食欲魔人日記 07年10月 第2週
10月8日 月曜日
最後の夜はホテルのメインダイニングのイタリアン
「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Mix Fruit (Mango) RM25.00
 Crab Cake "Benedict" RM60.00
 ピンクグアバジュース・紅茶

ホテルの朝御飯は一ヶ所でしか食べられないので、ルームサービスを頼まないとなると毎朝同じレストランに向かうことになる。毎日ブッフェというのも芸がないなということで、今朝はアラカルトメニューから選ばせてもらうことにした。頼んでみたのはクラブケーキの「ベネディクト」。アメリカ料理の「エッグスベネディクト」は、ブリオッシュ(もしくはマフィンとか)の上にハムとポーチドエッグを乗せて、オランデーズソース(卵黄とバターベースに、レモン汁を加えた少し酸味のある黄色いソース)をかけたもの。とろんとした卵が美味しい料理だ……けど、「クラブケーキベネディクト」って、一体。だんなの頼んだ「スモークサーモンとアボカドのベネディクト」と共に、少し想像のつかないものだった。でも面白いので頼んでみる。

「料理の前にフルーツはいかがです?マンゴー、ウォーターメロン、メロン、パパイヤ、ドラゴンフルーツ……」
と注文時に勧められたので、
「じゃ、マンゴーを」
と答えてみたところ、おっそろしい量のマンゴーがやってきてしまった。どどーんと盛られた、おそらく2個分のフィリピンマンゴーは、マンゴー自体がかなりな大きさのものだったようで大変な食べ応えがある。だんなや母たちに分けつつ、「メインの前の一皿」にしてはかなり重めなフルーツをせっせと食べた。ものすごく甘くて繊維っぽさは少しもない、とろりと濃厚な味のマンゴーは今日も格別に美味しい。

……で、やってきた「ベネディクト」。だんなのそれはハムの代わりにスモークサーモンとアボカドを使ったようなもので、私のそれはブリオッシュの代わりにクラブケーキが使われているようなものだった。クラブケーキon青菜のソテーonポーチドエッグonオランデーズソース、という構成の物体が2つ並んで盛りつけられ、サラダも少し添えられている。こんもりした外見のそれは一見可愛らしいものだったけれど、かなり食べ応えがあるものだった。

「2つあるし、1個ずつ交換しよか?」
「うん、するするー」
と、スモークサーモンベネディクトとクラブケーキベネディクトをだんなと半分こ。ポーチドエッグは完璧な火の通り具合で、こぼれる黄身をパンやクラブケーキですくいながらいただいた。

母と息子は今日も楽しくブッフェ料理。具を選んで焼いてもらうオムレツが息子の目下のお気に入りで、今日は
「最初の1個のサイズ、なんとなく小さかったからお代わりするんだー」
とオムレツ2個を平らげていた。チーズとハムを入れて焼いてもらったそれはあまりに美味しかったようで、食後に
「朝御飯を食べましたー♪卵を2つ食べましたー♪卵を全部食べましたー♪」
などという自作の歌まで歌っていた次第。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「Kafe Kelapa」にて
 Caesar Salad
 Pizza(Spicy Chicken)
 Seafood tempura Served with nishiki rice
 Beer(Tiger)

昨日は午前中の数時間を除いては悲しいほどの悪天候だったので、せめて今日は晴れると良いなと思っていた。

「ランカウイの神様ー、もしいるなら、今日一日くらいはスカッと晴らせてやってもらえないでしょうか、息子がプールで遊びたがっています」
と念じていたら、今日は見事な晴れ模様。雲一つないとはいかないまでも、ずっと日差しが感じられる暖かい(もとい、蒸し暑い)一日になった。始終水遊び日和で、今日は一日プールサイドで過ごすことに。

さすがにいつもよりは他の宿泊客の気配を感じられた今日のプールサイドは、それでもガゼボは空いていたし、他の滞在客を見かけるのも両手の指に足りるほど。私たちがずっと遊んでいたのは「ファミリープール」で、少し離れたところに16歳以下は入場不可な大人向けの「ラッププール」もあるということだから、きっと大人の滞在客はそちらでのんびりしているのだろう。ファミリープールにはその名の通り家族連れや、年輩のカップルが多くやってきていた。

お昼御飯は、せっかくガゼボを取れたのだからとそこまで持ってきてもらうことに。プールサイドには「Kafe Kelapa」という軽食レストランがある。レストラン入り口まで歩いていって「メニュー貸してくれる?」とお願いしたら「Certainly」と返事が返ってきた。あそこのガゼボまで持ってきてくれる?との問いにも「もちろんです」と。

薪で焼くピッツァが名物だというこのお店、スパイシーチキンとトマトとモッツァレラ、パイナップルの乗ったピッツァを1枚注文し、あとはシーザーサラダ、そしてだんなは
「今日の"daily spacial"がすごいよおゆきさん!」
と目を輝かせて、今日のスペシャリテ「Seafood tempura Served with nishiki rice」を注文していた。「nishiki rice」はカルフォルニア米だ。つまり「日本の御飯を添えた、シーフード天ぷら」が今日のスペシャリテなのだった。そんなに日本人の滞在客が今日は多いのだろうか。

やってきたボリュームたっぷりのシーザーサラダも、焼きたての薄焼きピッツァもそりゃもう美味しかったのだけれど、そりゃもう面白かったのが「tempura」。大根おろしの上にちゃんとおろし生姜も添えられて、天つゆも見事なまでにちゃんとした天つゆだった。南国らしいプリップリの大きな海老が2尾と、穴子(多分)と白身魚、あとは人参とか赤ピーマン、緑ピーマン、茄子などが盛り合わせになっている。御飯もちゃんとタイ米じゃなくて馴染みのあるもちもちしたお米の御飯だ。欧米のクリスピーなタイプの「フライ」ではなくてちゃんと「天ぷら」になっていて、だんなが大笑いしながら幸せそうに食べていた。

午後は少し早めにプールをあがり、明るい昼間のうちに部屋の「露天風呂」を堪能。お湯をたっぷり張ってバスバブル溶かしてこれでもかと泡たててモコモコにしてぬるめのお湯で長湯した。けっこう曇り空だしと侮っていたけれどいつの間にやらすっかり日焼けしてしまい、普通に肩や背中がピリピリと痛い。夕方少し日が傾いた頃に、ジムで今朝借りてきたマウンテンバイクに乗ってこのホテルの端の方まで自転車こいで探検しに行ったりした。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Buffalo Mozzarella served with Vine Ripend Tomatos and Basil Oil RM62.00
 Smoked Wild Duck Breast with Fig Compote, Quail Eggs and Hazelnut Dressing RM58.00
 Ravioli Filled with Ricotta and Spinach, Cherry Tomato Sauce and Pecorino Cheese RM58.00
 Lemon and Herb marinated Spring Chicken Chive-truffle Mached Potatoes, Natural Pan Jus RM82.00
 Sliced Rib Eye with Balsamic dressed White Beans, Rucola Leaves, Roasted Garlic Sauce RM110.00
 Beef Tenderloin wrapped with Beef Bacon, Seafood Ragout, Roasted Root Vegetables, Malbec Reduction RM120.00
 Vanilla Panna Cotta with Balsamic Strawberry Compote RM36.00
 Peach Upside-Down Cake with Almond Ice Cream RM36.00
 Classic Tiramisu RM36.00
 Beer (Tiger) 3×RM14.00
 Vino (Ribolla Gialla) RM178.00
 Coffee 2×RM12.00
 Espresso RM12.00

夕御飯は、少しばかりお洒落してホテルのメインダイニングに行ってみることにした。朝も昼も営業しているレストランだけれど、夜には「カジュアル」ながらドレスコードつきになり、男性はスラックスかサロンを着用してくださいとホテルのインフォメーションペーパーにも書いてある。……けど、蓋を開けてみれば案外とカジュアルな服装のお客さんたちも多く、ドレスアップした女性を連れた革靴着用の男性たちがいる中、思いっきり「短パンにサンダル」の人もいたりした。カジュアルなのは悲しいことにたいていアジア人だ。日本人とか、韓国人とか。……ホテルの案内、ちゃんと読もうよ……日本語版のホームページにもちゃんと書いてあるし……。

予約時に建物内のテーブルか屋外のテラスのテーブルかを選択できたので、「冷房きついとつらいので、屋外で」とお願いしておいた。ビーチに面するレストランのテラスからはちょうど夕日が良く見えるようになっていて、予約の7時がまさに日没といったところ。赤く染まっていく雲を見ながら、最後は星空の下での食事になって最高にムードのある最終夜になった。南イタリア料理のお店で、メニューの内容もカプレーゼとかカルパッチョとか各種パスタとか、割と見知ったものばかり。昨夜と違って「どれ食べよう……この料理、どんなのだか全っ然想像つかない……」となることもなく(それはそれで楽しいのだけれど)、料理の分量もおおむね予想どおり。デザートまで食べて良い感じにお腹いっぱいになって帰ることができた。

メインディッシュは1人1皿にしようということで、母がひな鶏のグリル、だんながルッコラや白いんげん豆を添えたリブアイステーキ、私がビーフベーコンを巻いたテンダーロインステーキ。前菜は2皿、そしてパスタ1皿をこれは全員でシェアすることにした。前菜やパスタは思ったより分量軽めで「お、これは1人1皿の前菜でも余裕だった?」と思ったのだけれど、メインディッシュは素晴らしい分量のものがどどーんばばーんとやってきて、胃袋の容量の収支が最終的にはぴったり合った、みたいなことになった。

前菜は、完熟トマトと水牛のモッツァレラチーズのカプレーゼと、「Daily Chef's Special」だったスモークワイルドダック。トマトとモッツァレラが美しく重ねられた皿と、ダックの方にはいちじくのコンポートとうずら卵、ヘーゼルナッツのドレッシングが添えられている。イタリアから空輸しているのだというモッツァレラが素晴らしく美味しかった。薄切りにされたスモークダックも良い感じ。甘いいちじくのコンポートが少しばかりの野生味を感じさせるダックに良く似合う。

たくさんあってもお腹が膨れてしまうしと1皿だけ頼んだパスタは、リコッタチーズとほうれん草を詰めたトマトソースのラビオリ。1つ1つのラビオリがけっこう大きめなサイズで、生のプチトマトも混ぜられた爽やかなトマトソースがたっぷり添えられていた。

イタリアの白ワインをボトルでいただきつつ、ボリュームたっぷりのメインディッシュは温野菜と魚介のラグーを添えた、ビーフベーコンで巻いたテンダーロインステーキ。どかんと300gくらいはありそうなボリュームで、だんなの皿も母の皿もそれぞれ迫力のある外見だった。母は早々に「ムリムリムリ、全部は食べられないわ」と言っていて、母の皿は私とだんなで手伝うことに。小山のような黒トリュフ入りマッシュポテトが添えられていて、それが素晴らしく美味しかった。ワインにあまりに似合うものだから、ワインもくいくい進む。

デザートは、母がバルサミコで和えた苺を添えたパンナコッタ、だんながクラシックスタイルのティラミス、私がアーモンドアイスクリームを添えた「ピーチのさかさまケーキ」。大きな桃がてっぺんに乗せられたほのかに温かいケーキで、濃厚なアーモンド味のジェラートが添えられていた。リキュールの効いただんなのティラミスも、生クリームのものすごく濃厚な味がするだんなのパンナコッタも少しずつ味見させてもらったけれど、どれも程良い甘さの美味しいものばかり。

部屋に帰る頃には、空には満天の星が広がっていた。母と息子と部屋の前で別れてから、だんなと2人で浜辺に出てみた。頭上には見事な天の川が広がっていて、
「あっちが西だったよね」
「じゃあ北はこっちで……あれが北極星かな?」
「ついオリオン座から探しちゃうよね」
「オリオン座、今は見えないだろう……あの天の川にかかってるのが白鳥座じゃなかった?」

確か、夏休み頃にプラネタリウムに行って「夏の大三角形」とか覚えてきたはずなのに、実際の星空を前にするとなかなか思い出せないもので、それでもこんな見事な星空は本当に久しぶりで嬉しかった。
あああー、早いもので明日にはもう帰宅だ。

10月9日 火曜日
ホテル最後の御飯は「ナシゴレン」でした
「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
 Br. Buffet (Adult) 3×RM106.50
 Br. Buffet (Child) RM53.00

バカンスも今日で終わりで、今日の午後にはホテルをチェックアウトしなければいけない。昨夜のうちに恐怖の「本日午後3時までの滞在費明細書」も届き、いよいよ旅行も終わりという感じになってきた。ホテルからの好意で、チェックアウトは午後2時で良いとのこと。なら午前中は思う存分プールに行けるねと外を見れば、今日もとても良い天気になりそうだった。

今日もだんなより早く起きた息子が、母の部屋からそーっとこちらの部屋に御機嫌伺いにやって来て、数分ごにょごにょと私と2人で相談した結果、2人で自転車に乗ってリゾート内の散策に行くことにした。だんなはまだ寝ている模様だったので、2人でこっそり着替えてヴィラの前に止めた自転車に乗って、海岸に行ったりフロント方面にサイクリングしたり。途中、やけに木がガサガサいっているところがあるなと思っていたら、目のあたりに白い毛の生えている尻尾の長い猿が数匹、楽しそうに木の上を飛び跳ねていた。茶色い毛並みの大きなリスもたくさん見かけた。雲は少なく、でも朝日の当たる場所にあった大きな雲がバラ色に輝いている。

朝御飯は、今日もいつものレストランで、今日はブッフェで。これが最後と悔いのないように色々食べてきた。マレーシア風の"サンバル"の味はやっぱり私の好みなものが多いようで、今日も"SAMBAL SOTONG"(鶏肉の煮込み)とか"SAMBAL UDANG"(海老のチリソース煮込み)とか、多めによそって持ってきた。優しい味のダールカレーもあったので、今日もそれを。
今日食べたものは、こんな感じ↓

  • ミックスサラダ
  • スモークサーモン、チェダーチーズ、ブルーチーズ
  • "SAMBAL SOTONG"、"SAMBAL UDANG"
  • ダールカレー
  • マレーシア風パンケーキ
  • マンゴーソース添えワッフル、バナナパンケーキ
  • マンゴー、パイナップル、すいか
  • フルーツカクテル ヨーグルトかけ
  • オレンジジュース、マンゴージュース、紅茶

今日知ったのは、「不味いマンゴーは本当に不味い」ということ。外見は黄色く熟れていて美味しそうな果肉なのに、時々おっそろしく酸っぱくて渋いマンゴーも混ざっていた。
「うっわ、ハズレマンゴー食べちゃった……」
「あ、俺のもこれ、ハズレマンゴーだった」
今日はフルーツコーナーに"ハズレマンゴー"が1個分ほど混ざっていたようで、うっかりそれを持ってきてしまった私たちは渋い渋い言いながらなんとかそれを平らげていたのだった。渋いマンゴーは渋い桃なみに美味しくない。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「Kafe Kelapa」にて
 Checken Satay 1/2 RM38.00
 Nasi Goreng Pulau RM52.00
 Roasted Vegetable Sandwiches RM46.00
 "Kelapa" Club Sandwiches RM50.00
 Kids Spaghetti Cream RM18.00
 Beer (Tiger) 3×RM14.00

今日はまた、昨日に輪をかけて良い天気。いかにもな夏の雲が水平線近くに見えて、でも頭上あたりは雲一つない快晴。気温も朝から高く、こりゃまた絶好のプール日和だねとプールで遊びまくった。息子はこのバカンスでまた泳ぎが上手くなって、私でも背伸びをしないと足がつかない150cmの深さのプールだというのに、私がある程度真剣に泳がないと追いつかれてしまうほどのスピードで泳いで追いかけてくるようになった。泳げるのはまだ15m前後というところだろうけれど、深いところでも危なげなく泳げるようになったのは大きな収穫なのだろう。

まだ遊ぶ、まだまだ遊ぶ、と、結局「すぐ帰ってシャワー浴びて準備しないとチェックアウトの時間になっちゃいます」という頃までひたすら水遊び。今日は波も穏やかだったので少しだけ海の方にも行き、波打ち際で貝殻を拾ったりもした。

お昼御飯はチェックアウトを終えてから、ホテルに荷物を預けて空港に移動するまでの2時間ほどの間にホテル内で。昨日のお昼にもプールサイドでお世話になった「Cafe Kelapa」という店で各自好きなものを注文した。母とだんなはサンドイッチ、息子はスパゲティ、私はこれが最後と「ナシゴレン」。

island fried rice with curry fried chicken,prawn sambal, mango kerabu and cracker

と説明のあったナシゴレンは、スパイシーな手羽元肉のフライドチキン、海老のガーリック風味の煮物、マンゴーが入った酸味のあるサラダ、海老せんべいが添えられている。こんもり盛られたチャーハンの上には薄焼き卵と刻み葱も散らされていて、パラッパラのタイ米が香ばしくて良い感じだった。あまり味の強くない、さっぱり味のいわゆる「チャーハン」で、だんなのクラブハウスサンドイッチと少しずつ交換して食べた。クラブハウスサンドイッチの方も厚切りのアボカドやレタスやトマトがたっぷり挟まっていてとても食べ応えがある。

食後はライブラリーで数十分時間をつぶして、ホテル内の売店を少しだけ見て歩き、そうこうしているうちにあっという間に空港に向かう時間に。今日は本当に見事なまでに夏の日差しの一日で、陰影の強く浮き出た夏の雲に見送られるようにランカウイを後にした。到着時には雷雨だったうえ、2日には見事な荒天の一日だったから、「あとの日程もこんな天気だったらどうしましょう」と本気で心配していたのだけれど、結局は家族皆焼き豚色の良い色にこんがり焼けて帰国することになった。リゾートに宿泊客もそう多くなかったようで、とても静かな数日間だった。

クアラルンプール 「Deli France」にて
 Spaghetti Bolo RM13.30
 Spaghetti Carbonara RM13.30
 Lasagna 2×RM13.30
 Iced Latte RM9.50
 Iced Coffee RM9.00
 Brewed Coffee RM6.90

ランカウイから1時間のフライトでクアラルンプールへ、そこから3時間ほどを経て深夜発のJAL便で成田空港へ。午後7時から10時までの時間を空港で過ごさなければならず、かといってクアラルンプール市街へ出るほどの時間的余裕もなく、仕方なしに空港内で夕御飯を食べられるところを探した。バーガーキングやスターバックス、チェーンのピザ屋などはあるものの、これという店がなかなかない。

「……ここで……いっかな?」
「スパゲティとかパンの類もあるみたいだしね……」
と、入ってみたのがセルフサービス式のカフェレストラン「Deli France」。温かい料理のセットメニューはスパゲティでありラザニアであり「どこがフランスだ」という感じだったうえに、フランス人が口にしたら怒り出しそうなほどのイマイチな味の料理だった。私の頼んだラザニアは、多分かなりまともな方だったのだと思うけれど、だんなと息子の頼んだスパゲティは、燦々たるものだった。

お客の目の前で冷凍庫らしきところから袋入りの麺を取り出し(外見は給食の"ソフト麺"にかなり近いものが)、皿に盛りつけたその冷たい麺にパスタソースをかけ、あとはレンジでチーンという感じ。私のミートラザニアも、母のクロックムッシュも温めは「レンジでチン」だったようだけれど、幾分かはまともな感じのものが皿に盛られて出てきた。パスタの方は、いやもうなんだかすごいとしか言いようがない。アメリカでグダグダ麺の美味しくないパスタは何度か口にしていたけれど、そのアメリカ人もびっくり、というような希有な存在のパスタだった。何しろカルボナーラスパゲティが大好物で、どの店のそれにも文句を言ったことなどまずない息子が、この店のカルボナーラにはダメ出しをしている。

「ソースがね、クリームっぽくないの、クリームっぽさが足りないの。そして麺は、もっと固い方が美味しいと思う……」
こんな柔らかいスパゲティはスパゲティじゃないよ、と日本人のガキんちょにダメ出しされてしまうほどダメなパスタなのであるらしかった。土産物のチョコレートやお酒、化粧品のお店だけはやたらと充実していたけれど、もう少し食べ物のお店があれこれあると嬉しかったぞクアラルンプール空港。ソトアヤムとか食べられたら超嬉しかったぞクアラルンプール空港。

10月10日 水曜日
日本に帰ってきたぞー、ということで
JAL機内食
 鮭・人参・山菜の煮物
 がんもの含め煮・玉子焼き
 ゆかり御飯
 フルーツ・ヨーグルト
 ゆずドリンク・日本茶

昨夜、11頃発のJAL便に乗って無事に成田に帰ってきた。離陸直後に飲み物とマーブルケーキが配られたので、コンソメスープをもらいつつそれをしっかり平らげて「朝食でーす」と起こされるまで爆睡。息子は朝食どころかケーキすら口にすることなく、飛行機内では最初から最後まで寝っぱなしだった。昨日は昼過ぎまでプールで遊んでいたし、よほど疲れていたんだろう。

行きの便でも悩まされた台風(今は温帯低気圧になっているらしかったけれど)が今も台湾付近に居座っているようで、帰りの飛行機も台湾を通過するあたりにぐらんぐらん揺れた。「揺れるなー揺れるなー揺れんといてくれー」と頭の中で呟きつつ、あまり眠れなかった今日の朝。朝食はけっこう軽めの、和風のものが供された。

ゆかり御飯に、鮭やがんも、玉子焼きなどなど。フルーツとヨーグルトはいかにも異国な感じのものだったけれど、そういえば「プレーンな白い御飯」は久しぶりに口にした気がする。隣に座った母は
「やっぱりこうなると日本の食べ物が恋しいわねぇ……今日の夜はお寿司にしない?」
などと言っている。魚介はけっこう食べてきた気がするのだけれど、寿司となるとまた別で、一同「さんせーい」と諸手をあげつつ我が家まで帰ってきた。

「サンジェルマン」の
 コロッケサンド
 アップルパイ
カフェオレ

息子は朝食を食いっぱぐれ、大人の方も眠くて全部は食べきれず……という状況だったので、自宅の最寄り駅に到着する頃には空腹に。ハンバーガーを食べたい息子はだんなと一緒にファーストキッチンに買い物に行き、私は母と駅前のサンジェルマンでパンを買うことにした。ガツンとしたものが食べたいなということで、コロッケサンド。甘いものも恋しかったのでアップルパイ。帰宅してまずは洗濯機を回してから、だんなが淹れてくれたコーヒーで一休みした。

旅行中、一度も「ああ、日本の食べ物が恋しい」と思うことはなかったのだけれど(その気になれば朝食ブッフェで御飯も味噌汁も焼き鮭も食べられたし)、帰ってきてみると、塩焼きにした秋刀魚があたりが恋しくなってくる。
最後にお風呂に入ったのは昨日の昼過ぎだったしということで、ひとっ風呂浴びたら力尽きて、そのまま昼寝。

「銚子丸」にて
 白子軍艦
 秋刀魚握り
 まぐろカマトロセット
 なめろう軍艦
 まぐろ頭トロ炙りにぎり
 まぐろホホ肉炙りにぎり
 大トロ握り
 うずら納豆軍艦
 秋刀魚のつみれときのこ汁
 生ビール・日本酒(八海山 本醸造)
などなど

夕方4時か5時頃になったらお寿司屋さんに行こうかー……と話しつつ、私が爆睡、母も爆睡。息子とだんなは2人して起きてテレビゲームなどに興じていたけれど、そういえば今日は習い事の日だったのだと息子が夕方出かけて行った。息子が帰るのを待ってから、皆でバスに揺られて最寄りの銚子丸へ。

母が帰国早々
「お寿司!」
と言い出したのにも驚いたけれど、お寿司あれこれつまみながら
「そうねー、秋田に帰っちゃう前に、あと1回はここ来なきゃねー」
と言っていて、母はそれほど寿司が好きだったのかとまたびっくりした。……でもお母様、まだ「しゃぶしゃぶ」とか「焼肉」とか「とんかつ」とか、召し上がっていないものがたくさんあるような気がします。私は秋刀魚の塩焼きが恋しかったりするけれど、「焼き魚?そんなものは食べたいとは思わないわねー」とは、還暦を過ぎた人の言葉とはとうてい思えない。

今日は、先日も開催中だった「ブリ祭り」に加えて、マグロのキャンペーンも行われているよう。カマトロの軍艦と握りのセットとか、ホホ肉の炙りの握りとか頭の部分のトロ(カマとは違うらしい……)の炙りの握りとか、面白いものがポスターになって紹介されていた。当然食べてみるよねとそれらを適当に注文して皆で分けつつ、いよいよ季節到来という感じの白子の軍艦なども。

マグロたちはもちろん美味しかったけれど、今日もとろけるような舌触りの秋刀魚の握りとか、臭みのない秋刀魚のつみれ入りのきのこ汁などもしみじみ美味しかった。きのこ汁の澄まし汁を啜って、ああ私けっこうこういう味に飢えていたのかも、と思い知る。
やっぱり自分たちは日本人だ、と感じ入りつつ、でも旅行のあれが楽しかったこれが楽しかったやっぱり帰ってきたくなかったなどと言いながら帰宅したのだった。

10月11日 木曜日
地元で食べた、ぶっかけうどん
「サンジェルマン」のツナパン
カフェオレ
梨と柿

昨日買ってきたパンで朝御飯。

パンにツナだのマヨだのコーンだのが乗っているのが私は大好きなのだけれど、そういえばそういうパンは旅行中に見なかったのだった。ホテルの朝食のパンは、チョコレートデニッシュだったりチーズデニッシュだったり南国のフルーツのデニッシュだったり、あとは食パンとかパウンドケーキのようなものだった。

どれもこれも美味しそうだったけれど、お粥も食べたいナシゴレンも食べたいということで、パンはそれほど食べていなかったなと思い出しつつ、馴染みの"我が家のコーヒー"を淹れつつの朝御飯。今日から息子は学校、だんなもお仕事。私もお仕事山盛りだ。

「杵屋」にて
 海老天ぶっかけうどん 750円

仕事はあれど、今晩の食材も、危機的状況にあったトイレットペーパーも買いに行かねばならないということで、昼前に母とチャリンコでお出かけ。お昼御飯はどうしようということで、スーパーのフードコートに寄ることにした。確かここにはモスバーガー経営のオムライス屋さんがあるんだよ、などと話していたのだけれど、オムライス屋さんはいつのまにか閉店していた。

「がーん……」
「あららぁ、ないわねぇオムライス屋さん」

でもちょうどお昼時だし何か食べないと、ということで、入ってみたのはチェーンうどん屋さんの杵屋というお店。母は店頭メニューの「かつ丼セット」の見本を見て
「私、これ食べたい」
とか言っていた。
「でも、セットのうどんは要らない」
とか言っている。

いや、ここうどん屋さんだから、丼ものにも漏れなくうどんがつくんだよ、ほら、冷たいのでも良いって書いてあるし……と話しつつ、こりゃ絶対母のうどんは私のところにやってくるなと思って、私はなるべく軽めのものにすることにした。天丼セットなどというものは頼まないことにして、私は海老天のぶっかけに。海老天ひとつ、ちくわ天2切れ、かつおぶしと海苔としその葉と大根おろしが添えられたうどんだった。店頭に「讃岐」の文字はあるものの、ぶっかけのだしなどにいりこの風味は全くなく、関東風の普通のうどんといった感じだ。

そうそう、とんかつもね、食べなきゃと思っていたのよー……と、母は昼から楽しそうにかつ丼を食べていた。母のセットのうどんが私のところに来るかと思いきや、
「はい、かつ丼あげる。あんたかつ丼も食べたいって言ってなかった?」
と、1/4ほど残されたかつ丼が私の元に。うどんの方は「あらー天かす乗ってるのね、冷たいのね、美味しそうだわー」とこちらは綺麗に平らげていた。

本屋寄って食材の買い物して、懸案のトイレットペーパーもたっぷり買って、のんびり帰宅。

レーズンバター
チーズパン、長期熟成食パン
グリーンサラダ ローストビーフ添え
鶏ときのこのクリームシチュー
ビール、銀座カクテル

やけに涼しくなってきたこともあって、今日の夕御飯はクリームシチューを作ることにした。鶏肉とじゃがいも、にんじん、玉ねぎ。秋らしくきのこも入れよう、と、スーパーできのこも見てきた。

「由紀ちゃん、エリンギは入れないの?」
目の前の野菜棚にはしめじとエノキと椎茸と舞茸があったので、とりあえずしめじとエノキを籠に入れた。エリンギ、この棚にはないみたいだよ?とエリンギはスルーの方向で歩き出したら
「……エリンギは、入れないの?」
と。母……そんなにエリンギ好きだったの?と、ハーブなどが並んでいる冷蔵コーナーも見に行ったらやけにお高いエリンギがちんまりと売られていた。なぜか今日、エリンギはお安くなかった。

「ほら、エリンギあるじゃない」
エリンギ入れる気満々らしい。
というわけで、エリンギも入れることにした。きのこで一番好きなのは舞茸だけれど、あれは香りが強すぎるからシチューには似合わない。吸い物に入れると最高なんだけどね。エリンギは良い意味でも悪い意味でもクセがないので、シチューなどの煮物にも普通に使える。

具沢山のシチューが良いなと、シチューの素の説明書きの、水と牛乳の量は書いてあるとおりに、その他の材料は肉も野菜もほぼ倍の量を入れてシチューを作った。汁気の少ない、シチューというより「クリーム煮」といった外見のものができたけれど、それはそれで。

母が買ってきたパンも少し切り、レタスと玉ねぎときゅうりのサラダにはローストビーフもトッピングして、洋風な感じの夕御飯になった。
スーパーで
「あ、これ、美味しいんだよ、どれもすっごく美味しいの」
と私が勧めて母が買うことにした銀座カクテルも、マンゴー味のを開けてみる。全部買いましょう全部全部、と、今、我が家の冷蔵庫には銀座カクテルのマンゴーもピーチもグレープもグレープフルーツもメロンも冷えている。美味しかったらたっぷり買い込んで秋田に持って帰る気らしい……(秋田のスーパーや酒屋でも売ってると思うんだけどなぁ)。

10月12日 金曜日
しらす!しらす!釜揚げしらす!
鶏肉ときのこのクリームシチュー
バターロール
アイスミルクティー

「昨日のクリームシチューがまだまだありますがー」
「食べるー!大盛り!」
「……朝から嬉しいこと言ってくれるねぇ……」

息子は良く食べるなぁと思いつつ、私もシチューの朝御飯。パンは小さめのロールパン1個。
汁気が多めより具沢山が嬉しい!と作った今回のシチューだったけれど、やっぱり具沢山にも限度というのがあるだろうと知った今回。今度は「具を表示の2倍」ではなく「具を表示の1.5倍」くらいに抑えておこうと思った。

「田吾作」の牛しぐれ弁当
抹茶入り玄米茶

今日の午前中は仕事もなく(正確には返答待ちで)のらりくらりと過ごしていた。テレビゲームなどに興じていたら、
「暇ならホームセンター行きましょうよ、花買いに。あんたん家、鉢植え隨分少なくなっちゃったじゃない」
と、母が。

「ん?いいよー。……花買ってきたら植えてくれるの?」
鉢ならベランダにいっぱいあるし土も買い置きのがあるよと答えたら、
「いやーよ、あなたが植えなさい」
えええー。花買ってきて、植えろとおっしゃいますか。

でも今、仕事のお返事待ちなんだよ、お返事来たらやることドバーッとあるんだよ……と話していたところで、そのお返事が届いてしまった。思った以上にやることがたくさん。2つ3つの作業かと思ったら7つ8つくらいの作業だった。
ごめん、ムリムリムリ、外出無理、花植えるの無理……と、今日のところは外出は止めにしてもらって、私は真面目にお仕事を。しょうがないわねぇと母が駅前に出かけて総菜屋さんのお弁当を買ってきてくれた。土日は極力仕事しない主義なんで、日曜に花買いに行きましょう。しゃぶしゃぶも食べましょう。

買ってきてくれたのは、おこわ屋さんのせいろ飯弁当。筍などが入った薄茶色の炊き込み御飯に甘辛く煮つけた牛肉が乗った小ぶりの丼もの。甘く煮た椎茸と漬物などが添えられていた。

母が剥いてくれたリンゴを食べつつ、そういえばいつのまにか冷蔵庫に梨だの柿だのリンゴだのが大量に入っていたなと思い出す。ああ、誰かが剥いてくれた果物を食べるのってなんか嬉しい。

枝豆
ミックスサラダ
冷や奴
秋刀魚の塩焼き 大根おろしとシークワーサー
釜揚げしらす
しじみの味噌汁
羽釜御飯
ビール(プレミアムモルツ、ニッポンプレミアム)

今日の午前中、COOK & DINEでだんなが注文してくれていた釜揚げしらすが届いた。

何度か買っているけれど、「朝5時頃に漁に出て、当日の午前11時頃に塩のみを使って羽釜で炊いて、即日発送して翌日午前に手元に届く」というこのしらす、めっちゃめちゃ美味しい。真っ白でふくふくしていて絶妙な塩加減で、なんかこう、クジラにでもなった気分で小魚をばくばく食べられる嬉しい品だ。スーパーなどで買ってくる、どこかパサパサとした水気の飛んだようなしらすとは全く全然根本から違うという感じ。

「……今日、外食しようとか言ってたけど、やめにしていい?しらすが届くんだー」
だから今日は家で夕御飯にしないといけないんだー……と母に宣言して、今日は和風の夕御飯にすることにした。豆腐か大根の味噌汁と炊きたて御飯にしらす乗せて、あとはせっかくだから秋刀魚の塩焼きかな、美味しい豆腐も買えるといいな、とわくわくしている私の横で
「私、魚要らないからね。秋田で魚ばっかり食べてるの。だから秋刀魚とか要らないからね」
と母はつれない事を言っているのだった。せっかくこっちに来てるんだからこっちでしか食べられないものを食べるのと、夕飯はキッシュを買いに行くことにしたらしい。……ま、シチューも残ってるしサラダの材料もあるからなんとかなるかな。

そういうわけで、「おばあちゃん&息子」の洋風御飯組と、「だんな&私」の和風御飯組に見事に別れた夕御飯。母と息子は久しぶりのキッシュ(お総菜屋さんのFLOで買ってきたのであるらしい)に嬉しそうにかぶりついていた。シチューまで食べた息子は、でもちゃっかり釜揚げしらす乗せ御飯も堪能している。

私とだんなは徹底的に和風な感じで、おろし醤油とシークワーサーを添えた秋刀魚の塩焼き、冷や奴。味噌汁まで魚介にするつもりはなかったのだけれど、魚屋さんで見慣れない貝を勧められてしまい、ついそれを買ってきてしまった。なんでも広島のしじみらしい。

「地元で食べられちゃうしじみでね、あまりこのへんには出回らないんだよー。味噌汁にするとね、サイッコーだよっ!」
と勧められたその貝、どう見てもしじみのサイズじゃない。脇で売られているアサリよりも大きいくらいで、はまぐりと言われても頷いてしまいそうなサイズだった。茶褐色のその貝殻の色は確かにしじみなんだけど……とおっかなびっくり買ってきて味噌汁にした。やっぱりはまぐりみたいなサイズだ。

ビールの肴に焼きたて秋刀魚を堪能し、秋刀魚をすっかり食べ終えたところでしらす飯としじみの味噌汁に移行。
しじみの味噌汁は、確かにすごく美味しかった。大きなぷりっぷりの身はやっぱりはまぐりサイズに近いものがあって、でもたまらなく美味しいだしが取れた。魚屋のおっちゃんありがとう……と感謝しつつ、そしてしらす御飯を一口ごとに「うまー」「うまー」言いながら食べた。

相変わらずふくふくで柔らかくて臭みがなくて、たまらなく美味しいしらす。御飯が見えないほどにどっさり乗せて、御飯にしらすを添えたものなのかしらすに御飯を添えたものなのかよく分からないバランスの食べ物をわっしわっしと食べた。御飯はほんの3〜4口分しかよそわなかったのだけれど、しらすのおかげでお腹いっぱい。

2パック届いたそれはかなりの分量があったので、半分は冷凍しておくことにした。
アーリオオーリオベースのしらすのスパゲティとかにしてもきっと美味しい。

10月13日 土曜日
ヘビィなランチでした……(もはや夕飯)
バタートースト
クリームシチュー
アイスカフェオレ

昨日、「今日のお昼はしゃぶしゃぶ食べに行きましょうかねー」なんて話していたところで、母がぽつりと
「……今週末、パークハイアットのニューヨークグリルってお店に行けるかしらね?」
と呟いたのだった。今週末って、今日は金曜だから明日明後日のことですか?あそこのランチは確か前菜とデザートがブッフェスタイルで、今これからしゃぶしゃぶ食べに行こうって時にまたそんな事言いますか……と、少し呆れていたら
「あら、そのお店、あんたたちは嫌いなの?」
と言い出した。いーや、嫌いじゃないです……大好きです……。

とりあえず、席が空いているかどうか聞いてみないことには始まらないし……と問い合わせてみたら、実にあっけなく「今週末のランチでしたら土曜日も日曜日もお席を御用意できます」とのこと。だんなが土曜の午前中に都内のマッサージ屋さんに行くと言っていたなと、その後に合流できるタイミングでと遅めの時間で予約を入れてもらった。というわけで、今日は新宿のパークハイアット東京ー。

何も食べずに向かうのもなと、トーストとシチューで朝御飯。
母がせっせと頻繁に「アンデルセン」や「サンジェルマン」でパンを買ってきてくれる。やっぱり長時間熟成食パンは美味しいわよねー、と先日も1斤丸々の食パンを買ってきてもらったので、それをスライスしてバタートーストに。

新宿 パークハイアット東京内「NEW YORK GRILL」にて
 ブランチメニュ \6,200
     ロデレール エステート スパークリングワイン
     ブッフェタイプの前菜
     オーストラリア産骨付仔羊のロースト 米茄子のピューレ ターキッシュラタトゥイユ添え
     ブッフェスタイルのデザート
     紅茶(アッサム)

レストランの予約時間より1時間半ほど早く新宿に着くように家を出て、新宿パークタワー内を散策。コンランショップを眺め歩き、手頃な花瓶とサラダ用の取り分け皿が欲しいんだけどなとキッチンツール売り場をゆっくり見たのだけれど、これという品は見つからず。ホテル前で無事にだんなと合流でき、上階のNEW YORK GRILLに向かった。

週末祝日のランチメニューは、前菜とデザートがブッフェスタイル、メインディッシュが選択制なのに加えて食前酒にスパークリングワインがついてくるらしい。つい、流行のシャンパンブランチかと思って「スパークリングワイン飲み放題!?」と早合点してしまったのだけれど、残念ながらこのコースのスパークリングワインは最初の1杯だけなのだった。

メインディッシュ、私は
オーストラリア産骨付仔羊のロースト 米茄子のピューレ ターキッシュラタトゥイユ添え
というものにしたのだけれど、他にも

  • オーストラリア産牛リブアイのグリル クリスピーポテト シャスールソース
  • 築地市場より本日の鮮魚のグリル ズッキーニのマリネ サルサヴェルデ
  • ハーブで育てたポークロインのグリル キャベツのブレゼ レンズ豆 マスタードソース
  • 茨城産若鶏のフライドチキン クレソンのタブレと共に
  • 蛤とアスパラガスのリゾット 香草風味
といった選択肢が。牛肉のグリルは追加料金を払うことで和牛に変えてもらうことも可能だそうだ。母はポークを、だんなはリブアイを選択していた。子供には同料金(3000円くらい)で、前菜とデザートのブッフェのみか、前菜とデザートは抜きのメインディッシュのみ、のどちらかの選択肢があるという。色々食べられた方が良いでしょうということで、息子はブッフェを。

相変わらず充実した前菜&デザートコーナーだった。
オリーブ油で和えられた甘いトマトの皿には水牛のモッツァレラチーズの皿が並んでいて、その間にバジルソースの器がある。自分でカプレーゼを作って皿に盛りつけられるようになっていて、それをはじめとして、充実したドレッシングが添えられた葉野菜のサラダ、豚肉とアサリのトマト煮込み、グラタン仕立てのじゃがいもとオリーブのサラダ、きのこのマリネ、焼き野菜のマリネ、マスタードソースのローストビーフ。あとはキッシュ、田舎風パテ、小さなガラスの器に盛られた魚介のサラダ……といった感じ。

「あのね、このお店、メインディッシュかなりのボリュームだからね。調子に乗って前菜お代わりとかしてると、メインディッシュ食べきれないことになるからね」
そう母に忠告していたのだけれど、前菜を食べ終わってからメインディッシュがやってくるまでにけっこうな時間があったものだから、だんなが席を立ち、母も席を立ち、最後には私も席を立ってしまって2皿目の前菜に突入してしまった。どれもしっかり仕事がしてあって、野菜が豊富なのも嬉しい。シンプルながら焼き野菜のマリネなどがとても美味しい。カプレーゼも、チーズはお腹が膨れるなと思いつつ、ついついたっぷり持ってきてしまった。

「あらー、大きなお肉ねー」
やってきた大皿のメインディッシュを前にして、食べきれないわね、これは……と呟く母に「だから言ったじゃないー」とツッコミを入れつつ、肉だったら手伝ってあげられるよとだんなと私で母のポークロインのグリルも手伝うことにした。柔らかでジューシーで美味しい豚肉。

私の選んだ仔羊のローストも(なんでこういう時、私は羊ばっかり食べてしまうのか……)、臭みのない柔らかな美味しい肉だった。断面は見事にロゼ色をしていて、その骨付き肉の厚切りっぷりときたら驚くほどのボリュームだ。それが2切れドドーンと皿に乗っていて、それが仰々しい盛りつけではないから却って肉の大きさを引き立たせている。添えものは、ソースのように帯状に皿に敷かれた米茄子のピューレと、トルコ風のラタトゥイユ。特にスパイシーとかいうことはない、自然な味のラタトゥイユだった。

遅めの入店だったため、メインディッシュを食べ終わる頃にはランチのオーダーストップの頃合で、フロアのお客さんも隨分少なくなってきていた。
「デザートは場所を移してあちらのラウンジでいかがですか?」
と勧めてもらって、明治神宮が良く見おろせたテーブルから東京タワーやドコモの本社ビルが良く見えるソファ席に移動。お茶を飲み飲みデザートもしっかり堪能した。

前菜もデザートも、料理それぞれに説明の札がないのが難点で、前菜こそ見て素材がわかるものが多いけれど、デザートときたら
「……この色合いはコーヒーゼリーかしら……いや、でも、上にトッピングされてるのって、小豆だよなぁ……」
と不思議に思いつつ貰ってきてみたらどうやらウーロン茶のゼリーだったり、マンゴーのムースかと思ったらパッションフルーツがベースになっていたりと、その予想との違いも楽しみつつもぐもぐと。私たちはほぼ最後のお客という感じだったのに、デザートコーナーは閑散とした感じもなく、次々新しいプレートが並べられていたのがすごかった。最後の最後に出てきた洋梨のケーキもついつい一切れ。

デザートに食べたのは、パッションフルーツのムース、バナナのタルト、いちじくを添えたカスタードプリン、プチシュー、豆腐花、ラズベリーを乗せたミルクプリン、レモンのジェラート。食べたいなと思ったものの半分ほどしか食べることができず、ケーキの類はお腹がいっぱいでほとんど口にすることができなかった。チョコレートケーキなんかもすんごく美味しそうだったし、最後の方に出てきたトライフルも良い感じだった。

もうすっかりお腹いっぱいで、ペストリーショップもゆっくり眺めるつもりだったのに「あ、ダメ、ケーキと目を合わせられない……」という感じでスコーンだけをお買いあげ。1階のデリコーナーで母は「明日の晩御飯でも大丈夫かしらー」とテリーヌを数切れ包んでもらっていた。ああ、テリーヌとも目を合わせられない。

他に寄り道をすることもなく淡々と帰宅して、そして当然のように夜になってもお腹は空かず。夕飯はなんにも食べられなかった。

10月14日 日曜日
初めて食べた、いちじく入りのスコーン
「パークハイアット東京」のスコーン2種
クロテッドクリーム・ジャム4種
ミルクティー

昨日の午後、ボリュームたっぷりランチの後でパークハイアット東京のペストリーショップを少しだけ覗いてきた。あそこのバナナブレッドはすごく美味しいし、ケーキもデニッシュ類も魅惑的なものが(今から思えば)多かったのだけれど、何しろお腹いっぱいだったので、その時はそれらはとても直視できない気分だったりした。

何買う?何か買いましょうよ、何か欲しいものは?と言う母に
「……あ、スコーン売ってるよ、スコーン……クロテッドクリームも扱ってるってよ」
と、カウンターの上に並べられた2種類のスコーンと、そのスコーンの前に「クロテッドクリーム」の商品札も見つけて母に伝えた。

クロテッドクリーム、輸入品の便入りのかなと思いきや、国産の見慣れたナカザワのクロテッドクリームだったのがある意味安心な感じで、それも1パックつけてもらってスコーンを1人2個見当で合計8個お買いあげ。プレーンタイプと、もうひとつは「いちじく入り」という少し変わったものだった。干し葡萄や紅茶の茶葉が混ぜ込まれているのは普通に見かけるけれど、いちじく入りというのはちょっと面白い。濃いめに淹れたアッサムティーを用意して、各自適当にミルクティーにしつつ久しぶりのスコーンの朝御飯となった。

あらーあんたん家ジャムのひとつもないわけ?と、昨日母が夕方買ってきてくれたのは、ブルーベリージャムにリンゴジャム、マンゴージャムに洋梨ジャムと種類豊富。小皿にジャム入れて並べておいたら食卓がやたらと華やかになった。母が選んだジャムがたまたまそういう傾向のものばかりだったのかもしれないけれど、最近のジャムは甘さ控えめなものがやたらと多いなと思う。スコーンにつけるなら、しっかりした甘さの方が好みかも。

久しぶりのスコーンは母ならずとも楽しいもので、さすがパークハイアットと思わせられる上質なスコーンもまた、とても美味しかった。水気の少ないパサパサポソポソしたスコーンの方がよりスコーンらしいのだろうと思うけれど、このスコーンは少ししっとりした感じの柔らかな口当たりのもの。パサパサポソポソ系の口当たりのものが今ひとつ苦手なだんなも「このスコーンは旨い」ともしゃもしゃ食べていた。

昨日レストランで食べたプリンにもいちじくは添えられていたけれど、甘くてもどこか掴み所のない味するこの果実の味がけっこう好き。

「モスバーガー」の
 サウザン野菜バーガー
 モスチキン
 ミネストローネ
アイスカフェオレ

精力的な母は「今日は千葉市内の美術館まわってくるわねー」とお出かけしていった。私たち一家は旅行の疲れを癒すべく(?)家でおとなしーくゲーム三昧。

「昼……どうする?冷凍御飯、すごい溜まっちゃったから解凍してしらす丼とかにして食べる?」
「うーん……ラーメンとかどうよ」
「うん、ラーメン良いよねぇ……」
「でなきゃココイチとか、モスバーガーとか、宅配で」
「ぼくココイチがいいー」
「私、ココイチだったらモスがいいー」
あーだこーだとやる気のない話をした結果、モスバーガーにすることに。しかも宅配サービスをやっているお店から届けてもらうことにした。本当にやる気がなかったらしい。

私は、多分これが初めてのサウザン野菜バーガー。以前CMか何かで見て気になっていた品だった。フレッシュバーガーと大きくは変わりない感じだけれど、添えられているソースがサウザンアイランドドレッシングになっているようなもの。たっぷりのレタスと厚切りトマトが挟まっているのは相変わらずで、この野菜のシャキシャキが心地よいモスバーガーのハンバーガーに慣れてしまうと、マクドナルドなどで食べた時に猛烈に物足りなさを感じてしまう。罪作りなハンバーガーめー、などと思いながらもぐもぐもぐ。

10月に入ったということで、メニューにスープ類も増えた。だんなは大好物のクラムチャウダー、私はミネストローネをセットにしてもらって、お互い「今年のもちゃんと美味しいー」と味見しつつ「ああ、寒い季節になるとモスバーガー率が高くなるのはスープの存在のせいだ……」と唐突に理解してしまったりもした。

テリーヌ3種 サラダ添え
お刺身(イナダ・アジのたたき)
釜揚げしらす・自家製いくら
甘海老の味噌汁
羽釜御飯
ビール(プレミアムラガー・ニッポンプレミアム)

シチューがまだ少しある。母が先日買ってきたキッシュの残りも少し。更に、昨日パークハイアット東京のデリコーナーで母が買っていた厚切りのテリーヌが1切れずつ3種類もある。

これは洋風の夕飯の方が良いってことだよねぇ……と思いつつ、でもだんなと買い物に行ったら安売りしていた美味しそうなイナダの刺身と目が合ってしまった。アジのたたきとも目が合ってしまった。有頭甘海老とも目が合ってしまった。もうこれはお刺身を食べろと言わんばかりの内容で、そういえば我が家の冷蔵庫にはとっても美味しい釜揚げしらすが入っているのだった。先日美味しそうな生すじこを買ってきたのでイクラに加工したばかりだし。

ということで、節操のない食卓風景になるのは承知の上で、刺身と味噌汁と白い御飯の準備もした。甘海老は、身の部分はお刺身で食べて、頭の部分だけでだしを取って味噌汁にする。よくランチタイムのお寿司屋さんで出てくるような味噌汁だけれど、これが良いだしが出て、すんごく美味しい。

和風の料理をひととおり用意して、でもテーブルの中央には大きなテリーヌの皿を。厚みがそれぞれ1.5cmくらいはある、とても食べ応えのありそうなテリーヌだったのでそれぞれ薄さを半分にカットして、レタスのサラダと共に盛りつけた。テリーヌは「田舎風」と「鴨」、そして「フォアグラ」。
「……フォアグラなんて、好きだったっけ?嫌いって言ってなかった?」
「そうよー、私はフォアグラは食べないわよ。このテリーヌはあんたたちの分よ」

どうやらフォアグラテリーヌは私とだんなのために存在していた模様だったので、それはビールの肴にして美味しくいただくことにした。……うおぅ、すっごいフォアグラ味だ。苦みなどはないけれど、舌にねっとり残る感じはまさしくフォアグラ。本当は、綺麗な平皿にルッコラのサラダなど添えつつ、ドレッシングを格子模様に飾ったりして恭しく食べるのが似合うのだろう、高級感溢れるテリーヌたちだ。イナダとかアジとかと並べちゃって、ほんとスミマセン、という感じ……。

母と息子は昨夜の残りのキッシュをつついたり、ベーコン入りのパン「エピ」を囓ったりと全体的に洋風寄り。私とだんながせっせと「しらす御飯うまー」「アジのたたき御飯うまー」「いくら御飯うまー」と、せっせと白い御飯を食べていた。ほぐしてから醤油と煮切り酒、煮切り味醂と合わせておいた自家製いくらはすっかり見事な「いくら」になって、味の加減もちょうど良い具合。
「僕、いくら御飯は食べるよー」
といくら御飯だけはたっぷり食べていた息子の気持ちが良くわかった。これは美味しいわ……。