「ぴあ」のプレオーダーに申し込んでみたら、3作品全部の席が取れてしまった。

「というわけでー……その日、お台場でワンピースの映画3本見ることになっちゃったんですが……つきあってくれる?」
息子に聞いたら「いいよー」とのことだったので、今日はもう一日ONE PIECE漬け決定。声優さんが来てトークショーもしてくれるというので、それもまた楽しみだった。

最初の映画の11時の開演を前に、劇場隣接のAQUA CITY内の「ジャンプショップ」も見てきた。こちらのショップも全体的にONE PIECE祭りで、ジャンプ漫画の各キャラクターが海賊の格好をしたイラストがそこら中に。「おー、銀魂だ、銀さんが海賊になってる」「おー、NARUTOだ」リボーンだ、ボーボボだ、と、なかなかの広さの売り場を眺め歩いていたのだけれど、流れていたBGMは歴代ジャンプ原作アニメの主題歌集。

入店した途端に聖闘士星矢の主題歌が流れ始め、続いて幽々白書の曲まで流れ始めて、これは一体何の羞恥プレイかと思ってしまった。リアルタイムでアニメを見ていた(見まくっていた)時代のものを流されてしまって「いや、ごめんなさい、ほんっとごめんなさい、スミマセン」とわけもなく謝りながら店を後にしたくなる。ああ、また"この手のショップ"とか来るようになるとは思わなかったよ……と思いつつ、息子に以前からねだられていたミニライトだけ買ってあげて劇場に向かった。

午前中の1作目は2001年公開の「ねじまき島の冒険」。フジテレビの松尾翠アナが司会を務め、ゲストにルフィ役の田中真弓さんとチョッパー役の大谷育江さん、あとアニメプロデューサーがお2人。上映後に30分ほどのトークショーがあった。劇場は150人入れるか入れないかといった小さめなもので、客層はおおむね想定の範疇だったとはいえ、10代〜20代くらいと思われるお嬢さま方が9割くらい。一応子供向け映画なはずなのだけれど「子供」と表現して良いのは息子を入れて5人くらい、あとは若い男性などもちらちらと……という感じだった。

普通にONE PIECEファンらしい松尾アナも、そんな状況だったから
「えーと……皆さん、"ゾロ派"なんですかね、それとも"サンジ派"?」
と、飛ばす飛ばす。トークショーの内容は、10月からのテレビアニメ(原作に追いついちゃったもんで、2ヶ月ほどオリジナルアニメの長編が放映されることになるとか)についてと、来春公開予定の映画について。

1作目が終わるとちょうどお昼時を僅かに過ぎたあたりで、休憩1時間ほどの後に2作目が始まることになっている。
あまり時間ないねぇ、遠出はできそうにない……と、館内の飲食店をいくつか見て歩き、息子が「このキッズランチが良いな」と呟いたお店に入ることにした。Positive Deliという店で、私が頼んだのはワンプレートディッシュ。

「たっぷり魚介をケイジャンスパイス特製ダシで炊き上げたピラフに本日のデリをのせた盛り合わせ」
ということだったけれど、ベジタブルミックス入りのアサリ御飯にスパイシーな鳥の唐揚げ、千切りじゃがいものタラモサラダ、といった内容だった。これに、ワゴンサービスで好きなだけ食べられるデザートもついてきて1300円は……あまりお安くない。せめてもと、プチシューやミニロールケーキ、苺のケーキにパッションフルーツのムースなどをせっせと取ってきてつまんでみたけど……これまたあまり美味しくない。夜はもう少しまともなものを食べられれば良いけど、と思いつつ、映画2作目を見に会場に戻った。

お台場 AQUA CITY内「La Pausa」にて
 ピッツァ マルゲリータ(S) \420
 スパゲッティ カルボナーラ \680
 生ビール \420

映画2作目は2003年公開の「デッドエンドの冒険」。初の長編映画(これまではデジモンとの同時上映で1編60分程度だった)ということで見応えがある内容で、しかも全編通して作画が綺麗。司会は継続して松尾アナ、ゲストはアニメプロデューサーのお2人と、今度は田中真弓さんが1人。私たちのように「1日中、映画3編全部見ます」というお客さんも少なくないことが判明して、トーク内容も幾分砕けたものになってきた。映画も面白かったけれどトークショーがとにかく幸せな内容で、ここでは「田中真弓の生アフレコ」公開も。田中さんが声を充てた後、お客さんから立候補で1人出てきて同じシーンのルフィ役を充てたりもした。

「これは命を誓う旗だから(中略)お前なんかがヘラヘラ笑ってへし折っていい旗じゃないんだぞっ!!」
アフレコで使われたシーンは珍しくルフィが怒りを露わにする場面で、元々のハスキーボイスがますます低く掠れる演技に、私は「すっごく貴重なものを目にしてしまったわ……」と息子そっちのけで感動。「うる星やつら」の竜之介の頃から知っていた声優さんだから、もう足かけ25年ほども彼女の声を知っていたことになる。なんと御年52歳。それで見事な「少年声」を出せるのだから本当にすごいと思う。

で、2作目を見終わった後、バタバタとまた食事に。次は6時くらいから8時半頃まではかかりそうな勢いだったので、ここで何か胃に入れておかないと夕飯喰いっぱぐれちゃうねと昼に続いて夜も慌ただしい食事になった。それでも1時間15分ほどは時間がありそうだったので、AQUA CITY内のレストランフロアを眺めて歩き、「パスタが食べたいね」ということでLa Pausaというイタメシ屋さんに。
ミニサイズピザ1つとパスタ1つ取って息子と半分こして食べた。1杯くらい飲んでも大丈夫だろう、と、ビールも一杯。

ミニサイズピザは本当に可愛らしいサイズで、薄焼きのパリパリタイプのものだから少し物足りないくらいの気持ちでペロリと平らげられてしまった。あまりお腹が空いていない風だった息子も、でもカルボナーラは大好きだからと綺麗に食べ、今度はまた長めの映画だからねとウーロン茶買って劇場に逆戻り。

で、最後の映画は今春公開されたばかりの「エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち」。劇場に見に行こうかと思っていたものの結局見に行かなかった作品で、内容はやっぱりちょっとがっかり……というか。どうしたって90分ほどの枠には収まらない原作を無理矢理詰め込んだ感があって、しかも「テレビアニメでやったけど全編リメイク」がウリだったのにテレビアニメよりも絵がいい加減なところが盛り沢山。Aというセリフ入れたなら続きのBも入れなきゃ意味わかんないでしょ、ってところでBが削られていたり、ダイジェストで見る分には楽しいのかもしれないけれど、あまり映画にする意味が感じられない映画だった。……来春の映画も原作焼き直しのものなのだけれど、大丈夫なのかなとちょっと不安。

これも映画上演後にトークショーがあったのだけれど、今度はゲストがウソップ役の山口勝平さん(司会の松尾アナ、ゲストにアニメプロデューサーのお2人は変わらず)。上演前に2作目に続いてまた「アフレコ原稿」(本物のテレビアニメ台本の数ページ分のコピー。伝統的に手書き原稿なんですって)が配られたので、またアフレコやるのかな?と、息子に
「ウソップのセリフ練習しておいて、"やりたい人!"って言われたら手、あげてみたら?子供少ないから、君は指名されやすいと思うよー」
と話してみていたところ、本当に息子が手をあげてくれて、本当に指名されてしまった。

勝平さんが
「やりたい人ー!って、お、男の子が手あげてくれてるじゃん!やってみる?やる?」
と指名してくれて、皆の前に出て、息子アフレコ初体験。漢字けっこうあるけど読める?入るタイミングとか、肩叩いてあげよっか?とあの勝平さんがウソップそのまんまの声で横から教えてくれて、
「なんか君、子供の頃のルフィみたいだなー」
ほっぺに傷とかつけたらそれっぽいぞつけてみない?と、息子の頭ぽんぽん撫でたりしながら喋り倒し、先の言葉通りに声を出すタイミングで背中を叩いてくれていた。
「大丈夫!ルフィならなんとかするさ!」
などと、数ページ分の原稿で、息子のウソップ。さすがに「とにかく"読む"のに必死」という感じで辿々しい感じではあったけれど、貴重なものを見てしまった。

他のキャストの声は既に動画に組み込まれているので、
ゾロ「おめェは、山登るのが怖ェだけだろ」
息子「だ、だってな、おめェ、雪男だのクマウサギだのいるらしいんだぜ?」
ゾロ「初めっからそう言えよ」
なんて掛け合いが成立していたわけで、一人客席で頭の血管が切れそうになっていたお母さん。

勝平さん、最後は「そげキング」の歌も熱唱してくれて、舞台中央で
「"狙撃の島"がどこにあるか知ってるかい……?」
「それは……君たちの心の中さ……」
のセリフまで披露してくれて、お姉さんたちもお母さんたちも(司会の松尾アナまでも)ウソップの魅力にメロメロになってイベントは終了したのだった。

最後の最後、あまりの盛り上がりに他の映画の司会をしていたらしい笠井アナまでなぜかやってきて
「僕!僕ねぇ、劇場版ワンピースの一作目に声優で出てるんですよ!いや、ほんの端役なんだけど」
この盛り上がりにちょっと混ぜてもらいたいと思って来てしまいましたー、と2分ほど語って退席したりも。いや、本当に深い映画祭で、「退屈させちゃうかな」と思っていた息子もとても楽しんでくれていたようで本当に良かった。息子と手をつないで「楽しかったー」「楽しかったー!」「超!楽しかったー!」と大笑いしながら帰宅した。

田中さん勝平さんが話してくれた声優裏話を最後に。他の誰でもなく自分のためにメモ……。

麦わら海賊団の声優陣は本当に仲が良いらしく、原作者なども交えつつ花見だ宴会だと仕事以外でも何かと集まって騒いでいるらしい(というのは、本に載っていた対談などを読んで知っていた)。案外と年齢層の高い麦わら声優陣は、最年少のナミ役岡村さんでも私より少し年上で、そんな"大人たち"がワンピースワンピース言って盛り上げてるのが楽しくて、アニメ版までもが好きになっちゃったというのも少なからずある。

  • 新団員フランキーは、完全に「"声は矢尾一樹"を前提にしたアテ書き」。矢尾さんは「裸族」、普通に宴会とかで脱ぎ出すらしい。「ちゃんとねぇ、ズボンの下に海パンとか履いて宴会来るんだよ」と田中さん談。

  • 演じるキャラと声優の立ち位置はかなり近く、ルフィ役田中さん、ウソップ役勝平さんが「おちゃらけ係」。

  • 仕切役のナミ役岡村さんは、原作と同じく「ほら、そろそろ始めるみたいですよー」などと言ったりするタイプ。

  • ロビン役山口さんは現実でもマイペース、最後までサンドイッチとか食べてたりする。

  • 差し入れされた、スタッフの人数分には足りないお菓子の詰め合わせを見て、差し入れ者本人の前で「あら……半端な数……」と呟いたのはロビン役山口さん。

  • ただ一人、ゾロ役中井さんだけが「役と本人のキャラが違う人」。役上では無愛想でふてぶてしく居丈高な感じなのに、現場ではいじられまくっているらしい。「ほら、ゾロって一人だけなーんかカッコイイじゃないですか、だから……」(だから?)と勝平さん談。

  • 「中井さん、"ゾロ"で出る時は足どーんと開いて堂々としてるのに、終わった途端に足がシューッて閉じていくの(内股というわけではなく、きちんと膝を閉じて座る、ということらしい)」と田中さん

  • なぜか麦わら海賊団、ほとんど全員「たこ焼き器」を持っている。船長や原作者の家で「たこ焼きパーティーしよう!」「とりあえず、一気に100個焼いてしまえ!」とかやってるらしい。なぜたこ焼き。「なんか、すっごい"自動たこ焼き器"っていうのが出たってテレビで見て、"すげぇ!これ、尾田っちにメールだ!"って打とうとして……止めました。いや、ぜったい買っちゃいますもん、あの人」勝平さん談。……どれだけ。

  • 「そげキングの歌」は、作詞原作者、作曲勝平さん、らしい。適当に曲にしたら、スタッフが寄ってたかって「あ、俺ドラム叩けます」「私、フルート吹けます」「僕、ギターできます」という感じで、音量調整してるお姉さんやら何やらがよってたかって伴奏つけてかっちょいい曲に仕上げてしまったのだそうだ。「ええ、もう、手弁当で」「夜中のスタジオで、こっそりとね」プロデューサーや勝平さん談。

原作で10年、アニメでも9年続いている話、声優陣も「自分の分身」のようにキャラクターを語っているのがとても楽しい。

今日の日記は御飯関係だけにすると5行くらいで終わるんじゃないかって感じで本当にすみません。単なる萌え日記ですみません。ONE PIECE知らない方は全くのスルーで良いような内容ですみません……。
ああ、でも、楽しうございました。